(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177003
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】水中活動装置
(51)【国際特許分類】
B63C 11/00 20060101AFI20241212BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20241212BHJP
B63H 1/36 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B63C11/00 B
B63C11/48 D
B63H1/36
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128339
(22)【出願日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】112121563
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】511212376
【氏名又は名称】先鋒材料科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PIONEER MATERIAL PRECISION TECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F, NO.11, WUCYUAN 2ND RD., Wugu Dist., NEW Taipei City 248, Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン チー シェン
(72)【発明者】
【氏名】リウ チン ホン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造が簡単な水中活動装置を提供する。
【解決手段】ハウジングユニットと前記ハウジングユニット内に設置されている制御ユニット2と前記ハウジングユニットと接続されており且つ制御ユニット2と電気的に接続されており、水中で推進力を出力するための推進ユニット3とを含む。前記ハウジングユニットは、一体的に形成されているベースと、前記ベースと液密に接続されている蓋と、を含む。制御ユニット2は、回路モジュール21と回路モジュール21と電気的に接続されている重心移動モジュール22とを含み、重心移動モジュール22は、前後方向D1に沿って前後移動でき且つ一定の重量を有する重り221と重り221を駆動して前後移動させる重心駆動機構222とを含み、重心駆動機構222が重り221を駆動して移動させることにより、重心位置を移動させて、水中における移動方向を上向きまたは下向きに制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングユニットと、前記ハウジングユニット内に設置されている制御ユニットと、前記ハウジングユニットと接続され且つ前記制御ユニットと電気的に接続されており、水中で推進力を出力するための推進ユニットと、を含み、
前記ハウジングユニットは、一体的に構成されているベースと、前記ベースと液密に接続されている蓋と、を含み、
前記制御ユニットは、回路モジュールと、前記回路モジュールと電気的に接続されている重心移動モジュールと、を含み、
前記重心移動モジュールは、前後方向に沿って前後移動でき且つ一定の重量を有する重りと、前記重りを駆動して前後移動させる重心駆動機構と、を含み、
前記重心駆動機構により前記重りを駆動して前記重りを移動させて、重心位置を変えることにより、水中における移動方向が上向きまたは下向きになるよう制御することができる、ことを特徴とする水中活動装置。
【請求項2】
前記重りは、ボックス体と、前記ボックス体内に設置されている複数の電池と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の水中活動装置。
【請求項3】
前記ベースは、前ベース体と、前記前ベース体の後ろ側の中央部分に接続されている後ベース体と、を含み、
前記前ベース体は、前収容空間を画成するように形成されており、
前記後ベース体は、前記前収容空間と連通する後収容空間を画成するように形成されており、
前記重りは、前記前収容空間に位置し、
前記重心駆動機構は、前記後収容空間に位置する重心駆動モータと、前記重心駆動モータと前記重りとを連接するクランク含有リンク機構と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の水中活動装置。
【請求項4】
前記推進ユニットは、前記前ベース体と接続されている2つの前肢機構と、前記後ベース体と接続されている2つの後肢機構と、を含み、
前記ベースは、空間を画成するように前記前ベース体と接続されている2つの前取付フレームと、空間を画成するように前記後ベース体と接続されている2つの後取付フレームと、を更に含み、
前記前ベース体は、前記2つの前取付フレームのそれぞれに対応して、前記前取付フレームの前記空間と前記前収容空間とを連通するように形成されている2つの前線通過孔を含み、
前記後ベース体は、前記2つの後取付フレームのそれぞれに対応して、前記後取付フレームの前記空間と前記後収容空間とを連通するように形成されている2つの後線通過孔を含み、
各前記前肢機構は、
対応する前記前取付フレームの前記空間内に設置されている前肢モータと、
前記前肢モータを液密に覆うように前記前取付フレームと接続されている前防水蓋と、
前記前防水蓋に、自身を回転軸として回転でき且つ前記前防水蓋から突出するように貫設されており、且つ、前記前肢モータに回転駆動されるように前記前肢モータと接続されている前肢回転軸と、
前記前肢回転軸と連動するように前記前肢回転軸と接続されている前肢体モジュールと、を含み、
前記前肢モータは、対応する前記前線通過孔を通過する導線により、前記制御ユニットと電気的に接続されており、
前記前肢回転軸は、前記前防水蓋に液密に貫設されており、それにより、前記前肢モータが設置される前記前取付フレームの前記空間を液密に保持し、
各前記後肢機構は、
対応する前記後取付フレームの前記空間内に設置されている後肢モータと、
前記後肢モータを液密に覆うように前記後取付フレームと接続されている後防水蓋と、
前記後防水蓋に、自身を回転軸として回転でき且つ前記後防水蓋から突出するように貫設されており、且つ、前記後肢モータに回転駆動されるように前記後肢モータと接続されている後肢回転軸と、
前記後肢回転軸と連動するように前記後肢回転軸と接続されている後肢体モジュールと、を含み、
前記後肢モータは、対応する前記後線通過孔を通過する導線により、前記制御ユニットと電気的に接続されており、
前記後肢回転軸は、前記後防水蓋に液密に貫設されており、それにより、前記後肢モータが設置される前記後取付フレームの前記空間を液密に保持する、ことを特徴とする請求項3に記載の水中活動装置。
【請求項5】
前記前ベース体は、矩形の前底壁と、前記前底壁の左右両側から上へ延伸する2つの前側壁と、前記2つの前側壁の前側と接続されているように前記前底壁の前側から上へ延伸する先頭壁と、それぞれが前記2つの前側壁の後側と接続され且つ互いに間隔が開いているように前記前底壁の後側から上へ延伸する2つの中間壁と、を更に含み、
前記前底壁、前記各前側壁、前記先頭壁及び前記各中間壁は、共に前記前収容空間を画成し、
前記後ベース体は、前記前底壁の後側において、前記2つの中間壁の間から延伸する矩形の後底壁と、それぞれが前記2つの中間壁と接続されているように前記後底壁の左右両側から上へ延伸する2つの後側壁と、前記2つの後側壁の後側と接続されているように前記後底壁の後側から上へ延伸する後尾壁と、を更に含み、
前記後底壁、前記各後側壁及び前記後尾壁は、共に前記後収容空間を画成し、
各前記前取付フレームは、左右において間隔が開いて前記先頭壁と一体的に接続されており、
各前記前線通過孔は、前記先頭壁を貫通しており、
各前記後取付フレームは、前記2つの後側壁のそれぞれと一体的に接続されており、
各前記後線通過孔は、前記2つの後側壁のそれぞれを貫通している、ことを特徴とする請求項4に記載の水中活動装置。
【請求項6】
各前記後肢体モジュールは、対応する前記後肢回転軸に固定するように前記後肢回転軸と接続されている後肢固定部と、前記後肢固定部から延伸する後肢板体部と、を含み、
前記後肢固定部は、前記後肢回転軸と連動して前記後肢回転軸を軸心として回転して、前記後肢板体部を上下搖動させる、ことを特徴とする請求項5に記載の水中活動装置。
【請求項7】
各前記前肢体モジュールは、L形リンクと、回転できるように前記L形リンクと接続されている前足形部材と、を含み、
前記L形リンクは、対応する前記前肢回転軸に固定するように前記前肢回転軸と接続されている前肢固定部と、前記前肢固定部と直交に接続されている第1の枢設部と、を含み、
前記前足形部材は、前記第1の枢設部と枢設されている第2の枢設部と、前記第2の枢設部と連動する前肢板体部と、を含み、
前記前肢回転軸の軸心を第1の軸として、前記第2の枢設部は、前記第1の軸と直交する第2の軸を軸心として回転することができるように構成されており、
前記前肢固定部は、前記前肢回転軸と連動して前記第1の軸を軸心として回転して、前記前肢板体部を上下搖動させ、
且つ、水中において前記前肢板体部の上下搖動中に水圧を受けて生じる推力により前記第2の枢設部を前記第2の軸を軸心として回転させる、ことを特徴とする請求項5に記載の水中活動装置。
【請求項8】
前記第1の枢設部と前記第2の枢設部とのうちの一者は、他者に面する面に、弧形槽が形成されており、
前記第1の枢設部と前記第2の枢設部とのうちの前記他者は、前記一者に面する面に、前記弧形槽に進入して前記弧形槽に沿って移動できる突出柱が形成されており、
前記弧形槽と前記突出柱との組み合わせにより、前記第2の枢設部の前記第2の軸を軸心とした回転の回転範囲を制限する、ことを特徴とする請求項7に記載の水中活動装置。
【請求項9】
前記前足形部材は、前記第2の枢設部と一体的に接続されており且つ前記第2の軸に沿って延伸する支持部を更に含み、
前記前肢板体部は、軟質材料により製造されており、且つ、
前記前肢板体部と支持部との接続箇所は、前記前肢板体部の重心から外れている、ことを特徴とする請求項8に記載の水中活動装置。
【請求項10】
前記前肢板体部は、前記第1の軸と平行するように延伸する搖動軸部が形成されており、
前記搖動軸部は、前記支持部の前記第2の枢設部から離れた端部の近くに位置し、前記第2の枢設部から離れた搖動部を前記前肢板体部から区切り、
前記搖動部は、前記搖動軸部を軸心として搖動できる、ことを特徴とする請求項9に記載の水中活動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中活動装置に関し、具体的には構造が簡単な水中活動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な水中活動装置、例えばカメ型ロボットは、科学研究、教育、娯楽領域に使用できる。
【0003】
カメ型ロボット、例えば特許文献1に記載されているカメ型ロボットは、主にカメの外見及び水中で泳ぐ動きを真似するものであるので、活動できる一対の前肢及び一対の後肢を有し、且つ上方や下方へ泳ぐように制御することができる。
【0004】
前肢及び後肢の動きをリアルなカメの動きに近づけるために、前肢及び後肢を駆動する駆動機構は、モータ、歯車、ベルトプーリ、ベルト、リンクなどの部材を使用して構成することが多い。
【0005】
しかし、従来のカメ型ロボットは、駆動機構に使用する部材が多いので、構造が複雑で体積も大きい。更に防水モータを使用する場合、製造コストが高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第107140163号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の水中活動装置は、より簡単な構造設計で、上方や下方への移動を制御できるよう、改善の余地がある。また、水中活動装置がカメ型ロボットの場合、如何にリアルなカメに近い動きを持たせる上、製造コストを節約することにも改善の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、全体の構造が簡単な水中活動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、ハウジングユニットと、前記ハウジングユニット内に設置されている制御ユニットと、前記ハウジングユニットと接続され且つ前記制御ユニットと電気的に接続されており、水中で推進力を出力するための推進ユニットと、を含み、
前記ハウジングユニットは、一体的に構成されているベースと、前記ベースと液密に接続されている蓋と、を含み、
前記制御ユニットは、回路モジュールと、前記回路モジュールと電気的に接続されている重心移動モジュールと、を含み、
前記重心移動モジュールは、前後方向に沿って前後移動でき且つ一定の重量を有する重りと、前記重りを駆動して前後移動させる重心駆動機構と、を含み、
前記重心駆動機構により前記重りを駆動して前記重りを移動させて、重心位置を変えることにより、水中における移動方向が上向きまたは下向きになるよう制御することができる、ことを特徴とする水中活動装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水中活動装置は、全体の構造設計がより簡単であり、一体的に構成されているベースにより、簡単且つ素早く部品を組み立てることができる。また、全体の構造が簡単な重心移動モジュールにより、水中活動装置の重心位置を変えて、水中活動装置の移動方向が上向きまたは下向きになるよう制御することを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の水中活動装置の第1の実施形態を示す斜視図である。
【
図2】上記の第1の実施形態を示す部品分解図である。
【
図3】上記の第1の実施形態を示す部分部品分解図である。
【
図4】上記の第1の実施形態を示す部分部品分解図である。
【
図5】上記の第1の実施形態の重心移動モジュールを示す斜視図である。
【
図6】上記の第1の実施形態の前肢機構を示す斜視図である。
【
図7】
図6中の線VII-VIIによる部分断面図である。
【
図8】上記の第1の実施形態の前肢機構を示す部分部品分解図である。
【
図9】上記の第1の実施形態の前肢機構を示す部分部品分解図である。
【
図10】本発明の水中活動装置の第2の実施形態における前肢機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の目的、技術手段、及び利点をより明確に説明するために、以下、本発明の実施形態の添付図面を組み合わせて、本発明の実施形態における技術手段に対して明確且つ完全に説明する。説明する実施形態は、本発明の一部の実施形態であり、すべての実施形態ではないことが明らかであろう。通常、添付図面に描きまた示す本発明の実施形態の部品は各種異なる配置で布置及び設計することができる。従って、以下、添付図面中に提供した本発明の実施形態の詳細説明は、本発明の保護範囲に対していかなる制限も構成せず、単に本発明の選択された実施形態を示すのみである。
【0013】
本発明をより詳細に説明する前に、適切と考えられる場合には、参照数字または参照数字の末端部分が、対応するまたは類似する要素を示すために図間で繰り返されており、これらは任意に同様の特性を有することができることに留意されたい。
【0014】
本発明の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方位や位置関係を示す用語は、より簡単且つ明瞭に説明するために、図面に示される方位や位置関係、または本発明の製品を使用する際に習慣的に置かされる方位や位置関係に基づくものであり、対応する装置やデバイスが特定の方位、特定の方位における構造や操作などを有することを教示または示唆することではなく、本発明に対する限定ではない。
【0015】
また、本発明の説明において、「第1」、「第2」などの用語は、ただ区別を目的として使用され、相対的な重要性を教示または示唆するものではない。
【0016】
本発明は、新しい水中活動装置を提供するものであるが、矛盾しない限り、本発明の各実施形態の特徴は組み合わせることができる。
【0017】
図1~
図3に示されるように、本発明の水中活動装置は、ハウジングユニット1と、ハウジングユニット1内に設置されている制御ユニット2と、ハウジングユニット1と接続されており且つ制御ユニット2と電気的に接続されている推進ユニット3とを含む。この実施形態において、水中活動装置は、カメ型ロボットである。
【0018】
ハウジングユニット1は、
図1~
図3に示されるように、一体的に構成されているベース11と、ベース11と液密に接続されている蓋12と、カメの頭部の形を有する頭部13と、カメの甲羅の形を有する甲羅部14とを含む。頭部13と甲羅部14とは、カメの外見を真似するためのものである。
【0019】
この実施形態において、
図3及び
図4に示されるように、ベース11は、上方に開口があり且つ制御ユニット2が設置されている収容空間を画成するように形成されている。蓋12は、ベース11の前記開口を液密に覆っている。
【0020】
図1、
図3及び
図4に示されるように、ベース11は、前ベース体15と、前ベース体15の後ろ側の中央部分に接続されている後ベース体16と、空間を画成するように前ベース体15と接続されている2つの前取付フレーム17と、空間を画成するように後ベース体16と接続されている2つの後取付フレーム18とを含む。
【0021】
前ベース体15は、矩形の前底壁151と、前底壁151の左右両側から上へ延伸する2つの前側壁152と、2つの前側壁152の前側と接続されているように前底壁151の前側から上へ延伸する先頭壁153と、それぞれが2つの前側壁152の後側と接続され且つ互いに間隔が開いているように前底壁151の後側から上へ延伸する2つの中間壁154とを含み、且つ、前収容空間155を画成するように形成されている。
【0022】
即ち、前底壁151、各前側壁152、先頭壁153及び各中間壁154は、共に前収容空間155を画成する。
【0023】
この実施形態において、前収容空間155は、上方に開口がある。
【0024】
後ベース体16は、前底壁151の後側において、2つの中間壁154の間から延伸する矩形の後底壁161と、それぞれが前記2つの中間壁154と接続されているように後底壁161の左右両側から上へ延伸する2つの後側壁162と、2つの後側壁162の後側と接続されているように後底壁161の後側から上へ延伸する後尾壁163と、を含み、且つ、前収容空間155と連通する後収容空間164を画成するように形成されている。
【0025】
即ち、後底壁161、各後側壁162及び後尾壁163は、共に後収容空間164を画成する。
【0026】
この実施形態において、後収容空間164は、上方に開口があり、ベース11の収容空間は、前収容空間155及び後収容空間164からなる空間である。制御ユニット2は、ベース11の前収容空間155及び後収容空間164に設置されている。
【0027】
各前取付フレーム17は、左右において間隔が開いて前ベース体15の先頭壁153と一体的に接続されている。
【0028】
また、前ベース体15は、位置が2つの前取付フレーム17のそれぞれに対応して、前取付フレーム17の前記空間と前収容空間155とを連通するように先頭壁153を貫通している2つの前線通過孔156を含む。
【0029】
各後取付フレーム18は、2つの後側壁162のそれぞれと一体的に接続されている。
【0030】
また、後ベース体16は、2つの後取付フレーム18のそれぞれに対応して、後取付フレーム18の前記空間と後収容空間164とを連通するように2つの後側壁162のそれぞれを貫通している2つの後線通過孔165を含む。
【0031】
この実施形態において、
図3に示されるように、ベース11の前収容空間155及び後収容空間164の開口の頂縁に弾性シールリング19が設置されており、且つ、蓋12の周縁の形は、ベース11と合わせられている。蓋12は、複数のネジによりベース11に螺設して固定することができ、且つ、弾性シールリング19により液密に接続されて、液体が蓋12とベース11と接続される部分を通過することを防止できる。
【0032】
図3~
図5に示されるように、制御ユニット2は、回路モジュール21と、回路モジュール21と電気的に接続されている重心移動モジュール22とを含む。
【0033】
この実施形態において、
図1~
図4に示されるように、回路モジュール21は、前収容空間155に設置されており且つ互いに電気的に接続されている2つの回路基板211と、1つの回路基板211に設置されているリミットスイッチ(limit switch)212と、ベース11における2つの前側壁152の一者に設置されており且つ各回路基板211と電気的に接続されている電源スイッチ213と、ベース11における前底壁151に設置されており、且つ、各回路基板211と電気的に接続されている充電ポート(charging port)214とを含む。
【0034】
重心移動モジュール22は、
図5に示されるように、前後方向D1に沿って前後移動でき且つ一定の重量を有する重り221と、重り221を駆動して前後移動させる重心駆動機構222と、重り221の前後移動をガイドするようにベース11の前ベース体15に設置されている2つのレール223とを含む。
【0035】
この実施形態において、重り221は、前収容空間155に位置し且つ電源として機能する電池モジュールである。
【0036】
具体的には、重り221は、ボックス体221aと、ボックス体221a内に設置されている複数の電池221bと、ボックス体221aの頂面の中間位置で前後方向D1に沿って延伸するように設置されている接続部221cと、接続部221cから上へ直交に延伸してリミットスイッチ212と対応するセンサー221dとを含む。
【0037】
ボックス体221aは、左右両側面に形成されている2つのスライト槽221eを含む。
【0038】
各スライト槽221eは、レール223と合わせて、ボックス体221aがレール223に支持されながら前後方向D1に沿って移動するようにガイドされることができる。
【0039】
重心駆動機構222は、
図5に示されるように、後収容空間164に位置し且つ各回路基板21に電気的に接続されている重心駆動モータ222aと、重心駆動モータ222aと重り221とを連接するクランク含有リンク機構222bとを含む。
【0040】
クランク含有リンク機構222bは、接続部221cの後ろ側にある端部に接続されていて、重心駆動モータ222aに駆動されて重り221を前後移動させる。
【0041】
重心駆動モータ222aは、回路モジュール21により制御されている。回路モジュール21は、リミットスイッチ212により重り221の位置を感知し、重り221の移動のストロークを制御するように重心駆動モータ222aを制御することができる。
【0042】
重心駆動モータ222を時計回りまたは反時計回りさせるにより重り221を前方または後方へ移動させることができ、また、重心駆動モータ222aの回転速度を制御することにより、重り221の移動速度を制御することができ、また、重心駆動モータ222aの回転角度を制御することにより、重り221をストローク中の任意位置に停めることもできる。
【0043】
重心駆動モータ222aにより重り221を駆動して重り221を移動させ、水中活動装置の重心位置を変えることにより、水中活動装置の水中における移動方向を上向きまたは下向きになるよう制御することを達成することができる。
【0044】
例えば、重り221を前側寄りへ移動させると、水中活動装置の重心が前側に偏って、水中活動装置の頭部13が下へ傾いて水中において下方へ移動することができる。
【0045】
同じく、重り221を後側寄りへ移動させると、水中活動装置の重心が後側に偏って、水中活動装置の頭部13が上へ傾いて水中においてが上方へ移動することができる。
【0046】
重心移動モジュール22の全体の構造が簡単で、重心駆動機構222により重り221を前後移動させることのみにより、水中活動装置の重心位置を変えて、水中活動装置の移動方向が上向きまたは下向きになるよう制御することを達成することができる。
【0047】
また、回路モジュール21及び重心移動モジュール22は、共にベース11の収容空間に設置されており且つベース11と蓋12と共に液密の収容空間を画成するので、構造の設計を簡単化できる。
【0048】
また、この実施形態において、重り221は電池モジュールとして機能し、電池221bの重量を利用して重心位置を変える効果を得ると共に、電源を提供する機能を兼ねて、別に重りを使用する空間を省略できる。
【0049】
なお、重り221は電池モジュール限らず、実施形態の変化例において、他の部品を使用することもできる。
【0050】
図3に示されるように、推進ユニット3は、水中で推進力を出力するためのものであって、前ベース体15と接続されている2つの前肢機構31と、後ベース体16と接続されている2つの後肢機構32と、を含む。
【0051】
図4、
図6~
図8に示されるように、各前肢機構31は、対応する前取付フレーム17の前記空間内に設置されている前肢モータ311と、前肢モータ311を液密に覆うように前取付フレーム17と接続されている前防水蓋312と、前防水蓋312に、自身を回転軸として回転でき且つ前防水蓋312から突出するように貫設されており、且つ、前肢モータ311に回転駆動されるように前肢モータ311と接続されている前肢回転軸313と、前肢モータ311と前肢回転軸313とを連接する連接部材314と、前肢回転軸313と連動するように前肢回転軸313と接続されている前肢体モジュール315とを含む。
【0052】
前肢モータ311は、対応する前線通過孔156を通過する導線(図示せず)により、制御ユニット2と電気的に接続されており、且つ、前肢回転軸313を駆動して前肢回転軸313を回転させるためのものである。
【0053】
前防水蓋312は、前取付フレーム17と接続されている部分に蓋シールリング312aが設置されているので、液体が前防水蓋312と前取付フレーム17とが接続されている部分を通過することを防止して、液密に接続する効果を達成することができる。
【0054】
前肢回転軸313は、
図6に示されるように、軸心が第1の軸A1であり、且つ、前防水蓋312に液密に貫設されており、それにより、前肢モータ311が設置される前取付フレーム17の前記空間を液密に保持する。
【0055】
この実施形態において、
図7に示されるように、前肢回転軸313と前防水蓋312との間に2つの軸シールリング313aが設置されており、2つの軸シールリング313aは、前肢回転軸313の軸方向に沿って間隔が空いて並んでいて、液体が前防水蓋312と前肢回転軸313との間の隙間を通過することを確実に防止することができる。
【0056】
図6、
図8~
図9に示されるように、各前肢体モジュール315は、L形リンク316と、回転できるようにL形リンク316と接続されている前足形部材317と、を含む。
【0057】
L形リンク316は、対応する前肢回転軸313に固定するように前肢回転軸313と接続されている前肢固定部316aと、前肢固定部316aと直交に接続されている第1の枢設部316bと、を含む。
【0058】
この実施形態において、前肢固定部316aは、略C字形の環状になっており、ボルト316c及びナット316dを道いてC字形の開口を締めて閉じることにより、前肢固定部316aを前肢回転軸313に堅く固定する。
【0059】
前足形部材317は、第1の枢設部316bと枢設されている第2の枢設部317aと、第2の枢設部317aと一体的に接続されており且つ第1の軸A1と直交する第2の軸A2に沿って延伸する支持部317bと、第2の枢設部317aと連動する前肢板体部317cとを含む。
【0060】
この実施形態において、前肢板体部317cは、軟質材料により製造されており、支持部317bと接続されていて、支持部317bを介して第2の枢設部317aと連動する。
【0061】
前肢板体部317cと支持部317bとの接続箇所は、前肢板体部317cの重心から外れており、前肢板体部317cの重心に対して一側寄りの位置にある。具体的に、
図8に示されるように、支持部317bは、前肢板体部317cの前側で且つ第2の枢設部317aに近い内側と接続されている。
【0062】
実施形態の変化例において、前肢板体部317cは、硬い材料により製造されることができ、必要に応じて調整できる。
【0063】
また、この実施形態において、前肢板体部317cと支持部317bとは、複数のネジにより螺設して固定されている。実施形態の変化例において、前肢板体部317cと支持部317bとは、凸凹構造により互いに係合して固定することができ、または、プライマー(primer)を使用して異なる材料を接着する。支持部317bは、例えば金属、プラスチック、セラミックスまたはガラスなどの材料により製造されている。前肢板体部317cは、高分子弾性材料、例えばシリコーン(silicone)、合成ゴム(synthetic rubber)などの材料により製造されている。
【0064】
前肢回転軸313の軸心を第1の軸A1として、第2の枢設部317aは、第1の軸A1と直交する第2の軸A2を軸心として回転することができるように構成されている。
【0065】
前肢固定部316aは、前肢回転軸313と連動して第1の軸A1を軸心として回転して、前肢板体部317cを上下方向D2において上下搖動させる。
【0066】
水中において前肢板体部317cが上下搖動する動作中に、水圧を受けて生じる推力により第2の枢設部317aを第2の軸A2を軸心として回転させる。
【0067】
前肢板体部317cと支持部317bとの接続箇所は、前肢板体部317cの重心に対して一側寄りの位置にあるので、テコの原理により、前肢板体部317cは、第2の軸A2を軸心として回転する効果がより良く生じる。
【0068】
この実施形態において、
図9に示されるように、第2の枢設部317aは、第1の枢設部316bに面する面に、弧形槽318が形成されており、且つ、第1の枢設部316bは、第2の枢設部317に面する面に、弧形槽318に進入して弧形槽318に沿って移動できる突出柱319が形成されている。
【0069】
弧形槽318と突出柱319との組み合わせにより、第2の枢設部317aが第1の枢設部316bに対して第2の軸A2を軸心とした回転の回転範囲を制限する。
【0070】
実施形態の変化例として、第1の枢設部316bの第2の枢設部317に面する面に弧形槽318が形成され、第2の枢設部317aの第1の枢設部316bに面する面に、弧形槽318に進入して弧形槽318に沿って移動できる突出柱319が形成されることによっても、同じ機能を達成できる。
【0071】
それにより、前肢機構31は、1つのモータを使用するだけで、2つの軸(第1の軸A1及び第2の軸A2)を軸心として回転する効果を引き起こすことができる。
【0072】
図3及び
図4に示されるように、各後肢機構32は、対応する後取付フレーム18の前記空間内に設置されている後肢モータ321と、後肢モータ321を液密に覆うように前記後取付フレーム18と接続されている後防水蓋322と、後防水蓋322に、自身を回転軸として回転でき且つ後防水蓋322から突出するように貫設されており、且つ、後肢モータ321に回転駆動されるように後肢モータ321と接続されている後肢回転軸323と、後肢回転軸323と連動するように後肢回転軸323と接続されている後肢体モジュール324とを含む。
【0073】
後肢モータ321は、対応する後線通過孔165を通過する導線(図示せず)により、制御ユニット2と電気的に接続されており、且つ、後肢回転軸323を駆動して後肢回転軸323を回転させるためのものであるいる。
【0074】
後肢回転軸323は、後防水蓋322に液密に貫設されており、それにより、後肢モータ321が設置される後取付フレーム18の前記空間を液密に保持する。
【0075】
この実施形態において、後防水蓋322と後取付フレーム18との間を液密に接続する方法は、前防水蓋312と前取付フレーム17との間を液密に接続する方法と同じである。且つ、後肢回転軸323と後防水蓋322との間を液密に接続する方法は、前肢回転軸313と前防水蓋312との間を液密に接続する方法と同じである。
【0076】
各後肢体モジュール324は、対応する後肢回転軸323に固定するように後肢回転軸323と接続されている後肢固定部324aと、後肢固定部324aから延伸する後肢板体部324bとを含む。
【0077】
後肢固定部324aは、後肢回転軸323と連動して後肢回転軸323を軸心として回転して、後肢板体部324bを上下方向D2において上下搖動させる。
【0078】
この実施形態において、後肢固定部324aを後肢回転軸323に固定する方法は、前肢固定部316aを前肢回転軸313に固定する方法と同じである。
【0079】
各前肢機構31の前肢モータ311及び各後肢機構32の後肢モータ321は、いずれも液密の空間に保持することができて、防水の効果を達成できるので、高価な防水モータを使用する必要がなく、構成部品のコストを節約できる。
【0080】
また、各前肢モータ311及び各後肢モータ321は、それぞれ各前取付フレーム17内及び各後取付フレーム18内に設置されており、且つ、対応する前線通過孔156または後線通過孔165を通過する導線(図示せず)により、制御ユニット2と電気的に接続されているので、構造設計を簡単化することできる。
【0081】
本発明の水中活動装置の第2の実施形態は、第1の実施形態と類似するので、ここでは第1の実施形態と同じ構成の説明を省略し、第1の実施形態との相違点のみ説明する。
【0082】
第2の実施形態において、
図10に示されるように、前肢板体部317cは、第1の軸A1と平行するように延伸する搖動軸部317dが形成されている。
【0083】
搖動軸部317dは、支持部317bの第2の枢設部317aから離れた端部の近くに位置し、第2の枢設部317aから離れた搖動部317eを前肢板体部317cから区切る。
【0084】
この実施形態において、
図10に示されるように、搖動軸部317dは、第2の枢設部317aから離れた端縁全体に位置している。
【0085】
水中において、搖動部317eは、搖動軸部317dを軸心として搖動できる。
【0086】
第1の実施形態と同じく、水中において、前肢板体部317cの上下方向D2における上下搖動中に、水圧を受けて生じる推力により第2の枢設部317aを第2の軸A2を軸心として回転させる。
【0087】
第2の実施形態において、前肢板体部317cが水圧を受けて生じる推力は、同時に搖動部317eを搖動軸部317dを軸心として搖動させることができる。
【0088】
上記の構成によれば、本発明の水中活動装置は、全体の構造設計がより簡単であり、一体的に形成されているベース11により、簡単且つ素早く部品を組み立てることができる。また、全体の構造が簡単な重心移動モジュール22により、水中活動装置の重心位置を変えて、水中活動装置の移動方向を上向きまたは下向きに制御することを達成することができる。
【0089】
各前肢機構31の前肢モータ311及び各後肢機構32の後肢モータ321は、いずれも液密の空間に保持することができて、防水の効果を達成できるので、高価な防水モータを使用する必要がなく、構成部品のコストを節約できる。
【0090】
本発明は、例示的な実施形態と考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、そのような修正及び同等の配置をすべて包含するように最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な配置を対象とすることが意図されていることが理解される。
【0091】
上記実施形態は例示的に本発明の原理及び効果を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する当業者であれば本発明の精神及び範囲から離れないという前提の下、上記の実施形態に対して若干の変更や修飾が可能である。従って、当業者が本発明の主旨から離れないという前提の下、行った全ての変更や修飾も本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の水中活動装置は、全体の構造設計がより簡単な水中活動装置の提供に適する。
【符号の説明】
【0093】
1 ハウジングユニット
11 ベース
12 蓋
13 頭部
14 甲羅部
15 前ベース体
151 前底壁
152 前側壁
153 先頭壁
154 中間壁
155 前収容空間
156 前線通過孔
16 後ベース体
161 後底壁
162 後側壁
163 後尾壁
164 後収容空間
165 後線通過孔
17 前取付フレーム
18 後取付フレーム
19 弾性シールリング
2 制御ユニット
21 回路モジュール
211 回路基板
212 リミットスイッチ
213 電源スイッチ
214 充電ポート
22 重心移動モジュール
221 重り
221a ボックス体
221b 電池
221c 接続部
221d センサー
221e スライト槽
222 重心駆動機構
222a 重心駆動モータ
222b クランク含有リンク機構
223 レール
3 推進ユニット
31 前肢機構
311 前肢モータ
312 前防水蓋
312a 蓋シールリング
313 前肢回転軸
313a 軸シールリング
314 連接部材
315 前肢体モジュール
316 L形リンク
316a 前肢固定部
316b 第1の枢設部
316c ボルト
316d ナット
317 前足形部材
317a 第2の枢設部
317b 支持部
317c 前肢板体部
317d 搖動軸部
317e 搖動部
318 弧形槽
319 突出柱
32 後肢機構
321 後肢モータ
322 後防水蓋
323 後肢回転軸
324 後肢体モジュール
324a 後肢固定部
324b 後肢板体部
A1 第1の軸
A2 第2の軸
D1 前後方向
D2 上下方向