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特開2024-177137ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177137
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材
(51)【国際特許分類】
   A01G 24/25 20180101AFI20241212BHJP
   A01G 24/23 20180101ALI20241212BHJP
   A01G 24/30 20180101ALI20241212BHJP
   A01G 24/44 20180101ALI20241212BHJP
【FI】
A01G24/25
A01G24/23
A01G24/30
A01G24/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092540
(22)【出願日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2023095636
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】宮内 望
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AA03
2B022AB17
2B022BA07
2B022BA12
2B022BA23
2B022BB02
(57)【要約】
【課題】本発明は、カビや藻を長期間抑制することができ、かつ使用後に容易に植物保持部材と分別することができるハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材は、活性炭を含む成形体を有するものである。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭を含む成形体を有する、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材。
【請求項2】
前記成形体は、シート状成形体である、請求項1に記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材。
【請求項3】
前記シート状成形体は、繊維状活性炭を含有する繊維状活性炭含有不織布である、請求項2に記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材。
【請求項4】
容器及び/又は植物保持部材と、請求項1~3のいずれかに記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材とを含む、ハイドロカルチャー用植物育成キット。
【請求項5】
容器と、植物と、植物保持部材と、請求項1~3のいずれかに記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材とを含む、観賞植物。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材を、容器内に設ける、ハイドロカルチャーの防カビ又は防藻方法。
【請求項7】
容器内に、植物と、植物保持部材と、請求項1~3のいずれかに記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材と、を有する観賞植物中の植物保持部材の再利用方法であって、植物と植物保持部材と前記ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材とを分別する工程、及び分別した植物保持部材を洗浄する工程を含む、植物保持部材の再利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カビ又は藻の繁殖を抑制するハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、容器にハイドロボール等の植物保持部材を入れ、室内又は室外(例えば、バルコニー、ベランダ、テラスなど)で植物(例えば、観葉植物など)を育成するハイドロカルチャーが人気である。
【0003】
ハイドロカルチャーは、インテリア用又はエクステリア用として、見た目の美しさや清潔感が要求されるため、透明又は半透明のガラス容器が用いられることが多い。
【0004】
しかし、ハイドロカルチャーに用いられるガラス容器は、通常、その底部に水等を排出するための孔を有していないため、水、栄養剤、及び植物からの老廃物等が底部に溜まりやすく、しかも、ガラス容器内の植物保持部材等は、湿度が高い環境や日光が当たる環境に長期間曝されるため、植物の育成中に、植物保持部材やガラス容器の底及び底部内壁面にカビや藻、特に藻が繁殖して付着し、その結果、美観や衛生が損なわれたり、植物の根腐れが起こるという問題があった。
【0005】
従来より、ガラス容器の底部に溜まった老廃物等を吸着するために、イオン交換樹脂、シリカ、及びゼオライト等の吸着材をガラス容器の底部に設けることが推奨されているが、これらの吸着材は、カビや藻の繁殖を長期間抑制することができないため、頻繁に交換する必要があり、また、粒子状であるため取り扱い性が悪く、さらに、ガラス容器の底部に固着しやすいため、メンテナンスに手間と時間がかかるという問題がある。
【0006】
一方、特許文献1では、水栽培に用いられる培養液の変質腐敗防止のための、珪酸白土の塊状体を主剤とする清浄剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭50-9697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の珪酸白土をガラス容器の底部に長期間設けると、珪酸白土が水に溶解して粉々に崩れるため美観が損なわれると共に、溶解した微細な珪酸白土がハイドロボール等の植物保持部材中に分散して、植物保持部材を再利用する際に両者を分別することが困難になったり、溶解した珪酸白土がガラス容器の底部に固着しやすいためメンテナンスに手間と時間がかかるという問題があった。
【0009】
本発明は、カビや藻を長期間抑制することができ、かつ使用後に容易に植物保持部材と分別することができるハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、活性炭を含む成形体は、ハイドロカルチャーにおいて、カビや藻の繁殖を長期間抑制することができ、しかも長期間使用してもその形態が変化し難いため、使用後に容易に植物保持部材と分別することができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0011】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.活性炭を含む成形体を有する、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材。
項2.前記成形体は、シート状成形体である、項1に記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材。
項3.前記シート状成形体は、繊維状活性炭を含有する繊維状活性炭含有不織布である、項2に記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材。
項4.容器及び/又は植物保持部材と、項1~3のいずれかに記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材とを含む、ハイドロカルチャー用植物育成キット。
項5.容器と、植物と、植物保持部材と、項1~3のいずれかに記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材とを含む、観賞植物。
項6.項1~3のいずれかに記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材を、容器内に設ける、ハイドロカルチャーの防カビ又は防藻方法。
項7.容器内に、植物と、植物保持部材と、項1~3のいずれかに記載のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材と、を有する観賞植物中の植物保持部材の再利用方法であって、植物と植物保持部材と前記ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材とを分別する工程、及び分別した植物保持部材を洗浄する工程を含む、植物保持部材の再利用方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材は、カビや藻の繁殖を長期間抑制することができ、また、長期間使用してもその形態が変化し難いため、使用後に容易に植物保持部材と分別することができ、しかも、容器に固着しにくいため容易に交換できるという特徴を有する。また、本発明のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材は、使用する容器が、その底部に水等を排出するための孔を有しておらず、老廃物等が底部に溜まりやすいものであっても、あるいは容器内の植物保持部材等が、湿度が高い環境に長期間曝された場合であっても、あるいは容器が透明又は半透明で、日光が当たる環境に長期間曝された場合であっても、カビや藻の繁殖を長期間抑制することができる。そのため、本発明のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材を用いれば、容器内の衛生を長期間保つことができ、また、植物の根腐れを長期間防止することができ、さらにハイドロカルチャーのメンテナンスが容易になり、メンテナンスの時間や労力を削減することができる。本発明のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材は、特に透明又は半透明の容器を用いた場合にその優れた効果を発揮し、当該容器の底や内壁面にカビや藻が付着することがないため、美観を長期間維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】育成を開始して3か月半後における、比較例1の観賞植物の底面の状態を示す写真である。
図2】育成を開始して3か月半後における、比較例2の観賞植物の底面の状態を示す写真である。
図3】育成を開始して3か月半後における、比較例3の観賞植物の底面の状態を示す写真である。
図4】育成を開始して3か月半後における、比較例4の観賞植物の底面の状態を示す写真である。
図5】育成を開始して3か月半後における、実施例1の観賞植物の底面の状態を示す写真である。
図6】育成を開始して3か月半後における、実施例2の観賞植物の底面の状態を示す写真である。
図7】育成を開始して10か月後における、比較例1の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図8】育成を開始して10か月後における、比較例2の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図9】育成を開始して10か月後における、比較例3の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図10】育成を開始して10か月後における、比較例4の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図11】育成を開始して10か月後における、実施例1の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図12】育成を開始して10か月後における、実施例2の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図13】育成を開始して321日後における、比較例5の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図14】育成を開始して321日後における、比較例6の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図15】育成を開始して321日後における、実施例3の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図16】育成を開始して321日後における、実施例4の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図17】育成を開始して321日後における、実施例5の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図18】育成を開始して321日後における、実施例6の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図19】育成を開始して321日後における、実施例7の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
図20】育成を開始して321日後における、実施例8の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材
本発明のハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材(以下、「防カビ/防藻材」ともいう。)は、活性炭を含む成形体を有するものである。なお、本発明において、「ハイドロカルチャー」とは、容器に植物保持部材を入れ、室内又は室外で植物を育成することを意味し、「ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材」とは、ハイドロカルチャーに用いられ、容器内におけるカビや藻の繁殖を抑制しうるものを意味する。以下、本発明の防カビ/防藻材について詳述する。
【0015】
1-1.活性炭を含む成形体の原材料
〔活性炭〕
活性炭の形状は特に制限されず、例えば、粉末状活性炭、粒状活性炭、及び繊維状活性炭などが挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。本発明において、「粉末状活性炭」とは、粉末状の形態を有し、JIS K1474:2014に規定される粒径が0.150mm未満の活性炭を意味する。ここで、JIS K1474:2014に規定される粒径が0.150mm未満とは、粒度範囲0.150mm未満である試料が95質量分率%以上であることを意味する。「粒状活性炭」とは、粒状の形態を有し、JIS K1474:2014に規定される粒径が0.150mm以上の活性炭を意味する。ここで、JIS K1474:2014に規定される粒径が0.150mm以上とは、粒度範囲0.150mm以上である試料が95質量分率%以上であることを意味する。「繊維状活性炭」とは、繊維状の形態を有する活性炭を意味する。
【0016】
粉末状又は粒状活性炭としては、例えば、やしがらを原料とするやしがら活性炭、石炭を原料とする石炭系活性炭、木質を原料とする木質系活性炭、フェノール樹脂などの樹脂を原料とする樹脂系活性炭などの公知の活性炭が挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0017】
繊維状活性炭としては、例えば、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、フェノール樹脂系、石炭ピッチ系、石油ピッチ系等の繊維を不融化し、所望により炭化処理した後、水蒸気、二酸化炭素を含有する雰囲気中、所定温度で所定時間保持することによって賦活したものが挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0018】
また、活性炭は、カビや藻の繁殖を抑制する効果をより高める観点から、銀を含有するものとすることができる。銀を含有する場合、活性炭中における銀の含有率は好ましくは0.1~2.0重量%、より好ましくは0.2~1.0重量%が挙げられる。
【0019】
粉末状活性炭の中心粒子径は特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、10μm以上150μm未満であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、カビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させること、及び後述するシート状成型体としたときの該シート状成型体からの粉末状活性炭の脱落をより低減させやすくすること、をより並立させる観点から、好ましくは50μm以上150μm未満である。本発明において、粉末状活性炭の中心粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定された、粉末状活性炭の体積基準の粒子径分布における累積50%になる粒度をいう。
【0020】
粒状活性炭の中心粒子径は特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、150~1000μmであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び後述するシート状成型体としたときの該シート状成型体からの粉末状活性炭の脱落をより低減させやすくすること、をより並立させる観点から、好ましくは150~500μmである。本発明において、粒状活性炭の中心粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定された、粒状活性炭の体積基準の粒子径分布における累積50%になる粒度をいう。
【0021】
繊維状活性炭の繊維径は特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、5~30μmであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び後述するシート状成型体としたときの該シート状成型体からの粉末状活性炭の脱落をより低減させやすくすること、をより並立させる観点から、好ましくは10~20μmである。本発明において、繊維状活性炭の繊維径は、繊維状活性炭1本の試験片を側面から見た像を光学顕微鏡で観察し、当該顕微鏡に取り付けた顕微鏡用カメラシステムで撮影する。撮影した画像を画像解析ソフトに取り込み、当該試験片の長さ方向の任意の位置における幅を測定する。当該測定を繊維状活性炭200本について行い、当該200本の幅の平均値を平均繊維径とする。
【0022】
活性炭の比表面積は特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、500~3000m2/gであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び活性炭の強度を高めてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として使用したときの炭塵の発生をより抑制すること、をより並立させる観点から、好ましくは700~2000m2/gである。本発明において、粉末状又は粒状活性炭の比表面積は、77.4Kにおいて窒素吸着等温線に基づいて算出される値である。具体的には、先ず、自動ガス吸着量測定装置を用いて、サンプルを77.4K(窒素の沸点)に冷却し、窒素ガスを導入して容量法により窒素ガスの吸着量V[cc/g]を測定する。このとき、導入する窒素ガスの圧力P[hPa]を徐々に上げ、窒素ガスの飽和蒸気圧P0[hPa]で除した値を相対圧力P/P0として、各相対圧力に対する吸着量をプロットすることにより窒素吸着等温線を作成する。上記装置に付属する解析プログラムを使用して、得られた窒素吸着等温線に基づき、BET法(相対圧0.1を測定点とする1点法)に従って比表面積を求める。なお、サンプルは、質量が0.1gとなるようにサンプリングを行う。また、本発明において、繊維状活性炭の比表面積は、JIS K1477:2007(繊維状活性炭試験方法)の「7.1 比表面積」に従って、BET法(相対圧0.1を測定点とする1点法)により測定される値である。
【0023】
活性炭の窒素脱着等温線から算出される全細孔容積は特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、0.3~1.5cm3/gであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び活性炭の強度を高めてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として使用したときの炭塵の発生をより抑制すること、をより並立させる観点から、好ましくは0.3~1.2cm3/gである。本発明において、活性炭の細孔径及びその細孔容積は、温度77Kにおいて測定した窒素脱着等温線(相対圧0.02~0.995)からQSDFT法(急冷固体密度汎関数法)によって算出される値である。QSDFT法とは、幾何学的・化学的に不規則なミクロポーラス・メソポーラスな炭素の細孔径解析を対象とし、約0.5nm~約40nmまでの細孔径分布の計算ができる解析手法である。QSDFT法では、細孔表面の粗さと不均一性による影響が明瞭に考慮されているため、細孔径分布解析の正確さが大幅に向上した手法である。本発明において、窒素脱着等温線の測定は、Quantachrome社製「AUTOSORB-1-MP」等のガス吸着量測定装置を使用すればよく、また、QSDFT法による細孔径分布解析は、計算モデルとしてN2 at 77K on carbon[slit pore,QSDFT equilibrium model]を適用すればよい。
【0024】
活性炭の窒素脱着等温線からQSDFT法によって算出される細孔直径2nm以下の細孔の容積率(ミクロ細孔容積率)は特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、40%以上であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び活性炭の強度を高めてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として使用したときの炭塵の発生をより抑制すること、をより並立させる観点から、好ましくは45~98%である。上記窒素脱着等温線から算出される全細孔容積と、上記窒素脱着等温線からQSDFT法によって算出される直径2nm以下の細孔容積から、以下の式によりミクロ細孔容積率を求める。
活性炭のミクロ細孔容積率(%)=[(直径2nm以下の細孔容積)/(全細孔容積) ]×100
【0025】
〔活性炭以外のその他の原材料〕
活性炭を含む成形体は、活性炭のみからなるものであってもよいが、活性炭と活性炭以外のその他の原材料とを含むものであってもよい。活性炭以外のその他の原材料は特に制限されないが、例えば、熱融着性樹脂、イオン交換樹脂、これら以外の樹脂、及びパルプなどが挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。本発明において、「熱融着性樹脂」とは、加熱によって融着特性を示す樹脂を意味する。
【0026】
熱融着性樹脂の形状としては、例えば、粉末状の熱融着性樹脂、粉体状の熱融着性樹脂、及び熱融着性繊維が挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。本発明において、「熱融着性繊維」とは、加熱によって融着特性を示す繊維を意味する。
【0027】
熱融着性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、酢酸ビニル系樹脂(例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体など)、ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体など)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0028】
熱融着性繊維は、熱処理が容易である等の観点から、好ましくは融点又は軟化点の異なる2成分以上のポリマーで形成された熱融着性繊維であり、より好ましくは高融点ポリマーを芯部、低融点ポリマーを鞘部とする芯鞘構造を有する芯鞘型熱融着性繊維である。芯鞘型熱融着性繊維としては、例えば、芯部がポリプロピレンで鞘部が変性ポリエチレンであるポリオレフィン系繊維、芯部がポリエチレンテレフタレートで鞘部がポリオレフィンである繊維、及び芯部がポリエチレンテレフタレートで鞘部が低融点(低軟化点)ポリエステルであるポリエステル系繊維等が挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0029】
活性炭を含む成形体が熱融着性樹脂を含む場合、熱融着性樹脂の含有量は、活性炭等を十分に固定する観点、及び成形体に占める活性炭の割合を高める観点から、活性炭100重量部に対して、好ましくは10~80重量部、より好ましくは10~60重量部である。
【0030】
イオン交換樹脂は、吸着材として用いられる。イオン交換樹脂としては、例えば、弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂、弱塩基性陰イオン交換樹脂、及び強塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのうち、植物の育成中に発生する老廃物を吸着する効果に優れる観点から、好ましくはカルボキシ基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂、より好ましくはカルボキシ基の水素原子がアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属で置換された弱酸性陽イオン交換樹脂、更に好ましくはカルボキシ基の水素原子がナトリウム及び/又はカルシウムで置換された弱酸性陽イオン交換樹脂である。また、カルボキシ基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂は、好ましくはポリアクリレート又はポリメタクリレート系弱酸性陽イオン交換樹脂である。
【0031】
イオン交換樹脂の形状としては、例えば、粉末状のイオン交換樹脂、粒状のイオン交換樹脂、及び繊維状のイオン交換樹脂(イオン交換繊維とも呼ばれる。)が挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらは、活性炭を含む成形体の形態に応じて適宜選択すればよいが、吸着性能に優れる観点から、イオン交換繊維を用いることが好ましい。
【0032】
活性炭を含む成形体がイオン交換樹脂を含む場合、イオン交換樹脂の含有量は、優れた吸着効果を付与する観点、及び成形体に占める活性炭の割合を高める観点から、活性炭100重量部に対して、好ましくは10~300重量部、より好ましくは10~250重量部である。
【0033】
パルプは、水でぬらしてたたく(叩解する)と、繊維がフィブリル化(繊維の構造が壊れてもとの繊維体より細い糸状体となること)するものであり、活性炭を含む成形体中において、フィブリル化した繊維によって活性炭等を絡めた状態で含まれ、活性炭を含む成形体中の活性炭の保持性や活性炭を含む成形体の強度を高めるバインダー成分として用いられる。また、パルプは、熱融着性樹脂とは異なり、活性炭を含む成形体中において溶融せずに含まれる。該パルプとしては、例えば、木質パルプ等の天然パルプ(セルロース系パルプ)や、アクリル系合成パルプ、ポリオレフィン系合成パルプ、アラミド系合成パルプ等の合成パルプが挙げられる。
【0034】
活性炭を含む成形体がパルプを含む場合、パルプの含有量は、活性炭等を十分に固定する観点、及び成形体に占める活性炭の割合を高める観点から、活性炭100重量部に対して、好ましくは2~50重量部、より好ましくは2~30重量部である。
【0035】
1-2.活性炭を含む成形体の形態
活性炭を含む成形体は、少なくとも前記活性炭を用いて成形したものであれば特に制限されず、その形態としては、例えば、粒状成形体、繊維状成形体、及びシート状成形体が挙げられる。これらのうち、取り扱い性、容器内への設置容易性、植物保持部材との分別の容易性、及び交換容易性等の観点から、好ましくはシート状成形体である。本発明において、「粒状成形体」とは、粒状の形態を有する成形体を意味し、「繊維状成形体」とは、繊維状の形態を有する成形体を意味し、「シート状成形体」とは、シート状の形態を有する成形体を意味する。以下、粒状成形体、繊維状成形体、及びシート状成形体について詳述する。
【0036】
〔粒状成形体〕
粒状成形体としては、例えば、破砕状活性炭、顆粒状活性炭、及び造粒活性炭などの粒状活性炭が挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。本発明において、「破砕状活性炭」とは、破砕状の形態を有する活性炭を意味し、「顆粒状活性炭」とは、顆粒状の形態を有する活性炭を意味し、「造粒活性炭」とは、所定の形状、大きさに加工された活性炭を意味する。
【0037】
粒状成形体として用いられる粒状活性炭の大きさは特に制限されず、取り扱い性、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、前記粒状活性炭は、例えば、最大長さが0.5mm以上のものであり、取り扱い性を向上させる観点、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させる観点、及びカビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させる観点から、好ましくは最大長さが0.5~20mm、より好ましくは最大長さが0.5~10mmのものである。
【0038】
粒状成形体は、前記粒状活性炭の少なくとも1種と、前記粒状活性炭以外のその他の原材料とを含む複合粒状活性炭であってもよい。本発明において、「複合粒状活性炭」とは、1つ以上の粒状活性炭と、粒状活性炭以外のその他の原材料とが一体化したものを意味する。
【0039】
複合粒状活性炭に含まれる粒状活性炭以外のその他の原材料としては、例えば、粉末状活性炭、繊維状活性炭、バインダー成分(例えば、水溶性バインダー、熱融着性樹脂、フィブリル化繊維、パルプが挙げられる。)、及びイオン交換樹脂などが挙げられる。複合粒状活性炭は、例えば、少なくとも1種の粒状活性炭と熱融着性樹脂とを混合して得られた混合物を熱処理し、溶融した熱融着性樹脂で各原材料を融着して一体化することにより得ることができる。なお、必要により粉末状活性炭、繊維状活性炭、熱融着性樹脂以外のバインダー成分、及びイオン交換樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を前記混合物中に含有させてもよい。得られた複合粒状活性炭は、大きさを調整するために分割してもよい。
【0040】
複合粒状活性炭の大きさは特に制限されず、例えば、前記粒状活性炭の大きさが採用される。
【0041】
複合粒状活性炭に含まれる活性炭の含有量は、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、20~99.5重量%であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び複合粒状活性炭からの活性炭の脱落をより低減させやすくすること、をより並立させる観点から、好ましくは30~95重量%である。また、複合粒状活性炭にイオン交換樹脂を含有させる場合は、同様の観点から、好ましくは20~40重量%である。
【0042】
また、粒状成形体の取り扱い性を向上させるため、粒状成形体を容器内に設置しやすくするため、及び使用後に粒状成形体を容器内から取り出しやすくするために、不織布の袋、あるいはネット状、織物状、及び編物状等の袋であって、透水性を有し、かつ前記粒状成形体を通さないサイズの貫通孔を有する袋に複数個の粒状成形体を入れて封をした袋体としてもよい。
【0043】
〔繊維状成形体〕
繊維状成形体としては、例えば、繊維状活性炭からなる、綿状フィラメント、トウ、カットファイバー、及びヤーンなどが挙げられる。本発明において、「綿状フィラメント」とは、綿状の形態を有するフィラメントを意味する。本発明において、「トウ」とは、複数本のフィラメントを束ねた無撚の長繊維束を意味する。本発明において、「カットファイバー」とは、フィラメントをカットして短繊維化したものを意味する。本発明において、「ヤーン」とは、複数本のフィラメントを撚り合わせた単糸を意味する。これらは1種用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0044】
繊維状成形体は、繊維状活性炭からなる、綿状フィラメント、トウ、カットファイバー、又はヤーンと、繊維状活性炭以外のその他の原材料とを含む複合綿状フィラメント、複合トウ、複合カットファイバー、又は複合ヤーンであってもよい。本発明において、「複合綿状フィラメント」、「複合トウ」、「複合カットファイバー」、又は「複合ヤーン」とは、それぞれ、繊維状活性炭からなる、綿状フィラメント、トウ、カットファイバー、又はヤーンと、繊維状活性炭以外のその他の原材料とが一体化したものを意味する。
【0045】
複合綿状フィラメント、複合トウ、複合カットファイバー、及び複合ヤーンに含まれる繊維状活性炭以外のその他の原材料としては、例えば、粉末状活性炭、熱融着性樹脂、及びイオン交換樹脂が挙げられる。複合綿状フィラメント、複合トウ、複合カットファイバー、及び複合ヤーンは、例えば、繊維状活性炭からなる、綿状フィラメント、トウ、カットファイバー、又はヤーンと、熱融着性樹脂と、必要により粉末状活性炭やイオン交換樹脂を混合し、得られた混合物を熱処理し、溶融した熱融着性樹脂で各原材料を融着して一体化することにより得ることができる。得られた複合綿状フィラメント、複合トウ、複合カットファイバー、及び複合ヤーンは、大きさを調整するために分割してもよい。
【0046】
複合綿状フィラメント、複合トウ、複合カットファイバー、又は複合ヤーンに含まれる活性炭の含有量は、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、10~100重量%であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び繊維状成形体からの活性炭の脱落をより低減させやすくすること、をより並立させる観点から、好ましくは20~95重量%である。また、繊維状成形体にイオン交換樹脂を含有させる場合は、同様の観点から、好ましくは20~40重量%である。
【0047】
また、繊維状成形体の取り扱い性を向上させるため、繊維状成形体を容器内に設置しやすくするため、及び使用後に繊維状成形体を容器内から取り出しやすくするために、不織布の袋、あるいはネット状、織物状、及び編物状等の袋であって、透水性を有し、かつ前記繊維状成形体を通さないサイズの貫通孔を有する袋に繊維状成形体を所定量入れて封をした袋体としてもよい。
【0048】
〔シート状成形体〕
シート状成形体としては、例えば、繊維状活性炭を含有する繊維状活性炭含有不織布、粉末状活性炭、粒状活性炭、及び繊維状活性炭からなる群より選択される少なくとも1種の活性炭と熱融着性樹脂とを含有する非布シート、粒状活性炭及び/又は粉末状活性炭を熱融着性樹脂で固定した粒状及び/又は粉末状活性炭層が二枚の不織布の間に設けられた複合不織布(以下、「複合不織布A」ともいう。)、繊維状活性炭を含む繊維状活性炭層が二枚の不織布の間に設けられた複合不織布(以下、「複合不織布B」ともいう。)、及び繊維状活性炭のクロスなどが挙げられる。これらのうち、カビや藻の繁殖抑制効果に優れる観点、及びカビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させる観点から、好ましくは繊維状活性炭を含有する繊維状活性炭含有不織布である。
【0049】
<繊維状活性炭含有不織布>
繊維状活性炭含有不織布は、実質的に繊維状活性炭のみ含有するものであってもよく、繊維状活性炭と繊維状活性炭以外のその他の原材料とを含有するものであってもよい。
【0050】
実質的に繊維状活性炭のみ含有する繊維状活性炭含有不織布としては、例えば、繊維状活性炭のフェルトが挙げられる。繊維状活性炭のフェルトは、公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、フェノール樹脂系、石炭ピッチ系、石油ピッチ系等の繊維からなるフェルトを不融化し、必要により炭化処理した後、水蒸気、二酸化炭素を含む雰囲気中、所定温度で所定時間保持することによって賦活したものが挙げられる。
【0051】
繊維状活性炭以外のその他の原材料としては、例えば、熱融着性樹脂、イオン交換樹脂、パルプ、粉末状活性炭、及び粒状活性炭が挙げられ、好ましくは熱融着性樹脂、パルプ、及びイオン交換樹脂である。前記熱融着性樹脂は、カビや藻の繁殖抑制効果に優れる観点から、好ましくは熱融着性繊維である。また、前記イオン交換樹脂は、カビや藻の繁殖抑制効果に優れる観点、及び吸着性に優れる観点から、好ましくはイオン交換繊維である。
【0052】
繊維状活性炭含有不織布が、繊維状活性炭と繊維状活性炭以外のその他の原材料とを含有するものである場合、当該繊維状活性炭含有不織布は、例えば、ニードルパンチ法、湿式抄紙法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法等により製造することができる。
【0053】
繊維状活性炭含有不織布に含まれる活性炭の含有量は、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、10~100重量%であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び繊維状活性炭含有不織布からの活性炭の脱落をより低減させやすくすること、をより並立させる観点から、好ましくは20~95重量%である。また、繊維状活性炭含有不織布にイオン交換樹脂を含有させる場合は、同様の観点から、好ましくは20~80重量%である。
【0054】
繊維状活性炭含有不織布の坪量は特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、20~300g/m2であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び厚さを薄くしてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として用いたときの美観を損なうことをより低減させることをより並立させる観点から、好ましくは30~150g/m2である。
【0055】
繊維状活性炭含有不織布の厚さは特に制限されず、例えば、100~2000μmであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、カビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させること、厚さを薄くしてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として用いたときの美観を損なうことをより低減させること、取り扱い性及び形態安定性をより向上させること、をより並立させる観点から、好ましくは200~1000μmである。本発明において、繊維状活性炭含有不織布の厚さは、シックネスゲージにより任意に3点測定し、それらの平均値とする。
【0056】
<非布シート>
非布シートは、粉末状活性炭、粒状活性炭、及び繊維状活性炭からなる群より選択される少なくとも1種の活性炭と熱融着性樹脂とを含有するものである。本発明において、「非布シート」とは、不織布、織物、編物、及びフェルト以外のシート状の成形体を意味する。
【0057】
熱融着性樹脂は、カビや藻の繁殖抑制効果に優れる観点から、好ましくは熱融着性繊維である。
【0058】
非布シートは、さらに、吸着性を向上させる観点から、イオン交換樹脂を含有することが好ましく、吸着性に優れる観点から、イオン交換繊維を含有することがより好ましい。
【0059】
非布シートは、例えば、粉末状活性炭、粒状活性炭、及び繊維状活性炭からなる群より選択される少なくとも1種の活性炭と熱融着性樹脂と、必要によりイオン交換樹脂とを混合した混合物を熱処理し、溶融した熱融着性樹脂で各原材料を融着して一体化し、シート状に成形することにより製造することができる。
【0060】
非布シートに含まれる活性炭の含有量は、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、10~100重量%であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び非布シートからの活性炭の脱落をより低減させやすくすること、をより並立させる観点から、好ましくは20~95重量%である。また、非布シートにイオン交換樹脂を含有させる場合は、同様の観点から、好ましくは20~80重量%である。
【0061】
非布シートの坪量は特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、50~300g/m2であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、及び厚さを薄くしてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として用いたときの美観を損なうことをより低減させること、をより並立させる観点から、好ましくは70~150g/m2である。
【0062】
非布シートの厚さは特に制限されず、例えば、100~2000μmであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、カビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させること、厚さを薄くしてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として用いたときの美観を損なうことをより低減させること、取り扱い性及び形態安定性をより向上させること、をより並立させる観点から、好ましくは200~800μmである。本発明において、非布シートの厚さは、シックネスゲージにより任意に3点測定し、それらの平均値とする。
【0063】
<複合不織布A>
複合不織布Aは、粒状活性炭及び/又は粉末状活性炭を熱融着性樹脂で固定した粒状及び/又は粉末状活性炭層が二枚の不織布の間に設けられたものである。
【0064】
熱融着性樹脂は、カビや藻の繁殖抑制効果に優れる観点から、好ましくは熱融着性繊維である。
【0065】
粒状及び/又は粉末状活性炭層は、さらに、吸着性を向上させる観点から、イオン交換樹脂を含有することが好ましく、吸着性に優れる観点から、イオン交換繊維を含有することがより好ましい。
【0066】
粒状及び/又は粉末状活性炭層は、さらに繊維状活性炭を含有してもよい。
【0067】
粒状及び/又は粉末状活性炭層に含まれる活性炭の含有量は、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、10~99重量%であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、複合不織布Aからの活性炭の脱落をより低減させやすくすること、をより並立させる観点から、好ましくは20~95重量%である。また、複合不織布Aにイオン交換樹脂を含有させる場合は、同様の観点から、好ましくは20~80重量%である。
【0068】
粒状及び/又は粉末状活性炭層の厚さは特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、10~1000μmであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、カビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させること、厚さを薄くしてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として用いたときの美観を損なうことをより低減させること、取り扱い性及び形態安定性をより向上させること、をより並立させる観点から、好ましくは50~500μmである。本発明において、粒状及び/又は粉末状活性炭層の厚さは、次のように測定する。すなわち、マイクロスコープを用い、複合不織布Aの断面における厚さを任意に10点測定し、当該10点の厚さを平均した平均値を複合不織布Aの厚さとする。次に、複合不織布Aを構成する二枚の不織布の断面における厚さを任意に10点測定し、当該10点の厚さを平均した平均値をそれぞれ不織布の厚さとする。そして、上記求めた複合不織布Aの厚さから、二枚の不織布の厚さの和を減じて得られた値を、粒状及び/又は粉末状活性炭層の厚さとする。
【0069】
複合不織布Aにおいて、二枚の不織布は、粒状及び/又は粉末状活性炭層の形態を保持するとともに、粒状及び/又は粉末状活性炭層から粒状活性炭等が脱落することを防ぐ役割を果たすものである。
【0070】
不織布としては、例えば、長繊維不織布、短繊維不織布が挙げられる。長繊維不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、トウ開繊不織布、メルトブロー不織布等が挙げられる。短繊維不織布としては、例えば、ニードルパンチ不織布、湿式抄紙不織布等が挙げられる。
【0071】
不織布を構成する繊維材料としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等が挙げられる。また、不織布にはイオン交換繊維を含有させることもできる。
【0072】
複合不織布Aは、例えば、粒状活性炭及び/又は粉末状活性炭と熱融着性樹脂等を略均一に混合した混合物を不織布上に散布し、別の不織布を上から重ね合わせ、前記混合物を二枚の不織布でサンドイッチした状態で加熱しながら圧着することによって製造することができる。また、不織布の内側に熱可塑性樹脂等を含む接着シートを設けて熱圧着することにより、粒状及び/又は粉末状活性炭層と不織布との接着力を強化してもよい。
【0073】
複合不織布Aの厚さは特に制限されず、粒状及び/又は粉末状活性炭層の厚さに応じて適宜調整すればよいが、例えば、100~3000μmであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、カビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させること、厚さを薄くしてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として用いたときの美観を損なうことをより低減させること、取り扱い性及び形態安定性をより向上させること、をより並立させる観点から、好ましくは200~1000μmである。本発明において、複合不織布Aの厚さは、マイクロスコープを用い、複合不織布Aの断面における厚さを任意に10点測定し、当該10点の厚さを平均した平均値である。
【0074】
<複合不織布B>
複合不織布Bは、繊維状活性炭を含む繊維状活性炭層が二枚の不織布の間に設けられたものである。
【0075】
繊維状活性炭層は、繊維状活性炭以外のその他の原材料を含んでもよい。繊維状活性炭以外のその他の原材料としては、例えば、熱融着性樹脂、イオン交換樹脂、パルプ、粉末状活性炭、及び粒状活性炭が挙げられ、好ましくは熱融着性樹脂、イオン交換樹脂、及びパルプである。前記熱融着性樹脂は、カビや藻の繁殖抑制効果に優れる観点から、好ましくは熱融着性繊維である。また、前記イオン交換樹脂は、カビや藻の繁殖抑制効果に優れる観点、及び吸着性に優れる観点から、好ましくはイオン交換繊維である。
【0076】
繊維状活性炭層の形態としては、例えば、熱融着性樹脂により繊維状活性炭等が固定されて一体化した形態(1)、及び熱融着性樹脂によらず繊維状活性炭が互いに交絡しあうこと、あるいは繊維状活性炭とイオン交換繊維とが互いに交絡しあうことで一体化した綿状又はフェルト状の形態(2)が挙げられるが、カビや藻の繁殖抑制効果に優れる観点から、好ましくは形態(2)である。なお、形態(2)は、例えば、エアレイド法、及びカーディング法等により製造することができる。形態(1)は、例えば、ニードルパンチ法、及び湿式抄紙法等により製造することができる。
【0077】
繊維状活性炭層に含まれる活性炭の含有量は、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、10~99重量%であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、複合不織布Bからの活性炭の脱落をより低減させやすくすること、をより並立させる観点から、好ましくは20~95重量%である。また、複合不織布Bにイオン交換樹脂を含有させる場合は、同様の観点から、好ましくは20~80重量%である。
【0078】
繊維状活性炭層の厚さは特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、20~4000μmであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、カビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させること、厚さを薄くしてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として用いたときの美観を損なうことをより低減させること、取り扱い性及び形態安定性をより向上させること、をより並立させる観点から、好ましくは30~2500μmである。本発明において、繊維状活性炭層の厚さは、マイクロスコープを用い、繊維状活性炭層の断面における厚さを任意に10点測定し、当該10点の厚さを平均した平均値である。
【0079】
複合不織布Bにおいて、二枚の不織布は、繊維状活性炭層の形態を保持するとともに、繊維状活性炭層から繊維状活性炭等が脱落することを防ぐ役割を果たすものである。
【0080】
複合不織布Bの形態としては、例えば、繊維状活性炭層と不織布とが接着剤により一体化した形態、繊維状活性炭層と不織布とが熱融着性樹脂が融着することにより一体化した形態、及び接着剤や熱融着性樹脂によらず、ニードルパンチ法やウォーターパンチ法等によって、不織布を構成する繊維と繊維状活性炭層を構成する繊維状活性炭とが、不織布の表面部分及び繊維状活性炭層の表面部分において交絡することにより不織布と繊維状活性炭層とが一体化した形態等が挙げられる。
【0081】
複合不織布Bの厚さは特に制限されず、繊維状活性炭層の厚さに応じて適宜調整すればよいが、例えば、100~6000μmであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、カビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させること、厚さを薄くしてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として用いたときの美観を損なうことをより低減させること、取り扱い性及び形態安定性をより向上させること、をより並立させる観点から、好ましくは200~4000μmである。本発明において、複合不織布Bの厚さは、マイクロスコープを用い、複合不織布Bの断面における厚さを任意に10点測定し、当該10点の厚さを平均した平均値である。
【0082】
<繊維状活性炭のクロス>
本発明において、「繊維状活性炭のクロス」とは、クロスを構成する成分が、実質的に繊維状活性炭のみであるクロスを意味する。
【0083】
繊維状活性炭のクロスは、公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、フェノール樹脂系、石炭ピッチ系、石油ピッチ系等の繊維からなるクロスを不融化し、必要により炭化処理した後、水蒸気、二酸化炭素を含む雰囲気中、所定温度で所定時間保持することによって賦活したもの挙げられる。
【0084】
前記クロスは、その片面又は両面に、イオン交換樹脂、粒状及び/又は粉末状活性炭、熱融着性樹脂を有していてもよい。前記イオン交換樹脂は、カビや藻の繁殖抑制効果に優れる観点、及び吸着性に優れる観点から、好ましくはイオン交換繊維である。前記熱融着性樹脂は、カビや藻の繁殖抑制効果に優れる観点から、好ましくは熱融着性繊維である。前記クロスの表面の一部又は全面に、イオン交換樹脂、粒状及び/又は粉末状活性炭を設ける方法としては、例えば、熱融着性樹脂を用いて固着させる方法が挙げられる。
【0085】
前記クロスの厚さは特に制限されず、カビや藻の繁殖を抑制する効果及び期間等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、100~3000μmであり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させること、カビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させること、厚さを薄くしてハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材として用いたときの美観を損なうことをより低減させること、取り扱い性及び形態安定性をより向上させること、をより並立させる観点から、好ましくは200~2500μmである。本発明において、前記クロスの厚さは、マイクロスコープを用い、前記クロスの断面における厚さを任意に10点測定し、当該10点の厚さを平均した平均値である。
【0086】
2.ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材の使用態様等
本発明の防カビ/防藻材は、ハイドロカルチャー用容器内の任意の箇所に設ければよいが、カビや藻は、前記容器の底部に発生しやすいため、前記容器の底に設けることが好ましい。それにより、植物の育成中に、植物保持部材や前記容器の底及び底部内壁面にカビや藻、特に藻が繁殖して付着することを長期間、具体的には、6カ月以上、1年以上、さらには2年以上抑制することができる。
【0087】
本発明の防カビ/防藻材がシート状成形体である場合、その形状は特に制限されず、任意の形状とすることができ、例えば、三角形、四角形、五角形等の多角形、円形、楕円形、及び星形等が挙げられる。
【0088】
本発明の防カビ/防藻材がシート状成形体を有するものである場合、その大きさは特に制限されず、前記容器内の底面積に応じて適宜調整すればよいが、例えば、前記容器内の底面積に対して10~100%であり、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させる観点、カビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させる観点、及び経済性の観点から、好ましくは20~90%、より好ましくは30~80%である。また、本発明の防カビ/防藻材がシート状成形体である場合、本発明の防カビ/防藻材は、前記容器内(好ましくは底)に1枚設けてもよく、2枚以上並べて設けてもよく、2枚以上重ねて設けてもよい。また、本発明の防カビ/防藻材が粒状成形体又は繊維状成形体を有するものである場合、本発明の防カビ/防藻材は、カビや藻の繁殖抑制効果を向上させる観点、カビや藻の繁殖抑制効果を長期間発現させる観点、及び経済性の観点から、前記容器内の底面積に対して10~100%の面積率で敷き詰めることが好ましく、より好ましくは20~90%、更に好ましくは30~80%である。
【0089】
3.ハイドロカルチャー用植物育成キット
本発明のハイドロカルチャー用植物育成キットは、容器及び/又は植物保持部材と、本発明の防カビ/防藻材とを含むものである。本発明において、「植物保持部材」とは、ハイドロカルチャーにおいて、容器内に入れて、容器内の植物を保持するためのものを意味する。
【0090】
容器としては、ハイドロカルチャーに用いられるものを特に制限なく使用することができるが、インテリア用又はエクステリア用として、見た目の美しさや清潔感の観点から、好ましくは透明又は半透明の容器である。透明又は半透明の容器としては、ガラス容器及びプラスチック容器が挙げられる。容器として、グラス、コップを用いてもよい。
【0091】
植物保持部材としては、ハイドロカルチャーに用いられるものを特に制限なく使用することができ、例えば、ハイドロボール、ハイドロコーン、カラーサンド、パーライト、ゼオライト、樹脂チップフォーム、株式会社大創産業製の商品名ジェルポリマー等の吸水性ポリマー、及びガラス発泡体などが挙げられる。
【0092】
本発明のハイドロカルチャー用植物育成キットを用いれば、本発明の防カビ/防藻材を含むため、植物の育成中に、植物保持部材や容器の底及び底部内壁面にカビや藻、特に藻が繁殖して付着することを長期間抑制することができる。そのため、観賞植物の美観及び衛生を長期間保つことができる。また、本発明の防カビ/防藻材は、長期間使用してもその形態が変化し難いため、使用後に容易に植物保持部材と分別することができ、しかも、容器に固着しにくいため容易に交換できる。そのため、本発明のハイドロカルチャー用植物育成キットを用いれば、観賞植物のメンテナンスが容易になり、メンテナンスの時間や労力を削減することができる。
【0093】
4.観賞植物
本発明の観賞植物は、前記容器と、植物と、前記植物保持部材と、本発明の防カビ/防藻材とを含むものである。本発明において、「観賞植物」とは、目で見て楽しむために育成する植物とハイドロカルチャーに用いられる部材とを含むものを意味する。
【0094】
植物としては、ハイドロカルチャーに用いられる植物を特に制限なく使用することができ、例えば、観葉植物(花が咲く観葉植物を含む)、及び多肉植物などが挙げられるが、好ましくは観葉植物である。観葉植物としては、例えば、ポトス、オリヅルラン、サンセベリア、パキラ、アスパラガス、ペペロミア、ホヤ、ヘデラ、ホンコンカポック、アレカヤシなどが挙げられる。
【0095】
観賞植物には、定期的に水や栄養剤を加えることが好ましい。
【0096】
本発明の観賞植物は、本発明の防カビ/防藻材を含むため、植物の育成中に、植物保持部材や容器の底及び底部内壁面にカビや藻、特に藻が繁殖して付着することを長期間抑制することができる。そのため、本発明の観賞植物は、長期間美観及び衛生を保つことができるという特徴を有する。また、本発明の防カビ/防藻材は、長期間使用してもその形態が変化し難いため、使用後に容易に植物保持部材と分別することができ、しかも、容器に固着しにくいため容易に交換できるものである。そのため、本発明の観賞植物は、メンテナンスが容易であり、メンテナンスに手間と時間がかからないという特徴を有する。
【0097】
5.ハイドロカルチャーの防カビ又は防藻方法
本発明のハイドロカルチャーの防カビ又は防藻方法は、本発明の防カビ/防藻材を、前記容器内に設けることを特徴とする。
【0098】
本発明のハイドロカルチャーの防カビ又は防藻方法によれば、容器内にカビや藻、特に藻が繁殖して付着することを長期間、具体的には、6カ月以上、1年以上、さらには2年以上抑制することができ、また植物の根腐れを長期間防止することができる。
【0099】
6.植物保持部材の再利用方法
本発明の植物保持部材の再利用方法は、前記容器内に、前記植物と、前記植物保持部材と、本発明の防カビ/防藻材とを有する観賞植物中の前記植物保持部材の再利用方法であって、前記植物と前記植物保持部材と本発明の防カビ/防藻材とを分別する工程、及び分別した前記植物保持部材を洗浄する工程を含むことを特徴とする。
【0100】
本発明の植物保持部材の再利用方法においては、まず、観賞植物から植物と植物保持部材と本発明の防カビ/防藻材とを取り出し、これらを分別する。本発明の防カビ/防藻材は、長期間使用してもその形態が変化し難いため、手で容易に植物保持部材と分別することができる。その後、分別した植物保持部材を洗浄する。洗浄液は公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、水、熱湯などが挙げられる。洗浄方法も公知の方法を特に制限なく使用することができ、例えば、洗浄液の塗布、シャワー、洗浄液中への浸漬などが挙げられる。洗浄後の植物保持部材は、必要により乾燥処理を行ってもよい。洗浄処理等を行った植物保持部材は、ハイドロカルチャー用の植物保持部材として再利用することができる。
【0101】
本発明の植物保持部材の再利用方法によれば、手で容易に植物保持部材と本発明の防カビ/防藻材と分別することができ、しかも分別した植物保持部材にはカビや藻が付着していないため、簡易な洗浄にて、短時間で労力をかけることなく植物保持部材をきれいにして、再利用することができる。
【実施例0102】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0103】
[試験例1]
1.繊維状活性炭含有不織布の作製
繊維状活性炭(ユニチカ株式会社製、商品名:アドールA-15、比表面積1700m2/g、全細孔容積0.80cm3/g、ミクロ細孔容積率89%)と、イオン交換繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:A-02CA、弱酸型ポリアクリレート系イオン交換繊維(Ca置換ポリアクリレート系イオン交換繊維))と、芯鞘型繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:メルティ4080、芯部がPET、鞘部が融点110℃の低融点ポリエステルである芯鞘型繊維)とを、繊維状活性炭/イオン交換繊維/芯鞘型繊維=27/58/12の質量比で供給して、カーディングマシーンで開繊、混合し、次いでニードルパンチにより交絡させた後、熱ローラに通して前記芯鞘型繊維の鞘部の一部を溶融させ、坪量が70g/m2、厚さが0.50mmである繊維状活性炭含有不織布を作製した。なお、繊維状活性炭含有不織布の厚さは、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製 ピーコック精密測定機器 シックネスゲージ 大型タイプ(厚み測定器)J-A)により任意に3点測定し、それらの平均値とした。
【0104】
2.観賞植物の作製
実施例1
ガラス容器(外寸:100mm×100mm×100mm、内寸:横75mm×奥行75mm×高さ90mm)の底中央に、作製した繊維状活性炭含有不織布(50mm×50mm)を1枚設けたのち、ガラス容器内に育成植物としてポトスを入れると共に、植物保持部材((有)三浦園芸製、ハイドロコーン(小粒))を敷き詰めて観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0105】
実施例2
実施例1において、ガラス容器の底一面に、作製した繊維状活性炭含有不織布(50mm×50mm)を4枚並べた以外は、実施例1と同様の方法で観賞植物を作製し、水を加えた。
【0106】
比較例1
実施例1において、作製した繊維状活性炭含有不織布を設けなかった以外は、実施例1と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0107】
比較例2
実施例1において、作製した繊維状活性炭含有不織布の代わりに、吸着材((株)グリーンウォーク製、イオン交換樹脂栄養剤)5ccをガラス容器の底に投入した以外は、実施例1と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0108】
比較例3
実施例1において、作製した繊維状活性炭含有不織布の代わりに、吸着材(ソフトシリカ(株)製、ミリオンA(珪酸塩白土))をガラス容器の底一面に投入した以外は、実施例1と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0109】
比較例4
実施例1において、作製した繊維状活性炭含有不織布の代わりに、吸着材((株)グリーンウォーク製、イオン交換樹脂栄養剤)5ccをガラス容器の底に投入し、さらに吸着材(ソフトシリカ(株)製、ミリオンA(珪酸塩白土))をガラス容器の底一面に投入した以外は、実施例1と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0110】
3.カビや藻の繁殖抑制試験
実施例1、2、及び比較例1~4の観賞植物を住宅のリビング(東向き)の日光がカーテン越しに当たる場所に置き、ポトスの育成を行った。水は、植物保持部材が乾いたタイミングで全ての観賞植物に対して同時に同量加えた。また、肥料(株式会社ハイポネックスジャパン、商品名:ハイポネックスキュート(ハイドロ用))は、1カ月に1回、全ての観賞植物に対して同時に同量加えた。
そして、育成を開始して3か月半後、及び10か月後に、各観賞植物の日光が当たっていた側面、又は底面の状態を観察した。
【0111】
4.試験結果
(1)育成を開始して3か月半後
図1は、比較例1の観賞植物の底面の状態を示す写真である。底面に特に変化は見られなかった。
図2は、比較例2の観賞植物の底面の状態を示す写真である。底面に特に変化は見られなかった。
図3は、比較例3の観賞植物の底面の状態を示す写真である。吸着材(珪酸塩白土)が溶解しつつあった。
図4は、比較例4の観賞植物の底面の状態を示す写真である。吸着材(珪酸塩白土)が溶解しつつあった。
図5は、実施例1の観賞植物の底面の状態を示す写真である。底面に特に変化は見られなかった。
図6は、実施例2の観賞植物の底面の状態を示す写真である。底面に特に変化は見られなかった。
このように、育成を開始して3か月半後においては、いずれの観賞植物においても藻やカビの発生は見られなかった。また、各観賞植物において、ポトスの育成状況について明確な差異は見られなかった。
【0112】
(2)育成を開始して10か月後
図7は、比較例1の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面の底部、及び底面に緑色の藻が発生していることがわかる。
図8は、比較例2の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面の底部、及び底面に緑色の藻が多く発生していることがわかる。実施例1、2、及び比較例1~4の観賞植物のうち、最も多く藻が発生していた。吸着材として使用したイオン交換樹脂栄養剤は、栄養剤を含んでいるため、この栄養剤によって藻の繁殖が促進されたと推認される。
図9は、比較例3の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。底面に緑色の藻が発生していることがわかる。また、吸着材(珪酸塩白土)が溶解し、ガラス容器の底に固着していた。
図10は、比較例4の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面の底部、及び底面に緑色の藻が発生していることがわかる。また、吸着材(珪酸塩白土)が溶解し、ガラス容器の底に固着していた。
図11は、実施例1の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面、及び底面に特に変化は見られなかった。
図12は、実施例2の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面、及び底面に特に変化は見られなかった。
このように、育成を開始して10か月半後においては、比較例1~4の観賞植物においては、日光が当たっていた側面及び/又は底面に藻が発生したが、本発明に係る繊維状活性炭含有不織布を設けた実施例1及び2の観賞植物においては、日光が当たっていた側面及び底面に藻は全く発生しなかった。また、実施例1及び2の観賞植物に設けた繊維状活性炭含有不織布は、その形態がほとんど変化していなかった。この結果から、本発明の防カビ/防藻材は、カビや藻の繁殖を長期間抑制することができ、観賞植物の美観や衛生を長期間維持させることができるものであることがわかった。また、この結果から、本発明の防カビ/防藻材は、使用後に容易に植物保持部材と分別することができ、しかも、容器に固着しにくいため容易に交換できるものであることが推認される。なお、各観賞植物において、ポトスの育成状況について明確な差異は見られなかった。
【0113】
[試験例2]
1.ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材の作製
(ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材A)
繊維状活性炭(ユニチカ株式会社製、商品名:アドールA-10、比表面積1300m2/g、全細孔容積0.55cm3/g、ミクロ細孔容積率94%)と、芯鞘型繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:メルティ4080、芯部がPET、鞘部が融点110℃の低融点ポリエステルである芯鞘型繊維)とを、繊維状活性炭/芯鞘型繊維=65/35の質量比で供給して、カーディングマシーンで開繊、混合し、次いでニードルパンチにより交絡させた後、熱ローラに通して前記芯鞘型繊維の鞘部の一部を溶融させ、坪量が65g/m2、厚さが0.55mmである繊維状活性炭含有不織布を作製し、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Aを得た。なお、繊維状活性炭含有不織布の厚さは、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製 ピーコック精密測定機器 シックネスゲージ 大型タイプ(厚み測定器)J-A)により任意に3点測定し、それらの平均値とした。
【0114】
(ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材B)
繊維状活性炭(ユニチカ株式会社製、商品名:アドールA-7、比表面積850m2/g、全細孔容積0.35cm3/g、ミクロ細孔容積率96%)と、芯鞘型繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:メルティ4080、芯部がPET、鞘部が融点110℃の低融点ポリエステルである芯鞘型繊維)とを、繊維状活性炭/芯鞘型繊維=82/18の質量比で供給して、カーディングマシーンで開繊、混合し、次いでニードルパンチにより交絡させた後、熱ローラに通して前記芯鞘型繊維の鞘部の一部を溶融させ、坪量が65g/m2、厚さが0.52mmである繊維状活性炭含有不織布を作製し、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Bを得た。なお、繊維状活性炭含有不織布の厚さは、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製 ピーコック精密測定機器 シックネスゲージ 大型タイプ(厚み測定器)J-A)により任意に3点測定し、それらの平均値とした。
【0115】
(ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材C)
繊維状活性炭(ユニチカ株式会社製、商品名:アドールA-15、比表面積1700m2/g、全細孔容積0.80cm3/g、ミクロ細孔容積率89%)と、銀含有繊維状活性炭(ユニチカ株式会社製、商品名:アドールJ-15、比表面積1700m2/g、全細孔容積0.80cm3/g、ミクロ細孔容積率89%、銀含有量0.7質量%)と、繊維状活性炭(ユニチカ株式会社製、商品名:アドールW-15、比表面積1300m2/g、全細孔容積1.10cm3/g、ミクロ細孔容積率52%)と、イオン交換繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:A-02CA、弱酸型ポリアクリレート系イオン交換繊維(Ca置換ポリアクリレート系イオン交換繊維))と、芯鞘型繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:メルティ4080、芯部がPET、鞘部が融点110℃の低融点ポリエステルである芯鞘型繊維)と、アクリル系合成パルプ(日本エクスラン工業株式会社製、商品名ビィパル(登録商標))とを、A-15/J-15/W-15/イオン交換繊維/芯鞘型繊維/アクリル系合成パルプ=37/6/30/12/7/8の質量比で供給し、パルパーを用いて離解、混合し、均一に分散したスラリーを調製した。調製したスラリーをリファイナーに通してからワイヤー上に流し、脱水することで坪量を調整した。その後、プレスパートを経てドライヤーパートでシートを乾燥しつつ芯鞘型繊維の鞘部の一部を溶融させ、カレンダーパートでシート表面を平滑にしてからリールで巻き取り、坪量が90g/m2、厚さが0.65mmである湿式抄紙不織布である繊維状活性炭含有不織布を作製し、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Cを得た。なお、繊維状活性炭含有不織布の厚さは、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製 ピーコック精密測定機器 シックネスゲージ 大型タイプ(厚み測定器)J-A)により任意に3点測定し、それらの平均値とした。
【0116】
(ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材D)
銀含有繊維状活性炭(ユニチカ株式会社製、商品名:アドールJ-15、比表面積1700m2/g、全細孔容積0.80cm3/g、ミクロ細孔容積率89%、銀含有量0.7質量%)と、繊維状活性炭(ユニチカ株式会社製、商品名:アドールW-10、比表面積1100m2/g、全細孔容積0.65cm3/g、ミクロ細孔容積率72%)と、イオン交換繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:A-02CA、弱酸型ポリアクリレート系イオン交換繊維(Ca置換ポリアクリレート系イオン交換繊維))と、芯鞘型繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:メルティ4080、芯部がPET、鞘部が融点110℃の低融点ポリエステルである芯鞘型繊維)と、アクリル系合成パルプ(日本エクスラン工業株式会社製、商品名ビィパル(登録商標))とを、J-15/W-15/イオン交換繊維/芯鞘型繊維/アクリル系合成パルプ=3/74/9/11/3の質量比で供給し、パルパーを用いて離解、混合し、均一に分散したスラリーを調製した。調製したスラリーをリファイナーに通してからワイヤー上に流し、脱水することで坪量を調整した。その後、プレスパートを経てドライヤーパートでシートを乾燥しつつ芯鞘型繊維の鞘部の一部を溶融させ、カレンダーパートでシート表面を平滑にしてからリールで巻き取り、坪量が90g/m2、厚さが0.90mmである湿式抄紙不織布である繊維状活性炭含有不織布を作製し、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Cを得た。なお、繊維状活性炭含有不織布の厚さは、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製 ピーコック精密測定機器 シックネスゲージ 大型タイプ(厚み測定器)J-A)により任意に3点測定し、それらの平均値とした。
【0117】
(ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材E)
繊維状活性炭(ユニチカ株式会社製、商品名:アドールW-15、比表面積1300m2/g、全細孔容積1.10cm3/g、ミクロ細孔容積率52%)と、合成パルプ(ポリエチレン系合成パルプとアラミド系合成パルプの混合品)とを、繊維状活性炭/合成パルプ=80/20の質量比で供給し、パルパーを用いて離解、混合し、均一に分散したスラリーを調製した。調製したスラリーをリファイナーに通してからワイヤー上に流し、脱水することで坪量を調整した。その後、プレスパートを経てドライヤーパートでシートを乾燥し、カレンダーパートでシート表面を平滑にしてからリールで巻き取り、坪量が80g/m2、厚さが0.60mmである湿式抄紙不織布である繊維状活性炭含有不織布を作製し、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Eを得た。なお、繊維状活性炭含有不織布の厚さは、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製 ピーコック精密測定機器 シックネスゲージ 大型タイプ(厚み測定器)J-A)により任意に3点測定し、それらの平均値とした。
【0118】
(ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材F)
繊維状活性炭(ユニチカ株式会社製、商品名:アドールA-7、比表面積850m2/g、全細孔容積0.35cm3/g、ミクロ細孔容積率96%)と、粉末状活性炭(株式会社キャタラー製、商品名FM-150)と、芯鞘型繊維(ユニチカ株式会社製、商品名:メルティ4080、芯部がPET、鞘部が融点110℃の低融点ポリエステルである芯鞘型繊維)と、アクリル系合成パルプ(日本エクスラン工業株式会社製、商品名ビィパル(登録商標))とを、繊維状活性炭/粉末状活性炭/芯鞘型繊維/アクリル系合成パルプ=7/69/11/13の質量比で供給し、パルパーを用いて離解、混合し、均一に分散したスラリーを調製した。調製したスラリーをリファイナーに通してからワイヤー上に流し、脱水することで坪量を調整した。その後、プレスパートを経てドライヤーパートでシートを乾燥し、カレンダーパートでシート表面を平滑にしてからリールで巻き取り、坪量が130g/m2、厚さが0.80mmである湿式抄紙不織布である繊維状活性炭含有不織布を作製し、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Fを得た。なお、繊維状活性炭含有不織布の厚さは、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製 ピーコック精密測定機器 シックネスゲージ 大型タイプ(厚み測定器)J-A)により任意に3点測定し、それらの平均値とした。
【0119】
2.観賞植物の作製
実施例3
ガラス容器(外寸:100mm×100mm×100mm、内寸:横75mm×奥行75mm×高さ90mm)の底中央に、作製したハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材A(50mm×50mm)を1枚設けたのち、ガラス容器内に育成植物としてポトス(試験例1とは異なる品種のポトス)を入れると共に、植物保持部材((有)三浦園芸製、ハイドロコーン(小粒))を敷き詰めて観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0120】
実施例4
実施例3において、作製したハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Aの代わりに、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材B(50mm×50mm)をガラス容器の底に投入した以外は、実施例3と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0121】
実施例5
実施例3において、作製したハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Aの代わりに、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材C(50mm×50mm)をガラス容器の底に投入した以外は、実施例3と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0122】
実施例6
実施例3において、作製したハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Aの代わりに、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材D(50mm×50mm)をガラス容器の底に投入した以外は、実施例3と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0123】
実施例7
実施例3において、作製したハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Aの代わりに、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材E(50mm×50mm)をガラス容器の底に投入した以外は、実施例3と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0124】
実施例8
実施例3において、作製したハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Aの代わりに、ハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材F(50mm×50mm)をガラス容器の底に投入した以外は、実施例3と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0125】
比較例5
実施例3において、作製したハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Aを設けなかった以外は、実施例3と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0126】
比較例6
実施例3において、作製したハイドロカルチャー用防カビ又は防藻材Aの代わりに、ゼオライト(販売元:株式会社アメージングクラフト、商品名:国産 天然 ゼオライト 中目 約5mm-10mm)をガラス容器の底一面に投入した以外は、実施例3と同様の方法で観賞植物を作製し、水を適量加えた。
【0127】
3.カビや藻の繁殖抑制試験
実施例3~8、及び比較例5、6の観賞植物を住宅のリビング(東向き)の日光がカーテン越しに当たる場所に置き、ポトスの育成を行った。水は、植物保持部材が乾いたタイミングで全ての観賞植物に対して同時に同量加えた。また、肥料(株式会社ハイポネックスジャパン、商品名:ハイポネックスキュート(ハイドロ用))は、1カ月に1回、全ての観賞植物に対して同時に同量加えた。
そして、育成を開始して321日後に、各観賞植物の日光が当たっていた側面、又は底面の状態を観察した。
【0128】
4.試験結果
図13は、比較例5の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面の底部、及び底面に緑色の藻が多く発生していることがわかる。
図14は、比較例6の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面の底部、及び底面に緑色の藻が多く発生していた。また、ゼオライトが溶解し、ガラス容器の底に固着していた。
図15は、実施例3の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。底面の周辺付近において緑色の藻がやや発生したものの、比較例5及び6と比較してカビや藻の繁殖を長期間抑制することができた。
図16は、実施例4の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面、及び底面において緑色の藻がわずかに発生したもののほとんど変化はなく、比較例5及び6と比較してカビや藻の繁殖を長期間抑制することができた。
図17は、実施例5の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面、及び底面の周辺付近において緑色の藻がやや発生したものの、比較例5及び6と比較してカビや藻の繁殖を長期間抑制することができた。
図18は、実施例6の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面、及び底面の周辺付近において緑色の藻がやや発生したものの、比較例5及び6と比較してカビや藻の繁殖を長期間抑制することができた。
図19は、実施例7の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。日光が当たっていた側面、及び底面において緑色の藻がわずかに発生したもののほとんど変化はなく、比較例5及び6と比較してカビや藻の繁殖を長期間抑制することができた。
図20は、実施例8の観賞植物の日光が当たっていた側面、及び底面の状態を示す写真である。実施例3~7と比較すると日光が当たっていた側面の一部において緑色の藻がやや多く発生したが、比較例5及び6と比較すると日光が当たっていた側面、及び底面において緑色の藻の発生は少なく、比較例5及び6と比較してカビや藻の繁殖を長期間抑制することができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20