(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177146
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】蒸気放出回路を備えたケトル
(51)【国際特許分類】
A47J 27/21 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A47J27/21 101S
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024092875
(22)【出願日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】2305817
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール アルマン
(72)【発明者】
【氏名】クロエ スマル
(72)【発明者】
【氏名】シャルル マンソー
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA34
4B055BA03
4B055CA26
4B055CB08
(57)【要約】
【課題】使用の大きな安全性を提供しながら、シンプルで経済的な構造であるケトルを提供することである。
【解決手段】ケトル(2)は、内部容積を有する容器(4)と、容器(4)を閉じるように構成された蓋(11)と、グリップハンドル(8)と、注ぎ口(9)と、内部容積に収容された水の沸騰中に内部容積で発生した蒸気を内部容積の外部に搬送するように構成された蒸気放出回路と、蓋(11)に設けられ、蓋(11)が容器(4)を閉じるときに内部容積を蓋(11)の内部チャンバに流体連通するように構成された通気装置とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケトル(2)であって、
長手方向中心軸(A)を有し、水を収容することを目的とし、水を加熱することを目的とする内部容積(5)を画定する容器(4)と、
前記容器(4)を閉じるように構成された蓋(11)であって、前記内部容積(5)に面して配置されるように構成された下面(12)を含む、蓋(11)と、
グリップハンドル(8)と、
前記容器(4)の前記長手方向中心軸(A)に対して、前記グリップハンドル(8)の反対側に位置するように構成された注ぎ口(9)と、
前記内部容積(5)内に収容された水の沸騰中に前記内部容積(5)内で生成された蒸気を前記内部容積(5)の外部に搬送するように構成された蒸気放出回路であって、
前記蓋(11)に設けられ、前記蓋(11)の前記下面(12)に出ている第1の蒸気吸入オリフィス(33)及び第2の蒸気吸入オリフィス(34)であって、前記容器(4)によって画定された前記内部容積(5)に流体連通するように構成され、前記グリップハンドル(8)を通る前記ケトル(2)の中央垂直面(P)の両側に配置される、第1の蒸気吸入オリフィス(33)及び第2の蒸気吸入オリフィス(34)と、
前記蓋(11)によって区画された、内部チャンバ(35)と、
前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)に流体連通された第1の蒸気入口開口部と、前記内部チャンバ(35)内に出ている第1の蒸気出口開口部(360)とを含む第1の蒸気流導管(36)と、
前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)に流体連通された第2の蒸気入口開口部と、前記内部チャンバ(35)内に出ている第2の蒸気出口開口部(370)とを含む第2の蒸気流導管(37)と、を有する、蒸気放出回路と、を備え、
前記ケトル(2)は、前記蓋(11)に設けられ、前記蓋(11)が前記容器(4)を閉じたときに、前記容器(4)によって区画された前記内部容積(5)を、前記蓋(11)によって区画された前記内部チャンバ(35)に流体連通させるように構成された通気装置(39)をさらに備えることを特徴とする、ケトル(2)。
【請求項2】
前記通気装置(39)が、前記蓋(11)の前記下面(12)に出ている、通気オリフィス(41)を備える、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項3】
前記通気オリフィス(41)が、較正オリフィスである、請求項2に記載のケトル(2)。
【請求項4】
前記通気オリフィス(41)が、前記蓋(11)の前記下面(12)の後半分に配置される、請求項2又は請求項3に記載のケトル(2)。
【請求項5】
前記通気オリフィス(41)が、前記蓋(11)の前記下面(12)の周縁の近くに配置される、請求項2から4のいずれか一項に記載のケトル(2)。
【請求項6】
前記通気オリフィス(41)が、前記容器(4)の前記長手方向中心軸(A)に対して、前記注ぎ口(9)の反対側に位置するように構成される、請求項2から5のいずれか一項に記載のケトル(2)。
【請求項7】
前記通気オリフィス(41)が、前記第1及び第2の蒸気吸入オリフィス(33,34)のそれぞれの流れ断面よりも小さい流れ断面を有する、請求項2から6のいずれか一項に記載のケトル(2)。
【請求項8】
前記通気装置(39)が、前記通気オリフィス(41)を通って流れる流体を濾過するように構成された濾過要素(42)を含む、請求項2から7のいずれか一項に記載のケトル(2)。
【請求項9】
前記ケトル(2)が、前記通気オリフィス(41)を塞ぐための要素を有さない、請求項2から8のいずれか一項に記載のケトル(2)。
【請求項10】
前記通気装置(39)が、前記通気オリフィスを横切って配置されたバルブを含む、請求項2から8のいずれか一項に記載のケトル(2)。
【請求項11】
前記蒸気放出回路が、前記蓋(11)に設けられ、前記蓋(11)によって区画された前記内部チャンバ(35)に流体連通する少なくとも1つの蒸気放出口部(38)を含み、前記少なくとも1つの蒸気放出口部(38)が、前記内部チャンバ(35)に収容された蒸気を、前記蓋(11)の外側に向けて放出できるように構成される、請求項1から10のいずれか1項に記載のケトル(2)。
【請求項12】
前記ケトル(2)が、前記ケトル(2)がひっくり返され、前記グリップハンドル(8)と前記容器(4)の第1の側面とが水平面に安定して置かれるとき、前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)が前記内部容積(5)内の水位よりも上方に位置するように構成され、前記ケトル(2)が倒され、前記グリップハンドル(8)と前記容器(4)の第2の側面とが水平面に安定して置かれるとき、前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)が前記内部容積(5)内の水位よりも上方に位置するように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載のケトル(2)。
【請求項13】
前記第1及び第2の蒸気流導管(36,37)のそれぞれが、一般的なV字形状を有し、前記一般的なV字形状は、前記第1及び第2の蒸気流導管(36,37)のそれぞれがによって画定され、前記蓋(11)の後部に位置する先端部を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のケトル(2)。
【請求項14】
前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)が、前記第2の蒸気出口開口部(370)に近接して配置され、前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)が、前記第1の蒸気出口開口部(360)に近接して配置され、前記第1の蒸気流導管によって画定される、前記一般的なV字形の先端部が、前記第2の蒸気流導管によって画定される、前記一般的なV字形の先端部の近傍に位置する、請求項13に記載のケトル(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体加熱装置、特に電気ケトルの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
英国特許出願公開第2488204号明細書は、以下の構成からなる電気ケトルを開示する。
容器が水平面に置かれるときに、実質的に垂直に延びるように構成された中心軸を有する容器であって、水を収容するように意図された内部容積を画定し、水を加熱し、特に沸騰させるように意図された容器と、
容器に固定されたグリップハンドルと、
容器の中心軸に対してグリップハンドルの反対側に位置する注ぎ口と、
容器を閉じるように構成された蓋であって、内部容積に面して配置されるように構成された下面を含む蓋と、
内部容積に収容された水の沸騰中に内部容積で発生した蒸気を、内部容積の外部、例えば、ケトルの外部に向けて搬送するように構成された蒸気放出回路と、を備える、電気ケトル。
【0003】
蒸気放出回路は、特に、
蓋に設けられ、蓋の下面に現れ、蓋の下面の周縁に近接する第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスであって、第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積に流体連通し、注ぎ口とグリップハンドルを通るケトルの中央垂直面の両側に配置されるように構成される、第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスと、
蓋で区切られた内部チャンバと、
第1の蒸気吸入オリフィスに流体連通された第1の蒸気入口開口部、及び、内部チャンバに出ている第1の蒸気出口開口部を有する第1の蒸気流導管と、第2の蒸気吸入オリフィスに流体連通された第2の蒸気入口開口部、及び、内部チャンバに出ている第2の蒸気出口開口部を有する第2の蒸気流導管と、
内部チャンバに流体連通され、内部チャンバに収容された蒸気を蓋の外側、例えば、ケトルの外側に排出できるように構成された少なくとも1つの蒸気放出口部と、を備える、蒸気放出回路。
【0004】
最大充填レベルまで充填されたケトルが、ケトル内に収容された水の沸騰サイクルの終了時に下方に傾くと、沸騰水が第1及び第2の蒸気吸入オリフィスを介して、第1及び第2の蒸気流導管に流入する可能性が高く、内部容積内の圧力は、内部容積内の熱慣性により沸騰サイクルの終了後も上昇し続けるため、第1及び第2の蒸気流導管に収容される沸騰水の量は、第1及び第2の蒸気流導管をプライミングし、蒸気放出回路、特に、少なくとも1つの蒸気放出口部を介して、ケトルに取り付けられた注入導管は閉じたままであるが、ケトルから沸騰水の連続的な流出を誘導するまで増加し得る(内部容積内の過圧のため、水が第1および第2の蒸気流導管に「押し込まれる」)。しかし、このようなケトルからの沸騰水の流れは、使用者に火傷を負わせる可能性が高い。
【0005】
このような欠点を克服するために、ケトルが転倒したり傾いたりした場合に、第1及び第2の蒸気流導管を通る水の流れを阻止するように構成されたボール弁などの逆流防止弁を蓋に装備することが知られている。しかし、このような逆流防止弁はケトルを複雑にし、後者の製造コストを大幅に上昇させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの欠点の全部または一部を是正することを目的とする。
【0007】
本発明の基礎となる技術的問題は、特に、使用の大きな安全性を提供しながら、シンプルで経済的な構造であるケトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、ケトル、特に、電気ケトルに関するものであり、
長手方向中心軸を有し、水を収容することを意図した内部容積を画定し、水を加熱し、特に、沸騰させることを意図した容器と、
容器を閉じるように構成された蓋であって、内部容積に面して配置されるように構成された下面を含む蓋と、
例えば、容器に固定されたグリップハンドルと、
容器の長手方向中心軸に対してグリップハンドルの反対側に位置するように構成された注ぎ口と、
内部容積の外側、例えばケトルの外側に向かって、内部容積に収容された水の沸騰中に内部容積で発生した蒸気を搬送するように構成された蒸気放出回路あって、
蓋に設けられ、蓋の下面に出ている第1の蒸気吸入オリフィスと第2の蒸気吸入オリフィスであって、第1及び第2の蒸気吸入オリフィスは、容器によって画定された内部容積に流体連通し、例えば、容器の最大充填レベルの上方に位置するように構成され、グリップハンドルを通るケトルの中央垂直面の両側に配置される、第1及び第2の蒸気吸入オリフィスと、
蓋で区切られた内部チャンバと、
第1の蒸気入口開口部が、第1の蒸気吸入オリフィスに流体連通され、第1の蒸気入口開口部が内部チャンバ内に出ている第1の蒸気流導管と、第2の蒸気出口開口部が、第2の蒸気吸入オリフィスに流体連通され、第2の蒸気出口開口部が内部チャンバ内に出ている第2の蒸気流導管と、を備える、蒸気放出回路。
【0009】
ケトルは、蓋に設けられ、蓋が容器を閉じるときに、容器によって区切られた内部容積を、蓋によって区切られた内部チャンバに流体連通させるように構成された通気装置をさらに含む。
【0010】
このような通気装置により、ケトル内に収容された水の加熱サイクル中に、内部容積及び内部チャンバ内の圧力をバランスさせることが可能になる。したがって、沸騰サイクルの終了時にケトルを下方に傾斜させ、ケトルに装着された注入導管を閉じたままにしておくと、第1及び第2の蒸気流導管をプライミングするリスクが大幅に低減され、蒸気放出回路を沸騰水が流れるリスク、したがって、使用者が火傷する危険性が大幅に低減される。
【0011】
さらに、このような通気装置の存在により、ケトルの内容物を注ぐ際に、ケトル内の水量が減少するにつれて、内部容積の内部に空気が入り込み、内部容積と内部チャンバとの間の圧力バランスが確保され、したがって、ケトルからの水の最適な流出(ゴボゴボ音なし)が保証される。
【0012】
ケトルはさらに、単独で又は組み合わせて、以下の特徴の1つ以上を有することができる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、蓋は、注ぎ口の側面に位置する前部と、グリップハンドルの側に位置する後部とを含む。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、蓋の下面は、注ぎ口の側面に位置する前半部と、握りハンドルの側に位置する後半部とを含む。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、通気装置は、蓋の下面に出ている通気オリフィスを含む。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、通気オリフィスは較正オリフィスである。このような通気オリフィスの構成により、ケトル内の水を注ぐ作業中に、蓋で区切られた内部チャンバに入る可能性のある水の量が大幅に制限される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、通気オリフィスは、蓋の下面の後半部に位置する。このような通気オリフィスの配置により、ケトル内に収容された水を注水する操作中に、蓋によって区切られた内部チャンバに入る可能性のある水の量をさらに制限することが可能になる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、通気オリフィスは、蓋の下面の周縁近傍に配置され、有利には、蓋の下面の周縁から30mm未満、例えば、20mm未満の距離に配置される。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、通気オリフィスは、容器の中心長手方向軸に対して注ぎ口の反対側に位置するように構成される。このような通気オリフィスの配置により、ケトル内に収容された水を注水する操作中に、蓋によって区切られた内部チャンバに入る可能性のある水の量をさらに制限することが可能になる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、通気オリフィスは、第1及び第2の蒸気吸入オリフィスのそれぞれの流路断面よりも小さい流路断面を有する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、ケトルには、通気オリフィスを閉じるための要素がない。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、通気装置は、通気オリフィスを通って流れる流体を濾過するように構成された濾過要素を含む。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、濾過要素は取り外し可能である。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、通気装置は、通気オリフィスを横切って配置されたバルブを含む。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、蒸気放出回路は、蓋に設けられ、蓋によって区画された内部チャンバに流体連通する少なくとも1つの蒸気排出開口、例えば1つ以上の蒸気排出開口を含み、少なくとも1つの蒸気放出口部は、内部チャンバに収容された蒸気を蓋の外側、例えば、ケトルの外側に向けて排出できるように構成される。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気流導管は、ケトルが転倒したときに、蒸気放出回路を介して内部容積に収容された水の流出を防止するように構成される(流出防止装置とも呼ばれる)を形成する。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、ケトルが倒され、グリップハンドルと容器の第1の側面とが水平面に安定して置かれるときに、第1の蒸気吸入オリフィスが内部容積内の水位よりも上方に位置するように構成され、ケトルが倒され、グリップハンドルと容器の第2の側面とが水平面に安定して置かれるときに、第2の蒸気吸入オリフィスが内部容積内の水位よりも上方に位置するように構成される。 したがって、本発明によるケトルは、ケトルが転倒した場合に熱湯がケトルから流出する危険性を回避するか、少なくともかなり制限することが可能になる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、ケトルが傾斜し、グリップハンドルと容器の第1の側面とが水平面に安定して置かれるときに、第1の蒸気吸入オリフィスと第2の蒸気吸入オリフィスとが内部容積内の水位よりも上方に位置し、ケトルが傾斜し、グリップハンドルと容器の第2の側面とが水平面に安定して置かれるときに、第2の蒸気吸入オリフィスと第1の蒸気出口開口部とが内部容積内の水位よりも上方に位置するように構成される。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気出口開口部は、ケトルの中央垂直面の両側に、例えば、ケトルの中央垂直面に対して対称に配置されるように構成される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、第1の蒸気入口開口部は、第2の蒸気吸入オリフィスの近傍に位置し、第2の蒸気出口開口部は、第1の蒸気吸入オリフィスの近傍に位置する。このような第1及び第2の蒸気出口開口部の配置により、ケトルが転倒した場合に、熱湯がケトルから流出する危険性がさらに制限される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気出口開口部は、蓋の前半分に位置する。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び第2の蒸気出口開口部は、内部チャンバの後部に位置する。このような第1及び第2の蒸気出口開口部の配置は、使用者がケトルを前方及び下方に傾けて熱湯を受け皿に注ぐ際に、(第1及び第2の蒸気吸入オリフィス並びに第1及び第2の蒸気流導管を介して)水が蓋に流入する危険性を制限する。さらに、ケトルが電気機械制御システムからなる場合、このような構造により、グリップハンドルと、下部に配置され、蒸気を検知したときにケトルの加熱を停止させることができるケトルの電気機械制御システムへの蒸気の伝達を容易にすることが可能になる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気出口開口部は、注ぎ口に対向する方向、すなわち、ケトルの後方に向かって配置されるように構成される。これらの配置により、使用者がケトルを前方及び下方に傾けて熱湯を容器に注ぐ際に、(第1及び第2の蒸気吸入オリフィスと第1及び第2の蒸気流導管を介して)水が蓋に流れ込む危険性をさらに制限する。さらに、ケトルが電気機械制御システムからなる場合、このような構造により、グリップハンドルと、下部に配置され、蒸気を検知したときにケトルの加熱を停止させることができるケトルの電気機械制御システムへの蒸気の伝達を容易にすることが可能になる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、第1の蒸気流導管は、第1の蒸気流導管の長さに沿って実質的に一定の流路断面を有し、第2の蒸気流導管は、第1の蒸気流導管の長さに沿って実質的に一定の流路断面を有する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気流導管の各々は、実質的に円形の断面を有する。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気流導管はそれぞれ可撓性を有する。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気流導管の各々は、一般的なV字形状を有し、第1及び第2の蒸気流導管の各々によって画定される一般的なV字形状は、蓋の後部に位置する先端部を有する。このような第1の蒸気流導管と第1の蒸気流導管の構成により、ケトル内の注水操作時に蓋によって区切られた内部チャンバに流入する水の量をさらに制限することが可能となる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、各一般的なV字形の先端部は、注ぎ口に対向する向きとなるように構成される。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、第1の蒸気吸入オリフィスは第2の蒸気出口開口部の近傍に位置し、第2の蒸気吸入オリフィスは、第1の蒸気入口開口部の近傍に位置し、第1の蒸気流導管によって画定される一般的なV字形の先端部は、第2の蒸気流導管によって画定される一般的なV字形の先端部の近傍部に位置する。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、第1の蒸気流導管は、実質的に直線状であり、第1の蒸気吸入オリフィスに流体連通する第1の一次導管部分と、実質的に直線状であり、第1の蒸気出口開口部を含む第2の一次導管部分と、湾曲しており、第1及び第2の一次導管部分を一緒に接続する一次中間部分とを含む、 第2の蒸気流導管は、実質的に直線状で第2の蒸気吸入オリフィスに流体連通する第1の二次導管部分と、実質的に直線状で第2の蒸気出口開口部を含む第2の二次導管部分と、曲線状で第1と及び第2の二次導管部分を連結する二次中間部分とを含む。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の一次導管部分は、蓋の後部に向かって互いに収束し、例えば、容器の長手方向中心軸に対して注ぎ口に実質的に対向し、第1及び第2の二次導管部分は、蓋の後部に向かって互いに収束し、例えば、容器の長手方向中心軸に対して注ぎ口に実質的に対向する。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気流導管は、ケトルの中央垂直面に対して対称に配置される。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、容器の長手方向中心軸は、容器が水平面に安定して置かれるときに実質的に垂直に延びるように構成される。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気流導管は、蓋によって区切られた内部チャンバに収容される。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気吸入オリフィスは、蓋の下面の前半分に配置される。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気取入口は、蓋の下面の周縁部近傍に位置する。このような第1及び第2の蒸気吸入オリフィスの配置により、ケトルが転倒した場合に熱湯がケトルから流出する危険性がさらに制限される。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気吸入オリフィスは、ケトルの中央垂直面に対して対称に配置されるように構成される。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気流導管は、容器が水平面上に載っているときに実質的に水平に延びるように構成される。
【0049】
本発明の別の実施形態によれば、第1の蒸気流導管は、第1の蒸気流導管内に収容された水を第1の蒸気吸入オリフィスに向けて案内するように、容器が水平面上に載っているときに、水平に対して傾斜するように構成され、第2の蒸気流導管は、第2の蒸気流導管内に収容された水を第2の蒸気吸入オリフィスに向けて案内するように、容器が水平面上に載っているときに、水平に対して傾斜するように構成される。このような配置により、蓋に水が溜まったり、水が停滞したりするリスクを抑えることができる。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気排出開口は、蓋の外周面に出ている。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気放出口部は、注ぎ口の近傍に、例えば、注ぎ口に面して配置されるように構成される。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、容器は、内部容積内に出ている上部充填開口部を備える。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、蓋は、上部充填開口部に配置されるように構成される。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、注ぎ口は、上部充填開口部に位置する。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、容器は注ぎ口を含む。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、蓋は容器に対して取り外し可能である。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、蓋を容器に取り外し可能に、すなわち一時的かつ可逆的に固定するように構成された締結装置を含む。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、締結装置は、蓋に設けられた締結タブ又は締結フィンガーなどの少なくとも1つの締結部材と、容器に設けられた締結ノッチなどの少なくとも1つの締結要素と、を備え、少なくとも1つの締結部材は、蓋を容器に締結するように少なくとも1つの締結部材が少なくとも1つの締結要素と協働するように構成された締結位置と、蓋を容器から取り外すことができるように少なくとも1つの締結部材が少なくとも1つの締結要素を解放するように構成された解放位置と、を占めるように構成される。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの締結部材は、締結位置と解放位置との間で蓋に対して移動可能に取り付けられる。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの締結部材は、蓋に対して摺動方向に摺動可能に取り付けられる。摺動方向は、蓋の中心軸に対して実質的に垂直に、例えば、蓋の中心軸に対して実質的に半径方向に延びることができる。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、締結装置は、少なくとも1つの締結部材を締結位置に戻すように構成された戻し部材を含む。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、蓋に設けられ、作動機構が使用者によって作動されたときに、少なくとも1つの締結部材を開放位置に変位させるように構成された作動機構を含む。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、作動機構は、使用者によって手動で作動させることができ、少なくとも1つの締結部材を締結位置から開放位置に変位させるように構成された作動部材を含み、作動部材は、第1の作動位置と第2の作動位置との間に移動可能に取り付けられ、作動部材と少なくとも1つの締結部材とは、作動部材の第1の作動位置から第2の作動位置への変位が、少なくとも1つの締結部材の締結位置から開放位置への変位を引き起こすように構成される。このような作動機構の構成により、使用者は作動機構を作動させるだけで、蓋を取り外すことができる。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの作動部材は、使用者によって操作されるように構成されたハンドリング部を含む。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、作動機構は、作動部材を第1の作動位置に戻すように構成された、戻りばねなどの戻り要素を含む。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、フールプルーフ(foolproof)装置とも呼ばれる角度割出装置を含み、蓋を容器に固定するための固有の位置を画定するように、蓋を容器に対して角度割出するように構成される。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、角度割出装置は、容器に設けられた少なくとも1つの割出し要素と、蓋に設けられ、蓋が容器に固定されたときに少なくとも1つの割出し要素と協働するように構成された少なくとも1つの割出し部材とを含む。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの割り出し部材は、蓋の前部に配置される。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、蓋は、内部容積に収容された水を注ぎ口に向けて搬送するように構成された注ぎ管路を含み、ケトルは、蓋に可動に取り付けられた閉塞具を、閉塞具が注ぎ管路を閉鎖し、注ぎ管路を通る水の流れを防止する閉鎖位置と、閉塞具が注ぎ管路を開放し、注ぎ管路を通る水の流れを可能にする開放位置との間で含む。このような蓋の構成は、ケトルが転倒した際に注ぎ口から水が流れる水のリスクをかなり制限する。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、注水管路は、蓋の下面に出ている水入口開口部と、蓋の外周面に出ている水出口開口部とを含む。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気放出口部は、水出口開口部の近くに位置する。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、蓋に設けられ、開放位置と閉鎖位置との間で閉塞具を変位させるように構成された作動システムを含む。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、作動システムは、使用者によって作動され得る作動ボタンを含み、第1のボタン位置と第2のボタン位置との間で移動可能であり、作動システムは、使用者による、作動ボタンの第1のボタン位置から第2のボタン位置への変位が、閉塞具の閉鎖位置から開放位置への変位を引き起こすように構成される。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、作動システムは、例えば、ボールペンタイプの双安定制御装置を含み、使用者による作動ボタンの第1のボタン位置から第2のボタン位置への変位が、閉塞具の閉鎖位置から開放位置への変位を引き起こし、使用者による作動ボタンの第2のボタン位置から第1のボタン位置への変位が閉塞具の開放位置から閉鎖位置への変位を引き起こすように構成される。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、容器は、内部容積の下に位置し、内部容積に含まれる水を加熱するように構成された加熱底部を含む。有利には、加熱底部は、電気加熱要素を収容する。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは容器を載せるための支持台を含む。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の蒸気流導管は、それぞれ、第1及び第2の蒸気流チューブによって形成される。有利には、第1及び第2の蒸気流チューブのそれぞれは、一体に形成され、一体型である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
本発明は、非限定的な例として、このケトルの幾つかの実施形態を表す添付の概略図面を参照しながら、以下の説明を用いてより良く理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明によるケトルの上面斜視図である。
【
図7】
図7は、蓋の上部ケーシングが取り外された
図3の蓋の部分上面斜視図である。
【
図8】
図8は、蓋の下部ケーシングが取り外された
図3の蓋の部分底面図である。
【
図9】
図9は、
図1のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルと容器の左側が水平面に置かれる安定位置を占めることを示す。
【
図10】
図10は、
図1のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルと容器の右側が水平面に置かれる安定位置を占めていることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本明細書では、「前部」および「後部」という用語は、使用者がグリップハンドルによってケトルを保持し、実質的に水平に維持するケトルの使用に関連して定義され、注ぎ口は、使用者の反対側に配置される。
【0080】
図1から
図11は、本発明によるケトル2、特に、電気ケトルを表す。
【0081】
本明細書の残りの部分では、ケトルという用語は、水を50℃以上、好ましくは70℃以上の温度に加熱することを目的とした装置を意味する。
【0082】
ケトル2は、電源コードによって電動されるように構成された支持台3と、支持台3上に載るように構成された容器4とを含む。
【0083】
容器4は、容器4が水平面に置かれるときに、実質的に垂直に延びるように構成された長手方向中心軸Aを有する。有利には、容器4は、長手方向中心軸Aを中心とした一般的な回転形状を有する。
【0084】
容器4は、水を収容し、水を加熱し、特に沸騰させることを意図した内部容積5を画定する。容器4はさらに、内部容積5内に出ている上部充填開口部6を備える。
【0085】
容器4はさらに、内部容積5の下に位置し、内部容積5に収容された水を加熱するように構成された加熱底部7を含む。既知の方法では、加熱底部7は、容器4が支持台3上に載ったときに電力が供給されるように構成された電気加熱要素(不図示)を収容する。
【0086】
ケトル2はさらに、容器4に固定されたグリップハンドル8と、容器4の長手方向中心軸Aに関してグリップハンドル8の反対側に位置する注ぎ口9とを含む。注ぎ口9は、例えば、容器4に設けられ、上部充填開口部6に配置される。
【0087】
ケトル2はさらに、容器4を閉じるように構成された蓋11を含み、特に、上部充填開口部6に配置される。蓋11は、容器4の内部容積5に面するように構成された下面12を備える。有利には、ケトル2は、蓋11の下面12に固定され、容器4と密封的に協働するように構成された環状シール13を含む。
【0088】
ケトル2はさらに、蓋11を容器4に取り外し可能に、つまり、一時的かつ可逆的に固定するように構成された締結装置を含む。
【0089】
図に示された実施形態によれば、締結装置は、蓋11に設けられ、直径方向に対向する締結フィンガーのような2つの締結部材14(特に、
図4及び
図6参照)からなる。各締結部材14は、蓋11に収容され、蓋11に設けられたそれぞれの貫通開口部15を通して蓋11から突出するように構成される。有利には、各貫通開口部15は、蓋11の外周面に出ており、環状シール13の上方に出ている。
【0090】
締結装置はさらに、容器4の内面に設けられ、上部充填開口部6の近くに位置する、締結ノッチや保持タブなどの2つの締結要素16(
図2参照)からなる。図に示された実施形態によれば、締結部材14は、より具体的には、蓋11が容器4に締結されるときに締結要素16にそれぞれ入るように構成される。
【0091】
図に示された実施形態によれば、締結部材14は、蓋11に対してスライド方向に、かつ、蓋11を容器4に締結するように各締結部材14が、各締結要素16と協働するように構成される締結位置と、蓋11を容器4から取り外すことができるように各締結部材14が、各締結要素16を解放するように構成される開放位置との間でスライド可能に取り付けられる。有利には、スライド方向は、蓋11の中心軸に対して実質的に半径方向に延びる。
【0092】
締結装置は、蓋11に収容され、締結部材14をそれぞれ締結位置に戻すように構成された2つの戻し部材17(
図11参照)をさらに含むことができる。
【0093】
図1から
図3により詳細に示すように、ケトル2は、蓋11に設けられ、作動機構18が使用者によって作動されたときに、締結部材14を開放位置に変位させるように構成された作動機構18を含む。
【0094】
作動機構18は、特に、使用者が手動で作動させることができ、締結部材14を締結位置から開放位置に変位させるように構成された2つの作動部材19(
図3参照)を含む。図に示された実施形態によれば、作動部材19はそれぞれ、蓋11の上面からアクセス可能であり、使用者によって操作されるように構成された2つの操作部21を含む。
【0095】
作動部材19は、第1の作動位置と第2の作動位置との間で蓋11に対してスライド可能に取り付けられる。作動部材19及び締結部材14は、作動部材19の第1の作動位置から第2の作動位置への変位が、締結部材14の締結位置から開放位置への変位を引き起こすように構成される。有利には、各作動部材19及び各締結部材14は、一体に作られており、2つの作動部材19は、2つの操作部21を挟むことによって、すなわち、2つの操作部21を互いに近づけることによって、締結部材14を開放位置に変位させるように構成される。
【0096】
図3により詳細に示すように、ケトル2は、蓋11を容器4に固定するための固有の位置を定めるように構成された、フールプルーフ装置とも呼ばれる角度割出装置を含むことができる。角度割出装置は、例えば、容器4に設けられた割り出しハウジングのような少なくとも1つの割出し要素と、蓋11に設けられ、少なくとも1つの割出し要素と協働するように構成された少なくとも1つの割出しボス23とを含むことができる。
【0097】
蓋11は、内部容積5内に収容された水を、注ぎ口9に向けて送るように構成された注入導管24を含む。注入導管24は、特に、蓋11の下面12の前半分に出ている水入口開口部25と、蓋11の外周面に出ている水出口開口部26とを含み、蓋11が容器4に固定されたときに、注ぎ口9に実質的に対向するように配置されることを意図する。
【0098】
ケトル2は、さらに、蓋11上に、閉塞具27(
図4から
図6参照)が、閉塞具27が、注入導管24を閉鎖して注入導管24を通る水の流れを阻止する閉鎖位置と、閉塞具27が、注入導管24を開放して注入導管24を通る水の流れを可能にする開放位置との間で移動可能に取り付けられる。
【0099】
ケトル2は、蓋11に設けられ、開放位置と閉鎖位置との間で、閉塞具27を変位させるように構成された作動装置をさらに含む。図に示された実施形態によれば、作動システムは、使用者によって作動され、第1のボタン位置と第2のボタン位置との間で移動可能な作動ボタン28を含み、作動システムは、使用者による、作動ボタン28の第1のボタン位置から第2のボタン位置への変位が、閉塞具27の閉鎖位置から開放位置への変位を引き起こすように構成される。
【0100】
図に示された実施形態によれば、作動システムは、例えば、ボールペンタイプの双安定制御装置29を含み、使用者による、作動ボタン28の第1のボタン位置から第2のボタン位置への変位が、閉塞具27の閉鎖位置から開放位置への変位を引き起こし、使用者による、作動ボタン28の第2のボタン位置から第1のボタン位置への変位が、閉塞具27の開放位置から閉鎖位置への変位を引き起こすように構成される。したがって、第1及び第2のボタン位置は、作動ボタン28の安定した位置に対応する。
【0101】
ケトル2はまた、容器4に設けられた保持部32上に載り、容器4の内部容積5内に配置されるように構成されたティーバスケット(不図示)を含むことができる。有利には、ティーバスケットは取り外し可能である。
【0102】
ケトル2はまた、内部容積5の外側、例えば、ケトル2の外側に向けて、内部容積5内に収容された水の沸騰中に内部容積5内で発生した蒸気を搬送するように構成された蒸気放出回路を含む。
【0103】
蒸気放出回路は、特に、蓋11に設けられ、蓋11の下面12に突出し、蓋11の下面12の周縁に近接する第1の蒸気吸入オリフィス33と第2の蒸気吸入オリフィス34とからなる。蓋11が容器4に固定され、容器4が水平面に置かれるとき、第1及び第2の蒸気吸入オリフィス33,34は、容器4によって画定された内部容積5内に、容器4の最大充填レベルより上方に出ている。
【0104】
図に示された実施形態によれば、第1及び第2の蒸気吸入オリフィス33,34は、注ぎ口9及びグリップハンドル8を通過するケトル2の中央垂直面Pの両側に配置され、蓋11の下面12の前半分に位置する。有利には、第1及び第2の蒸気吸入オリフィス33,34は、ケトル2の中央垂直面Pに対して対称に配置される。
【0105】
図7及び
図11により詳しく示すように、
蓋11で区切られた内部チャンバ35と、
第1の蒸気吸入オリフィス33に流体連通する第1の蒸気入口開口部と、蓋11によって区画された内部チャンバ35に出ている第1の蒸気出口開口部360と、を含む第1の蒸気流導管36と、
第2の蒸気吸入オリフィス34に流体連通する第2の蒸気入口開口部と、内部チャンバ35に出る第2の蒸気出口開口部370とを含む第2の蒸気流導管37と、を備える。
【0106】
第1及び第2の蒸気流導管36,37は、こぼれ防止装置を形成しており、流出防止装置も呼ばれ、ケトル2が転倒したときに、蒸気放出回路を介して、内部容積5に収容された水のこぼれを防止するように構成される。
【0107】
図に示された実施形態によれば、特に、
図7に見られるように、第1及び第2の蒸気流導管36,37は、可撓性であり、内部チャンバ35に収容される。第1及び第2の蒸気流導管36,37は、例えば、有利には一体に形成された第1及び第2の蒸気流チューブによってそれぞれ形成することができる。
【0108】
有利には、第1及び第2の蒸気流導管36,37の各々は、円形の横断面を有し、その長さに沿って実質的に一定の流路断面を有する。
【0109】
第1及び第2の蒸気出口開口部360,370は、より詳細には、ケトル2の中央垂直面Pの両側に配置されるように構成され、有利には、ケトル2の中央垂直面Pに対して対称に配置されるように構成される。
【0110】
図に示された実施形態によれば、第1及び第2の蒸気流導管36,37の各々は、一般的なV字形状を有し、第1及び第2の蒸気出口開口部360,370は蓋11の前半分に位置する。
【0111】
図に示された実施形態によれば、第1及び第2の蒸気流導管36,37の各々によって画定される一般的なV字形状は、蓋11の後部に位置する点を有し、この点は、特に、注ぎ口9に対向するように構成される。このような第1及び第2の蒸気流導管36,37の構成により、ケトル2に収容された水を注水する作業中に、蓋11によって区画された内部チャンバ35に流入する可能性のある水の量を制限することが可能となる。
【0112】
有利には、第1及び第2の蒸気流導管36,37は、ケトル2の中央垂直面Pに対して対称に配置され、容器4が水平面に置かれるときに、実質的に水平に延びるように構成される。
【0113】
図に示された実施形態によれば、第1の蒸気出口開口部360は、第2の蒸気吸入オリフィス34の近くに位置し、第2の蒸気出口開口部370は、第1の蒸気吸入オリフィス33の近くに位置する。したがって、ケトル2は、より詳細には、ケトル2がひっくり返され、グリップハンドル8及び容器4の第1の側面が、水平面に安定して置かれるとき(
図9参照)、第1の蒸気吸入オリフィス33及び第2の蒸気出口開口部370が、内部容積の水位よりも上方に位置するように構成され、 ケトル2が倒され、グリップハンドル8及び容器4の第2の側面が、水平面に安定して置かれるとき(
図10参照)、第2の蒸気吸入オリフィス34及び第1の蒸気出口開口部360が、内部容積の水位より上方に位置するように構成される。したがって、本発明によるケトル2は、ケトル2の容器4の最大充填量を最適化することを可能にしながら、ケトル2が転倒した場合に、熱湯がケトル2から流出する危険性を回避するか、又は、少なくともかなり制限することを可能にする。
【0114】
図7に示すように、第1の蒸気流導管36は、第1の蒸気吸入オリフィス33に流体連通する直線状の第1の一次導管部分36.1と、第1の蒸気出口開口部360を含む直線状の第2の一次導管部分36.2と、第1及び第2の一次導管部分36.1,36.2を一緒に接続する曲線状の一次中間部分36.3とを含む。同様に、第2の蒸気流導管37は、直線状で第2の蒸気吸入オリフィス34に流体連通する第1の二次導管部分37.1と、直線状で第2の蒸気出口開口部370を含む第2の二次導管部分37.2と、曲線状で第1及び第2の二次導管部分37.1,37.2を一緒に接続する二次中間部分37.3とを含む。
【0115】
有利には、第1及び第2の一次導管部分36.1,36.2は、蓋11の後方部分に向かって互いに収束し、例えば、容器4の長手方向中心軸Aに関して、注ぎ口9と実質的に対向し、第1及び第2の二次導管部分37.1,37.2は、蓋11の後方部分に向かって互いに収束し、例えば、容器4の長手方向中心軸Aに関して、注ぎ口9と実質的に対向する。
【0116】
蒸気放出回路はさらに、蓋11に設けられ、蓋11によって区画された内部チャンバ35に流体連通する複数の蒸気放出口部38からなる。第2の蒸気流導管37は、内部チャンバ35に収容された蒸気を、ケトル2の外部に向けて放出できるように構成される。
【0117】
図に示された実施形態によれば、蒸気放出口部38は、蓋11の外周面に現れ、水出口開口部26の近くに位置する。したがって、蒸気放出口部38は、蓋11が容器4に固定されているとき、注ぎ口9の近くに位置するように、例えば、注ぎ口9に面して位置するように構成される。このようなケトル2の構成により、蓋11及び注ぎ口9を介して、蒸気を容器4外に放出することができる。
【0118】
有利には、ケトル2には蒸気放出回路を塞ぐ要素がない。
【0119】
図9から
図10により詳しく示すように、ケトル2は、
ケトル2がひっくり返され、グリップハンドル8及び容器4の第1の側方、すなわち、左側が水平面に安定して置かれるとき、第1の蒸気吸入オリフィス33が内部容積5内の水位よりも上方に位置し、
ケトル2が倒され、グリップハンドル8及び容器4の第2の側方、すなわち、右側が水平面に安定して置かれるとき、第2の蒸気吸入オリフィス34が内部容積5内の水位より上方に位置する。
【0120】
したがって、本発明によるケトル2は、ケトル2が転倒した場合に、熱湯がケトル2から流出する危険性を回避するか、少なくともかなり制限することが可能になる。
【0121】
ケトル2は、蓋11に設けられ、蓋11が容器4に固定されたときに、容器4によって区切られた内部容積5を、蓋11によって区切られた内部チャンバ35に流体連通させるように構成された通気装置39をさらに含む。
【0122】
通気装置39は、特に、蓋11の下面12に出ている通気オリフィス41を含む。通気オリフィス41は、より詳細には、較正オリフィスによって形成され、第1及び第2の蒸気吸入オリフィス33,34のそれぞれの流れ断面よりも小さい流れ断面を有する。
【0123】
有利には、通気オリフィス41は、蓋11の下面12の後半分に位置し、蓋11の下面12の周縁に近い。図に示された実施形態によれば、通気オリフィス41は、容器4の長手方向中心軸Aに関して注ぎ口9の反対側に位置するように構成される。通気オリフィス41は、例えば、1~15mm、好ましくは、5mm以下、より好ましくは、3mmからなる直径を有する。
【0124】
このような通気装置39により、ケトル2に収容された水の加熱サイクル中に、内部容積5と内部チャンバ35内の圧力をバランスさせることが可能になる。したがって、沸騰サイクルの終了時にケトル2が下方に傾けられ、蓋11に取り付けられている注入導管24が塞がれた状態に保たれると、第1及び第2の蒸気流導管36,37のプライミングの危険性がかなり低減され、これにより、沸騰水が、蒸気放出回路を通って(特に、蒸気放出口部38を通って)流れる危険性がかなり制限され、したがって、使用者が火傷する危険性がかなり制限される。
【0125】
さらに、通気オリフィス41の特定の配置(蓋11の下面12の後半分にあり、蓋11の下面12の周縁に近い)によって、ケトル2に収容された水を注ぐ操作中に、蓋11によって区切られた内部チャンバ35に入る可能性のある水の量も制限することが可能になる。
【0126】
さらに、このような通気装置39の存在は、ケトル2の内容物を注ぐ際に、ケトル2内の水の量が減少するにつれて内部容積5内に空気が入ることを可能にし、これにより、内部容積5と内部チャンバ35との間の圧力のバランスが保証され、したがって、ケトル2からの水の最適な流出(ゴボゴボ音なし)が保証される。
【0127】
通気装置39はさらに、通気オリフィス41を通って流れる流体を濾過するように構成された濾過要素42を含む。有利には、濾過要素42は、例えば、洗浄や交換を可能にするために取り外し可能である。
【0128】
さらに、通気装置39は、有利には、塞ぐ要素がない。こうして、通気装置39と蒸気放出回路の構造が簡素化される。
【0129】
あるいは、通気装置39は、例えば、ペレットの材料に形成された分割十字によって形成されたスロットを含む、例えば、シリコーンペレットによって形成された弁で構成され得る。バルブは、通気オリフィス41を横切って配置される。
【0130】
図に示されていない別の実施形態によれば、第1及び第2の蒸気出口開口部360,370は、内部チャンバ35の後部に配置され、注ぎ口9から離れる方向、すなわち、ケトル2の後部に向くように構成され得る。
【0131】
図に示されていない本発明の別の実施形態によれば、ケトル2は、バイメタル素子を含む電気機械制御装置を含むことができ、蒸気放出回路は、内部チャンバ35に収容された蒸気をバイメタル素子に導くように構成された少なくとも1つの蒸気放出口部38を含むことができ、電気機械制御装置は、バイメタル素子への蒸気流入がケトル2の加熱の停止をトリガするように構成される。
【0132】
バイメタル素子は、例えば、グリップハンドル8に配置することができる。この場合、少なくとも1つの蒸気放出口部38は、蓋11の後部に設けられ、グリップハンドル8に対向するように構成される。
【0133】
本発明の一変形例によれば、バイメタル素子は、容器4の下部に配置することができる。この場合、少なくとも1つの蒸気放出口部38は、蓋11の後部に設けられ、容器4内に配置され、バイメタル要素に流体連通する蒸気チューブに流体連通するように構成される。
【0134】
もちろん、本発明は、例としてのみ示した説明および図示の実施形態に決して限定されるものではない。特に、様々な要素の構成に関して、あるいは技術的に同等なものとの置換によって、本発明の保護範囲から逸脱することなく、変更を加えることは依然として可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケトル(2)であって、
長手方向中心軸(A)を有し、水を収容することを目的とし、水を加熱することを目的とする内部容積(5)を画定する容器(4)と、
前記容器(4)を閉じるように構成された蓋(11)であって、前記内部容積(5)に面して配置されるように構成された下面(12)を含む、蓋(11)と、
グリップハンドル(8)と、
前記容器(4)の前記長手方向中心軸(A)に対して、前記グリップハンドル(8)の反対側に位置するように構成された注ぎ口(9)と、
前記内部容積(5)内に収容された水の沸騰中に前記内部容積(5)内で生成された蒸気を前記内部容積(5)の外部に搬送するように構成された蒸気放出回路であって、
前記蓋(11)に設けられ、前記蓋(11)の前記下面(12)に出ている第1の蒸気吸入オリフィス(33)及び第2の蒸気吸入オリフィス(34)であって、前記容器(4)によって画定された前記内部容積(5)に流体連通するように構成され、前記グリップハンドル(8)を通る前記ケトル(2)の中央垂直面(P)の両側に配置される、第1の蒸気吸入オリフィス(33)及び第2の蒸気吸入オリフィス(34)と、
前記蓋(11)によって区画された、内部チャンバ(35)と、
前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)に流体連通された第1の蒸気入口開口部と、前記内部チャンバ(35)内に出ている第1の蒸気出口開口部(360)とを含む第1の蒸気流導管(36)と、
前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)に流体連通された第2の蒸気入口開口部と、前記内部チャンバ(35)内に出ている第2の蒸気出口開口部(370)とを含む第2の蒸気流導管(37)と、を有する、蒸気放出回路と、を備え、
前記ケトル(2)は、前記蓋(11)に設けられ、前記蓋(11)が前記容器(4)を閉じたときに、前記容器(4)によって区画された前記内部容積(5)を、前記蓋(11)によって区画された前記内部チャンバ(35)に流体連通させるように構成された通気装置(39)をさらに備えることを特徴とする、ケトル(2)。
【請求項2】
前記通気装置(39)が、前記蓋(11)の前記下面(12)に出ている、通気オリフィス(41)を備える、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項3】
前記通気オリフィス(41)が、較正オリフィスである、請求項2に記載のケトル(2)。
【請求項4】
前記通気オリフィス(41)が、前記蓋(11)の前記下面(12)の後半分に配置される、請求項2に記載のケトル(2)。
【請求項5】
前記通気オリフィス(41)が、前記蓋(11)の前記下面(12)の周縁の近くに配置される、請求項2に記載のケトル(2)。
【請求項6】
前記通気オリフィス(41)が、前記容器(4)の前記長手方向中心軸(A)に対して、前記注ぎ口(9)の反対側に位置するように構成される、請求項2に記載のケトル(2)。
【請求項7】
前記通気オリフィス(41)が、前記第1及び第2の蒸気吸入オリフィス(33,34)のそれぞれの流れ断面よりも小さい流れ断面を有する、請求項2に記載のケトル(2)。
【請求項8】
前記通気装置(39)が、前記通気オリフィス(41)を通って流れる流体を濾過するように構成された濾過要素(42)を含む、請求項2に記載のケトル(2)。
【請求項9】
前記ケトル(2)が、前記通気オリフィス(41)を塞ぐための要素を有さない、請求項2に記載のケトル(2)。
【請求項10】
前記通気装置(39)が、前記通気オリフィスを横切って配置されたバルブを含む、請求項2に記載のケトル(2)。
【請求項11】
前記蒸気放出回路が、前記蓋(11)に設けられ、前記蓋(11)によって区画された前記内部チャンバ(35)に流体連通する少なくとも1つの蒸気放出口部(38)を含み、前記少なくとも1つの蒸気放出口部(38)が、前記内部チャンバ(35)に収容された蒸気を、前記蓋(11)の外側に向けて放出できるように構成される、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項12】
前記ケトル(2)が、前記ケトル(2)がひっくり返され、前記グリップハンドル(8)と前記容器(4)の第1の側面とが水平面に安定して置かれるとき、前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)が前記内部容積(5)内の水位よりも上方に位置するように構成され、前記ケトル(2)が倒され、前記グリップハンドル(8)と前記容器(4)の第2の側面とが水平面に安定して置かれるとき、前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)が前記内部容積(5)内の水位よりも上方に位置するように構成される、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項13】
前記第1及び第2の蒸気流導管(36,37)のそれぞれが、一般的なV字形状を有し、前記一般的なV字形状は、前記第1及び第2の蒸気流導管(36,37)のそれぞれによって画定され、前記蓋(11)の後部に位置する先端部を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のケトル(2)。
【請求項14】
前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)が、前記第2の蒸気出口開口部(370)に近接して配置され、前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)が、前記第1の蒸気出口開口部(360)に近接して配置され、前記第1の蒸気流導管によって画定される、前記一般的なV字形の先端部が、前記第2の蒸気流導管によって画定される、前記一般的なV字形の先端部の近傍に位置する、請求項13に記載のケトル(2)。
【外国語明細書】