IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ステアリング装置 図1
  • 特開-ステアリング装置 図2
  • 特開-ステアリング装置 図3
  • 特開-ステアリング装置 図4
  • 特開-ステアリング装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017769
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120626
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】中村 高太郎
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB13
(57)【要約】
【課題】運転者の体格によらず適切にステアリングハンドルの把持の有無を判定できるステアリング装置を提供すること。
【解決手段】ステアリング装置1は、運転者による車両の操舵操作を受け付けるステアリングハンドル2と、ステアリングハンドル2のうち運転者が把持可能なリム部20に配置され、各々の配置位置と人体との間の距離に応じて増減する検出値Ch_1,Ch_2,Ch_3,Ch_4を出力する複数の近接センサ4,5,6,7と、近接センサ4~7の検出値Ch_1~Ch4に基づいてリム部20の把持の有無を判定する把持判定装置8と、を備える。把持判定装置8は、複数の近接センサ4~7の検出値の変化度合いに基づいて複数の近接センサ4~7の中から対象センサを選択する選択部81と、対象センサの検出値に基づいてリム部20の把持の有無を判定する判定部82と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者による車両の操舵操作を受け付けるステアリングハンドルと、
前記ステアリングハンドルのうち運転者が把持可能な把持部に配置され、各々の配置位置と人体との間の距離に応じて増減する検出値を出力する複数の近接センサと、
前記近接センサの検出値に基づいて前記把持部の把持の有無を判定する把持判定装置と、を備えるステアリング装置であって、
前記把持判定装置は、
複数の前記近接センサの検出値の変化度合いに基づいて複数の前記近接センサの中から対象センサを選択する選択部と、
前記対象センサの検出値に基づいて前記把持部の把持の有無を判定する判定部と、を備えることを特徴とするステアリング装置。
【請求項2】
前記選択部は、複数の前記近接センサの検出値の変化度合いの大きさを互いに比較することによって前記対象センサを選択することを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項3】
前記選択部は、N個(Nは、2以上の整数)の前記近接センサのうち変化度合いが大きいものから降順でM個(Mは、1以上でありかつN未満の整数)を前記対象センサとして選択することを特徴とする請求項2に記載のステアリング装置。
【請求項4】
前記選択部は、複数の前記近接センサの検出値の変化度合いを、当該変化度合いに対して定められる閾値である選択閾値と比較することによって前記対象センサを選択することを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項5】
前記選択部は、複数の前記近接センサのうち変化度合いが前記選択閾値より大きいものを前記対象センサとして選択することを特徴とする請求項4に記載のステアリング装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記判定部によって前記把持部は把持されていないと判定されている間、複数の前記近接センサから前記対象センサを選択する選択処理を所定周期で実行することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のステアリング装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記把持部の把持の有無を所定周期毎に判定するとともに、
前回周期時に前記把持部は把持されていないと判定した場合、複数の前記近接センサのうち前記対象センサとして選択されたもののみの検出値に基づいて前記把持部の把持の有無を判定し、
前回周期時に前記把持部は把持されていると判定した場合、複数の前記近接センサの検出値に基づいて前記把持部の把持の有無を判定することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のステアリング装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記対象センサの検出値が、当該検出値に対して定められる閾値である把持閾値以上である場合、前記把持部は把持されていると判定することを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項9】
前記判定部は、複数の前記対象センサの検出値の合計値が、当該検出値に対して定められる閾値である把持閾値以上である場合、前記把持部は把持されていると判定することを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリング装置に関する。より詳しくは、ステアリングハンドルと、運転者によるステアリングハンドルの把持の有無を判定する把持判定装置と、を備えるステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通の安全性を向上するため、車線維持機能、車線逸脱抑制機能、車線変更機能、及び先行者追従機能等、運転者による車両の運転を支援する運転支援装置の車両への搭載が進められている。このような運転支援装置を備える車両では、例えば特許文献1に示されたような把持判定装置によって運転者によるステアリングハンドルの把持の有無を判定し、把持していないと判定した場合には、運転者に対しステアリングハンドルの把持を促したり、実行中の運転支援機能をキャンセルしたりする場合がある。
【0003】
特許文献1に示された把持判定装置では、ステアリングハンドルのリム部に設けた近接センサの検出値に基づいて、運転者によるステアリングハンドルの把持の有無を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-69902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献1に示された把持判定装置のように、リム部に設けた近接センサの検出値に基づいてステアリングハンドルの把持の有無を判定する場合、ステアリングハンドルの近傍に、手以外の運転者の身体の一部が存在する場合、運転者が手でリム部を把持していないにも関わらず、把持していると誤判定してしまう場合がある。より具体的には、運転者の体格が大きくなるほど、ステアリングハンドルと運転者の腹部や膝との間の間隔が狭くなるため、このような誤判定が生じやすい。
【0006】
本発明は、運転者の体格によらず適切にステアリングハンドルの把持の有無を判定できるステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係るステアリング装置(例えば、後述のステアリング装置1)は、運転者による車両の操舵操作を受け付けるステアリングハンドル(例えば、後述のステアリングハンドル2)と、前記ステアリングハンドルのうち運転者が把持可能な把持部(例えば、後述のリム部20)に配置され、各々の配置位置と人体との間の距離に応じて増減する検出値を出力する複数の近接センサ(例えば、後述の第1近接センサ4、第2近接センサ5、第3近接センサ6、及び第4近接センサ7)と、前記近接センサの検出値に基づいて前記把持部の把持の有無を判定する把持判定装置(例えば、後述の把持判定装置8)と、を備え、前記把持判定装置は、複数の前記近接センサの検出値の変化度合いに基づいて複数の前記近接センサの中から対象センサを選択する選択部(例えば、後述の選択部81)と、前記対象センサの検出値に基づいて前記把持部の把持の有無を判定する判定部(例えば、後述の判定部82)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
(2)この場合、前記選択部は、複数の前記近接センサの検出値の変化度合いの大きさを互いに比較することによって前記対象センサを選択することが好ましい。
【0009】
(3)この場合、前記選択部は、N個(Nは、2以上の整数)の前記近接センサのうち変化度合いが大きいものから降順でM個(Mは、1以上でありかつN未満の整数)を前記対象センサとして選択することが好ましい。
【0010】
(4)この場合、前記選択部は、複数の前記近接センサの検出値の変化度合いを、当該変化度合いに対して定められる閾値である選択閾値と比較することによって前記対象センサを選択することが好ましい。
【0011】
(5)この場合、前記選択部は、複数の前記近接センサのうち変化度合いが前記選択閾値より大きいものを前記対象センサとして選択することが好ましい。
【0012】
(6)この場合、前記選択部は、前記判定部によって前記把持部は把持されていないと判定されている間、複数の前記近接センサから前記対象センサを選択する選択処理を所定周期で実行することが好ましい。
【0013】
(7)この場合、前記判定部は、前記把持部の把持の有無を所定周期毎に判定するとともに、前回周期時に前記把持部は把持されていないと判定した場合、複数の前記近接センサのうち前記対象センサとして選択されたもののみの検出値に基づいて前記把持部の把持の有無を判定し、前回周期時に前記把持部は把持されていると判定した場合、複数の前記近接センサの検出値に基づいて前記把持部の把持の有無を判定することが好ましい。
【0014】
(8)この場合、前記判定部は、前記対象センサの検出値が、当該検出値に対して定められる閾値である把持閾値以上である場合、前記把持部は把持されていると判定することが好ましい。
【0015】
(9)この場合、前記判定部は、複数の前記対象センサの検出値の合計値が、当該検出値に対して定められる閾値である把持閾値以上である場合、前記把持部は把持されていると判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
(1)本発明では、ステアリングハンドルのうち運転者が把持可能な把持部に複数の近接センサを設ける。ここで運転者の体格が標準より大きい場合、運転席に着座する運転者の腹部や膝等の身体の一部が把持部の特定箇所に接近してしまう。このため、この特定箇所の近傍に配置された近接センサの検出値は、定常的に標準よりも大きくなるが、運転中に大きく変化することは無い。これに対し運転者が手で把持する箇所の近傍に配置された近接センサの検出値は、運転者が把持する度に大きく変化する。そこで把持判定装置の選択部は、複数の近接センサの検出値の変化度合いに基づいて複数の近接センサの中から対象センサを選択し、把持判定装置の判定部は、選択された対象センサの検出値に基づいて把持の有無を判定する。本発明によれば、複数の近接センサの中から運転者の体格に起因して検出値が大きくなっているものを対象センサから除外することができるので、運転者の体格によらず適切にステアリングハンドルの把持の有無を判定することができ、ひいては交通の安全性を向上することができる。
【0017】
(2)本発明では、選択部は、複数の近接センサの検出値の変化度合いの大きさを互いに比較することによって複数の近接センサの中から対象センサを選択することにより、複数の近接センサの中から運転者が手で把持する箇所の近傍に配置されるものを対象センサとして選択することができる。
【0018】
(3)本発明では、選択部は、N個の近接センサのうち変化度合いが大きいものから降順でM個を対象センサとして選択することにより、複数の近接センサの中から運転者が手で把持する箇所の近傍に配置されるものを対象センサとして選択することができる。
【0019】
(4)本発明では、選択部は、複数の近接センサの検出値の変化度合いを、この変化度合いに対して定められる閾値である選択閾値と比較することによって複数の近接センサの中から対象センサを選択することにより、複数の近接センサの中から運転者が手で把持する箇所の近傍に配置されるものを対象センサとして選択することができる。
【0020】
(5)本発明では、選択部は、複数の近接センサのうち変化度合いが選択閾値より大きいものを対象センサとして選択することにより、複数の近接センサの中から運転者が手で把持する箇所の近傍に配置されるものを対象センサとして選択することができる。
【0021】
(6)本発明では、選択部は、判定部によって把持されていないと判定されている間、複数の近接センサから対象センサを選択する選択処理を所定周期で実行することにより、運転者が把持部を把持し直したり把持箇所を変えたりする度に、適切な対象センサを選択し直すことができる。
【0022】
(7)本発明では、判定部は、把持部の把持の有無を所定周期毎に判定するとともに、前回周期時に把持されていないと判定した場合、選択部によって対象センサとして選択されたもののみの検出値に基づいて把持部の把持の有無を判定することにより、運転者による把持の有無を精度良く判定することができる。また判定部は、前回周期時に把持されていると判定した場合、複数の近接センサの検出値に基づいて把持部の把持の有無を判定することにより、例えば運転者が把持部を把持したまま、その把持箇所をスライドさせた場合であっても適切に把持の有無を判定することができる。
【0023】
(8)本発明では、判定部は、対象センサの検出値が、この検出値に対して定められる閾値である把持閾値以上である場合、把持部は把持されていると判定することにより、運転者が対象センサの配置位置の近傍を把持していることを精度良く判定することができる。
【0024】
(9)本発明では、判定部は、複数の対象センサの検出値の合計値が、この検出値に対して定められる閾値である把持閾値以上である場合、把持部は把持されていると判定する。これにより例えば運転者が、複数の近接センサの配置箇所にまたがって把持している場合であっても把持の有無を精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るステアリング装置の構成を示す図である。
図2】第1検出回路の回路構成を示す図である。
図3】把持判定装置において複数の近接センサの検出値に基づいて運転者によるリム部の把持の有無を判定する手順を示すフローチャートである。
図4】第1把持判定処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図5】第2把持判定処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係るステアリング装置について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係るステアリング装置1の構成を示す図である。ステアリング装置1は、図示しない車両に搭載される。ステアリング装置1は、運転者による車両の操舵操作や車両補機に対する補機操作等を受け付けるステアリングハンドル2と、このステアリングハンドル2を軸支するステアリングシャフト3と、ステアリングハンドル2に設けられた複数(本実施形態では、4つ)の近接センサ4,5,6,7と、これら近接センサ4~7による検出結果に基づいて運転者によるステアリングハンドル2の把持の有無を判定する把持判定装置8と、を備える。
【0028】
ステアリングハンドル2は、円環状であり運転者が把持可能な把持部としてのリム部20と、このリム部20の内側に設けられたハブ部23と、ハブ部23から径方向に沿って延びリム部20のリム内周部21に接続される3つのスポーク部25L,25R,25Dと、を備える。
【0029】
ハブ部23は、円盤状であり、例えば運転者から視たリム部20の中心に設けられ、ステアリングハンドル2の中心を構成する。運転者から視たハブ部23の背面側には、ステアリングハンドル2を軸支するステアリングシャフト3が連結されている。ステアリングシャフト3は、ハブ部23の骨格である心金と、図示しない車体の一部を構成する操舵機構とを連結する軸状の連結部材である。したがって運転者がステアリングハンドル2を回転させることによって生じるステアリングトルクは、このステアリングシャフト3によって図示しない操舵機構に伝達される。
【0030】
リム部20とハブ部23とは、3つのスポーク部25L,25R、25Dによって接続されている。左スポーク部25Lは、水平方向に沿って延び、ハブ部23のうち運転者から視た左側の部分とリム内周部21のうち運転者から視た左側の部分とを接続する。右スポーク部25Rは、左スポーク部25Lと平行かつ水平方向に沿って延び、ハブ部23のうち運転者から視た右側の部分とリム内周部21のうち運転者から視た右側の部分とを接続する。下スポーク部25Dは、スポーク部25L,25Rに対し直交かつ鉛直方向に沿って延び、ハブ部23のうち運転者から視た下側の部分とリム内周部21のうち運転者から視た下側の部分とを接続する。
【0031】
以上のようにリム部20は運転者から視て円環状であり、運転者はその全周にわたり把持可能である。またこのリム部20には、後述の複数の近接センサ4,5,6,7の電極部40,50,60,70が全周にわたり設けられている。
【0032】
左スポーク部25L及び右スポーク部25Rには、それぞれ、運転者が図示しない車両補機(例えば、オーディオ装置やカーナビゲーション装置等)を操作するための運転者による補機操作を受け付ける左補機操作コンソールユニット27L及び右補機操作コンソールユニット27Rが設けられている。運転者は、これら補機操作コンソールユニット27L,27Rに設けられた複数のスイッチを指で操作することによって、車両補機を操作することが可能となっている。
【0033】
なお以下では、運転者から視て略円形のリム部20、リム内周部21、ハブ部23、及びステアリングシャフト3の位置や各スポーク部25L,25R,25Dの向きを、ステアリングシャフト3を中心としかつリム部20の運転者から視た上端部20Cを基準とした時計回りの角度[°]で表す場合もある。すなわち、右スポーク部25Rは、90°の向きに沿って延び、ハブ部23及びリム内周部21の90°の部分を接続する。下スポーク部25Dは、180°の向きに沿って延び、ハブ部23及びリム内周部21の180°の部分を接続する。また左スポーク部25Lは、270°の向きに沿って延び、ハブ部23及びリム内周部21の270°の部分を接続する。
【0034】
第1近接センサ4は、リム部20に設けられた第1電極部40と、この第1電極部40と電気的に接続された第1検出回路42と、を備える。第1電極部40は、リム部20に沿って延びる円弧状であり、導電性である。第1電極部40は、リム部20の内部に設けられている。第1電極部40は、リム部20のうち45°から135°の間の約90°の範囲(すなわち、運転者が主に右手で把持可能な範囲)に配置されている。なお以下では、リム部20のうち第1電極部40の配置位置をリム部右部20Rともいう。第1検出回路42は、配線41を介して第1電極部40と接続されている。第1検出回路42は、第1電極部40の配置位置と人体との間の距離に応じて増減する値として、第1電極部40と接地との間の静電容量を検出する。第1電極部40の配置位置と人体との距離が近くなるほど、第1電極部40と接地との間の静電容量は大きくなる。第1検出回路42による静電容量の検出値Ch_1は把持判定装置8へ送信される。
【0035】
図2は、第1検出回路42の回路構成を示す図である。
第1検出回路42は、パルス電源43と、増幅器44と、第1スイッチ45と、第2スイッチ46と、充電コンデンサ47と、静電容量測定部48と、を備える。なお図2では、第1電極部40と接地(例えば、車体)との間の静電容量を、ステアリングハンドル2を操作する運転者の手を含む人体Hによって形成される静電容量Chと、人体Hを除く配線や部品等の浮遊コンデンサEによって形成される浮遊容量Ceと、に分けて図示する。
【0036】
図2に示すように、パルス電源43と増幅器44とは直列に接続されている。第2スイッチ46と充電コンデンサ47とは並列に接続されている。パルス電源43及び増幅器44から成る直列回路と、第2スイッチ46及び充電コンデンサ47から成る並列回路は、第1スイッチ45を介して接続されている。増幅器44の出力端子と第1スイッチ45とは、配線41を介して第1電極部40に接続されている。したがってパルス電源43は、増幅器44及び配線41を介して第1電極部40に接続される。また第2スイッチ46及び充電コンデンサ47は、それぞれ第1スイッチ45及び配線41を介して第1電極部40に接続されている。
【0037】
パルス電源43は、把持判定装置8からの指令に応じて、所定周波数かつ所定電圧のパルス電圧Vsを増幅器44に供給する。増幅器44は、パルス電源43から供給されるパルス電圧Vsを増幅し、第1電極部40に印加する。
【0038】
第2スイッチ46は、図示しない駆動回路によってオン/オフされるスイッチング素子である。この第2スイッチ46の駆動回路は、例えば充電コンデンサ47の電圧VCrefが予め定められた閾値Vthrに到達するまでの間、第2スイッチ46をオフにし、電圧VCrefが閾値Vthrに到達した後に、第2スイッチ46をオンにし、充電コンデンサ47に蓄えられた電荷を放電する。
【0039】
第1スイッチ45は、図示しない駆動回路によってオン/オフされるスイッチング素子である。この第1スイッチ45の駆動回路は、パルス電源43のパルス電圧Vsの立ち上がりに応じて第1スイッチ45をオフにする。これにより第1電極部40には、パルス電源43及び増幅器44から供給されるパルス電圧が印加され、図2において矢印2aで示す経路を経て電荷が移動し、人体H及び浮遊コンデンサEが充電される。
【0040】
また第1スイッチ45の駆動回路は、パルス電源43のパルス電圧Vsの立ち下がりに応じて第1スイッチ45をオンにする。これにより、人体H及び浮遊コンデンサEと充電コンデンサ47とが接続され、人体H及び浮遊コンデンサEから充電コンデンサ47へ図2において矢印2bで示す経路を経て電荷が移動し、充電コンデンサ47が充電される。これにより充電コンデンサ47の電圧VCrefは上昇する。
【0041】
このためパルス電源43及び増幅器44によってパルス電圧を第1電極部40に印加すると、人体H及び浮遊コンデンサEの充電及び放電が交互に繰り返され、充電コンデンサ47の電圧VCrefが徐々に高くなる。この際、充電コンデンサ47の電圧VCrefが閾値Vthrに到達するまでの時間(又は、パルス電源43のパルス数)は、人体Hによって形成される静電容量Ch、すなわち第1電極部40と運転者の身体との間の距離に応じて変化する。すなわち、リム部20のうち第1電極部40の配置位置に対し運転者の身体の一部が接触又は接近しており静電容量Chが高い場合、充電コンデンサ47の電圧VCrefが閾値Vthrに到達するまでにかかる時間は短くなり、運転者の身体の一部が第1電極部40の配置位置から離れており静電容量Chが低い場合、充電コンデンサ47の電圧VCrefが閾値Vthrに到達するまでにかかる時間は長くなる。
【0042】
静電容量測定部48は、充電コンデンサ47の電圧VCrefが閾値Vthrに到達するまでの時間やパルス数を測定しており、この測定結果に基づいて間接的に第1電極部40の近傍に存在する人体Hによって形成される静電容量Chを測定する。静電容量測定部48は、以上の手順によって得られた静電容量Chの検出値Ch_1を把持判定装置8へ送信する。
【0043】
図2に戻り、第2近接センサ5は、リム部20に設けられた第2電極部50と、この第2電極部50と電気的に接続された第2検出回路52と、を備える。第2電極部50は、リム部20に沿って延びる円弧状であり、導電性である。第2電極部50は、リム部20の内部に設けられている。第2電極部50は、リム部20のうち225°から315°の間の約90°の範囲(すなわち、運転者が主に左手で把持可能な範囲)に配置されている。なお以下では、リム部20のうち第2電極部50の配置位置をリム部左部20Lともいう。第2検出回路52は、配線51を介して第2電極部50と接続されている。第2検出回路52は、第2電極部50の配置位置と人体との間の距離に応じて増減する値として、第2電極部50と接地との間の静電容量を検出する。第2電極部50の配置位置と人体との距離が近くなるほど、第2電極部50と接地との間の静電容量は大きくなる。第2検出回路52による静電容量の検出値Ch_2は把持判定装置8へ送信される。なお第2検出回路52の回路構成は、図2に示す第1検出回路42とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0044】
第3近接センサ6は、リム部20に設けられた第3電極部60と、この第3電極部60と電気的に接続された第3検出回路62と、を備える。第3電極部60は、リム部20に沿って延びる円弧状であり、導電性である。第3電極部60は、リム部20の内部に設けられている。第3電極部60は、リム部20のうち315°から405°(45°)の間の約90°の範囲(すなわち、運転者が右手又は左手で把持可能な範囲)に配置されている。なお以下では、リム部20のうち第3電極部60の配置位置をリム部上部20Uともいう。第3検出回路62は、配線61を介して第3電極部60と接続されている。第3検出回路62は、第3電極部60の配置位置と人体との間の距離に応じて増減する値として、第3電極部60と接地との間の静電容量を検出する。第3電極部60の配置位置と人体との距離が近くなるほど、第3電極部60と接地との間の静電容量は大きくなる。第3検出回路62による静電容量の検出値Ch_3は把持判定装置8へ送信される。なお第3検出回路62の回路構成は、図2に示す第1検出回路42とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0045】
第4近接センサ7は、リム部20に設けられた第4電極部70と、この第4電極部70と電気的に接続された第4検出回路72と、を備える。第4電極部70は、リム部20に沿って延びる円弧状であり、導電性である。第4電極部70は、リム部20の内部に設けられている。第4電極部70は、リム部20のうち135°から225°の間の約90°の範囲(すなわち、運転者が右手又は左手で把持可能な範囲でありかつリム部20のうち運転者の膝に最も近い範囲)に配置されている。なお以下では、リム部20のうち第4電極部70の配置位置をリム部下部20Dともいう。第4検出回路72は、配線71を介して第4電極部70と接続されている。第4検出回路72は、第4電極部70の配置位置と人体との間の距離に応じて増減する値として、第4電極部70と接地との間の静電容量を検出する。第4電極部70の配置位置と人体との距離が近くなるほど、第4電極部70と接地との間の静電容量は大きくなる。第4検出回路72による静電容量の検出値Ch_4は把持判定装置8へ送信される。なお第4検出回路72の回路構成は、図2に示す第1検出回路42とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0046】
把持判定装置8は、上述のようにそれぞれリム部20の異なる位置に配置された4つの近接センサ4~7の検出値Ch_1,Ch_2,Ch_3,Ch_4に基づいて、運転者によるリム部20の把持の有無、すなわち運転者がリム部20を把持しているか否かを判定する。
【0047】
把持判定装置8は、4つの近接センサ4,5,6,7の検出値Ch_1,Ch_2,Ch_3,Ch_4の所定時間の間における変化度合いに基づいて4つの近接センサ4,5,6,7の中から対象センサを選択する選択部81と、選択部81によって選択された対象センサの検出値に基づいて運転者によるリム部20の把持の有無を判定する判定部82と、を備える。
【0048】
図3は、把持判定装置8において検出値Ch_1~Ch_4に基づいて運転者によるリム部の把持の有無を判定する手順を示すフローチャートである。図3に示す処理は、運転者が図示しないスタートスイッチを操作することによって車両が起動されたことに応じて、把持判定装置8において所定の制御周期の下で繰り返し実行される。
【0049】
始めにステップST1において、選択部81及び判定部82は、各近接センサ4~7の検出値Ch_1~Ch_4を取得し、ステップST2に移る。
【0050】
次にステップST2では、判定部82は、把持フラグFgの値は“1”であるか否かを判定する。この把持フラグFgは、運転者はリム部20を手によって把持していることを明示するフラグであり、後述のステップST17又はST24において値“0”に設定され、後述のステップST16又はST23において値“1”に設定される。
【0051】
判定部82は、ステップST2の判定結果がNOである場合、すなわち前回の制御周期においてリム部20は把持されていないと判定した場合、ステップST3に移る。ステップST3では、判定部82は、後述の図4に示す第1把持判定処理を実行した後、図3に示す処理を終了する。また判定部82は、ステップST2の判定結果がYESである場合、すなわち前回の制御周期においてリム部20は把持されていると判定した場合、ステップST4に移る。ステップST4では、判定部82は、後述の図5に示す第2把持判定処理を実行した後、図3に示す処理を終了する。
【0052】
図4は、第1把持判定処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
始めにステップST11では、選択部81は、各近接センサ4~7の検出値Ch_1,Ch_2,Ch_3,Ch_4の所定時間の間の変化度合いΔCh_1,ΔCh_2,ΔCh_3,ΔCh_4を算出し、ステップST12に移る。より具体的には、選択部81は、今回の制御周期において取得した各近接センサ4~7の検出値Ch_1~Ch_4から、n周期(nは、1以上の整数)前の制御周期において取得した各近接センサ4~7の検出値Ch_1~Ch_4を減算することによって各近接センサ4~7の変化度合いΔCh_1~ΔCh_4を算出する。従ってステップST11において算出される変化度合いΔCh_1~ΔCh_4は、それぞれ運転者の身体の一部の各電極部40~70の配置位置に対する所定時間の間における接近量、すなわち接近速度に相当する。
【0053】
ステップST12では、選択部81は、ステップST11で算出した各近接センサ4~7の変化度合いΔCh_1~ΔCh_4に基づいて複数の近接センサ4~7の中から対象センサを選択し、ステップST13に移る。より具体的には、選択部81は、複数の近接センサ4~7の中から、検出値の変化度合いが大きいものを対象センサとして選択する。ここで選択部81によって複数の近接センサの中から対象センサを選択する具体的な手順の2つの例を説明する。
【0054】
第1の例では、選択部81は、複数の近接センサ4~7の検出値の変化度合いΔCh_1~ΔCh_4の大きさを互いに比較することによって対象センサを選択する。より具体的には、選択部81は、N個(Nは、2以上の整数であり、本実施形態の例では4)の全ての近接センサ4~7のうち変化度合いΔCh_1~ΔCh_4が大きいものから降順でM個(Mは、1以上でありN未満の整数)を対象センサとして選択する。従って第1の例では、複数の近接センサ4~7のうち、運転者の身体の一部の各電極部40~70の配置位置に対する接近速度が大きいものから順にM個が対象センサとして選択される。
【0055】
第2の例では、選択部81は、複数の近接センサ4~7の検出値の変化度合いΔCh_1~ΔCh_4を、予め定められた選択閾値と比較することによって対象センサを選択する。より具体的には、選択部81は、複数の近接センサ4~7のうち変化度合いΔCh_1~ΔCh_4が選択閾値より大きいものを対象センサとして選択する。この選択閾値は、上述のように運転者の身体の一部の各電極部40~70の配置位置に対する接近速度に相当する近接センサ4~7の検出値の変化度合いに対して定められる閾値である。従って第2の例では、複数の近接センサ4~7のうち、運転者の身体の一部の各電極部40~70の配置位置に対する接近速度が選択閾値に応じた速度より速いものが対象センサとして選択される。
【0056】
ステップST13では、判定部82は、ステップST12において複数の近接センサ4~7のうち少なくとも1つが対象センサとして選択されたか否かを判定する。判定部82は、ステップST13の判定結果がYESである場合、ステップST14に移り、NOである場合、ステップST17に移る。
【0057】
ステップST14では、判定部82は、複数の近接センサのうち対象センサとして選択されたものの検出値の合計値を算出し、ステップST15に移る。ステップST15では、判定部82は、ステップST14で算出した対象センサの検出値の合計値(すなわち、対象センサが1つである場合、その対象センサの検出値)が予め定められた第1把持閾値以上であるか否かを判定する。この第1把持閾値は、近接センサ4~7の検出値、すなわち運転者の身体の一部の各電極部40~70の配置位置に対する近さに相当する静電容量に対して定められる閾値である。
【0058】
判定部82は、ステップST15の判定結果がYESである場合、ステップST16に移る。ステップST16では、判定部82は、リム部20は運転者によって把持されていると判断し、図4の処理を終了する。より具体的には、ステップST16では、判定部82は、把持フラグFgの値を“1”に設定し、図4の処理を終了する。
【0059】
また判定部82は、ステップST15の判定結果がNOである場合、又はステップST13の判定結果がNOである場合、ステップST17に移る。ステップST17では、判定部82は、リム部20は運転者によって把持されていないと判断し、図4の処理を終了する。より具体的には、ステップST17では、判定部82は、把持フラグFgの値を“0”で維持したまま、図4の処理を終了する。
【0060】
以上のように選択部81は、判定部82によってリム部20は把持されていないと判定されている間(すなわち、把持フラグFgの値が“0”に設定されている間)、複数の近接センサ4~7の中から対象センサを選択する選択処理(図4のステップST11~ST12)を所定の制御周期の下で繰り返し実行する。また判定部82は、前回の制御周期においてリム部20は把持されていないと判定した場合(すなわち、把持フラグFgの値が“0”に設定されている場合)、複数の近接センサ4~7のうち上記選択処理によって対象センサとして選択されたもののみの検出値に基づいてリム部20の把持の有無を判定する。
【0061】
図5は、第2把持判定処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
始めにステップST21では、判定部82は、複数の近接センサ4~7、より具体的にはリム部20に設けられている全ての近接センサ4~7の検出値Ch_1~Ch_4の合計値を算出し、ステップST22に移る。ステップST22では、判定部82は、ステップST21で算出した合計値が第2把持閾値以上であるか否かを判定する。この第2把持閾値は、上述の第1把持閾値と同様に、近接センサ4~7の検出値、すなわち運転者の身体の一部の各電極部40~70の配置位置に対する近さに相当する静電容量に対して定められる閾値である。
【0062】
判定部82は、ステップST22の判定結果がYESである場合、ステップST23に移る。ステップST23では、判定部82は、リム部20は運転者によって把持されていると判断し、図5の処理を終了する。より具体的には、ステップST23では、判定部82は、把持フラグFgの値を“1”で維持したまま、図5の処理を終了する。
【0063】
また判定部82は、ステップST22の判定結果がNOである場合、ステップST24に移る。ステップST24では、判定部82は、リム部20は運転者によって把持されていないと判断し、図5の処理を終了する。より具体的には、ステップST24では、判定部82は、把持フラグFgの値を“0”に設定し、図5の処理を終了する。
【0064】
以上のように選択部81は、前回の制御周期においてリム部20は把持されていると判定した場合(すなわち、把持フラグFgの値が“1”に設定されている場合)、複数の近接センサ4~7、より具体的にはリム部20に設けられている全ての近接センサ4~7の検出値に基づいてリム部20の把持の有無を判定する。
【0065】
本実施形態に係るステアリング装置1によれば、以下の効果を奏する。
(1)ステアリング装置1では、ステアリングハンドル2のうち運転者が把持可能なリム部20に複数の近接センサ4~7を設ける。ここで運転者の体格が標準より大きい場合、運転席に着座する運転者の腹部や膝等の身体の一部がリム部下部20Dに接近してしまう。このため、このリム部下部20Dの近傍に配置された第4近接センサ7の検出値Ch_4は、定常的に標準よりも大きくなるが、運転中に大きく変化することは無い。これに対し運転者が手で把持する箇所の近傍に配置された近接センサの検出値は、運転者が把持する度に大きく変化する。そこで把持判定装置8の選択部81は、複数の近接センサ4~7の検出値Ch_1~Ch_4の変化度合いΔCh_1~ΔCh_4に基づいて複数の近接センサ4~7の中から対象センサを選択し、把持判定装置8の判定部82は、選択された対象センサの検出値に基づいて把持の有無を判定する。ステアリング装置1によれば、複数の近接センサ4~7の中から運転者の体格に起因して検出値が大きくなっているものを対象センサから除外することができるので、運転者の体格によらず適切にリム部20の把持の有無を判定することができ、ひいては交通の安全性を向上することができる。
【0066】
(2)選択部81は、複数の近接センサ4~7の検出値Ch_1~Ch_4の変化度合いΔCh_1~ΔCh_4の大きさを互いに比較することによって複数の近接センサ4~7の中から対象センサを選択することにより、複数の近接センサ4~7の中から運転者が手で把持する箇所の近傍に配置されるものを対象センサとして選択することができる。
【0067】
(3)選択部81は、N個の近接センサ4~7のうち変化度合いが大きいものから降順でM個を対象センサとして選択することにより、複数の近接センサ4~7の中から運転者が手で把持する箇所の近傍に配置されるものを対象センサとして選択することができる。
【0068】
(4)選択部81は、複数の近接センサ4~7の検出値Ch_1~Ch_4の変化度合いΔCh_1~ΔCh_4を、この変化度合いに対して定められる閾値である選択閾値と比較することによって複数の近接センサ4~7の中から対象センサを選択することにより、複数の近接センサ4~7の中から運転者が手で把持する箇所の近傍に配置されるものを対象センサとして選択することができる。
【0069】
(5)選択部81は、複数の近接センサ4~7のうち変化度合いΔCh_1~ΔCh_4が選択閾値より大きいものを対象センサとして選択することにより、複数の近接センサ4~7の中から運転者が手で把持する箇所の近傍に配置されるものを対象センサとして選択することができる。
【0070】
(6)選択部81は、判定部82によって把持されていないと判定されている間、複数の近接センサ4~7から対象センサを選択する選択処理を所定の制御周期で実行することにより、運転者がリム部20を把持し直したり把持箇所を変えたりする度に、適切な対象センサを選択し直すことができる。
【0071】
(7)判定部82は、リム部20の把持の有無を所定の制御周期毎に判定するとともに、前回の制御周期時に把持されていないと判定した場合、選択部81によって対象センサとして選択されたもののみの検出値に基づいてリム部20の把持の有無を判定することにより、運転者による把持の有無を精度良く判定することができる。また判定部82は、前回の制御周期時に把持されていると判定した場合、リム部20に設けられている全ての近接センサ4~7の検出値に基づいてリム部の把持の有無を判定することにより、例えば運転者がリム部20を把持したまま、その把持箇所をスライドさせた場合であっても適切に把持の有無を判定することができる。
【0072】
(8)判定部82は、対象センサの検出値が、この検出値に対して定められる閾値である第1把持閾値以上である場合、リム部20は把持されていると判定することにより、運転者が対象センサの配置位置の近傍を把持していることを精度良く判定することができる。
【0073】
(9)判定部82は、複数の対象センサの検出値の合計値が、この検出値に対して定められる閾値である第1把持閾値又は第2把持閾値以上である場合、リム部20は把持されていると判定する。これにより例えば運転者が、複数の近接センサ4~7の配置箇所にまたがって把持している場合であっても把持の有無を精度良く判定することができる。
【0074】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
【0075】
例えば上記実施形態では、リム部20に4つの近接センサ4~7を配置したが、リム部20に配置する近接センサの数はこれに限らない。リム部20には2以上の近接センサが配置されていれば本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1…ステアリング装置
2…ステアリングハンドル
20…リム部(把持部)
3…ステアリングシャフト
4…第1近接センサ(近接センサ)
40…第1電極部
42…第1検出回路
5…第2近接センサ(近接センサ)
50…第2電極部
52…第2検出回路
6…第3近接センサ(近接センサ)
60…第3電極部
62…第3検出回路
7…第4近接センサ(近接センサ)
70…第4電極部
72…第4検出回路
8…把持判定装置
81…選択部
82…判定部
図1
図2
図3
図4
図5