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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177548
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】熱により調整可能な眼内レンズ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024177331
(22)【出願日】2024-10-09
(62)【分割の表示】P 2023136468の分割
【原出願日】2017-09-07
(31)【優先権主張番号】15/275,625
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(72)【発明者】
【氏名】ラミロ リベイロ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス シュルーター
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス シャイブラー
(72)【発明者】
【氏名】アフマッド ハドバ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン トロラー
(72)【発明者】
【氏名】マルセル アッカーマン
(57)【要約】
【課題】眼科レンズのベースパワーを非侵襲的に変化させるための改良されたメカニズムを提供する。
【解決手段】チャンバを含むレンズ本体と、レンズ本体のチャンバと流体的に接続される貯蔵体積を画成する貯蔵部であって、所定の閾値に達した温度に応答して第1の形状から第2の形状に形状を変化させることにより貯蔵体積を変化させる複数の感熱構造を含む貯蔵部と、チャンバ及び貯蔵部の中に存在する光学流体であって、レンズ本体の少なくとも一部分がベースパワーの変化に対応する形状変化を生じるように、貯蔵体積の変化によって貯蔵部とチャンバとの間でその一部が流れる光学流体とを備える眼科レンズ。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科レンズであって、
その中にチャンバを有するレンズ本体であって、前記レンズ本体の少なくとも一部が柔軟であり、レンズ本体屈折率を有するレンズ本体と、
前記レンズ本体の前記チャンバと流体的に接続され、前記レンズ本体の前記チャンバの周りで少なくとも部分的に周方向に位置する貯蔵部であって、レーザーから光エネルギーを吸収することに応じて形状を変化させる複数の感熱構造を含む、貯蔵部と、
前記チャンバと前記貯蔵部の中にある光学流体であって、前記光学流体は光学流体屈折率を有し、前記光学流体が前記貯蔵部と前記チャンバとの間で流れて、前記眼科レンズのベースパワーの変化を生じさせるようになっている、光学流体と、
を含み、
前記複数の感熱構造の第1の部分は、光エネルギーを吸収して形状を変化させ、前記貯蔵部から前記チャンバへ光学流体を送るように構成され、
前記複数の感熱構造の第2の部分は、光エネルギーを吸収して形状を変化させ、前記チャンバから前記貯蔵部に光学流体を送るように構成されている、眼科レンズ。
【請求項2】
前記複数の感熱構造の前記第1の部分の各感熱構造は、第1の体積の光学流体を前記貯蔵部から前記チャンバに送るようにさらに構成されている、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項3】
前記複数の感熱構造の前記第2の部分の各感熱構造は、第2の体積の光学流体を前記チャンバから前記貯蔵部に送るようにさらに構成されている、請求項2に記載の眼科レンズ。
【請求項4】
光学流体の前記第1の体積と光学流体の前記第2の体積とは同じである、請求項3に記載の眼科レンズ。
【請求項5】
光学流体の前記第1の体積と光学流体の前記第2の体積とは異なる、請求項3に記載の眼科レンズ。
【請求項6】
前記第1の体積の光学流体は、0.25ディオプトリ以下のベースパワー変化に対応する、請求項2に記載の眼科レンズ。
【請求項7】
前記複数の感熱構造の前記第1の部分の各感熱構造は、予め決定された体積の光学流体を、前記貯蔵部から前記チャンバに送るようにさらに構成されている、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項8】
前記予め決定された体積のそれぞれは同じである、請求項7に記載の眼科レンズ。
【請求項9】
前記予め決定された体積のそれぞれは第1の体積又は第2の体積のいずれかに等しい、請求項7に記載の眼科レンズ。
【請求項10】
前記複数の感熱構造は、少なくとも摂氏45度の温度への到達に応答して形状を変化させるように構成されている、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項11】
前記温度は少なくとも摂氏60度であり、摂氏100度以下である、請求項10に記載の眼科レンズ。
【請求項12】
前記レンズ本体の前記少なくとも一部は柔軟膜を含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項13】
前記複数の感熱構造のぞれぞれの少なくとも一部は、閾値温度以上のガラス転移温度を有する形状記憶ポリマを含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項14】
前記形状記憶ポリマは、選択された波長範囲内の光エネルギーを吸収する添加剤を含む、請求項13に記載の眼科レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に眼科レンズに関し、より詳しくは、熱により調整可能な眼内レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
眼内レンズ(IOL:intraocular lens)は、患者の水晶体と置換するため、又は有水晶体IOLの場合は患者の水晶体を補完するために患者の眼内に移植される。従来のIOLの中には単焦点IOLもあれば、多焦点IOLもある。単焦点IOLは1つの焦点距離又は1つのパワーを有する。眼/IOLからの焦点距離にある物体はピントが合うが、それより近いか、又はそれより遠い物体はピントが合わない可能性がある。それに対して、多焦点IOLは少なくとも2つの焦点距離を有する。多焦点レンズは、近視等の状態を有する患者を支援してもよい。一般に、医師は患者にとって適切なベースパワー及びその他の特性を有するIOLを選択する。白内障等の他の状態のためにしばしば行われる眼科手術において、選択されたIOLが移植される。
【0003】
IOLはほとんどの患者において容認可能な程度にうまく機能するが、選択されたIOLはその患者にとって不適当なパワーを有する可能性がある。そのIOLを取り出して、新しいIOLを選択し、移植することもできる。しかしながら、この目的のために追加の眼科手術を行うことは望ましくない。他のIOLは、そのパワーを非侵襲的に調整しうる。例えば、IOLは紫外(UV)光に対する感受性を有している可能性がある。このようなIOLは、レンズのパワーを変化させるためにUV光に暴露されてもよい。UV光への暴露によってIOLの形状、したがってレンズのベースパワーが変化しうる。この方法でIOLのベースパワーを調節できるが、このようなIOLでは、調節段階が完了するまで患者はUV光遮断眼鏡をずっとかけている必要がある。調節段階は典型的に、2週間程度である。患者にUV光遮断眼鏡を2週間にわたって1日24時間かけるように要求することは、患者にとって不都合であり、望ましくない。調節段階が完了すると、IOLの変化をロックして、日常的なUV光への暴露によりIOLのパワーがそれ以上変化しないようにしなければならない。これらの変化がロックされると、IOLのベースパワーはもう調節できなくなる可能性がある。張力を変化せること等、レンズのベースパワーを変化させるためのその他のメカニズムもある。しかしながら、これらメカニズムには付随する欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、必要なのはIOLのベースパワーを非侵襲的に変化させるための改良されたメカニズムである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
方法とシステムは、その中にチャンバを有するレンズ本体と、レンズ本体と連結される貯蔵モジュールと、光学流体と、を含む眼科レンズを提供する。レンズ本体の少なくとも一部分は柔軟である。貯蔵モジュールは感熱部分を含み、その中に貯蔵部を有する。貯蔵部は貯蔵体積を有し、チャンバと流体的に接続される。貯蔵モジュールの感熱部分は貯蔵部の少なくとも一部分と境を接する。感熱部分は、少なくとも摂氏45度の温度に応答する形状を有して、貯蔵体積は感熱部分の少なくとも一部がその温度に到達したことに応答して変化するようになっている。光学流体はチャンバと貯蔵部の中にある。光学流体は、レンズ本体の屈折率と0.1以内でマッチする光学流体屈折率を有する。貯蔵体積内の変化により、光学流体の一部分が貯蔵部とチャンバとの間で流れ、レンズ本体のその少なくとも一部分はベースパワーの変化に対応する形状変化を生じさせる。
【0006】
本明細書に記載されている方法とシステムによれば、医師はIOL等の移植眼科器具のパワーをよりよく、より容易に非侵襲的に変化させることができる。
【0007】
本開示とその利点をより十分に理解するために、ここで、添付の図面に関連して読むべき以下の説明を参照するが、図中、同様の参照番号は同様の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】熱により調整可能な眼科器具のある例示的実施形態の各種の図を示す。
図1B】熱により調整可能な眼科器具のある例示的実施形態の各種の図を示す。
図1C】熱により調整可能な眼科器具のある例示的実施形態の各種の図を示す。
図1D】熱により調整可能な眼科器具のある例示的実施形態の各種の図を示す。
図1E】熱により調整可能な眼科器具のある例示的実施形態の各種の図を示す。
図2A】熱により調整可能な眼科器具の他の例示的実施形態の各種の図を示す。
図2B】熱により調整可能な眼科器具の他の例示的実施形態の各種の図を示す。
図2C】熱により調整可能な眼科器具の他の例示的実施形態の各種の図を示す。
図2D】熱により調整可能な眼科器具の他の例示的実施形態の各種の図を示す。
図3A】熱により調整可能な眼科レンズの他の例示的実施形態の各種の図を示す。
図3B】熱により調整可能な眼科レンズの他の例示的実施形態の各種の図を示す。
図4】熱により調整可能な眼科レンズの他の例示的実施形態の断面斜視図を示す。
図5】熱により調整可能な眼科器具を提供する方法のある例示的実施形態を示すフローチャートである。
図6】熱により調整可能な眼科器具を使用する方法のある例示的実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的実施形態は、眼内レンズ(IOL)等の眼科器具に関する。以下の説明は、当業者が本発明を製造及び使用できるようにするために提示され、特許出願及びその要求事項の観点から提供される。本明細書に記載される例示的実施形態及び全体的原理と特徴に対する様々な改良が容易に明らかとなるであろう。例示的実施形態は主として、特定の実施例において提供される特定の方法とシステムに関して説明されている。しかしながら、方法とシステムは他の実施形態でも有効に機能を果たす。「例示的実施形態」、「1つの実施形態」、及び「他の実施形態」等の語句は、同じ又は異なる実施形態のほか、複数の実施形態を指してもよい。実施形態は、特定の構成要素を有するシステム及び/又は器具に関連して説明される。しかしながら、システム及び/又は器具は、図示されているものより多い、又は少ない構成要素を含んでいてもよく、構成要素の配置と種類は、本発明の範囲から逸脱せずに変更してもよい。例示的実施形態はまた、特定のステップを有する特定の方法の観点から説明される。しかしながら、方法とシステムは、例示的実施形態と矛盾しない異なる及び/又は追加のステップ並びに他の順序のステップを有する他の方法についても有効に機能を果たす。それゆえ、本発明は図示されている実施形態に限定されることは意図されず、本明細書に記載の原理及び特徴と一致する最も広い範囲によるものとする。方法とシステムはまた、複数の項目ではなく単独の項目に関して説明される。当業者であれば、これらの単数形の用語は複数を包含することがわかるであろう。例えば、チャンバは1つ又は複数のチャンバを含んでいてもよい。
【0010】
方法とシステムは、その中にチャンバを有するレンズ本体と、レンズ本体と連結される貯蔵モジュールと、光学流体と、を含む眼科レンズを提供する。レンズ本体の少なくとも一部分は柔軟である。貯蔵モジュールは感熱部分を含み、その中に貯蔵部を有する。貯蔵部は貯蔵体積を有し、チャンバと流体的に接続される。貯蔵モジュールの感熱部分は貯蔵部の少なくとも一部分と境を接する。感熱部分は、少なくとも摂氏45度の温度に応答する形状を有して、貯蔵体積は感熱部分の少なくとも一部がその温度に到達したことに応答して変化するようになっている。光学流体はチャンバと貯蔵部の中にある。光学流体は、レンズ本体の屈折率と0.1以内でマッチする光学流体屈折率を有する。貯蔵体積内の変化により、光学流体の一部分が貯蔵部とチャンバとの間で流れ、レンズ本体のその少なくとも一部分はベースパワーの変化に対応する形状変化を生じさせる。
【0011】
図1A~1Eは、熱により調整可能な眼科器具100のある例示的実施形態を示しており、これはIOLとして使用されてもよい。簡潔にするために、眼科器具100を以下、IOL 100と呼ぶ。図1AはIOL 100の平面図を示し、図1B~1Eは眼科レンズ110の側面図を示す。明瞭さのために、図1A~1Eは正確な縮尺によらない。IOL 100は、眼科レンズ110のほか、ハプティクス102及び104を含む。眼科レンズ110の部分は様々な光学材料を含んでいてもよく、これにはシリコーン、ヒドロゲル、及びアクリルのうちの1つ又は複数が含まれるが、これらに限定されない。ハプティクス102及び104は、眼科器具100を患者の眼内の所定の位置に保持するために使用される(明確には示されていない)。しかしながら、他の実施形態において、眼科器具を眼内の所定の位置に保持するために他のメカニズムが使用されてもよい。明瞭さのために、ハプティクスは後述の図1B~3Cには描かれていない。眼科レンズ110は、図1Aの平面図では円形の断面を有するように描かれているが、他の実施形態において、他の形状が使用されてもよい。
【0012】
眼科レンズ110(以下、「レンズ」という)は、光軸106のほか、レンズ本体120、貯蔵モジュール130、及び光学流体140を有する。レンズ110の中の符号の付けられた部分ではあるが、光軸106は、前面及び後面の中心を通る想像線と考えてよい。それゆえ、光軸106は破線で示されている。光軸106はまた、表面に対し、それが表面を通過する点において垂直であってもよい。図示されていないが、前面及び/又は後面は、これに限定されないが回折格子を含む他の特徴を有していてもよい。別の構成要素として示されているが、貯蔵モジュール130とレンズ本体120は1つの部品として相互に統合されてもよい。例えば、レンズ本体120及び貯蔵モジュールの幾つか又は全部は一体に形成されたモノリシックな構造であってもよい。
【0013】
レンズ本体120は、IOL 100の主要な光学構成要素を形成する。それゆえ、光がレンズ本体120と眼のその他の構成要素を通過し、患者は物を見ることができる。幾つかの実施形態において、貯蔵モジュール130は、視覚で使用される光を透過させるように設計されていない。レンズ本体120はベース122、柔軟部分124、及びチャンバ126を含む。図の実施形態において、柔軟部分124は柔軟な膜124であると考えられる。その結果、柔軟部分124を以下、柔軟膜124と呼ぶ。しかしながら、柔軟部分が他の構成を有することを妨げるものはない。チャンバ126は、ベース122と柔軟膜124との間の空間と考えられてもよい。後述の光学流体140は、少なくともチャンバ126の中にある。
【0014】
図の実施形態において、ベース122は安定した光学特性を有する。それゆえ、ベース122は形状において比較的一定であってもよい。他の実施形態において、ベース122はチャンバ126の体積の変化に応答して幾分形状を変化させてもよい。これに対して、柔軟膜124は柔軟であり、貯蔵部126の体積の変化に応答して形状を変化させる。
【0015】
幾つかの実施形態において、ベース122と柔軟膜124は同じ材料で製造されてもよく、例えばAcrySof(登録商標)、AcrySof(登録商標)2及び/又はその他の柔らかい光学材料が使用されてよい。他の実施形態において、ベース122と柔軟膜124は異なる材料で製造されてもよい。ベース122は、ベース122が実質的に変化しないままとなるのに十分に厚くてもよい。しかしながら、柔軟膜124は、チャンバ126の体積の変化に応答するのに十分に薄くてもよい。例えば、柔軟膜124は少なくとも80マイクロメートルの厚さであり、300マイクロメートルの厚さ以下であってよい。他の実施形態において、他の厚さも可能である。幾つかの実施形態において、柔軟膜124は、光学流体140が提供される前は均一な厚さを有する。他の実施形態において、柔軟膜124の厚さは不均一であってもよい。
【0016】
貯蔵モジュール130は、レンズ本体120の周辺にあり、貯蔵部132A/132Bと感熱部分134を含む。図1B~1Dに断面が示されている。それゆえ、貯蔵部132A及び貯蔵部132B(まとめて貯蔵部132A/132Bと呼ぶ)と感熱部分134A及び134Bが示されている。幾つかの実施形態において、貯蔵部132A及び132Bは貯蔵モジュール130内で接続され、流体がレンズ本体120の周辺に流れるようになっている。例えば、貯蔵部132A及び132Bは単に、中空の環状体(すなわち管)の一部であってもよい。他の実施形態において、貯蔵部132A及び132Bは分離され、貯蔵部132A及び132B間の流体の流れがレンズ本体120のチャンバ126を通じて発生しないようにされてもよい。他の実施形態では、貯蔵部132A及び132Bは異なる形状を有していてもよい。
【0017】
貯蔵部132A及び132Bは、レンズ本体120のチャンバ126と流体的に接続される。図の実施形態において、チャンバ126と貯蔵部132A及び132Bとの間に単純に入口/出口(すなわち、開口部又は通路)がある。他の実施形態において、チャンバ126と貯蔵部132A及び132Bとの間の流体経路はより複雑であってもよい。
【0018】
光学流体140は、チャンバ126及び貯蔵部132A/132Bの中にある。簡潔にするために、図1Bにおいて、光学流体140は個々に符号が表示されているだけである。図1C~1Eでは、光学流体は貯蔵部132A/132B及びチャンバ126と共に符号が表示されている。光学流体140は、チャンバ126と貯蔵部132A/132Bとの間に流れてもよい。光学流体140はチャンバ126の中に存在できるため、光学流体140は視覚に使用される光の経路の中にある。それゆえ、光学流体140は光を透過させる。光はレンズ本体120により屈折するため、光学流体140はまた、レンズ本体120(例えば、ベース122及び、幾つかの実施形態においてはベース122及び柔軟膜124)のそれと特定の限度までマッチする屈折率を有していてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、光学流体140の屈折率はレンズ本体120のそれの0.1以内にある。幾つかの実施形態において、光学流体140の屈折率はレンズ本体120のそれと0.05より大きく異ならない。レンズ本体120がAcrySof(登録商標)又はAcrySof(登録商標)2等の材料で製造されている場合、光学流体140は高分子量芳香族系シリコーンコポリマ液であってもよい。
【0019】
貯蔵モジュール130の感熱部分134A及び134Bは、1つの感熱部分の一部であってもよい。例えば、感熱部分134A及び134Bは、貯蔵部132A/132Bの1つの壁を占有する環状体の一部であってもよい。他の実施形態において、感熱部分134A/134Bは異なる形状を有していてもよい。例えば、感熱部分134A及び/又は134Bは球形、半球形、立方体、楕円形、又はその他の異なる形状を有していてもよい。これらの形状はつながっていても別々でもよい。それに加えて、感熱部分134Aは感熱部分134Bとは異なる形状を有していてもよい。図の実施形態において、感熱部分134A及び134Bは異なる大きさを有する。しかしながら、他の実施形態では感熱部分134A及び134Bは同じ大きさを有していてもよい。
【0020】
感熱部分134A及び134Bは、特定の温度(以下、「ガラス転移温度」という)に到達したことに応答して形状を変化させる。図の実施形態において、感熱部分134A及び134Bは同じ材料で形成され、同じガラス転移温度を有する。他の実施形態において、感熱部分134A及び134Bは異なる材料で形成され、及び/又は異なるガラス転移温度を有していてもよい。感熱部分134A及び134Bのこのガラス転移温度は、眼の平常温度より高いことが望ましい。ガラス転移温度はまた、感熱部分134A及び134Bがガラス転移温度に到達しても眼に損傷を与えないようにするのに十分に低いことが望ましい。幾つかの実施形態において、感熱部分134A及び134Bは、これらの部分134A及び134Bの局所的な加熱が、たとえ温度が眼の平常温度より十分に高い温度に到達しても眼にマイナスの影響を与えないようするのに十分に小さい。例えば、IOL 100が存在することが望まれる眼の平常温度は、摂氏約35度~摂氏40度であってもよい。感熱部分134A及び134Bのガラス転移温度は、少なくとも摂氏45度であってもよい。幾つかの実施形態において、ガラス転移温度は少なくとも摂氏60度であってもよい。他の実施形態において、ガラス転移温度は、幾つかの実施形態において少なくとも摂氏90度であってもよい。それに加えて、ガラス転移温度は摂氏100度未満であることが望ましい可能性がある。
【0021】
眼の平常温度で、感熱部分134A及び134Bの形状は一定である。感熱部分134A及び134Bの一方又は両方がガラス転移温度まで加熱されると、形状が変化する。冷却すると、感熱部分134A及び134Bは新しい形状を保持する。すると、この形状は一定のままとなる。それゆえ、IOL 100の通常の装用はレンズ110のベースパワーに、又は感熱部分134A及び134Bの形状に影響を与えない。例えば、感熱部分134A及び134Bは形状記憶材料、例えば形状記憶ポリマ(SMP)から形成されてもよい。それに加えて、SMPには加熱のためにレーザが提供する波長範囲内の光を吸収する添加剤(例えば、染料またその他の材料)が添加されてもよい。
【0022】
IOL 100の動作は図1B~1Eからわかるであろう。まず、図1Bに示されているように、感熱部分134A及び134Bは特定の形状を有する。感熱部分134Aはガラス転移温度まで、又はそれ以上に加熱されてもよい。幾つかの実施形態において、この加熱はレーザを介して実現される。例えば、レーザは感熱部分134Aに照準を合わせて発射されてもよい。レーザの波長は、眼の角膜及び硝子体液を透過するように選択される。幾つかの実施形態において、レーザは約1064nmの特徴的波長を有していてもよい。他の実施形態において、レーザは750~850ナノメートルの波長範囲内であってもよい。感熱部分134Aは少なくともガラス転移温度まで加熱され、形状を変化させる。
【0023】
図1Cは、感熱部分134Aを少なくともガラス転移温度まで加熱した後のレンズ110を示している。レンズ110は冷却されていてもよい。感熱部分134A’は形状が変化している。その結果、貯蔵部132A’の体積は減少している。これによって光学流体140の一部がチャンバ126’の中へと押し出される。柔軟膜124’は硬質ではないため、光学流体140のチャンバ126’への移動によってチャンバ126’の堆積が増大し、柔軟膜124’の形状が変化する。それゆえ、レンズ110のパワーが変化している。貯蔵部132A’及びチャンバ126’の体積の変化と柔軟膜124’及び光学流体140の特性に基づき、レンズ110のベースパワーの変化が特定されてもよい。
【0024】
あるいは、感熱部分134Bがガラス転移温度まで、又はそれ以上に加熱されてもよい。加熱は、前述のものと同様にレーザ又は同様のメカニズムを使って実現されてもよい。図1Dは、感熱部分134Bを加熱した後のレンズ110を示している。レンズ110は冷却されていてもよい。感熱部分134B’は形状が変化している。その結果、貯蔵部132B’の体積は減少している。これによって光学流体140の一部がチャンバ126’’の中へと押し出される。柔軟膜124’’は硬質ではないため、光学流体140のチャンバ126’’への移動によってチャンバ126’’の体積が増大し、柔軟膜124’’の形状が変化する。それゆえ、レンズ110のパワーは変化している。貯蔵部132B’’及びチャンバ126’’の体積の変化と柔軟膜124’’及び光学流体140の特性に基づき、レンズ110のベースパワーの変化が特定されてもよい。しかしながら、貯蔵部132B’’の体積の変化はより小さいため、レンズ110のベースパワーの変化は図1Dにおいては図1Cより小さい。
【0025】
感熱部分134A及び134Bの両方がガラス転移温度まで、又はそれ以上に加熱されてもよい。加熱は、前述のものと同様にレーザ又は同様のメカニズムを使って実現されてもよい。図1Eは、感熱部分134A及び134Bを加熱した後のレンズ110を示している。レンズ110は冷却されていてもよい。感熱部分134A’及び134B’は形状が変化している。その結果、貯蔵部132A’及び132B’の体積は減少している。これによって光学流体140の一部がチャンバ126’’’の中へと押し出される。柔軟膜124’’’は硬質ではないため、光学流体140のチャンバ126’’’への移動によってチャンバ126’’’の体積が増大し、柔軟膜124’’’の形状が変化する。それゆえ、レンズ110のパワーは変化している。貯蔵部132A’及び132B’並びにチャンバ126’’’の体積の変化と柔軟膜124’’’及び光学流体140の特性に基づき、レンズ110のベースパワーの変化が特定されてもよい。貯蔵部132A’及び132B’の体積変化はより大きいため、レンズ110のベースパワーの変化は図1Eにおいては図1C及び1Dより大きい。例えば、図1Dに示される状況でレンズ110のベースパワーが0.25ディオプトリだけ変化した場合、ベースパワーは、図1Cに示される場合では0.5ディオプトリだけ、図1Eに示される場合では0.75ディオプトリだけ変化してもよい。さらに、図1C、1D、及び1Eにおいて示される変化は、同時に生じる必要はない。その代わりに、これらの変化は更新された情報及び/又は患者の眼への変化に基づいて後で行われてもよい。
【0026】
レンズ110の、すなわちIOL 100のベースパワーは、レンズ110が患者にとって適切でないベースパワーを有するか、又は患者の視力が時間と共に変化した場合に変化させられてもよい。幾つかの構成では、レンズ110のパワーは、貯蔵部132A/132Bにおける体積の増減があるか否かに基づいて上下に調節されてもよい。感熱部分134A及び134Bはレーザによって変化させられてもよいため、レンズ110のパワーは非侵襲的に変化させられてもよい。それゆえ、IOL交換等の侵襲的な処置のリスクを回避できる。その代わりに、単に診療所に行きさえすればよい。レンズ110のベースパワーをレーザによる加熱を通じて変化させることはまた、IOLをそっくり交換する場合より費用効果も高い可能性がある。それに加えて、レンズのベースパワーの変更のためのその他の非侵襲的メカニズムの欠点が回避される可能性がある。例えば、変化をレンズ110にロックする必要がある。その代わりに、レンズ110の寿命を通していつでも、追加の熱が加えられてもよい。さらに、レンズ110は、ベースパワーの調節時を中心に四六時中、特別な眼鏡、例えばUV光保護眼鏡をかけることを必要としない。それに加えて、単に診療所に行くだけでレンズ110のパワーを調節できる。調節はまた、より迅速に行われる可能性がある。幾つかの場合に、加熱、感熱部分134A/134Bの形状の急速な変化、貯蔵部132A/132Bとチャンバ126との間の流体の流れ、チャンバ126の体積の変化、及びそれに付随するレンズのベーパワーの変化には、数分またそれ以下しかかからない可能性がある。それゆえ、レンズ110は、より簡単に患者のニーズに合わせて調整されてよい。
【0027】
図2A~2Dは、IOLとして、又はその中で使用されてもよい、熱により調整可能な眼科レンズ150の他の例示的実施形態を示す。簡潔にするために、眼科レンズ150を以下、レンズ150と呼ぶ。図2A~2Dは、眼科レンズ110の側面図を示す。明瞭さのために、図2A~2Dは正確な縮尺によらない。レンズ150は、IOL 100等のIOLの一部であってもよく、これはレンズ150を含み、また、ヘプティクス(図2A~2Eでは示されていない)を含んでいてもよい。
【0028】
レンズ150は、光軸156のほか、レンズ本体160、貯蔵モジュール170、及び光学流体190を有する。レンズ本体160、貯蔵モジュール170、光学流体190、及び光軸156は、それぞれレンズ本体120、貯蔵モジュール130、光学流体140、及び光軸106と同様である。それゆえ、レンズ本体160、ベース162、柔軟膜164、及びチャンバ166は、それぞれレンズ本体120、ベース122、柔軟膜124、及びチャンバ126と同様である。同様に、貯蔵モジュール170、貯蔵部172A/172B、及び感熱部分174A及び174Bは、それぞれ貯蔵モジュール130、貯蔵部132A/132B、及び感熱部分134A及び134Bと同様である。最後に、光学流体190は光学流体140と同様である。それゆえ、これらの構成要素の構造、機能、及び材料は、上述のそれらと同様であってよい。例えば、光学流体190の屈折率は、レンズ本体160の屈折率と上述の誤差以内でマッチしてもよい。図示されていないが、前面及び/又は後面は、これらに限定されないが回折格子を含む他の特徴を有していてもよい。別の構成要素として示されているが、貯蔵モジュール170とレンズ本体160は、一体の部品へと相互に統合されてもよい。
【0029】
貯蔵部172A/172Bをチャンバ166と接続するマイクロ流体経路180も示されている。マイクロ流体経路180の端は破線として示され、チャンバ166と貯蔵部172A/172Bの入口/出口を示す。幾つかの実施形態において、マイクロ流体経路180は単に直線的な通路である。しかしながら、他の実施形態において、マイクロ流体経路180は他の、より複雑な構造を有していてもよい。
【0030】
レンズ本体170は、レンズ150の主要な光学構成要素を形成する。それに対して、貯蔵モジュール170は視覚で使用される光を透過させるように設計されていない可能性がある。図の実施形態において、柔軟膜164はしなやかで、チャンバ166の体積の変動に応答して変化してもよい光学特性を有する。それに対して、ベース162は安定した光学特性を有し、形状において比較的一定であってもよい。他の実施形態において、ベース162はチャンバ166の体積の変化に応答して幾分形状を変化させてもよい。
【0031】
貯蔵モジュール170は、レンズ本体160の周辺にある。幾つかの実施形態において、貯蔵部172A及び172Bは貯蔵モジュール170内でつながっていて、流体はレンズ本体160周辺に流れてもよい。幾つかの実施形態において、貯蔵部172A及び172Bはつながっておらず、貯蔵部172A及び172B間の流体の流れはレンズ本体160のチャンバ166を通じて一切発生しなくてよい。他の実施形態では、貯蔵部172A及び172Bは異なる形状を有していてもよい。
【0032】
貯蔵モジュール130の感熱部分174A及び174Bは、1つの感熱部分の一部であってもよい。例えば、感熱部分174A及び174Bは、貯蔵部172A/172Bの1つの壁を占有する環状体の一部であってもよい。あるいは、感熱部分174A及び174Bは、別々のユニットからなっていてもよい。例えば、図2A~2Dにおいて、各感熱部分174A及び174Bはそれぞれ複数のカプセル175A及び17Bを含む。簡潔にするために、各感熱部分174A及び174Bのそれぞれ1つのカプセル175A及び175Bだけに符号が表示されている。幾つかの実施形態において、各カプセル175A及び/又は175Bは1つの感熱構造であり、これらは他のカプセルから断熱されていてもよい。他の実施形態において、カプセル175A及び175Bは1つの感熱構造の一部である。感熱部分174A及び174Bの選択された領域は、それらのガラス転移温度まで、又はそれ以上に個別に加熱されてもよい。図の実施形態において、カプセル175A及び175Bはほぼ半球形である。しかしながら、他の形状の使用を妨げるものはない。図の実施形態において、カプセル175A及び175Bの各々は同じ大きさを有する。それゆえ、各カプセル175A及び175Bは同じ体積の光学流体190を収容し/移動させてもよい。他の実施形態において、カプセル175A及び/又は175Bは異なる大きさを有していてもよい。各カプセル175A及び175Bの中に収容され/移動させられる光学流体の体積は依然として、既知であること、及びベースパワーにおける既知の変化に対応していることが望ましい。例えば、各カプセル175A及び175Bは、所望の誤差内で0.25ディオプトリのベースパワーの変化に対応していてもよい。幾つかの場合に、これは各カプセル175A及び175Bの体積0.2mm3に対応する。しかしながら、他の体積及び他のベースパワーの変化も使用されてよい。例えば、1つのカプセル175Aは0.25ディオプトリの変化に対応してもよく、他のカプセル175Aは0.5ディオプリの変化に対応してもよい等である。幾つかの実施形態において、4ディオプトのパワーの変化(例えば、±2ディオプトリ)が提供されてもよい。
【0033】
カプセル175A及び175Bの各々は、カプセル175A及び175Bがガラス転移温度に到達したことに応答して形状を変化させる。冷却後、この新しい形状は安定する。ガラス転移温度未満では、形状はカプセル又は平坦な面のいずれかとして実質的に一定である。感熱部分174A及び174Bのこのガラス転移温度は、眼の平常温度より有意に高く、かつ、感熱部分174A及び174Bがガラス転移温度に到達しても眼に損傷を与えないようにするのに十分に低いことが望ましい。幾つかの実施形態において、カプセル175A及び175Bは、これらのカプセル175A及び175Bの局所的加熱が、部分174A及び174Bが眼の平常温度より十分に高い温度に到達したとしても、眼にマイナスの影響を与えないようにするのに十分に小さい。カプセル175A及び175Bは前述のSMPで形成されてもよく、前述のガラス転移温度を有していてもよい。
【0034】
図2Aからわかるように、カプセル175A及び175Bの、貯蔵部172A及び172Bに関する向きは異なる。特に、カプセル175Aの各々は貯蔵部172Aからほぼ半球形の体積の光学流体190を移動させる。カプセル175Bの各々は、貯蔵部172B内にほぼ半球形の体積の光学流体190を含む。その結果、レンズ150のベースパワーは、カプセル175A又はカプセル175Bのどちらがガラス転移温度まで、又はそれ以上に加熱されるか、及びそのように加熱されるカプセル175A又は175Bの数に応じて、異なる量だけ上昇又は低下されてよい。
【0035】
レンズ150の動作を図2A~2Dに関して説明する。後述の説明の中で、レンズ150はまず図2Aに示される構成を有すると仮定する。レンズ150のベースパワーが高すぎる場合、レンズ150は光をより小さく屈折させることが望ましい。これは、柔軟膜164の曲率を小さくすることによって実現されてれもよい。貯蔵部172Aに関するそれらの向きにより、カプセル175A/感熱部分174Aの形状の変化が利用されてよい。より具体的には、熱がカプセル175Aの1つ又は複数に、例えばレーザを通じて加えられる。このカプセル175Aの温度はそのガラス転移温度より高く上昇される。その結果、カプセル175Aは形状を変化させる。
【0036】
図2Bは、マイクロ流体経路180に最も近いカプセル175Aに、カプセル175Aの温度がガラス転移温度まで、又はそれ以上まで上昇させるのに十分な熱を加えた後のレンズ150の例示的実施形態を示す。レンズ150はその後、眼の周辺温度まで冷却されていてもよい。チャンバ166’に最も近いカプセル175Aは扁平になっている。このカプセルは、第一の形状(半球形)から第二の形状(実質的に平坦)に変化している。この形状変化は、冷却後、安定している。その結果、貯蔵部172A’は、ほぼカプセル175Aの体積分だけ体積が増大している。貯蔵部172Bは変化しないままである。その結果、光学流体190がチャンバ166’からマイクロ流体経路180を通って貯蔵部172A’へと流れている。光学流体190が柔軟膜164’にかける圧力が低下する。柔軟膜164’が扁平となり、チャンバ166’の体積がそれに対応して減少している。したがって、レンズ本体160の光学パワーは低下する。その結果、レンズ150のベースパワーは非侵襲的に低下されている。
【0037】
それに対して、レンズ150の光学ベースパワーを図2Aに示される状況から上昇させたいと仮定する。そうするために、柔軟膜164の曲率を大きくすることが望まれる。カプセル175Bの1つ又は複数がガラス転移温度まで、又はそれを超える温度に到達するように加熱処理されると、カプセル175Bが扁平となる。熱が1つのカプセル175Bに、例えばレーザを介して加えられると仮定する。このカプセル175Bの温度は、カプセル175Bのガラス転移温度より高く上昇される。その結果、カプセル175Bは形状を変化させる。
【0038】
図2Cは、マイクロ流体経路180に最も近いカプセル175B’に、カプセル175B’の温度がガラス転移温度まで、又はそれ以上まで上昇させるのに十分な熱を加えた後のレンズ150の例示的実施形態を示す。レンズ150はその後、眼の周辺温度まで冷却されていてもよい。貯蔵モジュール170の感熱部分174B’において、チャンバ166’’に最も近いカプセルは扁平になっている。このカプセルは、半球形から実質的に平坦に変化している。その結果、貯蔵部172B’は、ほぼカプセル175Bの体積分だけ体積が減少している。貯蔵部172Aは変化しないままである。その結果、光学流体190が貯蔵部172B’からマイクロ流体経路180を通ってチャンバ166’ ’へと流れている。光学流体190が柔軟膜164’’にかける圧力が増大する。チャンバ166’’の体積が増大し、柔軟膜164’’の曲率がそれに対応して増大している。チャンバ166’’の体積の変化は、カプセル175Bの体積と等しくすることができるが、その必要はない。したがって、レンズ110の光学パワーは増大する。その結果、レンズ150のベースパワーは非侵襲的に上昇されている。
【0039】
レンズ150のパワーをさらに上昇させたいと判断される可能性がある。このような場合、より多くのカプセル175Bが熱処理されてよい。このような状況は図2Dに示されている。感熱部分174B’’からわかるように、他のカプセル175Bが熱処理されており、したがって平坦である。貯蔵部172B’’の体積はさらに減少する。光学流体190は貯蔵部172B’’からチャンバ166’’へと流れる。チャンバ164’’内の光学流体の圧力の増大によって、柔軟膜164’’はさらに変形し、チャンバ166’’の体積が増大する。その結果、レンズ150の光学パワーはさらに上昇される。レンズ150の光学パワーは、カプセル175Aの1つ又は複数を熱処理することにより、再び低下させてもよい点に留意されたい。
【0040】
レンズ150の特性は、非侵襲的に調節されてよい。より具体的には、レンズ150のベースパワーは、非侵襲的に上昇及び/又は低下されてもよい。それゆえ、レンズ110について論じられたものと同様の利点が得られてもよい。
【0041】
図3A~3Bは、熱により調整可能な眼科レンズ200の他の例示的実施形態の各種の図を示す。簡潔にするために、眼科レンズ200を以下、レンズ200と呼ぶ。図3A~3Bは、レンズ200の部分の側面及び斜視図を示す。明瞭さのために、図3A~3Bは正確な縮尺によらない。レンズ200は、IOL 100等のIOLの一部であってもよく、これはレンズのほかハプティクス(図3A~3Bでは示されていない)を含む。簡潔にするために、光軸は示されていない。
【0042】
レンズ200は、レンズ本体210、貯蔵モジュール220、マイクロ流体経路230、及び光学流体(図3A~3Bでは具体的に示されていない)を有する。レンズ本体210、貯蔵モジュール220、マイクロ流体経路230、及び光学流体は、それぞれレンズ本体120/160、貯蔵モジュール130/170、マイクロ流体経路180、及び光学流体140/190と同様である。それゆえ、レンズ本体210、ベース212、柔軟膜214、及びチャンバ216は、それぞれレンズ本体120/160、ベース122/162、柔軟膜124/164、及びチャンバ126/166と同様である。同様に、貯蔵モジュール220、貯蔵部222、及び感熱部分224は、それぞれ貯蔵モジュール130/170、貯蔵部132A/132B/172A/172B、及び感熱部分134A/134B/174A/174Bと同様である。これらの構成要素の構造、機能、及び材料は前述のものと同様であってよい。図示されていないが、前面及び/又は後面は、これに限定されないが回折格子を含む他の特徴を有していてもよい。別の構成要素として示されているが、貯蔵モジュール210とレンズ本体220は、1つの部品として相互に統合されてもよい。
【0043】
図の実施形態において、貯蔵部222は、個別に形成されたカプセルを含む壁を有する。各カプセルは、カプセルの壁を形成する感熱部分224を有する。それゆえ、感熱部分224とカプセル224は、事実上、レンズ200にとって同義である。カプセル224はSMPであってもよい。図の実施形態において、各カプセル224は個別である。各カプセル224は同じ体積と向きを有するように示されている。他の実施形態では、カプセル224の1つ又は複数は異なる体積及び/又は異なる向きを有していてもよい。例えば、図示されている16のカプセル224のうちの8つは示されているものと反対の向きを有していてもよい。それゆえ、カプセル224は図2Aに示されている感熱部分174A及び174Bと同様の向きを有していてよい。それゆえ、レンズ200のベースパワーの上昇と低下の両方が提供されてよい。
【0044】
レンズ200は、レンズ110及び150と同様に機能する。したがって、レンズ200はレンズ110及び/又は150の利点を共有していてもよい。特に、レンズ200のベースパワーは、非侵襲的に患者に合わせられてよい。これは、カプセル224の1つ又は複数を、例えばレーザを介して熱処理することにより実現されてよい。その結果、レンズ200のベースパワーは、レンズ200の寿命を通して、比較的迅速に、容易に調整されてよい。
【0045】
図4は、熱により調整可能な眼科レンズ200’の他の例示的実施形態の断面斜視図を示す。簡潔にするために、眼科レンズ200’を以下、レンズ200’と呼ぶ。明瞭さのために、図4は正確な縮尺によらない。レンズ200’は、IOL 100等のIOLの一部であってもよく、これはレンズのほかハプティクス(図4では示されていない)を含む。簡潔にするために、光軸は示されていない。
【0046】
レンズ200’はレンズ本体210’、貯蔵モジュール220’、及び光学流体(図4では具体的に示されていない)を有する。レンズ本体210’、貯蔵モジュール220’、マイクロ流体経路230’、及び光学流体は、それぞれレンズ本体120/160/210、貯蔵モジュール130/170/220、マイクロ流体経路180/230、及び光学流体140/190と同様である。それゆえ、レンズ本体210’、ベース212’、柔軟膜214’、及びチャンバ216’は、それぞれレンズ本体120/160/210、ベース122/162/212、柔軟膜124/164/214、及びチャンバ126/166/216と同様である。同様に、貯蔵モジュール220’、貯蔵部222’、及び感熱部分224’は、それぞれ貯蔵モジュール130/170/220、貯蔵部132A/132B/172A/172B/222、及び感熱部分134A/134B/174A/174B/220と同様である。これらの構成要素の構造、機能、及び材料は前述のものと同様であってよい。図示されていないが、前面及び/又は後面は、これに限定されないが回折格子を含む他の特徴を有していてもよい。別の構成要素として示されているが、貯蔵モジュール210’とレンズ本体220’は、1つの部品として相互に統合されてもよい。
【0047】
図の実施形態において、貯蔵部222’は個別に形成された球形のカプセルを含む壁を有する。それゆえ、レンズ200’のためのカプセルは、半球形ではなく球形である。各カプセルは、カプセルの壁を形成する感熱部分224’を有する。それゆえ、感熱部分224’と球形のカプセル224’は、レンズ200にとって事実上同義である。球形のカプセル224’はSMPであってもよい。図の実施形態において、各球形のカプセル224’は個別である。各カプセル224’は同じ体積を有するように示されている。他の実施形態では、カプセル224’の1つ又は複数は異なる体積を有していてもよい。図の実施形態において、球形のカプセルの上下の半球形の感熱部分224’は個別に熱処理されてよい。
【0048】
レンズ200’は、レンズ110、150、及び200と同様に機能する。したがって、レンズ200’はレンズ110、150、及び/又は200の利点を共有していてもよい。特に、レンズ200’のベースパワーは、非侵襲的に患者に合わせられてよい。これは、カプセル224’の1つ又は複数を、例えばレーザを介して熱処理することにより実現されてよい。その結果、レンズ200’のベースパワーは、レンズ200’の寿命を通して、比較的迅速に、容易に調整されてよい。
【0049】
図5は、眼科レンズを提供する方法300のある例示的実施形態を示すフローチャートである。簡潔にするために、幾つかのステップは省略され、中間に挿入され、及び/又は組み合わせられている可能性がある。方法300も、眼科器具100と眼科レンズ110の観点から説明される。しかしながら、方法300は、眼科レンズ110、150、200、200’及び/又は同様の眼科器具の1つ又は複数に使用されてよい。
【0050】
ステップ302で、レンズ本体120が提供される。ステップ302は、ベース122、柔軟膜124、及び窩洞126を提供することを含む。マイクロ流体経路180又は230等のマイクロ流体経路の幾つか又は全部は、レンズ本体120を形成する中で提供されてよい。ステップ302は、ベース122と柔軟膜124を、チャンバ126の空間がそれらの間にあるように形成すること、及び/又は接続することを含んでいてもよい。ステップ302はまた、柔軟膜124及び/又はベース122上に回折格子を形成する場合はこれを形成することも含んでいてよい。
【0051】
ステップ304で、貯蔵モジュール130が提供される。ステップ304は、貯蔵部132A/132Bの境界に感熱部分134A及び134を提供することを含んでいてよい。例えば、適当な形状、大きさ、ガラス転移温度、及びレーザ光の吸収を有する所望のSMPが提供される。ステップ304はまた、マイクロ流体経路の幾つか又は全部を形成することも含んでいてよい。
【0052】
ステップ302及び304においてまだ完了していなければ、マイクロ流体経路180又は230はステップ306で提供される。ステップ306は単に、チャンバ126と貯蔵部132A/132Bとの間に開口部又は通路を提供することを含んでいてよい。あるいは、より複雑な経路が形成されてよい。
【0053】
ステップ308で、光学流体140はレンズ110に提供される。ステップ308は、レンズ110に所望の光学流体140を充填することと、レンズ110を密閉することを含んでいてもよい。それゆえ、光学流体140はチャンバ126と貯蔵部132A/132Bとの間に流れてもよい。ハプティクス102及び104は任意選択により、ステップ310で提供されてよい。
【0054】
方法300を使い、IOL 100と眼科レンズ110、150、200、及び/又は200’が提供されてよい。それゆえ、レンズ110、150、200、及び/又は200’の1つ又は複数の利点が得られてよい。
【0055】
図6は、患者の眼科的状態を治療し、レンズを調整する方法350のある例示的実施形態を示すフローチャートである。簡潔にするために、幾つかのステップは省略され、中間に挿入され、及び/又は組み合わせられている可能性がある。方法350も、眼科器具100と眼科レンズ110を使用する観点から説明される。しかしながら、方法350は、眼科レンズ150、200、及び/又は200’に使用されてよい。
【0056】
ステップ352で、熱により調整可能なIOL 100が、患者の眼内に移植するために選択される。IOL 100は、レンズ本体120、貯蔵モジュール130、チャンバ、126、及び貯蔵部132A/132Bと光学流体140との間の接続を含む。選択プロセスの一部は、患者の視力に必要な矯正を特定することと、適当なパワーを有するIOL 100を選択することを含んでいてよい。
【0057】
ステップ354で、IOL 100が患者の眼に移植される。ステップ354は、患者自身の水晶体をIOL 100と置換すること、又は患者の水晶体をIOL 100で補完することを含んでいてよい。
【0058】
ステップ150で、移植されたIOL 100が正しいベースパワーを有するか否かが特定される。ステップ150は、患者の視力を再測定することを含んでいてよい。このステップは、移植後すぐに行っても、しばらくたってから行ってもよい。これは、IOL 100が、幾つかの実施形態において、その寿命を通して調整されてよいからである。ベースパワーが適正であれば、方法は終了する。
【0059】
しかしながら、ベースパワーが適正でなければ、ステップ358で、IOL 100のベースパワーが非侵襲的に調整されてよい。ベースパワーの上昇又は低下が補正されることが望まれる場合、ステップ352で、レンズ150と同様のレンズが選択されてよい。ステップ358は、感熱部分134A及び/又は134Bの所望の領域を加熱されるように位置決めすることを含んでいてもよい。次に、レーザを感熱部分134A及び/又は134Bの所望の部分に照準が合うようにし、ガラス転移温度に到達するか、又はそれを超えるまで発射されてよい。幾つかの実施形態において、眼の加熱を低減させるために、レーザには低いデューティサイクルが使用されてよい。ステップ358は、1回の外来診療中に実行されてよい。それに加えて、ステップ356及び358は、レンズ110の所望のパワーに到達するまで何度も繰り返されてよい。さらに、ステップ356及び358は、レンズ110の寿命を通じて様々な時期に繰り返されてよい。
【0060】
方法350を使って、医師は熱を利用してIOL 100のベースパワーをより迅速かつ容易に調整することができる可能性がある。これは、患者にとっての追加の眼鏡を必要とせず、又はIOL 100の中に変化をロックすることなく達成されてよい。その結果、医師と患者の双方に対する負荷が縮小されてよい。方法350はまた患者にとってより安全である可能性があり、これは、方法350が非侵襲的に行われてよいからである。その結果、熱により調整可能なIOL 100とレンズ110、150、200、及び/又は200’の利点が達成されてよい。
【0061】
熱により調整可能なIOLを提供する方法とシステムについて説明した。これらの方法とシステムは、図のような例示的実施形態により説明されており、当業者であれば、これらの実施形態への改変があり得ることに容易に気付き、あらゆる改変はこれらの方法とシステムの主旨と範囲内に含まれる。したがって、当業者により、付属の特許請求の範囲の主旨と範囲から逸脱せずに数多くの改良がなされてよい。
【符号の説明】
【0062】
102 ハプティクス
106 光軸
110 眼科レンズ
120 レンズ本体
122 ベース
124 柔軟部分
126 チャンバ
130 貯蔵モジュール
132A 貯蔵部
132B 貯蔵部
134A 感熱部分
134B 感熱部分
140 光学流体
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-10-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科レンズにおいて、
内部にチャンバを有するレンズ本体であって、前記レンズ本体の少なくとも一部分が柔軟であるレンズ本体と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある第1の貯蔵部であって、レーザから光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる複数の第1の感熱構造を含む第1の貯蔵部と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある第2の貯蔵部であって、前記レーザから前記光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる複数の第2の感熱構造を含む第2の貯蔵部と;
前記チャンバ、前記第1の貯蔵部および前記第2の貯蔵部内にある光学流体と、
を含む眼科レンズであって、
前記複数の第1の感熱構造のうちの少なくとも1つが、前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記第1の貯蔵部から前記チャンバへと前記光学流体を駆動するように構成されており、
前記複数の第2の感熱構造のうちの少なくとも1つが前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記第2の貯蔵部から前記チャンバへと前記光学流体を駆動するように構成されており、
前記第1の貯蔵部が前記第2の貯蔵部から分離され、前記第1の貯蔵部と前記第2の貯蔵部の間のあらゆる流体流が前記チャンバを通るものである、
眼科レンズ。
【請求項2】
前記レンズ本体がレンズ本体屈折率を有し、前記光学流体が光学流体屈折率を有し、前記レンズ本体屈折率が前記光学流体屈折率と0.1以内で整合する、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項3】
前記チャンバと前記第1の貯蔵部を連結する流体経路をさらに含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項4】
前記チャンバと前記第2の貯蔵部を連結する流体経路をさらに含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項5】
前記第1の感熱構造のうちの1つの感熱構造の形状変化が、前記光学流体の第1の体積を前記第1の貯蔵部から前記チャンバまで駆動するように構成されており、前記第2の感熱構造のうちの1つの感熱構造の形状変化が、前記光学流体の第2の体積を前記第2の貯蔵部から前記チャンバまで駆動するように構成されており、前記第1の体積が前記第2の体積と同じである、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項6】
前記第1の感熱構造のうちの1つの感熱構造の形状変化が、前記光学流体の第1の体積を前記第1の貯蔵部から前記チャンバまで駆動するように構成されており、前記第2の感熱構造のうちの1つの感熱構造の形状変化が、前記光学流体の第2の体積を前記第2の貯蔵部から前記チャンバまで駆動するように構成されており、前記第1の体積が前記第2の体積と異なるものである、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項7】
前記第1の感熱構造のうちの少なくとも1つが、前記第2の感熱構造のうちの少なくとも1つとは異なる形状を有する、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項8】
柔軟である前記レンズ本体の前記一部分が柔軟膜である、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項9】
前記第1の感熱構造および前記第2の感熱構造のうちの少なくとも1つが、少なくとも摂氏45度の温度に達したことに応答して形状を変化させるように構成されている、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項10】
前記第1の感熱構造および前記第2の感熱構造のうちの少なくとも1つが、選択された波長範囲内の前記光エネルギを吸収する添加剤を含む、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項11】
前記第1の貯蔵部から前記チャンバまで前記光学流体を駆動することによって、前記眼科レンズのベースパワーが変化する、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項12】
前記第2の貯蔵部から前記チャンバまで前記光学流体を駆動することによって、前記眼科レンズのベースパワーが変化する、請求項1に記載の眼科レンズ。
【請求項13】
眼科レンズにおいて、
内部にチャンバを有するレンズ本体であって、前記レンズ本体の少なくとも一部分が柔軟であるレンズ本体と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある第1の貯蔵部であって、レーザから光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる複数の第1の感熱構造を含む第1の貯蔵部と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある第2の貯蔵部であって、前記レーザから前記光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる複数の第2の感熱構造を含む第2の貯蔵部と;
前記チャンバ、前記第1の貯蔵部および前記第2の貯蔵部内にある光学流体と、
を含む眼科レンズであって、
前記複数の第1の感熱構造のうちの少なくとも1つが、前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記第1の貯蔵部から前記チャンバへと前記光学流体を駆動するように構成されており、
前記複数の第2の感熱構造のうちの少なくとも1つが前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記チャンバから前記第2の貯蔵部へと前記光学流体を駆動するように構成されており、
前記第1の貯蔵部が前記第2の貯蔵部から分離され、前記第1の貯蔵部と前記第2の貯蔵部の間のあらゆる流体流が前記チャンバを通るものである、
眼科レンズ。
【請求項14】
眼科レンズにおいて、
内部にチャンバを有するレンズ本体であって、前記レンズ本体の少なくとも一部分が柔軟であるレンズ本体と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある貯蔵部であって、レーザから光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる第1の感熱構造および第2の感熱構造を含む貯蔵部と;
前記チャンバおよび前記貯蔵部の中にある光学流体であって、前記貯蔵部と前記チャンバの間を移動して前記眼科レンズのベースパワーを変化させるように適応されている光学流体と、
を含む眼科レンズであって、
前記第1の感熱構造および前記第2の感熱構造が環状体の一部であり、
前記第1の感熱構造が、前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記貯蔵部から前記チャンバまで前記光学流体を駆動するように構成されており、
前記第2の感熱構造が、前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記チャンバから前記貯蔵部まで前記光学流体を駆動するように構成されている、
眼科レンズ。
【請求項15】
眼科レンズにおいて、
内部にチャンバを有するレンズ本体であって、前記レンズ本体の少なくとも一部分が柔軟であるレンズ本体と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある貯蔵部であって、レーザから光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる第1の感熱構造および第2の感熱構造を含む貯蔵部と;
前記チャンバおよび前記貯蔵部の中にある光学流体であって、前記貯蔵部と前記チャンバの間を移動して前記眼科レンズのベースパワーを変化させるように適応されている光学流体と、
を含む眼科レンズであって、
前記第1の感熱構造および前記第2の感熱構造が環状体の一部であり、
前記第1の感熱構造および前記第2の感熱構造のうちの少なくとも1つが、前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記貯蔵部から前記チャンバまで前記光学流体を駆動するように構成されており、
前記第1の感熱構造が、前記第2の感熱構造から半径方向にオフセットして位置付けされている、
眼科レンズ。
【請求項16】
眼科レンズにおいて、
内部にチャンバを有するレンズ本体であって、前記レンズ本体の少なくとも一部分が柔軟であるレンズ本体と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある貯蔵部であって、レーザから光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる第1の感熱構造および第2の感熱構造を含む貯蔵部と;
前記チャンバおよび前記貯蔵部の中にある光学流体であって、前記貯蔵部と前記チャンバの間を移動して前記眼科レンズのベースパワーを変化させるように適応されている光学流体と、
を含む眼科レンズであって、
前記第1の感熱構造および前記第2の感熱構造が互いに分離された個別のユニットであり、
前記第1の感熱構造および前記第2の感熱構造のうちの少なくとも1つが、前記光エネルギを吸収して、前記貯蔵部から前記チャンバまで前記光学流体を駆動し、前記ベースパワーを変化させるように構成されている、
眼科レンズ。
【請求項17】
眼科レンズにおいて、
内部にチャンバを有するレンズ本体であって、前記レンズ本体の少なくとも一部分が柔軟であるレンズ本体と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある貯蔵部であって、レーザから光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる第1の感熱構造および第2の感熱構造を含む貯蔵部と;
前記チャンバおよび前記貯蔵部の中にある光学流体であって、前記貯蔵部と前記チャンバの間を移動して前記眼科レンズのベースパワーを変化させるように適応されている光学流体と、
を含む眼科レンズであって、
前記第1の感熱構造および前記第2の感熱構造が球形ユニットであり、
前記第1の感熱構造および前記第2の感熱構造のうちの少なくとも1つが、前記光エネルギを吸収して、前記貯蔵部から前記チャンバまで前記光学流体を駆動し、前記ベースパワーを変化させるように構成されている、
眼科レンズ。
【請求項18】
眼科レンズにおいて、
内部にチャンバを有するレンズ本体であって、前記レンズ本体の少なくとも一部分が柔軟であるレンズ本体と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある貯蔵部であって、レーザから光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる第1の感熱構造および第2の感熱構造を含む貯蔵部と;
前記チャンバおよび前記貯蔵部の中にある光学流体であって、前記貯蔵部と前記チャンバの間を移動して前記眼科レンズのベースパワーを変化させるように適応されている光学流体と、
を含む眼科レンズであって、
前記第1の感熱構造および第2の感熱構造のうちの少なくとも1つが、前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記貯蔵部から前記チャンバまで前記光学流体を駆動するように構成されており、
前記第1の感熱構造および前記第2の感熱構造が互いに異なる形で整形されている、
眼科レンズ。
【請求項19】
眼科レンズにおいて、
内部にチャンバを有するレンズ本体であって、前記レンズ本体の少なくとも一部分が柔軟であるレンズ本体と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある貯蔵部であって、レーザから光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる第1の感熱構造および第2の感熱構造を含む貯蔵部と;
前記チャンバおよび前記貯蔵部の中にある光学流体であって、前記貯蔵部と前記チャンバの間を移動するように適応されている光学流体と、
を含む眼科レンズであって、
前記第1の感熱構造が前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記貯蔵部から前記チャンバまで前記光学流体を駆動して前記眼科レンズのベースパワーを増大させるように構成されており、
前記第2の感熱構造が、前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記貯蔵部から前記チャンバまで前記光学流体を駆動する前記眼科レンズの前記ベースパワーをさらに増大させるように構成されている、
眼科レンズ。
【請求項20】
眼科レンズにおいて、
内部にチャンバを有するレンズ本体であって、前記レンズ本体の少なくとも一部分が柔軟であるレンズ本体と;
前記レンズ本体の前記チャンバと流体連通状態にある貯蔵部であって、レーザから光エネルギを受取ったことに応答して形状を変化させる第1の感熱構造および第2の感熱構造を含む貯蔵部と;
前記チャンバおよび前記貯蔵部の中にある光学流体であって、前記貯蔵部と前記チャンバの間を移動するように適応されている光学流体と、
を含む眼科レンズであって、
前記第1の感熱構造が前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記チャンバから前記貯蔵部まで前記光学流体を駆動して前記眼科レンズのベースパワーを低下させるように構成されており、
前記第2の感熱構造が、前記光エネルギを吸収して形状を変化させ、前記チャンバから前記貯蔵部まで前記光学流体を駆動して前記眼科レンズの前記ベースパワーをさらに低下させるように構成されている、
眼科レンズ。