(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177115
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスとその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A61B10/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091588
(22)【出願日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0072831
(32)【優先日】2023-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】596180076
【氏名又は名称】韓國電子通信研究院
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】218,Gajeong-ro Yuseong-gu Daejeon 34129,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】クァク、ミョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェギュ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒョンジュ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光半導体素子工程を活用した光遺伝学神経プローブ製作技術に着眼した、複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスとその製造方法を提供する。
【解決手段】光遺伝学神経プローブデバイス10は、光素子整列基板100と、光素子整列基板100に配置され、複数の光素子210で構成される光素子グループ200と、光神経プローブ基板310と、光神経プローブ基板310で神経細胞に近い位置に配置された光信号入出力ポート323を含む。光素子グループ200で発進された光信号は光神経プローブ基板310上に存在する光導波路322を通じて光信号入出力ポート323に伝達される。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経細胞に光信号を伝達したり神経細胞の蛍光信号を受信する光遺伝学神経プローブデバイスにおいて、
光素子整列基板;
前記光素子整列基板に配置され、1個以上の光素子で構成される光素子グループ;および
光神経プローブ基板、前記光神経プローブ基板上に配置される光導波路および光信号入出力ポートを含む、1個以上の光遺伝学神経プローブ;を含み、
前記光遺伝学神経プローブは、
前記光導波路を通じて、前記光素子グループで発進された光信号を前記光信号入出力ポートに伝達するものである光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項2】
前記光素子グループは第1光素子と第2光素子を含み、
前記第1光素子と前記第2光素子は互いに異なる中心波長特性を有することを特徴とする、請求項1に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項3】
前記光素子グループは第1光素子と第2光素子を含み、
前記第1光素子は発光素子であり、前記第2光素子は受光素子である、請求項1に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項4】
前記光信号入出力ポートは、
神経細胞の蛍光信号を前記光導波路に伝達し、
前記光導波路は、
前記神経細胞の蛍光信号を前記光素子グループに伝達するものである、請求項1に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項5】
前記光神経プローブ基板は、
前記光素子整列基板の一面にパッケージングされるものである、請求項1に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項6】
前記光遺伝学神経プローブは、
前記光神経プローブ基板の突出部、前記光導波路および前記光信号入出力ポートを含む、複数の探針部を含み、
前記複数の探針部は、
所定の間隔だけ互いに離隔したことを特徴とする、請求項1に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項7】
前記光神経プローブ基板は、
前記光素子整列基板にパッケージングされる部分の一部が前記光素子グループと直接接触し、
前記一部に、前記光素子グループの高さだけの段差を有するリセス構造が形成されたことを特徴とする、請求項5に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項8】
前記光神経プローブ基板を前記光素子整列基板に固定させるために、前記光素子整列基板上に固定用樹脂が塗布されたことを特徴とする、請求項5に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項9】
前記固定用樹脂は、
熱硬化性樹脂および光硬化樹脂のうちいずれか一つである、請求項8に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項10】
前記光信号入出力ポートは、
前記光導波路の末端に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項11】
前記複数の探針部のうち少なくともいずれか一つの探針部は、
前記少なくともいずれか一つの探針部に含まれた光導波路上に前記光信号入出力ポートが2個以上配置されることを特徴とする、請求項6に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項12】
前記複数の探針部のうち少なくともいずれか一つの探針部は、
前記光導波路を2個以上含むことを特徴とする、請求項6に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項13】
前記光信号入出力ポートは、
回折格子からなることを特徴とする、請求項1に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項14】
前記光信号入出力ポートは、
45度の鏡面であることを特徴とする、請求項1に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項15】
前記光素子グループは、
複数個であることを特徴とする、請求項1に記載の光遺伝学神経プローブデバイス。
【請求項16】
複数の光遺伝学神経プローブを、固定スペーサを利用して整列させる段階;
前記複数の光遺伝学神経プローブを、複数の光素子グループが配置された光素子整列基板上に位置させる段階;
前記光素子整列基板および前記光遺伝学神経プローブが接する面に液体状態の固定用樹脂を塗布する段階;および
前記固定用樹脂を硬化させる段階;を含む、光遺伝学神経プローブデバイスの製造方法。
【請求項17】
前記光遺伝学神経プローブは、
光神経プローブ基板、前記光神経プローブ基板上に配置される光導波路および光信号入出力ポートを含み、
前記光神経プローブ基板の末端はリセス構造を有し、
前記光素子整列基板上に位置させる段階は、
前記リセス構造を前記光素子グループと前記光素子整列基板に接するように配置することを含むものである、請求項16に記載の光遺伝学神経プローブデバイスの製造方法。
【請求項18】
光信号を放出するように構成された少なくとも一つの発光器;
前記光信号の光経路を提供する光導波路;
光信号を対象体に出力する光信号入出力ポート;および
前記少なくとも一つの発光器と前記光導波路の間に配置される光モード大きさ変換器;
を含み、
前記光モード大きさ変換器は、
前記光モード大きさ変換器の断面積が前記少なくとも一つの発光器から前記光信号入出力ポートに向かう経路に沿って減少する、光遺伝学神経プローブ。
【請求項19】
前記光信号入出力ポートは前記対象体から反応信号を受信するように構成され、
前記光導波路は前記光信号入出力ポートからの反応信号の光経路を少なくとも一つの受光器に提供するように構成される、請求項18に記載の光遺伝学神経プローブ。
【請求項20】
前記対象体は神経細胞であり、
前記反応信号は、前記神経細胞が前記光信号によって刺激されて発生させた蛍光信号であることを特徴とする、請求項19に記載の光遺伝学神経プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光遺伝学技術を活用して神経細胞を刺激したり抑制し、神経信号を抽出する神経プローブデバイスの構成とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に神経細胞の信号伝達は電気化学的作用によって起きる。したがって、既存には人為的に神経を活性化するために神経細胞に電極を隣接させて適正量の電流や電圧を印加する方法が使われた。ひいては、チャネルロドプシン-2(ChR2:channelrhodopsin-2)のように光反応性イオンチャネル作用をする蛋白質を神経細胞に移植し、この蛋白質に特定の波長を有する光を照射すると電気刺激ではなく光刺激によっても神経を活性化させることができる。このように光を利用して特定タイプの神経のみを刺激または抑制できる光遺伝学技術が2005年度に発表された。既存の電気刺激方式では生物の各神経がどのような役割をするかが分からなかったのであるが、光遺伝学技術の発表以後には光遺伝学技術を利用して神経の役割に対する細胞単位の探求が可能となって神経研究に新しい地平が開かれることになった。
【0003】
初期の光遺伝学実験は、研究対象となる神経細胞に光源の発光面を隣接させたり、外部光源を光ファイバーに連結し、光ファイバーを媒体として、光ファイバーの末端を神経細胞に隣接させることによって光を神経に照射する方式が採用されたりした。しかし、一般の外部光源はその大きさが非常に大きいため、光が照射される面積を減らすためには複雑な光学系の結合が必要である。したがって、光学システムの全体の体積がさらに大きくなることになって生物体に挿入する形態で適用することが難しい。また、光ファイバーはその加工方式に限界があるため、構造上光ファイバーの末端以外の領域に光を照射することが難しく、これは数多くの細胞が束で存在する3次元構造の神経組織の研究において多くの制約として作用する。
【0004】
これを克服しようとする努力の一環として、Micro-LEDのような微細に小さい発光体を探針型電極に集積して神経組織に挿入して対象となる神経細胞に隣接させる方式で研究が進行されたが、前記方式は照射しようとする部分の個数だけ光源が必要であり、神経細胞のすぐに隣接した領域に光源が位置するため熱的損傷の危険を加重させるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前述した問題を克服するために、光半導体素子工程を活用した光遺伝学神経プローブ製作技術に着眼した、複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスとその製造方法を提供することをその目的とする。
【0006】
具体的には、本発明は、光源と生体間の物理的離隔のために、独立的な光素子アレイチップをベースとして有し、3次元体積を有する神経組織研究に対応可能な光信号入出力を実現するために、設計および製作に構造的拡張性を有する光導波路技術基盤の探針アレイを採用した、複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスとその製造方法を提供することをその目的とする。
【0007】
本発明の目的は以上で言及した目的に制限されず、言及されていないさらに他の目的は以下の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイスは、神経細胞に光信号を伝達したり神経細胞の蛍光信号を受信する。
【0009】
前記光遺伝学神経プローブデバイスは、光素子整列基板;前記光素子整列基板に配置され、1個以上の光素子で構成される光素子グループ;および光神経プローブ基板、前記光神経プローブ基板上に配置される光導波路および光信号入出力ポートを含む、1個以上の光遺伝学神経プローブを含む。
【0010】
前記光遺伝学神経プローブは、前記光導波路を通じて、前記光素子グループで発進された光信号を前記光信号入出力ポートに伝達する。
【0011】
本発明の一実施例で、前記光素子グループは第1光素子と第2光素子を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施例で、前記第1光素子と前記第2光素子は互いに異なる中心波長特性を有することができる。
【0013】
本発明の一実施例で、前記第1光素子は発光素子であり、前記第2光素子は受光素子であり得る。
【0014】
本発明の一実施例で、前記光信号入出力ポートは、神経細胞の蛍光信号を前記光導波路に伝達し、前記光導波路は、前記神経細胞の蛍光信号を前記光素子グループに伝達することができる。
【0015】
本発明の一実施例で、前記光神経プローブ基板は、前記光素子整列基板に垂直な方向に前記光素子整列基板の一面にパッケージングされ得る。
【0016】
本発明の一実施例で、前記光遺伝学神経プローブは、前記光神経プローブ基板の突出部、前記光導波路および前記光信号入出力ポートを含む、複数の探針部を含む。
【0017】
本発明の一実施例で、前記複数の探針部は、所定の間隔だけ互いに離隔し得る。
【0018】
本発明の一実施例で、前記光神経プローブ基板は、前記光素子整列基板にパッケージングされる部分の一部が前記光素子グループと直接接触し、前記一部に、前記光素子グループの高さだけの段差を有するリセス構造が形成され得る。
【0019】
本発明の一実施例で、前記光神経プローブ基板を前記光素子整列基板に垂直な方向に固定させるために、前記光素子整列基板上に固定用樹脂が塗布され得る。
【0020】
本発明の一実施例で、前記固定用樹脂は、熱硬化性樹脂および光硬化樹脂のうちいずれか一つであり得る。
【0021】
本発明の一実施例で、前記光信号入出力ポートは、前記光導波路の末端に配置され得る。
【0022】
本発明の一実施例で、前記複数の探針部のうち少なくともいずれか一つの探針部に含まれた光導波路上に、前記光信号入出力ポートが2個以上配置され得る。
【0023】
本発明の一実施例で、前記複数の探針部のうち少なくともいずれか一つの探針部は、前記光導波路を2個以上含むことができる。
【0024】
本発明の一実施例で、前記光信号入出力ポートは、回折格子からなり得る。
【0025】
本発明の一実施例で、前記光信号入出力ポートは、45度の鏡面であり得る。
【0026】
本発明の一実施例で、前記光素子グループは複数個であり得る。
【0027】
本発明の一実施例で、前記光遺伝学神経プローブデバイスは、前記光素子グループと前記光導波路の間に配置された光モード大きさ変換器をさらに含むことができる。
【0028】
本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイスは、神経細胞に光信号を伝達したり神経細胞の蛍光信号を受信する。前記光遺伝学神経プローブデバイスは、光素子整列基板;前記光素子整列基板上に配置された1個以上の光素子グループ;前記1個以上の光素子グループそれぞれに一つずつ結合される光モード大きさ変換器;および光神経プローブ基板、1個以上の探針部および一つ以上の光スイッチを含む、光遺伝学神経プローブを含む。
【0029】
本発明の一実施例で、前記探針部は、前記光神経プローブ基板の突出部、光導波路および1個以上の光信号入出力ポートを含むことができる。
【0030】
本発明の一実施例で、前記光スイッチは、前記光モード大きさ変換器および前記光導波路の間に配置され得る。
【0031】
本発明の一実施例で、前記光スイッチは、前記光モード大きさ変換器および前記光導波路と光学的に連結され、前記光素子グループで発進され、前記光モード大きさ変換器によって光モード大きさが調整された光信号を、外部の制御信号により目標とした光信号入出力ポートに連結された光導波路に伝達することができる。
【0032】
本発明の一実施例で、前記光スイッチは、位相配列(phased-array)方式、AWG(arrayed waveguide grating)方式、MZI(mach-zehnder interferometer)方式、リング共振器(ring resonator)方式および方向性カプラー(directional coupler)方式のうちいずれか一つの方式を通じて具現され得る。
【0033】
本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイスの製造方法は、複数の光遺伝学神経プローブを、固定スペーサを利用して整列させる段階;前記複数の光遺伝学神経プローブを、複数の光素子グループが配置された光素子整列基板上に位置させる段階;前記光素子整列基板および前記光遺伝学神経プローブが接する面に液体状態の固定用樹脂を塗布する段階;および前記固定用樹脂を硬化させる段階を含む。
【0034】
本発明の一実施例で、前記光遺伝学神経プローブは、光神経プローブ基板、前記光神経プローブ基板上に配置される光導波路および光信号入出力ポートを含む。
【0035】
本発明の一実施例で、前記光神経プローブ基板の末端はリセス構造を有することができる。この場合、前記光素子整列基板上に位置させる段階は、前記リセス構造を前記光素子グループと前記光素子整列基板に接するように配置することを含むことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイスは、独立的な光素子アレイチップをベースとして有するため、光源のように熱を発生させる光素子と生体間の物理的離隔を実現することによって熱による生体損傷を防止する効果がある。
【0037】
また、本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイスは、設計および製作に構造的拡張性を有する光導波路技術基盤の探針アレイを採用した光信号入出力方式を通じて、3次元体積を有する神経組織を研究するのに適用できるという効果がある。
【0038】
また、本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイスは、多様な光モード大きさ変換器の搭載が可能であるため、光素子アレイチップと光神経プローブチップの結合過程で発生する莫大な光損失を減らすことができるという効果がある。
【0039】
また、本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイスは、光神経プローブ内に多重スイッチ領域を提供するため、入出力端の個数対比光素子の個数を低減できるという効果がある。
【0040】
一方、本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイスの製造方法において、3次元探針アレイの結合のためのリセス領域構造を適用することによって、光素子アレイチップとの光結合および整列容易性の確保が可能であるという効果がある。
【0041】
本発明で得ることができる効果は以上で言及した効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は以下の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1a】本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスおよび光遺伝学神経プローブの一実施例を示した正面図である。
【
図1b】本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスおよび光遺伝学神経プローブの一実施例を示した正面図である。
【
図2a】本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスおよび光遺伝学神経プローブの一実施例を示した側面図である。
【
図2b】本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスおよび光遺伝学神経プローブの一実施例を示した側面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4a】本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスの製造方法を説明するための参照図である。
【
図4b】本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスの製造方法を説明するための参照図である。
【
図4c】本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスの製造方法を説明するための参照図である。
【
図5a】光モード大きさ変換器の多様な形態に関する例示図である。
【
図5b】光モード大きさ変換器の多様な形態に関する例示図である。
【
図5c】光モード大きさ変換器の多様な形態に関する例示図である。
【
図5d】光モード大きさ変換器の多様な形態に関する例示図である。
【
図6】本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブが光スイッチを含んだ形態を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は光遺伝学技術を活用して神経細胞を刺激したり抑制し、神経信号を抽出する光遺伝学神経プローブデバイスとその製造方法に関する。
【0044】
具体的には、本発明は、3次元体積を有する神経束を対象とし、特定の位置にある神経との連結を実現する。本発明は、多数の光素子アレイチップと前記アレイチップで発生させた光信号を特定の神経領域に伝達したり、脳で発生した蛍光信号を受信した後、前記蛍光信号を光素子アレイチップに伝達する、多数の光神経プローブアレイが光連結される構成を有した光遺伝学神経プローブデバイスとその製造方法に関する。
【0045】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確となるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で具現され得、ただし本実施例は本発明の開示を完全なものとし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるのみである。一方、本明細書で使われた用語は実施例を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含む。明細書で使われる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成素子、段階、動作および/または素子は一つ以上の他の構成素子、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0046】
第1、第2等の用語は多様な構成要素を説明するのに使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われ得る。例えば、本発明の権利範囲から逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。
【0047】
或る構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたりまたは接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、或る構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち「~間に」と「すぐに~間に」または「~に隣り合う」と「~に直接隣り合う」等も同様に解釈されるべきである。
【0048】
本発明を説明するにおいて、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0049】
以下、本発明の実施例を添付した図面を参照して詳細に説明する。本発明を説明するにあたって、全体的な理解を容易とするために図面番号にかかわらず同一の手段に対しては同一の参照番号を使うことにする。
【0050】
図1aおよび
図1bは、本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスおよび光遺伝学神経プローブの一実施例を示した正面図である。
【0051】
図1aおよび
図1bを参照して、本発明に係る光遺伝学神経プローブデバイスと光遺伝学神経プローブの構成および実施例を説明する。
【0052】
本発明に係る光遺伝学神経プローブデバイス10は、光導波路技術基盤の探針アレイ構造を採用して3次元体積を有する神経組織研究に対応可能である。本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイス10は光素子整列基板100、1個以上の光素子210または光素子グループ200および光遺伝学神経プローブ(300、以下「プローブ」と略称する)を含み、光モード大きさ変換器400をさらに含むことができる。
【0053】
プローブ300は光神経プローブ基板310、1個以上の光導波路322および1個以上の光信号入出力ポート323を含む。そして、光モード大きさ変換器400がプローブ300にさらに含まれ得る(
図1b参照)。 光モード大きさ変換器400は一つ以上の光素子(例えば、発光器)210と導波管322の間に配置され得る。光モード大きさ変換器400の断面積は光素子210から光信号入出力ポート323に向かう経路に沿って減少し得る。光信号入出力ポート323は対象体(例えば、神経細胞)に光信号を出力し、光信号が対象体を刺激することによって対象体から発生した反応信号(例えば、蛍光信号)を受信することができる。
【0054】
本明細書で、光神経プローブ基板310の突出部321と突出部321上に配置された光導波路322および光信号入出力ポート323が含まれた構成を、探針部320と指称する。したがって、プローブ300は1個以上の探針部320を含む。各探針部320に含まれた光導波路322および光信号入出力ポート323の個数や位置は探針部320別に異なり得る。光神経プローブ基板310で突出部321を除いた部分を「基板部」と指称する。
【0055】
一方、
図1aおよび
図1bには図示されていないが、プローブ300は光スイッチ330をさらに含むことができる。
【0056】
一方、
図1aおよび
図1bに図示されていないが、探針部320には神経で発生した電気生理学的信号を受信できる電極が集積され得る。電極の個数は光信号入出力ポート323と同様に一つまたは複数個であり得、各電極は電気的な方式または無線通信を通じて最終的に信号が分析可能な回路、端末またはシステムなどに収集された神経信号を伝達する。
【0057】
一方、突出部321の神経細胞に近い末端は挿入に容易であるように尖っている探針形態の構造を有し得るが、本明細書では該当構造を探針ピーク部321aと指称する。
【0058】
光素子整列基板100上に多様な種類の光素子210または光素子グループ200が整列されて配置され得る。
図1aに図示した通り、光素子210-1、210-2を含む光素子グループ200は、光素子整列基板100上で互いに隣接したり一定間隔だけ離隔して配置され得る。本明細書で、光素子グループ200に複数の光素子210が含まれる場合、該当光素子などを210-1、210-2、...、210-nのような参照符号を通じて区分して指称する。
【0059】
光素子整列基板100上に配置される光素子210は発光素子または受光素子であり得る。例えば、光素子210はLED、micro-LED、mini-LED、OLED、LD、VCSELのうちいずれか一つの発光素子やSi PD、Ge PD、APDのうちいずれか一つの受光素子であり得る。
【0060】
本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイス10では、
図1aに図示した通り、並んで隣接した2個以上の光素子210-1、210-2、...が光素子グループ200をなし、複数の光素子グループ200が所定の間隔(例えば、同じ間隔)だけ離隔して整列されて光素子整列基板100に配置される。他の例として、複数の光素子グループ200が光素子整列基板100上に一定でない間隔で配置されることも可能である。そして、前述した実施例とは異なり、光素子整列基板100上にそれぞれの単一の光素子210が一定間隔または互いに異なる間隔で整列されて配置されることも可能である。また、光素子グループ200に含まれた複数の光素子210-1、210-2、...210-nの配置方法が光素子グループ200により変わることも可能である。
【0061】
本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイス10で、各光素子グループ200が2個の光素子210-1、210-2で構成されていると仮定する時、第1光素子210-1と第2光素子210-2は互いに異なる機能または互いに異なる特徴を有することができる。例えば、第1光素子210-1と第2光素子210-2はいずれもmicro-LED発光素子でありながらも互いに異なる中心波長特性を有することができる。さらに他の例として、第1光素子210-1はVCSELである発光素子であり、第2光素子210-2はSi PDである受光素子であり得る。光素子グループが3個以上の光素子で構成された場合にも、光素子グループに含まれた各光素子は互いに異なる機能や互いに異なる特徴を有し得ることは言うまでもない。
【0062】
光神経プローブ基板310は、光素子整列基板100に垂直な方向に光素子整列基板100にパッケージングされる。光神経プローブ基板310は固定用樹脂500を通じて光素子整列基板100にパッケージングされ得る。光神経プローブ基板310は光遺伝学神経プローブ300に含まれるので、光遺伝学神経プローブ300が光素子整列基板100にパッケージングされると言える。
【0063】
光神経プローブ基板310はケイ素(Si)基盤の物理的強度が高い素材からなり得る。ただし、本発明に係る光神経プローブ基板310の素材は前述した例示(ケイ素基盤)に制限されない。光神経プローブ基板310は、光神経プローブ基板310上に配置された光導波路322が光素子210が放出した光を目標神経細胞まで伝達できるように、光導波路322を支持する役割を遂行する。具体的には、光神経プローブ基板310上に光導波路(322、以下、「導波路」と略称され得る)が存在し、光素子210で発進された光信号は導波路322内部を通過して光信号入出力ポート323を通じて目標神経細胞まで到達する。
図1a、
図1b、
図2aおよび
図2bには導波路322ごとに単一の光信号入出力ポート323が導波路322の末端に配置されるものとして図示されたが、これは一つの例示と理解されるべきである。すなわち、本発明で導波路322上に配置される光信号入出力ポート323の位置や個数には制限を設けない。本発明で光信号入出力ポート323は導波路322上の任意の位置に配置され得、単数だけでなく複数の光信号入出力ポート323が導波路322上に配置され得る。例えば、光信号入出力ポート323は導波路322の末端に配置されてもよいが、導波路322の末端以外の部分に配置されてもよい。
【0064】
光導波路322はコア部322aとクラッド層322bを含む(
図2aおよび
図2b参照)。本明細書で特に言及しない場合、「光導波路322」または「導波路322」はコア部322aを指称する。
【0065】
本発明の実施例で、コア部322aは可視光線を透過できる高屈折率物質を含むことができる。例えば、コア部322aに含まれる高屈折率物質は1.45以上の屈折率を有することができる。例えば、コア部322aに含まれ得る高屈折率 物質としてSiN、SiO2、SiON、ポリマー(polymer)、SU-8、パリレン(parylene)等があり得る。ただし、コア部322aに含まれる物質が前述した例に限定されるものではない。
【0066】
コア部322aの全部または一部は空気に露出され得るが、光伝播損失(propagation loss)を低減するためにはクラッド層322bでコア部322a周囲を囲むことが好ましい。
図2aおよび
図2bのクラッド層322bはコア部322a周囲を囲んでいる。そして、
図2aおよび
図2bに図示した通り、クラッド層322bはコア部322aと光モード大きさ変換器400の間に位置し、光神経プローブ基板310とコア部322aの間に位置する。例えば、クラッド層322bの素材としてSiN、SiO
2、SiON、polymer、PDMA、SU-8、paryleneなどが使われ得る。ただし、クラッド層322bの素材の屈折率はコア部322aの素材の屈折率よりさらに低いことが好ましい。本発明でクラッド層322bの素材は前述した例示に制限されない。
【0067】
図2aを基準として見る時、光素子210の上部に光モード大きさ変換器400が配置される。光モード大きさ変換器400は光神経プローブ基板310と光素子整列基板100が連結される領域近辺に位置する。光モード大きさ変換器400は導波路322と光素子グループ200の間の光モード大きさの差を解決する。
【0068】
因みに、光を光導波路または光ファイバーのような媒体を通じて目標地点に伝達する場合、各媒体を構成する物質の屈折率や設計特性により媒体の中に閉じ込められた光の空間的な形(大きさとパターン)が変わることになる。ここで、光の空間的な形(大きさとパターン)を「光モード」と称する。レーザーのような能動型光素子(発光素子)は光を増幅する構造や方向により発進される光の光モード大きさが変わる。光モード大きさ変換器400は光素子210と導波路322間の光モード大きさの差を克服する役割を遂行する。
【0069】
光モード大きさ変換器400は光素子210と導波路322の相互間で伝達される光信号のモード大きさを調節する。
【0070】
光素子整列基板100上に光素子グループ200が配置された場合、光モード大きさ変換器400は光素子グループ200と導波路322の相互間で伝達される光信号のモード大きさを調節する。
【0071】
光素子グループ200が光信号を発進する場合において、光モード大きさ変換器400は光素子グループ200が発進した光信号のモード大きさを調節して光信号のモード大きさが導波路322の光モード大きさにさらに近づくようにする。因みに、光素子グループ200が光信号を発進する場合は、光素子グループ200が発光素子210を含む場合である。
【0072】
また、光素子グループ200が光信号を受信する場合において、光モード大きさ変換器400は導波路322を通じて光素子グループ200に伝達される光信号のモード大きさを調節して光信号のモード大きさが光素子グループ200の光モード大きさにさらに近づくようにする。因みに、光素子グループ200が光信号を受信する場合は、光素子グループ200が受光素子210を含む場合である。
【0073】
本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイス10は光モード大きさ変換器400を活用して光結合損失(coupling loss)を低くする。
【0074】
光神経プローブ基板310を最下端に位置したと見る時、光モード大きさ変換器400はコア部322aまたはクラッド層322bより上部にある。すなわち、光神経プローブ基板310を最下端に位置したと見る時、光モード大きさ変換器400は最上部に存在する。
【0075】
光モード大きさ変換器400の素材としてはSiN、SiO2、SiON、ポリマー(polymer)、PDMA、SU-8、パリレン(parylene)等が使われ得る。ただし、光モード大きさ変換器400の素材はコア部322aまたはクラッド層322bの屈折率と異なる屈折率を有する物質を使わなければならない。本発明で光モード大きさ変換器400の素材は前述した例示に制限されない。
【0076】
光モード大きさ変換器400はテーパ状(台形)の形態で構成され得るが、後述するようにテーパ状とは異なる多様な形態で構成されてもよい。
【0077】
導波路322上には導波路322の外部との光信号入出力を遂行する光信号入出力ポート323が存在する。光信号入出力ポート323は回折格子からなり得る。また、光信号入出力ポート323は鏡面であり得る。例えば光信号入出力ポート323は45度の鏡面であり得るが、この場合、光信号を進行方向の垂直方向に切り替える。
図1aおよび
図1bには導波路322の末端に光信号入出力ポート323が存在するものとして図示されているが、光信号入出力ポート323の位置はこれに制限されない。例えば、光信号入出力ポート323は導波路322の末端ではない位置に形成され得る。光信号入出力ポート323は回折格子からなっており、導波路322を通じて伝達される光の進行方向を切り替える。例えば、光信号入出力ポート323は光の進行方向を導波路322に垂直な方向に切り替えることができる。光信号入出力ポート323は方向が切り替えられた光を導波路322の外部に出力する。また、光信号入出力ポート323は外部の光(例:神経反応蛍光信号または光素子や光ファイバーから放出された光)を導波路322内部に入力する。
図1aおよび
図1bの実施例で、光信号入出力ポート323は各コア部322aの末端に集積されている。
図1aおよび
図1bに図示した通り、光神経プローブ基板310の突出部321の一定部分からは生体組織に挿入が可能であるように幅が狭くなり、神経細胞に近い部分は尖っている探針形態の構造、すなわち探針ピーク部321aが形成される。探針ピーク部321aは神経組織に探針部320が挿入されることを容易とする。光神経プローブ基板310の突出部321の中で生体組織に挿入される部分は、基板の一部が除去されて光神経プローブ基板310の他の部分対比さらに薄い厚さを有することができる。光素子210と光導波路322が接する部分(または光素子210と光モード大きさ変換器400が接する部分)と同一の高さに光神経プローブ基板310のリセス構造315が形成されるようにすることが好ましい。プローブ300が複数の探針部320を含む場合、各探針部320は一定の間隔だけ離隔して整列され得る。他の例として、神経組織の構造により、プローブ300に含まれた複数の探針部320が互いに異なる間隔で離隔してもよい。そして、探針部320当たり1個以上の光信号入出力ポート323を有する。
【0078】
図2aおよび
図2bは、本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブデバイスおよび光遺伝学神経プローブの一実施例を示した側面図である。
【0079】
図2aに図示した通り、本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイス10は、光神経プローブ基板310に対して垂直な方向に複数の光神経プローブ基板310が整列されて配置される形態で拡張され得る。すなわち、光遺伝学神経プローブデバイス10は、互いに平行な複数の光神経プローブ基板310が一つの光素子整列基板100に結合される形態で構成され得る。
【0080】
換言すると、光遺伝学神経プローブデバイス10は光素子整列基板100に複数のプローブ300が装着される形態で構成され得る。この時、複数のプローブ300は互いに同じ構造を有してもよく、一部が異なる構造を有したり、すべて互いに異なる構造を有してもよい。例えば、各プローブ300に含まれた探針部320の個数、探針部320間の間隔、光スイッチ330の有無や構造は互いに異なり得る。また、光遺伝学神経プローブデバイス10に含まれた複数の探針部320も互いに同一または異なる構造を有し得る。例えば、各探針部320の導波路322および光信号入出力ポート323の個数や位置は互いに異なり得る。一方、光遺伝学神経プローブデバイス10に配置された光モード大きさ変換器400の個数や位置もプローブ300や探針部320ごとに異なり得る。
【0081】
図2aを基準として見る時、光素子整列基板100上に光神経プローブ基板310を垂直方向に固定させるために固定用樹脂500が塗布され得る。例えば、固定用樹脂500はSOG、BCBのような熱硬化性樹脂であり得、UV-epoxy、PDMA、SU-8、光硬化性polymerのような光硬化樹脂であってもよい。本発明で固定用樹脂500の種類は前述した例示に制限されない。
【0082】
図2aに図示した通り、光神経プローブ基板310で光素子整列基板100に最も近い側の末端は光素子210と直接接触することができる。また、光素子210は光素子整列基板100上に一定高さを有する構造で集積されて存在するため、光素子210の高さだけ光神経プローブ基板310の末端に段差が存在するリセス構造315を適用することによって二つの基板110、130の結合をさらに容易とすることができる。
【0083】
図3は、本発明の一実施例に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブの製造方法を説明するためのフローチャートである。本発明の一実施例に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブの製造方法はS210段階~S240段階を含む。
図3に図示された、複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブの製造方法は一実施例に従ったものであり、本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブの製造方法の段階は
図3に図示された実施例に限定されるものではなく、必要に応じて付加、変更または削除され得る。
【0084】
そして、
図4a~
図4cは、本発明に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブの製造方法を説明するための参照図である。
図4a~
図4cの順に沿って、光素子210が配置された光素子整列基板100にプローブ300をパッケージングする方法が図示された。
【0085】
以下、
図3と
図4a~
図4cを参照して、本発明の一実施例に係る複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブの製造方法を説明する。
【0086】
S210段階は、固定スペーサ51を利用して光神経プローブ基板310を整列させる段階である。
【0087】
図4aに図示した通り、光神経プローブ基板310上には導波路322、光信号入出力ポート323および光モード大きさ変換器400が配置され得る。したがって、S210段階は固定スペーサ51を利用して複数のプローブ300を整列させる段階とも言える。
【0088】
まず、固定スペーサ51にパッケージングが必要な光神経プローブ基板310を固定させる。固定スペーサ51は、光素子整列基板100上に光素子210が整列された間隔と同じ間隔で、複数の光神経プローブ基板310を整列させるのに使われる。固定スペーサ51を通じて複数の光神経プローブ基板310を一定の間隔だけ互いに離隔して整列された状態で固定させる。この時、光神経プローブ基板310の末端にあるリセス構造315を通じて二つの基板100、310の結合がさらに容易となる効果がある(
図4a参照)。
【0089】
一方、S210段階以前に、2個以上の光素子を含む複数の光素子グループ200を、互いに一定の間隔だけ離隔させて光素子整列基板100上に配置する段階が追加され得る。
【0090】
S220段階は、光神経プローブ基板310を光素子整列基板100上に配置する段階である。複数の光神経プローブ基板310が固定スペーサ51を通じて整列されると、複数の光神経プローブ基板310を光素子整列基板100上に配置する(
図4b参照)。S220段階は複数のプローブ300を光素子整列基板100上に位置させる段階とも言える。
図2aを参照した説明での通り、光神経プローブ基板310はその末端にリセス構造315を有することができる。S220段階で、光神経プローブ基板310のリセス構造315を光素子グループ200と光素子整列基板100に接するように配置することによって、光神経プローブ基板310と光素子整列基板100の結合をさらに容易とすることができる。
【0091】
S230段階は、固定用樹脂を塗布する段階である。複数の光神経プローブ基板310がすべて物理的に正確な位置に配置されると、液体状態の固定用樹脂500を光素子整列基板100および光神経プローブ基板310が接する面に塗布する。
図4bの固定用樹脂500は硬化前の硬化性樹脂を示したものである。
【0092】
S240段階は、固定用樹脂を硬化させる段階である。固定用樹脂500は硬化過程を経て光素子整列基板100と光神経プローブ基板310を堅固に固定する。すなわち、S240段階は固定用樹脂500の硬化を通じて光素子整列基板100と光神経プローブ基板310を結合する段階である。換言すると、S240段階は固定用樹脂500の硬化を通じて光素子整列基板100と光遺伝学神経プローブ300を結合する段階と言える。
図4cの固定用樹脂500は硬化後の硬化性樹脂を示したものである(
図4c参照)。
【0093】
前述した複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブの製造方法は、図面に提示されたフローチャートを参照して説明された。簡単に説明するために前記方法は一連のブロックで図示されて説明されたが、本発明は前記ブロックの順序に限定されず、いくつかのブロックは他のブロックと本明細書で図示され記述されたものと異なる順序でまたは同時に起きてもよく、同一のまたは類似する結果を達成する多様な他の分岐、流れ経路、およびブロックの順序が具現され得る。また、本明細書で記述される方法の具現のために図示されたすべてのブロックが要求されないこともある。
【0094】
一方、
図3~
図4cを参照した説明において、各段階は本発明の具現例にしたがって、追加的な段階にさらに分割されたり、さらに少ない段階で組み合わせられ得る。また、一部の段階は必要に応じて省略されてもよく、段階間の順序が変更されてもよい。また、その他省略された内容であっても、
図1a、
図1b、
図2a、
図2b、
図5a~
図5d、
図6の内容は
図3~
図4cの内容に適用され得る。また、
図3~
図4cの内容は
図1a、
図1b、
図2a、
図2b、
図5a~
図5d、
図6の内容に適用され得る。
【0095】
図5a~
図5dは、光モード大きさ変換器の多様な形態に関する例示図である。
図5a~
図5dには、本発明に係る光遺伝学神経プローブデバイス10に含まれ得る多様な形態の光モード大きさ変換器400が図示される。与えられた条件下で光結合損失を最小化するために多様な形態の光モード大きさ変換器400が光遺伝学神経プローブデバイス10に適用され得る。具体的には、光素子グループ200に含まれた光素子210の個数、光素子210で発進される光モード大きさおよび光モード大きさ変換器400の製造工程や製造技術水準により、それぞれ異なる形態の光モード大きさ変換器400が光遺伝学神経プローブデバイス10に適用され得る。
【0096】
図5aは、基本的なテーパ状光モード大きさ変換器400-1を図示する。テーパ状光モード大きさ変換器400-1は最も基本的な光モード大きさ変換器400の一形態である。テーパ状光モード大きさ変換器400-1は製作工程が簡単でデザインおよび作用原理が単純であるため、最も多く使われる形態である。
【0097】
図5bは、一つのレンズ状を有する丸い形態の光モード大きさ変換器(400-2、以下、「単一レンズ型光モード大きさ変換器」と指称する)を図示する。単一レンズ型光モード大きさ変換器400-2は、光素子210で発進される光が水平方向に大きい放射角を有する場合、集光を通じて光損失を減少させる役割を遂行する。ただし、レンズ型光モード大きさ変換器400-2は設計時に高難度の光学的計算が必要であり、その製作において屈曲型パターンを作らなければならないので、微細パターンを具現できる製造工程または製造技術を具備していない場合には適用が難しい。
【0098】
図5cは、複数のレンズ状を有する光モード大きさ変換器400-3を図示する。
図5cの光モード大きさ変換器400-3はそれぞれの光素子210ごとに一つのレンズが割り当てられた形態を有する。すなわち、
図5cの光モード大きさ変換器400-3は光素子ごとに一つのレンズを有する光モード大きさ変換器である。光素子ごとに一つのレンズを有する光モード大きさ変換器400-3は、単一レンズ型光モード大きさ変換器400-2の改善された形態であって、複数の光素子210が光素子整列基板100上に存在する場合に各光素子210の特性に対応してレンズの屈曲を最適化することによって、総光結合効率を上げることができる長所がある。ただし、各光素子210に対応してレンズを製作する場合、レンズの半径が単一レンズ型光モード大きさ変換器400より小さくなるため、さらに微細なパターン製作が可能な製造工程または製造技術が要求される。
【0099】
図5dは、逆テーパ導波路を含んだ光モード大きさ変換器(400-4、以下、「逆テーパ状光モード大きさ変換器」と指称する)を図示する。具体的には、光素子210に対応して、逆テーパ状光モード大きさ変換器400-4は各光素子210当たり一つの逆テーパ導波路を具備する。そして、逆テーパ状光モード大きさ変換器400-4は、光神経プローブ基板310に垂直な方向に沿って前記逆テーパ導波路の上部にテーパ状モード大きさ変換器を具備する。逆テーパ状光モード大きさ変換器400-4は光素子210で発進される光のモード大きさが垂直方向に大きい場合に光結合損失改善効果が高い。すなわち、光モードが垂直方向に大きい場合、逆テーパ導波路によってモードマッチングがなされて損失を減らしながら導波路322に結合され得る。ただし、逆テーパ状光モード大きさ変換器400-4は光素子210に近い側の導波路の幅を狭く作らなければならないので、テーパ状光モード大きさ変換器400-1に比べて製作に要求されるパターン幅の広さが小さくなる。逆テーパ状光モード大きさ変換器400-4の逆テーパ部分の狭い導波路の幅は製造工程でできる限り最小の幅に設定することが好ましい。
【0100】
光モード大きさ変換器400は
図5a~
図5dの形態以外にも多様な方式で具現され得る。
【0101】
図6は、本発明の一実施例に係る、複数の入出力を具備した光遺伝学神経プローブが、光スイッチを含んだ形態を示す例示図である。
【0102】
図6に図示された一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイス10’のプローブ300は、光スイッチ330を含む。
図6の光遺伝学神経プローブデバイス10’は前述したプローブ300に光スイッチ330がさらに含まれたものである。
図6に図示した通り、光スイッチ330は光モード大きさ変換器400と複数の導波路322の間に配置され得る。
【0103】
図6には光信号入出力ポート323が導波路322の末端に配置された実施例を図示したが、前述した通り、光信号入出力ポート323は導波路322上の任意の位置に配置され得ることは言うまでもない。すなわち、光信号入出力ポート323は導波路322の末端に配置されてもよいが、導波路322の末端以外の部分に配置されてもよい。
【0104】
一方、一つの導波路322上に単数だけでなく複数の光信号入出力ポート323が配置され得る。また、一つの探針部320に複数の導波路322が形成されてもよく、一つの導波路322のみが形成されてもよい。
【0105】
図6の実施例で、特定のプローブ300に含まれた光スイッチ330はN*(M*j)スイッチである(「*」は掛け算記号を意味する)。
図6の実施例では各探針部320ごとに同一の数(j)の光信号入出力ポート323があると前提する。ただし、本発明に係る光遺伝学神経プローブデバイス10’で探針部320ごとに異なる数の光信号入出力ポート323が存在し得ることは言うまでもない。Nは光素子グループ200の個数を意味し、Mは探針部320の個数を意味し、jは前記各探針部320に配置された、光信号入出力ポート323の個数を意味する。因みに、光素子グループ200の個数がN個であるので、光モード大きさ変換器400の個数もN個となる。
【0106】
前述した通り、N個の光素子グループ200、M個の探針部320、各探針部320ごとにj個の光信号入出力ポート323がある場合、N個の光素子グループ200とプローブ300に含まれたM*j個の光信号入出力ポート323間の連結を制御するための光スイッチ330が必要である。
図6でM*j個の光信号入出力ポート323それぞれは記号O11、...、O1j、...、OM1、...、OMjを通じて区分される。
【0107】
例えば、光遺伝学神経プローブデバイス10’が光素子グループ200で発進された光信号を光信号入出力ポート323に伝達する場合、最初の入力I1と二番目の入力I2の光信号の波長が互いに異なり得、各波長が神経細胞に及ぼす効果が異なり得る。光遺伝学神経プローブデバイス10’は光スイッチ330を通じて、各光信号を、各光信号の目標地点である光信号入出力ポート323に伝達する。すなわち、光スイッチ330は光信号のスイッチングを具現する素子である。このために、N*(M*j)光スイッチ330が集積された形態でプローブ300を製作する必要がある。例えば、光スイッチ330は位相配列(phased-array)方式、AWG(arrayed waveguide grating)方式、MZI(mach-zehnder interferometer)方式、リング共振器(ring resonator)方式、方向性カプラー(directional coupler)方式などの多様な機能素子を活用して具現され得る。
【0108】
光素子整列基板100に配置された光素子210が光信号を発生させる光源である場合、光素子210から出た光信号は光スイッチ330を通過して目標地点である光信号入出力ポート323に伝達される。
【0109】
反面、光素子210が光信号を電気信号に変換させる受光素子(光受信素子)である場合、神経細胞で発生した蛍光信号が特定光信号入出力ポート323を通じて導波路322の内部に受光され、前記蛍光信号は光スイッチ330を通じて光素子210に伝達される。
【0110】
一方、
図6に図示してはいないが、本発明の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイス10’は光スイッチ駆動回路または光素子駆動回路を含むことができる。光スイッチ駆動回路は光スイッチに電気的に連結されて、光スイッチの動作を制御する。光素子駆動回路は光素子に電気的に連結されて、光素子120の動作を制御する。光スイッチ駆動回路または光素子駆動回路は光遺伝学神経プローブデバイス10’に含まれた基板上に装着されてもよく、別途の基板上に製作されて追加で装着されてもよい。
【0111】
図6の一実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイス10’は、光スイッチ330によって、
図1aの実施例に係る光遺伝学神経プローブデバイス10で不可能であった、光素子210で発進された光信号のルーティングが可能となり、光素子210の個数を減らすことができる効果がある。
【0112】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0113】
10、10’:光遺伝学神経プローブデバイス
51:固定スペーサ
100:光素子整列基板
200:光素子グループ
210:光素子
210-1:第1光素子
210-2:第2光素子
300:光遺伝学神経プローブ
310:光神経プローブ基板
315:リセス構造
320:探針部
321:突出部
321a:探針ピーク部
322:光導波路
322a:コア部
322b:クラッド層
323:光信号入出力ポート
330:光スイッチ
400:光モード大きさ変換器
400-1:テーパ状光モード大きさ変換器
400-2:単一レンズ型光モード大きさ変換器
400-3:光素子ごとに一つのレンズを有する光モード大きさ変換器
400-4:逆テーパ状光モード大きさ変換器
500:固定用樹脂