(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176972
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】伸縮式テント構造体
(51)【国際特許分類】
E04H 15/50 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
E04H15/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095889
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】500094381
【氏名又は名称】株式会社サンエープロテント
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】高山 敏彦
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141BB01
2E141CC04
2E141DD14
(57)【要約】
【課題】 支柱フレームの捻じれを防止し、可動フレームの移動をスムースに行えるようにする、伸縮式テント構造体を提供する。
【解決手段】 並列状に配設されてレールR上を移動可能とされるとともに両端部の並列間隔Wが固定され中間部の並列間隔Dが伸縮可能に構成された、複数の可動フレーム2と、並列間隔Wを固定する間隔保持部材8と、並列間隔Dを伸縮可能にするシザー状のクロスバー7と、を備え、可動フレーム2は、天井フレーム3と、柱フレーム4と、車輪と、レールRを挟む案内輪と、を備え、柱フレーム4は、内側縦材4aと、外側縦材4bと、斜材4cと、水平材4dと、を備え、クロスバー7は内側縦材4aの内側に連結され、伸縮可能に連結された可動フレーム2の水平材4dが捩れ拘束具9によって連結され、捩れ拘束具9は、水平材4dに回動自在に連結されるとともに中間部で折り畳み可能な折畳式連結バー9a、9bを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列状に配設されてレール上を移動可能とされるとともに、両端部の並列間隔が固定され、前記両端部の間の中間部の並列間隔が伸縮可能に構成された、複数の可動フレームと、
前記両端部の並列間隔を固定するように隣り合う前記可動フレームを連結する間隔保持部材と、
前記中間部の並列間隔を伸縮可能にするように隣り合う前記可動フレームを連結するシザー状のクロスバーと、
を備え、
前記可動フレームは、トラス構造の天井フレームと、前記天井フレームの両端に接続された一対のトラス構造の柱フレームと、前記柱フレームの下端部に設けられて前記レール上を転動する車輪と、前記柱フレームの下端部に設けられて前記レールを挟むように配置される案内輪と、を備え、
前記柱フレームは、内側縦材と、外側縦材と、前記内側縦材と前記外側縦材とを接続する斜材と、前記内側縦材と前記外側縦材とを接続する水平材と、を備え、
前記クロスバーによって連結された前記可動フレームは、前記内側縦材の内側に前記クロスバーが連結されるとともに、テント奥行方向に隣り合う前記水平材が捩れ拘束具によって互いに連結されており、
前記捩れ拘束具は、前記水平材に回動自在に連結されるとともに中間部で回動可能に連結されて縦方向に折り畳み可能な折畳式連結バーを備える、
伸縮式テント構造体。
【請求項2】
複数本の前記折り畳み式連結バーが間隔をあけて前記水平材に連結されている、請求項1に記載の伸縮式テント構造体。
【請求項3】
2本の前記折畳式連結バーが、前記水平材の両端部に連結されている、請求項2に記載の伸縮式テント構造体。
【請求項4】
前記水平材に連結された複数の前記折畳式連結バーが、横材によって互いに連結されている、請求項2に記載の伸縮式テント構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、鉄骨トラスで構成された大型テントに関し、特に、テント奥行方向に伸縮可能にした伸縮式テント構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のテントは、トラス構造の天井フレームの両端にトラス構造の柱フレームが接続され複数の可動フレームを、テント奥行方向に並列配置するとともに其々を移動可能に連結することにより、テント奥行き方向に伸縮可能に構成され、可動フレームに張られた天幕がテント奥行方向に蛇腹状に伸縮可能な伸縮式テント構造体が知られている(特許文献1等)。伸縮式テント構造体の可動フレームは、柱フレームの下部に車輪と案内輪とを備え、地面に設置したレール上を車輪が転動し、レールのウェブの両側面を案内輪で挟むようにして、レール上を脱線しないように移動する(特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-065484号公報
【特許文献2】特開2004-315104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の伸縮式テント構造体は、例えば、高さが7メートルを超え、間口が15メートルを超えるような大型のものになると、並列する可動フレームをレール上で移動させた際等に、可動フレームの天井フレームの特に中央部が移動方向に膨らむように撓むことがあった。このように可動フレームの天井フレームが撓むと、天井フレームの両端に接続されている支柱フレームに捩じれ方向の力が働き、支柱フレームの下端に取り付けられた案内輪がレールのウェブに押し付けられて、可動フレームを移動させにくくなる、という問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、支柱フレームの捻じれを防止し、可動フレームの移動をスムースに行えるようにする、伸縮式テント構造体を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る伸縮式テント構造体は、並列状に配設されてレール上を移動可能とされるとともに、両端部の並列間隔が固定され、前記両端部の間の中間部の並列間隔が伸縮可能に構成された、複数の可動フレームと、前記両端部の並列間隔を固定するように隣り合う前記可動フレームを連結する間隔保持部材と、前記中間部の並列間隔を伸縮可能にするように隣り合う前記可動フレームを連結するシザー状のクロスバーと、を備え、前記可動フレームは、トラス構造の天井フレームと、前記天井フレームの両端に接続された一対のトラス構造の柱フレームと、前記柱フレームの下端部に設けられて前記レール上を転動する車輪と、前記柱フレームの下端部に設けられて前記レールを挟むように配置される案内輪と、を備え、前記柱フレームは、内側縦材と、外側縦材と、前記内側縦材と前記外側縦材とを接続する斜材と、前記内側縦材と前記外側縦材とを接続する水平材と、を備え、前記クロスバーによって連結された前記可動フレームは、前記内側縦材の内側に前記クロスバーが連結されるとともに、テント奥行方向に隣り合う前記水平材が捩れ拘束具によって互いに連結されており、前記捩れ拘束具は、前記水平材に回動自在に連結されるとともに中間部で回動可能に連結されて縦方向に折り畳み可能な折畳式連結バーを備える。
【0007】
複数本の前記折り畳み式連結バーが間隔をあけて前記水平材に連結されていることが好ましい。
【0008】
2本の前記折畳式連結バーが、前記水平材の両端部に連結されていることが好ましい。
【0009】
前記水平材に連結された複数の前記折畳式連結バーが、横材によって互いに連結されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、奥行方向に隣り合う柱フレームの水平材を、上記構成の捩れ拘束部によって互いに連結することにより、柱材の捩れに対抗することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る伸縮式テント構造体の一実施形態を示す正面図である。
【
図2】
図1の伸縮式テント構造体の伸長状態を示す概略側面図である。
【
図3】
図1の伸縮式テント構造体の収縮状態を示す概略側面図である。
【
図4】
図1のP部分の柱フレームを拡大して示す正面図である。
【
図5】
図4のA、B部分を拡大して示す一部切欠き正面図である。
【
図6】
図1の伸縮式テント構造体の伸長状態を示す部分拡大側面図である。
【
図7】
図1の伸縮式テント構造体の縮小状態を示す部分拡大側面図である。
【
図8】
図1の伸縮式テント構造体の伸長状態を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る伸縮式テント構造体の一実施形態について、以下に
図1~
図9を参照して説明する。
【0013】
図1は伸縮式テント構造体の正面図であり、
図2は伸縮式テント構造体の伸びた状態の側面図であり、
図3は、伸縮式テント構造体の縮んだ状態を示す側面図である。
図1は、天幕を被せていない状態である。
図2及び
図3は、伸縮式テント構造体に被せた天幕Cを破線で示している。
【0014】
図1~
図3を参照して、伸縮式テント構造体1は、並列状に配設されてレールR上を移動可能とされ、両端部1Aの並列間隔Wが固定され、両端部1A、1Bの間の中間部1Cの並列間隔Dが伸縮可能に構成された、複数の可動フレーム2・・・を備えている。
【0015】
可動フレーム2は、トラス構造の天井フレーム3と、天井フレーム3の両側に接続された左右一対のトラス構造の柱フレーム4と、柱フレーム4の下端部に設けられたてレールR上を転動する車輪5と、柱フレーム4の下端部に設けられてレールRを挟むように配置される案内輪6と、を備える。
【0016】
柱フレーム4は、内側縦材4aと、外側縦材4bと、内側縦材4aと外側縦材4bとを接続する斜材4cと、を備えるトラスで構成され、内側縦材4aと外側縦材4bとを接続する水平材4dを更に備えている。天井フレーム3は、上弦材3aと、下弦材3bと、上弦材3aと下弦材3bとを接続する斜材3c及び垂直材3dとを備えるトラスで構成されている。天井フレーム3及び柱フレーム4のトラス構造は、図示例に限らず、他の公知の平面トラス構造を採用することもできる。
【0017】
車輪5及び案内輪6は、内側縦材4aの下端部に取り付けられている。レールRは、I形鋼で形成することができる。車輪5は、レールRを構成するI形鋼の上部フランジ部の上面を転動し、案内輪6は、レールRを構成するI形鋼のウェブ部を挟むように配設され、車輪5がレールRの軌道に沿って転動するように案内する。
【0018】
Xリンク機構を構成するシザー状のクロスバー7によって連結された可動フレーム2・・は、クロスバー7によって隣り合って連結される可動フレーム2、2の中間部1Cの並列間隔Dを伸縮可能とされている。テント奥行方向両端の可動フレーム2、2は、間隔保持部材8によって、それぞれの内側の可動フレーム2(クロスバー7によって連結された可動フレーム2)との並列間隔Wが固定され、両端部1A、1Bの並列間隔Wを一定間隔に保持することにより、伸縮式テント構造体を縮めた場合に自立安定性を確保可能としている。間隔保持部材8は、柱フレーム4の高さ方向に間隔をあけて複数段設けられている。
【0019】
可動フレーム2を伸縮可能に連結するクロスバー7は、2本のバー7a、7bが中間の軸7cでシザー状に回動可能に連結されている。クロスバー7の2本のバー7a、7bの其々の下端部は、テント奥行方向(レールRの長さ方向)に隣り合う柱フレーム4の内側縦材4aの下端部に、内側縦材4aの下部内側に突設した軸7dを介して、其々回動自在に軸着されている。一方、クロスバー7の2本のバー7a、7bの其々の上端部は、テント奥行方向に隣り合う柱フレーム4の内側縦材4aに、上下動自在且つ回動自在に連結されている。具体的には、クロスバー7の2本のバー7a、7bの上端部には、アイボルト7eが回動自在に軸着されており、内側縦材4aの上部内側に固定されて上下方向に延びる案内棒7fに、アイボルト7eが挿通されている。
【0020】
隣り合うクロスバー7、7は、其々が連結される内側縦材4aに、共通のアイボルト7e及び軸7dによって連結されており、並列する柱フレーム4・・・が連動して伸縮移動するようになっている。
【0021】
クロスバー7で伸縮可能に連結された可動フレーム2・・・は、其々の水平材4dが捩れ拘束具9によって互いに連結されている。捩れ拘束具9は、水平材4dに回動自在に連結されるとともに、中間部で回動可能に連結されて縦方向(上下方向)に折り畳み可能な折畳式連結バー9a、9bを備える。
【0022】
折畳式連結バー9a、9bは、水平材4dに固定されたブラケット板10に回動自在に連結されている。また、折畳式連結バー9a、9bは、中間部で水平軸9c(
図6)を介して回動可能に連結されている。
【0023】
図示例の捩れ拘束具9では、折畳梯子のように、2本の折畳式連結バー9a,9aが平行に設けられ、水平材4dの長さ方向両端部に連結されている。平行な2本の折畳式連結バー9a、9aは、それらが連結されている水平材4dと水平材4dとの間で、補強のための4本の横材9dによって連結されている。
【0024】
図示例では平行な2本の折畳式連結バー9a、9aによって隣り合う可動フレーム2を連結しているが、図示しないが、隣り合う可動フレーム2を一本の折畳式連結バー9aによって連結することもできるし、或いは、平行な3本以上の折畳式連結バーによって連結することもできる。
【0025】
上記構成の捩れ拘束具9は、クロスバー7によって連結されている可動フレーム2の伸縮動作と連動して、中間部の軸9cの位置が縦方向に上下するように、折れ曲がり角度が変わる。
【0026】
間隔保持部材8は、テント奥行方向(レール長さ方向)の最も外側にある可動フレーム2とその内側に隣り合う可動フレーム2との間に連結されている。間隔保持部材8は、形状や取付位置は特に限定されないが、
図8に示すように、隣り合う柱フレーム4、4の水平材4d、4dを連結する梯子形状のものとすることができるし、隣り合う外側縦材4b、4bを連結する棒状のものとすることもできる。
【0027】
可動フレーム2の天井フレーム3に、従来では
図9に仮想線(一点鎖線)で示すような撓みが生じると、車輪5及び案内輪6が取り付けられている内側縦材4aの軸線周りに捩じれ力が作用して、案内輪6の車軸がレールRの軌道に対して水平方向に傾いて、案内輪6が回転し難くなるが、縦方向に折畳可能な折畳式連結バー9aの他端は隣接する水平材4dに連結されており、また、両端部1A,1Bの並列間隔Wが固定されているため、水平材4dを通じて折畳式連結バー9aに作用する回転モーメント力に対抗することができる。その結果、内側縦材4aの捩れを抑制することができる。
【0028】
本発明は、上記実施形態に限定解釈されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 伸縮式テント構造体
1A、1B 端部
1C 中間部
2 可動フレーム
3 天井フレーム
4 柱フレーム
4a 内側縦材
4b 外側縦材
4c 斜材
4d 水平材
5 車輪
6 案内輪
7 クロスバー
8 間隔保持部材
9 捩れ拘束具
9a,9b 折畳式連結バー
9d 横材
R レール