(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001775
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】部品実装装置及び部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100651
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 恒太
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE89
5E353GG08
5E353GG26
5E353JJ11
5E353JJ23
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】基板の生産能力を向上させる。
【解決手段】部品実装装置は、第1、第2の搬送レーンL1、L2と、第1、第2の部品供給ユニット24A、24Bと、第1、第2のヘッドユニット26A、26Bと、制御部4とを備える。制御部4は、上流側作業位置W1については、第1ヘッドユニット26Aにより第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1の基板Pに部品を実装し、第2ヘッドユニット26Bにより第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1の基板Pに部品を実装する平行実装を実行する一方、下流側作業位置W2については、第2ヘッドユニット26Bにより第1搬送レーンL1の下流側作業位置W2の基板P2に部品を実装し、第1ヘッドユニット26Aにより第2搬送レーンL2の下流側作業位置W2の基板Pに部品を実装する、交差実装を実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が搬送される搬送レーンであって、かつ上流側作業位置と下流側作業位置とが設定された第1搬送レーンと、
前記第1搬送レーンと平行に配置されて当該第1搬送レーンとは独立して基板を搬送する搬送レーンであって、かつ上流側作業位置と下流側作業位置とが設定された第2搬送レーンと、
前記第1搬送レーンの外側に配置された第1部品供給部と、
前記第2搬送レーンの外側に配置された第2部品供給部と、
前記第1部品供給部によって供給される部品を保持して基板に実装する第1ヘッドユニットと、
前記第2部品供給部によって供給される部品を保持して基板に実装する第2ヘッドユニットと、
前記第1ヘッドユニットおよび前記第2ヘッドユニットをそれぞれ独立して駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記上流側作業位置については、前記第1ヘッドユニットにより前記第1搬送レーンの前記上流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装し、前記第2ヘッドユニットにより前記第2搬送レーンの前記上流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装する、平行実装を実行する一方、
前記下流側作業位置については、前記第2ヘッドユニットにより前記第1搬送レーンの前記下流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装し、前記第1ヘッドユニットにより前記第2搬送レーンの前記下流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装する、交差実装を実行する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装装置において、
前記上流側作業位置に配置される基板に対して前記平行実装を実行し、前記下流側作業位置に配置される基板に対して前記交差実装を実行する部品実装方式を第1実装方式と定義するとともに、前記制御部を下位制御部と定義したときに、
当該部品実装装置は、前記下位制御部が実行する部品実装方式として、前記第1実装方式又はそれ以外の第2実装方式の何れかを基板の生産条件に基づき選定する上位制御部をさらに備え、
前記下位制御部は、前記第1実装方式又は前記第2実装方式のうち、前記上位制御部が選定した部品実装方式を実行するように構成され、
前記第2実装方式は、前記第1搬送レーン及び前記2搬送レーンの各々前記上流側作業位置に配置される基板に対して前記第1ヘッドユニットにより部品を実装する一方、前記第1搬送レーン及び前記第2搬送レーンの各々前記下流側作業位置に配置される基板に対して前記第2ヘッドユニットにより部品を実装する部品実装方式である、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の部品実装装置において、
前記上位制御部は、前記第1実装方式に基づき基板に対して部品を実装すると仮定した場合に、
前記下流側作業位置に配置された基板上の部品であって前記上流側作業位置で先に実装された部品と、前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットとが前記交差実装の際に干渉するという第1条件、
前記第1部品供給部又は前記第2部品供給部による部品供給位置との関係で、前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットが部品を取り出せないという第2条件、及び、
前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットの可動領域との関係で、目標位置に部品を実装することができないという第3条件の何れか一つの条件を充足する場合には、前記第2実装方式を選定する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品実装装置において、
前記上位制御部は、前記第1~第3条件の何れも充足しない場合には、前記第1実装方式及び前記第2実装方式を各々実行した場合のサイクルタイムを演算し、当該サイクルタイムが短い部品実装方式を選定する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項5】
基板が搬送される搬送レーンであって、かつ上流側作業位置と下流側作業位置とが設定された第1搬送レーンと、前記第1搬送レーンと平行に配置されて当該第1搬送レーンとは独立して基板を搬送する搬送レーンであって、かつ上流側作業位置と下流側作業位置とが設定された第2搬送レーンと、前記第1搬送レーンの外側に配置された第1部品供給部と、前記第2搬送レーンの外側に配置された第2部品供給部と、前記第1部品供給部によって供給される部品を保持して基板に実装する第1ヘッドユニットと、前記第2部品供給部によって供給される部品を保持して基板に実装する第2ヘッドユニットと、を備えた部品実装装置における部品実装方法であって、
前記上流側作業位置については、前記第1ヘッドユニットにより前記第1搬送レーンの前記上流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装し、前記第2ヘッドユニットにより前記第2搬送レーンの前記上流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装する、平行実装を実行する一方、
前記下流側作業位置については、前記第2ヘッドユニットにより前記第1搬送レーンの前記下流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装し、前記第1ヘッドユニットにより前記第2搬送レーンの前記下流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装する、交差実装を実行する、ことを特徴とする部品実装方法。
【請求項6】
請求項5に記載の部品実装方法において、
前記上流側作業位置に配置される基板に対して前記平行実装を実行し、前記下流側作業位置に配置される基板に対して前記交差実装を実行する部品実装方式を第1実装方式と定義し、
前記第1搬送レーン及び前記2搬送レーンの各々前記上流側作業位置に配置される基板に対して前記第1ヘッドユニットにより部品を実装する一方、前記第1搬送レーン及び前記第2搬送レーンの各々前記下流側作業位置に配置される基板に対して前記第2ヘッドユニットにより部品を実装する部品実装方式を第2実装方式と定義したときに、
基板の生産条件に基づき前記第1実装方式又は前記第2実装方式の何れかを選定し、選定した部品実装方式に基づき基板に部品を実装する、ことを特徴とする部品実装方法。
【請求項7】
請求項6に記載の部品実装方法において、
前記第1実装方式に基づき基板に対して部品を実装すると仮定した場合に、
前記下流側作業位置に配置された基板上の部品であって前記上流側作業位置で先に実装された部品と、前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットとが前記交差実装の際に干渉するという第1条件、
前記第1部品供給部又は前記第2部品供給部による部品供給位置との関係で、前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットが部品を取り出せないという第2条件、及び、
前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットの可動領域との関係で、目標位置に部品を実装することができないという第3条件の何れか一つの条件を充足する場合には、前記第2実装方式を選定する、ことを特徴とする部品実装方法。
【請求項8】
請求項7に記載の部品実装方法において、
前記第1~第3条件の何れも充足しない場合には、前記第1実装方式及び前記第2実装方式を各々実行した場合のサイクルタイムを演算し、当該サイクルタイムが短い部品実装方式を選定する、ことを特徴とする部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板が搬送される互いに平行な2つの搬送レーンと、各搬送レーンに沿って搬送される基板に対して部品を実装(搭載)する2つのヘッドユニットとを備えた部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような部品実装装置として、例えば特許文献1に開示される部品実装装置が公知である。この部品実装装置は、互いに独立して基板を搬送する第1、第2の搬送レーンと、第1搬送レーンの外側に配置された第1部品供給部と、第2搬送レーンの外側に配置された第2部品供給部と、第1部品供給部で供給される部品を第1搬送レーンの基板に実装する第1ヘッドユニットと、第2部品供給部で供給される部品を第2搬送レーンの基板に実装する第2ヘッドユニットとを備える。
【0003】
この部品実装装置では、第1搬送レーン及び第2搬送レーンにより基板が搬送され、搬送順に、第1ヘッドユニット及び第2ヘッドユニットの双方により基板に対して部品が実装される。但し、予め設定された優先基板が搬送されてくると、第1ヘッドユニット及び第2ヘッドユニットの双方によりこの優先基板に対して優先的に部品が実装される。これにより、2つの搬送レーンの基板に対する生産能力を効率的に向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の部品実装装置では、第1、2の搬送レーンにおける基板の作業位置、すなわち、部品実装時に基板が配置される位置は各々一箇所である。この作業位置に基板が位置決めされた状態で、当該基板に対して第1、第2のヘッドユニットの双方により部品が実装される。
【0006】
近年では、基板搬送方向に互いに隣接する2つの作業位置が第1搬送レーンに設定されるとともに、同じく、基板搬送方向に互いに隣接する2つの作業位置が第2搬送レーンに設定され、各作業位置に基板を配置しながら、当該基板に対して第1ヘッドユニット及び/又は第2ヘッドユニットにより部品を実装するタイプ(デュアルレーンデュアルステージタイプと称される場合がある)の部品実装装置が開発されている。
【0007】
このタイプの部品実装装置においても、特許文献1の部品実装装置と同様に、2つの搬送レーンの基板に対する生産能力を効率的に向上させ得るのが望ましいが、当該特許文献1には、各搬送レーンに各々2つの作業位置が設定される構成や、当該構成において生産能力を向上させ得る方法(構成)についての言及は無い。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、複数の搬送レーンの各々に設定された複数の作業位置に配置される基板の生産能力の向上に寄与する部品実装装置及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一局面に係る部品実装装置は、基板が搬送される搬送レーンであって、かつ上流側作業位置と下流側作業位置とが設定された第1搬送レーンと、前記第1搬送レーンと平行に配置されて当該第1搬送レーンとは独立して基板を搬送する搬送レーンであって、かつ上流側作業位置と下流側作業位置とが設定された第2搬送レーンと、前記第1搬送レーンの外側に配置された第1部品供給部と、前記第2搬送レーンの外側に配置された第2部品供給部と、前記第1部品供給部によって供給される部品を保持して基板に実装する第1ヘッドユニットと、前記第2部品供給部によって供給される部品を保持して基板に実装する第2ヘッドユニットと、前記第1ヘッドユニットおよび前記第2ヘッドユニットをそれぞれ独立して駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記上流側作業位置については、前記第1ヘッドユニットにより前記第1搬送レーンの前記上流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装し、前記第2ヘッドユニットにより前記第2搬送レーンの前記上流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装する、平行実装を実行する一方、前記下流側作業位置については、前記第2ヘッドユニットにより前記第1搬送レーンの前記下流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装し、前記第1ヘッドユニットにより前記第2搬送レーンの前記下流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装することを特徴とする。
【0010】
この部品実装装置によれば、第1ヘッドユニット又は第2ヘッドユニットの遊休期間が効果的に低減される。すなわち、例えば各搬送レーンの上流側作業位置に各々同時に基板が搬入される場合には、第1搬送レーンの上流側作業位置に配置される基板に対する第1ヘッドユニットによる部品の実装と、第2搬送レーンの上流側作業位置に配置される基板に対する第2ヘッドユニットによる部品の実装とを同時に開始することが可能となる。また、第1搬送レーンの上流側作業位置への基板の搬入と第2搬送レーンの上流側作業位置への基板の搬入とに時間差がある場合でも、各搬送レーンの上流側作業位置へ基板が各々搬入されるタイミングで、各ヘッドユニットによる部品の実装を開始することが可能となる。これにより、第1ヘッドユニット及び第2ヘッドユニットの遊休期間が低減される。従って、この部品実装装置によれば、2つの搬送レーンの各々に設定された上流側作業位置及び下流側作業位置に配置される基板の生産能力の向上に寄与する。
【0011】
なお、前記上流側作業位置に配置される基板に対して前記平行実装を実行し、前記下流側作業位置に配置される基板に対して前記交差実装を実行する部品実装方式を第1実装方式と定義するとともに、前記制御部を下位制御部と定義したときに、前記部品実装装置は、前記下位制御部が実行する部品実装方式として、前記第1実装方式又はそれ以外の第2実装方式の何れかを基板の生産条件に基づき選定する上位制御部をさらに備え、前記下位制御部は、前記第1実装方式又は前記第2実装方式のうち、前記上位制御部が選定した部品実装方式を実行するように構成され、前記第2実装方式は、前記第1搬送レーン及び前記2搬送レーンの各々前記上流側作業位置に配置される基板に対して前記第1ヘッドユニットにより部品を実装する一方、前記第1搬送レーン及び前記第2搬送レーンの各々前記下流側作業位置に配置される基板に対して前記第2ヘッドユニットにより部品を実装する部品実装方式であってもよい。
【0012】
例えば、上位制御部は、前記第1実装方式に基づき前記下流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装すると仮定した場合に、前記上流側作業位置で先に実装された部品と前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットとが干渉するという第1条件、前記第1部品供給部又は前記第2部品供給部により供給される部品の配置との関係で、前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットが部品を取り出せないという第2条件、及び前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットの可動領域との関係で、基板に部品を実装することができないという第3条件の何れか一つの条件を充足する場合には、前記第2実装方式を選定するように構成される。
【0013】
この部品実装装置によれば、基板の生産条件による制約を満足しながら、基板の生産能力を向上させることが可能となる。
【0014】
この場合、前記上位制御部は、前記第1~第3条件の何れの条件も充足しない場合には、前記第1実装方式及び前記第2実装方式を各々実行した場合のサイクルタイムを演算し、前記第1実装方式及び前記第2実装方式のうち、当該サイクルタイムが短い部品実装方式を選定するように構成されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、第1実装方式及び第2実装方式のうち、サイクルタイムが短い部品実装方式が選定されるので、基板の生産能力を向上させる上で信頼性の高い部品実装方式の選定が可能となる。
【0016】
一方、本発明の一局面に係る部品実装方法は、基板が搬送される搬送レーンであって、かつ上流側作業位置と下流側作業位置とが設定された第1搬送レーンと、前記第1搬送レーンと平行に配置されて当該第1搬送レーンとは独立して基板を搬送する搬送レーンであって、かつ上流側作業位置と下流側作業位置とが設定された第2搬送レーンと、前記第1搬送レーンの外側に配置された第1部品供給部と、前記第2搬送レーンの外側に配置された第2部品供給部と、前記第1部品供給部によって供給される部品を保持して基板に実装する第1ヘッドユニットと、前記第2部品供給部によって供給される部品を保持して基板に実装する第2ヘッドユニットと、を備えた部品実装装置における部品実装方法であって、前記上流側作業位置については、前記第1ヘッドユニットにより前記第1搬送レーンの前記上流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装し、前記第2ヘッドユニットにより前記第2搬送レーンの前記上流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装する、平行実装を実行する一方、前記下流側作業位置については、前記第2ヘッドユニットにより前記第1搬送レーンの前記下流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装し、前記第1ヘッドユニットにより前記第2搬送レーンの前記下流側作業位置に配置される基板に対して部品を実装する、交差実装を実行することを特徴とする。
【0017】
この部品実装方法によれば、第1ヘッドユニット又は第2ヘッドユニットの遊休期間が効果的に低減される。すなわち、例えば各搬送レーンの上流側作業位置に各々同時に基板が搬入される場合には、第1搬送レーンの上流側作業位置に配置される基板に対する第1ヘッドユニットによる部品の実装と、第2搬送レーンの上流側作業位置に配置される基板に対する第2ヘッドユニットによる部品の実装とを同時に開始することが可能となる。また、第1搬送レーンの上流側作業位置への基板の搬入と第2搬送レーンの上流側作業位置への基板の搬入とに時間差がある場合でも、各搬送レーンの上流側作業位置へ基板が各々搬入されるタイミングで、各ヘッドユニットによる部品の実装を開始することが可能となる。これにより、第1ヘッドユニット及び第2ヘッドユニットの遊休期間が低減される。従って、この部品実装装置によれば、2つの搬送レーンの各々に設定された上流側作業位置及び下流側作業位置に配置される基板の生産能力の向上に寄与する。
【0018】
この場合、前記上流側作業位置に配置される基板に対して前記平行実装を実行し、前記下流側作業位置に配置される基板に対して前記交差実装を実行する部品実装方式を第1実装方式と定義し、前記第1搬送レーン及び前記2搬送レーンの各々前記上流側作業位置に配置される基板に対して前記第1ヘッドユニットにより部品を実装する一方、前記第1搬送レーン及び前記第2搬送レーンの各々前記下流側作業位置に配置される基板に対して前記第2ヘッドユニットにより部品を実装する部品実装方式を第2実装方式と定義したときに、基板の生産条件に基づき前記第1実装方式又は前記第2実装方式の何れかを選定し、選定した部品実装方式に基づき基板に部品を実装するようにしてもよい。
【0019】
例えば、前記第1実装方式に基づき基板に対して部品を実装すると仮定した場合に、前記下流側作業位置に配置された基板上の部品であって前記上流側作業位置で先に実装された部品と、前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットとが前記交差実装の際に干渉するという第1条件、前記第1部品供給部又は前記第2部品供給部による部品供給位置との関係で、前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットが部品を取り出せないという第2条件、及び、前記第1ヘッドユニット又は前記第2ヘッドユニットの可動領域との関係で、目標位置に部品を実装することができないという第3条件の何れか一つの条件を充足する場合には、前記第2実装方式を選定するようにしてもよい。
【0020】
この部品実装方法よれば、基板の生産条件による制約を満足しながら、基板の生産能力を向上させることが可能となる。
【0021】
この場合、前記第1~第3条件の何れも充足しない場合には、前記第1実装方式及び前記第2実装方式を各々実行した場合のサイクルタイムを演算し、当該サイクルタイムが短い部品実装方式を選定するようにしてもよい。
【0022】
この方法によれば、第1実装方式及び第2実装方式のうち、サイクルタイムが短い部品実装方式を選定するので、基板の生産能力を向上させる上で信頼性の高い部品実装方式の選定が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明した、本発明によれば、複数の搬送レーンの各々に設定された複数の作業位置に配置される基板の生産能力を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る部品実装装置の平面図である。
【
図2】上記部品実装装置の制御系を示すブロック図である。
【
図3】部品実装方式の第1実装方式を説明する装置本体の平面模式図である。
【
図4】部品実装方式の第2実装方式を説明する装置本体の平面模式図である。
【
図5】部品実装方式の選定処理を示すフローチャートである。
【
図6】第1実装方式を選定する上での制約事項を説明する装置本体の平面模式図である。
【
図7】第1実装方式における制御部の実装制御(第1搬送レーンの基板に対する実装制御)を示すフローチャートである。
【
図8】第1実装方式における制御部の実装制御(第2搬送レーンの基板に対する実装制御)を示すフローチャートである。
【
図9】上流側作業位置に同時に基板が搬入された場合(第1のケース)の第1実装方式の動作を示す装置本体の平面模式図である。
【
図10】上流側作業位置に同時に基板が搬入された場合(第1のケース)の第2実装方式の動作を示す装置本体の平面模式図である。
【
図11】上流側作業位置に時間差をつけて基板が搬入された場合(第2のケース)の第1実装方式の動作を示す装置本体の平面模式図である。
【
図12】上流側作業位置に時間差をつけて基板が搬入された場合(第2のケース)の第2実装方式の動作を示す装置本体の平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
[部品実装装置の全体構成]
図1は、部品実装装置1の装置本体2を示す平面図である。部品実装装置1は、プリント配線基板等の基板Pに部品(Surface Mount Device)が実装(搭載)された部品実装基板を生産する装置であり、
図1に示す装置本体2と制御部4(
図2参照)と管理装置100(
図2参照)とを含む。
図1では、水平面上において互いに直交するXY直交座標を用いて方向関係が示されている。
【0027】
装置本体2は、金属製の構造体からなる本体フレーム20と、この本体フレーム20上に各々備えられる2つの基板搬送コンベア(第1基板搬送コンベア21及び第2基板搬送コンベア22)、2つの部品供給ユニット24(第1部品供給ユニット24A及び第2部品供給ユニット24B)、2つのヘッドユニット26(第1ヘッドユニット26A及び第2ヘッドユニット26B)、及び2つの部品認識カメラ40とを備えている。
【0028】
第1基板搬送コンベア21は、本体フレーム20のY1側に、第2基板搬送コンベア22は本体フレーム20のY2側に、各々配置され、互いに平行にX方向に延在している。基板Pは、各基板搬送コンベア21、22により機外(X1側)から所定の作業位置に搬入され、部品実装処理が施された後、作業位置から機外(X2側)に搬出される。
【0029】
より詳しくは、各基板搬送コンベア21、22は、上流コンベア21A、22A及び下流コンベア21B、22Bを備えており、基板Pは、上流コンベア21A、22Aにより機外から上流側の作業位置W1に搬入され、当該作業位置W1で部品実装処理が施された後、上流コンベア21A、22Aから下流コンベア21B、22Bに受け渡される。そして、下流コンベア21B、22Bにより下流側の作業位置W2に搬入され、当該作業位置W2で部品実装処理が施された後、下流コンベア21B、22Bにより作業位置W2から機外に搬出される。
【0030】
各コンベア21A、21B、22A、22Bは、ベルト式コンベアであり、X方向に周回移動する一対のコンベアベルト、及び当該コンベアベルトを駆動するコンベア駆動モータ23(
図2参照)等を備えている。各基板搬送コンベア21、22(21A、21B、22A、22B、)は、コンベアベルト同士の間隔が変更可能に構成されており、これによりサイズの異なる基板Pの生産が可能となっている。図示を省略するが、各作業位置W1、W2には、クランプ機構が備えられており、部品実装処理中、基板Pは、当該クランプ機構により各作業位置W1、W2に位置決めされる。
【0031】
当例では、第1基板搬送コンベア21により基板Pを搬送する第1搬送レーンL1が形成され、第2基板搬送コンベア22により基板Pを搬送する第2搬送レーンL2が形成されている。そして、各搬送レーンL1、L2に、各々、上流側の作業位置W1と下流側の作業位置W2とが設定されている。なお、以下の説明では、上流側の作業位置W1を「上流側作業位置W1」、下流側の作業位置を「下流側作業位置W2」と称する場合がある。
【0032】
当例では、各搬送レーンL1、L2を形成する基板搬送コンベア21、22は、既述の通り、上流コンベア21A、22Aと下流コンベア21B、22Bとを備えるが、基板搬送コンベア21、22は、各々、単一のコンベアであってもよい。
【0033】
第1部品供給ユニット24A及び第2部品供給ユニット24Bは、基板Pに実装される部品を供給するユニット領域であり、第1部品供給ユニット24Aは、第1搬送レーンL1(第1基板搬送コンベア21)の外側(Y1側)に、第2部品供給ユニット24Bは、第2搬送レーンL2(第2基板搬送コンベア22)の外側(Y2側)に各々設けられている。各部品供給ユニット24A、24Bには、複数のフィーダ24Fが並設された状態で装着されている。フィーダ24Fは、チップ状の部品を供給する例えばテープフィーダである。部品供給ユニット24には、テープフィーダ以外のスティックフィーダやトレイフィーダなどのフィーダ24Fも配置され得る。なお、第1部品供給ユニット24Aは、本発明の「第1部品供給部」に相当し、第2部品供給ユニット24Bは、本発明の「第2部品供給部」に相当する。
【0034】
第1ヘッドユニット26A及び第2ヘッドユニット26Bは、フィーダ24Fから部品をピッキングして作業位置W1、W2へ移動し、当該部品を基板Pに実装するユニットである。各ヘッドユニット26A、26Bは、ヘッドユニット駆動機構30(本発明の「駆動部」に相当する)により互いに独立してX方向及びY方向に移動可能に設けられている。
【0035】
ヘッドユニット駆動機構30は、本体フレーム20に各々固定されたY方向に延在する一対の固定レール34と、これら固定レール34に移動自在に支持されて各々X方向に延在する第1ビーム32及び第2ビーム33と、第1ビーム32に螺合されて、Y軸モータ37Aにより回転駆動されるボールねじ軸39Aと、第2ビーム33に螺合されて、Y軸モータ37Bにより回転駆動されるボールねじ軸39Bとを含む。また、ヘッドユニット駆動機構30は、第1ビーム32に固定されて第1ヘッドユニット26AをX方向に移動自在に支持する図外の固定レールと、第2ビーム33に固定されて第2ヘッドユニット26BをX方向に移動自在に支持する図外の固定レールと、第1ヘッドユニット26Aに螺合されて、X軸モータ36Aにより回転駆動されるボールねじ軸38Aと、第2ヘッドユニット26Bに螺合されて、X軸モータ36Bにより回転駆動されるボールねじ軸38Bとを含む。
【0036】
つまり、ヘッドユニット駆動機構30は、X軸モータ36Aによりボールねじ軸38Aを介して第1ヘッドユニット26Aを第1ビーム32に沿ってX方向に移動させるともに、X軸モータ36Bによりボールねじ軸38Bを介して第2ヘッドユニット26Bを第2ビーム33に沿ってX方向に移動させる。また、ヘッドユニット駆動機構30は、Y軸モータ37Aによりボールねじ軸39Aを介して第1ビーム32をY方向に移動させるとともに、Y軸モータ37Bによりボールねじ軸39Bを介して第2ビーム33をY方向に移動させる。この構成により、第1ヘッドユニット26A及び第2ヘッドユニット26Bが、本体フレーム20の上方空間の一定範囲内でX方向及びY方向に移動する。
【0037】
なお、第1ヘッドユニット26Aは、第1ビーム32のY2側に配置され、第2ヘッドユニット26Bは、第2ビーム33のY1側に配置されている。すなわち、各ヘッドユニット26A、26Bは、両ビーム32、33の内側に配置されている。
【0038】
各ヘッドユニット26A、26Bには、各々、上下方向に延びる軸状の複数の実装ヘッド27と、これら実装ヘッド27を駆動するヘッド駆動機構とが備えられている。当例では、各ヘッドユニット26A、26Bは、複数の実装ヘッド27がX方向沿って一列に配列されたインライン型であるが、複数の実装ヘッド27が円に沿って配列されたロータリー型であってもよい。
【0039】
ヘッド駆動機構は、Z軸モータ28(
図2参照)により個別に昇降させる昇降駆動機構と、R軸モータ29により、各実装ヘッド27を各々中心軸回り(R方向)に回転させる回転駆動機構とを含む。各実装ヘッド27の先端には、部品吸着用のノズルが備えられている。各ノズルには、負圧及び正圧が選択的に供給される。これにより、各実装ヘッド27による部品の吸着保持及び基板P上への部品のリリース(実装)が行われる。
【0040】
部品認識カメラ40は、各ヘッドユニット26A、26Bの実装ヘッド27に吸着保持された部品を下方から撮像するカメラであり、CCDやCMOS等の撮像素子を備えたカメラ本体と、LED照明等の照明デバイスとを一体に備えた照明一体形カメラである。部品認識カメラ40は、第1部品供給ユニット24Aと第1搬送レーンL1との間、及び第2部品供給ユニット24Bと第2搬送レーンL2との間に各々上向きに配置されている。
【0041】
[部品実装装置1の制御系]
図2は、部品実装装置1の制御系を示すブロック図である。部品実装装置1は、既述の通り制御部4を備えるとともに、部品実装処理等に関する各種情報を表示する表示部及び制御部4に対する各種指令の入力操作を受ける入力部を備えた表示/入力部5と、管理装置100とを備えている。
【0042】
制御部4は、演算処理部51、記憶部52、モータ制御部53、画像処理部54、及び通信部55等を備えている。演算処理部51は、CPU、ROM、RAM及び周辺回路等を備えて構成されており、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、装置本体2の各構成要素の動作を制御する。
【0043】
記憶部52には、部品実装処理において実行される各種プログラムや、当該プログラムの実行に際して参照される基板データ等の各種データが記憶されている。基板データとは、基板の品種、当該基板に実装される部品の品種、サイズ及び搭載座標等のデータである。また、各種プログラムには複数のシーケンスデータからなる実装プログラムが含まれる。この実装プログラムを演算処理部51が実行することにより、部品実装装置1の各構成要素が作動し、基板Pに対して部品が実装される。実装プログラムは、管理装置100で生成されて、基板Pの生産前に当該記憶部52に格納される。
【0044】
モータ制御部53は、演算処理部51からの指令によりX軸モータ36A、36B、Y軸モータ37A、37B、Z軸モータ28及びR軸モータ29などの各モータを制御する。画像処理部54は、部品認識カメラ40から出力される画像信号に基づいて部品のデジタル画像を生成する。演算処理部51は、このデジタル画像に基づき実装ヘッド27による部品の吸着状態の認識等の処理を実行する。通信部55は、部品実装装置1に接続される外部機器との通信を統括的に制御する。この通信部55には、管理装置100が接続されている。
【0045】
管理装置100は、例えば部品実装装置1から離れた場所に設けられており、部品実装装置1で実行される実装プログラムの生成を行う共に、部品実装装置1で実行された部品実装処理の各種の履歴データを保存する。
【0046】
管理装置100は、演算処理部101、記憶部102、及び通信部103を備えている。演算処理部101は、CPU、ROM、RAM及び周辺回路等を備えて構成されている。演算処理部101は、基板Pの生産に先立ち、当該基板Pの前記基板データに基づき所定の最適化プログラムを実行することにより、例えば1ロットの基板Pの生産開始から終了までに要する時間(サイクルタイム)が可及的に短くなるような実装プログラムを生成する。管理装置100で生成された実装プログラムは、基板Pの生産前に通信部103を通じて制御部4に送信され、前記記憶部52に格納される。
【0047】
記憶部102には、各種プログラムや、当該プログラムの実行に際して参照される各種データが記憶されている。各種データには、前記基板データ及びマシンデータが含まれる。マシンデータとは、装置本体2の各部構成に関するデータであり、部品実装処理に使用される各ヘッドユニット26A、26Bに関するデータであるヘッドデータや、各部品供給ユニット24A、24Bに関するデータであるフィーダデータが含まれる。ヘッドデータとは、実装ヘッド27の種類(タイプ)、サイズ、配列及び昇降ストローク等の情報であり、フィーダデータは、各部品供給ユニット24A、24Bにおけるフィーダ24Fの種類(タイプ)や配置等の情報である。
【0048】
当例では、制御部4が本発明の「下位制御部」に相当し、管理装置100が本発明の「上位制御部」に相当する。なお、制御部4は、「下位制御部」及び「上位制御部」の機能を共に備えるように構成されていてもよい。
【0049】
[部品実装方式の選定及び実装プログラムの生成]
この部品実装装置1の部品実装方式は、各搬送レーンL1、L2間において互いに独立して基板Pを搬送しながら、当該基板Pに対して基板単位で順次部品実装処理を行う、いわゆる非同期搬送実装方式である。この非同期搬送実装方式として、当例では、第1実装方式と第2実装方式とが適用されており、各搬送レーンL1、L2で生産される基板Pの前記基板データや前記マシンデータ等に基づき何れかの方式が選定される。
【0050】
図3は、第1実装方式を説明する装置本体2の平面模式図である。第1実装方式では、上流側作業位置W1については、第1ヘッドユニット26Aが第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1に配置される基板Pに対して部品を実装し、第2ヘッドユニット26Bが第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1に配置される基板Pに対して部品を実装する(本発明の「平行実装」に相当する)。また、下流側作業位置W2については、第2ヘッドユニット26Bが第1搬送レーンL1の下流側作業位置W2に配置される基板Pに対して部品を実装し、第1ヘッドユニット26Aが第2搬送レーンL2の下流側の作業位置W2に配置される基板Pに対して部品を実装する(本発明の「交差実装」に相当する)。
【0051】
この場合、第1ヘッドユニット26Aは、第1部品供給ユニット24Aにより供給される部品のみをピッキングし、第2ヘッドユニット26Bは、第2部品供給ユニット24Bにより供給される部品のみをピッキングする。なお、
図3では、第1ヘッドユニット26Aによる部品の実装を白矢印で、第2ヘッドユニット26Bによる部品の実装を黒矢印で示している。後述する
図4、
図6~10についても同じである。
【0052】
図4は、第2実装方式を説明する装置本体2の平面模式図である。第2実装方式では、上流側作業位置W1について、第1ヘッドユニット26Aが両搬送レーンL1、L2の上流側作業位置W1に配置される基板Pに対して部品を実装し、第2ヘッドユニット26Bが両搬送レーンL1、L2の下流側作業位置W2に配置される基板Pに対して部品を実装する。
【0053】
第2実装方式の場合も、第1ヘッドユニット26Aは、第1部品供給ユニット24Aにより供給される部品のみをピッキングし、第2ヘッドユニット26Bは、第2部品供給ユニット24Bにより供給される部品のみをピッキングする。
【0054】
第1部品実装方式と第2部品実装方式とは、何れも非同期搬送実装方式として効率的に部品実装処理を行える方式であるが、後述する通り、第1実装方式では、第2実装方式に比して、各ヘッドユニット26A、26Bの遊休期間がより低減され得る。そのため、当例では、第1実装方式が優先的に選定され、基板Pの生産条件により第1実施方式の実施が適していないと判断される場合、又は、第1実装方式よりも第2実装様式の方がサイクルタイムが短くなると判断される場合にのみ、第2実装方式が選定される。
【0055】
この部品実装方式の選定は、各搬送レーンL1、L2で生産される基板Pの前記基板データ及び前記マシンデータ等に基づき管理装置100(演算処理部101)が行う。以下、この部品実装方式の選定処理について説明する。
【0056】
図5は、演算処理部101による部品実装方式の選定処理を示すフローチャートである。この部品実装方式の選定処理は、前記実装プログラムの生成処理と共に行われる。まず、演算処理部101は、各搬送レーンL1、L2で生産される各基板Pの生産条件に基づき、第1実装方式の選定に物理的な制約があるか否かをステップS1~ステップS5の各処理で各々判定する。基板Pの生産条件には、生産対象となる基板Pの前記基板データ、当該基板Pの部品実装処理に使用される各ヘッドユニット26A、26Bの前記ヘッドデータ、各部品供給ユニット24A、24Bの前記フィーダデータが含まれる。
【0057】
具体的には、演算処理部101は、まず、基板データとヘッドデータとに基づき、第1実装方式の選定に際して、部品サイズによる制約が有るか否かを判定する(ステップS1)。ここでYesと判定した場合、演算処理部101は、処理をステップ17に移行し、部品実装方式として第2実装方式を選定するとともに、後述する最適化処理を実行して、当該部品実装方式の選定処理を終了する。
【0058】
例えば、
図6(a)に示すように、第2搬送レーンL2で生産される基板Pの実装部品に、第2ヘッドユニット26Bの実装ヘッド27でしか実装できない部品であって部品高さが第1ヘッドユニット26Aの実装ヘッド27の先端高さよりも高い部品Cが含まれている場合には、演算処理部101は、ステップS1の処理でYesと判定する。これは、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1で当該部品Cが基板Pに実装されると、下流側作業位置W2での当該基板Pに対する部品実装処理の際に、第1ヘッドユニット26Aの実装ヘッド27が当該部品Cと干渉するためである。このような場合には、演算処理部101はステップS1の処理でYesと判定し、ステップS17の処理で第2実装方式を選定して最適化処理を実行する。最適化処理とは、各搬送レーンL1、L2で生産される基板Pの基板データに基づき所定の最適化プログラムを実行することにより、第2実装方式に基づき各搬送レーンL1、L2で各々生産される基板Pのサイクルタイムが可及的に短くなるような実装プログラムを生成する処理である。サイクルタイムとしては、例えば、1ロット分の基板Pの生産開始から終了までに要する時間(サイクルタイム)が適用される。
【0059】
ステップS1でNoと判定した場合には、演算処理部101は、基板データとフィーダデータとに基づき、第1実装方式の選定に際して部品供給位置の制約があるか否か、つまり部品供給位置との関係で、第1ヘッドユニット26A又は第2ヘッドユニット26Bによるピッキングが不可能な部品があるか否かを判定する(ステップS3)。
【0060】
例えば、
図6(b)に示すように、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1で基板Pに実装すべき部品が、第1部品供給ユニット24Aのみにより供給される場合には、演算処理部101は、ステップS3の処理でYesと判定する。これは、第1実装方式では、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1の基板Pに対して第2ヘッドユニット26Bが部品を実装するため、この第2ヘッドユニット26Bでは第1部品供給ユニット24Aにアクセスできないためである。具体的には、フィーダ24Fとして、第1部品供給ユニット24Aにのみトレイフィーダが配置され、当該トレイフィーダにより供給されるBGA(BallGrid Array)等のパッケージ部品を、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1で基板Pに実装する必要があるような場合には、演算処理部101はステップS1でYesと判定し、処理をステップS17に移行する。
【0061】
ステップS3でNoと判定した場合には、演算処理部101は、基板データ、ヘッドデータ及びフィーダデータに基づき、第1実装方式の選定に際して部品の搭載座標による制約があるか否かを判定する(ステップS5)。
【0062】
例えば、
図6(c)に示すように、第2搬送レーンL2で生産される基板Pの搭載座標Pc(目標位置)として、上流側作業位置W1では第1ヘッドユニット26Aによる部品実装が可能であるが、下流側作業位置W2では不可能となるような搭載座標Pcがある場合には、演算処理部101はステップS5の処理でYesと判定する。このようなケースは、部品搭載座標Pcに実装される部品を供給するフィーダ24Fの位置と当該部品をピッキングする実装ヘッド27の位置(第1ヘッドユニット26Aにおける配置)との関係により生じ得る。このような場合には、演算処理部101はステップS5でYesと判定し、処理をステップS17に移行する。
【0063】
ステップS5でNoと判定した場合、すなわち、第1実装方式の選定が可能と判定した場合には、演算処理部101は、各搬送レーンL1、L2で生産される基板Pの基板データに基づき、第1実装方式及び第2実装方式の双方について実装プログラムの最適化処理を実行する(ステップS7)。すなわち、基板データに基づき所定の最適化プログラムを実行することにより、各搬送レーンL1、L2で各々生産される基板Pのサイクルタイムが可及的に短くなるような実装プログラムを各方式について生成する。
【0064】
次に、演算処理部101は、ステップS7で生成した各方式の実装プログラムに基づき前記サイクルタイムを演算し、その結果を比較することにより(ステップS9)、第1実装方式のサイクルタイムが第2実装方式のサイクルタイムよりも短いか否かを判定する(ステップS11)。ここでYesの場合には、演算処理部101は、部品実装方式として第1実装方式を選定し(ステップS13)、Noの場合には、第2実装方式を選定する(ステップS15)。その後、当該部品実装方式の選定処理を終了する。
【0065】
部品実装方式の選定処理が終了すると、演算処理部101は、ステップS13又はステップS15の処理で選定した部品実装方式(第1実装方式又は第2実装方式)の生産ログラム、具体的にはステップS7で生成した実装プログラム、又はステップS17の処理で生成した実装プログラムを制御部4に送信する。これにより、基板Pの実装プログラムが前記記憶部52に格納される。なお、実装プログラムは、部品実装方式の選定処理後に、その結果に基づき、演算処理部101が生成する構成であってもよい。
【0066】
[部品実装処理の制御]
次に、制御部4による部品実装の制御について、第1実装方式を例に、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、第1搬送レーンL1の基板Pに対する実装制御を、
図8は、第2搬送レーンL2の基板Pの実装制御を示すフローチャートである。
【0067】
第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1に基板Pが搬入されると(
図7(a))、制御部4(演算処理部51)は、第1ヘッドユニット26Aが第2搬送レーンL2の基板Pに対する部品実装処理中か否かを判定する(ステップS21)。ここでYesの場合には、制御部4は、当該部品実装処理が終了するのを待って、終了すると(ステップS21でNo)、第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1の基板Pに対して第1ヘッドユニット26Aにより部品実装処理を実行する(ステップS23)。この場合、制御部4は、管理装置100により生成された実装プログラムに基づき部品実装処理を実行する。この点は、後述するステップS33、S43、S53の各部品実装処理についても同じである。
【0068】
第1搬送レーンL1の下流側作業位置W2に基板Pが搬入されると(
図7(b))、制御部4は、第1ヘッドユニット26A又は第2ヘッドユニット26Bが第2搬送レーンL2の基板Pに対する部品実装処理中か否かを判定する(ステップS31)。ここでYesの場合には、制御部4は、当該部品実装処理が終了するのを待って、終了すると(ステップS31でNo)、第1搬送レーンL1の下流側作業位置W2の基板Pに対して第2ヘッドユニット26Bにより部品実装処理を実行する(ステップS33)。
【0069】
また、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1に基板Pが搬入されると(
図8(a))、制御部4は、第2ヘッドユニット26Aが第1搬送レーンL1の基板Pに対する部品実装処理中か否かを判定する(ステップS41)。ここでYesの場合には、制御部4は、当該部品実装処理が終了するのを待って、終了すると(ステップS41でNo)、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1の基板Pに対して第2ヘッドユニット26Bにより部品実装処理を実行する(ステップS43)。
【0070】
また、第2搬送レーンL2の下流側作業位置W2に基板Pが搬入されると(
図8(b))、制御部4は、第1ヘッドユニット26A又は第2ヘッドユニット26Bが第1搬送レーンL1の基板Pに対する部品実装処理中か否かを判定する(ステップS51)。ここでYesの場合には、制御部4は、当該部品実装処理が終了するのを待って、終了すると(ステップS51でNo)、第2搬送レーンL2の下流側作業位置W2の基板Pに対して第1ヘッドユニット26Aにより部品実装処理を実行する(ステップS53)。
【0071】
[各部品実装方式に基づく部品実装処理の動作]
次に、各部品実装方式(第1実装方式及び第2実装方式)に基づく部品実装処理の動作について
図9~
図12を参照しつつ説明する。
図9及び
図10は、各搬送レーンL1、L2の上流側作業位置W1に同時に基板Pが搬入された場合の動作(第1のケースと称す)を示し、
図11及び
図12は、各上流側作業位置W1に時間差をつけて基板Pが搬入された場合の動作(第2のケースと称す)を示している。当例では、第1搬送レーンL1の基板P(適宜、基板P1と称す)は、第2搬送レーンL2の基板P(適宜、基板P2と称す)に比してサイズが小さく部品の実装処理時間も短いものとする。
【0072】
なお、各図中の符号Tは、各基板Pの部品実装処理の進捗率を示す円グラフであり、黒色の部分が進捗率を示している。当例では、各搬送レーンL1、L2の基板Pは、全体処理を100%として、上流側作業位置W1で50%の処理を受け、下流側作業位置W2で残りの50%の処理を受ける。
【0073】
1)第1のケースにおける第1実装方式の動作
図9中の(a)~(e)は、第1実装方式の場合の各基板P1、P2に対する部品実装処理の進行状況を時系列的に示しており、
図9(a)は、各搬送レーンL1の上流側作業位置W1に基板P1、P2が同時に搬入された時点を示している。
【0074】
各上流側作業位置W1に基板P1、P2が搬入されると、同図に示すように、第1搬送レーンL1の基板P1に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理と、第2搬送レーンL2の基板P2に対する第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理とがほぼ同時に開始される。
【0075】
基板P1は、基板P2よりも実装処理時間が短いため、第1搬送レーンL1の基板P1は、基板P2に先立って上流側作業位置W1から下流側作業位置W2に搬送される。これに同期して後続する基板P1が第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1に搬入される。つまり、先行する基板P1(先行基板P1という)の下流側作業位置W2への搬入と略同時に、後続する基板P1(後続基板P1という)が上流側作業位置W1に搬入される。先行基板P1が下流側作業位置W2に搬入されると、当該基板P1に対する第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理が開始され、後続基板P1が上流側作業位置W1に搬入されると、当該基板P1に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が開始される。従って、第1搬送レーンL1では、
図9(b)に示すように、先行基板P1に対する部品実装処理と後続基板P1に対する部品実装処理とが並行して行われる。この間、第2搬送レーンL2では、同図に示すように、基板P2(先行基板P2という)が下流側作業位置W2へ向かって搬送され、後続する基板P1(後続基板P2)が上流側作業位置W1に向かって搬送される。
【0076】
その後、
図9(c)に示すように、第2搬送レーンL2において、先行基板P2が下流側作業位置W2へ、後続基板P2が上流側作業位置W1へ各々ほぼ同時に搬入される。同図に示すように、この時点では、第1搬送レーンL1の先行基板P1に対して第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理が、後続基板P1に対して第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が継続している。そのため、第2搬送レーンL2の各基板P2は、何れも処理待ち状態(待機状態)となる。
【0077】
第1搬送レーンL1の各基板P1の部品実装処理は、ほぼ同時に終了する。各基板P1の部品実装処理が完了すると、第2搬送レーンL2における下流側作業位置W2の先行基板P2に対して第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が、上流側作業位置W1の後続基板P2に対して第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理がほぼ同時に開始される。従って、第2搬送レーンL2では、
図9(d)に示すように、先行基板P2に対する部品実装処理と後続基板P2に対する部品実装処理とが並行して行われる。この間、第1搬送レーンL1では、先行基板P1が下流側作業位置W2から機外へ搬送される。また、これと同期して後続基板P1が下流側作業位置W2に向かって搬送されるとともに、新たな後続基板P1が上流側作業位置W1に向かって搬送される。
【0078】
その後、
図9(e)に示すように、第1搬送レーンL1において、後続基板P1が下流側作業位置W2へ、新たな後続基板P1が上流側作業位置W1へほぼ同時に搬入される。同図に示すように、この時点では、第2搬送レーンL2の先行基板P2に対して第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が、後続基板P2に対して第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理が継続している。そのため、第1搬送レーンL1の各基板P1は、何れも処理待ち状態となり、第2搬送レーンL2の各基板P2の部品実装処理が完了すると、第1搬送レーンL1の各基板P1の実装処理がほぼ同時に開始される。
【0079】
以後、
図9(c)~(e)に示す動作が繰り返されながら、各搬送レーンL1、L2の基板P1、P2の部品実装処理が進められる。
【0080】
2)第1のケースにおける第2実装方式の動作
図10中の(a)~(f)は、第2実装方式の場合の各基板P1、P2に対する部品実装処理の進行状況を時系列的に示しており、
図10(a)は、各搬送レーンL1の上流側作業位置W1に基板P1、P2が同時に搬入された時点を示している。
【0081】
各上流側作業位置W1に基板P1、P2が搬入されると、同図に示すように、まず、第1搬送レーンL1の基板P1に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理のみが開始され、第2搬送レーンL2の基板P2は処理待ち状態となる。なお、基板P1を先行させるのは、基板P2よりも部品の実装処理時間が短いためである。
【0082】
第1搬送レーンL1の基板P1の部品実装処理が完了すると、第2搬送レーンL2の基板P2に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が開始される。そして、
図10(b)に示すように、この基板P2に対する部品実装処理中に、第1搬送レーンL1の基板P1(先行基板P1)が下流側作業位置W2に向かって搬送されるとともに、後続基板P1が上流側作業位置W1に向かって搬送され、これらの基板P1が第1搬送レーンL1の各作業位置W1、W2にほぼ同時に搬入される。
【0083】
各基板P1は、第1ヘッドユニット26Aによる基板P2に対する部品実装処理が完了するまで待機状態となる。この間、第2ヘッドユニット26Bは遊休状態となる。当該基板P2に対する部品実装処理が完了すると、
図10(c)に示すように、第1搬送レーンL1の先行基板P1に対する第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理と、後続基板P1に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理とがほぼ同時に開始される。従って、第1搬送レーンL1では、先行基板P1に対する部品実装処理と後続基板P1に対する部品実装処理とが並行して行われる。
【0084】
そして、同図に示すように、各基板P1に対する部品実装処理中に、第2搬送レーンL2の基板P2(先行基板P2)が下流側作業位置W2に向かって搬送されるとともに、後続基板P2が上流側作業位置W1に向かって搬送され、
図10(d)に示すように、これらの基板P2が作業位置W1、W2にほぼ同時に搬入される。
【0085】
同図に示すように、この時点では、第1搬送レーンL1の先行基板P1に対する第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理と、後続基板P1に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が継続している。そのため、第2搬送レーンL2の各基板P2は、何れも処理待ち状態となる。
【0086】
第1搬送レーンL1における先行基板P1及び後続基板P1に対する部品実装処理はほぼ同時に完了する。当該部品実装処理が完了すると、第2搬送レーンL2の先行基板P2に対する第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理と、後続基板P2に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理とがほぼ同時に開始される。従って、第2搬送レーンL2では、先行基板P2に対する部品実装処理と後続基板P2に対する部品実装処理とが並行して行われる。
【0087】
そして、
図10(e)に示すように、各基板P2に対する部品実装処理中に、第1搬送レーンL1の先行基板Pが機外に向かって搬送される。また、これと同期して後続基板P1が下流側作業位置W2に向かって搬送されるとともに、新たな後続基板P1が上流側作業位置W1に向かって搬送される。
【0088】
その後、
図10(f)に示すように、第1搬送レーンL1において、後続基板P1が下流側作業位置W2へ、新たな後続基板P1が上流側作業位置W1へほぼ同時に搬入される。同図に示すように、この時点では、第2搬送レーンL2の先行基板P2に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理と、後続基板P2に対する第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理とが継続している。そのため、第1搬送レーンL1の各基板P1は、何れも処理待ち状態となり、第2搬送レーンL2の各基板P2の部品実装処理が完了すると、第1搬送レーンL1の各基板P1の部品実装処理がほぼ同時に開始される。
【0089】
以後、
図10(c)~(f)に示す動作が繰り返されながら、各搬送レーンL1、L2の基板P1、P2の部品実装処理が進められる。
【0090】
3)第2のケースにおける第1実装方式の動作
図11中の(a)~(f)は、第1実装方式の場合の各基板P1、P2に対する部品実装処理の進行状況を時系列的に示しており、
図11(a)は、第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1に基板P1が搬入され、第2搬送レーンL2において基板P2が上流側作業位置W1に向かって搬送されている時点を示している。
【0091】
第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1に基板P1が搬入されると、同図に示すように、第1搬送レーンL1の基板P1に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が開始される。その後、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1に基板P2が搬入されると、その時点から同図中の破線矢印(黒色)で示すように、第2ヘッドユニット26Bによる当該基板P2に対する部品実装処理が開始される。
【0092】
第1搬送レーンL1の基板P1の部品実装処理が完了すると、
図11(b)に示すように、当該基板P1(先行基板P1)が下流側作業位置W2に向かって搬送されるとともに、上流側作業位置W1に向かって後続基板P1が搬送される。そして、9(c)に示すように、先行基板P1の下流側作業位置W2への搬入と略同時に、後続基板P1が上流側作業位置W1に搬入される。後続基板P1が上流側作業位置W1に搬入されると、同図中の破線矢印(白色)で示すように、第1ヘッドユニット26Aによる当該基板P1に対する部品実装処理が開始される。この時点では、同図に示すように、第2搬送レーンL2の先行基板P2に対して第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理が継続している。そのため、第1搬送レーンL1の先行基板P1は、処理待ち状態となる。
【0093】
第2搬送レーンL2の先行基板P2の部品実装処理が完了すると、
図11(d)に示すように、第1搬送レーンL1において待機状態にあった先行基板P1に対して第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理が開始される。そして、この間に、第2搬送レーンL2の基板P2(先行基板P2)が下流側作業位置W2に向かって搬送されるとともに、上流側作業位置W1に向かって後続基板P2が搬送される。
【0094】
その後、
図11(e)に示すように、第2搬送レーンL2において、先行基板P2が下流側作業位置W2へ、後続基板P2が上流側作業位置W1へ各々ほぼ同時に搬入される。同図に示すように、この時点では、第1搬送レーンL1の先行基板P1に対して第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理が、後続基板P1に対して第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が継続している。そのため、第2搬送レーンL2の各基板P2は、何れも処理待ち状態となる。
【0095】
第1搬送レーンL1の先行基板P1の部品実装処理が完了すると、
図11(f)に示すように、第2搬送レーンL2の先行基板P2に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理と、後続基板P2に対する第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理とがほぼ同時に開始される。従って、第2搬送レーンL2では、先行基板P2に対する部品実装処理と後続基板P2に対する部品実装処理とが並行して行われる。そしてこの間、第1搬送レーンL1では、先行基板P1が下流側作業位置W2から機外へ搬送される。また、これと同期して後続基板P1が下流側作業位置W2に向かって搬送されるとともに、新たな後続基板P1が上流側作業位置W1に向かって搬送される。
【0096】
以後、
図11(d)~(f)に示す動作が繰り返されながら、各搬送レーンL1、L2の基板P1、P2の部品実装処理が進められる。
【0097】
4)第2のケースにおける第2実装方式の動作
図12中の(a)~(f)は、第2実装方式の場合の各基板P1、P2に対する部品実装処理の進行状況を時系列的に示しており、
図12(a)は、第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1に基板P1が搬入され、第2搬送レーンL2において基板P2が上流側作業位置W1に向かって搬送されている時点を示している。
【0098】
第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1に基板P1が搬入されると、同図に示すように、第1搬送レーンL1の基板P1に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が開始される。その後、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1に基板P2が搬入されるが、この時点では、当該基板P2は、処理待ち状態となる。
【0099】
第1搬送レーンL1の基板P1の部品実装処理が完了すると、
図12(b)に示すように、第2搬送レーンL2で処理待ち状態にある基板P2に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が開始される。また、この部品実装処理中に、第1搬送レーンL1の基板P1(先行基板P1)が下流側作業位置W2に向かって搬送されるとともに、上流側作業位置W1に向かって後続基板P1が搬送される。
【0100】
図12(c)は、第1搬送レーンL1の先行基板P1が下流側作業位置W2に搬入されるとともに、上流側作業位置W1に後続基板P1が搬入された時点を示している。この時点では、同図に示すように、第2搬送レーンL2における上流側作業位置W1の基板P2に対して第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が継続している。そのため、第1搬送レーンL1の各基板P1は、何れも処理待ち状態となる。なお、先行基板P1が処理待ち状態となるのは、当該先行基板P1に対して部品実装処理を行うと、ヘッドユニット26A、26B同士が干渉するためである。
【0101】
第2搬送レーンL2の基板P1(先行基板P1)に対する部品実装処理が完了すると、
図12(d)に示すように、第1搬送レーンL1の先行基板P1に対して第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理が開始され、これとほぼ同時に後続基板P1に対して第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理が開示される。従って、第1搬送レーンL1では、先行基板P1に対する部品実装処理と後続基板P1に対する部品実装処理とが並行して行われる。
【0102】
また、この部品実装処理中に、第2搬送レーンL2の基板P2(先行基板P2)が下流側作業位置W2に向かって搬送されるとともに、上流側作業位置W1に向かって後続基板P2が搬送され、
図12(e)に示すように、先行基板P2の下流側作業位置W2への搬入と略同時に、後続基板P2が上流側作業位置W1に搬入される。この時点では、同図に示すように、第1搬送レーンL1における各基板P1に対してヘッドユニット26A、26Bによる部品実装処理が継続している。そのため、第2搬送レーンL2の各基板P2は、何れも処理待ち状態となる。
【0103】
第1搬送レーンL1の各基板P1、P2の部品実装処理が完了すると、
図12(f)に示すように、第2搬送レーンL2の先行基板P2に対する第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理と、後続基板P2に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理とがほぼ同時に開始される。従って、第2搬送レーンL2では、先行基板P2に対する部品実装処理と後続基板P2に対する部品実装処理とが並行して行われる。
【0104】
そして、同図に示すように、第2搬送レーンL2の各基板P2に対する部品実装処理中に、第1搬送レーンL1では、先行基板P1が下流側作業位置W2から機外に向かって搬送される。また、これと同期して後続基板P1が下流側作業位置W2に向かって搬送されるとともに、新たな後続基板P1が上流側作業位置W1に向かって搬送される。
【0105】
以後、第2実装方式によると、
図12(d)~(f)に示す動作が繰り返されながら、各搬送レーンL1、L2の基板P1、P2の部品実装処理が進められる。
【0106】
[効果]
以上のような部品実装装置1によれば、既述のように部品実装方式として、第1実装方式及び第2実装方式の何れかの方式で部品実装処理が行われる。これらの部品実装方式によれば、第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1及び下流側作業位置W2に各々基板P1が搬入され、第2搬送レーンL2において基板P2が搬送中の場合には(
図9(b)、
図10(c)、
図11(d)、
図12(d))、2つの基板P1のうち、一方側の基板P1に対して第1ヘッドユニット26Aにより部品が実装され、他方側の基板P1に対して第2ヘッドユニット26Bにより部品が実装される。同様に、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1及び下流側作業位置W2に各々基板P2が同時に搬入され、第1搬送レーンL1において基板P1が搬送中の場合には(
図9(d)、
図10(e)、
図11(f)、
図12(f))、2つの基板P2のうち、一方側の基板P2に対して第1ヘッドユニット26Aにより部品が実装され、他方側の基板P2に対して第2ヘッドユニット26Bにより部品を実装される。そのため、2つのヘッドユニット26A、26Bにより効率的に部品実装処理が行われる。
【0107】
特に、この部品実装装置1によれば、
図6(a)~(c)を用いて説明したような制約がある場合を除き、部品実装方式として第1実装方式が優先的に選定される。この第1実装方式によれば、第2実装方式に比べて第1ヘッドユニット26A及び第2ヘッドユニット26Bの遊休期間が低減される。すなわち、各搬送レーンL1、L2の上流側作業位置W1に各々同時に基板P1、P2が搬入されるような場合(上記第1ケース)には、第1搬送レーンL1における上流側作業位置W1の基板P1に対する第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理と、第2搬送レーンL2における上流側作業位置W1の基板P2に対する第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理とがほぼ同時に開始される(
図9(a))。また、第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1への基板P1の搬入と、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1への基板P2の搬入とに時間差がある場合(上記第2ケース)でも、各上流側作業位置W1へ基板P1、P2が各々搬入されるタイミングで、第1ヘッドユニット26Aによる部品実装処理と第2ヘッドユニット26Bによる部品実装処理とが各々開始される(
図11(a))。
【0108】
これに対して、第2実装方式では、各搬送レーンL1、L2の上流側作業位置W1に各々同時に基板P1、P2が搬入される場合(上記第1ケース)には、第2搬送レーンL2の基板P2は処理待ち状態となる(
図10(a))。つまり、第2ヘッドユニット26Bが遊休状態となる。また、第1搬送レーンL1の上流側作業位置W1への基板P1の搬入と、第2搬送レーンL2の上流側作業位置W1への基板P2の搬入とに時間差がある場合も(上記第2ケース)、遅れて搬入された基板P2は、先に搬入された基板P1の部品所実装処理が完了するまで処理待ち状態となる(
図12(a)、(b))。つまり、第2ヘッドユニット26Bが遊休状態となる。
【0109】
よって、第1実装方式によれば、第2実施方式に比べて第1ヘッドユニット又は第2ヘッドユニットの遊休期間が低減され、第1ケースや第2ケースのような状況が生じ易い非同期搬送実装方式では有効であり、従って、この部品実装装置1によれば、2つの搬送レーンL1、L2の各々に設定された上流側作業位置W1及び下流側作業位置W2に配置される基板Pの生産能力の向上に大きく寄与する。
【0110】
また、この部品実装装置1では、基板Pの生産条件に基づき第1実装方式の選定が制限されるような場合には、第2実装方式に基づき基板Pに対して部品実装処理が行われる。そのため、基板Pの生産条件に適した部品実装方式で部品実装処理を行うことができる。
【0111】
しかも、仮に第1実装方式が可能な場合でも、一律に第1実装方式が選定されるのではなく、各実装方式によるサイクルタイムが事前に求められ、サイクルタイムが短い部品実装方式が最終的に選定されて、当該部品実装方式に基づき部品実装処理が行われる。従って、この部品実装装置1によれば、選定される部品実装方式の信頼性が高く、この点でも基板Pの生産能力の向上に寄与する。
【0112】
なお、以上説明した部品実装装置1、及びこの部品実装装置1で実施される上記のような部品実装方法は、本発明に係る部品部品実装装置及び部品実装方法の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成や方法は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 部品実装装置
4 制御部(下位制御部)
21 第1基板搬送コンベア
22 第2基板搬送コンベア
24A 第1部品供給ユニット(第1部品供給部)
24B 第2部品供給ユニット(第2部品供給部)
26A 第1ヘッドユニット
26B 第2ヘッドユニット
30 ヘッドユニット駆動機構(駆動部)
51 演算処理部
52 記憶部
53 モータ制御部
54 画像処理部
55 通信部
100 管理装置(上位制御部)
L1 第1搬送レーン
L2 第2搬送レーン