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特開2024-177315策定支援装置、情報処理方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177315
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】策定支援装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241212BHJP
   B41M 1/04 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
G06F3/12 354
G06F3/12 305
G06F3/12 308
B41M1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024172989
(22)【出願日】2024-10-02
(62)【分割の表示】P 2024547237の分割
【原出願日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2023058203
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】古川 勉
(72)【発明者】
【氏名】藤木 優壮
(72)【発明者】
【氏名】中村 晃直
(72)【発明者】
【氏名】松浦 大記
(72)【発明者】
【氏名】木村 一平
(57)【要約】
【課題】印刷工程を経ずとも、適切な製版条件と印刷条件と把握することができる策定支援装置、当該装置による情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び前記製版条件で製造した前記印刷版を用いて、印刷物を得るための印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、前記印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を予測する予測部と、
前記印刷品質情報、及び前記印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、前記製版条件又は前記印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する推奨部と、を有する、
策定支援装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び前記製版条件で製造した前記印刷版を用いて、印刷物を得るための印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、前記印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を予測する予測部と、
前記印刷品質情報、及び前記印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、前記製版条件又は前記印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する推奨部と、を有する、
策定支援装置。
【請求項2】
前記製版条件情報が、フレキソ印刷原版からフレキソ印刷版を製造する条件を含む、
請求項1に記載の策定支援装置。
【請求項3】
前記印刷条件情報が、印刷機条件、アニロックス条件、インキ条件、印刷基材条件、及びクッションテープ条件の少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の策定支援装置。
【請求項4】
前記印刷品質情報が、インキ濃度、隠蔽性予測値、インキ使用量予測値、及び可読文字ポイント数予測値に関する情報の少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の策定支援装置。
【請求項5】
前記印刷品質情報が、プリントカーブ、又は、所定の階調部における、印刷物のドットの個数、大きさ、もしくは形状の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の策定支援装置。
【請求項6】
デザイン画像情報に基づいて前記目標品質情報を出力する目標値出力部をさらに有する、
請求項1に記載の策定支援装置。
【請求項7】
印刷版の製版条件と、前記製版条件で製造した前記印刷版を用いた印刷物の印刷条件と、前記印刷物の階調における印刷品質の指標を示す印刷品質とを対応付けた学習用データに基づいて、モデルを作成する学習部を有する、
請求項1に記載の策定支援装置。
【請求項8】
策定支援装置が、
印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び前記製版条件で製造した前記印刷版を用いて、印刷物を得るための印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、前記印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を出力する予測ステップと、
前記印刷品質情報、及び前記印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、前記製版条件又は前記印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する推奨ステップと、を実行する、
情報処理方法。
【請求項9】
策定支援装置に、
印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び前記製版条件で製造した前記印刷版を用いて、印刷物を得るための印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、前記印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を出力する予測ステップと、
前記印刷品質情報、及び前記印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、前記製版条件又は前記印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する推奨ステップと、を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、策定支援装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、フレキソ印刷において高品質な印刷物を得るための製版条件と印刷条件とを容易に把握することができる印刷システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-049768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の印刷システムでは、印刷部により原稿画像を実際に印刷し、その原稿画像の評価領域から原稿画像の特性を測定する必要がある。したがって、所望の製版条件及び印刷条件が定まるまで、何回も実際に印刷を行うという点において、従来の条件調整と変わりがない。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、印刷工程を経ずとも、適切な製版条件と印刷条件を把握することができる策定支援装置、当該装置による情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕
印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び前記製版条件で製造した前記印刷版を用いて、印刷物を得るための印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、前記印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を予測する予測部と、
前記印刷品質情報、及び前記印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、前記製版条件又は前記印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する推奨部と、を有する、
策定支援装置。
〔2〕
前記製版条件情報が、フレキソ印刷原版からフレキソ印刷版を製造する条件を含む、
〔1〕に記載の策定支援装置。
〔3〕
前記印刷条件情報が、印刷機条件、アニロックス条件、インキ条件、印刷基材条件、及びクッションテープ条件の少なくとも一つを含む、
〔1〕又は〔2〕に記載の策定支援装置。
〔4〕
前記印刷品質情報が、インキ濃度、隠蔽性予測値、インキ使用量予測値、及び可読文字ポイント数予測値に関する情報の少なくとも一つを含む、
〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の策定支援装置。
〔5〕
前記印刷品質情報が、プリントカーブ、又は、所定の階調部における、印刷物のドットの個数、大きさ、もしくは形状の少なくとも1つを含む、
〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の策定支援装置。
〔6〕
デザイン画像情報に基づいて前記目標品質情報を出力する目標値出力部をさらに有する、
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の策定支援装置。
〔7〕
印刷版の製版条件と、前記製版条件で製造した前記印刷版を用いた印刷物の印刷条件と、前記印刷物の階調における印刷品質の指標を示す印刷品質とを対応付けた学習用データに基づいて、モデルを作成する学習部を有する、
〔1〕に記載の策定支援装置。
〔8〕
策定支援装置が、
印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び前記製版条件で製造した前記印刷版を用いた印刷物の印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、前記印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を出力する予測ステップと、
前記印刷品質情報、及び前記印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、前記製版条件又は前記印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する推奨ステップと、を実行する、
情報処理方法。
〔9〕
策定支援装置に、
印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び前記製版条件で製造した前記印刷版を用いた印刷物の印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、前記印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を出力する予測ステップと、
前記印刷品質情報、及び前記印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、前記製版条件又は前記印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する推奨ステップと、を実行させる、
プログラム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷工程を経ずとも、適切な製版条件と印刷条件と把握することができる策定支援装置、当該装置による情報処理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のシステム構成を示す図である。
図2A】本実施形態の策定支援装置の概略構成図である。
図2B】印刷データのデータ構造の一例を示す概略図である。
図2C】学習用データのデータ構造の一例を示す概略図である。
図2D】印刷データの具体例を示す図である。
図2E】予測部が使用するモデルの一例を示す概略図である。
図2F】予測部が使用するモデルの予測精度の結果を示す図である。
図2G】重要度の高い説明変数を示す図である。
図2H】重要度の高い説明変数を示す図である。
図3A】補正カーブとプリントカーブとの関係性を示す構成図である。
図3B】きれいにフェージングしている場合の階調表現の態様を示す概略図である。
図3C】ハードエッジがみられる階調表現の態様を示す概略図である。
図3D】トーンが反転してしまった階調表現の態様を示す概略図である。
図4A】本実施形態の策定装置が実行する処理の一例を示すフローチャート図である。
図4B】本実施形態の策定装置が実行する処理の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0010】
1.策定支援装置
本実施形態の策定支援装置は、印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び製版条件で製造した印刷版を用いた印刷物の印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を予測する予測部と、印刷品質情報、及び印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、製版条件又は印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する推奨部と、を有する。
【0011】
本発明はオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷で適応可能である。以下においてはフレキソ印刷の場合を例に本実施形態について説明をするが、本実施形態はこれに限定されることなく、オフセット印刷、グラビア印刷においても同様に適用することができる。
【0012】
従来のフレキソ印刷のプロセスでは、量産印刷を行う前に、ベクター画像と呼ばれるデジタル画像のデザインに基づいて、色濃度の目標値を達成できるような製版・印刷条件を得るためにフレキソ印刷版の製造と印刷を繰り返し、インキ濃度や隠ぺい性等が良好になる色濃度条件の探索を行う。そして、階調性を達成できるような製版・印刷条件を得るためにフレキソ印刷版の製造と印刷を繰り返し、ドット等が安定して印刷できる階調性条件の探索を行う。
【0013】
なお、「ドット」とは、印刷物の濃淡を表現するための網状の点である。なお、ドットは網点ともいう。例えば、フレキソ印刷においてC(シアン)で印刷された印刷物を顕微鏡で見ると印刷された小さな点がいくつも見える。この点をドットといい、ドットの集まりで印刷物が表現される。一般に、ドットが小さく、単位面積当たりの個数が低いほど色は薄く、大きく単位面積当たりの個数が高いほど色は濃く表現され、濃淡のある印刷物はこのドットの大きさと単位面積当たりの個数を組み合わせることで再現される。また、印刷で写真や絵柄(モノクロ・カラー)などの階調を再現する場合には、点の大きさ、単位面積当たりの個数と印刷する紙の白地部分との比率で濃淡を表現してもよい。
【0014】
また、ドットに関する情報としては、1インチ幅にいくつドットがあるかを示す「線数」、モアレを発生させないために設定する「角度」、濃淡を変化させるための「濃度」の3つの要素がある。
【0015】
この色濃度条件と階調性条件の探索プロセスでは、印刷対象となるデジタル画像ではなく、それぞれの条件を評価するのに適したテストパターンを使用してよい。この場合、様々な製造条件でテストパターンを形成したフレキソ印刷版を作成し、得られたフレキソ印刷版を様々な印刷条件で印刷することで、適切な製造条件と印刷条件の探索が行われる。これによって、使用するインキ、製版機器や印刷機器に適した製造条件と印刷条件を探索できる。
【0016】
次いで、ベクター画像を、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのようにインキの色ごとに分版したデザインを作成する。分版したデザインに対してリップ処理を行って、分版したデザインごとに色濃度とドットのサイズを決定して、ラスター画像を作成する。ラスター画像はフレキソ印刷版を作成するためのデジタルデータである。
【0017】
そして、多色刷りテストを行い、再現性良く印刷できる条件を決める。以上の工程により、量産印刷が可能なフレキソ印刷版とその印刷条件が決まる。製版条件や印刷条件の決定は、熟練者に依存する部分も少なくなく、また、条件を決めるまでに複数回のテストを要するため、上記のプロセス全体としては1年半以上かかることもある。
【0018】
このようなテストが必要とされる理由の一つは、多くの場合に印刷版がゴム製のため、印刷時に印刷版が印刷基材に押し付けられることによって変形するということが挙げられる。具体的には、ドットに対応する凹凸を有する印刷版を用いて印刷を行うと、印刷条件によって凹凸が変形し、印刷されるドットの大きさや形状などが印刷版の凹凸とは多少なり異なる。
【0019】
ここで、印刷基材上における凹凸の変形現象を直接的に予測することで、印刷品質を予測することも考えられるが、変形現象を含む学習用データを得ることは容易ではない上、印刷品質の予測においてはドットの大きさや形状の予測が目的であり、印刷版の凹凸の変形自体は目的ではない。
【0020】
そこで、本実施形態の策定支援装置においては、印刷版の形状や硬度等に影響のある製版条件情報と、インク量や押付強度等に影響のある印刷条件情報を考慮することにより、印刷基材上における凹凸の変形現象を織り込んだ判断を行い、これによって印刷後のドットのサイズや形状、隠蔽性などの印刷品質の予測を行う。このような予測を行うことで、上記の従来の印刷プロセスのうち、ドットが安定して印刷できる条件の探索を情報処理技術により行い、印刷テストを経る必要なく製版条件と印刷条件を特定することができる。
【0021】
特に、本実施形態の策定支援装置においては、階調における印刷品質に基づいて、製版条件又は印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する。また、これに加えて、本実施形態の策定支援装置は、インキ濃度や隠ぺい性が良好になる条件の探索を情報処理技術により行ってもよい。
【0022】
このような本実施形態の策定支援装置によれば、印刷工程を経ずとも、適切な製版条件と印刷条件と把握することができるほか、情報処理方法として、印刷版の形状や硬度とインク量や押圧力から印刷基材上における凹凸の変形現象を直接的に物理計算し、その変形量からドットの大きさやサイズを算出する手法と比べて、情報処理装置における処理負荷を明らかに低減することも可能となる。
【0023】
1.1.ハードウェア構成
図1に、本システムの一例を示す。本システムは、製版装置200における製版条件と印刷装置300における印刷条件の推奨条件を示す策定支援システムである。本実施形態の策定支援装置100は、ネットワークを介して、製版装置200と印刷装置300に接続されていてもよい。本実施形態において、製版装置200はフレキソ印刷版の製造装置であってもよく、印刷装置300はフレキソ印刷方法を実行する印刷機であってもよい。これら製版装置200及び印刷装置300としては、従来公知のものを使用することができる。
【0024】
図2Aに、本実施形態の策定支援装置100の概略構成図を示す。本実施形態の策定支援装置は、パーソナルコンピュータ、サーバなどの汎用コンピュータであってもよい。図2Aに示すように、策定支援装置100は、例えば、プロセッサ110、通信インターフェース120、入出力インターフェース130、メモリ140、ストレージ150、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数のバス160を含む。
【0025】
プロセッサ110は、限定でなく例として、1又は複数の中央処理装置(CPU)、
マイクロプロセッサ(MPU、画像処理装置(GPU)、プロセッサコア、マルチプロ
セッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け集積回路(FPGA)等を
含み、集積回路(IC)チップ、LS)や専用回路によって各実施形態に開示されるそ
れぞれの、処理、機能、又は、方法を実現してもよい。
【0026】
通信インターフェース120は、ネットワークを介して他の装置と各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。例えば、通信インターフェース120は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装される。
【0027】
入出力インターフェース130は、各種操作を入力する入力装置、及び、処理結果などを出力する出力装置を含む。例えば、入出力インターフェース130は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の情報入力装置、及び表示装置131などの情報出力装置を含んでもよい。なお、策定支援装置100は、外付けの入出力インターフェース130を接続することで、所定の入力を受け付けてもよいし、所定の出力を実行してもよい。
【0028】
例えば、策定支援装置100は、製版装置200や印刷装置300に対して、製版条件や印刷条件の推奨条件を出力してもよい。
【0029】
メモリ140は、ストレージ150からロードしたプログラムを一時的に記憶し、プ
ロセッサ110に対して作業領域を提供する。メモリ140には、プロセッサ110が
プログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ1
40は、例えば、DRAM、SRAM、DDR RAM又は他のランダムアクセス固体
記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリであってよく、これらが組み合わせられて
もよい。
【0030】
ストレージ150は、プログラム、各機能部、及び各種データを記憶する。ストレージ150は、例えば、印刷データ151、学習用データ152を格納してもよい。
【0031】
印刷データ151には、図2Bに示すように、実施する印刷を一意に特定できる印刷IDと、印刷するデジタル画像に関する情報と、当該デジタル画像の印刷に用いたフレキソ印刷版の製版条件に関する情報と、当該印刷版の印刷条件に関する情報と、が対応付けて記録されていてもよい。
【0032】
また、学習用データ152には、図2Cに示すように、学習用データ152は、過去の印刷を一意に特定できる学習用IDと、印刷した画像に関する情報と、当該画像の印刷に用いた版の製版条件に関する情報と、当該画像の印刷条件に関する情報と、その品質に関する情報と、が対応付けて記録されていてもよい。
【0033】
また、ストレージ150は、例えば、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。ストレージ150の他の例としては、プロセッサ110から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置を挙げることができる。
【0034】
1.2.ソフトウェア構成
プロセッサ110は、ストレージ150に記憶されるプログラムに含まれるコード、又は、命令によって実現する処理、機能、又は、方法を実行する。図2Aに示すように、本実施形態のプロセッサ110は、予測部111、推奨部112、目標値出力部113、条件生成部114、学習部115、およびドット形成判定部116として機能してもよい。以下、各機能部について説明する。
【0035】
予測部111は、印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び製版条件で製造した印刷版を用いた印刷物の印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を出力する。特に制限されないが、例えば、予測部111は、図2Eに示すような学習済モデルを用いて、製版条件情報と印刷条件情報に基づいて印刷品質情報を出力してもよい。
【0036】
学習済モデルとしては、特に限定されないが、印刷品質情報が量的変数の場合は例えば、重回帰分析、リッジ回帰、部分最小二乗法回帰、多層パーセプトロン、CNN(Convolutional Neural Network)及びRNN(Recurrent Neural Network)などのニューラルネットワーク、ガウシアンカーネル等の任意のカーネル関数を用いるサポートベクターマシーン、回帰木としてモデル化したランダムフォレスト、隠れマルコフモデルなどを利用したモデル、統計モデルや確率モデルなど種々の他のモデルを採用することもできる。また、種々のモデルを組み合わせて総合的な判定を行うモデルを採用することもできる。さらに、質的変数の場合はロジスティック回帰やランダムフォレストやニューラルネット等、種々の判別分析手法を利用してよい。
【0037】
以下、製版条件情報、印刷条件情報、及び印刷品質情報について説明する。なお、製版条件情報、印刷条件情報、及び印刷品質情報の一態様を示すが、製版条件情報、印刷条件情報、及び印刷品質情報はこれらに限定されるものではない。
【0038】
まず、製版装置200におけるフレキソ印刷版の製版方法は、特に限定されないが、例えば、印刷原版に対して、放射線を照射してパターンを彫刻加工する方法が挙げられる。また、彫刻加工の前後において、裏露光、表露光をしてもよいし、彫刻加工後に現像を行ってもよい。フレキソ印刷版の製版方法は、印刷原版の種類によって異なり得る。
【0039】
なお、印刷版のパターン形成に使用する放射線としては、印刷原版の構成に応じて適宜選択することができる。このような放射線としては、特に限定されないが、例えば、レーザー光、紫外線、赤外線、可視光線、エックス線、電子線等が挙げられる。例えば、印刷原版に対して、レーザー光を照射してパターンを彫刻加工してもよい。また、印刷原版が赤外線アブレーション層を有する場合には、赤外線を照射してパターンを彫刻加工してもよい。この場合、赤外線アブレーション層は露光硬化させる際にマスク画像の役割を果たす。露光が終了してから感光性樹脂組成物層の未露光部を洗い出しする際に、この赤外線アブレーション層も同時に除去してもよい。
【0040】
このようなフレキソ印刷版の製版条件情報としては、フレキソ印刷原版からフレキソ印刷版を製造する条件を含めば特に限定されないが、例えば、原版の種類、マイクロセルの種類、放射線に関する情報、補正カーブ、画像線数、スクリーンの種類、スクリーンの角度等が挙げられる。
【0041】
特に限定されないが、原版の種類、マイクロセルの種類、及び放射線に関する情報などは、主に色の濃度や隠蔽性に関する製版条件であり、補正カーブ、画像線数、スクリーンの種類、及びスクリーンの角度などは、主に階調表現に関する製版条件であってもよい。
【0042】
放射線に関する情報としては放射線の強度などが挙げられる。放射線の強度などに応じて、彫刻の凹凸形状が変化し、フレキソ印刷版によって得られる印刷物の色の濃度や隠蔽性が変化し得る。原版の種類やマイクロセルの種類などの製版条件のほか、アニロックスロールと版胴との接触圧、印刷基材と版胴との接触圧等の印刷条件を考慮して、適切な放射線に関する情報が設定されることが好ましい。
【0043】
補正カーブとは、プリントカーブに基づいてフレキソ印刷版のラスター画像データにおける単位面積当たりのピクセル面積率(以下、「データドット%」)とインキ濃度との関係を示すカーブである。図3Aに補正カーブとプリントカーブとの関係性を示す。フレキソ印刷版は弾性を有するため、印刷圧に応じて印刷基材と版胴の接触面積が増加する。そのため、フレキソ印刷版の最表面の面積から推定されるインキ濃度よりも、実際のインキ濃度は大きくなる傾向にある。従って、印刷圧によって印刷基材と版胴の接触面積が増加したときに所望の画像を得るようにフレキソ印刷版を作製する観点から、実際のインキ濃度とデータドット%との関係であるプリントカーブに基づいて、接触面積の増加を考慮した補正カーブを作成することが好ましい。
【0044】
一例として、ISO12647-2などにおいて規格化されたプリントカーブが規定されており、所定の印刷条件で得られたプリントカーブをそのような規格化されたカーブに合わせるために、版のドットサイズなどの補正を行ってもよい。その補正に、補正カーブを使用する。例えば、フレキソ印刷はプラスチック、紙、カートン、フィルム、金属など、あらゆる種類の軟質および硬質基材に印刷するための印刷プロセスであり、これらの基材は異なる厚さや表面特性を有する。また印刷基材だけでなく、インキや版の影響も大きい。そのため、プリントカーブは印刷条件によって大きく異なる。
【0045】
なお、補正カーブは、データドット%と、当該データドット%に対応するインキ濃度をプロットすることによって作成してよい。また、そのような補正カーブを作成する方法の一例として、US 11,575,806 B2に記載の方法を用いてもよい。
【0046】
ここで、プリントカーブとは、図4Aに示すように、Tone Value Increment(TVI)でマレイ・デービス(Murray-Davies)の公式で計算した実質面積率とデータドット%との関係をプロットしたカーブをいう。Tone Value Increment(TVI)はTone ValueとToneの差を表す数値であり、ドットゲインとも呼ばれる。マレイ・デービス(Murray-Davies)の式では、ある単色階調において、実質面積率計算対象のデータドット%の測色値をXとした場合に、対象のデータドット%に対する実質面積率を下記式で示す。データドット%は、データ上面積率ともいう。また、測色値は、インキ濃度であってもよい。
実質面積率 ={(Xw-X)/(Xw-Xs)}×100
Xw:面積率0%(紙白)の測色値
Xs:面積率100%(ベタ)の測色値
【0047】
スクリーンとは、印刷原版の表面に形成するドットの大きさと個数を決める制御アルゴリズムである。ドットを用いた印刷では、インキを小さな点状に印刷して、点の個数と大きさ及び形状を制御することで濃淡を表現するなどの階調表現をすることができる。上述した補正カーブの設定と併せて、適切な階調表現ができるようにスクリーンを設定することで、適切な階調表現が可能な印刷版が得られる。他方で、スクリーン以外の印刷版の製造方法が同じであっても、スクリーンの設定が不適切な場合には、特に薄い部分の階調表現が不十分となり、図3Cに示すようなハードエッジや図3Dに示すようなトーン反転などが生じ得る。他方で、スクリーンの設定が適切な場合には、図3Bに示すようにきれいにフェージングする、細やかな階調表現が可能となる。
【0048】
また、スクリーン画像パラメータとは、スクリーンに対応するラスター画像に関する情報であり、例えば、あるスクリーンを使用したときに得られる印刷物のイメージを、ラスター画像に関する情報として表現したものである。スクリーン画像パラメータは、スクリーンを適用して得た各階調領域におけるドットの個数、大きさ、及び形状などのパラメータを含んでもよい。本実施形態の策定支援装置100のストレージ150には、スクリーンの種類と、スクリーンを適用して得た各階調領域におけるドットの個数、大きさ、及び形状などのスクリーン画像パラメータが対応付けて記録されていてもよい。
【0049】
また、フレキソ印刷法は、特に限定されないが、例えば、アニロックスロールからフレキソ印刷版(版胴)にインキを供給し、インキを供給されたフレキソ印刷版(版胴)から、印刷基材にインキを転写する。
【0050】
このようなフレキソ印刷方法の印刷条件情報としては、特に限定されないが、例えば、粘度、固形分濃度、顔料濃度などのインキ条件;セル形状、線数、容量などのアニロックスロールの情報;印刷機種、印刷速度、アニロックスロールと版胴との接触圧、印刷基材と版胴との接触圧、乾燥速度、スリーブ周長などの印刷機の情報;版胴にフレキソ印刷版を固定するクッションテープの種類、硬さ、厚みなどのクッションテープ条件;印刷基材の種類などの印刷基材条件、表面自由エネルギーなどが挙げられる。このなかでも、印刷条件情報として、印刷機条件、アニロックス条件、インキ条件、印刷基材条件、及びクッションテープ条件の少なくとも一つを含むことが好ましい。なお、アニロックス条件とは、アニロックスロールの種類やアニロックスロールと版胴との接触圧などアニロックスロールに関する条件であってもよい。
【0051】
印刷品質情報は、印刷物の品質を表す情報であって、予め定められた階調における印刷品質を含む。「予め定められた階調」としては、特に限定されないが、例えば、シャドウ部や中間調部やハイライト部が挙げられる。ここで、印刷物においてMurray/Daviesの公式で算出された実質面積率に基づいて、例えば、当該実質面積率が100%となる領域をベタ部、80%以上100%未満となる領域をシャドウ部、20%以上80%未満を中間調部、0%以上20%未満をハイライト部としてもよい。ここで、印刷品質の目標値として、既存の文献に記載されている基準・規格に基づき目標値を設定しても良い。
【0052】
また、シャドウ部と中間調部とハイライト部では、その階調における印刷品質の指標は異なってもよい。例えば、ハイライト部における印刷品質の指標は、特に限定されないが、例えば、インキ濃度、プリントカーブ、又は、ハイライト部における、ドットの個数、大きさ、もしくは形状などを含んでもよい。従来は印刷品質の指標として、印刷物のインキ濃度を測定していた。ここで、インキ濃度は印刷物からの反射光の強さを測定することによって求められる。従って、特に階調の低いハイライト部においては印刷部からの反射光の強さが測定困難なため、インキ濃度だけではその品質が適切に評価できないことがある。この点、ドットの個数、大きさ、もしくは形状のようにドットに関する指標を考慮することで、印刷によってドットが適切に形成されたかどうかを評価できることとなる結果、ハイライト部における品質をより適切に評価することができる。なお、ドットの形状とはドットの円形度や長短比などであってもよい。
【0053】
具体的には、インキ濃度の指標だけで図3B図3Dの判別をすることは困難である。また、ベタ部のインキ濃度とハイライト部の印刷品質を両立することは容易ではない。例えば、インキ濃度を高くするとフェーディングが汚くなり、インキ濃度が低いと、フェーディングがきれいな印刷物が得られる傾向にあるなど、インキ濃度とハイライト部の印刷品質との間にトレードオフを生じることがある。従来の印刷現場では、人が印刷物を見て図3B、C、Dを判別して最適な条件を見つけているのが現状であるが、本実施形態の策定支援装置においては、ドットの個数、大きさ、形状などを考慮することによって、図3Bに示すようなきれいなフェーディングとなる条件を見出すことができる。
【0054】
なお、シャドウ部と中間調部においても、印刷品質情報は、プリントカーブ、又は、所定の階調部における、印刷物のドットの個数、大きさ、もしくは形状の少なくとも1つを含んでもよい。
【0055】
なお、ドットの個数、大きさ、もしくは形状の目標値は、印刷テスト用のラスター画像において、ある色における最小のドットから設定してもよい。小さすぎるドットは安定して形成できないため、印刷可能なドットの最小値には技術上の制限があり得る。そのため、ドット形成判定部116は、製版条件情報と印刷条件情報とに基づいてドットが形成できるか判定し、ドットが形成できる場合には、形成できるドットの大きさを推定することを繰り返し、最小のドットを形成可能な条件を探索するための最適化処理を実行してもよい。ドットが形成できるか否かの判定や、形成できるドットの大きさの推定には、それぞれ、モデルを使用してもよい。
【0056】
印刷物のドットの個数、大きさ、もしくは形状は、顕微鏡などを使用して印刷物を拡大して観察することで確認することができる。これにより、その印刷物のドットに関する情報と、その印刷物の印刷条件情報と製版条件情報とを対応したデータを構成することができる。そのデータの中で、印刷版にはドットに対応する凹凸があり、印刷物の顕微鏡観察でドットが観測されたデータおよび観察されなかったデータを学習用データとすることで、製版条件情報と印刷条件情報とに基づいてドットが形成できるか判定するモデルを作成することができる。例えば、製版条件情報と印刷条件情報とに基づいて判断した時に、形成するドットの大きさが0でなければ、形成可能と判定してもよい。さらに、後述する予測モデルが入力値に応じて出力したドットの大きさが予め定められた条件を満たす場合に、ドット形成可能と判定してもよい。例えば、予測モデルが入力値に応じて出力したドットの大きさが閾値(例えば0)を超える場合に、予測部はドットが形成可能と判定してもよい。
【0057】
また、データの中で、印刷版にはドットに対応する凹凸があり、印刷物の顕微鏡観察でドットが観測されたデータを学習用データとすることで、形成できるドットの大きさを推定するモデルを作成することができる。
【0058】
また、印刷品質情報、特にはベタ部やシャドウ部や中間調部における印刷品質の指標は、インキ濃度、隠蔽性予測値、インキ使用量予測値、及び可読文字ポイント数予測値等の色濃度に関する評価を含んでもよい。
【0059】
ここで、「隠蔽性」とは、印刷基材上に転写されたインキの均一性を言う。具体的には、テスト印刷で印刷物に形成された中間調部や後述するシャドウ部あるいはベタ部における所定の方向の輝度の変動係数を指標として、均一性を評価することができる。ドットで構成された中間調部においては、ドットの有無で多少の輝度の変動が想定される。言い換えれば、この変動係数が小さいほど均一性の高い中間調部やシャドウ部あるいはベタ部が形成されているといえる。なお、ハイライト部において隠蔽性を評価してもよい。
【0060】
また、隠蔽性予測値とは、印刷基材上に転写されたインキの隠蔽性の予測値であって、印刷条件情報と製版条件情報により推定される隠蔽性の予測値をいう。印刷物の輝度とその変動係数は、印刷物の中間調部やシャドウ部あるいはベタ部を輝度計で測定するか、印刷物の中間調部やシャドウ部のスキャンデータをグレースケール化して、画像処理により輝度値を出力することで確認することができる。これにより、その印刷物の輝度に関する情報と、その印刷物の印刷条件情報と製版条件情報とを対応したデータを構成することができる。そのデータを学習用データとすることで、製版条件情報と印刷条件情報とに基づいて、輝度値を推定するモデルを作成することができる。
【0061】
ここで、インキ使用量予測値とは、所定のインキ濃度や所定の隠蔽性を得るために必要なインキ使用量であってもよい。インキ使用量を考慮することで、印刷品質と経済性を両立できる製版条件と印刷条件を得ることができる。
【0062】
ここで、可読文字ポイント数予測値とは、所定の製版条件と印刷条件で記録した際に、ヒトが読むことのできる最小の文字ポイントの予測値をいう。ここで、文字ポイントとは、文字や図形のサイズを表す単位である。文字ポイントの単位基準としては特に限定されないが、例えば、DTPポイントが挙げられる。可読文字ポイント数予測値が低いほど、最小の文字ポイント以外の文字についても、滑らかにきれいに印刷することができ、印刷品質がより向上する。
【0063】
さらに印刷品質情報は、ベタ部における印刷品質を含んでもよい。ベタ部における印刷品質の指標は、特に限定されないが、例えば、インキ濃度、隠蔽性、及びインキ使用量などを含んでもよい。ベタ部における印刷品質は、色の濃度や隠蔽性の品質指標として考慮されてもよい。インキ使用量を考慮することで、印刷品質と経済性を両立できる製版条件と印刷条件を得ることができる。
【0064】
印刷品質情報は、文字・細線部における印刷品質を含んでもよい。文字・細線部における印刷品質の指標は、特に限定されないが、例えば、可読性及び隠蔽性を含んでもよい。
【0065】
ここで、「可読性」とは、印刷基材上に転写されたインキの均一性を満たす最小ポイントの文字サイズを言う。具体的には、サイズの異なる文字を印刷したサンプルにおいて、各文字を構成する線について輝度の変動係数を算出する。輝度の変動係数が予め定められた条件を満たす場合に均一性を満たすと評価してよい。例えば、輝度の変動係数が閾値を下回る際に均一性を満たすと評価してよい。そして、均一性を満たす最小ポイントの文字サイズを指標として、可読性を評価することができる。
【0066】
上述のように印刷物の輝度とその変動係数は、印刷物中のサイズの異なる文字部分を輝度計で測定するか、印刷物の中間調部やシャドウ部あるいはベタ部のスキャンデータをグレースケール化して、画像処理により輝度値を出力することで確認することができる。これにより、その印刷物中のサイズの異なる文字部分の輝度に関する情報と、その印刷物の印刷条件情報と製版条件情報とを対応したデータを構成することができる。そのデータを学習用データとすることで、製版条件情報と印刷条件情報とに基づいて、所定の均一性を満たす最小ポイントの文字サイズ、すなわち可読性を推定するモデルを作成することができる。
【0067】
また、学習時においては、一部のデータをダミー変数などに変換したうえで、機械学習に供してもよい。例えば、印刷基材の材質としてPET、OPPという選択肢がある場合に、印刷基材としてOPPを用いたことを表現するために、ダミー変数として「印刷基材:PET」「印刷基材:OPP」という変数設定したうえで、前者を0、後者を1としてもよい。これにより、数値ではなくカテゴリーによって分類されるデータを数値化することで、モデルがカテゴリー型データを扱えるようにしてもよい。
【0068】
特には、予測部111は、フレキソ印刷原版からフレキソ印刷版を製造する条件として補正カーブに関する情報を含む製版条件情報と印刷条件情報に基づいて、所定の階調部、特にはハイライト部における、印刷物のドットの個数、大きさ、もしくは形状の少なくとも1つを印刷品質として含む印刷品質情報を予測することが好ましい。上述のように、従来は、インキ濃度の指標だけで図3B図3Dの判別をすることは困難であり、また、ベタ部のインキ濃度とハイライト部の印刷品質を両立することは容易ではない。例えば、インキ濃度を高くするとフェーディングが汚くなり、インキ濃度が低いと、フェーディングがきれいな印刷物が得られる傾向にあるなど、インキ濃度とハイライト部の印刷品質との間にトレードオフを生じることがある。これに対して、上記予測部111の処理により、本実施形態の策定支援装置においては、ドットの個数、大きさ、形状などを考慮することによって、図3Bに示すようなきれいなフェーディングとなる条件を見出すことができる。
【0069】
また、予測部111は、フレキソ印刷原版からフレキソ印刷版を製造する条件としてマイクロセルの種類に関する情報を含む製版条件情報と印刷条件情報に基づいて、隠蔽性予測値を印刷品質として含む印刷品質情報を予測することが好ましい。これにより、例えばフィルム印刷(裏刷り)の時に下地(白インキ)が透けてしまうと、印刷物の色味や鮮やかさが不足し、色の部分も同様に、印刷物の色味や鮮やかさが不足する。同じインキ濃度でも隠蔽性が高いものと低いものとが存在するため、インキ濃度だけでは隠蔽性の判別が困難となる。これに対して、上記予測部111の処理により、本実施形態の策定支援装置においては、隠蔽性予測値を印刷品質として含む印刷品質情報を予測することができる。
【0070】
図2Bに示すように、予測部111は、出力した印刷品質情報を、製版条件情報及び印刷条件情報と対応付けて、印刷データ151に記録してもよい。図2Bでは、仮定した製版条件情報及び印刷条件情報に対して、予測された印刷品質に関する情報が記録される態様を示す。
【0071】
推奨部112は、印刷品質情報、及び印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、製版条件又は印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する。ここで、目標品質情報としては、特に限定されないが、例えば、印刷基材に印刷しようとするデザイン画像情報、カラープロファイル情報、又はスクリーン情報に関する情報が挙げられる。そのような情報としては、特に限定されないが、例えば、最大インキ濃度、最小インキ濃度、階調、隠蔽性が挙げられる。
【0072】
一例として、予測部111が、製版条件情報及び印刷条件情報の複数の組み合わせに対して複数の印刷品質情報を予測したときは、推奨部112は、複数の印刷品質情報のうち目標品質情報を満たすものを推奨条件情報として出力してもよい。また、このとき、推奨部112は、複数の印刷品質情報のうち目標品質情報の観点から優れるものを推奨条件情報として出力してもよい。
【0073】
図2Bに示すように、推奨部112は、出力した推奨条件情報を、印刷データ151に記録してもよい。
【0074】
目標値出力部113は、デザイン画像情報に基づいて目標品質情報を出力してもよい。ここで、デザイン画像情報は、印刷基材に印刷しようとする画像のデジタルデータであってもよい。目標値出力部113は、そのデザイン画像情報に基づいて、それを印刷するために適した、インキ濃度、最小インキ濃度、隠蔽性などを特定し、それらを目標品質情報として出力してもよい。
【0075】
また、目標値出力部113は、ハイライト部において印刷品質を評価するための要素を抽出してもよい。具体的には、目標値出力部113は、スクリーン画像パラメータのうち、ハイライト部において印刷品質を評価するための要素となる部分を抽出してもよい。具体的には、目標値出力部113は、スクリーン画像パラメータのうち、例えば10%ドットの領域における、個数、ドットの大きさ、ドットの長短比を、ハイライト部の印刷品質を評価する要素として抽出し、抽出したハイライト部において印刷品質を評価するための要素を上記目標品質情報として出力してもよい。このようにして出力された目標品質情報は、階調性の目標値として推奨部112が使用してもよい。
【0076】
また、目標値出力部113は、スクリーン画像パラメータに代えて、カラープロファイル情報やスクリーン情報に基づいて、ハイライト部において印刷品質を評価するための要素を抽出してもよい。このようにして出力された目標品質情報は、階調性の目標値として推奨部112が使用してもよい。
【0077】
図2Bに示すように、目標値出力部113は、出力した目標品質情報を、印刷データ151に記録してもよい。
【0078】
条件生成部114は、予測部111の入力として使用する製版条件情報及び印刷条件情報を生成してもよい。例えば、予測部111が出力した印刷品質情報が目標品質情報を満たさず、推奨部112が推奨条件情報を出力できない場合に、条件生成部114は、新たに、製版条件情報と印刷条件情報とを生成してもよい。
【0079】
予測部111は、条件生成部114が新たに生成した製版条件情報と印刷条件情報に基づいて、印刷品質情報を再度出力してもよい。この場合、予測部111は、新たに生成した製版条件情報及び印刷条件情報と、それに基づいて予測した印刷品質情報とを対応付けて、印刷データ151に記録してもよい。
【0080】
学習部115は、印刷版の製版条件と、製版条件で製造した印刷版を用いた印刷物の印刷条件と、印刷物の階調における印刷品質の指標を示す印刷品質とを対応付けた学習用データに基づいて(図2C参照)、モデルを作成してもよい。予測部111は、学習部115が作成したモデルを用いて、製版条件情報と印刷条件情報に基づいて、印刷品質情報を出力してもよい。
【0081】
また、図2Dに、印刷版の製版条件と、製版条件で製造した印刷版を用いた印刷物の印刷条件と、印刷物の階調における印刷品質の指標を示す印刷品質とを対応付けた印刷データの具体例を示す。図2Dに示す印刷データは、学習用データとして使用してもよい。図2Dの左の列は印刷IDであり、印刷IDごとに、印刷版の製版条件と、製版条件で製造した印刷版を用いた印刷物の印刷条件と、印刷物の階調における印刷品質の指標を示す印刷品質が対応付けて記録されている。
【0082】
図2Dは紙面の関係で10例の印刷結果を示しているが、本実施形態では300例のデータを用いた。なお、使用する印刷データ又は学習用データはこれに限られず、より膨大な数であってもよい。
【0083】
なお、図2D中において、各略語は以下を意味する。なお、Midpoint、Slope at midpoint、Minimum Dot、highlight shape、shadow shape、Keep 0% toについては、US11,575,806 B2を参照することにより本実施形態に組み込む。
・MC:マイクロセルの種類を意味する。なお、マイクロセルとは、表面に図柄に影響しない微細なパターンを入れて凹凸を作ることでインキの転移性を上げた部分をいう。
・割合@50%: Midpointを指す。
・DGC種類: Slope at midpointを指す。
・min.dot: Minimum Dotを指す。
・h: highlight shapeを指す。
・s: shadow shapeを指す。
・k: Keep 0% toを指す。
【0084】
図2Dのようなデータを学習用データとして、図2Eに示す予測モデルを作成し、その予測精度を評価した結果を図2Fに示す。なお、予測モデルの作成において、図2Dに示すようなデータを300個含む学習用データを用意した。なお、この学習用データは主にハイライト部において実際に印刷されたドットの大きさや個数を印刷品質情報として含むものであった。この学習用データを用いて、PLS (Partial Least Squares)、SVR(Support Vector Regression)、RF(Random Forests)の3つの手法により予測モデルを構築した。なお、各予測モデルの構築には、汎化性能を最大化させるハイパーパラメータを選定して使用した。具体的には、モデルの汎化性能の指標として、後述する5-foldクロスバリデーションを実施して得られる予測値に基づいて計算される決定計数R2を用いた。各ハイパーパラメータの取りうる値すべての組み合わせを用いて得られたモデルに対して上記R2を計算し、その値が最大となるハイパーパラメータを採用した。
【0085】
各予測モデルによる予測精度は、決定係数R2により評価した。具体的には、5-foldクロスバリデーションにおいて、学習用データを5分割し、そのうち4つをモデル構築用データとし、上記各モデルにより回帰モデルを構築した。学習用データの残り1つはバリデーションデータとして、構築した回帰モデルの予測性能を評価するのに用いた。モデル構築用データの選び方は5通りあり、それぞれのモデルでそれぞれのバリデーションデータの予測を行うことで、トレーニングデータの全てのデータを「モデル構築に用いていない外部データ」とみなして予測結果を得た。これにより、5つのR2値を得て、その平均値をR2CV値とした。尚、最終的なモデルは、トレーニングデータ全部と決定したハイパーパラメーターを用いて構築した。
【0086】
その結果を、図2Fに示す。これにより、ハイライト部におけるドットの大きさと個数について十分に予測可能であることが示された。
【0087】
さらに、図2G及び図2Hに、上記モデルにおいて重要度の高い説明変数を一覧で示す。図2Gに示すように、ドットの大きさの判断においては、クッションテープ種、スクリーン種、版種・厚み、アニロックス種、印刷速度、印圧、インキ種、インキ温度・粘度、k、h、min dot、Boost値、画像の線数などが重要度の高い説明変数として挙げられた。また、図2Hに示すように、ドットの個数の判断においては、スクリーン種、版種・厚み、k、h、min dot、DGC種類、画像の線数などが重要度の高い説明変数として挙げられた。
【0088】
図2F図2Hに示すように、印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び製版条件で製造した前記印刷版を用いて、印刷物を得るための印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を予測する予測部111を構築することができることが示された。また、当該予測部111は所定の精度を有するものとなり、印刷工程を経ずとも、適切な製版条件と印刷条件を把握することができることが実証された。また、当該予測においては、印刷基材上における凹凸の変形現象を直接的に予測する必要はなく、印刷版の形状や硬度等に影響のある製版条件情報と、インク量や押付強度等に影響のある印刷条件情報を考慮することにより、印刷基材上における凹凸の変形現象を織り込んだ判断を行い、これによって印刷後のドットのサイズや形状、隠蔽性などの印刷品質の予測が可能であることも示された。
【0089】
なお、図2F図2Hに示す具体例は、本実施形態の策定支援装置の技術的意義を示すための一例であり、本実施形態は図2F図2Hの具体例に限定されるものではない。
【0090】
3.2.動作処理
次に、策定支援装置100の動作について説明する。図4Aは、策定支援装置100が行う処理の一例を示すフローチャートである。なお、策定支援装置100が行う処理は、図4Aに限定されない。
【0091】
ステップS1において、目標値出力部113は、デザイン画像情報や、スクリーン画像パラメータ、カラープロファイル情報、又はスクリーン情報を受け付け、受け付けたデザイン画像情報等に基づいて目標品質情報Dを出力してもよい。
【0092】
ステップS2において、条件生成部114は、印刷版の製版条件を示す製版条件情報An、及び製版条件で製造した印刷版を用いた印刷物の印刷条件を示す印刷条件情報Bnを生成してもよい。
【0093】
ステップS3において、予測部111は、条件生成部114が生成した製版条件情報Anと印刷条件情報Bnに基づいて、印刷物の予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報Cnを出力してもよい。この際、予測部111は、上記学習済モデルを使用してもよい。
【0094】
ステップS4において、推奨部112は、印刷品質情報Cnが印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報を満たすか否かの判断をする。当該判断において、推奨部112は、例えば、目標品質情報Dと印刷品質情報Cnの差の二乗を用いてよい。そして、推奨部112は、例えば、目標品質情報Dと印刷品質情報Cnの差の上記二乗があらかじめ指定した閾値を下回ること、又は、後述する条件生成部114による製版条件情報An+1および印刷条件情報Bn+1の作製回数があらかじめ指定した値を上回ることによって探索を終了してよい。
【0095】
ステップS4において、推奨部112が印刷品質情報Cnが印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報を満たすと判断した場合に、ステップS5において、推奨部112は、製版条件又は印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報Fnを出力してもよい。ここで、推奨条件情報Fnは推奨条件として、印刷品質情報Cnに対応する製版条件情報Anと印刷条件情報Bnを含む。
【0096】
また、ステップS4において、推奨部112が印刷品質情報Cnが印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報を満たさないと判断した場合に、ステップS6において、条件生成部114は、製版条件情報Anと印刷条件情報Bnと異なる製版条件情報An+1及び印刷条件情報Bn+1を生成する。この際、条件生成部114は、目標品質情報Dと印刷品質情報Cnの差の二乗を小さくするように製版条件情報An+1及び印刷条件情報Bn+1を決定してもよい。さらに、複数の印刷品質情報Cnを同時に目標値に近づける場合、例えば各印刷品質情報目標値と各印刷品質情報予測値の差の二乗の総和を小さくするように製版条件情報An+1および印刷条件情報Bn+1を決定してもよい。そして、生成した製版条件情報An+1及び印刷条件情報Bn+1に基づいて、改めてステップS4~S5が実行される。
【0097】
なお、ステップS6において、条件生成部114は、例えば勾配降下法、確率的勾配降下法、AdaGrad、RMSProp、Adamといった、目標からの誤差の勾配に基づく既存の条件探索アルゴリズムを使用して、製版条件情報An+1および印刷条件情報Bn+1を作成してもよい。
【0098】
また、図4Bは、策定支援装置100が行う処理の他の例を示す。
【0099】
ステップS11において、条件生成部114は、印刷版の製版条件を示す製版条件情報An、及び製版条件で製造した印刷版を用いた印刷物の印刷条件を示す印刷条件情報Bnを生成してもよい。
【0100】
ステップS12において、目標値出力部113は、デザイン画像データや製版条件情報Anと印刷条件情報Bnにより推定される、スクリーン画像パラメータ、カラープロファイル情報、又はスクリーン情報を受け付け、受け付けたスクリーン画像パラメータ等に基づいて目標品質情報Dnを出力してもよい。例えば、目標値出力部113は、スクリーン画像パラメータに基づいて、目標品質情報Dnであるハイライト部におけるドットサイズを出力してもよい。また、目標値出力部113は、デザイン画像データに基づいて、目標品質情報Dnであるがインキ濃度最大値を出力してもよい。
【0101】
ステップS13において、予測部111は、条件生成部114が生成した製版条件情報Anと印刷条件情報Bnに基づいて、印刷物の予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報Cnを出力してもよい。この際、予測部111は、上記学習済モデルを使用してもよい。
【0102】
ステップS14において、推奨部112は、印刷品質情報Cnが印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報を満たすか否かの判断をする。当該判断において、推奨部112は、例えば、目標品質情報Dnと印刷品質情報Cnの差の二乗を用いてよい。そして、推奨部112は、例えば、目標品質情報Dnと印刷品質情報Cnの差の上記二乗があらかじめ指定した閾値を下回ること、又は、後述する条件生成部114による製版条件情報An+1および印刷条件情報Bn+1の作製回数があらかじめ指定した値を上回ることによって探索を終了してよい。
【0103】
ステップS14において、推奨部112が印刷品質情報Cnが印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報を満たすと判断した場合に、ステップS15において、推奨部112は、製版条件又は印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報Fnを出力してもよい。ここで、推奨条件情報Fnは推奨条件として、印刷品質情報Cnに対応する製版条件情報Anと印刷条件情報Bnを含む。
【0104】
また、ステップS14において、推奨部112が印刷品質情報Cnが印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報を満たさないと判断した場合に、ステップS16において、条件生成部114は、製版条件情報Anと印刷条件情報Bnと異なる製版条件情報An+1及び印刷条件情報Bn+1を生成する。この際、条件生成部114は、目標品質情報Dnと印刷品質情報Cnの差の二乗を小さくするように製版条件情報An+1及び印刷条件情報Bn+1を決定してもよい。さらに、複数の印刷品質情報Cnを同時に目標値に近づける場合、例えば各印刷品質情報目標値と各印刷品質情報予測値の差の二乗の総和を小さくするように製版条件情報An+1および印刷条件情報Bn+1を決定してもよい。そして、生成した製版条件情報An+1及び印刷条件情報Bn+1に基づいて、改めてステップS11~S14が実行される。
【0105】
なお、ステップS16において、条件生成部114は、例えば勾配降下法、確率的勾配降下法、AdaGrad、RMSProp、Adamといった、目標からの誤差の勾配に基づく既存の条件探索アルゴリズムを使用して、製版条件情報An+1および印刷条件情報Bn+1を作成してもよい。
【0106】
さらに、図4A図4Bにおいて示すような、策定支援装置100が行う処理においては、より適した条件を探索するために最適化処理を行ってもよい。最適化処理には、組合せ最適化問題を解くための最適化手法を利用でき、特に限定されないが、例えば、シミュレーテッドアニーリングや多目的遺伝的アルゴリズム等の既存最適化手法を用いてもよい。
【0107】
4.方法
本実施形態の方法は、策定支援装置が、印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び製版条件で製造した印刷版を用いて、印刷物を得るための印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を出力する予測ステップと、印刷品質情報、及び印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、製版条件又は印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する推奨ステップと、を実行する。
【0108】
なお、本実施形態の方法の具体的態様については、上記動作処理で述べているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0109】
5.プログラム
本実施形態のプログラムは、策定支援装置に、印刷版の製版条件を示す製版条件情報、及び製版条件で製造した印刷版を用いて、印刷物を得るための印刷条件を示す印刷条件情報に基づいて、印刷物の、予め定められた階調における印刷品質を示す印刷品質情報を出力する予測ステップと、印刷品質情報、及び印刷品質に関する目標指標を示す目標品質情報に基づいて、製版条件又は印刷条件の推奨条件を示す推奨条件情報を出力する推奨ステップと、を実行させる。
【0110】
プログラムは、読み取り可能な記録媒体に記録された物であってもよい。なお、本実施形態のプログラムが実行する処理の具体的態様については、上記動作処理で述べているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、フレキソ印刷における製版条件及び印刷条件の策定を支援する装置として産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0112】
100…策定支援装置、110…プロセッサ、111…予測部、112…推奨部、113…目標値出力部、114…条件生成部、115…学習部、120…通信インターフェース、130…入出力インターフェース、131…表示装置、140…メモリ、150…ストレージ、151…印刷データ、152…学習用データ、160…バス、200…製版装置、300…印刷装置。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B