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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000177
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/58 20110101AFI20231225BHJP
   H01R 13/629 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H01R24/58
H01R13/629
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098787
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼杉 宗一知
(72)【発明者】
【氏名】神原 智久
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA08
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB13
5E021FC03
5E021FC07
5E021FC31
5E223AA28
5E223AB18
5E223AB62
5E223AC03
5E223AC04
5E223BA12
5E223CA13
5E223GA07
5E223GA81
(57)【要約】
【課題】プラグによってジャックが変形しにくい給電装置を提供する。
【解決手段】給電装置1は、プラグ7を備えた給電ケーブル5と、ジャック33が設けられた電源ユニット3とを備えている。プラグ7は、プラグ本体11と、棒状電極部13を有しており、ジャック33は、差込口42の内側に配置され、棒状電極部13が差し込まれると、棒状電極部13と電気的に接続される電極受け部43を有している。ジャック33の差込口42の外側には、電極受け部43が延びる方向に延び、内周寸法がプラグ本体11の外形寸法よりわずかに大きく、プラグ7がジャック33に差し込まれるとプラグ本体11が入り込む筒状部35が設けられている。電極受け部43の長さ寸法及び筒状部35の長さ寸法は、電極受け部43の長さ寸法をL1、筒状部35の長さ寸法をL2とした場合に、L2/L1≧1/2を満たす関係になっている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にプラグを備え、他端に被給電装置が接続される給電ケーブルと、
前記プラグが差し込まれるジャックが設けられ、前記被給電装置に対して給電する電源ユニットと、を備え、
前記プラグは、
絶縁材料で被覆されたプラグ本体と、
前記プラグ本体から延び出て、前記プラグ本体よりも細い棒状電極部を有しており、
前記ジャックは、
前記プラグを差し込み可能な差込口と、
前記差込口の内側に配置され、前記棒状電極部が差し込み可能な筒状になっており、前記棒状電極部が差し込まれると、前記棒状電極部と電気的に接続される電極受け部を有しており、
前記ジャックの前記差込口の外側には、前記電極受け部が延びる方向に延び、内周寸法が前記プラグ本体の外形寸法よりわずかに大きく、前記プラグが前記ジャックに差し込まれると前記プラグ本体が入り込む筒状部が設けられており、
前記電極受け部の長さ寸法及び前記筒状部の長さ寸法は、前記電極受け部の長さ寸法をL1、前記筒状部の長さ寸法をL2とした場合に、L2/L1≧1/2を満たす関係になっている
ことを特徴とする給電装置。
【請求項2】
前記棒状電極部は、先端に開口を有する中空の棒形状を呈し、内周面に形成されたプラグ側第1電極と、外周面に形成されたプラグ側第2電極を有しており、
前記電極受け部は、前記棒状電極部の内側に入り込み、前記プラグ側第1電極と接触して電気的に接続されるピン状のジャック側第1電極と、前記ジャック側第1電極の外周面と対向する位置に配置され、前記ジャック側第1電極が前記棒状電極部内に入り込むと前記プラグ側第2電極と接触して電気的に接続されるジャック側第2電極を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記筒状部は、前記筒状部が延びる方向と直交する方向から投影したときに、前記電源ユニットを構成するケースから突出しない形状及び寸法を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項4】
前記筒状部の内周寸法は、前記プラグを前記ジャックに差し込んだ状態で、前記プラグ本体との間の全域に間隙が形成されるようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項5】
前記電極受け部の底部から垂直に前記筒状部の開口端部まで測った寸法をL3とした場合に、
前記間隙の寸法gは、g<L3/10を満たす関係になっている
ことを特徴とする請求項4に記載の給電装置。
【請求項6】
前記ジャックの前記差込口と前記筒状部の間に、防水構造が設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の給電装置。
【請求項7】
前記プラグ本体は、前記棒状電極部より太く、一端の中心部から前記棒状電極部が延び出た円柱状の第1円柱部と、前記第1円柱部の他端から延びると共に前記第1円柱部よりも太い第2円柱部と、を有し、
前記ジャックの前記差込口と前記筒状部の間には、前記プラグが前記ジャックに差し込まれると、前記プラグ本体の前記第1円柱部が貫通する中間壁部が設けられており、
前記中間壁部の内周面には、前記第1円柱部の径寸法と略同一の内径寸法を有し、且つ、少なくとも外周面の一部が前記中間壁部の前記内周面と密着する筒状の弾性体が配置されており、
前記プラグを前記ジャックに差し込むと、前記第1円柱部が前記弾性体内に入り込み、前記第1円柱部と前記弾性体の間、及び、前記中間壁部と前記弾性体の間に、前記防水構造が構成される
ことを特徴とする請求項6に記載の給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被服に取り付けられたファンを回転させて、被服内に風を送り込むファン付被服が普及している。ファン付被服では、被給電装置であるファンに電力を供給する電源ユニットを被服に装着し、ファンと電源ユニットを給電ケーブルで接続している。
【0003】
ファン付被服を着用して作業を行う際等に、電源ユニットや給電ケーブルに負荷がかかってプラグとジャックの接続部分が変形して給電できなくなることがある。そこで、例えば、特許文献1のように、電源ユニットや給電ケーブルに衝撃が加わっても変形しにくくする工夫がなされている。特許文献1に記載の給電ケーブル(DCケーブル)は、プラグ本体に、ケースと当接するフランジ部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-3874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の給電ケーブルは、フランジ部がケースに接触した状態(プラグがジャックに差し込まれた状態)でないと衝撃を緩衝することができない。また、フランジ部がゴム製であるため、フランジ部がケースと当接した状態であっても、衝撃によりフランジ部も曲がってしまい、プラグがジャックに対して傾いてしまい、ジャックが変形することがある。
【0006】
本発明の目的は、プラグがジャックに差し込まれた状態だけでなく、プラグをジャックに差し込む間や、プラグをジャックから引き抜く間も、プラグによるジャックの変形を抑制できる給電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の給電装置は、一端にプラグを備え、他端に被給電装置が接続される給電ケーブルと、前記プラグが差し込まれるジャックが設けられ、前記被給電装置に対して給電する電源ユニットと、を備え、前記プラグは、絶縁材料で被覆されたプラグ本体と、前記プラグ本体から延び出て、前記プラグ本体よりも細い棒状電極部を有しており、前記ジャックは、前記プラグを差し込み可能な差込口と、前記差込口の内側に配置され、前記棒状電極部が差し込み可能な筒状になっており、前記棒状電極部が差し込まれると、前記棒状電極部と電気的に接続される電極受け部を有しており、前記ジャックの前記差込口の外側には、前記電極受け部が延びる方向に延び、内周寸法が前記プラグ本体の外形寸法よりわずかに大きく、前記プラグが前記ジャックに差し込まれると前記プラグ本体が入り込む筒状部が設けられており、前記電極受け部の長さ寸法及び前記筒状部の長さ寸法は、前記電極受け部の長さ寸法をL1、前記筒状部の長さ寸法をL2とした場合に、L2/L1≧1/2を満たす関係になっている。
【発明の効果】
【0008】
上記の通りの筒状部を備え、電極受け部の長さ寸法及び筒状部の長さ寸法がL2/L1≧1/2を満たす関係になっているため、プラグがジャックに差し込まれた状態だけでなく、プラグをジャックに差し込む間や、プラグをジャックから引き抜く間も、プラグがジャックに対して所定の角度以上に傾くことがない。そのため、プラグの棒状電極部がジャックの電極受け部を変形させてしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態の一例である給電装置1の斜視図である。
図2】プラグを棒状電極部の中心部を通る面で切断した端面の概略模式図である。
図3】電源ユニットの正面図である。
図4】電源ユニットの右側面図である。
図5図4に示したV-V線部分で切断した端面の概略模式図である。
図6】電源ユニットの背面の分解斜視図である。
図7】プラグをジャックに差し込んだ状態の電源ユニット及び給電ケーブルを、図4に示したV-V線部分で切断した端面の概略模式図である。
図8図7の符号VIIIで示した部分の一部拡大図である。
図9】プラグの引き抜き実験の様子を示す模式図である。
図10】実験結果をまとめたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る給電装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態の一例である給電装置1の斜視図であり、図2は、プラグを棒状電極部の中心部を通る面で切断した端面の概略模式図であり、図3は、電源ユニットの正面図であり、図4は、電源ユニットの右側面図であり、図5は、図4に示したV-V線部分で切断した端面の概略模式図であり、図6は、電源ユニットの背面の分解斜視図である。図2では、説明の便宜上、プラグ本体11及び棒状電極部13を一体のものとして図示している。
【0012】
<給電装置>
給電装置1は、図示しないファン付被服に備え付けられたファン(被給電装置)に電力を供給するものである。給電装置1は、電源ユニット3と、給電ケーブル5とを備えている。使用時には、給電ケーブル5を電源ユニット3とファンに接続し、ファン付被服の内側に設けられたポケット内に電源ユニット3を収納する。
【0013】
<給電ケーブル>
給電ケーブル5は、電源ユニット3からの直流電力をファン(被給電装置)に供給する、いわゆるDCケーブルである。給電ケーブル5は、プラグ(電源ユニット側プラグ)7と、ケーブル9と、ファン側プラグ(図示せず)を備えている。図1では、給電ケーブル5のプラグ7と、ケーブル9(一部省略)のみを図示している。プラグ7は、プラグ本体11と、棒状電極部13を有している。
【0014】
プラグ本体11は、絶縁材料(ゴム)で被覆されており、第1円柱部15と、第2円柱部17とを有している。第1円柱部15は、棒状電極部13より太く、一端の中心部から棒状電極部13が軸方向に沿って延び出た円柱状部分である。第1円柱部15の周面には、周方向に延びる突出部15aが形成されている(図8参照)。第2円柱部17は、第1円柱部15の他端から軸方向に延びると共に第1円柱部15よりも太い円柱状部分であり、後述の筒状部35内に入り込む部分である。なお、図2に示すように、第2円柱部17の最大径寸法をD1とする。
【0015】
棒状電極部13は、プラグ本体11から延び出て、プラグ本体11(第1円柱部15及び第2円柱部17)よりも細い棒状である。図2に示すように、棒状電極部13は、先端13aに開口を有する中空の棒形状を呈しており、内周面13Aに形成されたプラグ側第1電極19と、外周面13Bに形成されたプラグ側第2電極21を有している。
【0016】
<電源ユニット>
図1図3及び図4に示すように、電源ユニット3は、中空箱形のケース23を有している。ケース23内には、リチウムイオン電池等の二次電池(図示せず)と、二次電池の充放電等を制御する制御回路(図示せず)が収納されている。
【0017】
[ケース正面]
ケース23の正面部23Aには、ファンへの給電を制御するためのプッシュスイッチ25と、電源ユニット3の出力状態等を示すインジケータ27が備えられている。電源ユニット3の給電出力がオフの状態で、プッシュスイッチ25が押されることで、出力レベル1にて出力が開始され、プッシュスイッチ25が押されるたびに、出力レベルが1から4まで変化する。そして、出力レベルに合わせて、インジケータ27が変化する。また、プッシュスイッチ25が長押しされることで、電源ユニット3の給電出力がオフになる。インジケータ27は、その他、電源ユニット3のエラー状態を示したり、使用者の操作により、電源ユニット3の二次電池の充電残量を示すこともできる。
【0018】
プッシュスイッチ25とインジケータ27の周囲には、プッシュスイッチ25とインジケータ27を取り囲む突出壁部29が形成されている(図4参照)。突出壁部29は、ケース23を正面から見たとき、角丸長方形状を呈している。プッシュスイッチ25が設けられたケース23の正面を外向きにして電源ユニット3をファン付被服のポケット内に収納することで、使用者は、被服の上から電源ユニット3を指で触った場合に、突出壁部29による凹凸により、プッシュスイッチ25の位置が把握できる。つまり、電源ユニット3は、ポケット内に収納したまま使用者による操作が可能になっている。
【0019】
[ケース右側面及びプラグ差込部]
ケース23の右側壁部23Bには、給電ケーブル5のプラグ7を差し込むプラグ差込部31が設けられている。図5に示すように、プラグ差込部31は、ジャック33と、筒状部35と、中間壁部37と、ゴムブッシュ39を備えている。
【0020】
ジャック33は、ハウジング41と、電極受け部43を有しており、ケース23内のジャック収納部34内に収納されている。ハウジング41は、電極受け部43を収納しており、プラグを差し込み可能な差込口42を有している。差込口42は、ジャック収納部34の開口部34Aと整合した位置にある。電極受け部43は、差込口42の内側に配置され、棒状電極部13が差し込み可能な筒状になっている。電極受け部43は、棒状電極部13が差し込まれると、棒状電極部13と電気的に接続されるジャック側第1電極45と、ジャック側第2電極47を有している。
【0021】
ジャック側第1電極45は、ピン状の電極である。ジャック側第1電極45は、棒状電極部13の内側に入り込み、プラグ側第1電極19と接触して電気的に接続される。ジャック側第2電極47は、ジャック側第1電極45の外周面と対向する位置に配置された接点ばねからなる電極である。ジャック側第2電極47は、ジャック側第1電極45が棒状電極部13内に入り込んだとき、プラグ側第2電極21と接触して電気的に接続される。ジャック側第2電極47は、棒状電極部13が挿入される際、棒状電極部13の先端13a及び側面が接触して圧縮されることで、棒状電極部13に対して付勢されている。
【0022】
本実施の形態では、ジャック側第1電極45の長さ寸法を電極受け部43の長さ寸法としており、L1とする。
【0023】
筒状部35は、ジャック33の差込口42の外側に設けられている円筒状の部分である。本実施の形態では、筒状部35は、ケース23の一部であるが、ケース23と別部品であってもよいのはもちろんである。筒状部35は、プラグ7がジャック33に差し込まれたとき、プラグ本体11の第2円柱部17が入り込む部分である。筒状部35は、電極受け部43(特に、ジャック側第1電極45)が延びる方向に延び、内周寸法がプラグ本体11の第2円柱部17の外形寸法(最大径寸法D1)よりわずかに大きい。
【0024】
図5に示すように、筒状部35の長さ寸法をL2、筒状部35の内径寸法をD2とする。
【0025】
中間壁部37は、ジャック33の差込口42と筒状部35の間のケース23の一部であり、ゴムブッシュ39が配置される部分である。
【0026】
ゴムブッシュ39は、プラグ本体11の第1円柱部15の径寸法と略同一の内径寸法を有し、且つ、少なくとも外周面の一部が中間壁部37の内周面と密着する筒状の弾性体である。ゴムブッシュ39は、プラグ7が差し込まれることで、ジャック収納部34への水分の浸入を防ぐ防水構造の一部である。本実施の形態では、ゴムブッシュ39は、円筒部39Cと、円筒部39Cの両端部にそれぞれ設けられたフランジ部39A及び39Bを有している。
【0027】
中間壁部37は、大径部37Aと、小径部37Bを有している。大径部37Aは、筒状部35と連続して延びており、ゴムブッシュ39のフランジ部39Aが接触する部分である。小径部37Bは、ジャック収納部34の開口部34Aを構成しており、大径部37Aよりも内径が小さく、ゴムブッシュ39の円筒部39Cが位置する部分である。図示の通り、小径部37Bとゴムブッシュ39の円筒部39Cの間には、間隙38が形成されている。
【0028】
小径部37Bとジャック33の差込口42の間には、間隙49が形成されている。間隙49にゴムブッシュ39のフランジ部39Bが入り込む。この構成により、フランジ部39A及びフランジ部39Bにより小径部37Bの壁部を挟み込み、中間壁部37にゴムブッシュ39が嵌るようになっている。
【0029】
図5に示すように、電極受け部43の底部43aから垂直に筒状部35の開口端部まで測った寸法をL3とする。
【0030】
なお、図3に示すように、ケース23の正面からは、筒状部35の外周部35Aが見えるようになっており、筒状部35は、正面(筒状部35が延びる方向と直交する方向)からケース23を投影したときに、電源ユニット3を構成するケース23から突出しない形状及び寸法を有している。つまり、プラグ差込部31は、ケース23の正面からの投影面積の内側に配置されている。
【0031】
[ケース背面]
図6に示すように、ケース23の背面部23Cには、銘板貼付用凹部23D及びバーコードシール貼付用凹部23Eが形成されている。バーコードシール貼付用凹部23Eは、銘板貼付用凹部23D内に形成されている。銘板貼付用凹部23Dには、主銘板シール51が貼付され、主銘板シール51の厚さよりも深くへこんでいる。バーコードシール貼付用凹部23Eには、バーコードシール53が貼付され、バーコードシール53の厚さよりも深くへこんでいる。主銘板シール51には、電源ユニット3の仕様等が記載されており、バーコードシール貼付用凹部7Eを覆う位置に透明な窓部52が設けられている。バーコードシール53は、電源ユニット3の製造ロット等を識別するためのバーコードが印刷されている。バーコードシール53が先にバーコードシール貼付用凹部23Eに貼付され、その上から、主銘板シール51が銘板貼付用凹部23Dに貼付される。これにより、主銘板シール51でバーコードシール53を保護しながら、窓部52を介してバーコードシール53に印刷されたバーコードを読み取り可能に露出させることができる。
【0032】
<プラグをジャックに差し込んだ状態>
図7は、プラグをジャックに差し込んだ状態の電源ユニット及び給電ケーブルを、図4に示したV-V線部分で切断した端面の概略模式図であり、図8は、図7の符号VIIIで示した部分の一部拡大図である。図7の状態では、ジャック33内にプラグ7の棒状電極部13が差し込まれ、棒状電極部13の先端13aが電極受け部43の底部43aに接触した状態になっている。このとき、プラグ7の第1円柱部15がゴムブッシュ39内に入り込み、また、第2円柱部17が筒状部35内に入り込んだ状態になる。図7に示した状態を「プラグ7の完全差し込み状態」という。
【0033】
本実施の形態では、筒状部35の内周寸法は、プラグ7の完全差し込み状態で、プラグ本体11との間の全域に間隙Gが形成されるようになっている。間隙Gの寸法gは、g=(D2-D1)/2と表すことができる。
【0034】
また、プラグ7の完全差し込み状態では、図8に示すように、プラグ7の第1円柱部15がゴムブッシュ39内に入り込む。このため、第1円柱部15の突出部15aがゴムブッシュ39の内周面39xに密着し、また、ゴムブッシュ39のフランジ部39Aの周面39yが中間壁部37の大径部37Aの内周面37yに密着する。これにより、第1円柱部15とゴムブッシュ39の間、及び、中間壁部37とゴムブッシュ39の間に、防水構造が構成される。なお、小径部37Bとゴムブッシュ39の円筒部39Cの間に間隙38が存在する。このため、突出部15aによるゴムブッシュ39の変形を逃がすことができ、突出部15aが存在していても、スムーズに第1円柱部15をゴムブッシュ39内に差し込むことができる。
【0035】
<各部の長さ寸法の関係>
本実施の形態では、筒状部35の内周寸法を、プラグ本体11の第2円柱部17の外形寸法(最大径寸法D1)よりわずかに大きくし、また、電極受け部43(ジャック側第1電極45)の長さ寸法L1、筒状部35の長さ寸法L2が、L2/L1≧1/2を満たす関係になるよう、L1及びL2を設定している。すなわち、電極受け部43(ジャック側第1電極45)の長さ寸法L1を「2」とすると、筒状部35の長さ寸法L2が「1」以上になる。本実施の形態では、一例として、L1が8.4mmに対して、L2を5.0mmとしている。
【0036】
このように設定しているため、プラグ7がジャック33に差し込まれた状態だけでなく、プラグ7をジャック33に差し込む間や、プラグ7をジャック33から引き抜く間も、ジャック33に対してプラグ7が傾くと、プラグ7のプラグ本体11(第2円柱部17)が筒状部35の内周面に接触して傾きが規制されるため、プラグ7がジャック33に対して所定の角度以上に傾くことがない。なお、本実施の形態では、後述の通り、検証の結果、所定の角度は「6°」となる。そのため、プラグの棒状電極部13がジャック33の電極受け部43を変形させてしまうことがない。
【0037】
特に、本実施の形態のように、ジャック側第2電極47が接点ばねからなる電極である場合、棒状電極部13が電極受け部43に対して傾いた状態で挿入されたり、引き抜かれると、ジャック側第2電極47に無理な力が加わって、塑性変形してしまい、プラグ側第2電極とジャック側第2電極47が電気的に接続できなくなる可能性がある。しかしながら、本構成によりプラグ7がジャック33に対して所定の角度以上に傾かないため、ジャック側第2電極47の変形を防ぐことができる。
【0038】
<角度θの根拠>
発明者らは、図9に示すプラグ7の引き抜き実験を行い、許容されるジャック33に対するプラグ7の傾きの角度θを検証した。図9に示すように、「角度θ」は、より具体的には、ジャック33のジャック側第1電極45の中心を延びる仮想線IL1と、プラグ7の棒状電極部13の中心を延びる仮想線IL2が成す角度のことである。なお、プラグ7の引き抜き実験の手順は以下の通りである。
・長さの異なるジャック側第1電極45を有する2種類のジャック33(ジャック(1)及び(2))と、このジャック33とセットであるプラグ7を用意する;
・プラグ7をジャック33に差し込み、電極受け部43の底部43aに棒状電極部13の先端13aが当接する状態を「引き抜き距離0mm」とする;
・角度θを0°から16°まで1°ずつ変えて、プラグ7をジャック33から引き抜く実験を繰り返す;
・棒状電極部13の引抜比率[%](棒状電極部13の引き抜き距離PL/ジャック側第1電極45の長さ寸法L1)と、棒状電極部13によるジャック側第2電極47が変形するときの角度θとの関係を確認する。
【0039】
図10は、上記の実験結果をまとめたグラフである。図10に示すように、引抜比率50%までの間は、角度θが6°~10°となるとジャック側第2電極47が変形しやすく、引抜比率が50%を超えると角度θが16°以上となることで、ジャック側第2電極47が変形しやすい。なお、引抜比率が80%を超えると、棒状電極部13によるジャック側第2電極47の変形が無くなる傾向があることがわかった。この実験結果から、発明者らは、角度θが6°を超えないようにすることでプラグ7の棒状電極部13がジャック33の電極受け部43を変形させてしまうことがないと結論付けた。この実験結果を踏まえ、プラグ7がジャック33に差し込まれた状態だけでなく、プラグ7をジャック33に差し込む間や、プラグ7をジャック33から引き抜く間も、プラグ7がジャック33に対して所定の角度(6°)以上に傾くことがないように、上記L1及びL2、並びに、D1及びD2を決定した。
【0040】
さらに、間隙Gの寸法gは、ジャック33に対するプラグの角度が所定の角度(例えば、6°)を超えないようにするため、g<L3tan6°≒L3/10を満たすようにしている。本実施の形態では、一例として、gを0.3mmとしている。これにより、さらに確実に、プラグがジャックに差し込まれた状態だけでなく、プラグをジャックに差し込む間や、プラグをジャックから引き抜く間も、プラグによるジャックの変形を抑制できる。
【0041】
<給電装置の作用>
以下、本実施の形態の給電装置の作用を説明する。
【0042】
本実施の形態の給電装置1は、一端にプラグ7を備え、他端に被給電装置が接続される給電ケーブル5と、プラグ7が差し込まれるジャック33が設けられ、被給電装置に対して給電する電源ユニット3と、を備え、プラグ7は、絶縁材料で被覆されたプラグ本体11と、プラグ本体11から延び出て、プラグ本体11よりも細い棒状電極部13を有しており、ジャック33は、プラグ7を差し込み可能な差込口42と、差込口42の内側に配置され、棒状電極部13が差し込み可能な筒状になっており、棒状電極部13が差し込まれると、棒状電極部13と電気的に接続される電極受け部43を有しており、ジャック33の差込口42の外側には、電極受け部43が延びる方向に延び、内周寸法がプラグ本体11の外形寸法よりわずかに大きく、プラグ7がジャック33に差し込まれるとプラグ本体11が入り込む筒状部35が設けられており、電極受け部43の長さ寸法及び筒状部35の長さ寸法は、電極受け部43の長さ寸法をL1、筒状部35の長さ寸法をL2とした場合に、L2/L1≧1/2を満たす関係になっている。
【0043】
このように構成することで、プラグ7がジャック33に差し込まれた状態(プラグ7の完全差し込み状態)だけでなく、プラグ7をジャック33に差し込む間や、プラグ7をジャック33から引き抜く間も、プラグ7がジャック33に対して所定の角度以上に傾くことがない。そのため、プラグ7の棒状電極部13がジャック33の電極受け部43を変形させてしまうことがない。
【0044】
棒状電極部13は、先端13aに開口を有する中空の棒形状を呈し、内周面13Aに形成されたプラグ側第1電極19と、外周面13Bに形成されたプラグ側第2電極21を有しており、電極受け部43は、棒状電極部13の内側に入り込み、プラグ側第1電極19と接触して電気的に接続されるピン状のジャック側第1電極45と、ジャック側第1電極45の外周面と対向する位置に配置され、ジャック側第1電極45が棒状電極部13内に入り込むとプラグ側第2電極21と接触して電気的に接続されるジャック側第2電極47を有することができる。
【0045】
この構成の場合、プラグ7がジャック33に対して傾くと、特に、棒状電極部13がジャック側第2電極(接点ばね)47を変形させてしまうが、この構成の場合には、プラグ7がジャック33に差し込まれた状態だけでなく、プラグ7をジャック33に差し込む間や、プラグ7をジャック33から引き抜く間も、プラグ7がジャック33に対して所定の角度以上に傾くことがない。そのため、プラグ7の棒状電極部13がジャック33の電極受け部43を変形させてしまうことがない。
【0046】
筒状部35は、筒状部35が延びる方向と直交する方向から投影したときに、電源ユニット3を構成するケース23から突出しない形状及び寸法を有することができる。
【0047】
このようにすれば、筒状部35が投影の範囲内に収まるようになっているため、筒状部35に外的衝撃が加わることがない。
【0048】
筒状部35の内周寸法は、プラグ7をジャック33に差し込んだ状態で、プラグ本体11との間の全域に間隙が形成されるようになっていてもよい。
【0049】
間隙が形成されていることで、筒状部35があっても、プラグ7をジャック33に差し込みやすい。また、ジャック33に差し込んだ状態のプラグ7が棒状電極部13の軸を中心として回転可能であるため、給電ケーブル5に負荷がかかっても、プラグ7が回転して負荷を緩衝することができる。
【0050】
電極受け部43の底部から垂直に筒状部35の開口端部まで測った寸法をL3とした場合に、間隙Gの寸法gは、g<L3/10を満たす関係になっていてもよい。
【0051】
間隙の寸法gは、プラグ本体11の直径寸法をD1、筒状部35の内径寸法をD2とすると、(D2-D1)/2と表すことができる。発明者らの検証では、プラグ7がジャック33に対して6°以上に傾くとプラグ7の棒状電極部13がジャックの電極受け部43を変形させてしまう可能性が高くなることが判明した。そこで、間隙Gの寸法gは、ジャック33に対するプラグの角度が所定の角度(6°)を超えないようにするため、g<L3tan6°≒L3/10を満たすようにしている。これにより、さらに確実に、プラグがジャックに差し込まれた状態だけでなく、プラグをジャックに差し込む間や、プラグをジャックから引き抜く間も、プラグによってジャックがプラグによるジャックの変形を抑制できる。
【0052】
ジャック33の差込口42と筒状部35の間に、防水構造が設けられていてもよい。間隙が設けられていても、防水構造が設けられていることで、汗等による水分から電極を保護することができる。
【0053】
プラグ本体11は、棒状電極部13より太く、一端の中心部から棒状電極部13が延び出た円柱状の第1円柱部15と、第1円柱部15の他端から延びると共に第1円柱部15よりも太い第2円柱部17と、を有し、ジャック33の差込口42と筒状部35の間には、プラグ7がジャック33に差し込まれると、プラグ本体11の第1円柱部15が貫通する中間壁部37が設けられており、中間壁部37の内周面には、第1円柱部15の径寸法と略同一の内径寸法を有し、且つ、少なくとも外周面の一部が中間壁部37の内周面と密着する筒状の弾性体39が配置されており、プラグ7をジャック33に差し込むと、第1円柱部15が弾性体39内に入り込み、第1円柱部15と弾性体39の間、及び、中間壁部37と弾性体39の間に、防水構造が構成されていてもよい。
【0054】
このようにすることで、プラグ7をジャック33に差し込むだけで、防水構造を構成することができる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で変更が可能であるのは勿論である。
【0056】
例えば、上記例では、筒状部35は、円筒状にしたが、断面形状を四角形状や六角形状にすることもできる。
【0057】
また、上記例では、ジャック33の差込口42と筒状部35の間に、ゴムブッシュ39による防水構造を設けたが、必ずしも防水構造を設けなくてもよい。防水構造を設けない場合には、中間壁部37及びゴムブッシュ39は不要であり、ジャック33の差込口42に隣接して、筒状部35が延びるようにすればよい。
【0058】
また、上記の数値は一例であり、上記条件の範囲内で、適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 給電装置
3 電源ユニット
5 給電ケーブル
7 プラグ
9 ケーブル
11 プラグ本体
13 棒状電極部
15 第1円柱部
17 第2円柱部
19 プラグ側第1電極
21 プラグ側第2電極
23 ケース
25 プッシュスイッチ
27 インジケータ
29 突出壁部
31 プラグ差込部
33 ジャック
35 筒状部
37 中間壁部
39 ゴムブッシュ
41 ハウジング
42 差込口
43 電極受け部
45 ジャック側第1電極
47 ジャック側第2電極
49 間隙
51 主銘板シール
52 窓部
53 バーコードシール
図1
図2
図3
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図10