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特開2024-17720首掛け装置、報知方法、報知プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017720
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】首掛け装置、報知方法、報知プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120547
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】菊池 紗
(72)【発明者】
【氏名】甘利 友也
(72)【発明者】
【氏名】楠戸 淳也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 智士
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA53
5C086CA06
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA08
5C086DA27
5C086FA06
5C086FA13
5C086FA15
5C086FA20
(57)【要約】
【課題】視覚障害者、聴覚障害者あるいはお年寄りに把握しやすい報知を可能とする。
【解決手段】移動者Cの首部C1の後部に掛けられることが可能な基部1aと、基部1aの左側部と右側部との各々に接続されると共に、各々が首部C1の前端よりも前方に延出するように設けられる前出部1bと、移動者Cに対して報知を行う報知部と、を備え、報知部は、基部1a及び前出部1bの少なくとも一方に設けられる左側バイブレータ16及び右側バイブレータ17と、基部1a及び前出部1bの少なくとも一方に設けられる左側スピーカ18及び右側スピーカ19と、基部1a及び前出部1bの少なくとも一方に設けられる発光部と、の少なくともいずれか一つを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動者の首部の後部に掛けられることが可能な主部と、
前記主部の左側部と右側部との各々に接続されると共に、各々が前記首部の前端よりも前方に延出するように設けられる副部と、
前記移動者に対して報知を行う報知部と、
を備え、
前記報知部は、現在位置を取得する位置取得部が取得した前記現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出する検出部が接近する物体を検出したときに、前記移動者に対して報知を行い、
前記報知部は、前記主部及び前記副部の少なくとも一方に設けられる起震部と、前記主部及び前記副部の少なくとも一方に設けられる発音部と、前記主部及び前記副部の少なくとも一方に設けられる発光部と、の少なくともいずれか一つを有し、
前記起震部は、前記移動者が触覚で知覚可能な箇所に位置して振動により報知を行い
前記発音部は、前記移動者の聴覚で知覚可能な箇所に位置して音により報知を行い、
前記発光部は、前記移動者の視覚で知覚可能な箇所に位置して光により報知を行う
首掛け装置。
【請求項2】
前記報知部は、前記発光部を少なくとも有し、
前記発光部は、前記副部の先端部に位置する
請求項1に記載の首掛け装置。
【請求項3】
前記報知部は、
前記主部の左側部に接続された前記副部の前記先端部に位置する前記発光部である左側発光部と、
前記主部の右側部に接続された前記副部の前記先端部に位置する前記発光部である右側発光部と
を有する
請求項2に記載の首掛け装置。
【請求項4】
周囲を撮影する撮影部を更に備え、
前記撮影部は、前記主部及び前記副部の少なくとも一方のうち、前記移動者の前方を撮影可能な箇所に位置する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の首掛け装置。
【請求項5】
前記撮影部は、前記位置取得部が取得した前記現在位置が事前に設定された要注意領域にあるときに起動され、前記現在位置が前記要注意領域の外にあるときに停止される
請求項4に記載の首掛け装置。
【請求項6】
光を反射する反射部を更に備え、
前記反射部は、前記主部及び前記副部の少なくとも一方のうち、前記移動者の前方から受光した光を反射可能な箇所に位置する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の首掛け装置。
【請求項7】
少なくとも前記検出部を備え、
前記検出部は、前記主部のうち、前記移動者の後方の物体を検出可能な箇所に位置する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の首掛け装置。
【請求項8】
少なくとも前記位置取得部を備え、
前記報知部は、前記移動者を誘導するための目的地情報と前記現在位置とに応じて報知のパターンを変化させる
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の首掛け装置。
【請求項9】
少なくとも前記検出部を備え、
前記報知部は、前記検出部で検出した物体の位置に応じて報知のパターンを変化させる
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の首掛け装置。
【請求項10】
移動者の首部の後部に掛けられることが可能な主部と、
前記主部の左側部と右側部との各々に接続されると共に、各々が前記首部の前端よりも前方に延出するように設けられる副部と、
前記移動者に対して報知を行う報知部と、
を備える首掛け装置を用い、
前記報知部が、前記主部及び前記副部の少なくとも一方に設けられる起震部と、前記主部及び前記副部の少なくとも一方に設けられる発音部と、前記主部及び前記副部の少なくとも一方に設けられる発光部と、の少なくともいずれか一つを有し、
現在位置を取得する位置取得部が取得した前記現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出する検出部が接近する物体を検出したときに、前記移動者に対して報知を行う
報知方法。
【請求項11】
移動者の首部の後部に掛けられることが可能な主部と、
前記主部の左側部と右側部との各々に接続されると共に、各々が前記首部の前端よりも前方に延出するように設けられる副部と、
前記移動者に対して報知を行う報知部と、
を備え、
前記報知部が、前記主部及び前記副部の少なくとも一方に設けられる起震部と、前記主部及び前記副部の少なくとも一方に設けられる発音部と、前記主部及び前記副部の少なくとも一方に設けられる発光部と、の少なくともいずれか一つを有する
首掛け装置を制御するコンピュータに、
現在位置を取得する位置取得部が取得した前記現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出する検出部が接近する物体を検出したときに、前記移動者に対して報知を行うステップを実行させる
報知プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の報知プログラムを記録すると共に前記コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首掛け装置、報知方法、報知プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、レーダを備え、携帯者に報知を行う電子機器が開示されている。特許文献1に開示された電子機器は、例えば、児童が持つ背負い鞄(ランドセル)の肩ベルトに装着して用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/085583号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された電子機器は、例えば筐体の内部に位置するバイブレータを振動させることで移動者に報知を行う。しかしながら、特許文献1に開示された電子機器は、視覚障害者、聴覚障害者及びお年寄り等が上述の電子機器を用いることについては、十分に考慮されていない。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、視覚障害者、聴覚障害者あるいはお年寄りに把握しやすい報知が可能な首掛け装置、報知方法、報知プログラム及び記録媒体を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る首掛け装置、報知方法、報知プログラム及び記録媒体は、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る首掛け装置は、移動者の首部の後部に掛けられることが可能な主部と、上記主部の左側部と右側部との各々に接続されると共に、各々が上記首部の前端よりも前方に延出するように設けられる副部と、上記移動者に対して報知を行う報知部と、を備え、上記報知部は、現在位置を取得する位置取得部が取得した上記現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出する検出部が接近する物体を検出したときに、上記移動者に対して報知を行い、上記報知部は、上記主部及び上記副部の少なくとも一方に設けられる起震部と、上記主部及び上記副部の少なくとも一方に設けられる発音部と、上記主部及び上記副部の少なくとも一方に設けられる発光部と、の少なくともいずれか一つを有し、上記起震部は、上記移動者が触覚で知覚可能な箇所に位置して振動により報知を行い上記発音部は、上記移動者の聴覚で知覚可能な箇所に位置して音により報知を行い、上記発光部は、上記移動者の視覚で知覚可能な箇所に位置して光により報知を行うとするものである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、上記報知部は、上記発光部を少なくとも有し、上記発光部は、上記副部の先端部に位置するものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、上記報知部は、上記主部の左側部に接続された上記副部の上記先端部に位置する上記発光部である左側発光部と、上記主部の右側部に接続された上記副部の上記先端部に位置する上記発光部である右側発光部とを有するものである。
【0009】
(4):上記(1)から(3)のいずれか一つの態様において、周囲を撮影する撮影部を更に備え、上記撮影部は、上記主部及び上記副部の少なくとも一方のうち、上記移動者の前方を撮影可能な箇所に位置するものである。
【0010】
(5):上記(4)の態様において、上記撮影部は、上記位置取得部が取得した上記現在位置が事前に設定された要注意領域にあるときに起動され、上記現在位置が上記要注意領域の外にあるときに停止されるものである。
【0011】
(6):上記(1)から(5)のいずれか一つの態様において、光を反射する反射部を更に備え、上記反射部は、上記主部及び上記副部の少なくとも一方のうち、上記移動者の前方から受光した光を反射可能な箇所に位置するものである。
【0012】
(7):上記(1)から(6)のいずれか一つの態様において、少なくとも上記検出部を備え、上記検出部は、上記主部のうち、上記移動者の後方の物体を検出可能な箇所に位置するものである。
【0013】
(8):上記(1)から(7)のいずれか一つの態様において、少なくとも上記位置取得部を備え、上記報知部は、上記移動者を誘導するための目的地情報と上記現在位置とに応じて報知のパターンを変化させるものである。
【0014】
(9):上記(1)から(8)のいずれか一つの態様において、少なくとも上記検出部を備え、上記報知部は、上記検出部で検出した物体の位置に応じて報知のパターンを変化させるものである。
【0015】
(10):この発明の一態様に係る報知方法は、移動者の首部の後部に掛けられることが可能な主部と、上記主部の左側部と右側部との各々に接続されると共に、各々が上記首部の前端よりも前方に延出するように設けられる副部と、上記移動者に対して報知を行う報知部と、を備える首掛け装置を用い、上記報知部が、上記主部及び上記副部の少なくとも一方に設けられる起震部と、上記主部及び上記副部の少なくとも一方に設けられる発音部と、上記主部及び上記副部の少なくとも一方に設けられる発光部と、の少なくともいずれか一つを有し、現在位置を取得する位置取得部が取得した上記現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出する検出部が接近する物体を検出したときに、上記移動者に対して報知を行うものである。
【0016】
(11):この発明の一態様に係る報知プログラムは、移動者の首部の後部に掛けられることが可能な主部と、上記主部の左側部と右側部との各々に接続されると共に、各々が上記首部の前端よりも前方に延出するように設けられる副部と、上記移動者に対して報知を行う報知部と、を備え、上記報知部が、上記主部及び上記副部の少なくとも一方に設けられる起震部と、上記主部及び上記副部の少なくとも一方に設けられる発音部と、上記主部及び上記副部の少なくとも一方に設けられる発光部と、の少なくともいずれか一つを有する首掛け装置を制御するコンピュータに、現在位置を取得する位置取得部が取得した上記現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出する検出部が接近する物体を検出したときに、上記移動者に対して報知を行うステップを実行させるものである。
【0017】
(12):記録媒体は、上記(11)の情報処理プログラムを記録すると共に上記コンピュータで読み取り可能である。
【発明の効果】
【0018】
(1)、(10)から(12)の態様によれば、移動者の首部の後部に掛けられることが可能な主部と、主部の左側部と右側部との各々に接続されると共に、各々が首部の前端よりも前方に延出するように設けられる副部と、のいずれか一方に位置する起震部、発音部あるいは発光部を用いて移動者に報知できる。したがって、背負い鞄の肩ベルト等に報知部が位置する場合よりも、移動者は、報知を認識しやすくなる。よって、本態様は、視覚障害者、聴覚障害者あるいはお年寄りに把握しやすい報知を行うことができる。
(2)の態様によれば、光で報知できる。したがって、本態様は、移動者の視界に、より確実に光を到達させることができ、聴覚障害者に適した報知ができる。
(3)の態様によれば、左右両側の副部の先端部に位置する2つの発光部を用いて報知ができる。したがって、本態様は、どちら側の発光部を発光させるかによって、移動者に対して方向の情報を含む報知を行うことができる。
(4)の態様によれば、撮影部を用いて得られた撮影情報に基づいて、障害物等の物体を検出することができる。
(5)の態様によれば、移動者が要注意領域の外にいる場合には、撮影部を停止することができる。したがって、本態様は、例えば障害物等が多い要注意領域の外にいる場合の処理負担や消費電力を低減できる。
(6)の態様によれば、反射部に光が反射することで、周囲に存在を注意喚起できる。したがって、本態様は、電力を消費することなく、安全性を高めることができる。
(7)の態様によれば、移動者の後方から近づく物体を検出して報知できる。したがって、本態様は、より安全性を高めることができる。
(8)の態様によれば、報知のパターンを変化させることで、移動者に目的地と現在位置との関係を報知することができる。したがって、本態様は、移動者に誘導に対する安心感を付与できる。
(9)の態様によれば、報知のパターンを変化させることで、移動者に物体の位置を報知することができる。したがって、本態様は、物体の位置を認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態における首掛け装置の外観構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態における首掛け装置の基の構成の概略を示すブロック図である。
図3】制御部がモード設定を行う処理の一例を示すフローチャートである。
図4】要注意モードにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図5】通常モードにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図6】誘導処理の一例を示すフローチャートである。
図7】車両検出処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態における首掛け装置の外観構成を示す模式図である。
図9】本発明の第2実施形態における首掛け装置の基の構成の概略を示すブロック図である。
図10】誘導処理の一例を示すフローチャートである。
図11】設定位置までの距離とバイブレータ及びライトの報知パターンとの関係を示す模式図である。
図12】車両検出処理の一例を示すフローチャートである。
図13】車両までの距離とバイブレータ及びライトの報知パターンとの関係を示す模式図である。
図14】本発明の第3実施形態における首掛け装置の外観構成を示す模式図である。
図15】本発明の第3実施形態における首掛け装置の基の構成の概略を示すブロック図である。
図16】本発明の第4実施形態における首掛け装置の外観構成を示す模式図である。
図17】車両検出処理の一例を示すフローチャートである。
図18】車両までの距離とバイブレータ及びライトの報知パターンとの関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の首掛け装置、報知方法、報知プログラム及び記録媒体の実施形態について説明する。
【0021】
[第1実施形態]
<首掛け装置>
図1は、本発明の第1実施形態における首掛け装置1Aの外観構成を示す模式図である。また、図2は、本発明の第1実施形態における首掛け装置1Aの機能構成の概略を示すブロック図である。本実施形態の首掛け装置1Aは、移動者Cの首部C1に掛けて使用し、移動者Cに対して各種の報知を行う。本実施形態の首掛け装置1Aは、特に視覚障害者やお年寄りに適した構成を有している。
【0022】
なお、首掛け装置1Aは、移動者Cに装着された状態で用いられるため、移動者Cの移動に伴って姿勢が常時変化する。つまり、首掛け装置1Aの使用時の姿勢は特に限定されるものではない。ただし、説明の便宜上、以下の説明においては、移動者Cから見て前方向を首掛け装置1Aの前側、移動者Cから見て後方向を首掛け装置1Aの後側、移動者Cから見て左方向を首掛け装置1Aの左側、移動者Cから見て右方向を首掛け装置1Aの右側とする。
【0023】
本実施形態の首掛け装置1Aは、図1に示すように、基部1a(主部)と、2つの前出部1b(副部)とを有する形状に形成されている。基部1aは、移動者Cの首部C1の後部に掛けられることが可能な部位である。首部C1の後部に掛けられることが可能とは、首部C1の後部に接触した状態で掛けられる場合、首部C1の後部に衣服等が介在した状態で掛けられる場合、例えば他の部位が移動者Cに接触することで首部C1との間に空間を介した状態で掛けられる場合を含む。つまり、基部1aの少なくとも一部は、首部C1の後部のさらに後側に位置する。基部1aは、移動者Cの首部C1に沿うように湾曲された棒状に形成されている。前出部1bは、基部1aから前方に向けて延出するように設けられた部位である。前出部1bは、首掛け装置1Aに2つ設けられている。一方の前出部1bは、基部1aの左側部から前方に延出している。他方の前出部1bは、基部1aの右側部から前方に延出している。これらの前出部1bは、首掛け装置1Aが移動者Cに装着された場合に、少なくとも一部が移動者Cに当接する形状であってもよい。なお、基部1aの左側部から前方に延出する前出部1bを左側前出部1b1と称する。また、基部1aの右側部から前方に延出する前出部1bを右側前出部1b2と称する。
【0024】
図1に示すように、首掛け装置1Aは、左側前出部1b1、基部1a、右側前出部1b2の順に一体的に連続して接続された形状を有する。この首掛け装置1Aは、基部1aと各々の前出部1bとの境界部分Kが外部から明確に視認されないように、基部1aの表面と各々の前出部1bの表面とが連続的に接続されている。左側前出部1b1は、首掛け装置1Aが移動者Cに装着された場合に、先端部(基部1aと反対側の端部)が移動者Cの首部C1の前端よりも前側に位置する長さを有する。また、右側前出部1b2も、首掛け装置1Aが移動者Cに装着された場合に、先端部(基部1aと反対側の端部)が移動者Cの首部C1の前端よりも前側に位置する長さを有する。
【0025】
図2に示すように、首掛け装置1Aは、位置取得部11と、左側レーダ12(検出部)と、右側レーダ13(検出部)と、左側カメラ14(撮影部)と、右側カメラ15(撮影部)と、左側バイブレータ16(起震部)と、右側バイブレータ17(起震部)と、左側スピーカ18(発音部)と、右側スピーカ19(発音部)と、制御部20と、通信部21と、メモリ22とを備える。
【0026】
位置取得部11は、首掛け装置1Aの位置情報を取得する。首掛け装置1Aの位置情報は、首掛け装置1Aの現在位置である。つまり、位置取得部11は、首掛け装置1Aの現在位置を取得する。位置取得部11は、例えば、衛星等から測位信号を受信する測位信号受信アンテナを備えており、受信した測位信号を制御部20に出力する。なお、首掛け装置1Aは、例えば、基地局との通信に基づいて現在位置を示す情報を取得してもよい。
【0027】
左側レーダ12及び右側レーダ13は、首掛け装置1Aの周辺の物体を検出する。左側レーダ12は、首掛け装置1Aの周囲における左側の物体を検出する。つまり、左側レーダ12は、首掛け装置1Aの左側前方から左側方向までの範囲の物体を検出する。右側レーダ13は、首掛け装置1Aの周囲における右側の物体を検出する。つまり、右側レーダ13は、首掛け装置1Aの右側前方から右側方向までの範囲の物体を検出する。左側レーダ12及び右側レーダ13は、例えば、ミリ波レーダである。左側レーダ12及び右側レーダ13は、例えば、外部の物体に対する距離、相対速度、相対位置、及び方位等に係る物体検出情報を制御部20に出力する。
【0028】
左側レーダ12は、図1に示すように、左側前出部1b1の内部に収容されている。つまり、左側レーダ12は、左側前出部1b1に位置する。ただし、左側レーダ12は、基部1aの左側の部位に位置してもよい。また、左側レーダ12は、左側前出部1b1と基部1aの左側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。右側レーダ13は、右側前出部1b2の内部に収容されている。つまり、右側レーダ13は、右側前出部1b2に位置する。ただし、右側レーダ13は、基部1aの右側の部位に位置してもよい。また、右側レーダ13は、右側前出部1b2と基部1aの右側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。
【0029】
左側カメラ14及び右側カメラ15は、首掛け装置1Aの周辺を撮影する。左側カメラ14は、首掛け装置1Aの周囲における左前方を撮影する。右側カメラ15は、首掛け装置1Aの右前方を撮影する。左側カメラ14及び右側カメラ15は、撮影することで得られた撮影情報を制御部20に出力する。
【0030】
左側カメラ14は、図1に示すように、左側前出部1b1の先端部に位置する。つまり、左側カメラ14は、前方を撮影可能な箇所に位置する。ただし、左側カメラ14は、前方を撮影可能な箇所であれば、基部1aの左側の部位に位置してもよい。また、左側カメラ14は、左側前出部1b1と基部1aの左側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。右側カメラ15は、図1に示すように、右側前出部1b2の先端部に位置する。つまり、右側カメラ15は、前方を撮影可能な箇所に位置する。ただし、右側カメラ15は、前方を撮影可能な箇所であれば、基部1aの右側の部位に位置してもよい。また、右側カメラ15は、右側前出部1b2と基部1aの右側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。
【0031】
左側バイブレータ16及び右側バイブレータ17は、振動子であり、制御部20が出力する報知情報に応じて振動を発生させる。左側バイブレータ16は、図1に示すように、左側前出部1b1の先端部に収容されている。左側バイブレータ16が発生させた振動は、左側前出部1b1を介して移動者Cに伝達される。つまり、左側バイブレータ16は、移動者Cが触覚で知覚可能な箇所に位置する。この左側バイブレータ16は、移動者Cに対して振動による報知を行う。ただし、左側バイブレータ16は、移動者Cが触覚で知覚可能な箇所であれば、基部1aの左側の部位に位置してもよい。また、左側バイブレータ16は、左側前出部1b1と基部1aの左側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。
【0032】
右側バイブレータ17は、図1に示すように、右側前出部1b2の先端部に収容されている。右側バイブレータ17が発生させた振動は、右側前出部1b2を介して移動者Cに伝達される。つまり、右側バイブレータ17は、移動者Cが触覚で知覚可能な箇所に位置する。この右側バイブレータ17は、移動者Cに対して振動による報知を行う。ただし、右側バイブレータ17は、移動者Cが触覚で知覚可能な箇所であれば、基部1aの右側の部位に位置してもよい。また、右側バイブレータ17は、右側前出部1b2と基部1aの左側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。
【0033】
左側スピーカ18及び右側スピーカ19は、制御部20が出力する報知情報に応じて音を発生させる。左側スピーカ18は、図1に示すように、基部1aの左側の部位に位置する。つまり、左側スピーカ18は、移動者Cが聴覚で知覚可能な箇所に位置する。この左側スピーカ18は、移動者Cに対して音による報知を行う。ただし、左側スピーカ18は、移動者Cが聴覚で知覚可能な箇所であれば、左側前出部1b1に位置してもよい。また、左側スピーカ18は、左側前出部1b1と基部1aの左側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。
【0034】
右側スピーカ19は、図1に示すように、基部1aの右側の部位に位置する。つまり、右側スピーカ19は、移動者Cが聴覚で知覚可能な箇所に位置する。この右側スピーカ19は、移動者Cに対して音による報知を行う。ただし、右側スピーカ19は、移動者Cが聴覚で知覚可能な箇所であれば、右側前出部1b2に位置してもよい。また、右側スピーカ19は、右側前出部1b2と基部1aの左側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。
【0035】
制御部20は、首掛け装置1Aの動作を統括して制御する。制御部20は、位置取得部11が出力する位置情報、左側レーダ12及び右側レーダ13が出力する物体検出情報、左側カメラ14及び右側カメラ15が出力する撮影情報を取得する。制御部20は、取得した情報等に基づいて、報知情報を生成し、生成した報知情報を左側バイブレータ16、右側バイブレータ17、左側スピーカ18及び右側スピーカ19のいずれかあるいは複数に出力する。
【0036】
例えば、制御部20は、位置取得部11が取得した首掛け装置1Aの現在位置が、事前に設定された設定位置と所定の地理的関係(例えば処理距離以下)にあるときに、誘導のための報知情報を生成する。なお、設定位置は、例えばメモリ22に記憶されていてもよい。また、設定位置は、外部のナビゲーションアプリ等から通信部21を介して入力されてもよい。なお、首掛け装置1Aがナビゲーションアプリを実行可能としてもよい。
【0037】
例えば、制御部20は、首掛け装置1Aの現在位置が、左折するべき設定位置に近づいたときに、左側バイブレータ16及び左側スピーカ18に向けて誘導のための報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、左側バイブレータ16及び左側スピーカ18からの報知により、左折するべき設定位置に近づいたことを報知できる。なお、左側スピーカ18から報知される音が言語であるような場合には、右側スピーカ19からも同様の報知を行ってもよい。
【0038】
一方で、制御部20は、首掛け装置1Aの現在位置が、右折するべき設定位置に近づいたときに、右側バイブレータ17及び右側スピーカ19に向けて誘導のための報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、右側バイブレータ17及び右側スピーカ19からの報知により、右折するべき設定位置に近づいたことを報知できる。なお、右側スピーカ19から報知される音が言語であるような場合には、左側スピーカ18からも同様の言語による報知を行ってもよい。
【0039】
また、制御部20は、左側レーダ12、右側レーダ13、左側カメラ14及び右側カメラ15のいずれかあるいは複数の出力情報に基づいて、首掛け装置1Aに接近する物体を検出したときに、報知情報を生成する。例えば、制御部20は、首掛け装置1Aに左側から接近する車両を検出したときに、左側バイブレータ16及び左側スピーカ18に向けて車両検出を知らせる報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、左側バイブレータ16及び左側スピーカ18から車両が接近してくることを報知できる。なお、左側スピーカ18から報知される音が言語であるような場合には、右側スピーカ19からも同様の報知を行ってもよい。
【0040】
一方で、制御部20は、首掛け装置1Aに右側から接近する車両を検出したときに、右側バイブレータ17及び右側スピーカ19に向けて車両検出を知らせる報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、右側バイブレータ17及び右側スピーカ19から車両が接近してくることを報知できる。なお、右側スピーカ19から報知される音が言語であるような場合には、左側スピーカ18からも同様の報知を行ってもよい。
【0041】
また、制御部20は、首掛け装置1Aの前側あるいは後側から接近する車両を検出したときに、左側バイブレータ16、右側バイブレータ17、左側スピーカ18及び右側スピーカ19に向けて車両検出を知らせる報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、左側バイブレータ16、右側バイブレータ17、左側スピーカ18及び右側スピーカ19から車両が接近してくることを報知できる。なお、車両が前側から接近する場合と、車両が後側から接近する場合とで、報知のパターンを変化させることが好ましい。
【0042】
また、制御部20は、左側レーダ12、右側レーダ13、左側カメラ14及び右側カメラ15のいずれかあるいは複数の出力情報に基づいて、首掛け装置1Aが段差部等の障害物に接近している(物体が首掛け装置1Aに相対的に接近している)ときに、報知情報を生成する。例えば、制御部20は、首掛け装置1Aが障害物に接近しているときに、左側バイブレータ16、右側バイブレータ17、左側スピーカ18及び右側スピーカ19に向けて障害物検出を知らせる報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、左側バイブレータ16、右側バイブレータ17、左側スピーカ18及び右側スピーカ19から障害物に接近していることを報知できる。
【0043】
また、制御部20は、位置取得部11が取得した首掛け装置1Aの現在位置が、事前に設定された要注意領域にあるときには、左側カメラ14及び右側カメラ15を起動する。一方で、制御部20は、位置取得部11が取得した首掛け装置1Aの現在位置が、事前に設定された要注意領域の外にあるときには、左側カメラ14及び右側カメラ15を停止する。ここでの要注意領域とは、障害物等が多い領域であり、例えば、駅構内や、交通量が多い道路である。制御部20は、現在位置が要注意領域にあるときには、左側レーダ12及び右側レーダ13の物体検出情報に加えて、左側カメラ14及び右側カメラ15の撮影情報に基づいて、障害物等の物体を検出する要注意モード処理を行う。一方で、制御部20は、現在位置が要注意領域の外にあるときには、左側レーダ12及び右側レーダ13の物体検出情報で物体を検出する通常モード処理を行う。
【0044】
なお、例えば、制御部20は、コンピュータを含む。制御部20の機能は、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現されてもよい。これらの機能のうち一部又は全部は、LSI、ASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部を含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD又はフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVD又はCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0045】
通信部21は、例えば、通信用ICカード、通信アンテナ、及び通信モジュールを備えており、制御部20の制御の下で通信(無線通信)を行う。通信部21は、制御部20が出力する情報を、例えばネットワークを介して外部へ送信する。また、通信部21は、外部からの情報を受信し、受信した情報を制御部20に出力する。
【0046】
メモリ22は、各種情報及びプログラムを記憶する。例えば、メモリ22は、外部から送信されてきた設定位置情報を記憶する。また、メモリ22は、制御部20の機能を実現するプログラムを記憶する。
【0047】
また、メモリ22は、報知プログラムPを記憶する。制御部20は、上述のようにコンピュータを含む。報知プログラムPは、このような制御部20に、現在位置を取得する位置取得部11が取得した現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出するレーダが接近する物体を検出したときに、移動者Cに対して報知を行うステップを実行させる。
【0048】
図1に示すように、左側バイブレータ16、右側バイブレータ17、左側スピーカ18、右側スピーカ19及び制御部20は、報知部100に含まれる。この報知部100は、現在位置を取得する位置取得部11が取得した現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出するレーダ(左側レーダ12及び右側レーダ13)が接近する物体(例えば、車両や障害物)を検出したときに、移動者Cに対して報知を行う。
【0049】
<報知処理>
次に、本実施形態の首掛け装置1Aで行われる報知処理(報知方法)について説明する。以下では、まず、移動者Cが移動中に段差部(障害物)に近づく場合の処理(障害物検出処理)について説明する。次に、移動者Cを誘導する場合の処理(誘導処理)について説明する。次に、移動者Cに車両の接近を知らせる場合の処理(車両検出処理)について説明する。
【0050】
≪障害物検出処理≫
図3から図5は、障害物検出処理の一例を示すフローチャートである。図3は、制御部20がモード設定(要注意モードと通常モードの設定)を行う処理の一例を示すフローチャートである。図4は、要注意モードにおける処理の一例を示すフローチャートである。図5は、通常モードにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
図3に示すフローチャートの処理は、首掛け装置1Aにおいて、所定の時間間隔を持って繰り返し実行される。まず、位置取得部11は、首掛け装置1Aの現在位置を示す位置情報を取得する(ステップS11)。次に、制御部20は、首掛け装置1Aの現在位置が要注意領域であるか否かを判定する(ステップS12)。ここでは、制御部20は、首掛け装置1Aの現在位置と、予め設定された要注意領域とを比較し、現在位置が要注意領域内に位置するか否かにより判定を行う。
【0052】
ステップS12で首掛け装置1Aの現在位置が要注意領域でないと判断した場合には、制御部20は、通常モードに基づく処理を行う(ステップS13)。一方で、首掛け装置1Aの現在位置が要注意領域である場合には、制御部20は、カメラ(左側カメラ14及び右側カメラ15)を起動する(ステップS14)。カメラを起動した場合には、制御部20は、要注意モードに基づく処理を行う(ステップS15)。
【0053】
図4に示すように、通常モードでは、制御部20は、レーダ(左側レーダ12及び右側レーダ13)で段差部を検出する(ステップS21)。続いて、制御部20は、検出した段差部の高さが規定値よりも高いか否かの判定を行う(ステップS22)。検出した段差部の高さが規定値よりも高くないと判断した場合には、制御部20は、図4に示す処理を終了する。これに対して、検出した段差部の高さが規定値よりも高いと判断した場合いは、制御部20は、振動による報知(ステップS23)と、音声による報知(ステップS24)とを行う。なお、ステップS23とステップS24とは順序が反対であってもよい。
【0054】
振動による報知では、制御部20は、報知情報を左側バイブレータ16と右側バイブレータ17とに出力する。この結果、左側バイブレータ16と右側バイブレータ17とが振動し、移動者Cに対して振動による報知が行われる。音声による報知では、制御部20は、報知情報を左側スピーカ18と右側スピーカ19とに出力する。この結果、左側スピーカ18と右側スピーカ19とが音声を出力し、移動者Cに対して音声による報知が行われる。
【0055】
図5に示すように、要注意モードでは、制御部20は、上述の通常モードでの処理に加えて、通常モードのステップS21とステップS22との間にて、カメラ(左側カメラ14及び右側カメラ15)で段差部を検出する(ステップS25)。なお、ステップS25は、ステップS21の前に行ってもよい。このように、要注意モードでは、レーダ(左側レーダ12及び右側レーダ13)での段差部の検出に加えて、カメラ(左側カメラ14及び右側カメラ15)での段差部の検出が行われる。このため、左側レーダ12及び右側レーダ13で検出されなかった段差部を検出できる可能性がある。
【0056】
≪誘導処理≫
図6は、誘導処理の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、制御部20は、まず、案内情報を取得したか否かの判定を行う(ステップS31)。ここでの案内情報とは、例えば、現在位置と事前に外部のナビゲーションアプリ等で設定された設定位置とが所定の距離以下に近づいたことを示す情報である。案内情報を取得していない場合には、制御部20は、ステップS31を繰り返す。
【0057】
これに対して、案内情報を取得した場合には、制御部20は、左方向への案内であるか否かを判定する(ステップS32)。例えば、制御部20は、現在位置と目的地情報(例えば、目的地の位置情報や目的地への経路情報)とを比較して、左方向への案内であるか否かを判断する。なお、制御部20は、外部のナビゲーションアプリから出力される方向情報(曲がるべき方向を示す情報)に基づいて、左方向への案内であるか否かを判断してもよい。
【0058】
左方向への案内であると判断した場合には、制御部20は、左側バイブレータ16での報知(ステップS33)と左側スピーカ18での報知(ステップS34)とを行う。なお、ステップS33とステップS34との順序は反対であってもよい。左側バイブレータ16での報知では、制御部20は、左側バイブレータ16に報知情報を出力する。この結果、左側バイブレータ16が振動し、移動者Cに対して振動による報知が行われる。また、左側スピーカ18での報知では、制御部20は、左側スピーカ18に報知情報を出力する。この結果、左側スピーカ18が音を出力し、移動者Cに対して音による報知が行われる。このとき、移動者Cは、左側に振動及び音を感じるため、直観的に左方向への案内であると認識することができる。ステップS34の後、制御部20は、再びステップS31を行う。
【0059】
一方で、左方向への案内でない場合には、案内方向は、右方向である。このため、ステップS32で左方向への案内でないと判断した場合には、制御部20は、右側バイブレータ17での報知(ステップS35)と右側スピーカ19での報知(ステップS36)とを行う。なお、ステップS35とステップS36との順序は反対であってもよい。右側バイブレータ17での報知では、制御部20は、右側バイブレータ17に報知情報を出力する。この結果、右側バイブレータ17が振動し、移動者Cに対して振動による報知が行われる。また、右側スピーカ19での報知では、制御部20は、右側スピーカ19に報知情報を出力する。この結果、右側スピーカ19が音を出力し、移動者Cに対して音による報知が行われる。このとき、移動者Cは、右側に振動及び音を感じるため、直観的に右方向への案内であると認識することができる。ステップS36の後、制御部20は、再びステップS31を行う。
【0060】
このように誘導処理では、移動者Cを誘導するための目的地情報と現在位置とを比較し、案内方向が左方向の場合には、報知部100は、左側バイブレータ16と左側スピーカ18とで報知を行う。また、案内方向が右方向の場合には、報知部100は、右側バイブレータ17と右側スピーカ19とで報知を行う。つまり、本実施形態において、誘導処理では、報知部100は、移動者Cを誘導するための目的地情報と現在位置とに応じて報知のパターンを変化させる。
【0061】
≪車両検出処理≫
図7は、車両検出処理の一例を示すフローチャートである。図7に示すように、制御部20は、まず、接近車両を検出したか否かの判定を行う(ステップS41)。制御部20は、左側レーダ12及び右側レーダ13の物体検出情報に基づいて、接近車両を検知したか否かの判定を行う。接近車両を検出していないと判断した場合には、制御部20は、ステップS41を繰り返す。
【0062】
これに対して、接近車両を検出したと判断した場合には、制御部20は、車両が左側から接近しているか否かを判定する(ステップS42)。例えば、制御部20は、左側レーダ12及び右側レーダ13の物体検出情報に基づいて、車両の接近方向を判断する。
【0063】
車両が左側から接近していると判断した場合には、制御部20は、左側バイブレータ16での報知(ステップS43)と左側スピーカ18での報知(ステップS44)とを行う。なお、ステップS43とステップS44との順序は反対であってもよい。左側バイブレータ16での報知では、制御部20は、左側バイブレータ16に報知情報を出力する。この結果、左側バイブレータ16が振動し、移動者Cに対して振動による報知が行われる。また、左側スピーカ18での報知では、制御部20は、左側スピーカ18に報知情報を出力する。この結果、左側スピーカ18が音を出力し、移動者Cに対して音による報知が行われる。このとき、移動者Cは、左側に振動及び音を感じるため、直観的に左方向からの車両の接近であると認識することができる。ステップS44の後、制御部20は、再びステップS41を行う。
【0064】
車両が左側から接近していないと判断した場合には、制御部20は、車両が右側から接近しているか否かを判定する(ステップS45)。車両が右側から接近していると判断した場合には、制御部20は、右側バイブレータ17での報知(ステップS46)と右側スピーカ19での報知(ステップS47)とを行う。なお、ステップS46とステップS47との順序は反対であってもよい。右側バイブレータ17での報知では、制御部20は、右側バイブレータ17に報知情報を出力する。この結果、右側バイブレータ17が振動し、移動者Cに対して振動による報知が行われる。また、右側スピーカ19での報知では、制御部20は、右側スピーカ19に報知情報を出力する。この結果、右側スピーカ19が音を出力し、移動者Cに対して音による報知が行われる。このとき、移動者Cは、右側に振動及び音を感じるため、直観的に右方向からの車両の接近であると認識することができる。ステップS47の後、制御部20は、再びステップS41を行う。
【0065】
一方で、車両の接近方向が右側及び左側でない場合には、車両は前後方向から接近する。このため、ステップS45で車両が右側から接近していないと判断した場合には、制御部20は、両側バイブレータ(左側バイブレータ16及び右側バイブレータ17)での報知(ステップS48)と両側スピーカ(左側スピーカ18及び右側スピーカ19)での報知(ステップS49)とを行う。なお、ステップS48とステップS49との順序は反対であってもよい。両側バイブレータでの報知では、制御部20は、左側バイブレータ16及び右側バイブレータ17に報知情報を出力する。この結果、左側バイブレータ16及び右側バイブレータ17が振動し、移動者Cに対して振動による報知が行われる。また、両側スピーカでの報知では、制御部20は、左側スピーカ18及び右側スピーカ19に報知情報を出力する。この結果、左側スピーカ18及び右側スピーカ19が音を出力し、移動者Cに対して音による報知が行われる。このとき、移動者Cは、両側に振動及び音を感じるため、直観的に前後方向からの車両の接近であると認識することができる。ステップS49の後、制御部20は、再びステップS41を行う。
【0066】
このような車両検出処理では、車両が左側から接近してくる場合には、報知部100は、左側バイブレータ16と左側スピーカ18とで報知を行う。また、車両が右側から接近してくる場合には、報知部100は、右側バイブレータ17と右側スピーカ19とで報知を行う。また、車両が前後方向から接近してくる場合には、報知部100は、両側バイブレータと両側スピーカとで報知を行う。つまり、本実施形態において、車両検出処理では、検出した車両(物体)の位置に応じて、報知部100は報知のパターンを変化させる。
【0067】
なお、車両との接触は危険度が極めて高い。このため、上述の誘導処理を行っている途中に車両を検出した場合には、例えば、車両検出処理を優先させるようにしてもよい。また、上述の報知処理を行っている途中に車両を検出した場合も、同様に、車両検出処理を優先させるようにしてもよい。
【0068】
以上のような本実施形態の首掛け装置1Aは、基部1aと、前出部1bとを備える。基部1aは、移動者Cの首部C1の後部に掛けられることが可能な部位である。前出部1bは、基部1aの左側部と右側部との各々に接続されている。また、前出部1bは、各々が首部C1の前端よりも前方に延出するように設けられる。
【0069】
また、本実施形態の首掛け装置1Aは、移動者Cに対して報知を行う報知部100を備える。報知部100は、少なくとも、現在位置を取得する位置取得部11が取得した現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出する左側レーダ12及び右側レーダ13が接近する物体を検出したときに、移動者Cに対して報知を行う。
【0070】
また、報知部100は、前出部1bに設けられる左側バイブレータ16及び右側バイブレータ17と、基部1aに設けられる左側スピーカ18及び右側スピーカ19と、を備える。左側バイブレータ16及び右側バイブレータ17は、移動者Cが触覚で知覚可能な箇所に位置して振動により報知を行う。左側スピーカ18及び右側スピーカ19は、移動者Cの聴覚で知覚可能な箇所に位置して音により報知を行う。
【0071】
このような本実施形態の首掛け装置1Aは、移動者Cの首部C1の後部に掛けられることが可能な基部1aと、基部1aから首部C1の前端よりも前方に延出するように設けられる前出部1bと、のいずれか一方に位置する左側バイブレータ16及び右側バイブレータ17、左側スピーカ18及び右側スピーカ19を用いて報知を行う。したがって、背負い鞄の肩ベルト等に報知部100が位置する場合よりも、移動者Cは、報知を認識しやすくなる。本実施形態の首掛け装置1Aは、音と振動による報知を行うため、特に、視覚障害者に把握しやすい報知を行うことができる。
【0072】
また、本実施形態の首掛け装置1Aは、周囲を撮影する左側カメラ14と右側カメラ15を更に備える。左側カメラ14及び右側カメラ15は、前出部1bの移動者Cの前方を撮影可能な箇所に位置する。このような本実施形態の首掛け装置1Aは、左側カメラ14と右側カメラ15を用いて得られた撮影情報に基づいて、障害物等の物体を検出することができる。したがって、本実施形態の首掛け装置1Aは、左側レーダ12及び右側レーダ13のみを用いる場合よりも、障害物等の物体の検出精度を高めることができる。
【0073】
また、本実施形態の首掛け装置1Aにおいて、左側カメラ14と右側カメラ15は、位置取得部11が取得した現在位置が事前に設定された要注意領域にあるときに起動され、現在位置が要注意領域の外にあるときに停止される。このような本実施形態の首掛け装置1Aは、移動者Cが要注意領域の外にいる場合に、左側カメラ14と右側カメラ15を停止することができる。したがって、本実施形態の首掛け装置1Aは、例えば障害物等が多い要注意領域の外にいる場合の処理負担や消費電力を低減できる。
【0074】
また、本実施形態の首掛け装置1Aにおいて、報知部100は、移動者Cを誘導するための目的地情報と現在位置とに応じて報知のパターンを変化させる。このため、本実施形態の首掛け装置1Aは、移動者Cに誘導に対する安心感を付与できる。
【0075】
また、本実施形態の首掛け装置1Aにおいて、報知部100は、左側レーダ12及び右側レーダ13で検出した物体の位置に応じて報知のパターンを変化させる。このため、本実施形態の首掛け装置1Aは、移動者Cに物体の位置を認識させることができる。
【0076】
また、本実施形態の報知方法は、首掛け装置1Aを用い、現在位置を取得する位置取得部11が取得した現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出する左側レーダ12及び右側レーダ13が接近する物体を検出したときに、移動者Cに対して報知を行う。
【0077】
このような本実施形態の報知方法は、移動者Cの首部C1の後部に掛けられることが可能な基部1aと、基部1aから首部C1の前端よりも前方に延出するように設けられる前出部1bと、のいずれか一方に位置する左側バイブレータ16及び右側バイブレータ17、左側スピーカ18及び右側スピーカ19を用いて報知を行う。したがって、背負い鞄の肩ベルト等に報知部100が位置する場合よりも、移動者Cは、報知を認識しやすくなる。本実施形態の報知方法は、音と振動による報知を行うため、特に、視覚障害者に把握しやすい報知を行うことができる。
【0078】
また、本実施形態の報知プログラムPは、首掛け装置1Aを制御するコンピュータ(制御部20)に、現在位置を取得する位置取得部11が取得した現在位置が事前に設定された地理的位置である設定位置と所定の地理的関係にあるとき、または、周辺の物体を検出する左側レーダ12及び右側レーダ13が接近する物体を検出したときに、移動者Cに対して報知を行うステップを実行させる。
【0079】
このような本実施形態の報知プログラムPは、移動者Cの首部C1の後部に掛けられることが可能な基部1aと、基部1aから首部C1の前端よりも前方に延出するように設けられる前出部1bと、のいずれか一方に位置する左側バイブレータ16及び右側バイブレータ17、左側スピーカ18及び右側スピーカ19を用いた報知を行わせる。したがって、背負い鞄の肩ベルト等に報知部100が位置する場合よりも、移動者Cは、報知を認識しやすくなる。本実施形態の報知プログラムPは、音と振動による報知を行わせるため、特に、視覚障害者に把握しやすい報知となる。
【0080】
また、例えば、本実施形態の首掛け装置1Aは、信号機等のインフラ設備が通信機能を有する場合には、これらのインフラ設備と通信可能としてもよい。このようなインフラ設備と通信可能な場合には、首掛け装置1Aは、インフラ設備から出力される信号に基づいて、インフラ設備の存在を移動者Cに報知するようにしてもよい。また、首掛け装置1Aは、押しボタン式信号機のような操作が必要なインフラ設備に対して、操作を指示する信号を送信するようにしてもよい。このような場合には、移動者Cがインフラ設備を直接操作する必要がなくなる。
【0081】
また、例えば、本実施形態の首掛け装置1Aは、車両が通信機能を有する場合には、車両と通信可能としてもよい。車両と通信可能である場合には、首掛け装置1Aは、車両の検出と合わせて、車両に対して移動者Cの存在を知らせる信号を出力するようにしてもよい。これによって、車両がドライバに対して移動者Cの存在を知らせることが可能となる。
【0082】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0083】
<首掛け装置>
図8は、本発明の第2実施形態における首掛け装置1Bの外観構成を示す模式図である。また、図9は、本発明の第2実施形態における首掛け装置1Bの機能構成の概略を示すブロック図である。本実施形態の首掛け装置1Bは、特に聴覚障害者やお年寄りに適した構成を有している。
【0084】
図9に示すように、本実施形態の首掛け装置1Bは、上記第1実施形態の首掛け装置1Aが備えた左側カメラ14及び右側カメラ15を有していない。また、本実施形態の首掛け装置1Bは、上記第1実施形態の首掛け装置1Aが備えた左側スピーカ18及び右側スピーカ19に換えて、左側ライト31及び右側ライト32を備えている。
【0085】
左側ライト31及び右側ライト32は、制御部20が出力する報知情報に応じて光を発生させる。左側ライト31及び右側ライト32は、例えば、赤色、緑色、及び青色の3色発光のLED(発光ダイオード)を備える。左側ライト31及び右側ライト32を何色で発光させるか、左側ライト31及び右側ライト32をどのような間隔で点滅させるかは、任意に設定可能である。つまり、左側ライト31及び右側ライト32の発光パターンは任意に設定可能である。
【0086】
左側ライト31は、図8に示すように、左側前出部1b1の先端部に位置する。つまり、移動者Cが視覚で知覚可能な箇所に位置する。ただし、左側ライト31は、移動者Cが視覚で知覚可能な箇所であれば、基部1aの左側の部位に位置してもよい。また、左側ライト31は、左側前出部1b1と基部1aの左側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。この左側ライト31は、移動者Cに対して光による報知を行う。
【0087】
右側ライト32は、図8に示すように、右側前出部1b2の先端部に位置する。つまり、移動者Cが視覚で知覚可能な箇所に位置する。ただし、右側ライト32は、移動者Cが視覚で知覚可能な箇所であれば、基部1aの右側の部位に位置してもよい。また、右側ライト32は、右側前出部1b2と基部1aの右側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。この右側ライト32は、移動者Cに対して光による報知を行う。
【0088】
制御部20は、取得した情報等に基づいて、報知情報を生成し、生成した報知情報を左側バイブレータ16、右側バイブレータ17、左側ライト31及び右側ライト32のいずれかあるいは複数に出力する。
【0089】
例えば、制御部20は、位置取得部11が取得した首掛け装置1Bの現在位置が、事前に設定された設定位置と所定の地理的関係(例えば処理距離以下)にあるときに、誘導のための報知情報を生成する。例えば、制御部20は、首掛け装置1Bの現在位置が、左折するべき設定位置に近づいたときに、左側バイブレータ16及び左側ライト31に向けて誘導のための報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、左側バイブレータ16及び左側ライト31からの報知により、左折するべき設定位置に近づいたことを報知できる。
【0090】
一方で、制御部20は、首掛け装置1Bの現在位置が、右折するべき設定位置に近づいたときに、右側バイブレータ17及び右側ライト32に向けて誘導のための報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、右側バイブレータ17及び右側ライト32からの報知により、右折するべき設定位置に近づいたことを報知できる。
【0091】
また、制御部20は、左側レーダ12及び右側レーダ13のいずれかあるいは複数の出力情報に基づいて、首掛け装置1Bに接近する物体を検出したときに、報知情報を生成する。例えば、制御部20は、首掛け装置1Bに左側から接近する車両を検出したときに、左側バイブレータ16及び左側ライト31に向けて車両検出を知らせる報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、左側バイブレータ16及び左側ライト31から車両が接近してくることを報知できる。
【0092】
一方で、制御部20は、首掛け装置1Bに右側から接近する車両を検出したときに、右側バイブレータ17及び右側ライト32に向けて車両検出を知らせる報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、右側バイブレータ17及び右側ライト32から車両が接近してくることを報知できる。
【0093】
また、制御部20は、首掛け装置1Bの前側あるいは後側から接近する車両を検出したときに、左側バイブレータ16、右側バイブレータ17、左側ライト31及び右側ライト32に向けて車両検出を知らせる報知情報を出力する。この結果、移動者Cに対して、左側バイブレータ16、右側バイブレータ17、左側ライト31及び右側ライト32から車両が接近してくることを報知できる。なお、車両が前側から接近する場合と、車両が後側から接近する場合とで、光の色を変更する等、報知のパターンを変化させることが好ましい。
【0094】
<報知処理>
次に、本実施形態の首掛け装置1Bで行われる報知処理(報知方法)について説明する。以下では、まず、移動者Cを誘導する場合の処理(誘導処理)について説明する。次に、移動者Cに車両の接近を知らせる場合の処理(車両検出処理)について説明する。
【0095】
≪誘導処理≫
図10は、誘導処理の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、本実施形態の誘導処理では、制御部20は、上記第1実施形態のステップS34に換えて、左側ライト31での報知を行う(ステップS51)。また、本実施形態の誘導処理では、制御部20は、上記第1実施形態のステップS36に換えて、右側ライト32での報知を行う(ステップS52)。
【0096】
このように誘導処理では、移動者Cを誘導するための目的地情報と現在位置とを比較し、案内方向が左方向の場合には、報知部100は、左側バイブレータ16と左側ライト31とで報知を行う。また、案内方向が右方向の場合には、報知部100は、右側バイブレータ17と右側ライト32とで報知を行う。つまり、本実施形態において、誘導処理では、報知部100は、移動者Cを誘導するための目的地情報と現在位置とに応じて報知のパターンを変化させる。
【0097】
図11は、設定位置までの距離とバイブレータ及びライトの報知パターンとの関係を示す模式図である。ステップS33、ステップS51、ステップS35及びステップS52においては、首掛け装置1Bから曲がる位置を示す設定位置までの距離に応じて、報知の間隔を変更するようにしてもよい。例えば、図11に示すように、首掛け装置1Bから曲がる位置を示す設定位置までの距離が短くになるに連れて、報知の間隔を短くするようにしてもよい。このように報知の間隔を変更することで、移動者Cに曲がる位置までの距離を伝達することができる。
【0098】
≪車両検出処理≫
図12は、車両検出処理の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、本実施形態の車両検出処理では、制御部20は、上記第1実施形態のステップS44に換えて、左側ライト31での報知を行う(ステップS53)。また、本実施形態の車両検出処理では、制御部20は、上記第1実施形態のステップS47に換えて、右側ライト32での報知を行う(ステップS54)。また、本実施形態の車両検出処理では、制御部20は、上記第1実施形態のステップS49に換えて、両側ライト(左側ライト31及び右側ライト32)での報知を行う(ステップS55)。
【0099】
このような車両検出処理では、車両が左側から接近してくる場合には、報知部100は、左側バイブレータ16と左側ライト31とで報知を行う。また、車両が右側から接近してくる場合には、報知部100は、右側バイブレータ17と右側ライト32とで報知を行う。また、車両が前後方向から接近してくる場合には、報知部100は、両側バイブレータと両側スピーカとで報知を行う。つまり、本実施形態において、車両検出処理では、検出した車両(物体)の位置に応じて、報知部100は報知のパターンを変化させる。
【0100】
図13は、車両までの距離とバイブレータ及びライトの報知パターンとの関係を示す模式図である。ステップS43、ステップS53、ステップS46、ステップS54、ステップS48及びステップS55においては、首掛け装置1Bから車両までの距離に応じて、報知の間隔を変更するようにしてもよい。例えば、図13に示すように、首掛け装置1Bから車両までの距離が短くになるに連れて、報知の間隔を短くするようにしてもよい。このように報知の間隔を変更することで、移動者Cに車両までの距離を伝達することができる。
【0101】
以上のような本実施形態の首掛け装置1Bは、左側ライト31及び右側ライト32は、前出部1bの先端部に位置する。このため、本実施形態の首掛け装置1Bは、移動者Cの視界に、より確実に光を到達させることができ、聴覚障害者に適した報知ができる。
【0102】
また、本実施形態の首掛け装置1Bは、左側ライト31と右側ライト32との2つの発光部を備える。このため、本実施形態の首掛け装置1Bは、左右両側の前出部1bの先端部に位置する2つの発光部を用いて報知ができる。したがって、実施形態の首掛け装置1Bは、どちら側の発光部を発光させるかによって、移動者Cに対して方向の情報を含む報知を行うことができる。
【0103】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0104】
<首掛け装置>
図14は、本発明の第3実施形態における首掛け装置1Cの外観構成を示す模式図である。また、図15は、本発明の第3実施形態における首掛け装置1Cの機能構成の概略を示すブロック図である。
【0105】
図15に示すように、本実施形態の首掛け装置1Cは、上記第1実施形態の首掛け装置1Aが備えた左側カメラ14及び右側カメラ15を有していない。一方で、図14に示すように、本実施形態の首掛け装置1Cは、左側反射板41(反射部)及び右側反射板42(反射部)を備えている。
【0106】
左側反射板41及び右側反射板42は、移動者Cの前方から受光した光を反射することで、周囲の者に首掛け装置1C(すなわち、移動者C)の存在を知らせる。左側反射板41の反射面及び右側反射板42の反射面は、様々な方向へ光を反射できるように散乱面としてもよい。
【0107】
左側反射板41は、図14に示すように、左側前出部1b1の先端部に位置する。ただし、左側反射板41は、移動者Cの前方から向かってくる光を反射可能な箇所であれば、基部1aの左側の部位に位置してもよい。また、左側反射板41は、左側前出部1b1と基部1aの左側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。
【0108】
右側反射板42は、図14に示すように、右側前出部1b2の先端部に位置する。ただし、右側反射板42は、移動者Cの前方から向かってくる光を反射可能な箇所であれば、基部1aの右側の部位に位置してもよい。また、右側反射板42は、右側前出部1b2と基部1aの右側の部位とを跨ぐ箇所に位置してもよい。
【0109】
このような本実施形態の首掛け装置1Cは、光を反射する左側反射板41及び右側反射板42を更に備える。これらの左側反射板41及び右側反射板42は、移動者Cの前方から受光した光を反射可能な箇所に位置する。本実施形態の首掛け装置1Cは、左側反射板41及び右側反射板42に光が反射することで、周囲に移動者Cの存在を注意喚起できる。したがって、本実施形態の首掛け装置1Cは、電力を消費することなく、安全性を高めることができる。
【0110】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、本第4実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0111】
図16は、本発明の第4実施形態における首掛け装置1Dの外観構成を示す模式図である。図16に示すように、本実施形態の首掛け装置1Dは、後方の物体を検出する後方側レーダ51を備える。
【0112】
後方側レーダ51は、例えば、左側レーダ12及び右側レーダ13と同様に、ミリ波レーダである。後方側レーダ51は、例えば、外部の物体に対する距離、相対速度、相対位置、及び方位等に係る物体検出情報を制御部20に出力する。この後方側レーダ51は、図16に示すように、基部1aに収容されている。
【0113】
このような本実施形態の首掛け装置1Dは、後方側レーダ51を備える。このため、後方から接近する車両をより確実に検出することができる。このような本実施形態の首掛け装置1Dでは、例えば、上記第1実施形態と比較して、左側レーダ12及び右側レーダ13を検出範囲が前方寄りになるように配置してもよい。
【0114】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、本第5実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0115】
図17は、本実施形態における車両検出処理の一例を示すフローチャートである。図17に示すように、本実施形態において、制御部20は、上記第1実施形態のステップS44、ステップS47及びステップS49の後に、車両と移動者Cとの衝突が予測されるか否かの判定を行う(ステップS61)。ここでは、制御部20は、左側レーダ12及び右側レーダ13の物体検出情報に基づいて、周知の方法により、車両と移動者Cとの衝突を予測する。なお、制御部20は、左側カメラ14及び右側カメラ15の撮像情報に基づいて、車両と移動者Cとの衝突を予測してもよい。
【0116】
制御部20は、車両と移動者Cとの衝突が予測される場合には、警告音を鳴らす(ステップS62)。ここでは、制御部20は、左側スピーカ18及び右側スピーカ19を用いて警告音を鳴らす。本実施形態は、このような警告音により移動者Cに危険を知らせることができる。また、警告音によって、車両のドライバに対して移動者Cの存在を知らせることができる。
【0117】
図18は、車両までの距離とバイブレータ及びライトの報知パターンとの関係を示す模式図である。ステップS43、ステップS46及びステップS48においては、首掛け装置から車両までの距離に応じて、報知の間隔を変更するようにしてもよい。例えば、図18に示すように、首掛け装置から車両までの距離が短くになるに連れて、報知の間隔を短くするようにしてもよい。さらに、ステップS61で衝突が予測される場合には、警告音を鳴らす。
【0118】
このような本実施形態の首掛け装置は、車両と移動者Cとの衝突が予測される場合には、警告音によって移動者Cと車両のドライバとに警告を与えることができる。したがって、移動者Cと車両との衝突の可能性を低減できる。例えば、お年寄りが道路の横断中に左右方向から接近する車両と衝突する事故が多いとのデータがある。本実施形態の首掛け装置は、このような事故を抑止できる可能性が高い。
【0119】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0120】
例えば、撮影部を備える場合には、首掛け装置に加速度センサ等の衝撃を検出できるセンサを設置し、衝撃を検出した場合に撮像部を起動して撮像情報を記録するようにしてもよい。このような場合には、例えば事故等の状況を自動的に記録しておくことが可能になる。
【0121】
上記実施形態における制御部20の機能の全てまたは一部を実現するための報知プログラムPをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された報知プログラムPをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御部20が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0122】
また、報知プログラムPは、この報知プログラムPを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、報知プログラムPを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、報知プログラムPは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0123】
1A~1D 首掛け装置
1a 基部(主部)
1b 前出部(副部)
1b1 左側前出部
1b2 右側前出部
11 位置取得部
12 左側レーダ(検出部)
13 右側レーダ(検出部)
14 左側カメラ(撮影部)
15 右側カメラ(撮影部)
16 左側バイブレータ(起震部)
17 右側バイブレータ(起震部)
18 左側スピーカ(発音部)
19 右側スピーカ(発音部)
20 制御部
21 通信部
22 メモリ
31 左側ライト(発光部)
32 右側ライト(発光部)
41 左側反射板(反射部)
42 右側反射板(反射部)
51 後方側レーダ(検出部)
100 報知部
C 移動者
C1 首部
P 報知プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18