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特開2024-177668到着時刻指標算定システム及び移動体管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177668
(43)【公開日】2024-12-20
(54)【発明の名称】到着時刻指標算定システム及び移動体管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0645 20230101AFI20241213BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241213BHJP
【FI】
G06Q30/0645
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095924
(22)【出願日】2023-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】須藤 修一
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB68
5L049BB68
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】低コストで精度良く貸し出された移動体の返却を支援する「到着時刻指標算定システム及び移動体管理システム」を提供する。
【解決手段】メッシュF内の店舗s2、s2、s3の中心位置を店舗代表点PS_Fに設定し、メッシュF内の店舗を返却先とするメッシュA内のレンタカーc2、c3、c3の中心位置を車両代表点PC_Aに設定し、車両代表点から店舗代表点までのルートR_A-Fと、現時点を出発時としてルートを走行した際の店舗代表点の到着予想時刻を算出する(a)。レンタカーc1、c2、c3のうちの、返却期限がルートR_A-Fの到着予想時刻に所定時間を加えた時刻よりも前のレンタカーc3についてのみ、現在位置から返却先店舗s2までのルートR_c3-s2と、現時点を出発時としてルートを走行した際の店舗代表点の到着予想時刻を算出し、到着予想時刻に基づいて返却遅延のリスクの有無を判定する(b)。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体の、移動体毎にそれぞれ設定された目標地への到着時刻の指標値を算定する到着時刻指標算定システムであって、
少なくとも一つの目標地を含む第1の区域内に目標地代表点を設定し、前記第1の区域内の目標地が設定されている複数の移動体が位置する第2の区域内に移動体代表点を設定する代表点設定手段と、
現時点を出発時とし前記移動体代表点を出発地とし前記目標地代表点を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を、第2の区域内に位置する、第1の区域内の目標地が設定されている各移動体の目標地への到着時刻の指標値として算定する指標値算定手段を有することを特徴とする到着時刻指標算定システム。
【請求項2】
請求項1記載の到着時刻指標算定システムであって、
前記代表点設定手段は、前記第1の区域が複数の目標地を含む場合、当該複数の目標地の中心を前記目標地代表点に設定し、前記第2の区域に位置する、前記第1の区域内の目標地が設定されている複数の移動体の中心を前記移動体代表点に設定することを特徴とする到着時刻指標算定システム。
【請求項3】
貸し出された移動体の返却期限を管理する移動体管理システムであって、
各移動体の位置と返却期限を管理する管理サーバを有し、
当該管理サーバは、スクリーニング手段と返却遅延リスク判定手段とを有し、
予め対象とする地理的範囲を区域分けした各区域のうちの移動体の返却先となる店舗が位置する区域を店舗含有区域とし、当該店舗含有区域に位置する店舗を返却先とする移動体が位置する各区域を移動体含有区域として、
前記スクリーニング手段は、
前記店舗含有区域内に店舗代表点を設定し、各移動体含有区域について、当該移動体含有区域内に移動体代表点を設定すると共に、現時点を出発時とし設定した前記移動体代表点を出発地とし前記店舗含有区域の店舗代表点を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得し、当該移動体含有区域に位置する、前記店舗含有区域の店舗を返却先とする各移動体について、取得した到着予想時刻の、当該移動体の返却期限に対する時間的余裕が所定レベルよりも小さい移動体を抽出し、
前記返却遅延リスク判定手段は、
前記スクリーニング手段が抽出した各移動体について、現時点を出発時とし当該移動体の位置を出発地とし当該移動体の返却先の店舗を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得し、取得した到着予想時刻の、当該移動体の返却期限に対する時間的余裕の大きさから、当該移動体の返却遅延のリスクの発生の有無を判定することを特徴とする移動体管理システム。
【請求項4】
請求項3記載の移動体管理システムであって、
各移動体に搭載される、前記管理サーバと通信可能な移動体端末を有し、
前記管理サーバは、前記返却遅延リスク判定手段が返却遅延のリスクの発生有りと判定した移動体の前記移動体端末に、移動体の返却遅延に対する注意喚起をユーザに対して行わせるアラート手段を有することを特徴とする移動体管理システム。
【請求項5】
請求項3記載の移動体管理システムであって、
前記スクリーニング手段は、前記店舗含有区域内に複数の店舗が位置している場合に、当該数の店舗の中心を、前記店舗代表点に設定することを特徴とする移動体管理システム。
【請求項6】
請求項3記載の移動体管理システムであって、
前記スクリーニング手段は、各移動体含有区域について、当該移動体含有区域内に、前記店舗含有区域の店舗を返却先とする複数の移動体が位置している場合に、当該数の移動体の位置の中心を、前記移動体代表点に設定することを特徴とする移動体管理システム。
【請求項7】
請求項3記載の移動体管理システムであって、
前記スクリーニング手段は、前記店舗含有区域の中心を、前記店舗代表点に設定することを特徴とする移動体管理システム。
【請求項8】
請求項3記載の移動体管理システムであって、
前記スクリーニング手段は、各移動体含有区域について、当該移動体含有区域の中心を、前記移動体代表点に設定することを特徴とする移動体管理システム。
【請求項9】
請求項3記載の移動体管理システムであって、
前記スクリーニング手段は、
各移動体含有区域毎に、当該移動体含有区域もしくは当該移動体含有区域に設定する移動体代表点から最も遠い店舗含有区域内の店舗を、当該移動体含有区域について用いる店舗代表点として設定し、
各移動体含有区域について、現時点を出発時とし設定した前記移動体代表点を出発地とし設定された当該移動体含有区域について用いる店舗代表点店を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得することを特徴とする移動体管理システム。
【請求項10】
請求項3記載の移動体管理システムであって、
前記スクリーニング手段は、各移動体含有区域について、前記店舗含有区域の店舗を返却先とする複数の移動体の位置のうちの、前記店舗含有区域、もしくは、前記店舗含有区域について設定した店舗代表点から最も遠い位置を、前記移動体代表点に設定することを特徴とする移動体管理システム。
【請求項11】
請求項3記載の移動体管理システムであって、
前記スクリーニング手段は、外部のサービスサーバが提供する、ルートを探索すると共に探索したルートの到着予想時刻を算出するサービスを利用して、現時点を出発時とし設定した前記移動体代表点を出発地とし前記店舗含有区域の店舗代表点を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得し、
前記返却遅延リスク判定手段は、前記外部のサービスサーバが提供する前記サービスを利用して、現時点を出発時とし当該移動体の位置を出発地とし当該移動体の返却先の店舗を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得することを特徴とする移動体管理システム。
【請求項12】
請求項3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の移動体管理システムであって、
前記スクリーニング手段は、
前記地理的範囲を区域分けした各区域のうちの移動体の返却先となる店舗が位置する区域の各々を店舗含有区域とし、各店舗含有区域について、当該店舗含有区域に位置する店舗を返却先とする移動体が位置する区域を当該店舗含有区域と相互に対応する移動体含有区域として、
各前記店舗含有区域について、当該店舗含有区域内に店舗代表点を設定し、当該店舗含有区域に対応する各移動体含有区域について、当該移動体含有区域内に移動体代表点を設定すると共に現時点を出発時とし設定した前記移動体代表点を出発地とし当該移動体含有区域に対応する店舗含有区域の店舗代表点を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得し、当該移動体含有区域に位置する、当該移動体含有区域に対応する店舗含有区域の店舗を返却先とする各移動体について、取得した到着予想時刻の、当該移動体の返却期限に対する時間的余裕が所定レベルよりも小さい移動体を抽出することを特徴とする移動体管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、レンタカー等の貸し出された移動体の返却を支援する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンタカーの返却を支援する技術として、レンタカーに搭載されたナビゲーション装置において、ナビゲーション装置に備えた地図データを用いて、返却場所までのルートの探索と、当該ルートを走行した場合の返却場所への到着予想時刻を算出し、到着予想時刻が返却期限に間に合わない場合に、返却期限の延長を促すメッセージをレンタカーのユーザに出力する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、レンタカーの返却を支援する技術としては、レンタカーに搭載されたレンタカー端末から通信を介して現在位置を収集することにより、各レンタカーの位置を管理するレンタカー管理サーバにおいて、各レンタカーについて、レンタカーの位置から当該レンタカーの返却場所までの所要走行時間を算定し、返却期限から現在時刻を差し引いた時間が、所要走行時間に対して余裕がない場合に、返却期限が迫っている旨のメッセージをレンタカーのユーザに出力する技術が知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-270960号公報
【特許文献2】特開2004-295392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したレンタカーに搭載されたナビゲーション装置において、返却場所までのルートの探索を行ってレンタカーの返却の支援を行う技術によれば、レンタカー毎に地図データやナビゲーション装置が必要となる。そして、レンタカーの台数が多数となるほど、ナビゲーション装置の搭載に要するコストは多大なものとなる。
【0006】
一方、上述したレンタカー管理サーバにおいてレンタカーの返却の支援を行う技術では、各レンタカーについて精度よく所要走行時間を算定するためには、地図データを用いて、レンタカーの位置から当該レンタカーの返却場所までのルートを探索した上で、当該ルートの所要走行時間を算定する必要があるが、このようにする場合には、レンタカーの台数に応じた地図データのライセンス料が必要となる。そして、レンタカーの台数が多数となるほど、この地図データのライセンス料に要するコストは多大なものとなる。また、レンタカーの台数が多数となるほど、必要となる処理量も増大する。
【0007】
そこで、レンタカー管理サーバにおいて、ルートや所要走行時間の算定サービスを提供する外部のマップサービスにリクエストして、各レンタカーについて返却場所までの所要走行時間を取得することも考えられるが、このようにするとリクエストの回数に応じたマップサービスの利用料金が発生してしまう。そして、レンタカーの台数が多数となるほど、このマップサービスの利用料金に要するコストは多大なものとなる。
【0008】
そこで、本発明は、比較的に低いコストで、精度良く、貸し出された移動体の返却を支援することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、複数の移動体の、各移動体毎にそれぞれ設定された目標地への到着時刻の指標値を算定する到着時刻指標算定システムとして、少なくとも一つの目標地を含む第1の区域内に目標地代表点を設定し、前記第1の区域内の目標地が設定されている複数の移動体が位置する第2の区域内に移動体代表点を設定する代表点設定手段と、現時点を出発時とし前記移動体代表点を出発地とし前記目標地代表点を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を、第2の区域内に位置する、第1の区域内の目標地が設定されている各移動体の目標地への到着時刻の指標値として算定する指標値算定手段を備えた到着時刻指標算定システムを提供する。
【0010】
ここで、この到着時刻指標算定システムは、前記代表点設定手段において、前記第1の区域が複数の目標地を含む場合、当該複数の目標地の中心を前記目標地代表点に設定し、前記第2の区域に位置する、前記第1の区域内の目標地が設定されている複数の移動体の中心を前記移動体代表点に設定するように構成してよい。
【0011】
このような到着時刻指標算定システムによれば、ルート探索を一回利用するだけで、第1の区域内の目標地が設定されている各移動体の目標地への、現時点において目標地に出発した場合の、おおよその到着時刻を、到着時刻の指標値として算定することができる。
また、前記課題達成のために、本発明は、貸し出された移動体の返却期限を管理する移動体管理システムに、各移動体の位置と返却期限を管理する管理サーバを備えたものである。当該管理サーバは、スクリーニング手段と返却遅延リスク判定手段とを有する。予め対象とする地理的範囲を区域分けした各区域のうちの移動体の返却先となる店舗が位置する区域を店舗含有区域とし、当該店舗含有区域に位置する店舗を返却先とする移動体が位置する各区域を移動体含有区域として、前記スクリーニング手段は、前記店舗含有区域内に店舗代表点を設定し、各移動体含有区域について、当該移動体含有区域内に移動体代表点を設定すると共に現時点を出発時とし設定した前記移動体代表点を出発地とし前記店舗含有区域の店舗代表点を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得し、当該移動体含有区域に位置する、前記店舗含有区域の店舗を返却先とする各移動体について、取得した到着予想時刻の、当該移動体の返却期限に対する時間的余裕が所定レベルよりも小さい移動体を抽出する。また、前記返却遅延リスク判定手段は、前記スクリーニング手段が抽出した各移動体について、現時点を出発時とし当該移動体の位置を出発地とし当該移動体の返却先の店舗を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得し、取得した到着予想時刻の、当該移動体の返却期限に対する時間的余裕の大きさから、当該移動体の返却遅延のリスクの発生の有無を判定する。
【0012】
ここで、この移動体管理システムに、各移動体に搭載される、前記管理サーバと通信可能な移動体端末を備え、前記管理サーバに、前記返却遅延リスク判定手段が返却遅延のリスクの発生有りと判定した移動体の前記移動体端末に、移動体の返却遅延に対する注意喚起をユーザに対して行わせるアラート手段を備えてもよい。
【0013】
また、以上の移動体管理システムにおいて、前記スクリーニング手段において、前記店舗含有区域内に複数の店舗が位置している場合に、当該数の店舗の中心を、前記店舗代表点に設定してよい。
また、以上の移動体管理システムにおいて、前記スクリーニング手段において、各移動体含有区域について、当該移動体含有区域内に、前記店舗含有区域の店舗を返却先とする複数の移動体が位置している場合に、当該数の移動体の位置の中心を、前記移動体代表点に設定してよい。
【0014】
また、以上の移動体管理システムにおいて、前記スクリーニング手段において、前記店舗含有区域の中心を、前記店舗代表点に設定してよい。
また、以上の移動体管理システムにおいて、前記スクリーニング手段において、各移動体含有区域について、当該移動体含有区域の中心を、前記移動体代表点に設定してよい。
また、以上の移動体管理システムにおいて、前記スクリーニング手段において、各移動体含有区域毎に、当該移動体含有区域もしくは当該移動体含有区域に設定する移動体代表点から最も遠い店舗含有区域内の店舗を、当該移動体含有区域について用いる店舗代表点として設定し、各移動体含有区域について、現時点を出発時とし設定した前記移動体代表点を出発地とし設定された当該移動体含有区域について用いる店舗代表点店を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得してよい。
【0015】
また、以上の移動体管理システムにおいて、前記スクリーニング手段において、各移動体含有区域について、前記店舗含有区域の店舗を返却先とする複数の移動体の位置のうちの、前記店舗含有区域、もしくは、前記店舗含有区域について設定した店舗代表点から最も遠い位置を、前記移動体代表点に設定することを特徴とする移動体管理システム。
【0016】
また、以上の移動体管理システムは、前記スクリーニング手段において、外部のサービスサーバが提供する、ルートを探索すると共に探索したルートの到着予想時刻を算出するサービスを利用して、現時点を出発時とし設定した前記移動体代表点を出発地とし前記店舗含有区域の店舗代表点を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得し、前記返却遅延リスク判定手段において、前記外部のサービスサーバが提供する前記サービスを利用して、現時点を出発時とし当該移動体の位置を出発地とし当該移動体の返却先の店舗を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得してもよい。
【0017】
また、前記スクリーニング手段において、前記地理的範囲を区域分けした各区域のうちの移動体の返却先となる店舗が位置する区域の各々を店舗含有区域とし、各店舗含有区域について、当該店舗含有区域に位置する店舗を返却先とする移動体が位置する区域を当該店舗含有区域と相互に対応する移動体含有区域として、各前記店舗含有区域について、当該店舗含有区域内に店舗代表点を設定し、当該店舗含有区域に対応する各移動体含有区域について、当該移動体含有区域内に移動体代表点を設定すると共に現時点を出発時とし設定した前記移動体代表点を出発地とし当該移動体含有区域に対応する店舗含有区域の店舗代表点を目的地として探索された走行ルートの目的地の到着予想時刻を取得し、当該移動体含有区域に位置する、当該移動体含有区域に対応する店舗含有区域の店舗を返却先とする各移動体について、取得した到着予想時刻の、当該移動体の返却期限に対する時間的余裕が所定レベルよりも小さい移動体を抽出するようにしてよい。
【0018】
以上のような移動体管理システムによれば、一つの店舗含有区域について、当該店舗含有区域内の店舗を返却先店舗とする移動体が位置する移動体含有区域毎に、ルート探索を一回利用して、店舗含有区域内の店舗が返却先である各移動体の返却先店舗への、現時点において返却先店舗地に出発した場合の、おおよその到着時刻を求めて、おおよその到着時刻の返却期限に対する時間的余裕が所定レベルよりも小さい移動体を抽出する。そして、抽出した移動体についてのみ、個々に、ルート探索を利用して、現時点において返却先店舗に出発した場合の到着予想時刻を精度良く求めて、返却遅延のリスクの発生の有無を判定する。
【0019】
したがって、個々の移動体についてルート探索を利用して、返却遅延のリスクの発生の有無を判定する場合よりも、ルート探索の利用回数が少ない、より処理量が少なく低コストな処理で、個々の移動体についてルート探索を利用する場合と同様な精度で、返却遅延のリスクの発生の有無を判定できる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、比較的に低いコストで、精度良く、貸し出された移動体の返却を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る車両管理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両端末の構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両位置情報管理サーバの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る返却アラート処理で用いるメッシュを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る対象車両メッシュ設定処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係るスクリーニング処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る詳細判定処理を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る返却アラート処理の処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る車両管理システム100の構成を示す。
図示するように、車両管理システム100は、レンタカーの各車両に搭載される車両端末1、レンタカーの貸出元や返却先となる各店舗に設置される店舗管理端末2、車両位置情報管理サーバ3を備えている。
車両端末1と車両位置情報管理サーバ3、店舗管理端末2と車両位置情報管理サーバ3は、移動体通信網やインターネットを含んで構成されるWAN4を介して相互に通信を行うことができる。
また、車両位置情報管理サーバ3は、WAN4を介して、外部のマップサービスサーバ5のサービスを利用することができる。マップサービスサーバ5は、地図情報の提供、ルート探索、到着予想時刻や所要走行時間の算定などのマップサービスを提供する。
次に、図2に車両端末1の構成を示す。
車両端末1は、レンタカーに固定的に搭載された、もしくは、各店舗からレンタカーと共に貸し出されてレンタカーに搭載される端末である。
図示するように、車両端末1は衛星測位により位置を測位するGNSS受信機11、移動通信を行う移動通信装置12、音声メッセージを出力する音声出力装置13、以上各部を制御する制御部13を備えている。
制御部13は、定期的に、移動通信装置12による移動通信によって、WAN4を介して、GNSS受信機11の測位位置を車両位置情報管理サーバ3に送信する。
また、制御部13は、車両位置情報管理サーバ3から、返却アラート出力の指示を受信したならば、音声出力装置13から、「レンタカーの返却時刻が近づいています」といったような、レンタカーの返却を促す音声メッセージを出力させる。車両端末1に表示装置を設け、制御部13は、返却アラート出力の指示を受信したならば、音声メッセージの出力に代えて、もしくは、音声メッセージの出力と共に、返却時刻が近づいていることを注意喚起する表示を表示装置に行うようにしてもよい。
次に、図3に、車両位置情報管理サーバ3の構成を示す。
図示するように、車両位置情報管理サーバ3は、車両位置管理部31、返却アラート処理部32、店舗管理部33、車両貸出状態管理部34、車両状態情報提供部35、店舗管理部33と車両貸出状態管理部34と車両状態情報提供部35をブラウザベースのシステムとして店舗管理端末2から利用可能とするWeb API36、各部のWAN4を介した通信機能を提供するWANインタフェース37を備えている。
【0023】
車両位置管理部31は、各レンタカーの車両端末1から送信された測位位置に基づいて、各レンタカーの現在位置を管理する。
返却アラート処理部32は、返却遅延リスクが発生したレンタカーを検出し、検出したレンタカーの車両端末1に、返却アラートの出力を指示すると共に、検出したレンタカーの返却遅延リスクの発生を車両貸出状態管理部34に登録する返却アラート処理を行う。
店舗管理部33は、店舗管理端末2から、名称、位置などの各店舗の情報の登録を受け付けて、これを管理する。
車両貸出状態管理部34は、レンタカー毎に、店舗管理端末2から各レンタカーの返却期限を含む貸出期間や返却先店舗や返却の有無の設定を受け付けて、各レンタカーの貸出中の有無や、貸出中の各レンタカーの貸出期間や返却先の店舗を管理する。
また、車両貸出状態管理部34は、レンタカー毎に、返却期限を超過している場合の超過期間や、返却アラート処理部32から登録された返却遅延リスクの発生などのステータスを管理する。
次に、車両状態情報提供部35は、店舗管理端末2に、車両貸出状態管理部34が管理している各レンタカーの状態を一覧表示した管理画面を送信し表示させる。また、車両状態情報提供部35は、店舗管理端末2の操作に応じて、指定されたレンタカーの車両位置管理部31が管理している現在位置を地図上で表した地図画面を送信し表示させる。
【0024】
また、車両状態情報提供部35は、返却アラート処理部32から返却遅延リスクの発生が登録されたならば、店舗管理端末2に、ポップアップ表示などの形態で、レンタカーの返却遅延リスクの発生のアラートを、当該レンタカーを識別可能な形態で出力させる。
次に、店舗管理端末2は、車両位置情報管理サーバ3をブラウザベースのシステムとして利用するための、Webブラウザを備えている。
以下、車両位置情報管理サーバ3の返却アラート処理部32が、定期的に行う返却アラート処理について説明する。
まず、返却アラート処理において用いるメッシュについて説明する。
図4に、このメッシュの例を示す。
図示するように、メッシュは、車両管理システム100が対象とする地理的範囲を、経緯度方向について一定の面積(たとえば、10km×10km)毎に升目状に区切ったときの各升目であり、図4にはAからIまでの9つのメッシュが表れている。
各店舗や各レンタカーは、いずれかのメッシュ内に位置しており、図示した例では、メッシュF内に店舗s1、s2、s3が位置しており、メッシュG内に店舗s4、s5が位置している。また、メッシュA内にレンタカーc1、c2、c3、c4が位置しており、メッシュC内にレンタカーc5、c6が位置しており、メッシュH内にレンタカーc7、c8が位置している。
【0025】
ここで、この図において、図中に白色で示したレンタカーc1、c3、c4、c7、c8の返却先は、メッシュF内の店舗s1、s2、s3のいずれかであり、黒色で示したレンタカーc2、c5、c6の返却先は、メッシュG内の店舗s4、s5のいずれかであり、レンタカーc3の返却先は、メッシュF内の店舗s3であるものとする。
【0026】
返却アラート処理は、店舗管理部33が管理している各店舗の位置、車両位置管理部31が管理している各レンタカーの位置、車両貸出状態管理部34が管理している各レンタカーの返却先店舗と返却期限に基づいて、以下のように行う。
すなわち、返却アラート処理では、メッシュ内に店舗が存在するメッシュの各々を対象店舗メッシュとして、対象店舗メッシュについて対象車両メッシュ設定処理を行う。
図4の場合、メッシュ内に店舗が存在するメッシュは、メッシュFとメッシュGであるので、メッシュFを対象店舗メッシュとする対象車両メッシュ設定処理と、メッシュGを対象店舗メッシュとする対象車両メッシュ設定処理がそれぞれ行われる。
図5に、この対象車両メッシュ設定処理の手順を示す。
図示するように、この対象車両メッシュ設定処理では、対象店舗メッシュ内の各店舗の位置の中心座標を店舗代表点に設定する(ステップ502)。各店舗の位置の中心座標は、各店舗の位置の座標の平均として求めることができる。
次に、対象店舗メッシュ内の店舗が返却先となっている貸し出し中のレンタカーのうち、所定期間内に車両端末1に返却アラート出力の指示を行っていないレンタカーをスクリーニング対象車両に設定する(ステップ504)。
ここで、たとえば、対象店舗メッシュが図4のメッシュFであり、いすれのレンタカーにも所定期間内に車両端末1に返却アラート出力の指示を行っていない場合、返却先がメッシュF内の店舗s1、s2、s3のいずれかであるレンタカーc1、c3、c4、c7、c8がスクリーニング対象車両となる。また、図8aに示すように、店舗s1、s2、s3の中心が店舗代表点PS_Fに設定される。
【0027】
次に、メッシュ内にスクリーニング対象車両が存在するメッシュの各々を対象車両メッシュとして、対象車両メッシュについてスクリーニング処理を行う(ステップ506)。
上述のように図4のレンタカーc1、c3、c4、c7、c8がスクリーニング対象車両である場合、スクリーニング対象車両が存在するメッシュAとメッシュHが対象車両メッシュとなり、メッシュAを対象車両メッシュとするスクリーニング処理と、メッシュHを対象車両メッシュとするスクリーニング処理がそれぞれ行われる。
【0028】
そして、全ての対象車両メッシュについて、スクリーニング処理が終了したならば対象車両メッシュ設定処理を終了する。
次に、対象車両メッシュ設定処理のステップ506で、各対象車両メッシュについて行うスクリーニング処理の手順を図6に示す。
図示するように、スクリーニング処理では、対象車両メッシュ内のスクリーニング対象車両位置の中心座標を車両代表点に設定する(ステップ602)。スクリーニング対象車両の位置の中心座標は、各スクリーニング対象車両の位置の座標の平均として求めることができる。
【0029】
そして、上述したマップサービスを提供する外部のマップサービスサーバ5に、車両代表点を出発地、店舗代表点を目的地、出発時刻を現時刻とするルート探索のリクエストを発行することにより、当該ルートの到着予想時刻を取得する(ステップ604)。
ここで、たとえば、図4のメッシュFが対象店舗メッシュ、メッシュAが対象車両メッシュであり、メッシュA内のスクリーニング対象車がレンタカーc1、c3、c4である場合、図8aに示すように、レンタカーc1、c3、c4の中心が車両代表点PC_Aに設定される。そして、マップサービスサーバ5は、リクエストに従って、車両代表点PC_Aから対象店舗メッシュFの店舗代表点PS_FまでのルートR_A-Fを探索すると共に、現時刻を出発時刻として、車両代表点PC_AからルートR_A-Fに沿って店舗代表点PS_Fまで走行した場合の店舗代表点PS_Fへの到着予想時刻を算定し、返却アラート処理部32に提供する。
【0030】
ここで、この到着予想時刻は、レンタカーc1、c3、c4の、現時点において各返却先店舗へ出発した場合の、各返却先店舗へのおおよその到着時刻を表すので、当該到着時刻の指標値として用いることができる。
そこで、到着予想時刻を取得したならば(ステップ604)、到着予想時刻に基づいて、対象車両メッシュ内の各スクリーニング対象車両に返却遅延の蓋然性が現出している車両があるかどうかを調べる(ステップ606)。ここでは、返却期限が、到着予想時刻+所定時間の時刻より前であるスクリーニング対象車両を、返却遅延の蓋然性が現出しているスクリーニング対象車両とする。所定時間は、メッシュを二つ対角に横断横して走行するのに充分な時間とする(メッシュの大きさが10km×10kmであれば、たとえば30分)とする。
【0031】
そして、対象車両メッシュ内のスクリーニング対象車両中に、返却遅延の蓋然性が現出している車両が1台もなければ、スクリーニング処理を終了する。
一方、返却遅延の蓋然性が現出しているスクリーニング対象車両が存在した場合には、返却遅延の蓋然性が現出しているスクリーニング対象車両の各々を対象車車両として、対象車両の各々について詳細判定処理を行う(ステップ608)。
したがって、たとえば、図4の対象店舗メッシュがメッシュF、対象車両メッシュがメッシュAであり、メッシュA内の返却遅延の蓋然性が現出しているスクリーニング対象車がレンタカーc1、c3である場合、レンタカーc1を対象車両とする詳細判定処理と、レンタカーc3を対象車両とする詳細判定処理がそれぞれ行われる。
【0032】
そして、全ての対象車両について、詳細判定処理が終了したならばスクリーニング処理を終了する。
次に、スクリーニング処理のステップ608で、各対象車両について行う詳細判定処理の手順を図7に示す。
図示するように、上述したマップサービスを提供する外部のマップサービスサーバ5に、対象車両を出発地、対象車両の返却先店舗を目的地、出発時刻を現時刻とするルート探索のリクエストを発行することにより、当該ルートの到着予想時刻を取得する(ステップ702)。
【0033】
ここで、たとえば、図4のレンタカーc3が対象車両であり、レンタカーc3の返却先店舗が店舗s2である場合、マップサービスサーバ5は、リクエストに従って、図8bに示すように、レンタカーc3の位置から店舗s2までのルートR_c3-s2を探索すると共に、現時刻を出発時刻として、レンタカーc3の位置からルートR_c3-s2に沿って店舗s2まで走行した場合の店舗s2への到着予想時刻を算定し、返却アラート処理部32に提供する。
【0034】
図7に戻り、次に、到着予想時刻を取得したならば(ステップ702)、対象車両に返却遅延リスクがあるかどうかを調べる(ステップ704)。ここでは、対象車両の返却期限が、到着予想時刻+マージン時間の時刻より前である場合に返却遅延リスクがあるものとする。マージン時間は、たとえば、0分から10分程度の時間とする。
【0035】
そして、対象車両に返却遅延リスクがなければ詳細判定処理を終了する。
一方、返却遅延リスクがあれば、対象車両の車両端末1に返却アラートの出力を指示する(ステップ706)。また、車両状態情報提供部35に、対象車両の返却遅延リスクの発生を登録し(ステップ708)、詳細判定処理を終了する。。
ここで、上述のように、返却アラートの出力を指示された車両端末1は、音声出力装置13から、「レンタカーの返却時刻が近づいています」といったような、レンタカーの返却を促す音声メッセージや表示を出力する。また、返却遅延リスクの発生を登録された車両状態情報提供部35は、店舗管理端末2に、ポップアップ表示などの形態で、レンタカーの返却遅延リスクの発生のアラートを、対象車両であるレンタカーを識別可能な形態で出力させる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の実施形態における店舗代表点は対象店舗メッシュの中心としてもよい。または、以上の実施形態における車両代表点を対象車両メッシュの中心としてもよい。
また、以上の実施形態における車両代表点は、店舗代表点もしくは対象店舗メッシュから最も遠くに位置するスクリーニング対象車両の位置としてもよい。
また、以上の実施形態において店舗代表点の設定を、対象車両メッシュ設定処理で行わずに、対象車両メッシュ毎に行うスクリーニング処理毎に行ってもよい。すなわち、たとえば、個々の、スクリーニング処理において、対象車両メッシュの車両代表点もしくは対象車両メッシュから最も遠くに位置する対象店舗メッシュ内の店舗の位置を店舗代表点として設定して用いるようにしてよい。
【0037】
以上のように、本実施形態では、店舗が位置するメッシュ(対象店舗メッシュ)一つについて、対象店舗メッシュ内の店舗を返却先店舗とするレンタカーが位置するメッシュ(対象車両メッシュ)毎にマップサービスを一回利用して、対象店舗メッシュの店舗が返却先である各レンタカーの返却先店舗への、現時点において返却先店舗地に出発した場合の、おおよその到着時刻を求めて、各レンタカーの返却遅延の蓋然性の現出の有無を判定する。そして、返却遅延の蓋然性が現出しているレンタカーについてのみ、個々に、マップサービスを利用して、現時点において返却先店舗に出発した場合の到着予想時刻を精度良く求めて、返却遅延のリスクの発生の有無を判定する。
【0038】
したがって、本実施形態によれば、個々のレンタカーについてマップサービスを利用して、返却遅延のリスクの発生の有無を判定する場合よりも、マップサービスの利用回数が少ない、より処理量が少なく、低コストな処理で、返却遅延のリスクの発生の有無を、個々のレンタカーについてマップサービスを利用する場合と同様な精度で判定できる。
【0039】
ここで、以上の実施形態では、図6のスクリーニング処理のステップ604や図7の詳細判定処理のステップ702で、外部のマップサービスサーバ5が提供するマップサービスを利用して到着予想時刻を取得したが、これは、車両位置情報管理サーバ3にルート探索や探索したルートの到着予想時刻を算定する機能を設け、車両位置情報管理サーバ3自身で到着予想時刻を算出するようにしてもよい。このようにしても、個々のレンタカーについてルート探索や到着予想時刻の算定を行う場合よりも少ない処理量で、返却遅延のリスクの発生の有無を、個々のレンタカーについてルート探索を行う場合と同様な精度で判定できる効果を得ることができる。
【0040】
また、以上の実施形態では、レンタカーの位置や返却期限を管理し、返却遅延リスクの発生をレンタカーの利用者や管理者に通知する場合について示したが、本実施形態は、シェアカーやレンタルバイクやレンタルサイクルやレンタルされるパーソナルモビリティ等の、貸し出されて使用される任意の移動体について、その位置や返却期限を管理し、移動体の返却遅延リスクの発生を移動体の利用者や管理者に通知する場合に同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…車両端末、2…店舗管理端末、3…車両位置情報管理サーバ、4…WAN、5…マップサービスサーバ、11…GNSS受信機、12…移動通信装置、13…音声出力装置、13…制御部、31…車両位置管理部、32…返却アラート処理部、33…店舗管理部、34…車両貸出状態管理部、35…車両状態情報提供部、36…Web API、37…WANインタフェース、100…車両管理システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8