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特開2024-177539画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラム、及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177539
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20241212BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B41J11/70
B41J29/38 206
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024177125
(22)【出願日】2024-10-09
(62)【分割の表示】P 2024083237の分割
【原出願日】2020-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 恵利佳
(57)【要約】
【課題】画像形成装置において複数ページの印刷を行う際の印刷スループットを向上させる。
【解決手段】画像形成装置は、ロール状の記録媒体に第1のページの印刷が終了した後、第2のページの印刷の開始までの期間に記録媒体を切断せず、第2のページの印刷中に記録媒体のうち切断すべき位置が切断手段の切断位置に到達すると第2のページの印刷を一時的に停止して切断を行う機能である所定のカット機能を実行するように処理する処理手段と、第1のページの印刷が終了した後、記録媒体を排出する方向に記録媒体を所定の長さ搬送して停止させる第1の搬送動作と、第1の搬送動作の後であって、第2のページへの印刷を行う前に、第2のページの印刷開始位置が印刷手段の位置に到達するまで記録媒体を排出する方向に搬送する第2の搬送動作と、を搬送手段が行うように制御する制御手段と、を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の記録媒体に複数ページの印刷が可能な画像形成装置であって、
前記記録媒体の搬送を行う搬送手段と、
前記記録媒体に印刷を行う印刷手段と、
前記記録媒体の切断を行う切断手段と、
前記印刷手段による第1のページの印刷が終了した後、前記第1のページの次に印刷される第2のページの印刷の開始までの期間には前記切断手段による前記記録媒体の切断を行うことなく、前記第2のページの印刷中に前記記録媒体のうち切断すべき位置が前記切断手段による切断位置に到達すると前記第2のページの印刷を一時的に停止して切断を行う機能である所定のカット機能を実行するように処理する処理手段と、
前記印刷手段による前記第1のページの印刷が終了した後、前記記録媒体を、前記記録媒体を排出する方向に所定の長さ搬送して停止させる第1の搬送動作と、
前記第1の搬送動作の後であって、前記第2のページへの印刷を行う前に、前記記録媒体を、前記記録媒体における前記第2のページの印刷開始位置が前記印刷手段の位置に到達するまで前記排出する方向に搬送する第2の搬送動作と、
を前記搬送手段が行うように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の機能を実行する第1の設定状態を含む複数の設定状態のいずれかに設定する設定手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記設定手段での設定状況に応じて、前記第1のページの印刷が終了した後から前記第2のページの印刷を開始するまでに前記第1の搬送動作と前記第2の搬送動作とを行うか否かを異ならせるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記設定手段で前記第1の設定状態に設定されていた場合は、前記第1のページの印刷が終了した後から前記第2のページの印刷を開始するまでに、前記第1の搬送動作と前記第2の搬送動作とを行うように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記設定手段で、前記所定の機能を実行しない第2の設定状態に設定されていた場合は、前記第1のページの印刷が終了した後から前記第2のページの印刷を開始するまでに、前記記録媒体のうち切断すべき位置が前記切断手段による切断位置に到達するまで搬送する第3の搬送動作を行って前記記録媒体の切断を行い、その後、前記記録媒体における前記第2のページの印刷開始位置が前記印刷手段の位置に到達するまで搬送する第4の搬送動作を行うように制御する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷手段はインクを吐出することにより印刷を行う
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2のページの印刷開始位置は、前記第2のページの印刷データに基づいて決定される位置であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録媒体が前記第1の搬送動作によって前記所定の長さ搬送された場合、前記印刷手段の下流側のノズルの位置は、前記第2のページの印刷開始位置よりも下流側に位置することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷手段は、インクを吐出する複数のノズルを備えたキャリッジを有し、
前記搬送手段が前記記録媒体を搬送する際の前記印刷手段の位置は、前記複数のノズルのうち媒体搬送方向の下流側にあるノズルの位置である
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記切断手段は、前記印刷手段に対して媒体搬送方向の下流側に位置し、
前記記録媒体のうち切断すべき位置は前記第2のページの先頭位置である
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
複数部の印刷を行う場合、前記制御手段は、前部を処理した際に確定した前記印刷開始位置に基づいて、前記記録媒体を搬送するように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
ロール状の記録媒体の搬送を行う搬送手段と、
前記記録媒体に印刷を行う印刷手段と、
前記記録媒体の切断を行う切断手段と、
を有する、前記記録媒体に複数ページの印刷が可能な画像形成装置の制御方法であって、
前記印刷手段による第1のページの印刷が終了した後、前記第1のページの次に印刷される第2のページの印刷の開始までの期間には前記切断手段による前記記録媒体の切断を行うことなく、前記第2のページの印刷中に前記記録媒体のうち切断すべき位置が前記切断手段による切断位置に到達すると前記第2のページの印刷を一時的に停止して切断を行う機能である所定のカット機能を実行するように処理する処理ステップと、
前記印刷手段による前記第1のページの印刷が終了した後、前記記録媒体を、前記記録媒体を排出する方向に所定の長さ搬送して停止させる第1の搬送動作と、
前記第1の搬送動作の後であって、前記第2のページへの印刷を行う前に、前記記録媒体を、前記記録媒体における前記第2のページの印刷開始位置が前記印刷手段の位置に到達するまで前記排出する方向に搬送する第2の搬送動作と、
を前記搬送手段が行うように制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項12】
ロール状の記録媒体の搬送を行う搬送手段と、
前記記録媒体に印刷を行う印刷手段と、
前記記録媒体の切断を行う切断手段と、
を有する、前記記録媒体に複数ページの印刷が可能な画像形成装置のコンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載された画像形成装置の制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
ロール状の記録媒体の搬送を行う搬送手段と、
前記記録媒体に印刷を行う印刷手段と、
前記記録媒体の切断を行う切断手段と、
を有する、前記記録媒体に複数ページの印刷が可能な画像形成装置のコンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載された画像形成装置の制御手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の搬送制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状の用紙に印刷をする画像形成装置において、複数ページの印刷をする際には、印刷ジョブを受信した後、まず、1ページ分の印刷データを印刷する。次いで、用紙をカットし、次ページの印刷のために用紙を搬送し、次ページを印刷する、という順序で処理が実行される。ところが、用紙をカットするカッタが、印刷を行う記録ヘッドを備えたプリンタキャリッジ(以下、キャリッジとも呼ぶ)に対して、用紙搬送方向の下流側の離れた位置にある場合がある。この場合は、用紙のカット後、次ページの印刷のために、キャリッジによる印刷の開始位置まで用紙を戻さなければならない。したがって、次ページの印刷を開始するまでに時間がかかってしまう。そこで、特許文献1の方法では、1ページ分の印刷を終了した後、すぐにカット動作を行わず、次ページの印刷のための用紙搬送動作を行い、用紙がカッタ位置に到達するまで次ページの印刷を行う。その後、用紙がカッタ位置に到達すると、印刷を一時的に停止させて用紙をカットし、印刷を再開する(以下、本技術を「印刷中カット」と称する)。こうすることで、カット後に用紙を戻す処理をなくし、印刷スループットの向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017―80917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、次ページの印刷のための用紙搬送動作は、印刷中カットを行うか否かにかかわらず、次ページの印刷開始位置、即ち用紙搬送の目標位置を確定させないと開始することができない。そのため、印刷中カットを行う場合であっても、1ページ分の印刷が終了した後、次ページの印刷開始位置を確定させるまでは待機状態となってしまう可能性があった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、画像形成装置において複数ページの印刷を行う際の印刷スループットを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、ロール状の記録媒体に複数ページの印刷が可能な画像形成装置であって、前記記録媒体の搬送を行う搬送手段と、前記記録媒体に印刷を行う印刷手段と、前記記録媒体の切断を行う切断手段と、前記印刷手段による第1のページの印刷が終了した後、前記第1のページの次に印刷される第2のページの印刷の開始までの期間には前記切断手段による前記記録媒体の切断を行うことなく、前記第2のページの印刷中に前記記録媒体のうち切断すべき位置が前記切断手段による切断位置に到達すると前記第2のページの印刷を一時的に停止して切断を行う機能である所定のカット機能を実行するように処理する処理手段と、前記印刷手段による前記第1のページの印刷が終了した後、前記記録媒体を、前記記録媒体を排出する方向に所定の長さ搬送して停止させる第1の搬送動作と、前記第1の搬送動作の後であって、前記第2のページへの印刷を行う前に、前記記録媒体を、前記記録媒体における前記第2のページの印刷開始位置が前記印刷手段の位置に到達するまで前記排出する方向に搬送する第2の搬送動作と、を前記搬送手段が行うように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置において複数ページの印刷を行う際の印刷スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における画像形成装置と外部接続機器との関係を示す模式図である。
図2】一実施形態における画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態における画像形成装置の用紙取り付け構成を示す模式図である。
図4】一実施形態における画像形成装置の用紙搬送構成を示す模式図である。
図5】一実施形態におけるページ間の用紙搬送処理を示すフローチャートである。
図6】一実施形態における複数部印刷のページ間の用紙搬送処理を示すフローチャートである。
図7】一実施形態の複数部印刷における、印刷中の部と、印刷ページ間での用紙搬送動作の種類との関係を示すテーブル(表)である。
図8】従来のページ間処理の実行順序を示す図である。
図9】一実施形態におけるページ間処理の実行順序を示す図である。
図10図8の各処理タイミングにおける、用紙の搬送位置を示す模式図である。
図11図9の各処理タイミングにおける、用紙の搬送位置を示す模式図である。
図12】一実施形態における1ページ目印刷終了直後の用紙の搬送位置を示す模式図である。
図13】一実施形態におけるカットのタイミングを設定するための入力画面の一例を示す図である。
図14】一実施形態における印刷ページ間の余白を設定するための入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を限定するものではない。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明に必須のものとは限らない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な変形形態も含む。また、本発明は、以下の実施形態の一部を組み合わせるようにして構成してもよい。
【0010】
図1は、本実施形態における画像形成装置と外部接続機器との関係を示す模式図である。
【0011】
画像形成装置4と外部接続機器は、外部接続機器とのインターフェース(例えばUSB)やネットワーク3を介して互いに通信可能に接続される。例えば、パーソナルコンピュータ1やスマートフォン2などの外部接続機器から画像形成装置4への印刷ジョブの転送は、ネットワーク3を介して行われる。ネットワーク3は、有線、無線を問わず、任意の通信方式によって実装することができる。なお、画像形成装置4や外部接続機器の数は、限定されるものではない。
【0012】
図2は、本実施形態における画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0013】
画像形成装置4は、CPU5、ROM6、RAM7、NVRAM(Non-Volatile RAM)8、ハードディスク9、プリンタユニット10、コントローラ11、表示及び操作部12、ネットワークドライバ13、及びLANユニット14を有する。
【0014】
CPU(中央演算装置)5は、ROM6またはハードディスク9に記憶されたプログラムをRAM7に読み出して実行することにより、画像形成装置4を制御する。RAM7は、CPU5が読み出したプログラムの一時記憶領域として機能する。NVRAM8は、不揮発メモリであって、画像形成装置4の保守に必要な各種データの記録や、印刷対象の画像に関する情報などを記憶する。ハードディスク9は、プログラムやプリンタユニット10によって印刷される画像データを記憶する。
【0015】
表示及び操作部12は、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)、キー、タッチパネルなどのユーザーインターフェースを備える。ユーザーは、表示及び操作部12を介して、画像形成装置4の各機能の実行操作や設定操作を行う。コントローラ11は、画像形成装置4の操作状態や表示内容の制御を行う。
【0016】
LANユニット14は、外部接続機器とのインターフェースやネットワーク3を介して外部接続機器との通信を行う。CPU5は、ネットワークドライバ13を介して、LANユニット14と接続された外部接続機器と実行命令やデータのやり取りを行うことができる。例えば、プリンタユニット10が印刷を行う場合には、CPU5は、ネットワークドライバ13を介して外部接続機器から印刷ジョブを受信することができる。
【0017】
プリンタユニット10は、ロール状の用紙(以下、ロール紙とも呼ぶ)などの記録用紙(記録媒体)に、印刷データに基づく画像を形成する。記録媒体は、ロール状の用紙や、布、プラスチック・フィルムなどを含むシートであってもよい。
【0018】
図3は、本実施形態における画像形成装置の用紙取り付け構成を示す模式図である。画像形成装置は、カッタユニット102、キャリッジ103、搬送ローラ104、及びプラテン105を有する。
【0019】
記録用紙であるロール紙101は、搬送ローラ104にはさまれ、搬送ローラ104が回転することにより紙送りまたは巻き戻しがなされる。また、ロール紙101は、プラテン105によって下側から支えられている。
【0020】
キャリッジ103は不図示の記録ヘッドを備え、該記録ヘッドがインクを吐出することにより、ロール紙101に対して印刷が行われる。また、キャリッジ103は、記録ヘッドへ供給されるインクを貯蔵するインクタンクを備えてもよい。キャリッジ103は、本図の右側から左側および左側から右側へ往復移動する。本実施形態では、本図の右側のキャリッジ103がある側を基準側と称し、左側を非基準側と称する。
【0021】
カッタユニット102は、基準側から非基準側へ移動しながらロール紙101を切断(カット)する。
【0022】
キャリッジ103が移動する方向を主走査方向と称し、ロール紙101が搬送ローラ104によって紙送り及び巻き戻しされる方向(すなわち、ロール紙101の搬送方向)を副走査方向と称する。
【0023】
図4は、本実施形態における画像形成装置の用紙搬送構成を示す模式図である。本図は、ロール紙101が画像形成装置に取り付けられている状態を示す。ロール紙101は、搬送ローラ104によりはさまれており、搬送ローラ104が回転することにより、用紙搬送方向(矢印方向)へ紙送りがされる。本実施形態では、用紙搬送経路のうち、ロール紙101が巻かれた状態で保持されている場所に近い側を上流側と称し、排紙口203側を下流側と称する。ロール紙101は、プラテン105によって下側から支えられている。
【0024】
画像形成装置は、さらにキャリッジ103とカッタユニット102を備える。キャリッジ103は記録ヘッドを備え、記録ヘッドに搭載されたノズルよりインクを吐出することにより印刷が行われる。記録ヘッドのうち、最も上流側にあるノズルを最上流ノズル201、最も下流側にあるノズルを最下流ノズル202と称する。
【0025】
複数ページの印刷をする際、印刷中カットを行わない場合(すなわち、次ページの印刷前にカットを行う場合)には、1ページ分の印刷終了後、ロール紙101をカッタ位置まで用紙搬送方向に搬送する。その後カット動作を行い、ロール紙101を次ページの印刷開始位置まで用紙搬送方向とは逆の向きに搬送(巻き戻し)した後、次のページの印刷を開始する。
【0026】
これに対して、印刷中カットを行う場合(すなわち、次ページの印刷途中にカットを行う場合)には、1ページ分の印刷終了後、ロール紙101をカットせずに次ページの印刷を継続して行う。そして、2ページ目の印刷に伴って次ページの先頭位置がカッタ位置に到達すると、印刷を一時的に停止し、ロール紙101をカットし、印刷を再開する。こうすることで、印刷スループットの向上が期待できる。
【0027】
図5は、本実施形態におけるページ間の用紙搬送処理のフローチャートを示す。画像形成装置は、印刷ジョブを実行することにより、本フローチャートに示す処理を開始する。印刷ジョブは、印刷の書式や印刷ジョブの情報を格納する印刷ジョブヘッダ部と、印刷対象の画像データを格納する画像データ部とを含む。
【0028】
フローチャートで示される一連の処理は、画像形成装置4のCPU5がROM6またはハードディスク9に格納されているプログラムを読み出し、RAM7に展開して実行することにより行われる。あるいはまた、フローチャートにおけるステップの一部または全部の機能をASICや電子回路等のハードウェアで実現してもよい。フローチャートの説明における記号「S」は、当該フローチャートにおける「ステップ」を意味する。その他のフローチャートについても同様である。
【0029】
まず、S301にて、CPU5は1ページ分の印刷処理を実行する。具体的には、印刷ジョブに基づいて、画像データを含む印刷データを生成し、プリンタユニット10に印刷を指示する。CPU5は、ロール紙101を副走査方向(すなわち、用紙搬送方向)に、1ページ分の印刷開始位置まで搬送し、インクが充填された記録ヘッドを搭載したキャリッジ103を主走査方向に駆動させながらインクを吐出させる。以後、順次ロール紙101の所定量の搬送とキャリッジ103の駆動とを繰り返すことにより、ロール紙101に1ページ分の印刷を行う。
【0030】
1ページ分の印刷処理が完了した後、S302にて、CPU5は次ページが存在するかどうか判定する。具体的には、印刷ジョブに次ページの情報が含まれているかどうか判定する。次ページが存在しない場合は、処理を終了する。一方、次ページが存在する場合は、S303に進む。
【0031】
CPU5は、S303以下、S304、S305、及びS306において、4つの判定処理を行う。当該4つの判定により、搬送目標位置が確定するまでの時間T1と、ロール紙101上の次ページの先頭位置(すなわち、用紙のカット位置)をキャリッジの最下流ノズルまで搬送する処理にかかる搬送時間T2との比較が可能となる。なお、搬送目標位置とは、次ページの印刷開始位置を示す。
【0032】
なお、用紙のカット位置は、現在ページの印刷データ、具体的には現在ページの用紙長に基づいて確定することができる。S307における処理Yとは、搬送目標位置が確定するまでの間、次ページのデータ作成をする処理である。また、S308における処理Xとは、搬送目標位置が確定するまでの間、次ページのデータ作成処理と第1の用紙搬送処理を並行して行う処理である。なお、この並行処理は、少なくとも一部の期間において並行処理されていればよく、搬送処理とデータ作成処理の開始時点と終了時点が一致している必要はない。第1の用紙搬送処理については、図9及び図11を参照して後述する。
【0033】
搬送目標位置が確定するまでの時間T1と搬送時間T2との比較結果に応じて、CPU5は処理Xと処理Yのどちらを行うかが決定する。処理Xにおける次ページのデータ作成処理は、処理Yにおけるデータ作成処理と同様の処理である。なお、4つの判定処理の実施順序はどのような順序でもよい。また、S303、S304、S305、S306のうち、1つ以上の判定を行わなくてもよい。また、一つの判定も行わずに、処理Xまたは処理Yに進んでもよい。例えば、印刷中カットを行う場合において、次ページが存在する場合は常に処理Xを行ってもよい。つまり、S303~S306の判定を行わなくとも、印刷中カットのモードにおいて次ページが存在する場合は常に処理Xを実行しても、待機時間を低減して印刷スループットを向上させる効果が得られる。
【0034】
S303において、CPU5は、用紙搬送速度が所定値a以上であるかどうか判定する。所定値aは、例えば、76.2mm/秒とするが、これに限らない。76.2mm/秒という速度は、上述したある特定の画像形成装置における通常の用紙搬送速度よりやや早い速度である。また、判定する用紙搬送速度は、例えば、用紙種類や動作タイミングなどに応じて画像形成装置に予め設定された用紙搬送速度の値を取得して用いてもよい。また、規定値を用いてもよいし、実際に計測した値を用いてもよい。用紙搬送速度が所定値aより小さい場合(すなわち、用紙搬送速度が遅い場合)は、第1の用紙搬送処理(S308)にかかる時間T2が、搬送目標位置が確定するまでの時間T1より長くなる可能性が高い。なぜなら、用紙搬送速度が遅いほど、用紙の搬送時間も長くなるからである。そのため、S303において、用紙搬送速度が所定値a未満の場合(すなわち、用紙搬送速度が遅い場合)、CPU5は、S307に進み、処理Yを行う。一方、用紙搬送速度が所定値以上である場合(すなわち、用紙搬送速度が速い場合)は、S304に進み、次の判定処理を行う。
【0035】
S304において、CPU5は、次の印刷ページの余白設定(すなわち、設定された余白量)が所定値b以上であるかどうか判定する。余白設定は、印刷ジョブに含まれており、全印刷ページにわたって共通の値あるいは個別の値が設定される。余白設定に関しては、CPU5が表示及び操作部12において後述の図14の入力画面を表示し、表示及び操作部12が操作されることによって設定可能である。所定値bは、例えば、20mmとするがこれに限らない。20mmという値は、上述した画像形成装置の表示及び操作部12において設定可能な値の一例である。また、余白は外部接続機器を使用して設定してもよい。余白設定が所定値b以上である場合は、第1の用紙搬送処理(S308)にかかる時間T2が、搬送目標位置が確定するまでの時間T1より長くなる可能性が高い。なぜなら、余白設定が大きいほど、用紙の搬送距離も長くなり、搬送時間も長くなるからである。そのため、CPU5は、S304において、余白設定がb以上の場合(すなわち、搬送時間が長い場合)、S307へ進み、処理Yを行う。一方、印刷ページの余白設定が所定値bより小さい場合は、S305に進み、次の判定処理を行う。
【0036】
S305において、CPU5は、次の印刷ページの画像データの解像度が所定値c以上であるかどうか判定する。画像データの解像度は印刷ジョブに含まれており、CPU5が取得する。所定値cは、例えば、600dpiとするがこれに限らない。600dpiという値は、上述した画像形成装置で印刷可能な解像度の一例である。画像データの解像度が所定値cより低い場合は、第1の用紙搬送処理(S308)にかかる時間T2が、搬送目標位置が確定するまでの時間T1より長くなる可能性が高い。なぜなら、画像データの解像度は、搬送目標位置が確定するまでの時間T1に影響し、解像度が高くなるほど、搬送目標位置が確定するまでの時間T1も長くなるためである。そのため、CPU5は、S305において、解像度が所定値c未満の場合(すなわち、搬送目標位置が確定するまでの時間が速い場合)、S307に進み、処理Yを行う。一方、画像データの解像度が所定値以上である場合は、S306に進み、次の判定処理を行う。
【0037】
S306において、CPU5は、次の印刷ページの印刷品位が所定値e以上かどうか判定する。印刷品位は印刷ジョブに含まれており、「はやい」、「標準」、「きれい」等のモードが存在する。所定値eは、例えば、「標準」モードに対応する値とするがこれに限らない。各モードに対応する印刷品位の値は、「はやい」、「標準」、「きれい」の順に大きくなる。印刷品位が所定値eより低い(本例の場合、印刷品位が「はやい」となる)場合は、第1の用紙搬送処理(S308)にかかる時間T2が、搬送目標位置が確定するまでの時間T1より長くなる可能性が高い。なぜなら、印刷品位の値が小さくなるほど、搬送目標位置が確定するまでの時間T1は短くなるからである。そのため、CPU5は、S306において、印刷品位が所定値e未満の場合(すなわち、搬送目標位置が確定するまでの時間が速い場合)、S307へ進み、処理Yを行う。一方、印刷品位が所定値以上である(本例の場合、印刷品位が「標準」または「きれい」となる)場合は、S308に進み、CPU5は、処理Xを行う。
【0038】
S308では、CPU5は処理Xを行う。つまり、次ページのデータ作成処理と第1の用紙搬送処理とを並行して行う。なお、第1の用紙搬送処理では、用紙搬送方向において、ロール紙101を所定の長さ分搬送する。所定の長さとは、用紙搬送方向において、記録ヘッドの位置に次ページの印刷開始位置が到達するまでの搬送長さ(搬送距離)よりも短い長さである。つまり、次ページの印刷開始位置が確定していない状態であっても、記録ヘッドの位置が次ページの印刷開始位置を超えないと想定される搬送長さ(記録ヘッドよりも印刷開始位置が上流側になると想定される搬送長さ)である。この長さであれば、ロール紙101を逆の方向に搬送する必要がない。この長さは、あらかじめ設定されていてもよく、1ページ目のカット位置に基づき設定されてもよい。これは、1ページ目のカット位置であれば、2ページ目の印刷開始位置を超えないためである。よって、例えば、ロール紙101の1ページ目のカット位置が記録ヘッドに到達する位置まで、ロール紙101を搬送するとよい。より具体的には、ロール紙101の1ページ目のカット位置がキャリッジのノズル最下流に到達する位置まで、ロール紙101を搬送するとよい。
【0039】
上述した4つの判定処理に代えて、或いは追加として、例えば、印刷ジョブが送信される回線速度を判定してもよい。回線速度に関しては、例えば、1つ目のデータ受信から次のデータ受信までの間にかかった時間を計測して判定に用いることができる。回線速度が遅くなると、搬送目標位置が確定するまでの時間T1が長くなる。
【0040】
また、印刷用紙の設定によってはフチなし印刷が可能であったり、不可能であったりするので、それを考慮に入れて判断してもよい。例えば、フチなし印刷では、通常の連続印刷のカット動作と異なり、1ページ目の印刷終了位置(図12のm)と2ページ目の印刷開始位置(図12のg)の2か所でカットする必要がある。そのため、本実施形態を実施しないようにしてもよい。また、フチあり印刷の用紙搬送動作では、フチも考慮した位置まで用紙を搬送してもよい。
【0041】
処理Xまたは処理Yが完了した後、S309に進む。
【0042】
S309において、CPU5は、次のページの印刷開始のために行うロール紙101の搬送動作(以下、第2の用紙搬送処理と称する)における、搬送目標位置(すなわち、次ページの印刷開始位置)が確定したかどうか判定する。搬送目標位置は、CPU5が、次の印刷ページに基づいて決定する。本ステップの判定処理については、図11を参照して後述する。搬送目標位置が確定していない場合は、確定するまでCPU5は判定を繰り返す。搬送目標位置が確定した場合は、S310に進み、CPU5は、ロール紙101を搬送目標位置まで搬送する第2の用紙搬送処理を行う。つまり、記録ヘッドの位置まで次ページの印刷開始位置が到達するようロール紙101を搬送する。第2の用紙搬送処理については、図9及び図11を参照して後述する。次いで、S301に戻り、処理を繰り返す。
【0043】
なお、上述した4つの判定処理は、次ページに対してその都度行ってもよいし、一度目だけ行い、以降のページについてはその判定結果を用いてもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によると、1ページ分の印刷処理が完了した後、次の印刷ページの搬送目標位置が確定する前に、一段階目の搬送として、次に示す位置まで搬送することができる。すなわち、一段階目の搬送として、ロール紙101上の所定の位置(例えば、現在ページのカット位置)が記録ヘッドの位置に到達する位置までロール紙101を搬送することができる。つまり、次ページの搬送目標位置が確定する前に、次ページの印刷に影響を与えない位置まで搬送を行う。したがって、従来の待機時間を低減し、次の印刷ページの搬送目標位置が確定した後の用紙搬送にかかる時間を減らすことができる。よって、印刷スループットを向上させることができる。
【0045】
図6は、本実施形態における複数部印刷のページ間の用紙搬送処理のフローチャートを示す。画像形成装置は、複数部印刷の印刷ジョブを実行することにより、本フローチャートに示す処理を開始する。
【0046】
本フローチャートにおいて、S401、及びS403乃至S410の処理は、図5のS301、及びS303乃至S310の処理と同様であるため、説明は省略する。
【0047】
本用紙搬送処理では、1ページ分の印刷処理が完了した後、S402にて、CPU5は、1部目の印刷であるかどうか判定する。1部目の印刷でない場合はS411に進む。一方、1部目の印刷である場合は、S403に進み、以降、図5を参照して上述したように処理を行う。ここでは、S408を実行する場合をAルートと称し、S407を実行する場合をBルートと称する。
【0048】
S411において、CPU5は、最終部の印刷であるかどうか判定する。最終部の印刷でないと判定された場合は、S412に進む。最終部の印刷でない場合は、前部を処理した際に各印刷ページの搬送目標位置が確定している。そのため、搬送目標位置に達するまで、CPU5は前部を処理した際に確定している搬送目標位置までの搬送処理と、次の印刷ページのデータ作成処理と、を並行して実行する。つまり、搬送目標位置まで搬送している間に、次の印刷ページのデータ作成処理を生成する。なお、この並行処理は、少なくとも一部の期間において並行処理されていればよく、搬送処理とデータ作成処理の開始時点と終了時点が一致している必要はない。本並行処理を、処理Zとする。また、この並行処理をCルートと称する。S412の搬送処理は、1ページ分の印刷処理が完了した直後において搬送目標位置が明らかであるため、次の印刷ページのデータ作成と並行して、搬送目標位置までの搬送処理を完了させることが可能である。処理Zが完了した後、S401に戻る。
【0049】
一方、S411において、最終部の印刷であると判定された場合は、S413に進む。S413において、CPU5は、次の印刷ページが存在するかどうか判定する。次の印刷ページが存在しない場合は、処理を終了する。これをDルートと称する。一方、次の印刷ページが存在する場合は、S412に進み、CPU5は処理Zを行う。処理Zが完了した後、S401に戻る。
【0050】
本用紙搬送処理では、あらかじめ次ページの印刷の先頭位置(印刷開始位置)が確定しているため、処理Zを実施することで更にページ間の用紙搬送にかかる搬送時間を減らすことができる。
【0051】
図7は、本実施形態の複数部印刷における、印刷中の部と、印刷ページ間での用紙搬送動作の種類(すなわち、上述した図6のAルート、Bルート、Cルート、及びDルート)との関係を示すテーブルである。N(3以上の整数)は、最終部を示すものとする。テーブルでは、現在印刷中の部501は、1部目502、2~(N-1)部目503、及びN部目504の3つに分けられている。
【0052】
1部目502の印刷ページ間での用紙搬送処理は、次ページが存在する場合は図6のAルートまたはBルートの動作を行う。また、次ページが存在しない場合も、図6のAルートまたはBルートの動作を行う。
【0053】
2~(N-1)部目503の印刷ページ間での用紙搬送処理は、次ページが存在する場合は図6のCルートの動作を行う。また、次ページが存在しない場合も、図6のCルートの動作を行う。
【0054】
N部目504の印刷ページ間での用紙搬送処理は、次ページが存在する場合は図6のCルートの動作を行う。一方、次ページが存在しない場合は図6のDルートの動作を行う。
【0055】
図8は、従来のページ間処理の実行順序を示す図である。ページ間では、1ページ目の印刷動作604の終了後(601)、次ページの印刷開始位置までの用紙搬送動作606を行い、その後2ページ目の印刷動作607を行う。従来の用紙搬送動作606については、図10を参照して後述する。ところが、用紙搬送動作606は、2ページ目の印刷開始位置確定後(602)に開始される。よって、2ページ目の印刷開始位置が確定するまでの待機時間605が発生してしまう。したがって、2ページ目の印刷動作開始603が遅れ、印刷スループットの低下につながってしまう。
【0056】
図9は、本実施形態におけるページ間処理の実行順序を示す図である。ページ間では、1ページ目の印刷動作611の後、2段階の用紙搬送動作(第1の用紙搬送処理612、第2の用紙搬送処理613)を行い、その後2ページ目の印刷動作614を行う。従来、1ページ目の印刷動作終了後(608)から2ページ目の印刷開始位置確定後(609)までは待機状態であったため、2ページ目の印刷動作開始610が遅れてしまっていた。本実施形態では、1ページ目の印刷動作の終了後(608)から2ページ目の印刷開始位置が確定するまでの間に、ロール紙101を所定の長さだけ搬送する。所定の長さとは、上述したとおり、用紙搬送方向(媒体搬送方向)において、記録ヘッドの位置に次ページの印刷開始位置が到達するまでの搬送長さ(搬送距離)よりも短い長さである。この長さは、あらかじめ設定されていてもよいが、ここでは、例として、1ページ目のカット位置に基づき設定されるものとする。具体的には、1ページ目のカット位置(すなわち、2ページ目の先頭位置)まで用紙を搬送する動作612(すなわち、第1の用紙搬送動作)を行う。その後、2ページ目の印刷開始位置確定後(609)に用紙を搬送する動作613(すなわち、第2の用紙搬送動作)を行う。図5及び図6の処理Xでの用紙搬送処理は、第1の用紙搬送動作(第1の媒体搬送動作)に対応する。図5のS310及び図6のS410の用紙搬送処理は、第2の用紙搬送動作(第2の媒体搬送動作)に対応する。本実施形態における第1の用紙搬送動作、及び第2の用紙搬送動作については、図11を参照して後述する。このように、本実施形態では、従来の用紙搬送動作606を、第1の用紙搬送動作612と第2の用紙搬送動作613に分割し、第1の用紙搬送動作612を1ページ目の印刷動作の終了直後から行う。そうすることにより、2ページ目の印刷動作開始610を従来よりも早く行うことができようになり、印刷スループットの向上が期待できる。
【0057】
図10は、図8の従来のページ間処理の各処理タイミングにおける、用紙の搬送位置を示す図である。従来の手法において、1ページ目の印刷動作終了後(601)には、画像形成装置701から1ページ目が印刷されたロール紙702が排紙されており、1ページ目の最終印刷行にキャリッジ703が位置する。また、キャリッジ703の下流側にはカッタ704が存在する。この状態において、画像形成装置701は停止している。画像形成装置701は、2ページ目の印刷開始位置確定後(602)、キャリッジ703の最下流側が2ページ目の印刷開始位置に来るように用紙搬送動作606を行う。その後、画像形成装置701は、2ページ目の印刷動作607を開始する。
【0058】
図11は、図9の本実施形態のページ間処理の各処理タイミングにおける、用紙の搬送位置を示す図である。本実施形態において、1ページ目の印刷動作終了後(608)には、画像形成装置706から1ページ目が印刷されたロール紙707が排紙されており、1ページ目の最終印刷行にキャリッジ709が位置する。また、キャリッジ709の下流側にはカッタ708が存在する。画像形成装置706は、1ページ目の印刷動作終了後(608)から、2ページ目の印刷開始位置が確定するまでの間に、所定の位置(ここでは例として、1ページ目のカット位置(すなわち、2ページ目の先頭位置))まで第1の用紙搬送動作を行う。これは即ち、キャリッジ709の最下流ノズル(後述する図12のh)の位置が2ページ目の印刷開始位置(図12のg)より上流側にならない位置まで用紙を搬送するということである。これは、後続の第2の用紙搬送動作にて、ロール紙707を用紙搬送方向とは逆の方向に搬送する必要がないようにするためである。記録ヘッドが、2ページ目の印刷開始位置より上流側に位置しないように制御する一例として、ここでは、キャリッジ709の最下流ノズル(図12のh)が2ページ目の先端(図12のf)に位置することとするが、これに限らない。図5及び図6の処理Xにおける搬送位置は上述の方法で定める。第1の用紙搬送動作および2ページ目の印刷開始位置確定後(609)、キャリッジ709の最下流ノズル(図12のh)が2ページ目の印刷開始位置(図12のg)に位置するように第2の用紙搬送動作を行う。S309、S409における判定方法およびS310、S410における搬送位置は上述の方法で定める。その後、画像形成装置706は、2ページ目の印刷動作614を開始する。
【0059】
図12は、本実施形態における1ページ目印刷終了直後の用紙の搬送位置を示す模式図である。1ページ目の印刷終了直後、画像形成装置801からロール紙804が排紙されており、1ページ目の最終印刷行にキャリッジ802が位置する。また、キャリッジ802の下流側にはカッタ803が存在する。eはカッタの位置、fは2ページ目の先端位置(すなわち、カット位置)、gは2ページ目の印刷開始位置、hはキャリッジ802の最下流ノズル位置、iはキャリッジ802の最上流ノズル位置を示す。また、jは1ページ目と2ページ目の間の余白量、kはロール紙804の先端位置、mは1ページ目の印刷終了位置を示す。
【0060】
図13は、本実施形態におけるカットのタイミングを設定するための入力画面の一例を示す。入力画面901は、表示及び操作部12に表示される。ユーザーは、各ページの印刷が終了するたびにカット動作を行う設定、即ち、印刷中カットを行わない設定にする場合はボタン903を選択する。一方、ページの印刷中にカット動作を行う設定、即ち印刷中カットを行う設定にする場合はボタン902を選択する。ユーザーは、ボタン902またはボタン903を選択した後、設定値を確定するためにOKボタン904を押下する。OKボタン904が押下された場合、設定値をNVRAM8に記憶する。一方、設定を行わない場合は、ユーザーはキャンセルボタン905を押下する。いずれのボタンが押下された場合も、表示及び操作部12は入力画面901の表示を終了する。なお、印刷中カットの実施、不実施の設定は、例えば、PC等の外部接続機器にて設定してもよい。また、用紙種類や画質などに応じて設定されてもよい。
【0061】
図14は、本実施形態における印刷ページ間の余白を設定するための入力画面の一例を示す。入力画面1001は、表示及び操作部12に表示される。入力画面1001は、余白設定量1002を表示し、ユーザーによってボタン1003、1004が押下されると、余白設定量1002の値を変更する。デフォルトでは現在の余白設定量が表示される。現在の余白設定量はNVRAM8に保持されているため、入力画面1001は最初に、NVRAM8から現在の余白設定量を取得し、表示する。ボタン1003が押下されると余白設定量1002は増加し、ボタン1004が押下されると余白設定量は減少する。ユーザーは余白設定量を変更した後、設定値を確定するためにOKボタン1005を押下する。OKボタン1005が押下された場合、設定値がNVRAM8に記憶される。一方、キャンセルボタン1006が押下された場合、設定値はNVRAM8に記憶されない。いずれのボタンが押下された場合も、表示及び操作部12は入力画面1001の表示を終了する。なお、余白設定は、例えば、外部接続機器にて設定してもよい。
【0062】
以上述べた通り、本実施形態では、1ページ分の印刷終了後、次のページの印刷開始位置が確定する前に、所定の位置まで用紙を搬送する。次いで、次のページの印刷開始位置が確定し次第、次のページの印刷開始位置まで用紙を搬送する。これにより、印刷スループットの向上が期待できる。
【0063】
なお、印刷中カットを行わない場合は、本実施形態を行わなくてもよい。印刷中カットの実施、不実施は、図13に示した入力画面901を表示及び操作部12に表示することで、設定可能である。なお、印刷中カットの実施、不実施は、例えば、外部接続機器にて設定されてもよい。また、用紙種類や画質などに応じて設定されてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、ページ間での用紙搬送動作を2回に分割することによってスループットの向上を図るが、分割数は2回に限らない。例えば、第2の用紙搬送動作の途中で用紙カット位置がカッタ位置を通過する場合、第2の用紙搬送動作が「カッタ位置までの搬送」と「搬送目標位置までの搬送」の2回に分かれ、ページ間の搬送動作としては3回に分割される。また、PDF形式などの画像データは、画像解析を段階的に行っていくため、段階的に印刷の先頭位置が決定される。そのため、このような画像データにおいては、先頭位置が決定され次第、その都度用紙搬送を行う可能性があり、このような場合は3回以上に分割される。本手法も上記と同様に、印刷スループットの向上が期待できる。
【0065】
さらに、1ページ分の印刷が完了するまでに、次のページの印刷データの作成が完了した場合は、1ページ分の印刷が完了した直後に次のページの印刷開始位置が確定する。そのため、ページ間の用紙搬送動作を分割する必要がなく、1ページ分の印刷が完了した直後に、1度の搬送動作で次のページの印刷開始位置まで用紙を搬送することが可能となる。本手法も上記と同様に、印刷スループットの向上が期待できる。
【0066】
また、本実施形態では、1ページ分の印刷が完了した直後に処理Xを開始することができる。ただし、1ページ分の印刷完了から処理Xが完了するまでの時間が、1ページ分の印刷完了から次のページの印刷開始位置が確定するまでの時間より短いか同等である限りは、S308、S408の処理の開始タイミングはこれに限らない。本手法も上記と同様に、印刷スループットの向上が期待できる。
【0067】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の記録媒体に複数ページの印刷が可能な画像形成装置であって、
前記記録媒体の搬送を行う搬送手段と、
前記記録媒体に印刷を行う印刷手段と、
前記記録媒体の切断を行う切断手段と、
前記印刷手段による第1のページの印刷が終了した後、前記第1のページの次に印刷される第2のページの印刷の開始までの期間には前記切断手段による前記記録媒体の切断を行うことなく、前記第2のページの印刷中に前記記録媒体のうち切断すべき位置が前記切断手段による切断位置に到達すると前記第2のページの印刷を一時的に停止して切断を行う機能である所定のカット機能を実行するように処理する処理手段と、
前記印刷手段による前記第1のページの印刷が終了した後、前記記録媒体を、前記記録媒体を排出する方向に所定の長さ搬送して停止させる第1の搬送動作と、
前記第1の搬送動作の次の搬送動作として、前記第2のページへの印刷を行う前に、前記記録媒体を、前記記録媒体における前記第2のページの印刷開始位置が前記印刷手段の位置に到達するまで前記排出する方向に搬送する第2の搬送動作と、
を前記搬送手段が行うように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の機能を実行する第1の設定状態を含む複数の設定状態のいずれかに設定する設定手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記設定手段での設定状況に応じて、前記第1のページの印刷が終了した後から前記第2のページの印刷を開始するまでに前記第1の搬送動作と前記第2の搬送動作とを行うか否かを異ならせるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記設定手段で前記第1の設定状態に設定されていた場合は、前記第1のページの印刷が終了した後から前記第2のページの印刷を開始するまでに、前記第1の搬送動作と前記第2の搬送動作とを行うように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記設定手段で、前記所定の機能を実行しない第2の設定状態に設定されていた場合は、前記第1のページの印刷が終了した後から前記第2のページの印刷を開始するまでに、前記記録媒体のうち切断すべき位置が前記切断手段による切断位置に到達するまで搬送する第3の搬送動作を行って前記記録媒体の切断を行い、その後、前記記録媒体における前記第2のページの印刷開始位置が前記印刷手段の位置に到達するまで搬送する第4の搬送動作を行うように制御する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷手段はインクを吐出することにより印刷を行う
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2のページの印刷開始位置は、前記第2のページの印刷データに基づいて決定される位置であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録媒体が前記第1の搬送動作によって前記所定の長さ搬送された場合、前記印刷手段の下流側のノズルの位置は、前記第2のページの印刷開始位置よりも下流側に位置することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷手段は、インクを吐出する複数のノズルを備えたキャリッジを有し、
前記搬送手段が前記記録媒体を搬送する際の前記印刷手段の位置は、前記複数のノズルのうち媒体搬送方向の下流側にあるノズルの位置である
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記切断手段は、前記印刷手段に対して媒体搬送方向の下流側に位置し、
前記記録媒体のうち切断すべき位置は前記第2のページの先頭位置である
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
複数部の印刷を行う場合、前記制御手段は、前部を処理した際に確定した前記印刷開始位置に基づいて、前記記録媒体を搬送するように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1のページの印刷が終了した後から前記第2のページの印刷を開始するまでに前記第1の搬送動作と前記第2の搬送動作とを行う場合、前記搬送手段による、前記第1のページの印刷が終了した後から前記第2のページの印刷を開始するまでに前記第1の搬送動作と前記第2の搬送動作とは異なる他の搬送は行わない
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
ロール状の記録媒体の搬送を行う搬送手段と、
前記記録媒体に印刷を行う印刷手段と、
前記記録媒体の切断を行う切断手段と、
を有する、前記記録媒体に複数ページの印刷が可能な画像形成装置の制御方法であって、
前記印刷手段による第1のページの印刷が終了した後、前記第1のページの次に印刷される第2のページの印刷の開始までの期間には前記切断手段による前記記録媒体の切断を行うことなく、前記第2のページの印刷中に前記記録媒体のうち切断すべき位置が前記切断手段による切断位置に到達すると前記第2のページの印刷を一時的に停止して切断を行う機能である所定のカット機能を実行するように処理する処理ステップと、
前記印刷手段による前記第1のページの印刷が終了した後、前記記録媒体を、前記記録媒体を排出する方向に所定の長さ搬送して停止させる第1の搬送動作と、
前記第1の搬送動作の次の搬送動作として、前記第2のページへの印刷を行う前に、前記記録媒体を、前記記録媒体における前記第2のページの印刷開始位置が前記印刷手段の位置に到達するまで前記排出する方向に搬送する第2の搬送動作と、
を前記搬送手段が行うように制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項13】
ロール状の記録媒体の搬送を行う搬送手段と、
前記記録媒体に印刷を行う印刷手段と、
前記記録媒体の切断を行う切断手段と、
を有する、前記記録媒体に複数ページの印刷が可能な画像形成装置のコンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載された画像形成装置の制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
ロール状の記録媒体の搬送を行う搬送手段と、
前記記録媒体に印刷を行う印刷手段と、
前記記録媒体の切断を行う切断手段と、
を有する、前記記録媒体に複数ページの印刷が可能な画像形成装置のコンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載された画像形成装置の制御手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
一実施形態において、ロール状の記録媒体に複数ページの印刷が可能な画像形成装置であって、前記記録媒体の搬送を行う搬送手段と、前記記録媒体に印刷を行う印刷手段と、前記記録媒体の切断を行う切断手段と、前記印刷手段による第1のページの印刷が終了した後、前記第1のページの次に印刷される第2のページの印刷の開始までの期間には前記切断手段による前記記録媒体の切断を行うことなく、前記第2のページの印刷中に前記記録媒体のうち切断すべき位置が前記切断手段による切断位置に到達すると前記第2のページの印刷を一時的に停止して切断を行う機能である所定のカット機能を実行するように処理する処理手段と、前記印刷手段による前記第1のページの印刷が終了した後、前記記録媒体を、前記記録媒体を排出する方向に所定の長さ搬送して停止させる第1の搬送動作と、前記第1の搬送動作の次の搬送動作として、前記第2のページへの印刷を行う前に、前記記録媒体を、前記記録媒体における前記第2のページの印刷開始位置が前記印刷手段の位置に到達するまで前記排出する方向に搬送する第2の搬送動作と、を前記搬送手段が行うように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。