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特開2024-177420立体映像表示装置、立体映像表示方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177420
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】立体映像表示装置、立体映像表示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/366 20180101AFI20241212BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20241212BHJP
   H04N 13/302 20180101ALI20241212BHJP
   H04N 13/361 20180101ALI20241212BHJP
   G02B 30/54 20200101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N13/366
G06T19/00 600
H04N13/302
H04N13/361
G02B30/54
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024174609
(22)【出願日】2024-10-03
(62)【分割の表示】P 2021041610の分割
【原出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】相羽 英樹
(57)【要約】
【課題】観察者に違和感を与えることがない立体映像を表示する。
【解決手段】画像を表示する画像表示部と、周囲にいる観察者の位置を検出する観察者位
置検出部と、観察者位置検出部が検出した観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像
を形成するレンダリング部と、観察者位置検出部が検出した観察者に対向する位置に画像
表示部を回転させる回転部と、画像表示部の後方の背景画像を取得する背景画像取得部と
、背景画像取得部が取得した背景画像の手前にレンダリング部が形成した仮想オブジェク
トの画像を重畳した合成画像を生成して前記画像表示部に表示する画像合成処理部と、を
備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示部と、
周囲にいる観察者の位置を検出する観察者位置検出部と、
前記観察者位置検出部が検出した観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成
するレンダリング部と、
前記観察者位置検出部が検出した観察者に対向する位置に前記画像表示部を回転させる
回転部と、
前記画像表示部の後方の背景画像を取得する背景画像取得部と、
前記背景画像取得部が取得した背景画像の手前に前記レンダリング部が形成した仮想オ
ブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成して前記画像表示部に表示する画像合成処理
部と、
を備える立体映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像表示装置、立体映像表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速なCPUなどの進化により立体画像を空中に浮かんでいるように表示し、立
体映像を周囲から観察することができる立体映像表示装置が提案されている。例えば、円
筒形状をなす透明なケースの内部に平面形状をなすスクリーンを配置し、スクリーンに映
像を表示する。そして、周囲にいる観察者を追跡し、観察者の位置に対向するようにスク
リーンを回転すると共に、スクリーンの映像を観察者に位置に応じて見える映像に切り替
えていく。このような立体映像表示装置としては、例えば、下記特許文献1に記載された
ものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-88870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の立体映像表示装置は、観察者の位置に応じてスクリーンが回転し、スクリーンに
観察者の位置応じた映像を表示しており、観察者は、360度にわたって立体映像を見る
ことができる。ところが、観察者が立体表示装置の周囲を移動するとき、スクリーンに映
る表示物体の映像は切り替わっていくものの、表示物体の背景の画像は変わらない。その
ため、背景上に映し出される表示物体の映像が観察者に対して違和感を与えてしまうとい
う課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、観察者に違和感を与えることがない立
体映像を表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る立体映像表示装置は、画
像を表示する画像表示部と、周囲にいる観察者の位置を検出する観察者位置検出部と、前
記観察者位置検出部が検出した観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成する
レンダリング部と、前記観察者位置検出部が検出した観察者に対向する位置に前記画像表
示部を回転させる回転部と、前記画像表示部の後方の背景画像を取得する背景画像取得部
と、前記背景画像取得部が取得した背景画像の手前に前記レンダリング部が形成した仮想
オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成して前記画像表示部に表示する画像合成処
理部と、を備える。
【0007】
本発明に係る立体映像表示方法は、周囲にいる観察者の位置を検出するステップと、観
察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するステップと、観察者に対向する位
置に画像を表示する画像表示部を回転させるステップと、前記画像表示部の後方の背景画
像を取得するステップと、前記背景画像の手前に前記仮想オブジェクトの画像を重畳した
合成画像を生成して前記画像表示部に表示するステップと、を含む。
【0008】
本発明に係るプログラムは、周囲にいる観察者の位置を検出するステップと、観察者の
位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するステップと、観察者に対向する位置に画
像を表示する画像表示部を回転させるステップと、前記画像表示部の後方の背景画像を取
得するステップと、前記背景画像の手前に前記仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画
像を生成して前記画像表示部に表示するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、観察者に違和感を与えることがない立体映像を表示することができる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る立体映像表示装置を表す斜視図である。
図2図2は、立体映像表示装置を表す縦断面図である。
図3図3は、立体映像表示を表す平面図である。
図4図4は、立体映像表示装置の制御系統を表すブロック図である。
図5図5は、立体映像表示装置の作動を表す説明図である。
図6図6は、観察者の位置に応じた立体映像表示範囲を表す概略図である。
図7図7は、観察者の位置に応じた立体映像表示内容を表す概略図である。
図8図8は、第2実施形態に係る立体映像表示装置の制御系統を表すブロック図である。
図9図9は、観察者の位置に応じた立体映像表示内容を表す説明図である。
図10図10は、第2実施形態に係る立体映像表示装置における観察者の位置に応じた立体映像表示内容の変形例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る立体映像表示装置、立体映像表示方法および
プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定され
るものではない。
【0012】
<第1実施形態>
[立体映像表示装置]
図1は、第1実施形態に係る立体映像表示装置を表す斜視図、図2は、立体映像表示装
置を表す縦断面図、図3は、立体映像表示を表す平面図である。
【0013】
第1実施形態において、図1から図3に示すように、立体映像表示装置(立体映像表示
部)10は、ケース11と、ディスプレイ(画像表示装置(画像表示部))12と、ター
ンテーブル(テーブル回転装置(テーブル部))13と、ターンテーブル駆動装置(回転
装置(回転部))14と、カメラ(背景画像取得装置(背景画像取得部))15とを備え
る。
【0014】
ケース11は、中空の円筒形状をなす。ケース11は、天井部21と、円筒部22と、
底部23とを有する。天井部21および底部23は、円板形状をなし、円筒形状をなす円
筒部22の上部と下部に固定される。天井部21は、透過性である。円筒部22は、上部
の透過部22aと、下部の非透過部22bを有する。底部23は、非透過性である。
【0015】
ターンテーブル13は、円板形状をなす。ターンテーブル13は、ケース11の内部で
、円筒部22における透過部22aと非透過部22bとの間に配置される。ターンテーブ
ル13は、水平方向に沿って配置され、ケース11に対して中心Oを支点に水平方向に回
転自在に支持される。
【0016】
ディスプレイ12は、平面形状をなす液晶ディスプレイである。ディスプレイ12は、
画像を表示可能である。ディスプレイ12は、矩形状をなし、ターンテーブル13の上部
に直交する方向に沿って配置される。ディスプレイ12は、ターンテーブル13の中心O
を通るように径方向に沿って配置される。ディスプレイ12は、ケース11の内部で、円
筒部22における透過部22aに配置される。そのため、観察者は、ケース11の外部か
ら透過部22aを通してディスプレイ12に表示された画像を視認することができる。
【0017】
ターンテーブル駆動装置14は、ケース11の内部であって、底部23の上面部に固定
される。ターンテーブル駆動装置14は、例えば、モータおよび減速機を有し、ケース1
1の中心Oに沿う出力軸24を有する。ターンテーブル駆動装置14は、出力軸24がタ
ーンテーブル13に連結される。そのため、ターンテーブル駆動装置14を駆動すると、
ターンテーブル13を正転方向および逆回転方向に回転することができる。そして、ター
ンテーブル13が回転することで、ターンテーブル13上のディスプレイ12を回転する
ことができる。
【0018】
カメラ15は、ケース11の外周部の上部に固定される。カメラ15は、複数(本実施
形態では、4個)配置される。但し、カメラ15の個数は、4個に限定されない。カメラ
15は、ケース11に周方向に所定間隔(好ましくは、等間隔)を空けて配置される。カ
メラ15は、ケース11の外方を撮影可能である。本実施形態では、ケース11に4個の
カメラ15を配置することで、ケース11の外側の周囲の全範囲(360度)にわたって
撮影可能である。カメラ15は、ケース11(ディスプレイ12)の周囲にいる観察者や
背景画像を撮影して取得することができる。
【0019】
[立体映像表示装置の制御系統]
図4は、立体映像表示装置の制御系統を表すブロック図である。
【0020】
図4に示すように、立体映像表示装置10は、ケース11(図1参照)、ディスプレイ
12、ターンテーブル13、ターンテーブル駆動装置14、カメラ15に加えて、画像処
理装置(画像処理部)31と、顔位置検出装置(観察者位置検出装置(観察者位置検出部
))32と、レンダリング装置(レンダリング部)33と、背景画像処理装置(背景画像
処理部)34と、画像合成処理装置(画像合成処理部)35と、ターンテーブル制御装置
(回転制御装置(回転制御部))36とを備える。複数のカメラ15は、撮影した画像を
画像処理装置31に送信する。
【0021】
画像処理装置31は、複数のカメラ15が撮影した画像を合成処理することで、立体映
像表示装置10の外側の周囲の全範囲(360度)の連続した全周画像を生成する。画像
処理装置31は、全周画像を顔位置検出装置32および背景画像処理装置34に送信する
。顔位置検出装置32は、立体映像表示装置10の周囲にいる観察者の位置を検出する。
この場合、顔位置検出装置32は、画像処理装置31が生成した全周画像に基づいて、観
察者の顔や目を機械学習などの手法により検出し、観察者の位置を特定する。顔位置検出
装置32は、例えば、観察者の位置を基準角度に対する角度として特定する。顔位置検出
装置32は、検出した観察者の位置をレンダリング装置33、背景画像処理装置34、タ
ーンテーブル制御装置36へ送信する。
【0022】
レンダリング装置33は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置に応じた仮想オ
ブジェクトの画像を形成する。レンダリング装置33は、仮想オブジェクトの画像を立体
画像(3DCG)として生成し、ディスプレイ12に表示する。このとき、レンダリング
装置33は、ディスプレイ12に表示される仮想オブジェクトの画像を観察者の視点に応
じた画像になるようにレンダリングを行う。例えば、観察者が基準位置にいるとき、レン
ダリング装置33は、仮想オブジェクトの正面画像を生成し、ディスプレイ12に表示す
る。そして、観察者が基準位置から周方向に90度ずれた位置にいるとき、レンダリング
装置33は、仮想オブジェクトの側面画像を生成し、ディスプレイ12に表示する。レン
ダリング装置33は、仮想オブジェクトの画像を画像合成処理装置35へ送信する。
【0023】
背景画像処理装置34は、ディスプレイ12の後方の背景画像を取得する。背景画像処
理装置34は、画像処理装置31が生成した全周画像からディスプレイ12の後方の背景
画像を切り出して取得する。背景画像処理装置34は、ディスプレイ12の後方の背景画
像を画像合成処理装置35へ送信する。
【0024】
画像合成処理装置35は、背景画像処理装置34が取得した背景画像の手前に、レンダ
リング装置33が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成し、生成し
た仮想オブジェクトの画像および背景画像をディスプレイ12に送信する。ディスプレイ
12は、仮想オブジェクトおよび背景画像を表示する。
【0025】
ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置にディス
プレイ12が対向するように制御信号を生成し、ターンテーブル13に送信する。ターン
テーブル13は、取得した制御信号に基づいて回転する。
【0026】
なお、画像処理装置31と、顔位置検出装置32と、レンダリング装置33と、背景画
像処理装置34と、画像合成処理装置35と、ターンテーブル制御装置36は、CPU(
Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Onl
y Memory)などの全て又は少なくとも一つによって構成される。また、画像処理装置3
1と、顔位置検出装置32と、レンダリング装置33と、背景画像処理装置34と、画像
合成処理装置35と、ターンテーブル制御装置36は一体であってもよく、またはそれぞ
れ別体であってもよい。画像処理装置31と、顔位置検出装置32と、レンダリング装置
33と、背景画像処理装置34と、画像合成処理装置35は、例えば、ターンテーブル駆
動装置14に含まれて備えつけられているが、それぞれ、ケース11、ディスプレイ12
、ターンテーブル13、ターンテーブル駆動装置14、カメラ15のいずれかに含まれて
備えつけられていればよい。
【0027】
[立体映像表示方法]
ここで、立体映像表示装置10による立体映像表示方法について説明する。図5は、立
体映像表示装置の作動を表す説明図、図6は、観察者の位置に応じた立体映像表示範囲を
表す概略図、図7は、観察者の位置に応じた立体映像表示内容を表す概略図である。
【0028】
第1実施形態の立体映像表示方法は、ディスプレイ12の周囲にいる観察者の位置を検
出するステップと、観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するステップと
、観察者の位置に対向するようにディスプレイ12を回転するステップと、ディスプレイ
12の後方の背景画像を取得するステップと、背景画像の手前に仮想オブジェクトの画像
を重畳した合成画像を生成してディスプレイ12に表示するステップとを含む。
【0029】
図4および図5に示すように、複数のカメラ15は、立体映像表示装置10の外方の全
範囲を撮影する。画像処理装置31は、複数のカメラ15が撮影した画像を合成処理する
ことで、立体映像表示装置10の外方離の全範囲の連続した全周画像を生成する。顔位置
検出装置32は、画像処理装置31が合成処理した全周画像に基づいて観察者の位置を検
出する。観察者Aが位置Aaにいるとき、顔位置検出装置32は、位置Aaを基準位置に
対する角度として特定する。例えば、位置Aaを基準位置としたとき、観察者Aの位置A
aを角度θ0として特定する。
【0030】
ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Aaにデ
ィスプレイ12が対向するようにターンテーブル13を回転してディスプレイ12aを移
動させる。レンダリング装置33は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Aaに
応じた仮想オブジェクトの画像を形成する。例えば、レンダリング装置33は、仮想オブ
ジェクトの正面画像を形成する。また、背景画像処理装置34は、画像処理装置31が合
成処理した全周囲の連続した画像からディスプレイ12aの後方の背景画像を切り出して
取得する。そして、画像合成処理装置35は、背景画像処理装置34が取得した背景画像
の手前に、レンダリング装置33が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像
を生成し、生成した仮想オブジェクトの画像と背景画像の合成画像をディスプレイ12a
に表示させる。
【0031】
観察者Aが位置Aaから位置Abに移動すると、顔位置検出装置32は、例えば、位置
Aaを基準位置としたときの観察者Aの位置Abを角度θbとして特定する。ターンテー
ブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Abにディスプレイ1
2が対向するようにターンテーブル13を角度θbだけ回転させ、ディスプレイ12bを
移動させる。レンダリング装置33は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Ab
に応じた仮想オブジェクトの画像を形成する。例えば、レンダリング装置33は、仮想オ
ブジェクトの右斜め画像を形成する。また、背景画像処理装置34は、画像処理装置31
が合成処理した全周囲の連続した画像からディスプレイ12bの後方の背景画像を切り出
して取得する。そして、画像合成処理装置35は、背景画像処理装置34が取得した背景
画像の手前に、レンダリング装置33が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳した合成
画像を生成し、生成した仮想オブジェクトの画像と背景画像の合成画像をディスプレイ1
2bに表示させる。
【0032】
一方、観察者Aが位置Aaから位置Acに移動すると、顔位置検出装置32は、例えば
、位置Aaを基準位置としたときの観察者Aの位置Acを角度θcとして特定する。ター
ンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Acにディスプ
レイ12が対向するようにターンテーブル13を角度θcだけ回転させ、ディスプレイ1
2cを移動させる。レンダリング装置33は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位
置Acに応じた仮想オブジェクトの画像を形成する。例えば、レンダリング装置33は、
仮想オブジェクトの左斜め画像を形成する。また、背景画像処理装置34は、画像処理装
置31が合成処理した全周囲の連続した画像からディスプレイ12cの後方の背景画像を
切り出して取得する。そして、画像合成処理装置35は、背景画像処理装置34が取得し
た背景画像の手前に、レンダリング装置33が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳し
た合成画像を生成し、生成した仮想オブジェクトの画像と背景画像の合成画像をディスプ
レイ12cに表示させる。
【0033】
図6(a)に示すように、観察者Aが位置Aaにいるとき、ディスプレイ12を観察者
Aの位置Aaに対向するようにディスプレイ12aに移動させる。レンダリング装置33
は、観察者の位置Aaに応じた仮想オブジェクト101の正面画像を形成する。背景画像
処理装置34は、ディスプレイ12aの後方の背景画像(例えば、テレビ102など)を
切り出して取得する。図7(a)に示すように、画像合成処理装置35は、仮想オブジェ
クト101の正面画像の後方にテレビ102の中部の画像を重畳した合成画像を生成し、
ディスプレイ12aに表示させる。
【0034】
図6(b)に示すように、観察者Aが位置Abにいるとき、ディスプレイ12を観察者
Aの位置Abに対向するようにディスプレイ12bに移動させる。レンダリング装置33
は、観察者の位置Abに応じた仮想オブジェクト101の左斜め画像を形成する。背景画
像処理装置34は、ディスプレイ12bの後方の背景画像(例えば、テレビ102など)
を切り出して取得する。図7(b)に示すように、画像合成処理装置35は、仮想オブジ
ェクト101の左斜め画像の後方にテレビ102の左側の画像を重畳した合成画像を生成
し、ディスプレイ12bに表示させる。
【0035】
また、図6(c)に示すように、観察者Aが位置Acにいるとき、ディスプレイ12を
観察者Aの位置Acに対向するようにディスプレイ12cに移動させる。レンダリング装
置33は、観察者の位置Acに応じた仮想オブジェクト101の右斜め画像を形成する。
背景画像処理装置34は、ディスプレイ12cの後方の背景画像(例えば、テレビ102
など)を切り出して取得する。図7(c)に示すように、画像合成処理装置35は、仮想
オブジェクト101の右斜め画像の後方にテレビ102の右側の画像を重畳した合成画像
を生成し、ディスプレイ12cに表示させる。
【0036】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る立体映像表示装置の制御系統を表すブロック図、図9は、
観察者の位置に応じた立体映像表示内容を表す説明図である。なお、上述した第1実施形
態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
第2実施形態において、図8に示すように、立体映像表示装置10Aは、ケース11(
図1参照)と、ディスプレイ12と、ターンテーブル13と、ターンテーブル駆動装置1
4と、カメラ15と、画像処理装置31と、顔位置検出装置32と、レンダリング装置3
3と、背景画像処理装置34と、画像合成処理装置35と、ターンテーブル制御装置36
と、ターンテーブル位置検出装置(回転位置検出装置)37とを備える。なお、ターンテ
ーブル制御装置36は、制御信号をターンテーブル位置検出装置37へ送信する。
【0038】
ケース11、ディスプレイ12、ターンテーブル13、ターンテーブル駆動装置14、
カメラ15、画像処理装置31、顔位置検出装置32、ターンテーブル制御装置36は、
第1実施形態と同様であることから、説明は省略する。
【0039】
ターンテーブル位置検出装置37は、ターンテーブル制御装置36の制御信号に基づい
てターンテーブル13の位置、つまり、ターンテーブル13と一体のディスプレイ12の
回転位置を検出する。なお、ターンテーブル位置検出装置37は、ターンテーブル駆動装
置14におけるモータ回転数からターンテーブル13の位置を算出したり、ターンテーブ
ル13の回転位置を直接検出したりしてもよい。
【0040】
ターンテーブル位置検出装置37は、ターンテーブル13の実際の回転位置を検出する
。すなわち、図8および図9に示すように、観察者Aが位置Aaから位置Aeに移動する
とき、ターンテーブル制御装置36は、ターンテーブル駆動装置14を駆動制御し、ディ
スプレイ12が観察者Aの位置Aeに対向するように、ターンテーブル13を所定の位置
まで回転し、ディスプレイ12eの位置とする。このとき、観察者Aが位置Aaから位置
Aeに素早く移動すると、ターンテーブル制御装置36による制御遅れやターンテーブル
駆動装置14を駆動時間によりディスプレイ12が遅れてディスプレイ12eに移動する
。すなわち、観察者Aが位置Aeに到達したとき、ディスプレイ12は、まだ、観察者A
の位置Adに対向するディスプレイ12dの位置にある。ターンテーブル位置検出装置3
7は、ターンテーブル13の実際の回転位置をレンダリング装置33へ送信する。
【0041】
そのため、第2実施形態にて、観察者Aが位置Aeに到達したにもかかわらずディスプ
レイ12dの位置にあるとき、レンダリング装置33は、ターンテーブル位置検出装置3
7が検出したターンテーブル13の実際の回転位置、つまり、実際のディスプレイ12d
の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成する。また、背景画像処理装置34も、タ
ーンテーブル13の実際の回転位置、つまり、実際のディスプレイ12dの位置に応じて
、ディスプレイ12dの後方の背景画像を切り出して取得する。画像合成処理装置35は
、仮想オブジェクト101の画像の後方に背景画像を重畳した合成画像を生成し、ディス
プレイ12dに表示させる。
【0042】
その後、ターンテーブル13が回転し、ディスプレイ12が観察者Aの位置Aeに対向
するディスプレイ12eの位置に到達すると、レンダリング装置33は、ディスプレイ1
2eの位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成し、背景画像処理装置34は、ディス
プレイ12eの後方の背景画像を切り出して取得する。画像合成処理装置35は、仮想オ
ブジェクト101の画像の後方に背景画像を重畳した合成画像を生成し、ディスプレイ1
2eに表示させる。
【0043】
なお、ターンテーブル位置検出装置37は、CPU(Central Processing Unit)、
RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの全て又は少な
くとも一つによって構成される。また、ターンテーブル位置検出装置37は、画像処理装
置31と、顔位置検出装置32、レンダリング装置33、背景画像処理装置34、画像合
成処理装置35、ターンテーブル制御装置36と一体であってもよく、またはそれぞれ別
体であってもよい。ターンテーブル位置検出装置37は、例えば、ターンテーブル駆動装
置14に含まれて備えつけられているが、それぞれ、ケース11、ディスプレイ12、タ
ーンテーブル13、ターンテーブル駆動装置14、カメラ15のいずれかに含まれて備え
つけられていればよい。
【0044】
<第2実施形態の変形例>
図10は、第2実施形態に係る立体映像表示装置における観察者の位置に応じた立体映
像表示内容の変形例を表す説明図である。
【0045】
図8および図10に示すように、ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32
が検出した観察者の位置にディスプレイ12が対向するようにターンテーブル13を回転
させる。このとき、ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察
者Aの位置が予め設定された所定時間内に角度θb,θcを超えて移動したときに、観察
者Aの位置に対向するようにターンテーブル13およびディスプレイ12を回転させる。
【0046】
観察者Aが微小量だけ移動するごとにディスプレイ12を回転させると、ターンテーブ
ル駆動装置14は、頻繁にターンテーブル13を回転させることとなり、常時、モータの
駆動音が発生し、観察者Aがモータの駆動音を騒音として感じやすい。そのため、ターン
テーブル制御装置36は、観察者Aの位置が角度θb,θc内での移動するとき、ターン
テーブル13を回転させない。但し、レンダリング装置33は、観察者Aが微小移動した
位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成し、背景画像処理装置34は、観察者Aが微
小移動した位置に対応したディスプレイ12eの後方の背景画像を切り出して取得する。
画像合成処理装置35は、仮想オブジェクト101の画像の後方に背景画像を重畳した合
成画像を生成し、ディスプレイ12eに表示させる。
【0047】
なお、ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者Aの位置
が予め設定された所定時間を超えて角度θb,θc内で移動しているときは、ターンテー
ブル13を回転させてもよい。つまり、ターンテーブル13が停止した状態にあり、観察
者Aが角度θb,θc内で移動しているとき、ターンテーブル13が停止してから所定時
間が経過したら、ディスプレイ12が観察者Aに対向するようにターンテーブル13を回
転させてもよい。
【0048】
また、ターンテーブル制御装置36によるターンテーブル13の回転速度に上限値を設
定することが好ましい。ターンテーブル13を低速で回転することで、モータの大きな駆
動音の発生を抑制したり、ターンテーブル13の回転振動を抑制したり、消費駆動電力量
を低減したりすることができる。
【0049】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、画像を表示するディスプレイ(画像表示部)12と、周囲にいる観察
者の位置を検出する顔位置検出装置(観察者位置検出部)32と、顔位置検出装置32が
検出した観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するレンダリング装置33
と、顔位置検出装置32が検出した観察者に対向する位置にディスプレイ12を回転させ
るターンテーブル駆動装置14(回転部)と、ディスプレイ12の後方の背景画像を取得
するカメラ(背景画像取得部)15と、背景画像の手前に仮想オブジェクトの画像を重畳
した合成画像を生成してディスプレイ12に表示する画像合成処理部装置35とを備える
【0050】
そのため、観察者の位置に応じて適切な仮想オブジェクト101の画像および背景画像
をディスプレイ12dに表示することができる。その結果、観察者に違和感を与えること
がない立体映像を表示することができる。
【0051】
本実施形態では、ディスプレイ12の回転位置を検出するターンテーブル位置検出装置
(回転位置検出部)37を設け、レンダリング装置33は、ターンテーブル位置検出装置
37が検出した回転位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成し、背景画像処理装置3
4は、回転位置検出装置37が検出した回転位置に応じた背景画像を形成する。そのため
、ディスプレイ12の移動遅れがあっても、ディスプレイ12dに適切な画像を表示する
ことができる。
【0052】
本実施形態では、ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察
者の位置が予め設定された所定時間内に所定角度を超えて移動したときに、観察者に対向
する位置にディスプレイ12を回転させる。そのため、必要以上のディスプレイ12の回
転をやめ、頻繁なターンテーブル駆動装置14におけるモータの駆動音の発生を抑制する
ことで、観察者に不快感を与えることを抑制することができる。
【0053】
これまで本発明に係る立体映像表示装置10について説明したが、上述した実施形態以
外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0054】
図示した立体映像表示装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物
理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示の
ものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意
の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0055】
立体映像表示装置10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされた
プログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソ
フトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの
機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み
合わせによって種々の形で実現できる。
【0056】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。
さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない
範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0057】
また、立体映像表示装置10の基本的な構成は、上記の実施形態に限定されるものでは
ない。例えば、ケース11に対するディスプレイ12、ターンテーブル13、ターンテー
ブル駆動装置14の位置は、適宜設定すればよいものである。また、ターンテーブル駆動
装置14は、ターンテーブル13を回転することで、ターンテーブル13と一体のディス
プレイ12を回転可能としたが、直接ディスプレイ12を回転可能としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 立体映像表示装置
11 ケース
12 ディスプレイ(画像表示装置)
13 ターンテーブル(テーブル装置)
14 ターンテーブル駆動装置(回転装置)
15 、カメラ(背景画像取得装置)
21 天井部
22 円筒部
23 底部
24 出力軸
31 画像処理装置
32 顔位置検出装置(観察者位置検出装置)
33 レンダリング装置
34 背景画像処理装置
35 画像合成処理装置
36 ターンテーブル制御装置(回転制御装置)
37 ターンテーブル位置検出装置(回転位置検出装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10