(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177455
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】包材発注管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20241212BHJP
【FI】
G06Q30/0601
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024174840
(22)【出願日】2024-10-04
(62)【分割の表示】P 2022078315の分割
【原出願日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2021109159
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】南 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 徹
(72)【発明者】
【氏名】原田 奈珠
(72)【発明者】
【氏名】八城 順平
(57)【要約】
【課題】発注者による注文動作が簡単であり、且つ、この注文に基づいた軟包材の製造を適切に管理する。
【解決手段】包材発注システム1は、包材発注管理装置10と、包材製造管理装置20と、を含む。包材発注管理装置10は、発注者端末90から、軟包材の型番を指定する情報を含む注文情報と、当該軟包材に対して印刷するデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、軟包材の型番を指定する情報と、当該型番で特定される軟包材で使用される資材を特定する情報とを対応付けた資材指定情報を保持する資材情報保持部18と、資材情報保持部18に保持される情報に基づいて選択された資材指定情報と、デザインデータと、を含む包材作成指示を前記包材製造管理装置に対して送信する包材作成指示部13とを含み、包材製造管理装置20は、包材作成指示に基づいて、軟包材の作成に係る管理を開始する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを介して発注者端末からの軟包材の作成に係る注文を受け付ける包材発注管理装置であって、
前記発注者端末において閲覧可能なWebサイトを介して、複数種の資材が積層されて形成される前記軟包材の各層の資材及び厚さを特定する情報、前記軟包材の形状及び大きさを特定する情報、並びに、納品先を特定する情報を含む注文情報を前記発注者端末から取得する注文受付部と、
前記Webサイトを介して、前記軟包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得するための情報を前記発注者端末に提示する印刷データ取得部と、を含み、
前記Webサイトに含まれる発注者ごとに作成されるユーザページを介して、発注者が発注を行った前記軟包材の処理状況を前記発注者端末に提示するように構成されている、
包材発注管理装置。
【請求項2】
前記ユーザページを介して、発注者による注文内容を前記発注者端末に提示するように構成されている、請求項1に記載の包材発注管理装置。
【請求項3】
前記納品先に前記軟包材が発送された際に、当該発送の完了を発注者に通知する納品管理部を更に含む、請求項1又は2に記載の包材発注管理装置。
【請求項4】
前記注文を受け付けた前記軟包材に関する制作状況を発注者に通知する納品管理部を更に含む、請求項1又は2に記載の包材発注管理装置。
【請求項5】
前記注文を受け付けた前記軟包材に関する納品状況を発注者に通知する納品管理部を更に含む、請求項1又は2に記載の包材発注管理装置。
【請求項6】
前記発注者端末において前記注文に必要な情報を入力するための入力フォームを前記Webサイトに提示するように構成されている、請求項1又は2に記載の包材発注管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包材発注システム及び包材発注管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットを介した発注者端末からの発注信号に基づいて、受注、印刷、納品手配を行うオンラインプリントシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ECサイト等を利用したオンラインによる商取引が広がっており、ユーザが指定するデザインが印刷された軟包材もオンラインによる注文の対象とすることが検討されている。しかしながら、特許文献1に記載のシステムは軟包材のように多種多様な資材が用いられる印刷物については想定されておらず、改善の余地があった。
【0005】
本開示は、発注者による注文動作が簡単であり、且つ、この注文に基づいた軟包材の製造を適切に管理することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一形態に係る包材発注システムは、インターネットを介して発注者端末からの軟包材の作成に係る注文を受け付ける包材発注管理装置と、印刷機が含まれる製造部門において、前記包材発注管理装置からの指示に基づいた前記軟包材の製造を管理する包材製造管理装置と、を含む包材発注システムであって、前記包材発注管理装置は、前記発注者端末から、前記軟包材の型番を指定する情報を含む注文情報と、当該軟包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、前記軟包材の型番を指定する情報と、当該型番で特定される軟包材で使用される資材を特定する情報とを対応付けた資材指定情報を保持する資材情報保持部と、前記資材情報保持部に保持される情報に基づいて選択された、前記注文情報に含まれる型番に対応した前記軟包材の資材を指定した資材指定情報と、前記デザインデータと、を含む包材作成指示を前記包材製造管理装置に対して送信する包材作成指示部と、を含み、前記包材製造管理装置は、前記包材作成指示に基づいて、前記軟包材の作成に係る管理を開始する。
【0007】
また、本開示の一形態に係る包材発注管理装置は、インターネットを介して発注者端末からの軟包材の作成に係る注文を受け付ける包材発注管理装置であって、前記発注者端末から、前記軟包材の型番を指定する情報を含む注文情報と、当該軟包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、前記軟包材の型番を指定する情報と、当該型番で特定される軟包材で使用される資材を特定する情報とを対応付けた資材指定情報を保持する資材情報保持部と、前記資材情報保持部に保持される情報に基づいて選択された、前記注文情報に含まれる型番に対応した前記軟包材の資材を指定した資材指定情報と、前記デザインデータと、を含む包材作成指示を、前記軟包材の製造を管理する包材製造管理装置に対して送信する包材作成指示部と、を含む。
【0008】
上記の包材発注システム及び包材発注管理装置によれば、発注者端末からは軟包材の型番を指定することで、注文をすることができる。一方、包材発注管理装置では、型番に基づいて、当該型番に対応付けられた軟包材の資材を指定した資材指定情報が準備されて、包材作成指示として包材製造管理装置へ送られ、包材製造管理装置において作成にかかる管理が開始される。このように、発注者端末からの軟包材の注文の際には型番を指定することで簡単に注文ができる一方、包材発注管理装置において軟包材に含まれる多種多様な資材がそれぞれ指定された状態で包材製造管理装置に対して包材の作成指示が送信される。したがって、上記の包材発注システム及び包材発注管理装置では、発注者による注文動作が簡単であり、且つ、この注文に基づいた軟包材の製造を適切に管理することが可能となる。
【0009】
前記資材指定情報には、前記軟包材に含まれる、基材、インク、接着層、及びシーラント層の材質を特定する情報を含む態様であってもよい。
【0010】
軟包材を構成する、基材、インク、接着層、及びシーラント層の組み合わせによって軟包材としての種々の特性が実現され得る。資材指定情報にこれらの材質を特定する情報を含めることで、発注者は型番を用いることで所望の特性に対応した軟包材を注文することができると共に、型番に対応した軟包材を構成する各資材の情報が適切に包材製造管理装置に対して伝達される。
【0011】
前記包材作成指示は、前記軟包材の形状または大きさを指定する情報を含む態様であってもよい。
【0012】
上記の構成とした場合、包材発注管理装置では、軟包材の形状または大きさが異なる多様な軟包材を取り扱うことができることから、より多様な軟包材を取り扱うことが可能となる。
【0013】
前記資材指定情報は、前記型番で特定される軟包材で使用される資材に関して厚さを指定した情報を含む態様であってもよい。
【0014】
軟包材に用いられる資材には、同種の資材でありながら互いに異なる厚さのものが使用される場合がある。そこで、上記の構成とした場合、包材発注管理装置では、互いに厚さが異なる同種の資材について取り扱うことができることから、より多様な軟包材を発注者が注文することが可能となる。
【0015】
前記印刷機はデジタル印刷機であって、前記包材製造管理装置は、前記発注者端末から取得する前記デザインデータは、前記デジタル印刷機における前記軟包材への印刷においてそのまま使用されるように工程を管理する態様であってもよい。
【0016】
軟包材への印刷がデジタル印刷機において行われる場合、上記のように発注者端末から取得されたデザインデータがデジタル印刷機における軟包材への印刷においてそのまま使用されるように工程を管理することで、作業者によってデザインが変更されること等が防がれるため、適切な印刷を施すことが可能となる。
【0017】
前記注文関連情報取得部は、前記発注者端末に対して、前記軟包材の型番を指定する情報に対応したフォーマットデータを提供することで、前記発注者端末から取得する前記デザインデータとして、前記フォーマットデータに対してデザインが追加されたデータを取得する態様であってもよい。
【0018】
上記の構成とすることによって、フォーマットデータを利用したデザインデータが発注者端末から提供されるため、デジタル印刷機での使用に適したデザインデータを確実に取得することができる。
【0019】
前記印刷機は非デジタル印刷機であって、前記包材製造管理装置は、前記発注者端末から取得する前記デザインデータに対して所定の加工を行った後に、前記非デジタル印刷機における前記軟包材への印刷に使用されるように工程を管理する態様であってもよい。
【0020】
軟包材への印刷が非デジタル印刷機において行われる場合、非デジタル印刷機に適した補正を行う必要がある。そこで、上記のようにデザインデータに対して所定の加工を行った後に非デジタル印刷機における軟包材への印刷において使用されるように工程を管理することで、非デジタル印刷機においても適切な印刷を施すことが可能となる。
【0021】
前記包材製造管理装置は、前記軟包材が中間層とシーラント層を含む場合に、先に前記中間層と前記シーラント層とを貼りあわせ、先貼り原反として準備するように、工程を管理する態様としてもよい。
【0022】
包材発注システムで取り扱う軟包材は、型番毎に中間層とシーラント層として使用される資材が予め設定されている。そのため、予め先貼り原反として準備しておき、これを利用して注文を受け付けた軟包材を作成するように工程を管理する構成とすることで、注文を受け付けた後の工程を短縮化することができる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、発注者による注文動作が簡単であり、且つ、この注文に基づいた軟包材の製造を適切に管理することが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、一形態に係る包材発注システムの概略構成の一例を説明する図である。
【
図2】
図2は、資材情報保持部で保持される情報の例を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、軟包材の材質構成を模式的に示す図であり、
図3(b)は、軟包材の仕様に関する情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)は、用途に応じた軟包材の例を示す図である。
【
図5】
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)は、用途に応じた軟包材の例を示す図である。
【
図6】
図6は、フォーマットデータ保持部で保持される情報の例を示す図である。
【
図7】
図7は、フォーマットデータの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、包材発注管理装置及び包材製造管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、包材発注システムによる包材発注管理方法の一例を説明するフロー図である。
【
図10】
図10は、ユーザ毎に提示する軟包材に関する情報をまとめた例を示す図である。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は、包材製造部門における包材製造方法(包材製造管理装置における管理方法)の一例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
[包材発注システム]
図1は一実施形態に係る包材発注システム1を模式的に示す図である。包材発注システム1は、発注者によって操作させる発注者端末90との間で通信を行い、発注者端末90からの注文指示に基づいて軟包材を製造し提供するシステムである。包材発注システム1は、包材発注管理装置10と、包材製造管理装置20とを含んで構成される。
【0027】
包材発注システム1は、発注者が操作する発注者端末90からの注文を受け付けて、製造部門と連携して動作する包材製造管理装置20に対して注文に基づく製品の製造及び納品を指示する機能を有する。包材発注システム1で取り使う製品とは「軟包材」である。軟包材とは、紙、プラスチックフィルム、アルミニウム箔、布などの柔らかい柔軟性に富む材料で構成した包装に使用される包材をいう。このなかでもプラスチックフィルムが主材料として用いられることが多い。また、軟包材は、複数の素材を組み合わせた複合材料を用いることで、バリア性、耐熱性等の所望の性能を発揮するための工夫が行われる。軟包材は、商品のパッケージ等に使用されることが多いため、軟包材の印刷面への印刷内容は、注文に応じて異なる場合が想定される。このように、軟包材を発注者から受注する場合、包材に使用する材料を指定する情報、印刷するためのデザインデータ等を発注者から取得する必要があり、さらにこれらの情報を製造部門へ適切に提供することが求められる。
【0028】
軟包材に使用される材料としては、単層フィルムと、多層フィルムと、が挙げられる。このうち、多層フィルムは、一般的には基材、中間層、及びシーラント層を、接着剤を用いて貼り合わせる(ラミネートする)ことによって作成される。デザインデータの印刷は基材に対して行われる。また、中間層は、軟包材の用途によっては省略される場合もあるが、例えば、バリア材として機能する材料が選択される場合もある。特定の用途に使用する軟包材を作成する場合、当該用途に適した資材を組み合わせることで材料(多層フィルム)が作成される。例えば、レトルト食品用の包装の場合には、高温高圧環境下での殺菌(レトルト殺菌)が行われるため、多層フィルムを構成する各層の資材として、耐圧性・耐熱性を有するものが選択され得る。また、印刷後のフィルムとしても頑強であることが求められることから、接着剤及びインクについてもレトルト殺菌に対応(レトルト対応)したものが選択される。一方、静電気によって内容物が包材に貼り付きやすいものである場合には、静電気の発生を防ぐ帯電防止フィルムに適した資材が選択され得る。このように、軟包材は用途に応じてその材料(フィルム・インク等)が異なるため、その製造に用いられるも多種多様となる。一方、発注者は、発注する軟包材の用途に基づいて、多種類の軟包材の中から選択して注文を行うことになる。上記の包材発注システム1では、上記のように多様な資材を用いて作成される多種類の軟包材の作成に係る発注者からの注文を一元的に管理すると共に、注文を受けた軟包材の製造を管理する。
【0029】
包材発注システム1において、包材発注管理装置10は、発注者端末90からの注文を取得する装置である。包材発注管理装置10は、インターネットを介して発注者端末90からの注文を取得する、所謂オンラインによる受注を行う装置である。包材発注管理装置10は、発注者端末90が閲覧可能なWebサイト等を有していて、このWebサイトに対して発注者が入力した情報を取得する。また、包材発注管理装置10は、発注者端末90からの注文を受け付けるとその情報を管理すると共に、包材製造管理装置20に対して製品の製造に係る情報を提供する。
【0030】
包材製造管理装置20は、包材製造工場等の包材の製造に係る部門(
図1では「包材製造部門」としている)において、製造に関する各種機器の管理を行う機能を有する。包材製造管理装置20は、包材発注管理装置10からの指示に基づいて印刷機21、ラミネート機22及び製袋機23等の包材の製造に係る機器を制御する機能を有していてもよい。さらに、包材製造管理装置20は、資材の発注や在庫管理等を行う機能を有していてもよい。包材発注管理装置10と包材製造管理装置20とは、例えば、無線通信または有線通信が可能な構成とされていて、包材発注管理装置10において受注した包材の作成が包材製造管理装置20に対して適宜指示される。包材製造管理装置20は、この指示に基づいて、包材製造部門における各機器について、注文を受けた包材の作成に関する工程の管理を開始する。なお、包材製造管理装置20による包材の作成の工程に関する管理には、例えば、注文を受けた軟包材に応じた製造工程(例えば、資材の貼り合わせ・印刷等)の把握、この製造工程を進めるための各機器における作業のスケジューリング、軟包材に使用する資材の調達(発注)等の一部が含まれていてもよい。
【0031】
発注者端末90は、例えば、発注者であるユーザによって使用される端末装置であり、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等の装置が挙げられる。発注者端末90は、インターネットに対して接続可能である。インターネットへの接続に際して、例えばインターネット以外の通信網を経由してもよい。発注者端末90は、後述の印刷用のデザインデータを編集する機能を有していてもよい。
【0032】
なお、特定のユーザが使用する発注者端末90は、1つには限定されない。すなわち、一のユーザが複数の発注者端末90を利用してもよい。したがって、例えば、ユーザが注文情報の送信に利用する発注者端末90と、デザインデータの送信に利用する発注者端末90とが互いに異なっていてもよい。複数の発注者端末90がそれぞれインターネットに接続して情報の送受信を行うことができる場合、ユーザは各発注者端末90を個別に取り扱うことができる。
【0033】
[包材発注管理装置]
図1に示すように、包材発注管理装置10は、注文受付部11、印刷データ取得部12、包材作成指示部13、納品管理部14、決済処理部15、ユーザ情報保持部16、受注情報保持部17、資材情報保持部18及びフォーマットデータ保持部19を含んで構成される。また、包材発注管理装置10は、発注者端末90及び包材製造管理装置20との間で通信を行い情報の送受信を行う。包材発注管理装置10と発注者端末90または包材製造管理装置20との通信は、有線または無線で行われ得る。注文受付部11及び印刷データ取得部12は、注文に関連する情報を取得する注文関連情報取得部としての機能を有する。
【0034】
注文受付部11は、発注者端末90からの包材の注文を受け付ける機能を有する。上述のように、包材発注管理装置10は、発注者端末90において閲覧可能なWebサイトを準備し、発注者端末90からのリクエスト(例えばURLの指定)によって発注者端末90においてWebサイトが閲覧可能となる。また、発注者(ユーザ)は、発注者端末90を操作して、当該Webサイトを閲覧し、Webサイト上に準備されている入力フォームへ情報を入力すること等によって、注文に必要な情報を入力する。入力された情報は、インターネットを介してWebサイトを提供する包材発注管理装置10に対して送信される。これにより、注文受付部11は注文を受け付けることができる。
【0035】
注文受付部11が注文を受け付ける際に取得する注文に関する情報(注文情報)とは、注文者を特定する情報(氏名・住所等)、注文する製品に関する情報、納品先を特定する情報(氏名・住所等)、費用の支払いに関する情報等が挙げられる。このうち、注文する製品に関する情報としては、軟包材の場合、例えば、包材の種類(例えば、使用する資材)を特定する情報及び注文数が挙げられる。包材を指定する情報には、包材に使用される資材を特定する情報(複数種類の資材を積層したフィルムである場合、各層の情報等)と、包材の形状及び大きさを特定する情報(形状とは、例えば、三方平袋、スタンディングパウチ等)と、が挙げられる。本実施形態の包材発注管理装置10では、上記の包材を構成する材料(資材)を特定する情報と、包材の形状及び大きさを特定する情報に対応付けて、型番が割り当てられている。そのため、発注者は、型番を指定することで、包材の材料を特定する情報と、包材の形状及び大きさを特定する情報と、を包材発注管理装置10に対して送信することが可能となる。
【0036】
発注者(ユーザ)が発注者端末90を操作して特定の包材を選択して注文を行うことが可能となるように、発注者端末90においてユーザに対して提示される情報が調整され得る。例えば、ユーザが購入可能な軟包材のそれぞれについて、包材の種類(例えば、使用する資材)・大きさ・形状等を示すことは、ユーザが軟包材を選択する際に重要な情報となり得る。また、軟包材の用途(レトルト対応、ボイル対応、電子レンジ対応、収容可能な内容物の例等)、特性(遮光性、帯電防止性、透明性等)などの情報は、包材の種類を直接表示する場合と比較して、ユーザによる包材の選択において重要な情報となる可能性がある。したがって、ユーザに対して提示をすることはユーザの利便性を高めること等を目的として、ユーザが使用する注文画面にこれらの情報を組み合わせて表示してもよい。
【0037】
印刷データ取得部12は、注文を受け付けた発注者端末90から、印刷に使用するデザインデータを取得する機能を有する。印刷に使用するデザインデータとは、注文を受け付けた包材に対して印刷する内容が記載されたデータである。なお、軟包材に対する印刷の種類としては、基本的にデザインデータから直接印刷を行うデジタル印刷と、製版及び色合わせを行った上で印刷を行う非デジタル印刷と、が挙げられる。非デジタル印刷としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、EBオフセット印刷等が挙げられる。ただし、これらの印刷方法とは異なる非デジタル印刷方法が用いられてもよい。包材発注管理装置10は、いずれの印刷にも対応可能である。ただし、デジタル印刷の場合には、製版を行わず発注者から取得した印刷データをそのまま印刷に使用してもよい。そのため、包材発注管理装置10では、フォーマットデータを発注者に対して提供することによって、発注者から所定の包材に適したデザインデータ(印刷用データ)を取得する構成とされる。この点については後述する。注文受付部11が取得した情報及び印刷データ取得部12が取得した情報は、受注情報保持部17において保持される。
【0038】
印刷データ取得部12は、発注者から送信されたデザインデータがPDFデータである場合、予め設定したチェック項目に基づいてデータチェックを行う、プリフライトチェックを行ってもよい。また、プリフライトチェックの結果と、最終的に印刷に使用する予定のデザインデータとを、発注者に対して通知する構成としてもよい。この場合、発注者は、例えばメール等で通知されたURLに基づいて所定サイトにアクセスすることで、通知内容を確認する構成としてもよい。なお、プリフライトチェックはPDFデータに対して行われるものであるが、デザインデータとしてPDFデータ以外のデータを取り扱う場合にも、同種のチェックを行う構成としてもよい。
【0039】
包材作成指示部13は、注文受付部11が受け付けた注文及び印刷データ取得部12によって取得されたデータに基づいて、包材製造管理装置20に対して包材作成指示を行う機能を有する。包材作成指示部13は、注文受付部11及び印刷データ取得部12によって取得した情報と、自装置で保持している情報とに基づいて、包材製造管理装置20への指示に必要な情報を準備する。準備した情報を包材製造管理装置20に対して送信することで、包材発注管理装置10から包材製造管理装置20への包材作成の指示が行われる。
【0040】
納品管理部14は、包材作成指示部13によって作成を指示した包材についての納品等の管理を行う機能を有する。包材作成指示部13によって作成が指示された包材は、完成すると包材製造部門(例えば、工場等)から納品先へ送付され得る。納品管理部14では、包材製造管理装置20から送信される納期情報や納品の通知等に基づいて発注者に対して注文を受け付けた製品に関する制作状況や納品状況を通知する機能を有する。
【0041】
決済処理部15は、注文受付部11が受け付けた注文に関する決済を行う機能を有する。決済を行うための仕組みは特に限定されず、既存の決済手法を組み合わせて使用することができる。決済に関する履歴(決済を行ったことを示す情報等)は、注文に関する情報等と対応付けて、受注情報保持部17において保持されてもよい。決済に関する情報は、受注情報保持部17に保持される情報とは別に保持されてもよい。この場合、注文毎に決済が行われたことを確認できるように、例えば注文番号を利用した対応付け等が行われていてもよい。
【0042】
ユーザ情報保持部16は、包材発注管理装置10を使用するユーザ(包材発注管理装置10が提供するサービスを利用する利用者)に関する情報を保持する機能を有する。ユーザは、事前または初回の注文時に、包材発注管理装置10に対して登録に必要な情報を提供することで、包材発注管理装置10を利用するユーザとしてユーザ登録をする構成とすることができる。ユーザ登録の際にユーザから提供された情報は、ユーザ情報保持部16に保持される。また、ユーザ毎にユーザを特定する情報(例えば、ユーザID)が割り振られ、この情報を用いて特定のユーザに係る情報を取得することができる。一方、ユーザを特定する情報に対応付けられたパスワード等を付与すると共に、このパスワードをユーザに対して通知する構成とすることによって、パスワードを利用したセキュリティ管理を行うことができる。このように、ユーザ情報保持部16にユーザの情報を登録しておくことで、ユーザが再び注文を行うときには、ユーザとして登録した情報を利用することができる。なお、ユーザ登録自体は包材発注管理装置10において必須の構成ではない。したがって、ユーザ管理を行わない場合には、包材発注管理装置10はユーザ情報保持部16を有していなくてもよい。また、後述の受注情報保持部17との対応付けを行わない構成としてもよい。
【0043】
受注情報保持部17は、発注者から受け付けた注文の情報を保持する機能を有する。受注情報保持部17では、発注者からの一度の注文に対応付けて、注文受付部11が取得した情報と、印刷データ取得部12が取得したデザイン(印刷用データ)とが、保持され得る。さらに、受注情報保持部17では、各注文に対して、ユーザ情報保持部16において保持されているユーザの情報を対応付けて保持しておくことで、ユーザが過去の注文履歴の探索をすることが可能となる。ユーザ登録をしているユーザが発注者となる場合には、ユーザ登録された情報が発注者の情報になるので、ログインした状態で注文を行うことで、紐付けが可能となる。また、初回の注文時にユーザ登録を行う場合には、初回注文時に発注者として入力した情報がユーザ情報として使用され得る。そしてユーザを特定する情報として割り振られたユーザID等を利用して注文後でもデータの紐付けを行うことができる。
【0044】
資材情報保持部18は、型番と資材との対応関係に係る情報を保持する機能を有する。資材情報保持部18において保持される情報の例を
図2に示す。
図2では、注文時に使用される型番に対応付けて、仕様書(例えば、製造部門で使用される仕様書を特定する情報)、材質構成、形状サイズ、特徴、金額(単価及び最小注文数)が対応付けられている。このうち、材質構成とは、各型番に対応する包材を構成する各層の構成を示している。この情報を用いて、ひとつの型番から、当該型番の包材に使用される資材を特定することができる。
図2に示す例では、「材質構成」として軟包材に使用する、基材、中間層、シーラント層、及びこれらの層に使用する資材の厚さを指定する情報が含まれている。また、「材質構成」には、層間で使用する接着剤や、印刷に使用するインク等を指定する情報が含まれていてもよい。「材質構成」に含まれる情報は、軟包材の種類に応じて適宜変更され得る。
【0045】
また、
図2に示すように、資材情報保持部18において保持される情報には、型番に対応付けて、形状・サイズ、特徴(各軟包材の素材の特徴・用途などを説明する情報)等の情報が含まれていてもよいこれらの情報は、例えば、発注者が包材の注文を行う際に使用してもよい。具体的には、例えば、形状・サイズ・特徴・金額等の情報を、Webサイト等においてユーザに対して提示し、当該情報に基づいてユーザが注文する包材の型番を選択する態様としてもよい。さらに、一部または全てのユーザに値引きが設定されている場合には、
図2に示す例のように、値引きの対象及び値引き率(もしくは値引き額)を特定した情報を
図2に示す情報に対応付けて保持する構成としてもよい。値引きの情報が資材情報保持部18に保持されている場合には、Webサイトにおいて各軟包材の金額を提示する際に、ユーザ毎に定められた値引きを反映した状態で金額を提示する構成としてもよい。
【0046】
図3~
図5を参照しながら、
図2に示す情報に含まれる、軟包材の構成例について説明する。
図3(a)は、軟包材に使用される包材フィルム200を模式的に示す図であり、第1基材フィルム201、接着剤層204、第2基材フィルム202、接着剤層206及び第3基材フィルム203がこの順に積層されている。第1基材フィルム201の一対の主面のうち第2基材フィルム202寄りの一主面にはプライマー層(図示せず)が設けられていてもよい。また、接着剤層204の第1基材フィルム201寄りの一主面に静電インク層205が設けられる。プライマー層が設けられている場合、プライマー層の一対の主面のうち第2基材フィルム202寄りの一主面に静電インク層205が設けられる。この包材フィルム200は、例えば、電子レンジによって加熱される食品等の軟包材に使用されるフィルムである。
【0047】
図3(a)に示すように、第1基材フィルム201は蒸着層がアルミナの透明無機酸化物蒸着2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム12μm(凸版印刷株式会社製:GLARH)であり、第2基材フィルム202はナイロンフィルム15μmであり、第3基材フィルム203は無延伸ポリプロピレンフィルム60μmであるとする。この場合、
図3(b)に示すように、材質構成は例えば、「GLARH12/NY15/CPP60」と、材質の略号と厚さ(数字)との組み合わせによって記述され得る。さらに、
図3(b)では、蒸着層がアルミナの透明無機酸化物蒸着2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(GLARH)に代えて、メカニカルリサイクルPETを使用したフィルム(GLARNF)を採用可能であることが記載されている。このように、「材質構成」は軟包材に求められる機能を実現するための包材フィルムを構成する材質の構成を規定したものであり、
図2に示す例でも同様に材質が略語によって記載されている。
【0048】
なお、
図3(b)では、材質構成の他、用途及び袋の形状の指定(電子レンジ用スクエア型スタンディングパウチ)接着剤層の指定、サイズ、絵柄(絵柄を追加可能な場所の指定)、及び、底テープの指定に係る情報も示されている。
図3(b)に示す情報の一部は、
図2に示す情報に含まれていてもよいし、
図3(b)に示すように、本システムで取り扱う軟包材毎に個別にデータ管理されてもよい。
【0049】
図4及び
図5では、包材発注管理装置10での取り扱いが想定される軟包材のうち、特徴的なものを例示している。
図4では、メカニカルリサイクルPETフィルムを包材フィルムに使用した軟包材の例を示している。メカニカルリサイクルPETは、使用済みPETボトルを粉砕・洗浄後に再びPET樹脂に戻したものである。リサイクル樹脂を活用した包材であるから、メカニカルリサイクルPETを使用した包材は、環境配慮型の包材の一つである。
【0050】
具体的には、
図4(a)では、レトルト対応品且つ透明素材の軟包材の材質構成として、「メカニカルリサイクルPET12/AL7/NY15/CPP80」というように、メカニカルリサイクルPETフィルム12μm、アルミフィルム7μm、ナイロンフィルム15μm及び無延伸ポリプロピレンフィルム60μmが積層されていることが示されていて、具体的な形状として、スタンディングパウチ及び三方平袋が想定されていることが示されている。また、
図4(b)では、レトルト対応品且つアルミ素材の軟包材の材質構成として、「GLARNF12/NY15/CPP80」というように、メカニカルリサイクルPETを使用したフィルム12μm、ナイロンフィルム15μm及び無延伸ポリプロピレンフィルム80μmが積層されていることが示されていて、具体的な形状として、スタンディングパウチ及び三方平袋が想定されていることが示されている。さらに、
図4(c)では、健康食品用のアルミ素材の軟包材の材質構成として、「メカニカルリサイクルPET12/AL7/NY15/LLDPE40」というように、メカニカルリサイクルPETフィルム12μm、アルミフィルム7μm、ナイロンフィルム15μm及び低密度ポリエチレンフィルム40μmが積層されていることが示されていて、具体的な形状として、スタンディングパウチ、三方平袋、スタンディングチャック袋及び三方チャック袋が想定されていることが示されている。
【0051】
また、
図5では、ノンソルラミネート構成の包材フィルムを使用した軟包材の例を示している。ノンソルラミネートとは、有機溶媒を使用しない接着剤を用いてラミネート加工のことをいう。ノンソルラミネートは有機溶媒を使用しない加工であるため、有機溶媒を使用する接着剤を用いたラミネート加工に比べ、二酸化炭素(CO
2)や揮発性有機化合物(VOC)を排出しない。そのため、ノンソルラミネートによる包材は作業環境または自然環境を配慮した包材の一つである。
【0052】
具体的には、
図5(a)では、健康食品用ノンソルラミネート包材フィルムによる軟包材の材質構成として、「メカニカルリサイクルPET12/AL7/NY15/LLDPE40」というように、メカニカルリサイクルPETフィルム12μm、アルミフィルム7μm、ナイロンフィルム15μm及び低密度ポリエチレンフィルム40μmが積層されていることが示されていて、具体的な形状として、スタンディングパウチ、三方平袋、スタンディングチャック袋及び三方チャック袋が想定されていることが示されている。また、
図5(b)では、菓子、米穀、乾物用ノンソルラミネート包材フィルムによる軟包材の材質構成として「OPP30/CPP30」というように、二軸延伸ポリプロピレンフィルム30μm及び無延伸ポリプロピレンフィルム30μmが積層されていることが示されていて、具体的な形状として、三方平袋が想定されていることが示されている。さらに、
図5(c)では、ペットフード、菓子、ドライフード用ノンソルラミネート包材フィルムによる軟包材の材質構成として、「バリアNY15/易カットLLDPE80」というように、バリアナイロンフィルム15μm及びカットが容易な低密度ポリエチレンフィルム80μmが積層されていることが示されていて、具体的な形状として、三方チャック袋が想定されていることが示されている。
【0053】
このように、包材発注管理装置10は、用途に応じた多種多様な軟包材を取り扱うことが可能となる。
図2に示す例では型番に対応付けられたデータが4つのみ示されているが、実際には、包材発注管理装置10で管理している型番に対応付けられたデータは相当数存在することが想定される。包材発注管理装置10では、ユーザが発注を行う際に、ユーザに対して注文可能な軟包材を提示するが、その場合に、資材情報保持部18で管理している情報をすべて提示することに代えて、ユーザのニーズ等に応じた軟包材を選択して提示する構成としてもよい。この点については後述する。
【0054】
図2に戻り、フォーマットデータ保持部19は、発注者に対して提供されて、発注者における印刷用のデザインデータの作成に使用されるフォーマットデータ一式に関する情報を保持する機能を有する。フォーマットデータ保持部19において保持される情報の一例を
図6及び
図7に示す。
図6では、注文時に使用される型番に対応付けて、発注者(発注者端末90)に対して送信するデータを特定する情報(例えば、ファイル名)が対応付けられている。発注者端末90に対して送信されるフォーマットデータとは、発注者が発注者端末90またはそのほかの装置を利用してデザインの作成(データの加工)が可能であるデータである。また、発注者による加工後のデータ(印刷用のデータ)は、予め定められた様式で返送されること好ましく、特に、デジタル印刷の場合、例えば印刷機21において使用可能な体裁で発注者端末90から包材発注管理装置10へ送信されることが求められる。そこで、例えば、
図6に示すように、1つの型番に対して、1つのフォーマットデータと、1つの設定ファイルと、1つのマニュアルデータと、がフォーマットデータ一式として準備されていてもよい。このフォーマットデータ一式とは、発注者端末90に対して提供されるデータのパッケージとなり得る。
【0055】
なお、フォーマットデータとは、印刷に使用されるデータの元となるデータである。フォーマットデータの一例を
図7に示す。
図7に示すように、データD1には、型番に対応した包材に対応した描画エリアA1と非描画エリアA2とが規定され得る。また、描画エリアA1には、印字推奨エリアを区切るための枠線A3が設けられていてもよい。さらに、ファスナー等のように印刷に制限がある領域がある場合には、制限エリアA4が規定されていてもよい。このように、データD1には、発注者が包材に応じた適切なデザインの印刷データを作成することが可能となるような情報が含まれ得る。
【0056】
図6に戻り、型番毎に対応付けられている設定ファイルとは、例えば、発注者が使用するアプリケーション等において、印刷に使用されるデザインデータを適切な状態で出力するための各種設定を記述したファイルである。また、マニュアルデータとは、フォーマットデータ及び設定ファイルの使用方法が記載されたデータである。このようなデータセットを「フォーマットデータ一式」として、1つの型番に対応付けて保持していてもよい。なお、フォーマットデータ保持部19では、上記のデータD1のほか、設定ファイル及びマニュアルデータについても保持している。フォーマットデータ一式を発注者端末90に対して送信する場合には、型番に基づいて、3つのデータ(フォーマットデータ、設定ファイル及びマニュアルデータ)が選択される。そして、これらのデータを1つのパッケージとした上で、印刷データ取得部12によって包材発注管理装置10から発注者端末90に対して送信される。
【0057】
なお、包材発注管理装置10では、注文の受け付けによって発生する決済処理を管理する機能をさらに有していてもよい。ただし、この部分については、既存の処理を適用することが可能となるため、詳細な説明は省略する。
【0058】
[包材製造管理装置]
包材製造管理装置20は、包材発注管理装置10と連携して動作可能な装置である。また、包材製造管理装置20は、自装置が管理する部門(
図1では、「包材製造部門」としている)における包材製造に関係する各装置を管理する機能を有する。一例として、
図1では、印刷機21、ラミネート機22及び製袋機23を示している。印刷機21としては、印刷の種類に応じた印刷機として、デジタル印刷機または非デジタル印刷機(グラビア印刷機、EBオフセット印刷機、フレキソ印刷機等)が選択され得る。ラミネート機22としては、ドライラミネート機、エクストルージョンラミネート機等が挙げられる。なお、
図1に示すこれらの機械は一例であって、包材製造管理装置20による管理対象は、これらに限定されない。また、包材製造管理装置20は、管理対象の機器(印刷機21等)を個別に制御可能であってもよいし、動作状況または運転予定(スケジュール)のみを管理する構成であってもよい。
【0059】
さらに、包材製造管理装置20は、自装置が管理する部門において製造する各製品の資材管理・工程管理等を一括して行う構成であってもよい。このように、包材製造管理装置20における管理対象は、管理対象の部門における包材の製造に関する全般の業務とすることができる。ただし、包材製造管理装置20は、これらの業務に係る管理を全て行っていなくてもよくその一部のみを管理する構成であってもよい。一例として、本実施形態では、包材製造管理装置20は、包材発注管理装置10からの指示に基づいた包材の製造に係る管理の一部として、少なくとも、包材発注管理装置10からの包材の作成指示の受信と、受信したデータの管理と、作成指示を受けた包材の作成状況の管理(工程管理)を行う。なお、これらの管理は、1つの包材製造管理装置20において行う必要はなく、複数の装置で分散して管理する構成であってもよい。
【0060】
[包材発注管理装置及び包材製造管理装置のハードウェア構成]
図8は、包材発注管理装置10または包材製造管理装置20に用いられるコンピュータ110のハードウェア構成の一例を示す図である。例えば、コンピュータ110は制御回路100を有する。一例では、制御回路100は、一つまたは複数のプロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信ポート104と、入出力ポート105とを有する。プロセッサ101はオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する。ストレージ103はハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、または取り出し可能な媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスクなど)の記憶媒体で構成され、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ102は、ストレージ103からロードされたプログラム、またはプロセッサ101による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ101は、メモリ102と協働してプログラムを実行することで、個々の機能モジュールとして機能する。通信ポート104は、プロセッサ101からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して他の装置との間でデータ通信を行う。入出力ポート105は、プロセッサ101からの指令に従って、キーボード、マウス、モニタ、タッチパネルなどの入出力装置(ユーザインタフェース)との間で電気信号の入出力を実行する。
【0061】
なお、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置20は、それぞれ複数のコンピュータ110によって構成されていてもよい。また、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置20のいずれかが複数のコンピュータ110から構成されている場合、複数のコンピュータ110は、分散配置していてもよく、これらが相互に通信ネットワークNWを介して接続されていてもよい。
【0062】
[包材発注管理方法]
次に、
図9を参照しながら、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置20を含む、包材発注システム1による包材発注管理方法について説明する。
【0063】
図9に示すように、発注者端末90と包材発注管理装置10の間で、まず、ステップS01及びステップS02が行われる。ステップS01では、発注者が発注者端末90を操作することで、包材発注管理装置10が提供するWebサイトを参照し、当該Webサイトに必要情報を入力して、ユーザ登録要求を送信する。一方、ステップS02では、包材発注管理装置10が発注者端末90からのユーザ登録要求を受信し、包材発注管理装置10のユーザ情報保持部16にユーザの情報を登録すると共に、発注者端末90に対してユーザ登録が完了したことを通知する。これにより、発注者端末90のユーザが発注者となることが可能となる。なお、ステップS01及びステップS02は、事前にユーザ登録を行う場合の例であり、ユーザ登録を行うタイミングに応じてこの処理は変更され得る。また、包材発注管理装置10においてユーザ管理を行わない場合には、この処理は省略され得る。
【0064】
なお、ユーザ登録(S01~S02)を行う手順の際に、ユーザが反社会的勢力との関係がないことを確認する手順を含めてもよい。このような手順を含めることで、反社会的勢力との関係を遮断した状態での取り引きが可能となる。反社会的勢力との関係がないことを確認する手法としては、例えば、ユーザ自身による確認のプロセスを設けることとしてもよい。また、ユーザ名等を利用したネット記事等の検索等を行うことで、ユーザと反社会的勢力との関係を確認するプロセスを設けてもよい。なお、反社会的勢力との関係がないことの確認に限らず、コンプライアンス確認のプロセスをこの段階で設けてもよい。これらのプロセスは外部が提供するサービスと組み合わせることによって行われてもよい。外部が提供するサービスとしては、例えば、企業名等に基づいてコンプライアンスチェックを行うサービスが挙げられる。このような外部サービスと組み合わせる手法として、例えば、包材発注管理装置10がユーザ登録の手順の途中においてユーザが登録した企業名の情報等を外部サービスに提供すると共に、当該外部サービスによるチェック結果を自動的に取得して、包材発注管理装置10に保持する構成としてもよい。この場合、外部サービスによるチェック結果を、包材発注管理装置10の表示部(不図示)に表示させ、包材発注管理装置10の管理者が外部サービスによるチェック結果を確認することでユーザと反社会的勢力との関係の有無を管理者が確認することができる。このような手順を組み込む場合、ユーザと反社会的勢力との関係の有無が管理者によって確認されるまでは、ユーザを仮登録状態として、反社会的勢力との関係がないことが管理者側で確認できた場合にユーザを本登録とするという手順を追加してもよい。なお、ユーザ登録を利用したユーザ管理を行わない場合には、後述の注文受け付け時に同種の確認を行ってもよい。
【0065】
次に、包材発注管理装置10は、発注者端末90からの要求に基づいてステップS03を実行する。発注者端末90のユーザが包材発注管理装置10に対して包材の発注を行おうとする場合、ユーザは発注者端末90を操作して注文用のフォームの提示を要求する。この要求に対応して、包材発注管理装置10は注文用フォームを提示する。注文用フォームの形式は特に限定されず、例えば、Webサイトにおいて提供可能な包材を複数表示することでユーザがその中から選択可能であってもよいし、ユーザが型番を入力する構成であってもよい。このように、ユーザが注文を行う際の情報を入力する形式・インタフェース等は適宜変更され得る。
【0066】
ユーザ登録(S01~S02)を行った後に、Webサイト(例えば、ユーザ毎に割り当てられるユーザページ等)を介してユーザが包材の発注を行う構成とする場合、ユーザ毎に割り当てられるユーザページでは、ユーザによる注文内容、ユーザが発注を行った包材の処理状況、ユーザが送信したデータ等を閲覧可能な構成とされていてもよい。また、包材発注管理装置10の管理者は、ユーザページを利用してユーザに対して種々の情報(広報情報、特定のユーザへ宛てたお知らせ等)を提示することとしてもよい。
【0067】
図10では、ユーザID「U001」で特定されるユーザに対してWebサイト(ユーザページ等)において提示する包材に係る情報を、資材情報保持部18において保持される情報の中から抽出した例を示している。ユーザに対してWebサイトにおいて提供可能な包材を提示した上で、ユーザに注文する包材を選択させる構成とする場合、
図10に示すように当該ユーザに対して提示する情報を選択し、当該情報に基づいて、ユーザに対して選択画面を提示することができる。
図10では、一例として5つの包材に係る情報が示されている。このうち、表示型番X0101、X0102、X0205で特定される包材については、備考欄に「ユーザ別価格」と記載されている。
図2に示す例では、上記の3つの型番の包材は、値引きに係る情報としてユーザU001についてはそれぞれ個別に値引きが行われることが示されている。
図10では、この3つの包材について、「金額」として
図2に示す値引きが反映された状態が示されている。したがって、ユーザU001に対して提供可能な包材を提示する場合には、
図10に示す金額をWebサイトにて表示する。このとき、例えば、特別価格であることを明確にするような表示変更を行ってもよい。このように、特別価格が設定されている包材については、通常価格も併記することによって、ユーザに対して特別に価格が設定されていることを積極的に提示するような構成であってもよい。
【0068】
図10に示す表示型番X0301で特定される包材は、備考欄に「ユーザ業種に基づく」と記載されている。これは、ユーザ登録時にユーザが入力した情報等に基づいて、当該ユーザの業種に関連する当該包材に係る情報をユーザに対して提示するように包材発注管理装置10において選択されたことを示している。
図2~5等にも示されるように、包材発注管理装置10で取り扱う包材が多種多様にわたる場合、特定の業種に適した包材も種々存在し得る。ユーザに対して提供可能な包材を提示する場合、当該ユーザの業種と関連性の高い包材を優先してユーザに提示することによって、ユーザは目的に合致する包材を容易に選択でき、注文作業を簡単にすませることができる。
図10に示す「ユーザ業種」は、ユーザと関連性の高い包材を抽出する際の1つの例であり、ユーザの業種で使用することが考えられる包材を優先してユーザに対して提示することを示している。
【0069】
さらに、
図10に示す表示型番X0401で特定される包材は、備考欄に「オリジナル仕様」と記載されている。これは、特定のユーザからのリクエストに基づいて作成された特定のユーザ向けの包材を示している。つまり、この包材は、特定のユーザ(例えば、ユーザU001)しか購入できない包材として設定され得る。このように、包材発注管理装置10では、特定のユーザからのリクエストに基づいて独自の包材を設定することもできる。その場合、独自の包材に対しても型番番号、仕様書番号を設定し、包材を製造するために必要な情報をすべて準備し、資材情報保持部18にて他の包材の情報と同様に保持する。そして、特定のユーザに対してWebサイトにおいて提供可能な包材を提示する場合には、当該ユーザ向けの包材についても提示する。このような構成とすることで、当該ユーザのリクエストに応じて、ユーザ毎に異なる包材を提供することが可能となり、ユーザも容易に当該包材を注文することができる。
【0070】
なお、Webサイトでの包材の提示の手法は上記で説明した例に限定されない。例えば、初期画面では、提供可能な包材をすべて表示する態様とし、ユーザが抽出条件を設定し検索することで、当該抽出条件に合致する特定の包材に係る情報のみを抽出して表示することとしてもよい。また、上述の手法とは異なる手法で、ユーザに対して優先して表示する包材に係る情報を抽出してもよい。
【0071】
図9に戻り、次に、注文用フォームを取得した発注者端末90では、ステップS04を実行する。ステップS04では、発注者端末90のユーザが注文に必要な各種情報を入力する。このとき、ユーザが入力する情報には、包材の型番を指定する情報が含まれる。なお、ユーザは包材の型番を直接指定してもよいが、例えば、Webサイトに掲載されている包材の中から1つの包材を選択した場合に、当該包材に対応する型番が自動的に選択される構成であってもよい。
【0072】
次に、発注者端末90では、ステップS05を実行する。ステップS05では、入力後の注文フォームに記載された情報、すなわち注文情報が発注者端末90から包材発注管理装置10へ送信される。この注文情報には、包材の材質・形状及び大きさを指定する型番情報が含まれ得る。発注者端末90から注文情報が送信されると、包材発注管理装置10の注文受付部11では、ステップS06を実行する。ステップS06では、注文受付部11は、注文を受け付ける処理を開始するプロセスとして、注文情報を取得し、受注情報保持部17に保持する。また、必要に応じてユーザ情報保持部16との対応付け(例えばユーザIDを利用した情報の紐付け)を行う。
【0073】
次に、包材発注管理装置10の印刷データ取得部12では、ステップS07を実行する。ステップS07では、印刷データ取得部12はフォーマットデータ保持部19を参照して、注文情報に含まれる型番に対応したフォーマットデータ一式を準備する。次に、包材発注管理装置10の印刷データ取得部12では、ステップS08を実行する。ステップS08では、印刷データ取得部12が準備したフォーマットデータ一式を発注者端末90に対して送信する。一例として、印刷データ取得部12は、フォーマットデータ一式を、発注者端末90からの操作によってデータをダウンロード可能なWebサイト等にアップロードしてもよい。この場合、発注者端末90の操作によって当該データをダウンロードすることで、フォーマットデータ一式を取得する構成としてもよい。各型番に対応したフォーマットデータ一式が、それぞれ特定のWebサイトにおいてダウンロード可能な状態で設けられていてもよく、発注者端末90が特定の型番に対応したフォーマットデータ一式をダウンロードすることによって、フォーマットデータ一式を取得してもよい。
【0074】
これに対して、発注者端末90は、ステップS09を実行する。ステップS09では、フォーマットデータ一式を取得した発注者端末90において、データD1を加工することで、印刷用のデザインデータを作成する。
【0075】
作成後のデータについて、発注者端末90は、ステップS10を実行する。ステップS10では、発注者端末90から包材発注管理装置10に対して、加工後の印刷用のデザインデータが送信される。送信されたデータは包材発注管理装置10の印刷データ取得部12において取得される。なお、発注者端末90から包材発注管理装置10へのデザインデータの送付は、例えば、特定のWebサイトへのデータのアップロードによって行われてもよい。この際に、デザインデータが著作権侵害にあたらないこと、及び、その他公序良俗に違反しないことをユーザに確認させる処理を行ってもよい。なお、外部サービスとの組み合わせ、または、包材発注管理装置10において予め組み込まれたプログラムの実行等によって、著作権侵害・公序良俗違反等の確認について包材発注システム1側で行う構成としてもよい。
【0076】
ここまでの手順が終わると、包材発注管理装置10の決済処理部15はステップS11を実行する。ステップS11では、決済処理部15は、発注者からの注文を確定させて、決済処理を行う。決済処理部15により決済が行われたことを示す情報は、例えば、上述のように受注情報保持部17に記録される。ここまでの処理により、注文の受付に係る一連の処理が完了する。
【0077】
次に、包材発注管理装置10の包材作成指示部13では、ステップS12を実行する。ステップS12では、包材作成指示部13は、注文情報に含まれる型番を参照し、資材情報保持部18を参照して、包材製造管理装置20への送信が必要な情報が準備される。すなわち、型番で指定される包材で使用される資材を特定する情報(資材指定情報)が準備される。包材作成指示部13では、資材情報保持部18に保存されている情報から、型番に対応する資材の情報を取得する。これにより、包材製造管理装置20へ送信するデータが整うことになる。
【0078】
次に、包材発注管理装置10の包材作成指示部13は、ステップS13を実行する。ステップS13では、包材作成指示部13から包材製造管理装置20に対して包材の作成指示が送信される。作成指示には、当該包材の作成に使用される資材を指定する情報と、包材への印刷に使用されるデザインデータとが含まれる。そのほか、作成指示には、包材の納品先に係る情報も含まれ得る。
【0079】
次に、包材の作成指示を受けた包材製造管理装置20は、ステップS14を実行する。ステップS14では、包材製造管理装置20は、作成指示に基づいて、包材の作成に係る工程の管理及び作成を開始する。包材製造管理装置20における工程管理の対象とは、例えば、資材の調達、印刷機21、ラミネート機22及び製袋機23等の包材の作成に使用する各装置の使用時間帯の確保等が挙げられる。
【0080】
さらに、包材製造管理装置20は、必要に応じてステップS15を実行する。ステップS15では、包材製造管理装置20は、デザインデータを印刷機21での使用が可能となるように加工する。ただし、ステップS15は、デザインデータの状態もしくは包材への印刷の種類によって変更され得る。例えば、デジタル印刷を用いた包材作成の場合には、基本的には印刷機21では発注者端末90から送信されたデザインデータをそのまま印刷に使用する。これは、データD1を用いて予め決められた描画エリアA1にデザインが記載されているためである。このように、デジタル印刷の場合には、ステップS15を省略することが可能となる場合がある。なお、デジタル印刷の場合に、ステップS15に示すデータの加工を行ってもよい。この場合ステップS15では、デザインデータを印刷機21での使用が可能とするための調整、データの校正等が行われ得る。
【0081】
製品の作成と並行して、包材製造管理装置20がステップS16を実行し、これに対応して包材発注管理装置10がステップS17を実行する。ステップS16では、包材製造管理装置20は、包材の納期の予定を包材発注管理装置10に対して通知する。納期の予定は、例えば工程管理(ステップS14)の結果特定され得る。包材製造管理装置20は、納期が見込めた段階で包材発注管理装置10に対して通知する。ステップS17では、包材製造管理装置20から納期予定の情報を受信した包材発注管理装置10が、納品管理部14によって納期の情報を発注者端末90に対して通知する。発注者端末90への通知の方法は特に限定されず、例えば、Webサイト(例えば、ユーザ毎に割り当てられるユーザページ等)での通知、メールによる通知等が挙げられる。このとき、納品管理部14では、受注情報保持部17に保持されている受注情報において納期の情報を更新することとしてもよい。
【0082】
製品が完成すると、包材製造管理装置20がステップS18を実行する。また、ステップS18の実行に伴い、ステップS19~ステップS21が実行される。ステップS18では、包材製造管理装置20は、完成した製品を作成指示に含まれる納品先に対して製品を発送する。製品の発送と共に、ステップS19として発送通知が包材製造管理装置20から包材発注管理装置10へ送信される。また、ステップS20では、発送通知を受信した包材発注管理装置10では、発送が完了した旨の報告を発注者端末90に対して行う。発注者端末90への通知の方法は特に限定されず、例えば、Webサイト(例えば、ユーザ毎に割り当てられるユーザページ等)での通知、メールによる通知等が挙げられる。また、ステップS21に示すように、商品は別途包材製造管理装置20から納品先へ送付される。なお、
図9では納品先が発注者端末90のユーザである場合の例として、発注者端末90に対して商品が送られる状態を示している。納品先は、注文情報に基づいて設定されるので、発注者端末90のユーザがいる場所とは異なる場所に納品される場合もある。
【0083】
上記によって、一つの包材の作成に係る一連の処理が終了する。なお、同一のユーザが2回目以降に包材の注文を行う場合には、
図9に示す手順の一部を省略することができる。例えば、包材発注管理装置10において、ユーザ管理を行っている場合には、2回目以降はユーザ登録が完了しているため、ユーザ登録に係る手順(S01~S02)は省略され、これに対してユーザID等を利用したログイン処理が行われる。また、上述のように、包材発注管理装置10においてユーザ管理を行っている場合には、ユーザ登録に使用された情報を利用して注文情報を作成することができるため、例えば、注文情報の入力(S04)における情報の入力等を簡略化することができる。
【0084】
さらに、包材発注管理装置10の受注情報保持部17において、過去の所定期間の受注の情報を保持している場合には、同内容の包材を注文する際にはこの情報を利用可能としてもよい。この場合、例えば、注文内容や納品先等が同じ場合には、過去の受注情報を利用することで注文情報の入力(S04)における情報の入力等を簡略化してもよい。また、過去に使用したデザインデータを保持している場合には、デザインデータの準備に係る手順(S07~S10)を省略して、過去の受注時に使用したデザインデータをそのまま利用する構成としてもよい。同一のユーザが再注文を行うときの利便性を高めるために、例えば、受注情報保持部17において保持されているデザインデータ(発注者から取得したデータ、または、軟包材の作成に使用した加工後のデータ)をユーザが再度確認することが可能とされていてもよい。
【0085】
図11では、包材製造管理装置20による工程の管理の対象となり得る、包材製造部門での軟包材の作成の手順の例を示している。
図11(a)は、一般的な軟包材の作成手順である。具体的には、まず、包材発注管理装置10からの包材作成指示を受信すると(ステップS31)、包材作成指示に含まれている資材を指定する情報に基づいて、資材の準備を行う(ステップS32)。具体的には、上述のように、基材層(基材)、中間層、シーラント層を含む各層の資材、各層の接着に使用する接着剤、印刷に使用するインクの準備等が行われる。
【0086】
実際に軟包材を作成する際には、通常は、印刷機21において、基材層への印刷(ステップS33)を行う。その後、ラミネート機22を利用して、基材層、中間層、及びシーラント層を貼り合わせる(ステップS34)。さらに、貼り合わせた後の軟包材の材料となるフィルムを、製袋機23において製袋加工する(ステップS35)。これにより、包材作成指示に基づいた軟包材が作成される。包材製造管理装置20は、上記の一連の工程を管理し、納期に合わせた軟包材の製造を行う。
【0087】
一方、
図11(b)は、包材発注システム1において採用され得る、軟包材の作成手順の変更例である。具体的には、まず、包材作成指示の受信に関係なく、中間層及びシーラント層を貼り合わせた先貼り原反を準備する(ステップS41)。先貼り原反とは、発注者から注文を受け付ける製品(軟包材)で使用され得る中間層及びシーラント層を貼り合わせがものである。包材発注システム1のように、発注者から型番の指定によって注文を受け付ける場合、各商品の注文動向に応じて、特定の型番の軟包材に使用され得る、印刷が行われない中間層及びシーラント層を作に貼り合わせておいて、先貼り原反として準備しておくことが可能となる。先貼り原反となる部分には印刷がなされないため、事前準備画家のとなる。なお、製品動向(売れ行き等)を考慮して準備しておくことによって、先貼り原反の長期間保存による品質低下等を防ぐことができる。先貼り原反は、例えば、ラミネート機22によって作成され得る。
【0088】
次に、包材発注管理装置10からの包材作成指示を受信すると(ステップS42)、包材作成指示に含まれている資材を指定する情報に基づいて、資材の準備を行う(ステップS43)。具体的には、基材層(基材)、中間層及びシーラント層からなる先貼り原反、各層の接着に使用する接着剤、印刷に使用するインクの準備等が行われる。
【0089】
次に、印刷機21において、基材層への印刷(ステップS44)を行う。その後、ラミネート機22を利用して、基材層と先貼り原反を貼り合わせる(ステップS45)。さらに、貼り合わせた後の軟包材の材料となるフィルムを、製袋機23において製袋加工する(ステップS46)。これにより、包材作成指示に基づいた軟包材が作成される。包材製造管理装置20は、上記の一連の工程を管理し、納期に合わせた軟包材の製造を行う。
【0090】
図11(b)に示す例のように、先貼り原反の準備(S41)を事前に行う構成としておくことで、包材の作成指示を受信(S42)してからの工程、特に貼り合わせ(S45)の工程を従来の工程(S34)と比べて短縮化することができる。つまり、貼り合わせる材料の数が少なくなることにより、ラミネート機22を用いた工程が短くなる。その結果、包材の作成指示を受信(S42)してから、軟包材の作成を完了するまでの工程に必要な時間を短縮することができるため、短期間での納品を実現し得る。
【0091】
[作用]
上記の包材発注システム1及び包材発注管理装置10によれば、発注者端末90からは軟包材の型番を指定することで、注文をすることができる。一方、包材発注管理装置10では、注文情報に含まれる型番に基づいて、当該型番に対応付けられた軟包材の資材を指定した資材指定情報が準備されて、包材作成指示として包材製造管理装置20へ送られる。また、包材製造管理装置20では、この包材作成指示に基づいて、軟包材の作成にかかる管理が開始される。このように、発注者端末90からの軟包材の注文の際には型番を指定することで簡単に注文ができる一方、包材発注管理装置10において軟包材に含まれる多種多様な資材がそれぞれ指定された情報が準備され、この情報が包材製造管理装置20に対して包材の作成指示として送信される。したがって、上記の包材発注システム1及び包材発注管理装置10によれば、発注者による注文動作が簡単であり、且つ、この注文に基づいた軟包材の製造を適切に管理することが可能となる。
【0092】
従来からオンラインの印刷物の注文システム等は知られている。しかしながら、従来は注文を受け付けたサーバが印刷機に対して指示を出すことが検討されていたものの、軟包材のように、複数の資材を組み合わせた包材の製造までを管理することまでは検討されていなかった。また、軟包材の材質は、所望の特性を実現するために複数の資材の組み合わせが決定されているため、これらを発注者が個別に指定をすることは困難であった。これに対して、上記の包材発注システム1及び包材発注管理装置10では、発注者側は型番を用いて注文を行うことができるため、例えばカタログ等を用いて適切に注文を行うことができる。一方、包材発注管理装置10から包材製造管理装置20へ包材作成指示を行う場合には、資材を指定する情報を用いて指示を行うことで、包材の作成に必要な情報が適切に提供され得る。
【0093】
資材指定情報には、軟包材に含まれる、基材、インク、接着層、及びシーラント層の材質を特定する情報を含む態様であってもよい。上述のように、軟包材は、基材、インク、接着層、及びシーラント層の組み合わせによって種々の特性が実現され得る。資材指定情報にこれらの材質を特定する情報を含めることで、発注者は型番を用いることで所望の特性に対応した軟包材を注文することができる。また、注文を受け付けた後は、包材発注管理装置10から包材製造管理装置20に対して型番に対応した軟包材を構成する各資材の情報が適切に伝達される。
【0094】
包材作成指示は、軟包材の形状または大きさを指定する情報を含む態様であってもよい。このような構成とした場合、包材発注管理装置10では、軟包材の形状または大きさが異なる多様な軟包材を取り扱うことができることから、より多様な軟包材を取り扱うことが可能となる。なお、取り扱う軟包材の形状・大きさが1種類である場合、包材作成指示にはこの情報は含まれていなくてもよい。
【0095】
資材指定情報は、型番で特定される軟包材で使用される資材のそれぞれについて、厚さを指定した情報を含んでもよい。軟包材に用いられる資材には、同種の資材でありながら互いに異なる厚さのものが使用される場合がある。そこで、上記の構成とした場合、包材発注管理装置では、互いに厚さが異なる同種の資材について取り扱うことができることから、より多様な軟包材を発注者が注文することが可能となる。なお、この情報についても、取り扱う資材の厚さが1種類である場合、包材作成指示にはこの情報は含まれていなくてもよい。
【0096】
印刷機21はデジタル印刷機であって、包材製造管理装置20は、発注者端末90から取得するデザインデータが、デジタル印刷機における軟包材への印刷においてそのまま使用されるように工程を管理する態様であってもよい。軟包材への印刷がデジタル印刷機において行われる場合、上記のように発注者端末90から取得されたデザインデータがデジタル印刷機における軟包材への印刷においてそのまま使用されるように工程を管理することで、作業者によってデザインが変更されること等が防がれるため、適切な印刷を施すことが可能となる。
【0097】
注文関連情報取得部としての印刷データ取得部12は、発注者端末90に対して、軟包材の型番を指定する情報に対応したフォーマットデータを提供することで、発注者端末90から取得するデザインデータとして、フォーマットデータに対してデザインが追加されたデータを取得する態様であってもよい。上記の構成とすることによって、フォーマットデータを利用したデザインデータが発注者端末90から提供されるため、デジタル印刷機での使用に適したデザインデータを確実に取得することができる。
【0098】
印刷機21は非デジタル印刷機であって、包材製造管理装置20は、発注者端末90から取得するデザインデータに対して所定の加工を行った後に、非デジタル印刷機における軟包材への印刷に使用されるように工程を管理する態様であってもよい。軟包材への印刷がグラビア印刷機において行われる場合、非デジタル印刷機に適した補正を行う必要がある。そこで、上記のようにデザインデータに対して所定の加工を行った後に非デジタル印刷機における軟包材への印刷において使用されるように工程を管理することで、非デジタル印刷機においても適切な印刷を施すことが可能となる。
【0099】
包材製造管理装置20は、軟包材が中間層とシーラント層を含む場合に、先に中間層とシーラント層とを貼りあわせ、先貼り原反として準備するように、工程を管理する態様としてもよい。上述の包材発注システム1で取り扱う軟包材は、型番毎に中間層とシーラント層として使用される資材が予め設定されている。そのため、予め先貼り原反として準備しておき、これを利用して注文を受け付けた軟包材を作成するように工程を管理する構成とすることで、注文を受け付けた後の工程を短縮化することができる。上記の包材発注システム1では発注者が型番を指定することで軟包材を注文する。つまり、オーダーメイドによって軟包材に使用する材料を決定する場合と違い、注文される資材の種類も限定される。したがって、各軟包材の受注見込み等もある程度精度良く行うことが可能となるため、上述のように先貼り原反を準備する構成としても、この原反が使用不能となり破棄されるリスクを低減することができる。
【0100】
[変形例]
以上、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0101】
例えば、包材発注管理装置10の一部の機能は、包材発注管理装置10とは別の装置で管理する構成としてもよい。例えば、ユーザ情報の管理は包材発注管理装置10とは別の装置で行う構成であってもよい。また、決済関係についても、包材発注管理装置10とは別の装置で管理する構成であってもよい。
【0102】
また、注文情報に含まれる情は、上記実施形態で説明したものには限定されず、種々の情報を組み合わせることができる。また、注文用の入力フォーム、デザインデータの構成等も適宜変更され得る。
【0103】
[付記1]
一形態に係る包材発注管理装置は、インターネットを介して、発注者が操作する発注者端末からの軟包材の作成に係る注文を受け付ける包材発注管理装置であって、前記発注者端末から送信される、前記軟包材の形状を指定する情報を含む注文情報を取得する注文受付部と、前記軟包材の形状を指定する情報に対応付けて、当該形状の軟包材の印刷面のデザインに適したフォーマットデータを保持するフォーマットデータ保持部と、前記フォーマットデータ保持部に保持される情報に基づいて選択された、前記注文情報に含まれる前記軟包材の形状を指定する情報に対応したフォーマットデータを前記発注者端末に対して提供することで、前記発注者端末から、前記軟包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する印刷データ取得部と、前記注文情報と、前記デザインデータと、対応付けて管理する受注情報保持部と、を有する。
【0104】
上記の包材発注管理装置では、注文を受け付けた発注者端末に対して注文した包材の形状に対応したフォーマットデータが提供され、そのフォーマットデータを利用したデザインデータが発注者端末から提供されて、印刷データ取得部において取得される。そのため、軟包材への印刷に適した状態のフォーマットデータに基づいたデザインデータが確実に取得できる。
【0105】
前記軟包材の形状を指定する情報は、前記軟包材の形状に対応付けられた型番を指定する情報である態様であってもよい。
【0106】
上記のように軟包材の形状を指定する情報が、軟包材の形状に対応付けられた型番を指定する情報である場合、この型番を利用してフォーマットデータを管理することが可能となり、さらに、型番を利用して適切なフォーマットデータを選択して発注者端末に対して提供することができる。したがって、装置内でのデータの管理及び取扱いをより適切に行うことができる。
【0107】
前記軟包材は、デジタル印刷機によって印刷され、前記発注者端末から取得する前記デザインデータは、前記デジタル印刷機における前記軟包材への印刷に適したデータ構成である態様であってもよい。
【0108】
軟包材への印刷がデジタル印刷機において行われる場合、上記のように、デジタル印刷機における軟包材への印刷に適した構成のデザインデータを発注者端末から取得する構成とすることで、作業者によってデザインが変更されること等が防がれるため、適切な印刷を施すことが可能となる。
【0109】
前記フォーマットデータ保持部は、前記軟包材の形状を指定する情報に対応付けて、前記発注者端末において前記デザインデータを前記軟包材の印刷に適した状態で出力するための設定ファイルをさらに保持し、前記印刷データ取得部は、前記フォーマットデータ保持部に保持される情報に基づいて選択された、前記フォーマットデータと前記デザインデータとを前記発注者端末に対して提供する態様であってもよい。
【0110】
フォーマットデータを発注者端末において加工することでデザインデータを作成する場合でも、発注者端末の動作環境等に応じて、印刷に適した状態でのデザインデータの出力ができない可能性がある。そこで、上記のように、設定ファイルも発注者端末に対して提供することで、発注者によるデザインデータの作成がより適切に行われ得る。
【0111】
前記注文情報には、前記軟包材の材質を指定する情報が含まれる態様であってもよい。
【0112】
軟包材に用いられる資材には、互いに異なる材質の包装材料が使用される場合がある。そこで、上記の構成とした場合、包材発注管理装置では、互いに異なる材質の軟包材について取り扱うことができることから、より多様な軟包材を発注者が注文することが可能となる。
【0113】
[付記2]
本開示は、例えば、以下の発明を含んでいてもよい。
<発明1>
インターネットを介して発注者端末からの軟包材の作成に係る注文を受け付ける包材発注管理装置と、印刷機が含まれる製造部門において、前記包材発注管理装置からの指示に基づいた前記軟包材の作成を管理する包材製造管理装置と、を含む包材発注システムであって、
前記包材発注管理装置は、
前記発注者端末から、前記軟包材の型番を指定する情報を含む注文情報と、当該軟包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、
前記軟包材の型番を指定する情報と、当該型番で特定される軟包材で使用される資材を特定する情報とを対応付けた資材指定情報を保持する資材情報保持部と、
前記資材情報保持部に保持される情報に基づいて選択された、前記注文情報に含まれる型番に対応した前記軟包材の資材を指定した資材指定情報と、前記デザインデータと、を含む包材作成指示を前記包材製造管理装置に対して送信する包材作成指示部と、
を含み、
前記包材製造管理装置は、前記包材作成指示に基づいて、前記軟包材の作成に係る管理を開始する、包材発注システム。
<発明2>
前記資材指定情報には、前記軟包材に含まれる、基材、インク、接着層、及びシーラント層の材質を特定する情報を含む、発明1に記載の包材発注システム。
<発明3>
前記包材作成指示は、前記軟包材の形状または大きさを指定する情報を含む、発明2に記載の包材発注システム。
<発明4>
前記資材指定情報は、前記型番で特定される軟包材で使用される資材に関して厚さを指定した情報を含む、発明1~3のいずれか一項に記載の包材発注システム。
<発明5>
前記印刷機はデジタル印刷機であって、
前記包材製造管理装置は、前記発注者端末から取得する前記デザインデータが、前記デジタル印刷機における前記軟包材への印刷においてそのまま使用されるように工程を管理する、発明1~4のいずれか一項に記載の包材発注システム。
<発明6>
前記注文関連情報取得部は、前記発注者端末に対して、前記軟包材の型番を指定する情報に対応したフォーマットデータを提供することで、前記発注者端末から取得する前記デザインデータとして、前記フォーマットデータに対してデザインが追加されたデータを取得する、発明1~5のいずれか一項に記載の包材発注システム。
<発明7>
前記印刷機は非デジタル印刷機であって、
前記包材製造管理装置は、前記発注者端末から取得する前記デザインデータに対して所定の加工を行った後に、前記非デジタル印刷機における前記軟包材への印刷に使用されるように工程を管理する、発明1~4のいずれか一項に記載の包材発注システム。
<発明8>
前記包材製造管理装置は、前記軟包材が中間層とシーラント層を含む場合に、先に前記中間層と前記シーラント層とを貼りあわせ、先貼り原反として準備するように、工程を管理する、発明1~7のいずれか一項に記載の包材発注システム。
<発明9>
インターネットを介して発注者端末からの軟包材の作成に係る注文を受け付ける包材発注管理装置であって、
前記発注者端末から、前記軟包材の型番を指定する情報を含む注文情報と、当該軟包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータと、を取得する注文関連情報取得部と、
前記軟包材の型番を指定する情報と、当該型番で特定される軟包材で使用される資材を特定する情報とを対応付けた資材指定情報を保持する資材情報保持部と、
前記資材情報保持部に保持される情報に基づいて選択された、前記注文情報に含まれる型番に対応した前記軟包材の資材を指定した資材指定情報と、前記デザインデータと、を含む包材作成指示を、前記軟包材の製造を管理する包材製造管理装置に対して送信する包材作成指示部と、
を含む、包材発注管理装置。
【符号の説明】
【0114】
1…包材発注システム、10…包材発注管理装置、11…注文受付部、12…印刷データ取得部、13…包材作成指示部、14…納品管理部、15…決済処理部、16…ユーザ情報保持部、17…受注情報保持部、18…資材情報保持部、19…フォーマットデータ保持部、20…包材製造管理装置、21…印刷機、22…ラミネート機、23…製袋機、90…発注者端末。