(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177034
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】雌端子およびコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20241212BHJP
H01R 13/40 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01R13/11 H
H01R13/40 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205257
(22)【出願日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2023095639
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】西島 誠道
(72)【発明者】
【氏名】逢澤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】林 知宏
(72)【発明者】
【氏名】水野 貴斗
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE07
5E087FF13
5E087GG24
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR25
5E087RR29
(57)【要約】
【課題】構造を簡素化できる雌端子およびコネクタを提供する。
【解決手段】雌端子31は、第1筒状部41を有する第1周壁40と、第1筒状部41に対向する第2筒状部51を有する第2周壁50と、第1筒状部41と第2筒状部51とにより構成される筒状接続部60とを備える。雌端子31は、第1筒状部41の第1内面42と第2筒状部51の第2内面52との離隔距離を制限する巻き押え部90を備える。筒状接続部60は、雄端子200の柱状接続部201が内部に挿入されるとともに、柱状接続部201と電気的に接続される第1接続部である。巻き押え部90は、第1周壁40と一体に形成されている。巻き押え部90は、第1周壁40から第2周壁50の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、第2周壁50の外面に接触されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筒状部を有する第1周壁と、
前記第1筒状部に対向する第2筒状部を有する第2周壁と、
前記第1筒状部と前記第2筒状部とにより構成される筒状接続部と、
前記第1筒状部の第1内面と前記第2筒状部の第2内面との離隔距離を制限する巻き押え部と、を備え、
前記筒状接続部は、雄端子の柱状接続部が内部に挿入されるとともに、前記柱状接続部と電気的に接続される第1接続部であり、
前記巻き押え部は、前記第1周壁と一体に形成されており、
前記巻き押え部は、前記第1周壁から前記第2周壁の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、前記第2周壁の外面に接触されている、雌端子。
【請求項2】
前記雌端子は、前記第1周壁と前記第2周壁とを連結する連結部を更に備え、
前記連結部は、前記第1周壁と一体に形成されるとともに、前記第2周壁と一体に形成されている、請求項1に記載の雌端子。
【請求項3】
前記第1周壁は、第1方向に沿って延びる帯状に形成されており、
前記第2周壁は、前記第1方向に沿って延びる帯状に形成されており、
前記第1内面は、前記第1方向と交差する第2方向に向く面であり、
前記第2内面は、前記第2方向の反対方向である第2反対方向に向く面であり、
前記巻き押え部は、前記第1周壁のうち前記第1方向および前記第2方向の両方と交差する第3方向の端面から前記第2周壁に向かって折り返されており、
前記連結部は、前記第1周壁のうち前記第3方向の反対方向である第3反対方向の端面から前記第2周壁のうち前記第3反対方向の端面に向かって前記第2方向に延びるように形成されている、請求項2に記載の雌端子。
【請求項4】
前記巻き押え部は、前記第1周壁の前記第3方向の端面よりも前記第3方向に突出しており、
前記連結部は、前記第1周壁の前記第3反対方向の端面よりも前記第3反対方向に突出しており、
前記第1周壁の前記第3方向の端面からの前記巻き押え部の第1突出量は、前記第1周壁の前記第3反対方向の端面からの前記連結部の第2突出量と等しい、請求項3に記載の雌端子。
【請求項5】
前記雌端子は、前記第2周壁の前記第3方向の端面から前記第3方向に向かって突出する突起を更に備え、
前記巻き押え部は、前記突起が嵌合する貫通孔と、前記貫通孔を構成するとともに前記第2方向に向く係合面とを有し、
前記係合面は、前記突起と係合されている、請求項3に記載の雌端子。
【請求項6】
前記雌端子は、前記第1周壁の前記第1方向の端部に設けられた保護部を更に備え、
前記保護部は、前記第1周壁と一体に形成されており、
前記保護部は、前記第1周壁の前記第1方向の端部から前記第2周壁の前記第1方向の端部を内部に配置しつつ折り返されるように形成されており、
前記保護部は、前記第2周壁の前記第1方向の端部と前記第2方向において対向して設けられた保護壁を有し、
前記保護壁は、前記第2周壁の前記第1方向の端部と離隔して設けられている、請求項3に記載の雌端子。
【請求項7】
前記巻き押え部は、前記第1周壁のうち前記第1方向の反対方向である第1反対方向の端部に設けられており、
前記筒状接続部は、前記第1方向において、前記巻き押え部と前記保護部との中間位置に設けられている、請求項6に記載の雌端子。
【請求項8】
前記第2筒状部は、前記第1方向において、前記第2周壁の中間位置に設けられており、
前記保護部は、前記第1周壁の前記第1方向の端部から前記第2方向に向かって延びる延出部と、前記延出部の前記第2方向の端部から前記第1方向の反対方向である第1反対方向に向かって延びる前記保護壁と、前記延出部を前記第1方向に貫通して前記第2周壁の前記第1方向の端面を露出する開口孔とを有し、
前記開口孔は、前記第1周壁の前記第2方向の端縁と、前記第2周壁の前記第2反対方向の端縁とを露出するように形成されている、請求項6に記載の雌端子。
【請求項9】
前記第2筒状部は、前記筒状接続部の軸方向に分割された2つの分割筒状部と、前記2つの分割筒状部を分断するスリットとを有し、
前記複数の分割筒状部の各々は、前記第2内面と、前記第2内面から前記筒状接続部の径方向内方に向かって断面円弧状に突出する突部とを有し、
前記スリットは、前記軸方向において前記筒状接続部の中央位置に設けられている、請求項8に記載の雌端子。
【請求項10】
前記スリットは、前記第2周壁の前記第1方向の端面から前記第1反対方向に向かって延びるように形成されており、
前記第2周壁は、前記スリットにより分割された2つの分割部を有し、
前記開口孔は、前記2つの分割部の各々における前記第2周壁の前記第2反対方向の端縁を露出するように形成されている、請求項9に記載の雌端子。
【請求項11】
前記雌端子は、前記第1周壁のうち前記第1方向の反対方向である第1反対方向の端部に設けられた電線接続部を更に備え、
前記電線接続部は、電線と電気的に接続される第2接続部であり、
前記電線接続部は、前記第1周壁と一体に形成されており、
前記電線接続部は、前記第1周壁の前記第1反対方向の端部から前記第1反対方向に向かって延びている、請求項6に記載の雌端子。
【請求項12】
前記筒状接続部は、前記第1内面から前記筒状接続部の径方向内方に向かって突出するとともに、前記筒状接続部の周方向において互いに離隔して設けられた複数の線状接触部を有し、
前記複数の線状接触部の各々は、前記筒状接続部の軸方向に沿って延びている、請求項1に記載の雌端子。
【請求項13】
前記第2内面は、前記筒状接続部の径方向外方に向かって断面円弧状に凹むように形成されており、
前記筒状接続部は、前記第2内面から前記筒状接続部の径方向内方に向かって断面円弧状に突出する突部を有する、請求項1に記載の雌端子。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の雌端子と、
前記雌端子を内部に収容するハウジングと、を備える、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雌端子およびコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるコネクタとしては、ハウジングと、ハウジングに保持された雌端子とを備えるものが知られている。雌端子の筒状接続部には、雄端子の柱状接続部が挿入されるとともに、柱状接続部が電気的に接続される。この種の雌端子は、コイルばね等の付勢部材による付勢力を利用して、雄端子の柱状接続部に対する接触圧力を安定して確保している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記コネクタにおいては、雌端子の構造を簡素化することが望まれている。
本開示の目的は、構造を簡素化できる雌端子およびコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の雌端子は、第1筒状部を有する第1周壁と、前記第1筒状部に対向する第2筒状部を有する第2周壁と、前記第1筒状部と前記第2筒状部とにより構成される筒状接続部と、前記第1筒状部の第1内面と前記第2筒状部の第2内面との離隔距離を制限する巻き押え部と、を備え、前記筒状接続部は、雄端子の柱状接続部が内部に挿入されるとともに、前記柱状接続部と電気的に接続される第1接続部であり、前記巻き押え部は、前記第1周壁と一体に形成されており、前記巻き押え部は、前記第1周壁から前記第2周壁に向かって折り返されるとともに、前記第2周壁の外面に接触されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示の雌端子およびコネクタによれば、構造を簡素化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態のワイヤハーネスの一部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態のワイヤハーネスの一部を示す平面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態のワイヤハーネスの一部を示す平面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態のワイヤハーネスの一部を示す断面図(
図5および
図6における7-7線断面図)である。
【
図8】
図8は、第1実施形態のワイヤハーネスの一部を示す断面図(
図5および
図6における8-8線断面図)である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の雌端子を示す断面図(
図5および
図6における9-9線断面図)である。
【
図10】
図10は、第1実施形態の雌端子を示す断面図(
図9における10-10線断面図)である。
【
図11】
図11は、第1実施形態の雌端子を示す断面斜視図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態のワイヤハーネスの一部を示す分解斜視図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態のワイヤハーネスの一部を示す平面図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態のワイヤハーネスの一部を示す断面図(
図13における14-14線断面図)である。
【
図15】
図15は、第2実施形態の雌端子を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態の雌端子を示す平面図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態の雌端子を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態の製造途中の雌端子を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、第3実施形態の雌端子を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、第3実施形態のワイヤハーネスの一部を示す平面図である。
【
図21】
図21は、第3実施形態のワイヤハーネスの一部を示す断面図(
図20における21A-21A線断面図)である。
【
図22】
図22は、第3実施形態のワイヤハーネスの一部を示す断面図(
図20における22A-22A線断面図)である。
【
図23】
図23は、第3実施形態の雌端子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示の雌端子は、第1筒状部を有する第1周壁と、前記第1筒状部に対向する第2筒状部を有する第2周壁と、前記第1筒状部と前記第2筒状部とにより構成される筒状接続部と、前記第1筒状部の第1内面と前記第2筒状部の第2内面との離隔距離を制限する巻き押え部と、を備え、前記筒状接続部は、雄端子の柱状接続部が内部に挿入されるとともに、前記柱状接続部と電気的に接続される第1接続部であり、前記巻き押え部は、前記第1周壁と一体に形成されており、前記巻き押え部は、前記第1周壁から前記第2周壁の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、前記第2周壁の外面に接触されている。
【0009】
この構成によれば、筒状接続部に雄端子の柱状接続部が圧入される際に、巻き押え部によって、第1筒状部の第1内面と第2筒状部の第2内面との離隔距離が大きくなることが制限される。この巻き押え部による制限によって、柱状接続部の外周面に対して第1内面および第2内面を好適に接触させることができる。この結果、筒状接続部と柱状接続部との接触状態を安定して保持することができる。さらに、巻き押え部は、第1周壁と一体に形成されている。このため、コイルばね等の別部品を用いる従来技術に比べて簡素な構造によって、筒状接続部と柱状接続部との接触状態を保持することができる。すなわち、コイルばね等の別部品を用いる従来技術に比べて、雌端子の構造を簡素化することができる。
【0010】
[2]上記[1]において、前記雌端子は、前記第1周壁と前記第2周壁とを連結する連結部を更に備え、前記連結部は、前記第1周壁と一体に形成されるとともに、前記第2周壁と一体に形成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、第1周壁および第2周壁の両方と一体に形成された連結部によって、第1周壁と第2周壁とが連結される。これにより、連結部を通じて第1周壁と第2周壁とを一体に形成することができる。このため、1枚の金属板に対して折り曲げ加工等を施すことによって雌端子を構成することができる。この結果、雌端子の構造を簡素化することができる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記第1周壁は、第1方向に沿って延びる帯状に形成されており、前記第2周壁は、前記第1方向に沿って延びる帯状に形成されており、前記第1内面は、前記第1方向と交差する第2方向に向く面であり、前記第2内面は、前記第2方向の反対方向である第2反対方向に向く面であり、前記巻き押え部は、前記第1周壁のうち前記第1方向および前記第2方向の両方と交差する第3方向の端面から前記第2周壁に向かって折り返されており、前記連結部は、前記第1周壁のうち前記第3方向の反対方向である第3反対方向の端面から前記第2周壁の前記第3反対方向の端面に向かって折り返されるように形成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、第1周壁を間にして連結部の反対側に巻き押え部が設けられる。このため、連結部が開くこと、つまり第1周壁と第2周壁との離隔距離が大きくなることを巻き押え部によって好適に制限することができる。この結果、第1内面と第2内面との離隔距離が大きくなることを巻き押え部によって好適に制限することができる。
【0014】
[4]上記[3]において、前記巻き押え部は、前記第1周壁の前記第3方向の端面よりも前記第3方向に突出しており、前記連結部は、前記第1周壁の前記第3反対方向の端面よりも前記第3反対方向に突出しており、前記第1周壁の前記第3方向の端面からの前記巻き押え部の第1突出量は、前記第1周壁の前記第3反対方向の端面からの前記連結部の第2突出量と等しくてもよい。
【0015】
この構成によれば、第1周壁の第3方向の端面から第2周壁に向かって折り返された巻き押え部の第1突出量が、第1周壁の第3反対方向の端面から第2周壁に向かって折り返された連結部の第2突出量と等しくなる。このため、巻き押え部と連結部とを対称形状に近い形状に形成することができる。これにより、巻き押え部を収容可能な第1空間に対して、その第1空間に巻き押え部を向けた姿勢であっても、第1空間に連結部を向けた姿勢であっても、雌端子を収容することができる。この結果、第1空間に対する雌端子の挿入方向の制約を緩和することができる。したがって、雌端子の汎用性を向上させることができる。
【0016】
[5]上記[3]または[4]において、前記雌端子は、前記第2周壁の前記第3方向の端面から前記第3方向に向かって突出する突起を更に備え、前記巻き押え部は、前記突起が嵌合する貫通孔と、前記貫通孔を構成するとともに前記第2方向に向く係合面とを有し、前記係合面は、前記突起と係合されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、巻き押え部によって第2周壁が押えられるとともに、突起が係合面に係合されることで巻き押え部が突起によって押えられる。これらにより、第1内面と第2内面との離隔距離が大きくなることを安定して制限することができる。
【0018】
[6]上記[3]から[5]のいずれかにおいて、前記雌端子は、前記第1周壁の前記第1方向の端部に設けられた保護部を更に備え、前記保護部は、前記第1周壁と一体に形成されており、前記保護部は、前記第1周壁の前記第1方向の端部から前記第2周壁の前記第1方向の端部を内部に配置しつつ折り返されるように形成されており、前記保護部は、前記第2周壁の前記第1方向の端部と前記第2方向において対向して設けられた保護壁を有し、前記保護壁は、前記第2周壁の前記第1方向の端部と離隔して設けられていてもよい。
【0019】
この構成によれば、第1周壁と一体に形成された保護部の保護壁が、第2周壁の第1方向の端部と離隔した状態で対向して設けられる。このため、例えば第2周壁の第1方向の端部に対して意図せずに過大な外力が加わり、その外力に起因して第1周壁から離隔するように第2周壁が変形する場合であっても、その変形を保護壁によって好適に阻止することができる。
【0020】
[7]上記[6]において、前記巻き押え部は、前記第1周壁のうち前記第1方向の反対方向である第1反対方向の端部に設けられており、前記筒状接続部は、前記第1方向において、前記巻き押え部と前記保護部との中間位置に設けられていてもよい。
【0021】
この構成によれば、巻き押え部が、第1方向において筒状接続部と異なる位置に設けられる。このような巻き押え部によって、第1周壁と第2周壁との離隔距離が大きくなることを制限することができる。ひいては、巻き押え部によって、筒状接続部を構成する第1内面と筒状接続部を構成する第2内面との離隔距離が大きくなることを制限することができる。
【0022】
[8]上記[6]または[7]において、前記第2筒状部は、前記第1方向において、前記第2周壁の中間位置に設けられており、前記保護部は、前記第1周壁の前記第1方向の端部から前記第2方向に向かって延びる延出部と、前記延出部の前記第2方向の端部から前記第1方向の反対方向である第1反対方向に向かって延びる前記保護壁と、前記延出部を前記第1方向に貫通して前記第2周壁の前記第1方向の端面を露出する開口孔とを有し、前記開口孔は、前記第1周壁の前記第2方向の端縁と、前記第2周壁の前記第2反対方向の端縁とを露出するように形成されていてもよい。
【0023】
この構成によれば、保護部の延出部を第1方向に貫通するとともに、第1周壁の第2方向の端縁と第2周壁の第2反対方向の端縁とを露出する開口孔が設けられる。これにより、例えば開口孔を通じて第1周壁および第2周壁に対してレーザを照射することができる。すなわち、雌端子の第1方向の端面から第1方向に向かって離れた位置から雌端子の第1周壁および第2周壁に対してレーザを照射することができる。このようなレーザの照射によって、第1周壁の第2方向の端縁と第2周壁の第2反対方向の端縁との間の距離を測定することができる。すなわち、レーザの照射によって、第1周壁と第2周壁との間のギャップを測定することができる。
【0024】
[9]上記[8]において、前記第2筒状部は、前記筒状接続部の軸方向に分割された2つの分割筒状部と、前記2つの分割筒状部を分断するスリットとを有し、前記複数の分割筒状部の各々は、前記第2内面と、前記第2内面から前記筒状接続部の径方向内方に向かって断面円弧状に突出する突部とを有し、前記スリットは、前記軸方向において前記筒状接続部の中央位置に設けられていてもよい。
【0025】
この構成によれば、2つの分割筒状部を分断するスリットが、筒状接続部の軸方向の中心位置に設けられる。このとき、筒状接続部に挿入された雄端子の柱状接続部が変位する際には、筒状接続部の軸方向の中心を回転中心として柱状接続部が回転する。このような回転中心に突部と柱状接続部との接触部分が設けられた場合には、突部による接触圧力を、柱状接続部の変位を抑制する力として作用させることができない。これに対し、上記構成では、筒状接続部の軸方向の中心に設けられたスリットとは異なる位置に突部が設けられる。このため、柱状接続部の変位における回転中心とは異なる位置において、突部と柱状接続部とを接触させることができる。これにより、突部による接触圧力を、柱状接続部の変位を抑制する力として好適に作用させることができる。この結果、複数の突部による接触圧力によって、筒状接続部の内部における柱状接続部の変位を好適に抑制できる。さらに、筒状接続部では、2つの突部が軸方向に離隔した2つの箇所で柱状接続部の外周面に接触される。これにより、第2筒状部の第2内面に1つの突部のみが設けられる場合に比べて、2つの突部による接触圧力によって筒状接続部の内部における柱状接続部の変位を抑制することができる。
【0026】
[10]上記[9]において、前記スリットは、前記第2周壁の前記第1方向の端面から前記第1反対方向に向かって延びるように形成されており、前記第2周壁は、前記スリットにより分割された2つの分割部を有し、前記開口孔は、前記2つの分割部の各々における前記第2周壁の前記第2反対方向の端縁を露出するように形成されていてもよい。
【0027】
この構成によれば、開口孔が、複数の分割部の各々における第2周壁の第2反対方向の端縁を露出するように形成される。このため、開口部を通じて第1周壁および第2周壁に対してレーザを照射することにより、複数の分割部の各々における第2周壁の第2反対方向の端縁と第1周壁の第2方向の端縁との間の距離を測定することができる。
【0028】
[11]上記[6]から[10]のいずれかにおいて、前記雌端子は、前記第1周壁のうち前記第1方向の反対方向である第1反対方向の端部に設けられた電線接続部を更に備え、前記電線接続部は、電線と電気的に接続される第2接続部であり、前記電線接続部は、前記第1周壁と一体に形成されており、前記電線接続部は、前記第1周壁の前記第1反対方向の端部から前記第1反対方向に向かって延びていてもよい。
【0029】
この構成によれば、電線と電気的に接続される電線接続部が第1周壁と一体に形成されている。このため、雌端子の部品点数の削減を図ることができ、雌端子の構造を簡素化することができる。
【0030】
[12]上記[1]から[11]のいずれかにおいて、前記筒状接続部は、前記第1内面から前記筒状接続部の径方向内方に向かって突出するとともに、前記筒状接続部の周方向において互いに離隔して設けられた複数の線状接触部を有し、前記複数の線状接触部の各々は、前記筒状接続部の軸方向に沿って延びていてもよい。
【0031】
この構成によれば、筒状接続部に雄端子の柱状接続部が圧入された際に、筒状接続部を構成する第1内面に設けられた線状接触部が周方向に離隔した複数箇所で柱状接続部の外周面に線接触した状態で圧接される。これにより、例えば雄端子に揺動が伝達された場合であっても、その揺動による雄端子の変位を、複数の線状接触部に雄端子が接触されることによって阻止することができる。
【0032】
[13]上記[1]から[8]のいずれかにおいて、前記第2内面は、前記筒状接続部の径方向外方に向かって断面円弧状に凹むように形成されており、前記筒状接続部は、前記第2内面から前記筒状接続部の径方向内方に向かって断面円弧状に突出する突部を有してもよい。
【0033】
この構成によれば、筒状接続部に雄端子の柱状接続部が圧入された際に、筒状接続部を構成する第2内面から径方向内方に向かって断面円弧状に突出する突部が柱状接続部の外周面に圧接される。これにより、柱状接続部の外周面に対して高い接圧で突部を圧接させることができるため、筒状接続部と柱状接続部との圧接状態を安定して保持することができる。
【0034】
[14]本開示のコネクタは、上記[1]から[13]のいずれかに記載の雌端子と、前記雌端子を内部に収容するハウジングと、を備える。
この構成によれば、上記[1]の雌端子と同様の効果を得ることができる。
【0035】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の雌端子およびコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。本明細書において「等しい」とは、正確に等しい場合の他、寸法公差等の影響により比較対象同士に多少の相違がある場合も含む。本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状やU字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。なお、「筒状」の形状には、円形、楕円形、および尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における「対向」とは、面同士または部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。また、本明細書における「第1」「第2」「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0036】
(第1実施形態)
以下、雌端子およびコネクタの第1実施形態について説明する。
(ワイヤハーネスW1の全体構成)
図1に示すように、ワイヤハーネスW1は、1本以上(本実施形態では、2本)の電線20と、電線20の端部に取り付けられたコネクタC1とを備えている。ワイヤハーネスW1は、例えば、車両用の電気機器同士を電気的に接続するものである。車両用の電気機器としては、例えば、インバータや車輪駆動用のモータを挙げることができる。詳細な図示は省略するが、コネクタC1は、電気機器に設けられた相手コネクタと電気的に接続される。相手コネクタは、例えば、1以上(本実施形態では、2つ)の相手端子である雄端子200(
図4参照)と、2つの雄端子200を保持する相手ハウジングとを備えている。なお、各図面における各方向は、必ずしもコネクタC1およびワイヤハーネスW1の使用時の姿勢を表すものではない。
【0037】
(コネクタC1の全体構成)
図2に示すように、コネクタC1は、ハウジング30と、複数の電線20の端部にそれぞれ接続された複数の雌端子31とを備えている。ハウジング30は、複数の雌端子31を保持している。ハウジング30は、複数の雌端子31を内部に収容するハウジング本体110と、ハウジング本体110に取り付けられるリテーナ120とを有している。なお、各図面には、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。各図面には、X軸に沿ったX軸方向の一方向である第1方向X1と、第1方向X1の反対方向である第1反対方向X2とを図示している。各図面には、Y軸に沿ったY軸方向の一方向である第2方向Y1と、第2方向Y1の反対方向である第2反対方向Y2とを図示している。各図面には、Z軸に沿ったZ軸方向の一方向である第3方向Z1と、第3方向Z1の反対方向である第3反対方向Z2とを図示している。以上説明した各方向は、特に説明の無い限り、電線20の端部にコネクタC1が組み付けられた状態における方向である。
【0038】
ハウジング本体110には、第1方向X1に沿って雌端子31および電線20が挿入される。ハウジング本体110には、第3方向Z1に沿ってリテーナ120が取り付けられる。コネクタC1には、例えば、第3方向Z1に沿って相手コネクタが接続される。例えば、相手コネクタの雄端子200(
図4参照)が第3方向Z1に沿ってハウジング本体110の内部に挿入される。
【0039】
(電線20の構成)
各電線20は、導電性を有する芯線21と、芯線21の外周を囲うとともに絶縁性を有する絶縁被覆22とを有している。芯線21としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線を用いることができる。芯線21の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。絶縁被覆22は、例えば、芯線21の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆22は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。
【0040】
芯線21の第1方向X1の端部は、絶縁被覆22から露出している。絶縁被覆22から露出した芯線21の第1方向X1の端部には、雌端子31が接続されている。
図3に示すように、電線20の第1方向X1の端部は、ハウジング本体110の内部に収容されている。電線20は、ハウジング本体110の第1反対方向X2の端部から第1反対方向X2に導出されている。
【0041】
(雌端子31の構成)
図2に示すように、2つの雌端子31は、2つの電線20のそれぞれに電気的に接続されている。2つの雌端子31は、例えば、Y軸方向に沿って並んで設けられている。2つの雌端子31は、例えば、互いに同一の構造を有している。ここでは、2つの雌端子31のうち第2方向Y1側に設けられた雌端子31に着目して説明する。
【0042】
各雌端子31は、電線20の端部と接続される電線接続部32と、電線接続部32の第1方向X1の端部から第1方向X1に向かって延びる端子接続部33とを有している。各雌端子31は、例えば、電線接続部32と端子接続部33とが連続して一体に形成された単一部品である。各雌端子31は、例えば、金属板材を折り曲げたり組み合わせたりすることにより構成されている。本実施形態の各雌端子31は、1枚の金属板材を折り曲げることにより構成されている。各雌端子31は、例えば、金属製である。各雌端子31の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
【0043】
電線接続部32は、絶縁被覆22から露出された芯線21の端部に接続されている。電線接続部32は、例えば、平板状に形成されている。電線接続部32は、例えば、X軸方向に沿って帯状に延びている。電線接続部32は、例えば、圧着や超音波溶接などによって芯線21に接続されている。これにより、電線接続部32と芯線21とが電気的および機械的に接続されている。
【0044】
図4に示すように、端子接続部33は、相手コネクタの雄端子200と接続される雌端子部である。ここで、雄端子200は、柱状の柱状接続部201を有している。本実施形態の柱状接続部201は、円柱状に形成されている。
【0045】
端子接続部33は、第1筒状部41を有する第1周壁40と、第1筒状部41に対向する第2筒状部51を有する第2周壁50とを有している。端子接続部33は、第1筒状部41と第2筒状部51とにより構成される筒状接続部60を有している。端子接続部33は、例えば、連結部70と、突出部80と、巻き押え部90と、保護部100とを有している。第1周壁40と第2周壁50とは、Y軸方向において互いに対向している。
【0046】
(第1周壁40および第2周壁50の構成)
図4および
図5に示すように、第1周壁40の第1反対方向X2の端部は、電線接続部32の第1方向X1の端部と接続されている。第1周壁40は、第1方向X1に沿って延びる帯状に形成されている。第1周壁40は、例えば、電線接続部32の第1方向X1の端部から第1方向X1に向かって延びている。換言すると、電線接続部32は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部から第1反対方向X2に向かって延びている。第1周壁40は、例えば、平板状に形成されている。第1周壁40は、Z軸方向に沿う所定の幅を有している。
図4に示すように、第1周壁40は、Y軸方向に沿う所定の厚みを有している。第1周壁40は、第2周壁50と対向する内面と、その内面とY軸方向において反対側に設けられた外面とを有している。
【0047】
図4および
図6に示すように、第2周壁50は、第1方向X1に沿って延びる帯状に形成されている。第2周壁50は、例えば、平板状に形成されている。第2周壁50は、Z軸方向に沿う所定の幅を有している。
図4に示すように、第2周壁50は、Y軸方向に沿う所定の厚みを有している。第2周壁50は、第1周壁40の内面と対向する内面と、その内面とY軸方向において反対側に設けられた外面とを有している。第2周壁50の内面は、例えば、Y軸方向において、第1周壁40の内面と離隔して設けられている。第2周壁50は、例えば、第1周壁40と平行に延びている。
【0048】
第1筒状部41は、第1周壁40のX軸方向の中間位置に設けられている。第1筒状部41は、X軸方向において、巻き押え部90と保護部100との間に設けられている。第1筒状部41は、例えば、全体として半割筒状に形成されている。
図5に示すように、第1筒状部41は、Z軸方向に沿って延びている。第1筒状部41は、第1周壁40のZ軸方向の全長にわたって延びている。
【0049】
図4に示すように、第2筒状部51は、第2周壁50のX軸方向の中間位置に設けられている。第2筒状部51は、X軸方向において、巻き押え部90と保護部100との間に設けられている。第2筒状部51は、例えば、全体として半割筒状に形成されている。第2筒状部51は、Z軸方向に沿って延びている。第2筒状部51は、第2周壁50のZ軸方向の全長にわたって延びている。
【0050】
図7に示すように、第1筒状部41は、第2方向Y1に向く第1内面42を有している。第2筒状部51は、第2反対方向Y2に向く第2内面52を有している。第1内面42と第2内面52とは、Y軸方向において互いに対向している。第1筒状部41と第2筒状部51とは、互いに離隔する方向に向かって湾曲している。第1筒状部41の第1内面42と第2筒状部51の第2内面52とにより、筒状接続部60の内部空間が形成されている。筒状接続部60は、雄端子200の柱状接続部201が内部に挿入されるとともに、柱状接続部201と電気的に接続される接続部分である。
図4に示すように、筒状接続部60の軸方向は、例えば、電線20が延びる方向(ここでは、X軸方向)と交差する方向、本実施形態ではZ軸方向に沿って延びている。筒状接続部60は、Z軸方向の両端に開口している。すなわち、筒状接続部60は、第3方向Z1に開口するとともに、第3反対方向Z2に開口している。本実施形態の筒状接続部60には、第3方向Z1に沿って柱状接続部201が挿入される。
【0051】
図7に示すように、筒状接続部60は、例えば、全体として円筒状に形成されている。筒状接続部60は、例えば、柱状接続部201の最大外径寸法よりも小さな最大内径寸法を有している。すなわち、筒状接続部60は、柱状接続部201が圧入されるように構成されている。
【0052】
第1筒状部41の外面は、X軸方向と平行な平面で第1筒状部41を切断した断面形状が円弧状に湾曲した曲面に形成されている。第1筒状部41の外面は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に突出するように形成されている。同様に、第1筒状部41の第1内面42は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に凹むように形成されている。
【0053】
第1筒状部41の第1内面42には、その第1内面42から筒状接続部60の径方向内方に向かって突出する複数(本実施形態では、2つ)の線状接触部43が設けられている。2つの線状接触部43は、筒状接続部60の周方向において互いに離隔した位置に設けられている。2つの線状接触部43は、例えば、X軸方向において互いに部分的に対向するように設けられている。
図5に示すように、各線状接触部43は、筒状接続部60の軸方向(ここでは、Z軸方向)に沿って延びている。
【0054】
図7に示すように、2つの線状接触部43を有する第1内面42の曲率は、雄端子200の柱状接続部201の外周面の曲率よりも小さく設定されている。これにより、2つの線状接触部43を柱状接続部201の外周面に好適に接触させることができる。このとき、各線状接触部43は、筒状接続部60の軸方向に沿って線状に柱状接続部201の外周面に接触される。すなわち、各線状接触部43は、柱状接続部201の外周面に線接触する。
【0055】
第2筒状部51の外面は、X軸方向と平行な平面で第2筒状部51を切断した断面形状が円弧状に湾曲した曲面に形成されている。第2筒状部51の外面は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に突出するように形成されている。同様に、第2筒状部51の第2内面52は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に凹むように形成されている。
【0056】
図4および
図6に示すように、第2筒状部51の外面には、その外面から筒状接続部60の径方向内方に向かって窪む窪み部53が設けられている。
図6に示すように、Y軸方向から見た窪み部53の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。窪み部53は、例えば、第2筒状部51のZ軸方向の中間位置に設けられるとともに、第2筒状部51のX軸方向の中間位置に設けられている。
【0057】
図8に示すように、第2筒状部51の第2内面52には、その第2内面52から筒状接続部60の径方向内方に向かって突出する突部54が設けられている。突部54は、例えば、窪み部53が形成された部分における第2筒状部51の第2内面52に設けられている。突部54は、例えば、筒状接続部60の軸方向(ここでは、Z軸方向)と平行な平面で突部54を切断した断面形状が、筒状接続部60の径方向内方に向かって円弧状に突出する形状に形成されている。突部54は、第2内面52から筒状接続部60の径方向内方に向かって断面円弧状に突出するように形成されている。突部54は、例えば、筒状接続部60の周方向に沿って延びている。突部54は、例えば、筒状接続部60の軸方向に沿って延びている。突部54は、雄端子200の柱状接続部201の外周面に点接触する。突部54は、例えば、エンボス加工によって形成することができる。突部54は、第2筒状部51の外面を金型で加圧することによりエンボス状に形成されている。
【0058】
筒状接続部60の軸方向の両端部の各々は、例えば、誘導部61を有している。各誘導部61は、筒状接続部60の軸方向における開口端に近づくに連れて筒状接続部60の開口幅(ここでは、内径)が大きくなるように形成されている。各誘導部61は、例えば、筒状接続部60の内面が、筒状接続部60の開口端に近づくに連れて筒状接続部60の径方向外方に向かって傾斜することで形成されている。各誘導部61は、例えば、第1筒状部41の第1内面42の周方向全周にわたって形成されるとともに、第2筒状部51の第2内面52の周方向全周にわたって形成されている。各誘導部61は、筒状接続部60に雄端子200の柱状接続部201を挿入する際に、その柱状接続部201を筒状接続部60の内部にスムーズに誘導する機能を有している。このような誘導部61が筒状接続部60の軸方向の両端部に設けられているため、筒状接続部60への雄端子200の挿入口を筒状接続部60の軸方向の両端部のいずれに設定した場合であっても、挿入抵抗の変化を同様にすることができる。このため、筒状接続部60の軸方向に対する雄端子200の挿入方向の制限を無くすことができる。
【0059】
図4に示すように、第2周壁50は、例えば、第2周壁50の外面から突出する凸部55を有している。凸部55は、第2周壁50の外面から第2方向Y1に向かって突出している。凸部55は、Z軸方向から見た平面視において、巻き押え部90と重なる位置に設けられている。凸部55は、例えば、第2周壁50の第1反対方向X2の端部に設けられている。凸部55は、例えば、第2周壁50の第1反対方向X2の端面から第1方向X1に向かって延びている。凸部55は、X軸方向において、第2筒状部51まで延びていない。凸部55は、例えば、第2周壁50のZ軸方向の中間位置に設けられている。Y軸方向から見た凸部55の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。凸部55は、例えば、エンボス加工によって形成することができる。凸部55は、第2周壁50の内面を金型で加圧することによりエンボス状に形成されている。
【0060】
図9に示すように、第2周壁50では、凸部55が形成された部分の内面に凹部56が設けられている。凹部56は、第2周壁50の内面から第1周壁40から離れる方向に向かって凹むように形成されている。
【0061】
(連結部70の構成)
図4に示すように、連結部70は、第1周壁40と第2周壁50とを連結している。連結部70は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端部と第2周壁50の第3反対方向Z2の端部とを連結している。連結部70は、第1周壁40と一体に形成されるとともに、第2周壁50と一体に形成されている。連結部70は、第1周壁40のうち第3反対方向Z2の端面から第2周壁50のうち第3反対方向Z2の端面に向かって第2方向Y1に延びるように形成されている。連結部70は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面から第2周壁50の第3反対方向Z2の端面に向かって折り返されるように形成されている。
【0062】
連結部70は、例えば、端子接続部33の第1反対方向X2の端部に設けられている。連結部70は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部に設けられている。連結部70は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部から第1方向X1に延びている。連結部70は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面よりも第3反対方向Z2に突出するとともに、第2周壁50の第3反対方向Z2の端面よりも第3反対方向Z2に突出している。
【0063】
図9に示すように、連結部70は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面から第3反対方向Z2に延びる延出部71と、第2周壁50の第3反対方向Z2の端面から第3反対方向Z2に延びる延出部72とを有している。連結部70は、延出部71と延出部72とを繋ぐ折り返し部73を有している。
【0064】
延出部71は、第1周壁40と連続して一体に形成されている。折り返し部73は、延出部71と連続して一体に形成されている。折り返し部73は、延出部71の端部から第2周壁50に向かって折り返されるように形成されている。折り返し部73は、例えば、延出部71の端部から第3方向Z1に向かってU字状に折り返されている。延出部72は、折り返し部73から第2周壁50に向かって第3方向Z1に延びている。延出部72は、折り返し部73と連続して一体に形成されるとともに、第2周壁50と連続して一体に形成されている。連結部70は、延出部71と折り返し部73と延出部72とによって、第1周壁40および第2周壁50から離れる方向(ここでは、第3反対方向Z2)に向かって凸となるU字の折り返し形状をなしている。連結部70は、第1周壁40上に第2周壁50が対向配置されるように折り返されている。換言すると、端子接続部33では、第2周壁50が、連結部70によって第1周壁40上に向かって2つ折り状に折り重ねられている。
【0065】
(突出部80の構成)
図10に示すように、突出部80は、第2周壁50の第3方向Z1の端面に設けられている。突出部80は、例えば、第2周壁50の第3方向Z1の端面から第3方向Z1に延びる突出基部81と、突出基部81の突出先端面の一部から第3方向Z1に延びる突起82とを有している。突出基部81は、第2周壁50と連続して一体に形成されている。突出基部81は、第2周壁50の第1反対方向X2の端面から第1方向X1に沿って延びている。突起82は、突出基部81と連続して一体に形成されている。突起82は、突出基部81の突出先端面、ここでは第3方向Z1の端面よりも第3方向Z1に突出している。突起82は、例えば、突出基部81のX軸方向の中間位置のみに設けられている。突起82は、例えば、Y軸方向から見た平面視において、突出基部81から突起82の突出先端面に近づくに連れて、X軸方向に沿う幅が小さくなるように形成されている。
【0066】
(巻き押え部90の構成)
図4に示すように、巻き押え部90は、第1筒状部41の第1内面42と第2筒状部51の第2内面52との離隔距離を制限するように形成されている。巻き押え部90は、第1内面42と第2内面52との離隔距離が大きくなることを制限している。巻き押え部90は、連結部70が開くことを制限している。巻き押え部90は、第1周壁40と一体に形成されている。巻き押え部90は、例えば、第1周壁40の第3方向Z1の端部に設けられている。巻き押え部90は、例えば、第1周壁40から第2周壁50の端面を内部に抱えこみつつ折り返されるように形成されている。巻き押え部90は、例えば、第1周壁40の第3方向Z1の端面から第2周壁50の第3方向Z1の端縁を内部に配置しつつ折り返されるように形成されている。巻き押え部90は、第2周壁50の外面に接触されている。
【0067】
巻き押え部90は、例えば、端子接続部33の第1反対方向X2の端部に設けられている。巻き押え部90は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部に設けられている。巻き押え部90は、端子接続部33の第1反対方向X2の端部から第1方向X1に延びている。巻き押え部90は、例えば、Z軸方向から見た平面視において、連結部70と重なる位置に設けられている。例えば、巻き押え部90は、Z軸方向において、第1周壁40を間にして連結部70の反対側に設けられている。
【0068】
図9に示すように、巻き押え部90は、第1周壁40の第3方向Z1の端面から第3方向Z1に延びる延出部91と、延出部91の端部に設けられた折り返し部92と、折り返し部92の端部から第2周壁50に向かって延びる押え部93とを有している。
【0069】
延出部91は、第1周壁40と連続して一体に形成されている。折り返し部92は、延出部91と連続して一体に形成されている。折り返し部92は、延出部91の第3方向Z1の端部から第2周壁50に向かって折り返されるように形成されている。折り返し部92は、例えば、延出部91の端部から第3反対方向Z2に向かってU字状に折り返されている。押え部93は、折り返し部92と連続して一体に形成されている。押え部93は、折り返し部92から突出部80および第2周壁50に向かって第3反対方向Z2に延びている。巻き押え部90は、延出部91と折り返し部92と押え部93とによって、第1周壁40および第2周壁50から離れる方向(ここでは、第3方向Z1)に向かって凸となるU字の折り返し形状をなしている。
【0070】
押え部93は、第2周壁50の外面を外側から押えるように設けられている。押え部93は、例えば、突出基部81の外面を外側から押さえるように設けられている。押え部93は、第2周壁50の外面と対向する対向面94を有している。対向面94は、例えば、第2周壁50の外面と平行に延びている。対向面94は、例えば、第2周壁50の外面と面接触している。
【0071】
ここで、第1周壁40の第3方向Z1の端面からの巻き押え部90の第1突出量P1は、例えば、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面からの連結部70の第2突出量P2と等しい。第1突出量P1は、第1周壁40の第3方向Z1の端面から巻き押え部90の突出先端までのZ軸方向に沿う最長距離である。第2突出量P2は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面から連結部70の突出先端までのZ軸方向に沿う最長距離である。Y軸方向に沿う折り返し部92の長さ寸法は、例えば、Y軸方向に沿う折り返し部73の長さ寸法よりも第2周壁50の厚み分だけ大きい。
【0072】
第2周壁50の外面からのY軸方向に沿う巻き押え部90の突出量は、例えば、第2周壁50の外面からのY軸方向に沿う凸部55の突出量と等しい。換言すると、凸部55は、第2周壁50の外面からの突出量が巻き押え部90と等しくなるように形成されている。
【0073】
図4に示すように、巻き押え部90は、突起82が嵌合する貫通孔95を有している。貫通孔95は、巻き押え部90を厚さ方向に貫通している。貫通孔95は、例えば、折り返し部92の中間位置から押え部93の中間位置まで延びている。貫通孔95は、突起82が嵌合可能な大きさに形成されている。
【0074】
図11に示すように、巻き押え部90は、貫通孔95を構成するとともに突起82と係合する係合面96を有している。係合面96は、例えば、第2方向Y1に向いている。係合面96は、突起82の内面とY軸方向において対向している。係合面96は、例えば、突起82の内面と平行に延びている。係合面96は、例えば、突起82の内面と面接触している。突起82の外面は、例えば、貫通孔95により巻き押え部90から露出されている。
【0075】
本実施形態の端子接続部33では、巻き押え部90の押え部93により第2周壁50の外面が外側から押えられるとともに、突出部80の突起82により巻き押え部90の係合面96が外側から押えられている。これにより、第1周壁40と第2周壁50との離隔距離が大きくなることを安定して制限することができる。
【0076】
(保護部100の構成)
図4に示すように、保護部100は、例えば、端子接続部33の第1方向X1の端部を保護するように設けられている。保護部100は、第1周壁40の第1方向X1の端部に設けられている。保護部100は、例えば、第1周壁40と一体に形成されている。保護部100は、第1周壁40の第1方向X1の端部から第2周壁50の第1方向X1の端部を内部に配置しつつ折り返されるように形成されている。
【0077】
保護部100は、第1周壁40の第1方向X1の端部から第2方向Y1に向かって延びる延出部101と、延出部101の第2方向Y1の端部から第2周壁50に向かって延びる保護壁102とを有している。延出部101は、第1周壁40と連続して一体に形成されている。保護壁102は、延出部101と連続して一体に形成されている。保護部100は、延出部101と保護壁102とによって、第2周壁50から離れる方向(ここでは、第1方向X1)に向かって凸となるU字の折り返し形状をなしている。保護壁102は、第2周壁50の第1方向X1の端部とY軸方向において対向するように設けられている。保護壁102は、第2周壁50の外面と離隔して設けられている。すなわち、保護壁102と第2周壁50の外面との間には、隙間が設けられている。保護壁102は、例えば、筒状接続部60に柱状接続部201が挿入された状態において、第2周壁50の外面と離隔するように設けられている。なお、Y軸方向に沿う延出部101の長さ寸法は、Y軸方向に沿う折り返し部92の長さ寸法よりも大きい。
【0078】
(ハウジング本体110の構成)
図3に示すように、ハウジング本体110は、電線20が第1反対方向X2に導出されるように雌端子31を保持している。ハウジング本体110は、2つの雌端子31を内部に収容している。ハウジング本体110は、例えば、全体として箱状に形成されている。ハウジング本体110は、例えば、合成樹脂製である。
【0079】
ハウジング本体110は、第1反対方向X2に開口する開口部111を有している。雌端子31に接続された電線20は、開口部111を通じてハウジング本体110の外部に引き出されている。ハウジング本体110は、例えば、第3反対方向Z2に設けられた周壁112と、周壁112の外面に設けられた筒部113とを有している。筒部113は、図示しない相手コネクタの相手ハウジングが嵌合される嵌合筒部である。筒部113は、周壁112のうち第1方向X1の端部に設けられている。筒部113は、周壁112の外面からハウジング本体110の径方向外方(ここでは、第3反対方向Z2)に向かって突出している。筒部113は、例えば、四角筒状に形成されている。
【0080】
筒部113は、挿入孔114を有している。挿入孔114は、ハウジング本体110の内外を連通するように形成されている。挿入孔114は、第3方向Z1に開口するとともに、第3反対方向Z2に開口している。挿入孔114は、例えば、筒部113をZ軸方向に貫通するとともに、周壁112をZ軸方向に貫通している。挿入孔114は、ハウジング本体110に収容された雌端子31を露出するように形成されている。ここで、ハウジング本体110の内部に収容された各雌端子31は、筒状接続部60の開口端が挿入孔114から露出されるように設けられている。
【0081】
(リテーナ120の構成)
リテーナ120は、ハウジング本体110の筒部113に取り付けられる。リテーナ120は、本体部121と、雌端子31の第1反対方向X2への移動を規制する1以上(本実施形態では、2つ)の規制部122とを有している。リテーナ120は、例えば、本体部121と規制部122とが連続して一体に形成された単一部品である。リテーナ120は、例えば、合成樹脂製である。
【0082】
本体部121は、例えば、全体として枠状に形成されている。本体部121の外周縁は、例えば、Z軸方向から見た平面形状が四角形状に形成されている。本体部121は、例えば、筒部113の第3反対方向Z2の端面を被覆するように形成されている。
【0083】
本体部121は、1以上(本実施形態では、2つ)の挿入孔123を有している。各挿入孔123は、本体部121をZ軸方向に貫通している。各挿入孔123は、筒部113の挿入孔114と連通するように形成されている。2つの挿入孔123は、例えば、ハウジング本体110に収容された2つの雌端子31の筒状接続部60の開口端をそれぞれ露出するように形成されている。
【0084】
図12に示すように、2つの規制部122は、2つの雌端子31のそれぞれに対応して設けられている。2つの規制部122は、例えば、Y軸方向に沿って並んで設けられている。各規制部122は、例えば、雌端子31の一部が収容される筒状に形成されている。各規制部122の横断面形状は、全体としてU字状をなしている。各規制部122の軸方向は、X軸方向に沿って延びている。各規制部122は、第1方向X1に開口するとともに、第1反対方向X2に開口している。各規制部122は、第3方向Z1に開口している。
【0085】
各規制部122の内部空間には、例えば、第3反対方向Z2に沿って各雌端子31が挿入される。各規制部122の内部空間には、例えば、各雌端子31における端子接続部33の第1反対方向X2の端部が収容されている。2つの規制部122には、例えば、2つの雌端子31が互いに異なる向きでそれぞれ収容されている。詳述すると、2つの規制部122のうち第2方向Y1側に設けられた規制部122には、巻き押え部90を第3方向Z1に向けた姿勢で雌端子31が収容されている。2つの規制部122のうち第2反対方向Y2側に設けられた規制部122には、巻き押え部90を第3反対方向Z2に向けた姿勢で雌端子31が収容されている。具体的には、第2反対方向Y2側に設けられた雌端子31は、第2方向Y1側に設けられた雌端子31を180°回転させた姿勢で規制部122に収容されている。
図3に示すように、各規制部122は、リテーナ120がハウジング本体110の筒部113に取り付けられる際に、第3方向Z1に沿ってハウジング本体110の内部に挿入される。このとき、各規制部122は、雌端子31を内部に収容するように、ハウジング本体110の内部に挿入される。
【0086】
図12、
図13および
図14に示すように、各規制部122は、底壁124と、底壁124の第1側縁から突出する側壁125と、底壁124の第2側縁から突出する側壁126とを有している。底壁124の第1側縁は、他方の規制部122の底壁124と対向している。底壁124の第2側縁は、Y軸方向において第1側縁と反対側に設けられている。各規制部122の内部空間は、底壁124と側壁125と側壁126とによって囲まれた空間により構成されている。
【0087】
図14に示すように、各側壁125,126は、底壁124と連続して一体に形成されている。各側壁125,126は、底壁124から第3方向Z1に向かって突出している。各側壁125,126は、例えば、板状に形成されている。2つの側壁125,126は、例えば、底壁124の幅方向(ここでは、Y軸方向)において互いに対向している。
【0088】
側壁125の内面と側壁126の内面との間の間隔は、例えば、巻き押え部90を収容可能な大きさに設定されている。側壁125の内面と側壁126の内面との間の最短距離は、Y軸方向に沿う巻き押え部90の最長距離よりも僅かに大きく設定されている。ここで、雌端子31の凸部55は、第2周壁50の外面からのY軸方向に沿う突出量が巻き押え部90のY軸方向に沿う突出量と等しくなるように形成されている。このため、側壁125の内面と側壁126の内面との間には、凸部55を好適に収容することができる。このような凸部55を設けたことにより、巻き押え部90が設けられていない部分において、雌端子31と側壁125,126の内面との間の隙間が大きくなることを抑制できる。これにより、各規制部122の内部において雌端子31が傾くことを好適に抑制できる。
【0089】
図13に示すように、各規制部122は、雌端子31と係合する係合壁127を有している。係合壁127は、例えば、規制部122の第1反対方向X2の開口の一部を塞ぐように設けられている。係合壁127は、例えば、底壁124と連続して一体に形成されている。係合壁127は、例えば、側壁126と連続して一体に形成されている。係合壁127は、例えば、側壁126の第1反対方向X2の端部からY軸方向に沿って側壁125に向かって延びている。係合壁127は、Y軸方向において側壁125まで延びていない。
【0090】
係合壁127は、リテーナ120がハウジング本体110(
図2参照)に取り付けられた場合に、雌端子31の第2周壁50の第1反対方向X2の端面とX軸方向において係合可能に設けられている。係合壁127は、雌端子31の第1反対方向X2への移動を規制している。このような係合壁127を有する規制部122は、ハウジング本体110(
図2参照)の内部における雌端子31のX軸方向の位置を保証している。
【0091】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1-1)雌端子31は、第1筒状部41を有する第1周壁40と、第1筒状部41に対向する第2筒状部51を有する第2周壁50と、第1筒状部41と第2筒状部51とにより構成される筒状接続部60とを備える。雌端子31は、第1筒状部41の第1内面42と第2筒状部51の第2内面52との離隔距離を制限する巻き押え部90を備える。筒状接続部60は、雄端子200の柱状接続部201が内部に挿入されるとともに、柱状接続部201と電気的に接続される第1接続部である。巻き押え部90は、第1周壁40と一体に形成されている。巻き押え部90は、第1周壁40から第2周壁50の端縁を内部に抱え込みつつ折り返されるとともに、第2周壁50の外面に接触されている。
【0092】
この構成によれば、雌端子31の筒状接続部60に雄端子200の柱状接続部201が圧入される際に、巻き押え部90によって、第1周壁40の第1内面42と第2周壁50の第2内面52との離隔距離が大きくなることが制限される。この巻き押え部90による制限によって、第1内面42および第2内面52が互いに接近する方向に付勢された状態に維持される。このため、柱状接続部201の外周面に対して第1内面42および第2内面52を好適に接触させることができる。この結果、筒状接続部60と柱状接続部201との圧接状態を安定して保持することができる。さらに、巻き押え部90は、第1周壁40と一体に形成されている。このため、コイルばね等の別部品を用いる従来技術に比べて簡素な構造によって、筒状接続部60と柱状接続部201との圧接状態を保持することができる。すなわち、コイルばね等の別部品を用いる従来技術に比べて、雌端子31の構造を簡素化することができる。
【0093】
(1-2)第1周壁40および第2周壁50の両方と一体に形成された連結部70によって、第1周壁40と第2周壁50とが連結される。これにより、連結部70を通じて第1周壁40と第2周壁50とを一体に形成することができる。このため、1枚の金属板に対して折り曲げ加工等を施すことによって雌端子31を構成することができる。この結果、雌端子31の構造を簡素化することができる。
【0094】
(1-3)第1周壁40を間にして連結部70の反対側に巻き押え部90が設けられる。このため、連結部70が開くこと、つまり第1周壁40と第2周壁50との離隔距離が大きくなることを巻き押え部90によって好適に制限することができる。この結果、第1内面42と第2内面52との離隔距離が大きくなることを巻き押え部90によって好適に制限することができる。
【0095】
(1-4)第1周壁40の第3方向Z1の端面から第2周壁50に向かって折り返された巻き押え部90の第1突出量P1は、第1周壁40の第3反対方向Z2の端面から第2周壁50に向かって折り返された連結部70の第2突出量P2と等しい。このため、巻き押え部90と連結部70とを対称形状に近い形状に形成することができる。これにより、巻き押え部90を収容可能な第1空間、つまり規制部122の内部空間に対して、その内部空間に巻き押え部90を向けた姿勢であっても、内部空間に連結部70を向けた姿勢であっても、雌端子31を収容することができる。この結果、規制部122の内部空間に対する雌端子31の挿入方向の制約を緩和することができる。したがって、雌端子31の汎用性を向上させることができる。
【0096】
(1-5)雌端子31は、第2周壁50の第3方向Z1の端面から第3方向Z1に向かって突出する突起82を備える。巻き押え部90は、突起82が嵌合する貫通孔95と、貫通孔95を構成するとともに第2方向Y1に向く係合面96とを有する。係合面96は、突起82と係合されている。この構成によれば、巻き押え部90によって第2周壁50の外面が外側から押えられるとともに、突起82が係合面96に係合されることで巻き押え部90が突起82によって押えられる。これらにより、第1内面42と第2内面52との離隔距離が大きくなることを安定して制限することができる。
【0097】
(1-6)第1周壁40と一体に形成された保護部100の保護壁102は、第2周壁50の第1方向X1の端部と離隔した状態で対向して設けられる。このため、例えば第2周壁50の第1方向X1の端部に対して意図せずに過大な外力が加わり、その外力に起因して第1周壁40から離隔するように第2周壁50が変形する場合であっても、その変形を保護壁102によって好適に阻止することができる。
【0098】
(1-7)巻き押え部90は、第1周壁40の第1反対方向X2の端部に設けられている。筒状接続部60は、第1方向X1において、巻き押え部90と保護部100との中間位置に設けられている。この構成によれば、巻き押え部90が、第1方向X1において筒状接続部60と異なる位置に設けられる。このような巻き押え部90によって、第1周壁40と第2周壁50との離隔距離が大きくなることを制限することができる。ひいては、巻き押え部90によって、筒状接続部60を構成する第1内面42と筒状接続部60を構成する第2内面52との離隔距離が大きくなることを制限することができる。
【0099】
(1-8)電線20と電気的に接続される電線接続部32が第1周壁40と一体に形成されている。このため、雌端子31の部品点数の削減を図ることができ、雌端子31の構造を簡素化することができる。
【0100】
(1-9)筒状接続部60は、第1内面42から筒状接続部60の径方向内方に向かって突出するとともに、筒状接続部60の周方向において互いに離隔して設けられた複数の線状接触部43を有する。複数の線状接触部43の各々は、筒状接続部60の軸方向に沿って延びている。この構成によれば、筒状接続部60に雄端子200の柱状接続部201が圧入された際に、筒状接続部60を構成する第1内面42に設けられた線状接触部43が周方向に離隔した複数箇所で柱状接続部201の外周面に線接触した状態で圧接される。これにより、例えば雄端子200に揺動が伝達された場合であっても、その揺動による雄端子200の変位を、複数の線状接触部43に雄端子200が接触されることにより阻止することができる。
【0101】
(1-10)第2内面52は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に凹むように形成されている。筒状接続部60は、第2内面52から筒状接続部60の径方向内方に向かって断面円弧状に突出する突部54を有する。この構成によれば、筒状接続部60に雄端子200の柱状接続部201が圧入された際に、筒状接続部60を構成する第2内面52から径方向内方に向かって断面円弧状に突出する突部54が柱状接続部201の外周面に圧接される。これにより、柱状接続部201の外周面に対して高い接圧で突部54を圧接させることができるため、筒状接続部60と柱状接続部201との圧接状態を安定して保持することができる。
【0102】
(第2実施形態)
以下、雌端子およびコネクタの第2実施形態について説明する。この実施形態のコネクタは、雌端子の構造が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成もしくは対応する構成に同一の符号を付して、その構成の説明の一部または全部を省略する場合がある。
【0103】
(雌端子31Aの構成)
図15に示すように、雌端子31Aは、電線接続部32と、端子接続部33とを有している。端子接続部33は、第1筒状部41を有する第1周壁40と、第2筒状部51を有する第2周壁50と、第1筒状部41と第2筒状部51とにより構成される筒状接続部60とを有している。端子接続部33は、連結部70と、突出部80と、巻き押え部90と、保護部100とを有している。
【0104】
保護部100は、第1周壁40の第1方向X1の端部から第2方向Y1に向かって延びる延出部101と、延出部101の第2方向Y1の端部から第2周壁50に向かって延びる保護壁102とを有している。
【0105】
保護部100は、延出部101を第1方向X1に貫通して第2周壁50の第1方向X1の端面を露出する開口孔103を有している。開口孔103は、例えば、第1周壁40の第2方向Y1の端縁と、第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁とを露出するように形成されている。
【0106】
図16に示すように、開口孔103は、第1周壁40の第2方向Y1の端縁と第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁との間の距離L1を、開口孔103を通じて外部から測定可能なように、第1周壁40と第2周壁50とを露出させている。すなわち、開口孔103は、距離L1を外部から測定するための開口窓である。ここで、距離L1は、第1周壁40の内面、つまり第1周壁40の第2方向Y1の端面と、第2周壁50の内面、つまり第2周壁50の第2反対方向Y2の端面との間の間隔に相当する。すなわち、距離L1は、第1周壁40と第2周壁50との間のギャップである。
【0107】
図15に示すように、開口孔103は、例えば、Z軸方向において、保護部100の中間位置に設けられている。開口孔103は、例えば、保護部100のZ軸方向の中間部分が切り欠かれるように形成されている。開口孔103は、延出部101を厚さ方向(ここでは、X軸方向)に貫通するように形成されている。開口孔103は、第1方向X1および第1反対方向X2の双方に開口している。開口孔103は、例えば、延出部101を延出方向(ここでは、Y軸方向)に貫通するように形成されている。開口孔103は、第2方向Y1および第2反対方向Y2の双方に開口している。開口孔103は、例えば、X軸方向において、保護壁102の中間位置まで延びている。例えば、保護壁102に形成された開口孔103は、Y軸方向において、第2周壁50の第1方向X1の端部と重なるように形成されている。換言すると、開口孔103は、第2周壁50の第1方向X1の端部における外面(つまり、第2方向Y1の端面)を露出するように形成されている。開口孔103は、例えば、X軸方向において、第1周壁40の中間位置まで延びている。換言すると、開口孔103は、第1周壁40の第1方向X1の端部が切り欠かれるように形成されている。これにより、開口孔103から第1周壁40の第2方向Y1の端縁を好適に露出させることができる。第1周壁40に形成された開口孔103は、例えば、Y軸方向において、保護壁102に形成された開口孔103と重なるように形成されている。
【0108】
図17に示すように、電線接続部32のうち第1反対方向X2の端面の一部は、例えば、切断面32Aである。切断面32Aは、例えば、Z軸方向において、電線接続部32の中間位置に設けられている。切断面32Aは、例えば、Z軸方向に沿って延びている。切断面32Aは、例えば、電線接続部32の第1反対方向X2の端面のうち切断面32A以外の部分と表面粗度が異なる。
【0109】
図18に示すように、雌端子31Aを製造する際の途中工程においては、例えば、複数の雌端子31Aが帯状のキャリア131により互いに連結された構造体130が形成される。構造体130は、例えば、金属板材に対してプレス加工や曲げ加工を施すことにより形成される。構造体130では、各雌端子31Aにおける電線接続部32の第1反対方向X2の端面の一部にキャリア131が接続されている。詳述すると、キャリア131は、雌端子31Aに向かって突出する複数の突出連結部132と、貫通孔133とを有している。各突出連結部132は、各雌端子31Aにおける電線接続部32の第1反対方向X2の端面の一部に連結されている。
【0110】
各雌端子31Aは、最終的にキャリア131の突出連結部132を切除することにより形成される。このため、電線接続部32の第1反対方向X2の端面の一部は、キャリア131の突出連結部132の切除によって露出する切断面32A(
図17参照)になる。すなわち、
図17に示した切断面32Aは、キャリア131が切断された切断跡である。
【0111】
図18に示した構造体130は、例えば、図示しないリールに巻き取られる。このとき、キャリア131に設けられた貫通孔133は、構造体130をリールに巻き取る際に利用される。構造体130をリールに巻き取る際のリールの送り方向D1は、例えば、第3方向Z1に一致している。
【0112】
ここで、構造体130の各雌端子31Aにおける第1周壁40と第2周壁50との間のギャップを測定するためには、照射方向E2から雌端子31Aに対してレーザを照射する方法が考えられる。しかし、この場合には、リールの送り方向D1とレーザの照射方向E2とが互いに平行な方向になるため、測定装置、例えばレーザの光源および受光器を設置することが困難である。すなわち、送り方向D1に沿って構造体130がリールに巻き取られる際に、送り方向D1において隣接する2つの雌端子31Aの間に測定装置を設置することは困難である。
【0113】
そこで、構造体130における各雌端子31Aに、リールの送り方向D1と直交する第1方向X1に開口する開口孔103を設けるようにした。これにより、リールの送り方向D1と直交する照射方向E1から開口孔103を通じて雌端子31A、具体的には第1周壁40および第2周壁50に対してレーザを照射することができる。照射方向E1は、例えば、第1反対方向X2に一致している。このような照射方向E1からのレーザの照射によって、第1周壁40の第2方向Y1の端縁と第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁との間の距離L1(
図16参照)を測定することができる。この場合には、雌端子31Aの開口孔103から第1方向X1に向かって離れた位置に測定装置、例えばレーザの光源および受光器を設けることができる。このため、測定装置を、雌端子31Aからリールの送り方向D1と直交する方向に離れた位置に設置することができる。したがって、送り方向D1に沿って構造体130をリールに巻き取る際に、雌端子31Aが測定装置に接触することを好適に抑制できる。
【0114】
第1周壁40の第2方向Y1の端縁と第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁との間の距離L1(
図16参照)を測定することにより、例えば、距離L1に基づき筒状接続部60の内径を算出することができる。このため、距離L1が所望の大きさになっているか否かを検査することにより、各雌端子31Aにおける筒状接続部60の内径が所望の大きさになっているか否かを検査することができる。このような検査を、キャリア131に連結された状態の雌端子31Aに対してレーザを照射することによって実施することができる。このため、各雌端子31Aにおける筒状接続部60の内径が所望の大きさになっているか否かを容易に全数検査することができる。
【0115】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)から(1-10)の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
(2-1)保護部100の延出部101を第1方向X1に貫通するとともに、第1周壁40の第2方向Y1の端縁と第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁とを露出する開口孔103が設けられる。これにより、例えば開口孔103を通じて第1周壁40および第2周壁50に対してレーザを照射することができる。すなわち、雌端子31Aの第1方向X1の端面から第1方向X1に向かって離れた位置から雌端子31Aの第1周壁40および第2周壁50に対してレーザを照射することができる。このようなレーザの照射によって、第1周壁40の第2方向Y1の端縁と第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁との間の距離L1を測定することができる。
【0116】
(2-2)開口孔103は、第1周壁40の第1方向X1の端部を切り欠くように形成されている。この構成によれば、開口孔103を通じて第1周壁40の第2方向Y1の端縁を好適に外部に露出させることができる。これにより、開口孔103を通じて第1周壁40および第2周壁50に対してレーザを好適に照射することができる。
【0117】
(第3実施形態)
以下、雌端子およびコネクタの第3実施形態について説明する。この実施形態のコネクタは、雌端子の構造が上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第2実施形態と同一の構成もしくは対応する構成に同一の符号を付して、その構成の説明の一部または全部を省略する場合がある。
【0118】
(雌端子31Bの構成)
図19に示すように、雌端子31Bは、電線接続部32と、端子接続部33とを有している。端子接続部33は、第1筒状部41を有する第1周壁40と、第2筒状部51Aを有する第2周壁50と、第1筒状部41と第2筒状部51Aとにより構成される筒状接続部60とを有している。端子接続部33は、連結部70と、突出部80と、巻き押え部90と、保護部100とを有している。
【0119】
図19および
図20に示すように、第2筒状部51Aは、筒状接続部60の軸方向(ここでは、Z軸方向)に分割された複数(本実施形態では、2つ)の分割筒状部152と、2つの分割筒状部152を分断するスリット153とを有している。2つの分割筒状部152は、筒状接続部60の軸方向において、スリット153を間に挟んで互いに離隔して設けられている。2つの分割筒状部152は、例えば、互いに同一の構造を有している。
【0120】
図21に示すように、各分割筒状部152は、第2反対方向Y2に向く第2内面154と、第2内面154の反対側に設けられた外面とを有している。各分割筒状部152の外面は、X軸方向と平行な平面で分割筒状部152を切断した断面形状が円弧状に湾曲した曲面に形成されている。分割筒状部152の外面は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に突出している。同様に、分割筒状部152の第2内面154は、筒状接続部60の径方向外方に向かって断面円弧状に凹むように形成されている。
【0121】
図22に示すように、各分割筒状部152の外面には、その外面から筒状接続部60の径方向内方に向かって窪む窪み部155が設けられている。
図20に示すように、Y軸方向から見た窪み部155の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。窪み部155は、例えば、分割筒状部152のZ軸方向の全長にわたって形成されている。
【0122】
図22に示すように、各分割筒状部152の第2内面154には、その第2内面154から筒状接続部60の径方向内方に向かって突出する突部156が設けられている。突部156は、例えば、窪み部155が形成された部分における分割筒状部152の第2内面154に設けられている。突部156は、例えば、エンボス加工によって形成することができる。突部156は、分割筒状部152の外面を金型で加圧することによりエンボス状に形成されている。
【0123】
突部156は、例えば、筒状接続部60の軸方向(ここでは、Z軸方向)と平行な平面で突部156を切断した断面形状が、筒状接続部60の径方向内方に向かって円弧状に突出する形状に形成されている。突部156は、第2内面154から筒状接続部60の径方向内方に向かって断面円弧状に突出している。突部156は、筒状接続部60の周方向に沿って延びている。突部156は、筒状接続部60の軸方向に沿って延びている。突部156の突出先端156Aは、例えば、雄端子200の柱状接続部201の外周面に点接触する。
【0124】
各突出先端156Aは、例えば、分割筒状部152の軸方向(ここでは、Z軸方向)の中心に設けられている。各突出先端156Aは、筒状接続部60の軸方向において、その軸方向における筒状接続部60の中心から所定距離だけ離隔した位置に設けられている。
【0125】
図19に示すように、スリット153は、第2筒状部51AをY軸方向に貫通している。スリット153は、例えば、筒状接続部60の軸方向において筒状接続部60の中央位置に設けられている。
【0126】
スリット153は、第2筒状部51Aの周方向に沿って第2筒状部51Aの周方向全長にわたって延びている。スリット153は、例えば、第2周壁50の第1方向X1の端面から第1反対方向X2に沿って、分割筒状部152よりも第1反対方向X2に向かった位置まで延びている。スリット153は、第1方向X1に開口している。すなわち、スリット153は、第2周壁50の第1方向X1の端面から第1反対方向X2に向かって切り欠かれるように形成されている。
【0127】
第2周壁50の第1方向X1の端部は、スリット153によって二股に分割された構造に形成されている。すなわち、第2周壁50の第1方向X1の端部は、二股状に形成された2つの分割部157を有している。各分割部157は、分割筒状部152を有している。各分割部157は、例えば、第2周壁50の第1反対方向X2の端部に対して片持ち状に支持されるように形成されている。2つの分割部157は、例えば、互いに同一の構造を有している。2つの分割部157は、Z軸方向におけるスリット153の中心を含むとともにX軸方向に延びる仮想平面に対して面対称に形成されている。
【0128】
保護部100は、第1周壁40の第1方向X1の端部から第2方向Y1に向かって延びる延出部101と、延出部101の第2方向Y1の端部から第2周壁50に向かって延びる保護壁102とを有している。
【0129】
図23に示すように、保護部100は、開口孔103を有している。開口孔103は、例えば、第1周壁40の第2方向Y1の端縁と、第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁とを露出するように形成されている。開口孔103は、複数の分割部157の各々における第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁を露出するように形成されている。これにより、複数の分割部157の各々における第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁と第1周壁40の第2方向Y1の端縁との間の距離L1を、開口孔103を通じて外部から測定することができる。
【0130】
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)から(1-10)の作用効果と第2実施形態の(2-1)および(2-2)に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
【0131】
(3-1)第2筒状部51Aは、筒状接続部60の軸方向に分割された複数の分割筒状部152を有する。複数の分割筒状部152の各々は、第2内面154と、第2内面154から筒状接続部60の径方向内方に向かって断面円弧状に突出する突部156と、を有する。
【0132】
この構成によれば、筒状接続部60に雄端子200の柱状接続部201が圧入された際に、複数の分割筒状部152の各々の第2内面154に設けられた突部156が柱状接続部201の外周面に圧接される。このため、筒状接続部60では、複数の突部156が軸方向に離隔した複数箇所で柱状接続部201の外周面に圧接される。これにより、例えば雄端子200に揺動が伝達された場合であっても、その揺動による雄端子200の変位を、柱状接続部201に対する複数の突部156の接触によって好適に阻止することができる。すなわち、第2筒状部51Aの第2内面154に1つの突部156のみが設けられる場合に比べて、複数の突部156による接触圧力によって、筒状接続部60の内部における柱状接続部201の変位を抑制することができる。
【0133】
(3-2)2つの分割筒状部152を分断するスリット153は、軸方向における筒状接続部60の中心位置に設けられる。このとき、筒状接続部60に挿入された雄端子200の柱状接続部201が変位する際には、軸方向における筒状接続部60の中心を回転中心として柱状接続部201が回転する。このような回転中心に突部156と柱状接続部201との接触部分が設けられた場合には、突部156による柱状接続部201に対する接触圧力を、柱状接続部201の変位を抑制する力として作用させることができない。これに対し、本実施形態の雌端子31Bでは、軸方向における筒状接続部60の中心に設けられたスリット153とは異なる位置に突部156が設けられる。このため、柱状接続部201の変位における回転中心とは異なる位置において、突部156と柱状接続部201とを接触させることができる。これにより、突部156による柱状接続部201に対する接触圧力を、柱状接続部201の変位を抑制する力として好適に作用させることができる。この結果、複数の突部156による接触圧力によって、筒状接続部60の内部における柱状接続部201の変位を好適に抑制することができる。
【0134】
(3-3)開口孔103は、複数の分割部157の各々における第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁を露出するように形成されている。このため、開口孔103を通じて第1周壁40および第2周壁50に対してレーザを照射することにより、複数の分割部157の各々における第2周壁50の第2反対方向Y2の端縁と第1周壁40の第2方向Y1の端縁との間の距離L1を測定することができる。
【0135】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0136】
・上記各実施形態における雌端子31,31A,31Bの構造は適宜変更することができる。
・雌端子31,31A,31Bの凸部55を省略してもよい。この場合には、雌端子31,31A,31Bの凹部56も省略される。
【0137】
・上記各実施形態では、保護部100を、第1周壁40と一体に形成したが、これに限定されない。例えば、保護部100を、第2周壁50と一体に形成してもよい。この場合の保護部100は、例えば、第2周壁50の第1方向X1の端部から第1周壁40の第1方向X1の端部を内部に配置しつつ折り返されるように形成される。
【0138】
・上記第1実施形態における雌端子31の保護部100を省略してもよい。
・雌端子31,31A,31Bの筒状接続部60における誘導部61を省略してもよい。
【0139】
・雌端子31,31A,31Bの第1筒状部41の第1内面42に、3つ以上の線状接触部43を設けてもよい。
・雌端子31,31A,31Bの第1内面42に、複数の線状接触部43と断面円弧状の突部54とを設けてもよい。
【0140】
・雌端子31A,31Bにおける開口孔103の構造は適宜変更することができる。例えば、開口孔103のZ軸方向に沿う長さ寸法を適宜変更してもよい。
・上記第1実施形態における雌端子31では、第1筒状部41の第1内面42に複数の線状接触部43を設け、第2筒状部51の第2内面52に断面円弧状の突部54を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、第1内面42に断面円弧状の突部54を設け、第2内面52に複数の線状接触部43を設けるようにしてもよい。例えば、第1内面42および第2内面52の両方に線状接触部43を設けるようにしてもよい。例えば、第1内面42および第2内面52の両方に断面円弧状の突部54を設けるようにしてもよい。なお、上記第2実施形態における雌端子31Aについても同様に変更することができる。
【0141】
・上記第3実施形態における雌端子31Bでは、第1筒状部41の第1内面42に複数の線状接触部43を設け、第2筒状部51Aが複数の分割筒状部152とその第2内面154に設けられた突部156とを有するようにしたが、これに限定されない。例えば、第2筒状部51Aが複数の線状接触部43を有し、第1筒状部41が複数の分割筒状部152とその第2内面154に設けられた突部156とを有するようにしてもよい。
【0142】
・上記第3実施形態における第2筒状部51Aが有する分割筒状部152の数は特に限定されない。例えば、第2筒状部51Aは、3つ以上の分割筒状部152を有してもよい。
【0143】
・上記第3実施形態におけるスリット153の構造は適宜変更することができる。
・雌端子31,31A,31Bにおける巻き押え部90の位置を適宜変更してもよい。例えば、巻き押え部90を、X軸方向において連結部70と異なる位置に設けるようにしてもよい。
【0144】
・上記各実施形態では、電線接続部32を、第1周壁40と一体に形成したが、これに限定されない。例えば、電線接続部32を、第2周壁50と一体に形成してもよい。
・上記各実施形態の雌端子31,31A,31Bでは、電線接続部32および端子接続部33のうち端子接続部33のみを、第1周壁40上に第2周壁50を2つ折り状に折り重ねた構造に形成した。これに限らず、例えば、電線接続部32および端子接続部33の両方を、2枚の板材を折り重ねた構造に形成してもよい。
【0145】
・上記各実施形態におけるハウジング本体110の構造は適宜変更することができる。例えば、ハウジング本体110は、雌端子31を収容可能な構造を有していれば、その他の構造は適宜変更することができる。
【0146】
・上記各実施形態におけるリテーナ120の構造は適宜変更することができる。例えば、規制部122を省略してもよい。
・上記各実施形態では、雄端子200の柱状接続部201を円柱状に具体化したが、これに限定されない。例えば、柱状接続部201を、円柱以外の柱状に形成してもよい。例えば、柱状接続部201の横断面形状を、楕円形状や多角形状に形成してもよい。
【0147】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0148】
20…電線、21…芯線、22…絶縁被覆、30…ハウジング、31,31A,31B…雌端子、32…電線接続部(第2接続部)、32A…切断面、33…端子接続部、40…第1周壁、41…第1筒状部、42…第1内面、43…線状接触部、50…第2周壁、51,51A…第2筒状部、52…第2内面、53…窪み部、54…突部、55…凸部、56…凹部、60…筒状接続部(第1接続部)、61…誘導部、70…連結部、71,72…延出部、73…折り返し部、80…突出部、81…突出基部、82…突起、90…巻き押え部、91…延出部、92…折り返し部、93…押え部、94…対向面、95…貫通孔、96…係合面、100…保護部、101…延出部、102…保護壁、103…開口孔、110…ハウジング本体、111…開口部、112…周壁、113…筒部、114…挿入孔、120…リテーナ、121…本体部、122…規制部、123…挿入孔、124…底壁、125,126…側壁、127…係合壁、130…構造体、131…キャリア、132…突出連結部、133…貫通孔、152…分割筒状部、153…スリット、154…第2内面、155…窪み部、156…突部、156A…突出先端、157…分割部、200…雄端子、201…柱状接続部、W1…ワイヤハーネス、C1…コネクタ、D1…送り方向、E1…照射方向、E2…照射方向、L1…距離、P1…第1突出量、P2…第2突出量、X1…第1方向、X2…第1反対方向、Y1…第2方向、Y2…第2反対方向、Z1…第3方向、Z2…第3反対方向。