(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017727
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】構造物構築方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/32 20060101AFI20240201BHJP
E04B 7/08 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E04B1/32 102H
E04B7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120562
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】前田 信之
(72)【発明者】
【氏名】長 直治
(57)【要約】
【課題】内部空間に大規模な設備が存在する状態においてもドーム状の大空間構造を構築する。
【解決手段】ドーム状の大空間構造の構築方法であって、設置面に脚部を構築する脚部構築工程と、脚部から上方に起立するように支柱を構築する支柱構築工程と、支柱の上部に第1構造体を支持する支持構造を構築する支持構造構築工程と、支持構造上に第1構造体を載置する第1構造体載置工程と、支柱に、延長部材を継ぎ足して支柱を延長し、支持構造を上方に揚重する支持構造揚重工程と、第2構造体を第1構造体の周囲であり且つ下方に構築する第2構造体構築工程と、第1構造体と第2構造体とを複数の梁部材により連結する梁部材連結工程と、を備えることを特徴とする、構造物構築方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に構築された第1構造体と、前記第1構造体の周囲であり且つ下方に配置され前記第1構造体に比して大径の環状に構築された第2構造体と、前記第1構造体と前記第2構造体とを連結する複数の梁部材とを備える構造物構築方法であって、
設置面に脚部を構築する脚部構築工程と、
前記脚部から上方に起立するように支柱を構築する支柱構築工程と、
前記支柱の上部に前記第1構造体を支持する支持構造を構築する支持構造構築工程と、
前記支持構造上に前記第1構造体を載置する第1構造体載置工程と、
前記第2構造体を前記第1構造体の周囲であり且つ下方に構築する第2構造体構築工程と、
前記第1構造体と前記第2構造体とを複数の前記梁部材により連結する梁部材連結工程と、を備えることを特徴とする、構造物構築方法。
【請求項2】
前記支持構造を前記支柱と分離し、前記第1構造体の開口を通して搬出する支持構造搬出工程と、
前記支柱を解体し前記第1構造体の前記開口を通して搬出する支柱搬出工程と、を備える、
請求項1に記載の構造物構築方法。
【請求項3】
前記支持構造搬出工程は、
前記支持構造と前記第1構造体との間に配置されたジャッキ装置を短縮し、前記支持構造に対する前記第1構造体の支持を解放するジャッキ装置短縮工程と、
前記支持構造を前記第1構造体の内径に比して小さい外径を有するように変形する支持構造変形工程と、を備える、
請求項2に記載の構造物構築方法。
【請求項4】
前記支持構造は、前記支柱の上部に設けられた第1支持構造と、前記第1支持構造の上部に設けられ前記第1構造体を支持する第2支持構造と、を備え、
前記第2支持構造は、平面視して放射状に配置された複数の支持部材を備え、
前記複数の支持部材は、平面視して中心方向に対して移動自在に設けられており、
前記支持構造変形工程は、
複数の前記支持部材を中心方向に対して移動する支持部材移動工程を備える、
請求項3に記載の構造物構築方法。
【請求項5】
前記支柱は、前記第1構造体の前記開口の内径に比して小さい外径に形成された管状部材により構築されている、
請求項2又は3に記載の構造物構築方法。
【請求項6】
前記支柱は、前記第1構造体の前記開口の内径に比して小さい外径に形成されたトラス構造により構築されている、
請求項2又は3に記載の構造物構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型のドーム状の屋根を有する構造物構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大空間を有するドーム状の大空間構造物が知られている(例えば特許文献1参照)。この大空間構造物は、上方に配置された環状のコンプレッションリング(CR)と、下方に配置されCRに比して大径の環状のテンションリング(TR)と、CRとTRと連結する複数の斜梁を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドーム状の大空間構造の内部空間に大規模な内部設備を納める必要がある場合、必ずしも完成後の大空間構造に内部設備を収められるとは限らない。そのため、屋根の架構が完了する前に予め内部設備を納めた後、ドーム状の大空間構造を構築する必要がある場合がある。また、既存の構造物を建て替える際にも、内部設備を残置したままドーム状の大空間構造を構築する必要がある。特許文献1に記載された技術では、内部空間に大規模な内部設備が存在した状態においてドーム状の大空間構造を構築することについてはまだ提案されていなかった。
【0005】
本発明は、内部空間に大規模な設備が存在する状態においてもドーム状の大空間構造を構築可能とする構造物構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達するために、本発明は、環状に構築された第1構造体と、前記第1構造体の周囲であり且つ下方に配置され前記第1構造体に比して大径の環状に構築された第2構造体と、前記第1構造体と前記第2構造体とを連結する複数の梁部材とを備える構造物構築方法であって、設置面に脚部を構築する脚部構築工程と、前記脚部から上方に起立するように支柱を構築する支柱構築工程と、前記支柱の上部に前記第1構造体を支持する支持構造を構築する支持構造構築工程と、前記支持構造上に前記第1構造体を載置する第1構造体載置工程と、前記第2構造体を前記第1構造体の周囲であり且つ下方に構築する第2構造体構築工程と、前記第1構造体と前記第2構造体とを複数の前記梁部材により連結する梁部材連結工程と、を備えることを特徴とする、構造物構築方法である。
【0007】
本発明によれば、内部空間に大規模な設備が存在する状態においてもドーム状の大空間構造を構築することができる。
【0008】
また、本発明は、前記支持構造を前記支柱と分離し、前記第1構造体の開口を通して搬出する支持構造搬出工程と、前記支柱を解体し前記第1構造体の前記開口を通して搬出する支柱搬出工程と、を備えていてもよい。
【0009】
本発明によれば、第1構造体の開口から支持構造を搬出することができる。
【0010】
また、本発明の前記支持構造搬出工程は、前記支持構造と前記第1構造体との間に配置されたジャッキ装置を短縮し、前記支持構造に対する前記第1構造体の支持を解放するジャッキ装置短縮工程と、前記支持構造を前記第1構造体の内径に比して小さい外径を有するように変形する支持構造変形工程と、を備えるように構成されていてもよい。
【0011】
本発明によれば、第1構造体の開口から支持構造を撤去することができる。
【0012】
また本発明の前記支持構造は、前記支柱の上部に設けられた第1支持構造と、前記第1支持構造の上部に設けられ前記第1構造体を支持する第2支持構造と、を備え、前記第2支持構造は、平面視して放射状に配置された複数の支持部材を備え、前記複数の支持部材は、平面視して中心方向に対して移動自在に設けられており、前記支持構造変形工程は、複数の前記支持部材を中心方向に対して移動する支持部材移動工程を備えていてもよい。
【0013】
本発明によれば、支持構造を変形可能に構築することにより第1構造体の開口から搬出可能とすることができる。
【0014】
また、本発明の前記支柱は、前記第1構造体の前記開口の内径に比して小さい外径に形成された管状部材により構築されていてもよい。
【0015】
本発明によれば、支柱を第1構造体の開口から搬出可能に形成することにより、特別な装置を必要とせず、建設コストを低減することができる。
【0016】
また、本発明の前記支柱は、前記第1構造体の前記開口の内径に比して小さい外径に形成されたトラス構造により構築されていてもよい。
【0017】
本発明によれば、支柱を第1構造体の開口から搬出可能に形成することにより、特別な装置を必要とせず、建設コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内部空間に大規模な設備が存在する状態においてもドーム状の大空間構造を構築ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る大空間構造の構成を示す図である。
【
図2】仮設支持構造の脚部を構築する工程を示す図である。
【
図6】支持構造に載置された第1構造体の状態を示す断面図である。
【
図7】第2構造体を構築する工程を示す断面図である。
【
図8】第1構造体と第2構造体とを梁部材で連結する工程を示す断面図である。
【
図9】支持構造のジャッキを下げる工程を示す断面図である。
【
図10】支持構造を径方向に短縮する工程を示す断面図である。
【
図11】支持構造を撤去する工程を示す断面図である。
【
図13】構造物構築方法の各工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る構造物構築方法の実施形態について説明する。
【0021】
図1に示されるように、大空間構造1は、ドーム状の屋根を有し内部空間に大規模設備を収容可能に構築される。大空間構造1は、例えば、環状に構築された第1構造体2と、第1構造体2の周囲であり且つ下方に配置される環状の第2構造体10と、第1構造体と第2構造体10とを連結する複数の梁部材20とを備える。第2構造体10の下方には、第2構造体10に沿って構築される壁部30が設けられている。壁部30は、柱状体により構築されていてもよく、無くてもよい。
【0022】
第1構造体2は、例えば、鋼部材を環状に組み合わせて構築されている。第1構造体2は、コンプレッションリング(CR)とも呼ばれる。第1構造体2は、所定の第1外径及び第1内径を有するように形成されている。第1構造体2は、第1内径の円形の開口2Hが形成されている。第2構造体10は、例えば、鋼部材を環状に組み合わせて構築されている。第2構造体10は、テンションリング(TR)とも呼ばれる。第2構造体10は、第1構造体2の第1外径に比して大きい第2外径を有するように形成されている。第2構造体10は、第1構造体2の第1内径に比して大きい第2内径を有するように形成されている。第2構造体10は、第2内径の円形の開口10Hが形成されている。
【0023】
各梁部材20の上端部は、第1構造体2に連結される。複数の梁部材20は、平面視して第1構造体2から径方向に放射状に配置されている。各梁部材20の下端部は、第2構造体10に連結される。隣接する梁部材20の間は、例えば、板状の屋根部材により覆われてもよいし、膜状の膜部材により覆われてもよい。また、第1構造体2に形成された円形の開口2Hは、板状の屋根部材により覆われてもよいし、膜状の膜部材により覆われてもよい。
【0024】
大空間構造1において、内部空間S内に大規模な内部設備を構築し、大空間構造1を完成させる必要性が生じる場合がある。また、大空間構造1は既存の大規模な内部設備Nを存続させたまま建て替える必要性が生じる場合もある。以下、内部空間Sに内部設備Nが存在する状態においてもドーム状の大空間構造1を構築可能とする構造物構築方法について説明する。大空間構造1は、各部材を仮設する後述の仮設支持構造を用いて構築される。仮設支持構造は、大空間構造1を構築中に各部材を支持しつつ、大空間構造1を構築した後に簡便に撤去されることが望ましい。
【0025】
図2に示されるように、床面等の設置面Eに仮設支持構造60の基礎部分となる脚部61が構築される(脚部構築工程)。脚部61は、例えば、平面視して4つの脚部材62が放射状に配置されている。脚部材62は、脚部61を支持可能であれば、他の形状に構築されていてもよい。脚部61の設置後において、各脚部材62の中心から上方に起立するように支柱63が構築される(支柱構築工程)。支柱63は、例えば、第1構造体の開口の内径に比して小さい外径に形成された管状部材により形成されている。支柱63は、例えば、タワークレーン(TC)に使用されるマストが用いられてもよい。マストは、例えば、外径が1800mm程度の管状に形成されている。これにより、支柱63は、第1構造体2の内側の開口2Hを通過可能に形成されている。また支柱63は、大規模設備の設置時に障害となるのを防止できる。支柱63は、例えば、脚部61に対してボルト及びナットを用いて締結される。
【0026】
支柱63は、同径の円管状に形成された延長部材63Eを継ぎ足すことで、伸長可能に構成されている。延長部材63E同士は、例えば、複数のボルト及びナットを用いて締結される。これにより支柱63には、軸方向において支柱63を少なくとも2つの部材に分割する分割部63Dが設けられる。支柱63は、第1構造体2の内径に比して小さい外径に形成されたトラス構造により構築されていてもよい。支柱63の上部には、第1構造体2を支持するための支持構造64が構築される(支持構造構築工程)。
【0027】
図3及び
図4に示されるように、支持構造64は、支柱63の上部に設けられた第1支持構造65と、第1支持構造65の上部に設けられた第2支持構造66と、を備える。第1支持構造65は、例えば、平面視して8本の梁材65Hが放射状に配置されて形成されている。梁材65Hは、8本以下であってもよいし、8本以上であってもよい。第1支持構造65の中心部には、吊り下げに用いられるフック部65Aが設けられている。第2支持構造66は、平面視して各梁材65Hの上部に載置され、第1支持構造65の中心部から放射状に配置された複数の支持部材67を備えている。複数の支持部材67は、第1構造体2を支持する。梁材65H及び支持部材67は、例えば、H断面を有する鋼材により形成されている。複数の支持部材67は、平面視して梁材65Hの軸方向に沿って第1支持構造65の中心部に対して移動自在に設けられている。
【0028】
支持部材67は、例えば、第1支持構造65にボルト及びナットを用いて固定される。支持部材67は、第1支持構造65に溶接されてもよい。支持部材67と第1支持構造65との間の固定が解除された際に、支持部材67は、フック部65Aに固定されたチェーンブロックなどの牽引装置を用いて第1支持構造65に対して摺動するように構成されている。支持部材67と第1支持構造65との間には、支持部材67を移動可能とする後述のスライド機構が設けられていてもよいし、単純に載置されていてもよい。
【0029】
図5に示されるように、スライド機構65Gは、梁材65Hの上部に設けられた板状のフランジ部65H1に設けられている。スライド機構65Gは、梁材65Hを短手方向に断面視して、フランジ部65H1の両側の端部に設けられた一対の板状体65G1により形成されている。一対の板状体65G1は、帯状に形成されている。一対の板状体65G1は、フランジ部65H1の両側の端部においてフランジ部65H1の長手方向に沿って溶接されている。複数の支持部材67は、梁材65Hの上部において梁材65Hの長手方向に沿って移動することができる。複数の支持部材67が第1支持構造65の中心に向かって移動することで、支持構造64は、第1構造体2の開口2Hの内径に比して小さい外径を有するように変形することができる。
【0030】
図6に示されるように、支持構造64の上面には、第1構造体2が載置される(第1構造体載置工程)。第1構造体2は、予め地上において構築されて支持構造64にクレーン装置等を用いて載置される。第1構造体2は、支柱63に設けられた支持構造64の上面側において構築されてもよい。支持構造64と第1構造体2との間には複数のジャッキ装置Cが設けられている。複数のジャッキ装置Cは、複数の支持部材67上に載置されている。複数のジャッキ装置Cは、伸長した状態において第1構造体2を支持している。複数のジャッキ装置Cにより第1構造体2は、支持構造64に対して上昇された状態において支持される。
【0031】
支持構造64は、予め地上で組み立てられた後、上方に揚重された後(支持構造揚重工程)、支柱63の上方に固定されてもよい。このとき、支持構造64は、予第1構造体2を上部に載置した状態で上方に揚重され、支柱63の上部に固定されてもよい。上記工程により、仮設支持構造60が構築され、第1構造体2は、仮設支持構造60の上方において支持された状態で保持される。
【0032】
図7に示されるように、第2構造体10は、第1構造体2の周囲であり且つ下方に構築される(第2構造体構築工程)。この工程においては、第2構造体10の構築前に、第2構造体10を支持する壁部30が設けられる。壁部30は、柱状体やトラス構造等の枠体により構成されていてもよい。この工程に並行して大空間構造1の内部空間Sとなる領域に内部設備Nが構築されてもよい。内部設備Nは、既設のものであってもよい。
【0033】
図8に示されるように、第2構造体10を構築した後、第1構造体2と第2構造体10との間は複数の梁部材20により連結される(梁部材連結工程)。梁部材20の上端側は、第1構造体2に連結される。梁部材20と第1構造体2とは、例えば、ボルト及びナットを用いて締結される。梁部材20と第1構造体2とは、溶接により固定されてもよい。梁部材20の下端側は、第2構造体10に連結される。梁部材20と第2構造体10とは、例えば、ボルト及びナットを用いて締結される。梁部材20と第2構造体10とは、溶接により固定されてもよい。上記各工程に基づいて大空間構造1が構築される。その後、大空間構造1から仮設支持構造60が撤去される。工程について説明する。
【0034】
図9に示されるように、先ず、支持構造64と第1構造体2との間に配置されたジャッキ装置Cを短縮する。第1構造体2は、ジャッキ装置Cの短縮に従って若干下降するが、ある位置において複数の梁部材20に支持されるため、支持構造64に対する第1構造体2の支持が解放される(ジャッキ装置短縮工程)。
【0035】
図10に示されるように、支持構造64を第1構造体2の開口2Hの内径に比して小さい外径を有するように変形する(支持構造変形工程)。この工程では、支持構造64に設けられた複数の支持部材67と各梁材65Hとの間の固定が解除される。支持部材67は、チェーンブロックL等の牽引装置を用いて第1支持構造65の中心方向に向かって移動される(支持部材移動工程)。
【0036】
図11に示されるように、支持構造64は、支柱63から分離され、第1構造体2の開口2Hを通して搬出される(支持構造搬出工程)。
【0037】
図12に示されるように、支柱63は、複数の延長部材63Eに解体され記第1構造体の開口2Hを通して搬出される(支柱搬出工程)。延長部材63Eは、1つ以上連続したまま搬出されてもよい。脚部61は、例えば、複数の脚部材62に分割されて搬出される。複数の脚部材62は、開口2Hから搬出可能である場合は、設置面Eとの固定が解除された後、1つ以上の延長部材63Eに固定されたまま搬出されてもよい。
【0038】
図13には、環状に構築された第1構造体2と、第1構造体2の周囲であり且つ下方に配置され第1構造体2に比して大径の環状に構築された第2構造体10と、第1構造体2と第2構造体10とを連結する複数の梁部材20とを備える大空間構造の構造物構築方法の工程の流れが示されている。設置面Eに脚部61を構築する(ステップS100)。脚部61から上方に起立するように支柱63を構築する(ステップS102)。支柱63の上部に第1構造体2を支持する支持構造64を構築する(ステップS104)。支持構造64上に第1構造体2を載置する(ステップS106)。
【0039】
第2構造体10を第1構造体2の周囲であり且つ下方に構築する(ステップS108)。第1構造体2と記第2構造体10とを複数の梁部材20により連結する(ステップS110)。支持構造64を支柱63から分離し、第1構造体2の開口2Hを通して搬出する(ステップS112)。支柱63を解体し第1構造体2の開口2Hを通して搬出する(ステップS114)。
【0040】
上述したように構造物構築方法によれば、構造物構築方法によれば、既設の内部設備Nが存在する場合や内部設備Nを構築しながら大空間構造1を構築することができる。構造物構築方法によれば、第1構造体2の仮設支持材として、既成のタワークレーン用のマスト等により構築された支柱63を用いることにより、仮設支持材が占める空間量を低減させ、大空間構造1の内部空間への大規模設備の設置を容易にすることができる。構造物構築方法によれば、支柱63の上部に連結される支持構造64は、径方向において伸縮可能に構成されているため、大空間構造1を施工後に、環状の第1構造体2の開口2Hを通して吊り出すことができ、撤収作業を容易にすることができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、構造物構築方法の各工程は、適宜入れ替えられていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 大空間構造
2 第1構造体
2H 開口
10 第2構造体
10H 開口
20 梁部材
30 壁部
60 仮設支持構造
61 脚部
62 脚部材
63 支柱
63D 分割部
63E 延長部材
64 支持構造
65 第1支持構造
65A フック部
65G スライド機構
65G1 板状体
65H 梁材
65H1 フランジ部
66 第2支持構造
67 支持部材
C ジャッキ装置
CR コンプレッションリング
E 設置面
L チェーンブロック
S 内部空間
TC タワークレーン
TR テンションリング