(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177029
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ニオイ測定装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20241212BHJP
G01N 33/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G01N27/12 A
G01N33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200839
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0074366
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 太 熙
(72)【発明者】
【氏名】成 大 雲
【テーマコード(参考)】
2G046
【Fターム(参考)】
2G046AA18
2G046BG04
2G046BG07
2G046BH01
2G046BH02
2G046BH03
2G046BH04
2G046BH05
2G046DB02
2G046DB03
2G046DB05
(57)【要約】
【課題】ニオイセンサの測定精度を向上できるニオイ測定装置および方法を提供する。
【解決手段】本発明による測定装置および方法は、ニオイセンサチャンバの内部にクリーンエアを供給して、ニオイセンサチャンバの内部およびニオイセンサの表面に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子がクリーンエアによってクリーニングされるようにし、同時に、ニオイセンサに対するヒーティング過程により、ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着するようにした後、新たなニオイ測定対象のガスをニオイセンサチャンバに供給する。ニオイセンサに対するクーリング過程により、ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着して、ニオイセンサの測定精度を向上できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側部にクリーンエア供給口およびガス流入口が形成され、他側部にガス排出口が形成されたニオイセンサチャンバと、
前記ニオイセンサチャンバの内部に装着されるニオイセンサと、
前記クリーンエア供給口に装着される第1バルブと、
前記ガス流入口に装着される第2バルブと、
前記ガス排出口に装着される第3バルブと、
前記ニオイセンサをヒーティングさせるために、前記ニオイセンサチャンバに装着される第1ヒータと、
前記ニオイセンサをクーリングさせるために、前記ニオイセンサチャンバに装着される第1クーラと、
前記第1バルブ、前記第2バルブおよび前記第3バルブに対する開閉制御と、前記第1ヒータおよび前記第1クーラに対するオン/オフ制御とを行う制御器と、
を含んで構成されたことを特徴とするニオイ測定装置。
【請求項2】
前記制御器は、
前記ニオイセンサのニオイ測定が終了した後、前記ニオイセンサチャンバの内部にクリーンエアを供給するために、前記第1バルブと前記第3バルブとを開制御すると同時に、前記第2バルブを閉制御するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のニオイ測定装置。
【請求項3】
前記制御器は、
前記ニオイセンサのニオイ測定が終了した後、前記ニオイセンサに対するヒーティングにより、ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が脱着するように、前記第1ヒータをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のニオイ測定装置。
【請求項4】
前記制御器は、
前記ニオイセンサチャンバの内部に新たなニオイ測定対象のガスを供給するために、前記第2バルブを開制御すると同時に、前記第1バルブと前記第3バルブとを閉制御するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のニオイ測定装置。
【請求項5】
前記制御器は、
前記ニオイセンサに対するクーリングにより、ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、前記第1クーラをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする請求項4に記載のニオイ測定装置。
【請求項6】
ニオイセンサチャンバ内に装着されたニオイセンサのニオイ測定が終了するステップと、
前記ニオイセンサチャンバの内部に以前のニオイ測定対象のガス粒子を除去するためのクリーンエアを供給するステップと、
前記ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子を脱着させるために、ニオイセンサチャンバに装着された第1ヒータをオンさせて、ニオイセンサをヒーティングさせるステップと、
前記ニオイセンサの表面から脱着した以前のニオイ測定対象のガス粒子と、前記ニオイセンサチャンバの内部に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子とが、前記クリーンエアによってニオイセンサチャンバの外部に排出されるステップと、
を含むことを特徴とするニオイ測定方法。
【請求項7】
前記ニオイセンサチャンバの内部に新たなニオイ測定対象のガスが供給される時、ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、ニオイセンサチャンバに装着された第1クーラをオンさせて、ニオイセンサをクーリングさせるステップをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のニオイ測定方法。
【請求項8】
一側部にクリーンエア供給口および第1ガス流入口が形成され、他側部に第1ガス排出口が形成されたプレチャンバと、
前記クリーンエア供給口および第1ガス流入口と、前記第1ガス排出口との間に連結されるガス流管と、
一側部に第2ガス流入口が形成され、他側部に第2ガス排出口が形成されたニオイセンサチャンバと、
前記第1ガス排出口と前記第2ガス流入口との間に連結される連結管と、
前記ニオイセンサチャンバの内部に装着されるニオイセンサと、
前記クリーンエア供給口に装着される第1バルブと、
前記第1ガス流入口に装着される第2バルブと、
前記第2ガス排出口に装着される第3バルブと、
前記プレチャンバに装着されて、前記ガス流管を通過するガスの温度を調節する温度調節部と、
前記第1バルブ、前記第2バルブおよび前記第3バルブに対する開閉制御と、前記温度調節部に対するオン/オフ制御とを行う制御器と、
を含んで構成されたことを特徴とするニオイ測定装置。
【請求項9】
前記温度調節部は、
前記ガス流管を通過するガスをヒーティングさせるために、前記プレチャンバに装着される第2ヒータと、
前記ガス流管を通過するガスをクーリングさせるために、前記プレチャンバに装着される第2クーラと、
で構成されたことを特徴とする請求項8に記載のニオイ測定装置。
【請求項10】
前記制御器は、
前記ニオイセンサのニオイ測定が終了した後、前記ガス流管を通してニオイセンサチャンバの内部にクリーンエアを供給するために、前記第1バルブと第3バルブとを開制御すると同時に、前記第2バルブを閉制御するように構成されたことを特徴とする請求項9に記載のニオイ測定装置。
【請求項11】
前記制御器は、
前記ガス流管を流れるクリーンエアがヒーティングされるように、前記第2ヒータをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする請求項10に記載のニオイ測定装置。
【請求項12】
前記制御器は、
前記ガス流管を通して新たなニオイ測定対象のガスをニオイセンサチャンバの内部に供給するために、前記第2バルブを開制御すると同時に、前記第1バルブと第3バルブとを閉制御するように構成されたことを特徴とする請求項9に記載のニオイ測定装置。
【請求項13】
前記制御器は、
前記ガス流管を流れる新たなニオイ測定対象のガスがクーリングされるように、前記第2クーラをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする請求項12に記載のニオイ測定装置。
【請求項14】
前記ニオイセンサチャンバにニオイセンサをヒーティングさせるために装着されて、前記制御器によってオン/オフ制御される第1ヒータと、
前記ニオイセンサチャンバにニオイセンサをクーリングさせるために装着されて、前記制御器によってオン/オフ制御される第1クーラと、
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のニオイ測定装置。
【請求項15】
前記制御器は、
前記ニオイセンサのニオイ測定が終了した後、前記ニオイセンサに対するヒーティングにより、ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が脱着するように、前記第1ヒータをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする請求項14に記載のニオイ測定装置。
【請求項16】
前記制御器は、
前記ニオイセンサに対するクーリングにより、ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、前記第1クーラをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする請求項14に記載のニオイ測定装置。
【請求項17】
ニオイセンサチャンバ内に装着されたニオイセンサのニオイ測定が終了するステップと、
前記ニオイセンサチャンバと連通可能に連結されたプレチャンバのガス流管にクリーンエアを供給するステップと、
前記プレチャンバに装着された第2ヒータをオンさせて、前記ガス流管を流れるクリーンエアをヒーティングさせるステップと、
ヒーティングされたクリーンエアが前記ニオイセンサチャンバに入ってニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子を脱着させるステップと、
前記ニオイセンサの表面から脱着した以前のニオイ測定対象のガス粒子と、前記ニオイセンサチャンバの内部に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子とが、前記クリーンエアによってニオイセンサチャンバの外部に排出されるステップと、
を含むことを特徴とするニオイ測定方法。
【請求項18】
前記ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が脱着するように、前記ニオイセンサチャンバに装着された第1ヒータをオンさせて、ニオイセンサをヒーティングさせるステップをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載のニオイ測定方法。
【請求項19】
前記プレチャンバのガス流管を通してニオイセンサチャンバの内部に新たなニオイ測定対象のガスが供給される時、前記ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、前記プレチャンバに装着された第2クーラをオンさせて、前記ガス流管を流れる新たなニオイ測定対象のガスをクーリングさせるステップをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載のニオイ測定方法。
【請求項20】
前記ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、前記ニオイセンサチャンバに装着された第1クーラをオンさせて、ニオイセンサをクーリングさせるステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載のニオイ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニオイ測定装置および方法に関し、さらに詳しくは、ニオイセンサの表面に対するガス粒子の吸着および脱着が容易に行われるようにすることで、ニオイセンサの測定精度を向上できるようにしたニオイ測定装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、シートカバー、ヘッドライニング、ドアトリム、マットなどのような車両の各種内装材から発生する固有のニオイ及び揮発性有機化合物(VOC)のニオイなどが新車の主なクレームの原因になっている。また、車両のエアコン作動時、蒸発器のコアに凝縮された水分によって発生するカビ繁殖および悪臭のニオイも車両の利用者に不快感を与える原因になっている。さらに、車両の走行中に周辺環境によって室外から流入する外部空気に各種悪臭のニオイが含まれ、室外から流入する悪臭のニオイも車両の利用者に不快感を与えることがある。
【0003】
このように、車両の室内外で発生する各種ニオイによって車両の感性品質が低下することがある。したがって、車両の室内外で発生する各種ニオイの原因分析および除去対策のために、ニオイセンサの正確な測定およびニオイデータの構築が先行されなければならず、車両の室内外で発生する各種ニオイに対する成分および濃度などを分析して、実際に悪臭を発生させる原因が何かを明確に判別する過程などが必要である。
【0004】
一方、車両だけでなく、各種産業現場で発生する悪臭関連の苦情を解決するために、当該産業現場にニオイセンサを配置してニオイの成分および濃度を正確に測定する過程が先行されなければならない。このために、車両だけでなく、各種産業現場で発生するニオイを測定するための従来のニオイセンサとして、電気-化学式ニオイセンサおよび電気-化学式ニオイセンサアレイが用いられ、またはバイオペプチドタイプのセンサおよびアミノ酸を用いたセンサなどのようなバイオニオイセンサが用いられる。
【0005】
添付の
図1を参照すれば、従来のニオイセンサ20がニオイセンサチャンバ10の内部に付着した状態で、ニオイセンサチャンバ10の一側部に形成されたガス流入口12から他側部に形成されたガス排出口14に向かってニオイ測定対象のガスが流れる時、ニオイセンサ20の表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着することにより、ニオイセンサ20のニオイ測定が行われる。
【0006】
例えば、前記電気-化学的ニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着する時、電気的信号を出力するニオイ測定が行われ、前記バイオニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着する時、ガスの吸着量に応じてカラー信号、RGB信号、明度信号などを異ならせて出力するニオイ測定が行われる。しかし、前記ニオイセンサによって測定されるニオイデータは所定の時間を基準として取得されるが、所定の時間の間、ニオイ測定対象のガス粒子が空気中に均一に混合されないだけでなく、ガス粒子を含む空気の温度および湿度に応じてニオイセンサによって測定されるニオイデータが変化することがあり、結局、ニオイセンサの測定精度が低下しうる問題点がある。
【0007】
特に、前記ニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着した後、脱着してこそ新たに流入するガス粒子に対するニオイ測定が正確に行われるが、ニオイセンサの表面から以前に吸着したガス粒子がうまく脱着できずニオイセンサの測定精度が低下する問題点がある。より詳しくは、
図1に示すように、ニオイセンサチャンバ10の内部に装着されたニオイセンサ20の表面に以前のニオイ測定対象のガス粒子の一部が脱着できず引き続き吸着した状態で残存すれば、新たなニオイ測定対象のガス粒子が以前のニオイ測定対象の一部のガス粒子と混合されて、ニオイセンサの表面にうまく吸着できずニオイセンサの測定精度が低下するしかない問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来の諸問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、ニオイセンサチャンバの内部に付着したニオイセンサのニオイ測定が終了した後、ニオイセンサチャンバの内部にフレッシュエアまたはピュアエアのようなクリーンエアを供給して、ニオイセンサチャンバの内部およびニオイセンサの表面に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子がクリーンエアによってクリーニングされるようにし、同時に、ニオイセンサに対するヒーティング過程により、ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着するようにすることで、ニオイセンサの測定精度を向上できるニオイ測定装置および方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、ニオイセンサチャンバの内部およびニオイセンサの表面に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子がクリーンエアによってクリーニングされた後、新たなニオイ測定対象のガスをニオイセンサチャンバに供給するとともに、ニオイセンサに対するクーリング過程により、ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着するようにすることで、ニオイセンサの測定精度をさらに向上できるようにしたニオイ測定装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための、本発明の一態様によるニオイ測定装置は、一側部にクリーンエア供給口およびガス流入口が形成され、他側部にガス排出口が形成されたニオイセンサチャンバと、前記ニオイセンサチャンバの内部に装着されるニオイセンサと、前記クリーンエア供給口に装着される第1バルブと、前記ガス流入口に装着される第2バルブと、前記ガス排出口に装着される第3バルブと、前記ニオイセンサをヒーティングさせるために、前記ニオイセンサチャンバに装着される第1ヒータと、前記ニオイセンサをクーリングさせるために、前記ニオイセンサチャンバに装着される第1クーラと、前記第1バルブ、第2バルブおよび第3バルブに対する開閉制御と、前記第1ヒータおよび第1クーラに対するオン/オフ制御を行う制御器と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様によるニオイ測定装置において、前記制御器は、前記ニオイセンサのニオイ測定が終了した後、前記ニオイセンサチャンバの内部にクリーンエアを供給するために、前記第1バルブと第3バルブとを開制御すると同時に、前記第2バルブを閉制御するように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様によるニオイ測定装置において、前記制御器は、前記ニオイセンサのニオイ測定が終了した後、前記ニオイセンサに対するヒーティングにより、ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が脱着するように、前記第1ヒータをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様によるニオイ測定装置において、前記制御器は、前記ニオイセンサチャンバの内部に新たなニオイ測定対象のガスを供給するために、前記第2バルブを開制御すると同時に、前記第1バルブと第3バルブとを閉制御するように構成されたことを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様によるニオイ測定装置において、前記制御器は、前記ニオイセンサに対するクーリングにより、ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、前記第1クーラをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様によるニオイ測定方法は、ニオイセンサチャンバ内に装着されたニオイセンサのニオイ測定が終了するステップと、前記ニオイセンサチャンバの内部に以前のニオイ測定対象のガス粒子を除去するためのクリーンエアを供給するステップと、前記ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子を脱着させるために、ニオイセンサチャンバに装着された第1ヒータをオンさせて、ニオイセンサをヒーティングさせるステップと、前記ニオイセンサの表面から脱着した以前のニオイ測定対象のガス粒子と、前記ニオイセンサチャンバの内部に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子とが、前記クリーンエアによってニオイセンサチャンバの外部に排出されるステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様によるニオイ測定方法は、前記ニオイセンサチャンバの内部に新たなニオイ測定対象のガスが供給される時、ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、ニオイセンサチャンバに装着された第1クーラをオンさせて、ニオイセンサをクーリングさせるステップをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明による他のニオイ測定装置は、一側部にクリーンエア供給口および第1ガス流入口が形成され、他側部に第1ガス排出口が形成されたプレチャンバと、前記クリーンエア供給口および第1ガス流入口と、前記第1ガス排出口との間に連結されるガス流管と、一側部に第2ガス流入口が形成され、他側部に第2ガス排出口が形成されたニオイセンサチャンバと、前記第1ガス排出口と前記第2ガス流入口との間に連結される連結管と、前記ニオイセンサチャンバの内部に装着されるニオイセンサと、前記クリーンエア供給口に装着される第1バルブと、前記第1ガス流入口に装着される第2バルブと、前記第2ガス排出口に装着される第3バルブと、前記プレチャンバに装着されて、前記ガス流管を通過するガスの温度を調節する温度調節部と、前記第1バルブ、第2バルブおよび第3バルブに対する開閉制御と、前記温度調節部に対するオン/オフ制御とを行う制御器と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【0018】
本発明の他の態様によるニオイ測定装置において、前記温度調節部は、前記ガス流管を通過するガスをヒーティングさせるために、前記プレチャンバに装着される第2ヒータと、前記ガス流管を通過するガスをクーリングさせるために、前記プレチャンバに装着される第2クーラと、で構成されたことを特徴とする。
【0019】
本発明の他の態様によるニオイ測定装置において、前記制御器は、ニオイセンサのニオイ測定が終了した後、前記ガス流管を通してニオイセンサチャンバの内部にクリーンエアを供給するために、前記第1バルブと第3バルブとを開制御すると同時に、前記第2バルブを閉制御するように構成されたことを特徴とする。
【0020】
本発明の他の態様によるニオイ測定装置において、前記制御器は、前記ガス流管を流れるクリーンエアがヒーティングされるように、前記第2ヒータをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする。
【0021】
本発明の他の態様によるニオイ測定装置において、前記制御器は、前記ガス流管を通して新たなニオイ測定対象のガスをニオイセンサチャンバの内部に供給するために、前記第2バルブを開制御すると同時に、前記第1バルブと第3バルブとを閉制御するように構成されたことを特徴とする。
【0022】
本発明の他の態様によるニオイ測定装置において、前記制御器は、前記ガス流管を流れる新たなニオイ測定対象のガスがクーリングされるように、前記第2クーラをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする。
【0023】
本発明の他の態様によるニオイ測定装置は、前記ニオイセンサチャンバにニオイセンサをヒーティングさせるために装着されて、前記制御器によってオン/オフ制御される第1ヒータと、前記ニオイセンサチャンバにニオイセンサをクーリングさせるために装着されて、前記制御器によってオン/オフ制御される第1クーラと、をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の他の態様によるニオイ測定装置において、前記制御器は、前記ニオイセンサのニオイ測定が終了した後、前記ニオイセンサに対するヒーティングにより、ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が脱着するように、前記第1ヒータをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする。
【0025】
本発明の他の態様によるニオイ測定装置において、前記制御器は、前記ニオイセンサに対するクーリングにより、ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、前記第1クーラをオンさせる制御をするように構成されたことを特徴とする。
【0026】
本発明による他のニオイ測定方法は、ニオイセンサチャンバ内に装着されたニオイセンサのニオイ測定が終了するステップと、前記ニオイセンサチャンバと連通可能に連結されたプレチャンバのガス流管にクリーンエアを供給するステップと、前記プレチャンバに装着された第2ヒータをオンさせて、前記ガス流管を流れるクリーンエアをヒーティングさせるステップと、ヒーティングされたクリーンエアが前記ニオイセンサチャンバに入ってニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子を脱着させるステップと、前記ニオイセンサの表面から脱着した以前のニオイ測定対象のガス粒子と、前記ニオイセンサチャンバの内部に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子とが、前記クリーンエアによってニオイセンサチャンバの外部に排出されるステップと、を含むことを特徴とする。
【0027】
本発明の他の態様によるニオイ測定方法は、前記ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が脱着するように、前記ニオイセンサチャンバに装着された第1ヒータをオンさせて、ニオイセンサをヒーティングさせるステップをさらに含むことを特徴とする。
【0028】
本発明の他の態様によるニオイ測定方法は、前記プレチャンバのガス流管を通してニオイセンサチャンバの内部に新たなニオイ測定対象のガスが供給される時、前記ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、前記プレチャンバに装着された第2クーラをオンさせて、前記ガス流管を流れる新たなニオイ測定対象のガスをクーリングさせるステップをさらに含むことを特徴とする。
【0029】
本発明の他の態様によるニオイ測定方法は、前記ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、前記ニオイセンサチャンバに装着された第1クーラをオンさせて、ニオイセンサをクーリングさせるステップをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
上記の課題を解決する手段により、本発明は、次のような効果を有する。
第一、ニオイセンサチャンバの内部およびニオイセンサの表面に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子を、クリーンエアを用いてクリーニングすると同時に、ニオイセンサに対するヒーティング過程により、ニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着するようにすることで、ニオイセンサの測定精度を向上させることができる。
第二、プレチャンバでクリーンエアを予めヒーティングした後、ニオイセンサチャンバの内部に供給できるようにすることで、ヒーティングされたクリーンエアによってニオイセンサの表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子がより容易に脱着することができ、それによってニオイセンサの測定精度をさらに向上させることができる。
第三、ニオイセンサチャンバの内部およびニオイセンサの表面に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子をクリーニングした後、ニオイセンサに対するクーリング過程により、ニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着するようにすることで、ニオイセンサの測定精度を向上させることができる。
第四、プレチャンバでクリーンエアを予めクーリングした後、ニオイセンサチャンバの内部に供給できるようにすることで、クーリングされたクリーンエアによってニオイセンサの表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子がより容易に吸着することができ、それによってニオイセンサの測定精度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】本発明の一実施例によるニオイ測定装置を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施例によるニオイ測定装置の作動フローを順に示す概略図である。
【
図4】本発明の一実施例によるニオイ測定装置の作動フローを順に示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施例によるニオイ測定装置の作動フローを順に示す概略図である。
【
図6】本発明の一実施例によるニオイ測定方法を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の他の実施例によるニオイ測定装置を示す概略図である。
【
図8】本発明の他の実施例によるニオイ測定装置の作動フローを順に示す概略図である。
【
図9】本発明の他の実施例によるニオイ測定装置の作動フローを順に示す概略図である。
【
図10】本発明の他の実施例によるニオイ測定装置の作動フローを順に示す概略図である。
【
図11】本発明の他の実施例によるニオイ測定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書の実施例で説明される特定の構造乃至機能的説明は単に本発明の概念による実施例を説明するために例示されたものであり、本発明の概念による実施例は多様な形態で実施可能であり、また、本明細書に説明された実施例によって発明が限定されると解釈されてはならず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更物、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0033】
一方、本発明において、第1および/または第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使われるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的でのみ、例えば、本発明の概念による権利範囲を逸脱しない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と名付けられ、同様に、第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。
【0034】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いたり「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたり接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいことが理解されなければならない。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いたりまたは「直接接触して」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないことが理解されなければならない。各構成要素間の関係を説明するための他の表現、すなわち、「~の間に」と「直に~の間に」または「~に隣接する」と「~に直接隣接する」などの表現も同様に解釈されなければならない。
【0035】
明細書全体にわたって同一の参照番号は同一の構成要素を示す。本明細書で使われた用語は実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文言で特に言及されない限り、複数形も含まれる。明細書で使われる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子が1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0036】
以下、本発明の好ましい実施例を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例0037】
図2~
図5は、本発明の一実施例によるニオイ測定装置を示し、各図面において、図面符号100は、ニオイセンサチャンバを指す。
【0038】
ニオイセンサチャンバ100は、一側部にクリーンエア供給口101およびガス流入口102が形成され、他側部にガス排出口103が形成された構造で備えられる。特に、ニオイセンサチャンバ100の内部底面にはニオイセンサ110が付着するが、該ニオイセンサ110は、電気-化学的ニオイセンサまたはバイオニオイセンサであってもよい。このため、ニオイセンサ110の表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着することにより、ニオイセンサ110のニオイ測定が行われる。例えば、電気-化学的ニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着する時、電気的信号を制御器150に出力するニオイ測定が行われ、バイオニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着する時、カラー信号、RGB信号、明度信号などを制御器150に出力するニオイ測定が行われる。
【0039】
ニオイセンサチャンバ100のクリーンエア供給口101には、フレッシュエア(フィルタリングされた外気)またはピュアエア(例、純粋な窒素、純粋な二酸化炭素)のような、クリーンエアを供給するためのクリーンエア供給源が連結される。ニオイセンサチャンバ100のガス流入口102は、車両の室内と連通可能に連結されて、車両または未来モビリティ(PBVまたはUAMなど)の室内外で発生する各種ニオイを含む空気がガス流入口102を通してニオイセンサチャンバ100内に流れることができる。
【0040】
ニオイセンサチャンバ100のガス排出口103は、外気と連通する通路であって、ニオイセンサ110によってニオイ測定が完了した後のガスがガス排出口103を通して外部に排出される。また、クリーンエア供給口101には、クリーンエアをニオイセンサチャンバ100の内部に供給する時に開制御される第1バルブ121が装着され、ガス流入口102には、ニオイ測定対象のガスをニオイセンサチャンバ100の内部に供給する時に開制御される第2バルブ122が装着される。さらに、ガス排出口103には第3バルブ123が装着されるが、該第3バルブ123は、ニオイセンサ110のニオイ測定時、ニオイセンサチャンバ100内にニオイ測定対象のガスが滞留するように閉制御され、ニオイセンサ110によってニオイ測定が完了した後のガスが外部に排出されるように開制御される。
【0041】
特に、ニオイセンサチャンバ100の下部には、ニオイセンサ110をヒーティングさせるための第1ヒータ130と、ニオイセンサ110をクーリングさせるための第1クーラ140とが並んで装着される。例えば、第1ヒータ130として熱線コイルなどが用いられ、第1クーラ140として車両のエアコン駆動による冷気を吸入するブロワなどが用いられてもよいし、あるいは、第1ヒータ130と第1クーラ140は、ヒーティングまたはクーリング作動する1つのペルチェ素子として採用されてもよい。
【0042】
一方、一定以上の高温でニオイ測定対象のガス粒子がニオイセンサの表面と衝突および接触する頻度が低くなってニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着する速度が減少し、その理由は、ガス粒子の運動量が熱振動によって増加するにつれ、ニオイセンサの表面に対するガス粒子の吸着結合力が減少するからである。このため、一定以上の高温では、ニオイセンサ110の表面にニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着せず、ニオイセンサ110の表面からニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着することができる。逆に、一定以下の低温では、ニオイ測定対象のガス粒子がニオイセンサの表面と衝突および接触する頻度が高くなってニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着する速度が増加し、その理由は、ガス粒子の熱振動による運動量が減少するにつれ、ニオイセンサの表面に対するガス粒子の吸着結合力が増加するからである。
【0043】
このため、一定以下の低温では、ニオイセンサ110の表面にニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着することができ、ニオイセンサ110の表面からニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着しなくなる。したがって、ニオイセンサ110の表面に以前のニオイ測定対象のガス粒子が脱着せず吸着した状態で維持される場合、第1ヒータ130のオン作動によってニオイセンサ110がヒーティングされるようにすることで、ニオイセンサ110の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着することができる。
【0044】
これに対し、ニオイセンサチャンバ100の内部に新たなニオイ測定対象のガスが流入する場合、第1クーラ140のオン作動によってニオイセンサ110がクーリングされるようにすることで、ニオイセンサ110の表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着することができる。一方、制御器150は、第1バルブ121、第2バルブ122および第3バルブ123に対する開閉制御を行い、第1ヒータ130および第1クーラ140に対するオン/オフ制御を行うように構成される。
【0045】
例えば、制御器150は、ニオイセンサ110のニオイ測定が終了した後、すなわち、ニオイセンサ110からニオイ測定信号を受信した後、ニオイセンサチャンバ100の内部にクリーンエアを供給するために、第1バルブ121と第3バルブ123とを開制御すると同時に、第2バルブ123を閉制御するように構成される。また、制御器150は、ニオイセンサ110のニオイ測定が終了した後、すなわち、ニオイセンサ110からニオイ測定信号を受信した後、ニオイセンサ110に対するヒーティングにより、ニオイセンサ110の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着するように、第1ヒータ130をオンさせる制御をするように構成される。さらに、制御器150は、第1ヒータ130を一定時間後にオフさせる制御を行うとともに、ニオイセンサチャンバ100の内部に新たなニオイ測定対象のガスを供給するために、第2バルブ122を開制御すると同時に、第1バルブ121と第3バルブ123とは閉制御するように構成される。
【0046】
また、制御器150は、ニオイセンサ110に対するクーリングにより、ニオイセンサ110の表面にニオイセンサチャンバ100内に入った新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着するように、第1クーラ140をオンさせる制御をするように構成される。
【0047】
ここで、上記の構成に基づいて行われる本発明の一実施例によるニオイ測定方法を説明すれば、次の通りである。
【0048】
図6は、本発明の一実施例によるニオイ測定方法を示すフローチャートである。まず、制御器150でニオイセンサチャンバ100内に装着されたニオイセンサ110のニオイ測定が終了したか否かを判断する(S101)。例えば、制御器150でニオイセンサ110からニオイ測定信号を受信する場合、ニオイセンサ110のニオイ測定が終了したと判定することができる。
【0049】
この時、ニオイセンサチャンバ100の内部に以前のニオイ測定対象のガス粒子の一部が残存することがあり、ニオイセンサ110の表面にも以前のニオイ測定対象のガス粒子の一部が吸着した状態で残っていることがある。ステップS101での判断の結果、ニオイセンサ110のニオイ測定が終了したと判定されると、ニオイセンサチャンバ100内に以前のニオイ測定対象のガス粒子を除去するためのクリーンエアを供給するステップが進行する(S102)。
【0050】
このために、制御器150で第1バルブ121と第3バルブ123とに対する開制御を行うと同時に、第2バルブ123に対する閉制御を行うことにより、クリーンエア供給源から提供されるクリーンエアが、
図3に示されるように、ニオイセンサチャンバ100のクリーンエア供給口101を通過してニオイセンサチャンバ100の内部に供給される。好ましくは、制御器150は、クリーンエアを供給するクリーンエア供給源のポンプ容量によって決定されるクリーンエアの流量情報と、ニオイセンサチャンバ100の体積情報とに基づいて、クリーンエア供給源のポンプに対するパージ制御またはオン/オフ制御を実施することにより、ニオイセンサチャンバ100の体積だけのクリーンエアの流量がニオイセンサチャンバ100内に供給される。
【0051】
また、ステップS101での判断の結果、ニオイセンサ110のニオイ測定が終了したと判定されると、ニオイセンサ110の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子を脱着させるために、ニオイセンサ110をヒーティングさせるステップが進行する(S103)。このために、制御器150で第1ヒータ130をオンさせる制御を行うことにより、
図3に示されるように、ニオイセンサ110に対するヒーティングが行われる。
【0052】
この時、ニオイセンサ110がヒーティングされることにより、ニオイセンサ110の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着することができ、その理由は、上記のように、ガス粒子の運動量が熱振動によって増加して、ニオイセンサの表面に対するガス粒子の吸着結合力が減少するからである。さらに、ニオイセンサチャンバ100の内部を流れるクリーンエアの流力によってニオイセンサ110の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子がより容易に脱着することができる。
【0053】
したがって、ニオイセンサチャンバ100の内部を流れるクリーンエアの流力によってニオイセンサチャンバ100内に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子と、ニオイセンサ110の表面から脱着した以前のニオイ測定対象のガス粒子とが、ニオイセンサチャンバ100のガス排出口103を通して外部に排出される(S105)。
【0054】
次に、ニオイセンサチャンバ100の内部に新たなニオイ測定対象のガスを供給する(S106)。このために、制御器150は、第1ヒータ130を一定時間後にオフさせる制御を行うとともに、ニオイセンサチャンバ100の内部に新たなニオイ測定対象のガスを供給するために、第2バルブ122に対する開制御を行うと同時に、第1バルブ121と第3バルブ123とに対する閉制御を行う。
【0055】
このため、
図4に示されるように、ニオイセンサチャンバ100の一側部に形成されたガス供給口102を通して新たなニオイ測定対象のガスがニオイセンサチャンバ100の内部に供給される。
【0056】
好ましくは、制御器150は、新たなニオイ測定対象のガスを供給するためのポンプ容量によって決定される新たなニオイ測定対象のガスに関する流量情報と、ニオイセンサチャンバ100の体積情報とに基づいて、新たなニオイ測定対象のガスを供給するためのポンプに対するパージ制御またはオン/オフ制御を実施することにより、ニオイセンサチャンバ100の体積だけの新たなニオイ測定対象のガスの流量がニオイセンサチャンバ100内に供給される。
【0057】
また、ニオイセンサチャンバ100の内部に新たなニオイ測定対象のガスが供給される時、ニオイセンサ110をクーリングさせるステップが進行する(S107)。このために、制御器150で第2バルブ122に対する開制御を行う時、第1クーラ140をオンさせる制御を行うことにより、
図4および
図5に示されるように、ニオイセンサ110に対するクーリングが行われる。この時、ニオイセンサ110がクーリングされることにより、ニオイセンサ110の表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着することができ、その理由は、上記のように、ガス粒子の熱振動による運動量が減少して、ニオイセンサの表面に対するガス粒子の吸着結合力が増加するからである。
【0058】
したがって、ニオイセンサ110に対するクーリング過程により、ニオイセンサ110の表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着するようにすることで、ニオイセンサの測定精度を向上させることができる。好ましくは、制御器150で第1クーラ140を一定時間の間オンさせる制御を行って、ニオイセンサ110の表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が安定して吸着するようにした後、
図5に示されるように、第1バルブ121、第2バルブ122および第3バルブ123を閉制御してニオイセンサチャンバ100内に新たなニオイ測定対象のガスのみが残るようにすることで、ニオイセンサ110のニオイ測定過程が正確に行われる。
【0059】
このような本発明の一実施例によれば、ニオイセンサチャンバ100の内部にクリーンエアを供給して、ニオイセンサチャンバ100の内部およびニオイセンサの表面に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子がクリーンエアによってクリーニングされるようにし、同時に、ニオイセンサ110に対するヒーティング過程により、ニオイセンサ110の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着するようにした後、新たなニオイ測定対象のガスをニオイセンサチャンバ100に供給するとともに、ニオイセンサ110に対するクーリング過程により、ニオイセンサ110の表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着するようにすることで、ニオイセンサの測定精度を向上させることができる。
プレチャンバ200は、一側部にクリーンエア供給口201および第1ガス流入口202が形成され、他側部に第1ガス排出口203が形成された構造で備えられる。また、プレチャンバ200の内部には、クリーンエア供給口201および第1ガス流入口202と、第1ガス排出口203との間に連結されて、クリーンエアまたはニオイ測定対象のガスが流れるようにしたガス流管204が配列される。
好ましくは、ガス流管204は、クリーンエア供給口201と第1ガス排出口203との間に連結される第1ガス流管204-1と、第1ガス流入口202と第1ガス流管204-1との間に連結される第2ガス流管204-2とで構成される。プレチャンバ200のクリーンエア供給口201には、フレッシュエア(フィルタリングされた外気)またはピュアエア(例、純粋な窒素、純粋な二酸化炭素)のようなクリーンエアを供給するためのクリーンエア供給源が連結される。
プレチャンバ200の第1ガス流入口202は、車両の室内と連通可能に連結されて、車両または未来モビリティ(PBVまたはUAMなど)の室内外で発生する各種ニオイを含む空気が第1ガス流入口202を通してプレチャンバ200のガス流管204内に流れることができる。また、プレチャンバ200の第1ガス排出口203には、連結管205によってニオイセンサチャンバ210が連通可能に連結される。ニオイセンサチャンバ210は、一側部に第2ガス流入口211が形成され、他側部に第2ガス排出口212が形成された構造で備えられる。
このため、プレチャンバ200の第1ガス排出口203とニオイセンサチャンバ210の第2ガス流入口211との間に連結管205が連結されることにより、プレチャンバ200内のガス流管204とニオイセンサチャンバ210とが互いに連通する状態になる。特に、ニオイセンサチャンバ210の内部底面にはニオイセンサ220が付着するが、該ニオイセンサ220は、電気-化学的ニオイセンサまたはバイオニオイセンサであってもよい。このため、ニオイセンサ220の表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着することにより、ニオイセンサ220のニオイ測定が行われる。
例えば、電気-化学的ニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着する時、電気的信号を制御器250に出力するニオイ測定が行われ、バイオニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着する時、カラー信号、RGB信号、明度信号などを制御器250に出力するニオイ測定が行われる。
一方、ニオイセンサチャンバ210の第2ガス排出口212は、外気と連通する通路であって、ニオイセンサ220によってニオイ測定が完了した後のガスが第2ガス排出口212を通して外部に排出される。プレチャンバ200のクリーンエア供給口201には、クリーンエアをニオイセンサチャンバ210の内部に供給する時に開制御される第1バルブ231が装着され、第1ガス流入口202には、ニオイ測定対象のガスをニオイセンサチャンバ210の内部に供給する時に開制御される第2バルブ232が装着される。
また、ニオイセンサチャンバ210の第2ガス排出口212には第3バルブ233が装着されるが、該第3バルブ233は、ニオイセンサ220のニオイ測定時、ニオイセンサチャンバ210内にニオイ測定対象のガスが滞留するように閉制御され、ニオイセンサ220によってニオイ測定が完了した後のガスが外部に排出されるように開制御される。特に、プレチャンバ200には、ガス流管204を通過するガスの温度を調節する温度調節部であって、ガス流管204を通過するガスを予めヒーティングさせるための第2ヒータ230-2と、ガス流管204を通過するガスを予めクーリングさせるための第2クーラ240-2とが装着される。
例えば、第2ヒータ230-2として熱線コイルなどが用いられ、第2クーラ240-2として車両のエアコン駆動による冷気を吸入するブロワなどが用いられてもよいし、あるいは、第2ヒータ230-2と第2クーラ240-2は、ヒーティングまたはクーリング作動する1つのペルチェ素子として採用されてもよい。また、ニオイセンサチャンバ210の下部には、ニオイセンサ220をヒーティングさせるための第1ヒータ230-1と、ニオイセンサ220をクーリングさせるための第1クーラ240-1とが並んで装着される。
同じく、第1ヒータ230-1として熱線コイルなどが用いられ、第1クーラ240-1として車両のエアコン駆動による冷気を吸入するブロワなどが用いられてもよいし、あるいは、第1ヒータ230-1と第1クーラ240-1は、ヒーティングまたはクーリング作動する1つのペルチェ素子として採用されてもよい。
一方、一定以上の高温でニオイ測定対象のガス粒子がニオイセンサの表面と衝突および接触する頻度が低くなってニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着する速度が減少し、その理由は、ガス粒子の運動量が熱振動によって増加するにつれ、ニオイセンサの表面に対するガス粒子の吸着結合力が減少するからである。このため、一定以上の高温では、ニオイセンサ220の表面にニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着せず、ニオイセンサ220の表面からニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着することができる。
逆に、一定以下の低温では、ニオイ測定対象のガス粒子がニオイセンサの表面と衝突および接触する頻度が高くなってニオイセンサの表面にニオイ測定対象のガス粒子が吸着する速度が増加し、その理由は、ガス粒子の熱振動による運動量が減少するにつれ、ニオイセンサの表面に対するガス粒子の吸着結合力が増加するからである。このため、一定以下の低温では、ニオイセンサ220の表面にニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着することができ、ニオイセンサ220の表面からニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着しなくなる。
したがって、ニオイセンサ220の表面に以前のニオイ測定対象のガス粒子が脱着せず吸着した状態で維持される場合、第2ヒータ230-2のオン作動によってクリーンエアが予めヒーティングされてニオイセンサチャンバ210内に供給されるようにし、これに加えて、第1ヒータ230-1のオン作動によってニオイセンサ220がヒーティングされるようにすることで、ニオイセンサ220の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着することができる。これに対し、ニオイセンサチャンバ210の内部に新たなニオイ測定対象のガスが流入する場合、第2クーラ240-2のオン作動によって新たなニオイ測定対象のガスが予めクーリングされてニオイセンサチャンバ210内に供給されるようにし、これに加えて、第1クーラ240-1のオン作動によってニオイセンサ220がクーリングされるようにすることで、ニオイセンサ220の表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着できる。
一方、制御器250は、第1バルブ231、第2バルブ232および第3バルブ233に対する開閉制御を行い、第1ヒータ230-1および第1クーラ240-1に対するオン/オフ制御を行い、第2ヒータ230-2および第2クーラ240-2に対するオン/オフ制御を行うように構成される。例えば、制御器250は、ニオイセンサ220のニオイ測定が終了した後、すなわち、ニオイセンサ220からニオイ測定信号を受信した後、ガス流管204を通してニオイセンサチャンバ210の内部にクリーンエアを供給するために、第1バルブ231と第3バルブ233とを開制御すると同時に、第2バルブ232を閉制御するように構成される。
また、制御器250は、ニオイセンサ220のニオイ測定が終了した後、すなわち、ニオイセンサ220からニオイ測定信号を受信した後、ガス流管204を流れるクリーンエアが予めヒーティングされるように、第2ヒータ230-2をオンさせる制御をするように構成される。また、制御器250は、ニオイセンサ220のニオイ測定が終了した後、すなわち、ニオイセンサ220からニオイ測定信号を受信した後、ニオイセンサ220に対するヒーティングにより、ニオイセンサ2220の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が脱着するように、第1ヒータ230-1をオンさせる制御をするよう構成される。
これに対し、制御器250は、ガス流管204を通して新たなニオイ測定対象のガスをニオイセンサチャンバ210の内部に供給するために、第2バルブ232を開制御すると同時に、第1バルブ231と第3バルブ233とを閉制御するように構成される。また、制御器250は、ガス流管204を流れる新たなニオイ測定対象のガスが予めクーリングされるように、第2クーラ240-2をオンさせる制御をするように構成される。
さらに、制御器250は、ニオイセンサ220に対するクーリングにより、ニオイセンサ220の表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が吸着するように、第1クーラ240-1をオンさせる制御をするように構成される。ここで、上記の構成に基づいて行われる本発明の他の実施例によるニオイ測定方法を説明すれば、次の通りである。
まず、制御器250でニオイセンサチャンバ210内に装着されたニオイセンサ220のニオイ測定が終了したか否かを判断する(S201)。例えば、制御器250でニオイセンサ220からニオイ測定信号を受信する場合、ニオイセンサ220のニオイ測定が終了したと判定することができる。この時、ニオイセンサチャンバ210の内部に以前のニオイ測定対象のガス粒子の一部が残存することがあり、ニオイセンサ220の表面にも以前のニオイ測定対象のガス粒子の一部が吸着した状態で残っていることがある。
好ましくは、制御器150は、クリーンエアを供給するクリーンエア供給源のポンプ容量によって決定されるクリーンエアの流量情報と、プレチャンバ200のガス流管204およびニオイセンサチャンバ100の体積情報とに基づいて、クリーンエア供給源のポンプに対するパージ制御またはオン/オフ制御を実施することにより、プレチャンバ200のガス流管204およびニオイセンサチャンバ100の体積だけのクリーンエアの流量がガス流管204に沿ってニオイセンサチャンバ100内に供給される。
また、制御器250で第1バルブ231に対する開制御を行う時、プレチャンバ200に装着された第2ヒータ230-2をオンさせる制御をすることにより、ガス流管204に沿って流れるクリーンエアがヒーティングされ、ヒーティングされたクリーンエアが第1ガス排出口203、連結管205、第2ガス流入口211を順に経てニオイセンサチャンバ210の内部に供給される。
このため、ヒーティングされたクリーンエアがニオイセンサチャンバ210の内部に供給されると、ニオイセンサ220の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子を1次脱着させる機能を行う(S203)。
より詳しくは、ヒーティングされたクリーンエアがニオイセンサチャンバ21内に入ってニオイセンサ220の表面に吸着した以前のニオイ測定対象のガス粒子に熱を伝達すると、ガス粒子の運動量が熱振動によって増加して、ニオイセンサ220の表面に対するガス粒子の吸着結合力が減少するので、ニオイセンサ220の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着することができ、これとともに、ヒーティングされたクリーンエアの流力がニオイセンサ220の表面に作用して、ニオイセンサ220の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着することができる。
この時、ニオイセンサ220がヒーティングされることにより、ニオイセンサ220の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着することができ、その理由は、上記のように、ガス粒子の運動量が熱振動によって増加して、ニオイセンサの表面に対するガス粒子の吸着結合力が減少するからである。
さらに、ニオイセンサチャンバ210の内部を流れるヒーティングされたクリーンエアの流力によってニオイセンサ220の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子がより容易に脱着することができる。
したがって、ニオイセンサチャンバ210の内部を流れるクリーンエアの流力によってニオイセンサチャンバ210内に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子と、ニオイセンサ220の表面から脱着した以前のニオイ測定対象のガス粒子とが、ニオイセンサチャンバ210の第2ガス排出口212を通して外部に排出される(S206)。次に、ニオイセンサチャンバ210の内部に新たなニオイ測定対象のガスを予めクーリングして供給する(S207)。
このために、制御器250は、ニオイセンサチャンバ210の内部に新たなニオイ測定対象のガスを供給するために、第2バルブ232に対する開制御を行うと同時に、第1バルブ231と第3バルブ233とに対する閉制御を行うことにより、新たなニオイ測定対象のガスがプレチャンバ200の第1ガス流入口202を通過してガス流管204に沿って流れることができる。
この時、ニオイセンサ220がクーリングされることにより、ニオイセンサ220の表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子がより容易に吸着することができ、その理由は、上記のように、ガス粒子の熱振動による運動量が減少して、ニオイセンサの表面に対するガス粒子の吸着結合力が増加するからである。したがって、新たなニオイ測定対象のガスを予めクーリングするとともに、ニオイセンサ220に対するクーリング過程により、ニオイセンサ220の表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着するようにすることで、ニオイセンサの測定精度を向上させることができる。
このような本発明の他の実施例によれば、ニオイセンサチャンバ210の内部に予めヒーティングされたクリーンエアを供給して、ニオイセンサチャンバ210の内部およびニオイセンサ220の表面に残存していた以前のニオイ測定対象のガス粒子が予めヒーティングされたクリーンエアによってクリーニングされるようにし、同時に、ニオイセンサ220に対するヒーティング過程により、ニオイセンサ220の表面から以前のニオイ測定対象のガス粒子が容易に脱着するようにした後、新たなニオイ測定対象のガスを予めクーリングしてニオイセンサチャンバ210に供給するとともに、ニオイセンサ220に対するクーリング過程により、ニオイセンサ220の表面に新たなニオイ測定対象のガス粒子が容易に吸着するようにすることで、ニオイセンサの測定精度を向上させることができる。
一方、本発明のニオイ測定装置は、車両だけでなく、PBV(Purpose Built Vehicle)およびUAM(Urban Air Mobility)などのような未来モビリティに搭載して、車両およびモビリティで発生する各種ニオイを測定できるようにすることで、測定されたニオイデータに基づいて実際に悪臭を発生させる原因が何かを明確に分析することができ、各種車両および未来モビリティのニオイの感性品質を向上させるのに寄与することができる。
また、本発明のニオイ測定装置を各種産業現場(例、ガス漏れ乃至悪臭漏れ事故が発生した産業現場)などに容易に接近可能なロボットなどに搭載して、各種産業現場で発生するニオイの成分および濃度を正確に測定できるなど、ロボットの活用度を大きく広げることができる。以上、本発明を様々な実施例で詳細に説明したが、本発明の権利範囲は上述した実施例に限定されず、下記の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良も本発明の権利範囲に含まれる。