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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177047
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0216 20140101AFI20241212BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20241212BHJP
   H01L 31/0236 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01L31/04 240
H01L31/04 262
H01L31/04 280
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003482
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2023116884の分割
【原出願日】2023-07-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-11-25
(31)【優先権主張番号】202310678819.2
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】陳一帆
(72)【発明者】
【氏名】リ ウン チー
(72)【発明者】
【氏名】謝明輝
(72)【発明者】
【氏名】張国春
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA03
5F251AA04
5F251AA05
5F251AA16
5F251CB21
5F251CB22
5F251FA14
5F251FA17
5F251FA24
5F251GA14
5F251HA01
5F251HA03
5F251HA07
(57)【要約】
【課題】本発明の実施例は、太陽電池及びその製造方法に関する。
【解決手段】太陽電池は、基板と、シート状反射防止層と、複数のグリッド線と、を含み、基板は第1表面を有し、基板は間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域を含み、グリッド線領域の第1表面全体にわたってテクスチャ構造があり、シート状反射防止層は各グリッド線領域の少なくとも一部のテクスチャ構造に位置し、且つシート状反射防止層はテクスチャ構造の表面の一部を露出させ、各グリッド線がグリッド線領域に1対1で対応しており、グリッド線が対応するグリッド線領域に設けられ、且つグリッド線が、グリッド線領域におけるテクスチャ構造の表面及びシート状反射防止層の表面とそれぞれ接触する。本願は、少なくとも、グリッド線と基板との結合強度を向上させ、グリッド線が基板から脱落する確率を低減することに有利である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、複数のシート状反射防止層と、複数のグリッド線と、を含み、
前記基板は第1表面を有し、前記基板は間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域を含み、前記グリッド線領域の前記第1表面全体にわたってテクスチャ構造があり、
前記シート状反射防止層は各前記グリッド線領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造に位置し、且つ前記シート状反射防止層は前記テクスチャ構造の表面の一部を露出させ、
各前記グリッド線が前記グリッド線領域に1対1で対応しており、前記グリッド線が対応する前記グリッド線領域に設けられ、且つ前記グリッド線が、前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の表面及び前記シート状反射防止層の表面とそれぞれ接触する、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記グリッド線領域の延在方向に垂直な方向において、前記グリッド線領域は、順に配列される第1領域、第2領域及び第3領域を含み、
前記シート状反射防止層は前記第1領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造と前記第3領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第2領域における前記テクスチャ構造の表面には前記シート状反射防止層がなく、且つ前記第1領域と前記第3領域における前記テクスチャ構造は、ピラミッド型又は類ピラミッド型であり、前記第2領域における前記テクスチャ構造が松ぼっくり型である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1表面に垂直な方向において、前記第2領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さと非グリッド線領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さとの比が0.3~0.9である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記シート状反射防止層は、前記第2領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造にも位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は0.3μm~6μmである、
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は2μm~6μmであり、且つ前記第1表面に垂直な方向において、前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さと非グリッド線領域における前記テクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比は0.4~0.9である、
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は0.3μm~2μmであり、且つ、前記第1表面に垂直な方向において、前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さと非グリッド線領域における前記テクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比が0.6~1である、
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項9】
隣接している前記シート状反射防止層の間の間隔が20nm~5μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記シート状反射防止層の前記テクスチャ構造に向かう表面は、前記テクスチャ構造と接触する付着領域と前記テクスチャ構造と接触しない吊り下げ領域を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記シート状反射防止層の前記テクスチャ構造に向かう表面に垂直な方向において、前記シート状反射防止層の前記吊り下げ領域と前記テクスチャ構造との間隔が50nm~1000nmである、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記吊り下げ領域の面積と前記シート状反射防止層の前記テクスチャ構造に向かう表面の面積との比は5%~90%である、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記シート状反射防止層の前記テクスチャ構造に向かう表面に垂直な方向において、前記シート状反射防止層の厚さが40nm~600nmである、
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記テクスチャ構造は複数のピラミッド型の突起で構成され、且つ、ピラミッドの斜辺の長さが400nm~5μmである、
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項15】
基板を提供し、基板は第1表面を有し、前記基板は間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域を含み、前記グリッド線領域の前記第1表面全体にわたってテクスチャ構造があり、且つ、前記テクスチャ構造にはテクスチャ構造を覆う反射防止層を有することと、
レーザ工程によって各前記グリッド線領域の反射防止層を処理し、前記グリッド線領域に複数のシート状反射防止層を形成し、前記シート状反射防止層は前記グリッド線領域の前記テクスチャ構造の一部の表面を露出させることと、
前記グリッド線領域に1対1で対応する複数のグリッド線をそれぞれ各前記グリッド線領域に形成し、各前記グリッド線が、対応する前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の表面と前記シート状反射防止層の表面と接触していることと、を含む、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記レーザー工程におけるレーザースポットの中心領域の大きさをd、レーザースポットの速度をv、レーザー周波数をfにしたときに、0.8d<v/f<2dを満たす、
ことを特徴とする請求項15に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記レーザー工程の工程パラメーターは、レーザースポットの中心領域の大きさと、レーザースポットの大きさとの比が0.4~0.6又は0~0.1であることを含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記シート状反射防止層を形成することは、レーザースポットの中心領域の大きさとレーザースポットの大きさとの比が0~0.1であるレーザーを利用して、前記グリッド線領域の前記反射防止層に対して複数回のレーザー処理を行うことを含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記シート状反射防止層を形成した後、濃度が0.3%~20%の徐放性フッ化水素酸を用いて各前記グリッド線領域に対して脱酸化処理を行うことをさらに含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項20】
前記脱酸化処理の時間長は20s~90sである、
ことを特徴とする請求項19に記載の太陽電池の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギーは、大気汚染があって且つ埋蔵量が限られており、これに対して、太陽エネルギーはクリーンで汚染がなく、資源が豊かであるという利点があるため、太陽エネルギーは、化石エネルギーの代わりに、核心のクリーンエネルギーになりつつあり、太陽電池は、良好な光電変換効率を有し、太陽電池はクリーンエネルギーの利用の発展の重心になっている。
【0003】
太陽電池が作動中、太陽光が電池の表面から電池に入り、電池の内部が光エネルギーの作用によって光生成キャリアを生成し、光生成キャリアが太陽電池の表面に設置されたグリッド線によって収集られかつ輸送され、これによって太陽エネルギーから電気エネルギーへの変換及び利用を実現する。太陽電池を製造する過程において、グリッド線が電気めっき工程で太陽電池の表面に形成されることができ、しかしながら、従来の太陽電池には、グリッド線と電池セルとの結合力が弱く、脱落しやすいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例には、少なくとも、グリッド線と電池セルとの結合強度を向上させ、グリッド線に脱落の問題が発生する確率を低減することに有利である太陽電池及びその製造方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例には、太陽電池が提供され、この太陽電池は、基板と、シート状反射防止層と、複数のグリッド線と、を含み、前記基板は第1表面を有し、前記基板は間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域を含み、前記グリッド線領域の前記第1表面全体にわたってテクスチャ構造があり、前記シート状反射防止層は各前記グリッド線領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造に位置し、且つ前記シート状反射防止層は前記テクスチャ構造の表面の一部を露出させ、各前記グリッド線が前記グリッド線領域に1対1で対応しており、前記グリッド線が対応する前記グリッド線領域に設けられ、且つ前記グリッド線が、前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の表面及び前記シート状反射防止層の表面とそれぞれ接触する。
【0006】
いくつかの実施例では、前記グリッド線領域の延在方向に垂直な方向において、前記グリッド線領域は、順に配列される第1領域、第2領域及び第3領域を含み、前記シート状反射防止層は前記第1領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造と前記第3領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造に位置する。
【0007】
いくつかの実施例では、前記第2領域における前記テクスチャ構造の表面には前記シート状反射防止層がなく、且つ前記第1領域と前記第3領域における前記テクスチャ構造は、ピラミッド型又は類ピラミッド型であり、前記第2領域における前記テクスチャ構造が松ぼっくり型である。
【0008】
いくつかの実施例では、前記第1表面に垂直な方向において、前記第2領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さと非グリッド線領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さとの比が0.3~0.9である。
【0009】
いくつかの実施例では、前記シート状反射防止層は、前記第2領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造にも位置する。
【0010】
いくつかの実施例では、前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は0.3μm~6μmである。
【0011】
いくつかの実施例では、前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は2μm~6μmであり、且つ前記第1表面に垂直な方向において、前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さと非グリッド線領域における前記テクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比は0.4~0.9である。
【0012】
いくつかの実施例では、前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は0.3μm~2μmであり、且つ、前記第1表面に垂直な方向において、前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さと非グリッド線領域における前記テクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比が0.6~1である。
【0013】
いくつかの実施例では、隣接している前記シート状反射防止層の間の間隔が20nm~5μmである。
【0014】
いくつかの実施例では、前記シート状反射防止層の前記テクスチャ構造に向かう表面は、前記テクスチャ構造と接触する付着領域と前記テクスチャ構造と接触しない吊り下げ領域を含む。
【0015】
いくつかの実施例では、前記シート状反射防止層の前記テクスチャ構造に向かう表面に垂直な方向において、前記シート状反射防止層の前記吊り下げ領域と前記テクスチャ構造との間隔が50nm~1000nmである。
【0016】
いくつかの実施例では、前記吊り下げ領域の面積と前記シート状反射防止層の前記テクスチャ構造に向かう表面の面積との比は5%~90%である。
【0017】
いくつかの実施例では、前記シート状反射防止層の前記テクスチャ構造に向かう表面に垂直な方向において、前記シート状反射防止層の厚さが40nm~600nmである。
【0018】
いくつかの実施例では、前記テクスチャ構造は複数のピラミッド型の突起で構成され、且つ、ピラミッドの斜辺の長さが400nm~5μmである。
【0019】
対応して、本願の実施例には、太陽電池の製造方法がさらに提供され、この太陽電池の製造方法は、基板を提供し、基板は第1表面を有し、前記基板は間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域を含み、前記グリッド線領域の前記第1表面全体にわたってテクスチャ構造があり、且つ、前記テクスチャ構造にはテクスチャ構造を覆う反射防止層を有することと、レーザー工程によって各前記グリッド線領域の反射防止層を処理し、前記グリッド線領域にシート状反射防止層を形成し、前記シート状反射防止層は前記グリッド線領域の前記テクスチャ構造の一部の表面を露出させることと、前記グリッド線領域に1対1で対応する複数のグリッド線をそれぞれ各前記グリッド線領域に形成し、各前記グリッド線が、対応する前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の表面と前記シート状反射防止層の表面と接触していることと、を含む。
【0020】
いくつかの実施例では、前記レーザー工程におけるレーザースポットの中心領域の大きさをd、レーザースポットの速度をv、レーザー周波数をfにしたときに、0.8d<v/f<2dを満たす。
【0021】
いくつかの実施例では、前記レーザー工程の工程パラメーターは、レーザースポットの中心領域の大きさと、レーザースポットの大きさとの比が0.4~0.6又は0~0.1であることを含む。
【0022】
いくつかの実施例では、前記シート状反射防止層を形成することは、レーザースポットの中心領域の大きさとレーザースポットの大きさとの比が0~0.1であるレーザーを利用して、前記グリッド線領域の前記反射防止層に対して複数回のレーザー処理を行うことを含む。
【0023】
いくつかの実施例では、前記シート状反射防止層を形成した後、濃度が0.3%~20%の徐放性フッ化水素酸を用いて各前記グリッド線領域に対して脱酸化処理を行うことをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施例では、前記脱酸化処理の時間長は20s~90sである。
【発明の効果】
【0025】
本願の実施例に係る技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0026】
本願の実施例に係る太陽電池では、表面全体にわたってテクスチャ構造を有するグリッド線領域が設けられ、グリッド線領域全体にわたってテクスチャ構造を有するため、グリッド線領域にグリッド線を形成する過程において、グリッド線と基板との間の接触面積を大幅に増やし、ある程度でグリッド線と基板との間の結合強度を高めている。グリッド線領域の少なくとも一部のテクスチャ構造にはシート状反射防止層を有し、シート状反射防止層のテクスチャ構造に向かう表面がテクスチャ構造と緊密に接触し、且つシート状反射防止層の間にはテクスチャ構造の表面を露出させる多数の孔隙があり、グリッド線を設置する過程において、グリッド線はそれぞれテクスチャ構造の露出した表面及びシート状反射防止層の表面と接触し、シート状反射防止層が所定の厚さを有し、且つグリッド線がシート状反射防止層の側面とも接触するため、グリッド線と基板との接触面積がさらに増えており、且つ、シート状反射防止層が依然として基板と緊密に接触し、シート状反射防止層がさらに構造を固定する機能を果たし、グリッド線と基板との結合強度を大幅に高め、グリッド線の脱落する確率をできるだけ低減し、太陽電池の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
1つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は比例上の制限を形成しない。
図1図1は、本願の一実施例に係る太陽電池の上面図である。
図2図2は、本願の一実施例に係る太陽電池の断面図である。
図3図3は、本願の一実施例に係る太陽電池の部分断面図である。
図4図4は、本願の一実施例に係るグリッド線領域の部分上面図である。
図5図5は、本願の一実施例に係るテクスチャ構造の一部の構成を示す図である。
図6図6は、本願の一実施例に係る別の太陽電池の部分断面図である。
図7図7は、本願の一実施例に係る太陽電池の部分断面図である。
図8図8は、本願の別の実施例に係る太陽電池の製造方法のフローチャートである。
図9図9は、本願の一実施例に係る基板を提供した上面図である。
図10図10は、本願の一実施例に係る基板を提供した断面図である。
図11図11は、本願の一実施例に係る半製品太陽電池の断面図である。
図12図12は、本願の一実施例に係るレーザースポットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
背景技術から分かるように、従来の太陽電池では、電気めっきの方式を利用して電池セルの表面にグリッド線を形成することができ、グリッド線と電池セルとの接触面積及び結合強度がいずれも低く、グリッド線が脱落しやすい。当面、よく用いられる方式は電気化学的方式で異なるめっき層間の結合力を改善することによって、異なるめっき層におけるグリッド線の結合力をできるだけ高め、異なるめっき層間のグリッド線の脱落を回避することによって、グリッド線が脱落する確率を低減するが、グリッド線と基板との間の結合力が依然として効果的に向上し得ていない。
【0029】
本願の一実施例では、太陽電池が提供され、この太陽電池では、電池セルの表面全体にわたってテクスチャ構造を有するグリッド線領域が設けられ、グリッド線領域にグリッド線を形成するときにグリッド線領域全体にわたってテクスチャ構造を有することで、グリッド線と基板との間の接触面積を大幅に増やし、ある程度でグリッド線と基板との間の結合強度を高めている。グリッド線領域の少なくとも一部のテクスチャ構造にはシート状反射防止層を有し、シート状反射防止層のテクスチャ構造に向かう表面がテクスチャ構造と緊密に接触し、且つシート状反射防止層の間にはテクスチャ構造の表面を露出させる多数の孔隙があり、グリッド線を形成した後にグリッド線はそれぞれテクスチャ構造の露出した表面及びシート状反射防止層の表面と接触し、シート状反射防止層が所定の厚さを有し、且つグリッド線がシート状反射防止層の側面とも接触するため、グリッド線と基板との接触面積がさらに増えており、且つ、シート状反射防止層が依然として基板と緊密に接触し、シート状反射防止層がさらに構造を固定する機能を果たし、グリッド線と基板との結合強度を大幅に高め、グリッド線の脱落する確率をできるだけ低減し、太陽電池の信頼性を向上させることができる。
【0030】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0031】
本願の一実施例は、太陽電池を提供する。図1図6を参照すると、図1は、太陽電池の上面図であり、図2は、A-A方向に沿った太陽電池の断面図であり、図3は、シート状反射防止層110を有しないグリッド線領域102の第2領域122の断面図であり、図4は、グリッド線領域102の部分上面図であり、図5は、第2領域122のテクスチャ構造の構成を示す図であり、図6は、シート状反射防止層110を有するグリッド線領域102の第2領域122の断面図である。
【0032】
太陽電池は、基板100と、シート状反射防止層110と、複数のグリッド線120と、を含み、基板100は第1表面を有し、基板100は間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域102を含み、グリッド線領域102の第1表面全体にわたってテクスチャ構造があり、シート状反射防止層110は各グリッド線領域102の少なくとも一部のテクスチャ構造に位置し、且つシート状反射防止層110はテクスチャ構造の表面の一部を露出させ、各グリッド線120がグリッド線領域102に1対1で対応しており、グリッド線120が対応するグリッド線領域102に設けられ、且つグリッド線120が、グリッド線領域102におけるテクスチャ構造の表面及びシート状反射防止層110の表面とそれぞれ接触する。
【0033】
太陽電池を製造する過程において、まず、間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域102を特定して、且つ、グリッド線領域102の第1表面全体にわたってテクスチャ構造を有させ、グリッド線領域102の表面積を大いに増やし、グリッド線領域102にグリッド線120を形成した後のグリッド線120と基板100の接触面積を大きくし、グリッド線120と基板100との結合強度をある程度で向上させる。グリッド線領域102の一部のテクスチャ構造にシート状反射防止層110を形成し、シート状反射防止層110がテクスチャ構造の一部の表面を露出させ、グリッド線120が、テクスチャ構造の露出した表面とシート状反射防止層110の表面とそれぞれ接触しており、グリッド線120がシート状反射防止層110の側面とも接触するため、グリッド線120と基板100の接触面積と結合強度を更に向上させる。テクスチャ構造にあるシート状反射防止層110が依然として基板100と緊密に接触し、シート状反射防止層110が構造を固定する機能を果たし、グリッド線120と基板100との結合強度を大幅に向上させ、グリッド線120と基板100との間に脱落が発生する確率をできるだけ低減し、太陽電池の信頼性を向上させることができる。
【0034】
いくつかの実施例では、基板100は半導体基板であってもよく、例えば、シリコン、ゲルマニウム、ゲルマニウムシリコン又は絶縁体におけるシリコンであってもよい。基板100の材料は元素半導体材料であってもよい。具体的には、元素半導体材料が単一の元素からなり、例えば、シリコン又はゲルマニウムであってもよい。その中で、元素半導体材料は、単結晶状態、多結晶状態、非結晶状態又は微結晶状態(単結晶状態と非晶状態を同時に有する状態を微結晶状態という)であってもよく、例えば、シリコンは、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン又は微結晶シリコンのうちの少なくとも1つであってもよい。基板の材料はシリコンであり、基板100の材料は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン又は微結晶シリコンのうちの少なくとも1つであってもよい。基板100の材料は化合物半導体材料であってもよい。例えば、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウム砒素、ガリウム化インジウム、ペロブスカイト、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムなどの材料であり、基板100の材料は、炭化シリコン、有機材料又は多元化合物であってもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、基板100は、N型半導体基板又はP型半導体基板であってもよい。N型半導体基板には、N型ドーピング元素がドープされ、N型ドーピング元素は、リン(P)元素、ビスマス(Bi)元素、アンチモン(Sb)元素又はヒ素(As)元素などのV族元素の中のいずれか1つであってもよい。P型半導体基板にはP型ドーピング元素がドープされ、P型ドーピング元素はホウ素(B)元素、アルミニウム(Al)元素、ガリウム(Ga)元素又はインジウム(In)元素などのIII族元素の中のいずれか1つであってもよい。
【0036】
いくつかの実施例では、グリッド線領域102の延在方向に垂直な方向において、グリッド線領域102は、順に配列される第1領域121、第2領域122及び第3領域123を含む。シート状反射防止層110は第1領域121の少なくとも一部のテクスチャ構造と第3領域123の少なくとも一部のテクスチャ構造に位置する。
【0037】
太陽電池を製造する過程において、グリッド線120を形成する時に、まず、グリッド線領域102の対応する第1表面のテクスチャ構造を選択的にエッチングすることができる。グリッド線領域102の延在方向に垂直な方向において、グリッド線領域102は順に配列される第1領域121、第2領域122及び第3領域123を含み、選択的なエッチングによって、少なくとも第1領域121の少なくとも一部のテクスチャ構造と第3領域123の少なくとも一部のテクスチャ構造に位置するシート状反射防止層110を形成する。第1領域121の少なくとも一部のテクスチャにシート状反射防止層110を有し、且つ、第3領域123の少なくとも一部のテクスチャ構造にシート状反射防止層110を有し、グリッド線120が基板100と接触する過程において、第1領域121と第3領域123における基板100との接触面積は、シート状反射防止層110の側面面積を含み、接触面積が増えており、グリッド線120と基板100との結合強度を高め、グリッド線120と基板100が脱落する確率を低減する。
【0038】
尚、選択的にエッチングする過程において、グリッド線領域102における一部のテクスチャ構造のみをエッチングできるだけでなく、第1領域121と第3領域123における一部のテクスチャ構造のみをエッチングすることができ、第1領域121と第3領域123において、一部のテクスチャ構造にはテクスチャ構造の表面を完全に覆う反射防止層があり、一部のテクスチャ構造にはシート状反射防止層110がある。又、選択的なエッチング方式は、選択的なレーザーエッチングであってもよいし、選択的な化学的エッチングであってもよく、本願の実施例では、選択的なエッチングの具体的な方式を制限しない。
【0039】
いくつかの実施例では、第2領域122におけるテクスチャ構造の表面にはシート状反射防止層110がなく、且つ第1領域121と第3領域123におけるテクスチャ構造は、ピラミッド型又は類ピラミッド型であり、第2領域122におけるテクスチャ構造が松ぼっくり型である。
【0040】
テクスチャ構造を製造する過程において、基板100の第1表面全体にわたってピラミッド型又は類ピラミッド型の突起構造を第1表面におけるテクスチャ構造として形成でき、光トラッピング構造の光トラッピング能力を効果的に向上させる。第1表面を選択的にエッチングした後に、第1領域121と第3領域123の内の少なくとも一部のテクスチャ構造における反射防止層が除去され、テクスチャ構造の一部の表面を含むシート状反射防止層110が形成される。同時に、第2領域122におけるテクスチャ構造における反射防止層が完全に除去され、且つ第2領域122におけるテクスチャ構造が部分的にエッチングされ、第2領域122におけるテクスチャ構造をピラミッド型又は類ピラミッド型から松ぼっくり型にエッチングされる。グリッド線領域102における一部の領域における構成を示す図は図4を参照することができる。松ぼっくり型のテクスチャ構造の構成を示す図は図5を参照することができる。
【0041】
第1領域121と第3領域123の少なくとも一部のテクスチャ構造にはシート状反射防止層110があり、これによって、グリッド線120と基板100との接触面積と結合強度を効果的に向上させ、第2領域122のテクスチャ構造にはシート状反射防止層110がなく、グリッド線120は第2領域122で基板100と接触する時に完全に露出したテクスチャ構造と直接に接触し、グリッド線120と基板100との間の接触抵抗を低減し、グリッド線120がキャリアを収集る時の損失を低減し、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。また、ピラミッド型又は類ピラミッド型のテクスチャ構造が松ぼっくり型に変換された後、松ぼっくり型のテクスチャ構造の複数層の突起はグリッド線120と基板100の接触面積を更に増やすことができ、接触強度を向上させると同時にグリッド線120と基板100との間の接触抵抗を低減することができる。
【0042】
又、グリッド線領域102におけるテクスチャ構造を選択的にエッチングした後、第2領域122におけるテクスチャ構造は全部で反射防止層を設けなくてもよいし、一部にテクスチャ構造の表面を完全に覆う反射防止層を有し、一部に反射防止層を有しなくてもよい。一部に反射防止層がなく、且つ一部にテクスチャ構造の表面を完全に覆う反射防止層があるテクスチャ構造を形成する場合、グリッド線120の製造による基板100の表面における反射防止層に対する損傷を低減し、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
【0043】
いくつかの実施例では、第1表面に垂直な方向において、第2領域122におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比が0.3~0.9である。
【0044】
第1表面に垂直な方向において、テクスチャ構造の第1表面から突出した高さとは、テクスチャ構造において第1表面から最も遠い点と第1表面との間の間隔を指す。グリッド線領域102のテクスチャ構造における反射防止層を選択的に除去する過程において、第2領域122におけるテクスチャ構造にはシート状反射防止層110がないようにするには、反射防止層の除去を行うテクスチャ構造を損傷することがあり、更に、第2領域122におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比に影響してしまう。
【0045】
第2領域122におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比が小さすぎる場合、第2領域122におけるテクスチャ構造の損傷はひどくて、過大な基板100の損傷をもたらしてしまい、太陽電池の電圧損失が大きすぎるようになってしまい、また、テクスチャ構造の損傷のため、グリッド線120と基板100との間の接触面積が小さくなることを招きやすく、グリッド線120と基板100の接触強度に影響を与えてしまう。第2領域122におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比が大きすぎる場合、第2領域122におけるテクスチャ構造の損失が小さく、第2領域122には残りの反射防止層があり、グリッド線120が第2領域122で基板100と接触する時に、接触抵抗が大きく、太陽電池のキャリアの収集効率が低下してしまうおそれがある。
【0046】
従って、第2領域122におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比を0.3~0.9の範囲に設定することができ、例えば、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.75、0.8又は0.85などである。これによって、グリッド線120の製造中の基板100に対する損傷を低減し、太陽電池の過大な電圧損失を回避するとともに、グリッド線120と基板100との間の接触抵抗を低減し、太陽電池のキャリアの収集能力と光電変換効率を向上させることができる。
【0047】
尚、グリッド線領域102の延在方向において、第2領域122には、一部のテクスチャ構造が全く反射防止層を有しておらず、一部のテクスチャ構造がシート状反射防止層110を有してもよく、従って、第2領域122におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さは、第2領域122におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した平均高さ又は最大高さによって示されることができる。類似するように、非グリッド線領域のテクスチャ構造の第1表面から突出した高さは、対応的に非グリッド線領域のテクスチャ構造の第1表面から突出した平均高さ又は最大高さによって示されることもできる。
【0048】
いくつかの実施例では、シート状反射防止層110は、第2領域122の少なくとも一部のテクスチャ構造にも位置する。
【0049】
グリッド線領域102のテクスチャ構造における反射防止層を選択的に除去した後、第1領域121、第2領域122及び第3領域123の少なくとも一部のテクスチャ構造にいずれもシート状反射防止層110が存在する形態を形成することもでき、グリッド線領域102の3つの分割領域の少なくとも一部のテクスチャ構造にはいずれもシート状反射防止層110を有する構成図は図6を参照することができる。
【0050】
グリッド線領域102の3つの分割領域の少なくとも一部のテクスチャ構造にいずれもシート状反射防止層110が存在する場合、グリッド線120が基板100と接触する時に接触面積が大幅に増えており、且つ各分割領域におけるシート状反射防止層110はいずれも固定機能を有し、グリッド線120と基板100との結合強度を大幅に高め、且つ、テクスチャ構造における反射防止層とテクスチャ構造自体の構造をできるだけ小さく損傷し、太陽電池の開路損失を低減し、光電変換効率を高めることができる。
【0051】
いくつかの実施例では、シート状反射防止層110の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は0.3μm~6μmである。
【0052】
テクスチャ構造における反射防止層を選択的にエッチングした後、形成されたシート状反射防止層110の寸法が大きすぎる場合、選択的にエッチングする過程において、テクスチャ構造に対して大きな損傷を招きやすく、さらに、大きな開路損失と反射防止層の損傷をもたらしてしまい、太陽電池の光電変換効率に影響する。形成されたシート状反射防止層110の寸法が小さすぎる場合、グリッド線120を製造する時に、シート状反射防止層110と基板100との間の結合強度が確保されにくくなり、さらにシート状反射防止層110が脱落しやすくなり、グリッド線120脱落の確率が増えてしまう。ここで、シート状反射防止層110の寸法とは、シート状反射防止層110の表面における任意の2つの点の間の最大間隔を指す。
【0053】
従って、選択的にエッチングした後形成されたシート状反射防止層110の寸法は、0.3μm~6μmの範囲に設定されてもよく、例えば、0.35μm、0.4μm、0.5μm、0.75μm、1μm、1.25μm、1.5μm、2μm、2.5μm、3μm、3.75μm、4.5μm又は5.5μmなどである。これによって、電池セルの開路損失と反射防止層の損傷を低減し、太陽電池の光電変換効率を高めるとともに、シート状反射防止層110と基板100との間の結合強度を十分に大きく確保し、さらに、グリッド線120と基板100との間の結合強度を効果的に高め、グリッド線120が脱落する確率を低減する。
【0054】
いくつかの実施例では、シート状反射防止層110の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は2μm~6μmであり、且つ第1表面に垂直な方向において、グリッド線領域102におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比は0.4~0.9である。
【0055】
第1表面に垂直な方向において、テクスチャ構造の第1表面から突出した高さとは、テクスチャ構造における第1表面から最も遠い点と第1表面との間の間隔を指す。選択的なエッチング工程によって形成されたグリッド線領域102におけるシート状反射防止層110の寸法は、テクスチャ構造がエッチングされた後に第1表面から突出した高さに関連づけられており、一般的に、シート状反射防止層110の寸法が大きいほど、選択的なエッチングによる反射防止層へのエッチング程度が大きく、テクスチャ構造の損傷も大きい。エッチング工程を調整することによって、寸法が2μm~6μmであるシート状反射防止層110をエッチングされた一部のテクスチャ構造に形成し、例えば、寸法が2.5μm、3μm、3.75μm、4.5μm、5.5μm又は5.8μmのシート状反射防止層110を形成する。且つ、グリッド線領域102におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比は0.4~0.9であり、例えば、0.45、0.5、0.55、0.65、0.75又は0.8などである。ここで、シート状反射防止層110の寸法とは、シート状反射防止層110の表面における任意の2つの点の間の最大間隔を指す。
【0056】
尚、グリッド線領域102におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さは、シート状反射防止層110が付着された一部のテクスチャ構造の第1表面から突出した最大高さ又は平均高さによって示され、非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さは、対応的に非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した最大高さ又は平均高さによって示されることができる。
【0057】
グリッド線領域102の少なくとも一部のテクスチャ構造におけるシート状反射防止層110の寸法を2μm~6μmの範囲に制御し、且つ、グリッド線領域102におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比を0.4~0.9の範囲にすることによって、グリッド線領域102におけるシート状反射防止層110をランダムに分布させる大型なブロック状の反射防止層にする。ランダムに分布している大型なブロック状の配置によって、シート状反射防止層110と基板100との結合強度を効果的に増加し、且つ、シート状反射防止層110から露出できるテクスチャ構造が多くなり、さらにグリッド線120と基板100との接触面積を増やし、グリッド線120と基板100の接触抵抗を低減し、グリッド線120のキャリア収集の損失を低減する。
【0058】
いくつかの実施例では、シート状反射防止層110の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は0.3μm~2μmであり、且つ、第1表面に垂直な方向において、グリッド線領域102におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比が0.6~1である。
【0059】
グリッド線領域102のテクスチャ構造に対して選択的なエッチング工程を行った後、寸法が0.3μm~2μmの範囲にあるシート状反射防止層110を形成し、例えば、寸法が0.35μm、0.5μm、0.75μm、1μm、1.5μm又は1.75μmであるシート状反射防止層110を形成することができる。且つ、第1表面に垂直な方向において、グリッド線領域102におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比を0.6~1の範囲に制御し、例えば0.625、0.65、0.7、0.75、0.825、0.875又は0.95などである。ここで、シート状反射防止層110の寸法とは、シート状反射防止層110の表面における任意の2つの点の間の最大間隔を指し、第1表面に垂直な方向において、テクスチャ構造の第1表面から突出した高さとは、テクスチャ構造における第1表面から最も遠い点と第1表面との間の間隔を指す。
【0060】
シート状反射防止層110の寸法、及びグリッド線領域102におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さと非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比をいずれも適切な範囲に制御することによって、テクスチャ構造におけるシート状反射防止層110が均一な小型のブロック状の反射防止層である。均一に配列される小型のシート状反射防止層110を形成することによって、露出したテクスチャ構造を減少し、反射防止層の損傷と太陽電池の開路損失を低減し、太陽電池の光電変換効率を高めるとともに、シート状反射防止層110の側面面積の和を増加し、グリッド線120と基板100との接触面積と強度を増加し、グリッド線120が脱落する確率を低減する。
【0061】
類似するように、グリッド線領域102におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さは、シート状反射防止層110が付着された一部のテクスチャ構造の第1表面から突出した最大高さ又は平均高さによって示され、非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した高さは、対応的に非グリッド線領域におけるテクスチャ構造の第1表面から突出した最大高さ又は平均高さによって示されることができる。
【0062】
いくつかの実施例では、隣接しているシート状反射防止層110の間の間隔が20nm~5μmである。
【0063】
隣接しているシート状反射防止層110の間の間隔とは、隣接している2つのシート状反射防止層110の表面にそれぞれ位置する任意の2つの点の間の距離の最小値を指す。隣接しているシート状反射防止層110から露出したテクスチャ構造の面積は、隣接しているシート状反射防止層110の間の間隔の大きさに関連づけられている。その他の条件が一致している場合、シート状反射防止層110の間に露出したテクスチャ構造の面積は、隣接しているシート状反射防止層110の間の間隔に正相関している。
【0064】
隣接しているシート状反射防止層110の間の間隔は、反射防止層のエッチングの程度に関連づけられており、エッチングの程度が大きいほど、隣接しているシート状反射防止層110の間の間隔が大きくなる。隣接しているシート状反射防止層110の間の間隔が大きすぎる場合、テクスチャ構造と反射防止層の損傷はいずれも大きく、テクスチャ構造の保持状態が悪く、基板100に対する損傷が大きく、太陽電池の開路損失が大きすぎることを招きやすく、太陽電池の光電変換効率に影響する。隣接しているシート状反射防止層110の間の間隔が小さすぎる場合、露出したテクスチャ構造の総面積が小さく、グリッド線120と基板100の接触抵抗が大きく、太陽電池のキャリア収集の損失が大きすぎる。
【0065】
従って、隣接しているシート状反射防止層110の間の間隔を20nm~5μmに設定することができ、例えば、25nm、35nm、50nm、75nm、100nm、150nm、200nm、275nm、350nm、500nm、750nm、1μm、1.25μm、1.5μm、2μm、2.5μm、3.5μm又は4.5μmなどである。隣接しているシート状反射防止層110の間の間隔を適切な範囲に設定することで、太陽電池の開路損失と反射防止層の損傷をできるだけ低減するとともに、グリッド線120と基板100の間の接触抵抗とキャリア収集の損失を低減し、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
【0066】
図1から図7を参照すると、いくつかの実施例では、シート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面は、テクスチャ構造と接触する付着領域111とテクスチャ構造と接触しない吊り下げ領域112を含む。そのうち、図7図2におけるb領域の局所拡大図である。
【0067】
シート状反射防止層110の主な機能の1つは、グリッド線120と基板100との間の結合強度を高めることにあり、シート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面が完全にテクスチャ構造と緊密に接触する場合、グリッド線120と基板100の間の結合強度を強める主な原因は、グリッド線120が基板と接触する総面積を増やすことである。シート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面を、テクスチャ構造と接触する付着領域111とテクスチャ構造と接触しない吊り下げ領域112を含むように設置した後、グリッド線120は、吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間に位置する部分を含み、シート状反射防止層110は、吊り下げ領域112の対応する部分によってグリッド線120を固定することができ、これによって、グリッド線120と基板100の結合強度を強め、グリッド線120が脱落する確率をできるだけ低減する。
【0068】
尚、テクスチャ構造におけるシート状反射防止層110はいずれも付着領域111と吊り下げ領域112を有してもよく、一部のシート状反射防止層110が付着領域111と吊り下げ領域112を有して、一部のシート状反射防止層が付着領域111と吊り下げ領域112を有しなくてもよい。
【0069】
いくつかの実施例では、シート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面に垂直な方向において、シート状反射防止層110の吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間隔が50nm~1000nmである。
【0070】
シート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面に垂直な方向において、シート状反射防止層110の吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間隔とは、吊り下げ領域112における任意の1つの点とテクスチャ構造との間の間隔の最小値である。吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間の間隔が小さすぎる場合、グリッド線120の吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間にある部分の厚さが小さすぎ、グリッド線120が外力の作用を受けて変形又はずれが発生する場合、吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間にある部分が破断しやすくなり、さらに、シート状反射防止層110が吊り下げ領域112の対応する部分によってグリッド線120を良好に固定することができず、グリッド線120と基板100との間の結合強度が低下してしまう。吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間の間隔が大きすぎる場合、グリッド線120の吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間にある部分の厚さが大きすぎて、形成の過程において気泡又は隙間が現われやすくなり、グリッド線120自体の抵抗率が増えてしまい、さらに、グリッド線120と基板100との間の接触抵抗が増え、グリッド線120のキャリア収集能力が低下し、且つ、テクスチャ構造の損傷も大きく、電池セルには大きな開路損失があり、光電変換能力に悪影響を与えてしまう。
【0071】
従って、シート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面に垂直な方向において、シート状反射防止層110の吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間隔を50nmから1000nmの範囲に設定することができ、例えば55nm、65nm、80nm、100nm、125nm、150nm、200nm、250nm、325nm、400nm、500nm、650nm、750nm、850nm又は975nmなどである。吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間隔を適切な範囲に設定することによって、グリッド線120と基板100との間の結合強度を効果的に向上させるとともに、グリッド線120の抵抗率と電池セルの開路損失を低減し、グリッド線120が脱落する確率を低減すると同時にグリッド線120のキャリア収集能力と電池セルの光電変換効率を高めることができる。
【0072】
尚、異なるシート状反射防止層110の吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間隔は同じであってもよいし、異なってもよく、本願の実施例ではこれを限定しない。
【0073】
いくつかの実施例では、吊り下げ領域112の面積とシート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面の面積の比は5%~90%である。
【0074】
形成されるグリッド線120の吊り下げ領域112とテクスチャの間隔との間にある部分の強度は、吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間の間隔、即ち、グリッド線120の吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間にある部分の厚さに関連付けられているだけでなく、吊り下げ領域112の面積がシート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面の面積に占める割合にも関連付けられている。吊り下げ領域112の面積の占める割合が小さすぎる場合、シート状反射防止層110のほとんどの領域がテクスチャ構造と緊密に接触し、吊り下げ領域112とテクスチャ構造との間の部分の体積が小さすぎ、グリッド線120の脱落を抑制する提供可能な力は限られており、グリッド線120と基板100との結合強度を効果的に高めることができない。吊り下げ領域112の面積の占める割合が大きすぎる場合、シート状反射防止層110はテクスチャ構造と接触しない面積が大きすぎて、シート状反射防止層110自体と基板100との間の結合強度は限られており、グリッド線120にグリッド線120の脱落又は変位を抑制する力を提供する過程で、シート状反射防止層110自体が基板100から脱落しやすく、同様に、グリッド線120と基板100との結合強度を効果的に高めることができない。
【0075】
従って、吊り下げ領域112の面積とシート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面の面積との比を5%から90%の範囲に設定することができ、例えば6%、7.5%、9%、10%、12.5%、15%、20%、25%、35%、50%、60%、75%、80%又は85%などである。吊り下げ領域112の面積の占める割合を適切な範囲に制御することによって、シート状反射防止層110と基板100との結合強度を十分に大きくし、シート状反射防止層110が脱落する確率を低減し、シート状反射防止層110がグリッド線120の脱落を抑制する能力を向上させ、グリッド線120と基板100との結合強度を効果的に高め、グリッド線120が脱落する確率を低減する。
【0076】
又、吊り下げ領域112の面積の占める割合が大きいほど、グリッド線120がテクスチャ構造の表面と接触する面積もそれに応じて上昇し、吊り下げ領域112の面積の占める割合を適切な範囲に制御する場合、グリッド線120と基板100との間の結合強度を効果的に高めることができるだけでなく、グリッド線120と基板100との接触面積を高めることもでき、グリッド線120と基板100の接触抵抗を低減し、グリッド線120のキャリア収集能力を高め、キャリア収集損失を低減する。
【0077】
いくつかの実施例では、シート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面に垂直な方向において、シート状反射防止層110の厚さが40nm~600nmである。
【0078】
シート状反射防止層110の厚さとは、シート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面とシート状反射防止層110のテクスチャ構造から離れる表面との間の間隔を指す。シート状反射防止層110の厚さが小さすぎる場合、シート状反射防止層110の反射防止能力は限られており、且つ、シート状反射防止層110の側面の面積も限られており、グリッド線120と基板100の接触面積を効果的に増やすことができない。シート状反射防止層110の厚さが大きすぎる場合、反射防止層自体の製造コストが高すぎて、且つ、グリッド線120をテクスチャ構造の表面と接触させるために、グリッド線120の原材料の体積も大いに増加する必要があり、グリッド線120の製造コストも相応的に増えてしまう。
【0079】
従って、シート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面に垂直な方向において、シート状反射防止層110の厚さが40nm~600nmの範囲に設定され、例えば、シート状反射防止層110の厚さを45nm、50nm、60nm、75nm、90nm、100nm、125nm、150nm、180nm、200nm、225nm、275nm、350nm、400nm、475nm、550nm又は585nmなどに設定する。シート状反射防止層110の厚さを適切な範囲に設定することによって、グリッド線120と基板100との接触面積と接触強度を効果的に高めるとともに、反射防止層とグリッド線120の製造コストをある程度で制御して、グリッド線120と反射防止層の製造コストを削減することができる。
【0080】
尚、同一のテクスチャ構造におけるシート状反射防止層110の厚さは、同じであってもよいし、異なってもよく、異なるテクスチャ構造におけるシート状反射防止層110の厚さは同様に、同じであってもよいし、異なってもよく、本願の実施例ではこれを限定しない。
【0081】
いくつかの実施例では、テクスチャ構造は複数のピラミッド型の突起で構成され、且つ、ピラミッドの斜辺の長さが400nm~5μmである。ピラミッド型の突起で形成された第1表面のテクスチャ構造は、太陽電池の光トラッピング能力を効果的に向上させることができ、ピラミッドの斜辺の長さを400nm~5μmの範囲に設定し、例えば、ピラミッドの斜辺の長さを450nm、500nm、575nm、650nm、750nm、900nm、1000nm、1.2μm、1.25μm、1.5μm、2μm、2.75μm、3.5μm又は4.5μmなどに設定し、これによって、テクスチャ構造の表面積を効果的に増やすことができ、グリッド線120と基板100との接触面積と接触強度を増加するとともに、テクスチャ構造の基板100から突出した高さを制御し、グリッド線120の基板100第1表面に垂直な方向における厚さを厚くし、グリッド線120のキャリア輸送抵抗を低減する。
【0082】
又、同一の電池セルのテクスチャ構造に含まれるピラミッド型の突起の斜辺の長さは同じであってもよいし、異なってもよく、異なる電池セルのテクスチャ構造に含まれたピラミッド型の突起の斜辺の長さは同様に同じであってもよいし、異なってもよい。
【0083】
本願の実施例では、太陽電池が提供され、テクスチャ構造を有するグリッド線領域102を対応する第1表面全体にわたって設け、グリッド線領域102にグリッド線120を形成し、グリッド線領域102の対応する第1表面全体にはテクスチャ構造があるため、グリッド線120と基板100との間の接触面積が大いに増えておる、グリッド線120と基板100との間の結合強度をある程度で大きくする。グリッド線領域102の少なくとも一部のテクスチャ構造にはシート状反射防止層110があり、シート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面がテクスチャ構造と緊密に接触し、且つ、シート状反射防止層110の間には、テクスチャ構造の表面を露出させる多数の隙間が存在し、グリッド線120を形成した後にグリッド線120はテクスチャ構造の露出した表面及びシート状反射防止層110の表面とそれぞれ接触し、シート状反射防止層110には所定の厚さがあり、且つグリッド線120がシート状反射防止層110の側面とも接触し、グリッド線120と基板100が接触している面積がさらに大きくなり、且つ、シート状反射防止層110と基板100との緊密な接触によってグリッド線120を固定する機能を果たすため、グリッド線120と基板100の結合強度を大幅に高め、グリッド線120が脱落する確率をできるだけ低減し、太陽電池の信頼性を向上させることができる。
【0084】
本願の実施例では、太陽電池の製造方法がさらに提供され、電池の生産用装置に適用され、太陽電池の製造プロセスは、図8を参照することができる。
【0085】
図8図11を参照すると、基板100を提供し、基板100は第1表面を有し、基板100は間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域102を含み、グリッド線領域102の第1表面全体にわたってテクスチャ構造があり、且つ、テクスチャ構造にはテクスチャ構造を覆う反射防止層を有する。ここで、図9は、基板100の第1表面の上面図であり、図10は基板100のB-B1に沿った断面図であり、図11は基板100がグリッド線領域102の反射防止層を選択的にエッチングした後の局所断面図である。
【0086】
太陽電池を製造する過程において、まず、第1表面のテクスチャ構造の製作とテクスチャ構造を覆う反射防止層の製作を事前に完成した基板100を提供する。
【0087】
いくつかの実施例では、テクスチャ構造は、複数のピラミッド型の突起又は類ピラミッド型の突起で構成され、複数のピラミッド型の突起又は類ピラミッド型の突起を利用して、太陽電池の光吸収能力を効果的に向上させるとともに、ピラミッド又は類ピラミッド型の構造はレーザーに対しても一定の収集作用を有し、これによって、この後反射防止層を選択的にエッチングすることが容易となる。
【0088】
いくつかの実施例では、反射防止層は、1層の反射防止材料から構成されるか、または、順に積層されるように設けられ、且つ材料が異なる2層以上の反射防止材料から構成される。そのうち、反射防止材料は二酸化ケイ素、窒化ケイ素、二酸化チタンと酸化ジルコニウムなどを含む。
【0089】
レーザー工程によって各グリッド線領域102の反射防止層を処理し、グリッド線領域102にシート状反射防止層110を形成し、シート状反射防止層110はグリッド線領域102のテクスチャ構造の一部の表面を露出させる。
【0090】
電池セルを製造する過程において、グリッド線領域102のテクスチャ構造の表面を露出させるように、選択的なエッチング工程によってグリッド線領域102の対応する第1表面をエッチング処理する必要がある。選択的なエッチングを行う時に、レーザー工程でグリッド線領域102における反射防止層を処理することができ、レーザーエッチングの方式でグリッド線領域102における少なくとも一部の反射防止層を除去し、残りの反射防止層がシート状反射防止層110としてエッチングされ、且つシート状反射防止層110の間にはグリッド線領域102の少なくとも一部のテクスチャ構造の表面を露出させる隙間がある。
【0091】
又、反射防止層を選択的にエッチングする過程において、テクスチャ構造に対してある程度の損傷をもたらすおそれがあり、テクスチャ構造の表面を凹凸にし、テクスチャ構造と接触しない吊り下げ領域を形成されたシート状反射防止層110のテクスチャ構造に向かう表面に形成する。レーザーパラメーター又はレーザー処理の繰り返し回数を調整することによって、吊り下げ領域の面積の占める割合が5%を超えるシート状反射防止層110を形成することができる。
【0092】
いくつかの実施例では、利用された選択的なエッチング工程は化学的エッチング工程であってもよい。
【0093】
図8図12を参照すると、いくつかの実施例では、レーザー工程の工程パラメーターは、レーザースポットの中心領域の大きさdと、レーザースポットの大きさDとの比が0.4~0.6又は0~0.1であることを含む。ここで、図12は、レーザースポットを示す図である。
【0094】
理論的には、レーザースポットの大きさがDであり、レーザースポットの中心領域の大きさがdであり、ここで、レーザースポットの大きさとは、1つのスポットの中心と形成されるシート状反射防止層110のエッジにおける任意の1つの点との最大間隔Dを指し、レーザースポットの中心領域の大きさとは、スポットの中心と最も近いシート状反射防止層110との間の距離dを指す。円形のスポットを例として、レーザースポットの大きさとは、スポットの円心とシート状反射防止層110のエッジにおける任意の1つの点との間の最大間隔Dを指し、レーザースポットの中心領域の大きさとは、スポットの円心と最も近いシート状反射防止層110のエッジにおける任意の1つの点の最小間隔dを指す。
【0095】
レーザー工程でグリッド線領域102の反射防止層を選択的にエッチングする過程において、まず、レーザーモデル選択を行うことができ、例えば、ガウススポットのレーザー装置を選択してレーザー工程の処理を行う。利用するレーザー装置を選定した後、レーザースポットの移動速度、一回処理されたパルスカウントとレーザー周波数を特定した後、テスト基板に異なるパワーで段階的にサンプリングし、レーザースポットの中心領域の大きさdとレーザースポットの大きさDの比が0.4~0.6又は0~0.1であることを満足できるレーザーのパワーを見つけて、決定されたレーザーのパワーによって基板100グリッド線領域102における反射防止層を選択的にエッチングする。レーザースポットの中心領域の大きさdとレーザースポットの大きさDとの比という条件からレーザーのパワーを限定し、レーザー処理過程が低いパワー領域にあり、グリッド線領域102の少なくとも一部のテクスチャ構造にシート状反射防止層110を形成できると同時に、レーザー工程のテクスチャ構造の形態に対する損傷を低減し、基板100の型開きの損傷を低減する。
【0096】
そのうち、テスト基板と基板100との材料及び構造は同じであるか、またはほぼ同じであり、且つテスト基板の表面には、材料が基板100と同じテクスチャ構造及びテクスチャ構造を覆う反射防止層も作製されている。
【0097】
いくつかの実施例では、シート状反射防止層110を形成することは、レーザースポットの中心領域の大きさdとレーザースポットの大きさDとの比が0~0.1であるレーザーを利用して、グリッド線領域102の反射防止層に対して複数回のレーザー処理を行うことを含む。
【0098】
レーザースポットの中心領域の大きさdとレーザースポットの大きさDとの比が0~0.1であるレーザーを選択してグリッド線領域102の反射防止層を選択的にエッチングする過程において、レーザーのパワーが非常に小さく、グリッド線領域102で一回レーザー処理を行った後、グリッド線領域102の少なくとも一部のテクスチャ構造に形成されたシート状反射防止層110の間のほとんどの領域が依然として連続的な状態にあり、シート状反射防止層110の間の隙間が少なく、基板100から露出したテクスチャ構造の面積と反射防止層の面積との総和が小さく上昇し、基板100の露出した総面積を効果的に大きくすることができない。
【0099】
従って、レーザースポットの中心領域の大きさとレーザースポットの大きさの比が0~0.1であるレーザーを選択して選択的にエッチング処理する場合、パラメーターが設定されたレーザーでグリッド線領域102のパターン形状に沿ってグリッド線領域102に対して繰り返して複数回の低パワーレーザー処理を行い、例えば、グリッド線領域102に対して2回、3回、4回、5回、6回又は7回の繰り返し処理を行う。ランダムに分布する若干の大型のシート状反射防止層110又は均一に配列される小型のシート状反射防止層110をグリッド線領域102の表面に形成することができ、且つ、シート状反射防止層110の間に露出したテクスチャ構造の面積が十分に大きく、基板100の露出した総面積を効果的に高める。
【0100】
グリッド線領域102を少量で繰り返してレーザー処理して、例えば、グリッド線領域を2回~4回繰り返してレーザー処理した後、グリッド線領域102の少なくとも一部のテクスチャ構造におけるシート状反射防止層110が均一に配列され、シート状反射防止層110の間に多数の隙間が存在し、且つグリッド線領域102のテクスチャ構造が完全に保持され、基板100の型開きの損傷を効果的に低減する。
【0101】
いくつかの実施例では、レーザー工程におけるレーザースポットの中心領域の大きさをd、レーザースポットの速度をv、レーザー周波数をfにしたときに、0.8d<v/f<2dを満たす。
【0102】
上記の内容を参照すると、レーザースポットの中心領域の大きさとは、スポットの中心と最も近いシート状反射防止層110との間の距離dを指す。レーザーモデルの選択を完了させた後、事前に定められたレーザーのパワー、一回処理されたパルスカウントと設定されたレーザー周波数fに応じて、レーザースポットの速度vを調整し、テスト基板で段階的にサンプリングする。ここで、テスト基板と基板100の材料及び構造は同じであるか、またはほぼ同じであり、且つ、テスト基板の表面には、材料が基板100と同じテクスチャ構造及びテクスチャ構造を覆う反射防止層が作製されている。段階的なサンプリングの結果によれば、レーザーエッチングの過程におけるレーザースポットの速度vを決定し、レーザー工程に用いられるレーザースポットが0.8d<v/f<2dを満足することができる。そして、決定されたレーザースポットの速度vと設定されたレーザーのパワー、一次処理されたパルスカウントと設定されたレーザー周波数fに応じて、事前に設定されたグリッド線領域102の形状パターンに沿って、基板100の第1表面を選択的にレーザーエッチングする。
【0103】
レーザー工程におけるレーザースポットの中心領域の大きさをd、レーザースポットの速度をv、レーザー周波数をfにしたときに、0.8d<v/f<2dを満足した条件の下で、テクスチャ構造とテクスチャ構造における反射防止層のレーザーに対する収集機能で反射防止層を型開きして、少なくとも一部のテクスチャ構造に複数のシート状反射防止層110を形成し、グリッド線領域102のテクスチャ構造の形態保持効果を向上させ、基板100に対する型開きの損傷を低減し、基板100から露出したテクスチャ構造と反射防止層の総面積を増加する。
【0104】
又、レーザー工程において、レーザー周波数f及び/又はレーザーの回数などのパラメーターを調整することができ、レーザー周波数及び/又はレーザーの回数を調整した後、改めてレーザースポットの速度vを調整して、テスト基板でサンプリングして、0.8d<v/f<2dという条件を満足する新たなレーザースポットの速度vを決定する。その後、更新されたレーザー工程パラメーターによってグリッド線領域102の反射防止層を選択的にエッチング処理する。
【0105】
いくつかの実施例では、シート状反射防止層110を形成した後、濃度が0.3%~20%の徐放性フッ化水素酸を用いて各グリッド線領域102に対して脱酸化処理を行うことをさらに含む。
【0106】
レーザー処理後、グリッド線領域102のテクスチャ構造及び/又はシート状反射防止層110に酸化層が形成され、酸化層が電池セルの光電変換効率に影響するため、シート状反射防止層110を形成した後、濃度が0.3%~20%の範囲にある徐放性フッ化水素酸で各グリッド線領域102を脱酸化処理することができ、例えば、濃度が0.5%、1%、2.5%、5%、8%、12.5%、15%、18%又は19%である徐放性フッ化水素酸を用いて各グリッド線領域102を脱酸化処理する。これによって、基板100の表面における自然酸化及び/又はレーザー酸化によって形成された酸化層を除去し、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
【0107】
いくつかの実施例では、脱酸化処理の時間長は20s~90sである。選択された徐放性フッ化水素酸の濃度及びレーザー処理におけるレーザーのパワーによって、基板100表面の酸化層の厚さが異なる。脱酸化の時間が長すぎる場合、フッ化水素酸は基板100又はシート状反射防止層110を腐食する恐れがあり、基板100の型開きの損傷を増加してシート状反射防止層110の形態と強度を損なっていしまう。脱酸化の時間が短すぎる場合、酸化層を完全に除去できない可能性がある。
【0108】
従って、脱酸化処理の時間長を20s~90sの範囲内に制御することができ、例えば、脱酸化の時間長を22s、25s、30s、37.5s、45s、55s、60s、75s又は85sなどに設定する。基板100の表面における酸化層を効果的に除去するとともに、基板100とシート状反射防止層110に対する損傷を低減する。
【0109】
図1と、図2図8図11を参照すると、グリッド線領域102に1対1で対応する複数のグリッド線120をそれぞれ各グリッド線領域102に形成し、各グリッド線120が、対応するグリッド線領域102におけるテクスチャ構造の表面とシート状反射防止層110の表面と接触している。
【0110】
シート状反射防止層110の製造が完了した後、グリッド線領域102の位置によって、蒸着工程又は電気めっき工程などの方式によって、グリッド線領域102に1対1で対応する複数のグリッド線120をグリッド線領域102に形成することができ、各グリッド線120が、対応するグリッド線領域102における露出したテクスチャ構造の表面とシート状反射防止層110の表面とそれぞれ接触している。テクスチャ構造の表面を露出させるシート状反射防止層110をグリッド線領域102の少なくとも一部のテクスチャ構造に形成することによって、残されたテクスチャ構造とシート状反射防止層110の側面はグリッド線120と基板100との間の接触面積を効果的に増やすことができ、且つ、シート状反射防止層110がグリッド線120に対して固定機能を果たすことができ、グリッド線120と基板100との結合強度を効果的に高め、グリッド線120が基板100から脱落する確率を低減し、太陽電池の信頼性を向上させることができる。
【0111】
いくつかの実施例では、順に積層された複数のめっき層を含むグリッド線120を形成することができ、例えば、電気めっき/化学めっき/化学気相成長法の方式で、グリッド線領域102に厚さが0.3μm~1μmである第1めっき層を形成し、第1めっき層はシート状反射防止層110の間に露出したテクスチャ構造の表面を完全に覆うことができる。その後、電気めっきの方式で第2めっき層と第3めっき層を順に成長する。ここで、第1めっき層は、実際な状況に応じて、1つ~5つのサブ層を成長することができ、第2めっき層と第3めっき層の合計厚さが4μm以上である。第2めっき層と第3めっき層の合計厚さとは、第1めっき層のテクスチャ構造から遠い表面に垂直な方向における、第2めっき層の第1めっき層に向かう表面と第3めっき層の第1めっき層から遠い表面との間の間隔を指す。
【0112】
勿論、本実施例は太陽電池の構成実施例に対応する製造方法の実施例であり、本実施例における細部は太陽電池の構成実施例にも同様に適用され、同じように、太陽電池の構成実施例における細部は本実施例にも適用される。
【0113】
本願は、好ましい実施例で上記のように公開されるが、請求項を限定するためのものではなく、いずれの当業者も、本願の構想を逸脱しない前提で、本願の思想と範囲から逸脱することなく、若干の可能な変更と修正を行うことができ、従って、本願の保護範囲は本願の請求項に限定された範囲を基準とすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、複数のシート状反射防止層と、複数のグリッド線と、を含み、
前記基板は第1表面を有し、前記基板は間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域を含み、前記グリッド線領域の前記第1表面全体にわたってテクスチャ構造があり、
前記シート状反射防止層は各前記グリッド線領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造に位置し、且つ前記シート状反射防止層は前記テクスチャ構造の表面の一部を露出させ、
各前記グリッド線が前記グリッド線領域に1対1で対応しており、前記グリッド線が対応する前記グリッド線領域に設けられ、且つ前記グリッド線が、前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の表面及び前記シート状反射防止層の表面とそれぞれ接触
前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は0.3μm~6μmである、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記グリッド線領域の延在方向に垂直な方向において、前記グリッド線領域は、順に配列される第1領域、第2領域及び第3領域を含み、
前記シート状反射防止層は前記第1領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造と前記第3領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第2領域における前記テクスチャ構造の表面には前記シート状反射防止層がなく、且つ前記第1領域と前記第3領域における前記テクスチャ構造は、ピラミッド型又は類ピラミッド型であり、前記第2領域における前記テクスチャ構造が松ぼっくり型である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1表面に垂直な方向において、前記第2領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さと非グリッド線領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さとの比が0.3~0.9である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記シート状反射防止層は、前記第2領域の少なくとも一部の前記テクスチャ構造にも位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は2μm~6μmであり、且つ前記第1表面に垂直な方向において、前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さと非グリッド線領域における前記テクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比は0.4~0.9である、
ことを特徴とする請求項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は0.3μm~2μmであり、且つ、前記第1表面に垂直な方向において、前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の前記第1表面から突出した高さと非グリッド線領域における前記テクスチャ構造の第1表面から突出した高さとの比が0.6~1である、
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
隣接している前記シート状反射防止層の間の間隔が20nm~5μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記シート状反射防止層の前記テクスチャ構造に向かう表面に垂直な方向において、前記シート状反射防止層の厚さが40nm~600nmである、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記テクスチャ構造は複数のピラミッド型の突起で構成され、且つ、ピラミッドの斜辺の長さが400nm~5μmである、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項11】
基板を提供し、基板は第1表面を有し、前記基板は間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域を含み、前記グリッド線領域の前記第1表面全体にわたってテクスチャ構造があり、且つ、前記テクスチャ構造には前記テクスチャ構造を覆う反射防止層を有することと、
レーザ工程によって各前記グリッド線領域の反射防止層を処理し、前記グリッド線領域に複数のシート状反射防止層を形成し、前記シート状反射防止層は前記グリッド線領域の前記テクスチャ構造の一部の表面を露出させることと、
前記グリッド線領域に1対1で対応する複数のグリッド線をそれぞれ各前記グリッド線領域に形成し、各前記グリッド線が、対応する前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の表面と前記シート状反射防止層の表面と接触していることと、を含
前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は0.3μm~6μmである、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記レーザー工程におけるレーザースポットの中心領域の大きさをd、レーザースポットの速度をv、レーザー周波数をfにしたときに、0.8d<v/f<2dを満たす、
ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記レーザー工程の工程パラメーターは、レーザースポットの中心領域の大きさと、レーザースポットの大きさとの比が0.4~0.6又は0~0.1であることを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記シート状反射防止層を形成することは、レーザースポットの中心領域の大きさとレーザースポットの大きさとの比が0~0.1であるレーザーを利用して、前記グリッド線領域の前記反射防止層に対して複数回のレーザー処理を行うことを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記シート状反射防止層を形成した後、濃度が0.3%~20%の徐放性フッ化水素酸を用いて各前記グリッド線領域に対して脱酸化処理を行うことをさらに含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記脱酸化処理の時間長は20s~90sである、
ことを特徴とする請求項15に記載の太陽電池の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を提供し、前記基板は第1表面を有し、前記基板は間隔を空けて配列される複数のグリッド線領域を含み、前記グリッド線領域の前記第1表面全体にわたってテクスチャ構造があり、且つ、前記テクスチャ構造には前記テクスチャ構造を覆う反射防止層を有することと、
レーザー工程によって各前記グリッド線領域の反射防止層を処理し、前記グリッド線領域に複数のシート状反射防止層を形成し、前記シート状反射防止層は前記グリッド線領域の前記テクスチャ構造の一部の表面を露出させることと、
前記グリッド線領域に1対1で対応する複数のグリッド線をそれぞれ各前記グリッド線領域に形成し、各前記グリッド線が、対応する前記グリッド線領域における前記テクスチャ構造の表面と前記シート状反射防止層の表面と接触していることと、を含
前記シート状反射防止層の表面における任意の2つの点の間の最大間隔は0.3μm~6μmであ
前記レーザー工程におけるレーザースポットの中心領域の大きさをd、レーザースポットの速度をv、レーザー周波数をfにしたときに、0.8d<v/f<2dを満たす、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記レーザー工程の工程パラメーターは、レーザースポットの中心領域の大きさと、レーザースポットの大きさとの比が0.4~0.6又は0~0.1であることを含む、
ことを特徴とする請求項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記シート状反射防止層を形成することは、レーザースポットの中心領域の大きさとレーザースポットの大きさとの比が0~0.1であるレーザーを利用して、前記グリッド線領域の前記反射防止層に対して複数回のレーザー処理を行うことを含む、
ことを特徴とする請求項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記シート状反射防止層を形成した後、濃度が0.3%~20%の徐放性フッ化水素酸を用いて各前記グリッド線領域に対して脱酸化処理を行うことをさらに含む、
ことを特徴とする請求項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記脱酸化処理の時間長は20s~90sである、
ことを特徴とする請求項に記載の太陽電池の製造方法。