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特開2024-177136傾斜した格子を備えた、船の横方向推進装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177136
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】傾斜した格子を備えた、船の横方向推進装置
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/42 20060101AFI20241212BHJP
   B63H 5/16 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B63H25/42 S
B63H5/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024092504
(22)【出願日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】102023000011643
(32)【優先日】2023-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】514146829
【氏名又は名称】フィンカンティエリ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【弁理士】
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(72)【発明者】
【氏名】カヴァリエーレ,ロッコ
(72)【発明者】
【氏名】カイッツィ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】マルティヌッチ,エットーレ
(72)【発明者】
【氏名】マルティーニ,ルカ
(57)【要約】
【課題】従来技術の欠点を克服することを可能にする横方向推進装置を提供すること。
【解決手段】船のための横方向推進装置であって、船体21を貫通する横方向操縦トンネル25と、トンネル壁27と、船体外面210上のトンネル入口開口28を画定する開口エッジ26とを備える。横方向推進装置は、格子表面45に入射する複数の直立材41と複数の横材42とを含む格子4を備える。格子4は、トンネル壁27に連続する内側横材端421と、内側横材端421に関して船体外面210に対してより近接した外側横材端422との間に延在する少なくとも1つの横材42を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船(2)の横方向推進装置(1)であって、
上記船(2)は、船体外面(210)を有する船体(21)を備え、上記船体外面に沿って外部水流(200)が局所的に流れ方向(S)に沿って流れるようになっており、
上記横方向推進装置は、
- 上記船体外面(210)に対して入射するように向けられたトンネル軸(X)に沿って延在するトンネル壁(27)と、上記トンネル軸(X)の周りに少なくとも部分的に延在し、上記船体外面(210)上に開いたトンネル入口開口(28)を画定する開口エッジ(26)とを含む横方向操縦トンネル(25)を備え、
上記開口エッジ(26)は、上記トンネル軸(X)に入射し、かつ上記トンネル壁(27)に連結された内側エッジ部(265)と、上記トンネル軸(X)に入射し、かつ上記船体外面(210)に接続された外側エッジ部(267)との間を、上記トンネル軸(X)に沿って延在しており、
- 上記横方向操縦トンネル(25)に付随した格子(4)であって、互いに入射する複数の横材(42)および/または複数の直立材(41)を含み、上記トンネル軸(X)および上記船体外面(210)に入射する格子表面(45)にわたって主に延在する、格子(4)を備えた、横方向推進装置において、
上記格子(4)は、
・ 上記内側エッジ部(265)に、または、上記内側エッジ部(265)に近位の上記トンネル壁(27)の一部に、機械的に連結された内側横材端(421)と、
・ 上記外側エッジ部(267)に、または、上記内側エッジ部(265)と上記外側エッジ部(267)との間に軸方向に挟まれた上記開口エッジ(26)の一部に、機械的に連結された外側横材端(422)と
の間で、上記格子表面(45)にわたって延在する少なくとも1つの横材(42)を含む
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項2】
請求項1に記載の横方向推進装置において、
上記格子表面(45)は、実質的に格子平面(45)である
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の横方向推進装置において、
上記格子(4)は、上記内側エッジ部(265)に機械的に連結された内側横材端(421)と、上記外側エッジ部(267)に機械的に連結された外側横材端(422)との間で、上記格子表面(45)にわたって延在する少なくとも1つの横材(42)を含む
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の横方向推進装置において、
全ての上記直立材(41)は、上記流れ方向(S)に対して実質的に直交するように配置されている
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の横方向推進装置において、
少なくとも1つの直立材(41)は、実質的にポリラインまたは折れた直線の形状にあり、主に格子表面(45)にわたって延在する2つの互いに異なる、入射する仮想直線(R1,R2)にわたって延在する少なくとも2つの直立材セグメント(417,419)を含む
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項6】
請求項5に記載の横方向推進装置において、
上記少なくとも1つの直立材(41)は、上記格子表面(45)にわたる上記流れ方向(S)に対して実質的に直交する少なくとも1つの直立材セグメント(418)を含む
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の横方向推進装置において、
少なくとも1つの直立材(41)は、実質的に曲線状である
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一つに記載の横方向推進装置において、
上記流れ方向(S)に沿って、上記開口エッジ(26)は、上記外部水流(200)によって最初に取り囲まれるように意図された第1エッジ部分(261)と、上記第1エッジ部分(261)と相補的である第2エッジ部分(262)とに分割され、
上記内側横材端(421)は上記第1エッジ部分(261)に機械的に連結され、
上記外側横材端(422)は上記第2エッジ部分(262)に機械的に連結されている
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項9】
請求項8に記載の横方向推進装置において、
上記第2半分領域(282)で、上記格子(4)は、上記船体外面(210)と協働して、全体として流体力学的形状を有する表面を形成し、この表面に沿って上記外部水流(200)が流れる
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一つに記載の横方向推進装置において、
上記格子(4)は、湾曲状の格子表面(45)にわたって延在し、上記船体外面(210)に対して実質的に接する外側横材端(422)を有する少なくとも1つの横材(42)を含む
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項11】
船(2)のための横方向推進装置(1)であって、
上記船(2)は、船体外面(210)を有する船体(21)を備え、上記船体外面に沿って外部水流(200)が局所的に流れ方向(S)に沿って流れるようになっており、
上記横方向推進装置は、
- 上記船体外面(210)に対して入射するように向けられたトンネル軸(X)に沿って延在するトンネル壁(27)と、上記トンネル軸(X)の周りに少なくとも部分的に延在し、上記船体外面(210)上に開いたトンネル入口開口(28)を画定する開口エッジ(26)とを含む横方向操縦トンネル(25)を備え、
上記流れ方向(S)に沿って、上記開口エッジ(26)は、上記外部水流(200)によって最初に取り囲まれるように意図された第1エッジ部分(261)と、上記第1エッジ部分(261)と相補的である第2エッジ部分(262)とに分割され、
- 上記横方向操縦トンネル(25)に付随した格子(4)であって、互いに入射する複数の横材(42)および複数の直立材(41)を含み、上記トンネル軸(X)および上記船体外面(210)に入射する格子表面(45)にわたって主に延在する、格子(4)を備え、
上記トンネル入口開口(28)は、上記第1エッジ部分(261)によって部分的に画定された第1半分領域(281)と、上記第1半分領域(281)と相補的で、上記第2エッジ部分(262)によって部分的に画定された第2半分領域(282)とに分割された、横方向推進装置において、
上記第1半分領域(281)で、上記格子(4)は、上記船体外面(210)に関して、トンネル軸(X)に沿って、上記船体外面(210)によって画定される上記船(2)の容積の内部に向かって低くされている
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一つに記載の横方向推進装置において、
上記格子(4)は、例えば、上記トンネル壁(27)および/または上記開口エッジ(26)から突出する固定用レッジ(275)に連結されたボルトねじによって、上記船体(21)が水中に浸漬された状態で、取り外し可能な態様で、上記トンネル壁(27)に機械的に連結されている
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一つに記載の横方向推進装置において、
全部又は一部のみの直立材(41)と全部又は一部のみの横材(42)とが、それらの直立材と横材との間に複数の機能的貫通窓40を画定しており、
上記外部水流(200)が上記流れ方向(S)に沿って高速で、好ましくは毎秒4メートルを超える速度で流れている状態で、上記格子(4)は、上記外部水流(200)が上記機能的貫通窓(40)を通過するのを阻止又は制限するように構成されている
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項14】
請求項13に記載の横方向推進装置において、
上記機能的貫通窓(40)は、上記流れ方向(S)に入射する方向又は実質的に直交する方向に、主寸法を有する
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項15】
請求項14に記載の横方向推進装置において、
或る機能的貫通窓(40)を画定する2つの連続する直立材(41)の間の上記流れ方向(S)に沿った直立材距離(d)は、150ミリメートルと250ミリメートルの間、好ましくは180ミリメートルと220ミリメートルの間である
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項16】
請求項13から15までのいずれか一つに記載の横方向推進装置において、
上記機能的貫通窓(40)は、上記機能的貫通窓(40)で、および/または、上記機能的貫通窓(40)に近接する上記横方向操縦トンネル(25)の内部で、水を低速に、好ましくは毎秒2.5メートル未満の速度に保つように構成されている
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか一つに記載の横方向推進装置において、
非作動構成で、上記横方向操縦トンネル(25)が少なくとも部分的に水で満たされ、上記外部水流(200)が上記流れ方向(S)に沿って高速で、好ましくは毎秒4メートルを超える速度で流れている状態で、上記機能的貫通窓(40)は、互いに協働し、上記横方向操縦トンネル(25)内で水を上記トンネル軸(X)に沿って低速に、好ましくは毎秒2.5メートル未満の速度に保つように構成されている
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【請求項18】
船(2)のための横方向推進装置(1)であって、
上記船(2)は、船体外面(210)を有する船体(21)を備え、上記船体外面に沿って外部水流(200)が局所的に流れ方向(S)に沿って流れるようになっており、
上記横方向推進装置は、
- 上記船体外面(210)に対して入射するように向けられたトンネル軸(X)に沿って延在するトンネル壁(27)と、上記トンネル軸(X)の周りに少なくとも部分的に延在し、上記船体外面(210)上に開いたトンネル入口開口(28)を画定する開口エッジ(26)とを含む横方向操縦トンネル(25)を備え、
上記開口エッジ(26)は、上記船体外面(210)と上記トンネル壁(27)との間で、実質的にストレートのコーナを形成するか、またはフレア状の広がりを含んでおり、
上記開口エッジ(26)は、上記船体外面(210)と面一の第1エッジ部(273)と、上記横方向操縦トンネル(25)の内側で、上記トンネル軸(X)に沿って、上記第1エッジ部(273)から400ミリメートルと600ミリメートルの間の量だけ離間した第2エッジ部(270)との間に延在しており、
- 上記横方向操縦トンネル(25)に付随した格子(4)であって、互いに入射する複数の横材(42)および/または複数の直立材(41)を含み、上記トンネル軸(X)および上記船体外面(210)に入射する格子表面(45)にわたって主に延在する、格子(4)を備えた、横方向推進装置において、
上記格子(4)は、
・ 上記第2エッジ部(270)に、または、上記第2エッジ部(270)に近位の上記トンネル壁(27)の一部に、機械的に連結された内側横材端(421)と、
・ 上記第1エッジ部(273)に、または、上記第1エッジ部(273)と上記第2エッジ部(270)との間に軸方向に挟まれた上記開口エッジ(26)の一部に、機械的に連結された外側横材端(422)と
の間で、上記格子表面(45)にわたって延在する少なくとも1つの横材(42)を含む
ことを特徴とする、横方向推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船の横方向推進装置に関する。
【0002】
好ましくは、本発明は、コンテナ船やクルーズ船などの大型船を対象にしている。
【背景技術】
【0003】
船舶操縦の分野では、狭い空間で低速で接岸および離岸の操縦を行うために、船舶の垂直縦断面または直径面に対して横に向いた回転軸を有する操縦プロペラを備えた特別な横方向推進装置が不可欠であることが知られている。
【0004】
横方向推進装置を起こり得る衝撃から保護するために、操縦プロペラが収容されている船体に横向きの操縦トンネルの入口開口に、格子を取り付けることが知られている。
【0005】
さらに、航行中の乱流現象を低減するために、通常、横方向操縦トンネルの開口に配置された可動扉(複数)を有する特別な閉鎖装置を含むことが知られている。扉は、それらの扉が操縦トンネル内の水流を許容する開放位置と、それらの扉がトンネル入口開口を完全に閉鎖し、船体外面を実質的に復元する閉鎖位置との間で移動可能である。
【0006】
特に、横方向操縦トンネルの口に連結された複数のヒンジに据え付けられた扉が知られている。これらの解決策の例は、CN205819525、CN105329405、CN102381439、CN109094715、WO2019/220152及びGB782628に記載されている。さらなる実施形態例は、出願人のために、国際出願WO2022079655A1、WO2022079651A1およびWO2022079652A1に記載されている。横方向操縦トンネルの口に保護用格子を含む操縦横方向トンネル閉鎖装置は、当該分野で知られている。これらの解決策の例は、EP2923942A1、KR20140036409A、US10988220B2およびCN111516842Bに記載されている。
【発明の概要】
【0007】
このような横方向操縦トンネル閉鎖装置には、海軍分野の設計者に知られている多くの危険な側面がある。
【0008】
主な課題は、航行中、扉と船体外面との間の形状の不連続性による乱流を最小化することを目的とし、同時に開放位置、すなわち横方向推進装置の作動中の嵩(かさ)を最小化することを目的とする、扉の流体力学的形状の設計を含んでいる。
【0009】
同時に、横方向操縦トンネル閉鎖装置は構造が複雑であり、船舶全体の重量を増加させる一因となっている。
【0010】
さらに、横方向操縦トンネル閉鎖装置は、例えば水の波動により船体(一般に船首)が水中に急激に突入するスラム現象による潜在的な損傷効果を最小化するように設計されなければならない。特に高速の場合、このようなスラム現象は横方向操縦トンネルに高い圧力勾配を発生させ、船のメッキや接続部に損傷を与えたり、ドアや横方向推進装置の作動を損なったりする可能性がある。
【0011】
そのような重要な側面と関連する問題は、設計者を相反する技術的解決策に向かわせる。一方では、船体の流体力学的形状をよりよく再構成するために、横方向操縦トンネル入口開口を完全に閉鎖する方向に向かわせ、他方では、船体を単純化して軽量化し、操縦トンネルの内側と外側との間の急激な圧力勾配をなくすために、トンネル入口開口を完全に開放する方向に向かわせる。
【0012】
本発明の目的は、従来技術の解決策で強調された欠点を克服することを可能にする横方向推進装置を作ることである。
【0013】
本発明の目的は、横方向操縦トンネル入口開口の近傍で船体の外部に沿う主に層流の水流を少なくとも部分的に維持しながら、航行中に低い抗力と乱流を発生させることの間の妥協を達成し、同時に船体の全体的な軽量化と構造的複雑さの低減を最大化する横方向推進装置を提供することである。
【0014】
具体的には、本発明の目的の一つは、極めて少ない部品点数を有する構造的に単純な横方向推進装置を作ることである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、極めて制限された重量を有する横方向推進装置を提供することである。
【0016】
さらなる目的は、設置および保守作業を簡素化できる横方向推進装置を提供することである。
【0017】
さらに、本発明の目的は、典型的には船体のスラム現象に起因する、横方向操縦トンネルの内側と外側との間の高い圧力勾配の形成を阻止または減衰させることである。
【0018】
これらおよび他の目的は、請求項1に記載の船の横方向推進装置によって達成される。従属請求項は、一連の有利な技術的効果を含む好ましい実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の特徴および利点は、以下の説明、その好ましい実施例および添付の図から明らかになるだろう。図において、
図1】本発明の一実施形態による、複数の操縦トンネルと、各操縦トンネルに付随した閉鎖装置とを有する船体の細部を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による、船体に作られた複数の操縦トンネルと、或る操縦トンネルに付随した閉鎖装置とを有する船の前部を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による、横方向操縦トンネルでの船体の断面図である。
図4】本発明の一実施形態による、外側の流れ方向に沿って並べられた、2つの横方向操縦トンネルのための一対の格子の正面図である。
図5】本発明の第1の実施形態による横方向操縦トンネルの格子を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態による横方向操縦トンネルの格子を示す図である。
図7】本発明の第3の実施形態による横方向操縦トンネルの格子を示す図である。
図8図5の格子の斜視図である。
図9図5の実施形態による、船体のトンネル入口開口の近傍での、実質的に鉛直な断面における船体の断面図である。
図10図5の実施形態による、船体の横方向操縦トンネルでの、実質的に水平な断面における船体の断面図である
図11図6の格子の斜視図である。
図12図7の格子の斜視図である。
図13】本発明の第4の実施形態による、横方向操縦トンネルの格子を示す図である。
図14図13の実施形態による、横方向操縦トンネルでの、実質的に水平な断面での船体の断面図である。
図15】本発明の第5の実施形態による、横方向操縦トンネルの格子の斜視図である。
図16図15の実施形態による、横方向操縦トンネルの格子を示す図である。
図17図15の実施形態による、トンネル入口開口の近傍での、実質的に鉛直な断面における船体の断面図である。
図18図15の実施形態による、横方向操縦トンネルでの、実質的に水平な断面における船体の断面図である。
図19】本発明の第6の実施形態による、横方向操縦トンネルの格子を示す図である。
図20図19の実施形態による、横方向操縦トンネルでの、実質的に水平な断面における船体の断面図である。
図21】開口エッジの第1の実施形態による、上記開口エッジが接合された、横方向操縦トンネルでの、実質的に水平な断面における船体の断面図である。
図22】開口エッジの第2の実施形態による、上記開口エッジが角度付けされた、横方向操縦トンネルでの、実質的に水平な断面における船体の断面図である。
図23】開口エッジの第3の実施形態による、上記開口エッジが円錐形の広がりを含む、横方向操縦トンネルでの、実質的に水平な断面における船体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図を参照すると、参照番号1は、全体として、船のための横方向推進装置を示している。参照番号2は、全体として船を示している。
【0021】
船2は船体21を備え、船体21は船体外面210を備えている。航行中、外部水流200は、局所的に船体外面210に沿って、流れ方向Sに沿って流れる。
【0022】
一実施形態では、船2は横方向推進装置を備える。
【0023】
一般に、船2は、船体外面210に沿って、特に流れ方向Sに沿って外部水流200を導くように構成された、前方に突出する球根状の船首29を備えている。流れ方向Sは、典型的には、主に船のキールに沿って延在する水平な底面に関して、5度から60度の範囲内の流れ角度だけ傾斜している。
【0024】
航行速度での船の前進および操船の条件下では、外部水流200は船体外面210に沿って高速で流れる。
【0025】
航行速度は、10ノットから25ノットの間に含まれる船の航海速度として意図されており、好ましくは約18ノットに等しい。
【0026】
高い外部水流速度とは、毎秒4メートルに近いかそれ以上、好ましくは毎秒5メートル以上、例えば毎秒7メートルから10メートルの間に含まれる速度と定義される。逆に、低い外部水流速度は、毎秒2.5メートルに近いかそれ以下、例えば毎秒1メートルに略等しい速度として意図されている。
【0027】
横方向推進装置は、船体内で横方向に延在し、好ましくは、船体の両方の長手方向サイドに開口した横方向操縦トンネル25を備えている。
【0028】
一実施形態では、横方向推進装置は、少なくとも1つの操縦プロペラを備えている。その操縦プロペラは、横方向操縦トンネル25内に収容され、作動中の横方向推進装置構成で、トンネル入口開口28を通して、横方向操縦トンネル25の内部から外部へ、水を移動させるように構成されている。
【0029】
横方向推進装置の非作動構成では、操縦プロペラは静止している。
【0030】
別の実施形態では、横方向推進装置は、操縦プロペラを欠いている。一実施形態では、横方向操縦トンネルは、反吸引タイプのものであり、例えば、直径が約1.5メートルに等しく、他の横方向操縦トンネルの操縦プロペラによって発生する反対側の水流を減衰又は阻止するために、船の2つの長手方向サイドを流体的に接続するように構成されている。
【0031】
横方向操縦トンネル25は、トンネル壁27を備え、そのトンネル壁は、船体21の内部で横方向操縦トンネル25を周辺で画定している。
【0032】
横方向操縦トンネル25は、船体外面210に入射するように向けられたトンネル軸Xを含み、例えば、これに沿ってトンネル壁27が主に延在している。本明細書で、入射とは、交差すること、または、交差する方向に向けられていることを指す。
【0033】
横方向操縦トンネル25は、開口エッジ26を備え、その開口エッジ26は、トンネル軸Xの周りに少なくとも部分的に延在し、船体外面210上に開口したトンネル入口開口28を画定している。
【0034】
具体的には、トンネル入口開口28は、開口エッジ26(複数)の間の船体外面210の突起上に配置される。
【0035】
一実施形態では、開口エッジ26は、100ミリメートルと500ミリメートルとの間、好ましくは200ミリメートルと400ミリメートルとの間に含まれた接続半径を有してトンネル壁27に接続される。
【0036】
一実施形態では、開口エッジは、横方向操縦トンネルの下流に、流れ方向に沿って配置され、外部水流を促進する目的を有する、著しくフレア状に広がった船尾部を含む。
【0037】
好ましくは、横方向操縦トンネル25は、トンネル入口開口28の反対側に、例えばトンネル軸Xに沿って反対側に、トンネル出口開口を画定する第2開口エッジをさらに備える。
【0038】
流れ方向Sに沿って、開口エッジ26は、第1エッジ部分261と、第1エッジ部分261と相補的な第2エッジ部分262とに分割され、両者は、トンネル軸Xの周りの延長部、例えば、実質的に円形または楕円形または楕円形の延長部を有する。
【0039】
流れ方向Sに沿って、第1エッジ部分261は、外部水流200によって最初に取り囲まれる運命にある。
【0040】
言い換えれば、流れ方向Sに沿って、外部水流200は、最初に第1エッジ部分261に遭遇し、続いて第2エッジ部分262に遭遇する。
【0041】
さらに言い換えれば、第1エッジ部分261は、実質的に、少なくとも部分的に、船首に向かって、流れ方向Sに従ってトンネル軸Xの周りに延在している。
【0042】
さらに言い換えれば、開口エッジ26は、第1エッジ部分261と第2エッジ部分262とから構成されている。
【0043】
同様に、トンネル入口開口28は、第1エッジ部分261によって部分的に画定された第1半分領域281と、第1半分領域281と相補的で、第2エッジ部分262によって部分的に画定された第2半分領域282とに分割される。
【0044】
言い換えれば、流れ方向Sに沿って、外部水流200は第1半分領域281に遭遇し、その後に第2半分領域282に遭遇する。
【0045】
さらに言い換えれば、トンネル入口開口28は、第1半分領域281と第2半分領域282とから構成されている。
【0046】
開口エッジ26は、トンネル壁27に連結された内側エッジ部265と船体外面210に連結された外側エッジ部267との間をトンネル軸Xに沿って延在している。
【0047】
一実施形態では、開口エッジ26は、内側エッジ部265と外側エッジ部267との間にトンネル軸Xに沿って設けられた中央エッジ部266を含んでいる。
【0048】
一実施形態では、開口エッジ26は、実質的にコーナの形状、例えば実質的に直角の形状を有する(図22)。
【0049】
一実施形態では、開口エッジ26はフレア状に広がっており、好ましくはフレア部を含む(図23)。
【0050】
一実施形態では、開口エッジ26は、船体外面210と面一の第1エッジ部273と、横方向操縦トンネル25の内側で、トンネル軸Xに沿って、第1エッジ部273から400ミリメートルと600ミリメートルとの間に含まれた高さだけ離間した第2エッジ部270との間に延在している。
【0051】
横方向推進装置は、横方向操縦トンネル25に付随した格子4を備えている。
【0052】
一実施形態では、格子4は開口エッジ26に固定されている。
【0053】
一実施形態では、格子4は、開口エッジ26に、取り外し可能な態様で、例えばボルトねじによって、固定されている。
【0054】
一実施形態では、格子4は、トンネル入口開口28全体に関して延在している。
【0055】
一実施形態では、格子4は、第1エッジ部分261と第2エッジ部分262とに係合する。
【0056】
格子4は、複数の直立材41と、直立材41に入射するように向けられた複数の横材42とを含んでいる。
【0057】
横材42と直立材41との交差が、全体として格子4を構成している。
【0058】
一実施形態では、直立材41の少なくとも一部又は全部は、流れ方向Sに対して実質的に直交する方向に向けられる。
【0059】
一実施形態では、格子4は70ミリメートルより大きい厚さ、すなわちトンネル軸Xに沿った直立材41と横材42の寸法を有する。好ましくは、格子4の厚さは80ミリメートルと130ミリメートルの間に含まれる。
【0060】
一実施形態では、格子4は、船体外面210と協働して、全体として流体力学的形状の表面を形成する。その流体力学的形状の表面に沿って、外部水流200が流れる。
【0061】
特に、格子4は、トンネル入口開口28の第2半分領域282において船体外面210と協働する。
【0062】
一実施形態では、格子4は、格子表面45が、外側横材端422の近傍で又は外側横材端422で、船体外面210に実質的に接するように配置される。
【0063】
一実施形態では、格子4は、格子表面45が、第2エッジ部分262で又はその近傍で、船体外面210に実質的に接するように配置される。
【0064】
一実施形態では、格子4は湾曲した格子表面45上に延在している。
【0065】
一実施形態では、格子4は、横方向操縦トンネル25に関して凸である湾曲した格子表面45上に延在している。
【0066】
一実施形態では、全部又は一部のみの直立材41と全部又は一部のみの横材42とが交差し、それらの直立材と横材との間に複数の機能的貫通窓40を画定している。
【0067】
一実施形態では、全部又は一部のみの機能的貫通窓40について、機能的貫通窓40を画定する2つの連続する直立材41間の流れ方向Sに沿った直立材距離dは、150ミリメートルと250ミリメートルとの間に含まれる。
【0068】
一実施形態では、直立材距離dは180ミリメートルと220ミリメートルの間に含まれる。
【0069】
一実施形態では、全部又は一部のみの機能的貫通窓40について、機能的貫通窓40を画定する2つの横材42間の距離は、300ミリメートルと500ミリメートルの間に含まれ、例えば400ミリメートルに等しい。
【0070】
一実施形態では、全部又は一部のみの機能的貫通窓40は、流れ方向Sに入射する方向又は実質的に流れ方向Sに直交する方向に沿って、主寸法を有する。
【0071】
一実施形態では、全部又は一部の機能的貫通窓40は、実質的に長方形の形状を有し、その長方形の長辺が流れ方向Sに対して実質的に直交する方向に向けられた状態にある。
【0072】
一実施形態では、全部又は一部のみの機能的貫通窓40は、基本的に長方形の形状であり、その長方形の長辺は、その長方形の短辺の約2倍に等しい。
【0073】
一実施形態では、横方向操縦トンネル25が少なくとも部分的に水で満たされ、外部水流200が流れ方向Sに沿って高速で、好ましくは毎秒4メートルを超える速度で流れている状態で、横方向推進装置は、横方向操縦トンネル25内で水をトンネル軸Xに沿って低速に、好ましくは毎秒2.5メートル未満の速度に保つように構成されている。
【0074】
一実施形態では、外部水流200が高速で、好ましくは毎秒4メートルを超える速度で流れ方向Sに沿って流れている状態で、機能的貫通窓40は、互いに協働し、流れ方向Sに沿って外部水流200を促す低摩擦の流体力学的表面を形成するように構成されている。
【0075】
一実施形態では、外部水流200が流れ方向Sに沿って高速で、好ましくは毎秒4メートルを超える速度で流れている状態で、機能的貫通窓40は、互いに協働し、機能的貫通窓40を横断する外部水流200を横方向操縦トンネル25の内側に向かって制限又は阻止するように構成されている。
【0076】
一実施形態では、外部水流200が流れ方向Sに沿って高速で、好ましくは毎秒4メートルを超える速度で流れている状態で、機能的貫通窓40は、前記機能的貫通窓40および/または前記機能的貫通窓40近傍の横方向操縦トンネル25内部において、水を低速に、好ましくは毎秒2.5メートル未満の速度に保つように構成されている。
【0077】
一実施形態では、トンネル入口開口28は、入口平面P上のトンネル軸Xの周りに延在する仮想の入口円周に近似され得、それは入口領域Aを画定する。
【0078】
一実施形態では、各機能的貫通窓40は、格子表面45上に機能領域Afを有する。
【0079】
一実施形態では、機能領域Afと入口領域Aとの間の機能比Af/Aは、0.05%と3%との間に含まれている。
【0080】
好ましくは、機能比Af/Aは1%と2.5%との間に含まれ、例えば約1.7%に等しい。
【0081】
一実施形態では、直立材41は、流れ方向Sに沿って縮小されたサイズを有する。換言すれば、流れ方向Sに関して、直立材は薄い。
【0082】
一実施形態では、格子4は格子表面45を備え、その格子表面に沿って直立材41および横材42が配置される。
【0083】
格子表面45は、トンネル軸Xに入射する。
【0084】
格子表面45は、船体外面210に入射する。
【0085】
格子表面45は、船体に沿い、かつ流れ方向Sに沿った横方向操縦トンネルの位置によって特定される、空間内で少なくとも部分的に湾曲している仮想表面である。
【0086】
一実施形態では、格子表面45は、実質的に格子平面45である。
【0087】
一実施形態では、格子表面45は、船体外面210に関して傾斜しており、5度と20度との間、好ましくは7度と12度との間に含まれた格子角αを形成する。
【0088】
一実施形態では、格子角αは、流れ方向Sに関して凸である、すなわち、流れ方向Sに面している。
【0089】
一実施形態では、格子表面45は、トンネル軸Xに関して、70度と85度との間、好ましくは78度と83度との間に含まれた内角δだけ傾斜している。
【0090】
好ましくは、内角δは、格子角αに対して相補的である。
【0091】
好ましくは、トンネル壁27は、横方向操縦トンネル25内に突出する、例えばトンネル壁又は開口エッジから突出する複数の固定用レッジ275を備えている。それらの固定用レッジは、少なくとも1つの直立材41及び/又は横材42に、例えばボルトねじによって、または形状結合若しくは力結合によって、機械的に係合するように構成されている。
【0092】
一実施形態では、格子平面45上で、流れ方向Sに沿って、格子4は、内側エッジ部265に機械的に連結された少なくとも1つの直立材41と、中央エッジ部266に機械的に連結された少なくとも1つの直立材41と、外側エッジ部267に機械的に連結された少なくとも1つの直立材41とを備える。
【0093】
一実施形態では、直立材41は、トンネル入口開口28に関して、第1直立材端411の間、および、第2直立材端412の間を延在している。
【0094】
格子4は、格子表面45、例えば格子平面45上で、内側横材端421と反対側の外側横材端422との間に延在する横材42を含んでいる。
【0095】
好ましくは、内側横材端421はトンネル壁27に連続している。
【0096】
内側横材端421は、内側エッジ部265に、または、内側エッジ部265近傍のトンネル壁27に、機械的に連結されている。
【0097】
外側横材端422は、外側エッジ部267に、または、内側エッジ部265と外側エッジ部267との間の開口エッジ26の一部に、機械的に連結されている。
【0098】
一実施形態では、内側横材端421は、内側エッジ部265に機械的に連結されている。
【0099】
一実施形態では、外側横材端422は、外側エッジ部267に機械的に連結されている。
【0100】
一実施形態では、内側横材端421は、上記開口エッジの第1エッジ部分261に機械的に連結されている。
【0101】
一実施形態では、外側横材端422は、上記開口エッジの第2エッジ部分262に機械的に連結されている。
【0102】
一実施形態、例えば図8の実施形態では、全ての直立材41は、流れ方向Sに対して実質的に直交するように配置されている。
【0103】
格子4は、少なくとも1つの横材42を備え、これらの横材は、内側エッジ部265に機械的に連結された内側横材端421と、外側エッジ部267に機械的に連結された外側横材端422との間の、格子表面45、例えば格子平面45上に延在している。
【0104】
一実施形態では、格子4は、外側横材端422が船体外面210に対して近位の位置にあり、内側横材端421が船体外面210に対して遠位の位置にあるように配置される。
【0105】
一実施形態では、格子4は、外側横材端422が、内側横材端421の位置に関して、船体外面210に対してより近位の位置にあるように配置される。
【0106】
一実施形態では、第1半分領域281で、トンネル軸Xに沿って、格子4は船体外面210に関して低くされている。
【0107】
一実施形態では、少なくとも1つの直立材41は、実質的にポリライン又は折れた直線の形状である。
【0108】
好ましくは、上記少なくとも1つの直立材41は、主に格子表面45にわたって延在する2つの互いに異なる、入射する仮想直線R1,R2にわたって延在する少なくとも2つの直立材セグメント417,419を含んでいる。
【0109】
一実施形態では、上記少なくとも1つの直立材41は、流れ方向Sに関して凸である直立材角β1,β2だけ傾斜した少なくとも1つの直立材セグメント417,419を含んでいる。
【0110】
一実施形態では、直立材角β1,β2は90°未満である。
【0111】
一実施形態では、直立角β1,β2は、15度と60度との間に含まれ、例えば、約45度に等しい。
【0112】
一実施形態では、前記少なくとも1つの直立材41は、格子表面45上の流れ方向Sに関して実質的に直交する少なくとも1つの直立材セグメント418を含んでいる。
【0113】
一実施形態では、全ての直立材41は、実質的にポリライン又は折れた直線の形状にあり、各直立材41は、格子表面45上の流れ方向Sに実質的に直交する中央の直立材セグメント418と、中央の直立材セグメント418の両端に連続して配置された2つの傾斜した直立材セグメント417,419とを含んでいる。
【0114】
一実施形態では、少なくとも1つの直立材41は、実質的に湾曲した形状を有する。
【0115】
一実施形態では、少なくとも1つの直立材41は、実質的に円周状の円弧の形状を有する。
【0116】
一実施形態では、上記円周状の円弧は、流れ方向Sに関して凸状である。
【0117】
一実施形態では、例えば図14に例示するように、格子4は横方向操縦トンネル25内に収容され、少なくとも1つの横材を含んでいる。好ましくは、全ての横材は、開口エッジ26の内側エッジ部265の近傍で、トンネル壁27に機械的に連結された内側横材端421および外側横材端422を有する。
【0118】
一実施形態では、例えば図16図17及び図18に示すように、格子4は、トンネル壁27、好ましくは開口エッジ26の内側エッジ部265近傍に機械的に連結された第1直立材端411を有する、少なくとも1つの直立材、好ましくは全ての直立材を含んでいる。
【0119】
特に、第1直立材端411は、上記少なくとも1つの直立材41の下端である。
【0120】
さらに、少なくとも1つの直立材、好ましくはすべての直立材は、内側エッジ部265の遠位位置でトンネル壁27に機械的に連結された第2直立材端412を有する。
【0121】
特に、第2直立材端412は、上記少なくとも1つの直立材41の上端である。
【0122】
一実施形態では、例えば図16、17、18に示すように、格子表面45はトンネル壁27に入射し、トンネル軸Xに直交する。
【0123】
一実施形態では、横方向操縦トンネル25は、トンネル軸Xに入射する入口平面Pを有し、トンネル入口開口28は、入口平面P上に入口領域Aを有する。
【0124】
一実施形態では、入口平面Pはトンネル軸Xに対して直交する。
【0125】
一実施形態では、入口平面Pは、開口エッジ26を実質的に通過している。
【0126】
一実施形態では、第1エッジ部分261は、180度未満、好ましくは150度未満、さらに好ましくは140度未満の角度によって挟まれる仮想入口円の円周状の円弧に対応する。
【0127】
一実施形態では、第1エッジ部分261は、100度から140度の間、好ましくは120度から130度の間に含まれた角度によって挟まれた仮想入口円の円周状の円弧に対応する。
【0128】
一実施形態では、流れ方向Sは、第1エッジ部分261に対応する円周状の円弧を挟む角度に対して実質的に二等分している。
【0129】
一実施形態では、船2は、200mを超える全長、例えば250mに等しい全長を有する。
【0130】
一実施形態では、横方向操縦トンネル25は、トンネル壁27間の内径が2.0メートルと2.8メートルとの間に含まれ、好ましくは2.1メートルと2.5メートルとの間に含まれ、例えば2.2メートルである。
【0131】
革新的に、本発明の対象である横方向推進装置は、船体構造を単純化し、重量を低減し、設計、設置および保守作業を容易にすることによって、その意図された目的を果たし、従来技術の典型的な問題を克服する。
【0132】
有利なことに、上記横方向推進装置は、横方向操縦トンネルを保護しながら、船体のスラムによる潜在的に損傷を与える影響を最小限に抑える。
【0133】
有利なことに、上記横方向推進装置は、構造の単純化と船体外面に沿った不要な乱流現象の最小化との間の高い妥協点を達成する。有利なことに、上記横方向推進装置は、乱流抵抗が船の効率に大きく影響する高い航行速度、好ましくは9ノットまたは10ノット以上の航行速度において、低い乱流を発生させる。
【0134】
有利なことに、外部水流は、トンネル入口開口に沿って、流れ方向に沿って実質的に一定な態様で流れる。
【0135】
有利なことに、上記格子は、先行技術の横方向推進装置で通常使用される格子に関して高密度であり、すなわち、直立材の数が実質的に2倍または3倍であり、乱流の発生を低減する。
【0136】
有利なことに、上記格子は、先行技術の横方向推進装置で通常使用される格子に関して厚い、トンネル軸に沿った寸法を有する。これは、機能的貫通窓の横断を阻止又は制限することに寄与する。
【0137】
有利なことに、上記格子は、作動中の横方向推進装置で、トンネル入口開口を通る水の通過を可能にする。
【0138】
有利なことに、上記格子は、トンネル入口開口の絞り効果を最小にすることと、外部水流を流れ方向に沿って高速で搬送する効果を最大にすることとの間の妥協を達成する。
【0139】
有利なことに、上記格子は、船体が水と衝突することによる上記横方向操縦トンネルの内部と外部との間の急激な圧力勾配を可能にする。
【0140】
有利なことに、上記直立材は、流れ方向に沿った外部水流に対して低減された摩擦を発生させる。
【0141】
有利なことに、上記格子では、上記直立材が外部水流に面する減少した表面積を有するので、外部水流は主に機能的貫通窓に遭遇し、従って、外部水流は、上記機能的貫通窓に存在する水の上を低い摩擦係数で摺動する。
【0142】
有利なことに、高速の外部水流では、上記機能的貫通窓がトンネル入口開口の閉鎖機能を実現する。
【0143】
有利なことに、上記格子は、外部水流の運動学的慣性を利用して、水を横方向操縦トンネルの外側に、流れ方向に沿って導き、上記機能的貫通窓における横断を最小にするか、または無くす。
【0144】
有利なことに、上記横方向推進装置の構造の複雑さが低減される。
【0145】
有利なことに、上記格子は取り外し可能な態様で連結されているため、船舶を乾ドックする必要がなくなる。
【0146】
有利なことに、上記格子は、点検や保守作業のために操縦トンネルの内部にアクセスするために、取り外され得る。
【0147】
有利なことに、上記格子は、上記開口エッジの異なる実施形態に適合可能である。
【0148】
有利なことに、折れた直線形状を有する直立材を備えた格子で、傾斜した直立材セグメントは、トンネル入口開口の中心から開口エッジに向かって、すなわちトンネル軸Xに関して遠心方向に、外部水流を促す。有利なことに、上記傾斜した直立材セグメントは、上記横方向操縦トンネル内への水の流入を阻止又は制限すること、すなわち、上記流れ方向に沿って外部水流を促すことに寄与する。
【0149】
有利なことに、円周状の円弧の形状にある凸状の直立材を有する格子の実施形態では、曲率半径は、トンネル入口開口の中心から開口エッジに向かって、すなわちトンネル軸Xに関して遠心方向に、外部水流を促す。有利なことに、円周状の円弧の形状にある直立材は、上記横方向操縦トンネル内への水の流入を阻止又は制限する。
【0150】
当業者であれば、以下の特許請求の範囲によって規定された保護範囲に含まれる全ての不測の要件を満たすように、上述した本発明に修正を加えることができることは明らかである。
【0151】
例えば、当業者であれば、実質的に上述のような格子であって、直立材のみ又は横材のみを含む横方向推進装置を作ることができる。しかしながら、このような等価な解決策は、上記格子が非常に望ましくない振動および共振現象を受けることになるため、好ましくない解決策である。
【符号の説明】
【0152】
1 横方向推進装置
2 船
21船体
200 外部水流
210 船体外面
25 横方向操縦トンネル
26 開口エッジ
261 第1エッジ部分
262 第2エッジ部分
265 内側エッジ部
266 中央エッジ部
267 外側エッジ部
27 トンネル壁
270 第2エッジ部
273 第1エッジ部
275 固定用レッジ
28 トンネル入口開口
281 第1半分領域
282 第2半分領域
4 格子
40 機能的貫通窓
41 直立材
411 第1直立材端
412 第2直立材端
417 直立材セグメント(傾斜)
418 直立材セグメント(中央)
419 直立材セグメント(傾斜)
42 横材
421 内側横材端
422 外側横材端
A 入口領域
d 直立材距離
P 入口平面
S 流れ方向
X トンネル軸
α 格子角
δ 内角
β 直立材角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【外国語明細書】