(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177719
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ビデオゲーム用コントローラ、ボタンモジュール及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/22 20140101AFI20241217BHJP
G06F 3/0338 20130101ALI20241217BHJP
A63F 13/24 20140101ALI20241217BHJP
A63F 13/833 20140101ALI20241217BHJP
【FI】
A63F13/22
G06F3/0338 411
A63F13/24
A63F13/833
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096011
(22)【出願日】2023-06-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】522226199
【氏名又は名称】株式会社moimate
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】小池 俊樹
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AC01
(57)【要約】
【課題】ボタン押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わずボタン操作のタイミングに関する感度調整をボタンごとに行うこととを両立可能なビデオゲーム用コントローラを実現すること。
【解決手段】本発明のビデオゲーム用コントローラCのボタンモジュール3は、ボタン31と、ボタン31の感度に関する閾値を調整可能なスイッチ32と、コントローラCの制御装置2と別体に設けられたマイクロコンピュータ33と、を備え、マイクロコンピュータ33は、ボタン31の押下量の時系列情報に基づいて押下量の変化速度を算出するよう構成された変化速度算出部333と、算出された変化速度及び閾値を用いて押下タイミングを検知する押下タイミング検知部334と、離上タイミング検知部335と、押下信号及び非押下信号を制御装置2へ提供するよう構成された信号提供部336と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオゲーム用コントローラのボタンと、
通電状態及び非通電状態によらず前記ボタンの感度に関する閾値を調整可能なスイッチと、
前記ボタン及び前記スイッチのそれぞれと電気的に接続され、前記コントローラの制御装置と別体に設けられたマイクロコンピュータと、
を備え、
前記ボタンの数は、2以上であり、
前記ボタンは、当該ボタンの押下量を検知可能なセンサを有し、
前記マイクロコンピュータは、
前記スイッチから閾値を取得するよう構成された閾値取得部と、
前記センサから押下量を取得するよう構成された押下量取得部と、
前記押下量の時系列情報に基づいて前記押下量の変化速度を算出するよう構成された変化速度算出部と、
算出された前記変化速度が、前記ボタンの押下される向きにおいて前記閾値を上回るタイミングである押下タイミングを検知するよう構成された押下タイミング検知部と、
前記押下量及び/又は前記変化速度に基づいて前記ボタンが離上するタイミングである離上タイミングを検知するよう構成された離上タイミング検知部と、
前記押下タイミングから前記離上タイミングまでにおいて前記ボタンが押下された押下状態であると識別可能な押下信号を前記制御装置へ提供し、前記離上タイミングから前記押下タイミングまでにおいて前記ボタンが押下されていない非押下状態であると識別可能な非押下信号を前記制御装置へ提供するよう構成された信号提供部と、
を有する、ビデオゲーム用コントローラのボタンモジュール。
【請求項2】
前記センサは、ホール素子を用いて構成される、請求項1に記載のボタンモジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のボタンモジュールと、
前記信号提供部から提供された前記押下信号に基づいて前記2以上のボタンのそれぞれが前記押下状態又は前記非押下状態のいずれであるかを示す情報を外部へと提供可能な制御装置と、
を備える、ビデオゲーム用コントローラ。
【請求項4】
ビデオゲーム用コントローラのボタン及び通電状態及び非通電状態によらず前記ボタンの押下の検知に関する閾値を調整可能なスイッチのそれぞれと電気的に接続され、前記コントローラの制御装置と別体に設けられたマイクロコンピュータに、
前記スイッチから閾値を取得する閾値取得ステップと、
前記ボタンの押下量を取得する押下量取得ステップと、
前記押下量の時系列情報に基づいて前記押下量の変化速度を算出する変化速度算出ステップと、
算出された前記変化速度が、前記ボタンの押下される向きにおいて前記閾値を上回るタイミングである押下タイミングを検知する押下タイミング検知ステップと、
前記押下量及び/又は前記変化速度に基づいて前記ボタンが離上するタイミングである離上タイミングを検知する離上タイミング検知ステップと、
前記押下タイミングから前記離上タイミングまでにおいて前記ボタンが押下された押下状態であると識別可能な押下信号を前記制御装置へ提供し、前記離上タイミングから前記押下タイミングまでにおいて前記ボタンが押下されていない非押下状態であると識別可能な非押下信号を前記制御装置へ提供する信号提供ステップと、
を実行させるように構成されたプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオゲーム用コントローラ、ボタンモジュール及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用ゲーム機及びゲームのソフトウェアがインストールされたコンピュータ等によって例示されるビデオゲーム機に後付けし、取り外すことが可能なビデオゲーム用コントローラが利用されている。
【0003】
ところで、ビデオゲームの分野においては、格闘ゲーム大会等によって例示される技量を競う大会が催されている。より高いレベルで技量を競う大会では、より正確かつ迅速な入力が求められ得る。このような大会に参加するプレイヤーは、持参したビデオゲーム用コントローラを大会で用いることにより、不慣れなコントローラのために正確かつ迅速な入力を行えなくなることを防ぎ得る。
【0004】
しかしながら、持参したコントローラの利用は、不慣れなコントローラのために正確かつ迅速な入力を行えなくなることを防ぎ得るにとどまり、コントローラの感度等が大会の会場に適していないことにより正確かつ迅速な入力を行えなくなることを防ぐものではない。そのため、感度等を調整可能なビデオゲーム用コントローラが求められている。
【0005】
感度等を調整可能なビデオゲーム用コントローラに関し、特許文献1は、表側及び裏側を有し、使用者の両手により保持される被保持部と、被保持部の表側に設けられ、使用者の一方の手により操作され、一方の手の操作によりアナログ信号を変化又は固定させるアナログ操作部と、使用者の他方の手により操作される感度調整部であって、使用者の両手を標準保持位置に配置して被保持部を保持し、一方の手によりアナログ操作部が操作される状態において、他方の手により操作可能であり、操作に基づいてアナログ操作部におけるアナログ信号の感度であるアナログ感度を調整する感度調整部と、を備えるゲーム機用のコントローラを開示している。特許文献1の技術は、アナログ操作部におけるアナログ感度の調整をゲームのプレイ中及びゲームのプレイ中でないときに行い得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ビデオゲーム用コントローラには、アナログ操作部・レバー等の向きがある操作を行う操作部の他に、押下されたか否かをデジタル出力するボタンが設けられる。ボタンを用いた操作に関し、例えば格闘ゲームでは、レバー操作、ボタン操作、及びそれらの組合せからなる一連の操作が必殺技、超必殺技等と称される特別な効果と対応付けられている。格闘ゲーム等によって例示される競技性の高いビデオゲームでは、このような一連の操作を正確なタイミングで行うこと及び/又は迅速に行うことによってビデオゲームの勝敗に係る戦況が変化し得る。したがって、ボタン操作のタイミングに係る感度を調整できるビデオゲーム用コントローラが求められている。
【0008】
ボタン操作のタイミングに係る感度を調整することに関し、僅かな押下量でボタン押下があったと検知されるような感度であれば、プレイヤーが押下を開始してからボタン押下があったと検知されるまでの時間を短縮し、ボタン操作をより正確かつ迅速に行い得る。
【0009】
ところで、大会会場にコントローラを載置可能な台がない等の事情により、プレイヤーは、膝の上等によって例示される不安定な場所にコントローラを載置して利用する場合がある。不安定な場所に載置されたコントローラは、プレイヤーの姿勢の変化等によってその向きが変化し得る。コントローラの向きが変化することに伴い、プレイヤーが押下を意図していないボタンの押下量が変化し得る。よって、不安定な場所にコントローラが載置されている場合、僅かな押下量でボタン押下があったと検知されるような感度であれば、ボタン押下を意図していないときにボタン押下があったと誤って検知され得る。これにより、ボタン操作に係るタイミングの検知がかえって不正確になってしまうことが懸念される。
【0010】
ボタン操作のタイミングに関する感度調整がボタンごとに可能であれば、プレイヤーは、大会会場の環境等に応じた感度に各ボタンの感度を調整し得る。このような感度調整の手段に関し、例えば、ビデオゲーム機等にインストールされたソフトウェアによって感度調整を行う構成があり得る。しかしながら、そのような感度調整は、感度調整のためのソフトウェアがインストールされたビデオゲーム機等との接続を要する。そのため、競技開始前におけるビデオゲーム機へのコントローラの接続が制限されている大会等では、感度調整を行えなくなってしまう。ビデオゲーム機への接続の有無を問わずこのような感度調整が可能であれば、プレイヤーは、そのような大会であっても、大会会場の環境に応じたより正確かつ迅速なタイミングでボタン押下を検知するようコントローラを調整し得る。
【0011】
しかしながら、特許文献1の技術は、アナログ操作部におけるアナログ感度の調整をゲームのプレイ中及びゲームのプレイ中でないときに行い得るにとどまる。よって、特許文献1の技術は、ボタン押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わずボタン操作のタイミングに関する感度調整を行うこととを両立する点において、さらなる改良の余地がある。
【0012】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボタン押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わずボタン操作のタイミングに関する感度調整をボタンごとに行うこととを両立可能なビデオゲーム用コントローラを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ボタンの押下量の代わりに押下量の変化速度を用いてボタンの押下タイミングを検知し、当該検知に係る感度調整のためのスイッチを設け、さらに、感度調整に基づく押下タイミングの検知等をコントローラの制御装置と別体に設けられたマイクロコンピュータで行うことによって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0014】
第1の特徴に係る発明は、ビデオゲーム用コントローラのボタンと、通電状態及び非通電状態によらず前記ボタンの感度に関する閾値を調整可能なスイッチと、前記ボタン及び前記スイッチのそれぞれと電気的に接続され、前記コントローラの制御装置と別体に設けられたマイクロコンピュータと、を備え、前記ボタンの数は、2以上であり、前記ボタンは、当該ボタンの押下量を検知可能なセンサを有し、前記マイクロコンピュータは、前記スイッチから閾値を取得するよう構成された閾値取得部と、前記ボタンの押下量を取得するよう構成された押下量取得部と、前記押下量の時系列情報に基づいて前記押下量の変化速度を算出するよう構成された変化速度算出部と、算出された前記変化速度が、前記ボタンの押下される向きにおいて前記閾値を上回るタイミングである押下タイミングを検知するよう構成された押下タイミング検知部と、前記押下量及び/又は前記変化速度に基づいて前記ボタンが離上するタイミングである離上タイミングを検知するよう構成された離上タイミング検知部と、前記押下タイミングから前記離上タイミングまでにおいて前記ボタンが押下された押下状態であると識別可能な押下信号を前記制御装置へ提供し、前記離上タイミングから前記押下タイミングまでにおいて前記ボタンが押下されていない非押下状態であると識別可能な非押下信号を前記制御装置へ提供するよう構成された信号提供部と、を有する、ビデオゲーム用コントローラのボタンモジュールを提供する。
【0015】
正確かつ迅速なタイミングでボタンを押下しようとするとき、プレイヤーは、素早くボタンを押下することで、押下開始から押下が検知されるまでの時間を短くしようとすると考えられる。一方、コントローラの向きの変化等によって例示されるプレイヤーが意図しない原因がもたらす押下量の変化速度は、変化した押下量の大小によらず、プレイヤーによるボタン押下がもたらす押下量の変化速度より小さいと考えられる。
【0016】
第1の特徴に係る発明は、ボタンの押下量の代わりにボタンの押下量の変化速度を用いてボタンの押下タイミングを正確かつ迅速に検知できる。これにより、第1の特徴に係る発明は、プレイヤーがボタン押下を意図した場合において、従来技術のように押下量が所与の閾値を超えるまで待つことなく、押下量の変化速度がプレイヤーの意図が反映された大きな変化速度となるより早いタイミングで、ボタン押下を正確かつ迅速に検知できる。さらに、第1の特徴に係る発明は、プレイヤーが意図しない原因により、小さい変化速度で押下量が増えた場合において、従来技術のように押下量が所与の閾値を超えたためにボタン押下があったと誤検知されることを防ぎ得る。
【0017】
ところで、押下量の変化速度を用いた検知では、プレイヤーがボタンを押し終えて押下量の変化速度が小さくなった場合に押下されていないと誤検知される課題が生じ得る。第1の特徴に係る発明は、プレイヤーがボタンを押し終えても、ボタンが離上するまでは引き続きボタンが押下状態であるとの信号を提供できる。また、第1の特徴に係る発明は、ボタンが離上してからプレイヤーが再びボタンを押すまで、ボタンが非押下状態であるとの信号を提供できる。
【0018】
第1の特徴に係る発明は、通電状態及び非通電状態によらず閾値を調整可能なスイッチからボタンの感度に関する閾値を取得するため、通電状態及び非通電状態によらず、ビデオゲーム機への接続の有無を問わずボタン操作のタイミングに関する感度調整を行うことが可能である。
【0019】
このような感度調整をビデオゲーム用コントローラの制御装置で行う場合、ボタンからの信号線に加えて、スイッチからの信号線が制御装置に接続される。しかしながら、制御装置は、接続される信号線の数が増えるに従い、各信号線を介して提供される信号すべてを短い検出間隔で検出することがより困難になることが知られている。加えて、押下されているか否かの2値の値ではなく押下量がボタンから取得される場合、信号線を介して制御装置に提供される信号の情報量が多くなり、そのような信号を処理するために制御装置の構成が複雑となり得る。
【0020】
第1の特徴に係る発明は、制御装置と別体に設けられたマイクロコンピュータが、2以上のボタンについて、ボタンが押下されたか否かの判別及び当該判別の感度調整を行い、押下されたか否かの判別結果という最小限の情報が含まれた信号のみを制御装置に提供する。そのため、ビデオゲーム用コントローラの制御装置は、提供された信号を用いて押下されているか否かを検出すれば足りる。よって、第1の特徴に係る発明は、制御装置の構成をいたずらに複雑にすることなく、制御装置がボタンの押下に係る信号を短い検出間隔で検出することを可能とする。
【0021】
また、第1の特徴に係る発明は、ボタンと1対1対応のスイッチにより、プレイヤーがボタン操作のタイミングに関する感度調整をボタンごとに行うことを可能とする。これにより、プレイヤーは、ボタンの位置の違い、ビデオゲームの特性、当該プレイヤーにおけるビデオゲームのプレイスタイル、当該プレイヤーの好み等によって例示される各種の事情におじて、各ボタンの感度を個別に調整できる。よって、プレイヤーは、各ボタンにおけるボタン押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるように感度を調整できる。
【0022】
よって、第1の特徴に係る発明は、ボタン押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わずボタン操作のタイミングに関する感度調整をボタンごとに行うこととを両立可能なビデオゲーム用コントローラを実現できる。
【0023】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記センサは、ホール素子を用いて構成されるボタンモジュールを提供する。
【0024】
ホール素子は、少ない設置スペースで位置検知センサを構成可能であることが知られている。よって、ホール素子を用いることにより、少ない設置スペースでボタンの位置に係る押下量を検知するセンサが構成可能となる。加えて、ホール素子は、磁界に係るホール効果を用いた非接触検知を行うため、耐久性に優れ、振動等の悪影響を受けにくいセンサを構成できる。
【0025】
これにより、第2の特徴に係る発明は、コントローラというスペースが限定されたデバイス内にボタンの数だけ設けることに適した省スペース、かつ、コントローラの振動等がボタン押下のタイミング検知に与える悪影響を受けにくい構成のセンサを実現できる。
【0026】
よって、第2の特徴に係る発明は、ボタン押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わずボタン操作のタイミングに関する感度調整をボタンごとに行うこととを両立可能なビデオゲーム用コントローラを実現できる。
【0027】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係るボタンモジュールと、前記信号提供部から提供された前記押下信号に基づいて前記2以上のボタンのそれぞれが押下状態又は非押下状態のいずれであるかを示す情報を外部へと提供可能な制御装置と、を備える、ビデオゲーム用のコントローラを提供する。
【0028】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明の構成によって、ボタン操作をより正確なタイミングで行えるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わずボタン操作のタイミングに関する感度調整を行うこととを両立可能なボタンモジュールから提供される押下信号に基づく情報をビデオゲーム機等によって例示される外部の機器に提供できるビデオゲーム用コントローラを提供できる。
【0029】
よって、第3の特徴に係る発明は、ボタン押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わずボタン操作のタイミングに関する感度調整をボタンごとに行うこととを両立可能なビデオゲーム用コントローラを実現できる。
【0030】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明のカテゴリ違いである。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、ボタン押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わずボタン操作のタイミングに関する感度調整をボタンごとに行うこととを両立可能なビデオゲーム用コントローラを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本実施形態のビデオゲーム用コントローラCを平面視した概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のコントローラCを正面から見たときの概略図である。
【
図3】
図3は、
図1のコントローラCを右側面から見たときの概略図である。
【
図4】
図4は、ボタンモジュール3の概略図である。
【
図5】
図5は、本実施形態のビデオゲーム用コントローラCのハードウェア構成及びソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本実施形態のマイクロコンピュータ33で実行されるボタン処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施形態のボタンモジュール3における押下タイミングの検知を示す説明図である。
【
図9】
図9は、変形例のビデオゲーム用コントローラCを平面視した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
【0034】
図1は、本実施形態のビデオゲーム用コントローラCを平面視した概略図である。
図2は、
図1のコントローラCを正面から見たときの概略図である。
図3は、
図1のコントローラCを右側面から見たときの概略図である。
図4は、ボタンモジュール3の概略図である。
図5は、本実施形態のビデオゲーム用コントローラCのハードウェア構成及びソフトウェア構成を示すブロック図である。以下、
図1から
図5を必要に応じて用いて、本実施形態のビデオゲーム用コントローラCの好ましい態様の一例が説明される。
【0035】
なお、本実施形態におけるコントローラCの向き等は、以下のように記載される。コントローラCの「手前」「下」は、使用の際にプレイヤーから最も近い側へ向かう向き(
図1の下方)を指す。コントローラCの「正面」は、コントローラを手前から見たときに前となる面である。コントローラCの「背面」は、コントローラを手前から見たときに後ろとなる面である。コントローラCの「奥」「上」は、正面から背面へ向かう向き(
図1の上方)を指す。コントローラCの「表」は、載置して使用される場合における重力方向上側を指す。コントローラCの「裏」は、載置して使用される場合における重力方向下側を指す。コントローラCの「右」は、コントローラCを載置して正面視したときに右側となる側へ向かう向きを指す。コントローラCの「左」は、コントローラCを載置して正面視したときに左側となる側へ向かう向きを指す。
【0036】
<ビデオゲーム用コントローラC>
本実施形態のビデオゲーム用コントローラC(コントローラC)は、少なくとも、コントローラ本体1、制御装置2、及びボタンモジュール3を含んで構成される。コントローラCは、本実施形態に係る感度調整が行われない通常ボタン4を含んで構成されてもよい。コントローラCは、方向に係る操作に用いられる方向操作部5を含んで構成されることが好ましい。また、必須の態様ではないが、コントローラCは、ボタン押下の検知に関する表示等を行うことが可能な表示部6を含んで構成されてもよい。また、本実施形態のコントローラCは、通常ボタン、方向操作部等が設けられた従来技術のコントローラに含まれる通常ボタンの一部又は全部を本実施形態のボタンモジュール3で置き換えて構成されてもよい。本実施形態のボタンモジュール3は、従来技術のコントローラの通常ボタンと同様に、ボタン31が押下されたか否かのデジタル信号を提供可能であるため、このような置き換えが容易である。ボタンモジュール3がデジタル信号を提供可能であることについては、後述する。
【0037】
〔コントローラ本体1〕
コントローラ本体1は、制御装置2、ボタンモジュール3、及び方向操作部5等によって例示されるコントローラCの各構成部材が取り付けられるように構成される。本実施形態のボタンモジュール3は、ボタン31及びスイッチ32、並びに、制御装置2、ボタン31及びスイッチ32のそれぞれと電気的に接続されたマイクロコンピュータ33を備える。ボタンモジュール3は、後に
図4を用いて詳細に説明される。
【0038】
コントローラ本体1は、コントローラCの各構成部材を配置可能な中空部分を有するように構成されることが好ましい。このとき、制御装置2及びマイクロコンピュータ33等のコントローラCの制御に係る部材は、中空部分に配されることが好ましい。これにより、制御に係る部材が外部に露出して誤動作し、正確な操作を妨げることが防がれる。制御装置2が中空部分に配される場合、コントローラ本体1は、各種部材が中空部分と外側との間にまたがって配置されることを可能とする穴を有することが好ましい。これにより、プレイヤーの操作に係る各種部材(例えば、ボタン31、スイッチ32、通常ボタン4、方向操作部5、及び表示部6等。)を、プレイヤーにより操作される一部分がコントローラCの外側に配され、制御装置2と接続される別の部分を中空部分に配されるよう設けることが可能となる。このような配置により、制御装置2と各種部材との間を電気的に接続する配線等がコントローラCの外側に露出し、誤動作を招くことが防がれる。
【0039】
コントローラ本体1の形状は、特に限定されない。コントローラ本体1の形状の一例として、
図1、
図2、及び
図3に示される、平面視及び正面視において略矩形かつ側面視において略台形の箱型がある。コントローラ本体1の形状は、例えば、直方体状でもよく、角の一部又は全部が面取りされた箱型でもよく、使用時においてプレイヤーに近い側等の一部にパームレストが形成された形状でもよい。本実施形態のボタンモジュール3は、ボタン押下量の変化速度すなわちボタンを押す速さに基づいてボタン31の押下を検知する。そのため、プレイヤーは、確実に押下が検知されることを期待して、従来技術のコントローラを用いる場合より勢いよくボタン31を押下する可能性がある。側面視において略台形の箱型のコントローラCでは、ボタン31を押下する力の一部がコントローラ本体1を奥に移動させるように作用し得る。これにより、プレイヤーは、勢い余ってコントローラCの位置をずらしてしまい得る。直方体状のコントローラ本体1は、ボタン31を押下する向きがコントローラCの表から裏への向きと略一致する。これにより、直方体状のコントローラ本体1は、コントローラCの位置がずれることを低減できる。
【0040】
パームレストが形成された形状のコントローラ本体1は、プレイヤーが手のひらをパームレストに置いてボタン31等を操作することを可能とする。上述のように、本実施形態のボタンモジュール3を用いるプレイヤーは、確実に押下が検知されることを期待して、従来技術のコントローラを用いる場合より勢いよくボタン31を押下する可能性がある。これにより、プレイヤーは、勢い余って手のひらの位置をずらしてしまい得る。パームレストが設けられることにより、本実施形態のコントローラCは、手のひらの位置のずれによる不正確なボタン31の押下操作を防ぐことができる。
【0041】
コントローラ本体1の材質は、特に限定されない。操作の反動でコントローラCの位置がずれることを防ぐべく、コントローラ本体1は、載置して使用するときに台等と接する側に滑り止めが設けられていることが好ましい。
【0042】
本実施形態のボタンモジュール3は、ボタン31の押下量の変化速度すなわちボタン31を押す速さに基づいてボタン31の押下を検知する。そのため、プレイヤーは、確実に押下が検知されることを期待して、従来技術のコントローラを用いる場合より勢いよくボタン31を押下する可能性がある。これにより、プレイヤーは、勢い余ってコントローラCの位置をずらしてしまうことがあり得る。滑り止めが設けられることにより、本実施形態のコントローラCは、操作の反動によるコントローラCの位置ずれがもたらす不正確なボタン押下操作を防ぐことができる。
【0043】
コントローラ本体1は、ボタン31、スイッチ32、通常ボタン4の識別に用いられる標識が外側に描かれてもよい。これにより、プレイヤーは、描かれた標識を用いて意図したボタン31等を正確に押下できる。
図1に示される例では、Aボタン31A、Bボタン31B、Xボタン31X、Yボタン31Y、Rボタン31R、Lボタン31L、RBボタン31RB、LBボタン31LB、通常ボタン4それぞれと対応する位置に、標識「A」「B」「X」「Y」「R」「L」「RB」「LB」「OPTIONS」が描かれている。ボタン31等の識別に用いられる標識は、上述の標識に限定されず、例えば、記号(「〇」「×」「□」「△」等)、数字(「1」「2」「3」「4」等)、色彩(赤、青、桃色、緑等)等によって例示される各種標識を含んでもよい。
【0044】
各ボタン31は、例えば、コントローラ本体1の表面の片側に相当する領域に並べて配置される。
図1は、各ボタン31及び通常ボタン4の配置の一例を示している。各ボタン31及び通常ボタン4の配置は、
図1に示された例に限定されず、ビデオゲーム機等の操作に適した各種の配置でよい。
【0045】
図1に示される例では、Xボタン31X、Yボタン31Y、Rボタン31R、及びLボタン31Lがコントローラ本体1の表面の中央から右側において、上下方向中央よりやや上方に、左から右へ向けて配列されている。そして、Xボタン31Xは、Yボタン31Y、Rボタン31R、及びLボタン31Lよりやや下側に配されている。これにより、プレイヤーは、右手を大きく動かすことなく、これら4つのボタンを操作できる。また、
図1に示される例では、Aボタン31A、Bボタン31B、RBボタン31RB、及びLBボタン31LBがXボタン31X、Yボタン31Y、Rボタン31R、及びLボタン31Lよりやや下側に、左から右へ向けて配列されている。そして、Aボタン31Aは、Bボタン31B、RBボタン31RB、及びLBボタン31LBよりやや下側に配されている。これにより、プレイヤーは、右手を大きく動かすことなく、上述の4つのボタンと共に、これら4つのボタンを操作できる。また、通常ボタン4が各ボタン31から離れて配されることにより、各ボタン31の操作中に通常ボタン4が誤って操作されることが防がれる。
【0046】
上述のように、本実施形態のコントローラCを用いるプレイヤーは、確実に押下が検知されることを期待して、従来技術のコントローラを用いる場合より勢いよくボタン31を押下する可能性がある。
図1に示される配置により、プレイヤーは、右手を大きく動かすことなく、各ボタン31を素早く正確に押下できる。これにより、プレイヤーが勢いよくボタン31を押下した場合であっても、他のボタン31、スイッチ32等を誤って操作すること、及び/又は、コントローラCの位置がずれることが防がれる。
【0047】
なお、
図1、
図2、及び
図3において、左側に方向操作部5が設けられ、中央から右側にボタン31が設けられた配置のコントローラ本体1が説明されたが、方向操作部5、ボタン31等の配置は、上述の例に限定されない。例えば、右側に方向操作部5が設けられ、中央から左側にボタン31が設けられる配置、略中央に方向操作部5が設けられ、左側及び右側にボタン31等が設けられる配置、左側及び右側に方向操作部5が設けられ、中央及び方向操作部5上にボタン31が設けられる配置、方向操作部5が設けられない配置、ボタン31及び回転操作部が設けられる配置等によって例示される各種配置が可能である。また、方向操作部5、ボタン31、通常ボタン4等の配置は、それらの一部がコントローラ本体1の背面、側面、裏、正面等の表と異なる側に配置される配置でもよい。これにより、コントローラ本体1の表に配された方向操作部5、ボタン31、通常ボタン4等が操作されたときに、勢い余って表と異なる側に配された方向操作部5、ボタン31、通常ボタン4等が操作されることが防がれる。よって、プレイヤーは、よりいっそう正確かつ迅速にビデオゲームに係る操作を行える。
【0048】
〔制御装置2〕
制御装置2は、プレイヤーに操作される各種部材からの入力に係る情報を外部(例えば、ビデオゲーム機等)に提供可能であれば、特に限定されない。制御装置2は、マイクロコンピュータ33から提供される信号に基づいて、ボタン31が押下状態又は非押下状態のいずれであるかに関する情報を外部に提供する。本実施形態におけるボタン31の「押下状態」「非押下状態」は、後に
図6、
図7を用いて詳細に説明される。
【0049】
〔ボタンモジュール3〕
図4は、ボタンモジュール3の概略図である。ボタンモジュール3は、コントローラCのボタン31と、通電状態及び非通電状態によらずボタン31の感度に関する閾値を調整可能なスイッチ32と、ボタン31及びスイッチ32のそれぞれと電気的に接続され、コントローラCの制御装置2と別体に設けられたマイクロコンピュータ33と、を備える。
【0050】
ボタンモジュール3は、2以上のボタン31及び2以上のスイッチ32を備えることが好ましい。これにより、制御装置2は、接続される信号線の数が少なくなり、各信号線を介して提供される信号すべてを短い検出間隔で検出することができる。また、これにより、マイクロコンピュータ33の数がいたずらに増えてボタンモジュール3を複雑にすることが防がれる。
【0051】
ボタンモジュール3において、ボタン31及びスイッチ32の少なくとも一部は、1対1対応していることが好ましい。当該構成により、プレイヤーがボタン31の操作のタイミングに関する感度調整を各ボタン31ごとに行うことが可能となる。これにより、プレイヤーは、ボタン31の位置の違い、ビデオゲームの特性、当該プレイヤーにおけるビデオゲームのプレイスタイル、当該プレイヤーの好み等によって例示される各種の事情におじて、各ボタン31の感度を個別に調整できる。よって、プレイヤーは、各ボタン31における押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるように感度を調整できる。
【0052】
[ボタン31]
ボタン31は、ボタン31の押下量を検知可能なセンサを有する。ボタン31は、例えば、ボタン本体311、付勢部材312、センサ313、及び支持部材314を有するよう構成される。このとき、ボタン本体311は、支持部材314内部においてボタン本体311が押下される方向に摺動可能に配置され、付勢部材312を介して支持部材314と接続される(
図4)。そして、ボタン本体311が付勢部材312により付勢される向きと対向する向きに押下されたとき、センサ313によって、ボタン本体311の押下量が検出される。また、プレイヤーがボタン本体311の押下をやめたとき、ボタン本体311は、付勢部材312によって押下された向きと反対の向きに離上する。そして、センサ313によって、ボタン本体311が離上したことが検出される。
【0053】
付勢部材312は、ボタン本体311が離上する向きに付勢可能な部材であれば、特に限定されず、例えば、各種のバネ等でよい。センサ313は、ボタン31の押下量を検出可能であれば、特に限定されず、各種のセンサでよい。なかでも、センサ313は、ホール素子を用いて構成されることが好ましい。
【0054】
磁界の変化を検知するホール素子は、少ない設置スペースで位置検知センサを構成可能であることが知られている。よって、センサ313としてホール素子を用いることで、少ない設置スペースでボタン31の位置に係る押下量を検知するセンサ313が構成可能となる。加えて、ホール素子は、磁界に係るホール効果を用いた非接触検知を行うため、耐久性に優れ、振動等の悪影響を受けにくいセンサ313を構成できる。さらに、ホール素子は、高い精度で位置を検知可能である。そのため、センサ313としてホール素子を用いることで、短い時間間隔で押下量が取得された場合であっても、変化速度を算出するために十分な精度の押下量を検知できるセンサ313を構成できる。
【0055】
[スイッチ32]
スイッチ32は、通電状態及び非通電状態によらずボタン31の感度に関する閾値を調整可能に構成される。スイッチ32は、例えば、スイッチ32の回転によって上述の閾値を調整可能な回転スイッチ、スイッチ32のスライド動作によって上述の閾値を調整可能なスライドスイッチ、スイッチ32のトグル動作によって上述の閾値を調整可能なトグルスイッチ等を用いて構成される。
【0056】
なかでも、スイッチ32は、回転スイッチを用いて構成されることが好ましい。回転スイッチを用いて構成されたスイッチ32は、スライドスイッチ又はトグルスイッチより狭いスペースで配置可能である。これにより、他の部材を操作したときに誤って操作されることがない、他の部材から離れたコントローラ本体1上の領域に、スイッチ32を配することが可能となる。
図1には、このようなスイッチ32の配置の一例として、使用の際にボタン31よりプレイヤーから離れた領域であって、ボタン31とスイッチ32との間隔のうち最も狭い間隔が、当該ボタン31と当該ボタン31から2番目に近いボタン31との間隔より広くなるよう配置されたスイッチ32の配置が示されている。
【0057】
上述のように、本実施形態のコントローラCを用いるプレイヤーは、確実に押下が検知されることを期待して、従来技術のコントローラを用いる場合より勢いよくボタン31を押下する可能性がある。これにより、プレイヤーは、勢い余ってボタン31から離れたところに手等を動かしてしまい得る。他の部材から離れたコントローラ本体1上の領域に、回転スイッチを用いて構成されたスイッチ32を配することにより、このような場合にスイッチ32が誤って操作されてボタン31の感度に関する閾値が変化し、正確でない操作が行われることが防がれる。当該効果を実現するためのスイッチ32の配置は、上述の配置に限定されず、例えば、スイッチ32がコントローラ本体1の背面、側面、裏、正面等の表と異なる側に配置される配置、スイッチ32がコントローラ本体1の内部に配置される配置、スイッチ32がコントローラ本体1に設けられた凹部に配置される配置等でもよい。スイッチ32がコントローラ本体1の表と異なる側に配置される配置により、スイッチ32は、コントローラ本体1の表に配されたボタン31等を操作したプレイヤーにより勢い余って操作されることが防がれる。スイッチ32がコントローラ本体1の内部に配置される配置により、スイッチ32は、コントローラ本体1の表に設けられた天板を外す、及び/又はコントローラ本体1に設けられた蓋を外す等の所定の手順を踏んで調整されるようにできる。これにより、スイッチ32は、コントローラ本体1の外側に配されたボタン31等を操作したプレイヤーにより勢い余って操作されることが防がれる。スイッチ32がコントローラ本体1に設けられた凹部に配置される配置により、スイッチ32は、その頂部がコントローラ本体1の天板と同じ又はより低い位置となるよう配置できる。これにより、スイッチ32は、コントローラ本体1の表に配されたボタン31等を操作したプレイヤーにより勢い余って操作されることが防がれる。このとき、当該凹部を覆い、開閉可能な透明、半透明、又は不透明の蓋を設けることにより、スイッチ32の誤操作がよりいっそう防がれる。
【0058】
[マイクロコンピュータ33]
マイクロコンピュータ33は、ボタン31、スイッチ32、及び制御装置2と電気的に接続され、マイクロコンピュータ33内に格納されたプログラムを実行可能であれば、特に限定されない。プログラムは、書き換えできる領域に格納されていてもよく、書き換えできない領域に格納されていてもよい。また、マイクロコンピュータ33の電子回路の一部が格納されたプログラムに相当する機能を提供するよう構成されていてもよい。また、マイクロコンピュータ33は、ボタン31それぞれについて、押下されているか否かに関する情報が格納されるよう構成されることが好ましい。
【0059】
マイクロコンピュータ33は、格納されたプログラムを実行することにより、本実施形態のマイクロコンピュータ33のソフトウェア構成要素である閾値取得部331、押下量取得部332、変化速度算出部333、押下タイミング検知部334、離上タイミング検知部335、及び信号提供部336等を実現する。そして、マイクロコンピュータ33は、ボタン31の押下検知及び感度調整に関するボタン処理を実行する。ボタン処理は、後に
図6及び
図7を用いて詳細に説明される。
【0060】
マイクロコンピュータ33は、ビデオゲーム機等から提供されたプログラム、データ等を格納可能であることが好ましい。これにより、プレイヤーは、コントローラCをビデオゲーム機等に接続し、マイクロコンピュータ33で実行されるボタン処理に係るプログラム、データ等を更新して、より正確な入力を行えるように調整することができる。また、マイクロコンピュータ33は、マイクロコンピュータ33に格納されたプログラム、データ等をビデオゲーム機等に提供可能であることが好ましい。これにより、プレイヤーは、提供されたプログラム、データ等に基づいて、コントローラCの状態を把握できる。そして、プレイヤーは、当該状態を参考に、より正確な入力を行い得る。
【0061】
図4に示す例では、センサ313からの信号線及びスイッチ32からの信号線がマイクロコンピュータ33の入力ポートに接続されている。これにより、マイクロコンピュータ33は、センサ313において検知された押下量(アナログ信号)及びスイッチ32において調整された閾値に基づいて、ボタン処理を実行できる。また、
図4に示す例では、マイクロコンピュータ33の出力ポートから制御装置2の入力ポートへ向けて信号線が接続されている。これにより、マイクロコンピュータ33は、押下信号又は非押下信号、すなわち押下の有無に係るデジタル信号を制御装置2へ提供できる。
【0062】
本実施形態のマイクロコンピュータ33においてセンサ313からの信号線及びスイッチ32からの信号線の2本の信号線が制御装置2への1本の信号線に集約されるため、制御装置2は、接続される信号線の数が少なくなり、かつ、アナログ信号より取得が容易なデジタル信号を提供されるため、各信号線を介して提供される信号すべてを短い検出間隔で検出することができる。
【0063】
〔通常ボタン4〕
通常ボタン4は、従来技術のゲーム用コントローラのボタンと同様である。通常ボタン4は、設けられなくてもよく、1以上の任意の数が設けられていてもよい。通常ボタン4は、押下に関する信号を制御装置2に提供する。
【0064】
〔方向操作部5〕
方向操作部5は、従来技術のゲーム用コントローラの方向操作部5と同様である。方向操作部5は、例えば、方向を入力可能なレバー、方向入力キー、アナログスティック、ダイヤル等を用いて構成され、入力された方向を示す信号を制御装置2に提供する。
【0065】
〔表示部6〕
表示部6は、各種の情報を表示可能であれば、特に限定されない。表示部6は、例えば、LEDインジケータ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いて構成される。
【0066】
表示部6は、ボタン31の押下に関する情報を表示可能であることが好ましい。これにより、プレイヤーは、ビデオゲーム機から出力される表示に頼ることなく、スイッチ32を介した感度調整の結果を表示部6において確認できる。当該情報は、例えば、ボタン31が押下されているとの情報、ボタン31が押下されていないとの情報、ボタン31の押下回数に係る情報等によって例示される各種情報の1以上を含む。押下されているとの情報又は押下されていないとの情報が表示されることにより、プレイヤーは、ボタン31の押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるような感度調整となっているかを判別できる。押下回数に係る情報が表示されることにより、プレイヤーは、自ら押下した回数と表示された回数との比較によって、正確な入力が行える感度調整となっているかを判別できる。
【0067】
〔ボタン処理のメインフローチャート〕
図6は、本実施形態のマイクロコンピュータ33で実行されるボタン処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
図7は、
図6から続く図である。以下は、
図6及び
図7を用いた、本実施形態のマイクロコンピュータ33で実行されるボタン処理の好ましい流れの一例の説明である。
【0068】
[ステップS1:閾値を取得]
マイクロコンピュータ33は、閾値取得部331を実行する。そして、マイクロコンピュータ33は、閾値取得部331に係る処理であって、各スイッチ32からボタン31の感度に関する閾値それぞれを取得し、マイクロコンピュータ33の記憶領域に格納する処理を実行する(ステップS1、閾値取得ステップ)。マイクロコンピュータ33は、処理をステップS2へと移す。
【0069】
閾値取得ステップは、後述する押下量の取得間隔より長い所定間隔で閾値を取得するよう構成されていても良い。これにより、ボタン処理全体における押下量の取得間隔がより短い構成が可能となる。よって、ボタン31が押下されたタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようになる。
【0070】
[ステップS2:押下量を取得]
マイクロコンピュータ33は、押下量取得部332を実行する。そして、マイクロコンピュータ33は、押下量取得部332に係る処理であって、各ボタン31からボタン31の押下量それぞれを取得し、マイクロコンピュータ33の記憶領域に格納する処理を実行する(ステップS2、押下量取得ステップ)。マイクロコンピュータ33は、処理をステップS3へと移す。
【0071】
押下量取得ステップは、例えば、センサ313からボタン31の押下量を取得する。センサ313から取得される信号は、押下量に応じた電圧等のアナログ信号でもよく、センサ313において生成された押下量を示すデジタル信号でもよい。
【0072】
なかでも、センサ313から取得される信号は、押下量に応じた電圧等のアナログ信号であることが好ましい。これにより、マイクロコンピュータ33は、センサ313において押下量を示すデジタル信号が生成される頻度によらない短い取得間隔で押下量を取得できる。よって、ボタン31が押下されたタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようになる。
【0073】
続いて、マイクロコンピュータ33は、変化速度算出部333に係るステップS3からステップS4の処理を実行する。
【0074】
[ステップS3:押下量の変化速度を算出するか判別]
マイクロコンピュータ33は、変化速度算出部333を実行する。そして、マイクロコンピュータ33は、変化速度算出部333に係る処理であって、ステップS2で取得された各ボタン31の押下量の変化速度をそれぞれ算出するか否かを判別する処理を実行する(ステップS3、変化速度算出有無判別ステップ)。算出すると判別された場合、マイクロコンピュータ33は、処理をステップS4へと移す。算出すると判別されなかった場合、マイクロコンピュータ33は、処理をステップS9へと移す。
【0075】
変化速度算出有無判別ステップは、特に限定されず、例えば、予め定められた算出間隔に応じたタイミングであれば、算出すると判別し、それ以外のタイミングであれば、算出すると判別しない処理でよい。押下量と当該押下量の直前に取得された別の押下量との差から押下量の変化速度を算出する場合、ノイズ、振動その他の原因による誤検知が生じ得る。算出間隔に応じたタイミングを用いた上述の判別により、マイクロコンピュータ33は、予め定められた算出間隔の間における押下量の時系列情報を用いた、誤検知の少ない押下タイミングの検知を行える。
【0076】
算出間隔は、後述する信号を提供する間隔より短いことが好ましい。これにより、例えば、信号を提供する直前にボタン31の押下が開始された場合であっても、ボタン31の押下が正確かつ迅速に検知される。
【0077】
[ステップS4:押下量の変化速度を算出]
マイクロコンピュータ33は、変化速度算出部333を実行する。そして、マイクロコンピュータ33は、変化速度算出部333に係る処理であって、ステップS2で取得された押下量の時系列情報に基づいて、各ボタン31の押下量の変化速度をそれぞれ算出する処理を実行する(ステップS4、変化速度算出ステップ)。マイクロコンピュータ33は、処理をステップS5へと移す。
【0078】
変化速度算出ステップは、ステップS2で取得された押下量の時系列情報に基づいて、押下量の変化速度を算出する処理であれば、特に限定されない。当該処理は、例えば、前回の変化速度算出ステップから今回の変化速度算出ステップまでの間に取得された押下量の時系列情報に基づいて押下量の変化速度を算出する手順を含む。
【0079】
続いて、マイクロコンピュータ33は、押下タイミング検知部334に係るステップS5からステップS6の処理(押下タイミング検知ステップ)を実行する。
【0080】
[ステップS5:押下する向きの変化速度が閾値を上回るか判別]
マイクロコンピュータ33は、押下タイミング検知部334を実行する。そして、マイクロコンピュータ33は、押下タイミング検知部334に係る処理であって、ステップS4で算出された変化速度が、対応するボタン31の押下される向きにおいてステップS1で取得された閾値であって、判別対象のボタン31に関する閾値を上回るタイミングであるか否かを各ボタン31それぞれについて判別する処理を実行する(ステップS5、押下タイミング判別ステップ)。いずれかのボタン31について上回ると判別された場合、すなわち、押下タイミングが検知された場合、マイクロコンピュータ33は、処理をステップS6へと移す。いずれのボタン31についても上回ると判別されなかった場合、マイクロコンピュータ33は、処理をステップS7へと移す。
【0081】
[ステップS6:押下状態に変更]
マイクロコンピュータ33は、押下タイミング検知部334を実行する。そして、マイクロコンピュータ33は、押下タイミング検知部334に係る処理であって、ステップS5で閾値を上回ると判別されたボタン31について、マイクロコンピュータ33の記憶領域に記憶される当該ボタン31に関する状態を押下状態に変更する処理を実行する(ステップS5、押下状態格納ステップ)。マイクロコンピュータ33は、処理をステップS7へと移す。
【0082】
押下タイミング検知ステップの後に、又は、先に、マイクロコンピュータ33は、離上タイミング検知部335に係る離上タイミング検知ステップを実行する。以下に示すステップS7からステップS8の処理は、離上タイミング検知ステップで行われる処理の一例である。
【0083】
[ステップS7:離上する向きの変化速度が所定の速さを上回るか判別]
マイクロコンピュータ33は、離上タイミング検知部335を実行する。そして、マイクロコンピュータ33は、離上タイミング検知部335に係る処理であって、ステップS4で算出された変化速度が、対応するボタン31の離上する向きにおいて判別対象のボタン31に関する所与の閾値を上回るタイミングであるか否かを各ボタン31それぞれについて判別する処理を実行する(ステップS7、離上タイミング判別ステップ)。いずれかのボタン31について上回ると判別された場合、すなわち、離上タイミングが検知された場合、マイクロコンピュータ33は、処理をステップS8へと移す。いずれのボタン31についても上回ると判別されなかった場合、マイクロコンピュータ33は、処理をステップS9へと移す。
【0084】
[ステップS8:非押下状態に変更]
マイクロコンピュータ33は、離上タイミング検知部335を実行する。そして、マイクロコンピュータ33は、離上タイミング検知部335に係る処理であって、ステップS7で閾値を上回ると判別されたボタン31について、マイクロコンピュータ33の記憶領域に記憶される当該ボタン31に関する状態を非押下状態に変更する処理を実行する(ステップS8、非押下状態格納ステップ)。マイクロコンピュータ33は、処理をステップS9へと移す。
【0085】
[離上タイミング検知ステップの別構成]
離上タイミング検知ステップで行われる処理は、上述のステップS7からステップS8の処理に限定されず、ボタン31の離上を検知する各種処理でよい。当該処理は、例えば、ボタン31の押下量が所定の値を下回ったときに離上タイミングであると判別する手順、ボタン31の押下量と押下量の変化速度とを組み合わせて判別する手順等を含む。
【0086】
押下タイミング検知ステップ及び離上タイミング検知ステップが実行された後に、マイクロコンピュータ33は、信号提供部336に係るステップS9からステップS10の処理(信号提供ステップ)を実行する。
【0087】
[ステップS9:押下信号を提供するか判別]
マイクロコンピュータ33は、信号提供部336を実行する。そして、マイクロコンピュータ33は、信号提供部336に係る処理であって、制御装置2に押下信号を提供するか判別する処理を実行する(ステップS9、信号提供有無判別ステップ)。提供すると判別された場合、マイクロコンピュータ33は、処理をステップS10へと移す。提供すると判別されなかった場合、マイクロコンピュータ33は、処理をステップS1へと移し、ステップS1からステップS10の処理を繰り返す。
【0088】
信号提供有無判別ステップは、特に限定されず、例えば、制御装置2からボタン31の押下に係る信号の提供を要求されたタイミング、当該信号の提供に係る所定のタイミング等であれば、信号を提供すると判別する手順を含むステップで良い。信号の提供に係る所定のタイミングは、例えば、信号を提供する周期が1kHz等の所定の周波数に対応する周期となるタイミング等である。
【0089】
[ステップS10:押下信号を提供]
マイクロコンピュータ33は、信号提供部336を実行する。そして、マイクロコンピュータ33は、信号提供部336に係る処理であって、ステップS6において押下状態への変更が行われた押下タイミングからステップS8において非押下状態への変更が行われた離上タイミングまでにおいてボタン31が押下された押下状態であると識別可能な押下信号を制御装置2へ提供し、上述の離上タイミングから上述の押下タイミングまでにおいてボタン31が押下されていない非押下状態であると識別可能な非押下信号を、各ボタン31について、制御装置2へ提供する処理を実行する(ステップS10、押下信号提供実行ステップ)。マイクロコンピュータ33は、処理をステップS1へと移し、ステップS1からステップS10の処理を繰り返す。
【0090】
[ボタン処理の効果]
図8は、本実施形態のボタンモジュール3における押下タイミングの検知を示す説明図である。押下量を用いた従来技術の押下タイミングの検知では、プレイヤーが押下を意図したタイミングt
0の後、ボタン31の押下量pがあそびPを超えたp
1となるタイミングt
2でボタン31の押下を検知する。そのため、従来技術において押下が検知されるタイミングt
2は、プレイヤーが押下を意図したタイミングt
0から遅れたタイミングとなってしまう。また、従来技術では、プレイヤーが離上を意図したタイミングt
3から押下量pがあそびPを超えたp
2となり離上が検知されるタイミングt
5までにおいても、同様の遅れが生じる。なお、
図8においては、見やすくするためにPとp
1との間隔、Pとp
2との間隔がそれぞれ誇張して描かれている。
【0091】
一方、本実施形態のボタン処理は、押下量pの変化速度(傾き)が閾値Tを超えるタイミングt
1でボタン31の押下を検知する。そのため、本実施形態において押下が検知されるタイミングt
1は、プレイヤーが押下を意図したタイミングt
0からの遅れが従来技術より小さくなる。また、本実施形態のボタン処理は、プレイヤーが離上を意図したタイミングt
3から離上が検知されるタイミングt
4までにおいても、同様に遅れを小さくし得る。なお、
図8においては、見やすくするためにタイミングt
0からt
1までの遅れ及びタイミングt
3からタイミングt
5までの遅れがそれぞれ誇張して描かれている。
【0092】
これにより、本実施形態のボタン処理は、従来技術においてボタン31が押下されていると判別されるタイミングt
2からタイミングt
5までの間(
図8の破線矢印)より迅速かつ正確なタイミングt
1からタイミングt
4までの間(
図8の実線矢印)において、ボタン31が押下されているとの信号を提供できる。
【0093】
さらに、本実施形態のボタン処理は、プレイヤーがボタン31の押下を意図しておらず押下量の変化速度が小さい場合において、従来技術のように押下量が所与の閾値を超えたためにボタン31の押下があったと誤検知されることを防ぎ得る。しかも、本実施形態のボタン処理は、ビデオゲーム機等に接続されていない場合であっても閾値Tを調整可能である。そのため、プレイヤーは、コントローラCをビデオゲーム機等に接続することなく、ボタン31の感度を調整できる。これにより、プレイヤーは、任意のタイミングで、例えば、振動等による誤検知をよりいっそう防ぐ低い感度、よりいっそう迅速な検知を可能とする高い感度等になるよう、感度を調整できる。
【0094】
加えて、本実施形態のボタン処理を実行するボタンモジュール3は、ボタン31から提供される押下量pのアナログ信号及びスイッチ32から提供される閾値Tを、マイクロコンピュータ33によってデジタル信号に変換してから制御装置2に提供する。そのため、本実施形態のボタンモジュール3は、押下量pのアナログ信号及び閾値Tを取得するために制御装置2の構成をいたずらに複雑にすることなく、制御装置2がボタン31の押下に係る信号を短い検出間隔で検出することを可能とする。
【0095】
しかも、ボタンモジュール3は、ボタン31と1対1対応のスイッチ32により、プレイヤーがボタン31の操作のタイミングに関する感度調整をボタン31ごとに行えるよう構成できる。これにより、プレイヤーは、ボタン31の位置の違い、ビデオゲームの特性、当該プレイヤーにおけるビデオゲームのプレイスタイル、当該プレイヤーの好み等によって例示される各種の事情におじて、各ボタン31の感度を個別に調整できる。よって、プレイヤーは、各ボタン31における押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるように感度を調整できる。
【0096】
これにより、本実施形態のボタンモジュール3は、ボタン31が押下されたタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わずボタン31の操作タイミングに関する感度調整をボタン31ごとに行うこととを両立可能なビデオゲーム用コントローラCを実現できる。
【0097】
〔使用例〕
以下は、本実施形態のビデオゲーム用コントローラCの使用例である。
【0098】
[台がない場合の感度調整]
プレイヤーは、ビデオゲーム大会の会場にコントローラCを持参する。そして、プレイヤーは、各種コントローラを載置可能な台が予選会場に用意されていないことを確認し、競技開始前に、膝上で抱えられたコントローラCに応じた比較的低い感度に調整する。すなわち、プレイヤーは、コントローラCをビデオゲーム機等に接続することなくスイッチ32を用いた調整を行い、台がある環境でプレイする場合より大きな閾値に調整する。
【0099】
[ビデオゲーム機等に接続してプレイ(予選)]
プレイヤーは、感度調整を済ませたコントローラCを大会主催者が用意したビデオゲーム機等に接続する。そして、プレイヤーは、接続されたコントローラCを膝上に抱えてビデオゲーム大会の予選をプレイする。当該コントローラCは、比較的低い感度に調整済であるため、膝上でコントローラCが揺れてもボタン31の誤入力が行われない。よって、当該コントローラCは、感度調整が行われていない従来技術のコントローラより正確かつ迅速にプレイヤーの操作を検知する。これにより、プレイヤーは、自らの意図通りにビデオゲームをプレイし、予選を勝ち抜く好成績を収め得る。
【0100】
[台がある場合の感度調整]
本戦に勝ち上がったプレイヤーは、各種コントローラを載置可能な台が本戦会場に用意されていることを確認し、競技開始前に、台に載置されたコントローラCに応じた比較的高い感度に調整する。すなわち、プレイヤーは、コントローラCをビデオゲーム機等に接続することなくスイッチ32を用いた調整を行い、台がない環境でプレイする場合より小さな閾値に調整する。
【0101】
[ビデオゲーム機等に接続してプレイ(本戦)]
プレイヤーは、感度調整を済ませたコントローラCを大会主催者が用意したビデオゲーム機等に接続する。そして、プレイヤーは、接続されたコントローラCを台上に載置してビデオゲームをプレイする。当該コントローラCは、比較的高い感度に調整済であるため、ボタン31の押下を正確かつ迅速に検知する。これにより、プレイヤーは、自らの意図通りにビデオゲームをプレイし、本戦を勝ち上がる好成績を収め得る。
【0102】
[ビデオゲーム以外での利用]
本実施形態のコントローラCは、ビデオゲーム以外の用途にも利用可能である。ビデオゲーム以外の用途として、例えば、ラジコンカー、ラジコン飛行機、ラジコンヘリコプター、ラジコン船、ドローン、及び無人農耕作業用自動車等によって例示される無人車両の操作が挙げられる。無人車両は、コントローラCを載置可能な台の有無、船上等の不安定な足場、車内等の揺れる環境等によって例示される各種の操作環境で操作され得る。本実施形態のコントローラCを用いて無人車両を操作することにより、操作者は、各種の操作環境に応じた感度調整を、無人車両の遠隔操作装置の電源を投入し、バッテリーをいたずらに消耗させることなく行うことができる。
【0103】
また、ビデオゲーム以外の別の用途として、起重機及びショベルカー等によって例示される建設機械の操作が挙げられる。建設機械は、舗装地、未舗装地等の様々な環境で利用される。本実施形態のコントローラCを用いて無人車両を操作することにより、操作者は、様々な環境に応じた感度調整を、建設機械のエンジンを動作させ、燃料をいたずらに消費させることなく行うことができる。加えて、本実施形態のコントローラCは、自動車、船舶、及び航空機等によって例示される各種有人車両の操縦にも利用可能であり、各種車両の操縦者がエンジンを動作させることなく、好み及び/又は環境に応じた感度調整を行うことを可能にする。その他、本実施形態のコントローラCは、加工用機械等によって例示される各種機械の操作にも利用可能であり、機械を起動することなく、好み及び/又は環境に応じた感度調整を行うことを可能にする。
【0104】
<変形例>
図9は、変形例のビデオゲーム用コントローラCを平面視した概略図である。変形例のビデオゲーム用コントローラCは、本実施形態のボタンモジュール3と同様のボタンを用いて方向操作部5を構成することにより、ボタン入力だけでなく、方向操作についても、操作のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わず操作のタイミングに関する感度調整をボタンごとに行うこととを両立可能とする。
【0105】
変形例のコントローラCは、方向操作部5の構成を除き、本実施形態のコントローラCと同様に構成される。変形例のコントローラCは、レバーを用いて構成された方向操作部5の代わりに、又は、レバーを用いて構成された方向操作部5に加えて、方向ボタン51と、通電状態及び非通電状態によらず方向ボタン51の感度に関する閾値を調整可能な方向スイッチ52と、方向ボタン51及び方向スイッチ52のそれぞれと電気的に接続され、コントローラCの制御装置2と別体に設けられた方向操作用マイクロコンピュータと、を備える方向操作部5を含んで構成される。
【0106】
図9に示された例では、コントローラ本体1の左側半面中央に「LEFT」の標識と対応付けられた左方向ボタン51L、「UP」の標識と対応付けられた上方向ボタン51U、「DOWN」の標識と対応付けられた下方向ボタン51D、及び「RIGHT」の標識と対応付けられた右方向ボタン51Rが設けられている。そして、左方向ボタン51L、上方向ボタン51U、下方向ボタン51D、及び右方向ボタン51Rとそれぞれ対応付けられた左方向スイッチ52L、上方向スイッチ52U、下方向スイッチ52D、及び右方向スイッチ52RがコントローラCの表面における左側の領域に設けられている。
【0107】
方向を入力可能なレバー、方向入力キー、アナログスティック等を用いて構成された方向操作部5は、レバーを倒す等して入力された向きが、プレイヤーの意図した向きと異なる向きとなる誤操作が生じ得る。加えて、レバー等に誤入力を防ぐ「あそび」が設けられているため、プレイヤーが方向操作を意図してから、レバー等が「あそび」を超えて倒される等するまで、方向操作の検知が遅れ得る。
【0108】
一方、変形例のコントローラCは、レバー等を介して方向入力が行われたかを判別する代わりに方向ボタン51の押下量の変化速度を用いて方向操作のタイミングを正確かつ迅速に検知できる。これにより、変形例のコントローラCは、プレイヤーが方向操作を意図した場合において、従来技術のようにレバー等が「あそび」を超えて倒される等するまで待つことなく、方向ボタン51の押下量の変化速度がプレイヤーの意図が反映された大きな変化速度となったタイミングで、方向操作を正確かつ迅速に検知できる。
【0109】
よって、変形例のコントローラCは、方向操作に係るボタン押下のタイミングがより正確かつ迅速に検知されるようにすることと、ビデオゲーム機への接続の有無を問わず方向操作に係るボタン操作のタイミングに関する感度調整を方向操作に係るボタンごとに行うこととを両立できる。
【0110】
なお、
図9に示される例では、Xボタン31Xに加えてLボタン31Lが、Yボタン31Y及びRボタン31Rよりやや下側に配されている。また、Aボタン31Aに加えてLBボタン31LBが、Bボタン31B及びRBボタン31RBよりやや下側に配されている。これにより、プレイヤーは、右手を動かすことなく、右手の小指等によって例示される他の指より短い指を用いてLボタン31L及びLBボタン31LBを操作できる。これにより、より迅速な操作が可能となる。
【0111】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
C ビデオゲーム用コントローラ
1 コントローラ本体
2 制御装置
3 ボタンモジュール
31 ボタン
311 ボタン本体
312 付勢部材
313 センサ
314 支持部材
32 スイッチ
33 マイクロコンピュータ
331 閾値取得部
332 押下量取得部
333 変化速度算出部
334 押下タイミング検知部
335 離上タイミング検知部
336 信号提供部
4 通常ボタン
5 方向操作部
6 表示部