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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177262
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20241212BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20241212BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
G06F1/16 312G
G02F1/1333
G09F9/00 302
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024171911
(22)【出願日】2024-10-01
(62)【分割の表示】P 2022062208の分割
【原出願日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2021202951
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】結城 光司
(72)【発明者】
【氏名】江口 裕紀
(57)【要約】
【課題】表示部を好適に支持する。
【解決手段】関数電卓1は、液晶ディスプレイ2と、液晶ディスプレイ2の背面を支持する保護パネル3とを備えている。保護パネル3は、液晶ディスプレイ2とは反対側の主面に立設された複数のリブ30と、当該複数のリブ30に囲まれた複数の凹部35とを有している。複数の凹部35は、大きさが不均一のものを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部の背面を支持する支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、前記表示部とは反対側の主面に立設された複数のリブと、当該複数のリブに囲まれた複数の凹部と、を有し、
前記複数の凹部は、大きさが不均一のものを含む、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記複数の凹部のうち、前記表示部の長手方向の中央付近に配置される複数の凹部は、前記長手方向の両端付近に配置される複数の凹部と比較して粗に分配される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記複数のリブは、前記表示部の短手方向に対応した第1方向に対して斜めに延在する複数の第1リブを含み、
前記複数の第1リブは、前記第1方向に対して非対称に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記複数の第1リブは、前記短手方向と直交する前記表示部の長手方向に対応する第2方向に対して対称に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記複数のリブは、前記短手方向と直交する前記表示部の長手方向に対応する第2方向に平行な複数の第2リブを含み、
前記複数の凹部は、前記複数の第1リブと前記複数の第2リブとで画成されるものを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記支持部材は、樹脂が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記表示部は、短手方向の一方側であって長手方向の中央部にコネクタ部を有し、
前記コネクタ部は、前記表示部の本体部よりも前記支持部材から離間しており、
前記複数のリブは、前記長手方向に対応する第2方向に平行な複数の第2リブを含み、
前記複数の第2リブは、前記コネクタ部に対応する部分と、前記本体部に対応する部分とが、前記長手方向に同じ長さを有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記表示部は、短手方向の一方側であって長手方向の中央部にコネクタ部を有し、
前記コネクタ部は、前記表示部の本体部よりも前記支持部材から離間しており、
前記複数のリブは、前記長手方向に対応する第2方向に平行な複数の第2リブを含み、
前記複数の第2リブのうち、前記コネクタ部に対応する部分は、前記本体部に対応する部分よりも前記長手方向に短い、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項9】
前記支持部材は、前記コネクタ部に対応する部分のうち、前記長手方向のいずれか少なくとも一方側に、線材を係止するためのフックを備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記複数のリブの各々は、トポロジー解析の結果に基づいて配置される、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、関数電卓等の電子機器において、液晶ディスプレイの背面にこれを支持する保護パネルを配置する場合がある。この種の保護パネルとしては、アルミ製のものも好適に用いられるが、軽量化を図る上では樹脂製のものがより好ましい。
【0003】
樹脂製の保護パネルでは、軽量化を図りつつ強度(剛性)を向上させる目的で、背面にリブを設ける場合がある。このようなリブとしては、例えば特許文献1、2に示すように、ハニカム形状やひし形等の一様なパターン状のものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-10414号公報
【特許文献2】特開平9-62400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一様なパターン状のリブでは、保護パネル上に不均一に分布する負荷に好適に対応しているとは言い難い。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、液晶ディスプレイ等の表示部を好適に支持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、電子機器であって、
表示部と、
前記表示部の背面を支持する支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、前記表示部とは反対側の主面に立設された複数のリブと、当該複数のリブに囲まれた複数の凹部と、を有し、
前記複数の凹部は、大きさが不均一のものを含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示部を好適に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る関数電卓の斜視図である。
図2】(a)は関数電卓の内部の上側半部を背面側から見た図であり、(b)は(a)のII-II線での断面図である。
図3】保護パネルの変形挙動解析結果を示す図である。
図4】トポロジー解析の設計荷重を示す図である。
図5】トポロジー解析の解析結果を示す図である。
図6】変形量解析の解析モデルを示す図である。
図7】液晶ディスプレイの変形量解析結果を示す図である。
図8】保護パネルの変形量解析結果を示す図である。
図9】保護パネル上に電池バネを配置する場合の関数電卓の内部を背面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図9を参照しつつ、本発明に係る電子機器の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る関数電卓1の斜視図であり、図2(a)は、関数電卓1の内部の上側半部を背面側から見た図であり、図2(b)は、図2(a)のII-II線での断面図である。
なお、以下の説明において、前後左右上下の各方向は各図に示した向きをいうものとする。つまり、前後方向は関数電卓1の正面-背面方向(厚さ方向)をいい、左右方向は関数電卓1の幅方向をいい、上下方向は関数電卓1の長手方向をいう。
【0011】
図1に示すように、関数電卓1は、本発明に係る電子機器の一例であり、上下方向に長尺な矩形板状に形成されている。関数電卓1は、正面(前面)を覆う正面ケース11と、背面(後面)を覆う背面ケース12とを備えている。正面ケース11には、各種情報が表示される液晶ディスプレイ2と、ユーザ操作を受ける複数の操作ボタン13とが配置されている。正面ケース11と背面ケース12は、前後方向に係合して関数電卓1の筐体を構成する。
【0012】
図2に示すように、正面ケース11と背面ケース12とで画成される筐体の内部には、液晶ディスプレイ2とその保護パネル3が収容されている。
液晶ディスプレイ2は、本発明に係る表示部の一例であり、関数電卓1の上下方向中央よりも上側に配置されている。液晶ディスプレイ2は、液晶本体21とコネクタ部22を有している。
【0013】
液晶本体21は、左右方向に長く上下方向に短い矩形板状に形成され、前面の表示面が正面ケース11を通じて関数電卓1の前方に露出している。
コネクタ部22は、液晶本体21を、制御回路が実装されたプリント基板41と電気的に接続するための液晶ディスプレイ2の端子部であり、液晶本体21の下側に設けられている。コネクタ部22は、その左右中央部に接続されたフレキシブル基板42を介して、液晶ディスプレイ2よりも下側に配置されたプリント基板41と電気的に接続されている。また、コネクタ部22は、液晶本体21の後面よりも前側に位置しており、保護パネル3からは離間している。
【0014】
保護パネル3は、本発明に係る支持部材の一例であり、液晶ディスプレイ2よりも一回り大きい矩形板状に形成されている。保護パネル3は、液晶ディスプレイ2の背面(後面)の略全面を覆うように配置され、図示しない両面テープにより液晶本体21の後面に取り付けられて液晶ディスプレイ2を支持している。また、本実施形態の保護パネル3は、樹脂で形成されている(樹脂が含まれる)。
【0015】
保護パネル3の後面のうち液晶ディスプレイ2に対応する部分は、剛性を高めた補強部Rとなっており、補強用の複数のリブ30が立設されている。本実施形態の補強部Rは、左右対称かつ上下非対称に形成されており、液晶本体21の位置に対応した第1補強部R1と、その下側の左右中央に設けられた第2補強部R2とを有している。
具体的に、複数のリブ30は、上下方向に対して斜めに延在する複数の第1リブ31と、左右方向に平行な複数の第2リブ32と、上下方向に平行な2本の第3リブ33とを含む。
【0016】
複数の第1リブ31は、本実施形態では4本が左右方向に対して対称に配置されている、つまり、液晶本体21の左右中央線Vに対して線対称形状に形成されている。複数の第1リブ31は、左右中央線Vに近いものほど上下方向に対する傾斜角度が小さく、上下に起立している。
また、複数の第1リブ31は、上下方向に対して非対称に配置されている。より詳しくは、各第1リブ31は、液晶本体21の上下中央線H上の位置を屈曲点として左右中央側に屈曲しており、上下中央線Hから離れるに連れて左右中央線Vに接近するように傾斜している。各第1リブ31は、屈曲点よりも上側と下側で互いに略同じ傾斜角度で延在しているものの、上下中央線Hから下端までの距離の方が上下中央線Hから上端までの距離よりも長い。そのため、各第1リブ31は上下非対称となっている。
【0017】
複数の第2リブ32は、本実施形態では6本が略均等間隔で上下に配列されている。ただし、下端の第2リブ32bの長さL3だけが、それ以外の第2リブ32aの長さ(L1、L2)の1/3程度に短く、左右中央に配置されて4本の第1リブ31の下端を連結している。
2本の第3リブ33は、第1補強部R1の左右両端に配置され、5本の第2リブ32aの左端及び右端をそれぞれ連結している。ただし、各第3リブ33の下端は、面取り状に屈曲して第2リブ32aと連結している。また、上から5番目の第2リブ32aのうち、左右両側の第1リブ31との交差部よりもやや左右外側には、上下にやや短い第3リブ33aが下側に延在されている。この第3リブ33aだけは一端(下端)が他のリブ30と連結していない。
補強部Rのうち、上端及び上から5番目の第2リブ32aと左右2本の第3リブ33とで閉塞された矩形部分が第1補強部R1となっており、それよりも下側の部分が第2補強部R2となっている。
【0018】
複数のリブ30が上述のように配列されることにより、保護パネル3の後面には複数のリブ30に囲まれた複数の凹部35が形成されている。すなわち、複数の凹部35は、複数の第1リブ31と複数の第2リブ32と2本の第3リブ33とで画成されている。
複数の凹部35は、大きさが不均一に形成されており、本実施形態では、液晶ディスプレイ2(液晶本体21)の左右中央線Vから遠いものほど大きさが概ね小さくなっている。より詳しくは、複数の凹部35のうち、液晶ディスプレイ2の長手方向の中央付近に配置される複数の凹部35が、長手方向の両端付近に配置される複数の凹部35と比較して、粗に分配されている。つまり、複数の凹部35は、左右中央側よりも左右両端側の方が密集するように配列されている。
なお、複数の凹部35は、大きさが不均一のもの(異なる大きさのもの)を含んでいればよく、同じ大きさのものを含んでいてもよい。
【0019】
保護パネル3のうち、下端部の左右両側(第2補強部R2の左右両側)には、複数のフック36と延出部37が設けられている。
複数のフック36は、リード線(線材)45を係止するためのものである。リード線45は、保護パネル3よりも上側に配置されたソーラーパネル43や電池44等とプリント基板41とを電気的に接続しており、リブ30上やその脇を引き回されている。なお、フック36は、保護パネル3のコネクタ部22に対応する部分のうち、左右方向のいずれか少なくとも一方側に設けられていればよい。
延出部37は、保護パネル3の左右両側の下端から下方に延出しており、プリント基板41を支持している。
【0020】
続いて、リブ30の形状を求めた解析について説明する。
この解析では、まず、関数電卓1に外力が作用したときの保護パネル3の変形挙動を確認した。保護パネル3としてリブ30の無い単純平板モデルを用い、関数電卓1内に収容した状態で正面側と背面側の各々から落下させた場合の計算を行った。
図3(a)、(b)に保護パネル3(解析モデル)の主な変形挙動を示す(変形倍率50倍)。この図に示すように、関数電卓1を落下させた場合、保護パネル3は上下左右の四隅が持ち上がるように変形するか(図3(a))、下端中央が撓むように変形する(図3(b))。
【0021】
次に、トポロジー解析により保護パネル3(リブ30)の最適形状を求めた。
ここでは、上で求めた保護パネル3の変形挙動を模擬する荷重を設定した。図4に示すように、設定荷重として、保護パネル3の上側両端(図4(a))と、下側両端(図4(b))と、下端中央(図4(c))に、それぞれ前方向きの所定荷重を付加した。この設定荷重が付加された平板モデルの表面を所定質量になるまで減肉したときの最適形状を、トポロジー解析により求めた。
解析結果を図5に示す。図5(a)、(b)は、目標質量を30%減、50%減としたときの肉抜き部(色の薄い箇所)を示す。これらの図に示すように、質量50%になるまで減肉したときの最適形状として、本実施形態の保護パネル3(リブ30)に近い形状が得られた。
【0022】
続いて、リブ30の形状を評価した解析について説明する。
この解析では、本実施形態の保護パネル3(リブ30)の形状及びその変形形状を、保護パネル3自身と液晶ディスプレイ2の変形量により評価した。
解析モデルを図6に示す。解析モデルは、保護パネル3、液晶ディスプレイ2、正面ケース11(保護パネル3周辺のみ)、両面テープ(液晶本体21の上下両端を保護パネル3に接着)からなる。ただし、保護パネル3は、フック36や延出部37を省略したモデルとした。また、解析モデルとして、第2補強部R2が無いもの(図6(a))、本実施形態のもの(第2補強部R2あり;図6(b))、第2補強部R2を第1補強部R1と同じ幅まで広げたもの(図6(c))の3つを評価した。これらの各解析モデルについて、保護パネル3中央下部の荷重点Pに所定の荷重を付加したときの変形量を計算した。
【0023】
液晶ディスプレイ2の変形量を図7に示す。
この図に示すように、第2補強部R2の有無は液晶ディスプレイ2の変形量には大きく影響しない。ただし、第2補強部R2を左右に拡張する(すなわち、少なくとも複数の第2リブ32が、コネクタ部22に対応する部分と、液晶本体21に対応する部分とで、左右方向に同じ長さを有する形状にする)と、液晶ディスプレイ2の変形量をより抑制できる。
【0024】
保護パネル3の変形量を図8に示す。
この図に示すように、第2補強部R2の有無は保護パネル3の変形量には大きく影響しない。ただし、第2補強部R2を左右に拡張すると、液晶ディスプレイ2と同様に、保護パネル3の変形量をより抑制できる。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、液晶ディスプレイ2を支持する保護パネル3は、後面に立設された複数のリブ30と、当該複数のリブ30に囲まれた複数の凹部35とを有しており、複数の凹部35は大きさが不均一のものを含んでいる。
すなわち、より強度(剛性)が必要な部分とそうでない部分とで凹部35の粗密を分布させることができる。これにより、一様なパターン状のリブが立設されていた従来と異なり、保護パネル3に対し適切に剛性を保持しつつより軽量化を図ることができる。
したがって、液晶ディスプレイ2を好適に支持することができる。
なお、ここでの凹部35の「大きさ」には、リブ30で囲まれる凹部35の面積に加え、リブ30の高さを考慮した容積の概念を含んでもよい。
【0026】
また、本実施形態によれば、複数の凹部35のうち、液晶ディスプレイ2の長手方向の中央付近に配置されるものが、長手方向の両端付近に配置されるものと比較して粗に分配される。
これにより、保護パネル3において、より負荷の大きい左右両側の剛性を高めつつ、より負荷の小さい左右中央部の軽量化を図ることができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、複数の第2リブ32のうち、コネクタ部22に対応する第2リブ32bが、液晶本体21に対応する第2リブ32aよりも左右方向に短い。
これにより、保護パネル3のうちコネクタ部22に対応する下側部分に、リード線45を係止するフック36を設けることができる。ひいては、組立作業時等にリード線45が邪魔にならず、フック36が無い場合に比較して組立等の作業効率が向上する。さらに、正面ケース11と背面ケース12を閉じる場合等にリード線45を噛んでしまう製造不良の発生を抑制できる。
【0028】
また、本実施形態によれば、保護パネル3が樹脂製である(樹脂が含まれる)ので、例えば電池ボックスから延出する金属製の電池バネ等に対しても、絶縁処理の必要が無い。
すなわち、金属製の電池バネには被膜が無いため、金属製の保護パネルの場合には、少なくとも電池バネと接触する部分には絶縁処理が必要であった。この点、樹脂製の(樹脂を含む)保護パネル3では、例えば図9に示すように、乾電池46を収容する電池ボックス47が配置された場合であっても、絶縁(被膜)処理の必要なく、電池ボックス47から延出する電池バネ48をその上に通すことができる。またこの場合、本実施形態におけるリード線45に代えて電池バネ48が引き回されるため、リード線45の場合と同様、第2リブ32bを左右方向に短くしてフック36を設けることで、電池バネ48を好適に抑えることができる。
なお、乾電池46を使用する場合に配線をリード線45ではなく電池バネ48とする理由には、自動機による半田付けを可能にするためのほか、配線に要する組立時間の削減がある。リード線45は自由に形状が変わりやすいため、組立不良にならないよう配線するのに時間が掛かる。この点、電池バネ48を用いる場合には、部品自体は多少コストアップするものの組立時の作業時間は短縮できるため、総合的にコストダウンを図ることができる。
【0029】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0030】
例えば、複数のリブ30(凹部35)の具体形状(配列、位置、数量等)は上記実施形態のものに限定されず、複数の凹部35が不均一の大きさのものを含むように構成されていればよい。
また、本実施形態においては、主にトポロジー解析の結果から、液晶ディスプレイ2の長手方向の両端側を密とする凹部35のパターンとしたが、保護する液晶や筐体の違いに応じて中央付近を密にするような凹部35のパターン等であってもよい。
【0031】
また、本発明に係る電子機器は、関数電卓(電子卓上計算機)に限定されず、例えば電子辞書やスマートフォン等、表示部を備える電子機器全般に広く適用可能である。
また、本発明に係る表示部は液晶のものに限定されない。
【0032】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
表示部と、
前記表示部の背面を支持する支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、前記表示部とは反対側の主面に立設された複数のリブと、当該複数のリブに囲まれた複数の凹部と、を有し、
前記複数の凹部は、大きさが不均一のものを含む、
ことを特徴とする電子機器。
<請求項2>
前記複数の凹部のうち、前記表示部の長手方向の中央付近に配置される複数の凹部は、前記長手方向の両端付近に配置される複数の凹部と比較して粗に分配される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
<請求項3>
前記複数のリブは、前記表示部の短手方向に対応した第1方向に対して斜めに延在する複数の第1リブを含み、
前記複数の第1リブは、前記第1方向に対して非対称に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
<請求項4>
前記複数の第1リブは、前記短手方向と直交する前記表示部の長手方向に対応する第2方向に対して対称に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
<請求項5>
前記複数のリブは、前記短手方向と直交する前記表示部の長手方向に対応する第2方向に平行な複数の第2リブを含み、
前記複数の凹部は、前記複数の第1リブと前記複数の第2リブとで画成されるものを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
<請求項6>
前記支持部材は、樹脂が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
<請求項7>
前記表示部は、短手方向の一方側であって長手方向の中央部にコネクタ部を有し、
前記コネクタ部は、前記表示部の本体部よりも前記支持部材から離間しており、
前記複数のリブは、前記長手方向に対応する第2方向に平行な複数の第2リブを含み、
前記複数の第2リブは、前記コネクタ部に対応する部分と、前記本体部に対応する部分とが、前記長手方向に同じ長さを有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
<請求項8>
前記表示部は、短手方向の一方側であって長手方向の中央部にコネクタ部を有し、
前記コネクタ部は、前記表示部の本体部よりも前記支持部材から離間しており、
前記複数のリブは、前記長手方向に対応する第2方向に平行な複数の第2リブを含み、
前記複数の第2リブのうち、前記コネクタ部に対応する部分は、前記本体部に対応する部分よりも前記長手方向に短い、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
<請求項9>
前記支持部材は、前記コネクタ部に対応する部分のうち、前記長手方向のいずれか少なくとも一方側に、線材を係止するためのフックを備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
<請求項10>
前記複数のリブの各々は、トポロジー解析の結果に基づいて配置される、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0033】
1 関数電卓(電子機器)
2 液晶ディスプレイ(表示部)
3 保護パネル(支持部材)
11 正面ケース
12 背面ケース
21 液晶本体(本体部)
22 コネクタ部
30 リブ
31 第1リブ
32、32a、32b 第2リブ
33、33a 第3リブ
35 凹部
36 フック
41 プリント基板
H 上下中央線
V 左右中央線
R 補強部
R1 第1補強部
R2 第2補強部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
しかしながら、一様なパターン状のリブでは、保護パネル上に不均一に分布する負荷に好適に対応しているとは言い難い。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、液晶ディスプレイ等の表示部を好適に保護することを目的とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、電子機器であって、
表示部と、
前記表示部の背面に取り付けられた保護部材と、
を備え、
前記保護部材は、前記表示部とは反対側の主面に立設されたリブを有し、
前記リブは、前記表示部の長手方向の中央付近においては前記長手方向の両端付近に配置される前記リブと比較して租に分配される、ことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部の背面に取り付けられた保護部材と、
を備え、
前記保護部材は、前記表示部とは反対側の主面に立設されたリブを有し
前記リブは、前記表示部の長手方向の中央付近においては前記長手方向の両端付近に配置される前記リブと比較して租に分配される、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
本体ケースをさらに備え、
前記表示部および前記保護部材は前記本体ケースに収められている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記保護部材は、樹脂が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記表示部は、短手方向の一方側であって前記長手方向の中央部にコネクタ部を有し、
前記保護部材は、前記コネクタ部に対応する部分のうち、前記長手方向のいずれか少なくとも一方側に、線材を係止するためのフックを備える、
ことを特徴とする請求項1-3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記保護部材は、前記フックが設けられた箇所には前記リブは設けられない、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記リブは、トポロジー解析の結果に基づいて配置される、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。