IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特開-電池駆動式コンロ 図1
  • 特開-電池駆動式コンロ 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177711
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】電池駆動式コンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
F24C3/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095996
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 佳則
(72)【発明者】
【氏名】須本 彩月
(57)【要約】
【課題】 電池の電圧の低下に伴い、2段階の報知を適切に行うことができる電池駆動式コンロを提供する。
【解決手段】 電池駆動式コンロは、電池を電源とする複数の電気負荷を備えた電池駆動式コンロであって、電池の電圧を検知する検知器と、所定の報知を行う報知器と、制御器を備え、制御器は、電池の電圧が第1基準電圧以下かつ第1基準電圧より低い第2基準電圧より高い電圧である場合に、報知器に第1報知を実行させ、電池の電圧が第2基準電圧以下である場合に、報知器に第1報知とは異なる第2報知を実行させ、第2基準電圧は、複数の電気負荷のそれぞれに対して当該電気負荷に応じた値に設定される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源とする複数の電気負荷を備えた電池駆動式コンロであって、
前記電池の電圧を検知する検知器と、
所定の報知を行う報知器と、
制御器を備え、
前記制御器は、前記電池の電圧が第1基準電圧以下かつ前記第1基準電圧より低い第2基準電圧より高い電圧である場合に、前記報知器に第1報知を実行させ、前記電池の電圧が前記第2基準電圧以下である場合に、前記報知器に前記第1報知とは異なる第2報知を実行させ、
前記第2基準電圧は、前記複数の電気負荷のそれぞれに対して当該電気負荷に応じた値に設定される、電池駆動式コンロ。
【請求項2】
前記第1基準電圧は、前記複数の電気負荷のそれぞれに対して当該電気負荷に応じた値に設定される、請求項1に記載の電池駆動式コンロ。
【請求項3】
前記第2基準電圧は、前記複数の電気負荷のそれぞれに応じて予め定められる最低動作保証電圧以上の電圧に設定される、請求項1または2に記載の電池駆動式コンロ。
【請求項4】
前記制御器は、前記電池の電圧が前記第2基準電圧以下である場合に、コンロの運転を停止するように制御する、請求項1または2に記載の電池駆動式コンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池駆動式コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
電池駆動式コンロは、例えば、イグナイタや電磁弁等の複数の電気負荷の電源が電池である。電池の電圧が低下すると電気負荷が動作できないため、電池の電圧が所定の電圧以下である場合に電池の電圧が低下したことを報知する構成が知られている(例えば、下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5809480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の構成では、電池の電圧が低下したことを報知するだけであるため、コンロを継続使用するか否かはユーザに委ねられる。電池の電圧が低い状態のままコンロの使用を続けると、コンロの運転中に電気負荷が使用できなくなる恐れがあるため、好ましくない。電池の電圧が所定の電圧以下となった場合にコンロの運転をいきなり停止させると、ユーザの利便性を損なう。
【0005】
このような課題に対して、基準電圧を2段階に設定し、電池の電圧が第1基準電圧以下になった場合に前報知を行い、第1基準電圧より低い第2基準電圧以下になった場合に本報知を行うとともに、コンロの運転を停止させることが考えられる。しかし、電気負荷の動作状態によっては、前報知を行うことなく本報知が行われる恐れがあった。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するべくなされたものであり、電池の電圧の低下に伴い、2段階の報知を適切に行うことができる電池駆動式コンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電池駆動式コンロは、電池を電源とする複数の電気負荷を備えた電池駆動式コンロであって、前記電池の電圧を検知する検知器と、所定の報知を行う報知器と、制御器を備え、前記制御器は、前記電池の電圧が第1基準電圧以下かつ前記第1基準電圧より低い第2基準電圧より高い電圧である場合に、前記報知器に第1報知を実行させ、前記電池の電圧が前記第2基準電圧以下である場合に、前記報知器に前記第1報知とは異なる第2報知を実行させ、前記第2基準電圧は、前記複数の電気負荷のそれぞれに対して当該電気負荷に応じた値に設定される。
【0008】
上記構成によれば、第2報知を実行するための基準となる電池の電圧(すなわち第2基準電圧)が電気負荷ごとに異なった値に設定される。電気負荷の動作時には、電池内の内部インピーダンスにより電気負荷に応じた電圧降下が生じる。そのため、電池の電圧は、動作中の電気負荷の大きさによって変化し得る。したがって、第2基準値を電気負荷によらない固定値に設定していた場合では、動作中の電気負荷が大きい状態では、電圧降下を考慮しない電池の電圧が第1報知を実行するべき値であっても、電圧降下により、第2基準値以下になり、第1報知を行うことなく第2報知を行ってしまう恐れがある。これに対して、上記構成によれば、第2基準電圧が電気負荷に応じた値に設定されるため、電池の電圧において電気負荷の動作により電圧降下が生じても、電圧降下の大きさに依存して電池の電圧が一気に第2基準電圧以下となることを防止することができる。したがって、第1報知を行うことなく第2報知を行うことを防止することができ、電池の電圧の低下に伴う2段階の報知を適切に行うことができる。
【0009】
前記第1基準電圧は、前記複数の電気負荷のそれぞれに対して当該電気負荷に応じた値に設定されてもよい。この場合、第1基準電圧が電気負荷に応じた値に設定されるため、第1報知を行う基準となる電池の電圧が電気負荷による電圧降下を含んでいても電気負荷の大きさによらない第1報知の実行を実現することができる。
【0010】
前記第2基準電圧は、前記複数の電気負荷のそれぞれに応じて予め定められる最低動作保証電圧以上の電圧に設定されてもよい。これにより、第2基準電圧を電気負荷が動作可能な電圧とすることができ、第2報知時に既に電気負荷が作動しない状態となることを防止することができる。
【0011】
前記制御器は、前記電池の電圧が前記第2基準電圧以下である場合に、コンロの運転を停止するように制御してもよい。第1報知後の第2報知の際にコンロの運転を停止することにより、安全性を確保しつつユーザの利便性が低減することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、電池の電圧の低下に伴い、2段階の報知を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る電池駆動式コンロの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、図1に示す電池駆動式コンロの電池電圧の遷移例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一態様における実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電池駆動式コンロの概略構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態における電池駆動式コンロ1(以下、単にコンロ1と略する場合がある)は、少なくとも1つ(図1においては2つ)のバーナ2a,2b、複数(図1においては3つ)の電気負荷3A,3B,3C、電池4および制御基板5を備えている。各バーナ2a,2bには、図示しないガス供給源からガスが供給されるガス供給路10a,10bが接続されている。ガス供給路10a,10bには、対応するガス供給路10a,10bにおけるガスの供給を遮断することができる安全弁11a,11bが介装されている。
【0016】
複数の電気負荷3A,3B,3Cは、コンロ1の運転に必要な電気負荷である。例えば、複数の電気負荷は、バーナ2a,2bを点火するためのイグナイタ、バーナ2a,2bへのガス流量を調整する電磁弁、所定の音声出力を行うスピーカ等を含む。タイマ表示等の表示器を有するコンロ1においては、当該表示器も電気負荷に含まれる。複数の電気負荷3A,3B,3Cおよび制御基板5は、電池4により駆動される。
【0017】
制御基板5は、制御器6および周辺回路を含む。周辺回路は、制御器6を駆動するための駆動電圧を供給する定電圧回路7および電気負荷3A,3B,3Cを駆動するための駆動回路9を含む。制御器6は、CPU、ROM、およびRAM等で構成されたマイクロコントローラ、集積回路および制御回路と、制御プログラムまたはデータを記憶するメモリとを備え得る。制御器6は、メモリに記憶された制御プログラムに従って電気負荷3A,3B,3C等を制御する。
【0018】
制御器6には、各バーナ2a,2bの運転操作を行うための少なくとも1つ(図1においては2つ)の器具栓スイッチ8a,8bが接続される。器具栓スイッチ8a,8bは、バーナ2a,2bの数に応じて設けられる。器具栓スイッチ8a,8bは、例えばプッシュスイッチとして構成される。
【0019】
ユーザが器具栓スイッチ8a,8bをオン操作することにより、操作された器具栓スイッチ8a,8bに対応する制御基板5の一部に電流が供給され、制御器6の制御により対応する電気負荷3A,3B,3C等が動作可能となる。また、器具栓スイッチ8a,8bがオン状態となることにより、対応する安全弁11a,11bが開き、対応するバーナ2a,2bにガスが供給される。さらに、器具栓スイッチ8a,8bがオン状態となることにより電気負荷3Aであるイグナイタが動作し、対応するバーナ2a,2bが着火する。
【0020】
上記のように、本実施の形態におけるコンロ1において、電池4は、複数の電気負荷3A,3B,3C等の電源である。したがって、電池4が消耗すると電池4の電圧が低下し、電気負荷3A,3B,3C等を動作させることができなくなる恐れがある。そのため、電池4の電圧低下を検知してユーザに報知する必要がある。
【0021】
そのため、コンロ1は、電池4の電圧を検知する検知器12および所定の報知を行う報知器13を備えている。制御器6は、検知器12が検知した電池4の電圧のデータを取得する。制御器6は、電池4の電圧が第1基準電圧以下かつ第1基準電圧より低い第2基準電圧より高い電圧である場合に、報知器13に第1報知を実行させる。また、制御器6は、電池4の電圧が第2基準電圧以下である場合に、報知器13に第2報知を実行させる。
【0022】
報知器13は、例えば、ランプ、ブザー、液晶画面等の表示画面を有する表示器等を含み得る。報知器13は、第1報知と第2報知とで報知態様を異ならせてもよいし、第1報知と第2報知とで異なる報知器による報知が実行されてもよい。例えば、報知器13がランプである場合、第1報知において点滅表示とし、第2報知において点灯表示としてもよい。また、報知器13がランプおよびブザーを含む場合、第1報知においてランプを点灯表示させ、第2報知においてブザーを鳴らすようにしてもよい。
【0023】
また、制御器6は、電池4の電圧が第2基準電圧以下である場合に、コンロ1の運転を停止するように制御する。より具体的には、制御器6は、電池4の電圧が第2基準電圧以下である場合に、安全弁11a,11bを閉じてバーナ2a,2bへのガスの供給を遮断し、バーナ2a,2bにおける燃焼を停止させる。このため、第1報知は、今後、第2報知に伴ってコンロ1の運転が停止される可能性があることを前もって報知するための前警報に相当する。
【0024】
図2は、図1に示す電池駆動式コンロの電池電圧の遷移例を示すタイムチャートである。図2の例では、時刻t1に一方のバーナ2aに着火するために器具栓スイッチ8a(図2において「a-SW」と表される)がオン操作され、バーナ2aの動作中である時刻t8に他方のバーナ2bに着火するために器具栓スイッチ8b(図2において「b-SW」と表される)がオン操作された例を示す。
【0025】
前述のように、コンロ1の運転停止時状態から時刻t1において器具栓スイッチ8aがオン操作されると、器具栓スイッチ8aに対応する制御基板5の一部回路に電流が供給され、制御器6の制御により対応する電気負荷3A,3B,3C等が動作可能となる。制御基板5の一部回路に電流が流れると、電池4の内部インピーダンスにより、当該一部回路に接続されている電気負荷に応じた電圧降下が生じる。この結果、電池4の電圧には、器具栓スイッチ8aの負荷に応じた電圧降下DaSが生じる。
【0026】
また、器具栓スイッチ8aがオン状態となることにより、対応する安全弁11aが開き、対応するバーナ2aにガスが供給される。さらに、器具栓スイッチ8aのオン操作に伴い、時刻t2から時刻t3までの期間において電気負荷3Aであるイグナイタ(図2において「負荷A」と表される)が動作し、対応するバーナ2aが着火する。電気負荷3Aの動作中は、器具栓スイッチ8aに基づく電圧降下DaSに加えて電気負荷3Aに応じた電圧降下DAが生じる。
【0027】
制御器6は、バーナ2aの動作中(時刻t3から器具栓スイッチ8aがオフ操作されるまでの期間)に、バーナ2aの動作状況に応じて、電気負荷3B,3Cを動作させる。例えば、図2の例において、制御器6は、時刻t4から時刻t5までの期間に電気負荷3Bである電磁弁(図2において「負荷B」と表される)を動作させる。電気負荷3Bの動作中は、器具栓スイッチ8aに基づく電圧降下DaSに加えて電気負荷3Bに応じた電圧降下DBが生じる。
【0028】
また、制御器6は、時刻t6から時刻t7までの期間に電気負荷3Cを動作させる。電気負荷3Cの動作中は、器具栓スイッチ8aに基づく電圧降下DaSに加えて電気負荷3Cに応じた電圧降下DCが生じる。なお、本実施の形態において電気負荷3Cは、スピーカ(図2において「負荷C」と表される)であり、電気負荷3Cに応じた電圧降下DCは、スピーカの音量によって異なり得る。図2の例では、スピーカの音量が最大の場合に電気負荷3Bとほぼ同じ電圧降下になる例を示している。
【0029】
このような電気負荷3A,3B,3Cの動作によって電池4の電気容量が低下し、それに伴って電池4の電圧も低下する。図2において時刻t7から時刻t8への電池4の電圧の傾斜は、電気容量の低下に伴う電圧低下を例示している。
【0030】
制御器6は、電気負荷3A,3B,3Cの動作中の電池4の電圧が第1基準電圧V1以下かつ第2基準電圧より高い電圧である場合、第1報知を行う。本実施の形態において、第1基準電圧V1は、動作中の電気負荷3A,3B,3Cによらず一定値に設定される。例えば、第1基準電圧V1は、電池4の定格電圧に基づいて設定される。より具体的には、第1基準電圧V1は、電池4の定格電圧から所定の電圧を差し引いた値、または、電池4の定格電圧に対する所定割合の値に設定される。
【0031】
さらに、図2の例においては、器具栓スイッチ8aに対応するバーナ2aの動作中に、時刻t8において器具栓スイッチ8bがオン操作される。これにより、器具栓スイッチ8bに対応する制御基板5の一部回路に電流が供給され、制御器6の制御により対応する電気負荷3A,3B,3C等が動作可能となる。制御基板5の一部回路に電流が流れると、電池4の内部インピーダンスにより、当該一部回路に接続されている電気負荷に応じた電圧降下が生じる。この結果、電池4の電圧には、器具栓スイッチ8aに基づく電圧降下DaSに加えて器具栓スイッチ8bに基づく電圧降下DbSが生じる。
【0032】
器具栓スイッチ8aの場合と同様に、器具栓スイッチ8bがオン状態となることにより、対応する安全弁11bが開き、対応するバーナ2bにガスが供給される。さらに、器具栓スイッチ8bのオン操作に伴い、時刻t9から時刻t10までの期間において電気負荷3Aであるイグナイタが動作し、対応するバーナ2bが着火する。電気負荷3Aの動作中は、器具栓スイッチ8aおよび8bに基づく電圧降下DaSおよびDbSに加えて電気負荷3Aに応じた電圧降下DAが生じる。
【0033】
制御器6は、バーナ2bの動作中(時刻t10から器具栓スイッチ8bがオフ操作されるまでの期間)に、バーナ2bの動作状況に応じて、電気負荷3B,3Cを動作させる。
【0034】
図2の例においては、時刻t11から時刻t12までの期間に電気負荷3Bが動作している。この場合も電気負荷3Bに応じた電圧降下DBが生じるが、時刻t4から時刻t5までの期間における電気負荷3Bの動作時と比較すると、電池4における電気容量の低下に基づく電圧低下および器具栓スイッチ8bがオン状態であることによる電圧降下DbSの分だけ電池4の電圧はさらに低くなり、第1基準電圧V1を下回る。
【0035】
ここで、第2基準電圧が図2に示すV2Aに固定されている場合、図2の例では第2基準電圧をも下回ってしまい、第1報知が行われることなく第2報知が実行されてしまう。上述の通り、本実施の形態において、第2報知の実行時には、コンロ1の運転が停止するように制御されるため、ユーザに前警報を行うことなくコンロ1の運転を停止させてしまうことになる。一方、第2基準電圧をV2Aより低いV2Bに固定した場合、時刻t11から時刻t12までの期間における電池4の電圧は、第1基準電圧V1以下かつ第2基準電圧より高い電圧となるため、第1報知が実行される。
【0036】
しかし、第2基準電圧を電圧V2Aより低い電圧V2Bに固定してしまうと、電池4の電圧が第2報知相当の電圧となった場合でも、電池4の電圧における電圧降下が小さい電気負荷(本実施の形態における電気負荷3A)の動作時には適切に第2報知を行うことができない恐れがある。
【0037】
そこで、本実施の形態において、第2基準電圧は、複数の電気負荷3A,3B,3Cのそれぞれに対して当該電気負荷3A,3B,3Cに応じた値に設定される。制御器6のメモリには、電気負荷3A,3B,3Cごとに予め定められた第2基準電圧が記憶される。制御器6は、電池4の電圧が第2基準電圧以下であるか否かの判定を行う際、何れの電気負荷3A,3B,3Cが動作中であるかの情報を取得し、対応する電気負荷3A,3B,3Cの第2基準電圧をメモリから読み出す。制御器6は、電池4の電圧と、読み出した第2基準電圧とを比較することにより判定する。
【0038】
第2基準電圧は、電気負荷3A,3B,3Cによる電池4の電圧における電圧降下が大きいほど低い電圧に設定される。図2の例において、各電気負荷3A,3B,3Cの電圧降下の大きさは、DA<DB=DCである関係を有する。したがって、電気負荷3B,3Cの動作時における第2基準電圧V2B=V2Cは、電気負荷3Aの動作時における第2基準電圧V2Aより低い電圧に設定される。
【0039】
第2基準電圧V2A,V2B,V2Cは、複数の電気負荷3A,3B,3Cに応じて予め定められる最低動作保証電圧以上の電圧に設定される。例えば、第2基準電圧V2A,V2B,V2Cは、対応する電気負荷3A,3B,3Cの最低動作保証電圧に、所定の余裕電圧を加えた電圧に設定される。余裕電圧には、器具栓スイッチ8a,8bのオン状態における電圧降下DaS,DbS分の電圧を含み得る。
【0040】
一般的に、最低動作保証電圧が低い電気負荷ほど当該電気負荷が動作することによる電池4の電圧における電圧降下が大きいと言える。そのため、電気負荷の最低動作保証電圧に基づいて第2基準電圧を設定することにより、第2基準電圧を、電気負荷3A,3B,3Cによる電池4の電圧における電圧降下が大きいほど低い電圧に設定することができる。
【0041】
上記構成によれば、第2報知を実行するための基準となる電池4の電圧(すなわち第2基準電圧)が電気負荷3A,3B,3Cごとに異なった値に設定される。これにより、電池4の電圧において電気負荷3A,3B,3Cの動作により電圧降下が生じても、電圧降下の大きさに依存して電池4の電圧が一気に第2基準電圧以下となることを防止することができる。したがって、第1報知を行うことなく第2報知を行うことを防止することができ、電池4の電圧の低下に伴う2段階の報知を動作中の電気負荷3A,3B,3Cによる電圧降下の大きさによらず適切に行うことができる。さらに、第1報知後の第2報知の際にコンロ1の運転を停止することにより、安全性を確保しつつユーザの利便性が低減することを抑制することができる。
【0042】
また、第2基準電圧V2A,V2B,V2Cが、複数の電気負荷3A,3B,3Cのそれぞれに応じて予め定められる最低動作保証電圧以上の電圧に設定されるため、第2基準電圧V2A,V2B,V2Cを電気負荷3A,3B,3Cが動作可能な電圧とすることができ、第2報知時に既に電気負荷3A,3B,3Cが作動しない状態となることを防止することができる。また、各電気負荷3A,3B,3Cが動作可能な範囲で電池4の電圧低下を許容することにより、電池4の使用可能期間を長くすることができる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0044】
[他の実施の形態]
例えば、上記実施の形態において、第1基準電圧V1を電気負荷3A,3B,3Cによらず一定値とした例を示したが、第1基準電圧を、複数の電気負荷3A,3B,3Cのそれぞれに対して当該電気負荷に応じた値に設定されてもよい。この場合、第1基準電圧が電気負荷3A,3B,3Cに応じた値に設定されるため、第1報知を行う基準となる電池4の電圧が電気負荷に3A,3B,3Cによる電圧降下を含んでいても電気負荷3A,3B,3Cの大きさによらない第1報知の実行を実現することができる。この場合、第1基準電圧も電気負荷3A,3B,3Cの最低動作保証電圧を基準に設定され得る。
【0045】
また、上記実施の形態では、電気負荷3A,3B,3Cが動作する必要が生じた場合に、当該動作時における電池4の電圧を確認する態様を例示したが、これに限られない。例えば、制御器6は、バーナ2a,2bの動作中に特定の電気負荷を動作させて、そのときの電池4の電圧が第1基準電圧V1以下であるか否かを判定する電圧チェック動作を実行してもよい。例えば、特定の電気負荷は、電気負荷3Bである電磁弁に設定され得る。図2の例に当てはめると、制御器6は、器具栓スイッチ8aのオン操作に伴い、電気負荷3Aが動作した後(時刻t3以降)の時刻t4に電気負荷3Bを動作させる。
【0046】
バーナ2a,2bの動作開始後、電気負荷3A,3B,3Cの動作の必要性にかかわらず、特定の電気負荷を動作させることにより、バーナ2a,2bの動作開始後に電池4の電圧チェックを実施することができる。なお、特定の電気負荷は、複数の電気負荷3A,3B,3Cのうち、動作時にユーザに知覚され難いもの、および/または、動作中の電圧降下が大きいものの中から選択され得る。例えば、上記実施の形態において特定の電気負荷に設定される電気負荷3Bは、電磁弁であり、電磁弁を短時間作動させてもユーザには知覚され難く、動作中の電圧降下DBが比較的大きい電気負荷である。
【0047】
また、上記実施の形態では、2つのバーナ2a,2bを備えたコンロ1を例示したが、バーナの数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。電気負荷の数、種類も上記実施の形態に限られない。
【0048】
[本開示のまとめ]
以下の項目のそれぞれは、本開示の好ましい実施の形態の開示である。
【0049】
[項目1]
電池を電源とする複数の電気負荷を備えた電池駆動式コンロであって、前記電池の電圧を検知する検知器と、所定の報知を行う報知器と、制御器を備え、前記制御器は、前記電池の電圧が第1基準電圧以下かつ前記第1基準電圧より低い第2基準電圧より高い電圧である場合に、前記報知器に第1報知を実行させ、前記電池の電圧が前記第2基準電圧以下である場合に、前記報知器に前記第1報知とは異なる第2報知を実行させ、前記第2基準電圧は、前記複数の電気負荷のそれぞれに対して当該電気負荷に応じた値に設定される、電池駆動式コンロ。
【0050】
[項目2]
前記第1基準電圧は、前記複数の電気負荷のそれぞれに対して当該電気負荷に応じた値に設定される、項目1に記載の電池駆動式コンロ。
【0051】
[項目3]
前記第2基準電圧は、前記複数の電気負荷のそれぞれに応じて予め定められる最低動作保証電圧以上の電圧に設定される、項目1または2に記載の電池駆動式コンロ。
【0052】
[項目4]
前記制御器は、前記電池の電圧が前記第2基準電圧以下である場合に、コンロの運転を停止するように制御する、項目1から3の何れかに記載の電池駆動式コンロ。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の電池駆動式コンロは、電池の電圧の低下に伴い、2段階の報知を適切に行うために有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 電池駆動式コンロ
4 電池
6 制御器
12 検知器
13 報知器
図1
図2