(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177275
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】システムおよびプログラム等
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20241212BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
H04N7/18 J
H04N7/18 U
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024172055
(22)【出願日】2024-10-01
(62)【分割の表示】P 2020193432の分割
【原出願日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2020064365
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(57)【要約】
【課題】 データの記録時を特定するための情報の記録に関する技術を提供する。
【解決手段】 内部時計を有し、映像の録画中に正しい時刻T4′を取得する機能と、データの記録中に正しい時刻を取得したした場合、内部時計の時刻合わせを行わず、内部時計の時刻T4との差分ΔTを求め記録する機能を備える。正しい時刻を取得しても時刻合わせをしないので、内部時計は、T3、T4、T5、T6、……と連続して進む。録画停止されると、時刻合わせを行う(Tn→Tn′)。内部時計に基づく時刻と差分を映像ファイルに関連付けて記録することで、その時刻情報と差分から正しい録画時刻を求めることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部時計の時刻に基づき常時録画の映像データに録画時刻を関連づけて記録する機能と、
常時録画中に録画停止指示があった場合に、前記映像データの記録を停止する機能を備え、
他の機器から時刻を取得し、その後、前記映像データの記録を行っている場合には前記他の機器から取得した時刻と前記内部時計の時刻のずれである差分を録画中の映像データと関連付けて記録する一方で前記内部時計の時刻合わせを行わず、前記常時録画中の録画停止指示に基づき前記映像データの記録を行っていないときに前記他の機器から取得した時刻に基づいて前記内部時計の時刻合わせを行う機能を備えること
を特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
ACCOFFにともない前記常時録画を停止した後、前記差分に基づき現在の前記内部時計の時刻を補正する時刻合わせを行い、前記差分を無効化する処理を行うこと
を特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
ACCOFFにともない前記常時録画を停止した後、データの記録時を示す時刻を補正することなく、記録されたままとしておくこと
を特徴とする請求項1または2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
電源ONの後、電源ONに伴う起動処理を行う適宜のタイミングであって録画開始前のタイミングで、記憶保持する前記差分に基づき前記内部時計の時刻合わせを行うこと、を特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
前記電源ON時に行う時刻合わせの際に使用する前記差分は、映像ファイルに関連付けて記録された差分を読み出す、または、不揮発性メモリに差分が記憶され、そこから読み出されて使用する構成としたこと
を特徴とする請求項4に記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のドライブレコーダの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシステムおよびプログラム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダの内部時計の時刻を修正するシステムとして、例えば特許文献1に開示された発明がある。この特許文献1には、ドライブレコーダ等の車両用映像記録装置及びその車両用映像記録装置を含む車載システムなどに関する発明(段落[0001]等)について、段落[0054]には、「ドライブレコーダ1は、本体10内に、……内部時計33……並びに制御部36をさらに備える。」と記載され、段落[0065]には、「ナビゲーション装置2側から所定のタイミングで送られてきた基準日時データを取得した制御部36は、内部時計33の修正・校正を行う。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば既に記録されたデータの記録時を特定する情報を、事後的に改変することは、当該記録時の一種の改ざんともいえ、望ましくない場合もあり得ると考えられる。一方、時刻合わせをしないと、時刻のずれた時計に基づく録画時刻が記録されるため、撮影した映像の場所を何時何分何秒に通過したのかを、正しく特定できず、問題となる場合もあり得る。このため、データの記録時を特定するための情報の記録に関する技術が望まれる。
【0005】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はない。本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)データを記録する記録装置を有するシステムであり、時計部から、前記データの記録時を特定するための第1の時刻を取得する機能と、前記時計部の時刻を第2の時刻にする時刻合わせを行うための情報を取得する機能と、前記データの記録中に前記情報を取得した場合、前記時刻合わせを行わず、前記第1の時刻と前記第2の時刻との差分を、前記データと関連付けて記録する制御を行う機能と、を備えたシステムを提供する。このようにすると、データの記録中に時計部の時刻合わせを行わないので、時計部が示す時刻の連続性が確保され、時刻が途中で飛ぶようなことを抑制できる。例えば時計部に基づいてデータの記録などの制御が行われていると、その制御の途中で時刻合わせが行われると制御の基準となる時刻が非連続で飛ぶこととなるが、そのような事象の発生を抑制できる。
【0007】
(2)前記制御を行う機能は、前記差分に加えて前記第1の時刻を、前記データと関連付けて記録し、前記時刻合わせを行った後においても、その時刻合わせ前に記録した前記第1の時刻を記憶させたままとするとよい。このようにすると、差分に基づいてデータを記録した時刻を求めることができる。また、記録した第1の時刻がそのまま記憶されているのでデータの改変がなく、実際のデータの記録時を特定することもできる。
【0008】
(3)前記データと関連付けて記録した前記第1の時刻と前記差分とに基づいて、当該データの記録時を示す第3の時刻を求め、その求めた当該第3の時刻に基づいて、前記データを出力する機能を備えるとよい。このようにすると、仮に時計部の時刻がずれていても、第1の時刻と差分とに基づいてデータが記録された時刻を特定し、そのデータを出力することができる。
【0009】
(4)前記データが映像を有し、前記映像とともに前記第3の時刻を表示する機能を備えるとよい。このようにすると、映像が記録された時刻を、この映像を見ている者に視覚的に把握させることができる。
【0010】
(5)前記表示する機能は、前記映像とともに、前記第3の時刻と前記第1の時刻とを選択的に表示する機能を備えるとよい。このようにすると、映像が記録された時刻に関し、時計部が計った時刻と、差分と時刻合わせに用いられる時刻から求めた時刻とを、この映像を見ている者に視覚的に把握させることができる。
【0011】
(6)前記表示する機能は、表示している時刻が、前記第3の時刻と前記第1の時刻とのいずれであるかがわかるように表示するとよい。このようにすると、映像が記録された時刻に関し、時計部が計った時刻と、差分と時刻合わせに用いられる時刻から求めた時刻とのどちらが表示されているかを、この映像を見ている者に視覚的に把握させることができる。
【0012】
(7)前記時刻合わせを行うための情報を不特定の者がアクセス可能な環境を用いない方法により取得するとよい。このようにすると、システムの通信上のセキュリティが高くなり、例えば情報漏洩の発生を可及的に抑制できる。
【0013】
(8)前記制御を行う機能は、前記データの記録中に前記時刻合わせを行うための情報を取得した場合、前記データの記録が停止した後に前記時刻合わせを行うようにするとよい。このようにすると、データの記録の記録中に時刻合わせを行うための時刻が取得されても、データの記録時を特定する情報が不連続になるのを抑制できる。また、そのデータの記録が停止し、その後にデータの記録が開始された後は、時刻合わせ後の精度の良い時刻に基づいてその記録が行われるのでよい。
【0014】
(9)前記時刻合わせを行うための情報を複数の異なる提供元から取得可能であり、前記制御を行う機能は、前記データの記録中に前記時刻合わせを行うための情報を取得した場合、あらかじめ定めた優先度の高い提供元からの前記時刻合わせを行うための情報を優先的に採用するようにするとよい。このようにすると、複数の異なる提供元から時刻合わせを行うための情報を取得可能とし、かつ優先度の高い提供元を優先させることで、時計部が計る時刻の正確性を担保しやすくすることができる。例えばより正しい時刻に近い時刻を取得できる。
【0015】
(10)前記記録装置は、車両からの電力の供給を受けて動作し、前記制御を行う機能は、前記車両のエンジンが停止して前記データの記録が停止すると前記時刻合わせを行うとよい。このようにすると、エンジンが停止される際に時刻合わせを行うことで、次にエンジンを始動する際には、時刻合わせ後の時刻に補正されているのでよい。次のエンジン始動時に時刻合わせをすることも可能であるが、始動時にはきるだけ速くデータの記録を開始したいことがあるため、時刻合わせは時間のゆとりのあるエンジン停止時に行うとよい。
【0016】
(11)前記記録装置として第1の記録装置と第2の記録装置とがあり、前記第1の記録装置は、前記時刻合わせを行うための情報を取得すると、その取得した当該情報に基づいて求めた第4の時刻にする時刻合わせを行うための情報を、前記第2の記録装置に伝達し、前記第2の記録装置は、前記第1の記録装置から取得した前記時刻合わせを行うための情報に基づいて、前記第4の時刻と自装置で取得した前記第1の時刻との差分を記録するとよい。このようにすると、時刻合わせを行うための時刻を取得した第1の記録装置が、第2の記録装置にこれを伝達することができる。
【0017】
(12)前記記録装置として第3の記録装置があり、前記第2の記録装置は、前記第4の時刻にする時刻合わせを行うための情報に基づいて、第5の時刻にする時刻合わせを行うための情報を、前記第3の記録装置に伝達し、前記第3の記録装置は、前記第2の記録装置から取得した前記時刻合わせを行うための情報に基づいて、前記第5の時刻と自装置で取得した前記第1の時刻との差分を記録するとよい。このようにすると、第3の記録装置は、第2の記録装置から取得した時刻を用いて時刻合わせを行うので、複数の記録装置があたかもチェーンのように次々と時刻合わせを行うための時刻を伝達することができる。
【0018】
(13)前記第1の記録装置は、車両の周囲を撮影した映像を記録するもので、GPS受信機能を備え、前記第2の記録装置は、前記車両の内部を撮影した映像を記録するもので、前記第1の記録装置は、前記GPS受信機能で受信した信号に基づき取得した前記第2の時刻に基づいて、前記第4の時刻を求めるとよい。このようにすると、第2の記録装置は、例えばGPS受信機能を有しないまたはこれを利用できない場合であっても、第1の記録装置のGPS受信機能に基づいて求めた時刻合わせを行うための時刻に基づいて、データの記録時を特定する情報を記録することができる。例えば、正しい時刻を基準に複数の記録装置で、同一時刻に録画した映像を特定し、表示等することができる。
【0019】
(14)前記第1の記録装置は、前記第2の時刻にする時刻合わせを行うための情報を取得してからの時間経過を加味して前記第4の時刻にする時刻合わせを行うための情報を生成するとよい。このようにすると、例えばGPS受信機能のように自ら時刻合わせを行うための時刻を得られない記録装置や、時刻合わせを行うための時刻の提供元と直接アクセスできない記録装置に対しても、時刻合わせを行うための時刻を伝達することができる。時間経過を加味した時刻の生成処理は、例えば、受信したからの経過時間を計測し、自装置が受け取った時刻合わせを行うための時刻に加算するとよい。また、経過時間を計測せずに、時計部は受信した時の時刻から、伝達時では当該経過時間が進んでいるため、例えば送信時の時計部の時刻と差分から時刻合わせを行うための時刻を生成するようにしてもよい。
【0020】
(15)前記記録装置として第4の記録装置と第5の記録装置とがあり、前記第4の記録装置は、外部の機器と通信可能であり、前記第4の記録装置は、前記外部の機器から受信したデータ送信要求を前記第5の記録装置に転送し、前記第5の記録装置は、前記第4の記録装置から取得した前記データ送信要求に対応した前記記録したデータを、前記第4の記録装置に送信し、前記第4の記録装置は、前記第5の記録装置から取得した前記データを、前記外部の機器に転送するとよい。このようにすると、第5の記録装置が外部の機器と通信しなくとも、第4の記録装置を介して、外部の機器に第5の記録装置が記録したデータを送信することができる。送信要求は、例えば記録した時刻を指定したものとするとよく、差分を用いて正しい時刻のデータを送るようにするとよい。外部の機器との通信は、例えばクローズな通信を用いて行うと、セキュリティ上良い。
【0021】
(16)データを記録するシステムであって、データを記録する場合に、時計部が計る当該データの記録時を特定するための第1の時刻と、前記第1の時刻よりも高精度の時刻である第2の時刻との差分を、当該データと関連付けて記録する制御を行う機能を備えたシステムを提供する。このようにすると、データの記録時を特定するための情報の記録に関する技術を提供することができる。
【0022】
(17)(1)から(16)のいずれか1のシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供されるとよい。
【0023】
上述したシステムは、1つの装置から構成してもよいし、複数の装置から構成してもよい。
【0024】
上述した(1)から(16)の発明は、任意に組み合わせることができる。例えば(1)に示した発明の全部または一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。本願出願人は、これらの構成を含むものについても、補正・分割出願・意匠登録出願への変更出願等により特許権・意匠権等を取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、データの記録時を特定するための情報の記録に関する技術を提供することができる。また、例えば以下の少なくともいずれかの効果を奏する。時計部に基づいて記録の制御が行うようなシステムでは、記録中に制御の基となる時刻が不連続に飛ぶことなく、連続性を担保できる。また、適宜のタイミングで時刻合わせを行うことで、その後は時刻合わせ後の時刻に基づいて動作する。データの記録した時刻が改変されないのでよい。
【0026】
本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係るシステムの好適な一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】時刻の補正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。以下の説明における、第1(第一)、第2(第二)、・・・という数値を用いたラベリングは各要素を識別するためのもので、要素の数を定めるものではない。
【0029】
[本願の発明の着想に至った経緯]
例えば時刻合わせ機能を備えたドライブレコーダ等の記録装置において、時刻のずれた内部時計に基づいて記録した撮影ファイルの改変や、これに伴う証拠能力の問題に関して、発明者は新たな課題を見いだした。例えば、録画中に時刻合わせを行うと、録画時刻が途中で不連続に変わってしまうことになり、録画時刻の連続性がとれない。例えば、録画データを構成する各フレームに録画時刻を記録すると、時刻合わせの前後で録画時刻が飛び不連続となる。またこのように、途中で録画時刻の改変は、一種の改ざんとなり、例えば録画データの証拠能力が低下することがあり得る。
【0030】
一方、時刻合わせをしないと、時刻のずれた時計に基づく録画時刻が記録されるため、撮影した映像の場所を何時・何分・何秒に通過したのかを、正しく特定できない。このため、時刻合わせ前に撮影した映像の証拠能力は低下することがあり得る。
【0031】
以上のような課題があるが、これ以外にも、既に記録されたファイルのデータの記録時を特定する情報を事後的に改変することが望ましくない場合もあり得ると考えられる。以下の実施の形態は、このような課題を解決するための実施の形態の一例である。
【0032】
[システムの一実施形態の基本構成]
図1は、システムの好適な一実施形態を示している。本実施形態のシステム1は、記録装置の一態様であるドライブレコーダ2と、そのドライブレコーダ2と通信可能で、時刻を提供可能な機器3とを備える。
【0033】
ドライブレコーダ2と機器3との通信は、例えば、無線通信、有線通信またはこれらの組み合わせを用いるとよく、特に無線通信とするとよい。無線通信の場合、例えば無線LANやLTEがつながった環境で行うとよい。ドライブレコーダ2と機器3は、例えば車両、事務所、事業所などの限られたクローズの空間内で使用するとよく、ある程度セキュアな回線に繋がる環境下で行うことが望ましい。本形態において、セキュアな回線は、インターネットに代表される公衆回線よりもセキュアな環境で通信できる回線であるとよい。セキュアな回線は、本形態では、仮想的(論理的)または物理的な手段により、通信する者同士を制限した通信回線とするとよい。セキュアな回線は、例えば、IDやパスワード等の認証情報を用いた方法により通信できる者を制限する回線であってもよく、このような回線として、Wi-Fi(例えば、パスワード付きWi-Fi)やその他の無線LAN(Local Area Network)を用いることができる。このような無線LANは、公衆回線を利用する場合に比べて、通信量に応じた通信料金の従量課金がない、または安価であることがある。セキュアな回線は、例えば、通信事業者の公衆回線(例えば、LTE(Long Term Evolution)方式の回線)を経由して構築された仮想的なネットワークである、VPN(Virtual Private Network)であってもよい。セキュアな回線は、公衆回線とは物理的に隔離された専用線(例えば、有線の通信路)またはネットワーク(閉域網。クローズドネットワークともいう。)であってもよい。このように、ドライブレコーダ2は、不特定の者(例えば、通信機器)がアクセス可能な環境を用いない方法により機器3と通信することが望ましい。このようにすると、ドライブレコーダ2への第三者によるアクセスを抑止できる等、通信上のセキュリティの観点で望ましい。
【0034】
機器3は時刻合わせを行うための情報として、時刻合わせ後の時刻を規定する時刻(第2の時刻の一例)を、ドライブレコーダ2に提供する機能を備える。時刻合わせは、時計が計る時刻を補正する処理である。時刻合わせにより、時計が計る時刻の時刻ずれが小さくなる(望ましくは、ゼロになる)。時刻合わせは、本形態では、外部から与えられた時刻を正しい時刻とみなして、時計の計る時刻を補正する処理である。機器3が提供する時刻は、本実施形態では、システム1において、正しい時刻情報として取り扱われる。機器3が提供する時刻は、日本国における日本標準時のような標準時刻を示していると、ドライブレコーダ2の時刻合わせ後の時刻の精度が向上するのでよい。機器3は、例えば、PCAPP、スマホAPP、サーバーAPP、移動体通信の基地局等の現在時刻を計る時計を有し、その時計から取得した時刻を、例えばコマンドに重畳して、ドライブレコーダ2に提供する機能を備えるものとするとよい。サーバーAPPは、不特定多数の者がアクセス可能なNTPサーバー以外のサーバーによるものとするとよい。通信機器がNTPサーバーに接続する場合には、公衆回線であるインターネット回線に接続する必要があり、セキュリティ上の問題が生じるおそれがある。これに対しNTPサーバー以外のサーバーAPPを用いると、通信上のセキュリティの観点で望ましい。また、機器3は、例えばドライブレコーダその他の車載機器等としてもよい。
【0035】
ドライブレコーダ2は、本実施形態では、車両に対して後から設置される機器である。車両は、例えば自家用の自動車や事業用の自動車があり、車種も乗用車、バス、トラック、フォークリフト等の特殊自動車等がある。また車両は自動車に限ることなく、例えば、電車やモノレール、リニアモーターカー等の公共交通機関における車両等の各種のものがある。車両以外の乗り物としてもよく、乗り物は、船舶、飛行機等がある。
【0036】
ドライブレコーダ2は、カメラ11、マイク12、異常検知センサ13、GPSモジュール14、操作ボタン15、制御部16、一時記憶メモリ17、モニタ18、スピーカ19、メモリカードスロット20、第一内部時計22、電源部23、第一通信部24等を備える。カメラ11は、例えば車両の前方等の所定の領域を撮影する。マイク12は、例えば周囲の音を集音する。マイク12は、例えば車内に乗車している人の音声その他の車室内で発生している音等や、車両に物体が衝突した際の衝撃音などを集音する。異常検知センサ13は、例えば加速度センサ又は6軸センサ(3軸加速度、3軸角速度一体型)であり、車両に加わる衝撃、車両の加速度、傾きなどの車両の状態を検知する。制御部16は、異常検知センサ13の検出値が閾値を超えたり、例えば衝撃が生じたことを示す所定の時間的変化を示したりした場合に、事故(衝突)発生と推定する。また、制御部16は、事故発生以外にも、急ブレーキ・急ハンドル、急発進、急ブレーキなどの運転状況を検出し、その履歴を記録するのに利用するとよい。
【0037】
GPSモジュール14は、測位に基づきGPS信号を受信する。制御部16は、その受信したGPS信号から現在位置を求め、その求めた現在位置の位置情報(経度,緯度)を制御部16に送る。また、GPSモジュール14は、受信したGPS信号に基づいて日時情報を取得し、制御部16に送る。GPS信号から取得可能な日時情報は現在時刻を含むから、制御部16は、これを第一内部時計22の時刻合わせに用いることができる。
【0038】
操作ボタン15は、制御部16に対して各種の指示を与えるボタンであり、例えば録画開始指示を与える機能を備える。この操作ボタン15が押下されたことを契機に、制御部16は、カメラ11で撮影した映像並びにマイク12で集音した音等を録画開始するイベント録画を行うとよい。また操作ボタン15は、録画停止指示を与える機能を備えるとよい。録画開始指示と、録画停止指示は、例えばそれぞれの指示を与えるための異なるボタンとしてもよいが、同一のボタンに対する異なる操作により行うようにするとよい。このようにすると、ボタンの設置数を少なくし、ドライブレコーダ2の小型化が図れるのでよい。
【0039】
一時記憶メモリ17は、例えばカメラ11で撮像した映像データ等を一時的に記憶する、例えばRAMである。制御部16は、少なくとも現在から一定時間以上過去までに撮像した映像データ等を常時記憶する。記憶容量は有限であるため、制御部16は、一定の基準で古い映像データ等は削除する。一定の基準は、例えば、一定時間以上前に記憶した映像データ等や、記憶するメモリ容量が一定以上となった場合などとするとよい。本実施形態では、一時記憶メモリ17は、例えばリングバッファにより構成するとよい。
【0040】
モニタ18は、画像を表示する表示部である。制御部16は、例えば、カメラ11で撮像した映像データ等をリアルタイムでモニタ18に表示する。スピーカ19は音を出力する。制御部16は、所定の記録時、警報時及び操作時等に所定の音をスピーカ19から出力する。制御部16は、例えば、操作ボタン15における操作音や、各種のメッセージ(ガイド・警報等)を、スピーカ19を用いて報知する。
【0041】
メモリカードスロット20は、例えばマイクロSDカード21を着脱可能である。制御部16は、マイクロSDカード21を装着した状態では、そのマイクロSDカード21に対してデータの読み書きを行う。マイクロSDカード21は、ドライブレコーダ2により映像等のデータが記録される記憶媒体である。マイクロSDカード21は、メモリカードスロット20に着脱可能な外部記憶手段であるが、これに代えてまたは組み合わせて、ドライブレコーダ2の内部記憶手段(例えば、ハードディスクやEEPROM)やその他の記憶手段が用いられてもよい。ただし、ドライブレコーダ2が不特定多数の者がアクセス可能な環境(例えば、クラウドコンピューティングの環境)を利用しないで、データを記録可能なシステムにアクセスできるようにすると、記憶手段に記憶されたデータの保護を図る上で望ましい。
【0042】
第一内部時計22は、ドライブレコーダ2における制御動作の基準となる時刻(第1の時刻の一例)を提供する時計部である。第一内部時計22は、ドライブレコーダ2におけるデータの記録時を特定するための時刻(現在時刻)を計る。第一内部時計22が計る時刻は、本形態では、日付と時刻の情報を有する。第一内部時計22は、本形態では、水晶発振器により駆動するリアルタイムクロックである。
【0043】
電源部23は、ドライブレコーダ2の各部に電力を供給する。電源部23は、車両(車両のバッテリ)に接続し、例えばエンジンON後の車両の動作中は、車両からの電力の供給を受け、例えば所定の電圧値に降圧してドライブレコーダ2が備える機器等に対し電源電圧を供給し、各部に動作用の電力を供給する機能を備える。また、電源部23は、例えば二次電池等の蓄電手段を有し、動作中に充電し、エンジンOFF後も所定時間にわたり、ドライブレコーダ2をON状態にするための電力を供給する機能を備える。なお、電源部23の二次電池に代えてまたは加えて、内部に電荷をためておける蓄電手段として、スーパーキャパシタ、コンデンサ等の蓄電手段が採用されてもよい。また、外部からの給電によりドライブレコーダ2が一定期間動作できる環境を作り出すようにしてもよい。
【0044】
制御部16は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器(カメラ11、マイク12、異常検知センサ13、GPSモジュール14、操作ボタン15、一時記憶メモリ17、メモリカードスロット20等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(一時記憶メモリ17、モニタ18、スピーカ19、メモリカードスロット20等)を利用して所定の情報を出力する。ドライブレコーダ2の機能は、制御部16に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部16のEEPROM上に格納され、これを制御部16に有するコンピュータが実行することで実現される。制御部16の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、ドライブレコーダ2における各種制御を行う機能を有する。制御部16は、例えば映像等のデータを記録する機能(録画機能)、データを出力する機能、画像(映像)を表示する機能、第一内部時計22の時刻合わせを行う時刻合わせ機能などがある。
【0045】
制御部16は、ドライブレコーダ2の基本機能を実現するための回路であり、カメラ11で撮影された映像データを映像ファイルとして一時記憶メモリ17に記憶したり、異常検知センサ13からの検出信号や操作ボタン15の押下に基づき、上記の撮像した映像ファイルを不揮発性メモリに格納したりする。本実施形態では、不揮発性メモリとして、メモリカードスロット20に装着したマイクロSDカード21を用いる。このマイクロSDカード21を取り外し、パソコンに接続したメモリカードリーダ等に装着することで、当該パソコンにデータを取り込み、パソコンにインストールしたビューアを用いて当該映像ファイルの再生可能とする。また、記録した映像等は、上記のようにマイクロSDカード21を着脱して外部に取り出すことに限らず、有線通信或いは無線通信によるデータ伝送等により行うようにするとよい。また、有線通信を行うためには、ドライブレコーダ2の本体に、通信ケーブルを接続するためのコネクタやUSB等を備えるとよい。
【0046】
この映像データを記録する機能(録画機能)をさらに詳しく説明する。カメラ11は、例えば常時自車の周辺状況等を撮像する。制御部16は、カメラ11が撮影した映像データをリングバッファ等の一時記憶メモリ17に記憶する。この一時記憶メモリ17に記憶する映像は、逐次最新のものに更新され、設定された時間分だけ過去の映像データが保持される。
【0047】
そして、例えば事故や急ブレーキ・急ハンドル時に発生する衝撃を異常検知センサ13の出力値が閾値を超えた場合または所定の時間的変化を示した場合、制御部16は、その衝撃検出時点より前の一定期間の映像データを一時記憶メモリ17から読み出して不揮発性メモリ、例えば、マイクロSDカード21に格納するとともに、閾値を超えた時点以降はその後に撮像したカメラ11の映像をマイクロSDカード21に直接或いは一時記憶メモリ17を経由して記録する。これにより、衝撃前及び衝撃後の所定時間にわたる映像が、不揮発性メモリたるマイクロSDカード21に保存される。また、このとき、制御部16は、マイク12で集音した周囲の音も、映像データに関連付けて録音する。制御部16は、この録音も、一時記憶メモリ17に一時的に記憶し、映像データをマイクロSDカード21に格納する際に、その録音した音声データもマイクロSDカード21に格納する。
【0048】
制御部16は、録画する映像データとして、所定の単位時間毎に1つのファイルを作成し記録する。よって、1つのファイルは、所定のフレームレートで取得された複数枚のフレームを有する。各フレームが記録された順に時系列に管理され、その順で出力再生する。このファイルに同一タイミングで集音された音声データも格納する。
【0049】
さらに制御部16は、映像等のデータを一時記憶メモリ17、マイクロSDカード21に記憶する際に、第一内部時計22から取得した当該データの記録時を示す時刻(第1の時刻の一例)を関連づけて記憶する。データの記録時を示す時刻は、例えば各フレームに関連づけてもよいし、ファイル全体で録画時刻を記録するようにしてもよい。また、制御部16は、関連づけるデータとして、第一内部時計22に基づく時刻のみでは無く、例えばGPSモジュール14で検出し出力されるGPS信号に基づく時刻を合わせて記録するとよい。ドライブレコーダ2において、例えば電源ONの起動直後や、トンネルなどのGPS信号を受信できない場合には、GPS信号に基づく時刻も取得できないため、係る場合、制御部16はGPS信号に基づく時刻の格納エリアを空欄にしたり、受信できないことを示す情報を記録したりするとよい。さらに制御部16が映像のデータに関連づけて記憶する情報として、上述したように時刻に限らず、例えばGPSに基づく位置情報、センサの出力値、センサ出力値が閾値を超えた時刻等がある。センサ出力値は、例えば閾値を超えた場合に記録し、超えない場合には記録しないようにするとよい。
【0050】
ドライブレコーダ2におけるマイクロSDカード21へのデータの格納は、上記のように異常検知センサ13の検出信号を契機として行うものに限らない。制御部16は例えば、操作ボタン15の押下を契機として行う機能を備えるとよい。このようにすると、ユーザが録画したい状況が発生した場合に、映像録画をすることができる。さらに、マイクロSDカード21への録画は、例えば異常検知センサ13の出力に基づく事故等の発生時や、操作ボタン15の押下のように記録開始条件を満たした場合に行うイベント録画モードに限らず、例えば、ドライブレコーダ2が電源ONしてからOFFするまでマイクロSDカード21へ録画する常時録画モードを備えるとよい。常時録画モードを備える場合、制御部16は、カメラ11から出力される映像データや、マイク12から出力される音データの記録先を、一時記憶メモリ17では無く直接マイクロSDカード21に記録するようにするとよい。そのようにマイクロSDカード21へ直接記録することで、一時記憶メモリ17に一度書き込む処理が不要となるのでよい。また、マイクロSDカード21へ直接映像データ等を書き込む場合であって、常時録画モードとイベント録画モードを備える場合には、制御部16はイベントの記録開始条件を満たした場合には、その満たしたときから過去の区間のデータは、常時録画として記録しているデータを用いるとよい。そして制御部16はイベント録画では、例えば、常時録画のファイルと別のファイルとして記録するとよい。
【0051】
例えば常時録画モードで動作中に録画停止指示のための操作ボタン15の操作があった場合、制御部16は、マイクロSDカード21への記録を停止する。また、イベント録画モードで動作中に録画停止指示のための操作ボタン15の操作があった場合、制御部16は一時記憶メモリ17等への記録を停止する。常時録画モードが動作せずイベント録画モードのみ動作中であっても、イベント発生前の映像を記録する必要から、一時記憶メモリ17等に常時一定時間分の映像等を上書き式等で記録する処理を行う。録画停止指示のための操作ボタン15の操作があった場合には、制御部16はイベント発生前の映像を記録するために一定時間分の映像等を記憶保持する必要が無いので、上述したように記録を停止する。この録画停止は、例えば、例えば、マイクロSDカードの着脱、モード設定などの操作を行う場合や、ユーザの意思で録画が不要な場合などに行われる。
【0052】
第一通信部24は、機器と通信するためのものである。第一通信部24は、例えば、無線LANやLTE等の所定の通信方式で通信をするための機能を有する。第一通信部24は、所定の手順により第二通信部34に接続し、データやコマンドの送受を行う。
【0053】
機器3は、本実施形態との関係では、制御部31と、第二内部時計32と、電源部33と第二通信部34等を備える。第二通信部34は、第一通信部24からのアクセスを受け通信を確立し、第一通信部24との間でデータやコマンドの送受を行う。第二内部時計32は、ドライブレコーダ2の第一内部時計22に比べて高精度で、例えばGPS受信機能に基づき求めた時刻を提供する。高精度とは、第二内部時計32のほうが、第一内部時計22よりも、本来の時刻(本形態では標準時刻)からの時刻ずれが小さいことをいう。また、図示省略するが、機器3は、GPSモジュール等で時刻を取得し、それに基づいて時刻合わせを行う機能を備えるものとするとよい。電源部33は、例えば商用電源からの電力供給を受け、例えば所定の電圧値に降圧して電源電圧を供給し、動作させる機能を備える。このように機器3は、商用電源からの電力供給を受け、常時稼働している。
【0054】
[時刻合わせ機能]
GPSモジュール14により取得したGPS信号に基づいて求めた時刻は正確である。しかし、GPSモジュール14は、起動時直後やトンネルなどの電波が届かない場所ではGPS信号を受信することができないことがある。この場合、GPS信号に基づいて正確な時刻が得られない。例えばGPSモジュール14は、例えば常時録画モードで動作する場合には、録画開始時にはGPS信号を受信できない。このようにGPS信号を用いて得た時刻を基準に制御を行うことができない場合があり、制御部16は、第一内部時計22から時刻を取得し、その時刻を基準に制御を行う。
【0055】
ドライブレコーダは、車両の車室内に設置されることがある。そして、車室内の温度は例えば夏期の炎天下などにおける駐車中に高温になり、冬期の駐車中は車外の気温と同様に低温になり、乗車中にエアコンにより運転者等にとっての快適な温度になることから一日の間でも温度の変化が大きいことがある。また、フォークリフトに実装したドライブレコーダ2は、フォークリフトが例えば冷凍庫に出入りするものとすると、温度変化の幅が広がり、時刻のずれは大きくなることが予測できる。例えば-30度の冷凍庫に進入した後、真夏の屋外(30度以上)に至ると温度差は60度を超えることがある。よって、保有する内部時計の時刻もずれやすい。
【0056】
第一内部時計22は、本形態では水晶発振器により駆動しており、水晶発振器は温度変化による影響を受けて精度が低下し、時間経過に伴い正しい時刻からずれていくおそれがある。よって、ドライブレコーダ2は、適宜のタイミングで制御の基準となる第一内部時計22の時刻合わせを行い、正しい時刻に補正するのがよい。また、上述したように、第一内部時計22の時刻に基づき映像ファイルに録画時刻を関連づけて記録する。例えば撮影した映像が何時・何分・何秒に撮られたものか等の証拠能力を高めるためにも、第一内部時計22の時刻合わせを行うのが好ましい。
【0057】
そこで本実施形態では、ドライブレコーダ2の制御部16は、機器3から提供される第二内部時計32の時刻に基づき、時刻合わせを行う機能を備える。制御部16は、
図2に示すように、通信が確立している機器3から、第二内部時計32の時刻を取得する(S1)。この時刻の取得は、例えば、ドライブレコーダ2が、電源ONの状態の時、適宜のタイミングで機器3との通信を確立し、ドライブレコーダ2の制御部16が、機器3の制御部31に対して第二内部時計32の時刻の送信要求を送り、それに応答して制御部31が、第二内部時計32の時刻をコマンドに重畳して送信する。制御部16は、受信したコマンドから時刻を取得する。
【0058】
制御部16は、録画中か否かを判断する(S2)。一時記憶メモリ17及びまたはマイクロSDカード21へ映像データ等の記録を行っている場合(S2でYes)、制御部16は、機器3から取得した時刻と、第一内部時計22の時刻とを比較し、その時刻のずれである差分を求める(S3)。
【0059】
制御部16は、求めた差分を、録画中のデータと関連付けて記録する(S4)。差分は、例えば、フレームや、映像ファイルの履歴等に入れられるとよい。制御部16は、このように求めた差分を記録する一方で、第一内部時計22の時刻合わせを行わない。また、ドライブレコーダ2は、例えば1分や数分といった短い時間単位で、映像ファイルを作成し記録する。よって、制御部16は、求めた差分を、その後に作成される映像ファイルの録画中のデータに対しても関連付けて記録する。後述するように、制御部16は、適宜のタイミングで第一内部時計22の時刻合わせを行う。そこで、制御部16は、係る時刻合わせをするまで、上記のようにその後に作成される映像ファイルの録画中のデータに対しても、差分を関連付けて記録する。
【0060】
また、このように録画中は、制御部16は、次々と作成される映像ファイルに、差分を関連付けて記憶する。このため、処理ステップS3で求めた差分は、例えば制御部16が記憶し、その後に録画されるデータに対しても係る記憶した差分を関連付けて記憶するとよい。
【0061】
一方、機器3から時刻を取得した場合に、一時記憶メモリ17及びまたはマイクロSDカード21へ映像データ等の記録を行っていないときは(S2でNo)、制御部16は、この取得した時刻に基づいて、第一内部時計22の時刻合わせを行う(S5)。
【0062】
制御部16は、時間単位で映像データ等を記録する。よって、仮に
図3(b)に示すように、録画動作中の途中で、第一内部時計22の時刻がT4の時に時刻T4′を取得した場合に、第一内部時計22の時刻をT4′に補正し、その後は補正したT4′を基準にT5′,T6′,……とカウントアップするように第一内部時計22の時刻を切り替えると、記録される時刻が不連続なものとなる。
【0063】
これに対し、本形態では、制御部16は、
図3(a)に示すように、録画中に時刻T4′(第1の時刻の一例)を取得しても、求めた差分Δtを記録するだけで第一内部時計22の時刻合わせを行わず、T4,T5,T6,……と同じ時間刻みで時刻を進める。よって、T4,T5,T6,……という具合に、映像データと関連付けて記録された時刻の連続性が担保される。
【0064】
制御部16は、差分を固定値として持つようにするとよい。差分は、最も新しく取得した時刻と、そのときに第一内部時計22が計測していた時刻との差分を示すようにするとよい。制御部16は、時間経過とともに第一内部時計22の時刻もカウントアップする。このため、所定時間経過後の時刻は、カウントアップした時刻に差分を加算/減算することで求められる。
【0065】
さらに、制御部16が録画開始後に機器3から時刻を取得し、第一内部時計22の時刻合わせをすると、時刻合わせ直前の時刻と、時刻合わせ後の時刻との間で連続性がなくなる場合がある。例えば、制御部16が録画データを構成する各フレームに録画時刻を記録すると、時刻合わせ前後で録画時刻が飛び不連続となる。この場合、係る時刻合わせにより、データの書き換えが発生する。これが一種の改ざんとなり、録画データの証拠能力が低下する可能性がある。例えば録画されたファイルに基づき車両の移動経路と各場所にいた日時についての証拠能力が落ちる可能性がある。
【0066】
*差分Δtに基づく時刻合わせ
制御部16は、ドライブレコーダ2の電源OFF時に、第一内部時計22の時刻合わせを行う。例えば車両のエンジンOFF、例えばACCOFFにともない、車両のバッテリからドライブレコーダ2への電力供給が停止すると、制御部16は、所定の終了処理を行った後、本体の電源をOFFにする。上述したように、電源部23は、二次電池等の蓄電手段を備えているため、外部電源からの供給がなくなっても所定時間継続して内部の各機器等へ電源電圧の供給が可能となる。そこで制御部16は、その継続して電源供給されている間に例えば、マイクロSDカード21への各種データの記録等の各種の終了処理を行う。このとき、制御部16は、電源OFF処理に伴い録画処理が停止した後、差分Δtに基づき、現在の第一内部時計22の時刻Tn(第1の時刻の一例)を、正しい時刻Tn′(=Tn-Δt)に補正する時刻合わせを行う。
【0067】
このように、録画が行われていないドライブレコーダ2の電源をOFFする際に、第一内部時計22の時刻合わせを行うので、次にドライブレコーダ2の電源がONした際には、時刻合わせ後の正しい時刻に基づいて、録画処理その他の各種の制御が行われる。
【0068】
さらに本形態では、制御部16は、第一内部時計22の時刻合わせを行う一方で、既に記録したデータについては、そのデータの記録時を示す時刻を補正することなく、記録されたままとしておく。このように映像ファイルに記録された時刻は補正されないので、データの改変がなく、ひいては証拠能力が高くなる可能性がある。また、この映像ファイルには、データに差分が関連付けて記録されているため、第一内部時計22の時刻がずれている場合でも、後から、データ記録時を示す正しい時刻を求めることができる。そして、この第一内部時計22の時刻合わせを行うことに伴い、差分は0にする。
【0069】
時刻合わせのタイミングは、上述したように電源OFF時であるが、制御部16は、電源OFFのタイミングで変更できない場合には、次の電源ONの立ち上げ時に補正するとよい。例えば制御部16は、電源ONに伴う起動処理を行う適宜のタイミングで、記憶保持する差分に基づき第一内部時計22の時刻合わせを行う。録画は、少なくともこの起動処理の完了後に行うため、立ち上げ時の第一内部時計22が計る時刻と差分とに基づいて時刻合わせを行うのは、録画開始前にも可能である。よって、電源ON後に行われる映像ファイルの録画時刻の記録は、時刻合わせ後の時刻に基づくものとなり、また、各種の制御も時刻合わせ後の時刻に基づいて動作する。
【0070】
電源ON時に行う時刻合わせの際に使用する差分は、例えば、映像ファイルに関連付けて記録され、そこから差分を読み出されてもよいが、例えば、マイクロSDカード21等の不揮発性メモリに差分が記憶され、そこから読み出されて使用されてもよい。
【0071】
また、上記のように電源をOFFする際や起動時に第一内部時計22の時刻合わせを行うものに限ることはなく、例えば、ドライブレコーダ2の電源ON中であっても、制御部16は、録画していないときに第一内部時計22の時刻合わせを行う機能を備えてもよい。例えば、制御部16は、ドライブレコーダ2の電源ON中に、録画の停止をした場合に、時刻合わせを行うとよい。録画の停止は、例えば、ユーザの操作によりされる場合や、制御部16が判断した場合でもよい。録画の停止を指示する操作は、例えば、マイクロSDカード21を交換するときに行われる。制御部16は、マイクロSDカード21がドライブレコーダ2から取り外されたときに時刻合わせをしてもよい。制御部16は、タイマーにより録画期間が設定されているような場合、その録画期間が終了すると、録画を停止するとともに、時刻合わせを行ってもよい。このようにすると、ドライブレコーダ2の電源がON中に正しい時刻に時刻合わせができるので、その後に行う録画は、正しい録画時刻を記録することができるのでよい。録画を停止しているので、録画した映像ファイルの連続性の問題は生じない。
【0072】
制御部16は、時刻合わせ前の映像ファイルには、差分を関連付けたままとして、記録した時刻の補正を行わないようにした。そして、時刻合わせにより、第一内部時計22の時刻は正しい時刻になるので、その時刻合わせ後の映像ファイルには、その時刻合わせ前の差分については、これを無効化するとよい。制御部16は、差分の無効化の処理として、例えば、差分をクリア(削除)すること、差分に無効化のフラグを関連付ける(無効のフラグを立てる)こと、及び差分をゼロにすることのいずれかを行うとよい。差分の無効化の処理により、どの差分が今後の時刻合わせのために必要でないかを把握することができる。
【0073】
[時刻合わせを行うための時刻の取得]
上述した実施形態では、ドライブレコーダ2は、機器3と通信し、機器3の第二内部時計32の時刻を取得するようにしたが、例えば、GPSモジュール14にてGPS信号を受信し、そこから求めた時刻を利用してもよい。GPS信号も盗聴等の問題は無く安全性が高い。このようにすると、機器3との通信も不要となるので、時刻合わせが簡易となるとともに、セキュリティに鑑みてもより好ましい。
【0074】
GPSモジュール14は、ドライブレコーダ2の電源がONしてから所定時間以上遅れて測位を開始する。しかし、この測位がされるより前に、ドライブレコーダ2は録画を開始することが多い。そこで、録画開始後にGPSモジュール14が測位して時刻を取得すると、制御部16は、その取得した時刻に基づき第一内部時計22の時刻との差分を求め、求めた差分を映像ファイルに関連付けて記録するとよい。
【0075】
また、時刻合わせを行うための時刻は、ユーザが手動でドライブレコーダ2に入力した時刻であってもよい。このような時刻は、ドライブレコーダ2の電源がONされている期間の任意のタイミングで入力することが可能である。また、システム1においては、この手動入力された時刻も、正しい時刻情報として取り扱うものとする。例えば、ユーザは、GPS時計その他で正しい時刻を確認しつつ、現在の時刻をドライブレコーダ2に登録する。制御部16は、入力された時刻合わせを行うための時刻と第一内部時計22の時刻とを比較して差分を求める。手動で時刻合わせを行うための時刻を登録した場合、すぐに第一内部時計22の時刻合わせするのが一般的であるが、本形態では、制御部16は、すぐに時刻合わせを行うのではなく、そのときの第一内部時計22の時刻と入力された時刻合わせを行うための時刻の差分を求め、記録する。
【0076】
ドライブレコーダ2は、時刻合わせを行うための時刻を異なる提供元から取得可能とし、録画中に時刻を取得した場合、差分を求めるとともに時刻の提供元源(GPS/LTE/サーバ/ユーザの手動入力……)を記録する。そして、録画中に複数の正しい時刻を取得した場合、制御部16は、最先の受信ではなく、予め定めた優先度の最も高い提供元に基づいて求めた差分を採用するとよい。優先度は、例えば精度の高さに基づいて決めるとよい。優先度は、より標準時刻と一致するまたは一致する可能性の高い時刻を提供する提供元ほど高くしておくことにより、時刻合わせ後の時刻の精度がよくなるのでよい。優先度は、ドライブレコーダ2の製品出荷前の段階で定められていてもよいし、ユーザの設定その他の方法により製品出荷後の段階で定められてもよい。
【0077】
また、時刻合わせを行うための時刻の取得タイミングは、ドライブレコーダ2の電源がON中の任意のタイミングでよいが、例えば、電源ONがされる都度、毎回行うとよい。例えば、電源がONしてシステムが立ち上がると、機器3と通信して第二内部時計32が持つ時刻を取得したり、GPSモジュール14の測位に伴い得られる正しい時刻情を取得したりして、第一内部時計22の時刻との差分を記憶保持する。そして、電源OFFなどの録画終了等のタイミングで第一内部時計22の時刻合わせを行うとよい。制御部16は、例えば所定間隔で、時刻合わせを行うための時刻を取得してもよい。時刻の取得タイミングは、例えば、第一内部時計22に生じる時刻ずれの大きさも加味してドライブレコーダ2の製品出荷前の段階で決められている。
【0078】
[映像ファイルの再生機能]
上述したように、マイクロSDカード21に格納した映像ファイルは、ドライブレコーダ2または外部の再生装置で再生可能である。再生装置は、例えばパーソナルコンピュータ(パソコン)である。この場合、パソコンに記録し、例えばパソコンにインストールしたビューアで、映像ファイルが再生可能である。ドライブレコーダ2または外部の再生装置(以下「再生装置等」という。)は、録画した映像ファイルに基づいて映像を再生するとともに、その映像の記録時を示す時刻を合わせて(同時に)表示する表示する機能を備える。時刻の表示は、例えば
図4に示すように撮影したフレームの画像50に重ねて配置した時刻表示部51に表示されるとよい。
【0079】
再生装置等は、内部時計(例えば、第一内部時計22や再生装置の内部時計)に基づく時刻と、GPS信号に基づく時刻を選択して時刻表示部51に表示する機能を備えるとよい。選択は、ユーザからの指示により行うようにしてもよいが、再生装置等は、GPS信号に基づく時刻が関連づけて記憶されている場合にはそれを優先して時刻表示部51に表示するように構成するとよい。
【0080】
このように再生装置等が複数種の時刻を表示する機能を備えた場合、再生装置等は、現在どちらに基づく時刻を表示しているかがわかるように表示する機能を備えるとよい。わかるように表示とは、例えば表示色を変えたり、アイコン、マーク、文字等の種類を示す情報52を近接配置したりするなど各種の方式を採るとよい。種類を示す情報52は、それぞれに対して対応するものを表示するとよいが、再生装置等は、一方のみ表示し、表示しない場合には他方の種類と理解出来るようにしてもよい。また、再生装置等は、第一内部時計22に基づく時刻の記録で時刻が連続している場合、時刻合わせを行うための時刻が分かった時点より過去の時刻も補正して、表示することも可能である。なお、時刻合わせ後の時刻を表示する場合に、時刻合わせした後の時刻であることを分かるように表示することは必須ではない。
【0081】
内部時計に基づく時刻は、内部時計の時刻としてもよいが、記録された第一内部時計22の時刻と差分Δtとに基づいて算出した時刻(第3の時刻の一例)としてもよい。このようにすると、再生装置等がGPS信号を受信できないときでも、正しい時刻を表示することができ、ユーザは正確な時刻を表示により知ることもできる。再生装置等は、これらのどちらの時刻を表示しているかがわかるように表示するとよい。わかるように表示とは、上述した方法と同じでよい。
【0082】
[記録システムの他の形態]
記録システムは、車両に設置するドライブレコーダ2等に限ることは無く、例えば、運行管理等を行うために車両の動作状況を記録するシステム、工場等における機械の運転状況を記録する監視システム、各種の場所に設置される監視カメラで撮影した映像等を記録する監視システムなどとするとよい。
【0083】
そして、記録するデータも上述した実施形態では、ドライブレコーダに適用した例を説明したため、カメラで撮影した映像ファイル等を記録する例を説明したが、本発明はこれに限ることは無く、例えば車両や機器の位置の履歴や、車両や機器の位置と加速度の変化や、車両や機器の動作状態(例えば運転状態)、車両や機器の状態をセンサで検知したセンサ値など、各種の時系列に繋がるデータ等の記録装置に適用するとよい。
【0084】
また、データを記録するドライブレコーダ2等の記録装置の設置個数も1個に限ることは無く、複数設置したシステムとしてもよい。そのように複数設置したシステムの場合、個々の記録装置が、それぞれ機器3に接続し、当該機器3から時刻を取得するようにしてもよいが、記録装置間で時刻合わせを行うための時刻の送受を行うようにするとよい。
【0085】
*複数の記録装置を備えたシステムの一形態
複数設置の場合、例えば、前後カメラなど車両の適宜位置に実装するドライブレコーダとするとよい。例えば、車両の前方を撮影するカメラ11を備えた第一ドライブレコーダ2aと、車両の後方を撮影するカメラ11を備えた第二ドライブレコーダ2bと、車室内を撮影するカメラ11を備えた第三ドライブレコーダ2cを備えたシステムとする。第一ドライブレコーダ2aは例えば車両60のフロントガラスに取り付け、第二ドライブレコーダ2bは例えば車両のリアガラスに取り付け、第三ドライブレコーダ2cは例えば車室内の天井などに取り付け、それぞれ所定の撮影エリアの映像を撮影し、マイクロSDカード21に記録する。また各ドライブレコーダはそれぞれ第一内部時計22を備えており、自装置の第一内部時計22の時刻を映像ファイルに関連付けて記録する。
【0086】
例えば車両の車室内に設置する第三ドライブレコーダ2cは、他のドライブレコーダに比べてGPS信号を受信しにくいことがある。また、第三ドライブレコーダ2cが、例えばGPSモジュールを実装しないこともあり得る。このような構成のシステムにおいては、第一ドライブレコーダ2a及びまたは第二ドライブレコーダ2bが、第三ドライブレコーダ2cに時刻合わせを行うための時刻の提供元になるとよい。
【0087】
例えば、第一ドライブレコーダ2a並びに第二ドライブレコーダ2b(第1の記録装置の一例)は、それぞれに実装した通信部24を介して第三ドライブレコーダ2cの通信部24(第2の記録装置の一例)と接続し、無線通信可能に構成される。そこで、第三ドライブレコーダ2cの制御部16は、適宜のタイミングで第一ドライブレコーダ2a或いは第二ドライブレコーダ2bとの通信を確立し、通信の確立したドライブレコーダに対して時刻合わせを行うための時刻の伝達要求を送信する。その伝達要求を受信したドライブレコーダの制御部は、例えば自装置のGPSモジュール14が取得した時刻を、時刻合わせを行うための情報として、時刻合わせ後の時刻を規定する時刻(第4の時刻の一例)をコマンドに重畳して、第三ドライブレコーダ2cの制御部16に送信することで、時刻を伝達する。そして、第三ドライブレコーダ2cの制御部16は、取得した時刻合わせを行うための時刻に基づき、この時刻と自装置の第一内部時計22が計る時刻との差分を求め、映像ファイルに関連付けて記録する。そして、制御部16は、電源OFF等の適宜のタイミングで、第一内部時計22の時刻合わせを行う。
【0088】
また第一ドライブレコーダ2a並びに第二ドライブレコーダ2bの制御部16は、自装置のGPSモジュール14で取得した時刻に基づき、すでに説明した方法で、第一内部時計22の時刻合わせを行うとよい。
【0089】
また、上述した例では、第一ドライブレコーダ2a並びに第二ドライブレコーダ2bは、第三ドライブレコーダ2cに対して伝達する時刻をGPSモジュール14で受信したGPS信号に基づく時刻としたが、例えば、上述したように差分を記憶保持しておくことで、自装置の第一内部時計22の時刻に対し、自装置が保有する差分を用いて時刻(第4の時刻の一例)を求め、それを第三ドライブレコーダ2cに伝達するようにしてもよい。そのようにすると、第三ドライブレコーダ2cからの伝達要求を受けた際にGPSモジュール14が測位できずにGPS信号に基づく時刻が得られない状況でも、時刻を送ることができるのでよい。
【0090】
本形態によれば、3つのドライブレコーダは、GPS信号の時刻に基づいて時刻合わせが行われるため、それぞれの内部時計に時刻のずれがあったとしても差分テータに基づいて各ドライブレコーダで同時刻に記録した映像ファイルの関連付けを行えるのでよい。
【0091】
また上述した形態では、第一ドライブレコーダ2a並びに第二ドライブレコーダ2bがともにGPSモジュールを備えるようにしたが、例えば第二ドライブレコーダ2bもGPSモジュールを備えないタイプとし、第二ドライブレコーダ2bの時刻合わせも、第一ドライブレコーダ2aから取得する時刻に基づいて行うようにするとよい。このようにすると、同一のGPSモジュールが取得する時刻に基づいて3つのドライブレコーダの時刻の補正が行われるので、より同期が取りやすくなるのでよい。
【0092】
*複数の記録装置を備えたシステムの別の形態(電車に実装した記録システム)
図6に示すように、例えば電車の車両の所定位置に各種の監視カメラ装置を備えた記録システムがある。監視カメラは、例えば先頭車両の外に設置した第一監視カメラ装置61と、車両の出入り口や、車両の天井の蛍光灯や、連結部付近等に設置する複数の第二監視カメラ装置62等を備える。第一監視カメラ装置61と第二監視カメラ装置62は、ともに制御部65が、内部時計66(データ記録時を特定するための時計の一例)の時刻に基づき動作し、自装置のカメラ63で撮影して得た映像ファイルをSDカード64等の記録媒体に記録する。映像データは、所定の時間単位で1つの映像ファイルに形成され、車両の運転中にわたり、連続して録画される。さらに、第一監視カメラ装置61と第二監視カメラ装置62は、通信部67を備え、例えばWi-Fiなどの所定の通信方式により監視カメラ装置間での通信を可能に構成される。さらに本実施形態では、第一監視カメラ装置61は、GPSモジュール68を内蔵し、受信したGPS信号から位置情報や時刻情報を取得可能とする。
【0093】
SDカード64は、何重にもカバーされた装置本体内の奥側に配置し、ドライバーや鍵などを用いて、複数の蓋,カバーを外すことで取り出し可能に構成する。さらに、通信部67は、セキュアな回線を介して通信するようにした。このようにすることで、セキュリティを高くし、例えば録画した映像等が外部に漏れることを可及的に抑制する。
【0094】
上述した各実施形態と同様に、第一監視カメラ装置61の制御部65は、GPSモジュール68が取得した時刻に基づき、その時刻と内部時計66の時刻との差分を求めたり、差分を映像ファイルに関連付けて記憶したり、録画停止中その他の適宜のタイミングで内部時計66の時刻合わせなどをしたりする。すなわち、電車の走行中は、内部時計の時刻を変えると、録画する映像ファイルの連続性が無くなるため、例えば少なくとも始発駅から終着駅までは内部時計66の時刻合わせをすることなく連続して記録し、より好ましくは車両が車庫から出てから戻るまでは、時刻合わせをしないようにするとよい。この間は内部時計66の時刻合わせは行わないが、差分を記録することで、録画した映像ファイルの正しい録画時刻を求めることができる。時刻の取得は、例えば一連の記録中に1回、例えば起動直後に行うとよい。
【0095】
車両の内部ではGPS信号を受信しづらいので、本形態では、第一監視カメラ装置61が取得したGPS信号による時刻に基づいて時刻合わせをするようにした。このため、第二監視カメラ装置62は、GPSモジュールを実装しないものとしてもよい。
【0096】
第一監視カメラ装置61が取得した時刻は、複数の第二監視カメラ装置62に対して第一監視カメラ装置61がそれぞれ伝達してもよいが、本実施形態では、第一監視カメラ装置61(第1の記録装置の一例)は、一つ或いは一部の第二監視カメラ装置62(第2の記録装置の一例)に対して、時刻合わせを行うための情報として、時刻合わせ後の時刻を規定する時刻(第5の時刻の一例)を送信し、他の第二監視カメラ装置62(第3の記録装置の一例)は、例えばこの時刻を受信した第二監視カメラ装置62から取得するように構成した。このようにすると、例えば第二監視カメラ装置62の設置数が多くなった場合に、第一監視カメラ装置61の通信負荷が増加することを抑制できるのでよい。また、第一監視カメラ装置61は、先頭車両の外に設置し、第二監視カメラ装置62から離れているのに対し、複数の第二監視カメラ装置62は例えば同一車両内など比較的限られた狭い空間に複数設置される場合がある。係る場合には、第一監視カメラ装置61から別の所定の第二監視カメラ装置62に対しては例えば第1の通信方式として例えばLTEを用いて時刻を送信し、第二監視カメラ装置62間は、例えば第2の通信方式として例えばWi-Fiを用いて順次チェーンのように時刻を伝達させるとよい。
【0097】
また、例えば蛍光灯に設置される監視カメラは、LTE通信機能を備えるものがあるので、その蛍光灯に設置される第二監視カメラ装置62が第一監視カメラ装置61から時刻を取得し、その蛍光灯に設置される第二監視カメラ装置62が他の第1の通信方式としてのLTE通信機能を備えていない第二監視カメラ装置62に対し第2の通信方式としてのWi-Fiを利用して時刻を送信するとよい。
【0098】
時刻を受け取った第二監視カメラ装置62は、差分を求めて記録するとともに、別の第二監視カメラ装置62に送る際には、受信した時刻に対し、その受信から送信までの経過時間を加算して時刻合わせを行うための時刻(第4の時刻の一例)を求め、それを伝達するとよい。また、本形態では、内部時計66の時刻合わせは、その時刻合わせを行うための時刻を受信後すぐに行わないので、これをすぐに別の監視カメラ装置に送らなくてもよい。係る場合に、経過時間を加算するのではなく、現在の内部時計66の時刻に、差分を加算或いは減算等して時刻を求め、それを時刻合わせを行うための時刻として伝達するとよい。このようにすれば、複数の監視カメラ装置の内部時計を同期させることができる。なお、時刻の伝達方法は、Wi-Fiに限らず、LTE、GPS、有線通信LAN、UART、映像解析などの電気的、電波的、映像的に時刻を伝えることができるものであればよい。
【0099】
本形態では、第一監視カメラ装置61が取得した時刻に基づいて、複数の第二監視カメラ装置62で、例えば、差分の算出と記録並びに時刻あわせなどの時刻の補正処理が行われるので、複数の監視カメラ装置が撮影した映像の再生時に同時刻で撮影した映像を出力したり、特定したりする等の時刻の同期をとることができる。
【0100】
また、第一監視カメラ装置61(第4の記録装置の一例)や第二監視カメラ装置62(第5の記録装置の一例)は、例えば所定の時刻の映像(データの一例)の取得指示に応答してその時刻の映像を送信する機能を備えるとよい。このようにすると、電車が走行中であっても、例えば記録システムの外部からの要求に基づき、録画した所定の映像を外部に送信し、録画した映像を確認することができる。係る場合に、所定の時刻に対応する映像は、SDカードに記録した内部時計66に基づく録画時刻に差分を考慮して正しい時刻に対応するものを読み出し、送信するとよい。このようにすることで、正しい時刻の映像を送信する送信することができる。
【0101】
また、係る所定の時刻の映像の取得指示は、遠隔地から送られてくることがあるので、第1の通信方式として例えばLTE通信機能を備えた監視カメラ装置が当該取得指示を受信し、対応する時刻の映像を転送する。さらに、当該LTE通信機能を備えた監視カメラ装置は、係る機能を備えていない別の監視カメラ装置に対して同時刻の映像を送信する転送要求を送り、他の監視カメラ装置は要求された時刻の映像を、当該LTE通信機能を備えた監視カメラ装置に送信する機能を備えるとよい。係る映像を取得した監視カメラ装置は、LTE通信を利用して所定の時刻の映像を転送するとよい。LTE通信は、他の通信方式(例えば、4G、5G)に置き換えてもよい。
【0102】
さらに所定の時刻の映像の取得指示は、全ての監視カメラ装置に対して行う場合と、特定の監視カメラ装置に対して行う場合を備えるとよく、特定の監視カメラ装置に対する取得指示を受けた第1の通信方式として例えばLTE通信機能を備えた監視カメラ装置は、当該特定の監視カメラに対して第2の通信方式として例えばWi-Fi等を利用して同時刻の映像を送信する要求を送り、返答があった場合にその受信した映像を転送する機能を備えるとよい。
【0103】
時刻合わせを行うための情報は、時刻合わせ後の時刻を規定する時刻(例えば、機器3から取得されるまたはユーザにより入力される時刻)に限られず、時刻合わせにおける時刻の補正量を示してもよい。例えば、機器3が、ドライブレコーダ2の第一内部時計22が計る時刻と、第二内部時計32が計る時刻との差分から補正量を求め、これをドライブレコーダ2に提供する。ドライブレコーダ2の制御部16は、この補正量を、第一内部時計22が計る時刻に適用して(例えば、加算または減算して)、第一内部時計22の時刻合わせを行う。
【0104】
正しい時刻情報を提供する機器3は、上述したものに限ることはなく、例えば、携帯電話等の移動体通信の基地局等の他、各種のものに適用できる。係る基地局は、GPS信号を受信し、GPS信号に基づく正確な現在時刻情報を保有する機能を備えている。基地局と通信する通信モジュール(例えばLTEモジュール等)は、基地局に接続したことをトリガとして、基地局が持つGPSに基づく正しい時刻情報を取得する機能を備える。ドライブレコーダ2は、基地局との通信可能エリアに進入した場合に、当該基地局と接続(より詳細には、無線による接続)する。この接続は、通常、接続を指示する操作等の人の明示的な指示なしに自動で実現される。また、通信モジュールは、当該通信モジュールが取得した時刻情報を外部から当該通信モジュールにアクセスして参照できるようにする機能を有する。
【0105】
そこで、ドライブレコーダや監視カメラ装置等の記録装置等に、基地局と通信する通信モジュールを実装する。そして記録装置等の制御部は、通信モジュールが基地局に接続した際に取得した時刻情報を利用して上記の時刻の補正処理等を行うとよい。記録装置等に実装する通信モジュールは、例えば記録装置等の本体ケースの中に実装してもよいし、本体ケースと別体に設けるセパレートタイプとしてもよい。
【0106】
記録装置等を車両等の移動体に搭載した場合、車両等の移動にともない通信モジュールが接続する基地局が変わる。通信モジュールは、電源ON後、いずれかの基地局に最初に接続して通信が確立した際に正しい時刻情報を取得し、その後は、電源OFFされるまで接続する基地局が変わっても新たに時刻情報は取得しない。よって、車両の移動に伴い接続する基地局が変わっても、その都度時刻情報を取ることはない。制御部16は、電源ON後に取得した正しい時刻情報に基づき差分データを求め記憶する等の処理を行う。そして、係る処理は電源ON後に1度行うと、電源OFFまで行わない。これは、電源ONして、最初に基地局に接続したときに補正処理をすれば足りるという知見に基づくものであるが、電源ON中の別の機会に基地局に接続して補正処理が行われてもよい。また、上述した変形例では、機器3は基地局としたが、例えば、通信モジュールを機器3と捉えてもよい。
【0107】
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0108】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0109】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【符号の説明】
【0110】
1 :システム
2 :ドライブレコーダ
2a :第一ドライブレコーダ
2b :第二ドライブレコーダ
2c :第三ドライブレコーダ
3 :機器
11 :カメラ
14 :GPSモジュール
15 :操作ボタン
16 :制御部
17 :一時記憶メモリ
18 :モニタ
19 :スピーカ
20 :メモリカードスロット
21 :マイクロSDカード
22 :第一内部時計
23 :電源部
24 :第一通信部
31 :制御部
32 :第二内部時計
33 :電源部
33 :内部時計
34 :第二通信部
36 :制御部
41 :GPS受信機
42 :内部時計
50 :画像
51 :時刻表示部
60 :車両
61 :第一監視カメラ装置
62 :第二監視カメラ装置
63 :カメラ
64 :SDカード
65 :制御部
66 :内部時計
67 :通信部
68 :GPSモジュール