(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176969
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/64 20060101AFI20241212BHJP
A47C 7/40 20060101ALI20241212BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20241212BHJP
A47C 27/00 20060101ALI20241212BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B60N2/64
A47C7/40
A47C7/74 C
A47C27/00 F
B60N2/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095883
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆治
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B096
【Fターム(参考)】
3B084EA01
3B084EC03
3B084JA03
3B087DE03
3B096AC13
3B096AC14
(57)【要約】
【課題】異物感を与えることなく、乗員の上半身のホールド感を向上させる。
【解決手段】車両用シート10は、シートバック20の骨格を構成するシートバックフレーム16に支持されるシートバックパッド22であって、シート幅方向中央に設けられ、乗員Hの上半身を後方から支持するメイン部24と、メイン部24のシート幅方向両側に設けられ、乗員Hの上半身を側方から支持するサイドサポート部26と、を備えるシートバックパッド22と、シートバックパッド22を覆う表皮21と、シート上下方向において、乗員Hの第7胸椎から第9胸椎に対応する位置であって、サイドサポート部26と表皮21との間の位置に設けられ、網状に形成された網状体30と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの骨格を構成するシートバックフレームに支持されるシートバックパッドであって、
シート幅方向中央に設けられ、乗員の上半身を後方から支持するメイン部と、
前記メイン部のシート幅方向両側に設けられ、乗員の上半身を側方から支持するサイドサポート部と、を備えるシートバックパッドと、
前記シートバックパッドを覆う表皮と、
シート上下方向において、乗員の第7胸椎から第9胸椎に対応する位置であって、前記サイドサポート部と前記表皮との間の位置に設けられ、網状に形成された網状体と、
を備える車両用シート。
【請求項2】
前記シートバックパッドの前記網状体が設けられた部分には、前記シートバックパッドを貫通したパッド貫通孔が設けられ、
前記表皮の前記網状体が設けられた部分には、前記表皮の厚さ方向に貫通した表皮貫通孔が設けられている
請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記パッド貫通孔と、前記表皮貫通孔とは、前記網状体を介して対向して設けられている
請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記表皮は、前記網状体より通気密度が低く形成されている
請求項2又は請求項3に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記パッド貫通孔は、空調装置に接続されている
請求項2に記載の車両用シート。
【請求項6】
前記網状体は、前記表皮及び前記シートバックパッドに接合されている
請求項1に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラスチック製延伸フィラメントよりなる網状部材をポリウレタンフォームよりなる主体の表層部に全面的に埋込一体化して表面補強層を形成した座席用クッション体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用シートでは、異物感を与えることなく、乗員の上半身のホールド感を向上させることが好ましい。
【0005】
本発明は、異物感を与えることなく、乗員の上半身のホールド感を向上させた車両用シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る車両用シートは、シートバックの骨格を構成するシートバックフレームに支持されるシートバックパッドであって、シート幅方向中央に設けられ、乗員の上半身を後方から支持するメイン部と、前記メイン部のシート幅方向両側に設けられ、乗員の上半身を側方から支持するサイドサポート部と、を備えるシートバックパッドと、前記シートバックパッドを覆う表皮と、シート上下方向において、乗員の第7胸椎から第9胸椎に対応する位置であって、前記サイドサポート部と前記表皮との間の位置に設けられ、網状に形成された網状体と、を備える。
【0007】
請求項1に係る車両用シートによれば、シート上下方向において、乗員の第7胸椎から第9胸椎に対応する位置であって、サイドサポート部と表皮との間の位置に設けられた網状に形成された網状体を備えることで、サイドサポート部において、乗員の第7胸椎から第9胸椎に対応するサイドサポート部の位置の硬度が、他の部分と比較して高くされる。そのため、サイドサポート部において、乗員の上半身の重心は、他の部分と比較して、硬度の高い部分で支持される。一方、サイドサポート部において、乗員の上半身の重心以外は、乗員の上半身の重心と比較して、硬度の低い部分で支持される。その結果、異物感を与えることなく、乗員の上半身のホールド感を向上させることができる。
【0008】
請求項2に係る車両用シートでは、請求項1に記載の車両用シートにおいて、前記シートバックパッドの前記網状体が設けられた部分には、前記シートバックパッドを貫通したパッド貫通孔が設けられ、前記表皮の前記網状体が設けられた部分には、前記表皮の厚さ方向に貫通した表皮貫通孔が設けられている。
【0009】
請求項2に係る車両用シートによれば、網状体が設けられた部分には、シートバックパッドを貫通したパッド貫通孔と、表皮の厚さ方向に貫通した表皮貫通孔とが設けられていることで、パッド貫通孔と、表皮貫通孔とは、網状体を介して連通することになる。そのため、乗員の脇の下付近において、表皮の外部と、シートバックパッドの内側との間の通気性が向上する。その結果、乗員の体温を効率よく調整することができる。
【0010】
請求項3に係る車両用シートでは、請求項2に記載の車両用シートにおいて、前記パッド貫通孔と、前記表皮貫通孔とは、前記網状体を介して対向して設けられている。
【0011】
請求項3に係る車両用シートによれば、パッド貫通孔と、表皮貫通孔とは、網状体を介して対向して設けられていることで、パッド貫通孔と、表皮貫通孔とが、網状体を介して連通される。そのため、乗員の脇の下付近において、表皮の外部と、シートバックパッドの内側との間の通気性がより向上する。その結果、乗員の体温をより効率よく調整することができる。
【0012】
請求項4に係る車両用シートでは、請求項2又は請求項3に記載の車両用シートにおいて、前記表皮は、前記網状体より通気密度が低く形成されている。
【0013】
請求項4に係る車両用シートによれば、表皮は、網状体より通気密度が低く形成されていることで、表皮貫通孔から空気が出入りする。そのため、乗員の脇の下付近において、通気性を向上させることができる。
【0014】
請求項5に係る車両用シートでは、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記パッド貫通孔は、空調装置に接続されている。
【0015】
請求項5に係る車両用シートによれば、パッド貫通孔は、空調装置に接続されていることで、空調装置からの風がパッド貫通孔に送られる。そのため、パッド貫通孔に送られた風は、網状体を介して、表皮貫通孔から排気される。その結果、乗員の脇の下付近に空調装置の風を送り、乗員の体温をより効率よく調整することができる。
【0016】
請求項6に係る車両用シートでは、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記網状体は、前記表皮及び前記シートバックパッドに接合されている。
【0017】
請求項6に係る車両用シートによれば、網状体は、表皮及びシートバックパッドに接合されていることで、網状体は、表皮及びシートバックパッドに密着される。そのため、乗員が着座した際に、網状体が表皮及びシートバッククッションからズレることが抑制される。その結果、乗員の上半身のホールド感を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る車両用シートによれば、異物感を与えることなく、乗員の上半身のホールド感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る車両用シートを示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係るシートバックを示す正面図である。
【
図3】実施形態に係るシートバックを示す断面図であり、
図2のA-A断面を示す。
【
図4】実施形態に係るシートバックを示す断面図であり、
図2のB-B断面を示す。
【
図5】別の実施形態に係るシートバックを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態に係る車両用シートについて、図面を参照して説明する。実施形態では、車両用シートをフロントシートとする例を説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは、シート前後方向のシート前方側を示し、矢印UPは、シート上下方向のシート上方側を示し、矢印LHは、シート幅方向のシート左方側を示し、矢印Tは、表皮の厚さ方向を示している。実施形態では、シート前方は、車両前方と一致する。また、乗員は、小型の人としては日本人成人男性の標準体型JM50(JIS4607)相当の3次元マネキンとし、大型の人としてはアメリカ人成人男性の標準体型AM50(SAE J826)相当の3次元マネキンとて説明する。
【0021】
[車両用シート10の構成]
図1に示すように、車両用シート10は、乗員の上体を支持するシートバック20と、シートバック20のシート上方側に設けられ乗員の頭部を支持するヘッドレスト14と、乗員が着座するシートクッション12と、を備えている。
【0022】
シートバック20は、シート前方及びシート後方に傾倒可能に取付けられている。
図1及び
図2に示すように、シートバック20は、シートバックフレーム16と、シートバックパッド22と、表皮21と、網状体30と、を備えている。
【0023】
(シートバックフレーム16)
図1に示すように、シートバックフレーム16は、シートバック20の骨格を構成する。シートバックフレーム16は、シート幅方向に間隔をあけて配置されシート上下方向に伸びる左右一対のサイドフレーム16Aと、左右一対のサイドフレーム16Aの下端部をシート幅方向に繋ぐ下フレーム16Bと、左右一対のサイドフレーム16Aの上端部をシート幅方向に繋ぐ上フレーム16Cと、を備えている。
【0024】
(シートバックパッド22)
シートバックパッド22は、シートバックフレーム16のシート前方側に取り付けられ、シートバックフレーム16に支持されている。シートバックパッド22は、例えば、ポリウレタン樹脂等の発泡樹脂材料を所定の金型の内部に注入して、金型内で発泡させることにより形成されている。
【0025】
図2に示すように、シートバックパッド22は、シート幅方向の両端部にそれぞれ配置された左右一対のサイドサポート部26と、左右一対のサイドサポート部26の間に配置されたメイン部24と、を備えている。
【0026】
<メイン部24>
メイン部24は、シート幅方向中央に設けられ、乗員Hの上半身を後方から支持する。
【0027】
<サイドサポート部26>
サイドサポート部26は、メイン部24に対してシート前方側に突出して形成されている。サイドサポート部26は、シート上下方向において、少なくとも、乗員Hの上半身の重心位置を支持する位置に配置されている。
【0028】
サイドサポート部26は、メイン部24のシート幅方向両側に設けられ、乗員Hの上半身を側方から支持する。言い換えると、サイドサポート部26は、車両用シート10に着座した乗員Hがシート幅方向に移動することを抑制する。
【0029】
ここで、乗員Hの上半身の重心位置は、第7胸椎から第9胸椎の範囲である。
図2に示すように、シート上下方向において、第7胸椎から第9胸椎の範囲を重心エリアSとする。そして、サイドサポート部26のうち、重心エリアSの部分を第1サイドサポート部26Aとし、サイドサポート部26のうち、その他の部分(重心エリアS以外の部分)を第2サイドサポート部26Bとする。
【0030】
図4に示すように、第1サイドサポート部26Aには、表皮21の厚さ方向Tに第1サイドサポート部26Aを貫通したパッド貫通孔26Cが複数設けられている。パッド貫通孔26Cは、円形状の貫通孔であっても、多角形状の貫通孔であってもよい。また、パッド貫通孔26Cは、屈曲して、第1サイドサポート部26Aを貫通していてもよい。
【0031】
パッド貫通孔26Cには、空調装置40とダクト40Aを介して接続されており、空調装置40からの風がパッド貫通孔26Cに送られるようになっている。空調装置40は、例えば、車室内の前側に設けられたインストルメントパネルの内側に設置されている。
【0032】
(表皮21)
図1及び
図2に示すように、表皮21は、シート前側からシートバックパッド22を覆うように設けられている。表皮21は、例えば、不織布、布材、皮革、合成皮革、その他の材料とすることができる。表皮21は、後述する網状体30より、通気密度が低く形成されている。
【0033】
図4に示すように、表皮21には、第1サイドサポート部26Aと対向する部分に、表皮21の厚さ方向Tに表皮21を貫通した表皮貫通孔21Aが複数設けられている。表皮貫通孔21Aは、円形状の貫通孔であっても、多角形状の貫通孔であってもよい。
【0034】
パッド貫通孔26Cと、表皮貫通孔21Aとは、網状体30を介して対向して設けられている。パッド貫通孔26Cと表皮貫通孔21Aとは、同じ形状で同じ大きさとすることができる。なお、パッド貫通孔26Cと表皮貫通孔21Aとは、異なる形状で異なる大きさとすることもできる。
【0035】
(網状体30)
図2に示すように、網状体30は、第1サイドサポート部26Aのシート前側に、第1サイドサポート部26Aを覆うように設けられている。シート前方からみた網状体30の形状は、第1サイドサポート部26Aと略同じ大きさで略同じ形状に形成されている。
【0036】
網状体30は、第1サイドサポート部26Aと表皮21との間に設けられている。網状体30は、繊維状部材が互いに絡み合うことで網状に構成された3次元の繊維状弾性体とされる。繊維状部材としては、例えば、ポリエチレン樹脂等とすることができる。なお、網状体30の密度や材質は、シートバック20が狙いの硬さとなるように適宜変更することができる。
【0037】
網状体30は、第1サイドサポート部26A及び表皮21に、例えば、接着剤によって接合されている。
【0038】
[車両用シート10の動作]
図4に示すように、車両用シート10に着座した乗員Hが、例えば、インストルメントパネルに取り付けられたコントロールパネルを操作して、空調装置40をONにすると、空調装置40から冷風又は温風が、ダクト40Aを介して、パッド貫通孔26Cへ送られる。パッド貫通孔26Cに送られた冷風又は温風は、網状体30を介して、表皮貫通孔21Aから外部へ排気される。これにより、乗員Hの脇の下付近に、冷風又は温風が排気するようになっている。
【0039】
[作用]
ところで、サイドサポート部26の全体の硬度をメイン部24より高くすることで、乗員Hのホールド感を高めることができる。一方、サイドサポート部26の硬度が高くなり過ぎると、サイドサポート部26の位置によっては、異物感につながる問題がある。
【0040】
実施形態の車両用シート10は、シートバック20の骨格を構成するシートバックフレーム16に支持されるシートバックパッド22であって、シート幅方向中央に設けられ、乗員Hの上半身を後方から支持するメイン部24と、メイン部24のシート幅方向両側に設けられ、乗員Hの上半身を側方から支持するサイドサポート部26と、を備えるシートバックパッド22と、シートバックパッド22を覆う表皮21と、シート上下方向において、乗員Hの第7胸椎から第9胸椎に対応する位置であって、サイドサポート部26と表皮21との間の位置に設けられ、網状に形成された網状体30と、を備える(
図2参照)。
【0041】
シート上下方向において、乗員Hの第7胸椎から第9胸椎に対応する位置であって、サイドサポート部26と表皮21との間の位置に設けられた網状に形成された網状体30を備えることで、サイドサポート部26において、乗員Hの第7胸椎から第9胸椎に対応するサイドサポート部26の位置の硬度が、他の部分と比較して高くされる。ここで、上半身の重心は、第7胸椎から第9胸椎の付近に位置することから、車両用シートにおいては、第7胸椎から第9胸椎の付近の支持が重要とされるところ、サイドサポート部26において、乗員Hの上半身の重心は、他の部分と比較して、硬度の高い部分で支持される。一方、サイドサポート部26において、乗員Hの上半身の重心以外は、乗員Hの上半身の重心と比較して、硬度の低い部分で支持される。その結果、異物感を与えることなく、乗員Hの上半身のホールド感を向上させることができる。
【0042】
また、サイドサポート部26に網状体30を取り付けることで、シート上下方向において、乗員Hの第7胸椎から第9胸椎に対応するサイドサポート部26の位置の硬度を最適化することができる。そのため、簡易な構成で、異物感を与えることなく、乗員Hの上半身のホールド感を向上させることができる。
【0043】
ところで、シート上下方向において、乗員Hの第7胸椎から第9胸椎に対応するサイドサポート部26の位置は、乗員Hにおける脇の下付近となる。人体の脇の下には、太い血管が通っており、この付近において、体温を調整することが好ましい。
【0044】
実施形態の車両用シート10では、シートバックパッド22の網状体30が設けられた部分には、シートバックパッド22を貫通したパッド貫通孔26Cが設けられ、表皮21の網状体30が設けられた部分には、表皮21の厚さ方向に表皮21を貫通した表皮貫通孔21Aが設けられている(
図4参照)。
【0045】
パッド貫通孔26Cと表皮貫通孔21Aとが設けられていることで、パッド貫通孔26Cと、表皮貫通孔21Aとは、網状体30を介して連通することになる。そのため、乗員Hの脇の下付近において、表皮21の外部と、シートバックパッド22の内側との間の通気性が向上する。その結果、乗員Hの体温を効率よく調整することができる。
【0046】
実施形態の車両用シート10では、パッド貫通孔26Cと、表皮貫通孔21Aとは、網状体30を介して対向して設けられている(
図4参照)。
【0047】
パッド貫通孔26Cと、表皮貫通孔21Aとは、網状体30を介して対向して設けられていることで、パッド貫通孔26Cと、表皮貫通孔21Aとが、網状体30を介して対向して連通される。そのため、乗員Hの脇の下付近において、表皮21の外部と、シートバックパッド22の内側との間の通気性がより向上する。その結果、乗員Hの体温をより効率よく調整することができる。
【0048】
実施形態の車両用シート10では、表皮21は、網状体30より通気密度が低く形成されている。
【0049】
表皮21は、網状体30より通気密度が低く形成されていることで、表皮貫通孔21Aから空気が出入りする。そのため、乗員Hの脇の下付近において、通気性を向上させることができる。
【0050】
実施形態の車両用シート10では、パッド貫通孔26Cは、空調装置40に接続されている(
図4参照)。
【0051】
パッド貫通孔26Cは、空調装置40に接続されていることで、空調装置40からの風がパッド貫通孔26Cに送られる。そのため、パッド貫通孔26Cに送られた風は、網状体30を介して、表皮貫通孔21Aから排気される。その結果、乗員Hの脇の下付近に空調装置40の風を送り、乗員Hの体温をより効率よく調整することができる。
【0052】
実施形態の車両用シート10では、網状体30は、表皮21及びシートバックパッド22に接合されている(
図4参照)。
【0053】
網状体30は、表皮21及びシートバックパッド22に接合されていることで、網状体30は、表皮21及びシートバックパッド22に密着される。そのため、乗員Hが着座した際に、網状体30が表皮21及びシートバッククッションからズレることが抑制される。その結果、乗員Hの上半身のホールド感を向上させることができる。
【0054】
以上、本発明の車両用シートを上記実施形態に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更などは許容される。
【0055】
上記実施形態では、パッド貫通孔26Cと、表皮貫通孔21Aとは、網状体30を介して対向して設けられている例を示した。しかし、
図5に示すように、パッド貫通孔26Cと、表皮貫通孔21Aとは、網状体30を介して、対向せずにズラして設けられてもよい。
【0056】
上記実施形態では、網状体30は、第1サイドサポート部26Aを覆うように設けられている例を示した。しかし、サイドサポート部26には、硬さを変えた複数の網状体を設けてもよい。例えば、第2サイドサポート部26Bのシート上側に、第1サイドサポート部26Aの網状体より柔らかい網状体をさらに設けてもよい。
【0057】
上記実施形態では、網状体30は、第1サイドサポート部26Aを覆うように第1サイドサポート部26Aと略同じ大きさで略同じ形状に形成されている例を示した。しかし、網状体は、少なくとも第1サイドサポート部26Aを覆っていればよい。
【0058】
上記実施形態では、網状体30は、第1サイドサポート部26Aに設けられる例を示した。しかし、網状体は、メイン部24の重心エリアSに設けることもできる。
【0059】
上記実施形態では、車両用シート10を車両のフロントシートに適用する例を示した。しかし、車両用シートは、車両のリアシートに適用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
10 車両用シート
16 シートバックフレーム
20 シートバック
21 表皮
21A 表皮貫通孔
22 シートバックパッド
24 メイン部
26 サイドサポート部
26C パッド貫通孔
30 網状体
40 空調装置