(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177215
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ウェアラブル保護装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/36 20110101AFI20241212BHJP
B62J 27/20 20200101ALI20241212BHJP
【FI】
B60R21/36 310
B62J27/20
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024168502
(22)【出願日】2024-09-27
(62)【分割の表示】P 2022525969の分割
【原出願日】2020-11-04
(31)【優先権主張番号】102019000020416
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】502016471
【氏名又は名称】アルパインスターズ リサーチ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョバンニ マッツァローロ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ ナルド
(57)【要約】
【課題】膨張可能なバッグを備えたウェアラブル保護装置の提供。
【解決手段】ウェアラブル保護装置(1)は、収縮状態にある休止構成と、膨張状態にある活性構成とを交互に取るように構成されている少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)と、膨張状態にあり、膨張可能なバッグ(8)と流体連通し、それらが動作されると膨張流体を内部に導入するように構成された膨張手段(14)とを備えている。ウェアラブル保護装置(1)は、少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)に関連付けられた少なくとも1つの圧力検出装置(26)をさらに備え、少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)内の圧力を直接的または間接的に検出するように構成されている。本発明のさらなる目的は、ウェアラブル保護装置(1)の膨張可能なバッグ(8)が一度膨張された後に再利用可能であるかどうかを評価する方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収縮状態にある休止構成と、膨張状態にある活性構成とを交互に取るように構成されている少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)、
前記少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)と流体連通し、それらが動作されるとそこに膨張流体を導入するように構成されている膨張手段(14)、を備え、
前記少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)に関連付けられ、且つ前記少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)内の膨張流体の圧力を、直接的または間接的に検出するように構成されている少なくとも1つの圧力検出装置(26)、
を備えることを特徴とするウェアラブル保護装置(1)。
【請求項2】
制御ユニット(24)であって、前記圧力検出装置(26)から受信した圧力データと前記制御ユニット(24)に記憶されている圧力基準データとを比較するように構成されている制御ユニット(24)を備えることを特徴とする請求項1に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項3】
前記制御ユニット(24)は、前記圧力検出装置(26)に接続され、前記制御ユニット(24)は、前記膨張手段(14)を誘発する、ウェアラブル保護装置(1)に作用する力を検出するべく意図された一つ以上のセンサに、さらに接続されていることを特徴とする請求項2に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項4】
前記制御ユニット(24)は、前記圧力検出装置(26)に内蔵されていることを特徴とする請求項2に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項5】
前記制御ユニット(24)は、前記圧力基準データが記憶されたメモリを備えることを特徴とする請求項2に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項6】
前記制御ユニット(24)は、前記圧力検出装置(26)で受信したデータを前記メモリに記憶するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項7】
前記制御ユニット(24)に関連付けられ、且つ、前記圧力検出装置(26)によって検出された圧力データと前記圧力基準データとの偏差が所定の閾値を超えた場合に、警告信号を発するように構成されている警報手段(36)を備えることを特徴とする請求項2に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項8】
前記制御ユニット(24)は、前記少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)の内部で検出された圧力のピーク値と、前記制御ユニット(24)に記憶された圧力の基準ピーク値とを比較するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のウェアラブル保護装置。
【請求項9】
前記制御ユニット(24)は、前記少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)の収縮中の所定時間に検出された圧力値と、前記制御ユニット(24)に記憶された基準収縮圧力値とを比較するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項10】
前記制御ユニット(24)は、少なくとも1つの圧力検出装置(26)によって受信されたデータに基づいて一旦膨張されると、少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)の内部の圧力の変動を検出するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの圧力検出装置(26)は、前記制御ユニット(24)に接続された1つ以上の圧力センサ(28,32)を備えることを特徴とする請求項2に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項12】
前記1つ以上の圧力センサ(28)は、電磁センサ、圧電センサ、静電容量センサまたはピエゾ抵抗センサを含む群内で選択され、前記センサ(28)は、周期的な間隔で所定期間にわたって前記少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)内の圧力を直接に検出し、それぞれの圧力データを前記制御ユニット(24)に送信するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項13】
前記1つ以上の圧力センサ(32)は、前記少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)に関連付けられた機械装置からなり、前記バッグ(8)の内部で所定の閾値圧力値に達すると機械的に切り替えるように設計され、前記センサ(32)は、前記少なくとも1つの膨張可能なバッグ(8)内の圧力を間接的に検出するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のウェアラブル保護装置(1)。
【請求項14】
ウェアラブル保護装置(1)の膨張可能なバッグ(8)が一旦膨張した後に再利用可能であるかどうかを評価する方法であって、前記ウェアラブル保護装置(1)が請求項1~13のいずれか1項に記載のタイプであり、
・前記膨張手段(14)の誘発後に、前記圧力検出装置(26)によって前記膨張可能なバッグ(8)内の圧力を直接的または間接的に検出するステップと、
・前記圧力検出装置(26)によって検出された圧力データを、前記制御ユニット(24)に記憶された基準圧力データと比較するステップと、
・前記検出された圧力データと前記基準圧力データとの間の偏差が所定の閾値を超えて検出された場合に、ユーザーに対してそれぞれの警告信号を生成するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブル保護装置、特に、衝撃および/または落下からユーザーを保護するために着用され得る膨らませることができる部材(エアバッグとも呼ばれる)を備えたウェアラブル保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェアラブル保護装置は、オートバイへの乗車、歩行、および/または、産業作業活動など、さまざまな種類の活動中に、障害物に対する衝撃によって引き起こされる怪我からユーザーを保護するために開発されている。
【0003】
明確化のために、本説明の続きにおいて、限定的ではない方法で、オートバイ運転者によって着用されるのに適した、膨らませることができるウェアラブル保護装置への言及がなされる。
【0004】
典型的には、膨らませることができるウェアラブル保護装置は、ウェアラブル保護装置の通常の使用中に、収縮状態すなわち休止構成で、オートバイ運転者によって着用されるように構成されたケーシングの内部に配置される膨張可能なバッグまたはエアバッグを備えている。
【0005】
膨張可能なバッグは、危険な状況の場合にのみ作動することが意図されており、この目的のために、膨張可能なバッグは、少なくとも1つの膨張手段、典型的にはガスカートリッジの形態のインフレータ装置と流体連通している。
【0006】
ガスカートリッジは、一般に、ウェアラブル保護装置のハウジング内に収容され、例えば、圧縮ガスのような所定の量の膨張流体を膨張可能なバッグに導入するように適合され、膨張可能なバッグを膨らませ、したがって膨張させる。
【0007】
膨張手段による膨張可能なバッグの膨張は、電子的または機械的に制御されてもよい。電子的な起動の場合、ウェアラブル保護装置は、複数のセンサによって、好ましくはウェアラブル保護装置に適用され、オートバイ運転者の動きおよびウェアラブル保護装置に作用する力を常に監視する電子制御ユニットを備えている。
【0008】
より具体的には、制御ユニットは、例えば、ウェアラブル保護装置またはオートバイに配置されたセンサによって検出されたデータを、その内部に予めロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較することができる。
【0009】
このアルゴリズムに基づいて、センサによって検出されたデータが危険な状況を示している場合、制御ユニットは、膨張可能なバッグを膨張させるための膨張手段に誘発信号を送信する。その結果、膨張可能なバッグは、その休止の構成から活性または膨張した構成に移行する。
【0010】
膨張手段の誘発後、膨張可能なバッグは、所定の期間膨張した構成にとどまり、ユーザーに完全な保護を与えるために、膨張可能なバッグの内圧を基準値以上に維持しなければならない。
【0011】
当該技術分野で周知のように、異なるタイプの膨張可能なバッグを使用することができる。一部のエアバッグは、OPW(ワンピース織り)エアバッグや、縁部に沿って不連続に溶接されたポリマー材料の2つの層によって形成されたエアバッグとして、限られた期間、例えば5~7秒間膨張したままにすることができる。
【0012】
これらのエアバッグは、一旦保護機能が達成されたら、膨張可能なバッグの制御された収縮のためのバルブをさらに備えていてもよい。
【0013】
それらの縁部に沿って連続的に溶接されるポリマー層によって形成されたエアバッグのような他の種類のエアバッグは、上記のエアバッグよりも長い時間、内部に所定のガス圧を維持するように設計されている。
【0014】
後者のエアバッグは、気密エアバッグとして定義され、通常、膨張手段からそれらを切り離すことによって収縮される。
【0015】
膨張手段が作動され、バッグが膨張されたら、少なくともガスカートリッジは、圧縮ガスで満たされている新しいカートリッジと交換されなければならない。
【0016】
この側面に関して、多くのタイプのウェアラブル保護装置は、ユーザーが消費したカートリッジを自律的に交換するという可能性を予見している。
【0017】
また、クラッシュ中に膨張可能なバッグが何らの損傷をも受けていないことを保証することは通常困難であるため、バッグは交換されるべきである。
【0018】
実際のところ、バッグは膨張中に傷や機械的ストレスを受ける可能性がある。
【0019】
これらの損傷は、バッグが初めて膨張された後、所定の期間、膨張したまま残ってバッグの能力を損ない、したがって、安全基準に従って膨張可能なバッグが再利用されるのを妨げる。
【0020】
この場合、ウェアラブル保護装置を安全条件下で再利用するためには、膨張可能なバッグは交換されねばならない。
【0021】
これらの解決策の欠点は、膨張可能なバッグの交換は複雑な作業であり、専門家と訓練を受けた人が行う必要があることである。
【0022】
もう1つの欠点は、膨張後のバッグの圧力保持能力の損失につながる可能性のある、潜在的な損傷を評価するための膨張可能なバッグのチェックは困難な作業であり、単純な目視チェックでは実行できないことである。
【0023】
したがって、破損したバッグがとにかく使用され、逆に、損傷がないか、限られた損傷しかなくて再利用できたとしても、膨張可能なバッグが交換される恐れがある。
【0024】
上記の問題点に鑑み、点検・交換手続きが販売業者や製造業者のサービスセンターによって行われる必要があるため、一定の時間が必要となり、その間、ユーザーは、ウェアラブル保護装置を使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
したがって本発明の主な目的は、上記の欠点を克服または少なくとも低減するように構成された膨張可能なバッグを備えたウェアラブル保護装置を提供することである。
【0026】
より具体的には、本発明の主な目的は、膨張の後に膨張可能なバッグの状態を自動的に制御することを可能にし、したがって、膨張可能なバッグが膨張されていた後に安全基準に従って再利用され得るという条件において、膨張可能なバッグを備えたウェアラブル保護装置を提供することである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、訓練を受けた人の介入なしに、膨張後の膨張可能なバッグの状態を制御することを可能にする膨張可能なバッグを備えたウェアラブル保護装置を提供することである。
【0028】
また、本発明の他の目的は、公知のウェアラブル保護装置に対して、膨張可能なバッグの状態を制御するのに、より少ない時間を必要とする膨張可能なバッグを備えたウェアラブル保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記した目的、および本説明の以下により良く現れる他の目的は、添付の独立請求項1に定義されるウェアラブル保護装置によって、かつ、請求項14に記載のウェアラブル保護装置の膨張可能なバッグが一旦膨張されて再利用可能であるかどうかを評価する方法でもって達成される。
【0030】
本発明の利点および特徴的特徴は、添付の図を参照して、ウェアラブル保護装置の好ましい、しかし排他的ではない実施形態の以下の説明からより明確に現れるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、休止状態における本発明によるウェアラブル保護装置の一実施形態の一部断面背面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明によるウェアラブル保護装置の他の実施形態の斜視図を示す。
【
図3】
図3は、本発明によるウェアラブル保護装置のさらなる実施形態の斜視図および部分分解後方図を示す。
【
図4】
図4は、本発明による圧力検出装置の第1の実施形態を備えたウェアラブル保護装置のシェルの斜視図および部分分解図を示す。
【
図5】
図5は、2つの異なる動作構成におけるウェアラブル保護装置のシェルのそれぞれの斜視図を示し、このシェルは、本発明による圧力検出装置の第2の実施形態を備えている。
【
図6】
図6は、2つの異なる動作構成におけるウェアラブル保護装置のシェルのそれぞれの斜視図を示し、このシェルは、本発明による圧力検出装置の第2の実施形態を備えている。
【
図7】
図7は、2種類の膨張可能なバッグに対する膨張後の膨張可能なバッグ内の膨張流体の内圧の変動に関する図を示す。
【
図8】
図8は、2種類の膨張可能なバッグに対する膨張後の膨張可能なバッグ内の膨張流体の内圧の変動に関する図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図を参照するに、本発明により提供されるウェアラブル保護装置が、参照番号1で概略指示されている。
【0033】
好ましくは、ウェアラブル保護装置1は、オートバイ運転者もしくは自転車運転者により着用されるように、またはユーザーの体の効果的な保護が得られなければならない他の場所で使用されるように設計される。
【0034】
図1~3に示されるように、ウェアラブル保護装置1は、衣服、例えばベスト2(
図1および
図3参照)と、オートバイ運転者ジャケット4と結合されるように設計され、またはオートバイ運転者スーツ6(
図2参照)とすることができる。
【0035】
ウェアラブル保護装置1は、収縮状態である休止構成と、膨張状態である活性構成とを交互に取るように構成された少なくとも1つの膨張可能なバッグ8を備えている。
【0036】
膨張可能なバッグ8は、好ましくは、ユーザーの肩および/または胸部および/または側面および/または背中を保護することを意図している。
【0037】
本発明の代替的な実施形態によれば、図面には示されていないが、ウェアラブル保護装置1には、複数の独立した膨張可能なバッグ8が設けられていてもよい。
【0038】
少なくとも1つの膨張可能なバッグ8は、OPW(ワンピース織り)バッグ(当技術分野で周知であり、したがって本説明では詳細には記載されていない)とすることができ、またはそれらの縁部で不連続な方法で溶接された2つのポリマーシートによって形成されてもよい。
【0039】
さらに、膨張可能なバッグは、適切なコーティングで覆われた編まれた本体を有することができる。
【0040】
これらの種類の膨張可能なバッグは、膨張された後の収縮中間が異なる可能性があり、それの選択的な収縮のために、不図示の1つ以上の収縮バルブが設けられてもよい。
【0041】
例えば、これらの種類の膨張可能なバッグは、安全基準に従って選択された時間である、5~7秒の間に構成される収縮時間を有することができる。
【0042】
代替的には、少なくとも1つの膨張可能なバッグ8はまた、気密バッグ、例えば、それらの縁部で連続的に溶接された2枚のポリマーシートによって形成されたバッグからなることもできる。
【0043】
この種の膨張可能なバッグは、より長い期間膨張された状態にとどまるのに適しているので、以前のものとは異なる。
【0044】
図7および
図8の図表において、実線は、活性化された際の、無傷の気密バッグおよび無傷の非気密バッグについて、膨張可能なバッグ内の膨張流体によって加えられる圧力の変動を、それぞれ時間の関数で表わしている。
【0045】
ウェアラブル保護装置1は、
図1および
図3に示され、ユーザーの背中を保護するための剛性又は半硬質のバックプロテクター12を備えることができ、ウェアラブル保護装置1の外表面10に適用されている。
【0046】
ウェアラブル保護装置1はまた、危険状況が検知された場合に備えて、膨張可能なバッグ8を膨張させるように設計された膨張手段14を備えている。
【0047】
膨張手段14は、膨張可能なバッグ8と流体連通しており、一旦それらが動作されると、その中に膨張流体を導入するように構成されている。
【0048】
膨張手段14は、例えば、転倒や衝撃など、オートバイ運転者にとっての危険な状況が検知された場合に、以下に説明する方法で誘発される。
【0049】
有利には、膨張手段14は、接続端部16で膨張可能なバッグ8に接続されている。
図3に良好に示されているように、膨張手段14は、膨張可能なバッグ8のダクト20に接続される少なくとも1つのガスカートリッジ18、好ましくは2つのガスカートリッジ18を備えている。
【0050】
これらのガスカートリッジは、花火インフレータ、圧縮ガスインフレータおよびハイブリッドインフレータを備える群から選択することができる。当該技術分野で周知のように、花火インフレータでは、膨張ガスを提供するためにガス発生材料の燃焼を点火するのに、花火装填が使用される。圧縮ガスインフレータは、今度は、圧縮状態から膨張ガスを放出するために密閉チャンバを開くのに、最小限の量の花火材料を使用する。
【0051】
ハイブリッドインフレータは、膨張可能なバッグ8を充填するのに必要な膨張ガスを提供するために、燃焼および圧縮ガスの貯蔵の組み合わせを使用する。
【0052】
図3に示されるように、カートリッジ18は、バックプロテクター12に取り付けられたシェルまたはカバー22の内側に配置されてもよい。シェル22はまた、
図4~6に示されている。さらなる実施形態(同封の図には不図示)では、シェル22はウェアラブル保護装置の外表面に直接に適用される。
【0053】
代替的に、カートリッジは、ウェアラブル保護装置1の布帛の内部または場合によっては、膨張可能なバッグ8の内部に含められてもよい。
【0054】
膨張手段14は、
図1に模式的に、
図4に詳細に示されている制御ユニット24によって電子制御することができるが、ウェアラブル保護装置1の他の実施形態においても存在すると考えられる。制御ユニット24は、危険状況を速やかに検知するために、オートバイ運転者の動きを常時監視する機能を有する。
【0055】
この点に関連して、ウェアラブル保護装置1は、ウェアラブル保護装置1に作用する力を検出するための、図には示されていない少なくとも1つのセンサを備えている。好ましくは、ウェアラブル保護装置1は、制御ユニット24に接続され、そしてウェアラブル保護装置1に配置されるタイプの複数のセンサを備えている。
【0056】
これらのセンサは、ウェアラブル保護装置1に作用する加速度を検出するように設計された加速度計、および/または、ウェアラブル保護装置1の動きおよび向きを検出するように設計されたジャイロスコープを備えることができる。
【0057】
また、制御ユニット24は、センサによって検出されたデータを、その内部に予めロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較することができる。このアルゴリズムに基づいて、センサによって検出されたデータが、例えば、オートバイ運転者が進行させているオートバイの制御の喪失または他の何らかの異常のような危険な状況を示す場合、制御ユニット24は、少なくとも1つの膨張可能なバッグ8を膨張させるための膨張手段14に誘発信号を送信する。
【0058】
「危険状況」としては、ウェアラブル保護装置1が、急激な加減速、および/または、その向きおよび角速度の急激な変動を受ける状況が意図されるべきである。
【0059】
図に示されていない代替実施形態として、膨張手段14は、ウェアラブル保護装置をオートバイに接続している活性化ケーブルを利用することによって、機械的に作動されてもよく、そのようなケーブルが、典型的には、転倒および/または衝撃によって引き起こされるオートバイによるオートバイ運転者の分離に続いて、膨張可能なバッグ8を作動させる。
【0060】
膨張手段14の活性化の結果として、膨張可能なバッグ8は、その休止の構成から活性または膨張された構成に移行する。
【0061】
本発明によれば、ウェアラブル保護装置1は、
図1~6に示されるように、膨張可能な1つのバッグまたは複数のバッグ8に関連する少なくとも1つの圧力検出装置26を備える。
【0062】
圧力検出装置26は、膨張可能なバッグ8内の膨張流体の圧力を直接又は間接的に検出するように構成されており、特に、膨張手段14の動作後に膨張可能なバッグ内部の膨張流体の圧力を検出する。
【0063】
膨張可能なバッグ8内部の圧力の「直接検出」としては、圧力検出装置26が膨張可能なバッグの内圧を直接に測定するように構成されることが意図されている。
【0064】
膨張可能なバッグ8内部の圧力の「間接検出」としては、圧力検出装置26が膨張可能なバッグ8の内圧に相関する膨張可能なバッグ8の物理的パラメータを検出するように構成されることが意図されている。このような物理的パラメータの一例は、膨張可能なバッグ8の空間変形であってもよい。
【0065】
詳細には、圧力検出装置26は、異なる構成を有することができる少なくとも1つの圧力センサを備えている。
【0066】
圧力センサ28は、電磁センサ、圧電センサ、容量性センサまたはピエゾ抵抗センサを含む群内で選択されてもよい。この圧力センサ28の一例が
図4に示されている。
【0067】
この圧力センサは、定期的に、膨張可能なバッグ8内の圧力を直接に検出し、一連の圧力データを生成するものである。
【0068】
図4に示されるように、圧力センサ28は、支持要素30、好ましくは、膨張手段14と膨張可能なバッグ8との間の接続端部16に位置される非弾性布から形成されるリングに取り付けられてもよい。
【0069】
あるいは、圧力センサ28は、膨張可能なバッグ8に直接に適用されてもよい。
【0070】
代替的に、圧力センサは、膨張可能なバッグ8に関連され、膨張可能なバッグ8の内部で所定の閾値圧力値に達すると機械的に切り替えられるように設計されている機械装置からなってもよい。機械式圧力センサは、参照番号32で指示されている。このように、このセンサ32は、膨張可能なバッグ8の内部の圧力を間接的に検出するように構成されている。
【0071】
この圧力センサ32は、
図5および
図6に詳細に示されており、ここで、膨張可能なバッグ8は、それぞれ、収縮および膨張した構成で図示されている。
【0072】
図からわかるように、また、この圧力センサ32は、膨張手段14と膨張可能なバッグ8との間の接続端部16に配置されてもよく、例えば、上述のタイプの支持要素30に取り付けられ得る、機械的なボタンを備えることができる。
【0073】
支持要素30は、膨張可能なバッグ8が膨張されたとき、ボタンと接触することが適切であるように、それを第1の位置(
図5参照)から第2の位置(
図6参照)に移動させるべく、膨張可能なバッグ8の端部に位置されている。
【0074】
同様に、膨張可能なバッグ8が収縮すると、それは最早ボタンと接触しておらず、ボタンはその最初の位置に戻ることができる。
【0075】
その結果、この場合、2つの圧力信号のみが生成される。第1の信号は、ボタンが第1の位置から第2の位置へ通過するときに生成され、第2の信号は、ボタンが第2の位置から第1の位置へ通過するときに生成される。第1の位置は、膨張可能なバッグが完全にまたは部分的に収縮されていることを通知し、第2の位置は、膨張可能なバッグが完全に膨張されていることを通知する。
【0076】
膨張可能なバッグ8内の圧力を間接的に検出することが意図されている他の種類のセンサは、図中には示されていない歪みゲージセンサ等であってもよい。
【0077】
使用されるセンサの種類にかかわらず、圧力検出装置26は、圧力検出装置26から受信したデータを圧力基準データと比較するように構成された制御ユニットに接続されてもよい。
【0078】
図示の実施形態、特に、
図4のそれによれば、圧力検出装置26は、例えば、プラグ34によって、または圧力検出装置26から分離されている無線接続によって、制御装置24に接続される。
【0079】
この制御ユニット24は、上述したのと同じ処理装置であり、膨張可能なバッグ8の膨張手段14を誘発するように構成されてもよい。
【0080】
そこで、本実施形態では、制御ユニット24は、膨張手段14の起動を制御するアルゴリズムと、圧力検出装置26から受信した圧力データを精緻化し、圧力基準データと比較する別のアルゴリズムとを実装している。
【0081】
代替法では、制御ユニットが、圧力検出装置26に統合されてもよい。この特定の実施形態は、膨張手段14の活性化が機械的に制御される場合に、特に、有用である。
【0082】
いずれの場合も、制御ユニット24は、圧力基準データを記憶するメモリを備えている。あるいは、圧力基準データは、制御ユニットで動作するアルゴリズムにステータスワードとして格納されてもよい。
【0083】
圧力検出装置26により検出された圧力データは、上述したメモリまたは制御ユニット24の追加メモリに記憶されてもよい。このようにして、検出されたデータはまた、後で処理されるためにも利用可能である。
【0084】
圧力基準データは、多数の破砕試験における基準膨張可能なバッグの内圧の変動の評価から得られた、例示的なデータである。基準膨張可能なバッグは、好ましくは、引き裂きまたは損傷を示すことなく、単一の膨張を受けたバッグである。
【0085】
圧力基準データは、膨張可能なバッグと膨張手段のさまざまな特徴に関連付けられている。すなわち、
・膨張可能なバッグの容積、
・膨張可能なバッグの種類、
・カートリッジの仕様(バッグ内で膨張しなければならないガスの圧力、ガスの種類、モル数)。
【0086】
第1の動作モードとして、制御ユニット24は、圧力のピーク値をメモリに記憶された圧力の基準ピーク値と比較するべく、構成されてもよい。
【0087】
検出された圧力のピーク値は、圧力検出装置26から制御ユニット24に送信される圧力データの1つに対応し、一旦受信されると、この値は、制御ユニット24によってピーク値として処理され、本ウェアラブル保護装置1の膨張可能なバッグ8と同様の特徴を有する膨張可能なバッグについて、取得された基準ピーク値と比較される。
【0088】
第2の動作モードとして、制御ユニット24は、膨張可能なバッグ8の収縮中の所定時間に検出された圧力値と、メモリに記憶された基準圧力値とを比較するべく、構成されてもよい。
【0089】
この場合、制御ユニット24のアルゴリズムは、収縮中の一定時間、例えば、膨張手段14の発動から7秒後に取られた圧力値を、本ウェアラブル保護装置1の膨張可能なバッグ8と同様の特徴を有する膨張可能なバッグについて、同じ時間に取り込まれた基準収縮圧力値で処理するように、構成されている。
【0090】
機械式圧力センサ32の場合、検出された圧力値および制御ユニットに記憶された基準収縮値は、その第1または第2の位置にある同様のセンサによって生成された信号と、対応付けられることになる。
【0091】
例えば、制御ユニットのアルゴリズムは、バッグの収縮中の所定時間、直接法で7秒において、センサが、バッグが完全にまたは部分的に収縮しているその第1の位置にあるか、またはバッグが膨張している第2の位置にあるかを検証する。もしも、センサが第1の位置にあるなら、これは制御ユニットによって、バッグがあまりにも急速な収縮を経験したので、再利用できないということを示すものとして解釈される。制御ユニットは、適切な警告信号を発するであろう。
【0092】
逆に、事前に定義された時間間隔の後に、センサがその第2の位置にある場合、これは、バッグが再利用できることを示すものとして、制御ユニットによって解釈される。警告信号は出力されない。
【0093】
さらに、制御ユニット24のアルゴリズムは、圧力検出装置26により検出されたデータに基づいて、膨張可能なバッグ8の収縮中に、所定の基準圧力値に達するまでに生じた時間を処理するように構成されてもよい。
【0094】
また、制御ユニット24のアルゴリズムは、収縮中に、同じ時間間隔で採取されるデータと基準データの差を評価するために、圧力検出装置26によって検出されたデータを一定の時間間隔で処理するように、構成されてもよい。
【0095】
さらなる動作モードとして、制御ユニット24は、圧力検出装置26によって受信されたデータに基づいて、気密バッグ用または非気密バッグ用の圧力の変動を検出するように構成されてもよい。
【0096】
この場合、制御ユニット24は、圧力検出装置26により検出されたデータに基づいて、膨張手段14の誘発後に、異常な圧力損失が生じているか否かを検証することができる。
【0097】
上述したように、
図7および
図8において、圧力検出装置26により検出され、そして、制御ユニット24により処理された膨張手段14の動作後の膨張可能なバッグ8の内圧の変動が破線で模式的に示されている。
【0098】
特に、
図7および
図8には、損傷した気密の膨張可能なバッグおよび非気密の膨張可能なバッグの圧力データが、それぞれ破線で表されている。
【0099】
同図において、参照データの可能な実施例が、上で指示されたように実線で示されている。
【0100】
実際のところ、
図7および
図8の図表では、検出されたデータと基準データとの間の偏差が関連しており、且つ閾値を超えている。これらの圧力値を有する膨張可能なバッグは交換される必要がある。
【0101】
明らかに、圧力検出装置26によって検出されたデータは、そのアルゴリズムを変更することによって、制御ユニット24により異なるモードで処理され得る。
【0102】
検出圧力データと基準圧力データとの比較を行うことにより、データ間の偏差が所定の閾値を超えた場合に、警告信号が発生されてもよい。
【0103】
閾値を超える偏差は、膨張可能なバッグ8が、膨張された後にあまりにも急速に収縮していることを意味する。この発生は、膨張可能なバッグ8が損傷を受けており、したがって、高い安全レベルを保証するためには、ウェアラブル保護装置1で再利用することができないという証拠である。
【0104】
ウェアラブル保護装置1は、制御ユニット24に関連付けられて
図3によりよく示される警報手段36を備えて、提供されてもよい。警報手段36は、制御ユニット24に統合されることも、有線接続38または無線接続によって接続されることもできる。
【0105】
図3においては、警報手段36が、内部に制御ユニットを内蔵した圧力検出装置26に接続されている実施形態が例示されている。検出された圧力データと基準圧力データとの偏差が制御ユニット24によって検出されると、警報手段36は、例えば、制御ユニット24からの起動信号によって起動される。
【0106】
このようにして、ユーザーは、ウェアラブル保護装置1を再利用する前に、膨張可能なバッグ8を交換する必要性について、警告信号で報知される。
【0107】
また、警報手段36は、気密バッグ8について、圧力損失を検出した場合に警告信号を生成することもできる。
【0108】
警告信号は、可視信号または可聴信号とすることができ、したがって、警報手段36は、例えばLED、ディスプレイまたはスピーカからなることができる。
【0109】
好ましくは、これらの警報手段36は、例えば
図3に示されるように、ウェアラブル保護装置1の外表面10のように、ユーザーが容易に見たり聞いたりすることができるウェアラブル保護装置1の一部に配置される。
【0110】
膨張可能なバッグ8が、膨張中にいかなる損傷も受けていない場合、警報手段36は制御ユニット24によって作動されないので、ユーザーは膨張可能なバッグ8の交換が必要でないことを知る。
【0111】
代替法では、警報手段36は、膨張可能なバッグ8の損傷が検出されなかった場合でも、制御ユニット24によって起動することができ、したがって、膨張可能なバッグ8に損傷を与えた場合に発せられる警告信号とは異なる信号を発する。
【0112】
例えば、警報手段36が1つ以上のLEDを備える場合、それらは、緑色光による損傷の不在および赤色光による損傷の存在を信号で知らせることができる。
【0113】
また、本発明の他の目的は、ウェアラブル保護装置1の膨張可能なバッグ8が、上述した種類のもので、一旦膨張されてしまっても再利用可能であるか否かを評価する方法である。
【0114】
この方法は、以下のステップを備えている。
・圧力検出装置26によって膨張可能なバッグ8内の圧力を、特に、膨張手段14の動作後、直接的または間接的に検出するステップ、
・検出された圧力データを、制御ユニット24に記憶された圧力基準データと比較するステップ、
・検出された圧力データと基準圧力データとの偏差が所定の閾値を超えるのが検出された場合に、それぞれ警告信号を発生するステップ。
【0115】
本開示のこの時点で、事前に規定された目的が、本発明によるウェアラブル保護装置を用いてどのように達成されるかは明らかである。
【0116】
特に、圧力検出装置の手段により、これに接続された制御ユニットと協働して、ウェアラブル保護装置は、膨張後の膨張可能なバッグの潜在的な損傷を検出し、且つそれをユーザーに伝達することができる。
【0117】
ユーザーは、検出された圧力損失のせいで、バッグが交換されることが必要かどうかを、有利に知らされ得る。同時に、圧力の損失が検出されない場合、ユーザーは、膨張可能なバッグを交換することなく、ウェアラブル保護装置を安全な方法で再利用する可能性について知らされ得る。
【0118】
したがって、バッグの状態の自動チェックにより、ユーザーは時間を節約し、ウェアラブル保護装置を常に安全条件下で使用し、不要な場合にユーザーが膨張可能なバッグを交換することを、避けることができる。
【0119】
さらに、圧力検出装置の追加は、ウェアラブル保護装置の重量および嵩の増加を引き起こさず、圧力検出装置から独立している膨張可能なバッグの正常な機能に、影響を及ぼさない。
【0120】
当業者は、特定の要件を満たすために、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、記載された要素を同等の要素に修正および/または置き換えることができる。
【0121】
例えば、当業者は、記載された圧力センサを他の等価な圧力センサと交換することができ、または、それによって添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、センサを異なる位置に配置することができる。