IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイオニア株式会社の特許一覧

特開2024-177512情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体
<>
  • 特開-情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体 図1
  • 特開-情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体 図2
  • 特開-情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体 図3
  • 特開-情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体 図4
  • 特開-情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体 図5
  • 特開-情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177512
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20241212BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0968 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024176427
(22)【出願日】2024-10-08
(62)【分割の表示】P 2023093785の分割
【原出願日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2020057745
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】荻野 晃一
(72)【発明者】
【氏名】田中 壮詩
(72)【発明者】
【氏名】家永 健吾
(57)【要約】
【課題】仮に案内経路と異なる経路を進んだらどうなるかをユーザに伝えることが可能な
情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、移動体の現在位置を取得し、目的地までの経路に沿って音声による案内を行う音声案内部を備える。音声案内部は、ユーザにより、案内地点における経路が示す方向と異なる方向を指定して情報要求が行われた場合に、現在の経路と、指定された方向へ進む目的地までの経路との比較に関する情報を音声出力する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置であって、
前記移動体の現在位置を取得し、目的地までの経路に沿って音声による案内を行う音声案内部を備え、
前記音声案内部は、ユーザにより、案内地点における前記経路が示す方向と異なる方向を指定して情報要求が行われた場合に、現在の経路と、指定された方向へ進む前記目的地までの経路との比較に関する情報を音声出力する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声による経路案内に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、音声による目的地への経路案内を行うナビゲーション装置が知られている。例えば、特許文献1には、現在地から目的地までの距離が小さいほど、音場の広がりを大きくし、かつ、スピーカから出力される音が使用者の頭部に対して目的地の方向から音が聞こえるように定位させることで、現在地から目的地までのおおよその距離や方位を通知する音声ナビゲーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-138277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーション装置による経路案内中に、仮に案内経路と異なる経路を通ったらどうなるかを知りたくなることがある。例えば、案内地点において案内経路は右折を示しているが、右折方向が混雑しており、直進方向がすいている場合に、ユーザは直進した方が早いのではないかと考えることがある。よって、仮に案内経路とは異なる方向へ進んだ場合にどうなるかを知ることができれば便利である。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、仮に案内経路と異なる経路を進んだらどうなるかをユーザに伝えることが可能な情報処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置であって、前記移動体の現在位置を取得し、目的地までの経路に沿って音声による案内を行う音声案内部を備え、前記音声案内部は、ユーザにより、案内地点における前記経路が示す方向と異なる方向を指定して情報要求が行われた場合に、現在の経路と、指定された方向へ進む前記目的地までの経路との比較に関する情報を音声出力する。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置により実行される情報出力方法であって、前記移動体の現在位置を取得し、目的地までの経路に沿って音声による案内を行う音声案内工程を備え、前記音声案内工程は、ユーザにより、案内地点における前記経路が示す方向と異なる方向を指定して情報要求が行われた場合に、現在の経路と、指定された方向へ進む前記目的地までの経路との比較に関する情報を音声出力する。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置により実行され、移動体の移動に関する情報を提供するプログラムであって、前記移動体の現在位置を取得し、目的地までの経路に沿って音声による案内を行う音声案内部として前記コンピュータを機能させ、前記音声案内部は、ユーザにより、案内地点における前記経路が示す方向と異なる方向を指定して情報要求が行われた場合に、現在の経路と、指定された方向へ進む前記目的地までの経路との比較に関する情報を音声出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例に係る音声案内システムの構成例を示す。
図2】音声案内装置の概略構成の一例を示す。
図3】案内経路と異なる経路について情報要求する状況の例を示す。
図4】経路案内処理のフローチャートである。
図5】第2実施例に係る音声案内システムの構成例である。
図6】サーバ装置の概略構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの好適な実施形態では、移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置は、前記移動体の現在位置を取得し、目的地までの経路に沿って音声による案内を行う音声案内部を備え、前記音声案内部は、ユーザにより、案内地点における前記経路が示す方向と異なる方向を指定して情報要求が行われた場合に、現在の経路と、指定された方向へ進む前記目的地までの経路との比較に関する情報を音声出力する。
【0011】
上記の情報処理装置は、移動体の現在位置を取得し、目的地までの経路に沿って音声による案内を行う音声案内部を備える。音声案内部は、ユーザにより、案内地点における経路が示す方向と異なる方向を指定して情報要求が行われた場合に、現在の経路と、指定された方向へ進む目的地までの経路との比較に関する情報を音声出力する。これにより、ユーザは、現在の案内経路と異なる方向へ進んだ場合にどうなるかを知ることができる。
【0012】
上記の情報処理装置の一態様では、前記情報要求が行われた場合、前記音声案内部は、前記指定された方向へ進み目的地へ至る新たな経路を算出し、現在の経路と、前記新たな経路との比較に関する情報を出力する。この態様では、指定された方向へ進む新たな経路が算出され、それに基づいて情報が出力される。
【0013】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記情報要求が前記目的地までの所要時間に関するものである場合、前記音声案内部は、前記所要時間の比較に関する情報を出力する。また、前記情報要求が前記目的地までの距離に関するものである場合、前記音声案内部は、前記距離の比較に関する情報を出力する。また、前記情報要求が前記目的地までの走行料金に関するものである場合、前記音声案内部は、前記走行料金の比較に関する情報を出力する。また、前記情報要求が前記目的地までの走行経路の特徴に関するものである場合、前記音声案内部は、前記走行経路の特徴の比較に関する情報を出力する。
【0014】
本発明の他の好適な実施形態では、移動体の移動に関する情報を提供する情報処理装置により実行される情報出力方法は、前記移動体の現在位置を取得し、目的地までの経路に沿って音声による案内を行う音声案内工程を備え、前記音声案内工程は、ユーザにより、案内地点における前記経路が示す方向と異なる方向を指定して情報要求が行われた場合に、現在の経路と、指定された方向へ進む前記目的地までの経路との比較に関する情報を音声出力する。これにより、ユーザは、現在の案内経路と異なる方向へ進んだ場合にどうなるかを知ることができる。
【0015】
本発明の他の好適な実施形態では、コンピュータを備える情報処理装置により実行され、移動体の移動に関する情報を提供するプログラムは、前記移動体の現在位置を取得し、目的地までの経路に沿って音声による案内を行う音声案内部として前記コンピュータを機能させ、前記音声案内部は、ユーザにより、案内地点における前記経路が示す方向と異なる方向を指定して情報要求が行われた場合に、現在の経路と、指定された方向へ進む前記目的地までの経路との比較に関する情報を音声出力する。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の情報処理装置を実現することができる。このプログラムは記憶媒体に記憶して使用することができる。
【実施例0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な各実施例について説明する。
<第1実施例>
[システム構成]
図1は、本発明の情報処理装置の第1実施例に係る音声案内システムの構成例を示す。音声案内システムは、車両Veと、音声案内装置1とを有する。
【0017】
音声案内装置1は、車両Veと共に移動し、案内対象となる経路(「案内経路」とも呼ぶ。)に沿って車両Veが走行するように、音声を主とした経路案内を行う。なお、「音声を主とした経路案内」は、案内経路に沿って車両Veを運転するために必要な情報をユーザが少なくとも音声のみから把握可能な経路案内を指し、音声案内装置1が現在位置周辺の地図などを補助的に表示することを除外するものではない。本実施例では、音声案内装置1は、少なくとも、案内が必要な経路上の地点(「案内地点」とも呼ぶ。)に関する情報を音声により出力する。ここで、案内地点は、例えば車両Veの右左折を伴う交差点、その他、案内経路に沿って車両Veが走行するために重要な通過地点が該当する。音声案内装置1は、例えば、車両Veから次の案内地点までの距離、当該案内地点での進行方向などの案内地点に関する音声案内を行う。以後では、案内経路に対する案内に関する音声を「経路音声案内」とも呼ぶ。
【0018】
なお、音声案内装置1は、車両Veに備え付けられた又は取り付けられた車載機であってもよく、スマートフォンなどの車両に持ち込まれて利用される携帯端末であってもよい。さらに別の例では、音声案内装置1は、車両Veに組み込まれてもよい。音声案内装置1は、「情報処理装置」の一例である。また、車両Veは、「移動体」の一例である。
【0019】
[装置構成]
図2は、音声案内装置1の概略構成の一例を示す。音声案内装置1は、主に、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、制御部14と、センサ群15と、表示部16と、音声出力部17と、を有する。音声案内装置1内の各要素は、バスライン10を介して相互に接続されている。
【0020】
通信部11は、制御部14の制御に基づき、他の端末とのデータ通信を行う。通信部11は、例えば、後述する地図DB(DataBase)4を更新するための地図データを図示しない地図管理サーバから受信してもよい。
【0021】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部12には、音声案内装置1が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。上述のプログラムは、経路案内を音声により行うためのアプリケーションプログラム、音楽を再生するためのアプリケーションプログラム、音楽以外のコンテンツ(テレビ等)を出力するためのアプリケーションプログラムなどを含んでもよい。また、記憶部12は、制御部14の作業メモリとして使用される。なお、音声案内装置1が実行するプログラムは、記憶部12以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0022】
また、記憶部12は、地図DB(DataBase)4を記憶する。地図DB4には、経路案内に必要な種々のデータが記録されている。地図DB4は、例えば、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ、及び、目的地、立寄地、又はランドマークの候補となる施設を示す施設データなどを含むデータベースである。地図DB4は、制御部14の制御に基づき、通信部11が地図管理サーバから受信する地図情報に基づき更新されてもよい。
【0023】
入力部13は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等である。表示部16は、制御部14の制御に基づき表示を行うディスプレイ等である。音声出力部17は、制御部14の制御に基づき音を出力するスピーカ等である。
【0024】
センサ群15は、外界センサ18と、内界センサ19とを含む。外界センサ18は、例えば、カメラ、ライダ、レーダ、超音波センサ、赤外線センサ、ソナーなどの車両Veの周辺環境を認識するための1又は複数のセンサである。内界センサ19は、車両Veの測位を行うセンサであり、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、ジャイロセンサ、IMU(Inertial Measurement Unit)、車速センサ、又はこれらの組合せである。なお、センサ群15は、制御部14がセンサ群15の出力から車両Veの位置を直接的に又は間接的に(即ち推定処理を行うことによって)導出可能なセンサを有していればよい。
【0025】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などを含み、音声案内装置1の全体を制御する。例えば、制御部14は、センサ群15の1又は複数のセンサの出力に基づき、車両Veの位置(進行方向の向きも含む)を推定する。また、制御部14は、入力部13により目的地が指定された場合に、当該目的地までの経路である案内経路を示す経路情報を生成し、当該経路情報と推定した車両Veの位置情報と地図DB4とに基づき、経路案内を行う。この場合、制御部14は、音声出力部17を制御することで、経路音声案内を音声出力部17に出力させる。また、制御部14は、表示部16を制御することで、再生中の音楽の情報、映像コンテンツ、又は現在位置周辺の地図などの表示を行う。なお、制御部14及び音声出力部17は、音声案内部の一例である。
【0026】
なお、制御部14が実行する処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、制御部14が実行する処理は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、制御部14が本実施例において実行するプログラムを実現してもよい。このように、制御部14は、プロセッサ以外のハードウェアにより実現されてもよい。
【0027】
図2に示す音声案内装置1の構成は一例であり、図2に示す構成に対して種々の変更がなされてもよい。例えば、地図DB4を記憶部12が記憶する代わりに、制御部14が通信部11を介して経路案内に必要な情報を、図示しない地図管理サーバから受信してもよい。他の例では、音声案内装置1は、音声出力部17を備える代わりに、音声案内装置1とは別体に構成された音声出力部17と電気的に、または公知の通信手段によって接続することで、当該音声出力部17に音声の出力を実行させてもよい。この場合、音声出力部17は、車両Veに備えられたスピーカであってもよい。さらに別の例では、音声案内装置1は、表示部16を備えなくともよい。この場合、音声案内装置1は、表示に関する制御を全く行わなくともよく、有線又は無線により、車両Ve等に備えられた表示部と電気的に接続することで、当該表示部に所定の表示を実行させてもよい。同様に、音声案内装置1は、センサ群15を備える代わりに、車両Veに備え付けられたセンサが出力する情報を、車両VeからCAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに基づき取得してもよい。
【0028】
[案内経路と異なる経路に関する情報要求]
次に、ユーザが案内経路と異なる経路に関する情報要求を行う場合の処理について説明する。経路案内中に、ユーザは仮に案内経路と異なる経路を通ったらどうなるかを知りたくなることがある。例えば、案内地点において案内経路は右折を示しているが、右折方向が混雑しており、直進方向がすいている場合に、ユーザは直進した方が早いのではないかと考えることがある。よって、仮に案内経路とは異なる方向へ進んだ場合にどうなるかを知ることができれば便利である。
【0029】
そこで、本実施例では、ユーザが、案内経路と異なる経路に関する情報要求を行えるようにする。具体的には、ユーザは、経路案内中に、進行方向を指定し、指定した進行方向へ進んだ場合の情報を要求する。例えば、ある案内地点において案内経路が右折を示している場合に、「ここを直進したらどうなる?」などの音声入力を行う。なお、情報要求は車両が案内地点に進入する前に行われてもよい。例えば、車両が案内地点である交差点に進入する前に、「次の案内地点を直進したらどうなる?」などと尋ねてもよい。また、例えば車線ごとに経路を計算可能な場合には、「右隣の車線を行ったらどうなる?」などに対応してもよい。
【0030】
これに対し、音声案内装置1は、ユーザが指定した進行方向に進み、現在設定されている案内経路と同じ目的地に至る新たな経路(以下、「代替経路」と呼ぶ。)を算出する。そして、音声案内装置1は、現在の案内経路と、代替経路との比較に関する情報を音声出力する。具体的には、音声案内装置1は、案内経路の代わりに代替経路を走行した場合の走行距離の違い、目的地までの所要時間の違い、目的地への到着時刻の違い、有料道路などを使用する場合には走行料金の違いなどのうちの少なくとも1つを出力する。例えば、音声案内装置1は、代替経路の方が時間がかかる、到着時刻が10分遅くなる、代替経路の方が5分早いが走行料金が300円高い、または、代替経路と案内経路と時間差があまりない、などの情報を出力する。なお、音声案内装置1は、さらに案内経路と代替経路の特徴の違いなどを出力してもよい。例えば、代替経路の方がカーブが多い、景観が良い、コンビニが多い、車線変更が多くなるなど、案内経路と代替経路の環境の違いなどを追加で出力してもよい。
【0031】
なお、上記の例では、ユーザは要求する情報、即ち、聞きたい情報を特定せずに単に「ここを直進したらどうなる?」などと尋ねているが、ユーザが聞きたい情報を特定して情報要求した場合には、音声案内装置1は、まずその情報を出力すればよい。具体的に、ユーザが所要時間、到着時刻、走行料金、走行経路の特徴などを特定して情報要求を行った場合、音声案内装置1は、まずユーザが要求した情報を提供すればよい。例えば、ユーザが「ここを直進した方が早い?」などと尋ねた場合、ユーザが聞きたい情報は所要時間の違いであるので、音声案内装置1は「5分遅くなります。」など、所要時間に関する情報を出力すればよい。なお、この場合に、音声案内装置1は追加の情報として、走行料金に関する情報や、走行経路の特徴に関する情報などを追加で出力しても構わない。
【0032】
図3は、ユーザが案内経路と異なる経路に関する情報要求を行う場合の例を示す。いま、車両Veが案内経路R上を走行しているものとする。案内経路Rは、案内地点G1、案内地点G2を順に通過して目的地Dに至る経路であり、車両Veは次の案内地点G1に対応する交差点内に進入した状態である。ここで、案内経路Rに従えば車両Veは案内地点G1を右折する必要があるが、案内地点G1の拡大図に示すように、右折車線は他の車両Vで渋滞しているものとする。
【0033】
この場合、ユーザは、この案内地点を直進した場合の情報を要求する。例えば、ユーザは「ここを直進したらどうなる?」などの音声入力を行う。このような音声入力がなされると、音声案内装置1は、車両の現在位置から目的地Dまでの案内地点G1を直進した場合の代替経路を計算し、現在の案内経路と代替経路との比較に関する情報を出力する。図3の例では、音声案内装置1は、破線で示す代替経路Rxを計算し、案内経路Rを走行した場合と代替経路Rxを走行した場合の所要時間、到着時刻、走行料金、走行経路の特徴などの違いに関する情報を出力する。
【0034】
図4は、経路案内処理のフローチャートである。ユーザにより目的地が設定され、経路案内が開始されると、音声案内装置1は、案内経路に沿って案内を行う(ステップS11)。次に、音声案内装置1は、上記のように案内経路と異なる経路に関するユーザの情報要求を取得したかを判定する(ステップS12)。
【0035】
ユーザの情報要求を取得していない場合(ステップS12:No)、処理はステップS11へ戻る。一方、ユーザの情報要求を取得した場合(ステップS12:Yes)、音声案内装置1は、車両が次の案内地点を案内経路と異なる方向へ進んだ場合の代替経路を計算し(ステップS13)、代替経路と案内経路の比較に関する情報を出力する(ステップS14)。
【0036】
次に、音声案内装置1は、車両が目的地に到着したか否かを判定する(ステップS15)。車両が目的地に到着していない場合(ステップS15:No)、処理はステップS11へ戻る。一方、車両が目的地に到着した場合(ステップS15:Yes)、経路案内処理は終了する。
【0037】
このように、本実施例によれば、ユーザが案内経路と異なる方向を指定して情報要求を行った場合、音声案内装置1は、その方向へ進む代替経路と現在の案内経路との比較に関する情報を提供する。よって、ユーザは、提供された情報を考慮した上で、いずれの方向へ進むかを決定することができる。
【0038】
なお、ユーザは、代替経路と案内経路の比較に関する情報を聞いて代替経路の方が良いと考えた場合、そのまま代替経路を走行すればよい。音声案内装置1は、現在位置が案内経路から外れると、自動的にいわゆるリルートを行い、案内経路を変更する。または、音声案内装置1は、ユーザから代替経路に切り替える旨を取得することで案内経路を変更してもよい。これにより、代替経路が案内経路に設定され、その後ユーザは代替経路に沿って走行することができる。
【0039】
<第2実施例>
図5は、第2実施例に係る音声案内システムの構成例である。第2実施例に係る音声案内システムは、主に、車両Veと、音声案内装置1Aと、サーバ装置2とを有する。なお、第1実施例と同様の構成要素については、第1実施例の構成要素と適宜同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
音声案内装置1Aは、上述の第1実施例において説明した音声案内装置1と同様の構成(図2参照)を有する。なお、第2実施例では、地図DB4に基づく経路探索処理及び経路案内処理をサーバ装置2が行うため、音声案内装置1Aは、地図DB4を有しなくともよい。そして、音声案内装置1Aは、ユーザにより目的地等を指定する入力を入力部13により検知した場合に、センサ群15が出力する車両Veの位置情報、及び、指定された目的地に関する情報などを含むアップロード信号「S1」をサーバ装置2に送信する。
【0041】
また、音声案内装置1Aは、ユーザが案内経路と異なる経路に関する情報要求を行うと、その旨及びそのときの車両Veの走行状態に関する情報を含むアップロード信号S1をサーバ装置2に供給する。また、音声案内装置1Aは、車両Veの走行時において、サーバ装置2から音声出力に関する制御信号「S2」を受信した場合、制御信号S2に基づき、音声出力部17により音声出力を行う。この場合、音声案内装置1Aは、制御信号S2に基づき、案内経路と代替経路の比較に関する情報を出力する。
【0042】
サーバ装置2は、音声案内装置1Aから受信する目的地等を含むアップロード信号S1に基づき、車両Veが走行すべき案内経路を示す経路情報を生成する。そして、上記の第1の例の場合、サーバ装置2は、その後に音声案内装置1Aが送信するアップロード信号S1が示すユーザの情報要求及び車両Veの走行状態に基づき、案内経路と代替経路の比較に関する情報を含む制御信号S2を生成する。そして、サーバ装置2は、生成した制御信号S2を、音声案内装置1Aに送信する。
【0043】
図6は、サーバ装置2の概略構成の一例を示す。サーバ装置2は、主に、通信部21と、記憶部22と、制御部24とを有する。サーバ装置2内の各要素は、バスライン20を介して相互に接続されている。
【0044】
通信部21は、制御部24の制御に基づき、音声案内装置1Aなどの外部装置とのデータ通信を行う。記憶部22は、RAM、ROM、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部22は、サーバ装置2が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部22は、地図DB4を含んでいる。制御部24は、CPU、GPUなどを含み、サーバ装置2の全体を制御する。また、制御部24は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することで、上述の実施例において説明した音声案内装置1の処理の少なくとも一部を実行する。例えば、制御部24は、音声案内装置1Aから通信部21を介して受信するアップロード信号S1に基づき、案内経路を示す経路情報の生成、及び、案内経路と代替経路の比較に関する情報を含む制御信号S2の生成を行う。そして、制御部24は、生成した制御信号S2を、通信部21により音声案内装置1Aに送信する。
【0045】
このように、サーバ装置2が経路案内に関する音声案内装置1Aの制御を実質的に行う場合であっても、音声案内システムは、第1実施例と同様に、案内経路と代替経路の比較に関する情報を出力することができる。第2実施例において、サーバ装置2は、「情報処理装置」の一例である。
【0046】
なお、上述した各実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータである制御部等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0047】
なお、上述した各実施例では、移動体を車として説明したが、これに限定されない。例えば歩行者を移動体とし、スマートフォンなどの携帯端末を音声案内装置とする歩行者用ナビゲーションに本実施例を適用してもよい。
【0048】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0049】
1 音声案内装置
2 サーバ装置
4 地図DB
11、21 通信部
12、22 記憶部
13 入力部
14、24 制御部
15 センサ群
16 表示部
17 音声出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6