(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177064
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電力供給システム及び燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20241212BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20241212BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20241212BHJP
H01M 8/043 20160101ALI20241212BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20241212BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20241212BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20241212BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/38 170
H02J3/00 170
H02J3/00 180
H02J3/46
H01M8/043
H01M8/04 Z
H01M8/04537
H01M8/04858
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024051595
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2023094634
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
(72)【発明者】
【氏名】安井 匡史
(72)【発明者】
【氏名】北川 友葵
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
【テーマコード(参考)】
5G066
5H127
【Fターム(参考)】
5G066AA01
5G066AA03
5G066AA09
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB07
5H127AB08
5H127AB23
5H127AB27
5H127AC18
5H127BA05
5H127BA13
5H127BB02
5H127DB66
5H127DB69
5H127DB92
5H127DC45
(57)【要約】
【課題】発電電力を出来るだけ自家消費し且つ買電の発生を出来るだけ抑制できる電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力系統1に連系される電力線11に接続される太陽電池装置12及び発電装置13を備える電力供給システムであって、太陽電池装置12の発電電力について予測される予測下限発電電力の推移を導出する予測発電電力導出装置2を備え、発電装置13は、発電装置13の発電電力と、予測発電電力導出装置2が導出する予測下限発電電力との和が、電力線11に接続される電力負荷装置14の負荷電力に追従するように発電装置13の発電電力を調節する発電調節運転を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に連系される電力線に接続される太陽電池装置及び発電装置を備える電力供給システムであって、
前記太陽電池装置の発電電力について予測される予測下限発電電力の推移を導出する予測発電電力導出装置を備え、
前記発電装置は、前記発電装置の発電電力と、前記予測発電電力導出装置が導出する前記予測下限発電電力との和が、前記電力線に接続される電力負荷装置の負荷電力に追従するように前記発電装置の発電電力を調節する発電調節運転を行う電力供給システム。
【請求項2】
前記予測発電電力導出装置は、前記太陽電池装置が設けられている場所の日射量の予測値に対して設定されている信頼区間の下限値である下限日射量の推移を参照して前記予測下限発電電力の推移を導出する請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記予測発電電力導出装置は、
前記太陽電池装置の定格発電電力に対して乗算することで、対象とする日時で当該太陽電池装置が発電できると予測される予測最大発電電力を導出するために用いることができる第1出力係数と、
前記下限日射量の関数で表され、前記予測最大発電電力に対して乗算することで、対象とする日時で当該太陽電池装置が発電できると予測される前記予測下限発電電力を導出するために用いることができる第2出力係数とに基づいて、
前記定格発電電力に対して、前記第1出力係数及び前記第2出力係数を乗算することで前記予測下限発電電力を導出する請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記予測発電電力導出装置は、
前記太陽電池装置の定格発電電力に対して乗算することで、対象とする日時で当該太陽電池装置が発電できると予測される予測最大発電電力を導出するために用いることができる第1出力係数と、
前記太陽電池装置が設けられている場所の快晴時の日射量の予測値である第1予測日射量に対する、前記太陽電池装置が設けられている場所の雲量を推定できる画像情報に基づいて予測される日射量である第2予測日射量の比である第3出力係数とに基づいて、
前記定格発電電力に対して、前記第1出力係数及び前記第3出力係数を乗算することで前記予測下限発電電力を導出する請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記予測発電電力導出装置は、
過去の複数の時刻のそれぞれでの大気圏外日射量と日射量の予測値と日射量の実測値とで構成される日射量データを収集し、
前記日射量データについて、各時刻毎に、前記大気圏外日射量に対する前記日射量の予測値の比率である第1比率と、前記大気圏外日射量に対する前記日射量の実測値の比率である第2比率とを導出し、
前記日射量データを、前記第1比率について設定される複数の数値範囲の内の何れか一つに属する形態で分類し、
複数の前記数値範囲のそれぞれで、当該数値範囲に属する前記日射量データのそれぞれの前記第1比率に対する前記第2比率の比率である第3比率を導出し、
前記数値範囲に属する前記日射量データのそれぞれの前記第3比率を小さい方から順に累積した場合の存在割合の累積値が小さい方から所定値にある前記第3比率を、前記数値範囲に対応した前記日射量の予測値からの変換比率として設定し、
対象とする日時での前記太陽電池装置が設けられている場所の前記日射量の予測値及び大気外日射量の予測値が得られた場合、前記大気外日射量の予測値に対する前記日射量の予測値の比率が、前記第1比率について設定される複数の前記数値範囲の何れに属するかを決定し、前記日射量の予測値と、決定された前記数値範囲に設定されている前記変換比率との積を、前記太陽電池装置が設けられている場所で少なくとも得られる日射量推定値として導出し、
前記日射量推定値の推移に基づいて前記予測下限発電電力の推移を導出する請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の電力供給システムで用いられる前記発電装置の機能を備え、熱と電気とを併せて発生させる燃料電池装置。
【請求項7】
外部サーバ装置から前記発電調節運転を行う指令を受け付けた場合、発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が満たされるならば前記発電調節運転を行わず、前記熱利用条件が満たされないならば前記発電調節運転を行う請求項6に記載の燃料電池装置。
【請求項8】
外部サーバ装置から前記発電調節運転を行う指令を受け付けた場合、発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が所定期間以上連続しているならば前記発電調節運転を行わず、前記熱利用条件が前記所定期間以上連続していないならば前記発電調節運転を行う請求項6に記載の燃料電池装置。
【請求項9】
前記太陽電池装置の発電電力を前記電力系統へと売電する場合の単位エネルギー当たりの売電単価と、発生した熱が利用されると仮定した場合での熱及び電気を発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第1コスト単価と、発生した熱が利用されないと仮定した場合での熱及び電気を発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第2コスト単価との比較結果に基づいて、
前記第1コスト単価及び前記第2コスト単価が前記売電単価より大きい場合、外部サーバ装置から前記発電調節運転を行う指令を受け付けると前記発電調節運転を行い、
前記第1コスト単価が前記売電単価より小さく、且つ、前記第2コスト単価が前記売電単価より大きい場合、外部サーバ装置から前記発電調節運転を行う指令を受け付けると、発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が満たされないならば前記発電調節運転を行い、前記熱利用条件が満たされるならば前記発電調節運転を行わず、
前記第1コスト単価及び前記第2コスト単価が前記売電単価より小さい場合、外部サーバ装置から前記発電調節運転を行う指令を受け付けても前記発電調節運転を行わない請求項6に記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に連系される電力線に接続される太陽電池装置及び発電装置を備える電力供給システム及び燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住戸や事業所などの施設に、太陽電池装置と燃料電池などの発電装置とが併設された電力供給システムがある。このような電力供給システムにおいて太陽電池装置での発電と発電装置での発電とが同時に行われている場合、それらの発電電力の合計が、施設に設けられる電力負荷装置の負荷電力よりも大きくなることがある。つまり、発電電力の一部が施設内で利用されず、施設外の電力系統へと逆潮流することになる。尚、そのような場合であっても、燃料電池などの発電装置の発電電力を低く抑えるような発電制御を行えば、太陽電池装置の発電電力を施設で十分に自家消費できるようになる。
【0003】
特許文献1(特開2021-158809号公報)には、太陽電池装置で発電された電力の自家消費の向上を図ることを目的とする電力供給システムが記載されている。具体的には、特許文献1に記載の発明では、前日の段階で、翌日の負荷電力及び太陽電池装置の発電電力を予測して翌日の余剰電力(=太陽電池装置の発電電力-負荷電力)を予測し、その余剰電力>βとなる時間帯が存在するかを判定する。そして、余剰電力>βとなる時間帯が存在する場合、余剰電力が発生せず且つ購入電力が多いと予測される時間帯に燃料電池への発電要請指示を行う。その結果、燃料電池は、翌日の発電要請指示を受けた時間帯で発電を行い、発電要請指示を受けていない時間帯で発電を停止する。例えば、特許文献1に記載の
図5に示される「2日目の8~18時頃」では、燃料電池は発電を停止しており、太陽電池装置の発電電力で電力需要が賄われている。尚、燃料電池が発電を行う場合、特許文献1の
図5に示されているように、燃料電池の発電電力が電力需要に等しくなるような負荷追従運転が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電力供給システムでは、前日の予測段階で、太陽電池装置の発電電力が大きくなると予測される時間帯を、燃料電池が発電を停止する時間帯として予め定めている。つまり、特許文献1に記載の電力供給システムでは、日中に太陽電池装置が発電を行っている時間帯では燃料電池が十分に活用されないという問題がある。
【0006】
更に、太陽電池装置の発電電力が大きくなると予測されていたとしても、当日の段階で雲により日が陰った場合には太陽電池装置の実際の発電電力が大幅に低下する。そのため、特許文献1に記載のように燃料電池が発電を停止していれば、施設の内部の発電電力で負荷電力を賄うことができず、電力系統からの購入電力が非常に多くなるという問題がある。
【0007】
また更に特許文献1に記載の電力供給システムでは、燃料電池が発電を行う場合、特許文献1の
図5に示されているように、燃料電池の発電電力が電力需要に等しくなるような負荷追従運転が行われる。そのため、太陽電池装置が発電を行っている時間帯と燃料電池が発電を行っている時間帯とが重なれば、それらの発電電力の合計が電力需要を大幅に上回り、その上回った分の発電電力を自家消費できないという問題がある。
【0008】
尚、電力系統への逆潮流電力及び電力系統からの購入電力を少なくするために、太陽電池装置の発電電力又は施設の受電点電力を測定して、その測定結果に応じて燃料電池の発電電力を増減させるような発電制御を行うことも可能である。しかし、太陽電池装置の発電電力又は施設の受電点電力を測定する機器を設けるためのコストが大きくなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発電電力を出来るだけ自家消費し且つ電力系統からの購入電力の発生を出来るだけ抑制できる電力供給システム及び燃料電池装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る電力供給システムの特徴構成は、電力系統に連系される電力線に接続される太陽電池装置及び発電装置を備える電力供給システムであって、
前記太陽電池装置の発電電力について予測される予測下限発電電力の推移を導出する予測発電電力導出装置を備え、
前記発電装置は、前記発電装置の発電電力と、前記予測発電電力導出装置が導出する前記予測下限発電電力との和が、前記電力線に接続される電力負荷装置の負荷電力に追従するように前記発電装置の発電電力を調節する発電調節運転を行う点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、雲により日が陰ることで太陽電池装置の発電電力が低下したとしても、電力負荷装置の負荷電力は、発電装置の発電電力と太陽電池装置の発電電力によって賄われることが期待される。つまり、雲により日が陰ることで太陽電池装置の発電電力が低下したとしても、電力系統からの購入電力の発生が抑制される。
尚、日が陰っておらず、太陽電池装置の発電電力が十分に大きい場合、発電装置の発電電力及び太陽電池装置の発電電力の合計が電力負荷装置の負荷電力よりも大きくなり、その余剰電力が電力系統へと逆潮流する。但し、本特徴構成では、発電装置の発電電力は、電力負荷装置の負荷電力よりも小さくなるように調節されるため、上述のような余剰電力が発生するとしてもその大きさは小さく抑えられる。つまり、発電装置の発電電力及び太陽電池装置の発電電力ができるだけ自家消費される。
従って、発電電力を出来るだけ自家消費し且つ電力系統からの購入電力の発生を出来るだけ抑制できる電力供給システムを提供できる。
【0012】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記予測発電電力導出装置は、前記太陽電池装置が設けられている場所の日射量の予測値に対して設定されている信頼区間の下限値である下限日射量の推移を参照して前記予測下限発電電力の推移を導出する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、太陽電池装置が設けられている場所の日射量の予測値に対して設定されている信頼区間の下限値である下限日射量の推移を参照することで、信頼性の高い予測下限発電電力の推移を導出できる。
【0014】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記予測発電電力導出装置は、前記太陽電池装置の定格発電電力に対して乗算することで、対象とする日時で当該太陽電池装置が発電できると予測される予測最大発電電力を導出するために用いることができる第1出力係数と、前記下限日射量の関数で表され、前記予測最大発電電力に対して乗算することで、対象とする日時で当該太陽電池装置が発電できると予測される前記予測下限発電電力を導出するために用いることができる第2出力係数とに基づいて、前記定格発電電力に対して、前記第1出力係数及び前記第2出力係数を乗算することで前記予測下限発電電力を導出する点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、太陽電池装置の定格発電電力に対して第1出力係数を乗算することで、対象とする日時で太陽電池装置が発電できると予測される予測最大発電電力を導出でき、その予測最大発電電力に対して第2出力係数を乗算することで、対象とする日時で太陽電池装置が発電できると予測される予測下限発電電力を導出できる。
【0016】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記予測発電電力導出装置は、前記太陽電池装置の定格発電電力に対して乗算することで、対象とする日時で当該太陽電池装置が発電できると予測される予測最大発電電力を導出するために用いることができる第1出力係数と、前記太陽電池装置が設けられている場所の快晴時の日射量の予測値である第1予測日射量に対する、前記太陽電池装置が設けられている場所の雲量を推定できる画像情報に基づいて予測される日射量である第2予測日射量の比である第3出力係数とに基づいて、前記定格発電電力に対して、前記第1出力係数及び前記第3出力係数を乗算することで前記予測下限発電電力を導出する点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、太陽電池装置の定格発電電力に対して第1出力係数を乗算することで、対象とする日時で太陽電池装置が発電できると予測される予測最大発電電力を導出でき、その予測最大発電電力に対して、太陽電池装置が設けられている場所の快晴時の日射量の予測値である第1予測日射量に対する、太陽電池装置が設けられている場所の雲量を推定できる画像情報に基づいて予測される日射量である第2予測日射量の比である第3出力係数を乗算することで、対象とする日時で太陽電池装置が発電できると予測される予測下限発電電力を導出できる。
【0018】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記予測発電電力導出装置は、
過去の複数の時刻のそれぞれでの大気圏外日射量と日射量の予測値と日射量の実測値とで構成される日射量データを収集し、
前記日射量データについて、各時刻毎に、前記大気圏外日射量に対する前記日射量の予測値の比率である第1比率と、前記大気圏外日射量に対する前記日射量の実測値の比率である第2比率とを導出し、
前記日射量データを、前記第1比率について設定される複数の数値範囲の内の何れか一つに属する形態で分類し、
複数の前記数値範囲のそれぞれで、当該数値範囲に属する前記日射量データのそれぞれの前記第1比率に対する前記第2比率の比率である第3比率を導出し、
前記数値範囲に属する前記日射量データのそれぞれの前記第3比率を小さい方から順に累積した場合の存在割合の累積値が小さい方から所定値にある前記第3比率を、前記数値範囲に対応した前記日射量の予測値からの変換比率として設定し、
対象とする日時での前記太陽電池装置が設けられている場所の前記日射量の予測値及び大気外日射量の予測値が得られた場合、前記大気外日射量の予測値に対する前記日射量の予測値の比率が、前記第1比率について設定される複数の前記数値範囲の何れに属するかを決定し、前記日射量の予測値と、決定された前記数値範囲に設定されている前記変換比率との積を、前記太陽電池装置が設けられている場所で少なくとも得られる日射量推定値として導出し、
前記日射量推定値の推移に基づいて前記予測下限発電電力の推移を導出する点にある。
【0019】
気象予報サービスなどから日射量の予測値が得られたとしても、実際の天候次第で日射量は変化する。但し、過去の日射量の予測値と日射量の実測値を参照することで、ある程度の確率で少なくともどの程度の日射量が得られるのかを推定することはできる。例えば、所定の変換比率を導出し、日射量の予測値とその変換比率との積を、少なくとも得られると推定できる日射量推定値として導出することはできる。そして、その日射量推定値に基づいて、上述した予測下限発電電力を導出することもできる。
そこで本特徴構成では、複数の数値範囲のそれぞれで、各数値範囲に属する日射量データのそれぞれの第3比率を小さい方から順に累積した場合の存在割合の累積値が小さい方から所定値にある第3比率を、数値範囲に対応した日射量の予測値からの変換比率として設定する。ここで、第3比率は、第1比率(大気圏外日射量に対する日射量の予測値)に対する第2比率(大気圏外日射量に対する日射量の実測値)であるので、第3比率は日射量の予測値に対する日射量の実測値の比率に対応する。そのため、日射量の予測値が定まる場合、確率的にその日射量の予測値と上記変換比率との積の日射量(日射量推定値)が少なくとも得られると期待される。そして、日射量推定値の推移に基づいて予測下限発電電力の推移を導出できる。
【0020】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池装置の特徴構成は、上記電力供給システムで用いられる前記発電装置の機能を備え、熱と電気とを併せて発生させる点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、発電電力を出来るだけ自家消費し且つ電力系統からの購入電力の発生を出来るだけ抑制できる電力供給システムで用いられる発電装置の機能を備える燃料電池装置を提供できる。
【0022】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、外部サーバ装置から前記発電調節運転を行う指令を受け付けた場合、
発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が満たされるならば前記発電調節運転を行わず、
前記熱利用条件が満たされないならば前記発電調節運転を行う点にある。
【0023】
発電調節運転が行われると、燃料電池装置の発電電力は、電力負荷装置の負荷電力よりも小さくなる。つまり、発電調節運転が行われるということは、燃料電池装置で発生する熱が少なくなることを意味する。そのため、熱利用条件が満たされる場合(即ち、発生した熱の多くが利用される状況にある場合)、発電調節運転が行われると燃料電池装置の発熱量が減少するため、その減少分の熱を発生させるための例えば熱源機の運転コストが増加する。
ところが本特徴構成では、燃料電池装置は熱利用条件が満たされる場合には発電調節運転を行わないため、上述したような熱源機の運転コストが増加することを抑制できる。
【0024】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、外部サーバ装置から前記発電調節運転を行う指令を受け付けた場合、発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が所定期間以上連続しているならば前記発電調節運転を行わず、前記熱利用条件が前記所定期間以上連続していないならば前記発電調節運転を行う点にある。
【0025】
発電調節運転が行われると、燃料電池装置の発電電力は、電力負荷装置の負荷電力よりも小さくなる。つまり、発電調節運転が行われるということは、燃料電池装置で発生する熱が少なくなることを意味する。そのため、熱利用条件が満たされる状態が所定期間以上連続している場合(即ち、発生した熱の多くが利用される状況が所定期間以上連続している場合)、発電調節運転が行われると燃料電池装置の発熱量が減少するため、その減少分の熱を発生させるための例えば熱源機の運転コストが増加する。
ところが本特徴構成では、燃料電池装置は熱利用条件が満たされる状態が所定期間以上連続する場合には発電調節運転を行わないため、上述したような熱源機の運転コストが増加することを抑制できる。
【0026】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、前記太陽電池装置の発電電力を前記電力系統へと売電する場合の単位エネルギー当たりの売電単価と、発生した熱が利用されると仮定した場合での熱及び電気を発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第1コスト単価と、発生した熱が利用されないと仮定した場合での熱及び電気を発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第2コスト単価との比較結果に基づいて、
前記第1コスト単価及び前記第2コスト単価が前記売電単価より大きい場合、外部サーバ装置から前記発電調節運転を行う指令を受け付けると前記発電調節運転を行い、
前記第1コスト単価が前記売電単価より小さく、且つ、前記第2コスト単価が前記売電単価より大きい場合、外部サーバ装置から前記発電調節運転を行う指令を受け付けると、発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が満たされないならば前記発電調節運転を行い、前記熱利用条件が満たされるならば前記発電調節運転を行わず、
前記第1コスト単価及び前記第2コスト単価が前記売電単価より小さい場合、外部サーバ装置から前記発電調節運転を行う指令を受け付けても前記発電調節運転を行わない点にある。
【0027】
発電調節運転が行われると、燃料電池装置の発電電力は、電力負荷装置の負荷電力よりも小さくなるため、太陽電池装置の発電電力のうち、電力系統へ逆潮流される電力(即ち、売電電力)が減少すると考えられる。そのため、発電調節運転が行われると、上記売電単価で計算できる利益が減少する。また、発電調節運転が行われる、即ち、燃料電池装置の発電電力が小さくなるということは、発生した熱が利用されると仮定した場合での熱及び電気を発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第1コスト単価で計算できるコストが減少し、発生した熱が利用されないと仮定した場合での熱及び電気を発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第2コスト単価で計算できるコストが減少すると考えられる。
そこで本特徴構成では、第1コスト単価及び第2コスト単価が売電単価より大きい場合、外部サーバ装置から発電調節運転を行う指令を受け付けると発電調節運転を行う。これにより、発電調節運転を行った場合に、燃料電池装置の発電電力を小さくすることによるコストの減少が、太陽電池装置の発電電力の売電電力が小さくなることによる利益の減少を上回るようにできる。
また、第1コスト単価が売電単価より小さく、且つ、第2コスト単価が売電単価より大きい場合、外部サーバ装置から発電調節運転を行う指令を受け付けると、発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が満たされないならば発電調節運転を行い、熱利用条件が満たされるならば発電調節運転を行わない。これにより、発電調節運転を行った場合に、燃料電池装置の発電電力を小さくすることによるコストの減少が、太陽電池装置の発電電力の売電電力が小さくなることによる利益の減少を上回るようにできる。更に、発電調節運転を行った場合に、太陽電池装置の発電電力の売電電力が小さくなることによる利益の減少が、燃料電池装置の発電電力を小さくすることによるコストの減少を上回ることないようにできる。
また更に、第1コスト単価及び第2コスト単価が売電単価より小さい場合、外部サーバ装置から発電調節運転を行う指令を受け付けても発電調節運転を行わない。これにより、発電調節運転を行った場合に、太陽電池装置の発電電力の売電電力が小さくなることによる利益の減少が、燃料電池装置の発電電力を小さくすることによるコストの減少を上回ることないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】太陽電池装置の予測下限発電電力を導出する工程を説明するフローチャートである。
【
図3】太陽電池装置の発電電力の推移を説明する図である。
【
図4】発電装置の発電制御を説明するフローチャートである。
【
図5】太陽電池装置の予測下限発電電力を導出する工程を説明するフローチャートである。
【
図6】過去の大気圏外日射量、日射量の予測値及び日射量の実測値を解析した結果を示すグラフである。
【
図7】同じ数値範囲に属する日射量データを第3比率が小さい方から順に累積した場合の存在割合の累積値を示すグラフである。
【
図9】太陽電池装置の売電単価と、発生した熱が利用されると仮定した場合での第1コスト単価(熱利用あり)と、発生した熱が利用されないと仮定した場合での第2コスト単価(熱利用なし)との比較結果を示す図である。
【
図10】太陽電池装置の売電単価と、発生した熱が利用されると仮定した場合での第1コスト単価(熱利用あり)と、発生した熱が利用されないと仮定した場合での第2コスト単価(熱利用なし)との比較結果を示す図である。
【
図11】太陽電池装置の売電単価と、発生した熱が利用されると仮定した場合での第1コスト単価(熱利用あり)と、発生した熱が利用されないと仮定した場合での第2コスト単価(熱利用なし)との比較結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る電力供給システムについて説明する。図示するように、電力供給システムは、電力系統1に連系される電力線11に接続される太陽電池装置12及び発電装置13を備える。
図1に示す例では、住戸や事業所などの施設10に太陽電池装置12及び発電装置13が設置されている。また、施設10の電力線11には電力負荷装置14も接続されている。その結果、電力負荷装置14は、太陽電池装置12、発電装置13及び電力系統1の少なくとも一つから電力供給を受けることができる。
【0030】
発電装置13は、燃料電池を備える装置や、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などである。発電装置13は、所定の最小発電電力以上、最大発電電力(例えば定格発電電力等)以下の間の電力で発電電力を調節できる。
【0031】
発電装置13は、電力負荷装置14の負荷電力の値を認識できる。例えば、電力線11には電力計測部15が設けられ、その計測結果は発電装置13に伝達される。電力計測部15で計測される電力は、電力系統1及び太陽電池装置12の少なくとも一方から電力負荷装置14へ供給される電力である。また、発電装置13は、自身が電力線11に供給する電力(即ち、発電電力)を認識できる。その結果、発電装置13は、電力計測部15で計測される電力と自身の発電電力との合計を、電力負荷装置14の負荷電力として認識できる。
【0032】
加えて、電力供給システムは、太陽電池装置12の発電電力について予測される予測下限発電電力の推移を導出する予測発電電力導出装置2を備える。
図1では、予測発電電力導出装置2が施設10の外部に設置されている例を示している。この場合、発電装置13と予測発電電力導出装置2とは情報通信回線5を介して互いに情報通信可能になっている。例えば、予測発電電力導出装置2はサーバ装置を用いて実現できる。
【0033】
また、
図1に示すように、予測発電電力導出装置2は、記憶装置3に記憶されている情報を読み出すこと、及び、情報を記憶装置3に書き込むことができる。更に、予測発電電力導出装置2は、情報通信回線5を介して接続されている情報提供サーバ装置4から情報を受信することができる。
【0034】
例えば、予測発電電力導出装置2は、情報提供サーバ装置4から、対象とする日時での、太陽電池装置12が設けられている場所の日射量の予測値の情報(日射量情報)を受信し、記憶装置3に記憶しておくことができる。この日射量情報には、対象とする日時での日射量の予測値の信頼区間、即ち、予測される日射量の上限値及び下限値についての情報も含まれている。例えば、日射量の信頼確率が90%になるような数値範囲の下限値を下限日射量としてもよいが、その場合の信頼確率は適宜変更可能である。つまり、雲などで日が陰るとしても、対象とする日時での日射量は下限値以上になると予測される。それに対して、予測される日射量の上限値は、快晴時の日射量の予測値(後述する第1予測日射量)に対応する。
【0035】
他にも、予測発電電力導出装置2は、情報提供サーバ装置4から、太陽電池装置12が設けられている場所の雲量を推定できる画像情報(例えば、衛星画像、太陽電池装置12の設置場所の周囲の上空を地上から撮影した画像など)を受信し、記憶装置3に記憶しておくことができる。その場合、予測発電電力導出装置2は、その画像情報に基づいて、その画像情報が取得された時点又はその設定時間後で太陽電池装置12が設けられている場所において予測される日射量である第2予測日射量を決定できる。
【0036】
或いは、予測発電電力導出装置2は、太陽電池装置12が設けられている場所の雲量を推定できる画像情報に基づいて予測される第2予測日射量についての情報を情報提供サーバ装置4から受信してもよい。例えば、予測発電電力導出装置2は、日本気象協会が提供している画像情報に基づく日射量推定・予測サービスSOLASAT(登録商標)などから提供される情報(即ち、情報提供サーバ装置4から提供される情報)を利用して、対象とする時点(例えば現在の日時)での上記第2予測日射量を決定してもよい。
【0037】
記憶装置3には、太陽電池装置12の定格発電電力についての情報、第1出力係数、及び、第2出力係数が記憶されている。
【0038】
第1出力係数は、太陽電池装置12が備える太陽電池パネルと太陽との相対的な位置関係(例えば、太陽電池パネルの設置方位、設置角度など)に応じて定まる値である。従って、第1出力係数は、日時に応じて異なる値(即ち、時間的に推移する値)となる。そして、太陽電池装置12の定格発電電力に対して、対象とする日時での第1出力係数を乗算することで、その対象とする日時で当該太陽電池装置12が発電できると予測される予測最大発電電力を導出できる。また、時間的に推移する第1出力係数についての情報を用いることで、予測最大発電電力の推移を導出できる。
【0039】
第2出力係数は、太陽電池装置12が設けられている場所の日射量の予測値に対して設定されている信頼区間の下限値である下限日射量の関数で表され、上述した予測最大発電電力に対して乗算することで、対象とする日時で当該太陽電池装置12が発電できると予測される予測下限発電電力が導出される。太陽電池装置12が設けられている場所の日射量の予測値は日時に応じて異なる値であるので、下限日射量も日時に応じて異なる値(即ち、時間的に推移する値)になり、第2出力係数も日時に応じて異なる値(即ち、時間的に推移する値)になる。
【0040】
図2は、予測発電電力導出装置2が太陽電池装置12の予測下限発電電力を導出する工程を説明するフローチャートである。工程#10において予測発電電力導出装置2は、記憶装置3に記憶されている太陽電池装置12の定格発電電力を読み出す。
【0041】
工程#11において予測発電電力導出装置2は、記憶装置3に記憶されている第1出力係数を読み出す。この第1出力係数は、日時に応じて異なる値となっている。例えば、予測発電電力導出装置2は、1日間の第1出力係数の時間的な推移が分かる情報を記憶装置3から読み出す。
【0042】
尚、日時をどのように区切るのかは適宜設定可能である。1年を季節毎で4個に区切り、更に各季節に属する日を30分間毎に区切って、1年の特定の季節の中の各日の30分間毎の第1出力係数を定めていてもよい。季節は、例えば、3月~5月を春季、6月~8月を夏季、9月~11月を秋季、12月~2月を冬季などと区分けできる。この場合、各日の30分間毎の第1出力係数は、同じ季節であれば互いに同じ値になる。
【0043】
或いは、1年を月毎で12個に区切り、更に各月の日を30分間毎に区切って、1年の特定の月の中の各日の30分間毎の第1出力係数を定めていてもよい。この場合、各日の30分間毎の第1出力係数は、同じ月であれば互いに同じ値になる。
【0044】
また或いは、1年を日毎で365個に区切り、更に各日の中を30分間毎に区切って、1年の特定の日の30分間毎の第1出力係数を定めていてもよい。この場合、各日の30分間毎の第1出力係数は、1年の365日のそれぞれで各別に定められる。
【0045】
工程#12において予測発電電力導出装置2は、情報提供サーバ装置4から、下限日射量についての情報を受信する。この下限日射量は、対象とする日時での、太陽電池装置12が設けられている場所の日射量の予測値の信頼区間の下限値である。信頼区間の幅は適宜設定可能であり、例えば、日射量の信頼確率が90%になるような数値範囲の下限値を下限日射量としてもよい。また、上述した第1出力係数の場合と同様に、予測発電電力導出装置2は、1日間の下限日射量の時間的な推移が分かる情報を情報提供サーバ装置4から受信してもよい。
【0046】
工程#13において予測発電電力導出装置2は、工程#12において受信した下限日射量に基づいて第2出力係数を導出する。また、上述した第1出力係数などの場合と同様に、第2出力係数は、対象とする日時毎に定められる値である。例えば、予測発電電力導出装置2は、1日間の第2出力係数の時間的な推移が分かる情報を導出する。
【0047】
工程#14において予測発電電力導出装置2は、定格発電電力に対して、第1出力係数及び第2出力係数を乗算することで予測下限発電電力を導出する。つまり、太陽電池装置12の定格発電電力に対して第1出力係数を乗算することで、対象とする日時で太陽電池装置12が発電できると予測される予測最大発電電力を導出でき、その予測最大発電電力に対して第2出力係数を乗算することで、対象とする日時で太陽電池装置12が発電できると予測される予測下限発電電力を導出できる。そして、予測発電電力導出装置2は、導出した対象とする日時での予測下限発電電力についての情報を発電装置13に伝達する。
例えば、予測発電電力導出装置2は、前日の段階で、その翌日の1日間の予測下限発電電力の時間的な推移が分かる情報を導出して、発電装置13に伝達しておく。そして、後述するように、発電装置13は、前日に導出された予測下限発電電力についての情報を用いて、当日の発電電力の調節を行うことができる。
【0048】
このように、予測発電電力導出装置2が予測下限発電電力を導出する場合には、太陽電池装置12が設けられている場所の日射量の予測値に対して設定されている信頼区間の下限値である下限日射量が参照されるため、信頼性の高い予測下限発電電力を導出できる。
【0049】
図3は、太陽電池装置12の実際の発電電力の推移を説明する図である。
図3において、実線で示すのは太陽電池装置12の実際の発電電力であり、破線で示すのは上述したように導出された予測最大発電電力であり、一点鎖線で示すのは上述したように導出された予測下限発電電力である。図示するように、太陽電池装置12の実際の発電電力は、時刻7時頃から時刻17時頃まで発生している。
【0050】
図示するように、太陽電池装置12の実際の発電電力は、予測下限発電電力と予測最大発電電力との間にある。尚、太陽電池装置12の実際の発電電力は、雲などにより日が陰った時間帯では予測下限発電電力に近い値にまで低下している。発電装置13には、図示するような予測下限発電電力の推移についての情報が伝達されている。
【0051】
本実施形態の電力供給システムにおいて、発電装置13は、発電装置13の発電電力と、予測発電電力導出装置2が導出する予測下限発電電力との和が、電力線11に接続される電力負荷装置14の負荷電力に追従するように発電装置13の発電電力を調節する発電調節運転を行う。ここで、発電装置13の発電電力と予測下限発電電力との和が電力負荷装置14の負荷電力に追従する状態での発電装置13の運転というのは、例えば、発電装置13の発電電力と予測下限発電電力との和が電力負荷装置14の負荷電力に等しい状態を維持する運転、発電装置13の発電電力と予測下限発電電力との和が電力負荷装置14の負荷電力よりも所定量だけ大きい状態又は所定量だけ小さい状態を維持する運転などである。
【0052】
図4は、発電装置13の発電制御を説明するフローチャートである。
工程#20において発電装置13は、「目標発電電力=電力負荷装置14の負荷電力-予測下限発電電力」となる目標発電電力を設定する。ここで、発電装置13は、その時点で電力計測部15によって計測される電力とその時点での自身の発電電力との合計を、その時点での電力負荷装置14の負荷電力として認識している。そして、発電装置13は、その時点での負荷電力とその時点での予測下限発電電力との合計から、その時点での目標発電電力を決定する。
【0053】
尚、発電装置13は、どのような値の目標発電電力にも対応できる訳ではなく、所定の最小発電電力以上、最大発電電力(例えば定格発電電力等)以下の間の電力でしか発電電力を調節できない。そのため、工程#21及び工程#22において発電装置13は、工程#20で導出した目標発電電力が上記最小発電電力以上であり且つ上記最大発電電力以下であるか否かを判定する。そして、発電装置13は、工程#20で導出した目標発電電力が上記最小発電電力以上であり且つ上記最大発電電力以下である場合には(即ち、工程#21において「Yes」且つ工程#22において「Yes」の場合には)、工程#23に移行して、発電電力を工程#20で導出した目標発電電力に調節する。
【0054】
それに対して、発電装置13は、工程#20で導出した目標発電電力が上記最小発電電力より小さい場合には(即ち、工程#21において「No」の場合には)、工程#24に移行して、発電電力を最小発電電力に調節する。
【0055】
また、発電装置13は、工程#20で導出した目標発電電力が上記最大発電電力より大きい場合には(即ち、工程#21において「Yes」且つ工程#22において「No」の場合には)、工程#25に移行して、発電電力を最大発電電力に調節する。
【0056】
そして、工程#26において発電装置13は、発電電力を工程#23又は工程#24又は工程#25で決定された値に調節して一定時間発電を行う。更に、発電装置13は、一定時間が経過した後、工程#20に移行して、上述したような発電電力の決定を再び行う。尚、一定時間が経過しているため、発電電力を前回決定した時点とは、予測下限発電電力及び負荷電力は異なっていることが想定される。そのため、工程#20で導出される目標発電電力も前回導出した値とは異なることが想定される。
【0057】
以上のように、発電装置13は、発電装置13の発電電力と、予測発電電力導出装置2が導出する予測下限発電電力との和が、電力線11に接続される電力負荷装置14の負荷電力に追従するように発電装置13の発電電力を調節する発電調節運転を行う。そのため、雲により日が陰ることで太陽電池装置12の発電電力が低下した(例えば、予測下限発電電力まで低下した)としても、電力負荷装置14の負荷電力は、発電装置13の発電電力と太陽電池装置12の発電電力によって賄われることが期待される。つまり、雲により日が陰ることで太陽電池装置12の発電電力が低下したとしても、電力系統1からの購入電力の発生が抑制される。尚、日が陰っておらず、太陽電池装置12の発電電力が十分に大きい場合、発電装置13の発電電力及び太陽電池装置12の発電電力の合計が電力負荷装置14の負荷電力よりも大きくなり、その余剰電力が電力系統1へと逆潮流する。但し、本実施形態では、発電装置13の発電電力は、電力負荷装置14の負荷電力よりも小さくなるように調節されるため、上述のような余剰電力が発生するとしてもその大きさは小さく抑えられる。つまり、発電装置13の発電電力及び太陽電池装置12の発電電力ができるだけ自家消費される。
【0058】
<第2実施形態>
第2実施形態の電力供給システムは、予測下限発電電力の導出工程が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の電力供給システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0059】
図5は、太陽電池装置12の予測下限発電電力を導出する工程を説明するフローチャートである。例えば、予測発電電力導出装置2は、発電装置13の発電電力の調節を行う当日に、例えば30分間毎などの設定タイミングで後述するような予測下限発電電力の導出を行って、発電装置13に伝達する。そして、発電装置13は、導出された予測下限発電電力についての情報を用いて、当日の発電電力の調節を行うことができる。
【0060】
工程#30において予測発電電力導出装置2は、記憶装置3に記憶されている太陽電池装置12の定格発電電力を読み出す。
工程#31において予測発電電力導出装置2は、記憶装置3に記憶されている、対象とする時点での第1出力係数を読み出す。例えば、予測発電電力導出装置2は、現在の日時での第1出力係数を記憶装置3から読み出す。
【0061】
工程#32において予測発電電力導出装置2は、対象とする時点での、太陽電池装置12が設けられている場所の快晴時の日射量の予測値である第1予測日射量を記憶装置3から読み出す。
【0062】
工程#33において予測発電電力導出装置2は、太陽電池装置12が設けられている場所の雲量を推定できる画像情報(例えば、衛星画像、太陽電池装置12の設置場所の周囲の上空を地上から撮影した画像など)に基づいて予測される日射量である、対象とする時点での第2予測日射量を決定する。
【0063】
工程#34において予測発電電力導出装置2は、太陽電池装置12が設けられている場所の快晴時の日射量の予測値である上記第1予測日射量に対する、太陽電池装置12が設けられている場所の雲量を推定できる画像情報に基づいて予測される日射量である上記第2予測日射量の比である第3出力係数を導出する。
【0064】
工程#35において予測発電電力導出装置2は、上述した第1出力係数及び第3出力係数に基づいて、定格発電電力に対して、第1出力係数及び第3出力係数を乗算することで予測下限発電電力を導出する。このように、太陽電池装置12の定格発電電力に対して第1出力係数を乗算することで、対象とする日時で太陽電池装置12が発電できると予測される予測最大発電電力を導出でき、その予測最大発電電力に対して、太陽電池装置12が設けられている場所の快晴時の日射量の予測値である第1予測日射量に対する、太陽電池装置12が設けられている場所の雲量を推定できる画像情報に基づいて予測される日射量である第2予測日射量の比である第3出力係数を乗算することで、対象とする日時で太陽電池装置12が発電できると予測される予測下限発電電力を導出できる。そして、予測発電電力導出装置2は、導出した対象とする日時での予測下限発電電力についての情報を発電装置13に伝達する。
【0065】
発電装置13は、以上のようにして予測発電電力導出装置2が導出した予測下限発電電力を参照して、第1実施形態と同様に、その時点での負荷電力とその時点での予測下限発電電力との合計から、その時点での目標発電電力を決定する。
【0066】
<第3実施形態>
第3実施形態の電力供給システムは、予測下限発電電力の導出手法が上記実施形態と異なっている。以下に第3実施形態の電力供給システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0067】
予測発電電力導出装置2は、情報提供サーバ装置4から、対象とする日時での、太陽電池装置12が設けられている場所の日射量の予測値の推移及び大気圏外日射量の推移の情報などを受信し、記憶装置3に記憶しておくことができる。上記実施形態では、太陽電池装置12が設けられている場所の日射量の予測値に対して設定されている信頼区間の下限値を用いて予測下限発電電力を導出する例を説明したが、本実施形態ではそれとは別の手法を用いて予測下限発電電力を導出する例を説明する。
【0068】
図6は、過去の大気圏外日射量、日射量の予測値及び日射量の実測値を解析した結果を示すグラフである。予測発電電力導出装置2は、過去の複数の時刻のそれぞれでの大気圏外日射量と日射量の予測値と日射量の実測値とで構成される日射量データを予め収集する。そして、予測発電電力導出装置2は、日射量データについて、各時刻毎に、大気圏外日射量に対する日射量の予測値の比率である第1比率と、大気圏外日射量に対する日射量の実測値の比率である第2比率とを導出する。つまり、ここでは日射量の予測値及び日射量の実測値を大気圏外日射量で正規化している。
【0069】
図6の横軸は、大気圏外日射量に対する日射量の予測値の比率である第1比率である。そのため、雲が少ない予報になるほど第1比率は大きくなり、雲が多い予報になるほど第1比率は小さくなる。
図6では、第1比率を複数の数値範囲に分けている。例えば、「0<第1比率≦0.2」の数値範囲A、「0.2<第1比率≦0.3」の数値範囲B、「0.3<第1比率≦0.4」の数値範囲C、「0.4<第1比率≦0.5」の数値範囲D、「0.5<第1比率≦0.6」の数値範囲E、「0.6<第1比率≦0.7」の数値範囲F、「0.7<第1比率≦1.0」の数値範囲Gの6個の数値範囲に分けている。
【0070】
図6の縦軸は、大気圏外日射量に対する日射量の実測値の比率である第2比率である。つまり、
図6には、収集した日射量データについて、各時刻毎に、大気圏外日射量に対する日射量の予測値の比率である第1比率と、大気圏外日射量に対する日射量の実測値の比率である第2比率とを導出した場合の、第1比率と第2比率との関係をプロットしている。そして、予測発電電力導出装置2は、日射量データを、第1比率について設定される複数の数値範囲A~数値範囲Gの内の何れか一つに属する形態で分類している。そして、以後は、同じ数値範囲に属する日射量データ群ごとに解析が行われる。
【0071】
先ず、予測発電電力導出装置2は、複数の数値範囲のそれぞれで、当該数値範囲に属する日射量データのそれぞれの第1比率に対する第2比率の比率である第3比率を導出する。
【0072】
図7は、同じ数値範囲に属する日射量データを第3比率が小さい方から順に累積した場合の存在割合の累積値を示すグラフである。尚、
図7には、数値範囲Aの日射量データは記載していない。例えば、数値範囲Gの場合、日射量データの存在割合の累積値が20%である場合の第3比率は約0.50である。これは、数値範囲Gに属する日射量データの20%の第3比率は約0.50以下になっていることを意味する。言い換えると、数値範囲Gに属する日射量データの80%の第3比率は約0.50より大きくなっていることを意味する。従って、数値範囲Gに属する日射量データの80%がカバーされる場合の第3比率の下限は約0.50である。
【0073】
同様に、数値範囲Fの場合、日射量データの存在割合の累積値が20%である場合の第3比率は0.31である。これは、数値範囲Fに属する日射量データの20%の第3比率は0.31以下になっていることを意味する。言い換えると、数値範囲Fに属する日射量データの80%の第3比率は0.31より大きくなっていることを意味する。従って、数値範囲Gに属する日射量データの80%がカバーされる場合の第3比率の下限は0.31である。
【0074】
ここで、第3比率は、第1比率に対する第2比率の比率、即ち、大気圏外日射量で正規化された日射量の予測値に対する、大気圏外日射量で正規化された日射量の実測値である。そのため、第3比率は、日射量の予測値に対する日射量の実測値の比率(=日射量の実測値/日射量の予測値)を示しているとも言える。従って、数値範囲Gに属する日射量データの場合、80%の確率で日射量の実測値は日射量の予測値の0.50倍より大きくなっていたと考えることができる。また、数値範囲Fに属する日射量データの場合、80%の確率で日射量の実測値は日射量の予測値の0.31倍より大きくなっていたと考えることができる。
【0075】
このように、予測発電電力導出装置2は、各数値範囲に属する日射量データのそれぞれの第3比率を小さい方から順に累積した場合の存在割合の累積値が小さい方から所定値(
図7に示して上述した「20%」などの値)にある第3比率を、各数値範囲に対応した日射量の予測値からの変換比率として設定できる。例えば、上記所定値が20%に設定された場合、数値範囲Gについては「0.50」が変換比率として設定され、数値範囲Fについては「0.31」が変換比率として設定される。
ここで、上記所定値は、自在に設定して記憶装置3に記憶させておくことができる。また、上述した20%という所定値は例示目的で記載したものであり、その数値は適宜設定可能である。
【0076】
そして、予測発電電力導出装置2は、太陽電池装置12が設けられている場所の日射量の予測値及び大気外日射量の予測値が得られた場合、大気外日射量の予測値に対する日射量の予測値の比率が、第1比率について設定される複数の数値範囲の何れに属するか(例えば、数値範囲Gに属するのか、又は、数値範囲Fに属するのか等)を決定し、日射量の予測値と、決定された数値範囲に設定されている変換比率との積を、太陽電池装置12が設けられている場所で少なくとも得られる日射量推定値として導出する。
【0077】
予測発電電力導出装置2は、以上のような計算を、対象とする日時での、太陽電池装置12が設けられている場所の日射量の予測値の推移及び大気圏外日射量の推移の情報を用いて行うことで、日射量推定値の推移を導出できる。そして、予測発電電力導出装置2は、日射量推定値の推移に基づいて、太陽電池装置12の発電電力について予測される予測下限発電電力の推移を導出できる。
【0078】
以上のように、気象予報サービスを行う情報提供サーバ装置4から日射量の予測値が得られたとしても、実際の天候次第で日射量は変化する。但し、過去の日射量の予測値と日射量の実測値を参照することで、ある程度の確率で少なくともどの程度の日射量が得られるのかを推定することはできる。例えば、所定の変換比率を導出し、日射量の予測値とその変換比率との積を、少なくとも得られると推定できる日射量推定値として導出することはできる。そして、その日射量推定値に基づいて、上述した予測下限発電電力を導出することもできる。そこで本実施形態では、複数の数値範囲のそれぞれで、各数値範囲に属する日射量データのそれぞれの前記第3比率を小さい方から順に累積した場合の存在割合の累積値が小さい方から所定値にある第3比率を、数値範囲に対応した前記日射量の予測値からの変換比率として設定する。ここで、第3比率は、第1比率(大気圏外日射量に対する日射量の予測値)に対する第2比率(大気圏外日射量に対する日射量の実測値)であるので、第3比率は日射量の予測値に対する日射量の実測値の比率に対応する。そのため、日射量の予測値が定まる場合、確率的にその日射量の予測値と上記変換比率との積の日射量(日射量推定値)が少なくとも得られると期待される。そして、日射量推定値の推移に基づいて上記予測下限発電電力の推移を導出できる。
【0079】
<第4実施形態>
第4実施形態では、発電装置13の一例として、上述した電力供給システムで用いられる発電装置13の機能を備え、熱と電気とを併せて発生させる燃料電池装置13A(13)について説明する。上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0080】
図8は、電力供給システムの構成を示す図である。本実施形態では、発電装置13が、熱と電気とを併せて発生する燃料電池装置13Aによって実現される。燃料電池装置13Aは、供給される都市ガスなどの原燃料を改質して水素を含む燃料ガスを生成する燃料改質部16と、燃料改質部16で生成された燃料ガスと酸素とを用いて発電する燃料電池部17とを備える。燃料電池部17の発電電力は電力線11に供給される。また、燃料電池部17を含む燃料電池装置13Aで発生した熱は熱媒体を用いて蓄熱装置で蓄えられる。そして、蓄熱装置から供給される熱媒体は、都市ガスなどの原燃料を燃焼して熱を発生する熱源機21によって温度調整された上で、熱負荷部22に供給される。
【0081】
例えば、
図8に示す例では、蓄熱装置は熱媒体としての湯水を貯える貯湯タンク18である。そして、貯湯タンク18の下部に貯えられている相対的に低温の湯水が湯水循環路19の往路19aを通って燃料電池部17に供給され、燃料電池部17で熱を回収した後の相対的に高温の湯水が湯水循環路19の復路19bを通って貯湯タンク18の上部に流入する。また、熱負荷部22で湯水が利用されることで貯湯タンク18の上部から湯水が熱源機21へ出湯された場合、貯湯タンク18の下部には給水路から上水が供給される。このように、貯湯タンク18の上部には相対的に高温の湯水が存在し、貯湯タンク18の下部には相対的に低温の湯水が存在する。
【0082】
このような電力供給システムにおいて、貯湯タンク18は燃料電池部17から排出される熱を回収して蓄えているが、言い換えると、貯湯タンク18は燃料電池部17を冷却する役割を担っているとも言える。そのため、熱負荷部22で熱利用が少ない又は無い場合、貯湯タンク18には燃料電池部17から熱が供給されるだけになり、貯湯タンク18の下部にも高温の湯水が貯えられ、その高温の湯水を燃料電池部17の冷却に使用しなければならなくなる。そして、最終的には貯湯タンク18による熱回収で燃料電池部17を冷却できなくなる。
【0083】
図8に示す例では、湯水循環路19の往路19aに温度センサT1が設けられる。また、湯水循環路19を流れる湯水から放熱させることができる放熱器20も設けられている。温度センサT1は、貯湯タンク18から放熱器20へ向かって流れる湯水の温度を測定する。そして、放熱器20は、温度センサT1で測定される湯水の温度が所定温度以上の場合、湯水循環路19の往路19aを流れる湯水の温度を低下させるように放熱作動し、温度センサT1で測定される湯水の温度が所定温度未満の場合、放熱作動しない。放熱器20がこのような動作を行うことで、燃料電池部17に供給される湯水の温度が低い状態が維持され、燃料電池部17の冷却が良好に行われるようになる。
【0084】
燃料電池部17及び熱源機21とを有する燃料電池装置13Aで熱と電気とを発生させるためには原燃料のコストが必要になることを考慮すると、発生した熱が利用されると仮定した場合での燃料電池装置13Aを用いて熱及び電気を発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第1コスト単価は、発生した熱が利用されないと仮定した場合での熱及び電気を燃料電池装置13Aを用いて発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第2コスト単価よりも低くなると言える。
【0085】
本実施形態では、燃料電池装置13Aは、情報通信回線5を介して外部サーバ装置6との間で情報通信できる。外部サーバ装置6は、予測発電電力導出装置2と同じサーバ装置でも良いし、それとは別のサーバ装置でもよい。そして、燃料電池装置13Aは、外部サーバ装置6から発電調節運転を行う指令を受け付ける、即ち、燃料電池装置13Aの発電電力と、予測発電電力導出装置2が導出する予測下限発電電力との和が、電力線11に接続される電力負荷装置14の負荷電力に追従するように燃料電池装置13Aの発電電力を調節する発電調節運転を行う指令を受け付けることができる。そして、燃料電池装置13Aは、以下に説明するように、燃料電池装置13Aで発生した熱が利用される状況にあるか否かなど考慮して、発電調節運転を行うか否かを決定する。
【0086】
〔運転例1〕
具体的には、燃料電池装置13Aは、外部サーバ装置6から発電調節運転を行う指令を受け付けた場合、発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が満たされるならば発電調節運転を行わず、熱利用条件が満たされないならば発電調節運転を行う。
【0087】
熱利用条件は、例えば、温度センサT1で測定される湯水の温度が設定温度以上であること、放熱器20が放熱作動していること等である。つまり、貯湯タンク18の下部に設定温度以上の高温の湯水が存在していることで、温度センサT1で測定される湯水の温度が設定温度以上であるということは、貯湯タンク18から熱負荷部22へと湯水が出湯されていないことを意味する。同様に、放熱器20が放熱作動しているということは、温度センサT1で測定される湯水の温度が所定温度以上であること、即ち、貯湯タンク18から熱負荷部22へと湯水が出湯されていないことを意味する。
【0088】
また、発電調節運転が行われると、燃料電池装置13Aの発電電力は、電力負荷装置14の負荷電力よりも小さくなる。つまり、発電調節運転が行われるということは、燃料電池装置13Aで発生する熱が少なくなることを意味する。そのため、熱利用条件が満たされる場合(即ち、発生した熱の多くが利用される状況にある場合)、発電調節運転が行われると燃料電池装置13Aの発熱量が減少するため、その減少分の熱を発生させるための例えば熱源機21の運転コスト(例えば原燃料のコスト)が増加する。ところが本運転例1では、燃料電池装置13Aは熱利用条件が満たされる場合には発電調節運転を行わないため、上述したような熱源機21の運転コストが増加することを抑制できる。それに対して、熱利用条件が満たされない場合、燃料電池装置13Aで発生する熱が少なくなることは許容されるため、燃料電池装置13Aは発電調節運転を行う。
【0089】
〔運転例2〕
燃料電池装置13Aは、外部サーバ装置6から発電調節運転を行う指令を受け付けた場合、発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が所定期間以上連続しているならば発電調節運転行わず、熱利用条件が所定期間以上連続していないならば発電調節運転を行う。
【0090】
また、発電調節運転が行われると、燃料電池装置13Aの発電電力は、電力負荷装置14の負荷電力よりも小さくなる。つまり、発電調節運転が行われるということは、燃料電池装置13Aで発生する熱が少なくなることを意味する。そのため、熱利用条件が満たされる状態が所定期間以上連続している場合(即ち、発生した熱の多くが利用される状況が所定期間以上連続している場合)、発電調節運転が行われると燃料電池装置13Aの発熱量が減少するため、その減少分の熱を発生させるための例えば熱源機21の運転コスト(例えば原燃料のコスト)が増加する。ところが本運転例2では、燃料電池装置13Aは熱利用条件が満たされる状態が所定期間以上連続する場合には発電調節運転を行わないため、上述したような熱源機21の運転コストが増加することを抑制できる。それに対して、熱利用条件が所定期間以上連続していない場合、燃料電池装置13Aで発生する熱が少なくなることは許容されるため、燃料電池装置13Aは発電調節運転を行う。
【0091】
〔運転例3〕
燃料電池装置13Aは、太陽電池装置12の発電電力を電力系統1へと売電する場合の単位エネルギー当たりの売電単価と、発生した熱が利用されると仮定した場合での燃料電池装置13Aを用いて熱及び電気を発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第1コスト単価と、発生した熱が利用されないと仮定した場合での熱及び電気を燃料電池装置13Aを用いて発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第2コスト単価との比較結果に基づいて、第1コスト単価及び第2コスト単価が売電単価より大きい場合、外部サーバ装置6から発電調節運転を行う指令を受け付けると発電調節運転を行い、第1コスト単価が売電単価より小さく、且つ、第2コスト単価が売電単価より大きい場合、外部サーバ装置6から発電調節運転を行う指令を受け付けると、発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が満たされないならば発電調節運転を行い、熱利用条件が満たされるならば発電調節運転を行わず、第1コスト単価及び第2コスト単価が売電単価より小さい場合、外部サーバ装置6から発電調節運転を行う指令を受け付けても発電調節運転を行わない。
【0092】
図9~
図11は、太陽電池装置12の売電単価Paと、発生した熱が利用されると仮定した場合での第1コスト単価(熱利用あり)Pbと、発生した熱が利用されないと仮定した場合での第2コスト単価(熱利用なし)Pcとの比較結果を示す図である。
【0093】
発電調節運転が行われると、燃料電池装置13Aの発電電力は、電力負荷装置14の負荷電力よりも小さくなるため、太陽電池装置12の発電電力のうち、電力系統1へ逆潮流される電力(即ち、売電電力)が減少すると考えられる。そのため、発電調節運転が行われると、上記売電単価で計算できる利益が減少する。また、発電調節運転が行われる、即ち、燃料電池装置13Aの発電電力が小さくなるということは、発生した熱が利用されると仮定した場合での熱及び電気を発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第1コスト単価で計算できるコストが減少し、発生した熱が利用されないと仮定した場合での熱及び電気を発生させるのに要する単位エネルギー当たりの第2コスト単価で計算できるコストが減少すると考えられる。
【0094】
例えば、
図9に示すように、第1コスト単価Pb及び第2コスト単価Pcが売電単価Paより大きい場合、外部サーバ装置6から発電調節運転を行う指令を受け付けると発電調節運転を行う。これにより、発電調節運転を行った場合に、燃料電池装置13Aの発電電力を小さくすることによるコストの減少が、太陽電池装置12の発電電力の売電電力が小さくなることによる利益の減少を上回るようにできる。
【0095】
また、
図10に示すように、第1コスト単価Pbが売電単価Paより小さく、且つ、第2コスト単価Pcが売電単価Paより大きい場合、外部サーバ装置6から発電調節運転を行う指令を受け付けると、発生した熱が利用される状況にあることを示す所定の熱利用条件が満たされないならば発電調節運転を行い、熱利用条件が満たされるならば発電調節運転を行わない。これにより、発電調節運転を行った場合に、燃料電池装置13Aの発電電力を小さくすることによるコストの減少が、太陽電池装置12の発電電力の売電電力が小さくなることによる利益の減少を上回るようにできる。更に、発電調節運転を行った場合に、太陽電池装置12の発電電力の売電電力が小さくなることによる利益の減少が、燃料電池装置13Aの発電電力を小さくすることによるコストの減少を上回ることないようにできる。
【0096】
また、
図11に示すように、第1コスト単価Pb及び第2コスト単価Pcが売電単価Paより小さい場合、外部サーバ装置6から発電調節運転を行う指令を受け付けても発電調節運転を行わない。これにより、発電調節運転を行った場合に、太陽電池装置12の発電電力の売電電力が小さくなることによる利益の減少が、燃料電池装置13Aの発電電力を小さくすることによるコストの減少を上回ることないようにできる。
【0097】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、電力供給システムの構成について具体的に説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、予測発電電力導出装置2及び記憶装置3が施設10の内部に設置されていてもよい。或いは、予測発電電力導出装置2が発電装置13の制御部(図示せず)を用いて実現されてもよい。
【0098】
<2>
上記実施形態では、1日を30分間毎に区切って、第1出力係数などを30分間毎の値で取り扱う例を説明したが、どのような時間区切りを採用するのかは適宜変更可能である。例えば、1日を1時間毎に区切って、第1出力係数などを1時間毎の値で扱ってもよい。
【0099】
<3>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、発電電力を出来るだけ自家消費し且つ買電の発生を出来るだけ抑制できる電力供給システム及び燃料電池装置に利用できる。
【符号の説明】
【0101】
1 :電力系統
2 :予測発電電力導出装置
6 :外部サーバ装置
11 :電力線
12 :太陽電池装置
13 :発電装置
13A :燃料電池装置
14 :電力負荷装置
Pa :売電単価
Pb :第1コスト単価
Pc :第2コスト単価