IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サントリーホールディングス株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177141
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】容器詰飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/52 20060101AFI20241212BHJP
   A23L 2/68 20060101ALI20241212BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20241212BHJP
   A23F 3/14 20060101ALI20241212BHJP
   A23F 5/24 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A23L2/52
A23L2/68
A23L2/00 B
A23F3/14
A23F5/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092664
(22)【出願日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2023094790
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100158481
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【弁理士】
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悠一
(72)【発明者】
【氏名】水口 伊玖磨
【テーマコード(参考)】
4B027
4B117
【Fターム(参考)】
4B027FB13
4B027FB24
4B027FK02
4B027FK03
4B027FP85
4B027FQ19
4B117LC02
4B117LC14
4B117LE10
4B117LG16
4B117LG17
4B117LG18
4B117LK04
4B117LK06
4B117LK08
4B117LK12
4B117LK16
4B117LK21
4B117LL01
4B117LL03
4B117LP05
4B117LP17
(57)【要約】
【課題】新たな容器詰飲料が求められていた。
【解決手段】イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含み、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を含む、容器詰飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含み、
乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を含む、容器詰飲料。
【請求項2】
イソクエルシトリンであるケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含み、
乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を含む、容器詰飲料。
【請求項3】
イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなるケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含み、
クエン酸、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を含む、容器詰飲料。
【請求項4】
乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料の含有量が10mg/L以上である、請求項1または2に記載の飲料。
【請求項5】
リン酸、クエン酸、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1または2に記載の飲料。
【請求項6】
前記ケルセチン配糖体を10質量ppb以上の量で含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項7】
カロリーが30kcal/100mL以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項8】
真正エキスが5.00質量%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項9】
アルコール度数が1.0(v/v)%未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項10】
前記容器詰飲料が、炭酸飲料である、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項11】
前記炭酸飲料が、ビールテイスト飲料である、請求項10に記載の飲料。
【請求項12】
前記ビールテイスト飲料が、発酵ビールテイスト飲料である、請求項11に記載の飲料。
【請求項13】
前記ビールテイスト飲料が、非発酵ビールテイスト飲料である、請求項11に記載の飲料。
【請求項14】
イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量となるように調整することと、
乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を添加することと、を含む、容器詰飲料の製造方法。
【請求項15】
乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を含む容器詰飲料に対して、イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量となるように調整することを含む、容器詰飲料の味質改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器詰飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、消費者の多様化した好みに応じて、様々な容器詰飲料が開発され、市場に流通している。例えば、特許文献1には、リン酸、クエン酸及びリンゴ酸から選ばれる少なくとも1の酸を酸度が0.01~0.1%となるように配合した、ケルセチン配糖体を0.10質量%以下含有するカラメル色素配合炭酸飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-99301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況において、新たな容器詰飲料が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ケルセチン配糖体の含有量を所定の範囲に調整した容器詰飲料を提供する。
すなわち、本発明には、以下の態様の発明が含まれる。
[1]
イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含む、下記[1A]または[1B]の飲料。[1A]イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含み、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を含む、容器詰飲料。
[1B]イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含む、ビールテイスト飲料。
[2]
イソクエルシトリンであるケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含む、下記[2A]または[2B]の飲料。
[2A]イソクエルシトリンであるケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含み、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を含む、容器詰飲料。
[2B]イソクエルシトリンであるケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含む、ビールテイスト飲料。
[3]
イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなるケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含む、下記[3A]または[3B]の飲料。
[3A]イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなるケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含み、クエン酸、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を含む、容器詰飲料。
[3B]イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなるケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含む、ビールテイスト飲料。
[4]
乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料の含有量が10mg/L以上である、[1]または[2]に記載の飲料。
[5]
リン酸、クエン酸、またはこれらの組み合わせをさらに含む、[1]または[2]に記載の飲料。
[6]
前記ケルセチン配糖体を10質量ppb以上の量で含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の飲料。
[7]
カロリーが30kcal/100mL以下である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の飲料。
[8]
真正エキスが5.00質量%以下である、[1]~[7]のいずれか一項に記載の飲料。
[9]
アルコール度数が1.0(v/v)%未満である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の飲料。
[10]
前記容器詰飲料が、炭酸飲料である、[1]~[9]のいずれか一項に記載の飲料。[11]
前記炭酸飲料が、ビールテイスト飲料である、[10]に記載の飲料。
[12]
前記ビールテイスト飲料が、発酵ビールテイスト飲料である、[11]に記載の飲料。[13]
前記ビールテイスト飲料が、非発酵ビールテイスト飲料である、[11]に記載の飲料。
[14]
イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量となるように調整することと、
乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を添加することと、を含む、容器詰飲料の製造方法。
[15]
乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を含む容器詰飲料に対して、イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量となるように調整することを含む、容器詰飲料の味質改善方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の好適な一態様によれば、好適な味の厚みを有する容器詰飲料を提供する。また、本発明の好適な一態様によれば、不適な渋みの少ない容器詰飲料を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載された数値範囲については、上限値及び下限値を任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「好ましくは30~100、より好ましくは40~80」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。また、例えば、数値範囲として「好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは80以下である」と記載されている場合、「30~80」との範囲や「40~100」との範囲も、本明細書に記載された数値範囲に含まれる。
加えて、本明細書に記載された数値範囲として、例えば「60~100」との記載は、「60以上(60又は60超)、100以下(100又は100未満)」という範囲であることを意味する。
【0008】
1.容器詰飲料
本発明の容器詰飲料は、ケルセチン配糖体を含有し、ケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含むものであればよく、飲料の種類は特に制限されない。
本発明の一態様の容器詰飲料は、例えば、炭酸飲料であってもよく、非炭酸飲料であってもよい。本明細書において、「炭酸飲料」は、炭酸ガス(二酸化炭素)が溶解した飲料を意味する。
本発明の一態様である炭酸飲料は、甘味性炭酸飲料であってもよく、非甘味性炭酸飲料であってもよい。甘味性炭酸飲料としては、具体的には、例えば、チューハイ、サワー、エナジー飲料、コーラ飲料、ジンジャーエール、ラムネ、果汁含有炭酸飲料等が挙げられる。また、非甘味性炭酸飲料としては、具体的には、例えば、ウイスキー、ブランデー、ワイン、焼酎、リキュール、スピリッツ等の非発泡性アルコール飲料に炭酸ガスを圧入した発泡性アルコール飲料、ビールテイスト飲料、甘味料を含まない炭酸水等が挙げられる。
本発明の一態様である非炭酸飲料は、甘味性非炭酸飲料であってもよく、非甘味性非炭酸飲料であってもよい。甘味性非炭酸飲料としては、具体的には、例えば、果汁含有飲料、果汁風味飲料、乳酸菌飲料、麦芽飲料、スポーツドリンク、甘味付けされた茶飲料、甘味付けされたコーヒー飲料等が挙げられる。非甘味性非炭酸飲料としては、具体的には、例えば、無糖のコーヒー飲料、無糖の茶飲料(例えば、紅茶、緑茶、ウーロン茶、麦茶、等)等が挙げられる。
【0009】
本発明の一態様の容器詰飲料は、炭酸飲料であり、当該炭酸飲料は、ビールテイスト飲料であってよい。本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコール含有またはノンアルコールの炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料も包含する。
したがって、「ビールテイスト飲料」には、例えば、麦芽、ホップ、及び水を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる麦芽発酵飲料であるビールや発酵ビールテイスト飲料だけでなく、エステルや高級アルコール、ラクトン等の香気成分を含むビール香料が添加された炭酸飲料(非発酵ビールテイスト飲料)、その他日本の酒税法上の名称における発泡酒、発泡性のリキュール類をも包含する。
【0010】
また、本発明の容器詰飲料の一態様であるビールテイスト飲料は、酵母を用いて発酵工程を経た発酵ビールテイスト飲料であってもよく、発酵工程を経ない非発酵ビールテイスト飲料であってもよい。
発酵ビールテイスト飲料としては、上面発酵酵母(サッカロマイセス等)を用いた発酵工程を経て醸造されたエールビールテイスト飲料であってもよく、下面発酵酵母(サッカロマイセス等)を用いた発酵工程を経て醸造されたラガービールテイスト飲料、ピルスナービールテイスト飲料であってもよく、これらのビールテイスト飲料をブレンドしたものであってもよい。
また、本明細書でいう「発酵」は、アルコールが生じるアルコール発酵であってもよく、アルコールが生じない非アルコール発酵であってもよい。
加えて、本発明の容器詰飲料の一態様であるビールテイスト飲料は、原料として麦芽(例えば、大麦麦芽、小麦麦芽等)を用いた麦芽使用ビールテイスト飲料であってもよく、麦芽を用いない麦芽不使用ビールテイスト飲料であってもよい。麦芽使用ビールテイスト飲料としては、例えば、大麦麦芽使用ビールテイスト飲料が挙げられる。
また、本発明の容器詰飲料の一態様であるビールテイスト飲料は、原料として麦(例えば、大麦、小麦等)を用いた麦使用ビールテイスト飲料であってもよく、麦を用いない麦不使用ビールテイスト飲料であってもよい。麦使用ビールテイスト飲料としては、例えば、大麦使用ビールテイスト飲料が挙げられる。
【0011】
なお、上述したビール香料に含まれる香気成分としては、例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール(1-プロパノール等)、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、イソアミルプロピオネート、リナロール、ゲラニオール、シトラール、4-ビニルグアイアコール(4-VG)、4-メチル-3-ペンテン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、1,4-シネオール、1,8-シネオール、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカラクトン、ヘキサン酸エチル、2-メチル酪酸エチル、n-酪酸エチル、ミルセン、シトラール、リモネン、マルトール、エチルマルトール、フェニル酢酸、フラネオール、フルフラール、メチオナール、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、ダイアセチル、フェルラ酸、ゲラン酸、ゲラニルアセテート、酪酸エチル、オクタン酸、デカン酸、9-デセン酸、ノナン酸、テトラデカン酸、プロパン酸、2-メチルプロパン酸、γ-ブチロラクトン、2-アミノアセトフェノン、3-フェニルプロピオン酸エチル、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン、ジメチルスルホン、3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン、2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、2-アセチルフラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、ヘキサナール、ヘキサノール、シス-3-ヘキセナール、1-オクテン-3-オール、β-ユーデスモール、4-メルカプト-4-メチルペンタン-2-オン、β-カリオフィレン、β-ミルセン、フルフリルアルコール、2-エチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、酢酸2-メチルブチル、イソアミルアルコール、5-ヒドロキシメチルフルフラール、フェニルアセトアルデヒド、1-フェニル-3-ブテン-1-オン、トランス-2-ヘキセナール、ノナナール、フェネチルアルコール、ネロール、シトロネロール、p-トルイル酸メチル、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、酒石酸ジエチル、リンゴ酸ジブチル、ペリルアルデヒド、メチルヘプテノン、レモンマートル、シンナムアルデヒド等が挙げられる。
【0012】
本発明の容器詰飲料は、飲料が容器に詰められた態様であればよい。容器の例としては、ビン、ペットボトル、缶(ボトル缶を含む)、紙パックまたは樽が挙げられる。また、好ましい態様の容器としては、再栓可能な容器が挙げられる。具体的には、例えば、再栓可能なビン、ペットボトル、または缶(例えば、ボトル缶)が挙げられる。
【0013】
本発明の一態様の容器詰飲料は、アルコール含有飲料であってもよく、アルコール非含有飲料であってもよい。アルコール含有の容器詰飲料とする場合のアルコール度数(エタノールの含有量)は、1.0(v/v)%以上、1.25(v/v)%以上、1.5(v/v)%以上、1.75(v/v)%以上、2.0(v/v)%以上、2.10(v/v)%以上、2.25(v/v)%以上、2.5(v/v)%以上、2.75(v/v)%以上、3.0(v/v)%以上、3.25(v/v)%以上、3.5(v/v)%以上、3.75(v/v)%以上、4.0(v/v)%以上、4.25(v/v)%以上、4.5(v/v)%以上、4.75(v/v)%以上、5.0(v/v)%以上、5.5(v/v)%以上、6.0(v/v)%以上、6.5(v/v)%以上、7.0(v/v)%以上、7.5(v/v)%以上、8.0(v/v)%以上、8.5(v/v)%以上、または、9.0(v/v)%以上としてもよく、また、30.0(v/v)%以下、25.0(v/v)%以下、20.0(v/v)%以下、18.0(v/v)%以下、16.0(v/v)%以下、15.0(v/v)%以下、14.0(v/v)%以下、13.5(v/v)%以下、13.0(v/v)%以下、12.5(v/v)%以下、12.0(v/v)%以下、11.5(v/v)%以下、11.0(v/v)%以下、10.5(v/v)%以下、10.0(v/v)%以下、9.5(v/v)%以下、9.0(v/v)%以下、8.5(v/v)%以下、8.0(v/v)%以下、7.5(v/v)%以下、7.0(v/v)%以下、6.5(v/v)%以下、6.0(v/v)%以下、5.5(v/v)%以下、5.0(v/v)%以下、4.5(v/v)%以下、4.0(v/v)%以下、3.5(v/v)%以下、3.0(v/v)%以下、2.5(v/v)%以下、2.0(v/v)%以下、または、1.5(v/v)%以下としてもよい。
【0014】
アルコール非含有の容器詰飲料とする場合のアルコール度数(エタノールの含有量)は、1.0(v/v)%未満、0.9(v/v)%以下、0.8(v/v)%以下、0.7(v/v)%以下、0.6(v/v)%以下、0.5(v/v)%以下、0.4(v/v)%以下、0.3(v/v)%以下、0.2(v/v)%以下、0.1(v/v)%以下、0.05(v/v)%以下、0.01(v/v)%以下、0.0050(v/v)%以下、0.0050(v/v)%未満、又は0.0025(v/v)%以下であってもよく、エタノールを実質的に含まない容器詰飲料であってもよい。
なお、「エタノールを実質的に含まない容器詰飲料」とは、検出できない程度の極微量のエタノールを含有する飲料を包含する。小数第一位を四捨五入することでエタノール含有量が0(v/v)%となる飲料、小数第二位を四捨五入することでエタノール含有量が0.0(v/v)%となる飲料、及び小数第三位を四捨五入することでエタノール含有量が0.00(v/v)%となる飲料も、本発明の一態様のアルコール非含有の容器詰飲料に包含される。
【0015】
なお、本明細書において、アルコール度数は、体積/体積基準の百分率((v/v)%)で示されるものとする。また、飲料のアルコール度数は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、アルコール度数が1.0(v/v)%以上の場合、振動式密度計によって測定することができる。また、例えば、アルコール度数が1.0(v/v)%未満の場合、ガスクロマトグラフィーによって測定することができる。
【0016】
本発明の一態様の容器詰飲料において、アルコール度数の調整は、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦、麦芽、コーンタンパク、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽での糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(調合時、仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後等)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、並びに、スピリッツや醸造アルコール等の添加の有無及び添加する場合の添加量等を適宜設定することで所望の範囲に調整することができる。
【0017】
上述したように、本発明の容器詰飲料は、ケルセチン配糖体を含有し、ケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppb未満の量となるように調整した飲料である。ケルセチン配糖体は、フラボノイドの一種であるケルセチン(Quercetin)の3位のヒドロキシ基に1以上の糖鎖がグリコシド結合した化合物の総称である。当該糖鎖を構成し得る糖としては、例えば、グルコース、ラムノース、ガラクトース、グルクロン酸糖が挙げられる。
本発明者らは、新たな容器詰飲料の開発を重ねたところ、ケルセチン配糖体を一定量含有させることで、容器詰飲料に良好な味の厚みを付与できることを見出した。一方、本発明者らは、ケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppbを超えると、飲料に不適な渋みが付与されてしまうことを明らかにした。
そのため、本発明は、ケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppb未満の量となるように調整している。
なお、本明細書において、特に断らない限り、ケルセチン配糖体の含有量は、イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される少なくとも1種の含有量である。ただし、本発明の容器詰飲料は、イソクエルシトリンおよびヒペロシド以外のケルセチン配糖体を含有してもよい。
【0018】
本発明の一態様の容器詰飲料は、良好な味の厚みを付与しつつ、不適な渋みの少ない飲料とする観点から、ケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppb未満の量であることが好ましい。本発明の一態様において、ケルセチン配糖体の含有量は、19900質量ppb以下、19800質量ppb以下、19000質量ppb以下、18500質量ppb以下、18000質量ppb以下、17500質量ppb以下、17000質量ppb以下、16500質量ppb以下、16000質量ppb以下、15500質量ppb以下、15000質量ppb以下、14500質量ppb以下、14000質量ppb以下、13500質量ppb以下、13000質量ppb以下、12500質量ppb以下、12000質量ppb以下、11500質量ppb以下、11000質量ppb以下、10500質量ppb以下、10000質量ppb以下、9900質量ppb以下、9000質量ppb以下、8500質量ppb以下、8000質量ppb以下、7500質量ppb以下、7000質量ppb以下、6900質量ppb以下、6800質量ppb以下、6700質量ppb以下、6600質量ppb以下、6500質量ppb以下、6400質量ppb以下、6300質量ppb以下、6200質量ppb以下、6100質量ppb以下、6000質量ppb以下、5900質量ppb以下、5800質量ppb以下、5700質量ppb以下、5600質量ppb以下、5500質量ppb以下、5400質量ppb以下、5300質量ppb以下、5200質量ppb以下、5100質量ppb以下、5000質量ppb以下、4900質量ppb以下、4800質量ppb以下、4700質量ppb以下、4600質量ppb以下、4500質量ppb以下、4400質量ppb以下、4300質量ppb以下、4200質量ppb以下、4100質量ppb以下、4000質量ppb以下、3900質量ppb以下、3800質量ppb以下、3700質量ppb以下、3600質量ppb以下、3500質量ppb以下、3400質量ppb以下、3300質量ppb以下、3200質量ppb以下、3100質量ppb以下、3000質量ppb以下、2500質量ppb以下、2000質量ppb以下、1500質量ppb以下、または、1000質量ppb以下とすることも好ましい。
また、本発明は、ケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含有すればよいため、ケルセチン配糖体の含有量の下限値は特に制限されないが、容器詰飲料に良好な味の厚みを付与する観点から、本発明の一態様の容器詰飲料のケルセチン配糖体の含有量は、1質量ppb以上、5質量ppb以上、10質量ppb以上、15質量ppb以上、20質量ppb以上、25質量ppb以上、30質量ppb以上、35質量ppb以上、40質量ppb以上、45質量ppb以上、50質量ppb以上、55質量ppb以上、60質量ppb以上、65質量ppb以上、70質量ppb以上、75質量ppb以上、80質量ppb以上、85質量ppb以上、90質量ppb以上、95質量ppb以上、100質量ppb以上、110質量ppb以上、120質量ppb以上、130質量ppb以上、140質量ppb以上、150質量ppb以上、160質量ppb以上、170質量ppb以上、180質量ppb以上、190質量ppb以上、200質量ppb以上、250質量ppb以上、300質量ppb以上、350質量ppb以上、400質量ppb以上、450質量ppb以上、500質量ppb以上、550質量ppb以上、600質量ppb以上、650質量ppb以上、700質量ppb以上、750質量ppb以上、800質量ppb以上、850質量ppb以上、900質量ppb以上、950質量ppb以上、または、1000質量ppb以上とすることが好ましい。
なお、ケルセチン配糖体の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定することができる。
【0019】
ケルセチン配糖体は、化学的に合成したものを用いてもよく、ケルセチン配糖体を含有する植物の抽出物を分離および/または精製する工程を経て得られたものを用いてもよく、ケルセチンまたはケルセチン配糖体を含有する抽出物の精製物を糖転移酵素により変換して得た酵素処理物を用いてもよい。これらの各種処理は、既知の方法により行うことができる。
ケルセチンまたはケルセチン配糖体を含有する植物としては、ソバ、ケッパー、リンゴ、茶、タマネギ、ブドウ、ブロッコリー、モロヘイヤ、ラズベリー、コケモモ、クランベリー、オプンティア、葉菜類、柑橘類等が挙げられる。
【0020】
本発明の一態様の容器詰飲料は、ケルセチン配糖体として、イソクエルシトリン、クエルシトリン、ピペロシド、ルチンおよび酵素処理ルチン(酵素処理イソクエルシトリンまたは糖転移ルチンとも称される)からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
本発明の一態様の容器詰飲料は、ケルセチン配糖体として、イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
本発明の一態様の容器詰飲料は、ケルセチン配糖体として、イソクエルシトリンおよびヒペロシドをともに含む。
【0021】
本発明の一態様の容器詰飲料は、良好な味の厚みを付与しつつ、不適な渋みの少ない飲料とする観点から、イソクエルシトリンの含有量が20000質量ppb未満の量であることが好ましい。本発明の一態様において、イソクエルシトリンの含有量は、19900質量ppb以下、19800質量ppb以下、19000質量ppb以下、18500質量ppb以下、18000質量ppb以下、17500質量ppb以下、17000質量ppb以下、16500質量ppb以下、16000質量ppb以下、15500質量ppb以下、15000質量ppb以下、14500質量ppb以下、14000質量ppb以下、13500質量ppb以下、13000質量ppb以下、12500質量ppb以下、12000質量ppb以下、11500質量ppb以下、11000質量ppb以下、10500質量ppb以下、10000質量ppb以下、9900質量ppb以下、9000質量ppb以下、8500質量ppb以下、8000質量ppb以下、7500質量ppb以下、7000質量ppb以下、6900質量ppb以下、6800質量ppb以下、6700質量ppb以下、6600質量ppb以下、6500質量ppb以下、6400質量ppb以下、6300質量ppb以下、6200質量ppb以下、6100質量ppb以下、6000質量ppb以下、5900質量ppb以下、5800質量ppb以下、5700質量ppb以下、5600質量ppb以下、5500質量ppb以下、5400質量ppb以下、5300質量ppb以下、5200質量ppb以下、5100質量ppb以下、5000質量ppb以下、4900質量ppb以下、4800質量ppb以下、4700質量ppb以下、4600質量ppb以下、4500質量ppb以下、4400質量ppb以下、4300質量ppb以下、4200質量ppb以下、4100質量ppb以下、4000質量ppb以下、3900質量ppb以下、3800質量ppb以下、3700質量ppb以下、3600質量ppb以下、3500質量ppb以下、3400質量ppb以下、3300質量ppb以下、3200質量ppb以下、3100質量ppb以下、3000質量ppb以下、2500質量ppb以下、2000質量ppb以下、1500質量ppb以下、または、1000質量ppb以下とすることも好ましい。
また、イソクエルシトリンの含有量の下限値は特に制限されないが、容器詰飲料に良好な味の厚みを付与する観点から、本発明の一態様の容器詰飲料のイソクエルシトリンの含有量は、1質量ppb以上、5質量ppb以上、10質量ppb以上、15質量ppb以上、20質量ppb以上、25質量ppb以上、30質量ppb以上、35質量ppb以上、40質量ppb以上、45質量ppb以上、50質量ppb以上、55質量ppb以上、60質量ppb以上、65質量ppb以上、70質量ppb以上、75質量ppb以上、80質量ppb以上、85質量ppb以上、90質量ppb以上、95質量ppb以上、100質量ppb以上、110質量ppb以上、120質量ppb以上、130質量ppb以上、140質量ppb以上、150質量ppb以上、160質量ppb以上、170質量ppb以上、180質量ppb以上、190質量ppb以上、200質量ppb以上、250質量ppb以上、300質量ppb以上、350質量ppb以上、400質量ppb以上、450質量ppb以上、500質量ppb以上、550質量ppb以上、600質量ppb以上、650質量ppb以上、700質量ppb以上、750質量ppb以上、800質量ppb以上、850質量ppb以上、900質量ppb以上、950質量ppb以上、または、1000質量ppb以上とすることが好ましい。
【0022】
本発明の一態様の容器詰飲料は、良好な味の厚みを付与しつつ、不適な渋みの少ない飲料とする観点から、ピペロシドの含有量が20000質量ppb未満の量であることが好ましい。本発明の一態様において、ピペロシドの含有量は、19900質量ppb以下、19800質量ppb以下、19000質量ppb以下、18500質量ppb以下、18000質量ppb以下、17500質量ppb以下、17000質量ppb以下、16500質量ppb以下、16000質量ppb以下、15500質量ppb以下、15000質量ppb以下、14500質量ppb以下、14000質量ppb以下、13500質量ppb以下、13000質量ppb以下、12500質量ppb以下、12000質量ppb以下、11500質量ppb以下、11000質量ppb以下、10500質量ppb以下、10000質量ppb以下、9900質量ppb以下、9000質量ppb以下、8500質量ppb以下、8000質量ppb以下、7500質量ppb以下、7000質量ppb以下、6900質量ppb以下、6800質量ppb以下、6700質量ppb以下、6600質量ppb以下、6500質量ppb以下、6400質量ppb以下、6300質量ppb以下、6200質量ppb以下、6100質量ppb以下、6000質量ppb以下、5900質量ppb以下、5800質量ppb以下、5700質量ppb以下、5600質量ppb以下、5500質量ppb以下、5400質量ppb以下、5300質量ppb以下、5200質量ppb以下、5100質量ppb以下、5000質量ppb以下、4900質量ppb以下、4800質量ppb以下、4700質量ppb以下、4600質量ppb以下、4500質量ppb以下、4400質量ppb以下、4300質量ppb以下、4200質量ppb以下、4100質量ppb以下、4000質量ppb以下、3900質量ppb以下、3800質量ppb以下、3700質量ppb以下、3600質量ppb以下、3500質量ppb以下、3400質量ppb以下、3300質量ppb以下、3200質量ppb以下、3100質量ppb以下、3000質量ppb以下、2500質量ppb以下、2000質量ppb以下、1500質量ppb以下、または、1000質量ppb以下とすることも好ましい。
また、ピペロシドの含有量の下限値は特に制限されないが、容器詰飲料に良好な味の厚みを付与する観点から、本発明の一態様の容器詰飲料のピペロシドの含有量は、1質量ppb以上、5質量ppb以上、10質量ppb以上、15質量ppb以上、20質量ppb以上、25質量ppb以上、30質量ppb以上、35質量ppb以上、40質量ppb以上、45質量ppb以上、50質量ppb以上、55質量ppb以上、60質量ppb以上、65質量ppb以上、70質量ppb以上、75質量ppb以上、80質量ppb以上、85質量ppb以上、90質量ppb以上、95質量ppb以上、100質量ppb以上、110質量ppb以上、120質量ppb以上、130質量ppb以上、140質量ppb以上、150質量ppb以上、160質量ppb以上、170質量ppb以上、180質量ppb以上、190質量ppb以上、200質量ppb以上、250質量ppb以上、300質量ppb以上、350質量ppb以上、400質量ppb以上、450質量ppb以上、500質量ppb以上、550質量ppb以上、600質量ppb以上、650質量ppb以上、700質量ppb以上、750質量ppb以上、800質量ppb以上、850質量ppb以上、900質量ppb以上、950質量ppb以上、または、1000質量ppb以上とすることが好ましい。
【0023】
本発明の一態様の容器詰飲料は、良好な味の厚みを付与しつつ、不適な渋みの少ない飲料とする観点から、イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなるケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppb未満の量であることが好ましい。本発明の一態様において、イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなるケルセチン配糖体の含有量は、19900質量ppb以下、19800質量ppb以下、19000質量ppb以下、18500質量ppb以下、18000質量ppb以下、17500質量ppb以下、17000質量ppb以下、16500質量ppb以下、16000質量ppb以下、15500質量ppb以下、15000質量ppb以下、14500質量ppb以下、14000質量ppb以下、13500質量ppb以下、13000質量ppb以下、12500質量ppb以下、12000質量ppb以下、11500質量ppb以下、11000質量ppb以下、10500質量ppb以下、10000質量ppb以下、9900質量ppb以下、9000質量ppb以下、8500質量ppb以下、8000質量ppb以下、7500質量ppb以下、7000質量ppb以下、6900質量ppb以下、6800質量ppb以下、6700質量ppb以下、6600質量ppb以下、6500質量ppb以下、6400質量ppb以下、6300質量ppb以下、6200質量ppb以下、6100質量ppb以下、6000質量ppb以下、5900質量ppb以下、5800質量ppb以下、5700質量ppb以下、5600質量ppb以下、5500質量ppb以下、5400質量ppb以下、5300質量ppb以下、5200質量ppb以下、5100質量ppb以下、5000質量ppb以下、4900質量ppb以下、4800質量ppb以下、4700質量ppb以下、4600質量ppb以下、4500質量ppb以下、4400質量ppb以下、4300質量ppb以下、4200質量ppb以下、4100質量ppb以下、4000質量ppb以下、3900質量ppb以下、3800質量ppb以下、3700質量ppb以下、3600質量ppb以下、3500質量ppb以下、3400質量ppb以下、3300質量ppb以下、3200質量ppb以下、3100質量ppb以下、3000質量ppb以下、2500質量ppb以下、2000質量ppb以下、1500質量ppb以下、または、1000質量ppb以下とすることも好ましい。
また、本発明は、イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなるケルセチン配糖体を20000質量ppb未満の量で含有すればよいため、含有量の下限値は特に制限されないが、容器詰飲料に良好な味の厚みを付与する観点から、本発明の一態様の容器詰飲料のイソクエルシトリンおよびヒペロシドからなるケルセチン配糖体の含有量は、1質量ppb以上、5質量ppb以上、10質量ppb以上、15質量ppb以上、20質量ppb以上、25質量ppb以上、30質量ppb以上、35質量ppb以上、40質量ppb以上、45質量ppb以上、50質量ppb以上、55質量ppb以上、60質量ppb以上、65質量ppb以上、70質量ppb以上、75質量ppb以上、80質量ppb以上、85質量ppb以上、90質量ppb以上、95質量ppb以上、100質量ppb以上、110質量ppb以上、120質量ppb以上、130質量ppb以上、140質量ppb以上、150質量ppb以上、160質量ppb以上、170質量ppb以上、180質量ppb以上、190質量ppb以上、200質量ppb以上、250質量ppb以上、300質量ppb以上、350質量ppb以上、400質量ppb以上、450質量ppb以上、500質量ppb以上、550質量ppb以上、600質量ppb以上、650質量ppb以上、700質量ppb以上、750質量ppb以上、800質量ppb以上、850質量ppb以上、900質量ppb以上、950質量ppb以上、または、1000質量ppb以上とすることが好ましい。
【0024】
本発明の一態様の容器詰飲料が、ケルセチン配糖体として、イソクエルシトリンおよびピペロシドをともに含む場合、当該イソクエルシトリンおよびピペロシドの含有量比(イソクエルシトリン:ピペロシド)は、質量比で、1:99~99:1、10:90~90:10、20:80~80:20、30:70~70:30、40:60~60:40、または、50:50であってよい。
【0025】
本発明の一態様の容器詰飲料は、ケルセチン配糖体として、ルチンまたは酵素処理ルチンを実質的に含まない。「ルチンまたは酵素処理ルチンを実質的に含まない」とは、当該ルチンまたは酵素処理ルチンを意図的に配合してなる容器詰飲料を除外することを意味し、不可避的にこれらが混入または配合されてしまう態様までをも除外するわけではない。しかし、このような不可避的に混入または配合されてしまうルチンまたは酵素処理ルチンの含有量も極力少ない程好ましい。
本発明の一態様の容器詰飲料に含まれ得るルチンまたは酵素処理ルチンの含有量は、好ましくは5質量ppb未満、より好ましくは3質量ppb未満、更に好ましくは1質量ppb未満、特に好ましくは0.1質量ppb未満である。
【0026】
本発明の一態様の容器詰飲料は、真正エキスが5.00質量%以下であることが好ましい。真正エキスを5.00質量%以下とすることで、良好な味の厚みを感じつつ、すっきりとした飲み口の容器詰飲料とすることができる。上記観点から、本発明の一態様における容器詰飲料の真正エキスは、4.90質量%以下、4.80質量%以下、4.70質量%以下、4.60質量%以下、4.50質量%以下、4.40質量%以下、4.30質量%以下、4.20質量%以下、4.10質量%以下、4.00質量%以下、3.90質量%以下、3.85質量%以下、3.80質量%以下、3.70質量%以下、3.60質量%以下、3.55質量%以下、3.50質量%以下、3.40質量%以下、3.30質量%以下、3.20質量%以下、3.10質量%以下、3.00質量%以下、2.90質量%以下、2.80質量%以下、2.70質量%以下、2.60質量%以下、2.50質量%以下、2.40質量%以下、2.30質量%以下、2.20質量%以下、2.10質量%以下、2.00質量%以下、1.90質量%以下、1.80質量%以下、1.70質量%以下、1.60質量%以下、1.50質量%以下、1.40質量%以下、1.30質量%以下、1.20質量%以下、1.10質量%以下、1.00質量%以下、0.95質量%以下、0.90質量%以下、0.80質量%以下、0.70質量%以下、0.60質量%以下、0.50質量%以下、0.45質量%以下、0.40質量%以下、または、0.35質量%以下とすることが好ましい。
他方、真正エキスの下限値は特に制限されないが、本発明の一態様の容器詰飲料は、例えば、真正エキスが0.05質量%以上、0.10質量%以上、0.15質量%以上、0.20質量%以上、0.25質量%以上、0.30質量%以上、0.35質量%以上、0.40質量%以上、0.45質量%以上、または、0.50質量%以上であることが好ましい。
【0027】
なお、真正エキス(リアルエキス)とは、飲料において溶存しており、飲料を(酵母や蛋白凝固物など不溶物がある場合はこれを濾別したうえで)穏やかに加熱して水分、アルコール、二酸化炭素、その他の揮発性成分をすべて蒸発させたとき、蒸発せずに乾固して残る固形物そのもの(可溶性蒸発残渣)、またはその含有量(質量%)をいう。
真正エキスの調整は、飲料の種類や使用する原材料に応じて、希釈水または炭酸水の添加、原材料(麦、麦芽、コーンタンパク、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、麦汁濾過の時間、麦汁濾過のpH、煮沸時間、煮沸温度、スピリッツの添加量、醸造アルコールの添加量等を適宜設定して行うことができる。
本発明の一態様の容器詰飲料の真正エキスは、飲料の種類およびアルコール含有の有無にかかわらず、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂に記載されているアルコライザー法によって測定することができる。なお、真正エキスは飲料における固形分量であることから、本発明の一態様の容器詰飲料の真正エキスは、炭水化物(すなわち、糖質および食物繊維)、タンパク質、脂質および灰分の合計量とみなすこともできる。
【0028】
本発明の一態様の容器詰飲料は、健康志向の高い消費者などでも飲み易い飲料とする観点から、カロリーが30kcal/100mL以下であることが好ましい。本発明の一態様の容器詰飲料のカロリーは、28kcal/100mL以下、26kcal/100mL以下、24kcal/100mL以下、22kcal/100mL以下、20kcal/100mL以下、19kcal/100mL以下、18kcal/100mL以下、17kcal/100mL以下、16kcal/100mL以下、15kcal/100mL以下、14kcal/100mL以下、13kcal/100mL以下、12kcal/100mL以下、11kcal/100mL以下、10kcal/100mL以下、9.0kcal/100mL以下、8.0kcal/100mL以下、7.0kcal/100mL以下、6.0kcal/100mL以下、5.0kcal/100mL以下、4.0kcal/100mL以下、3.0kcal/100mL以下、2.0kcal/100mL以下、1.5kcal/100mL以下、1.0kcal/100mL以下、0.5kcal/100mL以下、または、0kcal/100mLとすることも好ましい。
他方、カロリーの下限値は特に制限されないが、本発明の一態様の容器詰飲料は、例えば、カロリーが0.1kcal/100mL以上、0.5kcal/100mL以上、または、1.0kcal/100mLであってよい。
【0029】
本発明の一態様の容器詰飲料がビールテイスト飲料である場合、当該ビールテイスト飲料の色度は、ビールテイスト飲料らしいインパクトのある外観とする観点から、3.0EBC以上、3.5EBC以上、4.0EBC以上、4.5EBC以上、5.0EBC以上、5.2EBC以上、5.4EBC以上、5.6EBC以上、5.8EBC以上、6.0EBC以上、6.2EBC以上、6.4EBC以上、6.6EBC以上、6.8EBC以上、7.0EBC以上、7.2EBC以上、7.4EBC以上、7.6EBC以上、7.8EBC以上、または、8.0EBC以上とすることが好ましい。
また、本発明の一態様であるビールテイスト飲料の色度は、飲み易い印象を与える外観とする観点から、50.0EBC以下、40.0EBC以下、30.0EBC以下、25.0EBC以下、20.0EBC以下、19.0EBC以下、18.0EBC以下、17.0EBC以下、16.0EBC以下、15.0EBC以下、14.0EBC以下、13.0EBC以下、12.0EBC以下、11.0EBC以下、10.0EBC以下、9.0EBC以下、8.0EBC以下、7.0EBC以下、6.0EBC以下、5.0EBC以下、または、4.0EBC以下であってもよい。
【0030】
本明細書において、本発明の一態様であるビールテイスト飲料の「色度」は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)の「8.8 色度」に記載された測定法よって測定することができる。
なお、「色度」は、欧州醸造協会(European Brewery Convention)により定められた色度の単位(EBC単位)により特定される。数値が小さいほど色が薄く明るい飲料であり、逆に、数値が大きいほど色が濃く暗い飲料である。
本発明の一態様であるビールテイスト飲料の色度は、例えば、使用する麦芽の種類、2種以上の麦芽を併用する場合にはその配合比率、発酵前液を調製する際の煮沸条件等を適宜調整することにより制御できる。より具体的に、例えば、ビールテイスト飲料の色度を高くするには、麦芽として濃色麦芽の配合比率を高くこと、煮沸処理時の温度を高くすること、煮沸時間を長くすること、及び糖化液の調製の際にデコクションを実施すること等により、調整可能である。また、原麦汁エキス濃度を高めることや、麦芽比率を高めることによっても、色度を高く調整することができる。また、カラメル色素などの食品添加物や着色のある糖液などの量を制御することでも色度を調整することができる。
【0031】
本発明の一態様の容器詰飲料がビールテイスト飲料である場合、当該ビールテイスト飲料の苦味価は、ビールテイスト飲料らしい苦味が感じられる飲料とする観点から、1.0BUs以上、5.0BUs以上、6.0BUs以上、7.0BUs以上、8.0BUs以上、9.0BUs以上、10.0BUs以上、10.5BUs以上、11.0BUs以上、11.5BUs以上、12.0BUs以上、12.5BUs以上、13.0BUs以上、13.5BUs以上、14.0BUs以上、14.5BUs以上、15.0BUs以上、15.5BUs以上、16.0BUs以上、16.5BUs以上、17.0BUs以上、17.5BUs以上、18.0BUs以上、18.5BUs以上、19.0BUs以上、19.5BUs以上、20.0BUs以上、20.5BUs以上、21.0BUs以上、21.5BUs以上、22.0BUs以上、22.5BUs以上、23.0BUs以上、23.5BUs以上、24.0BUs以上、24.5BUs以上、25.0BUs以上、25.5BUs以上、26.0BUs以上、26.5BUs以上、27.0BUs以上、27.5BUs以上、28.0BUs以上、28.5BUs以上、29.0BUs以上、29.5BUs以上、または、30.0BUs以上とすることが好ましい。
また、本発明の一態様であるビールテイスト飲料の苦味価は、苦味が少なく飲み易い飲料とする観点から、40.0BUs以下、39.0BUs以下、38.0BUs以下、37.0BUs以下、36.0BUs以下、35.0BUs以下、34.0BUs以下、33.0BUs以下、32.0BUs以下、31.0BUs以下、30.0BUs以下、29.5BUs以下、29.0BUs以下、28.5BUs以下、28.0BUs以下、27.5BUs以下、27.0BUs以下、26.5BUs以下、26.0BUs以下、25.5BUs以下、25.0BUs以下、24.5BUs以下、24.0BUs以下、23.5BUs以下、23.0BUs以下、22.5BUs以下、22.0BUs以下、21.5BUs以下、21.0BUs以下、20.5BUs以下、20.0BUs以下、19.5BUs以下、19.0BUs以下、18.5BUs以下、18.0BUs以下、17.5BUs以下、17.0BUs以下、16.5BUs以下、16.0BUs以下、15.5BUs以下、15.0BUs以下、14.5BUs以下、14.0BUs以下、13.5BUs以下、13.0BUs以下、12.5BUs以下、12.0BUs以下、11.5BUs以下、11.0BUs以下、10.5BUs以下、または、10.0BUs以下とすることが好ましい。
【0032】
本明細書において、「苦味価」とは、イソフムロンなどのイソα酸類によってもたらされる苦味の指標である。苦味価は、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版) 8.15 苦味価」の項に記載の方法に従って測定することができる。具体的には、脱ガスしたサンプルに酸を加えた後イソオクタンで抽出し、得られたイソオクタン層の吸光度を、イソオクタンを対照にして275nmで計測し、ファクターを乗じて苦味価(BUs)を得ることができる。
苦味価は、飲料に含まれるイソα酸の含有量に依存し、イソα酸はホップに多く含まれる苦味成分である。したがって、ホップの使用量を制御することによって、所定の値の苦味価を有する飲料を製造できる。
本発明の一態様であるビールテイスト飲料が原料としてホップを用いない場合、本発明の一態様であるビールテイスト飲料の苦味価は、5.0BUs未満、4.0BUs以下、3.0BUs以下、2.5BUs以下、2.0BUs以下、1.0BUs以下であってよい。また、本発明の一態様であるビールテイスト飲料が原料としてホップを用いない場合、当該ビールテイスト飲料中のイソα酸の含有量は、0.1質量ppm未満、0.05質量ppm未満、0.01質量ppm未満、または、0.001質量ppm未満であってよい。イソα酸の含有量は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)に記載の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法により測定することができる。
【0033】
本発明の一態様の容器詰飲料のpHは、飲料の香味向上の観点から、3.00以上、3.10以上、3.20以上、3.30以上、3.40以上、3.50以上、3.55以上、3.60以上、3.65以上、3.70以上、3.75以上、3.80以上、3.85以上、または、3.90以上とすることが好ましい。
また、微生物の発生を抑制する観点から、pHは、4.60以下、4.55以下、4.55未満、4.50以下、4.40以下、4.30以下、4.20以下であり、4.15以下、4.10以下、4.05以下、4.00以下、3.95以下、3.90以下、3.85以下、3.80以下、3.75以下、または、3.70以下とすることが好ましい。
pHの調整は、飲料の種類や使用する原材料に応じて、炭酸ガスの添加、希釈水または炭酸水の添加、スピリッツの種類や量、醸造アルコールの種類や量、原材料(麦、麦芽、コーンタンパク、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽で糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(原料投入から酵母添加前での発酵前液工程)でのpH、調合工程(原料投入からパッケージングまでの工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の種類(乳酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸など)、塩類(硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウムなど)の種類や添加量、アスコルビン酸の添加量、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(調合時、仕込時、発酵時、発酵完了時、飲料濾過前、飲料濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度及び保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、冷却タイミング、冷却温度、冷却時間等を適宜設定して行うことができる。
【0034】
本発明の一態様の容器詰飲料において、Brixは、特に制限はないが、ほどよい甘味の容器詰飲料とする観点から、好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは1.8%以上、よりさらに好ましくは2.0%以上、よりさらに好ましくは2.5%以上、特に好ましくは3.0%以上であり、また、3.1%以上、3.2%以上、3.3%以上、3.4%以上、または、3.5%以上としてもよく、また、甘すぎない容器詰飲料とする観点から、好ましくは10.0%以下、より好ましくは9.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下、よりさらに好ましくは7.0%以下、特に好ましくは6.0%以下であり、5.0%以下、4.5%以下、4.3%以下、4.2%以下、4.1%、または、4.0%以下としてもよい。
【0035】
1.1 原材料
本発明の容器詰飲料の主な原材料は、各種の飲料に一般的に用いられているものを使用することができる。本発明の一態様の容器詰飲料が麦芽使用のビールテイスト飲料である場合、主な原材料としては水および麦芽を用いる。本発明の一態様の容器詰飲料が麦芽を実質的に使用しないビールテイスト飲料である場合、主な原材料としては水および麦エキス(大麦エキス、小麦エキスなど)を用いる。また、本発明の一態様の容器詰飲料は、その種類に応じて、その他に、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を用いてもよい。
【0036】
1.1.1 麦芽、麦芽以外の穀物
本発明の一態様の容器詰飲料がビールテイスト飲料である場合、原材料として用いる麦は、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類を指し、産地や品種はいずれのものであってもよい。麦芽使用のビールテイスト飲料とする場合は、これらの麦類の種子を発芽させて乾燥させ、除根した麦芽を使用できる。麦芽を実質的に使用しないビールテイスト飲料とする場合は、これらの麦類を抽出して得た麦エキスを使用できる。
本発明の一態様においては、大麦(大麦エキスなどの大麦からの抽出物を含む)または大麦麦芽を用いることが好ましい。大麦は、日本のビールテイスト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦の1つである。大麦には、二条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。麦または麦芽(麦エキス、麦芽エキスを含む)は、1種であってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明の容器詰飲料を麦芽使用のビールテイスト飲料とする場合、麦芽比率(すべて麦芽の使用比率)は、30質量%超、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、51質量%以上、52質量%以上、54質量%以上、55質量%以上、56質量%以上、57質量%以上、58質量%以上、59質量%以上、60質量%以上、61質量%以上、62質量%以上、63質量%以上、64質量%以上、65質量%以上、66質量%以上、66質量%超、66.6質量%以上、67質量%以上、68質量%以上、69質量%以上、70質量%以上、71質量%以上、72質量%以上、73質量%以上、74質量%以上、75質量%以上、76質量%以上、77質量%以上、78質量%以上、79質量%以上、80質量%以上、81質量%以上、82質量%以上、83質量%以上、84質量%以上、85質量%以上、86質量%以上、87質量%以上、88質量%以上、89質量%以上、90質量%以上、91質量%以上、92質量%以上、93質量%以上、94質量%以上、95質量%以上、96質量%以上、97質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、または、100質量%であってもよい。麦芽比率を向上させることにより、麦芽に由来する豊かな味わいや麦の旨味がより強く感じられるビールテイスト飲料が製造できる。
他方、不適な満腹感を与えにくいビールテイスト飲料を製造する観点から、本発明の一態様であるビールテイスト飲料の麦芽比率は、100質量%未満、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、96質量%以下、95質量%以下、94質量%以下、93質量%以下、92質量%以下、91質量%以下、90質量%以下、89質量%以下、88質量%以下、87質量%以下、86質量%以下、85質量%以下、84質量%以下、83質量%以下、82質量%以下、81質量%以下、80質量%以下、79質量%以下、78質量%以下、77質量%以下、76質量%以下、75質量%以下、74質量%以下、73質量%以下、72質量%以下、71質量%以下、70質量%以下、69質量%以下、68質量%以下、67質量%以下、67質量%未満、66.6質量%以下、66質量%以下、65質量%以下、64質量%以下、63質量%以下、62質量%以下、61質量%以下、60質量%以下、59質量%以下、58質量%以下、57質量%以下、56質量%以下、55質量%以下、54質量%以下、53質量%以下、52質量%以下、51質量%以下、50質量%以下、または、50質量%未満であってもよい。
本明細書において、麦芽比率とは平成30年4月1日が施工日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料においては、使用する麦芽は、所望の色度に応じて適宜選択されることが好ましく、選択する麦芽は、単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
麦芽比率を抑制する場合、酵母が資化可能な麦芽以外の原料(炭素源、窒素源)を増量することが好ましい。酵母が資化可能な原料の炭素源としては単糖、二糖、三糖、それらの糖液等が挙げられ、窒素源としては酵母エキス、コラーゲンペプチド、大豆タンパク、麦芽(大麦麦芽、小麦麦芽など)、大豆、酵母エキス、エンドウ、未発芽の穀物、イネ科の植物、これらの分解物等が挙げられる。また未発芽の穀物としては、例えば、未発芽の大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ等が挙げられる。また、これらの穀物から得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)を用いても良い。
【0039】
1.1.2 ホップ
本発明の一態様で用いるホップの形態としては、例えば、ペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキス等が挙げられる。また、用いるホップは、イソ化ホップ、還元ホップ等のホップ加工品を用いてもよい。
ホップの添加量としては、適宜調整されるが、飲料全量に対して、好ましくは0.0001~1質量%である。また、原材料としてホップを用いたビールテイスト飲料は、ホップに由来する成分であるイソα酸を含有した飲料となる。
【0040】
1.1.3 甘味料
本発明の一態様で用いる甘味料としては、穀物由来のデンプンを酸または酵素等で分解した市販の糖化液、ショ糖、市販の水飴等の糖類、三糖類以上の糖、糖アルコール、異性化糖、ステビア等の天然甘味料、人工甘味料等が挙げられる。
これらの糖類の形態は、溶液等の液体であってもよく、粉末等の固体であってもよい。
また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、および酵素や酸による加水分解等の処理条件についても特に制限はない。例えば、酵素や酸による加水分解の条件を適宜設定することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロース、フルクトース、グルコース、マンノース、アラビノース、ガラクトース、キシロース、ラムノース、リボース、フコース、ラクトース、マルトース、トレハロース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、イソマルトース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース、ラクトスクロース、4’-ガラクトシルラクトース、1-ケストース、ニストース、フラクトフラノシルニストース、ラフィノース、スタキオース、キシロビオース、キシロトリオース、パノース、およびこれらの溶液(糖液)等を用いることもできる。
また、人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース、ネオテーム等が挙げられる。
これらの甘味料は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0041】
1.1.4 水溶性食物繊維
本発明の一態様の容器詰飲料は、水溶性食物繊維を配合してなる飲料としてもよく、また、水溶性食物繊維を配合(添加)しない飲料としてもよい。
水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラギーナン等が挙げられ、安定性や安全性等の汎用性の観点から、難消化性デキストリン又はポリデキストロースが好ましい。
これらの水溶性食物繊維は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、本発明の一態様の容器詰飲料は、原料として、難消化性デキストリンを配合(添加)しない飲料としてもよい。
本発明の一態様において、水溶性食物繊維の含有量は、容器詰飲料の全量(100質量%)基準で、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、1.0質量%以上、1.5質量%以上、2.0質量%以上、2.5質量%以上、又は3.0質量%以上としてもよく、また、5.0%以下、4.5%以下、4.0%以下、3.5%以下、3.0%以下、2.5%以下、2.0%以下、1.5%未満、1.0%未満、0.75%未満、0.60%未満、0.50%未満、0.40%未満、0.30%未満、0.20%未満、0.10%未満、又は0.01%未満としてもよい。
【0042】
1.1.5 苦味料
本発明の一態様において、苦味は、ホップを用いて付与することが好ましいが、ホップ以外の苦味料または苦味付与剤を用いてもよい。
苦味料または苦味付与剤としては、特に限定されず、例えば、マンネンロウ、レイシ、キハダ、姫茴香、杜松実、セージ、マンネンタケ、月桂樹、マンネンタケ、クワシン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物、ニガヨモギ抽出物、アブシンチン、アルギン酸、没食子酸、等が挙げられる。
これらの苦味料及び苦味付与剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
1.1.6 酸化防止剤
本発明の一態様の容器詰飲料は、さらに酸化防止剤を配合してなる飲料としてもよい。
酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びカテキン等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
1.1.7 香料
本発明の一態様の容器詰飲料は、香料をさらに配合してもよい。香料としては、特に限定されず、例えば、ビール香料を用いることができる。ビール香料は、ビール様の風味付けのために用いるものである。ビール香料としては、エステルや高級アルコール等が挙げられ、具体的には、例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール(1-プロパノール等)、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、イソアミルプロピオネート、リナロール、ゲラニオール、シトラール、4-ビニルグアイアコール(4-VG)、4-メチル-3-ペンテン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、1,4-シネオール、1,8-シネオール、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカラクトン、ヘキサン酸エチル、2-メチル酪酸エチル、n-酪酸エチル、ミルセン、シトラール、リモネン、マルトール、エチルマルトール、フェニル酢酸、フラネオール、フルフラール、メチオナール、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、ダイアセチル、フェルラ酸、ゲラン酸、ゲラニルアセテート、酪酸エチル、オクタン酸、デカン酸、9-デセン酸、ノナン酸、テトラデカン酸、プロパン酸、2-メチルプロパン酸、γ-ブチロラクトン、2-アミノアセトフェノン、3-フェニルプロピオン酸エチル、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン、ジメチルスルホン、3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン、2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、2-アセチルフラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、ヘキサナール、ヘキサノール、シス-3-ヘキセナール、1-オクテン-3-オール、β-ユーデスモール、4-メルカプト-4-メチルペンタン-2-オン、β-カリオフィレン、β-ミルセン、フルフリルアルコール、2-エチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、酢酸2-メチルブチル、イソアミルアルコール、5-ヒドロキシメチルフルフラール、フェニルアセトアルデヒド、1-フェニル-3-ブテン-1-オン、トランス-2-ヘキセナール、ノナナール、フェネチルアルコール、ネロール、シトロネロール、p-トルイル酸メチル、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、酒石酸ジエチル、リンゴ酸ジブチル、ペリルアルデヒド、メチルヘプテノン、レモンマートル、シンナムアルデヒド等が挙げられる。
これらの香料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
1.1.8 酸味料
本発明の一態様で用いる酸味料としては、酸味を有する物質であればよく、例えば、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸、グルコノデルタラクトンまたはそれらの塩が挙げられる。
本発明の一態様において、酸味料は、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む。本発明の一態様において、酸味料は、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種に加え、リン酸、クエン酸、またはこれらの組み合わせをさらに含んでいてもよい。
本発明の別の一態様では、酸味料は、クエン酸、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む。この場合、酸味料は、クエン酸、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種に加え、リン酸をさらに含んでいてもよい。
【0046】
本発明の一態様において、乳酸の含有量は、ほどよい酸味やまろやかさ、後味に余韻を付与する観点から、10mg/L以上、20mg/L以上、30mg/L以上、40mg/L以上、50mg/L以上、60mg/L以上、70mg/L以上、80mg/L以上、90mg/L以上、100mg/L以上、110mg/L以上、120mg/L以上、130mg/L以上、140mg/L以上、150mg/L以上、160mg/L以上、170mg/L以上、180mg/L以上、190mg/L以上、200mg/L以上、210mg/L以上、220mg/L以上、230mg/L以上、240mg/L以上、250mg/L以上、260mg/L以上、270mg/L以上、280mg/L以上、290mg/L以上、または、300mg/L以上とすることが好ましい。
また、乳酸の含有量は、酸味の強すぎない飲料とする観点から、1000mg/L以下、900mg/L以下、800mg/L以下、750mg/L以下、700mg/L以下、650mg/L以下、600mg/L以下、550mg/L以下、525mg/L以下、500mg/L以下、490mg/L以下、480mg/L以下、470mg/L以下、460mg/L以下、450mg/L以下、440mg/L以下、430mg/L以下、420mg/L以下、410mg/L以下、400mg/L以下、390mg/L以下、380mg/L以下、370mg/L以下、360mg/L以下、350mg/L以下、340mg/L以下、330mg/L以下、320mg/L以下、310mg/L以下、300mg/L以下、290mg/L以下、280mg/L以下、270mg/L以下、260mg/L以下、または、250mg/L以下することが好ましい。
また、乳酸は合成乳酸を使っても良いし、発酵乳酸を使用しても良いし、合成乳酸と発酵乳酸を併用してもよい。乳酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定することができる。
【0047】
本発明の一態様において、酒石酸の含有量は、ビールテイスト飲料らしい味わいとする観点から、1mg/L以上、5mg/L以上、10mg/L以上、15mg/L以上、20mg/L以上、25mg/L以上、30mg/L以上、35mg/L以上、40mg/L以上、45mg/L以上、50mg/L以上、55mg/L以上、60mg/L以上、65mg/L以上、70mg/L以上、75mg/L以上、80mg/L以上、85mg/L以上、90mg/L以上、95mg/L以上、105mg/L以上、100mg/L以上、110mg/L以上、115mg/L以上、120mg/L以上、125mg/L以上、130mg/L以上、135mg/L以上、140mg/L以上、145mg/L以上、または、150mg/L以上とすることが好ましい。
また、酒石酸の含有量は、酸味の強すぎない飲料とする観点から、300mg/L以下、280mg/L以下、260mg/L以下、240mg/L以下、220mg/L以下、200mg/L以下、190mg/L以下、180mg/L以下、170mg/L以下、160mg/L以下、150mg/L以下、140mg/L以下、130mg/L以下、120mg/L以下、110mg/L以下、100mg/L以下、90mg/L以下、80mg/L以下、70mg/L以下、60mg/L以下、または、50mg/L以下とすることが好ましい。
酒石酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定することができる。
【0048】
本発明の一態様において、リン酸の含有量は、ほどよい酸味や後味のすっきりさ、キレを付与する観点から、5mg/L以上、10mg/L以上、15mg/L以上、20mg/L以上、25mg/L以上、30mg/L以上、35mg/L以上、40mg/L以上、45mg/L以上、50mg/L以上、55mg/L以上、60mg/L以上、65mg/L以上、70mg/L以上、75mg/L以上、80mg/L以上、85mg/L以上、90mg/L以上、95mg/L以上、100mg/L以上、110mg/L以上、120mg/L以上、130mg/L以上、140mg/L以上、150mg/L以上、160mg/L以上、170mg/L以上、180mg/L以上、190mg/L以上、または、200mg/L以上としてもよく、また、酸味の強すぎない飲料とする観点から、1000mg/L以下、900mg/L以下、800mg/L以下、700mg/L以下、600mg/L以下、500mg/L以下、450mg/L以下、400mg/L以下、380mg/L以下、360mg/L以下、340mg/L以下、320mg/L以下、300mg/L以下、290mg/L以下、280mg/L以下、270mg/L以下、260mg/L以下、250mg/L以下、240mg/L以下、230mg/L以下、220mg/L以下、210mg/L以下、200mg/L以下、190mg/L以下、180mg/L以下、170mg/L以下、160mg/L以下、150mg/L以下、140mg/L以下、130mg/L以下、120mg/L以下、110mg/L以下、または、100mg/L以下としてもよい。
リン酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定することができる。
【0049】
本発明の一態様において、クエン酸の含有量は、ほどよい酸味や後味に爽やかな酸味、すっきりさを付与する観点から、1mg/L以上、3mg/L以上、5mg/L以上、7mg/L以上、10mg/L以上、15mg/L以上、20mg/L以上、25mg/L以上、30mg/L以上、35mg/L以上、40mg/L以上、45mg/L以上、50mg/L以上、55mg/L以上、60mg/L以上、65mg/L以上、70mg/L以上、75mg/L以上、80mg/L以上、85mg/L以上、90mg/L以上、95mg/L以上、または、100mg/L以上としてもよく、また、酸味の強すぎない飲料とする観点から、300mg/L以下、280mg/L以下、260mg/L以下、240mg/L以下、220mg/L以下、200mg/L以下、190mg/L以下、180mg/L以下、170mg/L以下、160mg/L以下、150mg/L以下、140mg/L以下、130mg/L以下、120mg/L以下、110mg/L以下、または、100mg/L以下としてもよい。
クエン酸の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定することができる。
【0050】
1.1.9 保存料
本発明の一態様で用いる保存料としては、例えば、安息香酸;安息香酸ナトリウム等の安息香酸塩;パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等の安息香酸エステル;二炭酸ジメチル等が挙げられる。また、保存料としては、強力サンプレザー(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、安息香酸ナトリウムと安息香酸ブチルの混合物)等の市販の製剤を用いてもよい。
これらの保存料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
1.1.10 塩類
本発明の一態様で用いる塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、酸性リン酸カリウム、酸性リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等が挙げられる。
これらの塩類は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
1.2 炭酸ガス
本発明の一態様の容器詰飲料が炭酸飲料である場合、当該炭酸飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加等で溶解させてもよい。
また、本発明の容器詰飲料を発酵ビールテイスト飲料とする場合は、アルコール発酵を行うため、この発酵工程で生じた炭酸ガスをそのまま用いることができるが、適宜炭酸水を加えて、炭酸ガスの量を調製してもよい。
【0053】
本発明の一態様である炭酸飲料の炭酸ガス濃度は、0.30(w/w)%以上、0.35(w/w)%以上、0.40(w/w)%以上、0.42(w/w)%以上、0.45(w/w)%以上、0.47(w/w)%以上、0.49(w/w)%以上とすることが好ましく、また、0.80(w/w)%以下、0.70(w/w)%以下、0.60(w/w)%以下、0.57(w/w)以下、0.55(w/w)%以下とすることが好ましい。
なお、本明細書において、炭酸ガス濃度は、対象となる飲料が入った容器を時々振りながら20℃の水槽に30分間以上浸して、当該飲料が20℃になるよう調整した後に、ガスボリューム測定装置(例えば、GVA-500(京都電子工業株式会社製)等)を用いて測定することができる。
【0054】
本発明の一態様である炭酸飲料の炭酸ガス圧は、上記の炭酸ガス濃度となる範囲で適宜調整すればよいが、飲料の炭酸ガス圧は5.0kg/cm以下、4.5kg/cm以下、または4.0kg/cm以下であり、また、0.20kg/cm以上、0.50kg/cm以上、1.0kg/cm以上、1.25kg/cm以上、1.5kg/cm以上、1.75kg/cm以上、1.8kg/cm以上、1.9kg/cm以上、または1.95kg/cm以上であり、これらの上限および下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば、飲料の炭酸ガス圧は、0.20kg/cm以上5.0kg/cm以下、0.50kg/cm以上4.5kg/cm以下、または、1.0kg/cm以上4.0kg/cm以下であってよい。
本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。
圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置を用いて測定することができる。
【0055】
1.3 その他の添加物
本発明の一態様の容器詰飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。
そのような添加物としては、例えば、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペプチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸、グルカン(難消化性グルカン等)、デキストリン等の調味料が挙げられる。
着色料は、容器詰飲料に所望の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。
泡形成剤は、容器詰飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは炭酸飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびコラーゲンペプチド等のペプチド含有物、酵母エキス、乳を起源とする原料、オクテニルコハク酸デンプンなどの加工デンプン、増粘剤(グアーガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギニンなど)、ゲル化剤、寒天、乳化剤(レシチン、リゾレシチン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなど)などを適宜使用することができる。
発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。
【0056】
2. 容器詰飲料の製造方法
本発明の一態様の容器詰飲料の製造方法は、各種の飲料の製造過程のいずれかで、以下の工程(i-a)~(i-c)(まとめて「工程(i)」ともいう)および(ii-a)~(ii-b)(まとめて「工程(ii)」ともいう)の少なくとも1つを行う方法が挙げられる。
・工程(i-a):イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppb未満となるように確認および調整すること。
・工程(i-b):イソクエルシトリンであるケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppb未満となるように確認および調整すること。
・工程(i-c):イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなるケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppb未満となるように確認および調整すること。
・工程(ii-a):乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を添加すること。
・工程(ii-b):クエン酸、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を添加すること。
工程(i)および(ii)は、ケルセチン配糖体、乳酸または酒石酸を含む原材料や精製物を添加する工程(製造過程でこれらの成分が生成される場合を含む)、水やアルコール、炭酸水等で希釈する工程であってもよい。このように、ケルセチン配糖体、乳酸、酒石酸等の成分は、添加された精製物だけでなく、これらの成分を含有する原材料由来のものも包含され、工程(i)および(ii)は、これらの成分を含有する原材料の種類、含有量等を調整することを包含する。なお、工程(i)および(ii)の順序は特に制限されない。
以下、本発明の容器詰飲料の一態様であるビールテイスト飲料の製造方法について、発酵ビールテイスト飲料および非発酵ビールテイスト飲料に分けて説明する。
【0057】
2.1 発酵ビールテイスト飲料の製造方法
本発明の一態様であるビールテイスト飲料が、発酵ビールテイスト飲料である場合、本発明の一態様の発酵ビールテイスト飲料の製造方法としては、水および麦芽を含む原料に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程を有する方法が好ましく、より具体的には、下記工程(1)~(2)を有する方法が好ましい。
・工程(1):各種原材料を用いて、糖化処理、煮沸処理、及び固形分除去処理のうち少なくとも1つの処理を行い、発酵前液を得る工程。
・工程(2):工程(1)で得た発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程。
【0058】
本発明の一態様の製造方法において、上記工程(i)および(ii)は、工程(1)および工程(2)の少なくとも1つの工程と同時、工程(1)と工程(2)の間、および/または工程(2)の後、のうち、任意のタイミングで行うことができる。また、工程(1)および(2)を行うことで、同時に、工程(i)および(ii)や上述の調整を行うことができる場合には、これらの工程を別途行う必要は無い。
以下、本発明の一態様である発酵ビールテイスト飲料の製造方法における各工程について説明する。
【0059】
<工程(1)>
工程(1)は、各種原材料を用いて、糖化処理、煮沸処理、および固形分除去処理のうち少なくとも1つの処理を行い、発酵前液を得る工程である。
例えば、各種原材料として、麦芽を用いる場合には、水および麦芽を含む各種原材料を仕込釜または仕込槽に投入し、必要に応じて、発酵前に、原材料に由来する成分の変化を促進する多糖分解酵素やタンパク分解酵素などの酵素剤を添加してもよい。
当該酵素剤としては、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、プリンヌクレオシダーゼ、デアミナーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、グルカナーゼ、キシラーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、グルコシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、トランスグルコシダーゼ等が挙げられる。また、酒税法および酒類行政関係法令通達(平成30年6月27日改正)の第3条「7酒類の原料として取り扱わない物品」の「(3)酒造の合理化等の目的で醸造工程中に加える次の酵素剤」に該当する酵素剤を挙げられる。
これらの酵素剤を添加することで、得られる発酵ビールテイスト飲料の成分組成を効率よく調整させることができる。麦芽以外の各種原材料としては、ホップ、酸味料、色素、保存料、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を加えてもよい。これらは、糖化処理を行う前に加えてもよく、糖化処理の途中で加えてもよく、糖化処理の終了後に加えてもよい。また、これらは、次工程のアルコール発酵中やアルコール発酵後に加えてもよい。
【0060】
各種原材料の混合物は、加温し、原材料の澱粉質を糖化させて糖化処理を行う。
糖化処理の温度および時間は、使用する麦芽の種類や、麦芽比率、水および麦芽以外の原材料、使用する酵素の種類や量等を考慮して適宜調整することが好ましい。本発明の一態様において、糖化処理の温度は、例えば、50~75℃であり、糖化処理の時間は、例えば、15~240分であることが好ましい。糖化処理後に、濾過を行い、糖化液が得られる。
【0061】
なお、この糖化液は煮沸処理を行うことが好ましい。
この煮沸処理を行う際に、原材料としてホップや苦味料等を用いる場合には、これらを加えることが好ましい。ホップや苦味料等は、糖化液の煮沸開始から煮沸終了前の間で加えてもよい。煮沸処理終了後には、ワールプールに移送し、0~23℃に冷却して、冷却液とした後、凝固タンパク等の固形分の除去処理を行うことが好ましい。このようにして、発酵前液が得られる。
なお、上記の糖化液の代わりに、麦芽エキスに温水を加えたものに、ホップや苦味料等を加えて煮沸処理を行い、発酵前液を調製してもよい。
【0062】
また、各種原材料として、麦芽を使用しない場合には、炭素源を含有する液糖、麦または麦芽以外のアミノ酸含有原料としての窒素源、ホップ、保存料、色素、酸味料、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を、温水と共に混合し、液糖溶液を調製し、その液糖溶液に対して煮沸処理を行い、発酵前液を調製してもよい。ホップを用いる場合には、煮沸処理前に加えてもよく、液糖溶液の煮沸開始から煮沸終了前の間で加えてもよい。
【0063】
<工程(2)>
工程(1)で得た発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程である。本工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件等を考慮して適宜選択することができ、上面発酵酵母を用いてもよく、下面発酵酵母を用いてもよい。
【0064】
酵母は、酵母懸濁液のまま原材料に添加してもよいし、遠心分離あるいは沈降により酵母を濃縮したスラリーを原材料に添加してもよい。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取り除いたものを添加しても良い。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5×10cells/mL~1×10cells/mL程度である。
【0065】
アルコール発酵を行う際の発酵温度および発酵期間等の諸条件は、適宜設定することができるが、例えば、8~25℃、5~10日間の条件で発酵させてもよい。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温または降温)もしくは圧力を変化させてもよい。
また、本工程の終了後に、ろ過機等で酵母を取り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色素等の添加剤を加えてもよい。
【0066】
本発明の一態様において、ノンアルコール発酵ビールテイスト飲料を製造する場合には、アルコールを生成しない酵母を用いた非アルコール発酵の工程を経て製造してもよい。この場合は、上記工程(2)において、アルコールを生成しない酵母を用いればよい。
また、アルコールを生成する酵母を用いてノンアルコール発酵ビールテイスト飲料を製造する場合には、上記工程(1)~(2)と共に、さらに工程(3)及び(4)を行うことが好ましい。
・工程(3):工程(2)の後の発酵液からアルコール分を除去する工程。
・工程(4):工程(3)の後に炭酸ガスの量を調整する工程。
【0067】
工程(3)において、工程(2)の発酵工程によって生じたアルコール分を除去する方法としては、加熱処理により除去する方法が好ましい。加熱処理の条件としては、一般的なノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法と同様の条件を適用することができる。
また、工程(3)の後、溶液中からアルコール分が除去されると共に、炭酸ガスも除去されている。そのため、工程(4)によって、炭酸ガスの量を調整することが好ましい。
炭酸ガスの量を調整する方法としては、工程(3)を行った後の溶液と炭酸水との混和によって加えてもよく、または工程(3)を行った後の溶液に炭酸ガスを直接添加してもよい。
【0068】
このようにして得られた本発明の一態様である発酵ビールテイスト飲料は、所定の容器に充填され、製品として市場に流通する。
ビールテイスト飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、本発明のビールテイスト飲料は容器に充填・密閉される。
【0069】
2.2 非発酵ビールテイスト飲料の製造方法
本発明の一態様であるビールテイスト飲料が、非発酵ビールテイスト飲料である場合には、一般的な非発酵ビールテイスト飲料の製造方法により製造することができる。本発明の一態様の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法としては、具体的には、下記工程(a)~(c)を有する方法が挙げられる。
・工程(a):原材料に対して、糖化処理、煮沸処理、及び固形分除去処理の少なくとも1つの処理を行い、飲料前液を得る工程。
・工程(b):工程(a)で得た飲料前液を冷却し、炭酸ガスを加える工程。
【0070】
工程(a)については、上述の「発酵ビールテイスト飲料の製造方法」における工程(1)の発酵前液を得る工程と同じである。
工程(b)において炭酸ガスを加える方法としては、工程(a)で得た飲料前液を冷却した冷却飲料前液と炭酸水との混和によって加えてもよく、または冷却飲料原液に炭酸ガスを直接添加してもよい。また、工程(b)と同じタイミングで、炭酸ガスを加える際に、必要に応じて、保存料、甘味料、香料、酸味料、色素等の添加剤を加えてもよい。
【0071】
また、非発酵ビールテイスト飲料を非発酵アルコール含有ビールテイスト飲料とする場合には、下記工程(c)を有する。
・工程(c):少なくとも工程(a)の後、アルコール成分を配合する工程。
【0072】
工程(c)は、少なくとも工程(a)の後に行えばよく、例えば、下記の(I)~(III)のいずれか1つ以上のタイミングで行うことができる。
・(I):工程(a)と工程(b)の間
・(II):工程(b)と同時
・(III):工程(b)の後
これらの中でも、工程(c)は、工程(a)で得た飲料前液を冷却して冷却飲料原液を調整した後、炭酸ガスを加える前に行うことが好ましい。
工程(c)で配合するアルコール成分としては、穀物に由来するスピリッツ(蒸留酒)が好ましい。なお、穀物に由来するスピリッツとは、麦、米、そば、トウモロコシ、芋、さとうきび等の穀物を原料として、麦芽または必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、さらに蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては、イネ科に属する植物が好ましく、麦がより好ましい。
【0073】
本発明の一態様の製造方法において、上記工程(i)および(ii)は、工程(a)、工程(b)、および工程(c)の少なくとも1つの工程と同時、工程(a)と工程(b)の間、工程(b)の後もしくは工程(b)と工程(c)の間、および/または工程(c)の後のうち、任意のタイミングで行うことができる。また、工程(a)~(c)を行うことで、同時に、工程(i)および(ii)や上述の調整を行うことができる場合には、これらの工程を別途行う必要は無い。
【0074】
このようにして得られた本発明の一態様である非発酵ビールテイスト飲料は、所定の容器に充填され、製品として市場に流通する。
ビールテイスト飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、本発明のビールテイスト飲料は容器に充填・密閉される。
【0075】
3. 容器詰飲料の味質改善方法
本発明の一態様の容器詰飲料の味質改善方法は、各種の飲料の製造過程のいずれかで、以下の操作(I-a)~(I-c)(まとめて「操作(I)」ともいう)および(II-a)~(II-b)(まとめて「操作(II)」ともいう)の少なくとも1つを行う方法が挙げられる。
・操作(I-a):イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなる群から選択される1種以上のケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppb未満となるように確認および調整すること。
・操作(I-b):イソクエルシトリンであるケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppb未満となるように確認および調整すること。
・操作(I-c):イソクエルシトリンおよびヒペロシドからなるケルセチン配糖体の含有量が20000質量ppb未満となるように確認および調整すること。
・操作(II-a):乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を添加すること。
・操作(II-b):クエン酸、乳酸および酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸味料を添加すること。
操作(I)および(II)は、上述のビールテイスト飲料の製造方法における工程(I)および(II)にそれぞれ対応する。
【0076】
ケルセチン配糖体、乳酸および酒石酸の含有量の好適範囲等、並びに、ビールテイスト飲料の各種性状、各種成分及びその含有量等については、上記「1.容器詰飲料」で述べたとおりである。
【実施例0077】
以下、実施例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。
【0078】
[実施例A]ノンアルコール非発酵ビールテイスト飲料の評価
実施例1~45、比較例1~11
<飲料の調製>
大麦麦芽40kgを50℃の温水240Lに投入し、段階的に温度を上げ、常法に従い糖化処理を行った。その後、麦汁ろ過を行い、煮沸前にホップを添加し、ワールプールでオリを分離した。ホップは、ビールテイスト飲料の苦味価が20BUs(±5BUs)の範囲となるように添加量を調整した。また、乳酸、酒石酸、リン酸およびクエン酸は、各成分の濃度がそれぞれ各表に記載の値となるように添加または希釈して調整した。
その後、5℃以下に冷却し、ビール香料、25mg/LのアセスルファムK、100mg/LのビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)各表に記載のケルセチン配糖体を添加した。さらに、カラメル色素を添加し、ビールテイスト飲料の色度が8.5EBC(±2.5EBC)の範囲となるように調整した。
真正エキスは、水を添加して各表の値となるように調整し、炭酸ガスは、各表の値となるように炭酸ガスを添加した。最終的に、殺菌処理を行ったうえで容器に充填した。なお、アルコール成分は添加していない。また、真正エキスは、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂に記載されているアルコライザー法に基づいて測定した(以下、すべての実施例および比較例について同じ)。
得られたビールテイスト飲料の組成および性状を以下の各表に示す。
【0079】
<カロリー計算>
以下の各表に記載した各飲料のカロリーは、想定されるカロリー量の最大値として算出した値を意味し、各飲料のカロリーは、以下のように算出した。
上述したように、真正エキスは、飲料における固形分の合計である。すなわち、真正エキスは、炭水化物(糖質および食物繊維からなる)、タンパク質、脂質および灰分の合計である。
このうち、灰分は、カロリーを有さない。また、すべての飲料において、脂質の含有量は0.1g/100mL未満であり、脂質を意図的に添加もしていない。よって、脂質に基づくカロリーは0kcalとみなした。
また、糖質およびタンパク質のカロリーは、それぞれ1g当たり4kcalである。食物繊維のカロリーは、1g当たり2kcalである。
したがって、真正エキスがすべて糖質であったと仮定した場合、想定されるカロリーの最大値を算出できる。
さらに、アルコール度数が0.0050(v/v)%未満の飲料は、意図的にアルコール成分を添加しておらず、アルコールを生成する工程も経ていない。よって、アルコール度数が0.0050(v/v)%未満の飲料は、アルコールに基づくカロリーは0kcalとみなした。
一方、アルコール度数が0.0050(v/v)%以上の飲料は、アルコール1g当たり7.1kcalとして計算を行った。なお、アルコール度数が0.0050(v/v)%以上の飲料については、容量%から重量%への換算のため、各表に記載のアルコール度数(v/v)%に換算係数として0.8を乗じて、重量基準のアルコール量を算出したうえで計算を行った。
【0080】
<官能評価>
得られた容器詰飲料の評価は、同一の6人のパネラーが、各飲料の試飲をし、以下のように行った。
【0081】
4℃程度まで冷却した容器詰飲料を、各パネラーが350mL試飲し、「容器詰飲料に好適な味の厚み」および「容器詰飲料に不適な渋み」という評価項目について、下記のスコア基準に基づき、3.0(最大値)~1.0(最小値)の範囲で、0.1刻みのスコアにて評価し、6人のパネラーのスコアの平均値を算出した。
評価に際しては、評価項目がそれぞれ下記基準「1.0」「2.0」および「3.0」に該当するサンプルを予め用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。また、すべての実施例および比較例の官能評価において、同じ飲料に対して、各パネラー間での2.0以上のスコアの値の差異は確認されなかった。
【0082】
[容器詰飲料に好適な味の厚み]
・「3.0」:容器詰飲料に好適な味の厚みが非常に強く感じられる。
・「2.5」:容器詰飲料に好適な味の厚みが強く感じられる。
・「2.0」:容器詰飲料に好適な味の厚みが十分に感じられる。
・「1.5」:容器詰飲料に好適な味の厚みがほとんど感じられない。
・「1.0」:容器詰飲料に好適な味の厚みが全く感じられない。
[容器詰飲料に不適な渋み]
・「3.0」:容器詰飲料に不適な渋みが全く感じられない。
・「2.5」:容器詰飲料に不適な渋みがほとんど感じられない。
・「2.0」:容器詰飲料に不適な渋みが概ね感じられない。
・「1.5」:容器詰飲料に不適な渋みが強く感じられる。
・「1.0」:容器詰飲料に不適な渋みが非常に強く感じられる。
【0083】
また、前記評価項目に基づき、下記の基準で総合評価を行った。
[総合評価]
・「A」:検証した2つの官能評価項目の平均スコアのすべてが2.5以上である。
・「B」:「A」および「C」に該当しない。
・「C」:検証した2つの官能評価項目の平均スコアのいずれか1つ以上が2.0未満である。
【0084】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0085】
[実施例B]発酵ビールテイスト飲料の評価
実施例46~51、比較例12~13
<飲料の調製>
淡色大麦麦芽と濃色大麦麦芽を合計40kg用いて、50℃の温水240Lに投入し、段階的に温度を上げ、常法に従い糖化処理を行った。濃色大麦麦芽の比率は、ビールテイスト飲料の色度が8.5EBC(±2.5EBC)の範囲となるように調整した。
その後、麦汁ろ過を行い、煮沸前にホップを添加し、ワールプールでオリを分離した。ホップは、ビールテイスト飲料の苦味価が20BUs(±5BUs)の範囲となるように添加量を調整した。次いで、麦汁に酵母を添加し、各表に記載のアルコール度数になるように発酵を行った。また、乳酸、酒石酸、リン酸およびクエン酸は、各成分の濃度がそれぞれ各表に記載の値となるように添加または希釈して調整した。
発酵後、冷却およびろ過を行い、ケルセチン配糖体、真正エキスが各表の値となるように水を添加して調整し、炭酸ガスが各表の値となるように炭酸ガスを添加した。最終的に、容器に充填して容器詰めされたビールテイスト飲料を得た。なお、殺菌処理は実施していない。得られたビールテイスト飲料の組成および性状を以下の各表に示す。
実施例Bにおいて、カロリー計算および官能評価は実施例Aと同様の方法で実施した。
【0086】
【表10】
【表11】
【0087】
[実施例C]炭酸飲料の評価
実施例52~54、比較例14
<飲料の調製>
アセスルファムK 30mg/L、スクラロース 30mg/L、ビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)100mg/L、およびレモン香料を炭酸水に添加し、容器に充填して炭酸飲料を調製した。ケルセチン配糖体、乳酸、酒石酸、リン酸およびクエン酸は、各成分の濃度がそれぞれ表に記載の値となるように添加または希釈して調整した。また、真正エキスは、炭水化物(糖質)が各表に記載の値となるよう液糖を添加した。なお、アルコール成分は添加していない。
実施例Cにおいて、カロリー計算および官能評価は実施例Aの方法に準じて実施した。
【0088】
【表12】
【0089】
[実施例D]コーヒー飲料の評価
実施例55~57、比較例15
<飲料の調製>
市販のコーヒー飲料(原材料表示:コーヒー)を用いて、ケルセチン配糖体、乳酸およびクエン酸がそれぞれ表に記載の値となるように添加または希釈して調整した。なお、アルコール成分は添加していない。
実施例Dにおいて、カロリー計算および官能評価は実施例Aの方法に準じて実施した。
【0090】
【表13】
【0091】
[実施例E]茶飲料の評価
実施例58~60、比較例16
<飲料の調製>
市販の茶飲料(原材料表示:緑茶)を用いて、ケルセチン配糖体、乳酸およびクエン酸がそれぞれ表に記載の値となるように添加または希釈して調整した。なお、アルコール成分は添加していない。
実施例Eにおいて、カロリー計算および官能評価は実施例Aの方法に準じて実施した。
【0092】
【表14】
【0093】
[実施例F]ノンアルコール非発酵ビールテイスト飲料の評価
実施例61~78
上記実施例Aと同様の方法で、下記表15~17に示すノンアルコール非発酵ビールテイスト飲料を調製した。
実施例Fにおいて、カロリー計算および官能評価は実施例Aの方法に準じて実施した。なお、表15における「容器詰飲料に好適なすっきりとした飲み口」、表16における「容器詰飲料に好適なまろやかな酸味」、表17における「容器詰飲料に好適な味わい」の評価は、以下のスコア基準に基づいて行った。
【0094】
[容器詰飲料に好適なすっきりとした飲み口]
・「3.0」:容器詰飲料に好適なすっきりとした飲み口が非常に強く感じられる。
・「2.5」:容器詰飲料に好適なすっきりとした飲み口が強く感じられる。
・「2.0」:容器詰飲料に好適なすっきりとした飲み口が十分に感じられる。
・「1.5」:容器詰飲料に好適なすっきりとした飲み口がほとんど感じられない。
・「1.0」:容器詰飲料に好適なすっきりとした飲み口が全く感じられない。
[容器詰飲料に好適なまろやかな酸味]
・「3.0」:容器詰飲料に好適なまろやかな酸味が非常に強く感じられる。
・「2.5」:容器詰飲料に好適なまろやかな酸味が強く感じられる。
・「2.0」:容器詰飲料に好適なまろやかな酸味が十分に感じられる。
・「1.5」:容器詰飲料に好適なまろやかな酸味がほとんど感じられない。
・「1.0」:容器詰飲料に好適なまろやかな酸味が全く感じられない。
[容器詰飲料に好適な味わい]
・「3.0」:容器詰飲料に好適な味わいが非常に強く感じられる。
・「2.5」:容器詰飲料に好適な味わいが強く感じられる。
・「2.0」:容器詰飲料に好適な味わいが十分に感じられる。
・「1.5」:容器詰飲料に好適な味わいがほとんど感じられない。
・「1.0」:容器詰飲料に好適な味わいが全く感じられない。
【0095】
また、表15~17においては、下記の基準で総合評価を行った。
[総合評価]
・「A」:検証した3つの官能評価項目の平均スコアのすべてが2.5以上である。
・「B」:「A」および「C」に該当しない。
・「C」:検証した2つの官能評価項目の平均スコアのいずれか1つ以上が2.0未満である。
【0096】
【表15】
【表16】
【表17】
【0097】
実施例A~Eの結果から、本発明の容器詰飲料は、良好な味の厚みを有し、かつ、不適な渋みが少ない飲料であると分かった。また、実施例Fの結果から、本発明の一態様の容器詰飲料は、良好な味の厚みを有し、かつ、不適な渋みが少ないという特徴に加え、すっきりとした飲み口、まろやかな酸味、または良好な味わいを有するものであった。