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特開2024-177487駐車位置決定装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177487
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】駐車位置決定装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20241212BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G01C21/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024175663
(22)【出願日】2024-10-07
(62)【分割の表示】P 2023105644の分割
【原出願日】2016-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 喬浩
(57)【要約】
【課題】駐車場内における駐車位置を状況に応じて適切に案内することが可能な駐車位置決定装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1のデータ記憶ユニット31は、駐車場内の推奨される駐車位置に関する推奨駐車位置テーブル33を記憶する。システムコントローラ20は、センサ群10の出力又は入力装置60への入力等に基づき、現在の状況である対象状況を特定する。そして、システムコントローラ20は、推奨駐車位置テーブル33に基づき、対象状況に対応する推奨駐車位置を決定し、決定した推奨駐車位置を明示したレイアウト画像をディスプレイ44に表示させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
状況ごとに推奨される駐車場内の駐車位置に関する情報である駐車位置情報を記憶する記憶部と、
現在の状況を取得する状況取得部と、
前記駐車位置情報に基づき、前記現在の状況に対応する駐車位置を決定する駐車位置決定部と、
前記駐車位置決定部が決定した駐車位置の情報を出力する出力部と、
を有する駐車位置決定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場内における駐車位置の案内技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、駐車場へ車両を誘導する技術が知られている。例えば、特許文献1には、目的地の情報と、駐車場の空きスペースの位置を示す情報とに基づいて、駐車場の空きスペースの中から、選択された目的地により近い空きスペースを優先的に車両の駐車スペースとして表示するナビゲーション装置が開示されている。その他、本発明に関連する技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-042221号公報
【特許文献2】特開2004-325181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大型施設の駐車場などの多くの駐車スペースが存在する駐車場では、ユーザにとって好適な駐車位置を瞬時に判断するのが困難な場合がある。また、このような駐車場では、後続の車両が次々に駐車場内に入るため、駐車場のレイアウトを確認して駐車位置を決める時間的余裕がない場合が多い。特許文献1及び2には、これらの問題点については、何ら開示されていない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、駐車場内における駐車位置を状況に応じて適切に案内することが可能な駐車位置決定装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、駐車位置決定装置であって、状況ごとに推奨される駐車場内の駐車位置に関する情報である駐車位置情報を記憶する記憶部と、現在の状況を取得する状況取得部と、前記駐車位置情報に基づき、前記現在の状況に対応する駐車位置を決定する駐車位置決定部と、前記駐車位置決定部が決定した駐車位置の情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
請求項9に記載の発明は、状況ごとに推奨される駐車場内の駐車位置に関する情報である駐車位置情報を記憶する記憶部を有する駐車位置決定装置が実行する制御方法であって、現在の状況を取得する状況取得工程と、前記駐車位置情報に基づき、前記現在の状況に対応する駐車位置を決定する駐車位置決定工程と、前記駐車位置決定工程で決定した駐車位置の情報を出力する出力工程と、を有する。
【0008】
請求項10に記載の発明は、状況ごとに推奨される駐車場内の駐車位置に関する情報である駐車位置情報を記憶する記憶部を参照するコンピュータが実行するプログラムであって、現在の状況を取得する状況取得部と、前記駐車位置情報に基づき、前記現在の状況に対応する駐車位置を決定する駐車位置決定部と、前記駐車位置決定部が決定した駐車位置の情報を出力する出力部として前記コンピュータを機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係るナビゲーション装置の概略構成である。
図2】駐車場レイアウト情報に基づく駐車場Aのレイアウトを示す。
図3】推奨駐車位置テーブルのデータ構造及び駐車場Aの概要を示した図である。
図4】ナビゲーション装置が実行する推奨駐車位置の決定に関するフローチャートである。
図5】推奨駐車位置を明示した駐車場のレイアウト画像の表示例である。
図6】変形例に係る駐車位置案内システムの概略構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、駐車位置決定装置は、状況ごとに推奨される駐車場内の駐車位置に関する情報である駐車位置情報を記憶する記憶部と、現在の状況を取得する状況取得部と、前記駐車位置情報に基づき、前記現在の状況に対応する駐車位置を決定する駐車位置決定部と、前記駐車位置決定部が決定した駐車位置の情報を出力する出力部と、を有する。
【0011】
上記駐車位置決定装置は、記憶部と、状況取得部と、駐車位置決定部と、出力部とを有する。記憶部は、駐車位置情報を記憶する。ここで、駐車位置情報は、駐車場内の推奨される駐車位置に関する情報であり、状況ごとに対応している。状況取得部は、現在の状況を取得する。ここで、「現在の状況」は、駐車位置を決定する際の基準となる状況であって、例えば天候状況、運転手の心理的状況などの駐車位置の決定に影響を与え得る任意の事象に関する現在の状況を指す。駐車位置決定部は、駐車位置情報に基づき、現在の状況に対応する駐車位置を決定する。出力部は、駐車位置決定部が決定した駐車位置の情報を出力する。この態様では、駐車位置決定装置は、状況ごとに推奨される駐車場内の駐車位置に関する駐車位置情報を参照することで、現在の状況に適した駐車位置を好適に出力することができる。
【0012】
上記駐車位置決定装置の他の一態様では、前記状況取得部は、前記現在の状況として、天候に関する情報を取得する。この態様によれば、駐車位置決定装置は、現在の天候条件に適した駐車場内の駐車位置を好適に出力することができる。
【0013】
上記駐車位置決定装置の他の一態様では、前記駐車位置決定部は、前記駐車位置情報に基づき、天候が所定温度以上かつ晴れの場合には、日陰となる駐車位置を決定し、天候が雨又は雪である場合には、屋根を有する駐車位置を決定する。この態様により、駐車位置決定装置は、炎天下の場合には車両が直射日光に当たらない駐車位置を出力し、雨又は雪の場合には車両が雨又は雪により汚れにくい駐車位置を出力することができる。
【0014】
上記駐車位置決定装置の他の一態様では、前記状況取得部は、センサの出力に基づき、前記現在の状況を特定する。この態様では、駐車位置決定装置は、車両等に備わる1又は複数のセンサの出力に基づき、天候状況などの駐車位置の決定に影響を与える状況を的確に判定し、判定した状況に好適な駐車位置を好適に出力することができる。
【0015】
上記駐車位置決定装置の他の一態様では、前記状況取得部は、入力部への入力、又は前記記憶部に記憶された設定情報に基づき、前記現在の状況を特定する。この態様では、駐車位置決定装置は、ユーザの心理的状況等についても的確に把握し、当該状況に適した駐車位置を好適に出力することができる。
【0016】
上記駐車位置決定装置の他の一態様では、前記駐車位置決定部は、前記入力又は前記設定情報に基づき、前記駐車場に対応する施設のアクセスの良さを運転手が所望している状況であると判定した場合、前記施設の入口から所定距離以内となる駐車位置を決定する。この態様により、駐車位置決定装置は、駐車場に対応する施設のアクセスの良さを所望している状況において、当該状況に適した駐車位置を好適に出力することができる。
【0017】
上記駐車位置決定装置の他の一態様では、前記駐車位置決定部は、前記入力又は前記設定情報に基づき、駐車が容易な駐車位置を運転手が所望している状況であると判定した場合、少なくとも所定距離以内に障害物が存在しない駐車位置を決定する。この態様により、駐車位置決定装置は、運転手が駐車容易な駐車位置を所望している状況において、当該状況に適した駐車位置を好適に出力することができる。
【0018】
上記駐車位置決定装置の他の一態様では、前記出力部は、前記駐車位置決定部が決定した駐車位置へ誘導する情報を出力する。この態様により、駐車位置決定装置は、現在の状況に適した駐車位置へ車両を誘導することができる。
【0019】
本発明に係る他の好適な実施形態では、状況ごとに推奨される駐車場内の駐車位置に関する情報である駐車位置情報を記憶する記憶部を有する駐車位置決定装置が実行する制御方法であって、現在の状況を取得する状況取得工程と、前記駐車位置情報に基づき、前記現在の状況に対応する駐車位置を決定する駐車位置決定工程と、前記駐車位置決定工程で決定した駐車位置の情報を出力する出力工程と、を有する。駐車位置決定装置は、この制御方法を実行することで、状況ごとに推奨される駐車場内の駐車位置に関する駐車位置情報を参照し、現在の状況に適した駐車位置を好適に出力することができる。
【0020】
本発明に係る他の好適な実施形態では、状況ごとに推奨される駐車場内の駐車位置に関する情報である駐車位置情報を記憶する記憶部を参照するコンピュータが実行するプログラムであって、現在の状況を取得する状況取得部と、前記駐車位置情報に基づき、前記対象とする状況に対応する駐車位置を決定する駐車位置決定部と、前記駐車位置決定部が決定した駐車位置の情報を出力する出力部として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、状況ごとに推奨される駐車場内の駐車位置に関する駐車位置情報を参照し、現在の状況に適した駐車位置を好適に出力することができる。好適には、このプログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0022】
[ナビゲーション装置の構成]
図1は、本発明における算出装置が適用されたナビゲーション装置1の概略構成を示す。ナビゲーション装置1は、現在の天候や運転手の状況等を勘案して目的の駐車場内において推奨される駐車位置(「推奨駐車位置」とも呼ぶ。)を提示する。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、センサ群10、GPS受信機18、システムコントローラ20、データ記憶ユニット31、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0023】
センサ群10は、自立測位装置11と、カメラ12と、温度センサ13と、雨滴センサ14とを含む。自立測位装置11は、車両の加速度を検出する加速度センサ、車両の方向変換時における車両の角速度を検出する振動ジャイロなどの角速度センサ、及び車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する距離センサなどを含む。カメラ12は、車外風景を撮影するカメラであり、例えば車両の前方方向に向けられている。温度センサ13は、車両周辺の温度を検出する。雨滴センサ14は、例えば発光ダイオードから放射する赤外線が雨滴を通過する際に散乱することで受光器の受光量が変化する特性に基づき雨量を検出する。
【0024】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0025】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU22、ROM23及びRAM24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。例えば、システムコントローラ20は、ユーザが指定した目的地までのルート探索及び探索したルートを対象としたルート案内を実行する。また、本実施例では、システムコントローラ20は、センサ群10の出力等に基づき、推奨駐車位置を決定する際に基準となる現在の運転に関する状況(「対象状況」とも呼ぶ。)を特定し、特定した対象状況に応じた推奨駐車位置を決定して当該推奨駐車位置への案内を行う。対象状況は、天候に関する天候状況の他、車両の状況や運転手の心理的状況なども含む。システムコントローラ20は、本発明における「状況取得部」、「駐車位置決定部」、「出力部」及び本発明におけるプログラムを実行するコンピュータの一例である。
【0026】
インタフェース21は、自立測位装置11、外界センサ12、温度センサ13、雨滴センサなどのセンサ群10並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、インタフェース21は、これらの出力データをシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0027】
システムコントローラ20、データ記憶ユニット31、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0028】
データ記憶ユニット31は、例えば、HDDなどの記憶媒体などにより構成され、地図データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。地図データは、道路に相当するリンク及び道路の接続部分(交差点)に相当するノードにより表された道路データと、施設に関する施設情報とを含む。施設情報として地図データに登録される施設には、駐車場及び駐車場が付帯された施設を含んでいる。そして、駐車場又は駐車場が付帯されている施設に対応する施設情報には、駐車場を識別するための識別情報が含まれている。
【0029】
また、本実施例では、データ記憶ユニット31は、地図データの一部として、駐車場レイアウト情報32と、推奨駐車位置テーブル33とを記憶する。駐車場レイアウト情報32は、各駐車場のレイアウトを特定するための情報であって、例えば、駐車場ごとに、各駐車スペースの位置情報等が含まれている。推奨駐車位置テーブル33は、各駐車場に対し、状況ごとに好適な駐車位置の情報が記録されたテーブルである。なお、駐車場レイアウト情報32及び推奨駐車位置テーブル33に登録される駐車場は、上述した施設情報に登録されているコインパーキングなどの独立した駐車場の他、施設に付帯した駐車場として施設情報に登録されている駐車場も含まれている。推奨駐車位置テーブル33は、本発明における「駐車位置情報」の一例である。
【0030】
通信装置38は、VICS(登録商標、Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞情報や、図示しない渋滞情報を配信するサーバ装置から配信される渋滞情報などを受信する。なお、通信装置38は、システムコントローラ20の制御に基づき、地図データ(駐車場レイアウト情報32及び推奨駐車位置テーブル33を含む)としてデータ記憶ユニット31に記憶させる情報を、図示しないサーバ装置から受信してもよい。
【0031】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット31から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット31から読み出された地図データに基づく画像を、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5~10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0032】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、RAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0033】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0034】
[データ構造]
次に、駐車場レイアウト情報32及び推奨駐車位置テーブル33のデータ構造について説明する。
【0035】
図2は、駐車場レイアウト情報32に記録された駐車場Aの駐車場レイアウト情報32に基づくレイアウト図である。駐車場Aは、入口及び出口が設けられた矩形の駐車エリア内に、識別番号「P1」~「P40」がそれぞれ割り当てられた駐車スペースが存在する。
【0036】
そして、駐車場レイアウト情報32には、図2に示すような駐車場Aのレイアウトを特定できるように、駐車場Aの駐車エリア全体の境界に関する位置情報、駐車場Aの入口及び出口の位置情報、駐車場Aを有する施設(店舗)への入口(エレベータやエスカレータの搭乗位置等も含む)の位置情報、識別番号P1~P40が割り当てられた駐車スペースの位置情報等が記録されている。このように、駐車場レイアウト情報32には、駐車場ごとに、駐車場内のレイアウトを把握するための情報が記録されている。なお、駐車場レイアウト情報32に登録される各駐車スペースの位置情報は、対象の駐車スペースの四隅のそれぞれの位置情報であってもよく、対象の駐車スペースの中心位置を示す位置情報であってもよい。
【0037】
図3(A)は、推奨駐車位置テーブル33のデータ構造を概略的に示した図である。また、図3(B)は、図2に示す駐車場Aの特徴に関する事項を明記した図である。図3(A)に示す推奨駐車位置テーブル33は、「駐車場」、「状況」、及び「推奨駐車位置」の各項目を有する。「駐車場」の項目には、各駐車場の識別情報が登録される。「状況」の項目には、想定される各状況に対応した記号(図3(A)ではX~V)が登録される。ここで、上述の記号は、想定される状況ごとに割り当てられ、図3(A)の例では、「X」は、炎天下となる天候状況を示し、「Y」は、雨又は雪となる天候状況を示し、「Z」は、運転手が停め易さを重視している状況を示し、「V」は、運転手が対象の駐車場が属する施設へのアクセスの良さを重視している状況を示す。「推奨駐車位置」の項目には、推奨駐車位置に対応する駐車スペースの識別番号が登録される。
【0038】
図3(A)に示すように、推奨駐車位置テーブル33には、各記号が割り当てられた状況ごとに、当該状況に好適な駐車スペースの識別番号が関連付けられている。例えば、炎天下となる天候状況を示す状況Xの場合、屋根が存在する駐車スペースに対応する識別番号(駐車場AではP1~P5)及び屋根が存在する駐車スペース以外に日中において主に日陰となる駐車スペースに対応する識別番号(駐車場AではP7~P14)が「推奨駐車位置」の項目に登録されている。同様に、雨又は雪となる天候状況を示す状況Yの場合、屋根が存在する駐車スペースに対応する識別番号(駐車場AではP1~P5)が「推奨駐車位置」の項目に登録されている。また、運転手が停め易さを重視している状況を示す状況Zの場合、隣接する駐車スペースが空車となっている場合が統計的に多い駐車スペース、又は/及び、駐車する際の障害となる障害物が所定距離以内に存在しない駐車スペースに対応する識別番号(駐車場AではP16~P20、P23~P27)が「推奨駐車位置」の項目に登録される。上述の所定距離は、例えば、仮に障害物が存在する場合に当該障害物が駐車の際に障害となり得る駐車位置からの最大距離に設定される。また、運転手が対象の駐車場が属する施設へのアクセスの良さを重視している状況を示す状況Vの場合、施設の入口から所定距離以内となる駐車スペースに対応する識別番号(駐車場AではP22~P25、P29~P35)が「推奨駐車位置」の項目に登録される。
【0039】
このように、推奨駐車位置テーブル33には、駐車場ごとに、想定される各状況に適した駐車位置に関する情報が推奨駐車位置として予め登録されている。なお、駐車場又は駐車場が付帯されている施設に対応する地図データの施設情報には、例えば、駐車場レイアウト情報32及び推奨駐車位置テーブル33において駐車場を識別するための識別情報が含まれている。これにより、システムコントローラ20は、目的地となる施設が指定された場合に、当該施設の施設情報を参照することで、駐車場レイアウト情報32及び推奨駐車位置テーブル33に登録された駐車場から対象とする駐車場を特定する。
【0040】
[対象状況の特定]
次に、推奨駐車位置テーブル33を参照して推奨駐車位置を決定するのに必要な対象状況の特定方法について説明する。概略的には、システムコントローラ20は、入力装置60への入力情報、データ記憶ユニット36に記憶された設定情報、通信装置38による受信情報又はセンサ群10の出力情報等に基づき、駐車に関する対象状況を特定する。これらの具体例について、図3(A)の例を参照して説明する。
【0041】
例えば、システムコントローラ20は、温度センサ13が出力した温度が所定温度(例えば30度以上)であり、カメラ12が生成した画像の平均的な輝度が所定値以上又は図示しない照度センサが出力する照度が所定度以上である場合、対象状況が炎天下となる天候状況であると判断する。よって、この場合、システムコントローラ20は、推奨駐車位置テーブル33を参照する際に、状況Xに対応するレコードを参照して推奨駐車位置を決定する。なお、システムコントローラ20は、温度センサ13等の出力を用いる代わりに、GPS受信機18が出力する現在位置情報に基づき、図示しないサーバ装置から現在位置周辺の天候情報を取得することで、対象状況が炎天下となる天候状況であるか否か判定してもよい。この場合、システムコントローラ20は、サーバ装置から受信した天候情報に基づき、最高気温が所定温度以上でかつ晴れであると判断した場合、対象状況が炎天下となる天候状況であると判断する。
【0042】
同様に、システムコントローラ20は、雨滴センサ14が出力する雨量が所定量以上である場合、対象状況が雨又は雪となる天候状況であると判断する。よって、この場合、推奨駐車位置テーブル33を参照する際に、状況Yに対応するレコードを参照して推奨駐車位置を決定する。なお、システムコントローラ20は、雨滴センサ14の出力を用いる代わりに、GPS受信機18が出力する現在位置情報に基づき、図示しないサーバ装置から現在位置周辺の天候情報を取得することで、対象状況が雨又は雪となる天候状況であるか否か判定してもよい。この場合、システムコントローラ20は、サーバ装置から受信した天候情報に基づき、現在位置周辺の天候が雨又は雪であると判断した場合、対象状況が雨又は雪となる天候状況であると判断する。また、システムコントローラ20は、カメラ12が生成した画像に基づき、車外風景中における雨又は雪の存在を公知の画像認識技術により認識した場合に、対象状況が雨又は雪となる天候状況であると判断してもよい。
【0043】
さらに別の例では、システムコントローラ20は、駐車場又は駐車場が付帯された施設が目的地に設定された場合に、入力装置60による対象状況を指定する入力を受け付けることで、対象状況を特定する。この場合、例えば、システムコントローラ20は、ディスプレイ44上に、「停め易さを重視」、「施設への入口への近さを重視」、「出口への近さを重視」などの複数の項目をタッチパネルにより選択可能に表示する。そして、システムコントローラ20は、例えば「停め易さを重視」の項目が選択された場合、対象状況が停め易さを運転手が重視している状況であると判断する。また、システムコントローラ20は、「施設への入口への近さを重視」の項目が選択された場合、対象状況が施設への入口への近さを運転手が重視している状況であると判断する。
【0044】
なお、システムコントローラ20は、対象状況を指定する入力を目的地の設定時に受け付ける代わりに、ユーザの任意のタイミングにより対象状況に関する入力を受け付けてもよい。この場合、システムコントローラ20は、受け付けた入力情報を、対象状況に関する設定情報としてデータ記憶ユニット31に記憶させる。そして、システムコントローラ20は、対象状況を特定すべきと判断した時に、データ記憶ユニット31に記憶した設定情報を参照することで、対象状況を特定する。
【0045】
[処理フロー]
図4は、システムコントローラ20が実行する推奨駐車位置の決定に関するフローチャートである。システムコントローラ20は、図4に示すフローチャートの処理を、繰り返し実行する。
【0046】
まず、システムコントローラ20は、駐車場又は駐車場を有する施設が目的地に設定されたか否か判定する(ステップS101)。そして、システムコントローラ20は、駐車場又は駐車場を有する施設が目的地に設定されたと判断した場合(ステップS101;Yes)、ステップS102へ処理を進める。一方、システムコントローラ20は、駐車場又は駐車場を有する施設のいずれも目的地に設定されていない場合(ステップS101;No)、フローチャートの処理を終了する。
【0047】
次に、ステップS102では、システムコントローラ20は、入力装置60へのユーザ入力又はセンサ群10の出力等に基づき、対象状況を特定する(ステップS102)。なお、システムコントローラ20は、入力装置60へのユーザ入力又はセンサ群10の出力を用いる代わりに、通信装置38から受信した天候情報、データ記憶ユニット31に記憶された対象状況に関する設定情報を参照することで、対象状況を特定してもよい。
【0048】
次に、システムコントローラ20は、ステップS102で特定した対象状況に応じた推奨駐車位置を決定する(ステップS103)。具体的には、まず、システムコントローラ20は、ステップS101で目的地に設定された駐車場又は目的地に設定された施設に付帯する駐車場の識別情報を、地図データの施設情報等に基づき特定する。そして、システムコントローラ20は、特定した駐車場の識別情報に基づき、推奨駐車位置テーブル33を参照して推奨駐車位置を決定する。また、ステップS102及びステップS103の前又は後において、システムコントローラ20は、目的地までのルートを探索し、探索したルートを対象としたルート案内を開始する。
【0049】
そして、システムコントローラ20は、ステップS101で設定された目的地に到着したか否か判定する(ステップS104)。そして、システムコントローラ20は、目的地に到着したと判断した場合(ステップS104;Yes)、駐車場レイアウト情報32を参照し、推奨駐車位置を明示した駐車場のレイアウト画像をディスプレイ44に表示させる(ステップS105)。ステップS105で表示する駐車場のレイアウト画像については、図5を参照して後述する。一方、システムコントローラ20は、ステップS101で設定された目的地に到着していない場合(ステップS104;No)、目的地までのルート案内等を行うと共に、GPS受信機18が出力する現在位置情報等に基づき、目的地への到着の有無を判定する。
【0050】
図5は、図4のステップS105でシステムコントローラ20がディスプレイ44に表示させる駐車場のレイアウト画像の一例を示す。
【0051】
図5では、システムコントローラ20は、GPS受信機18等の出力に基づき、図2に示す駐車場Aに車両が到着したと判断し、駐車場レイアウト情報32を参照することで、駐車場Aの全体図を示したレイアウト画像を表示させている。
【0052】
また、システムコントローラ20は、センサ群10の出力等に基づき、対象状況が雨又は雪となる天候状況(即ち状況Y)であると判断し、図3(A)に示す推奨駐車位置テーブル33を参照することで、識別番号PA1~PA6の駐車スペースが推定駐車位置であると判断する。よって、システムコントローラ20は、駐車場Aのレイアウト画像において、識別番号P1~P5の駐車スペースを強調表示すると共に、強調表示した駐車スペースが推奨駐車位置である理由の説明文を表示している。なお、この場合に出力される推奨駐車位置である理由の説明文は、例えば、状況ごとに予め対応付けられてデータ記憶ユニット31に記憶された定型文であってもよく、推奨駐車位置テーブル33のレコードごとに登録された説明文(図3(A)では不図示)であってもよい。図6に示すレイアウト画像によれば、システムコントローラ20は、駐車場Aに到着した場合に、駐車場Aにおいて現在の状況に適した駐車位置を運転手に容易に把握させ、当該駐車位置に好適に車両を誘導することができる。
【0053】
なお、システムコントローラ20は、図5の表示例に代えて、図5のレイアウト画像内に車両の位置を示す現在位置マークを表示させ、現在位置マークから推定駐車位置までのルートをなぞったルート線をさらに表示させてもよい。これにより、システムコントローラ20は、推奨駐車位置に車両をより確実に誘導することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施例に係るナビゲーション装置1のデータ記憶ユニット31は、駐車場内の推奨される駐車位置に関する推奨駐車位置テーブル33を記憶する。システムコントローラ20は、センサ群10の出力又は入力装置60への入力等に基づき、現在の状況である対象状況を特定する。そして、システムコントローラ20は、推奨駐車位置テーブル33に基づき、対象状況に対応する推奨駐車位置を決定し、決定した推奨駐車位置を明示したレイアウト画像をディスプレイ44に表示させる。これにより、ナビゲーション装置1は、現在の状況に適した駐車位置へ好適に車両を誘導することができる。
【0055】
[変形例]
以下、実施例の各変形例について説明する。なお、これらの各変形例は、組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0056】
(変形例1)
実施例においてナビゲーション装置1が実行する処理の一部を、ナビゲーション装置1とネットワークを介して通信を行うサーバ装置が実行してもよい。
【0057】
図6は、変形例に係る駐車位置案内システムの構成を示す。図6の例では、駐車位置案内システムは、ナビゲーション装置1と、駐車場レイアウト情報32及び推奨駐車位置テーブル33を有するサーバ装置3とを有する。
【0058】
図6の構成例では、例えば、実施例と同様に、ナビゲーション装置1は、図4のステップS101において、駐車場又は駐車場を有する施設が目的地に設定されたと判断した場合に、ステップS102において対象状況を特定する。その後、ステップS103において、ナビゲーション装置1は、特定した対象状況及びユーザが指定した目的地に関する情報を含む要求信号をサーバ装置3へ送信する。この場合、サーバ装置3は、上述の要求信号を受信し、当該要求信号に基づき推奨駐車位置テーブル33を参照することで、対象の駐車場における推奨駐車位置を決定する。そして、サーバ装置3は、駐車場レイアウト情報32を参照し、図5に示すような推奨駐車位置を明示した駐車場のレイアウト画像を表示するための情報を、ナビゲーション装置1へ送信する。
【0059】
なお、本変形例では、サーバ装置3のCPU等は、本発明における「状況取得部」、「駐車位置決定部」、「出力部」及び本発明におけるプログラムを実行するコンピュータの一例である。
【0060】
(変形例2)
ナビゲーション装置1は、図4のステップS105において、図5に示すような推奨駐車位置を明示した駐車場のレイアウト画像を表示する代わりに、対象の駐車場の入口から推奨駐車位置へ到達するために必要な案内音声を音声出力ユニット50により出力してもよい。この場合、ナビゲーション装置1は、図5に示す駐車場のレイアウト画像を表示すると共に、上述の音声案内を音声出力ユニット50により出力してもよい。
【0061】
(変形例3)
複数のフロアを備える駐車場の場合には、推奨駐車位置テーブル33には、想定される状況ごとに駐車に好適なフロアの情報が推奨駐車位置として予め登録されていてもよい。この場合、システムコントローラ20は、対象状況の特定後、推奨駐車位置テーブル33を参照し、対象の駐車場の所定のフロアを推奨駐車位置として決定した場合、当該フロアへ誘導するための表示又は/及び音声出力を行う。
【0062】
なお、本変形例において、推奨駐車位置テーブル33には、想定される状況ごとに駐車に適したフロアの情報及び当該フロア内における適した駐車スペースの情報が推奨駐車位置として予め登録されていてもよい。この場合、システムコントローラ20は、対象のフロアへの誘導後に、当該フロア内における推奨駐車位置へ誘導するための表示又は/及び音声出力を行う。
【符号の説明】
【0063】
1 ナビゲーション装置
3 サーバ装置
10 センサ群
12 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
31 データ記憶ユニット
38 通信装置
40 表示ユニット
44 ディスプレイ
50 音声出力ユニット
60 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6