(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177723
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】化粧シートおよび化粧板
(51)【国際特許分類】
B32B 27/18 20060101AFI20241217BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B32B27/18 F
B32B27/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096020
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】太田 新
(72)【発明者】
【氏名】高田 大貴
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB24C
4F100AK01C
4F100AK01H
4F100AK25C
4F100AK25H
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100AT00D
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100CA12C
4F100DE01C
4F100HB00B
4F100JB12C
4F100JK12C
4F100JK12H
(57)【要約】
【課題】表面に抗ウイルス剤を含み、表面に接触した物体を傷付け難い化粧シートおよび化粧板を提供する。
【解決手段】化粧シート10は、原反層1と、前記原反層1の上側UPに設けられた模様層2と、抗ウイルス剤31と、大粒径添加剤32とを有し、前記模様層2の前記上側UPに設けられた表面保護層3と、を備え、前記大粒径添加剤32の平均粒径は、前記抗ウイルス剤31の平均粒径よりも大きい。化粧板100は、化粧シート10と、前記化粧シート10の下側LOに設けられた基板20と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反層と、
前記原反層の上側に設けられた模様層と、
抗ウイルス剤と、大粒径添加剤とを有し、前記模様層の前記上側に設けられた表面保護層と、
を備え、
前記大粒径添加剤の平均粒径は、前記抗ウイルス剤の平均粒径よりも大きい、
化粧シート。
【請求項2】
前記大粒径添加剤の平均粒径は、前記抗ウイルス剤の平均粒径の2倍以上である、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記表面保護層の表面における前記大粒径添加剤の突出高さは、前記抗ウイルス剤の突出高さよりも大きい、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記大粒径添加剤の硬度は、前記抗ウイルス剤の硬度よりも低い、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記抗ウイルス剤は、微粉砕された銀を含む、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記大粒径添加剤は、合成樹脂ビーズを含む、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項7】
前記合成樹脂ビーズは、アクリル樹脂ビーズである、
請求項6に記載の化粧シート。
【請求項8】
前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含む、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の化粧シートと、
前記化粧シートの下側に設けられた基板と、
を備える、
化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シートおよび化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建築物の内装材や造作材、建具等の建築資材、家具什器類、住設機器又は家電製品等の表面化粧に用いられる化粧シートや、化粧シートに木質基板等を貼り付けた化粧板がある。このような化粧シート又は化粧板には、抗ウイルス剤が添加され、抗ウイルス性を有する化粧シート又は化粧板がある。
【0003】
抗ウイルス性を有する化粧シートとして、特許文献1に記載のある抗ウイルス性化粧シートがある。特許文献1に記載のある抗ウイルス性化粧シートは、銀含有無機粒子を含む抗ウイルス剤が添加された抗ウイルス層を表面に備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のある抗ウイルス性化粧シートのように、無機粒子である抗ウイルス剤又は無機粒子に担持された抗ウイルス剤が添加された層を表面に備える化粧シートは、化粧シートの表面に物体が接触した場合、接触した物体が抗ウイルス剤によって削り取られる虞がある。
【0006】
例えば、無機粒子を含む抗ウイルス剤が添加された化粧シートを加工する場合、加工時に化粧シートの表面に接触する加工設備(例えば、搬送用のガイドロール)の表面を抗ウイルス剤が削り取り、削り取られた削り粉が化粧シート又は加工設備に付着する虞がある。
【0007】
また、化粧シートの表面を手で触り続けると、手の指紋が削り取られる虞がある。また、2つの化粧シートの表面が互いに厚さ方向に対向して積み重ねられた状態で輸送される場合、2つの化粧シートの表面が互いに擦り合うことで削られ、化粧シートの表面に傷が付く虞がある。
【0008】
上記事情を踏まえ、本発明は、表面に抗ウイルス剤を含み、表面に接触した物体を傷付け難い化粧シートおよび化粧板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の化粧シートは、原反層と、前記原反層の上側に設けられた模様層と、抗ウイルス剤と、大粒径添加剤とを有し、前記模様層の前記上側に設けられた表面保護層と、を備え、前記大粒径添加剤の平均粒径は、前記抗ウイルス剤の平均粒径よりも大きい。
【0010】
上記化粧シートでは、前記大粒径添加剤の平均粒径は、前記抗ウイルス剤の平均粒径の2倍以上であってもよい。
【0011】
上記化粧シートでは、前記表面保護層の表面における前記大粒径添加剤の突出高さは、前記抗ウイルス剤の突出高さよりも大きくてもよい。
【0012】
上記化粧シートでは、前記大粒径添加剤の硬度は、前記抗ウイルス剤の硬度よりも低くてもよい。
【0013】
上記化粧シートでは、前記抗ウイルス剤は、微粉砕された銀を含んでいてもよい。
【0014】
上記化粧シートでは、前記大粒径添加剤は、合成樹脂ビーズを含んでいてもよい。
【0015】
上記化粧シートでは、前記合成樹脂ビーズは、アクリル樹脂ビーズであってもよい。
【0016】
上記化粧シートでは、前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含んでいてもよい。
【0017】
本発明の化粧板は、上記に記載のいずれかの化粧シートと、前記化粧シートの下側に設けられた基板と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の化粧シートおよび化粧板によれば、表面に抗ウイルス剤を含み、表面に接触した物体を傷付け難い化粧シートおよび化粧板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る化粧板を模式的に示す断面図である。
【
図2】本実施形態に係る化粧シートの表面を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る化粧板100を模式的に示す断面図である。
本実施形態では、
図1に示すように、化粧板100の厚さ方向を「上下方向V」、化粧板100の基板20が設けられた側を上下方向Vにおける「下側LO」、下側LOと反対側を上下方向Vにおける「上側UP」と定義する。
【0022】
化粧板100は、化粧シート10と、基板20と、を備える。
基板20は、化粧シート10の下側LOに設けられた層である。基板20としては、パーチクルボード又は中密度繊維板(MDF)等を採用できる。また、基板20として、アルミニウム又はステンレス等の金属系の板状の部材、ポリエチレン等の樹脂からなる芯材の両側にアルミニウム等の金属を貼り付けた複合板を採用してもよい。
【0023】
化粧シート10は、原反層1と、模様層2と、表面保護層3と、を備える。
原反層1は、化粧板100において、基板20の上側UPに設けられた層である。原反層1は、印刷を施すことができる公知の材質からなるシート状の層である。原反層1として、薄葉紙又はチタン紙等の繊維質シートを採用できる。
【0024】
また、原反層1として、樹脂含浸紙、樹脂混抄紙、紙間強化紙、晒又は未晒クラフト紙、リンター紙、上質紙、コート紙、無機紙、難燃紙、板紙又は和紙等を採用してもよい。原反層1として、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリ塩化ビニル等の樹脂シートや、織布又は不織布等を採用してもよい。
【0025】
模様層2は、原反層1の上側UPに設けられた層である。模様層2は、例えば、木目、石目又は砂目等の絵柄の印刷を原反層1の上側UPに施すことで形成されている。模様層2の印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。模様層2には、採用する印刷方法に適した公知の印刷インキを採用できる。
【0026】
表面保護層3は、模様層2の上側UPに設けられた層である。表面保護層3として、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂又はそれらの混合物等を採用できる。表面保護層3には、電離放射線硬化型樹脂を採用するのが望ましい。また、表面保護層3には、模様層2の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。
【0027】
表面保護層3は、抗ウイルス剤31と、大粒径添加剤32と、を有する。表面保護層3は、
図1に示すように、複数の抗ウイルス剤31と、複数の大粒径添加剤32とを含んでいる。
【0028】
抗ウイルス剤31は、無機粒子である抗ウイルス剤(抗ウイルス添加剤)又は無機粒子に担持された抗ウイルス剤を含むため、抗ウイルス性を有する。抗ウイルス剤31は、微粉砕された銀を含むのが望ましい。
【0029】
抗ウイルス剤31が抗ウイルス性を有するため、化粧シート10および化粧板100は、抗ウイルス性を有する。表面保護層3は、化粧シート10および化粧板100の表面(上側UPの面)に設けられている。そのため、化粧シート10および化粧板100は、化粧シート10および化粧板100の表面において抗ウイルス性を有している。
【0030】
大粒径添加剤32は、表面保護層3を形成する樹脂(例えば、電離放射線硬化型樹脂)に添加されたフィラー(添加剤)である。大粒径添加剤32は、合成樹脂ビーズを含むのが望ましい。また、大粒径添加剤32が含む合成樹脂ビーズは、アクリル樹脂ビーズであるのが望ましい。
【0031】
表面保護層3は、例えば、微粉砕された銀を含む抗ウイルス剤31と、アクリル樹脂ビーズである大粒径添加剤32とが添加された電離放射線硬化型樹脂を模様層2の上側UPに積層することで形成されている。
【0032】
表面保護層3を積層する方法として、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。また、表面保護層3は、公知のコーティング装置を用いて積層されてもよい。
【0033】
図2は、本実施形態に係る化粧シート10の表面を模式的に示す断面図である。
大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1よりも大きい。大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1の2倍以上であるのが望ましい。
【0034】
抗ウイルス剤31の平均粒径R1よりも大粒径添加剤32の平均粒径R2が大きいため、
図2に示すように、表面保護層3の表面3sにおいて、大粒径添加剤32は、抗ウイルス剤31よりも上側UPに突出している。ここで、表面保護層3の表面3sは、表面保護層3の上側UPの面を示す。
【0035】
表面保護層3の表面3sにおいて、大粒径添加剤32の突出高さ(突出量)H2は、抗ウイルス剤31の突出高さH1よりも大きい。そのため、上側UPから化粧シート10に物体が接触した場合、化粧シート10の表面において、大粒径添加剤32が物体と接触するため、抗ウイルス剤31は物体と接触し難い。
【0036】
抗ウイルス剤31は、微粉砕された銀等の無機粒子を含むため、抗ウイルス剤31と物体が接触した場合、接触した物体が抗ウイルス剤31によって削り取られる虞がある。
【0037】
例えば、化粧シート10を加工する際に化粧シート10の表面に接触する加工設備(例えば、搬送用のガイドロール)の表面を削り取り、削り取られた削り粉が化粧シート10又は加工設備に付着する虞がある。削り粉が付着すると、化粧シート10又は加工設備から削り粉を取り除く作業が必要になり、手間がかかる。また、化粧シート10の表面に削り粉が付着することで、化粧シート10の見栄えが低下する虞がある。
【0038】
また、2つの化粧シート10の表面が互いに上下方向V(厚さ方向)に対向して積み重ねられた状態で輸送する場合、2つの化粧シート10の表面が互いに擦り合うことで抗ウイルス剤31によって削られ、化粧シート10に傷が付く虞がある。また、化粧シート10の表面を手で触り続けると、手の指紋が抗ウイルス剤31によって削り取られる虞がある。
【0039】
表面保護層3が抗ウイルス剤31よりも平均粒径が大きい大粒径添加剤32を有することで、化粧シート10の表面に物体が接触した場合、物体が大粒径添加剤32に阻害されることで、物体が抗ウイルス剤31に接触するのを抑制できる。
【0040】
具体的には、
図2に示すように、抗ウイルス剤31の平均粒径R1よりも大粒径添加剤32の平均粒径R2が大きく、抗ウイルス剤31の突出高さH1よりも大粒径添加剤32の突出高さH2が大きいため、化粧シート10の表面に接触した物体は、まず大粒径添加剤32に接触する。そのため、大粒径添加剤32によって物体を阻害し、物体が抗ウイルス剤31に接触するのを抑制できる。
【0041】
ここで、大粒径添加剤32は、抗ウイルス剤31よりも硬度が低い。例えば、抗ウイルス剤31は銀等の無機粒子を含み、大粒径添加剤32は、銀等の無機粒子よりも硬度が低い合成樹脂ビーズ等を含む。
【0042】
化粧シート10の表面に接触した物体は、大粒径添加剤32に接触した場合、大粒径添加剤32よりも硬度が高い抗ウイルス剤31に接触した場合と比較して傷付き難い。すなわち、大粒径添加剤32は、抗ウイルス剤31と比較して、接触した物体を削り取り難い。
【0043】
その結果、抗ウイルス剤31によって加工設備、化粧シート10又は手の指紋が削り取られるのを抑制することができ、化粧シート10又は加工設備から削り粉を取り除く作業の手間や、化粧シート10の見栄えの低下又は傷付き等を抑制することができる。
【0044】
なお、表面保護層3が含む複数の抗ウイルス剤31および大粒径添加剤32において、少なくとも一部の大粒径添加剤32の突出高さH2が、抗ウイルス剤31の突出高さH1よりも大きければよい。少なくとも一部の大粒径添加剤32の突出高さH2が抗ウイルス剤31の突出高さH1よりも大きければ、化粧シート10の表面に接触した物体は、大粒径添加剤32によって阻害されるため、抗ウイルス剤31に物体が接触するのを抑制できる。
【0045】
本実施形態の化粧シート10および化粧板100によれば、化粧シート10の表面に設けられた表面保護層3は、抗ウイルス剤31および大粒径添加剤32を有する。また、大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1よりも大きい。
【0046】
そのため、化粧シート10の表面に物体が接触した場合であっても、物体が抗ウイルス剤31に接触するのを大粒径添加剤32が阻害し、物体が抗ウイルス剤31によって削り取られるのを抑制できる。その結果、抗ウイルス剤31を含み、表面に接触した物体を傷付け難い化粧シート10および化粧板100を提供することができる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0048】
(変形例1)
上記実施形態において、化粧シート10の原反層1が基板20と接着されるが、化粧シートの態様はこれに限定されない。化粧シートは、原反層の下側に、化粧シートと基板との密着性を向上させるプライマ層を備えていてもよい。
【0049】
プライマ層として、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂又はアクリル系樹脂等を採用できる。プライマ層を積層する方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法や、公知のコーティング装置を用いた形成方法を採用できる。また、プライマ層は、溶融押出成形法で形成されてもよい。
【0050】
原反層と基板との密着性が不十分である場合、原反層の下側にプライマ層を設けることで、化粧シートと基板との密着性を向上できる。
【0051】
以下実施例により、本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
原反層1の上側UPの面に絵柄を印刷し、模様層2を形成した。模様層2の上側UPに、平均粒径R1が1μmの抗ウイルス剤31と、平均粒径R2が50μmの大粒径添加剤32とを含む表面保護層3を形成し、化粧シート10を形成した。
また、化粧シート10の下側LOに基板20を接着し、実施例1の化粧板100を得た。
【0053】
ここで、抗ウイルス剤31の平均粒径R1に対する大粒径添加剤32の平均粒径R2の比率(R2/R1)は、50である。すなわち、大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1の50倍である。
以下、抗ウイルス剤31の平均粒径R1に対する大粒径添加剤32の平均粒径R2の比率を「粒径比率」とも称する。
【0054】
(実施例2)
大粒径添加剤32の平均粒径R2を20μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例2の化粧板100を得た。
ここで、粒径比率は20である。すなわち、大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1の20倍である。
【0055】
(実施例3)
大粒径添加剤32の平均粒径R2を10μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例3の化粧板100を得た。
ここで、粒径比率は10である。すなわち、大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1の10倍である。
【0056】
(実施例4)
抗ウイルス剤31の平均粒径R1を5μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例4の化粧板100を得た。
ここで、粒径比率は10である。すなわち、大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1の10倍である。
【0057】
(実施例5)
抗ウイルス剤31の平均粒径R1を10μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例5の化粧板100を得た。
ここで、粒径比率は5である。すなわち、大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1の5倍である。
【0058】
(実施例6)
抗ウイルス剤31の平均粒径R1を5μmとし、大粒径添加剤32の平均粒径R2を20μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例6の化粧板100を得た。
ここで、粒径比率は4である。すなわち、大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1の4倍である。
【0059】
(実施例7)
抗ウイルス剤31の平均粒径R1を5μmとし、大粒径添加剤32の平均粒径R2を10μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例7の化粧板100を得た。
ここで、粒径比率は2である。すなわち、大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1の2倍である。
【0060】
(実施例8)
抗ウイルス剤31の平均粒径R1を10μmとし、大粒径添加剤32の平均粒径R2を20μmとした以外は実施例1と同様の方法により、実施例8の化粧板100を得た。
ここで、粒径比率は2である。すなわち、大粒径添加剤32の平均粒径R2は、抗ウイルス剤31の平均粒径R1の2倍である。
【0061】
(比較例1)
抗ウイルス剤の平均粒径を10μmとし、大粒径添加剤の平均粒径を10μmとした以外は実施例1と同様の方法により、比較例1の化粧板を得た。
ここで、粒径比率は1である。すなわち、大粒径添加剤の平均粒径は、抗ウイルス剤の平均粒径の1倍である。
【0062】
(比較例2)
表面保護層が大粒径添加剤を含まず、抗ウイルス剤の平均粒径を5μmとした以外は実施例1と同様の方法により、比較例2の化粧板を得た。
【0063】
(試験1)
実施例1-8および比較例1-2の化粧板に、金属擦れ試験を実施した。金属擦れ試験では、上側から500gの荷重をかけた状態の金属板で化粧板の表面(上側の面)を擦り、ガイドロール等の金属製の加工設備と化粧板の表面とが擦れた状態を再現した。
【0064】
金属板で擦った後の化粧板の表面に対する官能試験を10人の試験員で実施し、加工性について評価した。具体的には、金属板が化粧板によって削られることで生じる削り粉の程度などを確認し、金属製の加工設備を用いて化粧板を加工した際の加工性の良し悪しについて評価した。
【0065】
評価基準は4段階とし、「不可」以外を合格とした。
優(Excellent):加工性が優れていると評価した人が8人以上である。
良(Good):加工性が優れていると評価した人が5人以上7人以下である。
可(Fair):加工性が優れていると評価した人が3人以上4人以下である。
不可(Poor):加工性が優れていると評価した人が2人以下である。
【0066】
(試験2)
実施例1-8および比較例1-2の化粧板に、シート擦れ試験を実施した。シート擦れ試験では、上側から500gの荷重をかけた状態の化粧シートで化粧板の表面を擦った。ここで、化粧板の表面と化粧シートの表面とが互いに厚さ方向に対向するように、化粧シートを化粧板の表面に載置した。
【0067】
また、シート擦れ試験では、シート擦れ試験を実施する実施例又は比較例と同様の化粧シートを用いて実施した。例えば、実施例1の化粧板100に対するシート擦れ試験では、実施例1の化粧板100が備える化粧シート10を用いた。すなわち、表面保護層の構成が同じ化粧板および化粧シートを用いてシート擦れ試験を実施した。
【0068】
化粧シートで擦った後の化粧板の表面に対する官能試験を10人の試験員で実施し、加工性について評価した。具体的には、表面保護層の構成が同じである化粧板および化粧シートの表面が互いに擦り合うことで生じる化粧板および化粧シートの傷付きの程度などを確認し、2つの化粧板又は化粧シートを、表面同士を互いに厚さ方向に対向させて重ねて加工(例えば、輸送)した際の加工性の良し悪しについて評価した。
【0069】
評価基準は4段階とし、「不可」以外を合格とした。
優(Excellent):加工性が優れていると評価した人が8人以上である。
良(Good):加工性が優れていると評価した人が5人以上7人以下である。
可(Fair):加工性が優れていると評価した人が3人以上4人以下である。
不可(Poor):加工性が優れていると評価した人が2人以下である。
【0070】
(試験結果)
試験1および試験2の結果を表1に示す。
表1には、抗ウイルス剤の平均粒径と、大粒径添加剤の平均粒径と、抗ウイルス剤の平均粒径に対する大粒径添加剤の平均粒径である粒径比率と、を示している。なお、比較例2は、表面保護層が大粒径添加剤を有さないため、大粒径添加剤の平均粒径および粒径比率は示していない。
【0071】
表面保護層3が、抗ウイルス剤31と大粒径添加剤32とを有し、大粒径添加剤32の平均粒径R2が抗ウイルス剤31の平均粒径R1よりも大きい実施例1-8は、試験1および試験2において良好な結果を示した。
【0072】
抗ウイルス剤の平均粒径と大粒径添加剤の平均粒径が同じである比較例1と、大粒径添加剤を有さない比較例2は、試験1および試験2において不合格であった。
【0073】
【符号の説明】
【0074】
100 化粧板
10 化粧シート
1 原反層
2 模様層
3 表面保護層
31 抗ウイルス剤
32 大粒径添加剤
3s 表面保護層の表面
20 基板
R1 抗ウイルス剤の平均粒径
R2 大粒径添加剤の平均粒径
H1 抗ウイルス剤の突出高さ
H2 大粒径添加剤の突出高さ
V 上下方向(厚さ方向)
UP 上側
LO 下側