(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177156
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】冷却システム、およびアセンブリの冷却方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20241212BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241212BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20241212BHJP
H01L 23/467 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
H05K7/20 N
H05K7/20 H
H01L23/46 Z
H01L23/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024093442
(22)【出願日】2024-06-10
(31)【優先権主張番号】63/507,228
(32)【優先日】2023-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591003493
【氏名又は名称】キャリア コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100140361
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 幸二
(72)【発明者】
【氏名】アリンダム ジョアーダー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ブッシュネル
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA11
5E322AB10
5E322BA05
5E322BB03
5E322DA01
5E322DA02
5E322DA04
5E322EA05
5E322FA01
5F136BC03
5F136CA01
5F136CB07
5F136CB08
(57)【要約】
【課題】 改良された冷却システムおよび冷却方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つの発熱電子デバイスを含むアセンブリを冷却するための冷却システムは、少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合されたヒートスプレッダ、及びヒートスプレッダを介して少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された表面を有する熱除去デバイスを含む。熱除去デバイスは、入口領域、及び入口領域に流体的に結合された少なくとも1つの噴流衝突機能を含む。少なくとも1つの噴流衝突機能は、少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された表面に向かって一次冷却流体を導くように配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発熱電子デバイスを含むアセンブリを冷却するための冷却システムであって、
前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合されたヒートスプレッダと、
前記ヒートスプレッダを介して前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された表面を含む熱除去デバイスであって、前記熱除去デバイスは入口領域及び前記入口領域に流体的に結合された少なくとも1つの噴流衝突機能を含み、前記少なくとも1つの噴流衝突機能は、前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された前記表面に向かって一次冷却流体を導くように配置される、前記熱除去デバイスと、
を備える前記冷却システム。
【請求項2】
前記熱除去デバイスは、出口ヘッダを有する熱交換器を含み、前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された前記表面は前記出口ヘッダ内に配置され、前記一次冷却流体及び二次冷却流体は、前記少なくとも1つの熱交換器内で熱伝達関係に配置される、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記熱交換器は、
入口ヘッダであって、前記入口領域は前記入口ヘッダによって画定される、前記入口ヘッダと、
前記入口ヘッダと前記出口ヘッダとの間に延在する複数の熱交換管であって、前記少なくとも1つの噴流衝突機能は、前記複数の熱交換管から分離され、流体的に結合されている、前記複数の熱交換管とをさらに備える、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記熱交換器は、
入口ヘッダであって、前記入口領域は前記入口ヘッダによって画定される、前記入口ヘッダと、
前記入口ヘッダと前記出口ヘッダとの間に延在する複数の熱交換管であって、前記少なくとも1つの噴流衝突機能は、前記複数の熱交換管の少なくとも1つと一体化されている、前記複数の熱交換管とをさらに備える、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記熱除去デバイスを通して前記二次冷却流体を移動させるように動作可能な流体移動デバイスをさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記流体移動デバイスはファンであり、前記二次冷却流体は空気である、請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記熱除去デバイスは、複数の熱交換器をさらに含み、前記複数の熱交換器のそれぞれは、それぞれの発熱電子デバイスに配置され、熱的に結合されている、先行請求項のいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記複数の熱交換器の少なくともいくつかは、前記一次冷却流体の流れに対して直列に配置される、請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記複数の熱交換器の少なくともいくつかは、前記一次冷却流体の流れに対して並列に配置される、請求項7に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記一次冷却流体の流れに対して前記熱除去デバイスの上流に配置された二次熱交換器をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記二次熱交換器は、前記二次冷却流体の流れに対して前記熱除去デバイスの上流に配置される、請求項10に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記熱除去デバイスに供給される前記一次冷却流体は単相液体である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項13】
少なくとも1つの発熱電子デバイス及び少なくとも1つの周辺発熱デバイスを含むアセンブリの冷却方法であって、
一次冷却流体を介して二次冷却流体を冷却することと、
前記冷却された二次冷却流体を前記少なくとも1つの周辺発熱デバイス上に流すことと、
前記少なくとも1つの発熱電子デバイスを冷却するために、少なくとも1つの噴流衝突機能を介して、前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された熱除去デバイスの表面に前記一次冷却流体を放出することと、
を備える前記方法。
【請求項14】
前記熱除去デバイスは熱交換器であり、前記一次冷却流体を介した前記二次冷却流体の冷却は、前記熱交換器の複数の熱交換管内で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
流体移動デバイスを介して前記熱交換器に前記二次冷却流体を供給することをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記一次冷却流体を二次熱交換器に供給することをさらに備え、前記二次熱交換器は、前記一次冷却流体の流れに対して前記熱交換器の上流に配置される、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記二次熱交換器内で前記一次冷却流体を冷却することをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに配置され、熱的に結合された別の熱除去デバイスに前記一次冷却流体を供給することをさらに備え、前記別の熱除去デバイスは前記一次冷却流体の流れに対して前記熱除去デバイスの下流に直列に配置される、請求項13~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに配置され、熱的に結合された別の熱除去デバイスに前記一次冷却流体を供給することをさらに備え、前記別の熱除去デバイスは前記一次冷却流体の流れに対して前記熱除去デバイスと並列に配置される、請求項13~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの発熱電子デバイスを含むアセンブリを冷却するための冷却システムであって、前記冷却システムは、
前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された表面を含む熱除去デバイスであって、前記熱除去デバイスは入口領域及び前記入口領域に流体的に結合された少なくとも1つの噴流衝突機能を含み、前記少なくとも1つの噴流衝突機能は、前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された前記表面に向かって一次冷却流体を導くように配置される、前記熱除去デバイスを備え、
前記一次冷却流体は、前記入口領域に供給されるときに単相である、前記冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、熱管理の技術に関し、より詳細には、データセンタ内のサーバの熱管理に関する。
【背景技術】
【0002】
「データセンタ」は、1つまたは複数のサーバの物理的な場所を指す。データセンタ及びデータセンタ内に収容されたサーバは、通常、かなりの量の電力を消費する。既存のサーバは、空気の流れによって少なくとも部分的に冷却されるように設計されている。そのようなサーバは通常、複数の動作可能な発熱デバイスが取り付けられた1つまたは複数のプリント回路基板を含む。プリント回路基板は、通常、外気をデータセンタからエンクロージャ内へ、エンクロージャ内を通り抜けてエンクロージャ外へ導くように構成された通気口を有するエンクロージャ内に収容される。空気は、構成要素によって放散される熱を吸収し、エンクロージャから排出された後、周囲の空気と混合する。次いで、空気調節装置を使用してデータセンタの加熱された空気を冷却し、その空気を再循環させて、冷却プロセスを繰り返す。
【0003】
通常、より高性能のサーバ構成要素は、より多くの電力を消費する。しかし、従来の冷却システムがサーバから除去できる熱量は、データセンタで利用可能な空調の範囲によって部分的に制限される。一般に、データセンタ内の空気温度が低いほど、空気の流れによって冷却される各サーバ構成要素がより高い電力を消費でき、したがって、各サーバはそれに応じてより高いレベルの性能で動作できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、改良された冷却システムおよび冷却方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、少なくとも1つの発熱電子デバイスを含むアセンブリを冷却するための冷却システムは、少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合されたヒートスプレッダ、及びヒートスプレッダを介して少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された表面を有する熱除去デバイスを含む。熱除去デバイスは、入口領域、及び入口領域に流体的に結合された少なくとも1つの噴流衝突機能を含む。少なくとも1つの噴流衝突機能は、少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された表面に向かって一次冷却流体を導くように配置されている。
【0006】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、出口ヘッダを有する熱交換器を含む熱除去装デバイスを含み得る。少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された表面は、出口ヘッダ内に配置される。一次冷却流体及び二次冷却流体は、少なくとも1つの熱交換器内で熱伝達関係に配置される。
【0007】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、入口ヘッダを有する熱交換器を含み得、入口領域は入口ヘッダによって画定される。複数の熱交換管が、入口ヘッダと出口ヘッダとの間に延在する。少なくとも1つの噴流衝突機能は、複数の熱交換管から分離され、流体的に結合されている。
【0008】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、入口ヘッダを有する熱交換器を含み得、入口領域は入口ヘッダによって画定される。複数の熱交換管が、入口ヘッダと出口ヘッダとの間に延在する。少なくとも1つの噴流衝突機能は、複数の熱交換管の少なくとも1つと一体化されている。
【0009】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、熱除去デバイスを通して二次冷却流体を移動させるように動作可能な流体移動デバイスを含み得る。
【0010】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、流体移動デバイスがファンであり、二次冷却流体が空気であることを含み得る。
【0011】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、熱除去デバイスが複数の熱交換器を含み、複数の熱交換器のそれぞれが、それぞれの発熱電子デバイスに配置され、熱的に結合されていることを含み得る。
【0012】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、複数の熱交換器の少なくともいくつかが一次冷却流体の流れに対して直列に配置されることを含み得る。
【0013】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、複数の熱交換器の少なくともいくつかが一次冷却流体の流れに対して並列に配置されることを含み得る。
【0014】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、一次冷却流体の流れに対して熱除去デバイスの上流に配置された二次熱交換器を含み得る。
【0015】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、二次冷却流体の流れに対して熱除去デバイスの上流に配置された二次熱交換器を含み得る。
【0016】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、熱除去デバイスに供給される一次冷却流体が単相液体であることを含み得る。
【0017】
一実施形態によれば、少なくとも1つの発熱電子デバイス及び少なくとも1つの周辺発熱デバイスを含むアセンブリを冷却する方法は、一次冷却流体を介して二次冷却流体を冷却すること、冷却された二次冷却流体を少なくとも1つの周辺発熱デバイス上に流すこと、及び少なくとも1つの噴流衝突機能を介して少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された熱除去デバイスの表面に一次冷却流体を放出し、少なくとも1つの発熱電子デバイスを冷却することを含む。
【0018】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、熱除去デバイスが熱交換器であり、一次冷却流体を介した二次冷却流体の冷却が熱交換器の複数の熱交換管内で行われることを含み得る。
【0019】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、流体移動デバイスを介して熱交換器に二次冷却流体を供給することを含み得る。
【0020】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、一次冷却流体を二次熱交換器に供給することを含み得、二次熱交換器は一次冷却流体の流れに対して熱交換器の上流に配置される。
【0021】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、二次熱交換器内で一次冷却流体を冷却することを含み得る。
【0022】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、少なくとも1つの発熱電子デバイスに配置され、熱的に結合された別の熱除去デバイスに一次冷却流体を供給することを含み得る。別の熱除去デバイスは、一次冷却流体の流れに対して、熱除去デバイスの下流に直列に配置される。
【0023】
本明細書に記載の機能の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、少なくとも1つの発熱電子デバイスに配置され、熱的に結合された別の熱除去デバイスに一次冷却流体を供給することを含み得る。別の熱除去デバイスは、一次冷却流体の流れに対して熱除去デバイスと並列に配置される。
【0024】
次の説明は、いかなる意味でも限定的であると解釈されるべきではない。添付の図面を参照すると、同様の要素には同じ番号が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】複数のサーバが搭載されたデータセンタラックの正面図である。
【
図3A】一実施形態による、サーバの上面図である。
【
図3B】一実施形態による、
図3Aのサーバの断面側面図である。
【
図4】一実施形態による、サーバに使用するのに適した冷却システムの熱交換器の断面図である。
【
図5】一実施形態による、一体化された流体回路を有するヒートスプレッダの断面図である。
【
図6A】一実施形態による、冷却システムの一次冷却流体の回路の概略図である。
【
図6B】一実施形態による、冷却システムの一次冷却流体の回路の概略図である。
【
図7】一実施形態による、冷却システムの一次冷却流体の回路の一部を示す概略図である。
【
図8】別の実施形態による、冷却システムの一次冷却流体の回路の一部を示す概略図である。
【
図9】さらに別の実施形態による、冷却システムの一次冷却流体の回路の一部を示す概略図である。
【
図10】一実施形態による、サーバに使用するのに適した冷却システムの熱除去デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
開示される装置及び方法の1つまたは複数の実施形態の詳細な説明が、図面を参照して、限定ではなく、例証として本明細書に提示される。
【0027】
ここで
図1を参照すると、データセンタ20の例が示されている。図示のように、データセンタ20には、少なくとも1つのスロット、いくつかの実施形態では、複数のスロット(図示せず)が形成されたキャビネット22が含まれる。本明細書ではサーバ30とも呼ばれる、1つまたは複数のサーバラックサブアセンブリは、キャビネット22内に形成された1つまたは複数のスロット内など、キャビネット22内に恒久的にまたは取り外し可能に取り付けられ得る。複数のスロット、及びその中に受入可能な少なくとも1台のサーバ30は、概ね垂直方向(図示)に配置され得るか、または、その代わりに、水平方向に配置され得る。いくつかの実施形態では、データセンタ20には、水平方向のスロットと垂直方向のスロットの両方の組み合わせが含まれ得る。さらに、図には単一のキャビネット22のみが示されているが、データセンタ20には複数のキャビネット22が含まれ得ることを理解されたい。複数のキャビネット22を含む実施形態では、複数のキャビネット22が、建物内の同じ場所に配置され得るか、または、その代わりに、キャビネット22の1つまたは複数が、単一の建物内または複数の建物内の異なる場所に配置され得る。
【0028】
ここで、
図2及び
図3Aを参照すると、キャビネット22のスロット内に受入可能なサーバ30の例が示されている。図に示すように、サーバ30は、フレームに取り付けられた少なくとも1つのプリント回路基板34を有するフレームまたはシャーシ32を含み得る。図には単一のプリント回路基板34のみが示されているが、いくつかの実施形態では、シャーシ32に複数のプリント回路基板が取り付けられ得ることを理解されたい。シャーシ32は、サーバラックのスロットに挿入可能、例えば、摺動自在に挿入可能であり、キャビネット22で、またはキャビネット22によって提供される電源ケーブル、データケーブル、及び/またはその他の接続ケーブルに接続できるように設計されている。
【0029】
シャーシ32には、プリント回路基板34に対してある角度で配向され、プリント回路基板34の周辺の全部または少なくとも一部の周囲に延在する複数の壁36、38、39、及び40が含まれ得る。一実施形態では、シャーシ32は、シャーシ32の周壁36、38、40の1つまたは複数に接続された少なくとも1つの平坦な、概ね平面状のパネルを含む。少なくとも1つのフラットパネル42は、プリント回路基板34の第1の側または第2の側のいずれかに配置され得る。図に示すように、サーバ30が水平方向にある場合、そのようなフラットパネル42は、プリント回路基板34の上または下のいずれかに、プリント回路基板34から垂直にオフセットされ得る。いくつかの実施形態では、
図3Bに最もよく示されているように、フラットパネル42はプリント回路基板の上及び下の両方に配置される。一実施形態では、シャーシ32はフラットパネル42と組み合わせて、サーバ30を囲む気密容器を形成する。しかし、サーバ30の周囲に別個のジャケットまたはコンテナを配置して気密アセンブリを形成する実施形態も本明細書で考慮されている。さらに、周囲との空気交換を伴う実施形態も、周囲の空気がサーバに吸い込まれ、発熱部品から熱が抽出され、次いで、熱管理の有無にかかわらず排出される範囲内である。
【0030】
少なくとも1つの発熱電子デバイス50がプリント回路基板34に取り付けられ得るか、または電気的に接続され得る。発熱電子デバイス50の例には、限定されないが、中央処理装置及び/またはグラフィックス処理装置などのプロセッサ、メモリ、ハードドライブ、及び電源モジュールなどが含まれる。サーバ30には、プリント回路基板34に取り付けられていない、または電気的に接続されていない1つまたは複数の構成要素も含まれ得る。サーバ30に、例えば、中央処理装置などの同じタイプの構成要素が2つ以上含まれる実施形態では、構成要素は、シャーシ32の側面36、38の間に延在する軸に沿って整列され得るか、シャーシ32の前面と背面との間に延在する軸に沿って整列され得るか、または1つまたは複数の方向に互いにオフセットされ得る。任意の発熱電子デバイス50は、シャーシ32内または回路基板34の周囲の任意の位置に配置され得ることを理解されたい。
【0031】
一実施形態では、1つまたは複数の流体移動デバイス52がプリント回路基板34に取り付けられ、発熱電子デバイス50上に空気などの流体の流れを移動させるように動作可能である。図示の非限定的な実施形態では、少なくとも1つの流体移動デバイスは、サーバ30がキャビネット22内に設置されたときに、少なくとも1つのファン52が、発熱電子デバイス50よりもキャビネット22の前面に近い位置に配置されるように、プリント回路基板34の第1の端部54の近くに配置されたファン52である。しかし、1つまたは複数の流体移動デバイス52が、例えば、プリント回路基板34またはキャビネット22の背面に関連付けられたシャーシ32の第2の端部56の近くなどの別の適切な位置に配置される実施形態も、本開示の範囲内である。全幅または半幅またはスレッド構成を有するサーバを含む、任意の適切な構成のサーバ30が本開示の範囲内にあることを理解されたい。
【0032】
一実施形態では、少なくとも1つの流体移動デバイス52によって移動される流体は、発熱電子デバイス50上を1回通過するように構成される。例えば、シャーシ32の前面に隣接する位置からファン52に冷気が吸い込まれ、発熱電子デバイス50から熱を除去した後、シャーシ32の背面から排出され得る。キャビネット22の背面から排出される空気は、周囲の環境と同じ温度、周囲の環境よりも暖かい、または周囲の環境よりも冷たい場合があることを理解されたい。例えば、シャーシ32に少なくとも1つのフラットパネル42が含まれる場合などの他の実施形態では、流体はサーバ30内で連続的に循環するように構成され得る。例えば、
図3Bに最もよく示されているように、流体移動デバイス52は、プリント回路基板34の第1の表面58に配置された発熱電子デバイス50にわたって流体の流れを押し出し得る。プリント回路基板34の第2の端部56に到達すると、流体は1つまたは複数の開口部を通過して方向を変え、プリント回路基板34の第2の反対側の表面60に沿って2回目の通過を行い得る。プリント回路基板34の第1の端部54に到達すると、流体は再び方向を変え、少なくとも1つの流体移動デバイス52の入口に引き戻され得る。
【0033】
サーバ30は、発熱電子デバイス50の1つまたは複数から熱を除去するための冷却システム100を含み得る。一実施形態では、冷却システム100は、一次冷却流体C1を使用して少なくとも1つの発熱電子デバイス50を冷却するように動作可能である。プリント回路基板34に搭載され、一次冷却流体C1を介して直接冷却されないその他の発熱電子デバイス50は、「周辺」発熱デバイスとみなされ得る。図示の非限定的な実施形態では、選択された発熱電子デバイスは中央処理装置またはグラフィックス処理装置として説明され、少なくとも1つの周辺発熱デバイスはメモリ、ハードドライブ、または電源モジュールなどの他の構成要素を含むものとして説明されているが、サーバ30の任意の構成要素は、一次冷却流体C1によって直接冷却される少なくとも1つの選択された発熱電子デバイスとして設計され得、サーバ30の任意の構成要素は、周辺発熱デバイスとして設計され得ることを理解されたい。
【0034】
一実施形態では、冷却システム100は、例えば、少なくとも1つの発熱電子デバイスと軸方向に重なり合う関係で取り付けられ、熱的に結合された、熱交換器などの熱除去デバイス102を含む。
図4に示す冷却システム100の断面図を参照すると、熱交換器102は、入口ヘッダ106と出口ヘッダ108との間に延在する複数のほぼ平行なマイクロチャネル熱交換器管104を有するマイクロチャネル熱交換器などの熱交換器であり得、複数の熱交換器管104のそれぞれが複数の流体流路(図示せず)を画定する。しかし、使用可能な他のタイプの熱交換器の例には、限定されないが、マイクロチューブ、二重管、シェルアンドチューブ、チューブアンドフィン、プレート、プレートアンドシェル、断熱シェル、プレートフィン、ピロープレート、及び流体熱交換器が含まれ得る。選択される熱交換器102のタイプは、少なくとも部分的には、そこに供給される流体のタイプに基づいて決まり得る。
【0035】
一次冷却流体C1及び二次冷却流体C2は、熱交換器102において熱伝達関係に配置される。
図4に示す非限定的な実施形態では、熱交換器102は、一次冷却流体C1及び二次冷却流体C2の両方のための単一の経路構成を有する。しかし、他の実施形態では、一次冷却流体C1及び二次冷却流体C2の少なくとも1つが熱交換器102を複数回通過し得る。さらに、一次冷却流体C1及び二次冷却流体C2は、熱交換器において、クロスフロー、パラレルフロー、カウンターフロー、またはそれらの任意の組み合わせなど、任意の適切なフロー構成で配置され得る。
【0036】
一実施形態では、ノズル、噴出口、または口、穴、または開口部などの少なくとも1つの噴流衝突機能がプレート110に形成され、いくつかの実施形態では、複数の噴流衝突機能110が出口ヘッダ108内に配置され、各ノズル110が、1つまたは複数の熱交換器管104の少なくとも1つの流体流路に流体結合される。噴流衝突機能110の出口端は、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50に熱的に結合された出口ヘッダ108の表面、例えば、出口ヘッダ108の底面に向けられる。1つまたは複数の噴流衝突機能110は、本明細書では熱交換管104とは別個のものとして図示され説明されているが、一実施形態では、熱交換管104の出口端は、1つまたは複数の噴流衝突機能110がそれと一体となるように輪郭が付けられ得る。噴流衝突構成は、自由表面タイプ、または浸漬タイプ、または限定浸漬タイプであり得る。さらに、噴流衝突機能110から放出される噴出は、円形、多角形、星形などの断面の任意の幾何学的形状であり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、熱交換器102は、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50の表面に直接結合される。しかし、他の実施形態では、
図4に示すように、熱交換器102は、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50に間接的に結合される。サーバアプリケーションでは、利用可能な発熱電子デバイス(すなわち、CPU、GPUなど)の表面積は非常に小さい。そのような発熱デバイス50から放散される熱量は通常非常に大きいため、熱除去デバイスとの界面を形成するために利用可能な表面積は、発熱電子デバイスの冷却需要を満たすのに十分ではない。したがって、図示の非限定的な実施形態では、例えば、金属薄板のような導電性材料から形成されるようなヒートスプレッダ120が、選択された発熱電子デバイス50に隣接するプリント回路基板34に取り付けられる。ヒートスプレッダ120は、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50及びプリント回路基板34の両方に軸方向に重なり合うように示されているが、ヒートスプレッダ120が少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50に対して別の位置に配置される実施形態も本明細書で考慮されている。
【0038】
少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50からヒートスプレッダ120への熱の伝達を容易にするために、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイスの表面124とヒートスプレッダ120の隣接する表面126との間に熱界面材料122を配置し得る。少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50に面するヒートスプレッダ120の表面126の表面積は、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50の表面124の表面積よりも大きくても、等しくてもよいし、または、実施形態によっては、それよりも小さくてもよい。
【0039】
熱交換器102は、ヒートスプレッダ120の第2の反対側の表面128に熱的に結合されている。一実施形態では、ヒートスプレッダ120の第2の反対側の表面128は、ヒートスプレッダ120から、例えば、一次冷却流体C1などの熱交換器102内の流体への熱の伝達を容易にするために、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50の表面124よりも大きい。例えば、ヒートスプレッダ120の表面128の表面積は、少なくとも1つの選択された発熱性電子デバイス50の表面124の表面積よりも少なくとも30%大きく、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの選択された発熱性電子デバイス50の表面124よりも少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または100%以上大きい。しかし、他の実施形態では、ヒートスプレッダ120の第2の表面128の表面積は、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50の表面積と同じか、またはそれよりも小さくてもよい。図示の非限定的な実施形態では、出口ヘッダ108はヒートスプレッダ120に直接隣接して配置され、熱界面材料130を介してヒートスプレッダ120に熱的に結合され得る。
【0040】
熱交換器102の入口ヘッダ106は第1の流体入口132に流体接続され得、出口ヘッダ108は第1の流体出口134に流体接続されて、一次冷却流体C1の第1の流路を形成し得る。動作中、例えば、冷媒などの一次冷却流体C1は、第1の流体入口132から熱交換器102の入口ヘッダ106に供給される。入口ヘッダ106に供給される一次冷却流体C1は、例えば、低温液体または冷却液体などの単相であり得る。一次冷却流体C1は、入口ヘッダ106から、熱交換器102の複数の熱交換管104を通って出口ヘッダ108に向かって流れる。
【0041】
二次冷却流体C2は、隣接する熱交換器管104の間に画定された隙間136を通って流れるように構成されている。図示の非限定的な実施形態では、二次冷却流体C2は、サーバ30に関連付けられた少なくとも1つの流体移動デバイス52によって(ページの平面に延在する方向に)移動される空気の流れである。しかし、液体を含む任意の流体は、二次冷却流体として使用され得ることを理解されたい。図示の非限定的な実施形態では、隣接する熱交換器管104の間に画定された隙間136内に複数のフィンが配置されているが、このようなフィンを含まない実施形態も本明細書で考慮されている。熱交換管104の複数の通路内では、二次冷却流体C2からの熱が一次冷却流体C1に伝達される。その結果、熱交換器102の出口に供給される冷却された二次冷却流体C2は、サーバ30の周辺の発熱デバイスの上を流れるように構成され得る。
【0042】
ここで、わずかに温かくなった一次冷却流体C1の少なくとも一部は、複数の熱交換管104から、出口ヘッダ108内に配置された1つまたは複数の噴流衝突機能110に出力される。一実施形態では、一次冷却流体C1は、1つまたは複数の噴流衝突機能110に供給されるときに単相であり得る。噴流衝突機能110内では、一次冷却流体C1の流量が増加し、その結果、一次冷却流体C1が、選択された発熱電子デバイス50と垂直に整列した出口ヘッダ108の表面にある噴流衝突機能の出口から排出される。少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50からヒートスプレッダ120の第1の表面126に伝達された熱の少なくとも一部は、ヒートスプレッダ120の第2の表面128から一次冷却流体C1に伝達される。一次冷却流体C1が出口ヘッダ108の表面に連続的に衝突することにより、出口ヘッダ108の表面から一次冷却流体C1に熱が伝達され、それによって、選択された少なくとも1つの発熱電子デバイス50が冷却される。出口マニホールドの表面と接触した後、結果として生じたより温かい一次冷却流体C1は、熱交換器102の出口ヘッダ108から出て、第1の流体出口134に向かって流れる。
【0043】
図4に最もよく示されているように、熱交換器102との間の一次冷却流体C1の流れを制御するために、少なくとも1つの弁が第1の流体入口132及び/または第1の流体出口134内に配置され得る。一実施形態では、弁(複数可)Vの位置、したがって、熱交換器102を通る流量は、熱交換器102における熱負荷に基づいて能動的に管理される。図示の非限定的な実施形態では、第1のセンサはヒートスプレッダ120の温度を監視するように動作可能であり、第2のセンサは出口ヘッダ108における一次冷却流体C1の温度を監視するように動作可能である。少なくとも1つのセンサTは、温度を直接測定するように動作可能であり得るか、または温度と相関する、またはそこから温度を導出するために使用できる別のパラメータを監視するように構成され得る。
【0044】
一実施形態では、冷却システム100のヒートスプレッダ120は、内部流体回路を有する冷却プレートである。ヒートスプレッダ120の内部流体回路200の一例が、
図5に示すヒートスプレッダの断面図に示されている。図示のように、流体回路200には、ヒートスプレッダ120の本体に形成された流体入口202及び流体出口204が含まれている。流体入口202及び流体出口204は、深さ方向(例えば、添付の図のZ-X平面)での、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、または任意の単純な多角形またはその一部の形状などを含む、任意の形状にできる。また、一実施形態では、流体出口204は流体入口202に比べてはるかに大きな直径を有し得、それによって、流体出口204を通過する冷却媒体の圧力降下を低減するのに役立つ。
【0045】
一実施形態では、流体回路は、流体入口202と流体出口204との間に延在する単一の連続流路を含む。しかし、他の実施形態では、流体回路200は、第1のマニホールドまたは入口マニホールド206、第2のマニホールドまたは出口マニホールド208、及び第1のマニホールド206と第2のマニホールド208を接続する少なくとも1つの流体通路210を含む。一実施形態では、少なくとも1つの流体通路210は複数の流体通路210を含む。流体入口202は、任意の適切な機械的接続を使用して、第3の冷却媒体C3の供給源を入口マニホールド206に接続するように構成され得る。第3の冷却媒体C3は、一次冷却流体C1または二次冷却流体C2のいずれかと同じであってもよく、あるいはそれらとは別個であっても異なっていてもよい。
【0046】
一実施形態では、流体回路200の1つまたは複数の流体通路210は、発熱電子モジュールと直接整列するか、または重なり合う配置になっているヒートスプレッダの領域においてなど、熱流束が最も大きいヒートスプレッダの領域で局所的な冷却を実行するように配置され得る。したがって、少なくとも1つの流体通路210は、発熱電子モジュール50と関連付けられ得る。ヒートスプレッダが複数の発熱電子モジュールに関連付けられている実施形態では、1つまたは複数の流体通路210が、それぞれの発熱電子モジュールに関連付けられ、それぞれの発熱電子モジュールから熱を除去するように構成され得る。より具体的には、それぞれの発熱電子モジュール50に関連付けられた少なくとも1つの流体通路210は、発熱電子モジュール50と整列してヒートスプレッダ120内に物理的に配置され得る。ヒートスプレッダ120内に流体回路200を含めると、冷却システム100の熱除去デバイス102のサイズを縮小し得る。
【0047】
ここで
図6Aを参照すると、冷却システム100の一次冷却流体C1の回路150の例が示されている。図示の非限定的な実施形態では、冷却システム100の一次冷却流体C1の回路150は閉ループであり、それを通して一次冷却流体C1を移動させるためのポンプ152を含む。フィルタ154は、対応する発熱電子デバイス50を直接冷却するように配置された少なくとも1つの熱除去デバイス102の上流に配置され得る。1つまたは複数の熱除去デバイス102の下流には、一次冷却流体C1から熱を除去するように構成された冷却熱交換器156がある。回路150には、さらに、余剰の一次冷却流体C1が貯蔵されるリザーバまたはアキュムレータ158が含まれ得る。図示のように、回路150は、熱除去デバイス102(VC1)のすぐ上流、熱交換器102(VC2)のすぐ下流に配置され、冷却熱交換器156(VC3)をバイパスするためのバイパス導管160と関連付けられ、熱除去デバイス102及び冷却熱交換器156(VC4)の両方をバイパスするための別のバイパス導管162と関連付けられるような複数の弁を含み得る。
【0048】
ここで
図6Bを参照すると、
図6Aの回路に類似した別の回路が示されている。しかし、
図6Bに示す回路は、一次冷却流体C1の流れに対して直列に配置された複数の熱交換器102を含む。流体移動デバイス52は、それぞれの熱除去デバイス102に関連付けられているように図式的に示されている。一実施形態では、各熱除去デバイス102は、すべての流体移動デバイス52から二次冷却流体C2の流れを受け入れるように構成されていることを理解されたい。しかし、各熱除去デバイス102が流体的に結合され、それぞれの流体移動デバイス52から二次冷却流体C2の流れを受け入れるように構成されている実施形態も本明細書で考慮されている。
【0049】
図7~
図9を参照すると、いくつかの実施形態では、冷却システム100は、各々がそれぞれの発熱電子デバイス50を直接冷却するように配置した複数の熱除去デバイス102を含み得ることが理解されよう。そのような実施形態では、一次冷却流体C1は、任意の適切な方法で複数の熱除去デバイス102に流れ得る。例えば、
図7に示すように、複数の熱交換器102のそれぞれは、第1の流体入口132と第1の流体出口134との間の一次冷却流体C1の流れに対して並列に流体接続され得る。
図8に示す別の実施形態では、複数の熱除去デバイス102は、第1の流体入口132と第1の流体出口134との間の一次冷却流体C1の流れに対して直列に流体接続され得る。さらに別の実施形態では、複数の熱除去デバイス102は、第1の流体入口132と第1の流体出口134との間の一次冷却流体C1の流れに対して並列及び直列の両方で流体接続され得る。図示のように、第1の流体入口132と第1の流体出口134との間には複数の流路が延在しており、流路の少なくとも1つ、いくつかの実施形態では、各流路は、複数の熱交換器102を含む。
【0050】
図7~
図9に示すように、一実施形態では、冷却システム100は、例えば、二次冷却流体C2などの別の媒体を調整または冷却するために使用される二次熱交換器170をさらに含む。二次熱交換器170は、シャーシ32及び/またはプリント回路基板34に取り付けられ得、選択された1つまたは複数の発熱電子デバイス50及び1つまたは複数の周辺発熱デバイスの両方から離れた場所に配置される。図示の非限定的な実施形態では、二次熱交換器170は、一次冷却流体C1の流れに対して、いくつかの実施形態では、二次冷却流体C2の流れに対して、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50と重なり合う配置で取り付けられた少なくとも1つの熱除去デバイス102の上流に配置される。例えば、二次熱交換器170は、プリント回路基板34の第1の端54の近く、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50と少なくとも1つのファン52との間の位置に取り付けられ得る。しかし、二次熱交換器170が別の場所に配置される実施形態も本明細書で考慮されている。
【0051】
二次熱交換器170は、任意の適切なタイプの熱交換器であり得る。一実施形態では、二次熱交換器170は、それぞれが複数の流体流路(図示せず)を画定する、複数の実質的に平行なマイクロチャネル熱交換管を有するマイクロチャネル熱交換器である。しかし、使用可能な他のタイプの熱交換器の例には、限定されないが、マイクロチューブ、二重管、シェルアンドチューブ、チューブアンドフィン、プレート、プレートアンドシェル、断熱シェル、プレートフィン、ピロープレート、及び流体熱交換器が含まれ得る。
【0052】
図示の非限定的な実施形態では、二次熱交換器170は、一次冷却流体C1の流路を画定する一次入口172及び一次出口174、及び二次冷却流体C2の流路を画定する二次入口176及び二次出口178を有する。一次冷却流体C1及び二次冷却流体C2は、それぞれ二次熱交換器170を1回通過し得る。しかし、他の実施形態では、一次冷却流体C1及び二次冷却流体C2の少なくとも1つが熱交換器102を複数回通過し得る。さらに、一次冷却流体C1及び二次冷却流体C2は、熱交換器において、クロスフロー、パラレルフロー、カウンターフロー、またはそれらの任意の組み合わせなど、任意の適切なフロー構成で配置され得る。
【0053】
一実施形態では、二次熱交換器170は冷却コイルとして構成され、二次熱交換器170に供給される一次冷却流体C1は二次冷却流体C2から熱を吸収するように構成される。動作中、少なくとも1つのファン52は、例えば周囲の空気などの二次冷却流体C2の流れを二次熱交換器170に供給する。二次熱交換器170内では、低温または冷却一次冷却流体C1が二次冷却流体C2から熱を吸収する。一次入口172及び一次出口174の両方における一次冷却流体C1は、例えば、液体などの単相であり得、その結果、熱交換器102に供給される一次冷却流体C1は、単相であり、選択された1つまたは複数の発熱電子デバイス50から熱を吸収できる温度である。二次熱交換器170の出口178から出力される二次冷却流体C2は、熱除去デバイス102に到達する前に、1つまたは複数の周辺の発熱電子デバイス50を通過し、したがって、そこから熱を吸収し得ることを理解されたい。
【0054】
複数の発熱デバイスの上流に取り付けられた二次熱交換器170を含む冷却システム100の実施形態では、二次冷却流体C2の冷却は、熱除去デバイス102で実行する必要はない。したがって、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50と重なり合う配置で取り付けられる熱除去デバイス102は、熱交換器である必要はない。そのような実施形態では、選択された発熱デバイス50の冷却は、主に、熱除去デバイス102を通る一次冷却流体C1の流れによって実行され得る。
【0055】
図10を参照すると、二次熱交換器170と組み合わせて冷却システム100で使用するのに適した別の熱除去デバイス102の例が示されている。図示のように、熱除去デバイス102は、入口領域300、及び少なくとも1つの噴流衝突機能310、及び、いくつかの実施形態では、入口領域300に流体結合された複数の噴流衝突機能310を含む。本明細書で前述した熱交換器102と同様に、噴流衝突機能310の出口端は、例えば、熱除去デバイス102の底面312など、少なくとも1つの選択された発熱電子デバイス50に熱的に結合された熱除去デバイス102の表面に向けられる。噴流衝突構成は、自由表面タイプ、または浸漬タイプ、または限定浸漬タイプであり得る。さらに、噴流衝突機能310から放出される噴出流は、円形、多角形、星形などの断面の任意の幾何学的形状であり得る。
【0056】
本明細書に図示及び説明されている冷却システム100は、発熱部品を冷却するための容易にスケーラブルな解決策を提供する。そのような冷却解決策は、発熱部品から吸収された熱を下流の加熱用途に排出することで、発熱部品の持続可能性及び効率を向上させることができる。さらに、データセンタを含む領域を冷却するための空調負荷も軽減される。冷却システム100は、既存の単相液体冷却システムに比べてコストが削減され得る。
【0057】
「約」という用語は、出願時に利用可能である器具による特定の量の測定に関連付けられた誤差の程度を含むことが意図されている。
【0058】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のみであり、本開示を限定するようには意図されていない。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明らかに示さない限り、複数形も含むことを意図する。用語「備える(comprise)」及び/または「備えている(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除する訳ではないことがさらに理解されよう。
【0059】
本開示は例示の1つまたは複数の実施形態を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われてもよく、また均等物がその要素の代わりをする場合もあることは当業者によって理解されるであろう。加えて、本開示の必須の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために多くの修正が行われる場合もある。したがって、本開示は、本開示を実施するために企図された最適な態様として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲内に収まるすべての実施形態を含むことが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発熱電子デバイスを含むアセンブリを冷却するための冷却システムであって、
前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合されたヒートスプレッダと、
前記ヒートスプレッダを介して前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された表面を含む熱除去デバイスであって、前記熱除去デバイスは入口領域及び前記入口領域に流体的に結合された少なくとも1つの噴流衝突機能を含み、前記少なくとも1つの噴流衝突機能は、前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された前記表面に向かって一次冷却流体を導くように配置される、前記熱除去デバイスと、
を備える前記冷却システム。
【請求項2】
前記熱除去デバイスは、出口ヘッダを有する熱交換器を含み、前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された前記表面は前記出口ヘッダ内に配置され、前記一次冷却流体及び二次冷却流体は、前記少なくとも1つの熱交換器内で熱伝達関係に配置される、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記熱交換器は、
入口ヘッダであって、前記入口領域は前記入口ヘッダによって画定される、前記入口ヘッダと、
前記入口ヘッダと前記出口ヘッダとの間に延在する複数の熱交換管であって、前記少なくとも1つの噴流衝突機能は、前記複数の熱交換管から分離され、流体的に結合されている、前記複数の熱交換管とをさらに備える、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記熱交換器は、
入口ヘッダであって、前記入口領域は前記入口ヘッダによって画定される、前記入口ヘッダと、
前記入口ヘッダと前記出口ヘッダとの間に延在する複数の熱交換管であって、前記少なくとも1つの噴流衝突機能は、前記複数の熱交換管の少なくとも1つと一体化されている、前記複数の熱交換管とをさらに備える、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記熱除去デバイスを通して前記二次冷却流体を移動させるように動作可能な流体移動デバイスをさらに備える、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記流体移動デバイスはファンであり、前記二次冷却流体は空気である、請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記熱除去デバイスは、複数の熱交換器をさらに含み、前記複数の熱交換器のそれぞれは、それぞれの発熱電子デバイスに配置され、熱的に結合されている、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記複数の熱交換器の少なくともいくつかは、前記一次冷却流体の流れに対して直列に配置される、請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記複数の熱交換器の少なくともいくつかは、前記一次冷却流体の流れに対して並列に配置される、請求項7に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記一次冷却流体の流れに対して前記熱除去デバイスの上流に配置された二次熱交換器をさらに備える、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記二次熱交換器は、前記二次冷却流体の流れに対して前記熱除去デバイスの上流に配置される、請求項10に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記熱除去デバイスに供給される前記一次冷却流体は単相液体である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項13】
少なくとも1つの発熱電子デバイス及び少なくとも1つの周辺発熱デバイスを含むアセンブリの冷却方法であって、
一次冷却流体を介して二次冷却流体を冷却することと、
前記冷却された二次冷却流体を前記少なくとも1つの周辺発熱デバイス上に流すことと、
前記少なくとも1つの発熱電子デバイスを冷却するために、少なくとも1つの噴流衝突機能を介して、前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された熱除去デバイスの表面に前記一次冷却流体を放出することと、
を備える前記方法。
【請求項14】
前記熱除去デバイスは熱交換器であり、前記一次冷却流体を介した前記二次冷却流体の冷却は、前記熱交換器の複数の熱交換管内で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
流体移動デバイスを介して前記熱交換器に前記二次冷却流体を供給することをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記一次冷却流体を二次熱交換器に供給することをさらに備え、前記二次熱交換器は、前記一次冷却流体の流れに対して前記熱交換器の上流に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記二次熱交換器内で前記一次冷却流体を冷却することをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに配置され、熱的に結合された別の熱除去デバイスに前記一次冷却流体を供給することをさらに備え、前記別の熱除去デバイスは前記一次冷却流体の流れに対して前記熱除去デバイスの下流に直列に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに配置され、熱的に結合された別の熱除去デバイスに前記一次冷却流体を供給することをさらに備え、前記別の熱除去デバイスは前記一次冷却流体の流れに対して前記熱除去デバイスと並列に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの発熱電子デバイスを含むアセンブリを冷却するための冷却システムであって、前記冷却システムは、
前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された表面を含む熱除去デバイスであって、前記熱除去デバイスは入口領域及び前記入口領域に流体的に結合された少なくとも1つの噴流衝突機能を含み、前記少なくとも1つの噴流衝突機能は、前記少なくとも1つの発熱電子デバイスに熱的に結合された前記表面に向かって一次冷却流体を導くように配置される、前記熱除去デバイスを備え、
前記一次冷却流体は、前記入口領域に供給されるときに単相である、前記冷却システム。
【外国語明細書】