(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177246
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】蓄電池設備室の消火システムおよび消火方法
(51)【国際特許分類】
A62C 37/44 20060101AFI20241212BHJP
A62C 3/16 20060101ALI20241212BHJP
A62C 35/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A62C37/44
A62C3/16 Z
A62C35/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024170398
(22)【出願日】2024-09-30
(62)【分割の表示】P 2021053718の分割
【原出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000229405
【氏名又は名称】日本ドライケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】梅津 真門
(72)【発明者】
【氏名】成ヶ澤 怜
(72)【発明者】
【氏名】砂原 弘幸
(57)【要約】
【課題】誤報と誤動作を防ぎ且つ迅速に消火動作を開始できる蓄電池設備用消火システムおよび消火方法を提供する。
【解決手段】蓄電池を複数備えて外部に電力を供給する蓄電池設備室における火災を検知して消火する消火システムであって、蓄電池の温度を検知する温度センサと、蓄電池設備室内の煙を検知する煙感知器と、消火薬剤を蓄電池設備室内へ放出する消火薬剤貯蔵放出装置と、温度センサにより検知された温度と煙感知器により検知された煙とに基づいて、蓄電池設備室における火災を消火するように消火薬剤貯蔵放出装置を制御する消火装置制御盤と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を備えた複数の畜電池ユニットを内部に備えて外部に電力を供給する蓄電池設備室における火災を検知して消火する消火システムであって、
前記蓄電池の温度を検知する温度検知手段と、
前記蓄電池設備室内の状態を検知する状態検知手段と、
消火薬剤を前記蓄電池設備室内へ放出する消火薬剤貯蔵放出手段と、
前記温度検知手段により検知された温度と前記状態検知手段により検知された前記蓄電池設備室内の状態とに基づいて、前記蓄電池設備室における火災を消火するように前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御する消火動作制御手段と、
中央管理室に設けられている監視モニタが表示する前記畜電池ユニットの映像を撮影する監視カメラと、
を備えることを特徴とする消火システム。
【請求項2】
前記状態検知手段が、前記蓄電池設備室内における煙を感知して火災を検知する煙感知器からなることを特徴とする請求項1に記載の消火システム。
【請求項3】
前記温度検知手段が、前記蓄電池の温度が所定の閾値を超えているか否かを検知するための温度センサからなることを特徴とする請求項2に記載の消火システム。
【請求項4】
前記所定の閾値が、第1の閾値と、前記第1の閾値より大きい第2の閾値からなることを特徴とする請求項3に記載の消火システム。
【請求項5】
前記温度センサが第2の閾値を越えた値を検知した場合にのみ、前記消火動作制御手段が、前記消火薬剤を前記蓄電池設備室内へ放出するように前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の消火システム。
【請求項6】
表示手段をさらに有し、前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知していない状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えた値を検知した場合、前記表示手段に、所定の異常表示がなされることを特徴とする請求項5に記載の消火システム。
【請求項7】
前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知している状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えない値を検知した場合、前記表示手段に、第1の注意表示がなされることを特徴とする請求項6に記載の消火システム。
【請求項8】
前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知している状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えた値を検知した場合、前記表示手段に、第2の注意表示がなされることを特徴とする請求項7に記載の消火システム。
【請求項9】
前記第1の注意表示が発煙注意との注意表示からなり、前記第2の注意表示がベントガス感知との注意表示からなることを特徴とする請求項8に記載の消火システム。
【請求項10】
前記温度検知手段が、前記第2の閾値を超えた温度を検知した場合であって、さらに、前記監視カメラと前記監視モニタとを用いた確認動作がされた後に、前記消火薬剤貯蔵放出手段が前記消火薬剤を前記蓄電池設備室内へ放出するように、前記消火動作制御手段が前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の消火システム。
【請求項11】
前記監視カメラと前記監視モニタとを用いた確認動作は、前記監視モニタを見た管理者が手動起動信号を前記消火動作制御手段に送ることでされるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の消火システム。
【請求項12】
蓄電池を備えた複数の畜電池ユニットを内部に備えて外部に電力を供給する蓄電池設備室における火災を検知して消火するために、前記蓄電池の温度を検知する温度検知手段と、前記蓄電池設備室内の状態を検知する状態検知手段と、消火薬剤を前記蓄電池設備室内へ放出する消火薬剤貯蔵放出手段と、前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御する消火動作制御手段と、中央管理室に設けられている監視モニタが表示する前記畜電池ユニットの映像を撮影する監視カメラと、を有する消火システムの消火方法であって、
前記温度検知手段により前記蓄電池の温度を検知する工程と、
前記状態検知手段により前記蓄電池設備室内の状態を検知する工程と、
前記消火動作制御手段により、前記温度検知手段により検知された温度と前記状態検知手段により検知された前記蓄電池設備室内の状態とに基づいて、前記蓄電池設備室における火災を消火するように前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御する工程と、
を有することを特徴とする消火方法。
【請求項13】
前記状態検知手段が、前記蓄電池設備室内における煙を感知して火災を検知する煙感知器からなり、前記温度検知手段が、前記蓄電池の温度が所定の閾値を超えているか否かを検知するための温度センサからなり、前記所定の閾値が、第1の閾値と、前記第1の閾値より大きい第2の閾値からなり、前記温度センサが第2の閾値を越えた値を検知した場合であって、さらに、前記監視カメラと前記監視モニタとを用いた確認動作がされた後に、前記消火薬剤貯蔵放出手段が前記消火薬剤を前記蓄電池設備室内へ放出するように、前記消火動作制御手段が前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御することを特徴とする請求項12に記載の消火方法。
【請求項14】
前記監視カメラと前記監視モニタとを用いた確認動作は、前記監視モニタを見た管理者が手動起動信号を前記消火動作制御手段に送ることでされるように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の消火方法。
【請求項15】
前記消火システムが、表示手段をさらに有し、前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知していない状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えた値を検知した場合、前記表示手段に、所定の異常表示がなされ、前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知している状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えない値を検知した場合、前記表示手段に、第1の注意表示がなされ、前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知している状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えた値を検知した場合、前記表示手段に、第2の注意表示がなされることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の消火方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池等の蓄電池ユニットを複数備えて外部に電力を供給する蓄電池設備室における火災を消火するための消火システムおよび消火方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池等の蓄電池ユニットを複数備えて外部に電力を供給する蓄電池設備室では、蓄電池設備室の天井に煙感知器等の感知器を設置し、電池から出火した時の煙によって火災発生を感知し、消火動作を行う消火システムが備えられる。
【0003】
そこでは、警備員等の人員を常時配置して、感知器の火災信号や監視カメラ画像等から人間が火災かどうかを判断し、手動で消火薬剤を放出し、又は警備員等が火災信号のあった区画に直接消火器等を持って行き、初期消火に当たる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-198962号公報
【特許文献2】特開2020-205717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来の蓄電池設備室の消火システムでは、警備員等の人員を常時配置する必要があり、高コストになっている。
【0006】
また、リチウムイオン(Li-ion)電池を用いた蓄電池設備室では、熱暴走等の火災の危険が高まった場合、電池内部の可燃性ガスが蓄積したり爆発したりするのを防ぐためベント機能を備えている。
【0007】
従来の煙感知器ではこのベントで電池内部から蓄電池設備室へ放出された可燃性ガスを火災による煙と誤認しやすく、誤発報や誤放射等の誤動作の可能性がある。
【0008】
また、従来の蓄電池設備室では、消火の際に電気設備用にも漏電の恐れが無いガス消火設備が最も適しているので、ガス消火設備が設けられる。
【0009】
しかしながら、消火器による初期消火や現場確認のため人員が火災現場に近づく可能性が高く、消火薬剤としてのガスは二酸化炭素のように人体にも窒息や中毒等の悪影響が有る場合もあり、消火ガス放出前には人員の避難が必要となる。
【0010】
そのため、警備員等が火災現場に人員がいないことを確認したりしており、そのため、消火設備が消火薬剤を放出するまでに時間が掛かりやすく、結果として消火設備の初期消火成功率を下げる要因となる。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、誤報・誤作動を減らしつつ素早くかつ適格に火災に対応できる消火システムおよび消火方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、蓄電池を備えた複数の畜電池ユニットを内部に備えて外部に電力を供給する蓄電池設備室における火災を検知して消火する消火システムであって、前記蓄電池の温度を検知する温度検知手段と、前記蓄電池設備室内の状態を検知する状態検知手段と、消火薬剤を前記蓄電池設備室内へ放出する消火薬剤貯蔵放出手段と、前記温度検知手段により検知された温度と前記状態検知手段により検知された前記蓄電池設備室内の状態とに基づいて、前記蓄電池設備室における火災を消火するように前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御する消火動作制御手段と、中央管理室に設けられている監視モニタが表示する前記畜電池ユニットの映像を撮影する監視カメラと、を備える消火システムである。
【0013】
第2の発明は、前記状態検知手段が、前記蓄電池設備室内における煙を感知して火災を検知する煙感知器からなる第1の発明に記載の消火システムであるである。
【0014】
第3の発明は、前記温度検知手段が、前記蓄電池の温度が所定の閾値を超えているか否かを検知するための温度センサからなる第2の発明に記載の消火システムである。
【0015】
第4の発明は、前記所定の閾値が、第1の閾値と、前記第1の閾値より大きい第2の閾値からなる第3の発明に記載の消火システムである。
【0016】
第5の発明は、前記温度センサが第2の閾値を越えた値を検知した場合にのみ、前記消火動作制御手段が、前記消火薬剤を前記蓄電池設備室内へ放出するように前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御する第4の発明に記載の消火システムである。
【0017】
第6の発明は、表示手段をさらに有し、前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知していない状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えた値を検知した場合、前記表示手段に、所定の異常表示がなされる第5の発明に記載の消火システム。
【0018】
第7の発明は、前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知している状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えない値を検知した場合、前記表示手段に、第1の注意表示がなされる第6の発明に記載の消火システムである。
【0019】
第8の発明は、前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知している状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えた値を検知した場合、前記表示手段に、第2の注意表示がなされる第7の発明に記載の消火システムである。
【0020】
第9の発明は、前記第1の注意表示が発煙注意との注意表示からなり、前記第2の注意表示がベントガス感知との注意表示からなる第8の発明に記載の消火システムである。
【0021】
第10の発明は、前記温度検知手段が、前記第2の閾値を超えた温度を検知した場合であって、さらに、前記監視カメラと前記監視モニタとを用いた確認動作がされた後に、前記消火薬剤貯蔵放出手段が前記消火薬剤を前記蓄電池設備室内へ放出するように、前記消火動作制御手段が前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御する第4の発明に記載の消火システムである。
【0022】
第11の発明は、前記監視カメラと前記監視モニタとを用いた確認動作は、前記監視モニタを見た管理者が手動起動信号を前記消火動作制御手段に送ることでされるように構成されている第10の発明に記載の消火システムである。
【0023】
第12の発明は、蓄電池を備えた複数の畜電池ユニットを内部に備えて外部に電力を供給する蓄電池設備室における火災を検知して消火するために、前記蓄電池の温度を検知する温度検知手段と、前記蓄電池設備室内の状態を検知する状態検知手段と、消火薬剤を前記蓄電池設備室内へ放出する消火薬剤貯蔵放出手段と、前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御する消火動作制御手段と、中央管理室に設けられている監視モニタが表示する前記畜電池ユニットの映像を撮影する監視カメラと、を有する消火システムの消火方法であって、前記温度検知手段により前記蓄電池の温度を検知する工程と、前記状態検知手段により前記蓄電池設備室内の状態を検知する工程と、前記消火動作制御手段により、前記温度検知手段により検知された温度と前記状態検知手段により検知された前記蓄電池設備室内の状態とに基づいて、前記蓄電池設備室における火災を消火するように前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御する工程と、を有する消火方法である。
【0024】
第13発明は、前記状態検知手段が、前記蓄電池設備室内における煙を感知して火災を検知する煙感知器からなり、前記温度検知手段が、前記蓄電池の温度が所定の閾値を超えているか否かを検知するための温度センサからなり、前記所定の閾値が、第1の閾値と、前記第1の閾値より大きい第2の閾値からなり、前記温度センサが第2の閾値を越えた値を検知した場合であって、さらに、前記監視カメラと前記監視モニタとを用いた確認動作がされた後に、前記消火薬剤貯蔵放出手段が前記消火薬剤を前記蓄電池設備室内へ放出するように、前記消火動作制御手段が前記消火薬剤貯蔵放出手段を制御する第12の発明に記載の消火方法である。
【0025】
第14の発明は、前記監視カメラと前記監視モニタとを用いた確認動作は、前記監視モニタを見た管理者が手動起動信号を前記消火動作制御手段に送ることでされるように構成されている第13の発明に記載の消火方法である。
【0026】
第15の発明は、前記消火システムが、表示手段をさらに有し、前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知していない状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えた値を検知した場合、前記表示手段に、所定の異常表示がなされ、前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知している状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えない値を検知した場合、前記表示手段に、第1の注意表示がなされ、前記煙感知器が前記蓄電池設備室内における煙を感知している状態で、前記温度センサが第1の閾値を越えた値を検知した場合、前記表示手段に、第2の注意表示がなされる第13の発明または第14の発明に記載の消火方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、誤報・誤作動を減らしつつ素早くかつ適格に火災に対応できる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る消火システムの一実施形態を設置する蓄電池設備室の概略構成図である。
【
図2】
図1に示した蓄電池設備室3の概略構成図である。
【
図3】蓄電池ユニット1および蓄電池制御盤11の構成ブロック図である。
【
図4】中央管理室5の消火装置制御盤17の構成ブロック図である。
【
図5】
図1に示した消火システム21による消火方法のフローチャートである。
【
図6】蓄電池設備室の消火システム21の動作マトリックス図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
本願発明の特徴は、煙感知器の火災信号だけではなく蓄電池の温度情報も火災判定に使用することである。
【0031】
これにより、誤報・誤作動を減らしつつ素早くかつ適格に火災に対応できるようになる。
【0032】
図1は、本発明に係る消火システムの一実施形態を設置する蓄電池設備室の概略構成図である。
【0033】
図1に示すように、二次電池等の蓄電池ユニット1を複数備えて外部に電力を供給する蓄電池設備室3と、その蓄電池設備室3における火災を検知して消火するための消火システムの中央管理室5とが設けられ、蓄電池設備室3と中央管理室5との間に、消火薬剤貯蔵放出装置(消火薬剤貯蔵放出手段)7が備えられている。
【0034】
蓄電池設備室3には、蓄電池ユニット1と監視カメラ8と温度センサ(温度検出手段)9と蓄電池制御盤11と自動閉鎖装置13と煙感知器(状態検知手段)15とが設けられる。
【0035】
蓄電池制御盤11は、蓄電池ユニット1の充放電制御を行うと共に、畜電池1a内部に蓄積した可燃性ガスを蓄電池設備室3の外部へ逃がすベント機能を制御する。
【0036】
中央管理室5には、消火装置制御盤(消火動作制御手段)17と監視モニタ18とが設けられる。
【0037】
この消火システムの一実施形態では、消火システム21としては、
図1に示すように、中央管理室5、消火薬剤貯蔵放出装置7、監視カメラ8、温度センサ9、蓄電池制御盤11、自動閉鎖装置13、および煙感知器15が含まれる。
【0038】
蓄電池設備室3と中央管理室5とは、通常、建物内に有り、別々の建物内にあっても良いし、1つの建物内にあっても良い。
【0039】
図2は、
図1に示した蓄電池設備室3の概略構成図である。
【0040】
図2に示すように、蓄電池設備室3では、複数の(この実施形態の場合2つ)蓄電池ユニット1にそれぞれ蓄電池制御盤11が接続されており、それぞれの蓄電池制御盤11に、中央管理室5の消火装置制御盤17が接続されている。
【0041】
消火薬剤貯蔵放出装置7は消火装置制御盤17に接続され、消火装置制御盤17よりの消火制御信号に基づいて消火薬剤貯蔵放出装置7の消火薬剤は、蓄電池設備室3内の薬剤放出口19より蓄電池設備室3内へ放出される。
【0042】
ここで、消火薬剤としては、二酸化炭素、窒素、IG-55、IG-541やハロゲン化物ガスが使用される。また、消火ガスは放出時の圧力降下により冷却効果も得られるため、蓄電池1aを冷却し熱暴走を未然に防ぐ役割をもはたす。
【0043】
また、蓄電池設備室3では、畜電池1a内部に蓄積した可燃性ガスを蓄電池設備室3の外部へ逃がすベント機能が備わっている。
【0044】
図3は、蓄電池ユニット1および蓄電池制御盤11の構成ブロック図である。
【0045】
図3に示すように、蓄電池ユニット1には複数の蓄電池1aが備えられ、各蓄電池1aには温度センサ9が設けられ、各温度センサ9には、測定値出力装置23が接続され、各温度センサ9よりの温度信号が入力される。
【0046】
蓄電池制御盤11は、第1の制御部25を有しており、第1の制御部25には、充放電制御装置27、第1の信号出力装置29、表示機器(表示手段)31が接続される。
【0047】
第1の制御部25には、蓄電池ユニット1の測定値出力装置23の測定値出力が入力され、第1の制御部25よりの制御信号が、充放電制御装置27、信号出力装置29、表示装置31へ出力され、第1の制御部25により、蓄電池ユニット1の充放電制御が行われると共に、畜電池1a内部に蓄積した可燃性ガスを蓄電池設備室3の外部へ逃がすベント機能が制御される。
【0048】
第1の制御部25は、通常、CPU、RAM、ROM等により構成され、ROM内に記憶された制御プログラムに基づいて制御信号を出力する。
【0049】
充放電制御装置27からは、充放電指令信号が蓄電池ユニット1へ送られ、第1の信号出力装置29からは、電池異常信号が消火装置制御盤17へ送られる。
【0050】
図4は、中央管理室5の消火装置制御盤17の構成ブロック図である。
【0051】
図4に示すように、消火装置制御盤17は、第2の制御部(消火動作制御手段)33を有しており、第2の制御部33には、煙感知器15、蓄電池制御盤11が接続される。
【0052】
さらに、第2の制御部33は、監視モニタ18を見ている管理者35(
図1参照)よりの手動緊急停止信号や手動起動信号を受け取るようになっている。
【0053】
第2の制御部33により、
図5のフローチャートにより以下に説明するような表示動作や消火動作が行われる。
【0054】
第2の制御部33も、通常、CPU、RAM、ROM等により構成され、ROM内に記憶された制御プログラムに基づいて制御信号を出力する。
【0055】
消火装置制御盤17は、さらに、第2の制御部33に接続された第2の信号出力装置36、第1の音響装置37、第1の表示装置(表示手段)39を有している。
【0056】
第2の信号出力装置36は、自動閉鎖装置13の自動閉鎖部41、第2の音響装置43、第2の表示装置45が接続されると共に、消火薬剤貯蔵放出装置7の起動装置47が接続される。
【0057】
消火薬剤貯蔵放出装置7において、起動装置47には、消火薬剤貯蔵容器49の容器弁51が接続される。
【0058】
また、消火装置制御盤17には、第2の制御部33に接続された緊急停止装置40が設けられ、手動緊急停止信号により手動で消火装置の作動を停止できるようになっている。
【0059】
なお、この実施形態では、火災の検知に煙感知器15を用いていたが、熱感知器でも良いし、煙感知器と熱感知器とを併用しても良い。
【0060】
また、この実施形態では、蓄電池ユニット1において熱暴走等の火災の危険が高まった場合、畜電池1a内部の可燃性ガスが蓄積したり爆発したりするのを防ぐため、その蓄積した可燃性ガスを蓄電池設備室3の外部へ逃すベント機能(図示省略)を備えている。
【0061】
また、この実施形態では、煙感知器15よりの火災信号を受けて消火装置制御盤17が消火動作を行う場合に、火災信号を一定時間保持したり、煙感知器15からの火災信号が入った場合に一度感知器をリセットし、2度目の信号で警報を発したりする蓄積機能を有している。これは、誤動作防止のための機能となる。
【0062】
図5は、
図1に示した消火システム21による消火方法のフローチャートである。
【0063】
図6は、蓄電池設備室の消火システムの動作マトリックス図である。
【0064】
図5のステップ101において、蓄電池設備室3において蓄電池ユニット1が通常動作をしている場合に、
図1に示した蓄電池設備室3の消火システムによる監視状態が始動すると、ステップ103において、煙感知器15よりの火災信号があるか否かが判定される。
【0065】
すなわち、蓄電池設備室3内の状態を検知する状態検知手段である煙感知器15よりの動作信号が消火装置制御盤17の第2の制御部33へ入力され、第2の制御部33により、煙感知器15よりの火災信号があるか否かが判定される。
【0066】
ステップ103において煙感知器15よりの火災信号がない場合、ステップ105において、蓄電池ユニット1の温度が検出され、蓄電池ユニット1の温度が所定の第1の閾値あるいは所定の第2の閾値を越えているか否かが判定される。
【0067】
すなわち、蓄電池ユニット1の各蓄電池1aに設けられた温度センサ9により、各蓄電池1aの温度が検出され、その検出された温度情報が測定値出力装置23を介して、蓄電池制御盤11の第1の制御部25へ入力され、その温度情報が消火装置制御盤17の第2の制御部33へ転送される。
【0068】
そして、第2の制御部33により、第1の制御部25よりの温度情報が第1の閾値あるいは第1の閾値より大きい第2の閾値を越えているか否かが判定される。
【0069】
ここで、上記第1の閾値は、蓄電池1aにおいて負荷を無くせば冷却可能だが過負荷と思われる温度が設定される。第1の閾値は、150°Cから200°Cの範囲内より選択され、この実施形態では、約200°Cに設定される。
【0070】
上記第2の閾値は、蓄電池1aにおいて負荷を無くしても冷却を見込めないと思われる温度が設定される。第2の閾値は、250°Cから400°Cの範囲内より選択され、この実施形態では、約400°Cに設定される。
【0071】
上記ステップ105において蓄電池ユニット1の温度が所定の第1の閾値を越えていると判定された場合、ステップ107において、
図6のAに示すように、各蓄電池1aの電池寿命あるいは故障と判定される。
【0072】
すなわち、第2の制御部33により、第1の制御部25よりの温度情報が第1の閾値を越えていると判定されると、第2の制御部33は、各蓄電池1aの電池寿命あるいは故障と判定し、火災の危険性は低いと判定し、ステップ109において、消火動作は待機とされる。
【0073】
ここで、蓄電池制御盤11の第1の制御部25により、表示機器31には、所定の異常表示がなされる。この所定の異常表示は、例えば、「電池寿命あるいは電池故障」との表示となる。
【0074】
また、ここで、第1の制御部25よりの温度情報に、各蓄電池1aのアドレスを設定するようにすれば、消火設備制御盤17から異常のあった蓄電池の位置を素早く知ることができ、現地確認の迅速化と共に消火剤放射までに掛かる時間を短縮できる。
【0075】
上記ステップ103において煙感知器15よりの火災信号がない場合において、上記ステップ105において蓄電池ユニット1の温度が所定の第2の閾値を越えていると判定された場合、
図6のBに示すように、ステップ111において、火災発生と判定され、ステップ112において、監視カメラ8による確認動作が行われ、ステップ113において、消火動作が起動される。
【0076】
すなわち、消火装置制御盤17の第2の制御部33により、第1の制御部25よりの温度情報が第2の閾値を越えていると判定されると、煙感知器15よりの火災信号がない場合においても、監視カメラ8による確認動作が行われた後に、第2の制御部33は、火災発生と判定して消火動作を開始する。
【0077】
確認動作としては、
図1に示すように、監視カメラ8による蓄電池ユニット1の映像信号が、蓄電池制御盤11を介して消火装置制御盤17へ送られ、中央管理室5内において、消火装置制御盤17により監視モニタ18に表示され、その表示された蓄電池ユニット1の映像を中央管理室5内の管理者35が見て確認する。
【0078】
消火動作としては、第2の制御部33により、第1の音響装置37および第1の表示装置(表示手段)39が制御され、音声および視覚により火災報知がなされると共に、消火薬剤貯蔵放出装置7が制御され、消火薬剤が消火薬剤放出口19より、蓄電池ユニット1へ放出される。
【0079】
すなわち、第2の制御部33の制御信号に基づいて、
図4における自動閉鎖装置13の自動閉鎖部41により蓄電池設備室3が閉鎖され、第2の音響装置43および第2の表示装置(表示手段)45により火災やガス放射が報知される。蓄電池設備室3の閉鎖が完了してから、第2の制御部33の制御信号に基づいて、
図4における消火薬剤貯蔵放出装置7の起動装置47が起動され、起動装置47により容器弁51が開かれ、消火薬剤貯蔵容器49より、消火薬剤が、消火薬剤放出口19を介して蓄電池ユニット1へ放出される。
【0080】
また、上記ステップ113の消火動作に先だって、ステップ112において、監視カメラ8による管理者35の確認動作が行われるので、初期消火や現場確認のため警備員等が火災現場にいないか否かが確認でき、安全が確保できる。
【0081】
すなわち、監視カメラ8による確認動作において防護区画内の火災現場に警備員等が確認された場合や、明らかに誤報であると判断できる場合、管理者35は、消火装置制御盤17へ手動緊急停止信号を入力して緊急停止装置40を作動して消火動作に移らないようにする。
【0082】
すなわち、緊急停止装置40が作動すると、緊急停止信号が、緊急停止装置40から第2の信号出力装置36を介して消火薬剤貯蔵放出装置7側へ送られ、起動装置47の起動動作が停止されることにより容器弁51が閉じられ、消火薬剤貯蔵容器49よりの消火薬剤の放出が停止される。
【0083】
なお、緊急停止装置40は誤って操作しにくいように、動作を停止する旨の表示と誤操作防止措置を施すようにしても良い。
【0084】
また、監視カメラ8による管理者35の確認動作を行うことにより、以下のような効果も得られる。
【0085】
すなわち、従来では、火災現場に人員がいないことを確かめため、消火設備が消火薬剤を放出するまでに時間が掛かりやすく、結果として消火設備の初期消火成功率を下げていたが、中央管理室5内の監視モニタ18により管理者35の確認動作を行っているため、確認動作が敏速に行え、消火設備が消火薬剤を放出するまでにかかる時間を短くできる。
【0086】
また、この場合の消火動作は、煙感知器15よりの火災信号がない場合に行われる。
【0087】
従って、煙感知器15よりの火災信号を受けて消火装置制御盤17が消火動作を行う場合に生じる蓄積機能による遅延もなく、速やかな消火動作を行える。
【0088】
なお、上記ステップ105において蓄電池ユニット1の温度が所定の第1の閾値を越えていないと判定された場合には監視状態が維持される。
【0089】
次に、上記ステップ103において煙感知器15が作動して煙感知器15よりの火災信号がある場合、上記ステップ105と同様に、ステップ115において、蓄電池ユニット1の温度が検出され、蓄電池ユニット1の温度が所定の第1の閾値あるいは所定の第2の閾値を越えているか否かが判定される。
【0090】
すなわち、蓄電池ユニット1の各蓄電池1aに設けられた温度センサ9により、各蓄電池1aの温度が検出され、その検出された温度情報が測定値出力装置23を介して、蓄電池制御盤11の第1の制御部25へ入力され、その温度情報が第2の制御部33へ転送される。
【0091】
そして、第2の制御部33により、第1の制御部25よりの温度情報が第1の閾値あるいは所定の第2の閾値を越えているか否かが判定される。
【0092】
ここで、上記第1の閾値は、蓄電池1aにおいて負荷を無くせば冷却可能だが過負荷と思われる温度が設定される。第1の閾値は、150°Cから200°Cの範囲内より選択され、この実施形態では、約200°Cに設定される。
【0093】
上記第2の閾値は、蓄電池1aにおいて負荷を無くしても冷却を見込めないと思われる温度が設定される。第2の閾値は、250°Cから400°Cの範囲内より選択され、この実施形態では、約400°Cに設定される。
【0094】
上記ステップ115において蓄電池ユニット1の温度が所定の第1の閾値を越えていないと判定された場合、
図6のCに示すように、ステップ117において、第1の注意表示がなされる。
【0095】
すなわち、煙感知器15よりの火災信号を入力した消火装置制御盤17の第2の制御部33により、第1の表示装置(表示手段)39に第1の注意表示がなされる。この第1の注意表示所は、例えば、「発煙注意」との表示となる。
【0096】
上記ステップ103において煙感知器15が作動して煙感知器15よりの火災信号があり、上記ステップ115において蓄電池ユニット1の温度が所定の第1の閾値を越えていると判定された場合、ステップ118において、畜電池1a内部に蓄積した可燃性ガスを蓄電池設備室3内へ逃がすベント動作を想定し、
図6のDに示すように、ステップ119において、煙感知器15がベントガスを感知している状況と判定され、第2の注意表示がなされる。
【0097】
すなわち、煙感知器15よりの火災信号を入力した消火装置制御盤17の第2の制御部33により、第1の表示装置(表示手段)39にベントガスが感知されている状況を示す第2の注意表示がなされる。この第2の注意表示は、例えば、「ベントガス感知」との表示となる。
【0098】
これは、煙感知器15が作動して煙感知器15よりの火災信号があっても、第1の制御部25よりの温度情報が第1の閾値と第2の閾値との間にある場合、煙感知器15により感知されたものは、火災による煙ではなく、ベント動作により畜電池1aから蓄電池設備室3内へ放出されたガスと想定されるからである。
【0099】
この第2の注意表示により、ベント機能により畜電池1a内部に蓄積した可燃性ガスを蓄電池設備室3内へ逃している状況が確実に表示される。
【0100】
そして、この段階では、火災発生と判定されず、消火動作も起動されない。
【0101】
従って、従来のように、煙感知器でこのベントで放出された可燃性ガスを火災による煙と誤認して誤発報や誤放射等の誤動作をしたりすることが無くなる。
【0102】
上記ステップ103において煙感知器15が作動して煙感知器15よりの火災信号があり、上記ステップ115において蓄電池ユニット1の温度が所定の第2の閾値を越えていると判定された場合、
図6のEに示すように、ステップ111において、火災発生と判定され、ステップ112において、監視カメラ8による確認動作が行われ、ステップ113において、消火動作が起動される。
【0103】
すなわち、消火装置制御盤17の第2の制御部33により、第1の制御部25よりの温度情報が第2の閾値を越えていると判定されると、煙感知器15よりの火災信号がない場合においても、監視カメラ8による確認動作が行われた後に、第2の制御部33は、火災発生と判定して消火動作を開始する。
【0104】
確認動作としては、
図1に示すように、監視カメラ8による蓄電池ユニット1の映像信号が、蓄電池制御盤11を介して消火装置制御盤17へ送られ、中央管理室5内において、消火装置制御盤17により監視モニタ18に表示され、その表示された蓄電池ユニット1の映像を中央管理室5内の管理者35が見て確認する。
【0105】
消火動作としては、第2の制御部33により、第1の音響装置37および第1の表示装置(表示手段)39が制御され、音声および視覚により火災報知がなされると共に、消火薬剤貯蔵放出装置7が制御され、消火薬剤が消火薬剤放出口19より、蓄電池ユニット1へ放出される。
【0106】
すなわち、第2の制御部33の制御信号に基づいて、
図4における自動閉鎖装置13の自動閉鎖部41により蓄電池設備室3が閉鎖され、第2の音響装置43および第2の表示装置(表示手段)45により火災やガス放射が報知される。蓄電池設備室3の閉鎖が完了してから、第2の制御部33の制御信号に基づいて、
図4における消火薬剤貯蔵放出装置7の起動装置47が起動され、起動装置47により容器弁51が開かれ、消火薬剤貯蔵容器49より、消火薬剤が、消火薬剤放出口19を介して蓄電池ユニット1へ放出される。
【0107】
また、上記ステップ113の消火動作に先だって、ステップ112において、監視カメラ8による管理者35の確認動作が行われので、初期消火や現場確認のため警備員等が火災現場にいないか否かが確認でき、安全が確保できる。
【0108】
すなわち、監視カメラ8による確認動作において防護区画内の火災現場に警備員等が確認された場合や、明らかに誤報であると判断できる場合、管理者35は、消火装置制御盤17へ手動緊急停止信号を入力して緊急停止装置40を作動して消火動作に移らないようにする。
【0109】
なお、緊急停止装置40は誤って操作しにくいように、動作を停止する旨の表示と誤操作防止措置を施すようにしても良い。
【0110】
また、監視カメラ8による管理者35の確認動作を行うことにより、以下のような効果も得られる。
【0111】
すなわち、従来では、火災現場に人員がいないことを確かめため、消火設備が消火薬剤を放出するまでに時間が掛かりやすく、結果として消火設備の初期消火成功率を下げていたが、中央管理室5内の監視モニタ18により管理者35の確認動作を行っているため、確認動作が敏速に行え、消火設備が消火薬剤を放出するまでにかかる時間を短くできる。
【0112】
また、この場合の消火動作は、煙感知器15よりの火災信号がない場合に行われる。
【0113】
従って、煙感知器15よりの火災信号を受けて消火装置制御盤17が消火動作を行う場合に生じる蓄積機能による遅延もなく、速やかな消火動作を行える。
【0114】
なお、
図6のEに示す状態の場合、煙感知器15のリセットは行わない。
【0115】
煙感知器15は、一定時間後にリセットされ、状態確認を行うようになっている。
【0116】
すなわち、煙感知器15からの火災信号が入った場合に一度感知器をリセットし、2度目の信号で警報を発したりする蓄積機能を有している。これは、誤動作防止のための機能となる。
【0117】
図6の右端の欄は、煙感知器15のリセット状態を示している。
【0118】
すなわち、第1の閾値を超えない場合においては、
図6のFに示すように、リセット後に不作動の場合、監視状態に戻り、
図6のGに示すように、リセット後に再作動の場合、蓄電池以外の火元や計測機器の故障を想定して火災発生と判定し消火動作を開始する。
【0119】
また、第1の閾値を超える場合においては、
図6のHに示すように、リセット後に不作動の場合、監視状態に戻り、
図6のIに示すように、リセット後に再作動の場合、第2の注意表示が継続する。
【0120】
以上、本発明の実施形態によれば、蓄電池ユニット1の各蓄電池1aに設けられた温度センサ9よりの温度信号および煙感知器15よりの火災信号を総合的に判断して、所定の注意表示や火災表示および消火動作を行うようにしている。
【0121】
すなわち、煙感知器のみの火災信号だけではなく蓄電池制御盤の温度信号も火災判定に使用するようにしている。
【0122】
そのため、誤報・誤作動を減らしつつ素早くかつ適格に火災に対応できるようになる。
【0123】
本発明は、蓄電池設備室の天井が高い場合に適用することにより、感知器が火災を感知するまでに時間が掛かる場合にも、感知器の作動よりも比較的早い段階で消火装置を作動させることが出来るようになる。
【0124】
蓄電池設備室3は建屋に蓄電池ユニット1を収納する形態ではなくてもよい。例えば、蓄電池ユニット1を覆う屋外のキャビネットである場合、ステップ112の監視カメラ8による確認を行うことなく、ステップ113の消火動作に進んでもよい。もしくは、蓄電池設備室内に人員がいないことが明らかな場合も、ステップ112の監視カメラによる確認を行うことなく、ステップ113の消火動作に進んでもよい。
【0125】
また、消火薬剤がIG-541のように蓄電池設備室3内に放出されても室内に居る人員の呼吸が可能な場合も、ステップ112の監視カメラ8による確認を行うことなく、ステップ113の消火動作に進んでもよい。
【0126】
蓄電池設備室3が蓄電池ユニット1を覆う屋外のキャビネットである場合、監視カメラ8はキャビネットを外から監視するように配置し、その表示されたキャビネットの映像を中央管理室5内の管理者35が見て確認してもよい。
【0127】
蓄電池ユニット1の蓄電池は、リチウムイオン電池を含む大容積大容量の二次電池であってよく、同様の消火装置、消火システム、消火方法を適用することができる。
【0128】
本発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な訂正を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【符号の説明】
【0129】
1…蓄電池ユニット
3…蓄電池設備室
5…中央管理室
7…消火薬剤貯蔵放出装置(消火薬剤貯蔵放出手段)
8…監視カメラ
9…温度センサ(温度検出手段)
11…蓄電池制御盤
13…自動閉鎖装置
15…煙感知器(状態検知手段)
17…消火装置制御盤(消火動作制御手段)
18…監視モニタ
21…消火システム
23…測定値出力装置
25…第1の制御部
27…充放電制御装置
29…第1の信号出力装置
31…表示機器
33…第2の制御部
35…管理者
36…第2の信号出力装置
37…第1の音響装置
39…第1の表示装置
41…自動閉鎖部
43…第2の音響装置
45…第2の表示装置
47…起動装置
49…消火薬剤貯蔵容器
51…容器弁