(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177056
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】水系液体化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9794 20170101AFI20241212BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20241212BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241212BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241212BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20241212BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61Q1/10
A61K8/86
A61K8/81
A61K8/88
A61K8/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022036
(22)【出願日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2023095047
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 賢亮
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB131
4C083AB132
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC401
4C083AC402
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD352
4C083BB22
4C083BB23
4C083CC14
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】アイライナー、アイシャドー、眉毛にラインを描くアイブローなどのメイクアップ化粧料などに好適であり、色材同士の凝集及び沈降が起こりにくく、高発色性の水系液体化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の水系液体化粧料は、少なくとも、植物由来顔料と、被膜形成剤と、分散剤、水とを含む水系液体化粧料であって、前記植物由来顔料が水系液体化粧料全量に対して、1~30質量%含まれると共に、該植物由来顔料のラマンスペクトルにおけるDバンド(1350cm
-1)とGバンド(1582cm
-1)の強度比G/Dが0.5~10であることを特徴とする。
本発明の液体化粧料塗布具10は、上記構成の水系液体化粧料を搭載したことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、植物由来顔料と、被膜形成剤と、分散剤、水とを含む水系液体化粧料であって、前記植物由来顔料が水系液体化粧料全量に対して、1~30質量%含まれると共に、該植物由来顔料のラマンスペクトルにおけるDバンド(1350cm-1)とGバンド(1582cm-1)の強度比G/Dが0.5~10であることを特徴とする水系液体化粧料。
【請求項2】
前記植物由来顔料は、BET比表面積が20~800m2/gであることを特徴とする請求項1記載の水系液体化粧料。
【請求項3】
更に、下記A群から選ばれる顔料を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の水系液体化粧料。
A群:黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄、二酸化チタン、赤226、カルミン、コンジョウ、グンジョウ、マンガンバイオレット、酸化クロム、レーキ顔料
【請求項4】
前記被膜形成剤は、樹脂エマルションであることを特徴とする請求項1又は2記載の水系液体化粧料。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の水系液体化粧料を搭載したことを特徴とする液体化粧料塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイライナー、アイシャドー、眉毛にラインを描くアイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な水系液体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アイライナー、アイシャドー、眉毛にラインを描くアイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料において、黒色顔料が用いられてきており、使用する黒色顔料としては、黒酸化鉄などが使用されている(例えば、特許文献1参照)。この黒酸化鉄の処方では、比重が大きく沈降による、描線の色力低下や着色が低いなどの課題があった。
【0003】
一方、近年、環境負荷の低減、安全性などを考慮した黒色顔料として、炭などを用いた水系液体化粧料が知られている。
例えば、(1)水50~90質量%と、平均粒径が0.05~1μmの炭1~10質量%を含有することを特徴とする液状化粧料組成物(例えば、特許文献2参照)、(2)粉砕により平均粒子径が0.15~0.7μmで、かつ最小粒子径が0.1μm以上にコントロールされるとともに、含有炭素量が96質量%以上の植物炭微粉末、この植物炭微粉末を含有する化粧料(例えば、特許文献3参照)、(3)水と、少なくとも、22~40質量%の黒色顔料と、前記黒色顔料との質量%比で30:1~3:1の高分子又はHLBが10以上の界面活性剤である分散剤と、前記黒色顔料との質量%比で3:1~5:3の多価アルコールと、を含有し、平均粒子径(累積平均径/中心径)が340~392nm、明度L値が24未満であることを特徴とする水性分散体、この水性分散体を含有する化粧料(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献2~4の所定粒径の炭や植物炭微粉末などを含有する水系液体化粧料などは従来の酸化鉄顔料を用いたものよりも色材同士の凝集や沈降が抑制されるものであるが、未だ発色性や分散安定性が不十分な場合があり、直液式のアイライナー、アイシャドーなどに搭載した場合、吐出が不十分であったり、筆記性(塗布性)や塗布後の耐水固着性などが不良となったりするなどの課題が未だあるのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-101298号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開2006-22008号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開2022-27367号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開2023-13339号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の課題や現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、かつ植物由来原料といった化粧品でのイメージの良い顔料を使用しても、発色性や分散安定性に優れ、中綿式の液体化粧料塗布具をはじめ、直液式のアイライナー、アイシャドー、眉毛にラインを描くアイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料用の液体化粧料塗布具に搭載した場合においても良好な吐出が可能となり、しかも、筆記性(塗布性)や塗布後の耐水固着性なども良好となる水系液体化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記従来の課題等について鋭意検討した結果、少なくとも、所定量の植物由来顔料と、被膜形成剤と、分散剤などを含むと共に、植物由来顔料の物性が所定の範囲のものを含有することなどにより、上記目的の水系液体化粧料などが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明の水系液体化粧料は、少なくとも、植物由来顔料と、被膜形成剤と、分散剤と、水とを含む水系液体化粧料であって、前記植物由来顔料が水系液体化粧料全量に対して、1~30質量%含まれると共に、該植物由来顔料のラマンスペクトルにおけるDバンド(1350cm-1)とGバンド(1582cm-1)の強度比G/Dが0.5~10であることを特徴とする。
前記植物由来顔料は、BET比表面積が20~800m2/gであることが好ましい。
更に、下記A群から選ばれる顔料を含有することが好ましい。
A群:黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄、二酸化チタン、赤226、カルミン、コンジョウ、グンジョウ、マンガンバイオレット、酸化クロム、レーキ顔料
前記被膜形成剤は、樹脂エマルションであることが好ましい。
本発明の液体化粧料塗布具は、上記構成の水系液体化粧料を搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、植物炭などの植物由来顔料を用いても、発色性や分散安定性に優れ、中綿式の液体化粧料塗布具をはじめ、直液式のアイライナー、アイシャドー、眉毛にラインを描くアイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料用の塗布具に搭載した場合においても良好な吐出が可能となり、しかも、高発色の描線をひくことができ、筆記性(塗布性)や塗布後の耐水固着性なども良好となる水系液体化粧料が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の水系液体化粧料を収容する液体化粧料塗布具の一例を示す部分断面図である。
図1の機構は、回転式繰出タイプのものの一例である。
【
図2】本発明の水系液体化粧料を収容する液体化粧料塗布具の他の例を示す部分断面図である。
図2の機構は、化粧料内蔵型塗布具タイプのものの一例である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の水系液体化粧料を収容する液体化粧料塗布具の更に他の例を示す斜視図であり、
図3(b)は、
図3(a)と同一の液体化粧料塗布具の部分断面図である。
図3(a)及び(b)の液体化粧料塗布具の機構は、コレクター式塗布具タイプのものの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態について詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述するそれぞれの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。また、本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識(設計事項、自明事項を含む)に基づいて実施することができる。
【0012】
本発明の水系液体化粧料は、少なくとも、植物由来顔料と、被膜形成剤と、分散剤、水とを含む水系液体化粧料であって、前記植物由来顔料が水系液体化粧料全量に対して、1~30質量%含まれると共に、該植物由来顔料のラマンスペクトルにおけるDバンド(1350cm-1)とGバンド(1582cm-1)の強度比G/Dが0.5~10であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に用いる植物由来顔料は、環境負荷の低減、安全性などに優れたものであり、木材、草などの植物体又はその加工物を原料として焼成や加工などして得られた黒色顔料等を使用することができ、例えば、竹炭、麻炭、楢柏炭、柏炭、楢炭、くぬぎ炭、クリ炭、ウバメガシ炭(備長炭)、カラマツ炭、松炭、杉炭、ヒノキ炭、ユーカリ炭、マングローブ炭、山茶花炭、オリーブ炭、アカシア炭、ピーチブラック(桃核炭)、バインブラック(葡萄黒)、活性炭、ベジタブルカーボン(植物性カーボンブラック)などの植物由来の炭等の少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物、以下同様)が挙げられる。
これらの植物由来顔料の粒子形状は、球状、粒状、棒状、針状、板状、不定形など特に制限されず、いずれの形状も用いることができる。
また、用いることができる植物由来顔料(粒子)の分散前(配合時)の平均粒子径は、ナノマテリアルの観点から人への健康被害が懸念される点から、1μm以上のもの、好ましくは、1~50μmのものを用いることができ、植物由来顔料の形状は、特に限定されず、不定形、球状、針状、板状、方形など任意の形状をとることができ、中実であっても良く、また中空であっても良く、さらには表面処理剤で処理されていても良い。
本発明(実施例を含む)において、「平均粒子径」は、動的光散乱法〔粒径アナライザー FPAR-1000、大塚電子社製〕もしくは、レーザー回折法〔マイクロトラック MT3000II、マイクロトラックベル製〕により測定し算出した体積平均粒径(D50)の値をいう。
【0014】
本発明に用いる上記竹炭やベジタブルカーボンなどの各植物由来顔料は、ラマンスペクトル(ラマン分光分析)におけるDバンドのピーク強度とGバンドのピーク強度との比であるG/D比が0.5~10であるものが使用される。このG/D比について、植物由来顔料(例えば、竹炭やベジタブルカーボン)のラマン分光分析により得られるラマンスペクトルを用いて説明する。
Gバンドとは、波長532nmのラマン分光分析法により得られるラマンスペクトルにおいて、ラマンシフト1582cm-1付近に見られる植物由来顔料に由来するピークである。Dバンドとは、波長532nmのラマン分光分析法により得られるラマンスペクトルにおいて、ラマンシフト1350cm-1付近に見られるアモルファスカーボン、グラファイト、又は当該植物由来顔料の欠陥に由来するピークである。従って、G/D比の値が大きいほど、植物由来顔料の結晶性が高く、植物由来顔料に含まれるアモルファスカーボンや欠陥を有するグラファイトの量が少ないことを示す。
【0015】
本実施形態に係る植物由来顔料のG/D比が0.5~10であり、アモルファスカーボンやグラファイトの欠陥が少なく、結晶性が高い。よって、このG/D比が0.5~10となる植物由来顔料は、高い引張強度と、高い発色性を有することができる。
この植物由来顔料のG/D比が0.5~9であるのが好ましく、0.5~8がより好ましく、0.5~7がさらに好ましく、0.5~6がよりさらに好ましく、0.5~5がことさら好ましい。この植物由来顔料のG/D比が0.5未満であると、植物由来顔料が十分な引張強度と高い発色性を有することができない場合がある。更に、植物由来顔料のD/G比が10を超えると、植物由来顔料自体が劣化するおそれがあり、好ましくない。
【0016】
本明細書中、植物由来顔料のG/D比は、下記の方法により測定された値である。
用いる植物由来顔料について、下記の条件でラマン分光分析を行い、ラマンスペクトルを得る。該ラマンスペクトルにおいて、Dバンドのピーク強度とGバンドのピーク強度とからG/D比を算出する。
(ラマン分光分析の測定条件)
堀場製作所社製、分散型ラマン分光分析装置:
励起レーザー波長:532nm
対物鏡倍率x10、減光フィルタ5%、露光時間10秒x3回
スリット200μm、ホール400μm、300gr/mmグレーティング
【0017】
また、用いる植物由来顔料は、分散性の点から、BET比表面積が20~800m2/gであることが好ましく、更に好ましくは、30~400m2/gであるものが望ましい。
本発明におけるBET比表面積は、マウンテック社製Macsorb model HM-1208にて、BET一点法、前処理条件110℃30分、吸着ガスに窒素を使用することにより測定した値である。
【0018】
用いることができる植物由来顔料としては、上記G/D比が0.5~10の範囲のものが用いられ、更に好ましくは、BET比表面積が20~800m2/gの範囲となる各植物由来顔料を用いることが望ましい。これらの範囲となる植物由来顔料の市販品では、例えば、竹炭パウダー5P(グリコ栄養食品社製)、CHARCOPOWDER(原料が紀州備長炭、大東化成工業社製)、微粉備長炭末・備長炭末・竹炭末(以上キリヤ化学社製)、食添/梅蜂A印活性炭(太平化学産業社製)、KOELIN-663H(ベジタブルカーボン)(KOEL社製)、SpecKarre BCP3、SpecKarre BCP5、SpecKarre SuperBlnchotan、SpecKarre BCP super(以上、Spec-Chem社製)、備長炭パウダーパグ、竹炭パウダーパグ(ラテスト社製)、※カタログ値で比表面積800のため未記載にするなどを用いることができる。
【0019】
これらの植物由来顔料の含有量は、水系化粧料組成物全量に対して、1~30質量%であり、好ましくは、5~20質量%、更に好ましくは、5~15質量%が望ましい。
この植物由来顔料の含有量が1質量%未満では、発色が不十分であり、また、隠ぺい力も不足し、一方、30質量%を超えて含有すると、粘度が高くなり、また、塗布に支障を来すこととなり、好ましくない。
【0020】
本発明では、上記植物由来顔料以外の色材を本発明の効果を損なわない範囲で、併用することができ、水系液体化粧料に用いられている顔料や染料を用いることができるが、発色性という点で、特に顔料との併用が好ましい。
用いることができる顔料としては、具体的には、カーボンブラックや、酸化鉄(赤、黄、黒)、二酸化チタン、チタンブラック(酸窒化チタン)、酸化亜鉛、タルク、酸化クロム、酸化コバルト、酸化亜鉛、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、群青、コンジョウなどといった無機顔料や、カルミン、赤色202号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、黄色401号、黄色205号、黄色4号Alレーキ、黄色203号Alレーキ、赤色40号Alレーキ、赤色104号Alレーキなどといった有機顔料、さらにタルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、二酸化珪素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体の少なくとも1種を併用することができる。また、用いることができる植物由来の黒顔料を含む上記顔料は、液体化粧料に用いられているものであれば、特に限定されずに用いることができる。
【0021】
好ましくは、発色の点から、下記A群から選ばれる顔料を含有することが望ましい。
A群:黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄、二酸化チタン、コンジョウ、グンジョウ、マンガンバイオレット、酸化クロム、レーキ顔料
これらの上記植物由来顔料以外の顔料は、色材として用いるものであり、特に、上記A群の顔料の少なくとも1つを選択した場合は、上記植物由来の黒顔料との併用により、グレー色系、ブラウン色系、ボルドー色系に調色することができる。
これらの植物由来の黒色顔料以外の上記A群などの顔料の含有量は、化粧料組成物全量に対して、0~20質量%が好ましく、更に好ましくは、0~15質量%が望ましい。
【0022】
本発明に用いる被膜形成剤としては、被膜形成性ポリマーから構成されるものが挙げられ、例えば、被膜形成性ポリマーエマルション粒子などを用いることができ、具体的には、水に不溶性の高分子の水分散物などを用いることができる。
用いることができる被膜形成剤としては、例えば、スチレン・アクリル酸アルキル共重合体エマルション、スチレン・メタクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの(C1~C4及びC8)アルキルエステルの成分からなる共重合体エマルション等が挙げられる。また、エチレン性不飽和カルボン酸系モノマーとスチレン系モノマーのコポリマーと他の重合体および/または共重合体からなるコア-シェル型ポリマーエマルションのような複合型ポリマーのエマルションであってもよい。
【0023】
上記スチレン・アクリル酸アルキル共重合体エマルションの具体例としては、(スチレン/アクリレーツ)コポリマーを挙げることができ、このポリマーの市販品としては、ヨドゾールGH41F(ヌーリオン社製)、ダイトゾール5000STY(大東化成工業社製)等が挙げられる。また、エチレン性不飽和カルボン酸系モノマーとスチレン系モノマーのコポリマーと他の重合体および/または共重合体からなるコア-シェル型ポリマーエマルションのエマルションの具体例としては、アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸コポリマー〔(アクリレーツ/メチルスチレン/スチレン)コポリマーアンモニウム〕のコア-シェル型共重合体のエマルションであるエマポリーCE-119N(岐阜セラツク社製)が挙げられる。好ましくは、造膜性、描線の固着性の点から、アクリレーツコポリマーを含むものが好ましく、更に好ましくは、上記コア-シェル型ポリマーエマルションの使用が望ましい。
これらの被膜形成剤となる樹脂エマルション(エマルション粒子)において、吐出性の点から、その平均粒子径は、50~300nmであることが好ましく、更に好ましくは、100~200nmであるものが望ましい。
本発明では、被膜形成剤に上記樹脂エマルションを用いることで、比較的粒径の大きな植物由来顔料であっても、ハードケークを形成しにくく、保存安定性に優れ、塗布先(ペン先)での色材分離がしにくく、書き出し時から発色性のよい描線を塗布(筆記)することができる。
【0024】
これらのエマルション粒子等の被膜形成剤は、通常、樹脂分が水性成分中に固形分として20~60質量%の濃度で微細に分散しているものである。
用いる被膜形成剤の含有量は、固形分換算濃度(有効成分濃度)で液体化粧料全量に対して、1~20質量%であり、好ましくは、5~20質量%であり、この範囲で皮膚に塗膜した描線に、水や汗、皮脂に対して良好な耐久性を付与することができる。
この被膜形成剤の含有量が1質量%未満であると、固着性、耐水固着性が低下し、逆に、20質量%を超えると、液体化粧料の粘度が上昇し、塗布することが難しくなる。
【0025】
本発明に用いる分散剤としては、水溶性の分散剤を用いることが好ましく、色材となる植物由来の黒顔料等の顔料の分散性を向上させるものであり、例えば、アクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム、(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、(スチレン/アクリレーツ)コポリマーアンモニウム、(スチレン/メチルスチレン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/VA)コポリマー、(アクリレーツ/VP)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/スチレン)コポリマー、(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/メチルスチレン/スチレン)コポリマーアンモニウム、(アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸メチル)コポリマーなどの樹脂型分散剤や、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンステロール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどの界面活性剤型分散剤などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0026】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、パルミチン酸ポリグリセリル-10などが挙げられる。
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、ステアリン酸PEG-15グリセリルが挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、イソステアリン酸PEG-20ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、オレイン酸PEG-5ソルビタン、ポリソルベート85、ポリソルベート60、ポリソルベート65が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸ソルベス-6、テトラオレイン酸ソルベス-40、テトラオレイン酸ソルベス-60が挙げられる。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、PEG-100水添ヒマシ油が挙げられる。
ポリオキシアルキレンステロールとしては、例えば、PEG-10フィトステロール、PEG-20フィトステロール、PEG-30フィトステロール、PEG-25フィトスタノールなどが挙げられる。
【0027】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ベヘネス-10、ベヘネス-20、ベヘネス-30、セテス-6、セテス-7、セテス-10、セテス-15、セテス-20、セテス-23、セテス-25、セテス-30、セテス-40、ラウレス-4、ラウレス-9、ラウレス-21、ラウレス-25、オレス-7、オレス-10、オレス-15、オレス-20、オレス-50、ステアレス-20、(C12-C14)パレス-5、(C12-C14)パレス-7、(C12-C14)パレス-9、(C12-C14)パレス-12が挙げられる。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、例えば、PEG-4セテス-10、PEG-4セテス-20、PEG-8セテス-20、PEG-4セテス-20、PEG-6デシルテトラデセス-20、PEG-6デシルテトラデセス-30が挙げられる。
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸PEG-10、ステアリン酸PEG-25、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-45、ステアリン酸PEG-55が挙げられる。
【0028】
好ましくは、アクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム、(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、べへネスー30、セテスー20、ミリスチオン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ポリソルベート20、ポリソルベート80から選ばれるものが挙げられ、特に好ましくは、樹脂分散で分散することで、塗布後の耐水固着性、耐皮脂固着性などの更に良好な耐久性を奏することができる処方となるアクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム、(スチレン/アクリレーツ)コポリマーなどの樹脂型分散剤の使用が望ましい。
用いることができる分散剤としては、市販品では、例えば、SYNTRAN EX149PE、SYNRAN 5402(以上、インターポリマー社製)、LUVIMER 100P(BASF社製)、AMPHOMER HC(ヌーリオン社製)、BC-5.5、BC-7、BC-10、BC-15、BC-20、BC-23、BC-25、BC-30、BC-40、BB-10、BB-20、BB-30、DDP-8、DDP-10、HCO-20、HCO-30、HCO-40、HCO-50、HCO-60、HCO-80、HCO-100、Decaglyn 1-50SV、Decaglyn 1-ISV、Decaglyn 1-L、Decaglyn 1-M、Decaglyn 1-OV、Decaglyn 1-SV、Decaglyn 2-ISV、Decaglyn 1-LVEX、Decaglyn 1-MVEX PN、Decaglyn 1-OVEX、Decaglyn 1-PVEX、Decaglyn 1-ISVEX、Decaglyn 1-SVEX、Hexaglyn 1-L、Hexaglyn 1-M、TI-10V、TL-10、TO-10MV、TO-10V、TO-106V、TO-30V、TS-10MV、TS-10V、TS-30V(以上、日光ケミカルズ社製)などが挙げられる。
【0029】
これらの分散剤の含有量は、植物由来顔料を含む顔料全量に対して、5.0~40.0質量%が好ましく、更に好ましくは、7~30質量%である。なお、樹脂型分散剤では、固形分換算濃度(有効成分濃度)となる。
これらの分散剤の含有量が顔料全量に対し5.0質量%以上とすることにより、色材である植物由来の黒顔料等の分散安定性が良好となり、一方、30質量%以下とすることにより、良好な粘度域となり、塗布部に穂筆およびペン芯を有するペンタイプの塗布具に収容された場合に顔料沈降の向上が図られる。
更に好ましくは、上記被膜形成剤(X)と分散剤(Y)の含有比は、描線耐久性の点、安定性の点から、質量基準で、X/Yは、3~20、更に好ましくは、5~15とすることが望ましい。
【0030】
本発明において、上記植物由来顔料、被膜形成剤、分散剤の他、分散安定性、低温安定性、塗布性などを更に向上させる点などから、水系溶剤を用いることが好ましい。
用いる水系溶剤は、液体化粧料の溶媒として用いるものであり、水、炭素数5以下の低級アルコール、多価アルコールの少なくとも1種が挙げられる。
【0031】
炭素数5以下の低級アルコールとしては、具体的には、メチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール)、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の少なくとも1種挙げられる。
また、多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エリトリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ジペンチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
特に、安全性、取り扱い性などの点から、エチルアルコール(エタノール)の使用が望ましい。
【0032】
用いる水系溶剤の合計含有量は、安定性の点、植物由来顔料の分散安定性、特に、低温時の安定性の点から、液体化粧料全量に対して、好ましくは、45~85質量%、更に好ましくは、50~80質量%とすることが望ましい。
この水系溶剤の含有量を45質量%以上とすることにより、滑かな書き味と保湿性とを発揮でき、また、僅かではあるが防腐効果が発揮されることとなり、一方、85質量%以下とすることにより、分散安定性が更に良好となる。
本発明に用いる溶媒となる水としては、蒸溜水、イオン交換水、精製水、純水、超純水などを用いることができ、経時安定性、酸化鉄顔料の分散性を更に良好とする点から、水系溶剤(水+水以外の溶剤)に対する比率は、70~100質量%(50~80質量%)とすることが好ましく、特に好ましくは、80~90質量%とすることが望ましい。
【0033】
更に、本発明の水系液体化粧料には、前記各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の液体化粧料に用いられる任意成分などを含有せしめることができる。具体的には、増粘剤(粘度・粘性調整剤)、防腐剤、香料、保湿剤、美容成分、植物抽出物を使用でき、更に、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどの他の分散剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜量含有せしめることができる。
用いることができる増粘剤としては、例えば、多糖類、ポリマー、及び/又はシリカ増粘剤が挙げられる。多糖類の例としては、デンプン、デンプンのグリセライト;ガム、例えば、カラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、キサンタンガム、グアーガム、アカシアガム、セルロースガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、寒天、ペクチン、ゼラチン、セルロース誘導体が挙げられ、セルロース誘導体であれば、例えばセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、及び硫酸化セルロース、酸化セルロース、結晶セルロースが使用でき、更に天然及び合成粘土、例えば、ベントナイト、ヘクトライト粘土及びこれらの混合物が使用例として挙げられる。
【0034】
用いることができる防腐剤としては、例えば、ヨードプロパギル化合物、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、2,3,5,6-テトラクロロ-4(メチルスルフォニル)ピリジン、パラオキシ安息香酸エステル、フェノール、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、モルホリン、クレゾール、メチルイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3,5-トリアジン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、ピリチオンナトリウム、2-(4-チオゾリル)ベンズイミダゾール、4-ターピネノール、1,8-シネオール、チモール、ジイソチオシアネート、ユーカリオイル、ロンギフォーレン、イソプロピルメチルフェノール、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、シトラール、オイゲノール、アリルイソチオシアネート、d-リモネン、タンニン酸、―※パラオキシ安息香酸エチル と同類のため省略、塩化ベンザルコニウム、カプリル酸グリセリル、グリセリン脂肪酸エステル、クロルフェネシン、サリチル酸、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、ビサボロール、ヒノキチオール、フェニルエチルアルコール、フェネチルアルコール、フェノキシエタノール、ブチルパラベン、プロピルパラベン、ベンザルコニウムクロリド、メチルパラベン、2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール、1,2-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、エチルヘキシルグリセリンが挙げられる。
本発明では、カーボンブラックなどの顔料よりも防腐効果の弱い炭などの植物由来顔料を用いるので、上記各防腐剤、特に好ましくは、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールなどを液体化粧料全量に対して、好ましくは、0.5~10質量%、更に好ましくは、1~5質量%とする防腐設計などを調整することで、防腐基準を満たすと共に、本発明の効果を高度に両立することができる水系液体化粧料を得ることができる。
【0035】
用いることができる香料として、例えば、アネトール、シネオール、バジル、クラリセージ、シトラール、α-ピネン、β-ピネン、γ-テルピネン、ノナノール、オクタノール、シトロネラール、ヨノン、メチルヨノン、ラベンダー、マージョラム、オレガノ、パチュリ、ローズマリー、セージ、ローズウッド、クローブ、シナモン、タイム、オイゲノール、リナロール、ティートリ、α-テルピネオール、シトロネロール、リモネン、α-テルピネン、アセチルセドレン、α- テルペニルアセテート、セドロール、ラバンデュリルアセテート、1,8-シネオール、テルピネン-4-オール、ミルセン、酢酸リナリル、酢酸ベンジル、β-カリオフィレン、スクワレオール、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、アンブロキサン、ゲラニルニトリル、バクダノール、アセトナフトン、ヘキサメチルヘキサヒドロシクロペンタン、ベンゾピラン、クマリン、γ-フェニルエチルアルコール、リリアル、バニリン、メチルジヒドロジャスモネート、ペパ ーミント油、スイートオレンジ油、シダーウッド、ラバンジン油、ゼラニウム油、レモン油、シトロネラ油およびライム油からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
これらの中では、アネトール、シネラール、シトラール、ラベンダー、リナロール、ティートリー、シトロネラールおよびゼラニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0036】
用いることができる保湿剤、美容成分等としては、例えば、ヒアルロン酸Na、パンテノール、オリゴペプチド、セージ葉エキス、アロエフェロックス葉エキス、サクシノイルアテロコラーゲン、深層水、美作温泉水、マリンコレステロール、加水分解シルクが挙げられる。
【0037】
用いることができる植物抽出物としては、例えば、シコニンエキス、ブドウ葉エキス、アセンヤクエキス、アルテアエキス、アロエエキス、イチョウエキス、イラクサエキス、カワラヨモギエキス、ウイキョウエキス、ゼニアオイエキス、エイジツエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オトギリソウエキス、海藻エキス、ヨモギエキス、カモミラエキス、キナエキス、キューカンバンエキス、スイカズラエキス、クララエキス、クマザサエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコウエキス、ゴボウエキス、コンフリーエキス、サンザシエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シソエキス、シナノキエキス、ドクダミエキス、ワレモコウエキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウノコギリソウエキス、クワエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チャエキス、チョウジエキス、トウキンセンカエキス、トウキエキス、トウヒエキス、トマトエキス、セイヨウニワトコエキス、ハマメリスエキス、ビワ葉エキス、フキタンポポエキス、マロニエエキス、メリツサエキス、モモ葉エキス、ユキノシタエキス、ラベンダーエキス、レモンエキス、ロイヤルゼリーエキス、栗エキス、バラエキス(センチフォリアバラ花エキス)、リンゴエキス(リンゴ果実培養細胞エキス)、センブリエキス、セイヨウアカマツ球果エキス、カミツレ花エキス、チャ葉エキス、サトザクラ花エキス、オタネニンジン根エキス、褐藻エキス、カニナバラ果実エキス、モモ葉エキス、オリーブ葉エキス、ローズマリーエキスなどが挙げられ、これらの植物抽出物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
本発明の水系液体化粧料は、化粧料の液流出性、及び分散安定性の点から、好ましくは、温度25℃、ずり速度:192(s-1)(50rpm)、ずり速度:38.3[s-1](10rpm)の各粘度を液体化粧料塗布具の搭載形式、塗布形式から粘度範囲を調整することが望ましい。
コレクター式または中綿式の液体化粧料塗布具では、ずり速度:192[s-1](50rpm)での粘度値が15mPa・s以下、更に好ましくは、2~8mPa・sとすることで、吐出性に優れ、発色性がよく、みずみずしい描線を筆記することが可能になる。
また、直液収納式(ピストン押し出し式、バルブ式)においては、ずり速度:38.3[s-1](10rpm)での粘度値が10mPa・s以上100mPa・s以下にすることで、安定的な吐出性を保ち、発色がよく、滲むことなく描線を筆記することができる。
上記粘度値が上限(15mPa・s、100mPa・s)を超えると、水系液体化粧料の流出性が著しく低下するため、好ましくない。
本発明では、上記の低粘度処方でも、液体化粧料の上下濃度差もなく良好な処方設計となる水系液体化粧料とすることができる。
【0039】
上記各粘度範囲の調整は、用いる植物由来顔料、被膜形成剤、分散剤、水系溶剤などの各原料を好適に組み合せると共に、各含有量を好適な範囲に組み合わせること、好適な分散方法などにより行うことができる。
なお、本発明において粘度測定条件(後述する実施例等も含む)は、具体的には、得られた化粧料組成物を東機産業社製、ELD型粘度計、標準ローター:ずり速度:192〔-1](50rpm)又は38.3[s-1](10rpm)、温度25℃で測定した。
また、本発明の水系液体化粧料は、溶解性の向上、皮膚刺激性を抑える点などから、ガラス電極を用いてpH(25℃)を測定した際のpHが6~9の範囲であることが好ましい。pHの調整は、各成分種、各量の調整や、上述のpH調整剤などを用いて調整される。
【0040】
本発明の水系液体化粧料は、上記植物由来顔料、被膜形成剤、分散剤、水系溶剤、その他の成分を、例えば、ホモミキサー、サンドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどの分散機などを用いて好適な分散条件で調製することができる。
好ましくは、分散機として(多連式)超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーを用いる場合、分散条件として、例えば、超音波ホモジナイザーの場合は、周波数を、高圧ホモジナイザーの場合は、圧力範囲を好適に調整することにより最適な分散をおこなうことができる。
【0041】
得られた植物由来顔料を含有する水系液体化粧料は、コレクター式または中綿式の液体化粧料塗布具や直液収納式(ピストン押し出し式、バルブ式)の液体化粧料塗布具に搭載され、例えば、塗布部として筆穂又はペン芯を有するペンタイプの液体化粧料塗布具(容器)に収容(充填)して使用に供することができる。
用いることができる液体化粧料塗布具としては、例えば、アイライナー用又はアイブロウ用である筆穂又はペン芯を備えた各搭載形式の液体化粧料塗布具であれば、特に限定されない。
好ましくは、塗布手段としてアイライナー用又はアイブロウ用である筆穂(筆ペン)や、ペン芯や、並びに、ゴム、エラストマー、または復元性を有する独立気泡体から構成される塗布手段となる塗布体を具備し、液体化粧料を充填する容器を有する塗布具が挙げられる。
【0042】
具体的には、
図1、
図2、
図3(a)及び
図3(b)に示すとおり、機構がそれぞれ、回転式繰出タイプ、化粧料内蔵型塗布具タイプ及びコレクター式塗布具タイプとなる使用性、簡便性、塗布性に優れる液体化粧料塗布具の使用が望ましい。
回転式繰出タイプの液体化粧料塗布具は、
図1に示すように、液押圧機構10により、液押圧機構10の前方に内蔵された本発明の植物由来顔料を含有する水系液体化粧料(以下、単に「液体化粧料」という」)を吐出させる貯留部となる化粧料内蔵容器11の前方に具備された、筆穂(筆ペン)で形成した塗布部30を有するものである。
液押圧機構10は、軸本体12後端部に配設された繰り出し部材13を軸本体12に対して周方向に相対回転させることにより容器(貯留部)11内の液体化粧料を繰り出すことにより塗布部30に供給される構成となっている。
【0043】
この塗布具の液押圧機構10は、軸本体12の後端に回転可能に嵌合された繰り出し部材13と、使用者による繰り出し部材13の回転の力をネジ棒14に伝える駆動筒15と、軸本体12に固定してネジ棒14が螺合するネジ体16と、先端にピストン体17が回転可能に係合したネジ棒14と、軸本体12の貯留部11内を摺動するピストン体17とを有する。前記駆動筒15を介して繰り出し部材13の回転をネジ棒14に伝え、該ネジ棒14の回転によってナット状のネジ体16の雌ネジを介して該ネジ棒14及びピストン体17が前進して貯留部11内から前記液体化粧料を塗布部30へ繰出す構造になっている。
【0044】
繰り出し部材13は、
図1に示すように、後端に天冠13aが嵌入することによって閉じられた筒状を呈する操作部が軸本体12後端部に回動可能に嵌め込まれかつ露出しているものである。駆動筒15が繰り出し部材13内に嵌入して回転方向に固定されており、この駆動筒15内に回転方向固定かつ軸方向への相対移動可能にネジ体16が装着されている。13bは、スプリング部材であり、回転体となる繰り出し部材13を後方側に付勢するものである。
この塗布具において、軸本体12の前端部12aには、シール部18、継手部材19、先軸20、塗布部30が嵌入により取り付けられる。軸本体12の貯留部11には、液体化粧料が収容され、その貯留部11から繰出された液体化粧料は継手部材19内の流路を通り塗布部30に吐出されて塗布可能になる。また、使用後にキャップ40を塗布部30及び先軸20を覆うように先軸20に装着できるよう形成されている。
【0045】
また、
図1において、図示符号21は、貯留部11内の液体化粧料を往復動によって攪拌する攪拌ボール、22はシールボールである。また、41はキャップ40内のインナーキャップ、42はインナーキャップ後方付勢用のスプリングである。なお、攪拌ボール21省略してもよい。
更に、図示符号23は、未使用時における塗布部30に向かう液体化粧料の流通路を閉鎖する位置にシール部18、継手部材19、先軸20、塗布部30を位置させるため、前記先軸20後端と軸本体12前端部12aの段状箇所前面との間にリング状部が装着されたストッパーである。このストッパー23は、リング状部の一部が切り離され、その切り
離された箇所の反対側に摘み片が一体形成され、摘み片を引くことによって、リング状部が切り離し箇所から拡径して前記先軸20後端と軸本体12の前端部12aとの間から取り外せるものになっている。
【0046】
図1に示すように、未使用時ではシールボール22がシールボール受け部となるシール部18の内径部に嵌入して密封しており塗布部30側に液体化粧料が流れ込まないようになっている。一方、使用時は、ユーザーがストッパー23を軸本体12から引き抜き、先軸20を後端側に押し込むことにより、継手部材19の後端細径部がシールボール22に突き当たってシールボール22がシール部18の内径部から外されて前記貯留部11内に入り込み、当該貯留部11内の液体化粧料が継手部材19の内径部から塗布部30の液流路内に流入して、塗布部30にその内部から供給されて、対象部に塗布可能になる。
【0047】
化粧料内蔵型塗布具タイプの液体化粧料塗布具は、
図2に示すように、化粧料を中綿126に含浸して内蔵した軸筒110と、軸筒先端部110aに設けられ化粧料を対象物に塗布するための塗布部114と、その塗布部114の先端部114aを残して塗布部114の軸筒110側(基部側)外周を覆う保持部材116とを有して、塗布部114に軸筒110内部の化粧料を供給する構造の化粧料内蔵型塗布具であって、その塗布部114および保持部材116を覆うために軸筒先端部110aに着脱自在に構成したキャップ112を有しているものである。
【0048】
塗布部114は、その先端部114aが先鋭化されている。また、塗布部114は、繊維を束ねた筆状である。具体的には、塗布部114は複数本の樹脂製繊維束(具体例:繊維の材質がポリブチレンテレフタレート(PBT)製、繊維太さが0.1~0.15mm)を先端部114aが先細になるように揃えて(先鋭化して)筆状にし、後端部を加熱溶着によって一体化しかつフランジ状に拡径したものである。なお、塗布部114は、その他、繊維を固めたものでもよい。
なお、この実施形態の化粧料内蔵型塗布具では、
図2に示すように、軸筒110内の中央部から先端部110aにかけてインク吸蔵体の中綿126を収容しており、中綿126は軸筒110の後端から嵌入された尾栓128によって封止かつ支持されている。
【0049】
軸筒先端部110aの開口には、連続気泡体からなるインク中継芯130が配置されている。この中継芯130は、尾端が中綿126先端部中に嵌入し、一方、先端が塗布部114の尾端部に嵌入して、中綿126に吸蔵されているインクを塗布部114に誘導する。また、中継芯130は、本体とは段付きで少し小径になった(キャップ112の厚み分小径になった)軸筒先端部110a内に概略筒状の支持体132を介して装着され、その支持体132外周と軸筒先端部110a内周との間には保持部材116の筒状の後端部が嵌入している。
保持部材116の先端部は軸筒先端部110aよりも先方に位置して塗布部114の外周面114bを覆い、保持部材外周面116aが円錐側面形状またはテーパ状に先細になっている。
【0050】
コレクター式塗布具タイプの液体化粧料塗布具は、
図3(a)に示すように、先軸210と該先軸210の後部側の軸本体212とが嵌合する軸体214とを有し、
図3(b)に示すように、軸体214の前部に枚葉部が軸方向に複数配列された態様の櫛歯状に形成されたコレクター216が配置され、軸体214内の後部の収容空間214a内に塗布液が収容されるタイプの塗布具である。
【0051】
前記軸体214の後部の軸本体212は、内部が連通し前後に開口したパイプ状に形成されている。前記軸体の後部でもある軸本体212の後部には、尾栓214bが嵌合して軸本体212の後部が閉鎖されており、該尾栓214bの前端とコレクター216後端と
で挟まれた軸体214内空間(軸本体212内空間でもある)が収容空間214aになっている。
この収容空間214a内には、中綿等の含浸体を配置せず、直接塗布液が収容されており、また、該塗布液の攪拌をするための攪拌体(ボール等)214cが配置されている。
【0052】
先軸210、軸本体212、コレクター216、キャップ等は樹脂成形品とすることができる。また、攪拌体214cは、金属製、樹脂製等のボール材を用いることができる。
前記コレクター216は、先軸210及び軸本体212によって覆われて保持される構造である。
そして、先軸210の前端部の開口から、先細のテーパ状を呈した筆体からなる筆記部218が突出しており、その筆記部218を覆うキャップが前記先軸210に着脱自在に嵌合する構造である。前記先軸210はほぼ円錐側面形状を呈して先細く形成されており、該先軸210の先端角度は、筆記部218の先端角度と略同角度に形成することが望ましい。
【0053】
筆記部218は、樹脂繊維、天然繊維束、樹脂製多孔質体からなる先細の筆体である。筆記部218は、後端部がフランジ状に拡径しており、この拡径した箇所が先軸210内に係合して抜け止めされている。なお、筆記部218は、筆体が好適であるが、その他、塗布液を塗布する各種塗布体を使用することができる。
キャップ内には、筆記部218の気密性を高めるため覆うカップ状のインナーキャップが前後動可能に配置され、このインナーキャップを後方に付勢するスプリングが配置されている。
【0054】
中空の先細く形成された先軸210の内部には、筆記部218の後方に蛇腹状のコレクター216が配設されており、このコレクター216の中空部内に中芯222が貫通して配置されている。中継芯となる中芯222は、樹脂繊維束、天然繊維束、樹脂製多孔質体等の毛管部材から構成できる。
中芯222においては、コレクター216の後端部から軸体214の収容空間214a内に中芯222が突出していない(
図3(b)参照)。コレクター216の後端面に中芯222の後端面がほぼ一致している。中芯222を一致させることで、収容空間214a内に中芯222の後端が突出することがなく、収容空間214a内の容積を確保することができる。また、収容空間214a内に中芯222の後端が突出することがないので、攪拌体214cを収容空間214a内に設けた場合、攪拌体214cが収容空間214a内で動いても中芯222に衝突せず中芯222を変形させることないので、十分に塗布液を浸透することができる。
本発明の水系液体化粧料を搭載する液体化粧料塗布具としては、直液式の液体化粧料塗布具が好ましく、さらにコレクター式であることが好ましい。用いる中継芯の気孔率は30%以上であれば、色材の目詰まり等も起こりにくく、吐出性に優れるものとなる。また、直液式の液体化粧料塗布具の他にも中綿式、直液収納式(ピストン押し出し、攪拌ボール入り)、直液収納式(バルブ式)を用いることができ、塗布部では「穂筆」「繊維束芯」「へら」を使用することができる。
【0055】
上記形態の液体化粧料塗布具では、本発明の植物由来顔料を含有する水系液体化粧料となる化粧料組成物であるリキッドアイライナーやリキッドアイシャドの液体化粧料塗布具を例にして説明したが、これに限られるものではなく、眉毛にラインを描くアイブロー塗布具、マスカラの塗布具、肌にラインを描くことにも適用することができる。
また、上記形態の液体化粧料塗布具の液押圧機構として、
図1に示す、回転式繰出タイプとなる塗布具を用いたが、ノック式繰出タイプとなる液体化粧料塗布具を用いても良いものである。
【0056】
このように構成される本発明の水系液体化粧料では、少なくとも、上記G/D比が0.5~10となる植物由来顔料1~30質量%と、被膜形成剤と、分散剤と、好ましくは、水系溶剤などの各原料を好適に組み合せることなどにより、植物由来顔料を用いても、発色性や分散安定性に優れ、中綿式の液体化粧料塗布具をはじめ、直液式のアイライナー、アイシャドー、眉毛にラインを描くアイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料用の塗布具に搭載した場合においても良好な吐出が可能となり、しかも、高発色の描線をひくことができ、耐水固着性などの耐久性に優れる水系液体化粧料が得られるものとなる。そのため、使用に供する液体化粧料塗布具などの容器に本発明の植物由来顔料を含有する水系液体化粧料を長期に収容しても、凝集や沈降などが起こる酸化鉄顔料等と相違し、炭などの植物由来顔料を用いているので、容器内での分散性、経時安定性は長期に亘って維持されるため、例えば、上記
図1に示すような、塗布体に穂筆30を用いたアイライナーの塗布具容器でも、穂筆の先端等で色別れの起きにくく、鮮やかな発色と隠蔽性、マット感などの視認性に優れるアイライナー液などの液体化粧料に好適な水系液体化粧料が得られるものとなる。
また、
図1又は
図3に示すような塗布具容器の場合、夫々撹拌体が備わっているものの、植物由来顔料を用いているのでユーザーが撹拌する必要もなく、また、塗布したときの色変化もない。
【実施例0057】
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例等により限定されるものではない。
【0058】
〔実施例1~15及び比較例1~3〕
下記表1に示す配合処方の水系液体化粧料となる化粧料組成物(配合単位:質量%、全量100質量%)を下記方法により調製し、上述の測定方法により、各液体化粧料の粘度値、下記評価方法により、pHの測定、発色性、描線耐久性A(耐水固着性)、描線耐久性B(耐皮脂性)、製品経時安定性、液体化粧料吐出性について評価した。
実施例1~13の水系液体化粧料については、
図3の直液(コレクター)式液体化粧料塗布具(アイライナー)を用いて発色性、描線耐久性A(耐水固着性)、描線耐久性B(耐皮脂性)、製品経時安定性、液体化粧料吐出性について評価し、実施例14,15の水系液体化粧料については、
図1の繰り出し式液体化粧料塗布具(アイライナー)を用いて、実施例1~13と同様にして発色性、描線耐久性A(耐水固着性)、描線耐久性B(耐皮脂性)、製品経時安定性、液体化粧料吐出性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0059】
(水系液体化粧料の調製方法)
下記表1に示す配合処方の水性の液体化粧料となる化粧料組成物を従来用いられてきた手順、即ち、ベヒクルであるイオン交換水に、色材である植物由来顔料と、分散剤とを加え、分散機としてラボスター(アシザワ・ファインテック社製)を用いて分散させた後にその他の成分を添加して、混合することにより調製した。
【0060】
(粘度の測定方法)
上記方法で得られた各水系液体化粧料について、25℃での東機産業社製、ELD型粘度計、標準ローター:ずり速度:192〔s-1](50rpm)または標準ローター:ずり速度:38.3〔s-1](10rpm)により粘度を測定した。
(pHの測定方法)
上記方法で得られた各水系液液体化粧料をガラス電極pH計にて、25℃におけるpHを測定した。
【0061】
(発色性の評価方法)
図3のコレクター式アイライナーなどに、得られた水系液体化粧料を充填し、肌に塗布して、下記評価基準で発色性の評価を行った。
評価基準:
A:とても発色が良い。
B:わずかに肌が透けてみえるが、発色が良い。
C:あまり発色が良くなく、肌が透けて見える。
D:発色が悪く、肌が透けて見える。
【0062】
〔描線耐久性A(耐水固着性)の評価方法〕
図3のコレクター式アイライナーなどに、得られた水系液体化粧料を充填し、前腕部に塗布後流水をかけ、塗布面を指の腹で擦過して、下記評価基準で耐水固着性の評価を行った。
A:指の腹での擦過による描線変化なし。
B:指の腹での擦過により、描線にわずかな変化がみられる。
C:指の腹での擦過により、描線に変化がみられる。
D:指の腹での擦過により、描線が消去される。
【0063】
〔描線耐久性B(耐皮脂固着性)の評価方法〕
図3のコレクター式アイライナーなどに、得られた水系液体化粧料を充填し、前腕部に塗布後、人工皮脂をつけ、指の腹で擦過して、下記評価基準で耐皮脂固着性の評価を行った。
A:指の腹での擦過による描線変化なし。
B:指の腹での擦過により、描線にわずかな変化がみられる。
C:指の腹での擦過により、描線に変化がみられる。
D:指の腹での擦過により、描線が消去される。
【0064】
(製品経時安定性の評価方法)
図3のコレクター式アイライナーなどに、得られた水系液体化粧料を充填し、50℃、1か月経過後の様子を下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
A:顔料の沈降が見られなかった。
B:顔料の沈降性がみられるが、沈降物はすぐにほぐれた。
C:顔料の沈降性がみられ、沈降物はほぐれにくかった。
D:顔料の沈降性がみられ、沈降物は硬くほぐれなかった。
【0065】
(液体化粧料吐出性の評価方法)
図3のコレクター式アイライナーなどに、得られた水系液体化粧料を充填し、肌に塗布して、下記評価基準で液体化粧料吐出性の評価を行った。
評価基準:
A:流量に問題がなく、みずみずしい、塗布部も良好
B:流量の低下がみられるものの、塗布に問題なく、塗布部も欠けがない
C:流量の低下があり、塗布部にわずかに欠けがみられる
D:流量に顕著な低下がみられ、パサつく、塗布部が視認できない
【0066】
【0067】
上記表1中の*1~*9は、下記のとおりである。
*1:G/D:0.9、BET比表面積:75m2/g、平均粒子径:5.0μm
*2:G/D:1.0、BET比表面積:79m2/g、平均粒子径:6.5μm
*3:G/D:1.0、BET比表面積:141m2/g、平均粒子径:4.0μm
*4:平均粒子径:0.1μm
*5:平均粒子径:0.3μm
*6:平均粒子径:0.3μm
*7:平均粒子径:0.2μm
*8:平均粒子径:0.2μm
*9:平均粒子径:0.1μm
【0068】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1~13のコレクター式液体化粧料塗布具を用いた水系液体化粧料、並びに、実施例14、15の繰り出し式液体化粧料塗布具を用いた水系液体化粧料は、本発明の範囲外となる比較例1~3に較べて、発色性、描線耐久性(耐水固着性、耐皮脂性)、製品経時安定性、液体化粧料吐出性に優れた水系液体化粧料であることが判明した。
また、上記実施例14,15について、繰り出し式に代え、粘度を調整して、
図3のコレクター式液体化粧料塗布具を用いて、発色性、描線耐久性(耐水固着性、耐皮脂性)、製品経時安定性、液体化粧料吐出性について評価したところ、繰り出し式を用いた場合と同様の各評価結果が得られることが確認された。
更に、上記実施例1~13について、コレクター式に代え、粘度を調整して、
図1の繰り出し式液体化粧料塗布具を用いて、発色性、描線耐久性(耐水固着性、耐皮脂性)、製品経時安定性、液体化粧料吐出性について評価したところ、コレクター式を用いた場合と同様の各評価結果が得られることが確認された。
環境負荷の低減、安全性などに優れる植物由来の顔料を使用しても、発色性や分散安定性に優れ、中綿式の液体化粧料塗布具をはじめ、直液式のアイライナー、アイシャドー、眉毛にラインを描くアイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料用の塗布具に搭載した場合においても良好な吐出が可能となり、しかも、高発色の描線をひくことができ、描線耐久性に優れる水系液体化粧料が得られることとなる。