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特開2024-177004新規低分子ペプチド及びその代謝異常関連脂肪肝を拮抗させる用途
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  • 特開-新規低分子ペプチド及びその代謝異常関連脂肪肝を拮抗させる用途 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177004
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】新規低分子ペプチド及びその代謝異常関連脂肪肝を拮抗させる用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/065 20060101AFI20241212BHJP
   A23L 33/18 20160101ALI20241212BHJP
   C07K 5/113 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C07K5/065
A23L33/18 ZNA
C07K5/113
A61P3/00
A61K38/05
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/10
A61P3/06
A61K38/07
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023130546
(22)【出願日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】112121475
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516067645
【氏名又は名称】艾博生技抗体股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】513234042
【氏名又は名称】東海大学
【氏名又は名称原語表記】Tunghai University
【住所又は居所原語表記】No.1727, Sec.4, Taiwan Blvd., Xitun Dist., Taichung City 407, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ヴィプル、ワヤル
(72)【発明者】
【氏名】謝長奇
【テーマコード(参考)】
4B018
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018MD20
4B018ME03
4B018ME04
4B018ME14
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA16
4C084BA23
4C084CA59
4C084NA14
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZC211
4C084ZC212
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC351
4C084ZC352
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA11
4H045BA13
4H045EA01
4H045EA20
4H045FA10
4H045FA71
(57)【要約】
【課題】 本発明は、新規低分子ペプチド及びその代謝異常関連脂肪肝を拮抗させる用途を提供することにある。
【解決手段】 当該低分子ペプチドは、Tyr及びPheにより構成される配列を含む。本発明が開示する低分子ペプチドは、肝臓の脂肪蓄積の抑制、肝臓の代謝酵素のコントロール及び血糖コントロールの活性を有するため、本発明が開示する低分子ペプチドは、代謝異常関連脂肪肝及びその関連疾患を治療又は改善するのに用い得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列がTyr及びPheにより構成される配列を含む、低分子ペプチド。
【請求項2】
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID No.:1で示される配列を含む、請求項1に記載の低分子ペプチド。
【請求項3】
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID No.:2で示される配列を含む、請求項1に記載の低分子ペプチド。
【請求項4】
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はTyr-Pheを含む、請求項1に記載の低分子ペプチド。
【請求項5】
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はPhe-Tyrを含む、請求項1に記載の低分子ペプチド。
【請求項6】
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID No.:1で示される配列である、請求項1に記載の低分子ペプチド。
【請求項7】
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID No.:2で示される配列である、請求項1に記載の低分子ペプチド。
【請求項8】
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はTyr-Pheである、請求項1に記載の低分子ペプチド。
【請求項9】
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はPhe-Tyrである、請求項1に記載の低分子ペプチド。
【請求項10】
代謝異常関連脂肪肝及びその関連症状を治療又は/及び予防するのに用いられる、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の低分子ペプチドの用途。
【請求項11】
前記代謝異常関連脂肪肝の関連症状は血糖コントロールと関係する、請求項10に記載の用途。
【請求項12】
前記代謝異常関連脂肪肝の関連症状は脂質コントロールと関係する、請求項10に記載の用途。
【請求項13】
体重を減量するのに用いられる、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の低分子ペプチドの用途。
【請求項14】
有効量の請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の低分子ペプチドを少なくとも含有する組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペプチド及びその用途に関し、特に新規低分子ペプチド及びその代謝異常関連脂肪肝を拮抗させる用途に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓は主要な代謝器官であるため、一度肝臓の細胞が損傷すると、肝臓の代謝機能に支障をきたし、慢性肝炎や肝硬変、肝炎など、様々な代謝疾患が発生する。代謝異常関連脂肪肝(Metabolic-associated fatty liver disease,MAFLD)は非アルコール性脂肪肝とも呼ばれ、肝臓中に脂肪が過度に蓄積することで肝障害を起こす疾患である。肝臓中に脂肪が大量に蓄積されると、脂肪毒性(lipotoxicity)を招き、肝細胞バルーニング(ballooning)や肝小葉内炎症(lobular inflammation)などの病気を引き起こす。また、代謝異常関連脂肪肝に罹患した患者は、肥満や高脂血症、糖尿病、高血圧など、他の代謝性疾患にも罹患している場合が多い。
【0003】
代謝異常関連脂肪肝の罹患率はますます高くなっているが、現状では臨床において代謝異常関連脂肪肝への有効な治療方法はなく、患者が運動を増やし、飲食のコントロールや体重の減量によって脂肪肝の症状を改善することしかできない。しかし、大多数の患者は生活習慣の改善を継続できないため、代謝異常関連脂肪肝の治療・改善方法を開発することは臨床において重要な課題となっている。
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
【0004】
本発明の主な目的は、新規低分子ペプチド及びその代謝異常関連脂肪肝を拮抗させる用途を提供することである。即ち、本発明が開示する低分子ペプチドは、脂肪蓄積を抑制し、糖代謝をコントロールする活性を有するため、本発明が開示する低分子ペプチドの有効量を個体に投与することで、代謝不均衡に起因する疾患、特に脂肪肝及びその関連疾患を効果的に治療又は予防できるというものである。
[課題を解決するための手段]
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明は低分子ペプチドを開示するが、そのアミノ酸配列はTyr及びPheにより構成される配列を含む。
【0006】
具体的には、本発明が開示する低分子ペプチドのアミノ酸配列は、以下の配列:SEQ ID No.:1で示される配列、SEQ ID No.:2で示される配列、Tyr-Phe又はPhe-Tyr、のいずれか1つの配列を含む。
【0007】
本発明の1つの実施例において、低分子ペプチドはジペプチドであり、そのアミノ酸配列はTyr-Phe又はPhe-Tyrである。
【0008】
本発明の別の実施例において、低分子ペプチドはテトラペプチドであり、そのアミノ酸配列はSEQ ID No.:1で示される配列又はSEQ ID No.:2で示される配列である。
【0009】
さらに、本発明が開示する低分子ペプチドは、脂肪蓄積を抑制し、糖代謝をコントロールする活性を有するため、本発明の実施例では、当該低分子ペプチドの代謝異常関連脂肪肝、その関連症状を治療若しくは/及び予防するための用途、又は減量するための用途を開示する。
【0010】
そのうち、代謝異常関連脂肪肝の関連症状は、例えば糖尿病、高血糖症、インスリンの機能障害など、血糖コントロールの不均衡と関係している。
【0011】
そのうち、代謝異常関連脂肪肝の関連症状は、例えば高血圧、高脂血症、心臓血管疾患、肥満など、脂肪蓄積や脂肪の代謝不均衡と関係している。
【0012】
また、本発明のもう1つの実施例では、食品、栄養補助食品、医薬品、機能性食品などの組成物を開示するが、それらは上述のいずれか1つの低分子ペプチド又はそれらの組み合わせを有効量含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】各群におけるマウスの体重増加のパーセンテージを分析した結果である。
図2】各群におけるマウスの空腹時血糖の測定結果である。
図3】マウス各群に実施した経口ブドウ糖負荷試験における、ブドウ糖の投与から0分、30分、60分、90分、120分後の血糖値の測定結果である。
図4図3の曲線下面積(AUC)の計算結果である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、新規低分子ペプチド及びその代謝異常関連脂肪肝を拮抗させる用途を提供する。当該低分子ペプチドは、Tyr及びPheにより構成される配列を含む。具体的には、当該低分子ペプチドは、主に以下のアミノ酸配列:Tyr-Phe(YF)、Phe-Tyr(FY)、SEQ ID No.:1で示される配列(EWYF)及びSEQ ID No.:2で示される配列(EWFY)、を含む。本発明が開示する低分子ペプチドは、肝臓の脂肪蓄積の抑制、肝臓の代謝酵素のコントロール及び血糖コントロールの活性を有するため、本発明が開示する低分子ペプチドは、代謝異常関連脂肪肝及びその関連疾患を治療又は改善するのに用い得る。つまり、本発明が開示する低分子ペプチドは、代謝異常関連脂肪肝及びその関連疾患を治療又は改善する組成物の活性成分とし得るということである。
【0015】
代謝異常関連脂肪肝の関連疾患は、高脂血症、糖尿病、高血糖症、肥満、心臓血管疾患、メタボリックシンドロームなどを含む。
【0016】
本発明の1つの実施例において、低分子ペプチドは2つのアミノ酸により構成され、その配列はTyr-Phe(YF)又はPhe-Tyr(FY)であり得る。
【0017】
本発明の別の実施例において、低分子ペプチドは4つのアミノ酸により構成され、その配列はSEQ ID No.:1で示される配列又はSEQ ID No.:2で示される配列であり得る。
【0018】
本発明が開示する低分子ペプチドは、人工合成法、生合成法又は他の当分野において既知のペプチド調製方法により得られるものでもよいし、天然物から抽出して得られるものでもよい。いかなる方式で調製されたとしても、すべて低分子ペプチドの効果や本案の保護範囲には影響しない。
【0019】
用語の「低分子ペプチド」は、その分子量が5000Da未満の分子である。本発明が開示する低分子ペプチドとは、2~4個のアミノ酸により構成されるものをいう。
【0020】
「組成物」という用語は、本発明が開示する低分子ペプチドを有効量含む医薬品、栄養補助食品、食品などの製品をいい、且つ投与対象の違いによってその有効量は調整され得る。そのうち、組成物は、注射剤、散剤、錠剤、カプセル剤又は他の一般的な剤形であり得る。
【0021】
「有効量」という用語は、個体において訴求する効果が達成され得る用量をいい、それらは使用方式、投与方式、製品種類などのパラメータによって変動する。一般的には、本発明が開示する低分子ペプチドの組成物中の有効量は、組成物の総重量の0.01~100%を占める。
【0022】
「抽出」という用語は、混合物から目標物質を分離する工程をいい、例えば混合物中の各物資の様々な溶媒における溶解度の差によって目標物質を分離することができる。また、目標物質の純度を上げるために、抽出工程後、さらに濃縮、精製などの工程を行うことができる。
【0023】
用語の「人工合成法」は、複数のアミノ酸をペプチド鎖により連結させることでペプチドを合成する方式である。
【0024】
用語の「生合成法」は、遺伝子工学により目標ペプチドを発現可能なヌクレオチド配列を宿主中に導入し、宿主を培養することによって目標ペプチドを含有する代謝物を取得し、さらに分離、精製などの工程によって目標ペプチドが得られるというものである。
【0025】
以下、本発明の技術的特徴及び効果について説明するため、幾つかの実験例を図とともに挙げて詳しく説明する。
【0026】
以下の実例において使用した4つのペプチドのアミノ酸配列はそれぞれ、Tyr-Phe(YF)、Phe-Tyr(FY)、SEQ ID No.:1で示される配列及びSEQ ID No.:2で示される配列であり、且つ各ペプチドは人工合成し、各ペプチドのアミノ酸構成に誤りがないことを確認したものである。
【0027】
以下の実例において使用した用量は、実験動物に応じて算出した用量であるが、当該用量は本発明の範囲を限定するものではない。即ち、本発明の当業者は、通常の知識に基づき、様々な投与対象又は剤形に対して用量の調整を行い得るということである。
【0028】
実例1:動物実験
【0029】
5週齢のC57BL/6JNarlマウス(雄)100匹を温度22~25℃、明暗各12時間、湿度45~60%の環境下で飼育し、且つ通常飼料と水を与えて3週間飼育した後、ランダムに10群に分けて、それぞれ以下の条件で処理を行った。
【0030】
第1群:ブランク群、通常の動物用飼料と蒸留水を与えた。
【0031】
第2群:対照群、60% kcal 脂肪食+30% v/v 異性化糖(と0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)溶液)を与えて、代謝異常関連脂肪肝モデルマウスを誘導して形成した。
【0032】
第3群:YFジペプチド低用量群、60% kcal 脂肪食+30% v/v 異性化糖及び用量が10mg/kg/日のTyr-Pheジペプチドを与えた。
【0033】
第4群:YFジペプチド高用量群、60% kcal 脂肪食+30% v/v 異性化糖及び用量が50mg/kg/日のTyr-Pheジペプチドを与えた。
【0034】
第5群:FYジペプチド低用量群、60% kcal 脂肪食+30% v/v 異性化糖及び用量が10mg/kg/日のPhe-Tyrジペプチドを与えた。
【0035】
第6群:FY50ジペプチド高用量群、60% kcal 脂肪食+30% v/v 異性化糖及び用量が50mg/kg/日のPhe-Tyrジペプチドを与えた。
【0036】
第7群:EWYFテトラペプチド低用量群、60% kcal 脂肪食+30% v/v 異性化糖及び用量が10mg/kg/日のGlu-Trp-Tyr-Pheテトラペプチド(SEQ ID No.:1で示されるペプチド)を与えた。
【0037】
第8群:EWYFテトラペプチド高用量群、60% kcal 脂肪食+30% v/v 異性化糖及び用量が50mg/kg/日のGlu-Trp-Tyr-Pheテトラペプチド(SEQ ID No.:1で示されるペプチド)を与えた。
【0038】
第9群:EWFYテトラペプチド低用量群:60% kcal 脂肪食+30% v/v 異性化糖及び用量が10mg/kg/日のGlu-Trp-Phe-Tyrテトラペプチド(SEQ ID No.:2で示されるペプチド)を与えた。
【0039】
第10群:EWFYテトラペプチド高用量群:60% kcal 脂肪食+30% v/v 異性化糖及び用量が50mg/kg/日のGlu-Trp-Phe-Tyrテトラペプチド(SEQ ID No.:2で示されるペプチド)を与えた。
【0040】
各ペプチドは、0.5%カルボキシメチルセルロースと混合してペプチド溶液にしてから注射器でマウスに胃内注入した。
【0041】
実験期間は合計8週間とし、週毎にマウス各群の体重と摂食量を測定した。さらに、実験終了後にマウス各群を犠牲にして、マウス各群の肝臓、脾臓及び内蔵の白色脂肪の重量を測定した。結果は表1、表2及び図1に示す通りである。
【0042】
【0043】
【0044】
図1、表1及び表2の結果から、第2群マウスの体重、肝重量、脾重量及び内蔵の白色脂肪重量は、第1群マウスと比べていずれも顕著に増加しており、確かに代謝異常関連脂肪肝モデルマウスの構築に成功していることが分かる。また、第2群マウスと比べて、第3~第10群マウスの体重、肝重量、脾重量、内蔵の白色脂肪重量はそれぞれが顕著に低下している。この結果は、本発明が開示する各ペプチドは低用量・高用量の如何を問わず、いずれも有効に高糖・高脂肪食による体重増加、肝臓及び脾臓重量の増加を抑制せしめ、且つ内蔵での脂肪蓄積を抑制できることを示している。
【0045】
実例2:血液の生化学検査値の分析結果
【0046】
実例1の実験終了後、マウス各群の血液を採取し、マウス各群の血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(sALT)、トリグリセリド(sTG)、総コレステロール(sTC)、遊離脂肪酸(sFFA)及び超低密度リポタンパク質(sVLDL)の含有量を測定した。結果は表3に示す通りである。
【0047】
【0048】
表3の結果から、第2群マウスの血清中の各血中脂質指標はそれぞれが第1群マウスよりも顕著に高く、第2群マウスは脂質代謝異常症を有していることが分かる。また、第2群マウスと比べて、第3~第10群マウスの血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ及び各血中脂質指標の含有量はそれぞれが顕著に低下している。
【0049】
上述の結果は、本発明が開示する各ペプチドは低用量・高用量の如何を問わず、いずれも血清中の脂質含有量を低下させ、肝臓に関係する酵素を抑制する活性があることを示している。よって、有効量の各ペプチド又は各ペプチドを含有する組成物を個体に投与することにより、高糖・高脂肪食による肝臓関連疾患、高脂血症及びその他の心血管病変といった関係する代謝性疾患を効果的に改善又は予防することができる。
【0050】
実例3:血糖試験
【0051】
実例1の実験最終日に、マウス各群を禁食とし、且つ異性化糖瓶を蒸留水に交換して、禁食から12時間後、マウス各群の尾静脈から血液サンプルを5μL採取し、測定した血糖値を空腹時血糖とした。結果は図2に示す通りである。
【0052】
空腹時血糖を経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)における0分時点の血糖とした。その後、各マウスの胃内に用量が2g/kg体重のD-グルコースを投与し、グルコースを投与してから30分後、60分後、90分後、120分後にそれぞれ各マウスの血糖を測定して分析を行った。結果は図3図4に示す通りである。
【0053】
図2図4の結果から、第3群~第10群のマウスは空腹時血糖及びOGTTの曲線下面積が第2群マウスよりも顕著に低く、本発明が開示する各ペプチドは血糖コントロールの活性を有することが分かる。
【0054】
言い換えると、高脂肪・高糖食下において、有効量の各ペプチド又は各ペプチドを含有する組成物を個体に投与すると、個体の血糖を安定させることができ、これにより血糖コントロールが達成され、且つ糖尿病や血糖の不均衡に関係する疾患の発生を予防又は治療し得るということである。
【0055】
実例4:肝臓脂質含有量の分析
【0056】
実例1の実験終了後、マウス各群を犠牲にし、その肝臓を取り、酵素比色法(enzymatic colorimetric method)により各マウスの肝臓内の肝臓トリグリセリド(hTG)、肝臓総コレステロール(hTC)、肝臓遊離脂肪酸(hFFA)及び肝臓超低密度リポタンパク質(hVLDL)を含む肝臓脂質含有量を測定した。そのうち、肝臓超低密度リポタンパク質は肝臓トリグリセリドの1/5の方式で計算を行った。測定分析結果は表4に示す通りである。
【0057】
【0058】
表4の結果から、第1群マウスと比べて、第2群マウスの肝臓内のトリグリセリド、総コレステロール、遊離脂肪酸及び超低密度リポタンパク質の含有量はいずれも顕著に高く、高脂肪・高糖食が確かに肝臓脂質含有量を増加させ、脂肪肝や関係する代謝性疾患の発生を引き起こすことが分かる。一方、第2群マウスと比べて、第3群~第10群マウスは肝臓内のトリグリセリド、総コレステロール、遊離脂肪酸及び超低密度リポタンパク質の含有量がいずれも顕著に低下しており、本発明が開示する各ペプチドは肝臓の脂肪蓄積を抑制し、且つ脂肪変性の状態の発生を低減する効果を有することが示されている。
【0059】
上述の結果から、本発明が開示する各ペプチドは肝臓内の脂肪含有量を低下させる活性を有するため、有効量の各ペプチド又は各ペプチドを含有する組成物を個体に投与することにより、代謝異常関連脂肪肝及びその関連症状を改善又は予防する効果を達成し得ることが分かる。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2024177004000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列がTyr及びPheにより構成される配列を含む、低分子ペプチドであり、
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID No.:1で示される配列、又は前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID No.:2で示される配列である、低分子ペプチド。
【請求項2】
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID No.:1で示される配列である、請求項1に記載の低分子ペプチド。
【請求項3】
前記低分子ペプチドのアミノ酸配列はSEQ ID No.:2で示される配列である、請求項1に記載の低分子ペプチド。
【請求項4】
代謝異常関連脂肪肝を治療又は/及び予防するための、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の低分子ペプチド
【請求項5】
糖代謝をコントロールする活性を有する、請求項に記載の低分子ペプチド
【請求項6】
脂肪蓄積を抑制する活性を有する、請求項に記載の低分子ペプチド
【請求項7】
体重を減量するための、請求項に記載の低分子ペプチド
【請求項8】
総重量の0.01~100%を占める有効量の請求項1から請求項のいずれか1項に記載の低分子ペプチドを少なくとも含有する組成物。
【外国語明細書】