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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177708
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】電子機器用操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20241217BHJP
   H01H 13/00 20060101ALI20241217BHJP
   H01H 13/64 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01H36/00 Y
H01H36/00 J
H01H13/00 B
H01H13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095992
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】戸田 大介
【テーマコード(参考)】
5G046
5G206
【Fターム(参考)】
5G046AA02
5G046AB02
5G046AC23
5G046AD02
5G046AD23
5G046AE13
5G206AS21H
5G206GS07
5G206HU03
5G206KS07
(57)【要約】
【課題】簡単な構成でありながらも安定的にタッチ操作と押し操作を検出する。
【解決手段】操作装置400は、電子機器100に備えられる。操作装置は、タッチ操作が可能であるとともに、タッチ操作がなされた位置からの押し操作により移動する操作部材410と、操作部材の移動に伴って移動する第1の電極510と、移動する第1の電極との間の距離が変化するように配置された第2の電極700と、タッチ操作および上記距離の変化に応じて第1の電極に生じる静電容量の変化を検出する検出手段850と有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に備えられる操作装置であって、
タッチ操作が可能であるとともに、該タッチ操作がなされる位置からの押し操作により移動する操作部材と、
前記操作部材の移動に伴って移動する第1の電極と、
移動する前記第1の電極との間の距離が変化するように配置された第2の電極と、
前記タッチ操作および前記距離の変化に応じて前記第1の電極に生じる静電容量の変化を検出する検出手段とを有することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記第2の電極が金属板により形成され、
該金属板の前記第1の電極側の金属面が露出していることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記電子機器の外装部材が導電性の金属により形成されており、
前記第2の電極は、前記外装部材と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項4】
前記操作部材は、前記タッチ操作と前記押し操作を受ける操作面が前記押し操作により前記外装部材の外面よりも内面側に移動することを特徴とする請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作部材は、前記タッチ操作と前記押し操作を受ける操作面が凸面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項6】
前記第1の電極が、基板における前記第2の電極側と前記操作部材側とに設けられており、
前記第2の電極側の前記第1の電極の面積が、前記操作部材側の前記第1の電極の面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項7】
前記操作部材の移動に伴って移動するグランド電極を有し、
前記操作部材の移動端において、前記グランド電極が前記第2の電極と電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項8】
前記操作部材と前記第2の電極との間に弾性部材が配置されており、
前記検出手段は、前記操作部材に対する、前記タッチ操作と、前記弾性部材に対応する位置までの第1の押し操作および前記弾性部材が圧縮される位置までの第2の押し操作による前記静電容量の変化を検出することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の操作装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラその他の電子機器に備えられる操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような操作装置には、ユーザの指等の被検出体によるタッチ操作又は被検出体の接近を静電容量の変化を通じて検出するものがある。さらに特許文献1には、可動電極への被検出体のタッチ操作(接近操作を含む)による静電容量の変化だけでなく、被検出体による押し操作による可動電極と固定電極間での距離変化に伴う固定電極の静電容量の変化を検出する入力装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-123430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の入力装置のように1つの静電容量の検出系でタッチ操作と押し操作とを検出する場合、検出した静電容量からどの操作がなされたかを安定的に検出することが難しい。
【0005】
本発明は、簡単な構成でありながらも安定的にタッチ操作と押し操作の検出が可能な操作装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての操作装置は、電子機器に備えられる。該操作装置は、タッチ操作が可能であるとともに、タッチ操作がなされた位置からの押し操作により移動する操作部材と、操作部材の移動に伴って移動する第1の電極と、移動する第1の電極との間の距離が変化するように配置された第2の電極と、タッチ操作および上記距離の変化に応じて第1の電極に生じる静電容量の変化を検出する検出手段とを有することを特徴とする。なお、上記操作装置を備えた電子機器も、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構成でありながらも安定的にタッチ操作と押し操作を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の電子機器の外観図。
図2】実施例1の電子機器における操作部の断面図。
図3】実施例1の操作部の分解斜視図。
図4】実施例1の操作部におけるフレキシブル基板を示す図。
図5】実施例1における静電容量の変化を示す図。
図6】実施例1の操作部の他の断面図。
図7図6の操作部における静電容量の変化を示す図。
図8】実施例1の操作部におけるフレキシブル基板の変形例を示す図。
図9図9の操作部における静電容量の変化を示す図。
図10】実施例2の操作部の断面図。
図11図10の操作部の動作を示す図。
図12】実施例2の操作部における静電容量の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例0010】
図1は、本発明の実施例1の電子機器100の外観(背面)を示している。電子機器100は、外装部材としての外装筐体200と、表示部300と、ダイヤル350と、操作装置としての操作部400とを有する。表示部300は液晶表示デバイス等により構成され、電子機器100に関する各種情報や画像を表示する。ユーザは、ダイヤル350および操作部400に対して、電子機器100の動作指示や設定変更のための操作を行うことができる。この際、ユーザは操作に対する電子機器100の応答を表示部300で確認することができる。
【0011】
図2(a)、(b)は、操作部400を含む電子機器100の断面を示しており、図3(a)、(b)は操作部400を分解して示している。
【0012】
本実施例における操作部400は、操作部材としてのキートップ410に対するタッチ操作と押し操作とが可能である。ここにいうタッチ操作は、必ずしも以下に説明するようにキートップ410に接触する操作だけでなく、キートップ410に近接する操作も含む。また、本実施例ではユーザの指がキートップ410に対する操作を行う場合について説明するが、ユーザの指、ユーザが保持した操作用ペンおよびユーザが着用した操作用手袋等の被検出体による操作であればよい。
【0013】
以下の説明において、電子機器100においてキートップ410が押されて移動する方向を奥側という。キートップ410は、外装筐体200に形成された開口であるボタン穴210内にその操作面が外部に露出するように配置されている。
【0014】
キートップ410における操作面より奥側の外周には、キーフランジ411が形成されている。キーフランジ411は、外装筐体200の内面に当接してキートップ410の外部への突出を制限している。キートップ410におけるキーフランジ411より奥側に設けられた溝部には、弾性部材であるキーラバー450のラバー係合部451が係合しており、これによりキートップ410が外部に向かって付勢されつつ保持されている。
【0015】
図2(a)に示すユーザの指によるタッチ操作状態からキートップ410が奥側に向かって押し操作されると、図2(b)に示すようにキーラバー450が弾性変形してキートップ410が奥側に移動する。押し操作が解除されると、キーラバー450の形状が復元することでキートップ410が元の位置(タッチ操作位置)に押し戻される。なお、キーラバー450は、キートップ410が所定量だけ押し操作されるとクリック感が生じるように形成されている。
【0016】
キートップ410のボトム面(奥側の端面)には、フレキシブル基板500の一端側の部分が両面テープ550によって接着保持されている。ボトム面にはキートップボス412が設けられており、キートップボス412がフレキシブル基板500に設けられた穴部に挿入されることで、キートップ410(ボトム面)に対するフレキシブル基板500の位置合わせがなされる。フレキシブル基板500の他端は、電子回路基板800と電気的に接続される。フレキシブル基板500と電子回路基板800の詳細については後述する。
【0017】
フレキシブル基板500よりも奥側には、導電性の金属板で形成された受け板金700が、図2(a)に示す状態でフレキシブル基板500との間に所定距離だけ離れるように配置されている。受け板金700は、キートップ410が押し操作されたときの受け面の役割を有する。受け板金700のフレキシブル基板側(第1の電極側)の金属面は、絶縁膜で覆われることなく露出している。また受け板金700は、導電性ビス750によって導電性の金属で形成された外装筐体200の内側の部分に電気的に接続(グランド接続)されて固定されている。受け板金700には、図2(b)に示すようにキートップ410がその移動端としての操作端まで押し操作されたときにキートップボス412を避けるための板金穴710が形成されている。
【0018】
図4は、奥側(受け板金側)から見たフレキシブル基板500を示している。フレキシブル基板500には、キートップボス412が挿入される前述した穴部505が形成されている。またフレキシブル基板500には、銅箔によって第1の電極としての電極パターン510が形成されている。電極パターン510の表面はポリイミド等の絶縁膜で覆われて絶縁されている。フレキシブル基板500が電気的に接続された電子回路基板800上には、電極パターン510に発生する静電容量を検出する検出手段としての静電容量センサ850が実装されている。この構成により、電極パターン510と第2の電極としての受け板金700との間の距離が変化することで電極パターン510に蓄えられる電荷(静電容量)の変化を静電容量センサ850が検出することができる。
【0019】
本実施例では、電極パターン510のうちキートップ410のボトム面に対応する部分の面積が他の部分よりもできるだけ広くなるように設定されている。これにより、キートップ410に対するタッチ操作や押し操作に伴う静電容量の変化が大きくなる。
【0020】
静電容量センサ850での検出結果は、電子回路基板800上に実装された不図示の処理回路によって、以下に説明するようにプログラム上で設定された閾値と比較され、その比較結果によってキートップ410に対するタッチ操作や押し操作の有無が判断される。処理回路は、タッチ操作や押し操作の有無を判断するだけでもよいし、さらに該判断の結果に応じて電子機器100の動作を制御するものであってもよい。
【0021】
図5は、キートップ410(つまりは電極パターン510)に対するユーザの指の距離および電極パターン510と受け板金700との間の距離と電極パターン510に生じる静電容量との関係を示している。横軸は距離Xを示し、図中の右側ほど距離Xが短くなることを示している。縦軸は、静電容量センサ850で検出される静電容量Cを示し、図中の上側ほど静電容量Cが増加することを示している。
【0022】
本実施例では、ユーザの指がキートップ410から離れた位置からキートップ410の操作面に接近してタッチ操作に至り、その後にキートップ410を押し操作してキートップ410を奥側に移動させる。所定量だけ移動したキートップ410のボトム面(フレキシブル基板500)が受け板金700に当接する操作端にてキートップ410の移動が停止する。一般に、静電容量Cは、第1の電極の面積をS、第1の電極と第2の電極との距離をD、空気の誘電率をεとすると、C=ε・S/Dにより表される。
【0023】
このため、ユーザの指がキートップ410に接触して(タッチ操作されて)いない状態から、グランドレベルのユーザの指が接近して接触する過程において、電極パターン510の静電容量Cが増加する。さらにキートップ410が押し操作されてフレキシブル基板500が受け板金700に当接する操作端まで電極パターン510と受け板金700との間の距離Xが減少することで、電極パターン510の静電容量Cが増加する。電極パターン510と受け板金700とは絶縁されているため、操作端にて静電容量Cは最大となる。
【0024】
図5において、X0はユーザの指がキートップ410から十分に離れた状態での距離Xを示しており、この状態で静電容量センサ850により検出される静電容量Cの初期値をC0とする。この状態からユーザの指がキートップ410(つまりは電極パターン510)に接近するに従って静電容量Cが増加する。X1はユーザの指がキートップ410に接触したタッチ操作状態を示しており、このときの静電容量CをC1とする。上述した処理回路は、C0とC1との間に第1の閾値Ctを設定しており、静電容量CがCtに達することでキートップ410に対するタッチ操作がなされたと判断する。静電容量CがCtに達したときの距離XをXtとする。
【0025】
この後、ユーザがキートップ410を押し操作して電極パターン510が受け板金700に接近すると静電容量Cはさらに増加する。そして距離Xが操作端での距離X2になると、静電容量CはC2に達する。上述した処理回路は、C1とC2との間に第2の閾値Cpを設定しており、静電容量CがCpに達することでキートップ410に対する押し操作がなされたと判断する。静電容量CがCpに達したときの距離XをXpとする。
【0026】
第2の閾値Cpは、押し操作が検出されないことを避けるために、操作端において確実にC2がCpを上回るように、C2に対して十分に低く設定することが望ましい。一方、C1とC2はユーザの指のキートップ410への接触のしかたで変化する。例えば、ユーザの指のキートップ410への接触面積が広いとC1とC2は高くなる。この条件での静電容量Cの変化を、図5中に破線で示している。キートップ410とユーザの指の接触時の静電容量をC1′(Ct<C1<C1′<Cp)、操作端での静電容量をC2′(>C2)としている。
【0027】
以上のようにも本実施例の操作部400は、簡易な構成でありながらも、2段階の操作検出が可能である。
【0028】
次に、図6(a)、(b)および図7(a)、(b)を用いて、キートップ410の形状と静電容量との関係について説明する。図6(a)は、図2(a)、(b)とは操作面410aの形状が異なるキートップ410′が操作端まで押し操作された状態の断面を示している。図7(a)は、図6(a)のキートップ410′を用いた場合に電極パターン510に生じる静電容量の変化を実線で示し、図2(a)、(b)のキートップ410を用いた場合に電極パターン510に生じる静電容量の変化を破線で示している。
【0029】
キートップ410′の操作面410aは、ほぼ平坦に近い図2(a)、(b)のキートップ410の操作面に比べて強い曲率の凸面形状を有する。キートップ410′の操作面410aでは、そこにユーザの指が触れた時点でのユーザの指との接触面積が図2(a)、(b)のキートップ410に比べて小さくなる。このため、図7(a)に実線で示すように、距離X1における静電容量C11が破線で示す静電容量C1に比べて小さくなる。ここからキートップ410′を押し操作すると、キートップ410′の操作面410aにユーザの指が密着して接触面積が増加し、静電容量Cも距離X2で静電容量C2に達する。これにより、距離X1での静電容量C1と静電容量C11との差分だけ、距離XがX1からX2に減少する間の静電容量の変化量を破線の場合に比べて大きくすることが可能となる。すなわち、閾値Cpと静電容量C11との差をより大きくすることが可能である。
【0030】
例えば、操作部400の構成が各部品の個体差による寸法ばらつきによってX1とX2が近接した構成となった場合でも、閾値Cpと静電容量C11との差をより大きくすることが可能となる。この結果、ユーザがキートップ410′にタッチ操作のみしたにもかかわらず処理回路が押し操作がなされたと誤って判断して誤動作することを回避することができる。
【0031】
図6(b)は、図2(a)、(b)のキートップ410と同じ形状の操作面を有するが、キーフランジ411からの操作面の高さが図2(a)、(b)のキートップ410より低いキートップ410″が操作端までの押し操作された状態の断面を示している。図7(b)は、図6(b)のキートップ410″を用いた場合に電極パターン510に生じる静電容量の変化を実線で示し、図2(a)、(b)のキートップ410を用いた場合に電極パターン510に生じる静電容量の変化を破線で示している。
【0032】
図6(b)に示すように、操作端においてキートップ410″の操作面は外装筐体200の外面よりも内面側(奥側)に沈み込む。この際、ユーザの指がグランドレベルの外装筐体200に接触することで静電容量の変化が発生する。また前述したように、受け板金700は外装筐体200とビス750を介して電気的に接続されている。このため、図7(b)に実線で示すように、操作端での静電容量C22が図2(a)、(b)のキートップ410を用いた場合の静電容量C2に比べて大きくなる。このため、距離X2での静電容量C2と静電容量C22との差分だけ、距離XがX1からX2に減少する間に発生する静電容量の変化量をより大きくすることが可能となる。この結果、閾値Cpの設定自由度が高くなり、例えば閾値Cpを閾値Cp22に変更して閾値Cp22と静電容量C1との差をより大きくすることが可能である。
【0033】
例えば、操作部400の構成が各部品の個体差による寸法ばらつきによってX1とX2が近接した構成となった場合でも、閾値Cp22と静電容量C1との差をより大きくすることが可能となる。この結果、ユーザがキートップ410′にタッチ操作のみしたにもかかわらず処理回路が押し操作がなされたと誤って判断して誤動作することを回避することができる。
【0034】
次に、図8(a)、(b)および図9を用いて、フレキシブル基板500の変形例について説明する。図8(a)、(b)は、図4に示したフレキシブル基板500とは構成が異なるフレキシブル基板500′を示している。フレキシブル基板500′は、受け板金側においては図4のフレキシブル基板500と同じ電極パターン510を有するが、キートップ側(操作部材側)に図8(b)に示す電極パターン511を有する点で、図4のフレキシブル基板500と異なる。図9は、図8(a)、(b)に示したフレキシブル基板500′を用いた場合に電極パターン510に生じる静電容量の変化を実線で示し、図4のフレキシブル基板500を用いた場合に電極パターン510に生じる静電容量の変化を破線で示している。
【0035】
フレキシブル基板500′では、図8(a)に示す受け板金側の電極パターン510の面積を、図8(b)に示すキートップ側の電極パターン511の面積より大きくしている。これにより、キートップ側の電極パターン511の静電容量の変化を小さく検出し、受け板金側の電極パターン510の静電容量の変化を大きく検出することが可能となる。
【0036】
図9に示すように、図8(a)、(b)のフレキシブル基板500′を用いた場合の距離X1での電極パターン510の静電容量C13は、図4のフレキシブル基板500を用いた場合の静電容量C1より小さくなる。一方、図8(a)、(b)のフレキシブル基板500′を用いた場合の距離X2での電極パターン510の静電容量C23は、図4のフレキシブル基板500を用いた場合の静電容量C2より大きくなる。この結果、図8(a)、(b)のフレキシブル基板500′を用いることで、距離XがX1からX2に減少する間に発生する静電容量の変化量を図4のフレキシブル基板500を用いた場合より大きくすることが可能となる。したがって、図8(a)、(b)のフレキシブル基板500′を用いることで、閾値Cpに代わる閾値Cp23の設定自由度が高くなる。すなわち、閾値Cp23と静電容量C13との差をより大きくすることが可能である。
【0037】
例えば、操作部400の構成が各部品の個体差による寸法ばらつきによってX1とX2が近接した構成となった場合でも、閾値Cp23と静電容量C13との差をより大きくすることが可能となる。この結果、ユーザがキートップ410にタッチ操作のみしたにもかかわらず処理回路が押し操作がなされたと誤って判断して誤動作することを回避することができる。
【0038】
図8(c)は、さらなるフレキシブル基板500の変形例として、GNDパターンを追加したフレキシブル基板500″を示している。フレキシブル基板500″には、受け板金側の電極パターン510の外周にグランド電極としてのGNDパターン520が設けられている。GNDパターン520は、フレキシブル基板500″上の絶縁膜のうちキートップ410のボトム面から外れた位置に設けられた開口521から受け板金側に露出している。
【0039】
図10は、図8(c)に示したフレキシブル基板500″を用いた場合にキートップ410が操作端まで押し操作された状態の断面を示している。図10では、図2(a)、(b)に対して、受け板金700にキートップ側(フレキシブル基板側)に突出する突起部701を追加している。
【0040】
キートップ410が操作端まで押し操作されると、フレキシブル基板500″のGNDパターン520が開口521を通して受け板金700の突起部701に接触する。これにより、図7(b)に示したように、距離X2での静電容量C22を大きくすることが可能である。
【0041】
上述した処理回路は、操作部400に対するタッチ操作と押し操作を検出することで、それぞれの操作に対応する動作を行う。例えば、電子機器100がデジタルカメラ等の撮像装置である場合には、ユーザが操作部400に対してタッチ操作してダイヤル350を回転操作することで、処理回路は露出値の設定を変更する。また、操作部400を押し操作してダイヤル350を回転操作することで、処理回路はISO値の設定を変更する。他にもタッチ操作に対してAF(オートフォーカス)におけるAF領域の変更を割り当てて、押し操作に対してAFモードの変更を割り当てる等、様々な機能の割り当てが可能である。
【実施例0042】
図11(a)~(c)は、実施例2の操作部400′の断面を示している。図11(a)はタッチ操作前の状態を、図11(b)はキートップ410が実施例1で説明した操作端に相当する第1の操作端まで押し操作された状態をそれぞれ示している。本実施例では、実施例1の操作部400に加えて、受け板金700上に弾性部材600が配置されて両面テープ650で固定されている。弾性部材600は円環形状を有し、その中央開口からは、受け板金700の板金孔710の周囲に形成された板金凸部715が露出している。
【0043】
図11(b)に示すようにキートップ410が第1の操作端まで押し操作されると、フレキシブル基板500が弾性部材600に当接する。すなわち、キートップ410が弾性部材600に対応する位置まで押し下げられる。この状態からさらにユーザがキートップ410に押す力を加えると、図11(c)に示すように弾性部材600が圧縮されてフレキシブル基板500が板金凸部715に当接するまでキートップ410が押し下げられる。この位置が、キートップ410の第2の操作端である。
【0044】
図12は、図5と同様に、本実施例における距離Xと電極パターン510に生じる静電容量Cとの関係を示している。X0、X1、C0およびC1、Ctは図5中のそれらと同じである。すなわち、X0はユーザの指がキートップ410から十分に離れた状態での指とキートップ410間の距離、C0は距離X0での静電容量である。X1はユーザの指がキートップ410に触れたタッチ操作位置での電極パターン510と受け板金700との間の距離、C1は距離X1での静電容量である。CtはC0とC1との間に設けられたタッチ操作を検出するための静電容量の閾値である。また図12において、フレキシブル基板500が弾性部材600に当接したときの電極パターン510と受け板金700との間の距離をXRとし、このときの静電容量をCRとしている。
【0045】
本実施例では、不図示の処理回路がC1とCRの間に閾値Cp1を設けており、静電容量センサ850により検出される電極パターン510の静電容量がCp1を超えると第1の操作端までの押し操作である第1の押し操作がなされたと判断する。
【0046】
さらに図12において、フレキシブル基板500が板金凸部715に当接したときの電極パターン510と受け板金700との間の距離をX2とし、このときの静電容量をC2としている。処理回路はCRとC2との間に静電容量の閾値Cp2を設けており、静電容量センサ850により検出される電極パターン510の静電容量がCp2を超えると第2の操作端までの押し操作である第2の押し操作がなされたと判断する。
【0047】
本実施例の操作部400′では、1つのキートップ400に対するタッチ操作、第1の押し操作および第2の押し操作の3つの操作を検出することができる。例えば、撮像装置において所定時間の無操作時間があった場合にスリープモードに自動的に移行する撮像装置において、処理回路は、タッチ操作の検出でスリープモードを解除して撮像待機状態に移行し、第1の押し操作の検出でAFを行うことができる。さらに第2の押し操作の検出で記録用画像の撮像を行うことができる。
【0048】
以上の実施の形態は、以下の構成を含む。
【0049】
(構成1)
電子機器に備えられる操作装置であって、
タッチ操作が可能であるとともに、該タッチ操作がなされる位置からの押し操作により移動する操作部材と、
前記操作部材の移動に伴って移動する第1の電極と、
移動する前記第1の電極との間の距離が変化するように配置された第2の電極と、
前記タッチ操作および前記距離の変化に応じて前記第1の電極に生じる静電容量の変化を検出する検出手段とを有することを特徴とする操作装置。
(構成2)
前記第2の電極が金属板により形成され、
該金属板の前記第1の電極側の金属面が露出していることを特徴とする構成1に記載の操作装置。
(構成3)
前記電子機器の外装部材が導電性の金属により形成されており、
前記第2の電極は、前記外装部材と電気的に接続されていることを特徴とする構成1または2に記載の操作装置。
(構成4)
前記操作部材は、前記タッチ操作と前記押し操作を受ける操作面が前記押し操作により前記外装部材の外面よりも内面側に移動することを特徴とする構成3に記載の操作装置。
(構成5)
前記操作部材は、前記タッチ操作と前記押し操作を受ける操作面が凸面形状を有することを特徴とする構成1から4のいずれか1つに記載の操作装置。
(構成6)
前記第1の電極が、基板における前記第2の電極側と前記操作部材側とに設けられており、
前記第2の電極側の前記第1の電極の面積が、前記操作部材側の前記第1の電極の面積より大きいことを特徴とする構成1から5のいずれか1つに記載の操作装置。
(構成7)
前記操作部材の移動に伴って移動するグランド電極を有し、
前記操作部材の移動端において、前記グランド電極が前記第2の電極と電気的に接続されることを特徴とする構成1から6のいずれか1つに記載の操作装置。
(構成8)
前記操作部材と前記第2の電極との間に弾性部材が配置されており、
前記検出手段は、前記操作部材に対する、前記タッチ操作と、前記弾性部材に対応する位置までの第1の押し操作および前記弾性部材が圧縮される位置までの第2の押し操作による前記静電容量の変化を検出することを特徴とする構成1から7のいずれか1つに記載の操作装置。
(構成9)
構成1から8のいずれか1つに記載の操作装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【0050】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
100 電子機器
400 操作部
410 キートップ
510 電極パターン
700 受け板金
850 静電容量センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12