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特開2024-177419ロボットの移動経路を決定する方法、システムおよび非一過性のコンピュータ読み取り可能記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177419
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ロボットの移動経路を決定する方法、システムおよび非一過性のコンピュータ読み取り可能記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/622 20240101AFI20241212BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241212BHJP
【FI】
G05D1/622
G05D1/43
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024174582
(22)【出願日】2024-10-03
(62)【分割の表示】P 2023035898の分割
【原出願日】2020-01-28
(31)【優先権主張番号】16/257,631
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520513451
【氏名又は名称】ベアー ロボティックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ジョンウ ジョン
(57)【要約】
【課題】障害物のモーション属性情報および障害物と関連する他の障害物との関係情報のうち少なくとも一つを参照して、該当障害物が影響を及ぼす障害半径を算出し、これに基づいてロボットの最適移動経路を決定する技術を提案する。
【解決手段】本発明の一態様によると、ロボットの移動経路を決定する方法であって、ロボットの位置を基準に少なくとも一つの障害物を特定する段階、少なくとも一つの障害物のモーション属性情報および少なくとも一つの障害物と関連する他の少なくとも一つの障害物との関係情報の少なくとも一つを参照して、少なくとも一つの障害物が影響を及ぼす障害半径を算出する段階、および算出される障害半径およびロボットに付与されたタスクを参照してロボットの最適移動経路を決定する段階を含む方法が提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの移動経路を決定する方法であって、
ロボットの位置を基準に少なくとも一つの障害物を特定する段階、
前記少なくとも一つの障害物のモーション属性情報および前記少なくとも一つの障害物と関連する他の少なくとも一つの障害物との関係情報の少なくとも一つを参照して、前記少なくとも一つの障害物が影響を及ぼす障害半径を算出する段階、および
前記算出される障害半径および前記ロボットに付与されたタスクを参照して前記ロボットの最適移動経路を決定する段階を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットの移動経路を決定する方法、システムおよび非一過性のコンピュータ読み取り可能記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットは難しい作業や反復的な操作などを自動化して遂行できるため、多様な分野において人間の代わりにまたは補助するのに活用されている。このようなロボットを活用するにおいて基本でありながらも重要な課題の一つは、ロボットに付与されたタスク(または任務)を遂行するための安全かつ効率的な経路計画(path planning)の樹立に関することである。このためには、ロボットとそのロボットの周辺に対する多様な情報が必要であるが、特にその中でも障害物の半径に関する情報は、ロボットが障害物と衝突しないように経路計画を樹立するにおいて重要な基礎資料となる。
【0003】
最近、第4次産業革命が台頭し、このようなロボットが次世代食べ物産業として注目を浴びることにつれて、ロボットの移動経路を効率的に決定し制御することに関する多様な研究が進行されている。
【0004】
これに関する従来技術の一例として、特許文献1に開示された技術が挙げられるが、これによると、第1面積を有する移動ロボット領域と障害物間の距離を利用して移動ロボットの経路を決定する移動ロボット制御装置が提供され、前記移動ロボット制御装置は、前記移動ロボット領域を前記第1面積より小さい第2面積を有する少なくとも一つの円で満たすために、前記第1面積から前記第2面積を除いた第3面積の最大大きさである誤差の大きさを選択するユーザー入力を受信するユーザインターフェース、および前記移動ロボット領域を特定し、前記移動ロボット領域内で前記少なくとも一つの円の中心点が位置する移動ロボット骨格を抽出し、前記誤差の大きさを利用して前記移動ロボット骨格上に置かれる前記少なくとも一つの円の個数および位置を計算し、前記少なくとも一つの円の中心点を含むピクセルが有する前記ピクセルと前記障害物間の距離値を前記少なくとも一つの円の半径と比較する制御部を含むことを特徴とする。
【0005】
しかし、前記のような従来技術をはじめとして、これまで紹介された技術によると、障害物の外形から特定される境界線(boundary)またはその特定される境界線から一定の距離だけ離れた地点を基準に該当障害物が影響を及ぼし得る半径(radius)を設定し、このような半径に基づいて該当障害物とロボットの間の距離を測定したものに基づいて経路計画を決定した。すなわち、障害物に付着されたキャスター、ギアなどにより決定される該当障害物のモーションの属性や、障害物と周辺の他の障害物間の関係(例えば、障害物である椅子と周辺の他の障害物であるテーブル間の関係)により該当障害物が影響を及ぼし得る半径が変わり得るにも関わらず、これを考慮しないまま一定の基準をのみ適用して障害物の半径を決定していたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許公報第2016-144848号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは、障害物のモーション属性情報および障害物と関連する他の障害物との関係情報のうち少なくとも一つを参照して、該当障害物が影響を及ぼす障害半径(radius of obstacle)を算出し、これに基づいてロボットの最適移動経路を決定する技術を提案する。
【0008】
本発明は、前述した従来技術の問題点をすべて解決することをその目的とする。
【0009】
また、本発明は、障害物のモーション属性情報および障害物と関連する他の障害物との関係情報のうち少なくとも一つを参照して、障害物が影響を及ぼす障害半径を動的に算出することをさらに他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、障害物が影響を及ぼし得る障害半径をより精巧に算出することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための本発明の代表的な構成は次の通りである。
【0012】
本発明の一態様によると、ロボットの移動経路を決定する方法であって、ロボットの位置を基準に少なくとも一つの障害物を特定する段階、前記少なくとも一つの障害物のモーション属性情報および前記少なくとも一つの障害物と関連する他の少なくとも一つの障害物との関係情報のうち少なくとも一つを参照して、前記少なくとも一つの障害物が影響を及ぼす障害半径を算出する段階、および前記算出される障害半径および前記ロボットに付与されたタスクを参照して前記ロボットの最適移動経路を決定する段階を含む方法が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によると、ロボットの移動経路を決定するシステムであって、ロボットの位置を基準に少なくとも一つの障害物を特定する障害物特定部、前記少なくとも一つの障害物のモーション属性情報および前記少なくとも一つの障害物と関連する他の少なくとも一つの障害物との関係情報のうち少なくとも一つを参照して、前記少なくとも一つの障害物が影響を及ぼす障害半径を算出する障害半径算出部、および前記算出される障害半径および前記ロボットに付与されたタスクを参照して前記ロボットの最適移動経路を決定する経路決定部を含むシステムが提供される。
【0014】
この他にも、本発明を具現するための他の方法、他のシステムおよび前記方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録する非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体がさらに提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、障害物のモーション属性情報および障害物と関連する他の障害物との関係情報のうち少なくとも一つを参照して、障害物が影響を及ぼす障害半径を動的に算出することができる。
【0016】
また、本発明によると、障害物が影響を及ぼし得る障害半径をより精巧に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例に係るロボットの移動経路を決定するための全体システムの構成を概略的に示した図である。
図2】本発明の一実施例に係るロボット経路管理システムの内部構成を例示的に示した図である。
図3】本発明の一実施例に係るロボットの移動経路が決定される過程を例示的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
後述する本発明についての詳細な説明は、本発明が実施され得る特定の実施例を例示として図示する添付図面を参照する。このような実施例は当業者が本発明を実施できるように充分かつ詳細に説明される。本発明の多様な実施例は、互いに異なるが互いに排他的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、本明細書に記載されている特定の形状、構造および特性は、本発明の精神と範囲を逸脱することなく一実施例から他の実施例に変更されて具現され得る。また、それぞれの実施例内の個別の構成要素の位置または配置も、本発明の精神と範囲を逸脱することなく変更され得ることが理解されるべきである。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味ではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲の請求項が請求する範囲およびそれと均等なすべての範囲を包括するものと受け入れられるべきである。図面で類似する参照符号は多様な側面に亘って同一または類似する構成要素を表す。
【0019】
以下では、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の多様な好ましい実施例について、添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
全体システムの構成
図1は、本発明の一実施例に係るロボットの移動経路を決定するための全体システムの構成を概略的に示した図である。
【0021】
図1に図示された通り、本発明の一実施例に係る全体システムは、通信網100、ロボット経路管理システム200およびロボット300を含むことができる。
【0022】
まず、本発明の一実施例によると、通信網100は有線通信や無線通信のような通信の様態にかかわらず構成され得、近距離通信網(LAN;Local Area Network)、都市圏通信網(MAN;Metropolitan Area Network)、広域通信網(WAN;Wide Area Network)等の多様な通信網で構成され得る。好ましくは、本明細書での通信網100は公知のインターネットまたはワールドワイドウェブ(WWW;World Wide Web)であり得る。しかし、通信網100はこれに限定されず、公知の有無線データ通信網、公知の電話網または公知の有無線テレビ通信網をその少なくとも一部において含んでもよい。
【0023】
例えば、通信網100は無線データ通信網であって、Wi-Fi(WiFi)通信、Wi-Fiダイレクト(WiFi-Direct)通信、ロングタームエボリューション(LTE、Long Term Evolution)通信、ブルートゥース(登録商標)通信(さらに具体的には、低電力ブルートゥース(BLE;Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信)、赤外線通信、超音波通信などのような従来の通信方法を少なくともその一部分において具現するものであり得る。
【0024】
次いで、本発明の一実施例に係るロボット経路管理システム200は、通信網100を介して後述するロボット300と通信を遂行することができ、該当ロボット300の位置を基準に少なくとも一つの障害物を特定し、特定された障害物のモーション属性情報および該当障害物と関連する他の障害物との関係情報のうち少なくとも一つを参照して、該当障害物が影響を及ぼす障害半径を算出し、その算出される障害半径および該当ロボット300に付与されたタスクを参照して該当ロボット300の最適移動経路を決定する機能を遂行することができる。
【0025】
一方、ロボット経路管理システム200について前記のように説明したが、このような説明は例示的なものであって、ロボット経路管理システム200に要求される機能や構成要素の少なくとも一部が、必要に応じて後述するロボット300内で実現されてもよく、外部システム(図示されず)内に含まれてもよいことは当業者に自明である。また、場合によっては、ロボット経路管理システム200のすべての機能とすべての構成要素が、ロボット300内ですべて実行してもよく、ロボット300内にすべて含まれてもよい。
【0026】
次いで、本発明の一実施例に係るロボット300は通信網100を介してロボット経路管理システム200と通信することができ、ユーザーによる操作がなくても所定の機能や付与されたタスクを自律的に遂行できる機器であって、移動経路に沿って動くための駆動モジュール(図示されず)(例えば、モーターなど)を含むことができる。例えば、このようなロボット300は、ロボット掃除機、ロボット医療機器、案内ロボットなどと少なくとも一部が類似し得る。
【0027】
一方、本発明の一実施例によると、このようなロボット300には本発明に係るロボット300の移動経路の決定を支援するためのアプリケーションが含まれていてもよい。このようなアプリケーションはロボット経路管理システム200または外部のアプリケーション配布サーバー(図示されず)からダウンロードされたものであり得る。
【0028】
ロボット経路管理システムの構成
以下では、本発明を具現するために重要な機能を遂行するロボット経路管理システム200の内部構成および各構成要素の機能について詳察する。
【0029】
図2は、本発明の一実施例に係るロボット経路管理システム200の内部構成を例示的に示した図面である。
【0030】
図2を参照すると、本発明の一実施例に係るロボット経路管理システム200は、障害物特定部210、半径算出部220、経路決定部230、通信部240および制御部250を含むことができる。本発明の一実施例によると、障害物特定部210、半径算出部220、経路決定部230、通信部240および制御部250は、そのうち少なくとも一部が外部システム(図示されず)と通信するプログラムモジュールであり得る。このようなプログラムモジュールは、運営システム、アプリケーションモジュールおよびその他のプログラムモジュールの形態でロボット経路管理システム200に含まれ得、物理的には多様な公知の記憶装置上に保存され得る。また、このようなプログラムモジュールは、ロボット経路管理システム200と通信可能な遠隔記憶装置に保存されてもよい。一方、このようなプログラムモジュールは本発明により後述する特定の業務を遂行する、または、特定の抽象データの類型を実行するルーチン、サブルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを包括するが、これに制限されはしない。
【0031】
まず、本発明の一実施例に係る障害物特定部210はロボット300の位置を基準に少なくとも一つの障害物を特定することができる。
【0032】
例えば、障害物特定部210はロボット300に付与されたタスクに基づいて該当ロボット300の位置を基準に少なくとも一つの予想移動経路を特定することができ、その特定される少なくとも一つの予想移動経路から所定距離以内に存在する障害物を前記少なくとも一つの障害物として特定することができる。本発明の一実施例によると、ロボット300に付与されるタスクは、該当ロボット300が位置する場所、該当ロボット300の機能および該当ロボット300の構造のうち少なくとも一つに基づいて決定されるものであり得、必要に応じて該当ロボット300と関連したユーザー(例えば、食堂サービスロボットである場合は食堂の店主、医療ロボットである場合は医師など)により付与されるものであり得る。
【0033】
一方、本発明の一実施例に係る障害物特定部210は、カメラモジュール(図示されず)またはスキャニングモジュール(図示されず)を通じて、ロボット300の位置を中心に所定距離以内に存在する少なくとも一つの障害物を特定することができる。例えば、前記カメラモジュールは2次元または3次元(例えば、深さ測定が可能な)カメラモジュールを含むことができ、前記スキャニングモジュールは2次元または3次元レーザー、電磁波または白色光スキャナモジュールを含むことができる。より具体的には、前記カメラモジュールはステレオビジョン(stereo vision)方式のカメラセンサ、TOF(Time-Of-Flight)方式のカメラセンサ、構造光パターン(structured pattern)方式のカメラセンサなどを含むことができ、スキャニングモジュールはスキャニングライダー(LiDAR;Light Detection And Ranging)方式のスキャニングセンサ、構造光パターン方式のスキャニングセンサなどを含むことができる。
【0034】
次いで、本発明の一実施例に係る半径算出部220は、障害物のモーション属性情報およびその障害物と関連する他の障害物との関係情報のうち少なくとも一つを参照して、該当障害物が影響を及ぼす障害半径(radius of obstruction)を算出することができる。本発明の一実施例によると、障害物のモーション属性情報は、該当障害物が移動可能な障害物であるかの可否、該当障害物が有する移動手段(例えば、キャスターなど)、その移動手段の構造(例えば、キャスター軸の構造)等に関する情報を含むことができる。また、本発明の一実施例によると、障害物と関連する他の障害物との関係情報は、障害物が該当障害物の周辺(または所定距離以内)に存在する他の障害物から直接的または間接的に影響を受けることによって制限されたり拡張される該当障害物の移動可能方向および移動可能距離のうち少なくとも一つに関する情報を含むことができる。
【0035】
例えば、半径算出部220は障害物の外形、機能および構造のうち少なくとも一つに基づいて該当障害物のモーション属性情報を決定することができ、そのモーション属性情報により特定される、該当障害物が移動できる方向や角度および該当障害物が移動できる距離のうち少なくとも一つを参照して、該当障害物が影響を及ぼす障害半径を決定することができる。
【0036】
より具体的には、障害物が乳母車である場合に、半径算出部220は乳母車のキャスターの数、キャスターの形態またはキャスターの軸に関する情報に基づいて、該当乳母車が動くことができる方向(例えば、一方向(one way direction)にのみ動くことができる場合にその方向)と該当乳母車が動くことができる距離(例えば、キャスターが数秒間回転すると動くことができる距離)を特定することができ、その特定される方向および距離に基づいて該当乳母車の障害半径を算出することができる。本発明の一実施例によると、前記のように一方向にのみ動くことができる乳母車の場合、その障害半径は楕円形または長方形と類似する形態を有し得る。
【0037】
他の例として、半径算出部220は障害物特定部210により特定される第1障害物とその第1障害物の周辺に存在する少なくとも一つの他の第2障害物間の関係を決定し、このような関係によって第1障害物が動くことができる方向および距離が制限されたり拡張される程度に基づいて第1障害物の障害半径を算出することができる。本発明の一実施例によると、前記第1障害物と第2障害物間の関係を決定するために、複数の障害物間の関係に関する情報が既設定されているルックアップテーブル(lookup table)を参照してもよい。
【0038】
より具体的には、前記第1および第2障害物がそれぞれ椅子および机である場合に、椅子(すなわち、第1障害物)は机(すなわち、第2障害物)の構造によって。具体的には椅子を基準に左右方向にそれぞれ2個ずつ存在する机の脚によって、左右方向に動くことができる距離が一部制限される関係を有するようになり得る。この場合、半径算出部220は前記関係により椅子が動くことができる左右方向を一部制限して椅子の障害半径を算出することができる。また、第1障害物が椅子であり、第2障害物が机と椅子(すなわち、第1障害物)に座っている(または立っている)人である場合に、前述した場合のように、左右方向には椅子(すなわち、第1障害物)が動くことができる距離が一部制限されるものの、人の身体の幅(すなわち、椅子に座っている場合、胴の前後幅、または椅子で立っている場合、足の前後幅)によって椅子が前後方向に動くことができる距離が拡張(または増加)される関係を有し得る。この場合に、半径算出部220は前記関係により椅子が左右方向に動くことができる距離は制限するものの、前後方向に動くことができる距離は拡張して(または増加させて)椅子の障害半径を算出することができる。
【0039】
さらに他の例えば、半径算出部220は障害物のモーション属性情報を参照して該当障害物の移動可能方向および移動可能距離のうち少なくとも一つを特定し、該当障害物と関連する他の少なくとも一つの障害物との関係情報を参照して前記特定される移動可能方向および移動可能距離のうち少なくとも一つを制限したり拡張することによって、該当障害物が影響を及ぼす障害半径を算出することができる。
【0040】
一方、本発明の一実施例によると、障害物のモーション属性情報および障害物と関連する他の障害物との関係情報のうち少なくとも一つに基づいて障害半径を算出する過程が、マシンラーニング(machine learning)またはディープラーニング(deep learning)を含む人工知能(AI;Artificial Intelligent)に基づいて遂行され得る。
【0041】
例えば、キャスター付き椅子が障害物であり、その椅子の周辺にテーブルや人が前記障害物と関連する他の障害物として存在する場合に、椅子に存在するキャスターの数、キャスターの形態およびキャスターの軸による椅子の移動可能方向および移動可能距離、テーブルによって制約されたり拡張される椅子の移動可能方向および移動可能距離(例えば、テーブルの脚がある方向には椅子の移動が制限される)、椅子に人が存在する場合にテーブルと人によって制約されたり拡張される椅子の移動可能方向および移動可能距離などを人工知能によって繰り返し学習することによって、障害物のモーション属性情報および障害物と関連する他の障害物との関係情報のうち少なくとも一つに基づいて障害半径を算出できるようになる。
【0042】
次いで、本発明の一実施例に係る経路決定部230は前記半径算出部22により算出される障害半径およびロボット300に付与されたタスクを参照して、該当ロボット300の最適移動経路を決定することができる。
【0043】
具体的には、経路決定部230はロボット300が位置する場所と関連するマップ(map)上で特定される障害物に対して前記算出される障害半径を適用することができ、その障害半径が適用されたマップを基準に該当ロボット300に付与されたタスクを遂行するための最適移動経路を決定することができる。
【0044】
例えば、前記算出される障害半径を参照してロボット300が位置する場所(または所定領域)に対応するコストマップ(cost map)が生成され得、経路決定部230は前記生成されるコストマップに基づいて該当ロボット300に付与されたタスクを遂行するための最適移動経路を決定することができる。より詳細には、ロボット300がマップ上で障害物の障害半径近くに接近するほどコストマップ上でのコスト値が増加するようにすることによって、該当ロボット300が該当障害物を効率的かつ精巧に回避して移動できる最適移動経路を決定することができるようになる。一方、前記障害半径が反映されたコストマップを基盤とする全域経路計画(GPP;Global Path Planning)および地域経路計画(LPP;Local Path Planning)のうち少なくとも一つが算出され得、そのような経路計画に基づいてロボット300の最適移動経路が決定されてもよい。
【0045】
一方、以上ではコストマップに基づいてロボットの最適移動経路を決定する実施例について主に説明したが、本発明の目的を達成できる範囲内でコストマップ以外の多様な方式が使われ得ることを明らかにしておく。
【0046】
次いで、本発明の一実施例によると、通信部240は障害物特定部210、半径算出部220および経路決定部230からの/へのデータの送受信を可能にする機能を遂行することができる。
【0047】
最後に、本発明の一実施例によると、制御部250は障害物特定部210、半径算出部220、経路決定部230および通信部240間のデータの流れを制御する機能を遂行することができる。すなわち、本発明に係る制御部250は、ロボット経路管理システム200の外部からの/へのデータの流れまたはロボット経路管理システム200の各構成要素間のデータの流れを制御することによって、障害物特定部210、半径算出部220、経路決定部230および通信部240でそれぞれ固有の機能を遂行するように制御することができる。
【0048】
図3は、本発明の一実施例によりロボット300の移動経路が決定される過程を例示的に示した図である。
【0049】
図3を参照すると、本発明に係るロボット経路管理システム200がロボット300に含まれ、該当ロボット300には食堂で食べ物をサービスすることに関するタスクが付与された状況を仮定して見ることができる。具体的には、顧客に提供される食べ物をテーブル500にサービスしたり、顧客が食べて残した食べ物をテーブル500から整理したりするタスクがロボット300に付与され得る。
【0050】
まず、本発明の一実施例によると、ロボット300の位置を基準に少なくとも一つの障害物が特定され得る。
【0051】
例えば、ロボット300の位置を基準に該当ロボット300に付与されたタスクを遂行するための予想移動経路の周辺に存在する椅子A(400)、椅子B(600)およびテーブル500が障害物として特定され得る。
【0052】
その後、前記障害物(すなわち、椅子A(400)、椅子B(600)およびテーブル(500))それぞれのモーション属性情報および各障害物と関連する他の障害物との関係情報のうち少なくとも一つに基づいて前記障害物が影響を及ぼす障害半径が算出され得る。
【0053】
例えば、椅子A(400)はキャスターがない椅子であって、椅子A(400)が前方(omnidirectional)に動くことができるということを表すモーション属性情報と、椅子A(400)の周辺に存在するテーブル500(具体的には、テーブル500の脚501aおよび501b)により椅子A(400)が左右方向に動くことができる距離が制限されるということを表す関係情報に基づいて、椅子A(400)の障害半径410が算出され得る。一方、椅子A(400)の周辺に人がさらなる障害物として存在する場合には、その人が椅子に座ることになる場合、足の前後幅、または椅子から立ち上がることになる場合、足の前後幅によって椅子A(400)が前後方向に動くことができる距離が拡張(または増加)されるということを表す関係情報に基づいて、椅子A(400)の障害半径411が算出され得る。
【0054】
他の例えば、テーブル500が食堂の床に固定されている場合に、テーブル500が前方(omnidirectional)に動くことができないため前後左右方向に動くことができる距離が制限されるということを表すモーション属性情報に基づいてテーブル500の障害半径502が算出され得る。
【0055】
さらに他の例えば、椅子B(600)が食堂の床に固定されている場合に、椅子B(600)が前方(omnidirectional)に動くことができないため前後左右方向に動くことができる距離が制限されるということを表すモーション属性情報に基づいて、椅子B(600)の障害半径601が算出され得る。
【0056】
その後、前記算出される障害半径および前記ロボット300に付与されたタスクに基づいて前記ロボット300が移動する最適経路が決定され得る。
【0057】
すなわち、前述した椅子A(400)、椅子B(600)およびテーブル500の障害半径に基づいてロボットが食べ物をサービスするための最適経路が決定され得る。
【0058】
例えば、顧客が食べ物を食べてテーブルにいない場合に(すなわち、椅子に人が座っていない場合に)、第1経路412がロボットが食べ物をサービスするための最適経路に決定され得る。
【0059】
他の例として、顧客が食べ物を食べるためにテーブルに座っている場合に(すなわち、椅子に人が座っている場合に)、第2経路413がロボットが食べ物をサービスするための最適経路に決定され得る。
【0060】
以上で説明された本発明に係る実施例は、多様なコンピュータ構成要素を介して実行され得るプログラム命令語の形態で具現されてコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され得る。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラム命令語、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されるプログラム命令語は、本発明のために特別に設計されて構成されたものであるか、コンピュータソフトウェア分野の当業者に公知とされている使用可能なものであり得る。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスクおよび磁気テープのような磁気媒体、CD-ROMおよびDVDのような光記録媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気-光媒体(magneto-optical medium)、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのような、プログラム命令語を保存し実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令語の例には、コンパイラによって作られるような機械語コードだけでなく、インタープリタなどを使ってコンピュータによって実行され得る高級言語コードも含まれる。ハードウェア装置は本発明に係る処理を遂行するために一つ以上のソフトウェアモジュールに変更され得、その逆も同じである。
【0061】
以上、本発明が具体的な構成要素などのような特定の事項と限定された実施例および図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明は前記実施例に限定されず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であればこのような記載から多様な修正と変更を図ることができる。
【0062】
したがって、本発明の思想は前記説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなくこの特許請求の範囲と均等なまたはこれから等価的に変更されたすべての範囲は本発明の思想の範疇に属するものと言える。
【符号の説明】
【0063】
100:通信網
200:ロボット経路管理システム
210:障害物特定部
220:障害半径算出部
230:経路決定部
240:通信部
250:制御部
300:ロボット
図1
図2
図3