(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177181
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】アダプティブ格納ラック
(51)【国際特許分類】
B65D 19/10 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B65D19/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024154050
(22)【出願日】2024-09-06
(62)【分割の表示】P 2021556547の分割
【原出願日】2020-03-25
(31)【優先権主張番号】1903200
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ ホセ ベニート ウエルタス
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト マルティネス デ パブロ
(57)【要約】
【課題】本発明は、要素、特にグレージング要素を格納及び/又は輸送するためのラックを提供する。
【解決手段】本発明のラックは、これらの要素のための受容構造体を備えるタイプであり、構造体の上部は、その上に積み重ねられる追加の上部ラックのための受容手段(18)及び固定手段(22、23)を備え、この構造体の下部は、それが積み重ねられる追加の下部ラックの受容手段(18)及び固定手段(22、23)と協働することを可能にする相補的手段を備える、ラックに関する。このラックは、固定手段が、積み重ねられるラックの横方向の寸法差に対応するピッチの値だけ、横方向に互いに分離された少なくとも2つの部材(22、23)を備えることを特徴としている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要素(16)、特にグレージング要素を格納及び/又は輸送するためのラックであって、このラックが、これらの要素(16)を格納する構造体(3)を有するタイプであり、この構造体の上部が、このラックの上に重ねられる追加の上部ラック(1’)のための受容手段(18,20)及び固定手段(22,23,24)を有し、かつこの構造体(3)の底部が、その上にラックを重ねられる底部ラック(1)の受容手段(18,20)及び固定手段(22,23,24)と協働することを可能にする相補的な手段(25)を有し、ここで、前記固定手段が、積み重ねられるラックの横方向の寸法の差に対応する値(e、e’)だけ横方向に互いに分離された少なくとも2つの部材(22、23、24)を備えることを特徴とする、ラック。
【請求項2】
前記固定手段が、2つの前記部材(22、24)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の格納及び/又は輸送ラック。
【請求項3】
前記部材が、突起部(22、23、24)からなり、かつ前記相補的手段は、前記構造体(3)の前部基部に形成されたオリフィス(25)からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の格納及び/又は輸送ラック。
【請求項4】
前記突起部(22、23、24)は、円錐部(22b)が頂部にある筒形基部(22a)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の格納及び/又は輸送ラック。
【請求項5】
前記受容手段(18、20)の少なくとも1つが、頂部から底部へ、及び外側から内側へ傾斜した2つの翼状部、すなわち横方向の翼状部18b及び長手方向の翼状部18cを備えた基部18aを備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の格納及び/又は輸送ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレージング要素、特に例えばフロントガラス、リアウインドウ又はサイドウインドウなどの自動車向けに意図されたグレージングを格納及び/又は輸送するために意図されたラックに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのラックは概して、機械溶接された管状要素で構成されており、この管状要素が、グレージング要素が互いに平行にその縁部で載置されるような形で内部に配置されることになる格納用のクレードルを形成している。
【0003】
このようなラックは、通常、標準寸法を有し、実質的に長方形である接地表面積を占め、グレージング要素は長手方向に分布している。更に、これらのラックを積み重ねることができ、この端部には、互いに正確な位置決めを行うことを目的とした受容手段と、積み重ねられた後でそれらを長手方向及び横方向の両方に確実に連結する固定手段とを備える。
【0004】
これらの固定手段は、通常、その各側のラックの頂部に配置された円錐で終端する筒形ブロックと、これらのブロックと一直線上に位置するその基部に設けられたオリフィスとからなる。したがって、同じ寸法の2つのラックが重ね合わされると、最下部のラックの2つのブロックは、上面のラックのそれぞれのオリフィスに格納される。
【0005】
これらの条件では、基部表面積が厳密に同一であるラックのみを重ねることが可能であることが理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
道路車両であろうと鉄道車両であろうと、輸送媒体をそのようなラックで満たしたい場合には、受容表面積がラックの基本寸法の倍数ではない限り、困難が生じる。多くの場合、受容表面積はラックの基本寸法の倍数ではなく、したがって、使用されない体積は、利用者にとって重大な損失を表す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、既知の標準ラックで通常存在するものと比較して、輸送される要素の量を増加させながら、使用者が、選択された輸送手段の最適な充填に近づけるようにことを目的とする。
【0008】
したがって、本発明の主題は、要素、特にグレージング要素を格納及び/又は輸送するためのラックであって、これらの要素のための受容構造体を備えるタイプであり、この構造体の上部は、その上に積み重ねられる追加の上部ラックのための受容手段及び固定手段を備え、この構造体の下部は、それが積み重ねられる追加の下部ラックの受容手段及び固定手段と協働することを可能にする相補的手段を備える、ラックである。
【0009】
このラックは、固定手段が、積み重ねられるラックの横方向の寸法差に対応する値だけ、横方向に互いに分離された少なくとも2つの部材を備えることを特徴としている。
【0010】
好ましくは、固定手段は、2つの部材を備えることができる。これらの部材は、突起部から成ることができ、かつ相補的手段は、構造体の前部基部に形成されたオリフィスから成ることができる。突起部は、円錐部分が頂部にある筒形基部を備えることができる。
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を非限定的な例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明による受容手段及び固定手段を備えたラックの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明によるラックの受容手段及び固定手段の横断面の拡大図である。
【
図3a】
図3aは、本発明によるラックの前部垂直方向直立部の基部の垂直方向断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のIV-IV線に沿ったラックの部分垂直断面図である。
【
図6】
図6は、同一横寸法の2つのラックを積み重ねた
図2のIV-IV線に沿った部分断面図であり、
【
図8】
図8は、異なる横寸法の2つのラックのスタックの
図2のラインIV-IVに沿った部分断面図である。
【
図10】
図10は、本発明によるラックの受容手段及び固定手段の変形実施形態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
説明全体を通して、本発明によるラック1は、その「底部」及び「頂部」部分を画定することを可能にする、積み込み/積み降ろしの準備ができた支持体上に載ると考えられる。グレージング要素にアクセスするための開口は、長手方向平面に刻まれ、かつラック1の前部部分に、すなわちグレージング要素の積み込み/積み降ろしに必要なオペレータに近接して配置される。対照的に、ラック1の後部部分は、オペレータから最も離れた部分である。したがって、グレージング要素は、ラック1の後部部分からラック1の前部部分に、横方向に積み込まれ、それらの各々について、実質的に長手方向に配向される。したがって、「底部」、「頂部」、「前部」、「後部」、「長手方向」及び「横断方向」という表現は、この配向に対して考慮されるべきである。
【0014】
本実施形態では、機械的に溶接された管で作られた本発明によるラック1は、枠3を備えており、その枠3の基部は、実質的に長方形の形状であり、その枠3の前面には、枠3よりもわずかに幅の広い台座5aが設けられ、その枠3の側面には、台座5bが設けられている。
【0015】
台座5a及び5bには、それぞれ、パレットトラックタイプの昇降オペレータのアームの通過を可能にすることを目的とした2つの開口7a及び7bが穿設されている。2つの開口7aの間に位置する枠3の前部部分3a及び前部台座5aの部分は、ラック1の内部に開口するアクセス制御空間6を形成するように中断されている。
【0016】
前部台座5aの2つの先端は、前部垂直方向直立材11aで終わり、その頂部は、枠の後部角に立っている2つの垂直方向直立材11bの頂部に、横材13によってそれぞれ接合されている。さらに、2つの後部垂直支柱11bの上部は、横断方向に配向された横材14によって互いに接合されている。
【0017】
基部フレーム3には2つの横断縦材15が具備されており、その上部面にはその長さ全体にわたり横断ノッチ17が具備され、これらのノッチは、格納/輸送が意図されているグレージング要素16、特に乗物のフロントガラス又はリアウインドウの縁部を受容して、これらの要素を実質的に垂直な位置に保持するように意図されている。
【0018】
ラック1のアクセス制御空間6は、輸送又は格納中にそれを閉じることを可能にし、グレージング要素16の保護を確実にすることを可能にし、また、積み込み/積み降ろし動作中にそれを解放することを可能にし、グレージング要素、特にラックの後部に格納されているグレージング要素、すなわちオペレータから離れているグレージング要素へのアクセスを改善する手段を備える。
【0019】
本発明によるラックは、一方が他方の上に積み重ねられるように意図されており、このために、一方は、この重ね合わせの実施を促進することができる受容手段又は案内手段、及びラックが所定の位置に配置されたときにラックの移動を防止することができる固定手段を備える。
【0020】
図4及び5に表されるように、受容手段は、2つの前部ガイド18、及び2つの後部ガイド20から構成される。
【0021】
横材13の前部部分に配置された各前部ガイド18は、ガイドの頂部から底部へ、及び外側から内側へ傾斜した2つの翼状部、すなわち横方向の翼状部18b及び長手方向の翼状部18cを備えた基部18aを備える。これらの翼状部の傾きは、1つのラックを別のラックに積み重ねるとき、ラックが受容ラックに対して完全に中心に位置決めされていない場合に、ラックの方向を変えて正しい位置にするようにラックを押し戻すことができるようにする方向変換機能を、これらの翼状部に提供する。これについては、以下で説明する。
【0022】
同様に、後部横材14上に配置された各後部ガイド20は、上部から下部へ、及びガイドの外側から内側へ傾斜した2つの翼状部、すなわち、横方向の翼状部20b及び長手方向の翼状部20cを備えた基部20aを備える。
【0023】
前部ガイド18内に配置された固定手段は、
図3、
図7及び
図9に示すように、2つの突起部、すなわち前部突起部22及び後部突起部23を含み、これらは横方向に整列されている。これらの突起部は、円錐22bが頂部にある筒形基部22aを含む。基部22aには、それが溶接されるガイドの基部18aの孔に埋め込まれるようになる底部ボス22cが設けられている。
【0024】
突起部22及び23は、
図3aに示すように、前部垂直支柱11aの下端に設けられた孔25に導入できるような直径を有する。
【0025】
図6は、従来技術の標準ラック、すなわち上部ラック1’が配置された底部ラック1の幅a’又は横断寸法よりも大きい幅a又は横断寸法を有する2つの同一のラックのスタックを示しており、この配置により、輸送される要素の数を大幅に増加させることができる。本発明のこのような実施形態では、
図7に示すように、下部ラック1のガイド18の前部突起部22は、上部ラック1’の前部垂直方向直立部11aの基部の孔25に嵌合する。
【0026】
図8及び
図9は、異なる横方向寸法の2つのラックのスタック、すなわち、従来技術のラックのものに対応する比較的小さい幅a’の上部ラック1’が配置された幅aの下部ラック1のスタックを示す。この配置では、
図9に示すように、下部ラックのガイド18の後部突起部23は、上部ラックの前部垂直方向直立部11aの基部の孔25に嵌合する。
【0027】
本発明は、
図6及び
図7に表わすような同一のラックだけでなく、
図8及び
図9に表わすような異なる横方向寸法のラックを積み重ねることを可能にする点で特に有利である。
【0028】
このように、本発明は、輸送媒体で利用可能な表面積に基づいて、従来のタイプの幅a’のラックを、利用可能なスペースの全てを占めるように、より大きな幅aのラックと組み合わせることを、利用者に可能にする。突起部22と23との間に生じる分離eは、ラック1と1’の横方向寸法aとa’との間に存在する差に対応することが理解される。
【0029】
明らかに、本発明によれば、ガイドは、より多数のピンを含むことができる。したがって、
図10では、前部ガイド18’は、3つの突起部、すなわち、前部突起部22、中間突起部24、及び後部突起部23を含み、これら3つはすべて横方向に整列している。
図10に示されるように、隣接する2つの突起部を隔てる距離は、前部22と中間24の突起部が長さe’だけ隔てられ、中間24と後部23の突起部がより大きな距離eだけ隔てられているように、異なることができる。
【0030】
このような配置は、使用者が自分のラックを輸送するための手段の最適な積み込みを行うことを可能にするために、使用者が利用可能な配置の組み合わせをさらに増大させることを可能にする。
【0031】
最後に、輸送媒体が輸送することができるラックの数は、その重量によって制限され得ることが知られている。
【0032】
ここで、ラックの重量は、輸送されるべきグレージング要素の関数として変化し得ることが理解される。本発明は、異なる寸法のラック、したがって異なる重量のラックを組み合わせることを可能にすることによって、キャリアが、輸送媒体内に配置されたラックの総重量をその重量容量で最良に調整することを可能にする。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要素(16)、特にグレージング要素を格納及び/又は輸送するためのラックであって、このラックが、これらの要素(16)を格納する構造体(3)を有するタイプであり、この構造体の上部が、このラックの上に重ねられる追加の上部ラック(1’)のための受容手段(18,20)及び固定手段(22,23,24)を有し、かつこの構造体(3)の底部が、その上にラックを重ねられる底部ラック(1)の受容手段(18,20)及び固定手段(22,23,24)と協働することを可能にする相補的な手段(25)を有し、ここで、前記固定手段が、積み重ねられるラックの横方向の寸法の差に対応する値(e、e’)だけ横方向に互いに分離された少なくとも2つの部材(22、23、24)を備えることを特徴とする、ラック。
【外国語明細書】