(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177087
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】炭化装置
(51)【国際特許分類】
C10B 53/02 20060101AFI20241212BHJP
C10L 5/44 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C10B53/02
C10L5/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024082849
(22)【出願日】2024-05-21
(31)【優先権主張番号】P 2023095906
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506056882
【氏名又は名称】エスケイ工業有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】古川 承元
【テーマコード(参考)】
4H012
4H015
【Fターム(参考)】
4H012JA04
4H012JA08
4H012JA12
4H015AA13
4H015AB01
4H015BA03
4H015BB03
4H015CA03
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】より炭化能力の高い炭化装置を提供する。
【解決手段】本発明の一観点に係る炭化装置1は、第一燃焼物質M1を搬送する第一燃焼物質搬送部2と、第一燃焼物質搬送部2の上方に設けられる第二燃焼物質M2を搬送する第二燃焼物質搬送部3と、第一燃焼物質搬送部2及び第二燃焼物質搬送部3を覆う外壁部41を備え、第一燃焼物質搬送部2における燃焼物質M1を燃焼させる燃焼部4と、燃焼部4の外壁部41の上方に設けられる屋根部5と、を備えるものである。これによって、より炭化能力の高い炭化装置を提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一燃焼物質を搬送する第一燃焼物質搬送部と、
前記第一燃焼物質搬送部の上方に設けられ、第二燃焼物質を搬送する第二燃焼物質搬送部と、
前記第一燃焼物質搬送部及び前記第二燃焼物質搬送部を覆う外壁部を備え、前記第一燃焼物質搬送部を燃焼させる燃焼部と、
前記外壁部の上方に設けられる屋根部と、を備える炭化装置。
【請求項2】
前記第一燃焼物質と前記第二燃焼物質は異なるものである請求項1記載の炭化装置。
【請求項3】
前記第一燃焼物質搬送部に前記第一燃焼物質を投入する第一燃料物質投入部を備える請求項1記載の炭化装置。
【請求項4】
前記第二燃焼物質搬送部に前記第二燃焼物質を投入する第二燃料物質投入部を備える請求項1記載の炭化装置。
【請求項5】
前記第二燃焼物質搬送部は、回転軸及び前記回転軸周囲に配置される螺旋状の羽根部材を備えるスクリューコンベアと、前記スクリューコンベアの周囲に配置されるカバーを備える請求項1記載の炭化装置。
【請求項6】
前記第二燃焼物質搬送部は、複数設けられる請求項1記載の炭化装置。
【請求項7】
複数の前記第二燃焼物質搬送部は、直列に接続される請求項6記載の炭化装置。
【請求項8】
複数の前記第二燃焼物質搬送部は、それぞれ高さが異なる請求項6記載の炭化装置。
【請求項9】
前記第一燃焼物質搬送部は、複数設けられる請求項1記載の炭化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化装置に関し、より具体的には発生する煙を抑える構造を備えた炭化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
稲作のもみすり工程において大量に生ずる籾殻は、燃焼時に窒素・硫黄酸化物を含まないため環境にやさしく、また燃焼させても大気中の二酸化炭素総量に影響を与えない、いわゆるカーボンニュートラルであるという特性を備えている。
【0003】
更に、籾殻は炭化させることで籾殻炭となり、土質改良剤、肥料、家畜の糞尿の消臭剤、バイオマス燃料等の各種の用途に用いることが可能である。
【0004】
そして、上記籾殻を効率的に炭化させようとする技術として、例えば下記特許文献1が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、上記特許文献1に記載の技術は、籾殻を炭化させることができる点において有用であるが、燃焼物質搬送部が一つしかないといった課題がある。
【0007】
また一方で、近年、上記籾殻以外にも同様なニーズが存在する。例えば、サトウキビの搾りかす、芋の皮、そば殻等の農作物の残渣物に対しても炭化のニーズがある。
【0008】
しかしながら、上記籾殻以外の残渣物に対しても十分に炭化することが望まれる一方、同一の搬送路では対応が十分でないといった課題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、より炭化能力の高い炭化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点に係る炭化装置は、第一燃焼物質を搬送する第一燃焼物質搬送部と、第一燃焼物質搬送部の上方に設けられ、第二燃焼物質を搬送する第二燃焼物質搬送部と、第一燃焼物質搬送部及び第二燃焼物質搬送部を覆う外壁部と、第一燃焼物質搬送部を燃焼させる燃焼部と、外壁部の上方に設けられる屋根部と、を備えるものである。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけではないが、第一燃焼物質と第二燃焼物質は異なるものであることが好ましい。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけではないが、第一燃焼物質搬送部に第一燃焼物質を投入する第一燃料物質投入部を備えることが好ましい。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけではないが、第二燃焼物質搬送部に第二燃焼物質を投入する第二燃料物質投入部を備えることが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけではないが、第二燃焼物質搬送部は、回転軸及び回転軸周囲に配置される螺旋状の羽根部材を備えるスクリューコンベアと、スクリューコンベアの周囲に配置されるカバーを備えることが好ましい。
【0015】
また、本観点において、限定されるわけではないが、第二燃焼物質搬送部は、複数設けられることが好ましい。
【0016】
また、本観点において、限定されるわけではないが、複数の第二燃焼物質搬送部は、直列に接続されることが好ましい。
【0017】
また、本観点において、限定されるわけではないが、複数の第二燃焼物質搬送部は、それぞれ高さが異なることが好ましい。
【0018】
また、本観点において、限定されるわけではないが、第一燃焼物質搬送部は、複数設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によって、より炭化能力の高い炭化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態1に係る炭化装置を、燃焼物質搬送部の回転軸方向に垂直な側から見た場合の概略側面図である。
【
図2】実施形態1に係る炭化装置を、燃焼物質搬送部の回転軸方向から見た場合の概略側面図である。
【
図3】実施形態1に係る炭化装置を、燃焼物質搬送部の回転軸方向に垂直な側から見た場合の概略断面図である。
【
図4】実施形態1に係る炭化装置を、燃焼物質搬送部の回転軸方向から見た場合の概略断面図である。
【
図5】実施形態1に係る炭化装置における第二燃焼物質搬送部の小孔を説明するための図である。
【
図6】実施形態2に係る炭化装置を、燃焼物質搬送部の回転軸方向に垂直な側から見た場合の概略側面図である。
【
図7】実施形態2に係る炭化装置を、燃焼物質搬送部の回転軸方向から見た場合の概略側面図である。
【
図8】実施形態2に係る炭化装置を、燃焼物質搬送部の回転軸方向に垂直な側から見た場合の概略断面図である。
【
図9】実施形態2に係る炭化装置を、燃焼物質搬送部の回転軸方向から見た場合の概略断面図である。
【
図10】実施形態2に係る炭化装置における燃焼物質搬送部を、その回転軸方向に垂直な側から見た場合の概略上面図である。
【
図11】実施形態2に係る炭化装置における燃焼物質搬送部を、その回転軸方向に垂直な側から見た場合の概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に記載された例示にのみ限定されるわけではない。
【0022】
図1、2は、本実施形態に係る炭化装置(以下「本装置」という。)1の側面の概略を示す図であり、
図3、4は本装置1の断面の概略を示す図である。これらの図で示すように、本装置1は、第一燃焼物質M1を搬送する第一燃焼物質搬送部2と、第一燃焼物質搬送部2の上方に設けられる第二燃焼物質M2を搬送する第二燃焼物質搬送部3と、第一燃焼物質搬送部2及び第二燃焼物質搬送部3を覆う外壁部41を備え、第一燃焼物質搬送部2における燃焼物質M1を燃焼させる燃焼部4と、燃焼部4の外壁部41の上方に設けられる屋根部5と、を備えるものである。
【0023】
また、本装置1では、第一燃焼物質搬送部2に第一燃焼物質M1を投入する第一燃料物質投入部6が設けられており、さらに、上記第一燃料物質投入部6と同様、第二燃焼物質搬送部3に第二燃焼物質M2を投入する第二燃料物質投入部7が備えられている。
【0024】
また、燃焼部4の下部、より具体的に外壁部41の下部には、接地面(例えば地表)から本装置1全体を支持するための支持脚部8が備えられている。これにより、装置全体を地表からかさ上げし、搬入及び炭化した燃焼物質の排出がしやすくなっている。
【0025】
本図で示すように、本装置1には、燃焼物質搬送部が二つ設けられており、それぞれに燃焼物質を投入することで同時に燃焼物質を炭化させることが可能となるだけでなく、籾殻以外の物質に対しても、炭化が可能となり、例えばそば殻、芋等の農作物の皮、トウモロコシの搾りかす、樹木の剪定枝や木粉、更には、サトウキビの搾りかす(いわゆるバガス)といった比較的水分が多く含まれる農作物の残渣物に対しても炭化が可能であるといった利点がある。特に、籾殻以外の物質は、上記第二燃焼物質搬送部3によって効率的に炭化が可能である。
【0026】
本装置1の第一燃焼物質搬送部2は、第一燃焼物質M1を少なくとも一方向に搬送させるためのものである。第一燃焼物質搬送部2は、限定されるわけではないが、例えば回転軸21とこの回転軸21の周囲に配置される螺旋状の羽根部材22と、この回転軸21及び羽根部材22を覆うカバー23と、着火口24と、投入口25と、を備えて構成されていることが好ましい。なお、回転軸21及び螺旋状の羽根部材22の組み合わせはスクリューコンベアとも呼ばれる。このようにすることで第一燃焼物質搬送部2は、投入口25から羽根部材22の間隙に第一燃焼物質M1を投入し、回転軸21及び羽根部材22を回転させることで燃焼物質を効率的に攪拌しながら所望の方向に安定的に押し出し搬送させることができる。もちろん、カバー23には、一方の端近傍に燃焼物質を投入させるための投入口25を設けておくことが好ましく、他方には燃焼して炭化した燃焼物質(炭)を排出させるための排出口26が設けられている。また、後述の記載から明らかとなるが、第一燃焼物質搬送部2の燃焼部4内の位置においてはカバー23が設けられていない(開放された)部分があることが好ましい。
【0027】
また、本装置1では、上記の記載から明らかであるが、第一燃焼物質搬送部2に第一燃焼物質M1を投入する第一燃料物質投入部6を備えることが好ましい。これにより簡便に第一燃焼物質M1を第一燃焼物質搬送部2に投入可能である。なお、第一燃焼物質搬送部2に燃料を搬送する第一燃料物質投入部6の構造も、上記第一燃焼物質搬送部2と同様、例えば回転軸61とこの回転軸61の周囲に配置される螺旋状の羽根部材62と、この回転軸61及び羽根部材62からなるスクリューコンベアを覆うカバー63と、を有するものであることが好ましい。
【0028】
また、本装置1における第一燃焼物質M1としては、第一燃焼物質搬送部2に投入して搬送しつつ燃焼させて炭化できるものであれば特に限定されるわけではないが、籾殻であることが好ましい一例である。籾殻は当初より水分量が比較的少なめであり、燃焼がしやすく第一燃焼物質搬送部2による炭化に好適な材料である。もちろん、そのままの状態で着火して燃焼できるものであればその他のものも採用可能である。
【0029】
また、第一燃焼物質搬送部2には、燃焼部4の前段かつ近傍において、第一燃焼物質M1に着火させるための着火口24が備えられていることも好ましい。使用者はこの着火口24において第一燃焼物質M1に対して着火し、燃焼を開始させることができる。もちろん、燃焼部4において第一燃焼物質M1の燃焼を開始させることができる限りこの構造に限定されるわけではない。
【0030】
また、本装置1は、燃焼部4を備えている。燃焼部4は、第一燃焼物質搬送部2によって搬送される第一燃焼物質M1を燃焼させて炭化する部であるとともに、後に詳述の第二燃焼物質搬送部3によって搬送される第二燃焼物質M2も燃焼、熱分解によって炭化させる部でもある。燃焼部4は、上記の通り、外壁部41を備えている。
【0031】
本装置1における燃焼部4の外壁部41は、燃焼部4の主要な骨格をなす重要な部材である。具体的には、空気の流れを制御して燃焼効率を高めるとともに、不必要に煙が外部に漏れ出ないよう覆うための部材である。
【0032】
具体的に、燃焼部4における外壁部41は、第一燃焼物質搬送部2の途中経路部分を覆うように構成されている。すなわち、第一燃焼物質M1は、この燃焼部4の内部において燃焼させられ、炭化したのち、第一燃焼物質搬送部2により燃焼部4外に排出される。
【0033】
また、燃焼部4内において第一燃焼物質搬送部2のカバー23の少なくとも一部、例えば上面部分は外されている。カバー23を外すことにより、燃焼により生ずる二酸化炭素や煙などを燃焼部4内に排出させることができる。一方、第一燃焼物質搬送部2の回転軸21及び羽根部材22の下方には、小孔が形成された多孔板231が配置されていることが好ましい。このようにすることで、後述するように、籾殻をこぼすことなく下方から供給される空気を通すための空気導入路27を形成することができるようになる。なおこの多孔板231はカバー23の一部であってもよい。またこの場合において小孔の大きさは、燃焼物質がこぼれてしまわないよう、燃焼物質の大きさよりも十分に小さい一方、空気を十分に通すことができる程度の大きさ、数を設けておくことが好ましい。また、外壁部41は、第一燃焼物質搬送部2全体を覆う構成としておくこととしてもよいが、ここで言及したように、第一燃焼物質搬送部2のカバー23の一部を外してその空間を覆うように構成しておくことが好ましい。すなわち第一燃焼物質搬送部2を覆うという意味は、上記第一燃焼物質搬送部2に接続される空間を覆うという意味を含む。
【0034】
また、燃焼部4内の第一燃焼物質搬送部2の下方には、上記の通り、上記多孔板231によって空気導入路27が形成されており、更に、これに空気を導入するブロワー28が接続されていることが好ましい。これらを設けることで、燃焼させるための酸素を燃焼物質に供給するとともに、燃焼物質を空気の流れにより撹拌し、更に、多孔板231の下に第一燃焼物質M1がこぼれてしまわないようにすることができる。
【0035】
なお、燃焼部4の外壁部41においては、その内面壁に断熱材42を配置しておくことが好ましい。断熱材を配置しておくことで、外部に熱を逃さずより効率の良い燃焼を達成することができるといった利点がある。
【0036】
また、本装置1では、上記の通り、燃焼部4を貫通し、第一燃焼物質搬送部2より上方に設けられる第二燃焼物質搬送部3を設けている。なお第二燃焼物質搬送部3は、限定されるわけではないが、第一燃焼物質搬送部2の燃焼物質搬送方向に沿って配置される、すなわち第一燃焼物質搬送部2と略平行に配置されていることが好ましい。なおここで、「燃焼物質搬送方向」とは、燃焼物質を搬送する方向であって、具体的には第一燃焼物質搬送部2における回転軸21の軸方向である。
【0037】
また、本装置1では、排出口26から排出された炭化した第一燃焼物質M1が排出されることになるところ、そのまま排出させてもよいが、本装置1に少し離れた位置に貯留する必要から、これを受けて外部に搬出する第一炭化物質搬出部9を設けることも好ましい。これにより、少し離れた位置に貯留槽T1を配置し、第一炭化物質搬出部9により搬出することができる。なお、この第一炭化物質搬出部9も、回転軸91及びこれに付された螺旋状の羽部材92を有するスクリューコンベアとこれを保護するカバー93を備えたものであることも好ましい。
【0038】
第二燃焼物質搬送部3の構成は、上記の第一燃焼物質搬送部2とほぼ同様の構成であり、重複する説明については省略するが、第二燃焼物質M2を少なくとも一方向に搬送させるためのものである。第二燃焼物質搬送部3は、限定されるわけではないが、例えば回転軸31とこの回転軸31の周囲に配置される螺旋状の羽根部材32と、この回転軸31及び羽根部材32を覆うカバー33と、を備えて構成されていることが好ましい。なお、回転軸31及び螺旋状の羽根部材32の組み合わせはスクリューコンベアとも呼ばれる。このようにすることで第二燃焼物質搬送部3は、羽根部材32の間隙に第二燃焼物質M2を投入し、回転軸31及び羽根部材32を回転させることで第二燃焼物質M2を効率的に攪拌しながら所望の方向に安定的に搬送させることができる。もちろん、カバー33には、一方の端近傍に第二燃焼物質M2を投入させるための投入口34を設けておくことが好ましく、他方には燃焼して炭化した燃焼物質(炭)を排出させるための排出口35が設けられている。本装置1では、二つの燃焼物質搬送部を設けることで、第一燃焼物質搬送部2によって一つの燃焼物質を炭化する一方、第二燃焼物質搬送部3も設けておくことで他の燃焼物質も熱分解によって炭化させることができる。すなわち、燃焼物質のより効率的な炭化が可能となる。特に、第二燃焼物質搬送部3では、水分を多く含む第二燃焼物質M2であっても、乾燥と燃焼を行い、炭化させることができるため、籾殻のように水分が少なく着火可能となるもの以外の農作物の残渣物を炭化できるといった利点がある。
【0039】
また、本装置1では、排出口35から排出された炭化した第二燃焼物質M2が排出されることになるところ、そのまま排出させてもよいが、本装置1に少し離れた位置に貯留する必要から、これを受けて外部に搬出する第二炭化物質搬出部10を設けることとも好ましい。これにより、少し離れた位置に貯留槽T2を配置し、第二炭化物質搬出部10により搬出することができる。なお、この炭化物質搬出部10も、回転軸101及びこれに付された螺旋状の羽部材102を有するスクリューコンベアとこれを保護するカバー103を備えたものであることも好ましい。
【0040】
また、本装置1の第二燃焼物質搬送部3のカバー33は、上記第一燃焼物質搬送部2とは少し異なり、燃焼部4内においても開放部分が形成されていない。ただし、その代わりに小孔331が複数形成されている。
図5に、本装置1における第二燃焼物質搬送部3のカバー33の一部の概略図を示す。この小孔331は、第二燃焼物質M2がこぼれ落ちてしまわない程度の大きさとなっている。すなわち、第二燃焼物質搬送部3は、最小限331を形成するだけで空乏状態とすることが可能となり、第一燃焼物質搬送部2とは異なり着火せず乾燥、自然発火させることで熱分解による炭化が可能となる。
【0041】
そして、本装置1では、外壁部41の上方に、外壁部41と間隙Gを設けて取り付けられる屋根部5を備えている。本装置1では、上記の外壁部41内部において効率よく燃焼された燃焼物質を更に屋根部5で再度外壁部41内に戻し、第二燃焼物質M2に対する乾燥と燃焼のための熱を戻す。そのため、本装置1において、屋根部5は、天井が凸型であることが好ましい。凸型とすることで、還流を形成することができる。
【0042】
また、本装置1では、上記第一燃焼物質搬送部2と同様、投入口34から第二燃焼物質M2が投入される。そのため、本装置1では、第二燃焼物質搬送部3に第二燃焼物質M2を投入する第二燃料物質投入部7を備えることが好ましい。これにより簡便に第二燃料物質M2を第二燃料物質搬送部3に投入可能である。なお、第二燃料搬送部3に燃料を搬送する第二燃料物質投入部7の構造も、上記第二燃焼物質搬送部3と同様、例えば回転軸71とこの回転軸71の周囲に配置される螺旋状の羽根部材72と、この回転軸71及び羽根部材72を覆うカバー73と、を有するものであることが好ましい。
【0043】
本装置1では、限定されるわけではないが、第一燃焼物質M1と第二燃焼物質M2は異なるものであることが好ましい。上記の記載から明らかであるが、第一燃焼物質M1は、籾殻のように水分が少なく乾燥が容易で着火が容易な物質を投入して炭化させることができる一方、第二燃焼物質搬送部3では、水分が多く簡単に乾燥ができず着火が期待できない物質に対しても、乾燥、加熱、熱分解を行うことが可能となる。
【0044】
ここで、本装置による燃焼によって発生する煙の流れについて説明する。
【0045】
まず、燃焼部4内における第一燃焼物質搬送部2において燃焼された燃焼物質は煙を発生させつつ炭化する。一方、煙は上昇し、細長孔形成部材内に導入される。そして、細長孔形成部材に沿って外壁部41の方向へそれぞれ拡散される。
【0046】
そして、外壁部41によって上方向へ誘導され上昇する煙は屋根部5によって外壁部41内に戻されつつ外部へ放出される。
【0047】
一方、本装置1では、第一燃焼物質搬送部2の上に、燃焼部4を貫通するように配置されており、他の燃焼物質を第二燃焼物質搬送部3に投入し、回転軸31を回転させて燃焼物質搬送部に投入することで、この燃焼物質も熱分解により炭化することが可能となる。
【0048】
以上、本発明によって、より炭化能力の高い炭化装置を提供することができる。
【0049】
(実施形態2)
本実施形態では、上記実施形態1とほぼ同様であるが、第二燃焼物質搬送部3が複数設けられている例を示している。
図6、7は、本実施形態に係る炭化装置(以下「本装置」という。)1の側面の概略を示す図であり、
図8、9は本装置1の断面の概略を示す図である。また、本実施例では、第一燃焼物質搬送部2自体も複数設けられていることが実施形態1とは異なる。
【0050】
まず、第一燃焼物質搬送部2を複数設けることで、第一燃焼物質M1の処理量を増やすことができる。第一燃焼物質搬送部2はそれぞれ独立して存在しており、並列処理が可能である。
【0051】
また本実施形態では、第二燃焼物質搬送部3を複数設けられており、これらが直列に接続されている点が上記実施形態1と異なる。本実施形態では第二燃焼物質搬送部3を複数設け、これらを直列的に接続することで、第二燃焼物質M2の搬送距離を長く確保することができる。すなわち、水分を多く含む燃焼物質であっても、長距離搬送することで、乾燥、燃焼、炭化を行うことができるようになる。
図10に、第二燃焼物質搬送部3の概略を示す。また、
図11に第二燃焼物質搬送部3の断面の概略を示す。本図で示すように、本装置1における第二燃焼物質搬送部3は、接続部36によって一の第二燃焼物質搬送部3から他の第二燃焼物質搬送部3に接続され、また逆方向に搬送されていくことになる。
【0052】
なお、本実施形態で示すように、第二燃焼物質搬送部3を複数設ける場合、2本以上あることが好ましく、本図で示すように3本であることが実際上現実的であり好ましいが、適宜調整可能であり本数は限定されるわけではない。
【0053】
また、本装置1では、第二燃焼物質搬送部3が複数設けられた場合、それぞれ高さが異なることが好ましく、より好ましくは、投入口から近い順に、その高さが徐々に低くなっていることが好ましい。徐々にその高さを低くしていくことで、複数配置したとしてもその幅を短くすることができるとともに、第二燃焼物質M2を高い位置から低い位置に落とすように搬送することができ、更に、最終段すなわち炭化のために温度をより高くするため第一燃焼物質搬送部2(熱源)により近づけることでその効果を分けて効果的に実現できる。
【0054】
本実施形態では、上記の構成によって、上記実施形態1と同質の効果ではあるが、より炭化能力の高い炭化装置を提供することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、第一燃焼物質搬送部2及び第二燃焼物質搬送部3の双方を複数本設ける構成としているが、第一燃焼物質搬送部2のみまたは第二燃焼物質搬送部3のみのいずれかを複数本とする構成も当然に可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本装置は、炭化装置として産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0057】
1…炭化装置
2…第一燃焼物質搬送部
3…第二燃焼物質搬送部
4…燃焼部
41…外壁部
5…屋根部
6…第一燃焼物質投入部
7…第二燃料物質投入部
8…支持脚部
9…第一炭化物質搬出部
10…第二炭化物質搬出部
M1…第一燃焼物質
M2…第二燃焼物質