IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭化成メディカル株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社メテクの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177703
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】処理システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A61M1/00 190
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095985
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000138037
【氏名又は名称】株式会社メテク
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】日野 真弓
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA20
4C077BB02
4C077CC02
4C077DD05
4C077DD22
4C077HH10
4C077HH13
4C077JJ08
4C077JJ09
4C077JJ13
4C077JJ24
4C077KK25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一端が開放端に近しい流路と接続される圧力測定部の接続チェックを容易に実行可能な血液及び/又は体腔液の処理システムを提供する。
【解決手段】濾過器11と、ポンプとバルブを含む加圧部と、流路接続部と濾過器11の排液出口とバルブとを接続する第0流路と、バルブと流路接続部とを接続する第1流路と、流路接続部と第1圧力測定用の第1接続口とを接続する第2流路と、流路接続部と排液部とを接続する第3流路と、第1圧力測定用の第1接続口への第2流路の接続チェックを行うチェック部と、第1圧力測定用の第1接続口に接続された第2流路の路内圧力を測定する第1圧力測定部と、加圧部を制御する制御部とを備え、バルブを閉じた状態で第0流路に充填された液体を加圧した後にバルブを開くように加圧部を制御し、第1圧力測定部により測定されたバルブが開いたことにより加圧された第2流路の路内圧力に基づいて、接続チェックを行う。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液及び/又は体腔液を処理する処理システムであって、
濾過器と、
ポンプとバルブを含む加圧部と、
流路接続部と、
前記濾過器の排液出口と前記バルブとを接続する第0流路と、
前記バルブと前記流路接続部とを接続する第1流路と、
前記流路接続部と第1圧力測定用の第1接続口とを接続する第2流路と、
前記流路接続部と前記排液出口から流出する排液を貯留する排液部とを接続する第3流路と、
前記第1圧力測定用の第1接続口と前記第2流路との接続チェックを行うチェック部と、
前記第1圧力測定用の第1接続口に接続された前記第2流路の路内圧力を測定する第1圧力測定部と、
前記加圧部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記バルブを閉じた状態で前記第0流路に充填された液体を加圧した後に前記バルブを開くように前記加圧部を制御し、
前記チェック部は、前記第1圧力測定部により測定された前記バルブが開いたことにより加圧された前記第2流路の路内圧力に基づいて、前記接続チェックを行う、
処理システム。
【請求項2】
前記第1圧力測定部は、前記バルブが閉塞状態から開放状態となるタイミングに基づいて、前記第2流路の路内圧力を測定する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記第3流路に、密閉系の前記排液部が接続される、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記接続チェックにおいて、
前記チェック部は、前記第1圧力測定部が測定する前記第2流路の路内圧力が規定値以上となる場合に、前記第1圧力測定用の前記第1接続口に前記第2流路が接続されていると判定する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項5】
前記チェック部は、前記第1圧力測定部が測定する前記第2流路の前記加圧前後の路内圧力に基づいて、前記接続チェックを行う、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項6】
前記接続チェックにおいて、
前記チェック部は、前記第1圧力測定部が測定する前記第2流路の前記加圧前後の路内圧力の差が規定値以上となる場合に、前記第1圧力測定用の前記第1接続口に前記第2流路が接続されていると判定する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項7】
前記接続チェックにおいて、
前記チェック部は、前記第1圧力測定部が測定する前記第2流路の路内圧力の測定、及び/又は、前記第1圧力測定部が測定する前記第2流路の前記加圧前後の路内圧力の差の測定を、複数回行い、複数回の測定結果に応じて、前記第1圧力測定用の前記第1接続口に前記第2流路が接続されていると判定する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項8】
前記接続チェックの際に、
前記チェック部は、前記加圧部による加圧圧力を変えて、前記第1圧力測定用の前記第1接続口に前記第2流路が接続されているか否かの確認を複数回行い、
前記接続チェックにおいて、
前記チェック部は、前記複数回の確認結果に応じて、前記第1圧力測定用の前記第1接続口に前記第2流路が接続されていると判定する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項9】
前記第2流路と前記第3流路との少なくとも1部においては、流路断面積、流路長、流路壁厚さ、及び構成材料の少なくとも一つが異なる、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項10】
前記第2流路の一部に気体が密閉される、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項11】
前記加圧部が、加圧圧力を測定する第2圧力測定部を有する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項12】
前記濾過器と間接的又は直接的に接続された濃縮器と、
該濃縮器により除去された排液を排出する第4流路と、
該第4流路に設けられた逆流防止部と、
前記第2流路に設けられた分岐点と、を有し、
前記第4流路は前記分岐点に接続される、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項13】
前記接続チェックの結果を表示する出力部をさらに備える、
請求項1に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液及び/又は体腔液を処理する処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
体腔液の1つである腹水における治療法として、患者から腹水を取り出し、当該腹水から細菌やがん細胞などの病因物質を除去し、アルブミンなどの有用成分を残した状態で濃縮し、当該濃縮液を体内に戻す腹水ろ過濃縮再静注法(Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)がある。
【0003】
かかる治療法には、一般的に体腔液処理システムが用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-13492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような体腔液処理システムやその他の血液処理システムにおいては、処理のたびに、各液体の流路となるチューブや各液体を貯留するためのバッグ、濃縮器や濾過器の交換を行う。処理システム本体に接続する部品や取り付け箇所が多く、交換作業は複雑である。特に、圧力測定部への流路の接続不良があると、処理システム本体が正しくチューブ内圧力を監視することができない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、圧力測定部への流路の接続チェックを実行可能な処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
血液及び/又は体腔液を処理する処理システムであって、
濾過器と、
ポンプとバルブを含む加圧部と、
流路接続部と、
前記濾過器の排液出口と前記バルブとを接続する第0流路と、
前記バルブと前記流路接続部とを接続する第1流路と、
前記流路接続部と第1圧力測定用の第1接続口とを接続する第2流路と、
前記流路接続部と前記排液出口から流出する排液を貯留する排液部とを接続する第3流路と、
前記第1圧力測定用の第1接続口と前記第2流路との接続チェックを行うチェック部と、
前記第1圧力測定用の第1接続口に接続された前記第2流路の路内圧力を測定する第1圧力測定部と、
前記加圧部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記バルブを閉じた状態で前記第0流路に充填された液体を加圧した後に前記バルブを開くように前記加圧部を制御し、
前記チェック部は、前記第1圧力測定部により測定された前記バルブが開いたことにより加圧された前記第2流路の路内圧力に基づいて、前記接続チェックを行う、
処理システム。
〔2〕
前記第1圧力測定部は、前記バルブが閉塞状態から開放状態となるタイミングに基づいて、前記第2流路の路内圧力を測定する、
〔1〕に記載の処理システム。
〔3〕
前記第3流路に、密閉系の前記排液部が接続される、
〔1〕又は〔2〕に記載の処理システム。
〔4〕
前記接続チェックにおいて、
前記チェック部は、前記第1圧力測定部が測定する前記第2流路の路内圧力が規定値以上となる場合に、前記第1圧力測定用の前記第1接続口に前記第2流路が接続されていると判定する、
〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の処理システム。
〔5〕
前記チェック部は、前記第1圧力測定部が測定する前記第2流路の前記加圧前後の路内圧力に基づいて、前記接続チェックを行う、
〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の処理システム。
〔6〕
前記接続チェックにおいて、
前記チェック部は、前記第1圧力測定部が測定する前記第2流路の前記加圧前後の路内圧力の差が規定値以上となる場合に、前記第1圧力測定用の前記第1接続口に前記第2流路が接続されていると判定する、
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の処理システム。
〔7〕
前記接続チェックにおいて、
前記チェック部は、前記第1圧力測定部が測定する前記第2流路の路内圧力の測定、及び/又は、前記第1圧力測定部が測定する前記第2流路の前記加圧前後の路内圧力の差の測定を、複数回行い、複数回の測定結果に応じて、前記第1圧力測定用の前記第1接続口に前記第2流路が接続されていると判定する、
〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の処理システム。
〔8〕
前記接続チェックの際に、
前記チェック部は、前記加圧部による加圧圧力を変えて、前記第1圧力測定用の前記第1接続口に前記第2流路が接続されているか否かの確認を複数回行い、
前記接続チェックにおいて、
前記チェック部は、前記複数回の確認結果に応じて、前記第1圧力測定用の前記第1接続口に前記第2流路が接続されていると判定する、
〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の処理システム。
〔9〕
前記第2流路と前記第3流路との少なくとも1部においては、流路断面積、流路長、流路壁厚さ、及び構成材料の少なくとも一つが異なる、
〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の処理システム。
〔10〕
前記第2流路の一部に気体が密閉される、
〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の処理システム。
〔11〕
前記加圧部が、加圧圧力を測定する第2圧力測定部を有する、
〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載の処理システム。
〔12〕
前記濾過器と間接的又は直接的に接続された濃縮器と、
該濃縮器により除去された排液を排出する第4流路と、
該第4流路に設けられた逆流防止部と、
前記第2流路に設けられた分岐点と、を有し、
前記第4流路は前記分岐点に接続される、
〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載の処理システム。
〔13〕
前記接続チェックの結果を表示する出力部をさらに備える、
〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載の処理システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、圧力測定部への流路の接続チェックを実行可能な処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本実施形態の処理システムの一態様を表す概略図である。
図1B】本実施形態の情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図1C】本実施形態の情報処理装置の機能ブロック構成の一例を示す図である。
図1D】本実施形態の処理システムの他の態様を表す概略図である。
図2A】第0流路の路内圧力の変化を表す概略図である。
図2B】第2流路の路内圧力の変化を表す概略図である。
図3A】接続チェックのフローチャートの一例を示す。
図3B】接続チェックのフローチャートの他の例を示す。
図4A】処理バッグの一態様を示す正面図である。
図4B】処理済バッグの一態様を示す正面図である。
図4C】排液部の一態様を示す正面図である。
図4D】腹水採取ラインの一態様の概略図を示す。
図4E】流路14の一態様の概略図を示す。
図4F】流路45の一態様を示す図である。
図4G図1Aにおける第0流路から下流部分の構成例を示す図である。
図4H図1Dにおける第0流路から下流部分の構成例を示す図である。
図4I図1Aにおける第4流路から下流部分の構成例を示す図である。
図4J図1Dにおける第4流路から下流部分の構成例を示す図である。
図4K】処理システムの流路回路の部分拡大図
図4L】処理システムの流路回路の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0011】
1.処理システム
図1Aに、本実施形態の処理システムの一態様を表す概略図を示す。本実施形態の処理システム1は、血液及び/又は体腔液を処理する処理システムであって、濾過器11と、加圧部90と、排液部82が接続される第2接続口83と、第1圧力測定用の第1接続口84aと、流路接続部19eと、濾過器11の排液出口とバルブとを接続する第0流路19aと、バルブ81と流路接続部19eとを接続する第1流路19bと、流路接続部19eと第1圧力測定用の第1接続口84aとを接続する第2流路19cと、流路接続部19eと排液部82とを接続し、第2接続口83を有する第3流路19dと、第1圧力測定用の第1接続口84aと第2流路19cとの接続チェックを行うチェック部85と、第1圧力測定用の第1接続口84aに接続された第2流路の路内圧力を測定する第1圧力測定部87と、加圧部90を制御する制御部86と、を備える。
【0012】
処理システム1の制御部86は、バルブ81を閉じた状態で第0流路19aに充填された液体にかかる圧力を上げた後にバルブ81を開くように加圧部90を制御し、第1圧力測定部87は、第1接続口84aを介して、第2流路19cの路内圧力を測定し、チェック部85は、バルブ81が開いたことにより加圧された第2流路19cの路内圧力に基づいて、接続チェックを行ってもよい。
【0013】
血液及び/又は体腔液を処理する処理システムは、使用のたびに、医療従事者などのユーザが流路等をすべて交換して、使用される。そのため、圧力測定部に対して流路が接続されているかどうかのチェックは、医療従事者等に委ねられていた。これに対して、本実施形態によれば、医療従事者等に委ねることなく、処理システムが圧力測定部への流路の接続チェックを確実に実行することができる。さらに、比較的短時間で処理システムが圧力測定部への流路の接続チェックを確実に実行することができる。
【0014】
また、流路の一部が排液バッグ等に接続されている等の状態は、疑似的に開放端に近い状態になる。このような場合に、排液バッグ等に液体を流入させて、それによって上昇する路内圧力に基づいて接続チェックをしようとすると、圧力上昇に時間がかかるため、速やかに接続チェックを行えないことが懸念される。これに対して、本実施形態によれば、処理システムが圧力測定部への流路の接続チェックを確実に実行することができる。
【0015】
以下、図1Aに基づいて、本実施形態の処理システム1の態様について詳説する。まず、処理システム1は、未処理の血液及び/又は体腔液の収容部としての処理バッグ10と、濾過器11と、濃縮器12と、濾過処理と濃縮処理後の血液及び/又は体腔液の回収部としての処理済バッグ13と、情報処理装置100等を備えてもよい。情報処理装置100は、チェック部85、制御部86、第1圧力測定部87、及び、第2圧力測定部88の各種機能部を備えてもよい。
【0016】
以下、体腔液の例として腹水の処理を例に処理システム1の構成を説明するが、本実施形態の処理システム1の処理対象は腹水に限られることなく、処理システム1はその他の体腔液や血液にも適用できる。
【0017】
処理バッグ10は、例えば軟質性のバッグであり、患者から採取された腹水を収容することができる。接続チェック時においては、処理バッグ10には、生理食塩水や水などの液体又は空気などの気体が収容されてもよい。
【0018】
図4Aに処理バッグ10の正面図を示す。処理バッグ10は、特に限定されないが、例えば、軟質ポリ塩化ビニル製の平置き略長方形のバッグであってもよい。また、その容量は約3Lであってもよく、大きさは、縦約350mm、横約250mmであってもよい。処理バッグ10には、内容液の容量を示すための容量メモリ(不図示)や、処理バッグ10に充填される腹水を採取した患者を示す使用者識別表示(不図示)があってもよい。容量メモリや使用者識別表示は、袋本体に貼り付けたり、袋本体に直接印刷したり、その他の方法で袋本体に形成することができる。
【0019】
処理バッグ10の四辺には、いずれも一定幅のシール部が設けられている。シール部には、フック穴10aが設けられてもよい。フック穴10aは複数設けられてもよく、例えば、シール部の上辺中心や下辺角に設けられてもよい。
【0020】
また、処理バッグ10の内部にはメッシュ部10bが設けられてもよい。処理バッグ10からパイプライン10cを介して濾過器11に腹水が送液される際、腹水の凝固が阻害したり、凝固した腹水が濾過器11に流れるのを阻害したりすることができる。これにより、流路14等が閉塞することも回避できる。
【0021】
パイプライン10cは、シール部の下辺に位置してもよく、処理バッグ10の外側と内側にそれぞれ延伸しており、処理バッグ10の外側と内側を連通してもよい。パイプライン10cのうち、処理バッグ10の内側に延伸した部分には、端部10dにおける開口のほかにノッチ10eによる開口が設けられてもよい。処理バッグ10内の腹水は、ノッチ10eおよび端部10dから、パイプライン10cを通って濾過器11に流れてもよい。ノッチ10eにより、腹水が安定して流出する。そのため、ノッチ10e及び端部10dの開口をより小さく設計することができ、それによって、凝固した腹水が濾過器11へ流出することを抑制できる。また、パイプライン10cのうち、外側に延伸した部分には、腹水ろ過濃縮時に流路14と接続するコネクタ10fが位置してもよい。
【0022】
なお、図4Aにおいては、端部10dとノッチ10eの表現のために、その部分でメッシュ部10bを省略して表記しており、パイプライン10cの端部10dとノッチ10eの周辺にメッシュ部10bがないという意味ではない。
【0023】
さらに、処理バッグ10は、処理バッグ10の外側と内側を連通するパイプライン10gを有してもよい。パイプライン10gはシール部の下辺に位置してもよい。パイプライン10gのうち、外側に延伸した部分には、腹水採取時に腹水採取ラインと接続するコネクタ10hが位置してもよい。なお、コネクタ10fとコネクタ10hは、接続先を間違えないように、一方がオス型で他方がメス型であることが好ましい。
【0024】
図4Dに、腹水採取ライン10iの一態様を示す。図4Dに示すように、腹水採取ライン10iは、患者から腹水を採取するための穿刺針等に接続されるコネクタ10jと、パイプライン10gに接続されるコネクタ10kとを有する。また、腹水採取ライン10iは、流量を調節するための調節器10l(ローラークランプ)や、流量(液滴の速度)を視認するためのチャンバ10mを備えてもよい。コネクタ10j,10kには、接続前の状態において、キャップがされていてもよい。
【0025】
また、処理バッグ10は、原腹水を一部採取したり、薬剤等を注入したりするためのポート10nを有してもよい。
【0026】
濾過器11は、例えば円筒形状の筐体を有している。濾過器11は、長手方向(上下方向)の両端部に通液口11a、11bを有し、側面に2つの通液口11c、11dを有している。濾過器11は、例えば細菌やがん細胞などの所定の病因物質を除去し、アルブミンなどの所定の有用成分を通過してもよい。なお、接続チェック時においては、濾過器11内の各空間には、生理食塩水や水などの液体又は空気などの気体が通過してもよい。なお、本明細書において処理システム1における上下は、通常使用時の姿勢に基づくものとする。
【0027】
濾過器11は、例えば細菌やがん細胞などの所定の病因物質を除去し、アルブミンなどの所定の有用成分を通過させる濾過膜30を備えている。濾過膜30は、例えば多数本の中空糸膜から構成されている。濾過膜30の一次側の空間(中空糸膜の内部空間)30aは、通液口11a、11bに通じ、濾過膜30の二次側の空間(中空糸膜の外部空間)30bは、通液口11c、11dに通じている。
【0028】
濾過器11の通液口11cには、流路45が接続される。流路45は接続口46に接続される。接続口46には、第2圧力測定部88が接続されてもよい。第2圧力測定部88は、圧力センサなどの圧力測定装置であってもよい。すなわち、流路45は接続口46を介して圧力センサに接続されてもよい。また、接続口46は、流路45を通じて気体を濾過器11内に導入可能な大気開放部であってもよい。流路45の接続は、バルブ41,81を閉じて、バルブ50を空けた状態で、ポンプ51で濾過器11を加圧することによりチェックしてもよい。接続口46は、第2圧力測定部88と大気開放部とが切り替え可能に構成されてもよい。通液口11cと接続される流路45のコネクタは、通気口11cに接続される前の状態において、キャップがされていてもよい。
【0029】
図4Fに、流路45の一態様を示す。流路45の両端には、色などの印45aが付されていてもよい。これにより、使用者は、印45aに基づいてその接続先(例えば、通液口11cや第2圧力測定部88)を容易に確認することができる。また、流路45はドリップチャンバ45bを有していてもよい。
【0030】
濃縮器12は、例えば円筒形状の筐体を有している。濃縮器12は、長手方向(上下方向)の両端部に通液口12a、12bを有し、側面に2つの通液口12c、12dを有している。濃縮器12は、例えば腹水から水分を除去して濃縮してもよい。なお、接続チェック時においては、濃縮器12内の各空間には、生理食塩水や水などの液体又は空気などの気体が通過してもよい。
【0031】
濃縮器12は、例えば腹水から水分を除去して濃縮する濃縮膜40を備えている。濃縮膜40は、例えば多数本の中空糸膜から構成されている。濃縮膜40の一次側の空間(中空糸膜の内側空間)40aは、通液口12a、12bに通じ、濃縮膜40の二次側の空間(中空糸膜の外側空間)40bは、通液口12c、12dに通じている。
【0032】
処理済バッグ13は、例えば軟質性のバッグであり、濃縮器12で濃縮された濃縮腹水を収容することができる。処理済バッグ13は、処理バッグ10よりも低い位置に設置されてもよい。接続チェック時においては、処理済バッグ13には、濃縮器12を通過した、生理食塩水や水などの液体又は空気などの気体が収容されてもよい。
【0033】
図4Bに処理済バッグ13の正面図を示す。処理済バッグ13は、特に限定されないが、例えば、軟質ポリ塩化ビニル製の平置き略長方形のバッグであってもよい。また、その容量は約1Lであってもよく、大きさは、縦約290mm、横約150mmであってもよい。処理済バッグ13には、内容液の容量を示すための容量メモリ(不図示)や、処理済バッグ13に腹水を採取した患者を示す使用者識別表示(不図示)があってもよい。容量メモリや使用者識別表示は、袋本体に貼り付けたり、袋本体に直接印刷したり、その他の方法で袋本体に形成することができる。
【0034】
処理済バッグ13の四辺には、いずれも一定幅のシール部が設けられている。シール部には、フック穴13aが設けられてもよい。フック穴13aは複数設けられてもよく、例えば、シール部の上辺中心や下辺角に設けられてもよい。
【0035】
処理済バッグ13は、シール部の下辺にパイプライン13bとパイプライン13cを有してもよい。パイプライン13bとパイプライン13cは、それぞれ、処理バッグ10の外側と内側を連通してもよい。パイプライン13bとパイプライン13cのうち、外側に延伸した部分には、それぞれ、コネクタ13d,13eが位置してもよい。パイプライン13bは、コネクタ13dを介して流路16と接続される。また、パイプライン13cは、コネクタ13eを介して流路18と接続される。なお、コネクタ13dとコネクタ13eは、接続先を間違えないように、一方がオス型で他方がメス型であることが好ましい。
【0036】
また、処理済バッグ13は、濃縮腹水を一部採取したり、薬剤等を注入したりするためのポート13fや、腹水の再静注時に穿刺針と接続するためのポート13gを有してもよい。
【0037】
流路14は、処理バッグ10と濾過器11を接続している。流路14の上流側の端部は、処理バッグ10に接続され、流路14の下流側の端部は、濾過器11の通液口11aに接続されている。接続チェック時においては、流路14を介して、処理バッグ10から濾過器11の通液口11aに生理食塩水や水などの液体又は空気などの気体が流入してもよい。また、処理時においては、流路14を介して、処理バッグ10から濾過器11の通液口11aに、腹水が流入してもよい。流路14には、流路14を開閉するバルブ41が設けられてもよい。なお、本明細書において、「上流側」とは、腹水が、濾過器11、濃縮器12の順に流れる通常の腹水処理時に上流側になる方向を示し、「下流側」とは、通常の腹水処理時の下流側になる方向を示す。
【0038】
図4Eに、流路14の概略図を示す。流路14は、処理バッグ10に接続するコネクタ14aと濾過器11に接続するコネクタ14bを有してもよい。流路14は処理バッグ10に接続する前の状態において、コネクタ14aの先端に脱着可能なプラスチック針14cを備えてもよい。プラスチック針14cで接続する生理食塩水バッグと、コネクタ14gで接続する生理食塩水バッグの両方に流路14を適用することができる。なお、プラスチック針14cは接続前の状態において、キャップ14dがされていてもよい。また、コネクタ14bも、接続前の状態において、キャップがされていてもよい。
【0039】
例えば、プラスチック針14cは、生理食塩水バッグのゴム栓を突き刺してプライミングを行うために使用してもよい。この際、プライミング時に生理食塩水バッグと接続でき洗浄のために流路は生理食塩水で満たされる。プライミングの後、プラスチック針14cはコネクタ14aから外され、コネクタ14aが処理バッグ10のパイプライン10cに接続される。
【0040】
本実施形態において「プライミング」とは、腹水ろ過濃縮よりも前に処理システムの流路等の少なくとも一部に生理食塩水を充填し、ポンプ等の駆動や生理食塩水の自重を利用して、生理食塩水を処理システムの流路等の少なくとも一部に通液する操作をいう。「生理食塩水バッグ」とは、プライミングに用いる生理食塩水が充填されたバッグである。
【0041】
流路14は、開閉弁(バルブ41)への接続箇所を明示するための印14eを有してもよい。これにより、開閉弁(バルブ41)を流路14の適切な位置(2つの印14eの間)に設置しやすくなる。その他、流路14の端側には、色などの印14fが付されていてもよい。これにより、使用者は、印14fに基づいてその接続先(例えば、処理バッグ10や濾過器11)を容易に確認することができる。
【0042】
第0流路19aは、濾過器11とバルブ81を接続している。第0流路19aの上流側の端部は、濾過器11の排液出口11bに接続されている。また、第0流路19aの下流側の端部は、バルブ81に接続されている。接続チェック時においては、第0流路19aを介して、濾過器11の排液出口11bからバルブ81へ向けて生理食塩水や水などの液体又は空気などの気体が流れてもよい。さらに、バルブ81に向けて供給される液体又は気体は、第0流路19aに充填された液体又は気体を加圧可能なポンプなどによって加圧されてもよい。また、処理時においては、第0流路19aを介して、濾過器11の排液出口11bからバルブ81へ向けて、濾別された破棄される腹水が流れてもよい。濾別された腹水には、例えば細菌やがん細胞などの所定の病因物質が含まれ得る。
【0043】
第1流路19bは、バルブ81と流路接続部19eを接続している。第1流路19bの上流側の端部は、バルブ81に接続されている。また、第1流路19bの下流側の端部は、流路接続部19eに接続されている。接続チェック時においては、生理食塩水や水などの液体又は空気などの気体が、バルブ81の解放とともに第1流路19bへと流入する。また、濾過器11の膜洗浄時においては、膜洗浄に用いられた生理食塩水が、バルブ81から第1流路19bへと流入する。
【0044】
第0流路19aと第1流路19bとはバルブ81の上流下流の位置関係にあれば特に制限されず、同一のチューブでもよいし、異なるチューブであってもよい。
【0045】
図4Gに、図1Aに示す態様における、第0流路19aから下流部分の構成例を示す。第0流路19aは、濾過器11に接続するコネクタ19aaを有してもよい。また、第0流路19aは、開閉弁(バルブ81)への接続箇所を明示するための印19abを有してもよい。これにより、開閉弁(バルブ81)を第0流路19aの適切な位置(2つの印19abの間)に設置しやすくなる。その他、第0流路19aの端側には、色などの印19acが付されていてもよい。これにより、使用者は、印19acに基づいてその接続先(例えば、濾過器11)を容易に確認することができる。コネクタ19aaは、接続前の状態において、キャップがされていてもよい。
【0046】
また、図4Gに示すように、第0流路19aは、バルブ81と流路接続部19eとの間に、分岐流路19adと分岐流路19aeを有してもよい。分岐流路19adは、端部にコネクタ19afを有していてもよい。また、分岐流路19aeも、端部にコネクタ19agを有していてもよい。なお、図4Gに示すように、コネクタ19afとコネクタ19agは、一方がオス型で他方がメス型であり、腹水ろ過濃縮時においては、互いに接続されていることが好ましい。
【0047】
プライミング時や接続チェック時には、コネクタ19afとコネクタ19agは、互いに接続されておらず、コネクタ19af,19agの一方が、コネクタ13d,13eの一方と直接又は間接的に接続され、コネクタ19af,19agの他方が、コネクタ13d,13eの他方と直接又は間接的に接続されてもよい。
【0048】
図4Gに示すように、第2流路19cは、ドリップチャンバ19caが設けられていてもよい。また、第2流路19cの一端は、第1接続口84aを介して、圧力測定装置につながっていて、第2流路19cの内圧を測定してもよい。また、第3流路19dは、排液出口11bから流出する排液を貯留する排液部82と接続するコネクタ19daを有してもよい。コネクタ19daは接続口83の一例に相当する。
【0049】
ここで、バルブ81と、流路15に位置するポンプ51とは、加圧部90を構成してもよい。具体的には、ポンプ51が方向F1に送液すると、濾過器11の通液口11dから二次側の空間30bに液体が供給され、濾過膜30を介して、一次側の空間30aに液体が供給され、通液口11bから、第0流路19aに液体が流入する。
【0050】
ポンプ51が方向F1に送液したときに、バルブ81が閉じられていると、第0流路19aに充填されている液体にかかる圧力が上昇する。すなわち、ポンプ51は第0流路19aに充填されている液体を加圧する。そして、第0流路19aに充填されている液体にかかる圧力が上昇した状態とした後に、バルブ81を開放することで、第0流路19aに供給した液体が、第1流路19bに流れ込む。このようにして、バルブ81とポンプ51とは、第1流路19bの加圧部90を構成してもよい。
【0051】
上記において、バルブ81とポンプ51とが加圧部90を構成する態様について説明したが、加圧部90の態様はこれに限定されない。加圧部90を構成するポンプはポンプ51に限られず、第0流路19aに充填された液体又は気体を加圧可能なポンプであればよい。例えば、加圧部90を構成するポンプは、流路15に設置されるポンプ51に限られず、第0流路19aに設けられたポンプ(不図示)であってもよい。
【0052】
なお、加圧部90の操作、つまり、バルブ81の開閉制御と、ポンプ51あるいはその他のポンプの駆動制御は、制御部86が実行してもよい。制御部86は、加圧部90による加圧圧力を制御することもできる。制御部86は、第0流路19aに充填されている液体かかる圧力が閾値を超えた場合に、バルブ81を開放してもよい。
【0053】
また、処理システム1は、加圧圧力を測定する圧力測定部を有してもよい。加圧圧力測定部は、第0流路19aに充填されている液体にかかる圧力を測定する。圧力測定部の一例として、処理システム1は加圧圧力を測定する第2圧力測定部88を有してもよい。第2圧力測定部88は、第0流路19aに充填されている液体にかかる圧力を測定する。
【0054】
第2流路19cは、流路接続部19eと第1圧力測定用の第1接続口84aを接続している。第2流路19cの一端部は、流路接続部19eに接続されている。また、第2流路19cの他端部(接続口84b)は、第1圧力測定用の第1接続口84aに接続されている。接続口46には、第2圧力測定部88が接続されてもよい。第2圧力測定部88は、圧力センサなどの圧力測定装置。すなわち、流路45は接続口46を介して圧力センサに接続されてもよい。第1圧力測定用の第1接続口84aには、圧力センサなどの第1圧力測定装置が接続されて、封鎖されてもよい。言い換えると、第2流路19cは、液体又は気体が通過するものではなく、流路接続部19eからの液体又は気体による流入圧力を第1接続口84aに伝達するものであってもよい。
【0055】
接続チェック時においては、第2流路19cは、流路接続部19eから第1接続口84aへ向けて生理食塩水や水などの液体又は空気などの気体が所定の圧力で流入しようとする圧力を第1接続口84aに伝達するものであればよい。また、処理時においても、同様に、第2流路19cは流路接続部19eからの流入圧力を第1接続口84aに伝達するものであってもよい。
【0056】
第2流路19cの一部に気体が密閉されてもよく、ドリップチャンバ19caが設けられていてもよい。これにより、第1圧力測定装置に液体が接することを回避できる。
【0057】
第3流路19dは、流路接続部19eと排液部82と接続される第2接続口83を接続している。第3流路19dの上流側の端部は、流路接続部19eに接続されている。また、第3流路19dの下流側の端部は、排液部82と接続される第2接続口83を有する。接続チェック時や処理時において、第2接続口83は、例えば濾過器11から排出された液体又は気体を収容する排液部82と接続されてもよい。
【0058】
排液部82は、密閉系であってもよいし、開放系であってもよい。排液が他所を汚染することを回避する観点から、第2接続口83には、密閉系の排液部82が接続されることが好ましい。排液部82は、例えば軟質性のバッグであってもよく、濾過器11で濾別された腹水を収容することができる。接続チェック時においては、排液部82には、濾過器11を通過した、生理食塩水や水などの液体又は空気などの気体が収容されてもよい。
【0059】
図4Cに排液部82の正面図を示す。排液部82は、特に限定されないが、例えば、軟質ポリ塩化ビニル製の平置き略長方形のバッグであってもよい。また、その容量は約5Lであってもよく、大きさは、縦約390mm、横約280mmであってもよい。排液部82には、内容液の容量を示すための容量メモリ(不図示)や、排液部82に充填される腹水を採取した患者を示す使用者識別表示(不図示)があってもよい。容量メモリや使用者識別表示は、袋本体に貼り付けたり、袋本体に直接印刷したり、その他の方法で袋本体に形成することができる。
【0060】
排液部82の四辺には、いずれも一定幅のシール部が設けられている。シール部には、フック穴82aが設けられてもよい。フック穴82aは複数設けられてもよく、例えば、シール部の上辺に一又は複数設けられてもよく、下辺角に一又は複数、設けられてもよい。
【0061】
排液部82は、シール部の上辺に位置するパイプライン82bとシール部の下辺に位置するパイプライン82cを有してもよい。パイプライン82bとパイプライン82cは、それぞれ、排液部82の外側と内側を連通してもよい。パイプライン82bのうち、外側に延伸した部分には、第3流路19dと接続するコネクタ82dが位置してもよい。また、パイプライン82cのうち、外側に延伸した部分には、コック82eが位置してもよい。
【0062】
また、後述する排液部91も排液部82と同様に構成してもよい。
【0063】
チェック部85、制御部86、第1圧力測定部87、及び、第2圧力測定部88は、処理システム1が備える情報処理装置100が備える機能部であってもよい。情報処理装置100としては、特に限定されないが、例えば、タブレット、パーソナルコンピュータ等のコンピュータが挙げられる。
【0064】
図1Bは、情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)等のプロセッサ111、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置112、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)113、入力操作を受け付ける入力デバイス114、及び情報の出力を行う出力デバイス115を有する。入力デバイス114は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス115は、例えば、ディスプレイ、タッチパネル及び/又はスピーカ等である。
【0065】
図1Cは、情報処理装置100の機能ブロック構成の一例を示す図である。情報処理装置100は、チェック部85、制御部86、第1圧力測定部87、第2圧力測定部88、及び出力部89を含んでもよい。記憶部130は、情報処理装置100が備える記憶装置112を用いて実現することができる。また、チェック部85、制御部86、及び出力部89は、情報処理装置100のプロセッサ111が、記憶装置112に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0066】
本実施形態においては、チェック部85と、第1圧力測定部87と、制御部86の共動により、接続チェックが行われてもよい。また、チェック時には、加圧部90による加圧圧力を測定する第2圧力測定部88がさらに共動してもよい。具体的には、処理システム1の制御部86は、バルブ81を閉じた状態でポンプ51等により第0流路19aを加圧した後にバルブ81を開くように加圧部90を制御し、第1圧力測定部87は、第2流路19cの路内圧力を測定し、チェック部85は、バルブ81が開いたことにより加圧された第2流路19cの路内圧力に基づいて、接続チェックを行う。また、この際に、第2圧力測定部88は、加圧部90が加圧した第0流路19aの路内圧力を測定し、制御部86及び/又はチェック部85に第0流路19aの炉内圧力に関する情報を伝達してもよい。
【0067】
チェック部85は、第1圧力測定用の第1接続口84aへの第2流路19cの接続チェックを行う。接続チェックにおいて、チェック部85は、第1圧力測定部87が測定する第2流路19cの路内圧力が規定値以上となる場合に、第1圧力測定用の第1接続口84aに第2流路19cが接続されていると判定してもよい。路内圧力が規定値以上となる場合には、接続不良なく、圧力が第2流路19cに伝達されているといえる。一方で、例えば、第1圧力測定部87が測定する第2流路19cの路内圧力が規定値未満である場合には、流路のどこかに接続不良があると見做してもよい。なお、チェック部85は流路45が接続口46に接続されているか否かをチェックすることとしてもよい。具体的には、バルブ41,81を閉じバルブ50を開いた状態でポンプ51を駆動して流路45を加圧した場合に測定される圧力に基づいて、チェック部85は流路45が接続口46に接続されているか否かをチェックする。流路45の接続チェック方法は、後述する流路19cのチェック方法とは異なっている。すなわち、チェック部85は、接続口に応じた接続チェック方法で接続チェックを行う。
【0068】
また、接続チェックにおいて、チェック部85は、第1圧力測定部87が測定する第2流路19cの加圧前後の路内圧力に基づいて接続チェックを行ってもよい。この際、加圧前後の路内圧力の差が規定値以上となる場合に、第1圧力測定用の第1接続口84aに第2流路19cが接続されていると判定してもよい。ここで、加圧前後の路内圧力とは、加圧部90のバルブ81の開放前後の路内圧力ということもできる。加圧前後の路内圧力に変化がある場合には、バルブ81の開放に起因した圧力が第2流路19cに伝わっているといえる。そして、その変化量である、加圧前後の路内圧力の差が規定値以上である場合には、接続不良なく、圧力が第2流路19cを介して第1圧力測定部87まで圧力が伝達されているといえる。一方で、例えば、加圧前後の路内圧力の差が規定値未満である場合には、流路のどこかに接続不良があると見做してもよい。
【0069】
制御部86は、加圧部90を制御する。また、制御部86は、ポンプ51、ポンプ60、バルブ50、バルブ70等の各装置の動作を制御して、接続チェック処理や、血液及び/又は体腔液の処理を実行することができる。制御部86は、例えばメモリに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより各処理を実現することができる。
【0070】
図2Aに、制御部86がバルブ81を閉じた状態でポンプ51等により第0流路19aを加圧した後に、バルブ81を開くように加圧部90を制御したときの、第0流路19aの路内圧力の変化の一態様を示す。図2Aに示すように、バルブ81を閉めて第0流路19aを加圧した後にバルブ81を開放すると、第0流路19aの路内圧力は、バルブ81を開放したときから時間とともに減少する。なお、第0流路19aの路内圧力は、第2圧力測定部88により測定されてもよい。
【0071】
図2Bに、制御部86がバルブ81を閉じた状態でポンプ51等により第0流路19aに充填された液体にかかる圧力を上昇させ、例えば第0流路19aに充填された液体にかかる圧力が閾値を超えた場合にバルブ81を開くように加圧部90を制御したときの、第2流路19cの路内圧力の変化の一態様を示す。図2Bに示すように、バルブ81を閉めて第0流路19aに充填された液体にかかる圧力を上昇させた後にバルブ81を開放すると、第2流路19cの路内圧力は、バルブ81を開放したときから時間とともに一時的に増加するが、第0流路19aからの圧力が減少するとともに、その後減少する。なお、第2流路19cの路内圧力は、第1圧力測定部87が測定することとしているが、これに限定されるものではなく、他の方法で測定することとしてもよい。
【0072】
図2A及び図2Bに示すように、第0流路19aに充填された液体にかかる圧力を上昇させた後に開放することで、第2流路19cの路内圧力に十分な変化を生じさせることができる。そして、チェック部85は、そのような変化を検知したときには、第1接続口84aに第2流路19cが正常に接続されていると判定してもよく、加圧した第0流路19aを開放しているにかかわらず、第1圧力測定部87がその圧力変化を検知できないときには、第1接続口84aに第2流路19cが接続されていない又は接続に問題があると判断してもよい。このような処理システムにより、第2流路19cの路内圧力の変化を検知することで、第1接続口84aに第2流路19cが接続していることのチェックを確実に行うことができる。より具体的に言えば、第1流路19bから第2流路19cと第3流路19dとに分岐しているため、分岐がない場合に比べて第2流路19cが加圧されにくい構成となっている。しかし、上記のようにバルブ81を閉じた状態で第0流路19aに充填された液体にかかる圧力を高くしているため、バルブ81が開いた瞬間に第2流路19cに伝わる圧力も高くなる。従って、第2流路19cの第1接続口84aへの接続を確実にチェックすることが可能となる。
【0073】
第1圧力測定部87は、第1圧力測定用の第1接続口84aに接続された第2流路19cの路内圧力を測定する。この際、第1圧力測定部87は、バルブが閉塞状態から開放状態となるタイミングに基づいて、第2流路19cの路内圧力を測定してもよい。例えば、第1圧力測定部87はバルブ81が開放状態になったタイミングから所定時間内に第2流路19cの路内圧力を測定してもよい。また、第1圧力測定部87は図2A図2Bに示すように経時的に測定を行い、チェック部85は、この開放タイミングに基づいて、開放タイミングとそれからの所定時間経過後のタイミングによる圧力差から、第1圧力測定用の第1接続口84aへの第2流路19cの接続チェックを行ってもよい。第1圧力測定部87は、例えばドリップチャンバ(不図示)に連通しており、第2流路19cの圧力を測定することができる。第1圧力測定部87の測定結果は、例えば、チェック部85や制御部86に出力されてもよい。
【0074】
第2圧力測定部88は、制御部86が加圧部90を制御して加圧した、第0流路19aに充填されている液体にかかる圧力を測定してもよい。第2圧力測定部88は、例えば流路45に接続されおり、第0流路19aに充填されている液体に掛かる圧力を測定することができる。第2圧力測定部88の測定結果は、例えば、チェック部85や制御部86に出力されてもよい。
【0075】
出力部89は、接続チェックの結果を表示してもよい。出力デバイス115がディスプレイを有する場合には、出力部89は、接続チェックの結果を表示制御してもよい。また、出力デバイス115がスピーカを有する場合には、出力部89は、接続チェックの結果、例えば、接続不良のアラートなどを音声出力してもよい。
【0076】
記憶部130は、接続チェックに使用する各データを有していてもよく、例えば、第1圧力測定部87、第2圧力測定部88が測定したデータ、接続されていると判断するための各規定値などを記録してもよい。
【0077】
流路15は、濾過器11と濃縮器12を接続している。流路15の上流側の端部は、濾過器11の通液口11dに接続され、流路15の下流側の端部は、濃縮器12の上端部の通液口12aに接続されている。すなわち、濾過器11の通液口11dは、濾過器11の出口となり、濃縮器12の通液口12aは、濃縮器12の入口となっている。接続チェック時においては、流路15を介して、生理食塩水バッグ24から濾過器11側へ向けて、方向F1に、生理食塩水が流れてもよい。また、処理時においては、流路15を介して、濾過器11側から濃縮器12側へ向けて、濾過された腹水が流れてもよい。濾過された腹水には、例えば、アルブミンなどの所定の有用成分が含まれ得る。
【0078】
流路15には、例えば、バルブ50、ポンプ51、ドリップチャンバ52、及び導入部53が上流側から下流側に向けてこの順番で設けられてもよい。また、流路15のうちドリップチャンバ52と濃縮器12の間には、バルブ25dが設けられていてもよい。バルブ50,バルブ25dは、流路15を開閉可能に構成される。
【0079】
ポンプ51は、加圧部90におけるポンプを構成するものであってもよい。ポンプ51は、特に制限されないが、例えば、流路15のチューブを扱いて液体又は気体を所定の方向F1,F2に圧送するチューブポンプであってもよく、停止時にはチューブを閉塞するため閉塞手段としての機能を有してもよい。
【0080】
導入部53は、接続チェック時においては、流路15に対して、空気などの気体を導入する部分であってもよい。
【0081】
流路16は、濃縮器12と処理済バッグ13を接続している。流路16の上流側の端部は、濃縮器12の下端部の通液口12bに接続され、流路16の下流側の端部は、処理済バッグ13に接続されている。すなわち、濃縮器12の通液口12bは、濃縮器12の第1の出口となっている。
【0082】
流路16には、ポンプ60が設けられてもよい。ポンプ60は、流路16のチューブを扱いて送液するチューブポンプであってもよい。ポンプ60は、停止時にチューブを閉塞するため閉塞手段としての機能も備えてもよい。
【0083】
第4流路17の上流側の端部は、例えば濃縮器12の通液口12c、12dに接続されている。すなわち、濃縮器12の通液口12c、12dは、濃縮器12の第2の出口となっている。なお、第4流路17の上流側の端部は、通液口12c、12dのいずれか一方にのみ接続されてもよい。第4流路17の下流側の端部は、濃縮器12で腹水から除去された排液を収容する排液部91に接続されてもよい。
【0084】
図4Iに、図1Aに示す態様における、第4流路17の構成例を示す。第4流路17は、濃縮器12の通液口12c、12dに接続するコネクタ17a,17bを有してもよい。また、第4流路17には、逆流防止部65が設けられてもよい。逆流防止部65により、濃縮器12から排出された液体が第4流路17を逆流することを抑制できる。さらに、第4流路17は、排液部91と接続するコネクタ17cを有してもよい。コネクタ17a,17b,17cは、接続前の状態において、キャップがされていてもよい。
【0085】
また、第4流路17の端側には、色などの印17dを有してもよい。これにより、使用者は、印17dに基づいてその接続先(例えば、濃縮器12や排液部91)を容易に確認することができる。
【0086】
排液部91は、密閉系であってもよいし、開放系であってもよい。排液が他所を汚染することを回避する観点から、密閉系の排液部91が好ましい。排液部91は、例えば軟質性のバッグであってもよく、濃縮器12で腹水を濃縮する過程で排出された液を収容することができる。接続チェック時においては、排液部91には、濃縮器12を通過した、生理食塩水や水などの液体又は空気などの気体が収容されてもよい。
【0087】
流路18は、処理済バッグ13と流路15を接続している。流路18の一端部は、処理済バッグ13に接続されている。流路18の他端部は、流路15におけるバルブ50とポンプ51との間に接続されてもよい。流路18には、流路18を開閉するバルブ70が設けられてもよい。
【0088】
なお、第0流路19a,第1流路19b、第2流路19c、第3流路19d、流路14~18には、例えば軟質性のチューブが用いられてもよい。軟質性のチューブは、流路ごとに、流路断面積、流路長、流路壁厚さ、及び構成材料の少なくとも一つが異なってもよい。この相違により、流路ごとの流路抵抗が変わりうる。例えば、第2流路19cと第3流路19dとの少なくとも1部においては、流路断面積、流路長、流路壁厚さ、及び構成材料の少なくとも一つが異なってもよい。これにより、流路接続部19eから第2流路19cへの流量と、流路接続部19eから第3流路19dへの流量の分配率を調整できる。具体的には、第2流路19cの流路抵抗を流路19dより小さくするため、例えば第2流路19cの流路長は流路19dの流路長さより短くしてもよい。また、第2流路19cの流路壁厚さを流路19dの流路壁厚さより大きくすることとしてもよい。
【0089】
また、上記では、図1Aに基づいて、濾過器11と濃縮器12とが、それぞれ排液部82と排液部91を備える態様について説明したが、濾過器11と濃縮器12とは、一つの排液部82を共有してもよい。例えば、図1Dに示すように、第2流路19cが分岐点19fを有し、第4流路17が分岐点に接続されてもよい。また、第4流路17は、逆流防止部65を有してもよい。
【0090】
図4Hに、図1Dに示す態様における、第0流路19aから下方部分の構成例を示す。図4Hに示す態様は、第2流路19cが分岐点19fを有する点において、図4Gに示す態様と相違する。その他の構成は図4Gで説明したものと同様であるため、重複する部分についての説明は省略する。
【0091】
図4Jに、図1Dに示す態様における、第4流路17の構成例を示す。図4Jに示す態様は、第4流路17が排液部91に接続されることに代えて、第4流路17が第2流路19cの分岐点19fに接続される点において、図4Iに示す態様と相違する。
【0092】
図4H及び図4Jに示す例では、分岐点19fにおいて、濃縮器の排液が通過する第4流路17が接続される。これにより、濃縮器12からの排液が、流路接続部19を介して、排液部82に流れるようにすることができる。第2流路19cの端部である接続口84bは、第1接続口84aに接続される前の状態において、空気開放されている。第1接続口84aは圧力計につながっていて、第2流路内圧を測定する。
【0093】
さらに、図4K及び図4Lを用いて、処理システム1の流路回路20の部分拡大図を示す。図4Kは、流路回路20に濃縮器12、処理済バッグ13、生理食塩水バッグ24等が接続されておらず、それら構成部に接続されるコネクタ21同士が接続されている状態を示す。また、図4Lは、流路回路20に濃縮器12、処理済バッグ13などが接続されている状態を示す。
【0094】
また、図4Kは、流路回路20の概略構成を示す図であるのに対して、図4Lは、流路回路20をガイドパネル151に設置した状態を示す図である。ガイドパネル151に沿って流路20を設置することで、使用者は間違えることなく容易に流路を構成することができる。
【0095】
流路回路20を構成する流路は、各先端にコネクタ21を有してもよい。また、流路回路20を構成する流路は、開閉弁(バルブ)への接続箇所を明示するための印22を有してもよい。これにより、開閉弁(バルブ)を適切な位置に設置しやすくなる。その他、流路回路を構成する流路は、各装置や濾過器、濃縮器等との接続先を示すための色などの印23が付されていてもよい。これにより、使用者は、印23に基づいてその接続先を容易に確認することができる。
【0096】
また、生理食塩水バッグ24には、針で接続するタイプと、コネクタで接続するタイプがある。図4Kにおいては、どちらでも接続できるように、流路25が先端に針25aとコネクタ25bの両方を備えてもよい。針25aとコネクタ25bの両方を備える構成としては、図4Eに示すものと同様にすることができる。流路25には、バルブ25cが設けられていてもよい。
【0097】
生理食塩水バッグ24は、流路25に接続されており、ポンプ51を駆動することにより、生理食塩水を流路25,15を通過して濾過器11に供給することができる。これにより、濾過器11を洗浄することが可能となる。
【0098】
図4Lに示す流路回路20は、チューブ150と、当該チューブ150の一部を保持するパネル151を有している。
【0099】
流路回路20のチューブ150は、軟質性及び可撓性を有し、例えば透明のポリ塩化ビニル等で構成されている。
【0100】
パネル151は、硬質の樹脂等で構成されている。パネル151の材質は、例えばABS、PC(ポリカーボネート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、POM(ポリアセタール)、PE(ポリエチレン)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、SAN(スチレン-アクリロニトリル)、PA(ポリアミド)のいずれかを含む樹脂を含んでいる。パネル151は、例えば射出成形により、略方形の薄い板状に形成されている。パネル151は、例えば500cm2以下、好ましくは400cm2以下の平面積を有している。
【0101】
パネル151には、パネル表面に沿って流路回路20のチューブ150が配設されている。例えばパネル151には、流路15、流路16、流路18、及び流路25といったチューブ150の一部が配設されている。チューブ150は、パネル151の複数辺の外周部Rから外側に突出している。なお、本実施の形態においては、パネル151の外縁から10cm以内の部分を外周部Rとする。チューブ150は、パネル151の複数箇所、例えば10箇所以上から外部に突出している。チューブ150は、パネル151から25cm以上、好ましくは35cm以上外部に出ている。流路回路20の移送時には、チューブ150のパネル151から出ている部分がまとめて結束されてもよい。
【0102】
流路回路20のチューブ150は、パネル151の複数箇所で保持されている。パネル151の外周部R1には、チューブ150をパネル表面に沿った一の方向から嵌め込んで係止し、チューブ150の嵌め込み方向の前方の側面を押さえる係止部160と、係止部160に係止されたチューブ150の嵌め込み方向の後方の側面を押さえる押さえ部161と、係止部160に係止されたチューブ150をチューブ150の延在方向に沿って収容し保持する溝部162と、が設けられている。
【0103】
流路回路20のチューブ150は、パネル151の複数方向の外周部Rからパネル151の外部に出ているので、各チューブ150の体液処理装置2への取り付け間違いを低減できる。なお、流路回路20のチューブ150がパネル151の複数方向から外部に出ている場合、チューブ150に外力がかかりやすくなるが、このような場合においてチューブ150を係止部160、押さえ部161及び溝部162で押さえることにより、チューブ150が外れることを抑制できる。
【0104】
流路回路20のチューブ150は、パネル151から25cm以上外部に出ており、パネル151に固定されないチューブ150の割合が比較的大きくなり、チューブ150に外力がかかりやすいが、このような場合において、パネル151の外周部R1に係止部160、押さえ部161及び溝部162を設ける効果は大きい。
【0105】
パネル151の平面積が500cm2以下であり、パネル151が小型であるので、パネル151に使用する材料の量を少なくしつつ、小型の装置に装着でき、包装形態も小さくすることができる。ここで、平面積が小さく、本来、外力により流路回路20のチューブ150が外れやすいパネル151においても、チューブ150を係止部160、押さえ部161及び溝部162で押さえることにより、チューブ150を保持する部分を増やすことなく、チューブ150がパネル151から外れることを効果的に抑制できる。
【0106】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0107】
2.接続チェック
次に、上記路内圧力の変化を利用した接続チェックのフローチャートで説明する。図3Aに、接続チェックのフローチャートの一例を示す。
【0108】
ステップS11では、制御部86が、バルブ81を閉じた状態でポンプ51等により第0流路19aに充填された液体にかかる圧力を上昇させる。この際に、第2圧力測定部88は、第0流路19aに充填された液体にかかる圧力を検知してもよい。
【0109】
ステップS12では、制御部86はバルブ81を開くように加圧部90を制御することで、第2流路19cに圧力を伝える。制御部86は、第2圧力測定部88により測定された第0流路19aに充填された液体にかかる圧力が閾値を超えた場合に、バルブ81を開くように加圧部90を制御してもよい。この際に、第2圧力測定部88は、第0流路19aの路内圧力の減少を検知してもよい。
【0110】
ステップS13では、チェック部85は、バルブ81が開いた時点からの、第2流路19cの路内圧力の変化を、第1圧力測定部87により測定する。そして、ステップS14では、チェック部85は、第2流路19cの路内圧力の変化に基づいて、接続チェックを行う。例えば、チェック部85は、第2流路19cの路内圧力において一定以上の圧力の上昇と減少が認められたときに接続されていることを検知してもよいし、第2流路19cの路内圧力における圧力の最大値が一定以上であったときに、接続されていることを検知してもよい。
【0111】
図3Aは、第2流路19cの路内圧力の測定を1回行う場合の接続チェックについて示したが、接続チェックにおいては、第2流路19cの路内圧力の測定は複数回行ってもよい。図3Bに、第2流路19cの路内圧力の測定を複数回行う場合の接続チェックのフローチャートの例を示す。
【0112】
例えば、接続チェックにおいて、チェック部85は、加圧部90が第1流路19bを加圧に応じて、第1圧力測定部87が測定する第2流路19cの路内圧力の測定、及び/又は、第1圧力測定部87が測定する第2流路19cの加圧前後の路内圧力の差の測定を、複数回行い、複数回の測定結果に応じて、第1圧力測定用の第1接続口84aに第2流路19cが接続されていると判定してもよい。
【0113】
また、接続チェックの際に、チェック部85は、加圧部90による加圧圧力を変えて、第1圧力測定用の第1接続口84aに第2流路19cが接続されているか否かの確認を複数回行い、接続チェックにおいて、チェック部85は、複数回の確認結果に応じて、第1圧力測定用の第1接続口84aに第2流路19cが接続されていると判定してもよい。
【0114】
ステップS21,S22,S23は、ステップS11,S12,S13と同様とすることができる。図3Bに示すフローチャートでは、ステップS24において、チェック部85が第2流路19cの路内圧力の変化に基づいて接続チェックを行い、接続されていると判断がされた場合には処理を終える。
【0115】
一方で、ステップS24において、チェック部85が接続されていないと判定した場合には、ステップS25において、チェック部85はステップS21における加圧圧力に基づく接続判定を行う。具体的には、チェック部85はステップS21における加圧圧力が所定値以上であったときは、非接続の判定をしてもよい。ステップS21における加圧圧力が所定値以上であるにもかかわらず、第2流路19cの路内圧力に所定の圧力変化が認められないということから、非接続であると判定できる。
【0116】
また、チェック部85はステップS21における加圧圧力が所定値未満であったときは、制御部86は、加圧部90を制御してさらに第0流路19aの路内圧力を増加して、ステップS21,S22,S23,S24を繰り返してもよい。このように、第0流路19aの路内圧力を増加して、接続チェックを繰り返すことにより、接続チェックの精度がより向上する傾向にある。
【0117】
なお、チェック部85は、第2流路19cの路内圧力において一定以上の圧力の上昇と減少が認められたときに接続されていることを検知してもよいし、第2流路19cの路内圧力における圧力の最大値が一定以上であったときに、接続されていることを検知してもよい。
【0118】
以上のような処理システムにより、第2流路19cの路内圧力の変化を検知することにより、圧力測定部が接続していることのチェックを容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の処理システムは、血液及び/又は体腔液を処理する処理システムとして産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0120】
1…処理システム、2…体液処理装置、10…処理バッグ、10a…フック穴、10b…メッシュ部、10c…パイプライン、10d…端部、10e…ノッチ、10f…コネクタ、10g…パイプライン、10h…コネクタ、10i…腹水採取ライン、10j…コネクタ、10k…コネクタ、10l…調節器、10m…チャンバ、10n…ポート、11…濾過器、11a…通液口、11b…通液口、11c…通液口、11d…通液口、12…濃縮器、12a…通液口、12b…通液口、12c…通液口、12d…通液口、13…処理済バッグ、13a…フック穴、13b…パイプライン、13c…パイプライン、13d…コネクタ、13e…コネクタ、13f…ポート、13g…ポート、14…流路、14a…コネクタ、14b…コネクタ、14c…プラスチック針、14d…キャップ、14e…印、14f…印、14g…コネクタ、15…流路、16…流路、17…第4流路、17a…コネクタ、17b…コネクタ、17c…コネクタ、17d…印、18…流路、19…流路接続部、19a…第0流路、19aa…コネクタ、19ab…印、19ac…印、19ad…分岐流路、19ae…分岐流路、19af…コネクタ、19ag…コネクタ、19b…第1流路、19c…第2流路、19ca…ドリップチャンバ、19d…第3流路、19da…コネクタ、19e…流路接続部、19f…分岐点、20…流路回路、21…コネクタ、22…印、23…印、24…生理食塩水バッグ、25…流路、25a…針、25b…コネクタ、30…濾過膜、30a…空間(中空糸膜の内部空間)、30b…空間(中空糸膜の外部空間)、40…濃縮膜、40a…空間(中空糸膜の内側空間)、40b…空間(中空糸膜の外側空間)、41…バルブ、45…流路、45a…印、45b…ドリップチャンバ、46…接続口、50…バルブ、51…ポンプ、52…ドリップチャンバ、53…導入部、60…ポンプ、65…逆流防止部、70…バルブ、81…バルブ、82…排液部、82a…フック穴、82b…パイプライン、82c…パイプライン、82d…コネクタ、82e…コック、83…第2接続口、84a…第1接続口、84b…接続口、85…チェック部、86…制御部、87…第1圧力測定部、88…第2圧力測定部、89…出力部、90…加圧部、91…排液部、100…情報処理装置、111…プロセッサ、112…記憶装置、114…入力デバイス、115…出力デバイス、130…記憶部、150…チューブ、151…ガイドパネル、160…係止部、161…押さえ部、162…溝部
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L