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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177722
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】硬化性人工爪組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20241217BHJP
   A61Q 3/02 20060101ALI20241217BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q3/02
A61K8/87
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096018
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】390039734
【氏名又は名称】株式会社サクラクレパス
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 拓昭
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083CC28
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE05
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】接着性、耐水接着性及び耐消毒用アルコール接着性に優れ、耐水浸漬白濁性に優れる硬化塗膜を形成することができる硬化性人工爪組成物を提供することを提供すること。
【解決手段】(A)(メタ)アクリレートオリゴマー、(B)(メタ)アクリル酸、(C)下記(Ca)~(Cc);(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物、(Cc)3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート混合物であって、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下である(メタ)アクリレート混合物、からなる群より選ばれる1種類以上を含む、(メタ)アクリレート成分、(D)重合開始剤、を含有する、硬化性人工爪組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(メタ)アクリレートオリゴマー、
(B)(メタ)アクリル酸、
(C)下記(Ca)~(Cc);
(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物、
(Cc)3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート混合物であって、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下である(メタ)アクリレート混合物、
からなる群より選ばれる1種類以上を含む、(メタ)アクリレート成分、
(D)重合開始剤、
を含有する、硬化性人工爪組成物。
【請求項2】
(E)脂環族(メタ)アクリレート化合物をさらに含有する、請求項1に記載の硬化性人工爪組成物。
【請求項3】
前記(A)(メタ)アクリレートオリゴマーが、ポリカーボネートポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はポリエーテルポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである、請求項1又は2に記載の硬化性人工爪組成物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性人工爪組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手や足の自爪に装飾を施したり、人工爪を接着してこれに装飾を施したりするネイルアートの人気が高まっている。また、外力による爪の割れ・剥がれを防止するための補強のために、爪の上に人工爪を形成することが行われている。
このような爪の装飾や補強のためには、いわゆるマニキュア、ペディキュア、スカルプチュアと呼ばれる樹脂含有の材料が爪に塗布されている。
【0003】
最近、爪の装飾又は補強のために使用される材料としては、ジェルネイルと呼ばれる光硬化性人工爪組成物が注目を集めている。ジェルネイルは、光硬化性のジェル状爪被覆材料(光硬化性人工爪組成物)であって、例えば、(メタ)アクリレート系オリゴマーと(メタ)アクリル系モノマーを含むものが知られている。ジェルネイルは、爪に塗布し、紫外線を照射して硬化することで、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜を形成するため、爪から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
ジェルネイルとしては、爪上に設けられるベースコート層、ベースコート層とトップコート層との間に設けられるカラーコート層、最表面に設けられるトップコート層の3層から構成されるものが広く知られている。
【0004】
ジェルネイル等の硬化性人工爪組成物は、硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)、密着持続性、硬化性、硬化塗膜の美感等の要求を満たすものが検討されてきた。そして、施術直後における、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)及び密着持続性は、実用的なものとなってきている。
しかしながら、日常生活での手洗い時や手指消毒時に、水や消毒用アルコールが硬化性人工爪組成物の硬化塗膜に付着すると、硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)及び密着持続性が低下し剥がれ等が発生することがあった。さらに、家事や入浴時等において、長時間水と接した時に、硬化塗膜の白濁が発生することがあった。
【0005】
特許文献1には、(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、(b)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性リン化合物、及び(c)ラジカル重合開始材を含む人工爪化合物が開示されている。
特許文献2には、(a)分子内に少なくとも1個の第一級アルコール性水酸基を有する光重合性モノマー、(b)分子内に少なくとも1個のカルボキシル基を有する光重合性モノマー、(c)光重合性モノマー及び(d)光重合開始剤を含有することを特徴とする人工爪組成物が開示されている。
特許文献3には、(A)成分:ウレタン変性(メタ)アクリルオリゴマー、(B)成分:(メタ)アクリルアミドモノマー、(C)成分:酸性基を有する(メタ)アクリルモノマー及び(D)成分:光開始剤を含む、爪又は人工爪用光硬化性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-053097号公報
【特許文献2】特開2014-23590号公報
【特許文献3】国際公開第2017/082058号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3に記載されている硬化性人工爪組成物は、ヒトの爪への接着性に優れる硬化塗膜を形成し得るとされているが、使用中に剥がれや欠けが発生して、短期間で再度ジェルネイルの施術を行わなければならなくなることがあり、爪に対する接着性の点では、未だ満足のいくものではなかった。また、日常生活での手洗い時や手指消毒時に、水や消毒用アルコール(手指消毒用エタノール)が硬化性人工爪組成物の硬化塗膜に付着すると、硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)及び密着持続性が低下し剥がれ等が発生することがあり、さらに、家事や入浴時等において、長時間水と接した時に、硬化塗膜の白濁が発生することがあり、未だ満足のいくものではなかった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、接着性、耐水接着性及び耐消毒用アルコール接着性に優れ、耐水浸漬白濁性に優れる硬化塗膜を形成することができる硬化性人工爪組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成の硬化性人工爪組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下のとおりである。
[項1]
(A)(メタ)アクリレートオリゴマー、
(B)(メタ)アクリル酸、
(C)下記(Ca)~(Cc);
(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物、
(Cc)3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート混合物であって、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下である(メタ)アクリレート混合物、
からなる群より選ばれる1種類以上を含む、(メタ)アクリレート成分、
(D)重合開始剤、
を含有する、硬化性人工爪組成物。
[項2]
(E)脂環族(メタ)アクリレート化合物をさらに含有する、項1に記載の硬化性人工爪組成物。
[項3]
前記(A)(メタ)アクリレートオリゴマーが、ポリカーボネートポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はポリエーテルポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである、項1又は2に記載の硬化性人工爪組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、接着性、耐水接着性及び耐消毒用アルコール接着性に優れ、耐水浸漬白濁性に優れる硬化塗膜を形成することができる硬化性人工爪組成物が提供される。
【0011】
本発明の効果について、本発明者は、機構等は不明であるものの、以下のとおりに推察している。なお、本発明は、この推察に限定されるものではない。
【0012】
(メタ)アクリル酸は、分子中にカルボキシル基を有することから、硬化塗膜の基材への接着力を化学的に向上させることができ、接着性に優れる硬化塗膜を形成できると推察される。
(メタ)アクリル酸は、他のモノマーと比べて、単位分子量当たりのビニル基の比率が高く、系中のビニル基(反応点)を増やすことができ、さらに、(メタ)アクリル酸の添加により、硬化性人工爪組成物の硬化性が向上させることができる。これにより、水分子やエタノール分子が硬化塗膜の分子内へ入り込みにくくなり、耐水接着性、耐水浸漬白濁性及び耐消毒用アルコール接着性を向上させることができると推察される。
【0013】
(C)(メタ)アクリレート成分における(Ca)2-ヒドロキシブチルメタクリレートは、アルキル鎖が長い分、他の水酸基モノマーと比べて、疎水的な振る舞いをしやすいと推察される。そのため、(Ca)2-ヒドロキシブチルメタクリレートを用いることで、水や消毒用アルコールに対する耐性が向上し、これらが硬化塗膜に付着しても硬化塗膜の膨潤等を抑制することができ、硬化塗膜の接着力が低下しないものと推察される。
【0014】
(C)(メタ)アクリレート成分における(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物(例えば、THFMA(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)やMEDOYMA(2ーメチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタクリレート)から得られた硬化塗膜について、本発明者は、引っ張り試験の結果から、歪率が大きく、柔軟性が高いものの、降伏点が小さいために、すぐに変形を起こしてしまうという知見を得ている。これより、硬化塗膜は、基材(爪)への追随性は良好であるが、少しの外部衝撃で不可逆な変形を起こすため高い接着力が期待できないと推察される。
一方、(メタ)アクリル酸を硬化性人工爪組成物に配合すると、個々の成分の効果が相乗的に発揮されるようになり、90°ピールオフ試験によるピールオフ荷重を大きくすることができ、硬化塗膜の基材への接着力が向上する。これにより、外部衝撃などによる硬化塗膜の変形時にも耐えられる接着性を備えるようにあったと推察される。
【0015】
(C)(メタ)アクリレート成分における(Cc)(メタ)アクリレート混合物において、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、硬化塗膜の架橋密度を向上させるものである。これにより、水分子やエタノール分子が硬化塗膜の分子内へ入り込みにくくなり、硬化塗膜の膨潤が起こりにくくなることで耐水接着性、耐水浸漬白濁性及び耐消毒用アルコール接着性を向上させることができると推察される。
一方で、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、使用量が多い場合には硬化塗膜が硬くなりすぎ、脆性破壊を起こしやすくなる。このため、極性が高く基材と強く相互作用して接着力を向上・維持する特性を発揮するとともに、硬化塗膜の硬度を低下させることができる2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを併用し、さらに、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が硬化性人工爪組成物全量100質量%として0.01質量%以上5.0質量%以下となるように(Cc)(メタ)アクリレート混合物を用いる構成とする。これにより、架橋密度、硬度、接着性、耐脆性破壊のバランスがとれた硬化性人工爪組成物の硬化塗膜が形成できると推察される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の硬化性人工爪組成物について説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレートオリゴマー」は、アクリレートオリゴマー及びメタクリレートオリゴマーを指し、「(メタ)アクリレートモノマー」は、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーを指す。
【0017】
[(A)(メタ)アクリレートオリゴマー]
(A)(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個以上有するとともに1種類以上の繰返し単位を複数有するオリゴマーであれば、特に制限されない。一分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1~10個、好ましくは2~8個である。(メタ)アクリロイル基の数は、赤外吸収分光法(IR)、核磁気共鳴法(NMR)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)等を用いて分析することによって確認できる。
(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、特に限定されない。例えば1,000以上、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上であり、例えば100,000以下、好ましくは50,000以下、より好ましくは35,000以下である。重量平均分子量の範囲をこのような範囲とすることで、低粘度を保持しつつ、硬化塗膜の耐久性を向上できる。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品又は合成品のいずれを使用してもよい。
【0018】
(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に限定されないが、例えば、(i)主骨格(主鎖)にウレタン結合、エポキシ基の開環反応によって生じる結合、エステル結合、エーテル結合、ウレア結合、カーボネート結合、アミド結合からなる群より選ばれる1種類以上を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、(ii)主骨格(主鎖)がスチレン系、(メタ)アクリル系、オレフィン系、ジエン系モノマーからなる群より選ばれる1種類以上のモノマーの重合により分子鎖を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
これらのうち、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(ウレタン結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エポキシ基の開環反応によって生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル(メタ)アクリレートオリゴマー(エステル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エーテル(メタ)アクリレートオリゴマー(エーテル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)等からなる群より選ばれる1種類以上を用いると、密着性等の点で有利である。
【0019】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によりイソシアネート基又は水酸基含有ウレタンプレポリマーを形成し、イソシアネート基又は水酸基含有ウレタンプレポリマーに対し、分子内に活性水素含有基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等)又は分子内にイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させること等により合成できるが、この方法に限定されるものではない。
【0020】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを硬化性人工爪組成物に使用すると、伸縮性、密着性、強度に優れる硬化塗膜を得ることができる。
本発明にて使用できる1種類以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリエステル骨格、アクリル骨格、ポリオレフィン骨格からなる群より選ばれる1種類以上を有するものから選択して使用できる。中でも、ポリエーテル骨格を有するポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はポリカーボネート骨格を有するポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1種類以上が好ましい。
【0021】
例えば、ポリエーテル骨格の1種類以上を有するポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオキシプロピレンポリオール等のポリオキシアルキレンポリオールと、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらのイソシアヌレート化物、ビューレット化物等のポリイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基含有ポリエーテルウレタンプレポリマーに、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得ることができる。
【0022】
例えば、ポリカーボネート骨格の1種類以上を有するポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと同様に、ポリカーボネートポリオールと、ポリイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基含有ポリカーボネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得ることができる。
【0023】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、AH-600、AT-600、UA-306H、UF-8001G(共栄社化学社製)や、RUA-071、RUA-003VE、RUA-075、RUA-048(亜細亜化学工業社製)、SUA TH1、SUA TH2、SUA-16N(ケーエスエム社製)、UV-3310B(三菱ケミカル社製)、アートレジン UN-6303、UN-6304、UN-6305、UN-9000PEP、UN-9200A、UN-353、UN-333、UN-352(根上工業社製)、AU-2040(トクシキ社製)、KUA-PC2I(ケーエスエム社製)等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
エポキシ基の開環反応によって生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、多官能エポキシ樹脂に対して、エポキシ基と反応する官能基を有する(メタ)アクリレートを反応させることによって合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、EBECRYL 1259、605、1606(ダイセル・サイテック社製)、EPOXY ESTER 3000A、3000MK、3002A(N)、3002M(N)、40EM(共栄社化学社製)等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
エステル結合を有するエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールと多価カルボン酸との反応により得られたエステル系オリゴマーが有するカルボキシル基及び/又は水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び/又は(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を有するアクリル化合物を付加することにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、アロニックス(登録商標)M-6100、M-6200、M-6250、M-6500、M-7100、M-7300K、M-8030、M-8060、M-8100、M-8530、M-8560、M-9050(東亞合成社製)や、UV-3500BA、UV3520TL、UV-3200B、UV-3000B(三菱ケミカル社製)等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
エーテル結合を有するエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、脂肪族系のポリエーテルポリオールの水酸基や、ビスフェノール等を原料とする芳香族系のポリエーテルポリオールの水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メタ)アクリル酸、及び、分子内にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等からなる群より選ばれる1種類以上を付加させることにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、UV-6640B、UV-6100B、UV-3700B(三菱ケミカル社製)、ライトアクリレート(登録商標)3EG-A,4EG-A、9EG-A、14EG-A、PTMGA-250、BP-4EA、BP-4PA,BP-10EA、ライトエステル4EG、9EG、14EG(共栄社化学社製)、EBECRYL(登録商標)3700(ダイセル・サイテック社製)等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本発明においては、硬化性人工爪組成物及び/又はその硬化塗膜の接着性、密着性、耐久性等の観点から、重量平均分子量が5,000以上40,000以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、特に、ポリカーボネートポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び/又はポリエーテルポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含んでいることが好ましい。
【0028】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、特に限定されない。硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば30.0質量%以上、好ましくは35.0質量%以上、より好ましくは40.0質量%以上であり、例えば70.0質量%以下、好ましくは60.0質量%以下、より好ましくは55.0質量%以下とすることができる。(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して70.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の粘度が高くなりすぎ塗布性が低下するおそれがある。(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して30.0質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜の粘度が低すぎて塗布性が低下するおそれがあり、硬化塗膜が硬くなりすぎて脆くなるおそれがある。
【0029】
[(B)(メタ)アクリル酸]
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(B)(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸又はメタクリル酸の少なくとも1つであればよい。(B)(メタ)アクリル酸を含むことで、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜の爪又は下層への接着力を向上させることができる。
【0030】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(B)(メタ)アクリル酸の含有量は、特に限定されない。硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば0.0001質量%以上、好ましくは0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上であり、例えば10.0質量%以下、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下である。(B)(メタ)アクリル酸の含有量が、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して10.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の粘度が低くなりすぎて塗布性が低下するおそれがあり、硬化塗膜が退色しやすくなるおそれがあり、硬化塗膜の加水分解が起こりやすくなるおそれがある。(B)(メタ)アクリル酸の含有量が、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して0.001質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜の爪又は下層への接着力を向上させることができなくなるおそれがある。
【0031】
[(C)(メタ)アクリレート成分]
(C)(メタ)アクリレート成分は、下記(Ca)~(Cc);
(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物、
(Cc)3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート混合物であって、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下である(メタ)アクリレート混合物、
からなる群より選ばれる1種類以上を含むものである。
【0032】
<(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート>
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(C)(メタ)アクリレート成分に含まれていてもよい(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシブチルアクリレート又は2-ヒドロキシブチルメタクリレートの少なくとも1つであればよい。(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを含むことで、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜は、水や消毒用アルコールに対する耐性が向上し、これらが硬化塗膜に付着した場合であっても硬化塗膜の膨潤等が抑制され、硬化塗膜の接着力を低下させることなく維持できる。
【0033】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの含有量は、特に限定されない。硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば5.0質量%以上、好ましくは10.0質量%以上、より好ましくは20.0質量%以上であり、例えば50.0質量%以下、好ましくは45.0質量%以下、より好ましくは40.0質量%以下である。(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの含有量が、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して50.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の粘度が低くなりすぎて塗布性が低下するおそれがあり、硬化時の硬化熱が高くなるおそれがあり、硬化塗膜が割れやすくなるおそれがある。(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの含有量が、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して5.0質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の粘度が高くなり塗布性が低下するおそれがあり、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜の表面に未硬化成分が残留するおそれがある。
【0034】
<(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物>
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(C)(メタ)アクリレート成分に含まれていてもよい(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物としては、分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO-基又はCH=C(CH)COO-基)と複素環をそれぞれ1つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(2-イソブチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2-イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ-ト、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリアジントリ(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、N-(メタ)アクリルオキシフタルイミド等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物を含むことで、硬化塗膜の柔軟性と基材(爪)への追随性を向上させることができる。
【0035】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、特に限定されない。硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば5.0質量%以上、好ましくは10.0質量%以上、より好ましくは20.0質量%以上であり、例えば50.0質量%以下、好ましくは45.0質量%以下、より好ましくは40.0質量%以下である。(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して50.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の粘度が低くなりすぎて塗布性が低下するおそれがあり、硬化時の硬化熱が高くなるおそれがあり、硬化塗膜が割れやすくなるおそれがある。(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して5.0質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の粘度が高くなり塗布性が低下するおそれがあり、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜の表面に未硬化成分が残留するおそれがある。
【0036】
<(Cc)3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート混合物>
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(C)(メタ)アクリレート成分に含まれていてもよい(Cc)3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート混合物としては、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含み、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下となるものであれば、特に限定されない。
【0037】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のポリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の(メタ)アクリレート基を4個以上有する(メタ)アクリレートモノマー;等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチルアクリレート又は2-ヒドロキシエチルメタクリレートの少なくとも1つであればよい。
【0038】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことで、硬化塗膜の架橋密度を向上させることができ、水分子やエタノール分子が硬化塗膜の分子内へ入り込みにくくすることができ、硬化塗膜の膨潤を抑制することができる。一方、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含むことで、基材との接着力を向上・維持することができ、硬化塗膜の硬度を低下させることができる。これより、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを併用し、さらに、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量を、硬化性人工爪組成物全量100質量%として0.01質量%以上5.0質量%以下とすることで、架橋密度、硬度、接着性、耐脆性破壊のバランスがとれた硬化性人工爪組成物の硬化塗膜を形成することができる。
【0039】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(Cc)3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート混合物の含有量は、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下となるものであれば、特に限定されない。
また、(Cc)3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート混合物における、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの含有量は、特に限定されない。例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの含有量は、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば5.0質量%以上、好ましくは10.0質量%以上、より好ましくは20.0質量%以上であり、例えば50.0質量%以下、好ましくは45.0質量%以下、より好ましくは40.0質量%以下である。2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの含有量が、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して50.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の粘度が低くなりすぎて塗布性が低下するおそれがあり、硬化時の硬化熱が高くなるおそれがあり、硬化塗膜が割れやすくなるおそれがある。2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの含有量が、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して5.0質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の粘度が高くなり塗布性が低下するおそれがあり、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜の接着性が向上しないおそれがある。
【0040】
[(D)重合開始剤]
本発明の硬化性人工爪組成物の構成成分である(D)重合開始剤は、光(例えば、紫外線)や熱の照射等によりエネルギーが与えられることで、ラジカルを発生するものであって、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー、(B)(メタ)アクリル酸、(C)(メタ)アクリレート成分及び(E)脂環族(メタ)アクリレート化合物の重合を開始し得るものであれば、特に制限されない。例えば、アシルフォスフィンオキシド系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アシッドエステル系、α-アミノアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、チタノセン系、キノン系、過酸化物系、アゾ系、過硫酸塩系等からなる群より選ばれる1種類以上の重合開始剤が挙げられる。
例えば、光重合開始剤を用いると、硬化性人工爪組成物に対して、UV-LED光源を含む各種の光源を用いて光を照射した場合であっても、良好な硬化性を付与することができる。
【0041】
例えば、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤は、一般的に用いられるUV-LED光源から発せられる365~405nmの波長の紫外線の照射によりラジカルを発生する。このため、UV-LED光源を含む各種の光源を用いて光を照射して硬化させる場合であっても、良好な硬化性を硬化性組成物に付与できる。さらに、UV-LED光源を用いて光を照射して硬化させる場合には、硬化塗膜の黄変を防止できる。
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。特に、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド(OMNIRAD TPO)は、皮膚コンディショニング剤としても機能することから、本発明において好ましく用いることができる。
【0042】
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤以外の重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(OMNIRAD 184)、1-(4-(フェニルチオ)-2,2-(O-ベンゾイルオキシム))1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド、フルオロチオキサントン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド、1,2-オクタンジオン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン、イソフタルフェノン、フェニルグリオキシ酸メチル、ブチルアントラキノンエチルアントラキノン、フェナントレンキノン、カンファーキノン、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジサクシニックアシッドパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキサイドパレレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、ジセチルパーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0043】
本発明の硬化性人工爪組成物においては、硬化時に照射する紫外線波長405nm付近及び365nm付近において、ラジカルを発生し重合を開始することができる重合開始剤を用いることが好ましく、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む重合開始剤を用いることがより好ましい。また、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤に加えて、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を含む重合開始剤を用いてもよく、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤及び過酸化物系重合開始剤を含む重合開始剤組成物を用いることもできる。
【0044】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(D)重合開始剤の含有量は、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、例えば15.0質量%以下、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。(D)重合開始剤の含有量が15.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜が脆くなるおそれや黄変(黄ばみ)するおそれがある。(D)重合開始剤の含有量が0.05質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の硬化に時間がかかるおそれがあり、また、硬化不良となるおそれがある。
【0045】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(D)重合開始剤としてアシルフォスフィンオキシド系重合開始剤とα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を含む重合開始剤を用いる場合、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤の含有量は、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、例えば4.0質量%以下、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。また、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量は、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば1.0質量%以上、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上であり、例えば15.0質量%以下、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤とα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤の含有量合計は、例えば1.05質量%以上、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは4.0質量%超であり、例えば15.0質量%以下、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤の含有量が4.0質量%を超えると、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜が脆くなるおそれや黄変(黄ばみ)するおそれがある。アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤の含有量が0.05質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の硬化熱が高くなり、硬化時上昇温度が大きくなるおそれがある。
【0046】
[(E)脂環族(メタ)アクリレート化合物]
本発明の硬化性人工爪組成物は、(E)脂環族(メタ)アクリレート化合物を構成成分とすることができる。(E)脂環族(メタ)アクリレート化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個以上有するとともに1種類以上の脂環を1つ以上有する化合物であれば、特に制限されない。一分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1~3個、好ましくは1~2個である。
【0047】
(E)脂環族(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。これらのうち、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート及びシクロへキシル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種類以上が好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0048】
本発明の硬化性人工爪組成物において、(E)脂環族(メタ)アクリレート化合物の含有量は、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、例えば30.0質量%以下、好ましくは25.0質量%以下とすることができる。本発明においては、(E)脂環族(メタ)アクリレート化合物の含有量を、硬化性人工爪組成物全量100質量%に対して、0質量%((E)脂環族(メタ)アクリレート化合物を含まない)としてもよいが、例えば、10質量%以上、好ましくは15質量%以上とすることができる。
【0049】
[(F)その他成分]
本発明の硬化性人工爪組成物には、貯蔵安定性、硬化性、硬化塗膜の色調、硬化塗膜耐久性、硬化塗膜接着性、粘度、取扱性、塗布性等に悪影響を与えない範囲で、前記(A)~(E)に加え、各種の成分を「(F)その他成分」として配合することができる。
(F)その他成分としては、例えば、重合禁止剤、着色剤、前記(A)~(C)、(E)以外のラジカル重合性化合物、ポリオール化合物、多官能チオール化合物、メルカプトアルカン酸、前記(A)以外の樹脂、溶剤、香料、アルミナ等の沈降防止剤、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、第3級アミン等の重合促進剤、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、低応力化剤、防腐剤、抗菌剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤、装飾用材料等の各種の添加剤からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0050】
重合禁止剤としては、例えば、トコフェロール化合物、キノン化合物、フェノール系化合物、カテコール系化合物、オキシジフェニルアミン系化合物、ニトロソ系化合物、ニトロン系化合物、ニトリル系化合物、ヒドラジル系化合物、フェノチアジン系化合物等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。重合禁止剤は、例えば、硬化性人工爪組成物全量に対し、1.0質量%以下、好ましくは0.7質量%以下含有させることができる。
【0051】
着色剤は、顔料、光輝材、染料からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられ、任意の量用いて、硬化性人工爪組成物に所望の色調を付与する。また、ブルーイング剤として、硬化性人工爪組成物の黄色味を消すために用いることができる。特に、爪用被覆材に使用されている無機顔料、光輝材、有機顔料及び染料からなる群より選ばれる1種類以上であって、紫外線照射(光照射)等による硬化を大きく阻害しないものである。
硬化前の硬化性人工爪組成物には、顔料等のみではなく樹脂粒子や、公知の硬化性人工爪組成物に配合できる装飾用材料等を配合しておくことも可能である。
【0052】
着色剤としては、例えば、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号、黄色201号、黄色202号-(1)、黄色202号-(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403号-(1)、黄色404号、黄色405号、黄色406号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、赤色102号、赤色104号-(1)、赤色105号-(1)、赤色106号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号-(1)、赤色230-(2)、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、カーボンブラック、金属粉、金属フレーク、金属酸化物フレーク、ガラスフレーク等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0053】
(A)~(C)、(E)以外のラジカル重合性化合物としては、特に限定されない。例えば、ビニル基含有化合物、アリル基含有化合物、(A)~(C)、(E)以外の(メタ)アクリレート化合物等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
ビニル基含有化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニル安息香酸、ビニルフェノール、α-クロルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニル基含有オリゴマー等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
アリル基含有化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、トリアリルシアヌレート、安息香酸アリル、アリル基含有オリゴマー等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0054】
(A)~(C)、(E)以外の(メタ)アクリレート化合物としては、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個以上有する化合物が挙げられる。一分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~6個である。
【0055】
(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物;カルボキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸、桂皮酸等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーのアンモニウム塩や金属塩;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸(メタ)アクリロイルオキシプロピル、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸(メタ)アクリル酸ヘキサン酸エチル、リン酸(メタ)アクリル酸プロパン酸ペンチル等のリン酸エステル系(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(2-イソブチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2-イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ-ト、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリアジントリ(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、N-(メタ)アクリルオキシフタルイミド等の複素環含有(メタ)アクリレート;等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0056】
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル、カプロラクトン変性リン酸ジ(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸ジ(メタ)アクリル酸ヘキサン酸エチル、リン酸ジ(メタ)アクリル酸プロパン酸ペンチル等のリン酸エステル系ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートモノマー;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のポリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の(メタ)アクリレート基を4個以上有する(メタ)アクリレートモノマー;等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
なお、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの両者を含む場合には、前記(Cc)の要件を満たすものとし、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、硬化性人工爪組成物全量100質量%として、0.01質量%以上5.0質量%以下とされる。
【0057】
ポリオール化合物は、硬化性人工爪組成物の希釈剤、密着性向上剤としての機能を有している。ポリオール化合物としては、例えば、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フェノリックポリオール等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。中でも、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールが好ましい。
アルキルポリオールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0058】
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。縮合型ポリエステルポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等からなる群より選ばれる1種類以上のジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等からなる群より選ばれる1種類以上の有機多塩基酸との縮合反応によって得られ、分子量は100~100,000が好ましい。付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンが挙げられ、分子量は100~100,000が好ましい。ポリカーボネートポリオールはポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成され、分子量は100~100,000が好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0059】
多官能チオール化合物は、分子内にチオール基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。多官能チオール化合物は、硬化性人工爪組成物の連鎖移動剤、硬化性調整剤、架橋剤及び粘度調整剤として配合される。例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エチレングリコール等のポリオール化合物の水酸基に、チオール基又は反応してチオール基になる基を有する化合物が反応して得られたもの等が挙げられる。例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス[2-(3-メルカプトブチリルオキシ)エチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,6-へキサンジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、デカンジチオール、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネレート、エチレングリコールビスチオグリコレート(EGTG)、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート(BDTG)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等の多官能チオール基含有モノマー等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0060】
メルカプトアルカン酸としては、分子内にチオール基とカルボキシル基をそれぞれ1つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。例えば、メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト酪酸、4-メルカプト酪酸、2-メルカプトイソ酪酸、3-メルカプトイソ酪酸、3-メルカプト-3-メチル酪酸、2-メルカプト吉草酸、4-メルカプト吉草酸等からなる1種類以上が挙げられる。
【0061】
樹脂は、重合性ではなく、ポリオール化合物でもない樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、オレフィン系樹脂、芳香族オレフィン系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、コアシェルポリマー、グラフト系樹脂、ブロック系樹脂等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0062】
溶剤は、希釈により塗布時の粘度を調整し得るものであれば、特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類:プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等からなる群より選ばれる1種類以上が挙げられる。
【0063】
[硬化性人工爪組成物の粘度]
本発明の硬化性人工爪組成物は、25℃での粘度を、例えば0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下とすることができる。好ましくは0.5Pa・s以上、より好ましくは0.7Pa・s以上であり、好ましくは50.0Pa・s以下、より好ましくは40.0Pa・s以下である。このような粘度範囲とすることで、筆やインクジェット等の塗布具による塗布作業性に優れる硬化性人工爪組成物とすることができる。
【0064】
[硬化性人工爪組成物の用途]
本発明の硬化性人工爪組成物は、いわゆる一般のマニキュアやペディキュアのように、爪の表面に被覆を行うための組成物である。
本発明の硬化性人工爪組成物は、レベリング性に優れていることから、平滑な硬化塗膜を形成することが可能であり、硬化塗膜の硬さが適度であることから塗膜割れの発生が抑制されており、硬化塗膜が実用的な基材への密着性と塗膜耐久性を有している。
本発明の硬化性人工爪組成物の硬化塗膜を形成する際には、ラジカル重合性の硬化性組成物を硬化させる際に用いるのと同様の設備、例えば、一般の紫外線硬化用の設備やマニキュア硬化用の設備を用いることができる。
【0065】
本発明の硬化性人工爪組成物は、特にジェルネイルとして好適に使用でき、例えば、使用者の爪に直接塗布されるベースコート層、該ベースコート層の上に塗布されるカラーコート層、さらにその上に塗布されるトップコート層のいずれの層の形成に用いても、長期間(例えば、硬化後少なくとも2週間)硬化塗膜が欠けることなく、剥がれず、また下層や使用者の爪に対して浮きが発生することを抑制できる。なお、カラーコート層として用いる場合は、着色剤を用いて、ソリッドカラーやラメ調、金属光沢調、暗色や明色等多彩に調色して用いることができる。また、本発明の硬化性人工爪組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を、硬化性人工爪組成物の塗膜表面に付着させ、意匠性を高めることも可能である。
本発明の硬化性人工爪組成物は、特に、爪に対する密着性が優れていることから、ベースコート層(ジェルベース;下地層)として用いることが好適である。
【0066】
[硬化性人工爪組成物を用いた爪の被覆]
本発明の硬化性組成物を用いて被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫等の動物の爪でもよい。さらに、ネイルチップ(つけ爪)等の人工の爪であってもよい。
本発明の硬化性人工爪組成物を、爪又は爪に設けられた(未)硬化塗膜の上に塗布して被覆する際、塗布面にサンディングを施してもよく、施さなくてもよい。硬化性人工爪組成物の塗布方法は、特に限定されず、例えば、筆等の塗布具や、インクジェット等の塗布方法を用いることができる。
【0067】
本発明の硬化性人工爪組成物を用い、シートの少なくとも一方の面に、爪等の形状を有する未硬化の塗膜層を作製し、この層を爪表面と接触(転写)させた後に、シートを剥離するか又は剥離せずに、紫外線を照射して硬化させることもできる。
シート表面に予め硬化性人工爪組成物を用いて未硬化の塗膜層を設け、これを転写する方法によれば、筆等の塗布具を使用することなく、爪の表面に均一かつ正確な模様を被覆することが可能であり、使用後においても該塗布具を洗浄等する必要がない。
【0068】
塗布後の硬化性人工爪組成物の硬化手段については、硬化性人工爪組成物の硬化を生起させるエネルギーを付与し得る手段であれば、特に限定されない。例えば、例えば、光(紫外線(UV)等)、電子線、熱等のエネルギー線照射等が挙げられる。特に、紫外線(UV)照射による硬化は、比較的迅速に、簡便に行うことができることから、好ましく用いることができる。紫外線等の光を照射することで硬化させる際には、公知の紫外線硬化用の装置を用いられる。硬化性人工爪組成物の組成によって、硬化に必要なエネルギー量は異なるものの、例えば、紫外線等の光照射により硬化する際には、光照射による照射エネルギー(積算光量)は、例えば5mJ/cm以上、好ましくは10mJ/cm以上であり、例えば1000mJ/cm以下、好ましくは800mJ/cm以下である。照射エネルギーがこの範囲内であれば、十分な密着性及び耐擦性を有するネイルアートを得ることができる。
【0069】
光を照射する際の光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等の公知の紫外線の光源を用いることができる。その中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV-LED;波長385~415nm;ピーク波長約405nm)及び紫外線レーザーダイオード(UV-LD)が好ましい。
【実施例0070】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0071】
[実施例A1~A14、実施例B1~B14、実施例C1~C12]
[比較例A1~A13、比較例B1~B12、比較例C1~C14]
表1~表6に示す成分を、表1~表6に示す量比(質量部)となるように容器内に投入し、ディゾルバーにより撹拌しつつ50℃に加温し撹拌した。
撹拌しながら圧力0.1MPa下で10分脱泡し、撹拌後80℃で2時間静置し脱泡し、硬化性人工爪組成物を得た。これらの工程は、全て遮光下にて行った。
実施例A1~A14及び比較例A1~A13は、(C)(メタ)アクリレート成分として、(Ca)2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを用いた実施例及びそれに対応する比較例である。
実施例B1~B14及び比較例B1~B12は、(C)(メタ)アクリレート成分として、(Cb)分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び複素環を有する(メタ)アクリレート化合物を用いた実施例及びそれに対応する比較例である。
実施例C1~C12及び比較例C1~C14は、(C)(メタ)アクリレート成分として、(Cc)3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート混合物を用いた実施例及びそれに対応する比較例である。
【0072】
<成分>
表1~表6中の成分は、それぞれ以下のとおりである。
PUA1;ヒドロキシエチルメタクリレート、イソホロンジイソシアネート及びポリカーボネートジオールから得られるポリカーボネートポリウレタンメタクリレート(重量平均分子量29,000)
PUA2:1分子中にラジカル重合性不飽和二重結合を2個有する、イソホロンジイソシアネート-ポリプロピレングリコール-ヒドロキシエチルメタクリレート系ウレタン(メタ)アクリレート(重量平均分子量4,000)
MA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
HBMA:2-ヒドロキシブチルメタクリレート
THFMA:テトラヒドロフルフリルメタクリレート
MEDYMA:(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルメタクリレート
TMPMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
HPMA:2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
DMAA:ジメチルアクリルアミド
DEAA:ジエチルアクリルアミド
ACMO:アクリロイルモルホリン
14DMA:ポリエチレングリコールジメタクリレート(-CHCHO-繰返し単位数約14)
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
HCPK:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【0073】
<接着性評価>
得られた硬化性人工爪組成物を、ナイロン板上にドクターブレードを用いて塗布して、膜厚100μmの塗膜を形成し、36WのLEDランプ(照射波長約385nm~約415nm)を30秒照射して硬化した後に、80Vol%エタノール水溶液を用いて未硬化成分を拭き取り除去して硬化塗膜を得た。
硬化塗膜に、素地に達する1mm間隔の縦6本及び横6本の切り込みをカッターナイフで格子状に入れて25個の碁盤目を作った。碁盤目部分に、セロテープ(ニチバン社製、登録商標)を貼り付け、500gの錘で10回擦った後に、テープを45°の角度で一定の速度で剥離した。
剥離後に残った碁盤目の個数により、以下の基準に基づき接着性評価を行った。Aは合格であり、Cは不合格である。剥離後に残った碁盤目の個数及び接着性評価の結果を「接着性」として表1~表6に併せて示す。
A:残った碁盤目の個数が25個(剥離なし)。
C:残った碁盤目の個数が25個未満。
【0074】
<耐水接着性評価>
得られた硬化性人工爪組成物を、ナイロン板上にドクターブレードを用いて塗布して、膜厚100μmの塗膜を形成し、36WのLEDランプ(照射波長約385nm~約415nm)を30秒照射して硬化した後に、80Vol%エタノール水溶液を用いて未硬化成分を拭き取り除去して硬化塗膜を得た。
硬化塗膜に、素地に達する1mm間隔の縦6本及び横6本の切り込みをカッターナイフで格子状に入れて25個の碁盤目を作った。碁盤目部分に、水を0.5mL滴下し10分静置した後に拭き取り、セロテープ(ニチバン社製、登録商標)を貼り付け、500gの錘で10回擦った後に、テープを45°の角度で一定の速度で剥離した。
剥離後に残った碁盤目の個数により、以下の基準に基づき接着性評価を行った。Aは合格であり、Cは不合格である。剥離後に残った碁盤目の個数及び耐水接着性評価の結果を「耐水接着性」として表1~表6に併せて示す。
A:残った碁盤目の個数が25個(剥離なし)。
C:残った碁盤目の個数が25個未満。
【0075】
<耐消毒用アルコール接着性評価>
得られた硬化性人工爪組成物を、ナイロン板上にドクターブレードを用いて塗布して、膜厚100μmの塗膜を形成し、36WのLEDランプ(照射波長約385nm~約415nm)を30秒照射して硬化した後に、80Vol%エタノール水溶液を用いて未硬化成分を拭き取り除去して硬化塗膜を得た。
硬化塗膜に、素地に達する1mm間隔の縦6本及び横6本の切り込みをカッターナイフで格子状に入れて25個の碁盤目を作った。碁盤目部分に、手指消毒用エタノール(エタノール80体積%とイオン交換水20体積%の混合物)を0.5mL滴下し10分静置した後に拭き取り、セロテープ(ニチバン社製、登録商標)を貼り付け、500gの錘で10回擦った後に、テープを45°の角度で一定の速度で剥離した。
剥離後に残った碁盤目の個数により、以下の基準に基づき耐消毒用アルコール接着性評価を行った。Aは合格であり、Cは不合格である。剥離後に残った碁盤目の個数及び耐消毒用アルコール接着性評価の結果を、「耐ALC接着性」として表1~表6に併せて示す。
A:残った碁盤目の個数が25個(剥離なし)。
C:残った碁盤目の個数が25個未満。
【0076】
<耐水浸漬白濁性評価>
得られた硬化性人工爪組成物を、ポリプロピレンフィルム上にドクターブレードを用いて塗布して、膜厚100μmの塗膜を形成し、36WのLEDランプ(照射波長約385nm~約415nm)を30秒照射して硬化した後に、80Vol%エタノール水溶液を用いて未硬化成分を拭き取り除去して硬化塗膜を得た。
硬化塗膜が形成されたポリプロピレンフィルムから、硬化塗膜を含む短冊状の試験片を作製し、硬化塗膜の一部が水道水に浸漬するようにして2時間静置した後に取り出し、水を拭き取った後に水道水に浸漬した部分を含む硬化塗膜の状態や白濁具合を目視で観察し、以下の基準に基づき耐水浸漬白濁性評価を行った。A、Bは合格であり、C~Eは不合格である。耐水浸漬白濁性評価の結果を「耐白濁性」として表1~表6に併せて示す。
A:白濁していない。
B:わずかに白濁しているが、水道水浸漬部分と水道水非浸漬部分の境目でないとわからない。
C:水道水浸漬部分が白濁している。
D:水道水浸漬部分が白濁しており、硬化塗膜が少し膨張している。
E:水道水浸漬部分が完全に白濁しており、硬化塗膜が膨張している。
【0077】
<密着性評価>
得られた硬化性人工爪組成物の密着性の評価を、ピールオフ荷重に基づいて行った。
ピールオフ荷重の測定は、90°ピールオフ試験により以下のように行った。
得られたピールオフ荷重により、以下の基準に基づき密着性評価を行った。A、Bは合格であり、Cは不合格である。得られたピールオフ荷重の数値(kg)及び密着性評価の結果を「密着性」として表1~表4に併せて示す。
A:90°ピールオフ荷重が0.4kg以上である。
B:90°ピールオフ荷重が0.4kg未満0.35kg以上である。
C:90°ピールオフ荷重が0.35kg未満である。
【0078】
(90°ピールオフ試験)
50℃で24時間以上乾燥させたナイロン板の表面をエタノールで拭き汚れを除去した後に、得られた硬化性人工爪組成物を、36WのLEDランプ(照射波長約385nm~約415nm)を30秒照射して硬化した後に、80Vol%エタノール水溶液を用いて未硬化成分を拭き取り除去して、縦10mm、幅50mmの硬化塗膜を形成した。
硬化塗膜の幅方向端部を、デジタルフォースゲージ(イマダ社製、ZTA-100N)に設けたクリップで挟み、ナイロン板から硬化塗膜を100mm/secで幅方向に剥離角90°で剥離し、ピールオフ荷重(硬化塗膜を剥離させる際に要した荷重(kg)の最大値)を測定した。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
表1~表6に示すように、実施例A1~A14、実施例B1~B14及び実施例C1~C12の硬化性人工爪組成物は、いずれも、接着性、耐水接着性、耐消毒用アルコール接着性、耐水浸漬白濁性の評価が合格となるものであった。さらに、表1~表4に示すように、実施例A1~A14及び実施例B1~B14の硬化性人工爪組成物は、密着性の評価がいずれも合格となるものであった。一方、表1~表6に示すように、比較例A1~A13、比較例B1~B12、比較例C1~C14の硬化性人工爪組成物は、接着性、耐水接着性、耐消毒用アルコール接着性、耐水浸漬白濁性のいずれかが不合格となるものであった。