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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177683
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20241217BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241217BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241217BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20241217BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20241217BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20241217BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20241217BHJP
   A61Q 9/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61K8/86
A61K8/92
A61K8/34
A61Q5/10
A61Q5/08
A61Q5/06
A61Q9/02
A61Q9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095943
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】大坪 真理
(72)【発明者】
【氏名】和田 一輝
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB082
4C083AB352
4C083AB412
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC552
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC792
4C083AC892
4C083AD512
4C083AD642
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB49
4C083CC18
4C083CC21
4C083CC32
4C083CC35
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD08
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE26
4C083EE27
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、2種以上の剤を混合して使用するエアゾール製品であって、1以上の剤がエアゾール容器から吐出した後に発泡する低密度組成物であるエアゾール製品において、毛髪への塗布操作における均一な塗布性や、毛髪への密着性に優れるエアゾール製品を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、2種以上の剤を混合して使用するエアゾール製品であって、1以上の剤がエアゾール容器から吐出した後に発泡する低密度組成物であり、前記低密度組成物の発泡倍率が2倍以上30倍以下であることを特徴とする、エアゾール製品を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の剤を混合して使用するエアゾール製品であって、
1以上の剤がエアゾール容器から吐出した後に発泡する低密度組成物であり、
前記2種以上の剤の混合物の発泡倍率が2倍以上30倍以下であることを特徴とする、エアゾール製品。
【請求項2】
前記2種以上の剤が、前記低密度組成物及び高密度組成物を含み、
前記低密度組成物は、25℃における密度が0.01g/mL以上0.30g/mL以下であり、
前記高密度組成物は、25℃における密度が0.30g/mL超1.5g/mL以下であることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール製品。
【請求項3】
前記2種以上の剤は、それぞれ(A)非イオン性界面活性剤及び(B)高級アルコールを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエアゾール製品。
【請求項4】
前記2種以上の剤は、(C)イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のエアゾール製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種以上の剤を混合して使用するエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種類の吐出物を混合して使用するエアゾール製品が知られている。吐出物の性状としては、クリーム剤や、泡剤などがある。クリーム剤は、毛髪への密着性が高く、垂れ落ちにくいという利点がある一方、泡剤と比較すると毛髪への塗布性が劣り、均一に塗布しにくい傾向がある。また、泡剤は、毛髪への塗布性に優れるという利点がある一方、クリーム剤と比較すると毛髪への密着性が劣る傾向がある。これらの双方の利点を得るために、2種類の吐出物をクリーム剤と泡剤とするエアゾール製品が検討されている。
例えば、特許文献1では、2種のエアゾール組成物を吐出する2液型エアゾール製品であって、一方の吐出物が他方の吐出物により包囲された二重吐出物を形成し、包囲された内側吐出物が外側吐出物よりも密度が小さい2液型エアゾール製品が開示されている。また、特許文献2では、発泡性組成物が充填される第1容器と、粘性原液が充填される第2容器とを備えている容器本体と、前記第1容器内の発泡性組成物を取り出すための第1通路と、前記第2容器内の粘性原液を取り出すための第2通路とが形成され、容器本体に取り付けられるバルブ機構と、前記バルブ機構に取り付けられ、前記粘性原液が前記発泡性組成物の少なくとも一部を覆うように吐出するための吐出機構を有する吐出部材とを備える、2液吐出用エアゾール製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-163658号公報
【特許文献2】特開2017-001692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の泡剤を使用するエアゾール製品や、特許文献1、2に開示されているような低密度組成物と高密度組成物とを混合して使用するエアゾール製品では、毛髪へ塗布する際に、塗布量にむらが生じるという問題がある。また、毛髪への密着性をさらに向上することが求められている。
【0005】
そこで、本発明の課題は、2種以上の剤を混合して使用するエアゾール製品であって、1以上の剤がエアゾール容器から吐出した後に発泡する低密度組成物であるエアゾール製品において、毛髪への塗布操作における均一な塗布性(以下、「均一塗布性」ともいう。)や、毛髪への密着性に優れるエアゾール製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、2種以上の剤を混合して使用するエアゾール製品であって、1以上の剤がエアゾール容器から吐出した後に発泡する低密度組成物であるエアゾール製品において、吐出後混合された組成物の発泡倍率を2倍以上30倍以下とすることにより、2種以上の剤を混合した混合物の毛髪への密着性や均一塗布性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
上記課題を解決するための本発明のエアゾール製品は、2種以上の剤を混合して使用するエアゾール製品であって、1以上の剤がエアゾール容器から吐出した後に発泡する低密度組成物であり、前記2種以上の剤の混合物の発泡倍率が2倍以上30倍以下であることを特徴とするものである。
本発明のエアゾール製品によれば、毛髪への密着性や均一塗布性に優れるエアゾール製品を提供することができる。
【0008】
また、本発明のエアゾール製品の一実施態様としては、2種以上の剤が、低密度組成物及び高密度組成物を含み、低密度組成物は、25℃における密度が0.01g/mL以上0.30g/mL以下であり、高密度組成物は、25℃における密度が0.30g/mL超1.5g/mL以下であることを特徴とするものである。
この特徴によれば、高密度組成物の有する毛髪への密着性と、低密度組成物の有する毛髪への塗布性を合わせ持ったエアゾール製品を提供することができる。
【0009】
また、本発明のエアゾール製品の一実施態様としては、2種以上の剤は、それぞれ(A)非イオン性界面活性剤及び(B)高級アルコールを含むことを特徴とするものである。
この特徴によれば、均一塗布性において、特に優れるエアゾール製品を提供することができる。
【0010】
また、本発明のエアゾール製品の一実施態様としては、2種以上の剤は、(C)イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするものである。
この特徴によれば、毛髪への密着性及び均一塗布性において、特に優れるエアゾール製品を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2種以上の剤を混合して使用するエアゾール製品であって、1以上の剤がエアゾール容器から吐出した後に発泡する低密度組成物であるエアゾール製品において、毛髪への塗布操作における均一な塗布性や、毛髪への密着性に優れるエアゾール製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のエアゾール製品は、2種以上の剤を混合して使用するエアゾール製品であって、1以上の剤がエアゾール容器から吐出した後に発泡する低密度組成物であるエアゾール製品である。低密度組成物の以外の他剤の剤型については、低密度組成物と混合することができれば特に限定されないが、例えば、泡剤などの低密度組成物でも、クリーム剤、ゲル剤、液剤、乳剤などの高密度組成物でもよい。
本発明のエアゾール製品によれば、吐出後混合された組成物の発泡倍率が2倍以上30倍以下とすることにより、毛髪への密着性や均一塗布性に優れるエアゾール製品を提供することができる。
【0013】
以下、本発明に係るエアゾール製品の実施態様について、詳細に説明する。
なお、本実施態様に記載するエアゾール製品については、本発明を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
また、本明細書中における各成分の技術的特徴の説明において、低密度組成物又は高密度組成物を特定する記載が無い場合には、当該技術的特徴は、低密度組成物、高密度組成物のいずれにも適用される。
【0014】
[エアゾール製品]
エアゾール製品とは、エアゾール容器から吐出された2種以上の剤を混合して使用する製品である。本発明のエアゾール製品は、少なくとも1以上の剤がエアゾール容器から吐出した後に発泡する低密度組成物を備え、2種以上の剤の混合物は、発泡倍率が2倍以上30倍以下であることを特徴とする。
2種以上の剤の混合物の発泡倍率の下限値としては、好ましくは3倍以上である。上限としては、好ましくは28倍以下であり、より好ましくは25倍以下であり、更に好ましくは20倍以下であり、特に好ましくは15倍以下である。
この範囲とすることにより、均一塗布性や密着性について優れた効果を得ることができる。
【0015】
本発明のエアゾール製品は、低密度組成物と高密度組成物を備えることが好ましい。低密度組成物とは、25℃における密度が0.01g/mL以上0.30g/mL以下であり、高密度組成物とは、25℃における密度が0.30g/mL超1.5g/mL以下である。高密度組成物を備えることにより、毛髪への密着性を向上することができる。
【0016】
なお、エアゾール製品は、2種だけでなく、3種以上の組成物としてもよく、例えば、低密度組成物+低密度組成物+低密度組成物、低密度組成物+低密度組成物+高密度組成物、低密度組成物+高密度組成物+高密度組成物、高密度組成物+高密度組成物+高密度組成物、等としてもよい。
【0017】
低密度組成物の25℃における密度は、0.01g/mL以上0.30g/mL以下である。下限値として、好ましくは0.05g/mL以上であり、より好ましくは0.1g/mL以上である。上限値として、好ましくは0.28g/mL以下であり、より好ましくは0.25g/mL以下である。
具体的な剤型としては、泡剤である。泡剤は、吐出時又は吐出後に発泡性ガス等により発泡するものであればよく、液化石油ガス(LPG)などの発泡剤により吐出直後に発泡するものでも、イソペンタンなどの後発泡剤により吐出後に発泡するものでもよい。なお、吐出前(発泡前)の組成物としては、液状組成物、乳状組成物、ゲル状組成物、クリーム状組成物であってもよい。
【0018】
高密度組成物の25℃における密度は、0.30g/mL超1.5g/mL以下である。下限値として、好ましくは0.40g/mL以上であり、より好ましくは0.50g/mL以上である。また、上限値として、好ましくは1.4g/mL以下であり、より好ましくは1.3g/mL以下である。
具体的な剤型としては、特に制限されないが、例えば、クリーム剤、ゲル剤、液剤、乳剤である。高密度組成物の剤型として、好ましくは、クリーム剤、ゲル剤である。なお、吐出前の組成物としては、吐出後と同様であってよく、クリーム状組成物、ゲル状組成物、液状組成物、乳状組成物であっってもよいし、吐出後に上記密度の範囲内で状態が変化してもよい。
【0019】
なお、本発明において、各状態の粘度としては、例えば、液状、乳状の剤型の場合、25℃における粘度が好ましくは3000ミリパスカル秒(mPa・s)未満であり、クリーム状、ゲル状の剤型の場合、25℃における粘度が好ましくは3000~50000mPa・sである。
【0020】
低密度組成物と高密度組成物の混合比(低密度組成物:高密度組成物)は、例えば、1:0.5~1:4であり、好ましくは1:0.6~1:3.5であり、より好ましくは1:0.7~1:3である。
【0021】
25℃における密度の測定方法は、予め重量が測定された100mL容量カップに、低密度組成物又は高密度組成物を溢れるまで吐出し、吐出直後、好ましくは吐出後1分経過時に100mL容量カップの上端で溢れている組成物を摺り切り、低密度組成物又は高密度組成物の100mL容量あたりの重量を測定する。
【0022】
エアゾール製品は、吐出後に低密度組成物や高密度組成物となる組成物が充填されたエアゾール容器と、低密度組成物や高密度組成物をそれぞれ別々に吐出する吐出口を有する。エアゾール容器は、低密度組成物や高密度組成物がそれぞれ別々の容器に充填された2連型エアゾール容器でも、内袋に充填された高密度組成物が低密度組成物を含む容器内に配置された単一のエアゾール容器でもよい。
2種以上の剤の吐出のタイミングは、同時でもよいし、別々に吐出してもよい。使用者が容易に吐出できるという観点から、一つの吐出動作により、2種以上の剤が同時に吐出することが好ましい。また、混合のタイミングは、吐出と同時に混合しても、吐出後に混合してもよい。
【0023】
2種の剤として低密度組成物と高密度組成物を備えるエアゾール製品では、低密度組成物と高密度組成物の混合性を向上するという観点から、低密度組成物と高密度組成物が吐出時又は吐出後に接触するように吐出するものとしてもよい。吐出後の低密度組成物と高密度組成物の配置は、特に制限されないが、例えば、低密度組成物(例えば、泡剤)と高密度組成物(例えば、クリーム剤)が上下または左右に配置された2層状としてもよいし、低密度組成物と高密度組成物が内外に配置された2重筒状としてもよい。混合性に優れるという観点から、2層状の場合には、下層が低密度組成物で、上層が高密度組成物であることが好ましく、2重筒状の場合には、内側が低密度組成物で、外側が高密度組成物であることが好ましい。
3種以上の組成物とする場合、複数層、多重筒状としてもよく、それぞれ例えば、下層が泡剤、中層が泡剤、上層がクリーム剤の3層状や、最内装が泡剤、中間層が泡剤、最外層がクリーム剤の3重筒状としてもよい。
【0024】
本発明のエアゾール製品の用途は、2種以上の剤を混合して使用する製品であれば、特に制限されないが、例えば、染毛剤、ブリーチ剤、整髪料などの毛髪化粧料、除毛クリームやシェービングジェルなどの外用化粧料などが挙げられる。均一塗布性や密着性に優れるという本発明の効果を一層発揮するという観点では、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を備える酸化染毛剤又は脱色・脱染剤、その他の2剤式の毛髪着色用組成物(染毛料、カラートリートメント、カラーシャンプー等)に利用することが好ましい。酸化染毛剤、脱色・脱染剤に使用する場合、染毛力(脱色力)、均染性(均一な脱色性)に優れるという効果を得ることができる。
また、酸化染毛剤、脱色・脱染剤に使用する場合、第1剤として泡剤、第2剤としてクリーム剤とすることが好ましい。
【0025】
[低密度組成物、高密度組成物]
次に、本発明のエアゾール製品の2種以上の剤を構成する組成物として、低密度組成物及び高密度組成物について説明する。
本発明の低密度組成物、高密度組成物は、(A)非イオン性界面活性剤、(B)高級アルコール、(C)イオン性界面活性剤、(D)油性成分を含有することが好ましい。これらの(A)~(D)成分は、低密度組成物、高密度組成物のいずれか一方、又は両方に含有してもよい。均一塗布性や密着性に優れるという本発明の効果を一層発揮するという観点では、両方に含有することが好ましい。
【0026】
なお、以下に、低密度組成物、高密度組成物に使用する各成分について説明するが、特に断りが無い場合には、低密度組成物、高密度組成物のいずれにも適用する。
【0027】
<(A)非イオン性界面活性剤>
非イオン性界面活性剤は、水に溶解した際にイオン解離しない親水基を有する界面活性剤である。本発明のエアゾール製品において、非イオン性界面活性剤は、低密度組成物及び高密度組成物のいずれか又は両組成物に含有するものである。好ましくは両組成物に非イオン性界面活性剤を含有する。非イオン性界面活性剤を含有することにより、低密度組成物及び高密度組成物の乳化安定性が向上する。
【0028】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、エステルエーテル型非イオン性界面活性剤、アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド、レシチン誘導体水素添加大豆レシチンなどが挙げられる。好ましくは、エーテル型非イオン性界面活性剤である。
【0029】
エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンフィトステロールなどが挙げられる。
【0030】
エーテル型非イオン性界面活性剤におけるポリオキシエチレンなどポリアルキレンオキシド繰り返し単位数としては、例えば、2以上200以下であり、上限値として、好ましくは150以下であり、より好ましくは125以下である。
【0031】
非イオン性界面活性剤のHLB(hydrophile-lipophile balance)値は、例えば、2.0以上20.0以下であれば特に制限されるものではない。非イオン性界面活性剤は、HLB値が異なる2種以上の非イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。具体的には、低密度組成物(特に、泡剤)の場合には、HLB値が15.0以下である非イオン性界面活性剤と、HLB値が15.0を超える非イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。高密度組成物(特に、クリーム剤)の場合には、HLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤と、HLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。これらの非イオン性界面活性剤を使用することにより、本発明の効果を一層発揮することができる。
【0032】
なお、本発明のHLBの値は実測値である。HLB値は、W.C.Griffinによって考えられ、ノニオン界面活性剤に対して与えられた数値であり、ノニオン界面活性剤の親油基(アルキル基)と親水基(酸化エチレン鎖)との強さのバランスを数字で表したものである。HLB値は、乳化法から算出した実測値が用いられる(「ハンドブック-化粧品・製剤原料-」日光ケミカルズ株式会社(昭和52年2月1日改訂版発行)参照)。実測HLB値の測定には、界面活性剤の標準物質としてモノステアリン酸ソルビタン(例えば、日光ケミカルズ社製のNIKKOL SS-10、HLB値4.7)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、日光ケミカルズ社製のNIKKOL TS-10、HLB値14.9)を組み合わせて使用する。被乳化物には流動パラフィンを使用する。なお、流動パラフィンは種類による、又はロットによる変動が考えられる場合は、その都度測定する。流動パラフィンを上記2種類の界面活性剤で乳化し、最適な界面活性剤の割合を求め、流動パラフィンの所要HLB値(乳化されるHLB値)を求める。計算式は数式(1)に示される。
【0033】
【数1】
【0034】
通常流動パラフィンの所要HLB値は、種類、及びロットにもよるが10.1~10.3程度である。次に未知の界面活性剤のHLB値の測定は、所要HLB値を求めた流動パラフィンを用いて測定する。未知の界面活性剤が親水性であればモノステアリン酸ソルビタンと組み合わせ、未知の界面活性剤が疎水性であればモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンと組み合わせて、上記流動パラフィンを乳化し、安定性のあるところの最適割合を求め、未知の界面活性剤のHLB値をxとして上記数式(1)に当てはめて算出する。
【0035】
本発明の低密度組成物における非イオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上であり、特に好ましくは1.0質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは12.5質量%以下であり、更に好ましくは10.0質量%以下である。
これらの範囲とすることにより、乳化安定性に一層優れるという効果を得ることができる。
【0036】
本発明の高密度組成物における非イオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上であり、特に好ましくは1.0質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは12.5質量%以下であり、更に好ましくは10.0質量%以下である。
これらの範囲とすることにより、乳化安定性に一層優れるという効果を得ることができる。
【0037】
本発明のエアゾール製品において、低密度組成物の非イオン性界面活性剤の含有量と、高密度組成物の非イオン性界面活性剤の含有量の差は、好ましくは2.5質量%以下であり、より好ましくは2.3質量%以下であり、更に好ましくは2.1質量%以下である。非イオン性界面活性剤の含有量の差を、この範囲とすることにより、密着性、均一塗布性及び混合性が一層向上するという効果が認められる。
【0038】
低密度組成物と高密度組成物の混合物における非イオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上であり、特に好ましくは1.0質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは12.5質量%以下であり、更に好ましくは10.0質量%以下である。
これらの範囲とすることにより、密着性、均一塗布性に一層優れるという効果を得ることができる。
【0039】
<(B)高級アルコール>
高級アルコールは、炭素数6以上の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素に置換基として水酸基を有する化合物である。好ましい高級アルコールとしては、直鎖状高級アルコールである。
高級アルコールの炭素数は、好ましくは12以上22以下である。
高級アルコールの水酸基の数は、特に制限されず、複数の水酸基を有する多価アルコールでもよいが、好ましくは一価アルコールである。
また、高級アルコールの炭化水素は、飽和炭化水素、不飽和炭化水素のいずれでもよい。高級アルコールは、水酸基以外の他の置換基を有していてもよい。
【0040】
高級アルコールの具体例としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、デシルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、2-ヘキシルデカノール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、フィトステロール、コレステロールなどが挙げられる。
低密度組成物(例えば、泡剤)に含まれる高級アルコールとしては、好ましくはミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)であり、高密度組成物(例えば、クリーム剤)に含まれる高級アルコールとしては、好ましくはステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールである。
【0041】
高級アルコールを含有することにより、均一塗布性が向上する。
また、低密度組成物に高級アルコールを含有する場合、もっちりとした泡が得られ、泡の安定性を向上しつつ、さらに、高密度組成物との混合物の毛髪への密着性が向上する。
また、高密度組成物に高級アルコールを含有する場合、乳化安定性を向上しつつ、低密度組成物との混合物の毛髪への密着性や均一塗布性が向上する。
低密度組成物及び高密度組成物の両方に高級アルコールを含有する場合、低密度組成物と高密度組成物との混合性が向上し、さらには、それらの混合物の毛髪への密着性や均一塗布性を一層向上することができる。
【0042】
本発明の低密度組成物における高級アルコールの含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上10.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.4質量%以上である。上限値としては、好ましくは7.5質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以下である。
低密度組成物における高級アルコールの含有量を上記範囲とすることにより、もっちりとした泡が得られ、泡の安定性を向上しつつ、さらに、高密度組成物との混合物の毛髪への密着性や均一塗布性を向上することができる。
【0043】
本発明の高密度組成物における高級アルコールの含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは1.0質量%以上であり、特に好ましくは3.0質量%以上である。上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下である。
高密度組成物における高級アルコールの含有量を上記範囲とすることにより、乳化安定性を向上しつつ、低密度組成物との混合物の毛髪への密着性や均一塗布性を向上することができる。
【0044】
本発明のエアゾール製品において、低密度組成物の高級アルコールの含有量と、高密度組成物の高級アルコールの含有量の差は、好ましくは5.0質量%以下であり、より好ましくは4.5質量%以下である。高級アルコールの含有量の差を、この範囲とすることにより、密着性、均一塗布性及び混合性が向上するという効果が認められる。
【0045】
低密度組成物と高密度組成物の混合物における高級アルコールの含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは1.0質量%以上であり、特に好ましくは3.0質量%以上である。上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下である。上記範囲とすることにより、密着性や均一塗布性を向上することができる。
【0046】
<(C)イオン性界面活性剤>
イオン性界面活性剤は、水に溶解してイオン解離をする親水基を有する界面活性剤であり、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤がある。本発明のエアゾール製品において、イオン性界面活性剤は、低密度組成物及び高密度組成物のいずれか又は両組成物に含有してもよく、両組成物に含有することが好ましい。イオン性界面活性剤を低密度組成物及び/又は高密度組成物に含有することにより、均一塗布性や密着性に優れるという本発明の効果を一層発揮する。
【0047】
本発明のエアゾール製品において、(C)イオン性界面活性剤は、(C1)カチオン性界面活性剤、(C2)アニオン性界面活性剤、(C3)両性界面活性剤のいずれを使用してもよく、その中でも好ましくは、(C1)カチオン性界面活性剤、(C2)アニオン性界面活性剤であり、より好ましくは、(C1)カチオン性界面活性剤である。特に、(C1)カチオン性界面活性剤を、低密度組成物及び高密度組成物の両組成物に含有することが好ましい。これらのイオン性界面活性剤を使用することにより、本発明の効果を一層発揮することができる。
【0048】
低密度組成物及び高密度組成物の混合物中におけるイオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上である。上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下であり、更に好ましくは5.0質量%以下である。
上記範囲とすることにより、均一塗布性及び密着性について一層向上することができる。
【0049】
低密度組成物中におけるイオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上である。上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下であり、更に好ましくは5.0質量%以下である。
上記範囲とすることにより、均一塗布性及び密着性について一層向上することができる。
【0050】
高密度組成物中におけるイオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上である。上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下であり、更に好ましくは5.0質量%以下である。
上記範囲とすることにより、均一塗布性及び密着性について一層向上することができる。
【0051】
((C1)カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤は、水に溶解してイオン解離をする親水基が陽イオンとなる界面活性剤である。カチオン性界面活性剤としては、例えば、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩などのアルキル4級アンモニウム塩類、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩などのアミン塩類、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリウム塩などの環式4級アンモニウム塩類、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。好ましいカチオン性界面活性剤としては、本発明の効果がより発揮されるという観点から、アルキル4級アンモニウム塩類であり、更に好ましくはモノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩であり、特に好ましくはモノアルキル型4級アンモニウム塩である。
【0052】
また、モノアルキル型4級アンモニウム塩のアルキル基は、特に制限されるものではなく、例えば、炭素数6以上40以下である。下限値としては、好ましくは8以上であり、より好ましくは12以上であり、更に好ましくは16以上であり、特に好ましくは18以上である。上限値としては、好ましくは35以下であり、より好ましくは30以下であり、更に好ましくは28以下であり、特に好ましくは24以下である。
【0053】
モノアルキル型4級アンモニウム塩の具体例としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
好ましくは、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウムである。
また、これらのカチオン性界面活性剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0054】
カチオン性界面活性剤を、低密度組成物、高密度組成物のいずれか一方、又は、両方に含有すると、低密度組成物と高密度組成物の混合物の毛髪への密着性や均一塗布性が向上するという効果がある。
また、低密度組成物として泡剤にカチオン性界面活性剤を含有する場合、泡剤の泡のキメが細かくなり、泡の安定性を向上しつつ、さらに、高密度組成物との混合物の均一塗布性や毛髪への密着性が向上する。
【0055】
低密度組成物、高密度組成物及びそれらの混合物におけるカチオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上10.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.03質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上である。上限値としては、好ましくは7.5質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以下であり、更に好ましくは3.0質量%以下である。
【0056】
((C2)アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤は、水に溶解してイオン解離をする親水基が陰イオンとなる界面活性剤である。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、アルケニル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノエステル型界面活性剤、リン酸ジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステルなどが挙げられる。好ましくは、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤が挙げられる。
これらのアニオン性界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びトリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0057】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸ナトリム)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸塩、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウムなどのN-ラウロイルグルタミン酸塩類、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩などが挙げられる。
好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸ナトリム)、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、N-アシルグルタミン酸塩である。
これらのアニオン性界面活性剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0058】
アニオン性界面活性剤は、低密度組成物、高密度組成物の両方又はいずれか一方に含有することができる。これにより、低密度組成物及び高密度組成物の混合物は、高密度組成物の毛髪への密着性と、低密度組成物の毛髪への塗布性を合わせ持つだけでなく、さらに、均一塗布性や密着性が向上する。
【0059】
低密度組成物及び高密度組成物の混合物におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上である。上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下であり、更に好ましくは5.0質量%以下である。
上記範囲とすることにより、均一塗布性や密着性を一層向上することができる。
【0060】
((C3)両性界面活性剤)
両性界面活性剤は、水に溶解してイオン解離をする親水基がpHにより正に帯電したり、負に帯電したりする界面活性剤である。両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
本発明のエアゾール製品において、両性界面活性剤は、低密度組成物及び高密度組成物のいずれか又は両組成物に含有するものである。両性界面活性剤を低密度組成物及び/又は高密度組成物に含有することにより、均一塗布性や密着性に優れるエアゾール製品を提供することができる。
【0061】
アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエトキシエチル-N’-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどのグリシン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミンなどのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
好ましくは、グリシン型両性界面活性剤、プロピオン酸型両性界面活性剤であり、特に好ましくは、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウムである。
【0062】
また、ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
好ましくは、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤であり、特に好ましくは、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインである。
また、これらの両性界面活性剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0063】
両性界面活性剤は、低密度組成物、高密度組成物の両方又はいずれか一方に含有することができる。これにより、低密度組成物及び高密度組成物の混合物は、高密度組成物の毛髪への密着性と、低密度組成物の毛髪への塗布性を合わせ持つだけでなく、均一塗布性や密着性が向上する。
【0064】
低密度組成物、高密度組成物及びそれらの混合物におけるにおける両性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下であり、更に好ましくは5.0質量%以下である。
上記範囲とすることにより、均一塗布性や密着性を一層向上することができる。
【0065】
<(D)油性成分>
油性成分は、(B)成分である高級アルコールを除く、液状又は固形の油性成分である。油性成分としては、例えば、炭化水素油、油脂、高級脂肪酸、ロウ類、アルキルグリセリルエーテル、エステル油、シリコーン油などが挙げられる。好ましくは、炭化水素油、油脂、エステル油であり、さらに好ましくは、25℃で液状の油性成分である。
また、これらの油性成分は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0066】
油性成分は、低密度組成物、高密度組成物の両方又はいずれか一方に含有することができる。油性成分を含有することにより、低密度組成物と高密度組成物との混合性や、低密度組成物と高密度組成物との混合物の均一塗布性を一層向上することができる。また、混合物の毛髪への密着性、伸展性、毛髪への馴染みやすさも向上する。
【0067】
油性成分は、アルカリ剤を含有する第1剤又は酸化剤を含有する第2剤のいずれに含んでもよく、第2剤に含有することが好ましい。
【0068】
炭化水素は、炭素と水素よりなる化合物である。炭化水素油の具体例としては、例えば、流動パラフィン、パラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、合成スクワラン、水添スクワラン、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、オゾケライト、セレシン、リモネン、テレビン油などが挙げられる。好ましい炭化水素としては流動パラフィン、パラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、特に好ましくは流動パラフィンである。
【0069】
油脂は、トリグリセリドすなわち脂肪酸とグリセリンとのトリエステルである。油脂の具体例としては、例えば、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油、月見草油などが挙げられる。好ましい油脂としてはオリーブ油、ツバキ油、シア脂、ブドウ種子油、月見草油である。
【0070】
高級脂肪酸は、炭素数6以上の脂肪族カルボン酸である。高級脂肪酸の炭素数は、特に制限されるものではなく、例えば、6以上24以下である。下限値としては、好ましくは8以上であり、より好ましくは10以上であり、更に好ましくは12以上である。一方、上限値としては、好ましくは22以下であり、より好ましくは20以下であり、更に好ましくは18以下である。
また、高級脂肪酸の炭素鎖は、飽和のものでも不飽和のものでもよい。
高級脂肪酸の具体例としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸などが挙げられる。好ましい高級脂肪酸としてはステアリン酸、オレイン酸である。
【0071】
ロウ類は、高級脂肪酸と高級アルコールのエステルである。ロウ類の具体例としては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、カポックロウ、セラックロウなどが挙げられる。好ましいロウ類としてはミツロウ、ホホバ油、ラノリンである。
【0072】
アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテルなどが挙げられる。好ましいアルキルグリセリルエーテルとしてはバチルアルコールである。
【0073】
エステル油は、脂肪酸とアルコールとの脱水反応によって得られる化合物である。エステル油の具体例としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルへキシル、エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、脂肪酸(C10-30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸オクチルドデシル、リシノール酸オクチルドデシル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油などが挙げられる。好ましいエステル油としてはエチルヘキサン酸セチルである。
【0074】
シリコーン油は、有機基のついたケイ素と酸素が化学結合により交互に連なった合成高分子である。シリコーン油の具体例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650以上10000以下の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどが挙げられる。好ましいシリコーン油としてはジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーンである。
【0075】
上記のアミノ変性シリコーンの具体例としては、例えば、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)などが挙げられる。
【0076】
低密度組成物と高密度組成物の混合物中における油性成分の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.1質量%以上、20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは1.0質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上であり、更に好ましくは2.5質量%以上であり、特に好ましくは2.8質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは18.0質量%以下であり、より好ましくは17.0質量%以下であり、更に好ましくは16.0質量%以下であり、特に好ましくは15.0質量%以下である。上記範囲とすることにより、密着性、均一塗布性を一層向上することができる。
【0077】
低密度組成物における油性成分の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.01質量%以上、20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.5質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下である。
【0078】
高密度組成物における油性成分の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.1質量%以上、20.0質量%以下である。下限値としては、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは18.0質量%以下であり、より好ましくは17.0質量%以下であり、更に好ましくは16.0質量%以下であり、特に好ましくは15.0質量%以下である。
【0079】
<発泡剤>
発泡剤は、低密度組成物に配合されるものであり、エアゾール容器等の高圧環境下から毛髪化粧料の使用環境下(通常、常温、大気圧下)に吐出されると低密度組成物を発泡させるような成分であればよく、例えば、液化天然ガス(LPG)、窒素ガス、炭酸ガス、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン等が挙げられる。発泡力に優れるという観点から、好ましくは、液化天然ガス、炭酸ガスである。
【0080】
<その他の成分>
本発明のエアゾール製品の低密度組成物、高密度組成物は、上記(A)~(D)成分以外に、必要に応じて、以下の、アルカリ剤、酸化剤、過酸化水素安定化剤、多価アルコール、高分子化合物、ペプチド、アミノ酸、キレート剤、pH調節剤、酸化染料、直接染料、水などを適宜に選択して含有してもよい。
【0081】
(アルカリ剤)
アルカリ剤は、毛髪を膨潤させて、染料や酸化剤の浸透を促進する作用を有するものであり、第1剤に配合される。アルカリ剤としては、例えば、アルカノールアミン、アンモニア、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩化物、有機アミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等が例示される。具体的には、アルカノールアミンとしてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、イソプロピルアミン等が例示され、ケイ酸塩としてはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が例示され、炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸グアニジン等が例示され、炭酸水素塩としては炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が例示され、メタケイ酸塩としてはメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が例示され、リン酸塩としてはリン酸第1アンモニウム、リン酸第2アンモニウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等が例示され、硫酸塩としては硫酸アンモニウムなどが例示され、塩化物としては塩化アンモニウムが例示され、有機アミンとしては2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジンが例示され、塩基性アミノ酸としてはアルギニン、リジン及びそれらの塩等が例示され、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物としては水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が例示される。特に好ましくは炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アンモニア、モノエタノールアミンである。
【0082】
(酸化剤)
酸化剤は、酸化染料を酸化して発色させる作用や、毛髪内部のメラニン色素、染毛によって毛髪中に定着した染料を分解する作用を有するものであり、第2剤に配合される。
酸化剤の具体例としては、例えば、過酸化水素、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過酸化尿素、過酸化メラミン、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、過酢酸、過ギ酸、過酢酸塩、過ギ酸塩、過マンガン酸塩、臭素酸塩などが挙げられる。好ましい酸化剤としては、メラニン色素や染毛によって毛髪中に定着した染料の脱色力に優れるという観点から、過酸化水素である。
また、これらの酸化剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0083】
(過酸化水素安定化剤)
過酸化水素安定化剤は、本発明の酸化剤含有組成物に過酸化水素が含まれる場合、その安定性を向上させる化合物である。
過酸化水素安定化剤の具体例としては、例えば、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウムやヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムなどのヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム塩、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウムなどのスズ酸塩などが挙げられる。
また、これらの過酸化水素安定化剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0084】
(多価アルコール)
多価アルコールは、上記(C)成分を除く、分子中に水酸基を複数有するアルコールである。多価アルコールとしては、例えば、グリコール、グリセリンなどが挙げられる。
グリコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG1000、PEG1500、PEG1540など)、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコールなどが挙げられる。
グリセリンの具体例としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
また、これらの多価アルコールは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0085】
(高分子化合物)
高分子化合物は、分子量の大きな化合物であり、天然高分子化合物と合成高分子化合物を含むものである。高分子化合物としては、例えば、カチオン化セルロース誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体、又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガムなどが挙げられる。
また、これらの高分子化合物は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0086】
カチオン化セルロース誘導体の具体例としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体であるポリクオタニウム-10(例えば、レオガードG(ライオン社)など)、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドであるポリクオタニウム-4(例えば、セルコートH-100(ナショナルスターチアンドケミカル社)など、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
【0087】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体、又は共重合体の具体例としては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム)であるポリクオタニウム-6(例えば、マーコート100(Nalco社)など)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体であるポリクオタニウム-22(例えば、マーコート280(Nalco社)など)、アクリル酸/ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体であるポリクオタニウム-39(例えば、マーコートプラス3331(Nalco社)など)などが挙げられる。
【0088】
4級化ポリビニルピロリドンの具体例としては、例えば、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩であるポリクオタニウム-11(例えば、ガフコート734、ガフコート755(いずれもアイエスピー・ジャパン社)など)などが挙げられる。
【0089】
その他、高分子化合物としては、カルボキシビニルポリマーなどのアニオン性ポリマー、水溶性ポリマーなどが挙げられる。水溶性ポリマーの具体例としては、例えば、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン、アルゲコロイド(褐藻エキス)などの植物性高分子、デキストラン、プルランなどの微生物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプンなどのデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマーなどのビニル系高分子などが挙げられる。
【0090】
(ペプチド、アミノ酸)
ペプチド、アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を持つ有機化合物である。
ペプチド、アミノ酸の具体例としては、例えば、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、シルク、カゼイン、ゼラチンなどの動物系タンパク質、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ダイズ、アーモンドなどの植物から得られるタンパク質、これらのタンパク質を酸、アルカリ、酵素などにより加水分解したものなどが挙げられる。
また、これらのペプチド、アミノ酸は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0091】
(キレート剤)
キレート剤は、配位子を有し、金属イオンを結合するものである。
キレート剤の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩などが挙げられる。
また、これらのキレート剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0092】
(pH調節剤)
pH調節剤は、組成物のpHを調節するためのもので、無機酸、又は有機酸である酸成分と、無機アルカリ、又は有機アルカリであるアルカリ成分とからなる。
【0093】
有機酸の具体例としては、例えば、グリコール酸や乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸、コハク酸などのジカルボン酸などが挙げられる。
有機アルカリの具体例としては、例えば、モルフォリンなどの揮発性アルカリ成分、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールなどのアミノアルコール類、L-アルギニン、L-リジン、L-ヒスチジンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。
【0094】
(酸化染料)
酸化染料は、酸化剤により酸化重合して発色する染料であり、第1剤に配合される。酸化染料には、染料中間体とカプラーがあり、染料中間体は、自身の酸化により発色する物質であり、カプラーは、染料中間体との組み合わせにより種々の色調となる物質である。
染料中間体は、主としてo-又はp-のフェニレンジアミン類あるいはアミノフェノール類である染料先駆物質であり、通常、それ自体は無色か又は弱く着色した化合物である。
具体的には、p-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン(p-トルイレンジアミン)、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、p-メチルアミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、o-クロル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール、2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール等が例示される。染料中間体は、所望する毛髪の色調に応じて1種又は2種以上を選択して使用することができる。
カプラーは、主としてm-のジアミン類、アミノフェノール類、ジフェノール類の塩が挙げられる。具体的には、m-アミノフェノール、5-アミノ-o-クレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、トルエン-3,4-ジアミン、2,6-ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N-ジエチル-m-アミノフェノール、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾール、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、α-ナフトール、フェニルメチルピラゾロン、3,3’-イミノジフェニール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、タンニン酸、5,6-ジヒドロキシインドリン、5,6-ジヒドロキシインドール等が例示される。カプラーは、所望する毛髪の色調に応じて1種又は2種以上を選択して使用することができる。
【0095】
(直接染料)
直接染料は、色を有する化合物であり、毛髪に付着、又は浸透して染毛する染料であれば特に制限されるものではない。例えば、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料などが挙げられる。
また、これらの直接染料は、所望する毛髪の色調に応じて単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0096】
(その他)
本発明のエアゾール製品の低密度組成物、高密度組成物には、その他にも、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、無水亜硫酸ナトリウムなど)、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウムなど)、有機溶剤(例えば、エタノールなど)、糖類(例えば、ソルビトール、マルトースなど)、安定剤(例えば、フェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸など)、無機塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、緩衝剤(リン酸ナトリウムなど)、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を含有させてもよい。
【実施例0097】
以下、本発明のエアゾール製品に係る実施例を示し、更に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0098】
表1に示す含有量によって、実施例及び比較例に係る本発明の泡剤及びクリーム剤を得た。これらについて、下記評価基準に従って、発泡倍率、密着性、均一塗布性を評価した。結果を表1に示す。なお、発泡倍率は、LPGの圧力を変えることにより調整した。
【0099】
<発泡倍率の測定方法>
エアゾールから泡剤およびクリーム剤をカップへ吐出して、すぐにかき混ぜ、20mLの半球状プラスチック容器に移して、混合物をすり切りまで入れた直後、混合後の発泡物の質量を計測し以下の式より発泡倍率を算出した。かき混ぜ操作は、ホーユー株式会社製、商品名ビゲンクリームトーン付属の刷毛を用いて、手を用いて、10秒間で、同じ速さで15回、略直径5cmの円を描くようにかき混ぜた。
発泡倍率=20mL/[混合後の発泡物の質量(g)/混合後の原液の比重(g/mL)]
【0100】
<密着性の評価方法>
手の平上に両剤を吐出し、黒毛ウィッグ(ビューラックス社製クィーンカットNo.775S)に手で塗布した。パネラー10名が塗布直後~5分後の毛髪根元部分の混合物状態を観察し、以下の基準で評価した。
塗布直後と同等量の混合物が、毛髪根元部に留まる場合を、優れる(5点)、塗布直後と比べて混合物がわずかに流動しているが、毛髪根元部に留まる場合を、良好(4点)、塗布直後と比べて混合物が流動しているが、毛髪根元部に留まる場合を、可(3点)、塗布直後と比べて混合物が流動し、毛髪根元部にほとんど留まらない場合を、やや不良(2点)、毛髪根元部に混合物が留まらず、毛髪から垂れ落ちる場合を、不良(1点)の5段階で採点した。
各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を表1の「密着性」欄に示す。
【0101】
<均一塗布性の評価方法>
泡剤5gとクリーム剤4gを吐出し、黒毛ウィッグ(ビューラックス社製クィーンカットNo.775S)に、刷毛を用いて黒毛ウィッグ重量の3倍量の酸化染毛剤を塗布し(浴比1:3)、30℃で30分間放置した。放置後、黒毛ウィッグを水洗した後、シャンプーで洗浄し、酸化染毛剤を洗い流した。次に、黒毛ウィッグにコンディショナーを塗布した。黒毛ウィッグをすすいでコンディショナーを洗い流した後、黒毛ウィッグの水分をタオルで拭き取り、最後にドライヤーで乾燥した。
染毛処理された黒毛ウィッグ色ムラの程度を10名のパネラーが目視で観察し、色ムラがあるか否かを評価(官能評価)した。
具体的には、「ムラなく染まっている」場合を「5」、「ほぼムラなく染まっている」場合を「4」、「ムラがあるが許容範囲である」場合を「3」、「ムラが多い」場合を「2」、「ムラが非常に多い」場合を「1」とした。
各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。
【0102】
【表1】
【0103】
表1に示すように、実施例における本発明のエアゾール製品は、第1剤と第2剤の混合物の発泡倍率が2倍以上30倍以下である場合、混合物である酸化染毛剤の密着性及び均一塗布性について優れた評価となった(例えば、実施例1-1~1-3及び実施例2-1~2-3からなる酸化染毛剤と、比較例1-1~1-2及び比較例2-1~2-2からなる酸化染毛剤との対比)。
実施例1-1~1-3及び実施例2-1~2-3からなる酸化染毛剤と、実施例1-4及び実施例2-4からなる酸化染毛剤とを対比すると、イオン性界面活性剤を添加する場合、混合物の密着性及び均一混合性が向上することがわかる。
実施例1-1及び実施例2-1からなる酸化染毛剤と、実施例1-5~1-6及び実施例2-5~2-6からなる酸化染毛剤を対比すると、高級アルコールや油性成分を添加する場合、混合物の密着性及び均一混合性が向上することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のエアゾール製品は、例えば、染毛剤、ブリーチ剤、整髪料などの毛髪化粧料、除毛クリームやシェービングジェルなどの外用化粧料などに利用することができる。より好適には、例えば、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を備える酸化染毛剤に利用することができる。