IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アブソリューションズ メッド,インク.の特許一覧

特開2024-177580腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス
<>
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図1
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図2
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図3
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図4
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図5
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図6
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図7
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図8A
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図8B
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図8C
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図9
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図10
  • 特開-腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177580
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】腹部の閉鎖方法および様々な態様のデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/08 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A61B17/08
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024178599
(22)【出願日】2024-10-11
(62)【分割の表示】P 2021518954の分割
【原出願日】2019-09-25
(31)【優先権主張番号】62/740,589
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/775,500
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/784,175
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521138497
【氏名又は名称】アブソリューションズ メッド,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ランプス,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】コジョウリ,コウロッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス,ダニエル
(57)【要約】
【課題】 腹壁閉鎖の披裂率を低減するための腹壁閉鎖補強方法および組織アンカー固定デバイスを提供する。
【解決手段】組織アンカーは、異物の永久的な足跡を避け、内臓構造へのリスクが存在する閉腹部の内層にわたる物質を排除する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプラットフォームの表面から延びる長手部分を有する1つ以上のアンカー部材を形成する第1のプラットフォームであって、前記1つ以上のアンカー部材のそれぞれは、末端の穿刺端を有するとともに前記長手部分に沿って1つ以上の肩部を形成する、第1のプラットフォームと、
1つ以上のチャネルを形成する第2のプラットフォームであって、前記1つ以上のチャネルの位置が、前記1つ以上のアンカー部材の位置に対応しており、これにより、前記1つ以上の肩部によって前記第1のプラットフォームに対する前記第2のプラットフォームの配向を維持しながら前記1つ以上のアンカー部材のそれぞれを対応するチャネルに沿って受承する、第2のプラットフォームと、
第1の係合解除位置から係合位置まで位置決め可能である第3のプラットフォームであって、前記第3のプラットフォームが、前記第2のプラットフォーム上に位置決めされ、前記1つ以上のアンカー部材に沿って縮小部分と係合するように移動し、これにより、前記第2のプラットフォームが、前記1つ以上のアンカー部材に対してアンカー固定される、第3のプラットフォームと、
を備える、組織アンカー装置。
【請求項2】
前記1つ以上のアンカー部材の位置に対応する1つ以上の開口部を形成する保持プラットフォームをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
組織アンカーに対向して配置された追加の組織アンカーに固定するために、前記第2のプラットフォームの一部に取り付け可能な1つ以上の固定要素をさらに備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記1つ以上の固定要素が、長手部分を有する縫合糸または付勢要素を含む、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のプラットフォームが、4つのアンカー部材を有する台形の形態を取る、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記1つ以上のアンカー部材のそれぞれが、前記表面から互いに平行に延びている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記1つ以上のアンカー部材のそれぞれは、前記第1のプラットフォームに対して角度が付けられている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記1つ以上の肩部は、前記1つ以上のアンカー部材の前記長手部分に沿って直径が低減した領域によって形成される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記第2のプラットフォームは、前記第1のプラットフォームの前記表面に対向するプラットフォームの表面から延びる1つ以上の第2のアンカー部材をさらに備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記1つ以上の第2のアンカー部材は、それぞれが前記第1のプラットフォームからの前記1つ以上のアンカー部材よりも小さい長手部分を有する歯からなる、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記第1のプラットフォームおよび前記第2のプラットフォームは、互いに平行な配向を有している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記1つ以上のアンカー部材のそれぞれが、前記第1のプラットフォームの前記表面に対して一様な高さを有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記第1のプラットフォームに係合したときに前記第2のプラットフォームを超えて延びる前記1つ以上のアンカー部材の一部が取り払い可能である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記第1のプラットフォームが生体吸収性を備えるように構成される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記第2のプラットフォームが生体吸収性を備えるように構成される、請求項1に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹壁閉鎖部全体に張力を分散させて治癒を支援するとともに披裂を回避すると同時に、腹腔内の内臓をデバイス関連の損傷から保護する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
腹壁ヘルニアは、前腹壁の筋膜および筋肉のうちの少なくともいずれか一方に欠陥がある場合に発生する。腹壁の欠損や構成は、過去に行われた筋膜の切開が十分に治癒しなかった場合(瘢痕ヘルニア)に生じることがほとんどであるが、妊娠や新たに生じた場合もある。
【0003】
米国では約400万件の開腹手術が行われており、術後の合併症としてよく報告されているのが瘢痕ヘルニアで、閉腹を試みた後、最大で20%の患者に発生する。図1は、腹壁ヘルニアの一般的な部位、例えば、上腹壁ヘルニア、腹部ヘルニア、瘢痕ヘルニアなどを示す患者の腹部Aを示している。
【0004】
腹壁ヘルニアの治療法は、典型的な3つのカテゴリーに分類される。すなわち、(1)欠損部を補綴のまたは生物学的なパッチ(メッシュなど)で覆う、(2)欠損部をある程度の張力で閉鎖するとともに補綴のまたは生物学的なパッチで閉鎖部を支持する、(3)腹壁要素の分離では、腹壁の筋肉および筋膜の1つ以上の層を分割して要素を正中線に向けて前進させることで、腹壁の隙間なく欠損部を閉鎖し、通常これをパッチで支持する。すべての技術には重大な短所があり、その多くはパッチの使用に関連付けられている。
【0005】
腹壁の欠損部を覆ったり、筋膜の閉鎖部を支持するために使用されるメッシュは、異物であり、異物がもたらすあらゆる固有のリスクを伴っている。このような状況での2つの最も大きなリスクは、感染、および腸などの重要な構造物への侵食である。両者とも壊滅的な事象である。感染症が発生した場合、それが急性のものであれ遅発性のものであれ、メッシュの間に成長した組織からメッシュを取り除くことは、不可能ではないにしても、外科的な外傷を伴い得る。腸への浸食は、感染症の原因となるだけでなく、腸の内容物が腹腔やメッシュ、皮膚の穴(腸皮瘻)などに自由に漏れ出すことで、生命の危機やQOL(生活の質)の低下をも招くことになる。図2は、周囲の腸管組織に浸食されたメッシュ10の例を示す図である。
【0006】
腹部外科医がしばしば遭遇する付加的な状況として、外傷や広範囲の腹部手術後に腹部の閉鎖が困難になることがある。このような状況では、腹腔内容物の膨らみによって腹腔内容積が増加し、腹壁部の閉鎖が不可能になるか、または過度に高い張力の下で行われる。しかしながら、軟部組織は高い張力に耐えることができず、一般的に治癒するまで結合を維持することができず、これにより、腹壁ヘルニアになってしまう。外科医は、術後の初期段階で腹壁を所定の位置に保持するために大きな縫合糸を使用し、披裂(分離)を防ごうと試みる。その例を、切開部Iの両側に配置された裏当て部材20を有する保持縫合糸を示す図3、および腹部Aに沿って切開部Iの正中線を直接横断する保持縫合糸30を示す図4に示す。
【0007】
図5の概略詳細断面図に示すように、保持縫合糸40は、設計上、典型的には、腹壁部AWの上方および下方の両者で(深部まで)切開閉鎖部の正中線を横断して延びる区分を有する。縫合糸40は、縫合糸40と後腹壁部との間に潜在的な捕捉空間が形成されるように配置される。ベクトル矢印44は、後筋膜および皮膚における縫合糸40の転回点における力の正味の方向を示す。腹壁部の下方(深部)にあるセグメントは、その下にある腸の組織を脅かす。加えて、保持縫合糸40は、一般的な縫合糸と同様に、比較的剛性を備えるとともに鋭利であり、組織を切り裂いて切開部の披裂および修復の失敗につながる可能性がある。皮膚表面に配置された縫合糸の長手部分は、皮膚への侵食を防止または抑制するために、管状部材42で包囲されていてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
腹部閉鎖部披裂に対する1つのアプローチは、腹壁部の筋膜端の左右の位置関係を維持することにあり、すなわち、(a)腹壁部の深い部分に長手にわたる材料を使用しないこと(保持縫合糸とは対照的に)により、その下にある腸や臓器へのデバイスによる外傷を防ぐこと、(b)術後数年経っても合併症を起こしやすい恒久的なメッシュやその他の素材を避けること、(c)組織アンカーを容易に配置できるようにすること、(d)実際に可能な限り多くの点と広い範囲に張力を分散させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般的に、軟部組織の1つ以上の層を完全に貫通し、対向する軟部組織に取り付けられる軟部組織アンカーにより、軟部組織を横断して張引力が分散されて、創傷や切開部の縁部が互いに近付けられたり、近付けられた組織が互いに維持されたりすることができる。組織アンカーは縫合糸と組み合わせて使用することができ、アンカーと縫合糸とがともに生体吸収性を備えるため、後に感染症などの合併症を引き起こす可能性がある異物の恒久的な痕跡が残らない。生体吸収性材料としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリジオキサノン(PDO、PDS)、ポリカプロラクトン(PCL)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
他の態様では、非生体吸収性の材料を様々な容量で組織アンカーと組み合わせて使用することができる。そのような材料としては、ステンレススチール、チタン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)など、体内での経時劣化が少ない材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
別の態様では、組織アンカーは、接続部材により近位アンカー部材に結合された遠位アンカー部材を有する第1の組織アンカーを含んでもよい。遠位アンカー部材は、近位アンカー部材に向かって突出するように遠位アンカー部材のプラットフォームから離間するように延びる歯のような1本以上の穿刺要素を有するように構成されていてもよい。同様に、近位アンカー部材は、遠位アンカー部材に向かって突出するように近位アンカー部材のプラットフォームから延びる1本以上の歯を有していてもよい。接続部材は、遠位アンカー部材および近位アンカー部材のうちの少なくともいずれか一方に枢動可能に結合され、これにより、アンカー部材は互いに対して、また接続部材に対して、相対的に枢動し、角度を付けることができるようになっていてもよい。これに代えて、アンカー部材の一方または両者を、下の組織への固定を容易にするために、所定の固定角度で接続部材に取り付けてもよい。
【0012】
使用時には、遠位アンカー部材は、1本以上の歯が延びて、中間の腹壁内側の引張強度が最大である前直筋鞘(anterior rectus sheath)などの組織に少なくとも部分的に後方に侵入するように、創傷または切開部の第1の縁部の近傍のまたは第1の縁部に近接した組織表面(例えば、腹壁部に沿って)に対して配置されてもよい。接続部材は、近位アンカー部材が、弧状線の上に存在する後直筋鞘(posterior rectus sheath)などの反対側の組織の厚み部分に沿って配置されるように、皮膚および/または腹壁部を完全に貫通していてもよい。近位側の組織アンカーの1本以上の歯は、介在する組織の厚み部分が第1の組織アンカーと第2の組織アンカーとの間に挟持されるように、前方に少なくとも部分的に組織内に延びて穿刺していてもよい。ここでは議論のために、体のコアにより近いものを相対的な用語として「近位」、体のコアからより離れたものを相対的な用語として「遠位」と呼んでいる。
【0013】
第2の組織アンカーは、第1の組織アンカーに直接対向する、または千鳥状に反対側の、創傷または切開部の第2の縁部の近傍にまたは第2の縁部に近接して固定されてもよい。同様に、第2の組織アンカーは、下の組織に少なくとも部分的に突出する1本以上の歯を有する遠位アンカー部材と、下の組織に少なくとも部分的に前方に突出する1本以上の歯を有する近位アンカー部材とを有していてもよい。遠位アンカー部材および近位アンカー部材は、固定された組織領域の厚み部分を貫通して延びる接続部材により互いに結合されてもよい。
【0014】
組織アンカーが創傷または切開部の第1の縁部および第2の縁部に固定された状態で、遠位アンカー部材のそれぞれは、例えば、縫合糸の通過を可能にするためにデバイスに配置された1つ以上の開口部を通して、組織アンカーのそれぞれに固定され得る縫合糸などの接続部材により互いに結合されてもよい。1つの組織アンカーからの縫合糸は、例えば、対向側の組織アンカーに接続することができ、これにより、縫合糸および組織アンカーのアセンブリは、治癒が生じる間、縁部を位置合わせして保持する。
【0015】
創傷や切開部の長さに応じて、任意の数の組織アンカーの対を組織に適用して、創傷の閉鎖部を近付け、かつ/または維持することができ、これにより各組織アンカーは創傷や切開部の縁部に沿って互いに隣接して適用される。アンカーは、傷口や切開部を挟んで対を正対して設置しても、ずらして設置してもよい。
【0016】
腹壁部の筋膜および筋肉を通過する接続部材は、対応するアンカー部材に対して角度をつけたり、ヒンジをつけたりして、縫合糸の内側の力がアンカー部材とより平行になるようにしてもよい。これにより、腹壁部全体(前直筋鞘、直筋、後直筋鞘がある場合はその部分)ではなく、前直筋鞘にすべてまたはほとんどの力がかかる傾向にある前部モーメントアームの低減を支援することができる。加えて、組織アンカーの各構成要素は、完全に生体吸収性を備える材料で製造されているので、組織アンカーを所定の位置に置いておくと、時間の経過とともに生体に吸収されてもよい。これに代えて、組織アンカーの一部、例えば、後部アンカー部材および接続部材のうちの少なくともいずれか一方が生体吸収性を備え、遠位アンカー部材が非生体吸収性であってもよい。一旦創傷や切開部が十分に治癒して接着したら、遠位アンカー部材を組織から切り離して取り払い、接続部材および近位アンカー部材は体内に残して吸収させてもよい。
【0017】
また、別の態様として、少なくとも部分的に上にある組織の中に遠位方向に延びる1本以上の歯を有する後部アンカー部材を有する第1の組織アンカーが挙げられる。各々が内腔を形成する1本以上の柱状部は、アンカー部材が組織内面に対して展開されたときに、柱状部のそれぞれが筋膜および/または皮膚組織の厚み部分全体を貫通するように、後部アンカー部材から突出していてもよい。後部アンカー部材は、1本以上の柱状部が組織から角度をなして出てくるように、アンカー部材に対して角度をなして延びていてもよい。
【0018】
第2の組織アンカーを、第1の組織アンカーに直接対向する創傷または切開部の第2の縁部に固定した状態で、縫合糸のような可撓性を備えた結合部材を、各開口部を介して対応する柱状部に通し、組織アンカーの長手部分を通し、組織アンカーのそれぞれを結合することができる。縫合糸は、創傷や切開部の縁部を互いに近付け、かつ/または維持したりするために締め付けることができる。第2の組織アンカーも同様に、接触した組織内に突出する1本以上の歯を有する後部アンカー部材を有していてもよい。縫合糸が開口部の間を通り、柱状部を通り、各アンカー部材を通り、または各アンカー部材に沿って、柱状部を戻り、対応する開口部を通るように、1本以上の柱状部がアンカー部材から突出していてもよい。
【0019】
組織アンカーのさらなる態様は、第1のプラットフォームと、そのプラットフォームからそれぞれ突出する1本以上の歯とで構成されている。各歯は互いに平行に延びていてもよいし、1本以上の歯が互いに異なる角度をなしていてもよい。第2のプラットフォームは、様々なレベルまたは距離で第1のプラットフォームの各歯に個別に取り付け可能であり、これにより、創傷または切開部の縁部の近傍のまたは縁部に近接した組織などの組織領域を、第1のプラットフォームと第2のプラットフォームとの間に挟持するか固定することができる。
【0020】
第1のプラットフォームは、変形例では台形状の構成を有していてもよいが、様々な構成(例えば、円形、卵形、三角形、矩形、偏菱形など)で形成されていてもよい。また、第2のプラットフォームは、第1のプラットフォームと同様の形状または同じ形状で、第1および第2のプラットフォームが同じ方向に配向されてもよい。他の態様では、第1および第2のプラットフォームは各々、第2のプラットフォームが第1のプラットフォームに接続可能であることを条件に、互いに異なる形状または構成を有していてもよい。
【0021】
第1の縁部は、第1のプラットフォームから延びる1本以上の歯の位置に対応して縁部に沿って配置されるスロットまたはチャネルをさらに形成してもよい。したがって、第1のスロットは、第1の歯に対応する位置で第1の縁部に沿って形成され、第2のスロットは、第2の歯に対応する位置で第1の縁部に沿って形成されてもよい。第3のスロットは、第3の歯に対応する位置で第1の縁部に沿って形成され、第4のスロットは、第4の歯に対応する位置で第1の縁部に沿って同様に形成されてもよい。各スロットは、第1のプラットフォームから突出している歯の数に対応している。
【0022】
使用時には、第1のプラットフォームの1つ以上の歯を組織領域(腹壁部の内部など)に穿刺し、組織が第1のプラットフォームに突き当たるまで、組織の厚み部分(例えば、筋膜および皮膚、または少なくとも組織の引張強度が最大である前直筋鞘を貫通する)を完全に貫通して前進させることができる。第2のプラットフォームは、組織領域を通って突出した歯の近傍に配置され、続いて歯を対応するスロット内に進入させて通すことにより、第1のプラットフォームと係合するように摺動させることができる。第2のプラットフォームは、2つのプラットフォームが互いに対して平行に維持されるように、第1のプラットフォームと係合してもよい。各歯は、予め形成された直径の小さい領域を有し、その上に対応するスロットが選択的に係合することで、プラットフォーム間の平行な配向を維持することができる。第2のプラットフォームは、第2のプラットフォームがスロットの末端で歯に完全に係合するまで、歯に沿って前進させることができる。第2のプラットフォームは、組織の外面(腹壁部の外側や皮膚の表面など)上に配置され、組織の厚み部分が各プラットフォームの間に挟持されるか、確実に保持されるように、歯に沿って配置されてもよい。第2のプラットフォームを超えて突出している歯の任意の長手部分は、組織アンカーが組織表面に対して低いプロファイルを維持するように、切断、破断、またはその他の方法で取りはらうことができる。
【0023】
第2の組織アンカーは、上述したように、同様に第1の組織アンカーに対向する創傷または切開部の縁部に近接して固定され、これにより、第1および第2の組織アンカーは組織の縁部を近付けるように互いに取り付けまたは結合され、治癒の間、並置された状態に維持される。組織アンカーは、例えば、第2のプラットフォームに沿って形成された開口部を介して取り付けられた長手にわたる縫合糸または他の材料の長手部分により固定することができる。他の態様では、縫合糸の代わりに他の長手にわたる構造体を使用してもよく、例えば、弾性部材、バネ、コイル、ラチェットデバイス、長手にわたるスクリュー、調整可能なステープルまたは固定ステープル、または第1の組織アンカーから第2の組織アンカーにわたる他の構造体が腹壁組織を位置合わせするとともにこれを保持する。組織アンカーのそれぞれに沿った歯が互いに角度をつけて(または外傷や切開部に向かって角度をつけて)配置されている場合、組織アンカーが互いに近付いていることによって組織に与えられる力は、第1のプラットフォームに対する歯の角度によって組織の厚み部分に対する歯のモーメントアームが低減することによって緩和されてもよい。
【0024】
さらに、組織アンカーが組織の厚み部分を貫通して固定されている状態で、本明細書に記載されているように、組織アンカー全体を生体吸収性材料から製造してもよく、これにより、組織が治癒した後に組織アンカーを体内の所定の位置に残し、時間の経過とともにアンカーが分解および吸収されるようにして、組織アンカーを取りはらう必要をなくすことができる。これに代えて、第1のプラットフォームおよび歯を生体吸収性を備える材料で形成し、第2のプラットフォームを非生体吸収性の材料、例えば、プラスチック、金属、合金などで形成してもよい。一旦組織領域が治癒すると、第2のプラットフォームは歯から切り離され、その後、第1のプラットフォームおよび歯を体内に残して体外に取り出され、第1のプラットフォームおよび歯を分解および吸収させることができる。
【0025】
加えて、かつ/またはこれに代えて、吸収性メッシュや恒久的メッシュ、生物学的シートやインサートと組み合わせて、組織アンカーを組織内に固定することもできる。1本以上の歯が、組織の表面に配置されたメッシュに突き刺され、それを通過することができる。メッシュや生物学的要素は、組織アンカーで固定された状態で、腹壁部の解剖学的組織構造のどの平面にも着座することができる。
【0026】
組織アンカー装置の一態様は、一般的に、第1のプラットフォームの表面から延びる長手部分を有する1つ以上のアンカー部材を形成する第1のプラットフォームであって、1つ以上のアンカー部材のそれぞれは、末端の穿刺端を有し、長手部分に沿って1つ以上の肩部を形成する、第1のプラットフォームと、第2のプラットフォームの縁部から延びる1つ以上のチャネルを形成する第2のプラットフォームとを備えることができる。縁部に沿った1つ以上のチャネルの位置は、1つ以上のアンカー部材の位置に対応しており、これにより、1つ以上の肩部によって第1のプラットフォームに対する第2のプラットフォームの配向を維持しながら、1つ以上のアンカー部材のそれぞれが対応するチャネルに沿って摺動可能に受承されるようになっている。
【0027】
組織領域を固定する方法の一態様は、通常第1のプラットフォームの表面から延びる1つ以上のアンカー部材を、創傷または切開部に近接する第1の組織領域の厚み部分を通して穿刺するステップと、第1のプラットフォームに対する第2のプラットフォームの配向を維持しながら、第2のプラットフォームの縁部から延びる対応するチャネル内に対応するチャネルに沿って1つ以上のアンカー部材のそれぞれを摺動させることによって、第1の組織領域の厚み部分を超えて突出している第1のプラットフォームの1つ以上のアンカー部材に第2のプラットフォームを係合させるステップと、を含んでもよく、第1の組織領域の厚み部分を第1のプラットフォームと第2のプラットフォームとの間に固定する。
【0028】
組織アンカー固定用アセンブリの別の変形例は、一般的に、第1の組織領域に対して接触するように構成された第1の表面から突出する1つ以上の穿刺部材を有する第1のプラットフォームと、第1の表面から延び、第1の組織領域を通して配置されるように構成された1つ以上の第1の管状部材とを備え、1つ以上の第1の管状部材は、それぞれ第1の開口部を形成する。第2のプラットフォームは、1つ以上の穿刺要素を有し、これらの穿刺要素は、第2の組織領域に対して接触するように構成された第2の表面から延びる。1つ以上の第2の管状部材は、第2の表面から延び、第2の組織領域を通って配置されるように構成され、1つ以上の第2の管状部材は、それぞれ第2の開口部を形成する。さらに、1つ以上の長手部分の縫合糸が第1の開口部と第2の開口部との間に延び、これにより、第1のプラットフォームおよび第2のプラットフォームが第1の組織領域と第2の組織領域とを互いに協働して近付けるように構成されていてもよい。
【0029】
組織アンカーの別の態様は、第1の組織表面に接触するように構成された第1の表面から延びる1つ以上の穿刺要素を有する第1のプラットフォームと、第1の表面から延び、第1の組織領域を貫通して配置されるように構成された管状部材と、少なくとも1つの開口部を形成する管状部材の遠位端と、第1の組織表面の反対側の第2の組織表面に接触するように構成された第2の表面から延びる1つ以上の穿刺要素を有する第2のプラットフォームとを一般的に備えることができる。
【0030】
組織アンカーのさらなる別の態様は、第1の組織表面に接触するように構成された第1の表面から延びる1つ以上の穿刺要素を有する第1のプラットフォームと、第1の表面から延び、第1の組織表面を貫通して配置されるように構成された1つ以上の管状部材とを一般的に備えることができる。ここで、1つ以上の管状部材はそれぞれ、内部を貫通して延びる内腔を形成し、これにより、1つ以上の管状部材の各内腔が第1のプラットフォームを介して互いに連通してもよく、1つ以上の管状部材の近位端はそれぞれ、対応する内腔と連通する開口部を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、腹壁ヘルニアの一般的な発生部位を示す患者の腹部を示す図である。
図2図2は、腸管組織に浸食されたメッシュの一例を示す図である。
図3図3は、術後の初期段階で組織の位置を保持するために、大きな縫合糸が腹腔閉鎖部を横断している一例を示す図である。
図4図4は保持縫合糸の態様を示す図である。
図5図5は、一般的に使用されている保持縫合糸の配置方法を示す例示的な断面側面図である。
図6図6は、閉鎖部を横断する腹腔内の部分がない、全厚の組織アンカーを示す図である。
図7図7は、縫合糸のループが2つの中空の柱状部を通過してから、腹壁部の前方で正中線閉鎖部を横断するアンカーを示す図である。
図8A図8Aは、2つの部分からなるアンカーであって、歯を有するプラットフォームが腹壁部の内側に配置され、対応する開口部を有する受承部材が腹壁部の外側に配置されていることを示す図である。
図8B図8Bは、2つの部分からなるアンカーであって、歯を有するプラットフォームが腹壁部の内側に配置され、対応する開口部を有する受承部材が腹壁部の外側に配置されていることを示す図である。
図8C図8Cは、2つの部分からなるアンカーであって、歯を有するプラットフォームが腹壁部の内側に配置され、対応する開口部を有する受承部材が腹壁部の外側に配置されていることを示す図である。
図9図9は、2つのパーツからなるアンカーを示す側面図であり、その基部および受承部材に対して歯がどのような角度になるかを示している。
図10図10は、受承部材の態様を示す上面図であり、受承チャンネルおよび開口部を例示している。
図11図11は、別の態様において、対向する縫合糸アンカーがそれぞれ保持部材およびキャップまたは固定部材を含み、これらがアンカーの間に延びる1つ以上の縫合糸(または他の固定要素や付勢部材)とともに歯に取り付けられる場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
軟部組織の1つ以上の層を完全に貫通し、対向する軟部組織に取り付けられる軟部組織アンカーにより、軟部組織を横断して張引力が分散されて、創傷や切開部の縁部が互いに近付けられたり、近付けられた組織が互いに維持されたりすることができる。一実施形態では、組織アンカーは縫合糸と組み合わせて使用することができ、アンカーと縫合糸とがともに生体吸収性を備えるため、後に感染症などの合併症を引き起こす可能性がある異物の恒久的な痕跡が残らない。生体吸収性材料としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリジオキサノン(PDO、PDS)、ポリカプロラクトン(PCL)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、任意の数の組織アンカーを創傷または切開部の縁部に沿って隣接して配備して、創傷または切開部の対向する縁部で組織アンカーの対を互いに近付けてもよい。加えて、かつ/またはこれに代えて、組織アンカーは、創傷または切開部が治癒するまで、創傷または切開部の縁部を互いに維持するために配備されてもよい。
【0033】
他の態様では、非生体吸収性の材料を様々な容量で組織アンカーと組み合わせて使用することができる。そのような材料としては、ステンレススチール、チタン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)など、体内での経時劣化が少ない材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
別の変形例では、展開時の組織アンカーは、創傷または切開部の各側に1つずつ配置された2つのデバイスの間で、縫合糸を張引力下で保持するための様々な機構を含んでいてもよく、デバイスは内側キャップと外側キャップとの間で腹壁部を挟持している。図6は、接続部材58Aにより近位アンカー部材54Aに結合された遠位アンカー部材50Aを有する第1の組織アンカーを有するデバイスの断面図の一例を示す。遠位アンカー部材50Aは、近位アンカー部材54Aに向かって突出するように遠位アンカー部材50Aのプラットフォームから離間するように延びる、穿刺する遠位先端を有する歯52Aなどの1つ以上の穿刺要素を有するように構成されてもよい。同様に、近位アンカー部材54Aは、遠位アンカー部材50Aに向かって突出するように近位アンカー部材54Aのプラットフォームから離間するように延びる1つ以上の歯56Aを有していてもよい。接続部材58Aは、アンカー部材50A、54Aが互いに対して、かつ接続部材58Aに対して枢動および角度をつけられるように、遠位アンカー部材50Aおよび近位アンカー部材54Aのうちの少なくともいずれか一方に枢動可能に結合されてもよい。これに代えて、アンカー部材50A、54Aの一方または両者が、下にある組織への固定を容易にするために、固定された角度で接続部材58Aに取り付けられてもよい。
【0035】
いずれの場合も、使用中に、遠位アンカー部材50Aは、図示のように、創傷または切開部Iの第1の縁部の近傍のまたは第1の縁部に近接した組織表面に対して(例えば、腹壁部AWに沿って)配置され、これにより、1本以上の歯52Aは、腹壁部内側の引張強度が最大である前直筋鞘などの組織の中に少なくとも部分的に後方に延びて侵入し、または皮膚表面上に延びる。接続部材58Aは、近位アンカー部材54Aが、弧状線の上に存在する後直筋鞘などの反対側の組織の厚み部分に沿って配置されるように、皮膚および筋膜のうちの少なくともいずれか一方を完全に貫通して延びてもよい。近位組織アンカー54Aの1本以上の歯56Aは、介在する組織の厚み部分が第1および第2の組織アンカー50A、54Aの間に挟持されるように、少なくとも部分的に組織内に前方に延びて穿刺していてもよい。
【0036】
第2の組織アンカーは、図示のように、第1の組織アンカーに直接対向して、創傷または切開部Iの第2の縁部の近傍にまたは第2の縁部に近接して固定されてもよい。同様に、第2の組織アンカーは、少なくとも部分的に下の組織内に後方に突出する1本以上の歯52Bを有する遠位アンカー部材50Aと、少なくとも部分的に下の組織内に前方に突出する1本以上の歯56Bを有する近位アンカー部材54Bとを有してもよい。遠位および近位のアンカー部材50B、54Bは、固定された組織領域の厚み部分を通って延びる接続部材58Bにより互いに結合されてもよい。
【0037】
組織アンカーが創傷または切開部Iの第1の縁部および第2の縁部に固定された状態で、遠位アンカー部材50A、50Bのそれぞれは、例えば、縫合糸Sの通過を可能にするためにデバイスに配置された1つ以上の開口部を通して、組織アンカーのそれぞれに固定され得る縫合糸Sなどの接続部材により互いに結合されてもよい。1つの組織アンカーからの縫合糸Sは、例えば、対向側の組織アンカーに接続することができ、これにより、縫合糸Sおよび組織アンカーのアセンブリは、治癒が生じる間、縁部を位置合わせして保持する。
【0038】
創傷や切開部Iの長さに応じて、任意の数の組織アンカーの対を組織に適用して、創傷の閉鎖部を近付け、かつ/または維持することができ、これにより各組織アンカーは創傷や切開部Iの縁部に沿って互いに隣接して適用される。
【0039】
説明したように、腹壁部AWの筋膜および筋肉を通過する接続部材58A、58Bは、対応するアンカー部材に対して角度をつけたり、ヒンジをつけたりして、縫合糸Sの内側の力がアンカー部材とより平行になるようにしてもよい。これにより、腹壁部全体(前直筋鞘、直筋、後直筋鞘がある場合はその部分)ではなく、前直筋鞘にすべてまたはほとんどの力がかかる傾向にある前部モーメントアームの低減を支援することができる。加えて、組織アンカーの各構成要素は、完全に生体吸収性を備える材料で製造されているので、組織アンカーを所定の位置に置いておくと、時間の経過とともに生体に吸収されてもよい。これに代えて、組織アンカーの一部、例えば、後部アンカー部材54A、54Bおよび接続部材58A、58Bのうちの少なくともいずれか一方が生体吸収性を備え、遠位アンカー部材50A、50Bが非生体吸収性であってもよい。一旦創傷または切開部Iが十分に治癒して接着したら、遠位アンカー部材50A、50Bを組織から切り離して取り払い、接続部材58A、58Bおよび近位アンカー部材54A、54Bを体内に残して吸収させてもよい。
【0040】
図7の断面側面図に別の態様が示されており、この図は、少なくとも部分的に下にある組織の中に遠位方向に延びる1本以上の歯72Aを有する後部アンカー部材70Aを有する第1の組織アンカーを示している。各々が内腔を形成する1本以上の柱状部74A、78Aは、アンカー部材70Aが組織内面に対して展開されたときに、柱状部74A、78Aのそれぞれが筋膜および/または皮膚組織の厚み部分全体を貫通するように、後部アンカー部材70Aから突出していてもよい。上述したように、後部アンカー部材70Aは、図示のように、柱状部74A,78Aが組織から角度をなして出てくるように、1本以上の柱状部74A,78Aがアンカー部材70Aに対して角度をなして延びていてもよい。
【0041】
第2の組織アンカーを、第1の組織アンカーと直接対向する創傷または切開部Iの第2の縁部に固定した状態で、縫合糸Sのような可撓性を備えた結合部材を、各開口部を介して対応する柱状部に通し、組織アンカーの長手部分を通し、組織アンカーのそれぞれを結合することができる。縫合糸Sは、創傷や切開部Iの縁部を直接互いに近付けたり、維持したりするために締め付けてもよい。図示のように、第2の組織アンカーは、同様に、接触した組織内に突出する1本以上の歯72Bを有する後部アンカー部材70Bを有してもよい。1本以上の柱状部74B、78Bは、縫合糸Sが開口部80A、80Bの間を通り、柱状部78A、78Bを通り、各アンカー部材70A、70Bを通り、またはこれらに沿って、柱状部74A、74Bを戻って、それぞれの開口部76A、76Bを通るように、アンカー部材70Bから突出していてもよい。
【0042】
ここで、図8A乃至8Cの斜視図に示すさらなる別の態様に目を向けると、組織アンカー90は、第1のプラットフォーム94からそれぞれ突出する細長い柱状部や穿刺先端を有する歯などの1つ以上の穿刺要素を有する第1のプラットフォーム94で構成されていてもよい。一態様では、それぞれの歯が互いに平行に延びていてもよいし、1本以上の歯が互いに異なる角度をなしていてもよい。第2のプラットフォーム102は、様々なレベルまたは距離で第1のプラットフォーム94の各歯に個別に取り付け可能であり、これにより、創傷または切開部の縁部の近傍のまたは縁部に近接した組織などの組織領域を、第1のプラットフォーム92と第2のプラットフォーム102との間に挟持するか固定することができる。
【0043】
第1のプラットフォーム92は、様々な構成(例えば、円形、卵形、三角形、矩形、偏菱形など)で形成することができるが、図8Aに示す態様では、台形状の構成を有するプラットフォーム92を例示している。図示の態様は、第2の縁部96に平行に設けられた第1の縁部94(例えば、20mm乃至50mmの長さを有する)と、第1の縁部94よりも長さが相対的に短い第2の縁部96(例えば、10mm乃至40mmの長さを有する)と、互いに反対方向に角度をなし、第1の縁部94よりも長さが相対的に短い2つの側縁部98,100(例えば、それぞれ10mm乃至50mmの長さを有する)とを有していてもよい。第1のプラットフォーム92は、組織領域に取り付けるためにプラットフォーム92の表面から突出する1本以上の歯を有していてもよい。この例では、2本の歯112、114が、第1の縁部94と対応する側縁部98との間の頂点、および第1の縁部94と対応する側縁部100との間の頂点に近接して第1のプラットフォーム92から突出しており、さらなる2本の歯116、118が、同様に第2の縁部96と対応する側縁部98との間の頂点、および第2の縁部96と対応する側縁部100との間の頂点に近接して第1のプラットフォーム92から突出していることが図示されている。各歯112、114、116、118は、以下にさらに詳細に説明するように、プラットフォーム92に対して角度をなしてそれぞれ互いに平行に突出するように示されている。また、1本以上の歯は、第1のプラットフォームからの長さが、例えば5mm乃至50mmの範囲にあってもよい。
【0044】
第2のプラットフォーム102は、第1および第2のプラットフォーム92、102が同じ方向に配向されるように、第1のプラットフォーム92と同様または同じ形状を有することが示されている。他の態様では、第1および第2のプラットフォーム92、102は各々、第2のプラットフォーム102が第1のプラットフォーム92に接続可能であることを条件に、互いに異なる形状または構成を有していてもよい。第2のプラットフォーム102が第1のプラットフォーム92と同じ構成を有するこの例では、第2のプラットフォーム102は、同様に、第1の縁部104と、第2の縁部106が第1の縁部104よりも長さが相対的に短い第2の縁部106とを平行に有していてもよい。2つの側縁部108、110は、互いに反対方向に角度をつけてもよく、第1の縁部104よりも相対的に短くなっている。
【0045】
第1の縁部104は、第1のプラットフォーム92から延びる1本以上の歯の位置に対応して縁部104に沿って配置されるスロットまたはチャネルをさらに形成してもよい。したがって、第1のスロット120が、第1の歯112に対応する位置で第1の縁部104に沿って形成されてもよく、第2のスロット122が、第2の歯114に対応する位置で第1の縁部104に沿って形成されてもよい。第3のスロット124は、第3の歯116に対応する位置で第1の縁部104に沿って形成されてもよく、第4のスロット126は、第4の歯118に対応する位置で第1の縁部104に沿って同様に形成されてもよい。図示のように、第1および第2のスロット120、122は、第2のプラットフォーム102に沿って、対応する側縁部108、110に向かって近接して延び、第3および第4のスロット124、126は、第2のプラットフォーム102に沿って、第2の縁部106に向かって近接して延びてもよい。加えて、各スロットは、第1のプラットフォームから突出する歯の数に対応していてもよい。
【0046】
使用時には、第1のプラットフォーム92の1本以上の歯112、114、116、118を組織領域(腹壁部の内部など)に穿刺し、組織が第1のプラットフォーム92に突き当たるまで、組織の厚み部分(例えば、筋膜および皮膚、または少なくとも組織の引張強度が最大である前直筋鞘を貫通する)を完全に貫通して前進させることができる。図8Bに示すように、第2のプラットフォーム102は、組織領域を通って突出する歯112、114、116、118に近接して配置され、その後、歯112、114、116、118を対応するスロット120、122、124、126に進入させて通過させることにより、第1のプラットフォーム92と係合するように摺動されてもよい。第2のプラットフォーム102は、2つのプラットフォーム92,102が互いに対して平行な配向に維持されるように、第1のプラットフォーム92と係合してもよい。各歯112、114、116、118は、以下でさらに詳しく説明するように、対応するスロット120、122、124、126が選択的に係合する直径が低減した所定の領域を有し、これにより、プラットフォーム92、102間の平行な配向が維持されるようになっていてもよい。図8Cに示すように、第2のプラットフォーム102は、第2のプラットフォーム102がスロットの末端で歯に完全に係合するまで、歯に沿って進められてもよい。第2のプラットフォーム102は、組織の外面(腹壁部の外側や皮膚の表面など)上に配置され、組織の厚み部分が各プラットフォーム92,102の間に挟持されるか、確実に保持されるように、歯120,122,124,126に沿って配置されてもよい。第2のプラットフォーム102を超えて突出している歯の任意の長手部分は、組織アンカーが組織表面に対して低いプロファイルを維持するように、切断、破断、またはその他の方法で取りはらうことができる。
【0047】
第2の組織アンカーは、上述したように、同様に第1の組織アンカーに対向する創傷または切開部の縁部に近接して固定され、これにより、第1および第2の組織アンカーは組織の縁部を近付けるように互いに取り付けまたは結合され、治癒の間、縁部を並置された状態に維持する。組織アンカーは、例えば、以下でさらに詳細に説明するように、第2のプラットフォーム102に沿って形成された開口部を通して取り付けられた長手にわたる縫合糸または他の材料の長手部分により、固定されてもよい。他の態様では、縫合糸の代わりに他の長手にわたる構造体を使用してもよく、例えば、弾性部材、バネ、コイル、ラチェットデバイス、長手にわたるスクリュー、調整可能なステープルまたは固定ステープル、または第1の組織アンカーから第2の組織アンカーにわたる他の構造体が腹壁組織を位置合わせするとともにこれを保持する。組織アンカーのそれぞれに沿った歯が互いに角度をつけて(または外傷や切開部に向かって角度をつけて)配置されている場合、組織アンカーが互いに近付いていることによって組織に与えられる力は、第1のプラットフォーム92に対する歯の角度によって組織の厚み部分に対する歯のモーメントアームが低減することによって緩和されてもよい。
【0048】
さらに、組織アンカーが組織の厚み部分を貫通して固定されている状態で、本明細書に記載されているように、組織アンカー全体を生体吸収性材料から製造してもよく、これにより、組織が治癒した後に組織アンカーを体内の所定の位置に残し、時間の経過とともにアンカーが分解および吸収されるようにして、組織アンカーを取りはらう必要をなくすことができる。これに代えて、第1のプラットフォーム92および歯を生体吸収性を備える材料で形成し、第2のプラットフォーム102を非生体吸収性の材料、例えば、プラスチック、金属、合金などで形成してもよい。一旦組織領域が治癒すると、第2のプラットフォーム102は歯から切り離され、その後、第1のプラットフォーム92および歯を体内に残して体外に取り出され、第1のプラットフォーム92および歯を分解および吸収させることができる。
【0049】
図9は、詳細を説明するための第1のプラットフォーム92と歯と第2のプラットフォーム102とを示す側面図である。上述したように、1本以上の歯は、第2のプラットフォーム102の対応するスロット120、122、124、126が選択的に係合することができる、直径が低減した1つ以上の予め定められた領域を有するように構成されてもよい。それぞれの歯は、その外径が第2の小径になる領域を有するように形成されていてもよい。例えば、歯112は、肩部130Bによってそれぞれ分離された縮小領域134i、134ii、134iii、134iv、134vで形成されてもよい。同様に、歯116は、各縮小領域が各歯の間で互いに対応して相対的に水平になるように形成されるように、肩部130Aによってそれぞれ分離された縮小領域132i、132ii、132iii、132iv、132vで形成されてもよい。例えば、縮小領域132iは縮小領域134iと水平になるように形成され、縮小領域132iiは縮小領域134iiと水平になるように形成されるなどしてもよい。さらに、各歯の各縮小領域が互いに水平である限り、歯は、任意の数の縮小領域132n、134nを有するように形成されてもよい。これにより、第2のプラットフォーム102が第1のプラットフォーム92と平行な状態を維持するように、例えば、第1のプラットフォーム92によって形成される第1の平面136が第2のプラットフォーム102によって形成される第2の平面138と平行になるように、第2のプラットフォーム102を前進させ、各縮小領域で歯に係合させることができる。
【0050】
上述したように、各歯は、第1のプラットフォーム92に対して角度をなして突出するように形成されていてもよい。この例では、歯116、118は、第1のプラットフォーム92の平面136に対する歯の長手方向軸線140の間の角度αを定義し、歯112、114は、第1のプラットフォーム92の平面136に対する歯の長手方向軸線142の間の角度βを定義してもよい。また、歯116,118が形成する角度αは、歯112,114が形成する角度βと同じかまたは類似していてもよいが(例えば、30度乃至90度の範囲)、各歯の間の角度は、一様ではなく、互いに変化していてもよい。加えて、歯によって定義される高さHは、例えば5乃至50mmの範囲にあってもよい。各歯の高さは一様であってもよいし、所望に応じて各歯の間で異なっていてもよい。いずれの場合も、組織アンカーの低プロファイルを維持するために、互いに係合したときに第2のプラットフォーム102を超えて突出する歯の部分を取りはらってもよい。
【0051】
第1のプラットフォーム92は、4本の歯を有するように例示されているが、他の態様では、プラットフォーム92は、プラットフォーム92から突出する4本未満または4本よりも多い歯を有するように構成されてもよい。さらに、第1のプラットフォーム92は、第1のプラットフォーム92から突出する1本以上の第2の歯を、歯の間に任意に組み込むこともできる。これらの第2の歯は、組織(例えば、後直筋鞘)に部分的に侵入するために第1の歯よりも長さが短くなるように構成され、組織に対して第1のプラットフォーム92をさらにアンカー固定することができる。
【0052】
歯は、円形、楕円形、矩形など、さまざまな断面形状を有していてもよい。さらに、歯は先端が穿刺するような細長い形状をしていることが示されているが、円錐形や放物線などの形状に形成されていてもよい。さらに、歯の穿刺する先端は、切断型、非外傷型、外傷型、マルチベベル型、「ペンシル」チップ型など、さまざまな構成でも形成することができる。
【0053】
図9にさらに示すように、第2のプラットフォーム102は、組織表面に対して提示するための滑らかな表面を有している。また、別の態様では、下の組織に少なくとも部分的に侵入するために、第2のプラットフォーム102から突出するように1本以上の歯を形成してもよい。図10に第2のプラットフォーム102の上面図がさらに示されており、対応する歯を受承するためのスロット120、122、124、126のそれぞれが示されている。スロットは、第1の縁部104から延び、歯を固定して受承するための肩部を形成するように構成されたそれぞれの受承端150、152、154、156で終端してもよい。さらに、第2のプラットフォーム102は、組織の位置を近付け、かつ/または維持するために別の組織アンカーに取り付けるための縫合糸などの結合部材を受承するために、第1の縁部104に近接して1つ以上の開口部158、160、162を有するものとして示されている。
【0054】
加えて、かつ/またはこれに代えて、吸収性メッシュや恒久的メッシュ、生物学的シートやインサートと組み合わせて、組織アンカーを組織内に固定することもできる。1本以上の歯が、組織の表面に配置されたメッシュに穿刺され、それを通過することができる。メッシュや生物学的要素は、組織アンカーで固定された状態で、腹壁部の解剖学的組織構造のどの平面にも着座することができる。
【0055】
図11の斜視図に第2の組織アンカー90Bに取り付けられた第1の組織アンカー90Aの一例が示されており、第1の組織アンカー90Aは、創傷または切開部に近接した第1の縁部に固定されてもよく、第2の組織アンカー90Bは、創傷または切開部に近接し、第1の組織アンカー90Aに直接対向する第2の縁部に固定されてもよい。図示の固定された組織アンカー90A、90Bは、それぞれの第2のプラットフォーム102A、102Bが縫合糸174、176により互いに結合されながら、各組織アンカーの歯が互いに向かって角度を有するように配置されている態様を示している。この特定の態様では、第2のプラットフォーム102A、102Bは、下の組織表面に取り付けるための歯172A、172Bを組み込んでもよい。さらに、この態様では、歯に沿った縮小部分と係合するために、それぞれの第2のプラットフォーム102A、102B上に(部分的または全体的に)配置することができる追加の固定プラットフォームまたはキャップ170A、170Bを組み込んでもよい。この第3の固定プラットフォーム170A、170Bは、歯に対して第2のプラットフォーム102A、102Bを付加的にアンカー固定することができる。
【0056】
また、様々なツールを使用して張力を測定し、組織アンカー(例えば、第1のプラットフォームおよび第2のプラットフォームのうちの少なくともいずれか一方)からの静的な圧縮力に起因する約32mmHg(約4.26632kPa)を越える圧力を組織にかけないようにすることで、組織の壊死や損傷を防ぐことができる。そのため、静的な圧縮力は、一般的に組織に虚血性の損傷を与えないレベルに制限することができる。
【0057】
上述したデバイスおよび方法の用途は、創傷閉鎖に限定されるものではなく、任意の数のさらなる治療用途を含むことができる。さらに、このようなデバイスや方法は、体内の他の治療部位にも適用することができる。本発明を実施するための上述のアセンブリおよび方法の改変、実施可能なような異なる変形の間の組み合わせ、および当業者には自明な本発明の態様の変形は、特許請求の範囲の範囲内であることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11