(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177715
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】通信制御装置および通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04L 41/16 20220101AFI20241217BHJP
H04M 3/36 20060101ALI20241217BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20241217BHJP
【FI】
H04L41/16
H04M3/36 B
G06N20/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096005
(22)【出願日】2023-06-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
(57)【要約】
【課題】通信端末で使用される合計データ通信量を推論し、無線リソースの有効活用につなげることを目的とする。
【解決手段】
通信制御装置1は、通信端末2で使用されたデータ通信量を予め設定された第1期間ごとに収集するように構成された収集部10と、第1期間ごとに収集されたデータ通信量を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、学習済みの機械学習モデルの演算を行って、第1期間よりも長い期間である第2期間に通信端末2によって使用される合計データ通信量を出力するように構成された演算部12と、演算部12によって出力された合計データ通信量に関する情報を提示するように構成された提示部15とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末で使用されたデータ通信量を予め設定された第1期間ごとに収集するように構成された収集部と、
前記第1期間ごとに収集された前記データ通信量を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記第1期間よりも長い期間である第2期間に前記通信端末によって使用される合計データ通信量を出力するように構成された演算部と、
前記演算部によって出力された前記合計データ通信量に関する情報を提示するように構成された提示部と
を備える通信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信制御装置において、
さらに、前記通信端末によって使用される前記データ通信量についての前記第1期間ごとの値と、前記第2期間において前記通信端末によって使用される前記合計データ通信量との関係を、機械学習モデルを用いて学習するように構成された学習部と、
前記学習部によって構築された前記学習済みの機械学習モデルを記憶するように構成された記憶部と
を備え、
前記演算部は、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信制御装置において、
さらに、前記演算部によって出力された前記合計データ通信量の値に基づいて、所定の通信規格のコアネットワークを介して、前記通信端末に対して設定されている通信速度を変更するように構成された通信制御部
を備える通信制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信制御装置において、
前記機械学習モデルは、入力層、隠れ層、および出力層を有するニューラルネットワークである
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項5】
通信端末で使用されたデータ通信量を予め設定された第1期間ごとに収集する第1ステップと、
前記第1期間ごとに収集された前記データ通信量を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記第1期間よりも長い期間である第2期間に前記通信端末によって使用される合計データ通信量を出力する第2ステップと、
前記第2ステップで出力された前記合計データ通信量に関する情報を提示する第3ステップと
を備える通信制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の通信制御方法において、
さらに、前記通信端末によって使用される前記データ通信量についての前記第1期間ごとの値と、前記第2期間において前記通信端末によって使用される前記合計データ通信量との関係を、機械学習モデルを用いて学習する第4ステップと、
前記第4ステップで構築された前記学習済みの機械学習モデルを記憶部に記憶する第5ステップと
を備え、
前記第2ステップは、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の通信制御方法において、
さらに、前記第2ステップで出力された前記合計データ通信量の値に基づいて、所定の通信規格のコアネットワークを介して、前記通信端末に対して設定されている通信速度を変更する第6ステップ
を備える通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置および通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの通信端末によって使用可能な通信容量は、通信キャリアにより提供されるデータ通信プランに基づいて決定される。例えば、月単位で無制限、20GB、10GB、2GB等までのデータ通信量を高速通信で行うことができるデータ通信プランが提供されている。契約中のデータ通信プランの上限のデータ通信量を超過した場合には、通信キャリアは、その通信端末に対する通信制限を行い、例えば、通信速度を高速通信から低速通信に移行させる場合がある。
【0003】
通信サービスを利用するユーザの中には、契約しているデータ通信プランのデータ通信量の上限まで達するユーザが存在する一方で、上限まで使い切らないユーザも存在する。例えば、特許文献1は、複数の通信端末(子機)とモバイルルータ(親機)とを親子関係とし、この親子関係のもと、複数の子機と親機との上限速度の総和に基づいて、モバイルルータを介した通信において各々の通信端末のユーザが契約している料金プランに基づく通信速度を一時的に変更する技術を開示している。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、一時的な通信速度の変更が可能だとしても、特に、データ通信量の上限まで使用しないユーザに対して高速通信に係る通信帯域を割り当てていることには変わりない。これは、通信キャリアによって確保される合計通信帯域は、一般に、契約者数すなわち通信端末の数に、高速通信時の通信速度を乗じて算出されることによる。そのため、全体の通信帯域はむだに広げられている状態ともいえ、通信キャリア全体としての通信帯域の有効活用はできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、通信端末で使用される合計データ通信量は推論されていなかった。そのため、従来の技術では、合計データ通信量の推論値に基づいた無線リソースの有効活用はなされていなかった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、通信端末で使用される合計データ通信量を推論し、無線リソースの有効活用につなげることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信制御装置は、通信端末で使用されたデータ通信量を予め設定された第1期間ごとに収集するように構成された収集部と、前記第1期間ごとに収集された前記データ通信量を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記第1期間よりも長い期間である第2期間に前記通信端末によって使用される合計データ通信量を出力するように構成された演算部と、前記演算部によって出力された前記合計データ通信量に関する情報を提示するように構成された提示部とを備える。
【0009】
また、本発明に係る通信制御装置において、さらに、前記通信端末によって使用される前記データ通信量についての前記第1期間ごとの値と、前記第2期間において前記通信端末によって使用される前記合計データ通信量との関係を、機械学習モデルを用いて学習するように構成された学習部と、前記学習部によって構築された前記学習済みの機械学習モデルを記憶するように構成された記憶部とを備え、前記演算部は、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算をしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る通信制御装置において、さらに、前記演算部によって出力された前記合計データ通信量の値に基づいて、所定の通信規格のコアネットワークを介して、前記通信端末に対して設定されている通信速度を変更するように構成された通信制御部を備えていてもよい。
【0011】
また、本発明に係る通信制御装置において、前記機械学習モデルは、入力層、隠れ層、および出力層を有するニューラルネットワークであってもよい。
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信制御方法は、通信端末で使用されたデータ通信量を予め設定された第1期間ごとに収集する第1ステップと、前記第1期間ごとに収集された前記データ通信量を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記第1期間よりも長い期間である第2期間に前記通信端末によって使用される合計データ通信量を出力する第2ステップと、前記第2ステップで出力された前記合計データ通信量に関する情報を提示する第3ステップとを備える。
【0013】
また、本発明に係る通信制御方法において、さらに、前記通信端末によって使用される前記データ通信量についての前記第1期間ごとの値と、前記第2期間において前記通信端末によって使用される前記合計データ通信量との関係を、機械学習モデルを用いて学習する第4ステップと、前記第4ステップで構築された前記学習済みの機械学習モデルを記憶部に記憶する第5ステップとを備え、前記第2ステップは、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行ってもよい。
【0014】
また、本発明に係る通信制御方法において、さらに、前記第2ステップで出力された前記合計データ通信量の値に基づいて、所定の通信規格のコアネットワークを介して、前記通信端末に対して設定されている通信速度を変更する第6ステップを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1期間ごとに収集されたデータ通信量を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、学習済みの機械学習モデルの演算を行って、第1期間よりも長い期間である第2期間に通信端末によって使用される合計データ通信量を出力する。このように、合計データ通信量が推論されるため、無線リソースの有効活用につながる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信制御装置を含む通信制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る通信制御装置の概要を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る通信制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る学習部による学習処理を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る通信制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る通信制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、
図1から
図6を参照して詳細に説明する。
【0018】
[通信制御システムの構成]
まず、本発明の実施の形態に係る通信制御装置1を備える通信制御システムの概要について説明する。
図1に示すように、通信制御システムは、通信制御装置1、複数の通信端末2a、2b、2c、基地局3、およびコアネットワーク4を備える。
【0019】
通信制御システムは、予め設定された周期、例えば、1日ごとに収集された、通信端末2a、2b、2cの各々が使用したデータ通信量に基づいて、学習済みの機械学習モデルの演算により、例えば、1か月間での通信端末2a、2b、2cの各々の合計データ通信量を推論する。さらに、推論した1か月間の合計データ通信量に基づいて、通信端末2a、2b、2cの各々のデータ通信における通信速度を変更する。
【0020】
図1に示すように、通信端末2a、2b、2cは、SIMを備えるスマートフォンなどの携帯通信端末、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(いわゆる、ノートパソコン)により実現される。
【0021】
本実施の形態では、通信端末2a、2b、2cの各々のユーザは、同一の通信キャリアと契約しており、通信端末2a、2b、2cは、それぞれ、SIMを識別する加入者識別番号であるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)により一意に識別される。また、各々のユーザは、通信キャリアが提供するデータ通信プランのいずれかに契約している。通信キャリアは、回線網や通信設備などのコアネットワーク4および基地局3などを有するモバイル通信事業者であり、ユーザに回線を貸与してデータ通信などの通信サービスを提供する。
【0022】
通信端末2a、2b、2cの各々は、各ユーザが契約しているデータ通信プランに応じた月間の上限データ通信量の範囲で高速通信によるデータ通信を行うことができる。例えば、通信端末2aは、月間20GBまでのデータ通信を利用できるデータ通信プランに契約しているものとする。また、例えば、通信端末2b、2cは、月間のデータ通信量が無制限に利用できるデータ通信プランに契約している場合を例に挙げる。
【0023】
通信端末2aは、月間のデータ通信量の上限20GBまでは、高速通信(例えば、通信速度220Mbps)でデータ通信を行うことができ、上限20GBに達すると、次の日から月末までの通信速度が制限され、低速通信(例えば、通信速度128Kbps)によるデータ通信に移行する。通信端末2b、2cは、高速通信によりデータ通信量の上限なくデータ通信を行うことができる。
【0024】
通信端末2a、2b、2cにおいて、月間のデータ通信量の上限に達しない場合には、原則として、高速通信による通信速度でデータ通信が行われる。本実施の形態において、通信キャリアが通信網全体として確保する通信帯域は、通信端末2の台数である全契約者数に高速通信時の通信速度(例えば、通信速度220Mbps)を乗じた値で算出される。なお、以下において、通信端末2a、2b、2cを区別しない場合には、通信端末2と総称する場合がある。
【0025】
基地局3は、LTE方式の無線通信に対応した無線基地局、および5G方式に対応した無線基地局で構成される。基地局3は、在圏する通信端末2a、2b、2cとコアネットワーク4との間の通信を中継する。
【0026】
コアネットワーク4は、5GのSA(Stand Alone)方式、およびNSA(Non Stand Alone)方式のコアネットワークで構成される。コアネットワーク4は、通信端末2a、2b、2cが基地局3を介して送信する位置登録信号やデータ信号などの信号処理、通信プロトコルやセキュリティ機能の管理、通信速度など通信の品質や安全性を確保する機能を有する。
【0027】
コアネットワーク4は、NSA方式のアーキテクチャおよびSA方式のアーキテクチャを構成する各装置が、図示されないネットワークを介して接続されている。
図1に示す例では、コアネットワーク4は、NSA方式のアーキテクチャとして、PGW-U(Packet Data Network Gateway)40を備え、他の装置については省略している。また、コアネットワーク4を構成するSA方式のアーキテクチャとして、
図1に示すように、UPF(User Plane Function)41を備える。
【0028】
PGW-U40およびUPF41は外部のインターネットに接続し、ユーザーデータのパケット転送を行うユーザープレーン機能に係る処理を行う。
【0029】
また、PGW-U40は、3GPP TS 23.503に規定されている、「PCC(Policy and Charging Control) Rules」に基づいて、IMSI単位で通信速度を変更する機能を有する。PGW-U40は、通信端末2のIMSIをキーにして、使用されたデータ通信量をカウントおよび保持する。本実施の形態では、PGW-U40は、通信制御装置1との通信を行うインターフェース40aを備える。
【0030】
UPF41は、PGW-U40と同様に、3GPP TS 23.503に規定されている「PCC(Policy and Charging Control) Rules」に基づいて、IMSI単位で通信速度を変更する機能を有する。UPF41は、通信端末2のIMSIをキーにして、使用されたデータ通信量をカウントおよび保持する。本実施の形態では、UPF41は、通信制御装置1との通信を行うインターフェース41aを備える。
【0031】
[通信制御装置の機能ブロック]
通信制御装置1は、収集部10、学習部11、演算部12、機械学習(ML)モデル記憶部13、通信制御部14、および提示部15を備える。通信制御装置1は、通信端末2によって使用される合計データ通信量を推論し、推論された合計データ通信量に基づいて、通信端末2のデータ通信に係る通信速度を変更する。
【0032】
収集部10は、通信端末2が使用したデータ通信量を、予め設定された第1期間ごとに収集する。第1期間の長さは、1か月、1日、1時間などの任意の収集周期に基づく期間を採用することができる。例えば、通信制御装置1が、1日間に通信端末2によって使用されるデータ通信量を推論する場合には、第1期間を1時間とし、1時間ごとに通信端末2によって使用されたデータ通信量を収集することができる。あるいは、月単位のデータ通信量を推論する場合には、第1期間を1日または1時間とし、1日ごとあるいは1時間ごとに通信端末2が使用したデータ通信量を収集することができる。
【0033】
本実施の形態では、一例として、収集部10は、第1期間を1日とし、1日周期で通信端末2が使用したデータ通信量を収集する場合について説明する。収集部10によって第1期間ごとに収集されるデータ通信量は、収集時点までに通信端末2が使用したデータ通信量の累積値である。したがって、収集開始から第k(k=1,2,3,・・・)日目に収集されたデータ通信量の値とは、収集開始からk日目までに通信端末2が使用したデータ通信量の累積値である。
【0034】
収集部10は、コアネットワーク4のPGW-U40およびUPF41から、通信端末2a、2b、2cの各々のIMSIに関連付けられて記憶されている使用済みのデータ通信量の値を収集する。
【0035】
学習部11は、通信端末2が使用するデータ通信量の第1期間(例えば、1日)ごとの値と、第1期間よりも長い期間である第2期間(例えば、1か月間)に通信端末2によって使用される合計データ通信量との関係を、機械学習モデルを用いて学習する。
【0036】
図2は、収集部10によって第1期間(例えば、1日)ごとに収集される通信端末2の使用済みのデータ通信量を模式的に示した図である。
図2の横軸は、通信端末2の使用済みデータ通信量の収集回数Xを示している。縦軸は、通信端末2によって使用されたデータ通信量の累積値Yを示している。各黒丸点は、1日ごとに収集されたデータ通信量の累積値を示している。なお、
図2は、1台の通信端末2による使用済みデータ通信量を示している。
【0037】
学習部11は、通信端末2が使用した第1期間(例えば、1日)ごとのデータ通信量の累積値と、当該通信端末2が実際に使用した第2期間(例えば、1か月間)での合計データ通信量Mとの関係を、機械学習モデルに学習させる。
図2に示す曲線は、通信端末2が実際に使用したデータ通信量の累積値Yを示す教師データであり、学習部11は次式(1)で表される教師データを用いて学習を行う。
Y=(M/N)×X ・・・(1)
【0038】
上式(1)において、Nは、合計データ通信量Mが使用された第2期間までのデータ通信量の収集回数を示し、例えば、1か月分の日ごとの収集回数では、N=30(回)を示す。学習部11は、上式(1)で表される教師データを用いて、第1期間(例えば、1日)ごとに収集された通信端末2の使用済みのデータ通信量が、上式(1)で表されるデータ通信量の値となるように、機械学習モデルの学習パラメータを学習する。
【0039】
図4は、学習部11が学習を行う機械学習モデルの一例として採用する、ニューラルネットワーク構造を示す。ニューラルネットワークは、入力層x、隠れ層h、および出力層yを備える。
図4の例では入力ノードx
kおよび出力ノードy
kの数は同数であり、これらは、収集部10が収集したデータ通信量のデータ数に対応する。
【0040】
図2で説明したように、入力ノードx
1には、第1日目に収集された通信端末2の使用済みのデータ通信量が入力される。同様に、入力ノードx
2~x
kのそれぞれには、第2日目から第k日目にそれぞれ収集された通信端末2の使用済みデータ通信量の値が入力される。kおよびNは、k≦Nの関係にある。つまり、1か月間の合計データ通信量を推論する場合には、30回以下の収集回数分の日ごとのデータ通信量を入力データとして用いる。
【0041】
学習部11は、通信端末2によって使用されたデータ通信量の1日ごとの累積値をニューラルネットワークの入力層に与え、入力の重み付け総和に活性化関数を適用し、閾値処理により決定された出力を出力層に渡す。
図4の例において、出力層の出力ノードは、入力ノードの数に対応する数のノードが設けられている。
【0042】
隠れ層hのレイヤ数、およびニューラルネットワークのノード間の結合の疎密を含む機械学習モデルのサイズや要素は、十分な推論精度が得られる設計であれば限定されず、例えば、ノード間の結合として全結合あるいはスパース化した構造であってもよい。
【0043】
図4に示すように、入力層の各入力ノードおよび出力ノードは、上から順に、第1日目から第k日目までの1日ごとに収集された通信端末2のデータ通信量に対応する。
図2において説明したように、入力ノードx
1には、第1日目に収集された通信端末2のデータ通信量が入力される。同様に、入力ノードx
2~x
kのそれぞれには、第2日目から第k日目に収集された通信端末2のデータ通信量の値が入力される。
【0044】
学習部11は、次式(2)に示す目的関数Eを導入することで、通信端末2が使用するデータ通信量の第1期間(例えば、1日)ごとの値が、実際に第2期間(例えば、1か月間)に使用された合計データ通信量に基づく1日ごとのデータ通信量の正解ラベルの値となるように、ニューラルネットワークのパラメータを学習する。
【0045】
【0046】
上式(2)において、y1,y2,・・・,ykは各出力ノードの出力値、Z1,Z2,・・・,Zkは正解ラベルを示す。Zkは、上式(1)で表される。目的関数Eの値は、機械学習モデルの上記入力値x1,x2,・・・,xk、つまり、1日ごとに収集される通信端末2のデータ通信量の値に対する出力値y1,y2,・・・,ykが、目標出力Z1,Z2,・・・,Zkに一致する場合に0となる。学習部11は、目的関数Eが最小、つまり0となるように、ニューラルネットワークの重みパラメータを調整する。
【0047】
学習部11は、誤差逆伝搬法や確率的勾配降下法などを用いて、目的関数Eを勾配法で最適化することができる。さらに、学習部11は、入力ノードの数kについても調整することができる。学習部11は、第2期間の合計データ使用量を求めるのに最適な入力ノード数kを備えたネットワーク構造において、目的関数Eが最小となるようにニューラルネットワークの重みパラメータを調整する。
【0048】
学習部11は、全ての通信端末2a、2b、2cに共通の機械学習モデルを学習する構成とすることができる。この場合、k日分の通信端末2a、2b、2cの各々のデータ通信量の入力に対して、通信端末2a、2b、2cの各々が実際に使用した1か月間での合計データ通信量を正解ラベルとした教師データを用いて学習を行うことができる。このように、学習部11は、多数のユーザのデータ通信量に係る学習データを用いて、ニューラルネットワークを学習することができる。
【0049】
その他にも、学習部11は、通信端末2ごとに機械学習モデルのパラメータを学習する構成としてもよい。あるいは、学習部11は、予めグループ化された複数の通信端末2ごとに、機械学習モデルのパラメータを学習する構成としてもよい。学習部11によって構築された学習済みのパラメータは、後述のML記憶部13に記憶される。
【0050】
図1に戻り、演算部12は、予め設定された第1期間である1日ごとに収集されたデータ通信量を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、学習済みの機械学習モデルの演算を行って、第1期間よりも長い期間である第2期間に通信端末2によって使用される合計データ通信量を出力する。
【0051】
演算部12は、ML記憶部13から、学習済みのパラメータをロードし、収集部10によって第1期間すなわち1日ごとに収集された、通信端末2で使用されたデータ通信量の入力データx
1~x
kを未知の入力として与え、第2期間である1か月間に通信端末2で使用される合計データ通信量を推論する。
図4の例を用いると、演算部12は、学習済みのニューラルネットワークの演算により得られた、k日分の日ごとの通信端末2のデータ通信量の入力データx
1~x
kに対する出力データy
1~y
kに基づいて、月単位の合計データ通信量を推論する。
【0052】
例えば、N=30である1か月間(30日間)の合計データ通信量を推論する場合、演算部12は、y1~ykの各値に基づいて算出される1か月間での合計データ通信量の平均値を、1か月間での合計のデータ通信量とすることができる。演算部12は、次式(3)より、N=30、すなわち1か月間での合計データ通信量YNを算出することができる。
YN=[{(y1/1)×N}+{(y2/2)×N}+{(y3/3)×N}+,・・・{(yk/k)×N}]/k ・・・(3)
【0053】
演算部12は、上式(3)によりk個の出力データの平均値を用いて合計データ通信量を求めるため、例えば、(yk/k)×Nなど、1日分のデータ通信量のみに基づいて合計データ通信量を算出する場合と比較して、値のばらつきを低減することができる。
【0054】
通信制御部14は、演算部12によって出力された1か月間の合計データ通信量の値に基づいて、所定の通信規格のコアネットワーク4を介して、通信端末2に対して設定されている通信速度を変更する。具体的には、通信制御部14は、ネットワークNWを介して、コアネットワーク4のPGW-U40およびUPF41に対して、各通信端末2の通信速度の設定を変更する制御信号を送信することができる。
【0055】
さらに具体的には、通信制御部14は、3GPP TS 23.503で規定されている「PCC(Policy and Charging Control) Rules」に基づいて、IMSI単位で通信速度を変更する機能を有するPGW-U40、およびUPF41に対して、IMSIごとに通信速度の変更を行う制御信号を送信する。
【0056】
例えば、月間のデータ通信量の上限20GBの通信端末2aにおいて、1か月間の合計データ通信量の推論値が19GBであったとする。この場合、通信制御部14は、通信端末2aの通信速度を、220Mbpsから209Mbps({220Mbps/20GB}×19GB)に変更する制御信号をPGW-U40、およびUPF41に対して送信することができる。
【0057】
別の例として、通信端末2aの1か月の合計データ通信量の推論値が9GBであった場合、通信制御部14は、通信端末2aの通信速度を、220Mbpsから99Mbps({220Mbps/20GB}×9GB)に変更する制御信号を同様にPGW-U40、およびUPF41に対して送信することができる。月間のデータ通信量が無制限である通信端末2b、2cに対しても同様に、通信制御部14は、通信速度の変更をすることができる。通信制御部14は、通信の品質等の観点から適切な通信速度の変更を行うことができる。
【0058】
MLモデル記憶部13は、学習部11によって構築されたが学習済みの機械学習モデルの学習済みのパラメータを記憶する。
【0059】
提示部15は、演算部12によって推論された通信端末2の合計データ通信量に関する情報を提示する。また、提示部15は、通信制御部14によって制御される通信端末2の通信速度の設定情報に関する情報を提示することができる。
【0060】
[通信制御装置のハードウェア構成]
次に、上述した機能を有する通信制御装置1を実現するハードウェア構成の一例について、
図3を用いて説明する。
【0061】
図5に示すように、通信制御装置1は、例えば、バス101を介して接続されるプロセッサ102、主記憶装置103、通信インターフェース104、補助記憶装置105、入出力I/O106を備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
【0062】
主記憶装置103には、プロセッサ102が各種制御や演算を行うためのプログラムが予め格納されている。プロセッサ102と主記憶装置103とによって、
図1に示した収集部10、学習部11、演算部12、通信制御部14など通信制御装置1の各機能が実現される。
【0063】
通信インターフェース104は、通信制御装置1と各種外部電子機器との間をネットワーク接続するためのインターフェース回路である。
【0064】
補助記憶装置105は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータなどの各種情報を読み書きするための駆動装置とで構成されている。補助記憶装置105には、記憶媒体としてハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体メモリを使用することができる。
【0065】
補助記憶装置105は、通信制御装置1が実行する通信制御プログラムを格納するプログラム格納領域を有する。また、補助記憶装置105は、機械学習モデルの学習を行うための学習プログラムを格納する領域を有する。補助記憶装置105によって、
図1で説明したMLモデル記憶部13が実現される。
【0066】
また、補助記憶装置105は、通信端末2a、2b、2cの各々において契約されている通信プランに対応する月間のデータ通信量の上限値に関する情報を記憶する領域を有する。さらには、例えば、上述したデータやプログラムなどをバックアップするためのバックアップ領域などを有していてもよい。
【0067】
入出力I/O106は、外部機器からの信号を入力したり、外部機器へ信号を出力したりする入出力装置である。
【0068】
[通信制御装置の動作]
次に、上述した構成を有する通信制御装置1の動作を、
図5および
図6のフローチャートを参照して説明する。
図5は、通信制御装置1による学習処理を示すフローチャートである。
図6は、学習済みの機械学習モデルの演算により、通信端末2の通信速度を変更する通信処理を示すフローチャートである。
【0069】
まず、
図5に示すように、学習部11は、機械学習モデルの入力ノードの数kを設定する(ステップS1)。具体的には、学習部11は、機械学習モデルとしてニューラルネットワークを採用し、入力層、隠れ層、および出力層の設定、並びに重みパラメータおよび閾値その他のパラメータの初期値を設定する。学習部11は、推論するデータ通信量の精度が十分に得られる入力層のノード数kを採用することができる。
【0070】
次に、学習部11は、通信端末2が使用するデータ通信量の第1期間(例えば、1日)ごとの値と、第2期間(例えば、1か月間)に通信端末2によって使用される合計データ通信量との関係を、機械学習モデルを用いて学習する(ステップS2)。具体的には、学習部11は、収集部10によって1日ごとに収集された、通信端末2による使用済みのデータ通信量の値に、収集部10で収集された1か月分の使用済み合計データ通信量が正解ラベルとして付された教師データを用いて、機械学習モデルを学習することができる。
【0071】
学習部11は、例えば、
図4に示すニューラルネットワーク構造の機械学習モデルを採用し、上式(1)で表される教師データを用いて、ニューラルネットワークモデルの重みパラメータを学習することができる。
【0072】
また、学習部11は、上式(2)を用いて、各入力ノードx1~xkに入力される第1日目から第k日目までの通信端末2のデータ通信量の値が、通信端末2が実際に1か月間に使用した合計データ通信量の値に基づく各日のデータ通信量の累積値となるように、目的関数Eを最小とする重みパラメータを調整および更新を繰り返し、重みパラメータの値を決定する。学習部11は、目的関数Eを最小とする入力ノードの数kを調整し、繰り返し学習処理を行い、最適な入力ノード数kを決定することができる。
【0073】
学習部11は、全ての通信端末2で共通の機械学習モデルを学習させることができるが、設計に応じて、所定の複数の通信端末2に共通の機械学習モデルを学習、あるいは、通信端末2ごとに機械学習モデルを学習してもよい。
【0074】
その後、MLモデル記憶部13は、ステップS2の学習処理により得られた学習済みの重みパラメータ、入力ノードの数kを記憶する(ステップS3)。
【0075】
次に、
図6を参照して、学習済みのニューラルネットワークを用いた通信端末2の通信速度の制御処理を説明する。まず、収集部10は、通信端末2が使用したデータ通信量の累積値を第1期間(例えば、1日)ごとに収集する(ステップS10)。具体的には、収集部10は、コアネットワーク4のPGW-U40のインターフェース40aおよびUPF41のインターフェース41aを介して、通信端末2に割り当てられているIMSIに関連付けられて記憶されている1日ごとのデータ通信量のカウント値を収集する。
【0076】
次に、演算部12は、ML記憶部13から学習済みのパラメータをロードする(ステップS11)。次に、演算部12は、収集部10によって収集された、通信端末2が使用したデータ通信量の第1期間(例えば、1日)ごとの累積値を未知の入力として学習済みのニューラルネットワークに与え、学習済みのニューラルネットワークの演算を行う(ステップS12)。演算部12は、ステップS12での演算により、第2期間(例えば、1か月間)に通信端末2が使用する合計データ通信量を出力する(ステップS13)。
【0077】
次に、通信制御部14は、ステップS13で出力された合計データ通信量に基づいて、通信端末2に設定されている通信速度を変更する(ステップS14)。具体的には、通信制御部14は、ステップS13で出力された、通信端末2において1か月間で使用される合計データ通信量の推論値と、通信端末2の月間のデータ通信量の上限値とを比較して、合計データ通信量の値が上限値よりも小さい場合には、通信端末2のデータ通信に係る通信速度を高速通信時の通信速度よりも減少させることができる。通信制御部14は、コアネットワーク4のPGW-U40およびUPF41に対して、通信端末2ごとの通信速度を変更する制御信号を送信する。
【0078】
その後、提示部15は、通信制御部14による通信端末2の通信速度の制御情報を提示する(ステップS15)。
【0079】
なお、上述の実施の形態では、LTEおよび5Gに準拠する通信制御システムである場合を例示した。しかし、所定の通信規格とは、LTEおよび5Gに限定されるものではなく、6Gに準拠する通信制御システムであってもよい。
【0080】
また、上述した実施の形態では、学習部11が、ニューラルネットワークを機械学習モデルとして用いて学習処理を行う場合について説明した。しかし、機械学習モデルは、上述したニューラルネットワークモデルの他、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、決定木等、さらにニューラルネットワークを多層化したディープラーニングを用いてもよい。また、これらの教師あり学習の他、教師なし学習を行う機械学習モデルとして、敵対的生成ネットワークや変分オードエンコーダ等の生成モデルを用いてもよい。
【0081】
また、説明した実施の形態では、学習処理を行う学習部11、および学習済みの機械学習モデルに基づいて、合計データ通信量を演算する演算部12、および合計データ通信量に基づいて、通信端末2の通信速度を変更する通信制御部14の全てが通信制御装置1に搭載される場合について説明した。しかし、学習部11、演算部12、および通信制御部14は同一のハードウェア構成として設けられている場合の他、複数のサーバ等によっても学習処理と通信制御処理とをネットワークNW上の別のサーバ等により分散することもできる。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態に係る通信制御装置1によれば、第1期間ごとに収集された通信端末2のデータ通信量を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、学習済みの機械学習モデルの演算を行って、第1期間よりも長い期間である第2期間に通信端末2によって使用される合計データ通信量を出力する。したがって、推論された合計データ通信量に基づいて、データ通信量の上限まで使用しないユーザに対しては通信速度を変更するため、無線リソースを有効活用することができる。
【0083】
以上、本発明の通信制御装置および通信制御方法における実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1…通信制御装置、10…収集部、11…学習部、12…演算部、13…MLモデル記憶部、14…通信制御部、15…提示部、2、2a、2b、2c…通信端末、3…基地局、4…コアネットワーク、40…PGW-U、40a、41a、…インターフェース、41…UPF、101…バス、102…プロセッサ、103…主記憶装置、104…通信インターフェース、105…補助記憶装置、106…入出力I/O、NW…ネットワーク。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末で使用されたデータ通信量を予め設定された第1期間ごとに収集するように構成された収集部であって、収集された前記データ通信量は、前記第1期間ごとの収集時点までに前記通信端末で使用されたデータ通信量の累積値である、収集部と、
前記第1期間ごとに収集された前記データ通信量の累積値を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記第1期間よりも長い期間である第2期間に前記通信端末によって使用される合計データ通信量を出力するように構成された演算部と、
前記演算部によって出力された前記合計データ通信量に関する情報を提示するように構成された提示部と
を備え、
前記学習済みの機械学習モデルは、前記通信端末によって使用された前記データ通信量の前記第1期間ごとの累積値が、前記通信端末によって実際に前記第2期間において使用された前記合計データ通信量に基づく前記第1期間ごとのデータ通信量の累積値に係る正解ラベルの値となるように学習された機械学習モデルである
通信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信制御装置において、
さらに、前記通信端末によって使用される前記データ通信量についての前記第1期間ごとの累積値と、前記第2期間において前記通信端末によって使用される前記合計データ通信量との関係を、前記機械学習モデルを用いて学習するように構成された学習部と、
前記学習部によって構築された前記学習済みの機械学習モデルを記憶するように構成された記憶部と
を備え、
前記演算部は、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信制御装置において、
さらに、前記演算部によって出力された前記合計データ通信量の値に基づいて、所定の通信規格のコアネットワークを介して、前記通信端末に対して設定されている通信速度を変更するように構成された通信制御部
を備える通信制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信制御装置において、
前記機械学習モデルは、入力層、隠れ層、および出力層を有するニューラルネットワークである
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項5】
通信端末で使用されたデータ通信量を予め設定された第1期間ごとに収集する第1ステップであって、収集された前記データ通信量は、前記第1期間ごとの収集時点までに前記通信端末で使用されたデータ通信量の累積値である、第1ステップと、
前記第1期間ごとに収集された前記データ通信量の累積値を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記第1期間よりも長い期間である第2期間に前記通信端末によって使用される合計データ通信量を出力する第2ステップと、
前記第2ステップで出力された前記合計データ通信量に関する情報を提示する第3ステップと
を備え、
前記学習済みの機械学習モデルは、前記通信端末によって使用された前記データ通信量の前記第1期間ごとの累積値が、前記通信端末によって実際に前記第2期間において使用された前記合計データ通信量に基づく前記第1期間ごとのデータ通信量の累積値に係る正解ラベルの値となるように学習された機械学習モデルである
通信制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の通信制御方法において、
さらに、前記通信端末によって使用される前記データ通信量についての前記第1期間ごとの累積値と、前記第2期間において前記通信端末によって使用される前記合計データ通信量との関係を、前記機械学習モデルを用いて学習する第4ステップと、
前記第4ステップで構築された前記学習済みの機械学習モデルを記憶部に記憶する第5ステップと
を備え、
前記第2ステップは、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の通信制御方法において、
さらに、前記第2ステップで出力された前記合計データ通信量の値に基づいて、所定の通信規格のコアネットワークを介して、前記通信端末に対して設定されている通信速度を変更する第6ステップ
を備える通信制御方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者識別番号を有する通信端末で使用されたデータ通信量を予め設定された第1期間ごとに収集するように構成された収集部であって、収集された前記データ通信量は、前記第1期間ごとの収集時点までに前記通信端末で使用されたデータ通信量の累積値である、収集部と、
前記第1期間ごとに収集された前記データ通信量の累積値を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記第1期間よりも長い期間である第2期間に前記通信端末によって使用される合計データ通信量を出力するように構成された演算部と、
前記演算部によって出力された前記合計データ通信量に関する情報を提示するように構成された提示部と、
前記演算部によって出力された前記合計データ通信量の値に基づいて、所定の通信規格のコアネットワークを介して、前記通信端末に対して設定されている通信速度を変更するように構成された通信制御部と
を備え、
前記学習済みの機械学習モデルは、前記通信端末によって使用された前記データ通信量の前記第1期間ごとの累積値が、前記通信端末によって実際に前記第2期間において使用された前記合計データ通信量に基づく前記第1期間ごとのデータ通信量の累積値に係る正解ラベルの値となるように学習された機械学習モデルであり、
前記通信制御部は、前記コアネットワークのPGW-U(Packet Data Network Gateway)またはUPF(User Plane Function)に対して、通信端末の加入者識別番号ごとに通信速度の変更を行う制御信号を送信することで、前記通信端末に対して設定されている前記通信速度を変更し、
前記通信制御部は、前記演算部によって出力された、前記第2期間に前記通信端末によって使用される前記合計データ通信量の値と、前記通信端末に対して設定されている前記第2期間のデータ通信量の上限値とを比較して、前記合計データ通信量の値が前記上限値よりも小さい場合には、前記通信端末に対して設定されている前記通信速度を減少させる
通信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信制御装置において、
さらに、前記通信端末によって使用される前記データ通信量についての前記第1期間ごとの累積値と、前記第2期間において前記通信端末によって使用される前記合計データ通信量との関係を、前記機械学習モデルを用いて学習するように構成された学習部と、
前記学習部によって構築された前記学習済みの機械学習モデルを記憶するように構成された記憶部と
を備え、
前記演算部は、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信制御装置において、
前記機械学習モデルは、入力層、隠れ層、および出力層を有するニューラルネットワークである
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項4】
加入者識別番号を有する通信端末で使用されたデータ通信量を予め設定された第1期間ごとに収集する第1ステップであって、収集された前記データ通信量は、前記第1期間ごとの収集時点までに前記通信端末で使用されたデータ通信量の累積値である、第1ステップと、
前記第1期間ごとに収集された前記データ通信量の累積値を未知の入力として学習済みの機械学習モデルに与え、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行って、前記第1期間よりも長い期間である第2期間に前記通信端末によって使用される合計データ通信量を出力する第2ステップと、
前記第2ステップで出力された前記合計データ通信量に関する情報を提示する第3ステップと、
前記第2ステップで出力された前記合計データ通信量の値に基づいて、所定の通信規格のコアネットワークを介して、前記通信端末に対して設定されている通信速度を変更する第6ステップと
を備え、
前記学習済みの機械学習モデルは、前記通信端末によって使用された前記データ通信量の前記第1期間ごとの累積値が、前記通信端末によって実際に前記第2期間において使用された前記合計データ通信量に基づく前記第1期間ごとのデータ通信量の累積値に係る正解ラベルの値となるように学習された機械学習モデルであり、
前記第6ステップは、前記コアネットワークのPGW-U(Packet Data Network Gateway)またはUPF(User Plane Function)に対して、通信端末の加入者識別番号ごとに通信速度の変更を行う制御信号を送信することで、前記通信端末に対して設定されている前記通信速度を変更し、
前記第6ステップは、前記第2ステップで出力された、前記第2期間に前記通信端末によって使用される前記合計データ通信量の値と、前記通信端末に対して設定されている前記第2期間のデータ通信量の上限値とを比較して、前記合計データ通信量の値が前記上限値よりも小さい場合には、前記通信端末に対して設定されている前記通信速度を減少させる
通信制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の通信制御方法において、
さらに、前記通信端末によって使用される前記データ通信量についての前記第1期間ごとの累積値と、前記第2期間において前記通信端末によって使用される前記合計データ通信量との関係を、前記機械学習モデルを用いて学習する第4ステップと、
前記第4ステップで構築された前記学習済みの機械学習モデルを記憶部に記憶する第5ステップと
を備え、
前記第2ステップは、前記記憶部から前記学習済みの機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信制御方法。