(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017750
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】熱電発電システム
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H02N11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120600
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 満
(57)【要約】
【課題】 エンジンの熱を利用した熱電発電システムにおける効率の向上、悪影響の抑制。
【解決手段】 この熱電発電システムは、エンジンの内部において、エンジンの排気ガスが流通する排気路3側に、伝熱可能に熱電発電モジュール2の高温端2bが位置し、エンジン冷却水の流通する冷却水流路1側に、伝熱可能に熱電発電モジュール2の低温端2aが位置して、主に排気ガスとエンジン冷却水との温度差を利用して発電する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの内部において、エンジンの排気ガスが流通する排気路(3)側に、伝熱可能に熱電発電モジュール(2)の高温端(2b)が位置し、エンジン冷却水の流通する冷却水流路(1)側に、伝熱可能に熱電発電モジュール(2)の低温端(2a)が位置して、
主に排気ガスとエンジン冷却水との温度差を利用して発電する熱電発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の熱電発電システムにおいて、
エンジンのエキゾーストマニホールド(4)がシリンダヘッド(10)に内蔵されており、そのシリンダヘッド(10)はウォータジャケット(5)を有し、
排気路(3)はエキゾーストマニホールド(4)であり、冷却水流路(1)はウォータジャケット(5)である熱電発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの熱を利用した熱電発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの熱を利用した熱電発電システムが提案されている。
その熱電発電システムは、排気ガス系に設置された廃熱回収用の熱交換器と、排気ガス冷却用の冷却水が流通する専用の冷却水回路と、排気ガスを浄化する浄化触媒を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その熱電発電システムには、次の問題点がある。
排気ガス系に廃熱回収用の熱交換器を設置する必要があるので、排気抵抗が増加しエンジン出力が低下する。
また、専用の冷却水回路を配管する必要があるので、ポンプにおける消費動力、コストが増加する。
さらに、温度差を確保するために、浄化触媒より上流側に熱交換器を設置すると、その下流の排気ガス温度が下がり、浄化触媒の機能が低下する。
【0004】
本発明は、エンジンの熱を利用した熱電発電システムにおける効率の向上、悪影響の抑制を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、
エンジンの内部において、エンジンの排気ガスが流通する排気路3側に、伝熱可能に熱電発電モジュール2の高温端2bが位置し、エンジン冷却水の流通する冷却水流路1側に、伝熱可能に熱電発電モジュール2の低温端2aが位置して、
主に排気ガスとエンジン冷却水との温度差を利用して発電する熱電発電システムである。
【0006】
また、第2の発明は、第1の発明において、
エンジンのエキゾーストマニホールド4がシリンダヘッド10に内蔵されており、そのシリンダヘッド10はウォータジャケット5を有し、
排気路3はエキゾーストマニホールド4であり、冷却水流路1はウォータジャケット5である熱電発電システムである。
【発明の効果】
【0007】
第1の発明の熱電発電システムは、エンジンの内部において、エンジンの排気ガスが流通する排気路3側に、伝熱可能に熱電発電モジュール2の高温端2bが位置し、エンジン冷却水の流通する冷却水流路1側に、伝熱可能に熱電発電モジュール2の低温端2aが位置して、主に排気ガスとエンジン冷却水との温度差を利用して発電するものである。
この構成により、排気ガス系に廃熱回収用の熱交換器を設置する必要がなくなり、エンジン出力への影響が無くなる。
また、専用の冷却水回路の配管が不要となり、ポンプにおける消費動力およびコストの増加が抑制される。
さらに、エンジンの暖機時には、エンジンの冷却水の流通、および熱電発電を停止することにより、触媒に流通する排気ガスの温度への影響を抑制することができる。
【0008】
第2の発明の熱電発電システムにおいては、さらに、エンジンのエキゾーストマニホールド4がシリンダヘッド10に内蔵されており、そのシリンダヘッド10はウォータジャケット5を有し、エキゾーストマニホールド4を排気路3として、ウォータジャケット5を冷却水流路1として利用したので、簡易な構成で上述の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の熱電発電システムであって、エキゾーストマニホールド4内臓型シリンダヘッド10において、エキゾーストマニホールド4と、ウォータジャケット5との間に熱電発電モジュール2を配置したシステムの要部横断面図。
【
図3】同熱電発電システムのエキゾーストマニホールド4内臓型シリンダヘッド10の横断面略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
この熱電発電システムにおいては、
図3に示す如く、エンジンのエキゾーストマニホールド4がシリンダヘッド10に内蔵されており、そのシリンダヘッド10はウォータジャケット5を有しており、そのエキゾーストマニホールド4とウォータジャケット5との間に空間9が形成されている。
図3においてシリンダヘッド10の下方には、図示しないシリンダブロックが配置される。ウォータジャケット5においては、一例として、
図1に記載のような流路壁1aを介して、複数の冷却水流路1が形成される(ウォータジャケット5内の冷却水流路1は区画されていなくともよいので、流路壁1aはなくてもよい。)。
【0011】
前述の空間9には、
図1に示す如く、熱電発電モジュール2が配置されている。
その熱電発電モジュール2は、
図2に示す如く、低温度領域での発電特性に優れる低温モジュール2Aと、高温度領域における発電特性に優れる高温モジュール2Bとが絶縁基板2cを介して積層されている。低温モジュール2Aの低温端2aは空間9のウォータジャケット5側に接触し、高温モジュール2Bの高温端2bは空間9のエキゾーストマニホールド4の排気路3側に接触している。
低温モジュール2A,高温モジュール2Bは、夫々N型半導体と、P型半導体とが、交互に且つ、
図2において、冷却水流路1,熱電発電モジュール2の長手方向に沿って並列されている。
熱電発電モジュール2から、それに接続された図示しない負荷に電力が供給される。
【0012】
この例では、熱電発電モジュール2は、絶縁基板2cを介して低温モジュール2Aと高温モジュール2Bが積層されたカスケード型となっているが、この構造に限られるものではなく、セグメント型の熱電発電モジュールでもよい。
また、空間9はエキゾーストマニホールド4とウォータジャケット5との間に複数あってもよく、各空間9に熱電発電モジュール2を配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、エンジンの排熱を利用した熱電発電に広く適用可能であり、特に自動車用に好適である。
【符号の説明】
【0014】
1 冷却水流路
1a 流路壁
2 熱電発電モジュール
2A 低温モジュール
2B 高温モジュール
2a 低温端
2b 高温端
2c 絶縁板
3 排気路
4 エキゾーストマニホールド
5 ウォータジャケット
6 排気弁
7 給気弁
8 給気路
9 空間
10 シリンダヘッド