(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176984
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】プログラム及び信託管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20241212BHJP
【FI】
G06Q50/18
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095917
(22)【出願日】2023-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】518123682
【氏名又は名称】一般社団法人全国信託協議会
(74)【代理人】
【識別番号】100177231
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨志田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中本 正規
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC32
5L050CC32
(57)【要約】
【課題】本発明は、信託契約情報から受託者証明情報及び受益者証明情報に分けて委託者、受託者及び受益者にそれらを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のプログラムは、管理サーバーと、端末との間で、通信ネットワークを介して情報伝達を可能にさせるプログラムであって、前記管理サーバーに、信託財産情報を受信させる受信機能と、信託財産情報及びその受信日時を記憶部に記憶させる記憶機能と、信託財産情報から信託財産特定情報を抽出させる抽出機能と、受託者特定情報、前記受益者特定情報及び前記信託財産特定情報から、受託者証明情報及び受益者証明情報を、それぞれ前記受信日時が契約日であるとして生成させる生成機能と、受益者証明情報が生成の完了を、各端末に報知させる報知機能と、前記完了が報知された後に、リクエストを送信した端末に送信させる又は閲覧可能にさせる送信/閲覧機能とを実行させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信託財産の委託者に関する委託者情報、受託者に関する受託者情報及び受益者に関する受益者情報並びに前記信託財産の契約内容に関する契約内容情報を含む信託財産情報を、自身が有する記憶部に記憶して管理する管理サーバーと、前記委託者が使用する委託者端末、前記受託者が使用する受託者端末及び前記受益者が使用する受益者端末の少なくとも一の端末との間で、通信ネットワークを介して情報伝達を可能にさせるプログラムであって、
前記管理サーバーに、
前記委託者端末及び前記受託者端末で動作するアプリケーションを介して前記委託者端末又は前記受託者端末に入力されて送信された前記信託財産情報を受信させる受信機能と、
前記受信機能により受信させた前記信託財産情報、前記信託財産情報が入力されて送信させた端末及びその受信日時を前記記憶部に記憶させる記憶機能と、
前記記憶機能により前記記憶部に記憶させた前記信託財産情報から、前記受託者を特定する受託者特定情報、前記受益者を特定する受益者特定情報及び前記信託財産を特定する信託財産特定情報を抽出させる抽出機能と、
前記抽出機能により抽出された前記受託者特定情報、前記受益者特定情報及び前記信託財産特定情報から、前記受託者特定情報及び前記信託財産特定情報を含む受託者証明情報並びに前記受益者特定情報及び前記信託財産特定情報を含む受益者証明情報を、それぞれ前記受信日時が契約日であるとして生成させる生成機能と、
前記生成機能により前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報が生成された後に、その生成処理の完了を、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末に報知させる報知機能と、
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末、前記受託者端末又は前記受益者端末から送信される送信/閲覧リクエストに応じて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報をそれぞれ前記受信日時が契約日であるとして前記送信/閲覧リクエストを送信した端末に送信させる又は閲覧可能にさせる送信/閲覧機能と、
を実行させる、
プログラム。
【請求項2】
前記信託財産特定情報は、信託財産の対象に関する第1情報と、当該対象以外に関する第2情報とで構成され、
前記生成機能は、前記信託財産特定情報を、前記第1情報と前記第2情報とに分けて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を生成させ、
前記送信/閲覧機能は、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を、それぞれ、前記受託者特定情報、前記第1情報及び前記第2情報並びに前記受益者特定情報、前記第1情報及び前記第2情報に分けて、前記送信/閲覧リクエストを送信した端末に送信させる又は閲覧可能にさせる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
さらに、前記管理サーバーに、
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末から送信される郵送リクエストに応じて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を印刷機により印刷して受託者証明書及び受益者証明書を作成して、前記郵送リクエストを送信した端末を使用する者の指定した場所に前記受託者証明書及び前記受益者証明書を郵送させる郵送機能、
を実行させる、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
さらに、前記管理サーバーに、
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末から送信される郵送リクエストに応じて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を印刷機により印刷して受託者証明書及び受益者証明書を作成して、前記郵送リクエストを送信した端末を使用する者の指定した場所に前記受託者証明書及び前記受益者証明書を郵送させる郵送機能、
を実行させる、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末から前記受託者証明情報の修正リクエストを送信可能とされ、
前記受信機能では、前記委託者端末に入力されて送信された前記修正リクエストを受信させ、
前記生成機能では、前記修正リクエストに基づいて前記受益者証明情報を修正させ、
前記送信/再閲覧機能では、前記受益者証明情報が修正された後に、前記修正リクエストに基づいて修正された前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報をそれぞれ前記修正リクエストが送信された日時が修正日であるとして、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末に送信させる又は閲覧可能にさせる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記受託者証明書及び前記受益者証明書は、それぞれ両面に文字が印刷された1枚の紙であり、
前記受託者証明書は、一方の面に前記受託者特定情報及び前記第1情報、他方の面に前記第2情報が印刷されており、
前記受益者証明書は、一方の面に前記受益者特定情報及び前記第1情報、他方の面に前記第2情報が印刷されている、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項7】
前記信託財産の契約内容に金銭信託が含まれる場合、前記管理サーバーは、前記通信ネットワークを介して前記金銭信託の預金口座を管理する預金サーバーから預金口座の出金情報を受信可能とされ、
前記管理サーバーが前記預金サーバーから前記預金口座の出金情報を受信したとき、
前記報知機能は、前記出金情報を、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末に報知させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記アプリケーションは、前記委託者端末及び前記受託者端末に接続されカードリーダーにセットされる個人番号カードの情報が委託者又は受託者の登録情報と一致した場合にのみ動作可能となるように設定されている、
請求項1~7のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
信託財産の委託者に関する委託者情報、受託者に関する受託者情報及び受益者に関する受益者情報並びに前記信託財産の契約内容に関する契約内容情報を含む信託財産情報を自身が有する記憶部に記憶して管理するとともに通信ネットワークに接続されている管理サーバーと、
前記管理サーバーに利用可能であり、前記管理サーバーと、前記委託者が使用する委託者端末、前記受託者が使用する受託者端末及び前記受益者が使用する受益者端末の少なくとも一の端末との間で、前記通信ネットワークを介して情報伝達を可能にさせるプログラムであって、請求項1~7のいずれか一項に記載のプログラムと、
を備える、
信託管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び信託管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自分の財産を信頼できる自然人、法人に託し、自分が決めた目的に沿って特定の人または自分のために財産を運用、管理、継承してもらう制度として、信託が知られている。信託は大きく商事信託と民事信託の2つに分類することができ、商事信託は、信託銀行や信託会社が信託報酬を得るために業務として受託者の役割を担うものであり、民事信託は、基本的に個人や法人が信託報酬を得ないで受託者の役割を担うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信託は、委託者、受託者及び受益者の三つの役割によって構成されているが、同一人がこの役割を兼任することも可能であり、契約内容は多種多様である。そのうち特に民事信託において、信託契約後の時間の経過や相続等の発生に伴って当事者の間で各人の役割が分からなくなり、財産が十分に活用されなくなる事態が生じていた。信託契約における各人の役割を確認するには信託契約書の内容を確認すればよいが、信託契約書の内容は複雑であるため各人が自己の役割を直ちに理解することは困難であった。
【0005】
ここで、信託に関する技術ではないが、特許文献1には、自動車の車種を表示する車種表示部と、新車発売年月表示部と、基準走行距離表示部と、月間基準走行距離表示部と、ボディカラー別に表示するカラー別単位走行距離評価額表示部とからなる中古車価格表が開示されている。特許文献1の中古車価格表によれば、各表示部に基づき中古車の金銭評価を行うことで価格の適正化を図ることができる。このように中古車価格表等においては、種々の情報を整理して見易くする技術が開発されているが、信託契約の分野においてはこのような技術は未だ開発されていない。
【0006】
本発明は、信託契約情報から受託者証明情報(又は受託者証明書)及び受益者証明情報(受益者証明書)に分けて委託者、受託者及び受益者にそれらを提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様のプログラムは、
信託財産の委託者に関する委託者情報、受託者に関する受託者情報及び受益者に関する受益者情報並びに前記信託財産の契約内容に関する契約内容情報を含む信託財産情報を、自身が有する記憶部に記憶して管理する管理サーバーと、前記委託者が使用する委託者端末、前記受託者が使用する受託者端末及び前記受益者が使用する受益者端末の少なくとも一の端末との間で、通信ネットワークを介して情報伝達を可能にさせるプログラムであって、
前記管理サーバーに、
前記委託者端末及び前記受託者端末で動作するアプリケーションを介して前記委託者端末又は前記受託者端末に入力されて送信された前記信託財産情報を受信させる受信機能と、
前記受信機能により受信させた前記信託財産情報、前記信託財産情報が入力されて送信させた端末及びその受信日時を前記記憶部に記憶させる記憶機能と、
前記記憶機能により前記記憶部に記憶させた前記信託財産情報から、前記受託者を特定する受託者特定情報、前記受益者を特定する受益者特定情報及び前記信託財産を特定する信託財産特定情報を抽出させる抽出機能と、
前記抽出機能により抽出された前記受託者特定情報、前記受益者特定情報及び前記信託財産特定情報から、前記受託者特定情報及び前記信託財産特定情報を含む受託者証明情報並びに前記受益者特定情報及び前記信託財産特定情報を含む受益者証明情報を、それぞれ前記受信日時が契約日であるとして生成させる生成機能と、
前記生成機能により前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報が生成された後に、その生成処理の完了を、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末に報知させる報知機能と、
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末、前記受託者端末又は前記受益者端末から送信される送信/閲覧リクエストに応じて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報をそれぞれ前記受信日時が契約日であるとして前記送信/閲覧リクエストを送信した端末に送信させる又は閲覧可能にさせる送信/閲覧機能と、
を実行させる。
【0008】
第2態様のプログラムは、
第1態様のプログラムにおいて、
前記信託財産特定情報は、信託財産の対象に関する第1情報と、当該対象以外に関する第2情報とで構成され、
前記生成機能は、前記信託財産特定情報を、前記第1情報と前記第2情報とに分けて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を生成させ、
前記送信/閲覧機能は、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を、それぞれ、前記受託者特定情報、前記第1情報及び前記第2情報並びに前記受益者特定情報、前記第1情報及び前記第2情報に分けて、前記送信/閲覧リクエストを送信した端末に送信させる又は閲覧可能にさせる。
【0009】
第3態様のプログラムは、
第2態様のプログラムにおいて、
さらに、前記管理サーバーに、
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末から送信される郵送リクエストに応じて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を印刷機により印刷して受託者証明書及び受益者証明書を作成して、前記郵送リクエストを送信した端末を使用する者の指定した場所に前記受託者証明書及び前記受益者証明書を郵送させる郵送機能、
を実行させる。
【0010】
第4態様のプログラムは、
第2態様のプログラムにおいて、
さらに、前記管理サーバーに、
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末から送信される郵送リクエストに応じて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を印刷機により印刷して受託者証明書及び受益者証明書を作成して、前記郵送リクエストを送信した端末を使用する者の指定した場所に前記受託者証明書及び前記受益者証明書を郵送させる郵送機能、
を実行させる。
【0011】
第5態様のプログラムは、
第1態様のプログラムにおいて、
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末から前記受託者証明情報の修正リクエストを送信可能とされ、
前記受信機能では、前記委託者端末に入力されて送信された前記修正リクエストを受信させ、
前記生成機能では、前記修正リクエストに基づいて前記受益者証明情報を修正させ、
前記送信/再閲覧機能では、前記受益者証明情報が修正された後に、前記修正リクエストに基づいて修正された前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報をそれぞれ前記修正リクエストが送信された日時が修正日であるとして、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末に送信させる又は閲覧可能にさせる。
【0012】
第6態様のプログラムは、
第3態様のプログラムにおいて、
前記受託者証明書及び前記受益者証明書は、それぞれ両面に文字が印刷された1枚の紙であり、
前記受託者証明書は、一方の面に前記受託者特定情報及び前記第1情報、他方の面に前記第2情報が印刷されており、
前記受益者証明書は、一方の面に前記受益者特定情報及び前記第1情報、他方の面に前記第2情報が印刷されている。
【0013】
第7態様のプログラムは、
第1態様のプログラムにおいて、
前記信託財産の契約内容に金銭信託が含まれる場合、前記管理サーバーは、前記通信ネットワークを介して前記金銭信託の預金口座を管理する預金サーバーから預金口座の出金情報を受信可能とされ、
前記管理サーバーが前記預金サーバーから前記預金口座の出金情報を受信したとき、
前記報知機能は、前記出金情報を、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末に報知させる。
【0014】
第8態様のプログラムは、
第1~第7態様のいずれか一態様のプログラムにおいて、
前記アプリケーションは、前記委託者端末及び前記受託者端末に接続されカードリーダーにセットされる個人番号カードの情報が委託者又は受託者の登録情報と一致した場合にのみ動作可能となるように設定されている。
【0015】
一態様の管理システムは、
信託財産の委託者に関する委託者情報、受託者に関する受託者情報及び受益者に関する受益者情報並びに前記信託財産の契約内容に関する契約内容情報を含む信託財産情報を自身が有する記憶部に記憶して管理するとともに通信ネットワークに接続されている管理サーバーと、
前記管理サーバーに利用可能であり、前記管理サーバーと、前記委託者が使用する委託者端末、前記受託者が使用する受託者端末及び前記受益者が使用する受益者端末の少なくとも一の端末との間で、前記通信ネットワークを介して情報伝達を可能にさせるプログラムであって、第1~7態様のいずれか一態様のプログラムと、
を備える。
【発明の効果】
【0016】
第1態様のプログラムによれば、信託契約情報から受託者証明情報(又は受託者証明書)及び受益者証明情報(受益者証明書)に分けて委託者、受託者及び受益者にそれらを提供することができる。
【0017】
第2態様のプログラムによれば、送信/閲覧リクエストを送信した端末を用いて整理された情報を閲覧することができる。
【0018】
第3及び第4態様のプログラムによれば、整理された受託者証明情報(又は受託者証明書)及び受益者証明情報(受益者証明書)が郵送リクエストを送信した端末を使用する者に郵送される。
【0019】
第5態様のプログラムによれば、受託者証明情報(又は受託者証明書)及び受益者証明情報(受益者証明書)に修正内容が反映される。
【0020】
第6態様のプログラムによれば、印刷された受託者証明情報(又は受託者証明書)及び受益者証明情報(受益者証明書)が表裏にそれぞれ整理される。
【0021】
第7態様のプログラムによれば、信託財産の契約内容に金銭信託が含まれる場合に、預金口座の出金情報が各関係者に共有される。
【0022】
第8態様のプログラムによれば、セキュリティーが強化される。
【0023】
一態様の管理システムによれば、信託契約情報から受託者証明情報(又は受託者証明書)及び受益者証明情報(受益者証明書)に分けて委託者、受託者及び受益者にそれらを提供することができる。
【0024】
また、これらのプログラム及び管理システムによれば、信託契約の内容を簡易に確認できる手段を提供することができる。その結果、通常の日常生活においては信託に馴染みの無い人、例えば家族間で行う民事信託の利用を促進することができ、経済活動の活発化が期待される。例えば、民事信託によれば、親を委託者とし、子を受託者とし、孫を受益者として、親(委託者)から移転された信託財産を子(受託者)が一定の目的に従って管理、運用、処分等を行い、信託財産やそれから生じる利益を孫(受益者)に与えることができる。即ち、親の生前でも自由な財産管理が可能であり、財産の管理処分権を信頼できる子等に託して、発生した利益を所望の孫等に与えることが可能である。また民事信託により相続の詳細を決定することができ、2代先まで財産の承継先を決定することもでき、更に高齢者や痴呆症患者等の財産管理が困難な人のために財産管理を行うことも可能である。このような民事信託によれば、財産を管理、運用、処分、相続等を円滑に行うことができるため、民事信託の普及により経済活動の活発化が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】受託者証を表示する表示物(受託者証明書)の表面を示す図である。
【
図2】受託者証を表示する表示物(受託者証明書)の裏面を示す図である。
【
図3】受益者証を表示する表示物(受益者証明書)の表面を示す図である。
【
図4】受益者証を表示する表示物(受益者証明書)の裏面を示す図である。
【
図5】本実施形態の信託管理システムCSの概略図である。
【
図6】本実施形態の基本的機能を実行するプログラムPG1のフロー図である。
【
図7】本実施形態のアプリケーションを介して証明書が表示されているユーザー端末を示す図である。
【
図8】本実施形態の付加的機能(郵送機能)を実行するプログラムのフロー図である。
【
図9】本実施形態の付加的機能(修正機能)を実行するプログラムのフロー図である。
【
図10A】本実施形態の付加的機能(金銭信託の場合の出金報知機能)を実行する信託管理システムCScの概略図である。
【
図10B】本実施形態の付加的機能(金銭信託の場合の出金報知機能)を実行するプログラムのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態について説明する。
まず、本実施形態の証明書(受託者証明書10及び受益者証明書20)について
図1~
図4を参照しながら説明する。
次いで、本実施形態のプログラムPG1~PG4及び信託管理システムCSについて
図5~
図7を参照しながら説明する。
次いで、本実施形態の変形例について説明する。
【0027】
≪証明書≫
<受託者証明書>
図1は、受託者証を表示する表示物(受託者証明書10)の表面10A(一方の面の一例)を示す図である。受託者証明書10は、一例として、受託者を特定する情報を表示する受託者表示部11(受託者特定情報の一例)と、信託財産を特定する情報を表示する信託財産表示部12(第1情報の一例)とを含む。
【0028】
受託者表示部11は、受託者を特定する情報が表示されていれば特に限定されないが、例えば、受託者の氏名又は名称及び住所又は居所が表示されていることが好ましい。これにより受託者を特定し易くすることができる。
【0029】
信託財産表示部12は、信託財産を特定する情報(信託財産特定情報の一例)が表示される部分である。信託財産表示部12により、信託財産の内容を把握し易くすることができる。信託財産として、例えば株式、債券の有価証券、不動産、金銭、知的財産等が挙げられる。
【0030】
受託者証明書10は、受託者表示部11に記載の者が受託者であることを証明する旨の記載がある受託者証明部14を含むことが好ましい。さらに、この場合、受託者証明書10は、委託者の記名、捺印欄、委託者の署名欄、受益者の記名、捺印欄、受益者の署名欄等を含むことが好ましい。
【0031】
受託者証明書10がシート状媒体である場合、シート状媒体の表面10Aに、受託者表示部11と、信託財産表示部12と、受託者証標題部13とを含むことが好ましい。また、
図2に示されるようにシート状媒体の裏面10Bに信託契約の一部抜粋事項(第2情報の一例)が記載されていることが好ましい。
【0032】
受託者証標題部13は、シート状媒体が受託者証明書10であることを表示する部分である。
【0033】
シート状媒体の表面10Aに、受託者表示部11と、信託財産表示部12と、受託者証標題部13とを含むことにより、一見して受託者及び信託財産の内容を確認し易くすることができる。さらに、シート状媒体の裏面10Bに信託契約の受託権に関する事項等を一部抜粋して記載されていることにより、複雑な信託契約書を読み解くことなく受託者が自己の役割に関連する情報を確認し易くすることができる。
【0034】
図2は、受託者証を表示する表示物(受託者証明書10)の裏面10Bを示す図である。シート状媒体の裏面10Bに記載される信託契約の一部抜粋事項とは、例えば、第二受託者、第三受託者等の指定に関する新受託者指定事項、第二受託者、第三受託者等を特定する新受託者特定事項、信託監督人の指定に関する信託監督人指定事項、信託監督人を特定する信託監督人特定事項、受託者が受益者から信託財産の管理状況について報告を求められた場合に報告する旨が規定されている信託財産管理状況報事項等が挙げられる。
【0035】
図2に示されるとおり、受託者が変更した場合に新たな受託者証を発行する旨の取り決めに関する受託者証発行事項が記載されていてもよい。
【0036】
信託財産が株式の場合、例えば、議決権の帰属に関する議決権帰属事項が記載されていることが好ましい。株式の議決権は、金銭的価値が認められておらず独立した信託財産とならないため、株式を信託した場合における議決権の帰属先は不明確になりやすいが、議決権帰属事項が記載されていることにより議決権の帰属先を明確にすることができる。
【0037】
<受益者証明書>
図3は、受益者証を表示する表示物(受益者証明書20)の表面20Aを示す図である。受益者証明書20は、受益者を特定する情報を表示する受益者表示部21と、信託財産を特定する情報を表示する信託財産表示部22(第1情報の他の一例)とを含む。
【0038】
受益者表示部21は、受益者を特定する情報が表示されていれば特に限定されないが、例えば、受益者の氏名又は名称、及び住所又は居所が表示されていることが好ましい。これにより受益者を特定し易くすることができる。
【0039】
信託財産表示部22は、信託財産を特定する情報(信託財産特定情報の他の一例)が表示される部分である。信託財産表示部22により、信託財産の内容を把握し易くすることができる。信託財産として、例えば、株式、債券の有価証券、不動産、金銭、知的財産等が挙げられる。
【0040】
受益者証明書20は、受益者表示部21に記載の者が受益者であることを証明する旨の記載がある受益者証明部24を含むことが好ましい。さらに、この場合、受益者証明書20は、委託者の記名、捺印欄、委託者の署名欄、受託者の記名、捺印欄、受託者の署名欄等を含むことが好ましい。
【0041】
受益者証明書20がシート状媒体である場合、シート状媒体の表面20Aに、受益者表示部21と、信託財産表示部22と、受益者証標題部23とを含むことが好ましい。ここで、
図4は受益者証を表示する表示物(受益者証明書20)の裏面20Bを示す図であるところ、シート状媒体である受益者証明書20においては、その裏面20Bに、信託契約の一部抜粋事項が記載されていることが好ましい。
【0042】
受益者証標題部23は、シート状媒体が受益者証明書20であることを表示する部分である。
【0043】
シート状媒体の表面20Aに、受益者表示部21と、信託財産表示部22と、受益者証標題部23とを含むことにより、一見して受益者及び信託財産の内容を確認し易くすることができる。さらに、シート状媒体の裏面20Bに信託契約の受益権に関する事項を一部抜粋して記載されていることにより、複雑な信託契約書を読み解くことなく受益者が自己の役割に関連する情報を確認し易くすることができる。
【0044】
シート状媒体の裏面20Bに記載される信託契約の一部抜粋事項とは、例えば
図4に示されるように、第二受益者等の指定に関する新受益者指定事項、第二受益者等を特定する新受益者特定事項、信託監督人の指定に関する信託監督人指定事項、信託監督人を特定する信託監督人特定事項、受益権の処分に関する受益権処分事項等が挙げられる。
【0045】
図4に示されるとおり、受益者が変更した場合に新たな受益者証を発行する旨の取り決めに関する受益者証発行事項が記載されていてもよい。
【0046】
<受託者証表示物と受益者証表示物のセット>
受託者証明書10と、受益者証明書20とをセットとしてもよい。受託者証明書10と、受益者証明書20とは、必ずしも受託者と受益者のそれぞれが保管しておく必要はなく、例えば民事信託コンサルティング業者等が、受託者証明書10及び受益者証明書20のセットを保管していてもよい。これにより受託者、受益者等による受託者証明書10及び受益者証明書20との紛失等のリスクを回避することができる。さらに、受託者証明書10及び受益者証明書20セットは、分離した2つの表示物であるため、コンサルティング業者等が受託者、受益者等から各人の役割等についての問い合わせがあったときに、分離した各表示物をそれぞれ動かして各人の役割等を説明することができる。これにより受託者、受益者は、権利の帰属関係や信託財産や生じる利益の流れについてイメージし易くなるため、各人の役割等が理解され易くなる。
【0047】
<受託者証明書、受益者証明書及び信託契約書のセット>
受託者証明書10と、受益者証明書20と、信託契約書とをセットとしてもよい。受託者証明書10、受益者証明書20及び信託契約書をまとめて保管しておくことにより、受託者証明書10及び受益者証明書20に記載していない内容を信託契約書で確認することができる。信託契約書は原本である必要はなく、信託契約書の写しであってもよい。
【0048】
以上が、本実施形態の受託者証明書10及び受益者証明書20についての説明である。
【0049】
≪プログラム及び信託管理システム≫
次に、本実施形態の基本的機能のプログラムPG1及び信託管理システムCSについて
図5、
図6等を参照しながら説明する。
ここで、
図5は、信託管理システムCSの概略図である。
図6は、本実施形態の信託管理システムCSを動作させるための基本機能を実行するプログラムPG1のフロー図(アルゴリズムS10の図)である。
【0050】
信託管理システムCSは、
図5に示されるように、管理サーバー100と、複数のユーザー端末300(各図では代表例としてユーザー端末300A、300B、300Cを表示)と、通信ネットワーク400(一例として、インターネット)と、アプリケーションAPとを備えている。
【0051】
〔管理サーバー〕
管理サーバー100は、信託財産の委託者U1に関する委託者情報、受託者U2に関する受託者情報及び受益者U3に関する受益者情報並びに信託財産の契約内容に関する契約内容情報を含む信託財産情報を、自身が有する記憶部120に記憶して管理する。
また、アプリケーションAPが備えるプログラムPG1は、委託者U1が使用する委託者端末300A、受託者U2が使用する受託者端末300B及び受益者U3が使用する受益者端末300Cとの間で、通信ネットワーク400を介して情報伝達を可能にさせる。
そして、プログラムPG1は、管理サーバー100に、後述する複数の機能を実行させる。
【0052】
〔複数のユーザー端末(委託者端末、受託者端末及び受益者端末)〕
複数のユーザー端末300は、プログラムPG1に基づいて実行されるアプリケーションAPを、各ユーザーである委託者U1、受託者U2、受益者U3…が利用するための情報機器である。当該情報機器とは、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータその他のコンピュータである。ユーザーU1、U2、…とは、アプリを利用するために信託管理システムCSに登録した者である。委託者U1、受託者U2、受益者U3…の登録情報(氏名又は名称、住所、電話番号、メールアドレス等の固有の情報)は、それぞれの登録手続を経て、記憶部120に記憶され管理されている。
【0053】
〔アプリケーション〕
アプリケーションAPは、
図5に示されるように、管理サーバー100の記憶部120に記憶されている。アプリケーションAPは、プログラムPG1と、データファイルDFと、各種ライブラリLBとを含んで構成されている。
アプリケーションAPは、各ユーザー端末300にインストールされて利用可能としてもよく(例えば、スマートフォンアプリ等)、管理サーバー100に保存されてウェブブラウザを介した利用可能としてもよい(例えば、ウェブアプリ等)。
【0054】
次に、本実施形態のプログラムPG1について説明する。プログラムPG1は、一例として、以下の基本的機能を管理サーバー100に実行させる。
ここで、プログラムPG1及びプログラムPG1を備える信託管理システムCSは、それぞれ、後述する基本的機能を実現できる形態であれば、本発明の技術的範囲に含まれる点に留意されたい。別の見方をすると、本発明に含まれる形態は、後述する付加的機能を必須の構成要件として備える必要はない点に留意されたい。
【0055】
〈基本的機能〉
基本的機能とは、受信機能、記憶機能、抽出機能、生成機能、報知機能、及び、送信/閲覧機能である。ここで、
図7は、アプリケーションAPを介して証明書が表示されているユーザー端末300を示す図である。
以下、
図5~
図7を参照しながら説明する。
【0056】
(受信機能)
本機能は、管理サーバー100に、委託者端末300A及び受託者端末300Bで動作するアプリケーションAPを介して委託者端末300A又は受託者端末300Bに入力されて送信された信託財産情報を受信させる機能である(
図6のS100参照)。
本機能を実行する前提としては、委託者U1が委託者端末300A又は受託者U2が受託者端末300Bを使用して各端末の画面に表示されるインターフェイス(アプリケーションAPによるUI)を介して、信託財産に関する情報を入力する(入力機能(図示省略))。
本機能におけるインターフェイスにより、信託財産に関する情報を入力する者は信託契約書の書式が分からなくても、インターフェイスに誘導されて入力ができる。
【0057】
(記憶機能)
本機能は、受信機能により受信させた信託財産情報、信託財産情報が入力されて送信させた端末及びその受信日時を記憶部120に記憶させる機能である(
図6のS200参照)。
【0058】
(抽出機能)
本機能は、記憶機能により記憶部120に記憶させた信託財産情報から、(1)受託者U2を特定する受託者特定情報、(2)受益者U3を特定する受益者特定情報及び(3)信託財産を特定する信託財産特定情報を抽出させる機能である(
図6のS300参照)。
【0059】
(生成機能)
本機能は、抽出機能により抽出された受託者特定情報、受益者特定情報及び信託財産特定情報から、受託者特定情報及び信託財産特定情報を含む受託者証明情報並びに受益者特定情報及び信託財産特定情報を含む受益者証明情報を、それぞれ受信日時が契約日であるとして生成させる機能である(
図6のS400参照)。
【0060】
(報知機能)
本機能は、生成機能により受託者証明情報及び受益者証明情報が生成された後に、その生成処理の完了を、委託者端末300A、受託者端末300B及び受益者端末300Cに報知させる機能である(
図6のS500参照)。
本機能により、信託財産に関する情報を入力した者以外の者にも、入力された信託財産に関する情報を共有される機会が与えられる。
【0061】
(送信/閲覧機能)
本機能は、報知機能により前述の生成処理の完了が報知された後に、アプリケーションAPを介して、委託者端末300A、受託者端末300B又は受益者端末300Cから送信される送信/閲覧リクエストに応じて、受託者証明情報及び受益者証明情報をそれぞれ受信日時が契約日であるとして送信/閲覧リクエストを送信した端末に送信させる又は閲覧可能にさせる機能である(
図6のS600及び
図7参照)。
本機能により、送信/閲覧リクエストをした者は、信託財産に関する情報を確認することができる。
【0062】
以上のとおり、本実施形態は、以下の効果を奏する。すなわち、プログラムPG1によれば、信託契約情報から受託者証明情報(又は受託者証明書)及び受益者証明情報(受益者証明書)に分けて委託者、受託者及び受益者にそれらを提供することができる。また、プログラムPG1によれば、送信/閲覧リクエストを送信した端末を用いて整理された情報を閲覧することができる。
【0063】
以上が、本実施形態のプログラムPG1についての説明である。
【0064】
〈付加的機能〉
次に、付加的機能について説明する。ここで、
図8は、付加的機能(郵送機能)を実行するプログラムPG2のフロー図(アルゴリズムS10Aの図)である。
図9は、付加的機能(修正機能)を実行するプログラムPG3のフロー図(アルゴリズムS10Bの図)である。
図10Aは、付加的機能(金銭信託の場合の出金報知機能)を実行する信託管理システムCScの概略図である。
図10Bは、付加的機能(金銭信託の場合の出金報知機能)を実行するプログラムPG3のフロー図(アルゴリズムS10Cの図)である。
【0065】
(郵送機能)
本機能は、報知機能(
図8のS500を参照)により生成処理の完了(
図8のS400参照)が報知された後に、アプリケーションAP(
図5参照)を介して、委託者端末300A、受託者端末300B及び受益者端末300Cから送信される郵送リクエストに応じて、受託者証明情報及び受益者証明情報を印刷機(図示省略)により印刷して受託者証明書10及び受益者証明書20を作成して、前記郵送リクエストを送信した端末を使用する者U1、U2、U3(
図5参照)の指定した場所(一例としてその者の住所)に受託者証明書及び受益者証明書(
図1~
図4参照)を郵送させる(郵送の手配をさせる)。
ここで、
図8に示されるように、本機能(S700)は、基本機能(
図6参照)を実行した後に実行される。
また、本機能により郵送される受託者証明書10及び受益者証明書20は、それぞれ両面に文字が印刷された1枚の紙(1枚のシート状媒体)であり(
図1~
図4参照)。そして、受託者証明書10は、一方の面(表面10A)に受託者特定情報及び第1情報、他方の面(裏面10B)に第2情報が印刷されている。また、受益者証明書20は、一方の面(表面20A)に受益者特定情報及び第1情報、他方の面(裏面20B)に第2情報が印刷されている。
【0066】
本機能によれば、整理された受託者証明情報(又は受託者証明書)及び受益者証明情報(受益者証明書)が郵送リクエストを送信した端末を使用する者に郵送される。また、本機能によれば、印刷された受託者証明情報(又は受託者証明書)及び受益者証明情報(受益者証明書)が1枚の紙(1枚のシート状媒体)表裏にそれぞれ整理される。
【0067】
(修正機能)
本機能は、(1)報知機能(
図8のS500を参照)により生成処理の完了(
図8のS400参照)が報知された後に、アプリケーションAPを介して、委託者端末300Aから受託者証明情報の修正リクエストがあれば、当該修正リクエストを送信させ(
図8のS810及びS820参照)、(2)次いで、受信機能S100Bでは、受信機能S100に加えて、委託者端末300Aに入力されて送信された前記修正リクエストを受信させ、(3)次いで、生成機能S400Bでは、生成機能S400に加えて、前記修正リクエストに基づいて受益者証明情報を修正させ、(4)次いで、送信/閲覧機能S600Bでは、送信/閲覧機能S600に加えて、受益者証明情報が修正された後に、前記修正リクエストに基づいて修正された受託者証明情報及び受益者証明情報をそれぞれ前記修正リクエストが送信された日時が修正日であるとして、委託者端末300A、受託者端末300B及び受益者端末300Cに送信させる又は閲覧可能にさせる。
なお、上記(1)において、委託者端末300Aから受託者証明情報の修正リクエストがなければ、終了となる。また、本機能は、基本機能(
図6参照)を実行した後に実行される。本機能による修正内容は、第2情報に含まれる。
【0068】
本機能によれば、受託者証明情報(又は受託者証明書)及び受益者証明情報(受益者証明書)に修正内容が反映される。
【0069】
(金銭信託の場合の出金報知機能)
本機能は、信託財産の契約内容に金銭信託が含まれる場合であって預金口座からの出金があったとき(
図10BのS910参照)、(1)管理サーバー100は、受信機能S100に加えて、通信ネットワーク400を介して前記金銭信託の預金口座を管理する預金サーバー100C(
図10A参照)から預金口座の出金情報を受信し(
図10BのS100C参照)、(2)管理サーバー100が預金サーバー100Cから預金口座の出金情報を受信したとき、報知機能S500Cは、報知機能S500に加えて、出金情報を、委託者端末300A、受託者端末300B及び受益者端末300Cに報知させる(
図10B参照)。
この場合、管理サーバー100は、例えば、預金口座を管理する預金サーバー100Cと、アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP:Application Service Provider)を利用して預金口座の出金情報を受信することが可能となっている。
本機能は、基本機能(
図6参照)を実行した後に実行される。本機能による出金情報の内容は、第2情報に含まれる。
【0070】
本機能によれば、信託財産の契約内容に金銭信託が含まれる場合に、預金口座の出金情報が各関係者に共有される。
【0071】
以上が、本実施形態についての説明である。
【0072】
≪変形例≫
以上のとおり、本実施形態について
図1~
図10Bを参照しながら説明したが、本実施形態は本発明の技術的範囲に含まれる形態の一例に過ぎない。本発明の技術的範囲には、例えば、以下に記載する複数の変形例も含まれる。
【0073】
例えば、管理サーバー100は、各機能を実施するにあたり、アプリケーションAPが各端末(委託者端末300A及び受託者端末300Bに接続されカードリーダー(図示省略)にセットされる個人番号カード(マイナンバーカード等の個人認証情報が記録されているカード)の情報が管理サーバー100の記憶部120に予め登録されている委託者又は受託者の登録情報と一致した場合にのみ動作可能となるように設定されていてもよい。
この変形例のようにすれば、セキュリティーが強化される。
【0074】
また、前述の実施形態では、受信機能を実行する前提として、委託者U1が委託者端末300A又は受託者U2が受託者端末300Bを使用して各端末の画面に表示されるインターフェイス(アプリケーションAPによるUI)を介して、信託財産に関する情報を入力する(入力機能)とした。しかしながら、この入力機能では、例えば、媒体に記載した契約内容を電子データ化したもの(スキャナーでスキャンしてOCR処理したもの)を用いて行ってもよい。また、インターフェイスが音声による問い合わせをして入力者が音声により入力できるようにしてもよい。
【0075】
また、前述の実施形態では、管理サーバー100と、複数のユーザー端末300A、300B、300Cとを通信ネットワーク400で通信可能にしたシステムであるとして説明した(
図5参照)。しかしながら、例えば、ブロックチェーン技術を利用するシステムとして、入力者以外のユーザーが契約内容に対して電子証明書の発行を可能としてもよい。さらに、この電子証明書に非代替性トークン(NFT:Non-Fungible Token)を取得させてもよい。
【0076】
また、修正機能(
図8参照)により、複数回、証明書(受託者証明書10及び受益者証明書20)が発行されることになる。そこで、本実施形態及び本変形例の信託管理システムCS、CScをブロックチェーン技術を上記の変形例のように利用するシステムに変更して、複数回発行される証明書に対して非代替性トークンを発行してもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 受託者証明書
10A 表面
10B 裏面
11 受託者表示部
12 信託財産表示部
13 受託者証標題部
14 受託者証明部
20 受益者証明書
20A 表面
21 受益者表示部
22 信託財産表示部
23 受益者証標題部
24 受益者証明部
100 管理サーバー
100C 預金サーバー
120 記憶部
300 ユーザー端末
300A 委託者端末
300B 受託者端末
300C 受益者端末
400 通信ネットワーク
AP アプリケーション
CS 信託管理システム
CSc 信託管理システム
DF データファイル
LB 各種ライブラリ
PG1 プログラム
PG2 プログラム
PG3 プログラム
PG4 プログラム
S10 アルゴリズム
S100 受信機能
S100B 受信機能
S10A アルゴリズム
S10B アルゴリズム
S10C アルゴリズム
S400 生成機能
S400B 生成機能
S500 報知機能
S500C 報知機能
S600 送信/閲覧機能
S600B 送信/閲覧機能
U1 委託者、ユーザー
U2 受託者、ユーザー
U3 受益者、ユーザー
【手続補正書】
【提出日】2023-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信託財産の委託者に関する委託者情報、受託者に関する受託者情報及び受益者に関する受益者情報並びに前記信託財産の契約内容に関する契約内容情報を含む信託財産情報を、自身が有する記憶部に記憶して管理する管理サーバーと、前記委託者が使用する委託者端末、前記受託者が使用する受託者端末及び前記受益者が使用する受益者端末の少なくとも一の端末との間で、通信ネットワークを介して情報伝達を可能にさせるプログラムであって、
前記管理サーバーに、
前記委託者端末及び前記受託者端末で動作するアプリケーションを介して前記委託者端末又は前記受託者端末に入力されて送信された前記信託財産情報を受信させる受信機能と、
前記受信機能により受信させた前記信託財産情報、前記信託財産情報が入力されて送信させた端末及びその受信日時を前記記憶部に記憶させる記憶機能と、
前記記憶機能により前記記憶部に記憶させた前記信託財産情報から、前記受託者を特定する受託者特定情報、前記受益者を特定する受益者特定情報及び前記信託財産を特定する信託財産特定情報を抽出させる抽出機能と、
前記抽出機能により抽出された前記受託者特定情報、前記受益者特定情報及び前記信託財産特定情報から、前記受託者特定情報及び前記信託財産特定情報を含む受託者証明情報並びに前記受益者特定情報及び前記信託財産特定情報を含む受益者証明情報を、それぞれ前記受信日時が契約日であるとして生成させる生成機能と、
前記生成機能により前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報が生成された後に、その生成処理の完了を、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末に報知させる報知機能と、
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末、前記受託者端末又は前記受益者端末から送信される送信/閲覧リクエストに応じて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報をそれぞれ前記受信日時が契約日であるとして前記送信/閲覧リクエストを送信した端末に送信させる又は閲覧可能にさせる送信/閲覧機能と、
を実行させる、
プログラム。
【請求項2】
前記信託財産特定情報は、信託財産の対象に関する第1情報と、当該対象以外に関する第2情報とで構成され、
前記生成機能は、前記信託財産特定情報を、前記第1情報と前記第2情報とに分けて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を生成させ、
前記送信/閲覧機能は、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を、それぞれ、前記受託者特定情報、前記第1情報及び前記第2情報並びに前記受益者特定情報、前記第1情報及び前記第2情報に分けて、前記送信/閲覧リクエストを送信した端末に送信させる又は閲覧可能にさせる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
さらに、前記管理サーバーに、
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末から送信される郵送リクエストに応じて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を印刷機により印刷して受託者証明書及び受益者証明書を作成して、前記郵送リクエストを送信した端末を使用する者の指定した場所に前記受託者証明書及び前記受益者証明書を郵送させる郵送機能、
を実行させる、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
さらに、前記管理サーバーに、
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末から送信される郵送リクエストに応じて、前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報を印刷機により印刷して受託者証明書及び受益者証明書を作成して、前記郵送リクエストを送信した端末を使用する者の指定した場所に前記受託者証明書及び前記受益者証明書を郵送させる郵送機能、
を実行させる、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記報知機能により前記完了が報知された後に、前記アプリケーションを介して、前記委託者端末から前記受託者証明情報の修正リクエストを送信可能とされ、
前記受信機能では、前記委託者端末に入力されて送信された前記修正リクエストを受信させ、
前記生成機能では、前記修正リクエストに基づいて前記受益者証明情報を修正させ、
前記送信/閲覧機能では、前記受益者証明情報が修正された後に、前記修正リクエストに基づいて修正された前記受託者証明情報及び前記受益者証明情報をそれぞれ前記修正リクエストが送信された日時が修正日であるとして、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末に送信させる又は閲覧可能にさせる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記受託者証明書及び前記受益者証明書は、それぞれ両面に文字が印刷された1枚の紙であり、
前記受託者証明書は、一方の面に前記受託者特定情報及び前記第1情報、他方の面に前記第2情報が印刷されており、
前記受益者証明書は、一方の面に前記受益者特定情報及び前記第1情報、他方の面に前記第2情報が印刷されている、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項7】
前記信託財産の契約内容に金銭信託が含まれる場合、前記管理サーバーは、前記通信ネットワークを介して前記金銭信託の預金口座を管理する預金サーバーから預金口座の出金情報を受信可能とされ、
前記管理サーバーが前記預金サーバーから前記預金口座の出金情報を受信したとき、
前記報知機能は、前記出金情報を、前記委託者端末、前記受託者端末及び前記受益者端末に報知させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記アプリケーションは、前記委託者端末及び前記受託者端末に接続されカードリーダーにセットされる個人番号カードの情報が委託者又は受託者の登録情報と一致した場合にのみ動作可能となるように設定されている、
請求項1~7のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
信託財産の委託者に関する委託者情報、受託者に関する受託者情報及び受益者に関する受益者情報並びに前記信託財産の契約内容に関する契約内容情報を含む信託財産情報を自身が有する記憶部に記憶して管理するとともに通信ネットワークに接続されている管理サーバーと、
前記管理サーバーに利用可能であり、前記管理サーバーと、前記委託者が使用する委託者端末、前記受託者が使用する受託者端末及び前記受益者が使用する受益者端末の少なくとも一の端末との間で、前記通信ネットワークを介して情報伝達を可能にさせるプログラムであって、請求項1~7のいずれか一項に記載のプログラムと、
を備える、
信託管理システム。