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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177710
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】剛性可変索状体
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/10 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
F15B15/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095994
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 将広
(72)【発明者】
【氏名】恩田 一生
(72)【発明者】
【氏名】佐野 峻輔
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 建二郎
(72)【発明者】
【氏名】田所 諭
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA18
3H081CC29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高剛性状態のときの剛性をより高めることができ、長尺化および細径化が可能で、内部空間を確保することができる剛性可変索状体を提供する。
【解決手段】索状体本体11が、細長い管状で可撓性を有し、内部に中空の圧力室26を有している。2つ以上の軸方向紐体12が、それぞれ索状体本体11の外側面に沿って、索状体本体11の伸張方向に伸びるよう配置されている。周方向紐体13が、索状体本体11の外側面に沿って、索状体本体11の周方向に巻くよう配置され、各軸方向紐体12と交差する位置で、各軸方向紐体12に1周または複数周巻き付けられている。圧力室26の圧力を上げたとき、索状体本体11がその伸長方向に対して垂直方向に膨張して周方向紐体13に押し付けられ、それにより周方向紐体13が各軸方向紐体12を締め付けて固定するよう構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い管状で可撓性を有し、内部に伸張方向に沿って設けられた中空の圧力室を有し、前記圧力室の圧力を上げたとき、伸長方向に対して垂直方向に膨張可能に設けられた索状体本体と、
2つ以上から成り、それぞれ前記索状体本体の外側面に沿って、前記索状体本体の伸張方向に伸びるよう配置された軸方向紐体と、
前記索状体本体の一方の端部から他方の端部にかけて、前記索状体本体の外側面に沿って、前記索状体本体の周方向に巻くよう配置され、各軸方向紐体と交差する位置で、各軸方向紐体に1周または複数周巻き付けられた周方向紐体とを有し、
各軸方向紐体は、それぞれ一端が前記索状体本体の一方の端部または他方の端部に固定され、前記索状体本体が撓んだとき、その前記索状体本体の形状に沿うよう、他端が前記索状体本体の伸張方向に沿って相対的にスライド可能に設けられ、
前記圧力室の圧力を上げたとき、前記索状体本体がその伸長方向に対して垂直方向に膨張して前記周方向紐体に押し付けられ、それにより前記周方向紐体が各軸方向紐体と交差する位置で、各軸方向紐体を締め付けて固定するよう構成されていることを
特徴とする剛性可変索状体。
【請求項2】
前記軸方向紐体は、3つ以上から成り、隣り合う軸方向紐体との間隔が、前記索状体本体の中心軸周りに180度より小さい間隔で配置されていることを特徴とする請求項1記載の剛性可変索状体。
【請求項3】
各軸方向紐体は、2つを1組として2組以上から成り、各組は、2つの軸方向紐体が並んで配置され、一方の軸方向紐体の一端が前記索状体本体の一方の端部に固定され、他方の軸方向紐体の一端が前記索状体本体の他方の端部に固定され、
前記周方向紐体は、各軸方向紐体の各組と交差する位置で、各組の2つの軸方向紐体を束ねるよう、その2つの軸方向紐体に1周または複数周巻き付けられていることを
特徴とする請求項1記載の剛性可変索状体。
【請求項4】
各軸方向紐体は、3組以上から成り、その各組は、隣り合う組との間隔が、前記索状体本体の中心軸周りに180度より小さい間隔で配置されていることを特徴とする請求項3記載の剛性可変索状体。
【請求項5】
前記索状体本体の一方の端部に設けられた複数の滑車を有し、
各軸方向紐体は、4組以上の偶数の組から成り、各組が前記索状体本体の中心軸周りに等角度間隔で配置され、
各滑車は、前記索状体本体の中心軸を挟んで反対側に配置された2つの各軸方向紐体の組の組合せに対応して設けられ、
各組合せの2つの組にそれぞれ含まれる2つの軸方向紐体のうち、前記索状体本体の他方の端部に固定された軸方向紐体が、一方の端部で互いに接続されて1本の紐から成っており、その紐が対応する滑車に巻き掛けられてスライド可能に構成されていることを
特徴とする請求項3または4記載の剛性可変索状体。
【請求項6】
前記周方向紐体は、前記索状体本体の一方の端部から他方の端部にかけて、前記索状体本体の外側面に螺旋状に複数回巻き付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の剛性可変索状体。
【請求項7】
前記周方向紐体は3つ以上から成り、前記索状体本体の一方の端部から他方の端部にかけて間隔をあけて配置され、それぞれ前記索状体本体の外側面に円環状に1周巻き付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の剛性可変索状体。
【請求項8】
前記周方向紐体は、各軸方向紐体と交差する位置で、前記索状体本体に巻き付いた外周部分よりも各軸方向紐体が内側になるよう、各軸方向紐体に巻き付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の剛性可変索状体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剛性可変索状体に関する。
【背景技術】
【0002】
索状体は、狭隘環境や障害物の多い環境など、アクセスが困難な生体や自然環境、人工環境での作業に適した構造を有しているため、例えば、管腔の処置治療を行う内視鏡や、配管の点検を行う工業用のビデオスコープなど、様々な工業的用途で使用されている。
【0003】
索状体は、可動範囲を拡大したり、環境への追従性を高めたり、接触時の損傷を防止したりするために、柔軟性を高めることが有効である。一方で、柔軟性を高めることにより、外力に抗する力が低下するため、先端への力の伝達性や位置精度が低下したり、自重によるたわみ量が増加したりするという問題もある。そこで、索状体の剛性を可変にすることにより、状況に応じて、柔軟な低剛性の状態および高剛性の状態の性質を生かすことができるため、これまで適用できなかった用途にも利用可能になることが期待される。
【0004】
従来、外力を与えたときに変形しやすい柔軟な状態と、接触時に外部に力を伝えることが可能な高剛性の状態とを切り替える機構を利用した索状体として、例えば、数珠を通るワイヤに張力を加えることにより接触力を高め、摩擦により剛性を高めるもの(例えば、特許文献1、非特許文献1または2参照)や、粉体の入った袋内を吸引して負圧を与えることにより、粉体同士の接触圧を高めてジャミング転移現象を起こし、その摩擦力により剛性を高めるもの(例えば、非特許文献3または4参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-202376号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Amir Degani and Howie Choset, “Highly Articulated Robotic Probe for Minimally Invasive Surgery”, IEEE International Conference on Robotics and Automation Orlando, May 2006, p.4167-4172
【非特許文献2】藤本敏彰、清水杜織、藤田政宏、高根英里、林聡輔、渡辺将広、多田隈建二郎、昆陽雅司、田所諭、「1次元柔剛切替メカニズムを活用したトーラスグリッパ機構-線状ジャミング転移機構を基軸とした構造例」、第36回日本ロボット学会学術講演会、2018年、RSJ2018A C3K1-01
【非特許文献3】Yong-Jae Kim and Shanbao Cheng, “A Novel Layer Jamming Mechanism With Tunable Stiffness Capability for Minimally Invasive Surgery”, IEEE TRANSACTIONS ON ROBOTICS, August 2013, Vol. 29, No. 4, p.1031-1042
【非特許文献4】藤田政宏、藤本敏彰、清水杜織、高根英里、小松洋音、多田隈建二郎、昆陽雅司、田所諭、「房状ジャミング膜グリッパ機構」、ロボティクス・メカトロニクス講演会2018、June 2018、2P1-J06
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、非特許文献1および2に記載のような、数珠にワイヤを通した索状体は、数珠を硬い材料で構成することにより、高強度化・高耐久化が可能であるが、長尺化すると、数珠とワイヤとの接触面積が増えるため、摩擦による力の損失が大きくなり、高剛性状態にするのが困難になるという課題があった。また、数珠を使用するため、内部空間を確保するのが困難であるという課題もあった。
【0008】
非特許文献3または4に記載のような、粉体を利用した索状体は、大変形が可能であり、対象物の形状にも良くなじむが、負圧を利用するものであり、圧力を0.1MPa程度まで低下させるのが限界であるため、高剛性化に限界があるという課題があった。また、高剛性状態での保持力を高めるためには、袋体を太くする必要があるため、細径化が困難であるという課題があった。
【0009】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、高剛性状態のときの剛性をより高めることができ、長尺化および細径化が可能で、内部空間を確保することができる剛性可変索状体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る剛性可変索状体は、細長い管状で可撓性を有し、内部に伸張方向に沿って設けられた中空の圧力室を有し、前記圧力室の圧力を上げたとき、伸長方向に対して垂直方向に膨張可能に設けられた索状体本体と、2つ以上から成り、それぞれ前記索状体本体の外側面に沿って、前記索状体本体の伸張方向に伸びるよう配置された軸方向紐体と、前記索状体本体の一方の端部から他方の端部にかけて、前記索状体本体の外側面に沿って、前記索状体本体の周方向に巻くよう配置され、各軸方向紐体と交差する位置で、各軸方向紐体に1周または複数周巻き付けられた周方向紐体とを有し、各軸方向紐体は、それぞれ一端が前記索状体本体の一方の端部または他方の端部に固定され、前記索状体本体が撓んだとき、その前記索状体本体の形状に沿うよう、他端が前記索状体本体の伸張方向に沿って相対的にスライド可能に設けられ、前記圧力室の圧力を上げたとき、前記索状体本体がその伸長方向に対して垂直方向に膨張して前記周方向紐体に押し付けられ、それにより前記周方向紐体が各軸方向紐体と交差する位置で、各軸方向紐体を締め付けて固定するよう構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る剛性可変索状体は、可撓性の索状体本体が撓んだとき、索状体本体の外側面に沿って、索状体本体の伸張方向に伸びるよう配置されて、周方向紐体が巻き付けられた各軸方向紐体が、索状体本体の伸張方向に沿って相対的にスライドし、索状体本体の形状に沿うようになっている。索状体本体が撓んだ状態または真っ直ぐな状態で、索状体本体の中空の圧力室の圧力を上げると、索状体本体がその伸長方向に対して垂直方向に膨張するため、索状体本体の外側面に沿って、索状体本体の周方向に巻くよう配置された周方向紐体に押し付けられ、周方向紐体に張力が発生する。このとき、周方向紐体が各軸方向紐体と交差する位置で各軸方向紐体に巻き付けられているため、周方向紐体の張力により各軸方向紐体が締め付けられる。これにより、周方向紐体と各軸方向紐体との間に接触圧が発生し摩擦が大きくなるため、周方向紐体に対して各軸方向紐体が固定される。これにより、索状体本体に対する各軸方向紐体のスライド運動が拘束されるため、索状体本体の形状を保持することができる。
【0012】
本発明に係る剛性可変索状体は、圧力室が索状体本体の内部に伸張方向に沿って設けられているため、圧力室の圧力を上げたとき、索状体本体の一方の端部から他方の端部にかけて、索状体本体を膨張させることができる。また、このとき、周方向紐体が索状体本体の一方の端部から他方の端部にかけて配置されているため、索状体本体の一方の端部から他方の端部にかけて各軸方向紐体の運動を拘束することができ、索状体本体全体の形状を保持することができる。
【0013】
本発明に係る剛性可変索状体で、周方向紐体は各軸方向紐体に対して何周巻き付けられていてもよい。各軸方向紐体に対する周方向紐体の巻き数が多いほど、圧力室の圧力を上げたときの、周方向紐体と各軸方向紐体との間の摩擦を大きくすることができ、索状体本体の形状を保持する力を大きくすることができる。
【0014】
本発明に係る剛性可変索状体は、圧力室に加える圧力を大きくすることにより、索状体本体全体の形状を保持した高剛性状態のときの剛性を高めることができるが、それ以外にも、各軸方向紐体に対する周方向紐体の巻き数を多くしたり、周方向紐体と各軸方向紐体とが交差する位置の数を増やしたりすることにより、高剛性状態のときの剛性をより高めることができる。また、索状体本体や周方向紐体、各軸方向紐体の構成を維持したまま、高剛性状態のときの剛性を低下させることなく、長尺化や細径化を図ることができる。また、索状体本体の内部の空間を、例えば、中心部の内部空間とその外周部の圧力室とに区分することにより、内部空間を確保することができる。
【0015】
本発明に係る剛性可変索状体は、軸方向紐体が2つのとき、所定の平面に沿った索状体本体の撓みに対して、高剛性状態にして索状体本体の形状を保持することができる。また、各軸方向紐体は、3つ以上から成るとき、隣り合う軸方向紐体との間隔が、前記索状体本体の中心軸周りに180度より小さい間隔で配置されていることが好ましく、この配置により、索状体本体の撓み方向によらず、高剛性状態のときの索状体本体の形状を保持することができる。
【0016】
本発明に係る剛性可変索状体で、各軸方向紐体は、2つを1組として2組以上から成り、各組は、2つの軸方向紐体が並んで配置され、一方の軸方向紐体の一端が前記索状体本体の一方の端部に固定され、他方の軸方向紐体の一端が前記索状体本体の他方の端部に固定され、前記周方向紐体は、各軸方向紐体の各組と交差する位置で、各組の2つの軸方向紐体を束ねるよう、その2つの軸方向紐体に1周または複数周巻き付けられていることが好ましい。この場合、索状体本体の伸張方向に沿った、周方向紐体が各軸方向紐体と交差する位置によらず、圧力室の圧力を上げたときの、周方向紐体と各軸方向紐体との間の摩擦をほぼ等しくすることができる。このため、索状体本体をほぼ均一に高剛性状態に保持することができる。
【0017】
また、この各組の2つの軸方向紐体が並んで配置されている場合、各軸方向紐体が2組のとき、所定の平面に沿った索状体本体の撓みに対して、高剛性状態にして索状体本体の形状を保持することができる。また、各軸方向紐体が、3組以上から成るとき、その各組は、隣り合う組との間隔が、前記索状体本体の中心軸周りに180度より小さい間隔で配置されていることが好ましく、この配置により、索状体本体の撓み方向によらず、高剛性状態のときの索状体本体の形状を保持することができる。
【0018】
また、この各組の2つの軸方向紐体が並んで配置されている場合、前記索状体本体の一方の端部に設けられた複数の滑車を有し、各軸方向紐体は、4組以上の偶数の組から成り、各組が前記索状体本体の中心軸周りに等角度間隔で配置され、各滑車は、前記索状体本体の中心軸を挟んで反対側に配置された2つの各軸方向紐体の組の組合せに対応して設けられ、各組合せの2つの組にそれぞれ含まれる2つの軸方向紐体のうち、前記索状体本体の他方の端部に固定された軸方向紐体が、一方の端部で互いに接続されて1本の紐から成っており、その紐が対応する滑車に巻き掛けられてスライド可能に構成されていてもよい。この場合、滑車に巻き掛けられた紐が、その滑車を挟んで索状体本体の反対の外側面に沿って配置されているため、索状体本体の撓みに合わせて、滑車を挟んだ一方が圧縮方向に他方が伸展方向に、滑車を介してスライドすることができる。また、滑車に巻き掛けられた紐の長さにより、索状体本体の伸張方向への伸びを抑えることができる。
【0019】
本発明に係る剛性可変索状体で、前記周方向紐体は、前記索状体本体の一方の端部から他方の端部にかけて、前記索状体本体の外側面に螺旋状に複数回巻き付けられていてもよい。あるいは、前記周方向紐体は3つ以上から成り、前記索状体本体の一方の端部から他方の端部にかけて間隔をあけて配置され、それぞれ前記索状体本体の外側面に円環状に1周巻き付けられていてもよい。これらのどちらの場合であっても、圧力室の圧力を上げることにより、索状体本体全体の形状を保持することができる。
【0020】
本発明に係る剛性可変索状体で、前記周方向紐体は、各軸方向紐体と交差する位置で、前記索状体本体に巻き付いた外周部分よりも各軸方向紐体が内側になるよう、各軸方向紐体に巻き付けられていることが好ましい。この場合、圧力室の圧力を上げたとき、周方向紐体の張力により、各軸方向紐体を締め付けるだけでなく、各軸方向紐体を索状体本体の外側面に押し付けることもできる。これにより、索状体本体の形状を保持する力を大きくすることができると共に、周方向紐体と各軸方向紐体とが交差する位置がずれないよう、安定させることもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高剛性状態のときの剛性をより高めることができ、長尺化および細径化が可能で、内部空間を確保することができる剛性可変索状体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態の剛性可変索状体を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態の剛性可変索状体を示す(a)平面図、(b)正面図、(c)A-A線断面図、(d)B-B線断面図である。
図3】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、(a)1つの周方向紐体が索状体本体の外側面に螺旋状に巻き付けられ、周方向紐体が軸方向紐体の各組に1周巻き付けられた状態を示す斜視図、(b)1つの周方向紐体が索状体本体の外側面に螺旋状に巻き付けられ、周方向紐体が軸方向紐体の各組に2周巻き付けられた状態を示す斜視図、(c)複数の周方向紐体が索状体本体の外側面に円環状に1周巻き付けられ、軸方向紐体の各組に1周巻き付けられた状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、(a)周方向紐体が索状体本体に巻き付いた外周部分よりも各軸方向紐体が内側になるよう、各軸方向紐体に巻き付けられた状態で、圧力室の圧力を上げていないときの状態を示す断面図、(b)周方向紐体が索状体本体に巻き付いた外周部分よりも各軸方向紐体が内側になるよう、各軸方向紐体に巻き付けられた状態で、圧力室の圧力を上げたときの状態を示す断面図、(c)周方向紐体が索状体本体に巻き付いた外周部分よりも各軸方向紐体が外側になるよう、各軸方向紐体に巻き付けられた状態で、圧力室の圧力を上げていないときの状態を示す断面図である。
図5】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、圧力室の圧力を上げていないときの、(a)真っ直ぐな状態、(b)撓んだ状態を示す縦断面図である。
図6】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、S字形状の形状に撓んだ状態を示す側面図である。
図7】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、軸方向紐体が12組から成る変形例を示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、(a)索状体本体の中心軸を挟んで反対側に配置された組の2本の軸方向紐体をそれぞれ接続した変形例を示す斜視図、(b)その接続された軸方向紐体をそれぞれ滑車に巻き付けた変形例を示す斜視図である。
図9】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、膨張チューブの内側を全て圧力室とし、膨張チューブの内側にコイルスプリングが配置された変形例を示す縦断面図である。
図10】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、外側チューブと共に、各軸方向紐体および周方向紐体を覆う編組チューブを有する変形例を示す斜視図である。
図11】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、図10に示す編組チューブの代わりに、保護用の布を被せ、周方向紐体をその布に縫い付けた変形例を示す斜視図である。
図12】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、索状体本体を所望の方向に能動的に曲げるための変形例を示す側面図である。
図13】本発明の実施の形態の剛性可変索状体の、複数を直列に連結した変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面等に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図13は、本発明の実施の形態の剛性可変索状体を示している。
図1および図2に示すように、剛性可変索状体10は、索状体本体11と軸方向紐体12と周方向紐体13とを有している。
【0024】
索状体本体11は、膨張チューブ21と内側チューブ22と外側チューブ23と1対のキャップ24と接続部25とを有している。膨張チューブ21は、細長いシリコンゴム製のチューブから成り、可撓性を有している。内側チューブ22は、細長い樹脂製のコルゲートチューブから成り、可撓性を有している。内側チューブ22は、膨張チューブ21の内径よりも外径が小さく、膨張チューブ21よりやや短い長さを有している。内側チューブ22は、膨張チューブ21の内側面との間に間隔をあけて、膨張チューブ21の内側に配置されている。索状体本体11は、内側チューブ22と膨張チューブ21との間の中空の空間が、圧力室26を成している。
【0025】
外側チューブ23は、膨張チューブ21の外径よりも内径がやや大きい細長い樹脂製のコルゲートチューブを、その中心軸方向に沿って、その中心軸周りにほぼ均等に4分割して形成されている。外側チューブ23は、4分割された各部分が、可撓性を有し、膨張チューブ21と同じ長さを有している。外側チューブ23は、4分割された各部分が、膨張チューブ21の外側面に沿って、周方向に互いに隙間をあけて配置されている。
【0026】
1対のキャップ24は、内側チューブ22から外側チューブ23までの両端をそれぞれ覆うよう設けられ、内側チューブ22の内部に連通する連通口24aを有している。各キャップ24は、接着剤などを用いて、内側チューブ22と膨張チューブ21との間の開口を気密的に塞ぎ、圧力室26を密閉するよう取り付けられている。また、各キャップ24のうちの少なくとも一方のキャップ24は、圧力室26に連通する供給口24bを有している。
【0027】
接続部25は、一方のキャップ24の供給口24bに取り付けられ、供給口24bに連通する接続口25aを有している。接続部25は、図12に示すように、ポンプ(図示せず)のホース51を接続可能に設けられている。接続部25は、そのポンプのホース51を接続したとき、接続口25aから供給口24bを介して、圧力室26の内部に対して流体を供給可能かつ排出可能に構成されている。なお、圧力室26の内部に供給する流体は、気体であっても液体であってもよい。
【0028】
索状体本体11は、圧力室26の内部に流体を供給して圧力室26の圧力を上げることにより、伸長方向に対して垂直方向に膨張可能になっている。また、索状体本体11は、膨張した状態のとき、圧力室26の内部の流体を排出して圧力室26の圧力を下げることにより、膨張した状態から元の状態に収縮するようになっている。また、索状体本体11は、膨張していないとき、伸長方向に対して垂直方向に撓んで湾曲するよう構成されている。
【0029】
軸方向紐体12は、8本のステンレス製のワイヤから成り、2本を1組として4組から成っている。各軸方向紐体12は、それぞれ索状体本体11の外側チューブ23の外側面に沿って、索状体本体11の伸張方向に伸びるよう配置され、各組の2本の軸方向紐体12が並んで配置されている。各軸方向紐体12は、各組がそれぞれ、外側チューブ23の4分割された各部分の隙間に配置され、隣り合う組との間隔が、索状体本体11の中心軸周りに約90度で配置されている。軸方向紐体12の各組の一方の軸方向紐体12は、その一端が一方のキャップ24に固定され、他端が他方のキャップ24を貫通するよう設けられている。また、軸方向紐体12の各組の他方の軸方向紐体12は、その一端が他方のキャップ24に固定され、他端が一方のキャップ24を貫通するよう設けられている。
【0030】
周方向紐体13は、編組のパラ系アラミド繊維から成り、索状体本体11の一方の端部から他方の端部にかけて、外側チューブ23の外側面に沿って、索状体本体11の周方向に巻くよう配置されている。周方向紐体13は、外側チューブ23の溝に配置され、その溝に沿って、外側チューブ23の外側面に螺旋状に複数回巻き付けられている。図3(a)に示すように、周方向紐体13は、軸方向紐体12の各組と交差する位置で、各組の2つの軸方向紐体12を束ねるよう、その2つの軸方向紐体12に1周巻き付けられている。また、図4(a)および(b)に示すように、周方向紐体13は、軸方向紐体12の各組と交差する位置で、索状体本体11に巻き付いた外周部分よりも各軸方向紐体12が内側になるよう、各軸方向紐体12に巻き付けられている。
【0031】
図4(a)および図5に示すように、剛性可変索状体10は、圧力室26の圧力を上げていない状態のとき、自由に撓み、そのときの索状体本体11の形状に沿うよう、各組の2本の軸方向紐体12の他端がそれぞれ索状体本体11の伸張方向に沿って相対的にスライド可能に構成されている。例えば、索状体本体11の曲げの内側の各軸方向紐体12は、圧縮方向にスライドし、曲げの外側の各軸方向紐体12は、伸張方向にスライドするようになっている。なお、索状体本体11の曲げは、一様な曲率に限らず、局所的に湾曲した形状や、図6に示すようなS字形状、三次元的な曲線の形状も可能である。
【0032】
図4(b)に示すように、剛性可変索状体10は、圧力室26の圧力を上げたとき、索状体本体11がその伸長方向に対して垂直方向に膨張し、外側チューブ23を介して周方向紐体13に押し付けられ、周方向紐体13に張力が発生する。これにより、周方向紐体13が各軸方向紐体12と交差する位置で、各軸方向紐体12を締め付けて固定するよう構成されている。これにより、各軸方向紐体12のスライド運動が拘束されて、索状体本体11の形状を保持可能になっている。
【0033】
なお、軸方向紐体12は、高い強度および座屈しない程度の剛性を有し、周方向紐体13に対して適度に滑りやすいものが好ましい。軸方向紐体12は、例えば、金属製のワイヤや、高弾性な樹脂製のモノフィラメントなどが好ましい。また、周方向紐体13は、高い強度を有し、曲げられる曲率が大きく、締め付けた軸方向紐体12を容易に開放できるよう、バネ性を有するものが好ましい。周方向紐体13は、例えば、編組のパラ系アラミド繊維や超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維などが好ましい。
【0034】
次に、作用について説明する。
剛性可変索状体10は、圧力室26の圧力を上げていない状態のとき、索状体本体11を自由に撓ませて湾曲させることができる。また、剛性可変索状体10は、索状体本体11が撓んだ状態または真っ直ぐな状態で、索状体本体11の中空の圧力室26の圧力を上げると、索状体本体11がその伸長方向に対して垂直方向に膨張し、周方向紐体13が各軸方向紐体12を締め付ける。これにより、周方向紐体13と各軸方向紐体12との間に接触圧が発生し摩擦が大きくなるため、周方向紐体13に対して各軸方向紐体12が固定され、索状体本体11の形状を保持することができる。また、この状態で圧力室26の圧力を下げることにより、膨張した索状体本体11が収縮するため、周方向紐体13が各軸方向紐体12を解放し、索状体本体11を再び自由に撓む状態に戻すことができる。
【0035】
剛性可変索状体10は、圧力室26が索状体本体11の内部に伸張方向に沿って設けられているため、圧力室26の圧力を上げたとき、索状体本体11の一方の端部から他方の端部にかけて、索状体本体11を膨張させることができる。また、このとき、周方向紐体13が索状体本体11の一方の端部から他方の端部にかけて配置されているため、索状体本体11の一方の端部から他方の端部にかけて各軸方向紐体12の運動を拘束することができ、索状体本体11全体の形状を保持することができる。
【0036】
また、剛性可変索状体10は、軸方向紐体12の各組が、索状体本体11の中心軸周りに約90度間隔で配置されているため、索状体本体11の撓み方向によらず、高剛性状態のときの索状体本体11の形状を保持することができる。
【0037】
剛性可変索状体10は、軸方向紐体12が2本を1組とし、各組の2本の軸方向紐体12が、それぞれ反対側のキャップ24に固定されているため、索状体本体11の伸張方向での周方向紐体13が各軸方向紐体12と交差する位置によらず、圧力室26の圧力を上げたときの、周方向紐体13と各軸方向紐体12との間の摩擦をほぼ等しくすることができる。このため、索状体本体11をほぼ均一に高剛性状態に保持することができる。
【0038】
図4(a)および(b)に示すように、剛性可変索状体10は、周方向紐体13が、索状体本体11に巻き付いた外周部分よりも各軸方向紐体12が内側になるよう、各軸方向紐体12に巻き付けられているため、圧力室26の圧力を上げたとき、周方向紐体13の張力により、各軸方向紐体12を締め付けるだけでなく、各軸方向紐体12を索状体本体11の外側面に押し付けることもできる。これにより、索状体本体11の形状を保持する力を大きくすることができると共に、周方向紐体13と各軸方向紐体12とが交差する位置がずれないよう、安定させることもできる。
【0039】
剛性可変索状体10は、内側チューブ22および外側チューブ23により、圧力室26の圧力を上げたり下げたりしたときに、膨張チューブ21が伸張方向に沿って伸縮するのを防止することができる。また、剛性可変索状体10は、内側チューブ22により、膨張チューブ21が撓んだときに、座屈するのを防止することができる。
【0040】
図2に示すように、剛性可変索状体10は、内側チューブ22の内部に空間を確保することができる。このため、その内部空間を収納空間として利用したり、その内部空間と各キャップ24の連通口24aとを利用して、図12に示すように、カメラ等の各種装置やケーブル52などを通したりすることができる。これにより、剛性可変索状体10は、例えば、内視鏡やビデオスコープなどの狭隘部を探索する装置として使用することができる。
【0041】
剛性可変索状体10は、圧力室26に加える圧力を大きくすることにより、索状体本体11全体の形状を保持した高剛性状態のときの剛性を高めることができるが、それ以外にも、各軸方向紐体12に対する周方向紐体13の巻き数を多くしたり、周方向紐体13と各軸方向紐体12とが交差する位置の数を増やしたりすることにより、高剛性状態のときの剛性をより高めることができる。その他にも、索状体本体11の直径を大きくしたり、周方向紐体13と各軸方向紐体12との間の摩擦係数を高めたり、各組の軸方向紐体12同士の摩擦係数を高めたり、軸方向紐体12の本数を増やしたり、周方向紐体13の曲げ剛性を小さくしたりすることにより、高剛性状態のときの剛性を高めることができる。これらのうちの1つまたは2つ以上を組み合わせて調整することにより、索状体本体11や周方向紐体13、各軸方向紐体12の構成を維持したまま、高剛性状態のときの剛性を低下させることなく、長尺化や細径化を図ることができる。また、圧力室26の圧力を上げない状態で索状体本体11を撓ませるときの曲げ抵抗を小さくすることもできる。
【0042】
なお、剛性可変索状体10で、各軸方向紐体12は、周方向紐体13よりも索状体本体11の伸張方向との成す角が小さくなるよう、索状体本体11に螺旋状に巻き付けられていてもよい。この場合、索状体本体11をねじった状態で剛性を高め、その形状を保持することができる。
【0043】
また、剛性可変索状体10は、軸方向紐体12の組が2つから成っていてもよい。この場合、所定の平面に沿った索状体本体11の撓みに対して、高剛性状態にして索状体本体11の形状を保持することができる。また、図4に示すように、軸方向紐体12の組が3つから成っていてもよく、図7に示すように、5つ以上から成っていてもよい。なお、図7に示す一例では、軸方向紐体12が12組から成っている。また、軸方向紐体12の各組が、3本以上の軸方向紐体12から成っていてもよい。軸方向紐体12の組が3つ以上から成る場合、軸方向紐体12の各組を、隣り合う組との間隔が、索状体本体11の中心軸周りに180度より小さい間隔になるよう配置することにより、索状体本体11の撓み方向によらず、高剛性状態のときの索状体本体11の形状を保持することができる。
【0044】
また、剛性可変索状体10は、軸方向紐体12が組ではなく、1本ずつ独立して配置されており、各軸方向紐体12の一端がいずれかのキャップ24に固定されていてもよい。この場合でも、軸方向紐体12が2つのときには、所定の平面に沿った索状体本体11の撓みに対して、高剛性状態にして索状体本体11の形状を保持することができる。また、軸方向紐体12が3本以上のときには、各軸方向紐体12を、索状体本体11の中心軸周りに180度より小さい間隔で配置することにより、索状体本体11の撓み方向によらず、高剛性状態のときの索状体本体11の形状を保持することができる。
【0045】
また、剛性可変索状体10で、周方向紐体13は、図3(b)に示すように、各軸方向紐体12に対して2周巻き付けられていてもよく、3周以上巻き付けられていてもよい。各軸方向紐体12に対する周方向紐体13の巻き数が多いほど、圧力室26の圧力を上げたときの、周方向紐体13と各軸方向紐体12との間の摩擦を大きくすることができ、索状体本体11の形状を保持する力を大きくすることができる。ただし、周方向紐体13の巻き数が多いほど、圧力室26の圧力を上げない状態での、索状体本体11を撓ませるときの曲げ抵抗が大きくなる可能性があるため、多くとも2周または3周程度が好ましいと考えられる。
【0046】
また、剛性可変索状体10は、1本の周方向紐体13が、索状体本体11に螺旋状に巻き付けられているものに限らず、複数本の周方向紐体13が、それぞれ索状体本体11に同じ向きまたは逆向きに螺旋状に巻き付けられていてもよい。また、図3(c)に示すように、3つ以上の周方向紐体13が、索状体本体11の一方の端部から他方の端部にかけて間隔をあけて配置され、それぞれ索状体本体11の外側面に円環状に1周巻き付けられていてもよい。これらの場合であっても、圧力室26の圧力を上げることにより、索状体本体11全体の形状を保持することができる。
【0047】
また、剛性可変索状体10で、周方向紐体13は、図4(c)に示すように、軸方向紐体12の各組と交差する位置で、索状体本体11に巻き付いた外周部分よりも各軸方向紐体12が外側になるよう、各軸方向紐体12に巻き付けられていてもよい。この場合でも、圧力室26の圧力を上げたとき、周方向紐体13の張力により、各軸方向紐体12を締め付けることができ、高剛性状態のときの索状体本体11の形状を保持することができる。
【0048】
また、剛性可変索状体10は、図6および図8(a)に示すように、各軸方向紐体12は、4組以上の偶数の組から成り、各組が索状体本体11の中心軸周りに等角度間隔で配置されており、索状体本体11の中心軸を挟んで反対側に配置された2つの各軸方向紐体12の組の組合せについて、各組合せの2つの組にそれぞれ含まれる2つの軸方向紐体12のうち、索状体本体11の他方の端部に固定された軸方向紐体12が、一方の端部で互いに接続されて1本の紐から成り、索状体本体11の一方の端部に固定された軸方向紐体12が、他方の端部で互いに接続されて1本の紐から成っていてもよい。
【0049】
さらに、図8(b)に示すように、各組合せのそれぞれ2本の軸方向紐体12が接続された位置に対応して、索状体本体11の両端部に設けられた複数の滑車41を有し、接続された2本の軸方向紐体12が、対応する滑車41に巻き掛けられてスライド可能に構成されていてもよい。この場合、滑車41に巻き掛けられた紐が、その滑車41を挟んで索状体本体11の反対の外側面に沿って配置されているため、索状体本体11の撓みに合わせて、滑車41を挟んだ一方が圧縮方向に、他方が伸展方向に、滑車41を介してスライドすることができる。また、滑車41に巻き掛けられた紐の長さにより、索状体本体11の伸張方向への伸びを抑えることができる。
【0050】
また、図4図5および図9に示すように、剛性可変索状体10は、内側チューブ22が無く、膨張チューブ21の内側を全て圧力室26とし、各キャップ24が、膨張チューブ21の両端を気密的に塞いでいてもよい。この場合でも、圧力室26の圧力を上げて高剛性状態にし、索状体本体11の形状を保持することができる。また、図9に示すように、索状体本体11の柔軟性や弾力性を高めるため、膨張チューブ21の内側にコイルスプリング42を配置してもよい。
【0051】
また、図10に示すように、全体を保護するために、外側チューブ23と共に、各軸方向紐体12および周方向紐体13を覆うよう、外側チューブ23の外側面に被せられた編組チューブ43を有していてもよい。編組チューブ43は、柔軟性があれば、いかなるものから成っていてもよく、例えばポリエステル製である。また、図11に示すように、編組チューブ43の代わりに、保護用の布44などを被せてもよい。また、このとき、周方向紐体13を編組チューブ43や布44などに縫い付けてもよい。また、外側チューブ23を用いず、膨張チューブ21の外側に編組チューブ43や布44などを被せてもよい。この場合、コルゲートチューブから成る外側チューブ23を用いるよりも細径化することができる。
【0052】
また、図12に示すように、剛性可変索状体10は、各軸方向紐体12の各キャップ24に固定されていない側の端部を、索状体本体11の一方の端部側または他方の端部側に引いたり解放したりする操作手段45を有していてもよい。この場合、操作手段45により、いずれかの軸方向紐体12を引くことにより、索状体本体11を所望の方向に能動的に曲げることができ、その曲げた形状で剛性を高めることにより、その形状を保持することができる。このため、例えば、内視鏡やビデオスコープなどの狭隘部を探索する装置として使用したときに、環境に沿って変形させたり、移動させたりすることができる。また、グリッパや、ロボットの関節、ゆび等に使用することもできる。
【0053】
また、剛性可変索状体10は、湾曲変形するアクチュエータなどを、内側チューブ22の内部や各キャップ24の連通口24aに挿入し、そのアクチュエータの外側を覆っていてもよい。この場合にも、アクチュエータを湾曲変形させた状態で剛性を高めることにより、その形状を保持することができる。
【0054】
また、剛性可変索状体10は、図13に示すように、複数から成り、互いに直列に連結されていてもよい。この場合、各剛性可変索状体10の各キャップ24の連通口24aが連通するよう、連結されていることが好ましい。各剛性可変索状体10をそれぞれ独立して高剛性状態にできるよう、手元側で、各剛性可変索状体10の圧力室26の圧力をそれぞれ調整可能に構成されていてもよい。また、全体をまとめて高剛性状態にできるよう、全ての剛性可変索状体10の圧力室26が連通するよう構成されていてもよい。この場合、さらなる長尺化が可能であり、各剛性可変索状体10の連通孔24aにケーブルを通して、先端部にカメラなどのセンサ53や、首振り機構、グリッパなどを取り付け、狭隘環境や障害物の多い環境での探索などに好適に使用することができる。
【実施例0055】
図1に示す剛性可変索状体10の試作機を製造した。試作機では、膨張チューブ21として、外径が27 mm、厚さが1 mm、長さが200 mmのシリコンゴムチューブを用いた。内側チューブ22および外側チューブ23として、厚さが2 mm、波形の周期が4.2 mm、長さが200 mmのコルゲートチューブを用いた。周方向紐体13として、直径が0.5 mmの編組ケブラー(登録商標)糸を用い、軸方向紐体12として、直径1.6 mmのSUS304ワイヤを用いた。試作機は、直径が32 mm、質量が49.1 gである。また、内側チューブ22から外側チューブ23までの肉厚が、約5 mmである。
【0056】
製造した試作機を用いて、形状保持テストを行った。まず、圧力室26に対して無加圧のとき、試作機を、曲率半径100 mm程度で湾曲した形状や、S字形にすることができた。また、圧力室26に30 kPa程度の低い圧力を加えたとき、それらの形状が保持されることが確認された。また、圧力室26に加える圧力をさらに高めることにより、保持力や剛性が高まることが確認された。
【符号の説明】
【0057】
10 剛性可変索状体
11 索状体本体
21 膨張チューブ
22 内側チューブ
23 外側チューブ
24 キャップ
24a 連通口
24b 供給口
25 接続部
25a 接続口
26 圧力室
12 軸方向紐体
13 周方向紐体

41 滑車
42 コイルスプリング
43 編組チューブ
44 布
45 操作手段

51 ホース
52 ケーブル
53 センサ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13