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特開2024-177337距離検出システム、撮像装置、及び制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177337
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】距離検出システム、撮像装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/40 20210101AFI20241212BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20241212BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20241212BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20241212BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20241212BHJP
   G01S 17/88 20060101ALI20241212BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20241212BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20241212BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20241212BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20241212BHJP
【FI】
G02B7/40
G03B17/55
G03B17/18
G03B13/36
G03B17/56 Z
G01S17/88
G01C3/06 120Q
H04N23/56
H04N23/50
H04N23/63 300
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024173283
(22)【出願日】2024-10-02
(62)【分割の表示】P 2020127511の分割
【原出願日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2019141086
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠人
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大
(72)【発明者】
【氏名】根本 歩
(72)【発明者】
【氏名】松本 航平
(72)【発明者】
【氏名】道心 雄大
(57)【要約】
【課題】被写体までの距離を検出するための照射光を、撮像装置が備えるレンズ鏡筒等の構成部材に遮られることなく対象物に照射することができる距離検出装置を提供する。
【解決手段】カメラ100のレンズ装置200を取り囲む位置に取り付けられる距離検出装置300を設ける。距離検出装置300は、対象領域を照射光で照射する発光素子309と、対象領域上の対象物による、照射光の反射光を受光する受光素子310とを有する。距離検出装置300は、発光素子309が照射光を照射してから受光素子310が反射光を受光するまでの時間に基づいて、対象物までの距離を示す距離情報を取得し、距離情報を通信する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域を照射光で照射する発光手段と、
前記対象領域上の対象物による、前記照射光の反射光を受光する受光手段と、
前記発光手段が前記照射光を照射してから前記受光手段が前記反射光を受光するまでの時間に基づいて、前記対象物までの距離を示す距離情報を取得する取得手段と、
前記距離情報を通信する通信手段と、を有し、
撮像装置が備えるレンズ装置に対し、当該レンズ装置を取り囲む位置に取り付けられる
ことを特徴とする距離検出装置。
【請求項2】
前記レンズ装置の被写体側の端部に着脱可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の距離検出装置。
【請求項3】
複数の前記発光手段を有し、
前記複数の発光手段は、それぞれ異なるタイミングで照射光を照射する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の距離検出装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記発光手段の照射光軸は、前記レンズ装置が備える撮像光学系の光軸と平行でない
ことを特徴とする請求項3に記載の距離検出装置。
【請求項5】
前記複数の発光手段のうち、前記距離検出装置の中心軸からの垂直方向の距離が第1の距離である第1の発光手段の方が、前記中心軸からの垂直方向の距離が第1の距離より小さい第2の距離である第2の発光手段より、前記照射光軸の傾きが大きい
ことを特徴とする請求項4に記載の距離検出装置。
【請求項6】
前記第1の発光手段は、前記第2の発光手段よりも前記距離検出装置の径方向内側に配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の距離検出装置。
【請求項7】
前記複数の発光手段のうち、前記第1の発光手段は、前記第2の発光手段より先に前記対象領域を照射光で照射する
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の距離検出装置。
【請求項8】
前記発光手段から前記受光手段までの距離が、前記発光手段から前記距離検出装置の中心軸までの距離よりも長い
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項9】
前記発光手段と前記受光手段とは、前記中心軸と直交する面において、前記中心軸を挟んで対向する位置に配置される
ことを特徴とする請求項8に記載の距離検出装置。
【請求項10】
前記発光手段と前記受光手段と前記通信手段とを備える配線基板を有し、
前記通信手段は、前記配線基板における前記発光手段と前記受光手段との中間の位置に配置される
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の距離検出装置。
【請求項11】
前記距離検出装置が有する前記通信手段は、前記撮像装置が有する通信手段と、前記レンズ装置が備える撮像光学系の光軸と直交する面において、同一方向に配置される
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項12】
前記発光手段から前記距離検出装置が有する前記通信手段までの距離は、前記受光手段から前記通信手段までの距離よりも長い
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項13】
前記配線基板と前記距離検出装置の中心軸を挟んで対向する位置に配置される放熱部材を有する
ことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項14】
前記距離検出装置が前記レンズ装置に着脱するために用いられる着脱手段を有し、
前記着脱手段は、
前記レンズ装置が備える撮像光学系の光軸から前記距離検出装置の径方向外側に向かって付勢された操作部材と、
前記操作部材の切り欠き部と嵌合する曲げ部が形成された被ロック部材と、
前記光軸と平行方向に付勢され、段差形状部が形成されたスライド部材と、を有し、
前記操作手段の非操作時において、前記被ロック部材は、前記スライド部材によってロックされ、前記操作手段の操作時には、前記ロックが解除される
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項15】
前記操作手段の押下時に、前記被ロック部材のロックが解除されることによって、前記操作手段は、前記光軸を中心とした周方向に移動できる状態となり、
前記操作手段の非押下時は、前記被ロック部材がロックされることによって、前記操作手段は、前記周方向に移動できない状態となる
ことを特徴とする請求項14に記載の距離検出装置。
【請求項16】
前記操作手段の非押下時に、前記被ロック部材は、前記スライド部材に形成された段差形状部に当接してロックされ、
前記操作手段の押下時は、前記段差形状部が前記被ロック部材から離れて、前記ロックが解除される
ことを特徴とする請求項14または請求項15に記載の距離検出装置。
【請求項17】
前記被ロック部材は、柔軟部材で形成された端部を有する
ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項18】
前記スライド部材が有する前記段差形状部は、それぞれ異なる角度を有する
ことを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項19】
前記光軸を挟んで対向する位置に配置された複数の前記着脱手段を有する
ことを特徴とする請求項14乃至18のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項20】
前記操作手段は、前記距離検出装置の外周面よりも径方向に延出して配置される
ことを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項21】
前記操作手段は、前記距離検出装置の外周上の第1の点から第2の点までの外径円弧と、前記第1の点における第1の接線と、前記第2の点における第2の接線とで囲まれる領域に配置される
ことを特徴とする請求項20に記載の距離検出装置。
【請求項22】
前記発光手段を前記通信手段と電気的に接続するための第1の信号配線と、前記受光手段を前記通信手段と電気的に接続するための第2の信号配線とが設けられた配線基板を有し、
前記第1の信号配線と、前記第2の信号配線とは、前記配線基板の積層方向に互いに重ならないように設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項23】
前記発光手段からの照射光を走査する走査手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至22のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項24】
前記発光手段を前記通信手段と電気的に接続するための第1の信号配線と、前記受光手段を前記通信手段と電気的に接続するための第2の信号配線と、前記走査手段を前記通信手段と電気的に接続するための第3の信号配線とを有する配線基板を有し、
前記第1の信号配線と、前記第2の信号配線と、前記第3の信号配線とは、前記配線基板の積層方向に互いに重ならないように設けられる
ことを特徴とする請求項23に記載の距離検出装置。
【請求項25】
前記発光手段は、前記通信手段に対して、前記走査手段および前記受光手段よりも近い位置に配置される
ことを特徴とする請求項24に記載の距離検出装置。
【請求項26】
前記距離検出装置の受光手段と、前記撮像装置の前記撮像手段とは、光軸方向に異なる位置に配置される
ことを特徴とする請求項1乃至25のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項27】
前記距離検出装置の受光手段は、前記撮像装置の前記撮像手段よりも光軸方向の被写体側に配置される
ことを特徴とする請求項1乃至26のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項28】
前記撮像装置は、前記レンズ装置が保有する突出量情報から算出される前記距離検出装置と前記撮像手段との距離情報を補正値として記録する制御部を備える
ことを特徴とする請求項1乃至27のいずれか1項に記載の距離検出装置。
【請求項29】
前記制御部は、前記距離検出装置が取得した距離情報に、前記補正値を加えた値を被写体までの距離情報として記録する
ことを特徴とする請求項28に記載の距離検出装置。
【請求項30】
前記制御部は、前記レンズ装置が光軸方向に進退する毎に、その進退した可動量を記録する
ことを特徴とする請求項29に記載の距離検出装置。
【請求項31】
前記制御部は、前記距離検出装置が取得した距離情報に前記補正値を加え、前記可動量を加減した値を被写体までの距離情報として記録する
ことを特徴とする請求項30に記載の距離検出装置。
【請求項32】
請求項1乃至31のいずれか1項に記載の距離検出装置と、
前記レンズ装置を介して被写体を撮像する撮像手段と、を有する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項33】
前記撮像により取得された撮像画像を表示する表示手段、を有し、
前記表示手段は、前記距離検出装置から受信した前記距離検出装置の姿勢情報を前記撮像画像に重ねて表示する
ことを特徴とする請求項32に記載の撮像装置。
【請求項34】
前記表示手段は、前記距離検出装置から受信した前記距離情報を示す画像を前記撮像画像に重ねて表示する
ことを特徴とする請求項33に記載の撮像装置。
【請求項35】
前記撮像画像のエッジ部と、前記距離検出装置から受信した前記距離情報を示す画像のエッジ部とが一致するように、前記距離情報を示す画像を補正する補正手段を有する
ことを特徴とする請求項34に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の距離情報を取得する距離検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等が普及し、撮影の機会や写真撮影枚数が大幅に増加しており、周辺技術の進歩により撮像画像の画質や解像感が向上している。更に画質や解像感を高めるために、撮像装置から被写体までの距離情報(画像の奥行情報)を画素ごとに取得する技術がある。撮影前に距離情報を取得して、AF(自動焦点調節)の高速化、白とびや黒つぶれ等の発生箇所を補完する等の撮影補助、2次元画像に対する3次元的な画像表現が可能となる。撮影時の距離情報を用いて、背景と主被写体の画像にコントラスト差を設定したり、主被写体の輪郭を強調したり、主被写体に向けられている外光により発生する陰影を調整することができる。撮影時に保持した距離情報を用いて撮影後に、主被写体へ照射される外光の向きを変更する画像処理や前記補完が可能となる。また多視点撮影、拡張現実、仮想現実等の分野では3次元空間のマッピングに距離情報が活用される。画像や映像から距離情報を取得するための距離画像は、画素ごとに被写体の距離情報を表す画像である。
【0003】
TOF(Time of Flight)方式は、撮像装置から被写体に向けて測距光を照射し、その反射光を距離画像取得用の撮像素子が受光するまでにかかる時間から距離を算出する方法である。例えば、所定の照射パターンにより強度変調された赤外光が被写体に照射される。被写体により反射された赤外光は撮像素子で受光され、照射パターンの照射時点と受光時点との時間差が検出されて距離値が算出される。距離値は画素ごとにビットマップ状に集められ、距離画像データとして保存される。特許文献1に開示された装置は、撮像装置本体に配置された測距光照射器の照射方向をアクチュエータにより変化させて、全撮影範囲への測距光の照射を行う。ユーザがどのような撮影画角で撮影を行っても、撮影画像全域での距離画像を正しく取得できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-157044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図24は、測距光照射器が配置された撮像装置の側面と、距離画像の一例を示す図である。図24(A)に示すように、撮像装置本体100には、測距光照射器301が設けられている。距離画像を取得するためには、測距光照射器301から照射した測距光354が、被写体に届く必要がある。特許文献1の開示内容にしたがって、測距光照射器301を撮像装置本体100に配置すると、図24(A)のように、測距光354は、撮像装置本体100に設けられたレンズ鏡筒200に遮られて、被写体まで届かない(ケラレが発生する)。
【0006】
図24(B)は、測距光354がレンズ鏡筒200に遮られた場合の距離画像359を示す。被写体を含む画角領域において、測距光354が照射されない領域が存在する場合、距離画像取得用の撮像素子は、当該照射されない領域の範囲に関して、測距光354の受光ができない。図24(B)では、測距光354が照射されず、距離画像を取得できない領域を領域365として示している。領域365は無限遠として出力されてしまう。
【0007】
本発明は、撮像装置に取り付けられ、被写体までの距離を検出するための照射光を、撮像装置が備えるレンズ鏡筒等の構成部材に遮られることなく対象物に照射することができる距離検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態の距離検出装置は、対象領域を照射光で照射する発光手段と、前記対象領域上の対象物による、前記照射光の反射光を受光する受光手段と、前記発光手段が前記照射光を照射してから前記受光手段が前記反射光を受光するまでの時間差に基づいて、前記対象物までの距離を示す距離情報を取得する取得手段と、前記距離情報を通信する通信手段と、を有する。前記距離検出装置は、撮像装置が備えるレンズ装置に対し、当該レンズ装置を取り囲む位置に取り付けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の距離検出装置によれば、被写体までの距離を検出するための照射光を、撮像装置が備えるレンズ鏡筒等の構成部材に遮られることなく対象物に照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】カメラシステムの外観斜視図である。
図2】距離検出装置を説明する分解斜視図である。
図3】カメラシステムの回路構成を説明する図である。
図4】TOFシステムを説明する図である。
図5】撮像画像と距離画像とを説明する図である。
図6】距離検出装置の取付け位置の調整方法を説明する図である。
図7】カメラシステムの回路構成を説明する図である。
図8】発光素子の配置と、発光素子からの照射光の照射範囲を説明する図である。
図9】カメラシステムの回路構成を説明する図である。
図10】走査デバイスの構成と照射範囲とを説明する図である。
図11】撮像画像と距離画像とを示す図である。
図12】取付け機構の分解斜視図の一例である。
図13】距離検出装置をレンズ装置に取り付ける前の状態を示す図である。
図14】操作レバーの操作時における距離検出装置の状態を示す図である。
図15】操作レバーの操作時における距離検出装置の状態を示す図である。
図16】操作レバーの操作時における距離検出装置の状態を示す図である。
図17】操作レバーの非操作時における距離検出装置の状態を示す図である。
図18】距離検出装置の構成例を示す図である。
図19】FPCに設けられた信号配線の一例を説明する図である。
図20】FPCに設けられた信号配線の一例を説明する図である。
図21】FPCに設けられた信号配線を説明する図である。
図22】FPCに設けられた信号配線を説明する図である。
図23】FPCに設けられた信号配線を説明する図である。
図24】測距光照射器が配置された撮像装置の側面と距離画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。各実施形態では、撮像装置(以下、カメラとも称す)100が備えるレンズ装置200に距離検出装置300が装着されたカメラシステム1の例を示す。
【0012】
[第1実施形態]
図1乃至図6を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1はカメラシステム1の外観斜視図である。説明の便宜上、カメラ100の底面には、互いに直交するX軸およびZ軸を定義し、X軸およびZ軸のそれぞれに対して直交する軸をY軸と定義する。カメラ100の光軸Oの方向はZ軸に平行な方向とし、被写体側を前側と定義する。またレンズ装置200の光軸Oを中心とする半径方向において光軸Oに近い側を内周側または径方向内側とし、光軸から離れる側を外周側または径方向外側と定義する。
【0013】
カメラ100の正面には、レンズ装置200が設けられている。距離検出装置300は、レンズ装置200の被写体側の端部(前端部)にて取付け機構(不図示)によりレンズ装置200の周囲(外周)を取り囲む位置に取付けられている。レンズ装置200については、カメラ100の本体部に対して着脱可能でもよく、また両者が一体的に構成されていてもよい。
【0014】
距離検出装置300は、レンズ装置200に対して着脱可能であるか、またはレンズ装置200と一体的に構成される。例えば、距離検出装置300は、その中心軸がレンズ装置200が備える撮像光学系の光軸Oと略一致するように取り付けられる。したがって、以下の距離検出装置300に関する説明で用いる「光軸O」という用語は、距離検出装置300の中心軸と同等の意味に適宜読み替えることができるものとする。距離検出装置300は、光軸Oを中心とした円環形状を成し、発光部301および受光部302を備える。レンズ装置200の前面レンズは距離検出装置300の開口部から前側に露出した状態である。距離検出装置300はカメラ100に対してケーブル2を介して電気的に接続されており、各種情報の通信や給電が行われる。
【0015】
距離検出装置300は、レンズ装置200の前端部の周囲を取り囲むように配置されるので、距離検出装置300の照射光(測距光)に対し、レンズ装置200等の障害物によるケラレは発生しない。撮像装置の画角領域内への照射を行い、測距光を距離画像取得用の撮像部で受光して、距離画像を取得することができる。距離画像は、カメラ100と被写体との距離を示す距離情報を表す画像である。
【0016】
図2は、距離検出装置300の分解斜視図である。距離検出装置300は、フロントカバー304、発光部301、受光部302、フレキシブルプリント基板(以下、FPCと略称する)306、接続端子307、取付け機構303、リアカバー305を備える。
【0017】
発光部301は対象領域を照射光で照射する。発光部301は、発光素子309を備える。受光部302は、受光素子(TOFセンサ)310と、レンズユニット308を備える。レンズユニット308は、受光素子310の前面側、つまり対象領域上の対象物である被写体の側に配置される結像レンズを含む。
【0018】
発光素子309と、受光素子310と、制御用IC(TOF-CPU)350(図3)は、FPC306と電気的に接続されている。制御用IC(TOF-CPU)350は、発光素子309および受光素子310を制御する。接続端子307は、FPC306に実装されており、フロントカバー304とリアカバー305がビス等により締結固定された状態において、フロントカバー304とリアカバー305の境目で外部に露出する。取付け機構303は、距離検出装置300がレンズ装置200に着脱するために用いられる着脱手段として機能する。取付け機構303内の操作部材である操作レバーをスライドさせることで、レンズ装置200と距離検出装置300の取り付けが可能となる。
【0019】
図3は、本実施形態のカメラシステム1の主要な電気的構成を示すブロック図である。まず、カメラ100およびレンズ装置200の構成について説明する。カメラ100は、MPU101乃至絞り装置206を有する。カメラ100の本体部に内蔵されたマイクロコンピュータ(以下、「MPU」と称する)101は、カメラ100の動作制御を司る。MPU101は各構成要素に対して様々な処理や指示を実行する。MPU101は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、入出力制御回路(I/O CONTROL)、マルチプレクサ、タイマ回路等を含むマイコン内蔵のワンチップIC回路構成である。MPU101はカメラシステム1の制御をソフトウエアにより行うことができる。電池102はカメラ100の電源であり、電源回路103に接続される。電源回路103は、出力電圧を後述する各回路に供給する。
【0020】
スイッチ群106は、例えばレリーズボタン118の半押し操作でオンになるスイッチ(SW1)、レリーズボタン118の全押し操作でオンになるスイッチ(SW2)を含む。また、スイッチ群106は、露出を設定するためのスイッチ(絞り、シャッタ速度設定SW)等の各種操作スイッチを含む。スイッチ群106による信号はMPU101が取得する。
【0021】
測距回路108は被写体距離の測定を行い、測定データをMPU101に出力する。被写体距離の測定方法に関して、例えばアクティブ方式では、カメラ100側から光を照射して、被写体からの反射光を受光することにより被写体距離情報を取得可能である。パッシブ方式では、画面に対応して設けられたラインセンサ等の撮像センサの像信号を読みとることにより、被写体像に対応する焦点位置から位相差検出方式での演算を行い、被写体距離情報を検出可能である。また、測距回路108は被写体が人物である場合に顔検知や瞳検知等の、特徴領域の検出を行うことが可能である。
【0022】
MPU101は、カメラ側接点116とレンズ側接点207を介してレンズ装置200と通信を行う。レンズ装置200が備えるレンズ制御回路201は、MPU101との間で通信を行い、AF(オートフォーカス)駆動回路203を介して撮影レンズ205を駆動し、焦点調節の制御を行う。図3では便宜上、1枚の撮影レンズ205のみを図示しているが、実際はフォーカスレンズ等、多数のレンズ群によって撮像光学系が構成される。AF駆動回路203は、例えばステッピングモータ等を備え、レンズ制御回路201の制御指令にしたがってフォーカスレンズの位置を変化させ、焦点合わせを行う。またレンズ制御回路201は、絞り駆動回路204を介して絞り装置206を駆動し、露出制御を行う。絞り駆動回路204は、例えばオートアイリス等を備え、レンズ制御回路201の制御指令にしたがって絞り装置206の開口径を変化させ、光学的に絞り値を調整する。
【0023】
カメラ100の本体部が備える焦点距離検出回路109は、撮影レンズ205の焦点距離情報をMPU101に出力する。例えば、撮影レンズ205が単焦点レンズである場合、固定の焦点距離を示すデータがMPU101に送られる。また撮影レンズ205がズームレンズである場合、ズームエンコーダ(不図示)により検出される撮影レンズ205のズーム停止位置に応じた焦点距離を示すデータがMPU101に送られる。
【0024】
表示部110は、液晶ディスプレイ(LCD)、液晶ビューファインダ(EVF)、有機ELディスプレイ等の表示デバイスを備え、撮影に関する情報や画像情報等を表示する。なお、表示部110には、有機ELなどを用いてもよい。
【0025】
シャッタ114は、撮像素子113の前面側に設けられていて、撮像素子113を遮光状態にする位置と撮像素子113を露光状態にする位置とに移動可能である。撮像素子113には、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)によるイメージセンサが使用され、露光時に受光した光束に応じた画像信号を光電変換により出力する。これにより、被写体が撮像される。
【0026】
ケーブル2は、カメラ本体部側の接続端子115と距離検出装置300側の接続端子307とを繋ぐ接続部材である。ケーブル2、接続端子115および接続端子307を介して、MPU101とTOF-CPU350が相互通信を行い、またカメラ本体部から距離検出装置300へ電力供給を行うことができる。すなわち、接続端子307は、各種情報(例えば、距離情報)をカメラ100に通信する第1の通信手段であり、接続端子115は、各種情報を距離検出装置300に通信する第2の通信手段である。本実施形態ではカメラ本体部が電池102を備えるが、距離検出装置300にも電池を備える構成でもよい。
【0027】
次に、距離検出装置300の回路構成について説明する。距離検出装置300は、発光部301乃至姿勢検出部353を有する。発光部301は、発光素子309を有する。受光部302は、受光素子310とレンズユニット308を有する。TOF-CPU350は、距離検出装置300全体を制御する。発光部301は光源駆動部351と電気的に接続されており、TOF-CPU350からの制御信号により、光源駆動部351が発光素子309を発光させる。発光素子309には一般的に、LED(発光ダイオード)、VCSEL(面発光レーザー)等が用いられ、使用される光の波長域は近赤外線等の不可視光域である。
【0028】
被写体356は照射対象領域上の対象物である。照射光354は被写体356によって反射され、その反射光355を受光部302が受光する。受光部302は、レンズユニット308と受光素子310を備える。被写体356からの反射光355はレンズユニット308で結像された後、受光素子310が受光して光電変換を行い、距離画像生成用のアナログ信号を出力する。受光素子310が出力するアナログ信号は、A/Dコンバータ352が取得してデジタル信号に変換する。デジタル信号はTOF-CPU350に送信される。姿勢検出部353は、角速度センサ、加速度センサまたは傾斜センサ等、水準器機能を備え、距離検出装置300の姿勢情報を検出して、検出信号をTOF-CPU350に出力する。姿勢情報に基づいて、カメラ100と距離検出装置300の取付け調整を行うことができる。
【0029】
発光部301と受光部302を用いた距離検出は、カメラ100のMPU101からの指令に従ってTOF-CPU350が各部に制御信号を送信することで行われる。例えば、スイッチ群106に含まれる電源スイッチのオンが検出された場合、表示部110は画面上に、カメラ100の撮像素子113による第1のライビュー表示と、距離検出装置300の受光素子310による第2のライブビュー表示を行う。距離検出装置300によるライブビュー表示については、発光素子309から被写体への照射の中止や、照射光354の照射量の調整を行うことで表示状態や表示内容を変更することができる。表示部110における画像の表示方法としては、第1のライブビュー表示と、第2のライブビュー表示を、分割した2画面に表示する方法と、各表示画像を重畳して表示する方法がある。あるいは、第1または第2のライブビュー表示を任意に選択して表示する方法等がある。
【0030】
カメラシステム1において、レリーズボタン118が全押し操作されてスイッチ(SW2)がオンすると、カメラ100の撮影動作と距離検出装置300の撮影動作が開始する。あるいは、レリーズボタン118が半押し操作されてスイッチ(SW1)がオンすると、発光部301の照射準備の指示が行われ、電力供給が行われる。必要に応じてスイッチ(SW1)とスイッチ(SW2)とで機能を分けることができる。例えばスイッチ(SW1)のオン操作で距離検出装置300の撮影動作を開始させ、スイッチ(SW2)のオン操作でカメラ100の撮影動作を開始させることができる。
【0031】
TOF-CPU350は、A/Dコンバータ352から取得したデジタル信号、つまり距離画像データに対応する信号を、距離検出装置側の接続端子307、ケーブル2、カメラ側の接続端子115を介してMPU101に送信する。
【0032】
MPU101は、カメラ100で撮影された撮像画像と距離検出装置300で撮影した距離画像を取得して画像処理を行う。MPU101は、撮像画像と距離画像との合成処理を行うことで3次元画像のデータを生成して記録装置(不図示)に保存する。保存方法には、合成後の3次元画像データを保存する方法と、撮像画像に対して距離画像を付与してデータを保存する方法と、撮像画像と距離画像の各データを別々に保存する方法等がある。
【0033】
図4(A)は、TOFシステムを説明する図である。
発光素子309は、TOF-CPU350の制御信号により、例えば、10MHzで変調された照射光354を発生させて被写体356を照射する。被写体356からの反射光355は、レンズユニット308により結像され、被写体356との距離に応じた遅れ時間をもって受光素子310に到達する。この遅れ時間から、TOF-CPU350はカメラシステム1から被写体356までの距離を算出する(TOF方式)。例えば、遅れ時間が10ナノ秒である場合、光速度は30万km/秒であるため、被写体距離357は、3m(=10ナノ(0.00000001)秒×30万km/秒)となる。すなわち、TOF-CPU350は、発光部301が照射光を照射してから受光部302が反射光を受光するまでの時間に基づいて、距離情報を算出(取得)する。
【0034】
図4(B)は、距離検出装置300とカメラ100の撮像素子113との距離を示した図である。図4(B)では、距離検出装置300で取得した被写体距離357を距離情報Lとする。ここでは、距離情報Lをレンズユニット308までの距離としているが、実際は、受光素子310までの距離となる。
【0035】
距離検出装置300は、レンズ装置200の前端部に取り付けるため、カメラ100の撮像素子113とレンズユニット308は光軸方向にl(スモールエル)分だけ離れた距離に固定される。そのため、レンズ装置200は距離検出装置300の位置情報を保持(保有)しており、カメラ100にレンズ装置200を取り付けたときに、MPU101は距離情報l(突出量情報)を取得する。したがって、MPU101は、距離検出装置300より取得した距離情報Lを基に、撮像素子113からレンズユニット308間の距離lを補正値として記憶し、MPU101は補正値である距離lを加えた被写体までの距離情報L+lとして記録する。
【0036】
撮影者によってレンズ装置200が交換された場合、交換後のレンズ装置200の位置情報より、補正値である距離lが変化する。MPU101は、レンズ装置200が交換されたことを検知し、距離検出装置300の位置情報を取得することで補正値である距離lを補正値として記憶部へ記録する。
【0037】
また、レンズ装置200がズーム操作やフォーカス駆動により全長が変動する場合、距離検出装置300は光軸方向Oへの進退に伴って、前後する。
【0038】
図4(C)は、距離検出装置300がΔlだけ被写体356側に移動した図である。この時、MPU101は、距離情報lに距離検出装置300の移動量Δlを加えた、距離情報l+Δlとして記録する。同様に、移動量Δlだけ被写体356から遠ざかるように移動した場合は距離情報l-Δlとして記録する。したがって、MPU101はズーム操作やフォーカス駆動に連動し、移動量Δl(可動量)の加減を連続的に取得する。
【0039】
図5は、カメラシステム1によって取得される撮像画像と距離画像とを説明する図である。
図5(A)は、距離検出装置300を正面から見た状態を示す。
距離検出装置300は、例えば、図5(A)に示す位置に発光素子309と受光素子310とを備えている。図5(B)は、カメラ100が撮影した撮像画像358を示す。図5(C)は、距離検出装置300が撮影した距離画像359を示す。
【0040】
図5(C)では、TOFシステムにより取得された被写体距離を白黒の濃淡で表している。被写体である人物の顔部分(特徴領域)に対応した画角中央付近において、精度よく被写体距離が取得されている。発光素子309における照射範囲と被写体との距離とに応じて、被写体距離の取得精度が異なる。画角中央付近の周辺部は、発光素子309における照射範囲外であるため、被写体距離の取得精度が良くない。被写体の特徴領域に対応する被写体距離を表すマップを、被写体距離マップ364と呼ぶ。
【0041】
カメラシステム1では、距離検出装置300が、レンズ装置200の先端に配置されている。したがって、発光部301からの照射光354が、被写体に到達するまでの過程で、カメラ100やレンズ装置200により遮られない(ケラレが発生しない)。同様に、被写体356からの反射光355が、受光部302に到達するまでの過程で、カメラ100やレンズ装置200により遮られない。そして、カメラシステム1が、撮像画像と、精度良く得られた距離画像とを合成することで、立体感のある3次元画像を出力することができる。例えば、図5(B)に示す撮像画像358と、図5(C)に示す距離画像359とを合成した場合、被写体距離マップ364が取得できた人物の顔部分について3次元(凹凸感等)を表現した画像を取得することができる。
【0042】
図6は、カメラ100に対する距離検出装置300の取付け位置の調整方法を説明する図である。
レンズ装置200に距離検出装置300を装着する際、カメラ100で撮影した撮像画像と、距離検出装置300で撮影した距離画像の撮影画角とで、光軸Oを中心とした回転方向のズレが生じる場合がある。この場合、カメラ100で撮影した撮像画像と距離検出装置300で撮影した距離画像とを合成すると、撮影画角の異なる画像同士が重なるので、3次元画像の取得が困難となる。以下に、距離検出装置300の装着時に発生し得るズレを抑制、もしくは修正する位置調整方法について説明する。
【0043】
まず、図6(A)を参照して、姿勢検出による取付け位置の調整方法について説明する。図6(A)は、カメラ100が有するLCDまたは不図示の液晶ビューファインダ(EVF)などの表示部110に、ライブビュー画像が表示されている様子を示す。図6(A)のように、カメラ100が有するMPU101は、表示部110に表示されているライブビュー画像に重ねて、表示部110に対する水平/垂直の基準線361を表示する。水平/垂直の基準線361は、例えば、グリッド線や光軸Oに直交する線等である。また、MPU101は、距離検出装置300の姿勢検出部353で検出された距離検出装置300の姿勢情報を、接続端子307および接続端子115を介して距離検出装置300から取得する。そして、MPU101は、取得した姿勢情報を示すバー360をライブビュー画像に重ねて表示する。これにより、撮影者は、距離検出装置300が、光軸Oを中心にどの程度回転方向にズレているかを容易に認識することができる。そして、撮影者は、表示部110に表示された基準線361およびバー360を見ながら、カメラ100に対する距離検出装置300の取付け位置を調整することができる。
【0044】
図6(A)に示す例では、MPU101は、距離検出装置300の姿勢をバー360で表示するが、基準線361に対する距離検出装置300の傾きを撮影者が認識することができれば、他の表示方法を適用可能である。また、姿勢検出部353は、距離検出装置300内に配置されていればよいが、検出精度を高めるために、距離検出装置300内において、光軸Oからより離れた位置に配置することが好ましい。
【0045】
次に、図6(B)乃至図6(D)を参照して、画像情報による取付け位置の調整方法について説明する。図6(B)は、カメラ100が撮影している撮像画像のライブビュー画像を示す。図6(C)は、カメラ100に対して、光軸Oを中心に所定量回転方向にズラして装着された距離検出装置300で撮影している距離画像のライブビュー画像を示す。図6(D)は、カメラ100の表示部110に、ライブビュー画像が表示されている様子を示す。
【0046】
図6(D)に示すように、MPU101は、表示部110には、図6(B)に示す撮像画像のライブビュー画像に重ねて、図6(C)に示す距離画像のライブビュー画像を重ねて表示する。これにより、撮影者は、距離検出装置300が、光軸Oを中心にどの程度回転方向にズレているかを容易に認識することができる。また、撮影者は、表示部110に表示された撮像画像のライブビュー画像と距離画像のライブビュー画像を見ながら、カメラ100に対する距離検出装置300の取付け位置を調整することができる。
【0047】
次に、撮影後に、カメラ100内の画像処理によって、画像間の光軸Oを中心とする回転方向のズレを補正する方法を説明する。MPU101は、図6(B)に示す撮像画像のエッジ部と、図6(C)に示す距離画像のエッジ部を抽出する。撮像画像のエッジ部は、例えば、被写体の色彩やコントラストが急激に変わる箇所である。距離画像のエッジ部は、例えば、距離情報が急激に変わる箇所である。MPU101は、距離画像を回転移動させて、エッジ部同士が一致するように補正し、撮像画像に重ねて表示する。MPU101は、撮像画像と距離画像との合成時には、図6(C)に示す距離画像は撮像画像に対して傾いているので、切り取り(トリミング)することで3次元画像に仕上げる。
【0048】
次に、図12乃至図16を参照して、距離検出装置300をレンズ装置200の先端に取付け機構303を用いて取り付け固定する方法について説明する。
図12は、取付け機構303の分解斜視図の一例である。
取付け機構303の取付けベース311は、ビス312を用いてフロントカバー304にビス固定されている。取付けベース311が、フロントカバー304に一体的に形成されていてもよいし、リアカバー305に取り付いていてもよい。
【0049】
スライド部材であるスライダー313は、取付けベース311に組み込まれる。スライダー313は、取付けベース311に対して、光軸Oと平行方向に動作可能なように、バネ314で-Z方向に付勢され、取付けベース311の不図示のリブに対して摺動動作している。また、スライダー313には、複数の段差形状部(第1ロック壁313a乃至第5ロック壁313f)が形成されている。
【0050】
操作レバー315は、スライダー313を取付けベース311と操作レバー315で挟み込む位置に配置されている。操作レバー315は、取付けベース311の不図示の箇所に組み込まれているバネ316によって、光軸Oから放射方向、つまり距離検出装置300の径方向外側に向かって付勢されている。操作レバー315は、バネ316により上記放射方向に沿った動作を可能とする。また、フロントカバー304、リアカバー305に挟持されており、距離検出装置300の外形円周方向への動作を可能とする。
【0051】
スライド羽根317は、スライダー313と操作レバー315との間に配置され、取付けベース311とリアカバー305の不図示のリブにて挟持されている。スライド羽根317の動作については後述する。スライド羽根317は、薄板形状で形成されており、金属部317aを有する。また、スライド羽根317は、柔軟部材で形成された端部として、例えば、ゴム部317bを有する。
【0052】
図13は、距離検出装置300をレンズ装置200に取り付ける前の状態を示す図である。
図13(A)は、光軸O側から距離検出装置300を見た状態を示す。
距離検出装置300をレンズ装置200に取り付ける前の状態、つまり操作レバー315の非操作時では、操作レバー315は、距離検出装置300の外周面よりも、距離検出装置300の径方向外側に延出した位置に配置されている。図13(A)に示す距離検出装置300には、複数の操作レバー315が設けられている。したがって、距離検出装置300は、光軸Oを挟んで対向する位置に配置された複数の取付け機構303を有する。
【0053】
図13(B)は、図13(A)に対応する側面図である。また、図13(C)は、図13(B)におけるA-A線での断面を示す。
図13(C)に示す状態では、スライド羽根317とレンズ装置200は接触していない。操作レバー315は、バネ316に付勢されて、光軸Oを基準とした放射方向Eへ飛び出た位置にある。このときに、操作レバー315の軸315の切り欠き部315aとスライド羽根317の立ち曲げ部317cとが嵌合する関係となっている。また、スライド羽根317のカム穴317dが、フロントカバー304の摺動ダボ304aと摺動する関係となっている。
【0054】
図13(C)に示す状態では、被ロック部材であるスライド羽根317のロック部317eと、スライダー313の第1ロック壁313aとは、当接または近接した状態にある。したがって、操作レバー315を距離検出装置300の円周方向F(図13(C)では時計回り)の方向に操作しても、スライド羽根317のロック部317eが、スライダー313の第1ロック壁313aに接触してロックされている。これにより、操作レバー315が回転規制され、操作レバー315は、光軸Oを中心とした周方向に移動できない状態となっている。
【0055】
一方、操作レバー315を距離検出装置300の円周方向F’(図13(C)では反時計回り)に操作しようとすると、フロントカバー304と操作レバー315とが接触することにより、操作レバー315が回転規制される。
【0056】
図14乃至図16は、操作レバー315の操作時における距離検出装置300の状態を示す。
操作レバー315の操作時には、スライド羽根317がロックされた状態が解除される。図14(A)は、撮影者が操作レバー315を放射方向Eとは逆方向に押下したときの距離検出装置300の状態を示す。操作レバー315の押下時には、操作レバー315は、距離検出装置300の内部へ入り込むように動作する。
【0057】
図14(B)は、図14(A)の状態での断面を示す。撮影者が、操作レバー315をバネ316の付勢力に抗する方向(-E方向)に押下すると、切り欠き部315aが、スライド羽根317の立ち曲げ部317cに沿うようにして動作する。この時に、図15(A)、(B)に示すように、操作レバー315の斜面部315bが、スライダー313の斜面部313bと接触し、スライダー313はZ方向へ移動する。操作レバー315を押下した状態では、スライダー313は、Z方向へ押しつけられるので、スライド羽根317のロック部317eからスライダー313の第1ロック壁313aが離れる。これにより、スライドバネ317のロックが解除され、操作レバー315の回転規制も解除されて、操作レバー315が、光軸Oを中心とした周方向に移動できる状態となる。
【0058】
図16は、撮影者が操作レバー315を押下したまま、円周方向Fに回転操作したときの距離検出装置300の状態を示す。
図16(A)に示すように、撮影者が操作レバー315を円周方向Fに回転操作すると、スライド羽根317が、距離検出装置300の内周側すなわちレンズ装置200に向かう方向に動作する。図16(B)は、操作レバー315の回転操作後の取付け機構303の断面を示す。スライド羽根317が、図16(B)に示す位置に移動すると、レンズ装置200がスライド羽根317のゴム部317bで挟持される。これにより、レンズ装置200に距離検出装置300を固定保持することが可能となる。
【0059】
撮影者が操作レバー315を-E方向に押下した状態で円周方向Fに回転操作させると、操作レバー315の切り欠き部315aとスライド羽根317の立ち曲げ部317cとが連動して動作する。スライド羽根317が円周方向Fに向かって移動すると、フロントカバー304の摺動ダボ304aとカム穴317dが摺動し、スライド羽根317が、レンズ装置200に向かう方向(-E方向)に移動する。
【0060】
図16(B)に示す状態のときに、スライド羽根317のゴム部317bが、レンズ装置200の溝部200aに押し付けられる。図16(A)に示すように、取付け機構303は、光軸Oを挟んで対向する位置に2箇所配置されており、ゴム部317bが、レンズ装置200の溝部200aに押し付けられることで、距離検出装置300が、レンズ装置200を挟持し、固定される。
【0061】
図17は、撮影者が、図16(A)の状態から操作レバー315を離した時、つまり操作レバーの非押下時(非操作時)における距離検出装置300の状態を示す図である。
撮影者が操作レバー315を押下している状態から手放すと、図17(A)、(B)に示すように、操作レバー315が、距離検出装置300の外周面からE方向に飛び出た状態になる。一方、スライド羽根317は、図16に示す状態を保持しているので、距離検出装置300は、レンズ装置200に固定されている。
【0062】
図17(B)は、図17(A)の状態のときの取付け機構303の断面を示す。
操作レバー315は、切り欠き部315aとスライド羽根317cが摺動しながら、バネ316の付勢力によって、距離検出装置300の外形側へ押し出される。
操作レバー315が、図17(B)の位置に移動すると、スライダーが、操作レバー315によってZ方向に付勢されている状態が解除される。したがって、スライド羽根317のロック部317eとスライダー313の第2ロック壁313cとが当接または近接した状態に配置される。これにより、スライド羽根317がロックされ、距離検出装置300が、レンズ装置200を挟持し固定保持された状態を維持することができる。
【0063】
操作レバー315を円周方向Fに回転しようとしても、摺動ダボ304aとカム穴317dの係合と、ロック部317eと第2ロック壁313cとの当接によって、距離検出装置300がレンズ装置200を固定保持する状態が維持される。また、レンズ装置200の溝部200aにスライド羽根317が嵌まり込んでいるので、距離検出装置300は不用意に動くことはない。
【0064】
以上説明した構成によって、距離検出装置300が、レンズ装置200に対して固定保持される。レンズ装置200の外径が、上記の例と異なる場合、第2ロック壁313cの代わりに、第3ロック壁313d、第4ロック壁313eまたは第5ロック壁313fにより、距離検出装置300がレンズ装置200を挟持する状態を維持することができる。第2ロック壁313c乃至第5ロック壁313fは、それぞれ異なる角度の面で形成されている。すなわち、第2ロック壁313c乃至第5ロック壁313fに形成された面は、スライド羽根317の位置に応じた角度を有している。なお、第1ロック壁313aを形成する面の角度を他のロック壁を形成する面の角度と異ならせてもよい。
【0065】
図13に示すように、操作レバー315が、距離検出装置300の外周から径方向外側へ飛び出た位置に配置されているのは、以下の理由による。距離検出装置300の前面側(フロントカバー304側)に操作レバー315を配置した場合は、撮影者が操作レバー315を操作する際に撮影者の手等がレンズ装置200に遮られてしまう。一方、距離検出装置300の背面側(リアカバー305側)に操作レバー315を配置した場合は、撮影者がレンズ装置200を操作する際に操作レバー315を不用意に触ってしまう。したがって、操作レバー315は、距離検出装置300の径方向外側へ飛び出た位置に配置されているのが好適である。
【0066】
図13(A)に示すように、操作レバー315は、距離検出装置300の外径円弧と、距離検出装置300の外周上の第1の点における第1の接線と、第2の点における第2の接線とで囲まれる領域に配置される。第1の接線と第2の接線とは直交している。また、上記外径円弧は、第1の点から第2の点までの外径円弧である。例えば、第1の接線は、X方向の接線X’であり、第2の接線は、Y方向の接線Y’である。これにより、レンズ装置200に距離検出装置300が固定された状態で机上等に置かれた場合にも、操作レバー315は、直接机上に接触することはなく、不用意に取付け機構303のロックは解除されない。
【0067】
図18は、発光部301および受光部302の発熱を考慮した距離検出装置300の構成例を示す図である。
距離検出装置300に配置される発光素子309と受光素子(TOFセンサ)310は、それぞれが発熱源となり、距離検出装置300の検出精度、操作に影響を及ぼす恐れがある。以下、発光素子309を含む発光部301と、受光素子(TOFセンサ)310を含む受光部302を発熱源とする。
【0068】
図18(A)は、距離検出装置300を、フロントカバー304を外し正面から見た状態を示す。図18(A)に示すように、距離検出装置300内の配線基板であるFPC306は、発光部301、受光部302、接続端子307を備えている。また、FPC306は、リアカバー305側に沿って配置されているが、フロントカバー304側に配置されてもよい。図18に示す例では、発光部301内の発光素子309、受光部302内の受光素子(TOFセンサ)310、接続端子307が、FPC306に実装されている。
【0069】
図18(A)に示す例では、発光部301と受光部302は、光軸Oを中心としたY軸上に配置されている。発光部301から受光部302までの距離を距離H1とする。また、光軸Oすなわち距離検出装置の中心軸から発光部301までを距離H2とする。発光部301と受光部302とは、距離H1が距離H2よりも長くなるように配置される。図18(A)に示す構成では、発熱源である発光部301と受光部302との距離が遠いので、距離検出装置300の局所的な温度上昇を抑えることができる。
【0070】
発光部301と受光部302は、光軸Oを中心としたY軸上に配置されなくてもよい。発光部301と受光部302がY軸上に配置できない場合であっても、発光部301から受光部302までの距離H1が光軸Oから発光部301までの距離H2よりも長くなるようにすればよい。発光部301と受光部302とを、光軸Oと直交する面において、光軸Oを挟んで対向する位置に配置することで、距離検出装置300内では距離H2に対して長い距離H1を設定することができる。
【0071】
接続端子307は、FPC306に配置した発光部301と受光部302の中間の位置に配置される。したがって、接続端子307から見て、FPC306は、発光部301と受光部302に向かって二手に分岐している。このような構成により、距離検出装置300の外観部に露出する接続端子307に関して、発光部301と受光部302から伝わる熱による温度上昇を抑えることができる。なお、接続端子307の位置は、FPC306における発光部301と受光部302の中間の位置に限定されない。
【0072】
図18(B)は、距離検出装置300における接続端子307の配置の一例を示す。
発光部301から接続端子307までの距離を距離H3とする。受光部302から接続端子307までの距離を距離H4とする。接続端子307は、距離H3が距離H4よりも長くなるように配置される。したがって、図18(B)に示す接続端子307は、図18(A)に示す接続端子307と比べて、受光部302側に寄って配置されている。このような構成では、発光部301が、受光部302に対して高い発熱性を有する発光素子309を備えていても、接続端子307の温度上昇を抑えることができる。一方で、受光部302が、発光部301に対して高い発熱性を有する受光素子(TOFセンサ)310を備える場合には、接続端子307を発光部301側に配置するようにする。
【0073】
前述した図1に示すように、カメラ100と距離検出装置300とは、ケーブル2によって電気的に接続されている。したがって、距離検出装置300の接続端子307は、ケーブル2によって、カメラ100の接続端子115と最短で接続するのが好適である。このために、距離検出装置300の接続端子307は、カメラ100の接続端子115と、光軸Oと直交する面において、光軸Oを基準として同一方向に配置される。
【0074】
図18(C)は、距離検出装置300に熱対策部材330を配置した例を示す。熱対策部材330として、銅やアルミニウム製の金属製の板金やグラファイトシートなどの放熱部材を使用する。
熱対策部材330は、光軸Oすなわち距離検出装置300の中心軸を挟んでFPC306と対向する位置(Y軸を基準として対向する位置)に配置される。熱対策部材330の取付け位置は、図18(C)に示す位置に限定されない。熱対策部材330は、FPC306と略同一の平面上に配置すればよい。このような構成により、距離検出装置300におけるZ軸方向の厚みを増すことなく、熱対策部材330を配置することができる。図18(C)に示す構成例では、接続端子307の配置位置と光軸Oを挟んで対向した位置に熱対策部材330が配置されるので、図18(B)に示す構成例と比較して、接続端子307の温度上昇を抑えることができる。なお、図18(C)では、FPC306と熱対策部材330とは略同等の長さとしているが、FPC306と熱対策部材330とは、同等の長さでなくてもよい。また、距離検出装置300が熱対策部材330を複数有していてもよい。図18(C)の熱対策部材330は、発光部301と受光部302を接続するように配置されているが、発光部301と受光部302のそれぞれに熱対策部材330を配置してもよい。
【0075】
図19および図20は、FPC306に設けられた信号配線の一例を説明する図である。
図19は、FPC306に設けられた信号配線の平面図を示す。図20は、FPC306の断面図を示す。図20(A)は、図19のS1-S1線での断面を示し、図20(B)は、図19のS2-S2線での断面を示す。
【0076】
FPC306の構成と、FPC306に設けられた各信号の配線位置について説明する。図19に示すように、第1の信号配線である発光信号配線721bは、発光素子309と接続端子307とを電気的に接続する。光源駆動部351(図3)からの、発光素子309を駆動するためのアナログ信号は、発光信号配線721bを介して、発光素子309へと送信される。発光素子309を駆動するためのアナログ信号は、例えば、発光素子309から照射光354を高周波で変調させるための変調信号を含む。
【0077】
また、第2の信号配線である受光信号配線721c、721dは、受光素子310と接続端子307を電気的に接続する。受光素子310から出力されたアナログ信号は、A/Dコンバータ352(図3に図示)によりデジタル信号に変換され、受光信号配線721c、721dを介して、接続端子307へと送信される。このデジタル信号は、距離画像として、ケーブル2、接続端子115を介してMPU101に送信される。
図20に示すように、FPC306は、絶縁体層720と、絶縁体層720の一方の面に積層して形成された第1の配線層721と、絶縁体層720の他方の面に積層して形成された第2の配線層722とを備えている。図20(A)に示すように、第1の配線層721には、GND配線721aおよび一対の受光信号配線721c、721dが配線されている。また、第2の配線層722にも、GND配線721aが配線されている。また、図20(B)に示すように、第1の配線層721には、発光信号配線721bも配線されている。第1の配線層721および第2の配線層722は、絶縁体であるカバーレイ723により覆われて、GND配線721aおよび発光信号配線721b、受光信号配線721c、721dが保護されている。
【0078】
次に、受光信号配線721c、721dの配線方法について説明する。受光信号配線721c、721dは、第1の配線層721において、GND配線721aで側方から囲まれるとともに、絶縁体層720を介して第2の配線層722に設けられたGND配線721aで下方からも囲まれている。また、受光信号配線721c、721dは、並列に配線され、GND配線721aと受光信号配線721c、721dとの間と、受光信号配線721cと受光信号配線721dとの間に、空隙724が設けられている。以上説明した構成により、受光信号配線721c、721dは、差動信号配線を形成している。これにより、高速伝送信号配線である受光信号配線721c、721dと、隣接する信号配線間の電磁界的な結合による信号波形干渉(クロストーク)が抑制される。
【0079】
次に、発光信号配線721bの配線方法について説明する。
図19に示すように、発光信号配線721bは、発光素子309から接続端子307に向かうように、距離検出装置300の正面から見て(-Z方向から見て)時計回りに配線されている。
【0080】
仮に、図19に示す線分L6の配線ルート(反時計回りのルート)上に、発光信号配線721bが配線された場合を想定する。この場合、発光信号配線721bは、絶縁体層720を挟んで、FPC306の積層方向に受光素子310または受光信号配線721c、721dと対向する位置を通過する。この位置において、受光信号配線721c、721dと発光素子信号配線724の間でクロストークが発生し、発光素子309から照射される照射光量の精度が低下するか、または受光素子310から出力されるアナログ信号にノイズが発生する。その結果、距離検出装置300が取得する距離画像の精度が低下してしまう。
【0081】
クロストークを防ぐためには、発光信号配線721bを受光信号配線721c、721dに対して、FPC306の積層方向および面方向に離間して配線する方法が考えられる。しかし、発光信号配線721bを離間して配線した分だけFPC306が積層方向および面方向に拡大し、距離検出装置300が大型化してしまう。
【0082】
本実施形態では、図19に示すように、発光信号配線721bを時計回りに設けることで、発光信号配線721bを、受光信号配線721c、721dに対してFPC306の積層方向に重なることなく、且つ、面方向に隣接することなく配線することができる。以上の構成により、受光信号配線721c、721dと発光素子信号配線724との間で発生するクロストークを防ぎ、精度よく距離画像を取得することができる。
【0083】
以上説明した本実施形態の距離検出装置300は、レンズ装置200の被写体側の端部に取り付けられているので、発光部301からの照射光がレンズ装置200に遮られることなく、距離画像情報を取得することができる。本実施形態では、距離検出装置300は円環形状である例を説明したが、距離検出装置300は、レンズ装置200の先端付近に配置されていれば、円環形状以外の構成を有していてもよい。
【0084】
[第2実施形態]
図7および図8を参照して、第2実施形態について説明する。
図7は、カメラシステム1の主要な電気的構成を示すブロック図である。
第1実施形態で説明したカメラシステム1と同じ部分については、同じ符号を付与し、詳細な説明は省略する。図7に示すように、発光部301には、複数の発光素子501A乃至501Hが設けられている。発光部301では、TOF-CPU350で制御された信号より、光源駆動部351が複数の発光素子を駆動して、各発光素子から照射光354を被写体に向かって照射させる。このように、発光部301に発光素子を複数配置することで、カメラ100の撮影画角に対する照射光354の照射範囲を増やすことができる。したがって、発光素子の照射範囲、配置数を考慮することで、撮影画角の全ての領域を照射光354によって照射することも可能である。
【0085】
各発光部301が、同時に各発光素子から照射光354を被写体に向かって照射すると、照射光354同士が重なる場合に、距離情報の検出精度が良くなくなることがある。したがって、各発光部301は、同時発光ではなく、異なるタイミングで発光してもよい。
【0086】
図8は、第2実施形態における複数の発光素子の配置と、各発光素子からの照射光の照射範囲を説明する図である。
図8では、距離検出装置300が発光素子を8個搭載している例を説明するが、発光素子の個数は何個でもよい。図8(A)は、光軸Oと平行に照射光を照射するように各発光素子を配置した距離検出装置300を正面から見た状態を示す。図8(B)は、図8(A)に示す配置例の場合の、カメラ100の撮影画角500に対する各発光素子からの照射光の照射範囲を示す。
【0087】
図8(A)において、各発光素子501A、501B、501C、501D、501E、501F、501G、501Hは、それぞれ光軸Oから等距離であって、かつ、各発光素子間が等間隔となるように配置されている。図8(B)において、照射範囲501a乃至501hは、図8(A)の発光素子501A乃至501Hによる照射範囲にそれぞれ対応している。距離検出装置300に発光素子を複数配置することで、カメラ100の撮影画角500に対する照射光の照射範囲を増やすことができる。これにより、前述のTOFシステムによって被写体距離を取得できる範囲を広げることが可能となる。
【0088】
しかし、図8(B)に示すように、一般的な撮影画角500は、撮像素子113の縦横比が異なるため、Y軸方向が短くなっている。したがって、光軸OからY方向に離れて配置されている発光素子501A、501D、501E、501Hの照射範囲501a、501d、501e、501hは、撮影画角500からはみ出やすい。
【0089】
以下に、複数の発光素子の好適な配置について説明する。好適な配置例では、例えば、少なくとも1つの発光素子の照射光軸は、光軸Oと平行でない。図8(C)は、各発光素子を光軸O方向に対して所定角度傾けて照射するように配置した距離検出装置300を側面から見た状態を示す。図8(D)は、図8(C)に示す配置例の場合の、カメラ100の撮影画角500に対する各発光素子からの照射による照射範囲を示す。
【0090】
図8(C)に示す例では、図8(A)の各発光素子を光軸O方向に対して所定角度傾けて配置している。発光素子502Cと発行素子502Dとを例にとって説明する。発光素子502Cの被写体に対する照射光の照射光軸Cと光軸Oとの角度を角度θ1とする。また、発光素子502Dの被写体に対する照射光の照射光軸Dと光軸Oとの角度を角度θ2とする。照射光軸Cと照射光軸Dは、それぞれ光軸Oと平行ではない。角度θ2が角度θ1より大きくなるように発光素子502C、502Dを配置する。距離検出装置300の中心軸(光軸O)からの垂直方向の距離が第1の距離である第1の発光手段(発光素子502D)は、中心軸からの垂直方向の距離が第1の距離より小さい第2の距離である第2の発光手段(発光素子502C)より照射光軸の傾きが大きい。これにより、図8(D)のように、照射範囲502dを撮影画角500の中心側にすることができる。
【0091】
また、図8(B)より、発光素子501Cからの照射光の照射範囲501cは、照射範囲501dと比べて撮影画角500に対するY軸方向のズレが少ない。したがって、図8(C)のように、発光素子502Cは、発光素子502Dからの照射光に対応する角度θ2より小さい角度θ1で照射する。すなわち、光軸Oから垂直方向(Y軸方向)に遠い発光素子ほど、被写体に対する照射方向と光軸Oとの角度を大きい角度に設定して配置する必要がある。しかし、被写体に対する照射方向と光軸Oとの角度が大きくなるほど、撮影可能な被写体距離の範囲が狭くなる。したがって、図8(E)、図8(F)に示す、より好ましい配置例を適用してもよい。
【0092】
図8(E)は、複数の発光素子の一部を光軸Oに近づけて配置した距離検出装置300を正面から見た状態を示す。図8(F)は、図8(E)に対応する配置例であって、各発光素子を光軸O方向に対して所定角度傾けて照射するように配置したときの距離検出装置300を側面から見た状態を示す。発光素子503B、503C、503F、503Gの位置は、図8(A)の発光素子501B、501C、501F、501Gの位置と同様である。図8(E)に示す発光素子503A、503D、503E、503Hは、図8(A)に示す発光素子501A、501D、501E、501Hと比べて、光軸Oに近く、距離検出装置300の径方向内側(内周側)に配置されている。
【0093】
図8(F)に示すように、発光素子503Dの被写体に対する照射光の照射光軸D’と光軸Oとの角度を角度θ3とする。各発行素子の配置を図8(E)に示す配置にすることで、図8(F)に示す角度θ3は、図8(C)に示す発光素子502Dの被写体に対する照射光の照射光軸Dと光軸Oとの角度θ2より小さい角度となる。すなわち、発光素子503A、503D、503E、503Hのような、光軸Oに対してY軸方向に遠い発光素子を、光軸Oに近づけるように距離検出装置300の径方向内側に配置することで、光軸O方向に対する照射光の傾きを最小限にすることができる。
【0094】
次に、各発光素子から照射光を照射する順番について説明する。一例として、撮影画角500の中央付近に距離画像を取得したい被写体が存在する場合に関して説明する。カメラシステム1は、撮影画角500の中央付近を照射する発光素子503A、503D、503E、503Hから先に照射光を照射し、次に発光素子503B、503C、503F、503Gから照射光を照射する。このような順番で各発光素子から照射光を照射することで、撮影画角500の中央付近の被写体を先に照射できるので、撮影者は、被写体を取り逃すことが少なくなる。撮影画角500に対する発光素子の配置に関して、Y軸方向に関して説明したが、X軸方向に関しても同様である。
【0095】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態におけるカメラシステム1の主要な電気的構成を示すブロック図である。
第1実施形態で説明したカメラシステム1と同じ部分については、同じ符号を付与し、詳細な説明は省略する。第3実施形態では、距離検出装置300が、発光素子と、半導体プロセスを用いて製作される微小電気-機械システム(MEMS)方式の走査デバイスとを有する発光部301を有する。MEMSは、Micro Electro Mechanical Systemの略称である。
【0096】
図9に示すように、発光部301には、発光素子309とともにMEMS方式の走査デバイス400が設けられている。また、距離検出装置300は、走査デバイス400を動作させる制御部として、SUB-TOF-CPU401を有する。SUB-TOF-CPU401は、TOF-CPU350から制御信号を受信し、走査デバイス400を駆動させる。
【0097】
TOF-CPU350からの制御信号によって、光源駆動部351が発光素子309を発光させ、走査デバイス400の反射ミラー402で反射させることで、被写体を照射する。図9に示す構成によれば、第1実施形態と比べて、照射範囲を広げることができる。また、SUB-TOF-CPU401を設けず、TOF-CPU350が、走査デバイス400を直接制御するようにしてもよい。
【0098】
図10は、走査デバイス400の構成と、走査デバイス400によって走査された照射光354が照射範囲405を2次元的に形成する様子を説明する図である。
図10に示すように、走査デバイス400の中央には、反射ミラー402が形成されている。走査デバイス400は、反射ミラー402を垂直軸(B軸)回りで揺動させるためのトーションバー403と、水平軸(A軸)回りで揺動させるためのトーションバー404とを有した、いわゆるジンバル構造を有する。
【0099】
走査デバイス400は、反射ミラー402を垂直軸(B軸)回りで駆動する電磁力又は静電気力などを使用した不図示のアクチュエータを有し、反射ミラー402は、この構造の共振作用によって高速で揺動する。また、走査デバイス400は、反射ミラー402を垂直軸(B軸)回りでの揺動に同期して、水平軸(A軸)回りにおいて揺動させる電磁力又は静電気力などを使用した不図示のアクチュエータを有する。
【0100】
図10において、線407は、反射ミラー402の垂直軸(B軸)回りでの揺動によって水平方向に走査される光束(走査線)の往路を示し、線408は復路を示している。実際には、走査線の本数は、図10に示した本数よりも多いが、説明をわかりやすくするために少ない本数で示している。
【0101】
走査デバイス400は、さらに、反射ミラー402の垂直軸(B軸)回りでの揺動に同期して、水平軸(A軸)回りで反射ミラー402を揺動させて、走査線を垂直方向(V方向)にも走査する。走査線が垂直方向の走査端409に到達すると、走査開始点410まで戻る。このように、走査デバイス400は、反射ミラー402を連続的に揺動させることによって、照射範囲405を2次元的に形成することが可能である。
【0102】
図11は、第3実施形態において取得される撮像画像と距離画像とを示す図である。
図11(A)は、カメラ100で撮影された撮像画像362を示す。また、図11(B)は、図9に示す発光部301を備えた距離検出装置300で撮影された距離画像363を示す。
【0103】
発光部301は、走査デバイス400が反射ミラー402を連続的に揺動させることにより形成した照射範囲405を照射する。これにより、距離検出装置300は、被写体である人物の顔部分に対応した画角中央付近において、被写体距離マップ364を取得する。したがって、人物の顔部分に対応した画角中央付近において、精度よく被写体距離を取得することができる。カメラシステム1が、図11(A)に示す撮像画像362と、図11(B)に示す距離画像363とを合成すると、距離画像が取得できた人物の顔部分(被写体距離マップ364)について3次元形状(凹凸感等)を表現した画像を得ることができる。
【0104】
図5(C)に示す距離画像359と比較すると、走査デバイス400の駆動により照射範囲が広がるため、距離画像363では、対応する距離情報の取得範囲が広い。一般的に、距離画像363の取得範囲は、発光部301の種類、配置、走査デバイス400の走査範囲によって定まる。第3実施形態のように、発光素子309と走査デバイス400とを有する発光部301を用いることで、照射範囲を広げることが可能となる。走査デバイス400の駆動範囲によっては、撮影画角内の任意の範囲を選択し、照射範囲を設定するような照射方法を採用してもよい。
【0105】
また、一般的には、発光素子のみを有する発光部と比べて、発光素子309と走査デバイス400とを有する発光部301では、照射角度の小さいレーザー等の発光素子を用いることが可能となるため、遠くの被写体まで照射することが可能である。照射範囲を更に広げるためには、発光素子309と走査デバイス400とを有する発光部301の組み合わせを複数備える構成を採用してもよい。
【0106】
図21乃至図23は、第3実施形態における、FPC306に設けられた信号配線を説明する図である。
図21は、FPC306に設けられた信号配線の平面図を示す。図22は、図21のS3-S3線での断面を示す。なお、第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付与し、本実施形態での説明は省略する。図21に示すように、第3の信号配線である走査信号配線721eは、走査デバイス400と接続端子307とを電気的に接続する。
【0107】
SUB-TOF-CPU401(図9)から送信される走査デバイス400を駆動するための矩形状のパルス信号(デジタル信号)は、走査信号配線721eを介して、走査デバイス400へと送信される。第1の配線層721は、絶縁体であるカバーレイ723により覆われて、GND配線721aおよび発光信号配線721b、受光信号配線721c、721d、走査信号配線721eが保護されている。図19および図20を参照して説明した第1実施形態と同様に、発光信号配線721bと、受光信号配線721c、721dとは、FPC306の積層方向に重ならないように配置されている。
【0108】
次に、走査信号配線721eの配線方法について説明する。図22に示すように、第1の配線層721において、走査信号配線721eが、GND配線721aで側方から囲まれており、GND配線721aは、走査信号配線721eに対して、ガードGND配線を形成している。また、リアカバー305の外周側から、発光信号配線721b、GND配線721a、走査信号配線721e、GND配線721aの順に、並列に配線されている。各配線間には空隙724が設けられている。これにより、GND配線721aが、走査信号配線721eからの信号漏れを抑制し、走査信号配線721eと発光信号配線721bとの間で発生するクロストークが抑制される。本実施形態では、走査信号配線721eを、GND配線721aで側方からのみ囲んでいる。走査信号配線721eを、GND配線721aで側方から囲むだけでなく、絶縁体層720を介して第2の配線層722に配線されたGND配線721aで下方からも囲むようにしてもよい。
【0109】
次に、発光信号配線721bの配線方法について説明する。図21に示すように、発光信号配線721bは、発光素子309から接続端子307に向かうように、距離検出装置300の正面から見て(-Z方向から見て)、時計回りに配線されている。
仮に、図21に示す線分L7の配線ルート(反時計回りのルート)上に、発光信号配線721bが配線される場合を想定する。この場合、発光信号配線721bは、走査デバイス400に対して絶縁体層720を挟んでFPC306の積層方向に対向する位置を通過する。この位置において、走査デバイス400または走査信号配線721eと発光素子信号配線724の間でクロストークが発生する。したがって、発光素子309から照射される照射光量の精度が低下するか、または走査デバイス400が備える反射ミラー402の揺動動作の精度が低下する。その結果、距離検出装置300が取得する距離画像の精度が低下してしまう。このようなクロストークを防ぐためには、発光信号配線721bを走査信号配線721eに対して、FPC306の積層方向および面方向に離間して配線する方法が考えられる。しかし、発光信号配線721bを離間して配線した分だけFPC306が積層方向および面方向に拡大し、距離検出装置300が大型化してしまう。
【0110】
本実施形態では、図21に示すように、発光信号配線721bを時計回りに設けることで、発光信号配線721bが、走査信号配線721eに対して、FPC306の積層方向に重なることなく、かつ面方向に隣接することなく配線することができる。
発光信号配線721bと同様に、走査信号配線721eと受光信号配線721c、721dがFPC306の積層方向に対向する位置を通過する場合、走査信号配線721eと受光信号配線721c、721dの間でクロストークが発生する。したがって、走査信号配線721eは、受光信号配線721c、721dに対して、FPC306の積層方向に重なることなく配線される。このような配線方法は、図19図20に示す発光信号配線721bと受光信号配線721c、721dの位置関係において、発光信号配線721bを走査信号配線721eに置き換えて実施すればよく、詳細な説明は省略する。
【0111】
距離検出装置300が有するデジタル信号として、距離検出装置300とカメラ100との間で距離画像を送受信する、タイミングを合わせるためのクロック信号(不図示)がある。クロック信号配線も高速信号配線の1つであり、走査信号配線721eと同様にガードGND配線を設けることで、クロック信号配線と発光信号配線721bとの間で発生するクロストークを抑制する。このような配線方法は、図21図22に示す発光信号配線721bと走査信号配線721eの位置関係において、走査信号配線721eをクロック信号配線に置き換えて実施すればよく、詳細な説明は省略する。
【0112】
図23は、クロストークを防ぐことができない発光素子309の配置例である。FPC306の図示は省略する。
距離検出装置300において、発光素子309の配置によっては、発光信号配線721bと受光信号配線721c、721dまたは走査信号配線721eとのクロストークを防ぐことができない場合がある。図23に示す配置例では、接続端子307に対して、受光素子310および走査デバイス400よりも離れた位置に、発光素子309が配置されている。この配置例では、発光素子309と接続端子307を電気的に接続するためには、発光信号配線721bを、線分L8または線分L9の配線ルート上で配線しなければならない。
【0113】
発光信号配線721bを線分L8の配線ルート上で配線した場合、発光信号配線721bは、受光素子310および受光信号配線721c、721dに対して、絶縁体層720を挟んでFPC306の積層方向に対向する位置を通過する。発光信号配線721bを線分L9の配線ルート上で配線した場合、発光信号配線721bは、走査デバイス400および走査信号配線721eに対して、絶縁体層720を挟んでFPC306の積層方向に対向する位置を通過する。したがって、発光信号配線721bと受光信号配線721c、721dまたは走査信号配線721eとのクロストークを防ぐことができない。
【0114】
一方、図21に示す本実施形態の距離検出装置300では、発光素子309は、接続端子307に対して、受光素子310および走査デバイス400よりも近い位置に配置されている。このような発光素子309の配置においては、発光信号配線721bが、走査デバイス400および走査信号配線721eに対して、絶縁体層720を挟んでFPC306の積層方向に対向する位置を通過することがない。また、発光信号配線721bが、受光素子310および受光信号配線721c、721dに対して、絶縁体層720を挟んでFPC306の積層方向に対向する位置を通過することもない。したがって、発光信号配線721bと受光信号配線721c、721dまたは走査信号配線721eとのクロストークを防ぐことができる。以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。上述した各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。例えば、図9に示す距離検出装置300が、複数の発光素子を有していてもよい。
【0115】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0116】
100 撮像装置
200 レンズ装置
300 距離検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2024-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と対象物との距離に対応する距離情報を取得するための距離検出システムであって、
対象領域を照射光で照射する発光手段と、
前記対象領域上の対象物による、前記照射光の反射光を受光する受光手段と、
前記発光手段が前記照射光を照射してから前記受光手段が前記反射光を受光するまでの時間に基づいて、前記対象物までの距離を示す距離情報を取得する取得手段と、
前記撮像装置との間で前記距離情報を通信する通信手段と、
前記通信手段を介して、前記距離検出システムの位置情報および前記距離情報を前記撮像装置に送信する制御手段と、
を有することを特徴とする距離検出システム
【請求項2】
複数の前記発光手段を有し、
前記複数の発光手段は、それぞれ異なるタイミングで照射光を照射する
ことを特徴とする請求項に記載の距離検出システム
【請求項3】
少なくとも1つの前記発光手段の照射光軸は、前記撮像装置の撮像光学系の光軸と平行でない
ことを特徴とする請求項に記載の距離検出システム
【請求項4】
前記複数の発光手段のうち、前記距離検出システムの中心軸からの垂直方向の距離が第1の距離である第1の発光手段の方が、前記中心軸からの垂直方向の距離が第1の距離より小さい第2の距離である第2の発光手段より、前記照射光軸の傾きが大きい
ことを特徴とする請求項に記載の距離検出システム
【請求項5】
前記第1の発光手段は、前記第2の発光手段よりも前記距離検出システムの径方向内側に配置されている
ことを特徴とする請求項に記載の距離検出システム
【請求項6】
前記複数の発光手段のうち、前記第1の発光手段は、前記第2の発光手段より先に前記対象領域を照射光で照射する
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の距離検出システム
【請求項7】
前記発光手段から前記受光手段までの距離が、前記発光手段から前記距離検出システムの中心軸までの距離よりも長い
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の距離検出システム
【請求項8】
前記発光手段と前記受光手段とは、前記中心軸と直交する面において、前記中心軸を挟んで対向する位置に配置される
ことを特徴とする請求項に記載の距離検出システム
【請求項9】
前記発光手段と前記受光手段と前記通信手段とを備える配線基板を有し、
前記通信手段は、前記配線基板における前記発光手段と前記受光手段との中間の位置に配置される
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の距離検出システム
【請求項10】
前記距離検出システムの受光手段と、前記撮像装置の前記撮像手段とは、光軸方向に異なる位置に配置される
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の距離検出システム
【請求項11】
前記制御部は、前記取得手段が取得した距離情報に、前記補正値を加えた値を被写体までの距離情報として記録する
ことを特徴とする請求項に記載の距離検出システム
【請求項12】
前記制御部は、前記レンズ装置が光軸方向に進退する毎に、その進退した可動量を記録する
ことを特徴とする請求項11に記載の距離検出システム
【請求項13】
前記制御部は、前記距離検出システムが取得した距離情報に前記補正値を加え、前記可動量を加減した値を被写体までの距離情報として記録する
ことを特徴とする請求項12に記載の距離検出システム
【請求項14】
前記発光手段はVCSELであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の距離検出システム。
【請求項15】
前記通信手段を介して前記撮像装置からの信号を受けて、前記発光手段による前記照射光の発光および前記受光手段による受光を開始することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の距離検出システム。
【請求項16】
前記撮像装置に着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の距離検出システム。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の距離検出システムと、
写体を撮像する撮像手段と、を有する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項18】
前記撮像により取得された撮像画像を表示する表示手段、を有し、
前記表示手段は、前記距離検出システムから受信した前記距離検出システムの姿勢情報を前記撮像画像と共に表示する
ことを特徴とする請求項17に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記表示手段は、前記距離検出システムから受信した前記距離情報を示す画像を前記撮像画像と共に表示する
ことを特徴とする請求項18に記載の撮像装置。
【請求項20】
前記通信手段を介して前記距離検出装置による前記距離情報の取得の開始を指示することを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項21】
前記通信手段を介して取得する前記距離情報をライブビュー表示する表示手段を有することを特徴とする請求項17乃至20のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項22】
前記表示手段は、前記距離情報とともに前記撮像手段で取得される画像をライブビュー表示することを特徴とする請求項17乃至21のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項23】
距離検出システムの制御方法であって、
発光手段が、対象領域を照射光で照射する発光ステップと、
受光手段が、前記対象領域上の対象物による、前記照射光の反射光を受光する受光ステップと、
取得手段が、前記発光手段が前記照射光を照射してから前記受光手段が前記反射光を受光するまでの 時間に基づいて、前記距離検出システムと前記対象物までの距離に対応する距離情報を取得する取得ステップと、
通信手段が、前記距離検出システムから前記撮像装置に前記距離情報を通信する通信ステップと、
制御手段が、前記距離検出システムの位置に基づいて前記取得手段により取得された前記対象物までの距離を補正して前記撮像装置から対象物までの距離に対応する距離情報を取得する制御ステップと、
を有する ことを特徴とする距離検出システムの制御方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、被写体の距離情報を取得する距離検出システム、撮像装置、及び制御方法等に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、撮像装置に取り付けられ、被写体までの距離を検出するための照射光を、撮像装置が備えるレンズ鏡筒等の構成部材に遮られることなく対象物に照射することができる距離検出システムの提供を目的の1つとする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一実施形態の距離検出システムは、
撮像装置と対象物との距離に対応する距離情報を取得するための距離検出システムであって、
対象領域を照射光で照射する発光手段と、
前記対象領域上の対象物による、前記照射光の反射光を受光する受光手段と、
前記発光手段が前記照射光を照射してから前記受光手段が前記反射光を受光するまでの時間に基づいて、前記対象物までの距離を示す距離情報を取得する取得手段と、
前記撮像装置との間で前記距離情報を通信する通信手段と、
前記通信手段を介して、前記距離検出システムの位置情報および前記距離情報を前記撮像装置に送信する制御手段と、
を有することを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の距離検出システムによれば、被写体までの距離を検出するための照射光を、撮像装置が備えるレンズ鏡筒等の構成部材に遮られることなく対象物に照射することができる。