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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017736
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ラベル付き製品
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/00 20060101AFI20240201BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G09F3/00 Q
G09F3/04 C
G09F3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120575
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 逸平
(72)【発明者】
【氏名】竹内 友里
(72)【発明者】
【氏名】井上 竜一
(57)【要約】
【課題】消費者にラベルを剥そうとする動機を与えること。
【解決手段】本発明は、透光性ラベル基材と着色印刷領域と透かしを備えたラベルがあり、前記透光性ラベル基材は、着色印刷がなされた前記着色印刷領域を有しており、前記透かしは、前記着色印刷領域に重なっており、読取装置により、ラベルうら面側から読み取ることができるが、ラベルおもて面側からは視認が妨げられる読取方向性を有するものであることを特徴とするラベルとすることで課題を解決した。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性ラベル基材と着色印刷領域と透かしを備えたラベルがあり、
前記透光性ラベル基材は、着色印刷がなされた前記着色印刷領域を有しており、
前記透かしは、
前記着色印刷領域に重なっており、
読取装置により、ラベルうら面側から読み取ることができるが、ラベルおもて面側からは視認が妨げられる読取方向性を有するものであることを特徴とする
ラベル。
【請求項2】
前記透光性ラベル基材には、前記着色印刷領域を形成する着色印刷層が設けられ、前記透かしが印刷されている透かし印刷層が設けられ、
前記透かし印刷層は、前記着色印刷層よりラベルうら面側に設けられている請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記透かしは、前記読取装置により、ラベルおもて面側からは読み取れない読取方向性を有するものであることを特徴とする、請求項1に記載のラベル。
【請求項4】
前記透かしは、電子透かしである請求項1に記載の前記ラベル。
【請求項5】
前記電子透かしは、前記着色印刷領域に重なっており、かつ、おもて面側に透けるものであり、
前記着色印刷領域の図柄に紛れ込むことにより、前記電子透かしのおもて面側からの視認を妨げている請求項4に記載のラベル。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のラベルが貼付された製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルが貼付されたペットボトルなどの製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットボトルやアルミ製ボトル缶などの製品は、樹脂製のラベルが巻かれていることがあった(特許文献1)。近年、リサイクルに際して、ラベルを剥がすことが求められている。アルミ製ボトル缶では、金属と樹脂を分別するためにラベルを剥がすことが求められている。ペットボトルでは、リサイクル品の品質安定(着色されたラベルが混在することによりリサイクル品の色が安定しない)のために、ラベルを分離することが推奨されている。
さらに、ラベル自体もリサイクルの対象となる。しかしながら、実態としては、ラベルが剥がされないまま資源ゴミに出されるなど、リサイクルに影響を与えている。
消費者にラベルを剥がさせる動機を与えることは、リサイクルに寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-47926公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、消費者にラベルを剥そうとする動機を与えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために、次のような手段を採用した。
透光性ラベル基材と着色印刷領域と透かしを備えたラベルがあり、前記透光性ラベル基材は、着色印刷がなされた前記着色印刷領域を有しており、前記透かしは、前記着色印刷領域に重なっており、読取装置により、ラベルうら面側から読み取ることができるが、ラベルおもて面側からは視認が妨げられる読取方向性を有するものであることを特徴とするラベル。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、消費者がラベルうら面の情報を見ようとラベルを剥がす行動を起こすよう誘導することができる。結果として、本発明はSDGsの目標12の「作る責任、使う責任」に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は実施例のラベルを貼付したボトルの正面図である。
図2図2(A)は着色印刷領域を含む図1のA-A間の断面図である。図2(B)は、ラベルの正面図(おもて面)図2(C)は、ラベルの背面図(うら面)
図3図3は読取装置を使って読み取る様子を表す説明図である。
図4図4は変形例1のラベルの断面図である。
図5図5は変形例2のラベルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
[実施例]
実施例は、飲料を入れた樹脂製飲料容器(ボトル1)を「製品」の例として説明する。
【0010】
図1は実施例のラベル2を貼付したボトル1の正面図である。ボトル1は、肩部11、胴部12、底部14があり、胴部12の下端と底部14の間には、くびれ部13が設けられている。
ラベル2は、胴部12全体を覆うように設けられたシュリンクラベルであり、肩部11の下端にラベル2の上端が、そして、くびれ部13にラベル2の下端が位置するように加熱収縮によって装着されている。
【0011】
ラベルおもて面21には、着色印刷領域211が見えており、キャラクター、商品名、背景デザインなどが印刷されている。着色印刷領域211は、ラベルおもて面21の全体に及んでもよいし、ラベルおもて面21の一部にあってもよい。さらに、着色印刷領域211が複数に分割されてもよい。
ラベル2には、ラベル2を剥がすための切り取り線24が設けられている。
【0012】
図2(A)は着色印刷領域211を含む図1のA-A間の断面図である。実施例のラベル2は、ラベルうら面22から順に、透光性ラベル基材3、透かし印刷層32、着色印刷層31、ニス層33の順に並んだ積層構造をしている。
ニス層33は、着色印刷層31を保護するための滑り性や耐磨耗性を与える層である。ニス層33に使用される塗液材料は、光沢、透光性、着色印刷層31に使われるインクとのなじみ等を考慮して適した材料が選ばれる。また、ニス層33は、着色印刷層31の印刷が判読できるよう透明な材質であることが好ましい。
【0013】
(透光性ラベル基材)
実施例の透光性ラベル基材3は、透明な着色されていない樹脂を材料としている。透光性ラベル基材3は、染料などが混入され着色されていてもよい。ただし、着色は、ラベルうら面22の透かし212の視認性を妨げないこと、着色印刷領域211に印刷されている内容の妨げないことが求められる。
【0014】
(着色印刷領域)
図2(B)は、ラベル2の正面図(おもて面)である。着色印刷領域211は、キャラクター、商品名、ロゴマーク、背景デザインなどが印刷される領域である。着色印刷領域211は、着色印刷層31によって形成されており、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷その他等、印刷方式は問わない。実施例のラベル2は、ラベルおもて面21に印刷されている。
【0015】
(読取装置)
図2(C)は、ラベル2の背面図(うら面)である。本発明でいう透かし212は、読取装置4によりラベルうら面22側から読み取ることができる。そのような透かし212の代表例は、電子透かし212Aである。電子透かし212Aは、透かし212のデータが電子化されて画像に埋め込まれており、背景図柄に紛れ込ませることにより、視認することを妨げることができる。
本発明では「視認」とは目視で認識することを意味する。また、「目視」とは認識の有無に関わらず視界に入っていることを意味する。また、「視認を妨げる」とは次の状態を指す。
(1) 目視が妨げられている。
(2) 目視はできるが認識が妨げられている。
また、本発明は、特殊な波長のみを吸収する特殊なインクで印刷されている文字も透かし212に含み得る。消費者は、この波長のみを選択的に読み取れるスマートフォン(読取装置4)のアプリを使うことで透かし212を読み取ることができる。読取装置4により、読み取ることができる透かし212とは、厳密な意味で電子透かし212Aとまで言えないものであっても、読取装置4を介することで読み取れば、本発明に包含される。
【0016】
図3は読取装置4を使って読み取る様子を表す説明図である。本発明の読取装置4の一例として、実施例はアプリをインストールしたスマートフォンを読取装置4として採用しているが、専用のコードリーダーであってもよい。読取装置4は、透かし212の態様により様々であり得る。
【0017】
実施例は、透かし212としてソフト的に読取方向性を付与した電子透かし212Aを採用している。電子透かし212Aは、アプリをインストールしたスマートフォン(読取装置4)などで、ディスプレイを介して読み取ることができる。電子透かし212Aには、読取方向を示すシンボルなどが含まれており、シンボルの位置が逆になっていると電子透かし212Aの読取を禁止するようなアプリとなっている。つまり、実施例の電子透かし212Aは、ラベルおもて面21から電子透かし212Aを撮影しても、電子透かし212Aに含まれる情報を読み取ることができないようになっている。
また、透かし212は裏表で非対称なものとし、ラベルおもて面21からは物理的に読み取れない読取方向性を付与してもよい。
【0018】
消費者は、ラベル2を剥がした後、ラベルうら面22側からスマートフォン(読取装置4)で撮影することにより、電子透かし212Aに含まれている情報をスマートフォン(読取装置4)で読み取ることができる。
【0019】
(ラベルおもて面からの視認性)
着色印刷領域211に印刷された商品名やロゴなどの商品情報の識別に、透かし212の存在が影響することがあっては好ましくない。透かし212がラベルおもて面21から目視できない、あるいは、目視できたとしても図柄に紛れるなど透かしであると認識が妨げられていることが好ましい。
着色印刷領域211に印刷された背景の図柄などに紛れるなど、透かし212がおもて面側に透けて完全に目視できても、透かし212であると視認(認識)が妨げられていればよい。
透かし212として電子透かし212Aを用いる場合、電子透かし212Aがおもて面側から透けて見えた時に着色印刷領域211の図柄に紛れ込む様な電子透かしを印刷することが好ましい。
これにより、透かし212の存在が、ラベル2に要求される商品名の表示などの大切な役割に影響を与えなくできる。
【0020】
(読取方向性)
透かし212は、ラベルおもて面21から目視できても視認(認識)が妨げられていればよいことは、前述したとおりである。そして、透かし212は、少なくとも読取装置4によりラベルうら面22側から読み取ることができるようになっている。本発明の透かし212は、ラベルおもて面21側から透かし212を読取装置4で読み取ることができてもよい。しかし、悪意のある者が店頭で、ラベルおもて面21側から撮影するなどの不正を行うため、読取方向性を厳密にして、ラベルおもて面21側からは読み取れない読取方向性を有するようにすることが好ましい。
【0021】
(読取方向性を向上させる手段)
透かし212に読取方向性を持たせる手法は、様々な手法があり得る。その手法の一つに電子透かし212Aがあることはすでに述べた。電子透かし212Aは、目視しても分からないように、データが埋め込まれており、読取方向性を持たせることが容易である。しかしながら、悪意のある者が、ラベル2の幅が狭いなどの場合、底部側などからスマートフォン(読取装置4)で撮影する不正を行うこともあり得る。読取方向性を向上させるため、複数の手法を併せることは、好ましい態様である。
【0022】
(1)透かし印刷層の位置
実施例は、ラベルおもて面21を上としたとき、着色印刷層31より下に透かし印刷層32を位置させている。着色印刷層31より下に透かし印刷層32があるため、ラベルうら面22から観たとき、透かし印刷層32が手前に来るため、着色印刷層31の印刷と区別が容易になる。実施例は、読取方向性を持った電子透かし212Aと透かし印刷層32の位置により、読取方向性を高めている。
【0023】
(2)透かしの色と着色印刷領域の色
透かし212の色と着色印刷領域211の色が、暖色系同士、寒色系同士であると目視で認識しにくくなる。読取方向性を高めるには、着色印刷層31より下に透かし印刷層32を位置させる工夫に加えて、暖色系同士、寒色系同士といった色による手法を組み合わせることでなし得る。スマートフォン(読取装置4)のカメラで撮影することで識別できるようになる。ラベルおもて面21から透かし212を観ようとしても、かろうじて濃い薄いが判別されるだけとなるため、透かし212を視認(認識)することが困難となる。
必要に応じ、透かし212の読取方向性を高めるためアプリにより色フィルタをかけることも可能である。
また、透かし212を、無色透明で視認できないが読取装置で読取可能なインクで印刷してもよい。無色透明で視認できないが読取装置で読取可能なインクとしては、ブラックライトインクなどが好適である。透かし212を、無色透明で視認できないが読取装置で読取可能なインクで印刷する場合は、透かし212を着色印刷領域211に重ねる必要はない。
【0024】
(3)明度の差
透かし212と背景となる着色印刷領域211の色の明度差を少なくすることも有効である。背景となる着色印刷領域211の印刷が単色で柄等が無い場合、透かし212と背景となる着色印刷領域211の色の系統を同系とした上で、明度の差を少なくすると、透かし212をラベルおもて面21から目視することは困難となる。ラベルうら面22側から読み取るために剥がして、スマートフォン(読取装置4)で感度を上げて撮影すると、透かし212の図柄と着色印刷領域211が重なる部分のみが若干暗くなる。これにより、透かし212は読取可能となる。
実施例のボトル1に対してラベル2は一周して巻かれている。着色印刷領域211は、ボトル1の反対側(180度回った側)にも着色印刷領域211が来るように設計されている。ラベル2が巻かれたままの状態では、光にかざしても一周して巻かれた手前と奥の着色印刷領域211同士が重なるため、わずかにしか暗くならない透かし212を視認(認識)することができない。ましてや、飲料に色が付いている場合は、なおさら透かし212を視認することができない。
【0025】
(4)飲料の色
ボトル1内の飲料に色がついている場合は、ボトル1を光にかざすだけでは透かし212の内容を読み取ることはできない。たとえば、製品がオレンジジュースを入れたPET製のボトル1があるとする。電子透かし212Aの印刷色を飲料と同じオレンジ色とした場合、ボトル1を光に当てても、透かし212を読み取ることが不可能となる。飲料の色は、透かし212の読取方向性を与えるのに寄与する。電子透かし212Aを読み取るには、ラベルを剥がして印刷色の波長だけを通すフィルタをかけるなどして、スマートフォン(読取装置4)のカメラを通して情報を読み取ることができる。この態様は、透かし212が着色印刷領域211の外側にはみ出て、ラベル2の透明領域に一部出てしまっていても、飲料の色に紛れて透かし212を視認(認識)することができない。
【0026】
(5)着色印刷領域211の図柄との調和
透かし212が視認(認識)できないよう着色印刷領域211の図柄に紛れるように、透かし212を配置することは好ましい態様である。色ではなく濃淡情報のみが透かし212の情報になるように工夫することも可能である。
【0027】
(6)表裏の区別
実施例の透かし212は、ラベルうら面22から観た時に正位となるように印刷されている。ラベルおもて面21から透かし212を観ると、透かし212は逆位(裏返し)となる。透かし212に、透かし212の方向性を示す領域を設け、正しい方向から撮影されたときのみ、透かし212に含まれる情報を読み取れるようなアプリを採用することで、読取方向性を高めることができる。透かし212は、ソフト的に読取方向性が付与される。この手法は、表裏の区別をつけるだけなので、他の手法と併せて、ラベルおもて面21側から透かし212が視認(認識)できないようにする必要がある。
【0028】
以上のような工夫を組み合わせることで、透かし212は、ラベルおもて面21側からの視認性(認識性)を低下させ、かつ、ラベルうら面22側から、読取装置4による読取方向性を高めることが可能となる。
【0029】
(透かしに含まれる情報)
透かし212に含まれる情報は、どのようなものでもよい。消費者がラベル2を剥がして、知りたいと思う情報であることが好ましい。情報として、たとえば、占い、懸賞への応募券、抽選くじなどを挙げることができる。
また、透かし212は、URLを情報とする2次元バーコードなどでもよい。消費者が、スマートフォン(読取装置4)のアプリで透かし212を読み取ることで、懸賞の応募画面に接続するようにもできる。
なお、万人が興味を持つ情報は、存在しないから、実施例でいう「知りたいと思う情報」とは、一部の消費者が知りたいと思う情報であってよい。
透かし212に含まれる情報は、料理のレシピなど、比較的狭い範囲の消費者に向けられた情報であってもよい。
【0030】
(透かしの位置)
本発明でいう透かし212が着色印刷領域211に「重なっている」とは、着色印刷層31の下に透かし印刷層32があるなど(後述の変形例1及び変形例2)物理的に重なっているものを含む。また、前記「重なっている」とは、着色印刷領域211の図柄等に電子透かし212Aを埋め込むなど(後述の変形例3)、データ的に重なっていることを含む。さらに、着色印刷領域211の一部に透かし212が重なっていてもよく、透かし212の読取方向性に支障が生じない限り、透かし212の一部が着色印刷領域211外に出ていてもよい。
【0031】
本発明のラベル2は、実施例のようにボトル1の周囲に巻き付けられるものに限定されない。製品の平坦面に貼付されたラベル2のように、剥がしても平面を保つラベル2の場合、全体に印刷することで、透かし212に含まれる情報量を増やすことができる。
実施例のように円筒のボトル1の周囲に取り付けられるラベル2の場合、ラベル2を剥がすと、ラベル2が反り返りラベルうら面22が平坦にならない。透かし212は、ラベルうら面22の一部に印刷する、または、ラベルうら面22の広範囲に小さい透かし212を繰り返し印刷してもよい。また、透かし212の位置を分かりやすくするため、透かし212の位置を示す枠や矢印が追加で印刷されていてもよい。
透かし212の位置が、特にラベル2の下端付近にあると、ボトル1の底部側から不正に読み取られるなど、透かし212の読取方向性を低下させる。このように、透かし212の位置は、好ましくない位置が存在する。
【0032】
(電子透かしを読み取るためのアプリ)
ラベルおもて面21やラベルうら面22に、電子透かし212Aを読み取るためのアプリをダウンロードできるURLが印刷されていることが好ましい。また、URLが2次元バーコード化されており、スマートフォン(読取装置4)のアプリで読み取れるようにしてもよい。このアプリのダウンロードサイトに関する情報は、透かし212と異なり、消費者が認識できるような態様で印刷されている必要があることは言うまでもない。
【0033】
(製品)
本発明のラベル2が貼付される製品は、どのような製品であっても構わない。製品は、飲料容器では、樹脂製容器、金属製のボトル缶やスプレー缶などが含まれる。また、製品は箱状のCDケースのように薄いものでもよい。
【0034】
[変形例1]
図4は変形例1のラベル2の断面図である。ラベルおもて面21に位置しているのは透光性ラベル基材3であり、着色印刷層31は透光性ラベル基材3のうら面に位置する。透かし212の読取方向性を高めるため、透かし印刷層32は着色印刷層31の下に位置している。
このように、透かし印刷層32は着色印刷層31の下に位置するのであれば、それぞれの層が、透光性ラベル基材3のおもて側に位置していようがうら側に位置していようが構わない。
【0035】
[変形例2]
図5は変形例2のラベル2の断面図である。透光性ラベル基材3の上(おもて面)側に着色印刷層31があり、下(うら面)側に透かし印刷層32がある。変形例2は、着色印刷層31と透かし印刷層32が、透光性ラベル基材3を挟んで離間しているため、ラベル2を剥がしてラベルうら面22側から透かし212を観ると、透かし212が浮いて見える。
そのため、変形例2は、透かし212の識別性が高くなる態様である。もちろん、変形例2のラベル2は、ラベルおもて面21側から観ると、透かし212は着色印刷層31の模様や背景に紛れて、透かし212を視認(認識)することが妨げられている。
【0036】
(他の層)
本発明のラベル2は、透かし212の読取方向性を損なわない限り、様々な機能の層を図4図5図2(A)に示した透光性ラベル基材3に設けることができる。例えば、飲料に悪影響を与える紫外線をカットするUVカット層など適宜設けることができる。
【0037】
[変形例3]
前述したように、ソフト的に読取方向性を付与された電子透かし212Aは、読取方向性を備えるため、ラベルおもて面21側からスマートフォン(読取装置4)で撮影されても、読み取ることができない。ソフト的に読取方向性を付与された電子透かし212Aは、着色印刷領域211に埋め込むことができる。変形例3は、透かし印刷層32を設けず、透かし212をソフトウエア的に埋め込んだ着色印刷層31を印刷することを可能とする。
変形例3は、ソフト的に読取方向性を付与された電子透かし212Aを埋め込んだ着色印刷領域211を活用することで、透かし印刷層32を別途設ける必要が無くなりコストダウンが期待できる。
【0038】
ただし、悪意のある者が、ラベル2を鏡に映して図柄を反転させ、電子透かし212Aに与えられた読取方向性を打ち破る可能性がある。そのため、読取方向性向上させる手段は、一つだけでなく、複数組み合わされることが好ましい。
【0039】
[まとめ]
本発明は、透かし212自体に読取方向性を持たせる新たな概念の発明である。これにより、透かし212に含まれる情報を、ラベルうら面22側から読み取ることができるように構成されている。消費者は、ラベルうら面22側から透かし212に含まれる情報を得ようとして、ラベル2を剥がそうとするように動機付けられる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 ボトル
11 肩部
12 胴部
13 くびれ部
14 底部
2 ラベル
21 ラベルおもて面
211 着色印刷領域
212 透かし
212A 電子透かし
22 ラベルうら面
24 切り取り線
3 透光性ラベル基材
31 着色印刷層
32 透かし印刷層
33 ニス層
4 読取装置
図1
図2
図3
図4
図5