(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176985
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20241212BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095918
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】521432801
【氏名又は名称】一途株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003672
【氏名又は名称】弁理士法人Intgrow Lounge
(74)【代理人】
【識別番号】100185878
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 晋一
(72)【発明者】
【氏名】沓川 一途
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】実際の株式取引にユーザの主観や嗜好、属性といった株価以外の要素が銘柄選択に影響を与えた場合でも、より高い精度で企業知名度や株式取引行動を予測する情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置2は、ユーザの株式取引履歴及びユーザの属性情報を記憶する記憶部22と、記憶部22に記憶された株式取引履歴及び属性情報を用いて、ユーザの企業に対する興味を示す指標を生成する生成部212と、生成部212により生成された指標を用いて、企業知名度又はユーザの株式取引行動を予測する予測部213と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの株式取引履歴及び前記ユーザの属性情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記株式取引履歴及び前記属性情報を用いて、前記ユーザの企業に対する興味を示す指標を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記指標を用いて、企業知名度又は前記ユーザの株式取引行動を予測する予測部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記株式取引履歴は、仮想的な株式取引における履歴である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
株式取引は複数の前記ユーザにより行われており、
前記生成部は、他の企業より多くの前記ユーザに株式取引がされている企業の企業知名度を、より高くなるように補正する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測部は、前記指標を用いて前記企業に対して相対的に興味の高い前記ユーザを抽出し、前記企業に対して、当該ユーザに関する情報を送信する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザにより生成された記事を含む前記企業に関する情報をインターネット上に公開する公開部をさらに有し、
前記生成部は、前記記憶部に記憶された前記株式取引履歴及び前記属性情報、並びに、前記記事を用いて、前記記事を作成した前記ユーザの前記企業に対する興味を示す指標を生成する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記公開部は、前記企業に関する情報の公開前に、前記企業に対して公開可否の問い合わせを行い、前記企業により許可された情報を公開する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記公開部は、前記企業又は第三者が作成した前記企業に関する情報を追加して、前記企業に関する情報を公開する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置の備える制御部により実行される情報処理方法であって、
ユーザの株式取引履歴及び前記ユーザの属性情報を記憶し、
前記記憶された前記株式取引履歴及び前記属性情報を用いて、前記ユーザの企業に対する興味を示す指標を生成し、
前記生成された前記指標を用いて、企業知名度又は前記ユーザの株式取引行動を予測する、情報処理方法。
【請求項9】
ユーザの株式取引履歴及び前記ユーザの属性情報を記憶し、
前記記憶された前記株式取引履歴及び前記属性情報を用いて、前記ユーザの企業に対する興味を示す指標を生成し、
前記生成された前記指標を用いて、企業知名度又は前記ユーザの株式取引行動を予測する処理を制御部に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から過去の株価変動幅を用いて株価を予測する株価予測装置が知られており、例えば、特許文献1には、予測プログラムの実行により、期日を基準として制度信用取引決済期限だけさかのぼった約定日から期日までの各日付の制度信用取引残高数を用いて、期日の翌日以降の各予測対象日付の予測信用取引残高数を算出し、算出した各予測対象日の予測信用取引残高数と対応する制度信用取引残高数の日付の実績株価終値に基づき、予測対象日付の予測株価終値を算出する株価予測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、制度信用取引残高数と、この予測信用取引残高数に関連性を有する株価変動幅とを組み込んだ株価予測が行われているが、このような株価予測方法は、株式取引に不慣れな者にとっては難解である。このため、実際の株式取引ではユーザの主観や嗜好、属性といった株価以外の要素が銘柄選択に影響を与えるケースも多く、特に株式取引に不慣れな者ほどこの傾向が大きい。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、株式取引における指標をユーザの主観により生成し、当該指標を用いて企業知名度やユーザの株式取引行動を予測する情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、ユーザの株式取引履歴及びユーザの属性情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された株式取引履歴及び属性情報を用いて、ユーザの企業に対する興味を示す指標を生成する生成部と、生成部により生成された指標を用いて、企業知名度又はユーザの株式取引行動を予測する予測部と、を備える。
【0007】
本発明の情報処理方法は、情報処理装置の備える制御部により実行される。この情報処理方法では、ユーザの株式取引履歴及びユーザの属性情報を記憶し、記憶された株式取引履歴及び属性情報を用いて、ユーザの企業に対する興味を示す指標を生成し、生成された指標を用いて、企業知名度又はユーザの株式取引行動を予測する。
【0008】
本発明の情報処理プログラムは、ユーザの株式取引履歴及びユーザの属性情報を記憶し、記憶された株式取引履歴及び属性情報を用いて、ユーザの企業に対する興味を示す指標を生成し、生成された指標を用いて、企業知名度又はユーザの株式取引行動を予測する処理を制御部に実行させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムによれば、株式取引における指標をユーザの主観により生成し、当該指標を用いて企業知名度やユーザの株式取引行動を予測する。その結果、実際の株式取引にユーザの主観や嗜好、属性といった株価以外の要素が銘柄選択に影響を与えた場合でも、より高い精度で企業知名度や株式取引行動を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】ユーザ端末によって行われる仮想的な株式売買の処理を示す図である。
【
図5】企業の知名度、及びユーザの株式取引行動の予測処理を示すフローチャートである。
【
図6】ユーザの情報を企業の管理する管理装置へと送信する処理を示す図である。
【
図7】ユーザによる記事を含む企業の情報を公開する処理を示す図である。
【
図9】連携している他社のウェブサイトを更新する処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述する。以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例0012】
図1は、情報処理システムの概略構成図である。情報処理システム10は、ユーザ端末1と、情報処理装置2と、情報配信装置3と、管理装置4とを含み、これらの構成はインターネット5を介して相互に通信可能に構成されている。
【0013】
ユーザ端末1は、パソコンやスマートフォン等の情報通信機器であって、仮想的な株式取引を行うユーザによって操作されている。ユーザ端末1は、インターネット5に接続されており、情報処理装置2を含む他の構成とインターネット5を介して通信可能である。ユーザ端末1は、主に情報処理装置2と通信を行い、ユーザの操作に応じたデータを情報処理装置2に送信するとともに、表示や通知に関する所定のデータを情報処理装置2から受信する。
【0014】
ユーザは任意の個人であるが、情報処理装置2で仮想的な株式売買が行われるため、実際の株式売買が行われる場合よりも学生を含む幅広い種類の個人である。また、ユーザの事前登録が可能であってもよく、ユーザが学生である場合には、ユーザ端末1から情報処理装置2に対して、ユーザの性別や所属大学等の自身の属性情報とともに学生証などの確認書類の電子的な写しが予め送信される。
【0015】
情報処理装置2は、ユーザ端末1からユーザの操作に起因する制御を受け付けると、その制御に応じた動作を行う装置である。情報処理装置2は、ユーザに対して仮想的な株式取引を実行させる。さらに、情報処理装置2は、仮想的な株式取引情報を用いてユーザの個人属性に応じた分析を行い、ユーザの企業に対する興味を示す興味指数を算出する。情報処理装置2は、算出した興味指数を用いて、個々のユーザの株式取引行動、又は、ユーザにおける個々の企業の知名度を予測する。
【0016】
情報処理装置2は、これらのサービスに加えて、ユーザが調査等を行って作成した企業に関する記事を含む個々の企業の情報をインターネット5上で公開してもよい。ユーザにより作成された記事は、ユーザの興味指数の算出に用いてもよい。さらに、情報処理装置2は、興味指数を用いて個々の企業への高い興味を示すユーザを抽出し、抽出したユーザの情報をその企業に対して提供するサービスを行ってもよい。
【0017】
情報配信装置3は、例えば、ニュース情報を提供するサーバであって、一般に公開されている種々の情報を配信可能な装置である。情報配信装置3は、例えば、市場における株式の現在値や企業に関する情報を、情報処理装置2を含む任意の機器に対して配信可能に構成されている。企業に関する情報は、例えば、企業の過去の株価等の情報に限らず、環境に対する取り組み等の種々の情報が含まれる。
【0018】
図2は、情報処理装置2のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置2は、全体を制御するCPU(Central Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)により構成される制御部21と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び/又はハードディスク等により構成され、プログラムや各種のデータ等を記憶する記憶部22と、インターネット5を介して通信を行う通信部23と、ディスプレイ等の情報表示デバイスに対してデータに応じた表示を行う表示部24と、キーボード等の操作機器からの入力を受け付ける入力部25と、を備える。
【0019】
制御部21、記憶部22、通信部23、表示部24、及び入力部25は、相互接続により互いに情報処理装置2内で通信可能に構成されている。なお、情報処理装置2は、記憶部22に記録されているプログラムを実行することにより所定の処理を実行可能に構成されている。この図に示される情報処理装置2のハードウェア構成は一例であって、記憶されているプログラムに沿って動作することで所定の処理を実行可能に構成されていればよい。
【0020】
制御部21は、プログラムを実行することで種々の処理を実行可能であるため、これらの処理を実行する物理的及び論理的な処理ブロックを備える。詳細には、制御部21は、株式の仮想売買を実行する売買部211と、ユーザの企業に対する興味を示す興味指標を生成する生成部212と、生成部212により生成された興味指標を用いて企業知名度又はユーザの株式取引行動を予測する予測部213と、個々の企業に関する情報をインターネット5上に公開する公開部214とを備える。売買部211、生成部212、予測部213、及び公開部214の処理の詳細については、後述する。
【0021】
記憶部22は、任意の情報を記録可能に構成されており、制御部21により実行されるプログラムに加えて、ユーザ毎に設けられた仮想的な株式の売買履歴や、企業毎に生成されて一般に公開される企業レポート等の任意の情報が記録される。
【0022】
図3は、ユーザ端末1によって行われる仮想的な株式売買の処理を示す図である。株式の仮想売買とは、証券市場において実際に株式を売買するのではなく、情報処理装置2内において仮想的に株式の買い付け及び売り付けが記録される。
図3においては、ステップS301において、ユーザ登録処理が、ステップS311~S313において、仮想的な株式の買い注文処理が、ステップS321~S323において、仮想的な株式の売り注文処理が示されている。
【0023】
ステップS301において、ユーザ端末1は、情報処理装置2に対してユーザの操作に応じてユーザの初期登録を行う。ユーザ登録においては、ユーザの年齢、性別や所属先(通学先、通勤先)等のユーザの属性情報が用いられる。ユーザ端末1から情報処理装置2に対してこれらの属性情報が送信されると、情報処理装置2においてユーザ登録が完了する。なお、ユーザ端末1から、学生証等の属性情報の確認書類のデータを情報処理装置2に送信してもよい。ユーザの登録が完了すると、情報処理装置2からユーザ端末1に対して、情報処理装置2の提供するサービスの利用時にユーザが情報処理装置2にログインするための情報(ログインID及びパスワード)が発行される。なお、属性情報には、投資経験や研修受講歴、保有資格から推測する投資に関する知識の有無等も含まれ、当該属性情報がユーザ端末1又はユーザ端末1以外の端末、装置から追加登録できる構成としても良い。
【0024】
以降、ユーザ端末1を操作するユーザは、これらのログイン情報を用いて情報処理装置2にログインし、情報処理装置2の提供するサービスを実行できる。なお、ユーザが初期登録を完了した段階においては、ユーザに対して仮想的な株式の買い注文に利用可能な資金が所定額利用可能な状態となる。また、このようなユーザ登録は、後述のように、管理装置4を管理する企業側に対して行われてもよい。
【0025】
ステップS311において、ユーザが買い注文の対象の企業と注文株式数を指定するようなユーザ端末1の操作を行うと、仮想的な株式の買い注文が情報処理装置2に対して指示される。
【0026】
ステップS312において、情報処理装置2(売買部211)は、情報配信装置3からユーザ端末1からの買い注文の指示に含まれる企業の現在の株価を取得する。情報配信装置3は、市場で売買されている企業の株式の現在の売値及び買値を配信しており、情報処理装置2はユーザに指定された企業の買値を取得する。
【0027】
ステップS313において、情報処理装置2(売買部211)は、ステップS311においてユーザ端末1から受信した仮想的な買い注文の指示に含まれる情報に基づいて、所定の企業の株価を所定数だけ仮想的に買い付けを行う。同時に、情報処理装置2は、記録されているユーザの所有する仮想的な資金について、仮想的な買い付けに必要な金額を減じる。このようにして、情報処理装置2は、ユーザの資金を更新するとともに、ユーザがある企業の株式を所定数だけ仮想的に取得したことを記録する。
【0028】
ステップS321において、ユーザが売り注文の対象の企業の名称と注文株式数を指定するようなユーザ端末1の操作を行うと、仮想的な株式の売り注文が情報処理装置2に対して指示される。ステップS311~S313の処理を経て仮想的に買い付けられた企業の株式が仮想的な売り注文の対象となり、仮想的に所有する株式の全部又は一部についての売り注文が出される。
【0029】
ステップS322において、情報処理装置2(売買部211)は、情報配信装置3との間の通信を行うことで、ユーザ端末1からの売り注文の指示に含まれる企業の株式の現在の売値を取得する。
【0030】
ステップS323において、情報処理装置2(売買部211)は、ステップS321においてユーザ端末1から受信した仮想的な売り注文の指示に含まれる情報に基づいて、所定の企業の株価を所定数だけ仮想的に売り付けを行う。同時に、情報処理装置2は、記録されているユーザの所有する仮想的な資金について、仮想的な売り付けにより得られる金額を増加させる。このようにして、情報処理装置2は、ユーザの資金を更新するとともに、ユーザがある企業の株式を所定数だけ仮想的に売却したことを記録する。
【0031】
図4は、情報処理装置2の記憶部22において記録される仮想的な株式の売買の記録を示す図である。この図に示されるように、情報処理装置2には、ユーザ毎(図示の例では、田中一郎と鈴木花子)に仮想的な株式の売買記録が生成される。また、ユーザの氏名とあわせて、ユーザの属性情報(性別、所属、居所)が記録される。これらの属性情報は一例であって、他の情報が属性情報として用いられてもよい。
【0032】
仮想的な株式の売買記録には、ユーザが行った仮想的な株式の買い注文/売り注文が記録される。買い注文/売り注文情報には、買い注文/売り注文処理の実行時間、及び買値/売値に加えて、売買の収益率(売値/買値)が計算されて記録される。図示の例では、田中一郎の△△株式会社の仮想取引は、仮想的な買い注文はされているが、売り注文がされていないため、売り注文情報と収益率が空欄となっている。
【0033】
情報処理装置2は、このような仮想的な株式取引に関する情報を記録しており、この情報を利用してユーザの企業に対する興味指数の生成と、生成した興味指数を用いた種々のサービスを提供する。
【0034】
図5は、情報処理装置2によって行われる企業の知名度、及びユーザの株式取引行動の予測処理を示す図である。
【0035】
ステップS501において、情報処理装置2(生成部212)は、記憶部22に記憶されている仮想的な株式取引の情報を取得する。取得される仮想的な株式の取引情報は、
図4に示した例のように、ユーザ毎に記録された取引履歴である。
【0036】
ステップS502において、情報処理装置2(生成部212)は、ステップS501で取得した仮想的な株式取引の情報を用いて、これらの取引が集中している企業を抽出する。例えば、各地の証券取引所には多くの企業が上場しているが、特にユーザが学生主体である場合、仮想的な株式取引される会社は偏りがあり、消費者向けの商品を扱う会社が多い。そこで、本ステップにおいては、複数のユーザの仮想的な株式取引が集中する企業を抽出する。
【0037】
ステップS503において、情報処理装置2(生成部212)は、さらに、ステップS502で抽出した企業について、仮想的な売買を行うユーザに共通する属性情報(性別、所属、居所等)を抽出し、これらの属性情報に応じた企業への興味の大きさを求める。
【0038】
ステップS504において、情報処理装置2(生成部212)は、ステップS502、S503で取得した結果を用いて、ユーザ毎に、属性情報に応じて各企業への興味を示す指標(興味指標)を生成する。詳細には、ユーザの属性情報と興味指標とを対応付けて、任意のユーザの興味指標をその属性情報に基づいて算出する。なお、興味指標と対応付けを行う際に、属性情報を個々に対応付けてもよいし、属性情報の組み合わせを対応付けてもよい。
【0039】
例えば、男性で中部地区に居住するユーザは、中部地区に本社が存在する企業に対して興味指標が高くなる傾向であるものとする。このような場合には、情報処理装置2は、ステップS502において、取引が集中した中部企業の企業を抽出し、ステップS503の属性の解析において、男性、及び、中部地区在住という属性情報が、中部企業の企業への興味指数と高い相関があることを導き出す。その結果、他のユーザについて、そのユーザの属性情報が男性で中部地区在住という属性情報と強い相関があれば、中部地方の企業への高い興味指数が生成される。この相関については、男性と中部地区在住という2つの属性情報について、個々に興味指数と関連付けてもよいし、組み合わせとして興味指数と関連付けてもよい。
【0040】
ステップS505において、情報処理装置2(予測部213)は、ステップS502~S504の処理で得られた各ユーザの各企業に対する興味指標を用いて、全ユーザにおける任意の企業に対する知名度を算出する。例えば、ある企業に対する全ユーザの興味指標の平均が、その企業の知名度の予測値となる。その結果、他の企業よりも多くの取引がされている企業の知名度が高くなる。なお、企業知名度の予測値は、ステップ503により抽出された属性情報に、当該属性を持つ国民の全国民に占める割合を乗じて算出してもよい。この結果、全ユーザ(母集団)の属性に偏りがある場合でもより適切な予測値を得ることができる。
【0041】
ステップS506において、情報処理装置2(予測部213)は、ステップS502~S504の処理で得られた各ユーザの各企業に対する興味指標を用いて、全てのユーザの個々の企業への興味の強度を求め、その興味の強度に応じて株式取引行動を予測する。例えば、ユーザの属性情報に応じた興味指標の高い企業が、そのユーザの株式取引行動の対象となると予測する。
【0042】
また、ステップ501において取得された当該ユーザの仮想取引情報と、ステップ506において興味の強度に応じて予測された株式取引行動との差分を算出する構成としてもよい。この結果、当該差分から、当該ユーザ固有の株式取引行動、すなわち投資戦略を把握することができる。学生等のユーザが仮想取引において自由かつ柔軟に組み立てた投資戦略情報を証券会社等に提供することにより、証券会社等は自社の投資戦略立案や人材採用活動に役立てることができる。
【0043】
このように、情報処理装置2によれば、生成部212は、株式取引における指標をユーザの主観により生成し、予測部213は、生成部212により生成された指標を用いて、企業知名度やユーザの株式取引行動を予測する。その結果、実際の株式取引にユーザの主観や嗜好、属性といった株価以外の要素が銘柄選択に影響を与えた場合でも、より高い精度で企業知名度や株式取引行動を予測することができる。
【0044】
ここで、発明者らは、仮想的な株式売買のデータを用いることにより、実際の売買のデータを用いる場合よりも、ユーザの属性情報に応じて、企業に対する興味指標をより高い精度で生成できることを見出した。そのため、生成した興味指数はステップS506で示した株式取引行動に限らず、ステップS505で示した企業知名度の提供を含む種々のサービスに応用することができる。その結果、本実施形態の情報処理装置2は、より高い精度で幅広いサービスを提供することが可能となる。
【0045】
このようにして、情報処理装置2は、生成部212によってユーザの株式取引履歴及び属性情報を用いて、ユーザの企業に対する興味指標を生成し(S502~S504)、予測部213によって、興味指標を用いた企業の知名度(S505)、及びユーザの株式取引行動(S506)を予測することができる。なお、上記の説明では、ステップS505及びS506の処理は、両者が行われたが、少なくとも一方の処理が実行されればよいし、興味指標を用いた他の処理が実行されてもよい。
【0046】
ここで、情報処理装置2は、興味指標を用いて、
図5に示したユーザの株式取引行動及び企業の知名度を予測するだけでなく、企業に対してその企業の興味指標の高いユーザの情報を提供するユーザ情報の提供サービス(
図6)、ユーザによる作成記事を含む企業情報を提供する企業情報の提供サービス(
図7、8)、及び企業に対して情報処理装置2と連携するウェブサイトにおける企業情報の変更を一括で実行させる情報変更サービス(
図9)も提供することができる。以下では、これらのサービスについて説明する。
【0047】
図6は、情報処理装置2により行われる、ユーザ端末1のユーザの情報を企業の管理する管理装置4へと送信する処理を示す図である。情報処理装置2は、
図5のステップS504で示したように、属性情報に基づいてユーザの企業に対する興味指標を作成している。そこで、この図の処理では、情報処理装置2は、興味指数に基づいて、特定の企業への興味の高いユーザの情報を抽出し、抽出したユーザの情報をその企業に送信する。ある企業への興味指標の高いユーザのデータは、その企業の人材採用活動やマーケティング戦略立案に用いることができる。このような処理の詳細は以下のとおりである。
【0048】
ステップS601において、ユーザ端末1は、ユーザの操作に応じて、ユーザの個人情報(連絡先等)の企業への配信許可を、情報処理装置2に対して送信する。なお、この配信許可は、企業毎、企業の業種毎、及び企業の本社所在地毎等の任意の方法で設定可能である。
【0049】
ステップS602において、情報処理装置2(予測部213)は、企業毎に、ステップS601において個人情報の配信許可となっているユーザの一覧を生成する。
【0050】
ステップS603において、管理装置4は、情報処理装置2に対して、その管理装置4の操作者の所属している企業に興味のあるユーザの個人情報の配信要求を送信する。
【0051】
ステップS604において、情報処理装置2(予測部213)は、ステップS603において配信要求を送信した企業に対して興味指標の高いユーザを抽出する。このようにすることで、ステップS603の要求元である企業に興味の高いユーザが抽出される。
【0052】
ステップS605において、情報処理装置2(予測部213)は、配信許可のユーザの中から、その企業に興味のあるユーザの個人情報を管理装置4に配信する。このようにすることで、管理装置4の操作者の所属する企業は、自社に興味のあるユーザ(主に学生)の情報を取得できるので、これらの情報を採用活動等に活用することができる。
【0053】
図7は、ユーザによる記事を含む企業の情報をウェブページに公開する処理を示す図である。
図8は、公開されるウェブページの一例を示す図である。情報処理装置2は、これらの図に示すように、ユーザにより生成された記事を含む特定の企業の情報を示すウェブページをインターネット5上に公開する機能を備える。
図7、8の処理は、主に、制御部21内の公開部214により行われる。このような処理の詳細は以下のとおりである。
【0054】
ステップS701において、情報処理装置2(公開部214)は、知名度に基づいて抽出した企業について、興味指標を用いて選別したユーザに対して記事の作成を依頼するような通知を、ユーザ端末1に送信する。
【0055】
例えば、情報処理装置2は、知名度が低い企業を抽出し、その企業に対しての興味指標が相対的に高いユーザに対して記事の作成を依頼する。他の例として、情報処理装置2は、ある企業についての興味指標が低いが、同業種や本社所在地が近い他企業への興味指標の高いユーザに対して、その企業の記事の作成を依頼してもよい。さらなる他の例として、全てのユーザについて仮想売買の対象とならなかった企業がある場合には、情報処理装置2は、そのような企業の記事作成の依頼を任意のユーザに対して送信してもよい。このようにすることで、ユーザは知名度の低い企業についての研究の場を得られ、企業はユーザによる知名度を獲得できる可能性があるため、双方にメリットがある。
【0056】
ステップS702において、ユーザ端末1は、ユーザの操作に応じて記事を生成する。詳細には、ユーザは、ステップS701において通知された企業に対して調査や取材を行って記事を作成する。なお、ユーザが企業の取材を行う場合には、ユーザ端末1が情報処理装置2を介して管理装置4と通信することにより、取材日時の調整等のユーザと企業との間でのやりとりが行われてもよい。
【0057】
ステップS703において、ユーザ端末1は、ステップS702で生成された記事を公開するために、記事のデータを含む記事登録要求を情報処理装置2に送信する。
【0058】
ステップS704において、情報処理装置2(公開部214)は、ユーザ端末1から特定の企業についての記事の登録を受け付けると、その企業に対する一般情報を付与する。付与される一般情報は、例えば、情報配信装置3から取得される。一般情報は、例えば、企業の株価の推移や、環境に対する評価等が含まれる。
【0059】
ステップS705において、情報処理装置2(公開部214)は、記事の対象となる企業が管理する管理装置4に対して、ステップS703、S704を経て生成された記事の公開の可否の問い合わせを行う。
【0060】
ステップS706において、管理装置4は、企業側の担当者からの操作に応じて、記事の追加、変更等の要求を情報処理装置2に対して行う。なお、管理装置4は、任意のタイミングで情報処理装置2にアクセスして、記事の追加、変更を行えるものとする。
【0061】
ステップS707において、管理装置4は、情報処理装置2に対して、企業側の担当者による操作に応じて、自社の記事の公開を要求する。
【0062】
ステップS708において、情報処理装置2(公開部214)は、管理装置4からの公開要求に応じて、ユーザにより作成された記事を含み(S702)、情報処理装置2により一般情報が付与され(S704)、企業により修正、追加された(S706)、企業の情報をインターネット5上に公開する。
【0063】
図8は、ウェブページで公開される記事の一例を示す図である。この図によれば、公開される企業の情報には、ユーザにより取材された記事であって、主にステップS702で生成される第1領域801と、環境への取り組みや株価を含む企業に関する一般的な情報であって、主にステップS704で生成される第2領域802と、企業側から発信する情報(図示の例では、企業からのスペシャルメッセージ)であって、主にステップS707で生成される第3領域803が含まれる。
【0064】
さらに、情報処理装置2にログインしているユーザには、最後の箇所に、ユーザに対して操作を促す表示を行う第4領域804が示される。この図の例では、第4領域804には、株式の仮想的な購入を促す操作を受け付ける表示と、企業への採用を受け付ける表示が示されている。企業への応募の表示は、企業への個人情報の配信の許諾であってもよい。第4領域804は、情報処理装置2にユーザとしてログインしていない場合には表示されない。
【0065】
さらに、
図9に示すように、情報処理装置2は、他社のウェブサイトと連携しており、管理装置4から操作に応じて、任意のタイミングで記事の追加・変更を受け付けるとともに、これらの記事を連携先のウェブサイトに反映することができる。
【0066】
情報処理装置2は、企業情報を公開している他のウェブサイトと連携をしているものとする。そして、情報処理装置2は、管理装置4から記事の追加、変更の要求を受け付け(S706)、管理装置4から記事の公開要求を受け付け(S707)た後に、ステップS901において、管理装置4は、情報処理装置2を介して、情報処理装置2により公開されるウェブページだけでなく、情報処理装置2の提携先の他社のウェブサイトにおいても同様に記事の追加、変更が一括でなされるように要求する。
【0067】
その結果、まず、当該修正、追加された記事が情報処理装置2により公開される(S708)。その後、ステップS902において、情報処理装置2は、他社のウェブサイトに対して記事の追加、変更を要求する。当該要求における追加、変更の内容は、ステップS706において管理装置4にから送信された内容と同等である。
【0068】
ステップS903において、他社のウェブサイトは当該要求に応じて記事を追加、変更し、ステップS904において、追加、変更された記事が含まれたウェブページを公開する。このようにすることで、管理装置4を操作する企業の担当者は、複数のウェブサイトの更新を情報処理装置2に対する操作のみで行うことができる。
【0069】
なお、ユーザの企業に対する興味指標は、仮想的な株式取引の情報に基づいて生成されたが、現実の株式取引の情報に基づいて生成されても良い。さらに、ユーザが生成する記事に基づいて生成されてもよい。さらに、興味指標は、予めユーザが回答したアンケート結果等に基づいて、生成することもできる。
【0070】
このように、本実施形態の情報処理装置2によれば、生成部212は、株式取引履歴及び属性情報を用いて、ユーザの企業に対する興味を示す指標を生成し、予測部213は、生成部212により生成された指標を用いて、企業知名度又は前記ユーザの株式取引行動を予測する。その結果、実際の株式取引にユーザの主観や嗜好、属性といった株価以外の要素が銘柄選択に影響を与えた場合でも、より高い精度で企業知名度や株式取引行動を予測することができる。
【0071】
本実施形態の情報処理装置2によれば、興味指標の生成に用いられる仮想的な株式売買履歴は、実際の株式売買履歴よりもユーザにとって利用の同意を取りやすく、かつ、仮想的な取引のため売買の検討時間がより短くなるため、より多くのデータを取得できる。さらに、実際に株式取得を行うことが難しい学生等をユーザに取り込むことができるため、より多くの属性情報を取得できる。その結果、興味指標と属性情報との対応付けを、より多くのユーザのデータを利用して生成することができるので、より高い精度で、より幅広いサービスの提供、すなわち、ユーザの株式取引行動や企業知名度の予測に活用することができる。
【0072】
本実施形態の情報処理装置2によれば、生成部212は、株式取引において、他の企業より多くのユーザに取引されている企業の知名度を、より高くなるように補正する。上述のように仮想的な株式売買履歴を用いることで、データの利用の同意を得やすく、かつ、多種の属性情報を有するユーザのデータを利用することができる。その結果、より高い精度で、金融分野の株式行動の予測に限らず、企業知名度の予測を含む、より幅広いサービスの提供が可能となる。
【0073】
本実施形態の情報処理装置2によれば、公開部214は、興味指標を用いて企業に対して相対的に興味の高いユーザを抽出し、その企業に対して、当該ユーザに関する情報を送信する。このようにすることで、企業は、自社に興味のあるユーザ(主に学生)の情報を取得できるので、これらの情報を採用活動等に活用することができる。
【0074】
本実施形態の情報処理装置2によれば、公開部214は、ユーザにより生成された記事を含む企業に関する情報をインターネット5上に公開する。公開部214は、例えば、企業知名度が低いと予測された企業の記事作成の依頼をユーザに対して送信することにより、ユーザは知名度の低い企業についての研究の場を得られ、企業はユーザによる知名度を獲得できる可能性があるため、双方にメリットがある。さらに、生成部212は、興味指標の作成に公開される記事を用いることで、さらに、種々のサービスにおいて予測精度を向上させることができる。
【0075】
本実施形態の情報処理装置2によれば、公開部214は、ユーザにより作成された企業に関する情報の公開前に、その企業に対して公開可否の問い合わせを行い、企業により許可された情報を公開する。このような確認を行うことにより、記事の内容の正確性を向上させることができる。
【0076】
本実施形態の情報処理装置2によれば、公開部214は、企業又は第三者が作成した企業に関する情報を追加して、企業に関する情報を公開する。このような情報の追加により、公開される情報に詳細な内容を含めることができる。
【0077】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。